JP2002078100A - ステレオ音響信号処理方法及び装置並びにステレオ音響信号処理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

ステレオ音響信号処理方法及び装置並びにステレオ音響信号処理プログラムを記録した記録媒体

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JP2002078100A
JP2002078100A JP2000268442A JP2000268442A JP2002078100A JP 2002078100 A JP2002078100 A JP 2002078100A JP 2000268442 A JP2000268442 A JP 2000268442A JP 2000268442 A JP2000268442 A JP 2000268442A JP 2002078100 A JP2002078100 A JP 2002078100A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ステレオ音響信号から中央付近に定位する音源
だけを抑圧、もしくは強調する場合において、抑圧、強
調する割合の調整を可能とする。 【解決手段】ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周
波数帯域に分割する周波数帯域分割部103,110と、各周
波数帯域ごとにチャネル間の類似度を計算する類似度計
算部104と、類似度から中央付近に定位する音源信号を
抑圧、もしくは強調するための減衰係数を計算する減衰
係数計算部105と、その減衰係数を各周波数帯域信号に
乗算する乗算器116と、減衰係数を乗じた後の各チャネ
ルごとの各周波数帯域信号を再合成して出力する音源信
号合成部106・出力部107を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、音声、楽音、各
種環境音源などの複数の音源から発せられた複数の音響
信号が混ざった2チャネルステレオ信号において、中央
付近に定位する音源信号を強調もしくは抑圧するステレ
オ音響信号処理方法及び装置並びにステレオ音響信号処
理プログラムを記録した記録媒体に関し、ステレオ音楽
ソースの受聴者の好みに応じた再生や、騒音環境下で目
的とする音声だけを受聴する時などに適用される。
【0002】
【従来の技術】二本のマイクロホンで収音されたステレ
オ音響信号、もしくは人工的にチャネル間でレベル差や
位相差などをつけることで複数音源を複数位置に定位さ
れたステレオ音響信号から、中央付近に定位する音源信
号のみを抑圧するには、片側の信号の正負を反転、逆相
にしてもう一方の信号に加算すればよい。これは中央に
定位する音源の左右の信号の差違が小さいことにより実
現される方法である。この方法は、既にでき上がった音
楽信号から歌など主旋律のパートを消去し、伴奏だけを
取りだすいわゆるボーカルキャンセル技術として利用さ
れる。
【0003】しかしこの方法では、ステレオであった伴
奏は加算によってモノラルになってしまうという問題が
あった。加えてこの方法では、中央に定位する音源を抑
圧する量を調整することは出来ない。一方、難聴者は、
複数の音源が存在する中から目的とする音源信号を聞き
取る能力(いわゆるカクテルパーティー効果と呼ばれ
る。)が劣っているといわれている。このため、健聴者
を対象に作成された音楽信号では、しばしば伴奏が歌よ
り大きく感じられることが指摘されている。この場合に
はセンターに定位する歌を強調し、伴奏を抑圧すること
が望まれるが、これは前述の方法では実現できない。
【0004】複数の音源が混合された信号から目的とす
る音源信号を抽出、もしくは強調する方法は他にもあ
る。第1の方法は、周期構造を持つ音源を周波数領域に
おいて基本周波数を推定し、調波構造を抜きだすことに
より、同一音源と推定する成分を再合成する方法であ
る。しかしこの第1の方法では、音源は調波構造に限定
され、さらに音源の調波構造の推定には必ず誤差が生じ
るため、それが雑音として知覚されることにより、目的
音源信号の抽出精度が悪くなる問題があった。
【0005】第2の方法は、周波数特性の変動が比較的
ゆるやかな定常的な雑音源と周波数特性が定常的音源よ
りも頻繁に変動する例えば音声のような目的信号音源が
重畳された信号から、後者の目的音源信号を抽出、もし
くは強調する方法である。これは混合された信号を周波
数領域において、まず目的音源信号が重畳されていない
部分、すなわち雑音源信号を推定し、雑音源信号の平均
的な周波数特性を記憶する。そして、周波数領域におい
て、雑音源信号と目的音源信号が重畳された信号から記
憶された雑音源の平均的な周波数構造を減算することで
目的音源信号を強調、もしくは抽出する方法である。
【0006】しかしこの第2の方法では、雑音源信号が
定常であることが必要で、歌の伴奏のように非定常な音
源の伴奏のみの個所の推定、及び抑圧は困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ステ
レオ音響信号から中央付近に定位する音源信号を抑圧、
もしくは強調する技術において、抑圧、強調する割合の
調整を可能とすることである。本発明の別の目的は原信
号の定位を損なわず、中央付近に定位する音源信号だけ
を強調、もしくは抑圧することである。
【0008】本発明の別の目的は、目的とする音源信号
の調波構造に依存せずに高精度に抑圧、もしくは強調す
ることである。本発明の別の目的は、目的外の信号(雑
音信号)が非定常な信号であっても高精度に目的音を抑
圧、もしくは強調することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のステレオ音響信号処理方法及び装置は、ス
テレオ音響信号を入力し、二つのチャネル信号を各チャ
ネルごとに複数の周波数帯域に分割し、各周波数帯域ご
とにチャネル間の類似度を計算し、類似度などから中央
に定位する音源信号を抑圧、もしくは強調するための減
衰係数を計算し、この減衰係数を各周波数帯域信号に乗
じた後の各チャネルごとの各周波数帯域信号を再合成
し、再合成した信号を出力することにより構成される。
【0010】本発明は、入力されたステレオ信号をチャ
ネルごとに複数の周波数帯域に分割する。そして、各周
波数帯域ごとにチャネル間の信号の類似度をその振幅比
や位相差などによって決定する。そして、類似度の高い
周波数帯域に比べて類似度の低い周波数帯域に小さな減
衰係数を乗算して、各チャネルごとに再合成して出力す
れば、減衰係数の下限値に応じて中央に定位する音源が
強調される。反対に類似度の低い周波数帯域に比べて、
類似度の高い周波数帯域に小さな減衰係数を乗算して各
チャネルごとに再合成して出力すれば、減衰係数の下限
値に応じて中央に定位する音源が抑圧される。
【0011】
【発明の実施の形態】(第1実施例)図1は本発明の第
1の実施例を示すブロック図である。ステレオ信号入力
部102に入力される音響信号は、強調、もしくは抑圧し
たい目的音源信号が中央付近に定位するように収音され
ているステレオ信号であれば本発明は有効である。
【0012】ステレオ信号入力部102に入力されたステ
レオ信号は左右のチャネルごとに処理される。以下にそ
の処理方法の詳細を述べる。左チャネルの信号sLは、左
チャネル周波数帯域分割部103によって周波数領域に変
換される。同様に右チャネルの信号sRは、右チャネル周
波数帯域分割部110によって周波数領域に変換される。
ここで帯域分割数をNとする。左チャネルにおいて帯域
分割された信号を低い周波数から順にfL(0), fL(1),fL
(2),・・・,fL(k),・・・,fL(N−1)とする。右チャネル
において帯域分割された信号を低い周波数から順にfR
(0), fR(1),fR(2),・・・,fR(k),・・・,fR(N−1)とす
る。類似度計算部104において、fL(k),fR(k)は、同じ周
波数帯域ごとに類似度a(0),a(1),a(2),・・・,a(k),・
・・,a(N−1)が計算される。ステレオ信号において、中
央付近に定位する音源信号は左右の信号が一致、もしく
はその差違が非常に小さい。これは、周波数領域に変換
したのちも全ての周波数領域において、左右の成分の差
違は小さいことを意味する。このことから類似度は、k
が等しい、即ち同じ周波数成分間で、fL(k)とfR(k)の差
違で決定することが出来る。
【0013】そして、各周波数帯域ごとに計算された類
似度a(k)に基づき各周波数帯域ごとに減衰係数計算部10
5において減衰係数g(k)(k=0〜N−1)が算出される。
減衰係数は同一周波数帯域において、左右チャネル間で
同一なものが各周波数帯域信号fL(k)に乗算器116で乗算
される。つまり、各周波数帯域ごとの左右レベル差、位
相差から各周波数帯域ごとに類似度、そして減衰係数を
計算し、各帯域に乗じて、左右チャネル音源信号合成部
106,111で再合成することで、類似度の大きな成分だけ
の成分集合sL´,sR´が出力され、その結果、中央付近
に定位する音源信号だけが残る。類似度の計算方法 類似度a(k)の計算方法について、左右周波数帯域分割部
103,110が短時間フーリエ変換(以下、FFTと略する)で
ある場合について述べる。
【0014】FFTで周波数分割した場合、fL(k)およびfR
(k)は一般に複素数となり、位相を考慮する必要があ
る。そこで、各成分の大きさの比と位相差によって二つ
の類似度を計算する。大きさの比による類似度をai
(k)、位相差による類似度ap(k)とすると、
【0015】
【数1】 ap(k)=cosθ (2) ここで、θはfL(k)とfR(k)の位相差を表す。
【0016】類似度ai(k),ap(k)は減衰係数計算部105に
送られ、減衰係数g(k)が計算される。減衰係数の計算方法 減衰係数g(k)の計算方法について説明する。 1.中央定位音源信号を強調する場合 中央に定位する音源信号を強調する場合について説明す
る。 大きさの比による減衰係数gi(k)の計算方法を説明す
る。
【0017】(1)式から明らかなように、類似度ai
(k)は、fL(k)とfR(k)の大きさが等しい時に1になり、
それ以外は1より小さい値となる。したがって、大きさ
の比による類似度ai(k)を引数とする関数において、単
調増加の関数の出力をgi(k)に選べばよい。図2にその
一例を示す。横軸は20log10(ai(k))、縦軸は20log10
(gi(k))を示している。
【0018】ここで、 Ai(k)=20log10(ai(k)),Gi(k)
=20log10(gi(k))とすると、 Gi(k)=0 (ε<Ai(k)≦0) =Gimin(Ai(k)/(β−ε)−ε/(β−ε))(β<Ai(k)≦ε) =Gimin (Ai(k)≦β) 中央に定位する音源信号だけであるならば、全てのkに
対してai(k)は1(20log10(ai(k))=0)になるが、
その他に定位する信号が重畳されることにより、中央定
位音源信号が支配的な帯域であっても1よりもやや小さ
くなることがある。よって図2のように適当な幅εを持
たせることが有効である。この適当な幅εは例えばβは
左右のレベル差や位相差が僅かで中央に音を知覚させる
中央定位音源信号について音質などの変化が無視できる
範囲で予め聴感上で決めることが好適である。ただし、
εを大きくしすぎると、中央付近で左右いずれかの方向
にずれて定位した音源信号などを抑圧することが出来な
くなる。よって、εは誤差による中央定位音源信号の音
質などの変化が無視できる範囲で0に近い値にすること
が望ましい。
【0019】Giminは、中央定位音源信号以外の信号の
抑圧量に相当する。この値を変化させることで、歌と伴
奏に例えるならば、歌の大きさに対する伴奏の大きさを
調整することが可能となる。図2において、βをεと一
致させてもよいし、一致させなくてもよい。βをεに近
づけると中央定位音源信号以外の信号は等しくGiminの
減衰量で減衰されることが期待できるが、中央定位音源
信号の支配的な帯域が誤って抑圧された場合の誤差の影
響も大きくなる。βをεから離すことで中央定位音源信
号が支配的な帯域を誤って抑圧した場合の誤差の影響を
小さく出来るが、定位する位置によって抑圧量が変わっ
てしまい、歌の伴奏に例えるならば、伴奏楽器間の音量
のバランスが変わってしまうことが予想される。よっ
て、中央定位音源信号の音質などの変化が無視できる範
囲でβはεに近い値(0>ε>β)にすることが望まし
い。 位相差による減衰係数gp(k)の計算方法を説明する。
【0020】(2)式から明らかなように、類似度ap
(k)は、fL(k)とfR(k)の位相が一致したときに1にな
り、それ以外は1より小さい値であり、位相差θがπ/
2ラジアンの時に0、θがπラジアンの時、すなわち逆
相の時に−1で最小である。一般に位相差による定位知
覚は周波数帯域に依存し、大きさの比ほど単純ではな
い。しかし、少なくとも中央に定位する音源信号に関し
ては位相差は0に近く、よってap(k)は1に近い値であ
ることが期待できる。このことから位相差による減衰係
数gp(k)は例えば図3に示すように計算すればよい。
【0021】図3にその一例を示す。横軸はap(k)、縦
軸は20log10(gp(k))を表す。ここで、Gp(k)=20log10(g
p(k))とすると、 Gp(k)=0 (ζ<ap(k)≦1) =Gpmin(ap(k)/(α−ζ)−ζ/(α−ζ)) (α<ap(k)≦ζ) =Gpmin (−1≦ap(k)≦α) 中央に定位する音源信号だけであるならば、全てのkに
対してap(k)は1になるが、その他の雑音信号が重畳さ
れることにより、中央定位音源信号が支配的な帯域であ
っても1よりやや小さくなることがある。よって図2の
ように適当な幅ζを持たせることが有効である。しかし
ζを大きくしすぎると、中央に定位しない他の音源信号
の抑圧が不十分になる。よって、ζは誤差による中央定
位音源信号の変化が無視できる範囲で1に近い値(1>
ζ)にすることが望ましい。Gpminは、中央定位音源信
号以外の信号の抑圧量に相当する。この値を変化させる
ことで、歌と伴奏に例えるならば、歌の大きさに対する
伴奏の大きさを調整することが可能となる。
【0022】図3において、αとζとを一致させてもよ
いし、一致させなくてもよい。αをζに近づけると中央
定位音源信号以外の信号は等しくGpminの減衰量で減衰
されることが期待できるが、中央定位音源信号の支配的
な帯域が誤って抑圧された場合の誤差も大きくなる。α
をζから離すことで中央定位音源信号が支配的な帯域を
誤って抑圧された場合の誤差の影響を小さく出来るが、
位相差による抑圧量の違いは周波数帯域によってその影
響度が異なるため、歌の伴奏に例えるならば、伴奏楽器
の音量のバランスだけではなく音色などが変わってしま
うことなどが予想される。よって、中央定位音源信号の
変化が無視できる範囲でαはζに近い値(0>ζ>α)
にすることが望ましい。 二つの減衰係数gi(k)とgp(k)から実際にfL(k),fR(k)
に乗算する減衰係数g(k)の計算方法を説明する。
【0023】適当な距離を離した二つのマイクロホンで
比較的マイクロホンから距離が近い複数の音源信号を収
音したステレオ信号が入力信号である場合には、ステレ
オ再生における定位は左右のマイクロホンに入ってくる
信号の位相差と大きさの比(レベル差)に依存する。低
い周波数においてはレベル差はつきにくく、位相差が大
きく影響する。高い周波数では、大きさの比が大きく影
響する。よって、例えば周波数帯域を二つに分けてそれ
よりも低い周波数においてはgi(k)を、高い周波数にお
いてはgp(k)を採用することが考えられる。しかしなが
ら、壁に囲まれた残響のある部屋において、マイクロホ
ンから離れた位置に存在する音源からの信号は一般に左
右のレベル差はほとんどなく、逆に位相が左右のマイク
ロホンでランダムになるため(2)式の値が0に近くな
る。この場合は全ての周波数において優先的にgp(k)を
使うことが望ましい。さらにポピュラー音楽等の場合
は、直接マイクロホンで収音するだけでなく、左右チャ
ネル信号に大きさの比や時間差、あるいは位相の時間的
な変化を人工的に付加することで自然界には存在しない
定位を得ることが普通であり、もっと複雑になる。以上
のように様々なステレオ入力信号に応じて、最適なg(k)
の選択をすることは非常に困難である。しかしながら、
どの場合も少なくとも中央に定位する音源信号の大きさ
の比と位相差は共に小さい、そこで、g(k)として、gi
(k)とgp(k)の小さいほうを採用することにする。即ち、 g(k)=min(gi(k),gp(k)) (3) ここで、min(A,B)はAとBのどちらか小さい方を出力す
ることを意味する。つまり、どんなステレオ入力信号で
あっても、大きさか位相の少なくとも一方が左右で異な
る場合は抑圧することになり、その結果、中央に定位す
る音源信号を強調することが可能となる。
【0024】上記のように減衰係数計算部105で計算さ
れたg(k)は図1にあるように各チャネル各周波数帯域の
fL(k),fR(k)に乗算器116で乗算される。同じ帯域kにお
いて左右のチャネルに同じg(k)を乗算することで、中央
に定位する音源信号以外の音源信号を定位を維持したま
ま抑圧することが可能となる。g(k)を乗算した信号は、
fL(k)は左チャネル音源信号合成部106で再合成して時間
波形sL´に変換される。fR(k)は右チャネル音源信号合
成部111で再合成して時間波形sR´に変換される。sL´,
sR´はステレオ信号出力部107から、ラウドスピーカ108
やステレオヘッドホン109に送られる。
【0025】以上の処理により、中央に定位する音源信
号を強調、その他の音源信号を抑圧した合成信号をステ
レオラウドスピーカ108やステレオヘッドホン109等で受
聴することが可能となる。 2.中央定位音源信号を抑圧する場合 中央に定位する音源信号を抑圧し、それ以外の音源信号
を強調する場合について説明する。図1において類似度
計算部104で類似度ai(k),ap(k)を計算するところまでは
先に述べた中央に定位する音源信号を強調する場合と同
じであり、類似度から減衰係数を計算する部分が異な
る。中央に定位する音源信号を抑圧するのであるから、
大きさによる減衰係数gi(k)を図4に示すように計算
し、位相による減衰係数を図5に示すように計算すれば
よい。
【0026】図4、5にその一例を示す。ここで、Ai
(k)=20log10(ai(k)),Gi(k)=20log10(gi(k)),Gp(k)=2
0log10(gp(k))とすると、 Gi(k)=0 (Ai(k)≦β) =Gimin(Ai(k)/(ε−β)−β/(ε−β)) (β<Ai(k)≦ε) =Gmin (ε<Ai(k)≦0) Gp(k)=0 (−1<ap(k)≦α) =Gpmin(ap(k)/(ζ−α)−α/(ζ−α)) (α<ap(k)≦ζ) =Gpmin (ζ<ap(k)≦1) 即ち、左右の類似度が大きいほど減衰係数を小さくする
ことによって、中央に定位する音源信号を抑圧すること
が可能となる。α,β,ε,ζの考え方は前述の中央に定
位する音源信号を強調する場合と同様であるため割愛す
る。gi(k)とgp(k)からg(k)を得る方法も強調の場合と同
じ考えで、 g(k)=max(gi(k),gp(k)) (4) と計算する。ここで、max(A,B)はAとBから大きいほうを
出力することを意味する。即ち、大きさによる減衰係数
gi(k)と位相による減衰係数gp(k)の少なくともどちらか
一方が大きい場合には、左右チャネル信号に位相差か大
きさの違いがあることを意味し、その信号は中央に定位
する音源信号ではないと考えるからである。gi(k)とgp
(k)が共に小さい場合のみ、中央に定位する音源信号で
あり、抑圧の対象となる。
【0027】減衰係数計算部105で計算されたg(k)を各
周波数帯域のfL(k),fR(k)に乗算するところから先は中
央に定位する音源を強調する場合と同じであるので割愛
する。上記の方法では、原信号における中央付近に定位
する音源信号とそれ以外の音源信号(例えば、歌と伴奏
に対応する)の音量差にかかわらず、減衰係数g(k)によ
り、一律に抑圧される。つまり、原信号において既に適
切な音量差であった場合でも、さらに抑圧され、音量差
は拡大する。
【0028】そこで、次に、原信号の中央付近に定位す
る音源信号とそれ以外の音源信号の音量差を推定し、そ
の差を一定にするように減衰係数を決定する方法につい
て説明する。中央付近に定位する音源信号を強調する場
合には、g(k)の値が大きければ中央定位音源信号成分と
推測される。そこで、g(k)の値に適当なしきい値gthを
設定し、gthよりも大きな周波数成分の大きさの合計を
中央付近定位信号の大きさの推定値gcとする。同様にgt
hよりも小さな周波数成分の大きさの合計を中央以外に
定位する音源信号の大きさの推定値gbとする。これらの
値は瞬時の値であるため、これらの長時間平均をとる、
その方法には、例えば、移動平均法などが考えられる。
それらの値をgca,gbaとすると、 rcb=gca/gba (5) rcbは騒音で考えると長時間平均のSN比に相当する。Sが
中央付近定位音源信号の大きさ(パワー)で、Nがそれ
以外の定位音源信号の大きさに相当する。次にこのrcb
を基準に所望のSN比にするように「N」を抑圧すること
を考える。所望のSN比をrd、必要な抑圧量をg2とする
と、rcbを抑圧量g2で割った値がrdになればよい。よっ
て、 g2=rcb/rd (rcb≦rdのとき) g2=1.0 (rcb>rdのとき) (6) 上式では、原信号のSN比が、所望のSN比よりも大きい時
には抑圧しない。その際、原信号よりもSN比を強制的に
小さくしたい場合には、rcbとrdの大小関係にかかわら
ず、(6)式上段のみを使用し、1より大きなg2に設定
すればよい。
【0029】各周波数帯域において、減衰係数が上述の
gthよりも小さな帯域成分に対し、g2を乗算すること
で、平均的なSN比、すなわち中央定位音源信号とそれ以
外の音源信号の音量差を所望量にすることが可能とな
る。以上の処理により、中央に定位する音源信号を抑
圧、その他の音源信号を強調した合成信号をステレオラ
ウドスピーカ108やステレオヘッドホン109等で受聴する
ことが可能となる。 (第2実施例)図6は、本発明の第2の実施例を示すブ
ロック図である。
【0030】減衰係数g(k)を乗算した後、左右のチャネ
ル信号を加算器117で加算することでモノラル化する。
ステレオの効果はなくなるが、左右のチャネルの信号を
加算することで左右チャネルで無相関な音源信号成分を
より抑圧することが可能である。多くの歌の入ったポピ
ュラー音楽において中央には歌の他にベースドラムやベ
ースの音を定位させる場合が多い。これらの主たる周波
数成分は歌の周波数成分よりも低いため、これらを抑圧
するには、例えば減衰係数計算部105において、図7に
示したようなge(k)をg(k)に乗算し、新たなg(k)とする
ことも有効である。図7において、横軸は分割周波数帯
域k、縦軸は20log10(ge(k))である。kLは低音楽器を
抑圧するための下限周波数帯域を示す。kL以下の周波数
帯域をGemin抑圧する。mは周波数帯域が低くなるにつれ
て除々に抑圧量を増やしていくことで周波数軸上の不連
続を押さえるための小さな正の整数である。kLやmを大
きくしすぎると歌の低域周波数成分を抑圧してしまうた
め、例えば周波数に換算してkLは100Hzから200Hzくらい
が適当である。
【0031】逆に中央に定位する歌のみを抑圧し、中央
に定位するベースドラムやベースの音を抑圧しないよう
にするには、g(k)による中央定位音源帯域の抑圧を、低
い周波数帯域(例えば、0〜200Hzの帯域)では行わな
いようにすればよい。中央に定位するベースドラムなど
を抑圧するもう一つの方法を説明する。ベースドラム
は、音の立ち上がり時間が音声に比べて速い。そこでベ
ースドラムの主たる周波数帯域において、音の立ち上が
り時間を観測し、立ち上がり時間の短さに応じた減衰係
数gak(k)をg(k)に乗算して新たなg(k)とすることで立ち
上がりの速いベースドラムだけを抑圧することが可能と
なる。
【0032】その一手法について説明する。ある周波数
帯域kのT時刻の左右チャネルの平均を取った大きさをA
(k,T)=(|fL(k,T)|+|fR(k,T)|)/2とする。1時刻前
のA(k,T−1)との比をrとする。ここで、単位時刻は1フ
レームで通例数十ミリ秒程度である。 r=A(k,T)/A(k,T−1) (A(k,T)>A(k,T−1)の時) r=1.0 (A(k,T)<A(k,T−1)の時) (7) rが大きいほど、kの周波数帯域の立ち上がりが鋭いこと
を意味するから、立ち上がりの鋭さに対する減衰係数を
gak(k,T)を、rが大きいほどgak(k,T)が小さくなるよう
な関数の出力にすればよい。例えば、
【0033】
【数2】 rtはrの値に対してどの程度の割合で減衰させるかを表
す負の実数である。図8はrt=−3の時、横軸にr、縦
軸に20log10(gak(k,T))を示した例である。Gakmin=
−50は、減衰量の下限値を表している。各時刻において
常に(8)式におけるgak(k,T)を乗算しているとスペク
トルの時間変化が不連続になるので、 gak´(k,T)=gak´(k,T−1)+δ(gak(k,T)−gak´(k,T−1)) (9) (9)式のようにスムージング処理を施したgak´(k,T)
を用いるのがよい。ここでδはスムージングのための係
数で、0より大きく1以下の実数である。gak´(k,T−
1)とgak(k,T)の大小関係で異なる値を用いてもよい。
【0034】以上の処理により、ステレオ音響信号の中
央に定位する音源信号を強調、もしくは抑圧することが
可能となる。本発明のステレオ音声処理装置はCPUや
メモリ等を有するコンピュータと、アクセス主体となる
ユーザが利用するユーザ端末と記録媒体とから構成する
ことができる。記録媒体はCD-ROM、磁気ディスク装置、
半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体
であり、ここに記録されたステレオ音声処理プログラム
はコンピュータに読み取られ、コンピュータの動作を制
御し、コンピュータに左右チャネルごとに複数の周波数
帯域に分割する処理、各周波数帯域ごとにチャネル間の
類似度を計算する処理、類似度から中央付近に定位する
音源信号を抑圧、もしくは強調するための減衰係数を計
算する処理、その減衰係数を各周波数帯域信号に乗算す
る処理、及び減衰係数を乗じた後の各チャネルごとの各
周波数帯域信号を再合成する処理等のステレオ音響処理
方法を実行させる。なお、上記ステレオ音声処理プログ
ラムは通信回線を介して伝送されたものであってもよ
い。 (利用方法)次に本発明の利用方法について説明する。
【0035】図9は本発明の第1の利用方法を示してい
る。音楽コンパクトディスク301はステレオ再生用で、
その中に中央に定位する主たる音源信号も収録されてい
るものとする。音楽コンパクトディスク301をパーソナ
ルコンピュータ302において、図1,もしくは図4に示
した本発明の中央に定位する音源信号を強調する処理と
周波数特性等の聴覚補正処理などを施し、出力する。ア
ンプ303で利得を調整した後、ステレオヘッドホン304等
で聴取する。これは、例えば聴覚者等が歌に比べて伴奏
を小さくして聞きたい場合などに利用できる。
【0036】図10は本発明の第2の利用方法でミュージ
ックオンデマンドに本発明を利用する例を示している。
音楽ソースはネットワーク306に接続されたホストコン
ピュータ305に多数格納されている。利用者はネットワ
ーク306に接続したパーソナルコンピュータ302から、ホ
ストコンピュータ305に自分の聞きたい音楽ソース名
と、信号の処理方法を指定する。信号の処理方法の指定
とは、例えば、本発明における中央に定位する歌以外の
伴奏をどれだけ小さくするか、あるいは周波数特性を自
分の好みに応じてどのように調整するか、などの処理の
指定である。ホストコンピュータはその指定に従って音
楽ソースを検索、指示通りの信号処理をした後、もしく
は処理をしながらネットワークを介して利用者のパーソ
ナルコンピュータ302へ音楽信号を送信する。利用者
は、パーソナルコンピュータ302から出力された音楽信
号をアンプ303で利得を調整し、ステレオヘッドホン304
等で送られて来た音楽信号を聴取する。
【0037】また、パーソナルコンピュータの代わり
に、ネットワークに無線で接続できる機能を内蔵した携
帯型の音楽再生機でも、同じことが可能である。また、
以上の利用方法において、中央に定位する歌などを抑圧
する処理をすれば、例えば携帯型の簡易カラオケなどに
利用することも出来る。図11は本発明の第3の利用方法
を示した図である。正面で話す話者の声を強調すること
を目的とする。難聴者の例えば頭部左右に配置した単一
指向性マイクロホン201,202で収音した音響信号を、難
聴者が携帯する小型の筺体に内蔵した本発明処理部で処
理することで正面話者の音声以外の騒音を抑圧する。そ
の後、同筺体に内蔵された音質や利得などの補聴処理を
施し、左右のイヤホン203,204へ出力することで騒音を
抑圧し、強調した正面話者の音声を受聴することが可能
となる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明のように本発明によれば、ス
テレオ音響信号から原信号の定位を損ねず、中央に定位
する音源信号を所望の量だけ強調、もしくは抑圧するこ
とが、音源の定位情報のみで可能となり、以下のような
効果が期待できる。 (1)難聴者等が市販の音楽ソースを受聴する際、中央
に定位する主たる音源信号である歌とそれ以外の伴奏の
音量バランスを、難聴者自身が自由に聞き易いように調
整し、音楽をより良く楽しむことが期待できる。 (2)騒音環境下において、正面にいる目的話者の音声
のみを強調することが可能となり、快適なコミュニケー
ションを実現することが期待できる。 (3)中央に定位する歌などを抑圧することでカラオケ
音源などを作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すブロック図。
【図2】中央定位音源を強調する時のai(k)とgi(k)の関
係を示す図。
【図3】中央定位音源を強調する時のap(k)とgp(k)の関
係を示す図。
【図4】中央定位音源を抑圧する時のai(k)とgi(k)の関
係を示す図。
【図5】中央定位音源を抑圧する時のap(k)とgp(k)の関
係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施例を示すブロック図。
【図7】kとge(k)の関係を示す図。
【図8】rとgak(k,T)の関係を示す図。
【図9】本発明の第1の利用方法を示す図。
【図10】本発明の第2の利用方法を示す図。
【図11】本発明の第3の利用方法を示す図。
【符号の説明】 102 ステレオ信号入力部 103 左チャネル周波数帯域分割部 104 類似度計算部 105 減衰係数計算部 106 左チャネル音源信号合成部 107 ステレオ信号出力部 108 ステレオラウドスピーカ 109 ステレオヘッドホン 110 右チャネル周波数帯域分割部 111 右チャネル周波数音源信号合成部 112 音源信号合成部 113 モノラル信号出力部 114 ラウドスピーカ 115 モノラルイヤホン 116 乗算器 117 加算器 201 左ch単一指向性マイクロホン 202 右ch単一指向性マイクロホン 203 左chイヤホン 204 右chイヤホン 205 本発明処理部、補聴部 301 音楽コンパクトディスク 302 パーソナルコンピュータ 303 アンプ 304 ステレオヘッドホン 305 ホストコンピュータ 306 ネットワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 正人 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 5D020 CE06 5D062 AA61 AA65 BB15

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステレオ収音、もしくはステレオ再生用に
    加工された2チャネル音響信号から中央付近に定位する
    音源信号を抑圧もしくは強調するステレオ音響信号処理
    方法において、 ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周波数帯域に分
    割し、各周波数帯域ごとにチャネル間の類似度を計算
    し、類似度から中央付近に定位する音源信号を抑圧、も
    しくは強調するための減衰係数を計算し、その減衰係数
    を各周波数帯域信号に乗算し、減衰係数を乗じた後の各
    チャネルごとの各周波数帯域信号を再合成して出力する
    ことを特徴とするステレオ音響信号処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のステレオ音響信号処理方
    法において、 各周波数帯域ごとの類似度は、周波数帯域ごとにチャネ
    ル信号間の大きさの比と位相差によって二つ求め、求め
    た二つの類似度から中央付近に定位する音源信号を抑圧
    もしくは強調するための減衰係数を二つ求めることを特
    徴とするステレオ音響信号処理方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のステレオ音響信号処理方
    法において、 求めた二つの減衰係数のうち、中央付近に定位する音源
    信号を強調する時には小さい係数を、抑圧する時には大
    きい係数を各周波数帯域信号に乗算することを特徴とす
    るステレオ音響信号処理方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項に記載のス
    テレオ音響信号処理方法において、 チャネル間のレベル差及び時間差がわずかな音源信号の
    平均的なパワーとそれ以外の音源信号のパワーとの比を
    算出し、その比と所望する固定比から抑圧に必要な減衰
    係数を計算し、チャネル間のレベル差及び時間差がわず
    かな音源信号の平均的なパワーとそれ以外の音源信号の
    パワーの比を所望な一定に保つことを特徴とするステレ
    オ音響信号処理方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項に記載のス
    テレオ音響信号処理方法において、 音の立ち上がり時間を周波数帯域ごとに観測し、立ち上
    がり時間の早さに応じた減衰係数を前記類似度による減
    衰係数に乗算して新たな減衰係数とすることで、中央付
    近に音声と共に定位する、音声に比べて立ち上がりが速
    いと判断された音源信号をさらに抑圧することを特徴と
    するステレオ音響信号処理方法。
  6. 【請求項6】ステレオ収音、もしくはステレオ再生用に
    加工された2チャネル音響信号から中央付近に定位する
    音源信号を抑圧もしくは強調するステレオ音響信号処理
    装置において、 ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周波数帯域に分
    割する周波数帯域分割手段と、 各周波数帯域ごとにチャネル間の類似度を計算する類似
    度計算手段と、 類似度から中央付近に定位する音源信号を抑圧、もしく
    は強調するための減衰係数を計算する減衰係数計算手段
    と、 その減衰係数を各周波数帯域信号に乗算する乗算手段
    と、 減衰係数を乗じた後の各チャネルごとの各周波数帯域信
    号を再合成して出力する音源信号合成・出力手段を備え
    たことを特徴とするステレオ音響信号処理装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載のステレオ音響信号処理装
    置において、 類似度計算手段は、各周波数帯域ごとにチャネル信号間
    の大きさの比と位相差によって類似度を二つ求め、 減衰係数計算手段は、類似度計算手段で求めた二つの類
    似度から中央付近に定位する音源信号を抑圧もしくは強
    調するための減衰係数を二つ求めることを特徴とするス
    テレオ音響信号処理装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のステレオ音響信号処理装
    置において、 乗算手段は、求めた二つの減衰係数のうち、中央付近に
    定位する音源信号を強調する時には小さい係数を、抑圧
    する時には大きい係数を各周波数帯域信号に乗算するこ
    とを特徴とするステレオ音響信号処理装置。
  9. 【請求項9】請求項6乃至8のいずれか1項に記載のス
    テレオ音響信号処理装置において、 減衰係数計算手段は、チャネル間のレベル差及び時間差
    がわずかな音源信号の平均的なパワーとそれ以外の音源
    信号のパワーとの比を算出し、その比と所望する固定比
    から抑圧に必要な減衰係数を計算し、チャネル間のレベ
    ル差及び時間差がわずかな音源信号の平均的なパワーと
    それ以外の音源信号のパワーの比を所望な一定に保つこ
    とを特徴とするステレオ音響信号処理装置。
  10. 【請求項10】請求項6乃至9のいずれか1項に記載の
    ステレオ音響信号処理装置において、 減衰係数計算手段は、音の立ち上がり時間を周波数帯域
    ごとに観測し、立ち上がり時間の早さに応じた減衰係数
    を前記類似度による減衰係数に乗算して新たな減衰係数
    とすることで、中央に音声と共に定位する、音声に比べ
    て立ち上がりが速いと判断された音源信号をさらに抑圧
    することを特徴とするステレオ音響信号処理装置。
  11. 【請求項11】ステレオ収音、もしくはステレオ再生用
    に加工された2チャネル音響信号から中央付近に定位す
    る音源信号を抑圧もしくは強調するステレオ音響信号処
    理方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ
    読み取り可能な記録媒体において、 ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周波数帯域に分
    割する処理と、 各周波数帯域ごとにチャネル間の類似度を計算する処理
    と、 類似度から中央付近に定位する音源信号を抑圧、もしく
    は強調するための減衰係数を計算する処理と、 その減衰係数を各周波数帯域信号に乗算する処理と、 減衰係数を乗じた後の各チャネルごとの各周波数帯域信
    号を再合成して出力する処理と、 をステレオ音響信号処理方法を実行させるプログラムを
    記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  12. 【請求項12】請求項11に記載のステレオ音響信号処
    理方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ
    読み取り可能な記録媒体において、 類似度を計算する処理は、周波数帯域ごとにチャネル信
    号間の大きさの比と位相差によって二つ求める処理を有
    し、 減衰係数を計算する処理は、周波数帯域ごとにチャネル
    信号間の大きさの比と位相差によって二つ求めた類似度
    から中央付近に定位する音源信号を抑圧もしくは強調す
    るための減衰係数を二つ求める処理を有することを特徴
    とするステレオ音響信号処理方法を実行させるプログラ
    ムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  13. 【請求項13】請求項12に記載のステレオ音響信号処
    理方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ
    読み取り可能な記録媒体において、 乗算する処理は、求めた二つの減衰係数のうち、中央付
    近に定位する音源信号を強調する時には小さい係数を、
    抑圧する時には大きい係数を各周波数帯域信号に乗算す
    る処理を有することを特徴とするステレオ音響信号方法
    を実行させる処理プログラムを記録したコンピュータ読
    み取り可能な記録媒体。
  14. 【請求項14】請求項11乃至13のいずれか1項に記
    載のステレオ音響信号処理方法を実行させるプログラム
    を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体におい
    て、 減衰係数を計算する処理は、チャネル間のレベル差及び
    時間差がわずかな音源信号の平均的なパワーとそれ以外
    の音源信号のパワーとの比を算出し、その比と所望する
    固定比から抑圧に必要な減衰係数を計算し、チャネル間
    のレベル差及び時間差がわずかな音源信号の平均的なパ
    ワーとそれ以外の音源信号のパワーの比を所望な一定に
    保つ処理を有することを特徴とするステレオ音響信号処
    理方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ
    読み取り可能な記録媒体。
  15. 【請求項15】請求項11乃至14のいずれか1項に記
    載のステレオ音響信号処理方法を実行させるプログラム
    を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体におい
    て、 減衰係数を計算する処理は、音の立ち上がり時間を周波
    数帯域ごとに観測し、立ち上がり時間の早さに応じた減
    衰係数を前記類似度による減衰係数に乗算して新たな減
    衰係数とすることで、中央に音声と共に定位する、音声
    に比べて立ち上がりが速いと判断された音源信号をさら
    に抑圧する処理を有することを特徴とするステレオ音響
    信号処理方法を実行させるプログラムを記録したコンピ
    ュータ読み取り可能な記録媒体。
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