JP2002080483A - 新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘導体及びその製造方法

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JP2002080483A
JP2002080483A JP2000268665A JP2000268665A JP2002080483A JP 2002080483 A JP2002080483 A JP 2002080483A JP 2000268665 A JP2000268665 A JP 2000268665A JP 2000268665 A JP2000268665 A JP 2000268665A JP 2002080483 A JP2002080483 A JP 2002080483A
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JP2000268665A
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Akira Shibuya
皓 渋谷
Tsutomu Yokomatsu
力 横松
Norinobu Hayakawa
宣延 早川
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Hisamitsu Pharmaceutical Co Inc
Original Assignee
Hisamitsu Pharmaceutical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘
導体を合成し、治療効果が高く、かつ副作用の少ないI
MPase阻害剤を見出す。 【解決手段】 A−CFP(O)(ORで表さ
れるジフルオロメチレンホスホン酸誘導体。 [式中、Aは または (Rは、OH、NHまたはSHを、R及びR
HまたはOHを、Rは、Hまたは低級アルキル基を表
す。)を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジフルオロ
メチレンホスホン酸誘導体及びその製造方法に関するも
のである。また、該誘導体を含有してなるイノシトール
モノホスファターゼ(IMPase)活性阻害剤または
該誘導体を含有してなる医薬組成物に関する。
【0002】
【従来技術】躁うつ病は情動障害を主徴とする精神病の
一つであり、精神分裂病と共に二大精神病として認識さ
れている。躁うつ病患者は感情起伏が非常に激しく、そ
う状態では多弁、多動および誇大妄想などの症状、うつ
状態では、抑うつ気分、非哀感、意欲の低下および精神
運動減退などの症状が認められる。躁うつ病の病因につ
いて、脳内のセロトニンやノルエピネフリンなどのアミ
ンが関連していると考えられている一方で、先天的な体
質・素因も複雑に関連していると考えられており、詳細
な発症機序に関しては依然不明のままである。
【0003】現在、躁うつ病のうつ状態および躁状態を
それぞれ特異的に治療する薬剤が、抗うつ薬および抗躁
薬である。例えば、クロルプロマジン、レボメプロマジ
ン、チオリダジンおよびペルフェナジンなどのフェノチ
アジン誘導体、スルピリドなどのベンズアミド系、イミ
プラミン、クロミプラミン、トリミプラミン、アミノト
リプチン、ノルトリプリン、ロフェプラミン、アモキサ
ピンおよびドスレピンなどの三環系誘導体、マプロチリ
ン、ミアンセリンおよびセチプチリンなどの四環系誘導
体など、多くの抗うつ剤が開発されている。一方、抗躁
薬としては、炭酸リチウムが処方されているに過ぎな
い。
【0004】炭酸リチウムは、1949年、Cadeに
より躁病患者に対して特異的に有効であることが発表さ
れて以来、汎用されている抗躁病薬である。しかしなが
ら、炭酸リチウムは、低い治療指数のために血中濃度を
測定しながら投与する必要がある。すなわち、望ましい
リチウムの血中濃度は0.5〜0.8mmol/lであ
るが、0.3mmol/lを下回ると一般的に効果が期
待できず、1.0mmol/lを上回ると食欲不振、悪
心あるいは嘔吐などの胃腸障害、不整脈などの心臓・血
管症状、振戦など中枢神経障害、口渇、多尿あるいは浮
腫などの腎症状、アクネ、脱毛あるいは発疹などの皮膚
症状、甲状腺機能低下などの多くの副作用が出現し、時
として、意識障害あるいは痙攣などの重篤な副作用を来
すこともある。また、炭酸リチウムの血中濃度が治療域
にあっても、手の震え、体重増加、甲状腺肥大あるいは
浮腫などの副作用が出現することがある。このように、
炭酸リチウムの治療効果はあまり期待できず、多くの副
作用を示すことから、強力な抗躁作用を有し、副作用の
少ない抗躁病薬の開発が望まれている。
【0005】炭酸リチウムの抗躁作用の機序について
は、以下の二つのことがその機序として考えられてい
る。一つには、リチウムは、ナトリウムやカリウムと同
じアルカリ金属のため、生体内でナトリウムイオンと置
換し、脱分極時に細胞内へ入る。しかし、ナトリウムポ
ンプによって細胞外へ汲み出されないので、リチウムイ
オンは細胞内のカリウムとも次第に置換され、細胞の膜
電位は低下し、細胞の興奮は抑制されることが抗躁作用
を機序であると考えられている。もう一つには、イノシ
トールリン脂質(PI)代謝回転を抑制することによ
り、PI代謝と共役している受容体に作用し、ノルアド
レナリンやセロトニンの神経線維末端への再取り込みを
上昇させ、セロトニンの代謝回転を促進させ、ノルアド
レナリンの遊離を抑制することが抗躁作用の機序である
と考えられている。しかしながら、炭酸リチウムの抗躁
作用の機序については、依然不明な点が多くの残された
ままであり、今後詳細な検討が必要である。
【0006】近年、PI代謝回転の抑制に関して、炭酸
リチウムはイノシトールモノホスフェート(IMP)か
らイノシトールへの加水分解を触媒とするイノシトール
モノホスファターゼ(IMPase)を阻害することが
報告された (Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1995, 34,
1933)。加水分解により得られるイノシトールは、細胞
内情報伝達機構のセカンドメッセンジャーであるホスフ
ァチジルイノシトール4,5-ビスホスフェートのイノシト
ールの供給源ともなっているために、IMPaseは細胞内情
報伝達機構において重要な役割を担っていると考えられ
ている。このことから、IMPaseは、抗躁病薬開発
に際し、重要な標的分子であると考えられ、IMPas
e阻害薬を見出すことができれば、強力な薬理作用を有
し、副作用の少ない抗躁病薬が提供できると考えられ
る。
【0007】内因性の生理活性物質あるいは生理活性を
示す誘導体の特定の部分構造を生物化学的に安定かつ同
等な機能を有する官能基 (バイオアイソスター)に置き
換え、化学修飾する試みは、優れた医薬品を見出すため
の有用な方法の一つである。特に、ジフルオロメチレン
ホスホン酸は、糖、脂質、タンパク質などのリン酸化反
応によって生じるリン酸モノエステル誘導体をジフルオ
ロメチレンに置換したものであり、ジフルオロメチレン
ホスホン酸誘導体の酸解離定数およびエステル部の結合
角がそれぞれ対応するメチレンホスホン酸のそれよりも
リン酸モノエステルに近い数値を示すことから(Tetrahe
dron Lett., 1992, 33, 4137)、リン酸モノエステルの
バイオアイソスターとして利用できるものと考えられて
いる(Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, P
eptides and Proteins., 1983, 7, 267)。さらに、フ
ッ素原子に由来する特性が生体内のリン酸モノエステル
の生成、分解を触媒とするホスホリラーゼやホスファタ
ーゼなどの酵素との親和性を増大させるのに極めて有効
である。これらのことから、ジフルオロメチレンホスホ
ン酸を機能性合成素子として用いて、IMPaseの基
質あるいは生成物アナログを合成できれば、基質特異性
の高い、より阻害活性の高いIMPase阻害薬を見出
させるものと考えられる。
【0008】ジフルオロメチレンホスホン酸を機能性合
成素子として利用した具体例として、プロテイン-チロ
シン-ホスファターゼ(PTP)阻害薬の研究を参考に
することができる。PTPは、ペプチド鎖中のリン酸化
チロシンからチロシンへの加水分解を触媒とする酵素で
あり、細胞内情報伝達系で作用する酵素である(実験医
学バイオサイエンス6がん・増殖・分化の演出家チロシ
ンキナーゼ, 1993)。Burkeらは、リン酸化チロシン
(P−Tyr)の安定類縁体としてホスホノジフルオロ
メチルフェニルアラニン(FPmp)を合成し、F
Pmpを取り込んだオリゴペプチド のPTP(ラット
胎盤由来PTP)に対する阻害活性を報告している(Bi
ochem.Biophys.Res.Commun., 1994, 204, 129)。その
オリゴペプチドは、PTP−1に特異的な阻害活性を示
し、さらに、そのオリゴペプチドはp−Tyrの部分構
造をホスホノメチルフェニルアラニンで置き換えたオリ
ゴペプチド (Pmp)よりも約1000倍高い阻害活
性を示すことが明らかにされ、CFP(O)(OH)
基がOP(O)(OH)基の効果的なバイオアイソ
スターであることが証明されている。従って、生体内反
応の重要な媒体分子となるリン酸モノエステルのジフル
オロメチレンホスホン酸への化学修飾法は、新しいタイ
プの抗躁病薬を見い出す上で極めて有用と思われる。し
かしながら、ジフルオロメチレンホスホン酸誘導体に基
づく、新規な抗躁病薬のみならず、IMPase阻害剤
も未だ合成されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、新規
なジフルオロメチレンホスホン酸誘導体を提供すること
にある。さらに、本発明の課題は、治療効果が高く、か
つ副作用の少ないIMPase阻害剤を見出すことにあ
る。
【0010】
【発明が解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、新規なジフルオロ
メチレンホスホン酸誘導体を合成することに成功し、ま
た該誘導体がイノシトールモノホスフェート加水分解酵
素であるIMPaseを阻害することを見いだし、本発
明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明はIMPase阻害作用を有
する新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘導体の合成
並びにその製造方法、また該誘導体を含有してなる医薬
組成物に関する。より詳細には、本発明は下記一般式
(1)
【化9】 [式中、Aは
【化10】 または
【化11】 (Rは、OH、NHまたはSHを、R及びR
HまたはOHを、Rは、Hまたは低級アルキル基を表
す。)で表されるジフルオロメチレンホスホン酸誘導体
に関する。また本発明は、前記記載のジフルオロメチレ
ンホスホン酸誘導体を含有してなる医薬組成物に関す
る。さらに本発明は、前記記載のジフルオロメチレンホ
スホン酸誘導体を含有してなるイノシトールモノホスフ
ァターゼ活性阻害剤に関する。またさらに、前記記載の
イノシトールモノホスファターゼ活性阻害剤を含有して
なる医薬組成物に関する。さらにまた本発明は、下記一
般式(1−A)
【化12】 (式中、RはOH、NH、SHを、RはHまたは
低級アルキル基を表す。)で表される化合物を、不活性
溶媒中、ボラン試薬を反応させたのち、過酸化水素の存
在下、塩基性物質を加えて反応させてなる下記一般式
(1−B)
【化13】 (式中、RおよびRは前記と同じ意味を、Rおよ
びRはHまたはOHを表す。)で表される化合物を単
離精製したのち、更に不活性溶媒中、塩基性物質の存在
下加水分解してなる下記一般式(1−C)
【化14】 (式中、R、RおよびRは前記と同じ意味を表
す。)で表される化合物の製造方法。また本発明は、一
般式(1−A)の化合物で表される化合物が、下記一般
式(7)
【化15】 〔式中、Rは前記と同じ意味を、Rは、
【化16】 を、XはO、NH、SまたはCHを表す。〕の化合物
を不活性溶媒中、ラジカル開始剤及びラジカル促進剤の
存在下反応させて得られるものであることを特徴とす
る、前記記載の一般式(1−C)で表わされる化合物の
製造方法に関する。さらに本発明は、一般式(7)で表
される化合物を不活性溶媒中、ラジカル開始剤及びラジ
カル促進剤の存在下に反応させることによる、前記記載
の一般式(1−A)の化合物の製造方法に関する。な
お、一般式(1)における低級アルキル基とは、炭素数
1ないし4を表す低級アルキル基であり、メチル、エチ
ル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、i
so−ブチル、tert−ブチルなどの低級アルキル基
を意味するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における新規なジフルオロ
メチレンホスホン酸誘導体は以下に示す製造方法に従っ
て製造される。
【0013】
【化17】 尚、上記式中、RはOH、または
【化18】 (RはH、低級アルキル基、フェニル基、ベンジル基
を表す。)を、RはOH、NH、SHを、RはH
またはOHを、RはHまたは低級アルキル基を、Xは
CH、O、S、NHを表す。まず最初に、一般式
(3)の化合物は一般式(2)の化合物のDiels−
Alder反応により合成できる。合成手段としては、
通常不活性溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、テト
ラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど、あるいはそれ
らの混合溶媒)中、ルイス酸(三フッ化ホウ素、四塩化
チタン、四塩化ジルコニウム、四塩化スズ、塩化アルミ
ニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ランタントリ
フラート、スカンジウムトリフラートなど)存在下、ジ
エン(シクロペンタジエン、チオフェン、フラン、ピロ
ールなど)を加え、−78℃付近で1時間余り行うこと
により得ることができる。
【0014】次に、一般式(4)の化合物は、一般式
(3)の化合物の加水分解反応により合成できる。合成
手段としては、通常不活性溶媒(テトラヒドロフラン、
ジエチルエーテルなど、あるいはそれらの混合溶媒)
中、過酸化水素存在下、塩基性物質(水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加え、20
℃付近で、12時間余り行うことにより得ることができ
る。次に、一般式(5)の化合物は、一般式(4)の化
合物の接触還元により合成できる。合成手段としては、
通常極性溶媒(メタノール、エタノール、酢酸、酢酸エ
チル、水など、あるいはそれらの混合溶媒)中、触媒
(二酸化パラジウム、パラジウム−炭素、ロジウム−三
酸化二アルミニウムなど)を加え、水素雰囲気下、室温
下で3時間余り行うことにより得ることができる。次
に、一般式(6)の化合物は、一般式(5)の化合物か
ら合成できる。合成手段としては、通常不活性溶媒(ジ
クロロメタン、クロロホルムなど、あるいはそれらの混
合溶媒)中、塩化チオニルを加え、30℃付近で3時間
余り行うことにより得ることができる。
【0015】次に、一般式(7)の化合物は、一般式
(6)の化合物の縮合反応により合成できる。合成手段
としては、通常不活性溶媒(ジクロロメタン、クロロホ
ルムなど、あるいはそれらの混合溶媒)中、N−ヒドロ
キシピリジン−2−チオンを加え、室温下、1〜2時間
余り行うことにより得ることができる。次に、一般式
(1−A)の化合物は一般式(7)の化合物の脱炭酸反
応により合成できる。合成手段としては、通常非プロト
ン性溶媒(トルエン、ベンゼンなど、あるいはそれらの
混合溶媒)中、水素化トリブチルスズ存在下、アゾビス
イソブチロニトリルを加え、30℃〜用いた溶媒の沸点
までの温度、好ましくは50℃〜80℃で、約2時間〜
10時間、好ましくは、約5時間〜6時間で行うことに
より得ることができる。
【0016】次に、一般式(1−B)の化合物は、一般
式(1−A)の化合物のハイドロボレーション及び酸化
的処理により合成できる。合成手段としては、通常不活
性溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど、
あるいはそれらの混合溶媒)中、ボラン試薬(ジボラン
−テトラヒドロフラン、ジボラン−ジメチルスルフィ
ド、9−BBN、カテコールボラン、シクロヘキシルボ
ランなど)の存在下、約−20℃〜用いた溶媒の沸点ま
での温度、好ましくは0℃〜30℃で、約10分〜24
時間、好ましくは30分〜5時間で行い、次いで、過酸
化水素の存在下、塩基性物質を加え、約−20℃〜10
℃で行うことにより得ることができる。
【0017】次に、一般式(1−C)の化合物は、一般
式(1−B)の化合物の加水分解により合成できる。合
成手段としては、通常不活性溶媒(ジクロロメタン、ク
ロロホルムなど、あるいはそれらの混合溶媒)中、トリ
メチルシリルブロミド存在下、30℃付近で18時間余
り行い、反応溶液を減圧下濃縮した後に、水中、30℃
付近で1時間余り行うことにより得ることができる。な
お、一般式(1−C)の化合物はナトリウム塩等の無機
塩にすることができる。
【0018】これらの方法により得られる本発明化合物
である新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘導体は、
再結晶法、カラムクロマト法などの常法により単離精製
することができる。得られる生成物が立体異性体の混合
物であるとき、再結晶法、カラムクロマト法などにより
単離精製することができる。また、得られる生成物がラ
セミ体であるときには、例えば光学活性な担体を充填し
たカラムを通すことにより、目的とした光学活性体を得
ることができる。個々のジアステレオマーは分別結晶
化、クロマトグラフィーなどにより分離することができ
る。これらは、光学活性な原料化合物等を用いることに
よっても得ることができる。
【0019】本発明のジフルオロメチレンホスホン酸誘
導体を有効成分とする医薬は、通常、慣用の賦形剤と配
合して薬学的に許容し得る各種薬剤の形態をとることが
可能である。例えば、経口投与の形態としては、カプセ
ル剤、錠剤、シロップ剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等が挙
げられる。また、非経口投与の形態としては、パップ
剤、硬膏剤、坐剤、点鼻剤、口腔剤等の外用製剤、並び
に注射剤等が挙げられる。上述した経口または非経口投
与の製剤は公知の基剤並びに公知の処方に基づいて調剤
することができる。例えば、1)新製剤開発システム総
合技術−基剤−添加物編、発行日:昭和60年7月12
日、発行所:R&Dプランニング、2)今日の皮膚外用
剤、発行日:1981年5月15日(第1版)、発行
所;南山堂、3)第十三改正 日本薬局方解説書、発行
日:平成10年5月15日、発行所:廣川書店、4)薬
剤学 I・II−調剤学・製剤学、発行日:1988年、
発行所:日本工業技術連盟、5)本発行出願前の関連文
献、特許公開、雑誌等の各公知文献を挙げることができ
る。
【0020】先ず最初に経口剤について述べる。例え
ば、本発明の新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘導
体と有機酸(具体例として、クエン酸、アスコルビン
酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン
酸等)あるいは制酸剤(具体例として、炭酸水素ナトリ
ウム、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイ
ト等)とを適宜配合した医薬組成物またはこれに添加剤
を加えたものを公知の方法によりマイクロカプセルとす
るか、あるいは該医薬組成物に必要に応じて適当な結合
剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、崩壊速度調製剤、可塑
剤、着色剤、着香剤等を加え、常法により錠剤、顆粒、
細粒等の錠剤となすことができる。
【0021】尚、これらの製剤をさらに徐放化皮膜剤と
して、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレ
ートコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン等の非
水溶性高分子;フタル酸酢酸セルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキ
シメチルエチルセルロース、スチレンアクリル共重合
体、メタアクリル酸コポリマー、無水マレイン酸重合
体、セラミック等の腸溶性高分子;パラフィン、マイク
ロクリスタリンワックス等のパラフィンワックス;ステ
アリルアルコール、セタノール等の高級アルコール;グ
リセリン脂肪酸エステル、硬化油、カルナウバロウ、ミ
ツロウ等の脂肪酸エステル等でもって処理することによ
り持続性を有する製剤とすることができる。
【0022】また、シロップ剤の処方としては、ショ
糖、果糖等の糖質甘味料;ソルビトール、マルチトール
等の糖アルコール系甘味料;ステビア抽出物、グリチル
リチン等の非糖質天然甘味料;サッカリン、アスパルテ
ーム等の合成または半合成甘味料との配合により調製さ
れる。また、その他の賦形剤としてシクロデキストリン
類等を添加することも可能である。
【0023】このように経口剤としては、公知の配合基
剤並びに配合処方によってカプセル剤、錠剤、顆粒剤、
細粒剤およびシロップ剤の各製剤を処方することができ
る。次に注射剤について述べる。注射剤に用いる本発明
の新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘導体は水溶性
の形態をとるのが望ましく、無機塩または有機塩の状態
での使用が特に好適である。また、注射剤用基剤として
は溶媒および/または溶解補助剤として、例えば、ポリ
プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類;
ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ポ
リマー、ブタンジオール等のポリオキシアルキレン類;
大豆油、綿実油、菜種油、サフラン油等の植物油;通
常、MCTと略称されている炭素数8〜12の中鎖脂肪酸
(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸等)の
トリグリセリド;炭素数6〜18の脂肪酸(例えば、カ
プロン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
リノール酸、ステアリン酸等)のモノまたはジグリセリ
ド等が挙げられる。
【0024】安定剤として、コレステロール、トコフェ
ロール、アルブミン、多糖類、亜硫酸水素ナトリウム等
を;乳化剤として、卵黄リン脂質、大豆リン脂質、ホス
ファチジルコリン等のリン脂質、ポリオキシアルキレン
重合体(例えば、平均分子量が1,000〜20,00
0の範囲のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン
共重合体)、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン−(4
0)−エーテル、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン−
(20)−エーテル等の非イオン系界面活性剤を挙げる
ことができる。また、必要に応じて、等張化剤(例え
ば、グリセリン、ソルビトール、キシリトールなどの多
価アルコール、ブドウ糖、果糖などの単糖類、マルトー
スなどの二糖類、L−アラニン、L−バリン、グリシン
などのアミノ酸等)、乳化助剤(例えば、ステアリン
酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸またはその
塩類、ホスファチジルエタノール、ホスファチジルセリ
ン、ステアリスアミン等が挙げられる。これらの各種基
剤を適宜組み合わせて処方することにより水性または乳
性のそれぞれの注射剤を調製することができる。
【0025】次に硬膏剤について述べる。硬膏剤用基剤
は、公知の高分子基剤(例:メタアクリル酸エステル
類、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルモノマーとの共重合物であるアクリル系組
成物;シリコーン樹脂;ポリイソプロピレン;ポリイソ
ブチレンゴム;天然ゴム;アクリルゴム;スチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体;スチレン−イソ
プレン−スチレンブロック共重合体等)、油脂または高
級脂肪酸(例:アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、
パーシック油、ラッカセイ油、オレイン酸、流動パラフ
ィン、ポリブテン等)、粘着付与剤(例:ロジン、ロジ
ン変性マレイン酸、水添ロジンエステル等)、かぶれ防
止剤から適宜選択される。当該基剤にその他の添加物
(例:dl−カンフル、l−メントール、チモール、ノ
ニル酸ワニリルアミド、トウガラシチンキ、ハッカ油、
ペパーミントオイル等)を必要に応じて加え、次に本発
明のジフルオロメチレンホスホン酸を配合し、更に紫外
線吸収剤、または必要に応じて抗酸化剤を適宜配合し
て、これを伸縮性または非伸縮性の支持体(例:ポリプ
ロピレン、ポリエステル、ポリ塩酸ビニリデン、ポリア
クリル、ポリウレタン、レーヨン、木綿、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、不織布、不織紙等)に展延塗布した
後、その上に剥離被覆物を貼付することにより硬膏剤を
得ることができる。
【0026】次に、パップ剤について述べる。パップ基
剤、例えば粘着剤(例:ポリアクリル酸ソーダ、ポリア
クリル酸、ポバール、ポリビニルピロリドン、ポリエチ
レンオキサイド、ポリビニルメタアクリレート等の合成
水溶性高分子;アラビアゴム、デンプン、ゼラチンなど
の天然物;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン
酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム等)、湿潤剤(例:尿素、グリセリン、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、ソルビトール等)、充
填剤(例:カリオン、酸化亜鉛、タルク、チタン、ベン
トナイト、エポキシ樹脂類、有機酸(クエン酸、酒石
酸、マレイン酸、コハク酸等)、カルシウム、アルミニ
ウム等)、水、溶解補助剤(例:炭酸プロピレン、クロ
タミトン、ジイソプロピルアジペート等)、粘着付与剤
(例:ロジン、エステルガム、ポリブテン、ポリアクリ
ル酸エステル等)、かぶれ防止剤(例:塩酸ジフェンヒ
ドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリ
チン酸、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルオシノロ
ンアセトニド等)、その他の添加物(例:l−メントー
ル、カンフル、ノニル酸ワニリルアミド、チモール、ト
ウガラシエキス、ハッカ油等)等から適宜選択された各
基剤に本発明のジフルオロメチレンホスホン酸誘導体を
加え、更に紫外線吸収剤、または必要に応じて抗酸化剤
を適宜配合することにより湿布剤を得ることができる。
【0027】軟膏剤として成形する場合には、軟膏基剤
は公知あるいは通常使用されているものの中より選択さ
れるが、例えば、高級脂肪酸またはそれらのエステル類
(例:アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチ
ン酸エステル、パルミチン酸エステル、ラウリル酸ヘキ
シル、イソオクタン酸エチル等)、ロウ類(例:鯨ロ
ウ、ミツロウ、セルシン等)、界面活性剤(例:ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、高級ア
ルコール(例:セタノール、ステアリルアルコール、セ
トステアリルアルコール等)、シリコン油(例:ジメチ
ルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、グ
リコールメチルポリシロキサン、シリコーングリコール
ポリマー等)、炭化水素類(例:親水ワセリン、白色ワ
セリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、水、保湿
剤(例:グリセリン、プロピレングリコール、ブチレン
グリコール、ソルビトール等)、かぶれ防止剤、その他
の添加物(例l−メントール、カンフル、ハッカ油等)
から選択されることが好ましい。これらの基剤に本発明
のジフルオロメチレンホスホン酸誘導体を適宜配合処方
することによって、経皮、口腔粘膜および直腸粘膜用の
製剤にすることができる。次に、坐剤について述べる。
坐剤用基剤としては、例えば、カカオ脂、水素添加ラッ
カセイ油、水素添加ヤシ油等の合成油脂性基剤、ポリエ
チレングリコール類、モノレン、ツウイン、プルロニッ
ク等の水溶性基剤から適宜選択される。
【0028】次に、点鼻剤について述べる。水性基剤は
本発明のジフルオロメチレンホスホン酸誘導体を水、緩
衝剤(例えば、ゼーレンセン(sorensen)緩衝剤(Erge
b. Physiol., 12, 393, 1912)、クラークルブス(Clar
k-Lubs)緩衝液(J. Bact.,2, 109, 191, 1917)、マク
ルベイン(Macll-vaine)緩衝剤(J. Biol. Chem.,49,
183, 1921)、ミカエリス(Michaelis)緩衝液(Die Wa
sserstollionen Komzentralion, p.186, 1914)、コル
ソフ(Koithoff)緩衝液(Bio-Chem. Z., 179, 410, 19
26)等)または含水溶液に溶解、懸濁あるいは乳化する
ことにより処方される。また油性懸濁剤は、本発明のジ
フルオロメチレンホスホン酸誘導体を油性基剤(例え
ば、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、綿
実油、ラッカセイ油、ラノリン、ワセリン、パラフィ
ン、アイソパー(登録商標)、シリコン油、さらには中
鎖脂肪酸あるいはそれらのグリセリンまたはアルコール
のエステル体等)に懸濁あるいは乳化することにより処
方される。
【0029】また、液状製剤の場合においては特に点鼻
剤容器、スプレー容器およびこのような液剤を鼻腔内に
適用するのに適した同様な容器に入れ、鼻腔内に滴下あ
るいは噴射投与することが望ましい。
【0030】最後に、口腔用粘着剤としては、ヒドロキ
シプロピルセルロース、アクリル酸共重合体、カルボキ
シビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
アルコール、ポリエチレングリコール、アルギン酸また
はその塩、無水マレイン酸、メチルビニルエーテル共重
合体、キトサン、キトサン誘導体、酢酸ビニル共重合
体、寒天、ゼラチン等の親水性ポリマー、抗菌剤、軟化
剤、界面活性剤、架橋剤、中和・緩衝剤、増量剤、着色
料、着味料およびその他の賦形剤の基剤成分を適宜配合
処方し、それに本発明の新規なジフルオロメチレンホス
ホン酸誘導体を配合することにより粘着錠剤あるいはフ
ィルム状の粘着貼付剤となすことができる。
【0031】本発明の新規なジフルオロメチレンホスホ
ン酸誘導体の投与量としては、患者の状態や具体的な症
状にもよるが、通常は0.1〜1000mg/kgを、
1日1回又は2回以上に分けて投与することができる。
【0032】本発明の新規なジフルオロメチレンホスホ
ン酸は、特異的IMPase阻害作用を有するため、躁
病及び躁うつ病の治療薬として使用することができる。
また、本発明の新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘
導体は、IMPaseを特異的に阻害するものであり、
治療効果が高く、副作用の少ない医薬組成物としても有
用である。
【0033】
【実施例】以下、本発明を例によって説明するが、本発
明はこれらの例の特定の細部に限定されるものではな
い。
【0034】参考例 1
【化19】 上記(2−A)のオキサゾリジノン誘導体 (417 mg, 1.
00 mmol)のジクロロメタン (3 ml)溶液に0℃下、窒素
雰囲気下、ルイス酸を加え、1時間攪拌した。次に、フ
ラン (660 mg, 10 mmol)のジクロロメタン (2 ml)溶液
を加え、0 ℃で12時間攪拌した。反応溶液に、飽和塩
化アンモニウムを加え、エーテルで抽出し、飽和食塩水
で洗浄後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲル
クロマトグラフィーにより分離精製し、上記(3−A)
からなるノルボルネン類縁化合物誘導体を得た(345mg,
71%)。 融点:135℃〜137℃ 電子衝撃イオン化質量分析(EIMS)(m/z):485
(M) 高分解能電子衝撃イオン化質量分析(HREIMS) Calcd f
or C23H28F2NO6P: 理論値485.412233 (M+), 実測値Foun
d: 485.410196.
【0035】参考例2
【化20】 上記(3−A)でオキサゾリジノン誘導体(1.46
g,3.00mmol)のテトラヒドロフラン(THF )
(50 ml)溶液に、0 ℃下、過酸化水素 (30% in H2O) (5.
97 ml, 51.6 mmol)存在下、水酸化リチウム (470 mg, 1
2.9 mmol)水溶液を加え、室温で12時間攪拌した。反応
溶液に亜硫酸ナトリウム (6.54 g, 58.0 mmol)水溶液、
次いで、5N炭酸水素ナトリウム (2.70 g, 32.2 mmol)を
加え、1N塩酸で酸性にし、クロロホルム抽出し、飽和食
塩水で洗浄後、MgSO4で乾燥し、減圧下濃縮した。得ら
れた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (CHCl3)にふ
し、上記(4−A)からなるカルボン酸誘導体 (489
mg, 50%)を得た。 融点:119℃〜124℃ EIMS(m/z):326(M
【0036】参考例3
【化21】 上記(4−A)のカルボン酸誘導体(744mg,2.
28mmol)の酢酸エチル (50 ml)溶液に、5%ロジ
ウム−三酸化二アルミニウム(122mg)を加え、水
素雰囲気下、室温で3時間激しく撹拌する。次いで、反
応液をセライトろ過し、減圧下濃縮後クロロホルム抽出
し、飽和食塩水で洗浄後、MgSO4で乾燥し、減圧下濃縮
した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー
により分離精製し、上記(5−A)からなるシクロヘキ
サンカルボン酸化合物 (374mg, 50%)を得た。
【0037】参考例4
【化22】 上記(5−A)で示されるカルボン酸誘導体(328m
g,1.00mol)のクロロホルム(10mL)溶液
に、塩化チオニルを滴下し、窒素雰囲気下30℃にて還
流下、3時間撹拌した。次いで、減圧下濃縮し、上記
(6−A)からなる酸クロリド(280mg,81%)
を得た。
【0038】参考例5
【化23】 上記(6−A)で示される酸クロリド(347mg,
1.00mol)のジクロロメタン(10mL)溶液
に、N−ヒドロキシピリジン−2−チオンのナトリウム
塩を加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。次い
で、減圧濃縮後、クロロホルム抽出し、飽和食塩水で洗
浄後、MgSO4で乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣
をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製し、上
記(7−A)からなるシクロヘキサンカルボン酸エステ
ル誘導体 (218mg, 50%)を得た。 融点:138℃〜140℃/分解 EIMS(m/z):437(M
【0039】参考例6〜8
【化24】 参考例5と同様の方法に準じて上記一般式からなる参考
例6〜8の化合物を得た。
【表1】
【0040】実施例1
【化25】 上記(7−A)で示されるエステル誘導体(437m
g,1.00mol)のトルエン(10mL)溶液に、
窒素雰囲気下110 ℃にて還流下、水素化トリブチルスズ
(0.40mL,1.50mmol)、のトルエン(1
0mL)溶液を30分間かけて滴下した。その間、4回
に分けてアゾビスイソブチロニトリル(16.4mg,
0.10mmol)を加えた。次いで、減圧下濃縮し、
残渣にアセトニトリルを入れ、石油エーテルで洗浄後、
減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグ
ラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて、
上記(1−Aa)からなるシクロヘキセン誘導体(23
0mg,81%)を得た。 融点:103℃〜105℃ EIMS(m/z):284(M
【0041】実施例2及び3
【化26】 実施例1と同様の方法に準じて上記一般式からなる実施
例2及び3の化合物を得た。
【表2】
【0042】実施例4
【化27】 上記(1−Aa)で示されるシクロヘキセン誘導体 (28
4mg, 1.00 mmol)のTHF(20 ml)溶液を窒素雰囲気下、0
℃で15分間攪拌した。次に、B2H6-THF (1.0 Msolution
in THF) (1.00 ml, 1.00 mmol)を加え、同温度で3時間
攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、同温度で、酢酸
ナトリウム水溶液 (3 M, 0.33 ml, 1.00mmol)を滴下
し、次いで、過酸化水素水溶液 (30% in H2O) (0.68 m
l, 6.00 mmol)を加えた。反応溶液に水を加え、エーテ
ルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、MgSO4で乾燥し、減
圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラ
フィー(hexane:AcOEt=3:1)にふし、上記(1−Ba)で
示されるホスホン酸エステル誘導体(127mg,42%)を得
た。 融点:118℃〜120℃/分解 EIMS(m/z):302(M
【0043】実施例5及び6
【化28】 実施例4と同様の方法に準じて上記一般式からなる実施
例5及び6の化合物を得た。
【表3】
【0044】実施例7
【化29】 上記(1−Ba)で示されるホスホン酸エステル誘導体
(36.2mg,0.12mmol)のジクロロメタン
(1mL)溶液にトリメチルシリルブロミド(0.08
mL,0.60mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温
で18時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー上で原料
の消失を確認後、反応溶液を減圧下濃縮し、得られた残
渣に水を加え、室温で1時間攪拌した。反応溶液にクロ
ロホルムを加え、水で抽出し、減圧下濃縮した。得られ
た残渣を凍結乾燥 (2日間)し、上記(1−Ca)で示
されるホスホン酸誘導体(24.2mg,82%)を得
た。 融点:135℃〜137℃/分解 高速原子衝撃質量分析(FABMS)(m/z):247
((M+H)
【0045】実施例8及び9
【化30】 実施例7の同様の方法に準じて、上記一般式からなる実
施例8及び9の化合物を得た。
【表4】
【0046】試験例1 以下、本発明の新規なジフルオロメチレンホスホン酸誘
導体の優れたIMPase阻害作用を確認するために、
ウシ脳由来IMPaseを用いて、酵素阻害活性を検討
した。
【0047】(1)実験方法 ウシ脳由来IMPaseに対する阻害活性の評価系は、
Itayaら(Clin.Chim.Acta,1966,14,361)による比色
定量法に準ずる方法で作成した。
【0048】(2)結果 ウシ脳由来IMPaseに対する阻害活性を検討した結
果、本発明の実施例3の化合物のKi値は0.9μMで
あり、上記一般式(1)で示される化合物の中で、ウシ
脳由来IMPaseに対して特に、高い阻害活性を示し
た。表5はウシ脳由来IMPaseに対する比較的高い
阻害活性を有する新規なジフルオロメチレンホスホン酸
誘導体をまとめたものである。
【化31】
【表5】
【0049】次に、本発明の新規なジフルオロメチレン
ホスホン酸誘導体からなる医薬組成物の処方例について
述べる。尚、これらの製剤の処方は一例に過ぎず、公知
の方法に準じて各種の製剤処方となすことができる。
【0050】製剤処方1 次の配合処方でもって脂肪乳剤の注射剤が調製される。 実施例9の化合物 1.0g 日局大豆油 21.0g 精製大豆リン脂質 2.5g グリセリン 5.0g 蒸留水 175ml
【0051】製剤処方2 次の配合処方でもって錠剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 24.0質量% 結晶セルロース 21.0質量% ラクトース 54.0質量% ステアリン酸マグネシウム 1.0質量%
【0052】製剤処方3 次の配合処方でもって錠剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 26.0質量% 結晶セルロース 21.0質量% ラクトース 42.0質量% クロスポビドン 10.0質量% ステアリン酸マグネシウム 1.0質量% この錠剤は、オイドラギットE、エチルアルコール、水
およびタルクからなるコーティング剤を常法に従ってス
プレーコーティングを施した後に、さらにオイドラギッ
トS、エチルアルコール、水、タルク、ポリエチレング
リコール6000からなるコーティング剤を常法に従っ
てスプレーコーティングを施して大腸崩壊型製剤を調製
した。
【0053】製剤処方4 次の配合処方でもって錠剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 25.0質量% フマル酸 10.0質量% リン酸水素カルシウム 40.0質量% 乳糖 24.0質量% タルク 1.0質量% この錠剤は、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン
K30、タルクおよびエチルアルコールからなるコーテ
ィング液を常法に従ってスプレーコーティングを施して
徐放型錠剤を調製した。
【0054】製剤処方5 次の配合処方でもって坐剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 5.0質量% ポリエチレングリコール 6.0質量% さらしミツロウ 10.0質量% ソルビタンセスキオレエート 4.49質量% 中鎖脂肪酸トリグリセリド 74.5質量% ジブチルヒドロキシトルエン 0.01質量%
【0055】製剤処方6 次の配合処方でもって坐剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 5.0質量% ポリエチレングリコール400 10.0質量% ポリエチレングリコール1,000 27.0質量% ポリエチレングリコール6,000 43.5質量% プロピレングリコール 14.5質量%
【0056】製剤処方7 次の配合処方でもってパップ剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 3.0質量% ゼラチン 6.0質量% ケイ酸アルミニウム 11.0質量% ポリビニルアルコール 4.5質量% 精製水 44.5質量% グリセリン 28.0質量% カルボキシメチルセルロース 3.0質量%
【0057】製剤処方8 次の配合処方でもって硬膏剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 3.0質量% スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 24.5質量% (カリフレックスTR1107、シェル化学社製) 流動パラフィン 43.5質量% 水添ロジンエステル 29.0質量%
【0058】製剤処方9 次の配合処方でもって点鼻剤が調製される(全体量100質量%)。 実施例9の化合物 10mg プロピレングリコール 20mg 蒸留水 適量 (全量を100mlとする)
【0059】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のジフルオロ
メチレンホスホン酸誘導体は高いIMPase阻害作用
を有していることから、抗躁作用を有するIMPase
阻害薬として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 C07F 9/40 C07F 9/40 B C // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 早川 宣延 茨城県つくば市観音台1−25−11 久光製 薬株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 DA34 MA01 MA04 NA14 ZA12 ZA18 ZC20 4H039 CA60 CD40 4H050 AA01 AA02 AA03 AB20 AB21 AC40 BA28 BA30 BA33 BA37 BA93 BB12 BE60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式 (1) 【化1】 [式中、Aは 【化2】 または 【化3】 (Rは、OH、NHまたはSHを、R及びR
    HまたはOHを、Rは、Hまたは低級アルキル基を表
    す。)で表されるジフルオロメチレンホスホン酸誘導
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のジフルオロメチレンホ
    スホン酸誘導体を含有してなる医薬組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のジフルオロメチレンホ
    スホン酸誘導体を含有してなるイノシトールモノホスフ
    ァターゼ活性阻害剤。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のイノシトールモノホスフ
    ァターゼ活性阻害剤を含有してなる医薬組成物。
  5. 【請求項5】 下記一般式(1−A) 【化4】 (式中、RはOH、NH、SHを、RはHまたは
    低級アルキル基を表す。)で表される化合物を、不活性
    溶媒中、ボラン試薬を反応させたのち、過酸化水素の存
    在下、塩基性物質を加えて反応させてなる下記一般式
    (1−B) 【化5】 (式中、RおよびRは前記と同じ意味を、Rおよ
    びRはHまたはOHを表す。)で表される化合物を単
    離精製したのち、更に不活性溶媒中、塩基性物質の存在
    下加水分解してなる下記一般式(1−C) 【化6】 (式中、R、RおよびRは前記と同じ意味を表
    す。)で表される化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(1−A)の化合物で表される化
    合物が、下記一般式(7) 【化7】 〔式中、Rは前記と同じ意味を、Rは、 【化8】 を、XはO、NH、SまたはCHを表す。〕の化合物
    を不活性溶媒中、ラジカル開始剤及びラジカル促進剤の
    存在下反応させて得られるものであることを特徴とす
    る、請求項5に記載の一般式(1−C)で表わされる化
    合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の一般式(1−A)の化
    合物を製造する方法であって、前記一般式(7)で表さ
    れる化合物を、不活性溶媒中、ラジカル開始剤及びラジ
    カル促進剤の存在下に反応させることにより得ることを
    特徴とする、前記方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2442365B (en) * 2005-03-24 2010-01-20 John Marcell Davis Methods of determining compounds useful in the treatment of bipolar disorders

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