JP2002071636A - 物質濃度定量方法及び装置 - Google Patents

物質濃度定量方法及び装置

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JP2002071636A
JP2002071636A JP2000256268A JP2000256268A JP2002071636A JP 2002071636 A JP2002071636 A JP 2002071636A JP 2000256268 A JP2000256268 A JP 2000256268A JP 2000256268 A JP2000256268 A JP 2000256268A JP 2002071636 A JP2002071636 A JP 2002071636A
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昌生 ▲ルイ▼
Masao Rui
Kazuhiro Nakamura
一博 中村
Hironori Yamazaki
洋式 山崎
Yoshiki Hiruta
義樹 蛭田
Shinjiro Nagano
信二郎 長野
Hisami Katayama
久美 片山
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の無希釈方式測定では、センサーに接す
る液がサンプル溶液又は校正液で置換されるため、各溶
液の間でpH、イオン強度、Clイオン濃度、温度等が
異なると校正時と測定時でセンサー感度が変化してしま
い、正しいセンサー出力が得られにくい。また、正確な
測定を行なうために、従来では測定と校正との間にセン
サおよび送液系を洗浄するプロセスが入っており、結果
を得るまでに時間がかかる上、大量の洗浄液を使用する
ことになる。 【解決手段】 サンプルと校正液を所定割合で混合した
混合液を作製して、サンプル測定後又は測定前校正する
ことによって、センサーの接触する溶液を測定時と校正
時で略同一にする。これによって、サンプル中のpH、
Clイオン濃度、温度等の変動による誤差を抑えて測定
精度を向上させる同時に、校正と測定との間に洗浄を省
略することにより、測定時間の短縮および洗浄液使用量
の削減を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電流出力を発生する
電気化学センサーを用いた物質濃度定量方法とそれを利
用した装置に係り、特に測定時間を短縮しながら、精度
よく物質濃度を定量するために好適なサンプル調整およ
び出力分析の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−198660号に見られるも
のを詳述すると、以下の通りである。トイレ内で用便行
為により得られた使用者の排泄物の成分を測定する排泄
物測定装置は、便器には非固定であって排泄物に含まれ
る成分を分析する機能を有する測定機と、便器に取り付
けられる採尿器とを備えると共に、採尿器は便器リムに
係止され、両者は可擣性のある部材によって結合される
と共に、測定機によって採尿器内部の駆動手段が制御さ
れるように構成されている。使用者から排泄された排泄
物を採取するための採尿皿と、前記採尿皿を所定の位置
に移動させる駆動機構を配設した採尿器の間に設けられ
た採尿アームは中空構造をとり、採尿アームは強度を確
保するための部品、排泄物を移送するための部品、およ
び、排泄物に関する電気信号を伝送する部品を各々別体
で構成され、採尿皿に排泄物が入ったことを検知してい
る。検知された尿は採尿器・測定機の間で連通している
配管経路内部を移動して測定機に送られると共に、緩衝
液で希釈されることによって酵素電極センサーの測定値
に影響を与える物質の影響を減少させて、尿に含まれる
各種成分を分析するものになっている。
【0003】上記のような測定方式は一般にフローイン
ジェクション方式と呼ばれ、液体サンプルを緩衝液で充
分に希釈することで、センサーに接する液が緩衝液とほ
ぼ同一になり安定したセンサー出力が得られるので、様
々な分析装置に採用されている。しかし、緩衝液中への
液体サンプル打込み量やセンサー部へ液体サンプルを搬
送する際の流速等を毎回一定に保つ必要があり、高価で
精度の良いポンプやバルブが必要とされ、さらに測定の
たびに大量の緩衝液を使用することから、分析装置自体
及びランニングコストが割高になるという欠点がある。
【0004】これに対して、液体サンプルを希釈するこ
となくそのままセンサーへ搬送して出力を得る方法(本
明細書において無希釈方式という)がある。この方法で
あれば、サンプルを毎回正確にセンサーへ希釈・搬送す
るための機構が不要となり、使用する緩衝液はセンサー
の洗浄・保存のために用いる最低限の量ですむため、装
置・消耗品ともにコストが少なくてすむ。
【0005】通常無希釈方式による測定では、センサー
の作用極・対極間に流れる電流(以下、センサー電流と
いう)をモニターして、センサーにサンプルが接する前
のセンサー電流(以下、安定時出力電流値という)と、
センサーにサンプルが接した後のセンサー電流の極大値
(以下、極大電流という)を検出し、極大電流から安定
時電流を差し引いたものを測定対象物に起因するセンサ
ー出力と考えて、測定対象物質の濃度が既知の液体サン
プル(以下、単に「校正液」という)を測定した際のセ
ンサー出力と比較して、液体サンプル中の測定対象物質
濃度を計算していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の無希釈方式で
は、センサーに接する液が全て液体サンプルで置換され
るために、緩衝液、校正液、サンプル溶液の間でpH、
イオン強度、Clイオン濃度、温度等が異なるとセンサ
ーに使用されている参照電極の電位が変動したり、酵素
の活性が変動してしまうため、電流が上下にシフトした
り、校正時と測定時でセンサー感度が変化してしまうた
めに、正しいセンサー出力が得られにくくなるという課
題があった。
【0007】また、センサーには上記の他にも経時的な
電極感度の変動などの現象がみられるため、正確な測定
を行なうためには測定毎に特定対象物質に対するセンサ
ーの感度を校正する必要があるが、これを行なうとサン
プル溶液の測定と校正液の測定という事実上2回の測定
が必要にあるため、結果を得るまでに時間がかかるとい
う課題もあった。本発明は、上記課題を解決するために
なされたもので、本発明の目的は、測定時と校正時のセ
ンサー出力を正しく取得するために、測定時と校正時に
センサーに接触する溶液を略同一のものとすることでセ
ンサーの出力誤差を軽減するとともに、短時間で正確に
測定・校正を行うための電気化学センサーにおける物質
濃度定量方法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記目的を達成するために請求項1は、サンプルと、さら
にそのサンプルに校正液を所定の割合で混合した混合サ
ンプルを作製して、各々をセンサーで測定することによ
って、センサーの接触する溶液を測定時と校正時で略同
一にすることを特徴とするものであり、pH、Clイオ
ン濃度、温度等の溶液条件が略同一の状態で測定・校正
を行なうことができ、短時間で精度の良い測定結果を得
ることができる。
【0009】請求項2は、前記混合サンプルの作製にあ
たり、前記校正液と前記測定サンプルとの混合比が1か
ら100までの範囲にあることを特徴とするので、校正
時サンプル液の比率を高めることで、測定時と校正時と
のセンサに接触する溶液条件の同一性を高めることがで
きる。
【0010】請求項3は、前記混合サンプルを作製する
際の校正液と測定サンプルの混合割合を変更可能とした
ものであり、測定サンプルの性質(pH、Clイオン濃
度、温度、および測定対象物質濃度の高低など)に応じ
て混合比を変更することで、常に高精度の測定を行うこ
とができる。
【0011】請求項4は、サンプルと混合する校正液に
塩素イオンが含まれることを特徴とすることにより、特
に内部液を含まない銀・塩化銀参照電極が採用されたセ
ンサを利用した場合、尿など高濃度の塩素イオンを含む
サンプルの測定において、塩素イオンの変動による影響
を緩和する効果がある。
【0012】請求項5は、前記混合サンプルの作製にあ
たり、前記測定サンプルと混合する校正液の温度を予め
前記測定サンプルと略同一の温度にしたことを特徴とす
ることにより、サンプル測定時と校正時との温度の違い
による誤差を抑えることができる。
【0013】請求項6は、請求項1を実施する装置であ
る。
【0014】請求項7は、請求項2を実施する装置であ
る。
【0015】請求項8は、請求項3を実施する装置であ
る。
【0016】請求項9は、請求項4を実施する装置であ
る。
【0017】請求項10は、請求項5を実施する装置で
ある。
【0018】請求項11は、前記液体サンプルは尿であ
り、前記測定対象物質は、尿糖、蛋白、潜血、ナトリウ
ムイオン、尿酸のうち、少なくとも一つの成分に関する
ものであることを特徴とする請求項6乃至10にかかる
装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明について、そ
の構成・作用を一層明らかにするために、以下に本発明
の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明
では、尿糖センサを備える尿検査装置について説明する
が、他の電気化学センサーを用いる測定一般にも本発明
は適用可能であることは言うまでもない。
【0020】図1は、本発明の好適な一実施形態である
尿検査装置10(計測ユニット11とリム取付式採尿ユ
ニット12とを含む)およびこの尿検査装置10を装着
した洋式便器100(便座102と便ふた104と洗浄
水タンク106とを含む。なお便座102と便ふた10
4とは、共に開状態)の外観図である。図2は、図1の
洋式便器100とリム取付式採尿ユニット12(便座1
02と便ふた104とは、共に閉状態)の側面図、図3
は尿検査装置10の構成の概略を示すブロック図であ
る。
【0021】洋式便器100は、その後上部に洗浄水タ
ンク106が装着されており、この洗浄水タンク106
には、計測ユニット11へ洗浄水を供給する配管14が
接続されている。計測ユニット11は、図1に示すよう
に、床に据え置かれている(詳細は後述する)。リム取
付式採尿ユニット12は、図1、図2に示すように、洋
式便器100のリムに装着されるものである。
【0022】図3は、尿成分測定装置本体の概略図を表
した図である。測定装置本体はたとえば2種類の薬液の
タンクA(22)、タンクB(24)を持ち、これらの
薬液と、採取された尿試料を、切替または混合して決め
られた順序でダイヤモンド電極を含むセンサユニット2
0に配管を通じて送液する送液装置18、センサユニッ
ト20からの電気信号を測定値に変換する信号処理ユニ
ット26からなる。タンクA22には例えばセンサ保存
および洗浄のための緩衝溶液が貯留されており、また、
タンクB24には、例えばセンサ精度を保つための校正
液が貯留されている。
【0023】図示はしないが、尿糖以外の別の成分を測
定する場合はその成分をセンシングするセンサ部や各液
タンク、配管等が追加必要となることはいうまでもな
い。
【0024】図4はリム取付式採尿ユニット12の構成
図である。リム取付式採尿ユニット12は衛生性向上の
ために抗菌材料(例えば、バクテキラー(登録商標)や
ゼオミック(登録商標))を用いた樹脂でできている。
リム取付式採尿ユニット12は採尿アーム32、洗浄ノ
ズル30、採尿アーム駆動モータ23、チューブ15
2、配水管186、洗浄ノズル30への給水管151な
どが樹脂製のベース650に設置されて構成される。な
お、配水管186とチューブ152の捨て水口は便器に
臨んでおり、排水を便器内に排出できるようになってい
る。
【0025】図4に示すように、リム取付式採尿ユニッ
ト12のうち、洋式便器100のリムと接触する部位に
は、ゴム、吸盤651などが取り付けられている。
【0026】ゴム、吸盤651などは、使用者が便座1
02に着座して使用する際にがたつきを防止する目的
で、リム取付式採尿ユニット12の裏面と洋式便器10
0のリムとが滑らないよう摩擦係数の大きな部品または
部材を取付け、滑り止め効果を高めている。
【0027】ゴム、吸盤651などを取り付ける場所を
便座102のクッション(便座脚部)の当接する下方に
することで、使用者の体重がゴム、吸盤651などに掛
かり上記した滑り止め効果をさらに高めることができ
る。
【0028】リム取付式採尿ユニット12は便座102
のクッション(便座脚部)が当接するため、他の部位よ
り一段と低く設計し(図2参照)、便座の水平度を保っ
ている。
【0029】図5は採尿アーム32の構造図を示す。採
尿アーム32は清掃性・強度を考慮して金属にメッキ処
理を施した材質となっている。採尿アーム32の先端部
(採尿部652)の形状は碗形をしており、尿を貯溜し
易い形状となっているのみならず、採尿位置にて採尿口
が略上方を向くように取付けられている。
【0030】図6は採尿時の採尿アームの伸出位置を示
している。男性と女性では採尿に適した位置は異なって
おり、女性位置の方の伸出が大きくなっている(具体的
には成人男性が水平面から略44度、成人女性が略75
度である)。
【0031】また、標準伸出位置を略中心にして、前後
位置に微調節できるように考慮されている(図7参
照)。尿検知の電極34はこの碗内部に配置されてお
り、尿が採取できたかどうかを判断しやすくなってい
る。また、採尿アーム32が採尿時に便器内部へ出てき
た時、電極34が測定に必要な液量を確保できる位置に
設置されているため、電極34が尿検知した時には測定
に必要な量の尿が碗部内に溜まるようになっている。従
って十分な量の尿が無いまま測定に移ってしまい、誤っ
た測定を行ってしまうようなことがない。
【0032】採尿アーム32からの異物混入と尿の飛び
散りを防止のために、メッシュ状のフィルター656が
採尿アーム32の採尿部652に設置されている(図5
参照)。
【0033】メッシュフィルター656は採尿アーム3
2(あるいは採尿部652)から着脱自在に構成される
ことで、採尿部の清掃性を高めているが、反対にメッシ
ュフィルター656の紛失防止のために採尿アーム32
へ一体的に固定しても構わない。ここで、衛生性を高め
るためにメッシュフィルター656は抗菌処理を施して
いる。勿論、異物混合や尿飛び散りの防止部材としては
メッシュ状のフィルターに限らず、たとえばスポンジ状
の膜等でも代用できる。
【0034】本実施例では、給水部15は、洗浄水タン
ク106に接続されており、洗浄水タンク106内の水
道水をポンプ16の吸引力を利用してロータリーバルブ
シリンジ18やノズル30へ給水している。
【0035】給水部15を水道に直結して該水道の給水
圧を利用することにより給水を行なったり、あるいは温
水洗浄便座が別に設置されている場合は、図示しないが
該温水洗浄便座の内部でポンプにより圧送される水流の
一部、または直接給水の減圧バルブの前後で分岐させて
給水部15へ導くようにすれば、ポンプ16を省略して
もよい。このようにすれば計測ユニット11内の給水系
をより簡素化することができる。
【0036】また、温水洗浄便座が設置されている場
合、図示しないが洗浄水タンク106の給水管から該温
水洗浄便座給水用連結管を分岐させる部位で給水部15
を分岐させても良い。
【0037】さらに、温水洗浄便座が設置されている場
合、図示しないが洗浄水タンク106の給水管から分岐
された該温水洗浄便座給水用連結管が該温水洗浄便座に
連結される部位に給水部15を連結することにより、該
分岐部が該温水洗浄便座に隠蔽され外観上も問題が無
く、また接続工事も簡略化できる。
【0038】次に尿糖センサ18について説明する。図
8は本発明に係る酵素電極方式の原尿センサの構造の一
例を示す概略断面図である。ここでいう原尿センサは、
排泄物である尿を希釈せず直接センサと接触させて測定
する方式を採用するセンサとして定義する。絶縁性を有
するセラミックス、プラスチックもしくはガラスなどの
基板1の上には、参照極2と作用極3と対極4が直接形
成され、その上方に接着層5、選択透過層6、酵素層7
および、制限透過層8が形成されている。使用者から排
泄された尿は制限透過層8によって、尿中の糖(グルコ
ース)の通過が制限され一部分のみ酵素層7へ到達させ
ることになる。制限透過膜8により、被測定物質である
グルコースは実質的に希釈され、希釈センサ同様、広い
測定範囲が実現できる。制限透過層8の材質としては、
1μm以下程度の薄膜構造を採用したフッ素樹脂膜やポ
リアルキルシロキサン膜などが効果を果たすものとして
実現されている。酵素と、牛血清アルブミンなどで構成
された酵素層7は制限透過膜8を通過した糖(グルコー
ス)を過酸化水素に変換し、選択透過層6では尿中共存
妨害物質であるアスコルビン酸や尿酸などが排除され過
酸化水素を選択的に透過させて電極表面へ到達させるこ
とになる。結果としてセラミック基板1上の作用極3と
参照極2に加えた一定電圧により酸化され電子が発生す
る、その結果、作用極2と対極4の間で電流が流れるこ
とになる。この電流は糖(グルコース)の濃度と化学量
論的な相関があるため、この電流を測定することで尿中
に含まれる糖(グルコース)の濃度を測定できることに
なる。酵素をタンパク工学的に改変することでと安定性
・測定範囲などを向上させることが可能であり、現在タ
ンパク工学分野で研究が進められている。またセンサ構
造の変更によって、糖(グルコース)と同時にタンパク
・潜血・ウロビリノーゲン、尿酸など複数の測定項目の
測定を可能とする研究も進められている。
【0039】さて、図9に示したように、尿サンプル中
のグルコースの定量分析に際しては、ポテンシオスタッ
ト110により、参照極2(Ag/AgCl)に対する
作用極3(Pt)の電位が正の一定値(たとえば、+
0.6V)になるように作用極3と対極4(Pt)との
間を流れる電流は過酸化水素の発生量に応じて変化す
る。したがって、作用極3と対極4との間を流れる電流
を検出することにより、過酸化水素の発生量を検出し、
これに基づいてグルコース濃度を演算することができ
る。
【0040】一般的にはサンプル測定の前または後に既
知濃度のグルコースを含む溶液すなわち校正液を測定
し、グルコース濃度と電流値の変化量の比例定数を明ら
かにした上で測定を行う。
【0041】一般の電気化学測定でも、測定の前または
後、あるいは定期的または不定期的に、校正液でセンサ
ーの感度を確定した上で、サンプル中の測定対象物資質
濃度を演算している。これはすべての測定にあたり、サ
ンプルを測定したときと校正液を測定したときのセンサ
ー感度が同一であることを前提とするものである。
【0042】しかし、従来の無希釈測定方式においては
校正液とサンプル溶液ではpH、イオン強度、Clイオ
ン濃度、温度等が異なるため、参照電極の電位や電極感
度、酵素等の触媒活性が変化してしまい校正時と測定時
のセンサー感度は必ずしも同一ではなかった
【0043】無希釈測定方式を採用している以上、サン
プル中の共存成分によるセンサ出力感度などの変動は避
けて通れないものである。そこで、本発明は、発想を転
換し、校正をサンプル尿を含む溶液中で行うことによ
り、測定時と校正時にセンサーに接触する溶液を略同一
のものとすることで測定時と校正時の測定条件を接近さ
せ、校正時と測定時とのセンサ感度の同一性を確保す
る。すなわち、センサの被測定成分に対する感度がサン
プルによって変動する可能性があるが、その変動が校正
時においても同様に生じるようにして、センサー感度を
常に補正させるのである。
【0044】図10は、センサーが緩衝液(保存液)中
で保存されているところに、初めに尿サンプルを、さら
に続けて校正液と尿サンプルとの混合液を送液し、最後
に洗浄液として緩衝液を送液してセンサーを洗浄すると
いうフロー測定を行った際のセンサー出力を、時間経過
とともに表したものである。測定前は、センサー内には
緩衝液が充填された状態でありセンサーの出力電流は小
さい値で安定している(以下、「安定時出力電流値」と
いう。図10の0〜2秒後に対応)。次に尿サンプルが
送液されると、尿中のグルコースから作用極135上に
担持されたGODの作用により過酸化水素が生成され、
発生した過酸化水素は作用極135上で酸化されて過酸
化水素の酸化電流を生じ、電流値はある一定のピーク値
をとる(以下、「測定時出力電流値」という。同じく6
〜9秒後に対応)。さらに尿サンプルと校正液の混合物
(本実施例では尿サンプル:校正液=4:1の混合物)
が送液されると、前記と同様の反応により電流値はある
一定のピーク値をとる(以下、「校正時出力電流値」と
いう。同じく17〜21秒後に対応)。そして再び緩衝
液が送液されることでセンサー付近のグルコースが洗浄
されて待機状態のレベルまで電流値は減少する(同じく
30秒後以後に対応)。
【0045】一般に電気化学センサーは、小型化の要請
もあってその出力は微小なものであるので、ノイズの影
響を受け難いように安定時出力電流値、測定時出力電流
値、校正時出力電流値を確定する際には複数回検出した
センサー電流値から演算することが望ましい。演算方法
は、単純平均としたり、移動平均の最大値または最小値
とするなど種々の方法が考えられる。
【0046】次に、こうして得られたセンサー出力から
測定対象物質の濃度を決定する方法を説明する。演算に
使用するパラメーターを以下に定義する。
【0047】センサーのグルコースに対する感度=S
(A/mg/dL) 校正液のグルコース濃度=Cstd(mg/dL) 尿サンプル中のグルコース濃度Csam(mg/dL) 混合する校正液の量=Vstd(dL) 混合する尿サンプルの量=Vsam(dL) 安定時出力電流値=I0(A) 測定時出力電流値=Isam(A) 校正時出力電流値=Icor(A)
【0048】サンプル測定時の電流増加は、サンプル中
のグルコース濃度とセンサーのグルコースに対する感度
の積であるため以下の式が成り立つ。
【0049】
【数1】
【0050】同様に、校正時の電流増加は、混合液中の
グルコース濃度とセンサーのグルコースに対する感度の
積であるため以下の式が成り立つ。
【0051】
【数2】
【0052】これらにより、尿サンプル中のグルコース
濃度Csam(mg/dL)は、以下の式で与えられる。
【0053】
【数3】
【0054】一般的に、尿中には尿酸やアスコルビン酸
などの還元物質が存在しておりこれらも電極で酸化反応
を起こし電流値が流れる。これらの共存妨害物質の影響
を除去するために過酸化水素選択透過膜が設けられる
が、完全に除去するのが困難であり多少残るのが普通で
ある。
【0055】本発明による校正法では校正時においても
妨害物質が入っており、それが校正結果に影響を与える
ことが懸念されるが、妨害物質の存在が校正結果に全く
影響を与えないことを数学的に証明できる。以下これに
ついて説明する。
【0056】まず、従来の校正液のみによる校正法にお
ける妨害物質の測定値に与える影響について考察する。
この方法では、希釈方式あるいは無希釈方式に関わら
ず、妨害物質による出力電流値はそのまま測定電流値に
加算されて測定値に妨害物質による部分が含まれること
が容易に理解できる。数学的に説明するために、以下の
定義を追加する。
【0057】 尿サンプル中妨害物質濃度=Cb(mg/dL) センサーの妨害物質に対する感度=Sb(A/mg/d
L) 測定時妨害物質による出力電流増加値=Ibs(A) 測定時グルコースによる出力電流増加値=Igs(A) 尿サンプル中のグルコース濃度計算値=C'sam(mg/
dL)
【0058】したがって、サンプル中妨害物質による電
流出力増加値Ibsは下記式により与えられ、
【0059】
【数4】
【0060】またサンプル中グルコースによる電流出力
増加値Igsは下記式により与えられ、
【0061】
【数5】
【0062】電流出力値に可算性があるので、
【0063】
【数6】
【0064】この場合、[数1]のCsamはC'samに置
き換えられることを考慮し、以下の式が成り立つ。
【0065】
【数7】
【0066】[数7]中の(Sb/S)項はすなわちセン
サの被測定物質に対する特異性を表す指標であり、一般
的に妨害物質選択比または妨害物質による妨害度と言
う。
【0067】次に、校正時の溶液に妨害物質が入ってい
る、本発明による校正法における妨害物質の挙動を明ら
かにするために、以下の定義を追加する: 校正時グルコースによる出力電流増加値=Igc(A) 校正時妨害物質による出力電流増加値=Ibc(A)
【0068】IgcおよびIbcはそれぞれ以下の式により
与えられる:
【0069】
【数8】
【0070】
【数9】
【0071】電流出力値に可算性があるので、
【0072】
【数10】
【0073】したがって:C'samは以下のようになる
【0074】
【数11】
【0075】すなわち、本発明による校正液とサンプル
との混合液による校正法と、従来の校正液のみによる校
正法とでは、まったく同じ結果が得られたのである。し
たがって、サンプル中に妨害物質が入っているかどうか
に関係なく、本発明による校正法は従来の校正法と同じ
校正効果が得られ、妨害物質による校正結果への影響は
ないことが明らかになった。
【0076】したがって、本発明による測定法では、測
定時と校正時にセンサーに接触する溶液を略同一のもの
とすることで測定時と校正時の測定条件を接近させ、校
正時と測定時とのセンサ感度の同一性を確保していると
同時に、サンプル中に共存妨害物質が存在しても校正結
果への影響がない。本発明においては、センサの被測定
成分に対する感度がサンプルによって変動する可能性が
あるが、その変動が校正時においても同様に生じるよう
にして、センサー感度を常に補正させるのである。
【0077】なお、高い測定精度を確保するために、測
定毎に校正を行うことが望ましい。図10では、本実施
例では初めにサンプルを測定し、後にサンプル液と校正
液との混合液を測定し校正を行う例を示しているが、順
番が逆に、すなわち混合液による校正後サンプルを測定
してもよい。
【0078】また、測定時と校正時とのセンサ感度の同
一性(センサが接触する溶液条件の同一性)を確保する
意味で、校正液とサンプルの混合比率はサンプル液の比
率の方が高いことが好ましい。一般的な好ましい例とし
て校正液量1に対してサンプル量が1〜100の範囲に
あることが挙げられる。しかし、校正液の比率をあまり
に小さくして校正時と測定時とのセンサ感度の同一性を
求めようとするとシステムによっては混合液を作成する
際、混合比率に誤差が大きくなり却って測定精度を悪化
するため、測定システムなど種々の状況を勘案して適当
な混合比を設定することが望ましい。
【0079】校正時混合液における校正液の比率が小さ
くても校正精度を確保するため、校正液に含まれる被測
定成分の濃度が適度に高めに調整されることが望まし
い。その濃度は予想されるサンプル中の被測定成分濃
度、センサの測定範囲、特に混合比率など、種々の条件
を勘案して適宜に決定される。被測定成分が尿中グルコ
ースを想定した一例として、センサの測定範囲が0−3
000mg/dLで、校正液とサンプルとの混合比率が
1:4の場合、校正液中の被測定成分濃度は500―5
000mg/dLの範囲にどれかの値に設定するとよ
い。
【0080】本発明の別の態様として、校正液とサンプ
ルとの混合比率が一定ではなく、サンプルの性質(pH
やClイオン濃度)を採尿の途中経路に設置したセンサ
ーで予め検出し、または予想される被測定成分濃度のレ
ベルに応じて、可変にしてもよい。一例として、測定の
後校正を行う測定シーケンスでは、測定時の電流出力値
から大まかにサンプル中の被測定成分濃度を概算し、概
算された濃度レベルに応じて、混合比率を変更する。具
体的に、概算された濃度レベルが高いと、混合液中の校
正液の割合を高めに設定する。逆に低いと、校正液の割
合を低めに設定する。この場合、測定系はその混合比を
記憶し適宜濃度演算に反映させることはいうまでもな
い。
【0081】この手法による測定のメリットの一つは、
測定時と校正時との被測定物質の濃度を常に接近させる
ことができるので、高い校正精度が得られる。一般的
に、センサの検量線がすべての濃度範囲において完全な
直線性を有する場合が少ないことから、校正液濃度近辺
で測定精度がもっとも高く、その値から離れるにしたが
って誤差が大きくなる傾向がある。
【0082】例えば、校正液中に含まれる被測定成分濃
度が2000mg/dlで、被測定成分の濃度が100
mg/dlのサンプル1、と2000mg/dlのサン
プル2を測定する場合、校正液とサンプルとの混合比を
1:2に固定されているケースでは、校正時の被測定成
分はそれぞれ濃度は733mg/dlおよび2000m
g/dlである。このケースでは濃度が高いサンプル2
については問題ないが、濃度が低いサンプル1に関して
は校正時濃度と測定時濃度が大きくずれることにより測
定誤差が大きくなるリスクが高い。
【0083】一方、混合比率可変にした手法では、サン
プル測定時の電流出力値から、例えば装置内部に記憶さ
せておいた直近のセンサ感度Sに基づいて濃度を概算
し、その概算値に応じて混合比を決める。例えば、前記
同様の試料を測定する場合、サンプル1について校正時
の校正液とサンプル液との比率を1:20に設定し、逆
にサンプル2ではその比率を1:2に設定する。この場
合、サンプル1の校正時濃度が190mg/dlであ
り、前記混合比率固定のケースに比べて、校正時濃度を
測定時濃度にかなり接近させることができたので、低濃
度側でも高い測定精度を確保することができる。
【0084】また、一般的に、測定対象物質の濃度が低
く電流出力が充分に得られない場合には、電流検出値自
体が溶液条件変化の影響を受けて精度が悪化しやすい。
したがって、高精度の測定を実現するには、低濃度サン
プルであるほど、校正時と測定時の溶液条件の同一性が
より強く要求される。混合割合可変の本測定手法はサン
プル中の被測定成分の濃度が低いほど校正液の割合が小
さくなるように連動させるので、この要求を満たすのに
好適である。
【0085】校正液の組成について、測定時と校正時の
溶液条件、特にpHを揃えるために、校正液の組成は緩衝
作用の小さい溶液に測定対象物質が所定濃度になるよう
に加えたものにすることが好ましい。その代表的なもの
として水が考えられる。
【0086】校正液の組成を決定するには、さらに以下
のような点を考慮する。
【0087】本実施例では、電位の基準として銀塩化銀
参照電極を用いているため、溶液中のClイオン濃度に
より、その電位が変動する。例えば尿サンプル中の塩素
イオン濃度がサンプルによって大きく変動するので、待
機時の緩衝液から測定または校正に移るとき、基準電位
の変化により、ベース電流が一時的に変動することが避
けられない。ただし、この場合、安定時出力電流値(I
0)を取るタイミングをその変動時間帯から外せば問題
が簡単に解決される。しかし、測定時と校正時との間
に、センサに接する溶液の塩素イオン濃度が異なると、
ベース電流の変動だけではなく、基準電位の変動により
センサ感度も変化する恐れがあるので、できるだけ同一
の塩素イオン濃度を確保することが求められる。この観
点から、混合液作成時のサンプル液の比率を高めに調整
することが望ましい。さらに、校正液中に一定濃度の塩
素イオンを予め添加することによって一定の効果が得ら
れる。添加する塩素イオンの濃度はの種々の条件を勘案
して適宜決定してよいが、一般的に、予想されるサンプ
ル中の塩素イオン濃度の統計的な平均値近辺の濃度に決
定することが望ましい。一例として、尿中成分を測定す
る場合、図11のように尿サンプルを採取し実際に分析
して得られたデータから、塩素イオンの添加濃度をもっ
とも出現頻度の高い600mg/dLあたりに決定す
る。添加する塩素イオンを含む物質としては、KClや
NaCl、さらにはこれらを混合してもよい。
【0088】本実施例では、測定装置本体は採尿ユニッ
トと離れて設置されており、採取された尿サンプルは搬
送過程において温度が変化し、さらにその変化度合いも
環境条件などにより変動する。特にトイレ空間内は環境
温度の変化が激しいため、測定時と校正時とのタイムラ
グの存在、校正液によるサンプルの希釈過程の介在によ
り、センサユニットを本体周辺環境と同じ環境にして
も、測定時と校正時との溶液温度の同一性が必ずしも保
証されない。さらに、冬季など気温が極端に低下してい
る場合、酵素活性の低下によるセンサ感度の低下も問題
となる恐れがある。
【0089】したがって、センサの置かれている環境を
極端に低温になることを防ぐと同時に、測定時と校正時
との温度を同一化または略同一化することが望ましい。
その手段として、例えば測定装置内の少なくともセンサ
ユニットの部分を恒温化する方法、あるいはサンプル液
と校正液を蓄熱体などを通してからセンサに接触させる
方法、などが考えられる。
【0090】また、[数3]からわかるように、混合す
る校正液の量や混合する尿サンプルの量は、その絶対量
を測定する必要はなく混合量の比率がわかれば充分であ
る。たとえば、送液ユニットにステッピングモーターを
利用した駆動装置が使用される場合、使用するステッピ
ングモーターの吸引・排出時のステップ数から上記混合
比率を計算することが出来る。
【0091】本発明の実施形態のもう一つの態様とし
て、前記実施例に示すフロー方式だけでなく、バッチ方
式の測定が挙げられる。
【0092】例えば、図12に示す実施例のように2つ
の小型容器をセットし、容器1に採取された尿サンプル
を入れて、もう1つの容器に尿サンプルと校正液を一定
の割合で入れて混合液とする。測定に際しては、センサ
を待機位置から容器1のサンプル液に接触させて測定
し、出力値を読み取ってから、センサを取り出して残り
液を拭き取ってから速やかに容器2の混合液に接触させ
て校正を行う。その後センサと容器を洗浄してセンサを
再び待機位置に戻す。もちろん測定と校正との順番を入
れ替えてもよい。この場合、容器1にいれるサンプル量
はセンサ表面を浸す量があれば充分であり、一定量にす
る必要がない。一方、容器2にいれるサンプルおよび校
正液の量はその比率が制御されていればよい。
【0093】また、図13に示す実施例のように小型容
器を1つとし、容器に採取された尿サンプルを一定量入
れて、センサを待機位置から容器のサンプル液に接触さ
せて測定し、出力値を読み取った後、前述した点を考慮
して決定された混合比率となるように、校正液を容器1
に添加して尿サンプルとの混合液とし、センサを浸した
まま混合液による校正を行う。その後センサと容器を洗
浄してセンサを再び待機位置に戻す。
【0094】上記実施例では、駆動機構として、小型容
器を動かす機構と、センサを動かす機構がまたはその両
方を動かす機構が必要となる。また混合液を撹拌する機
構を付加すれば、サンプルと校正液を速やかに混合して
均一な液にすることができる。
【0095】さらに、図14に示す実施例のように、測
定は容器中ではなく、尿サンプルおよび一定比率で作成
された尿サンプルと校正液との混合液を順次直接センサ
表面にかけるような方法をとっても良い。この場合、図
13に示したような測定のための容器が不要となる。
【0096】図12から図14に示すバッチ方式では、
フロー方式にくらべて、送液機構を大幅に簡略させるこ
とが可能であり、装置をより低コストで製造できる可能
性を有する。
【0097】また、特に図14の実施例の場合、センサ
を図15および図16に示すように採尿皿にセットして
もよい。図5は採尿皿の第一の実施例を示す斜視図であ
り、センサー感応部1−aを有する基板は採尿皿13の
内部に設けられており、その前面には内部にゴミが入る
こと、および、尿の勢いで飛沫を巻き上げることを防止
するための採尿メッシュ656が設けられている。酵素
を使用したセンサーが寿命を迎えた時には、採尿アーム
32から端子を抜き取って、その部分から採尿皿13の
着脱交換が可能となっている。採尿皿13には液を貯め
るための受け形状が設けられており、基板に設けられた
センサー感応部1−aは、緩衝液に浸すことによって長
期間の保存を可能としている。図6は採尿皿の第二の実
施例を示す斜視図であり、採尿アーム32の先端の採尿
皿13内にセンサー感応部1−aを設けている。採尿皿
13を採尿アーム32に対して回転自在として、採尿皿
13の重心を採尿アーム32の中心位置より下方に設計
しておけば、採尿皿13の開口面は便器ボール面内部を
採尿アーム32が回動している間中、常に上方を向くよ
うにできる。
【0098】以上の実施例では尿をサンプルとし、測定
対象物質がグルコースであり電流測定タイプの電気化学
センサーを用いているが、本発明は尿以外の体液(だ
液、汗、血液)やその他の溶液サンプル等にも適用可能
であり、測定対象物質としては、尿糖、血糖、尿蛋白、
尿潜血、L−アスコルビン酸、L−乳酸、コレステロー
ル、フェノール、エタノール、L−アミノ酸、等にも適
用可能である。
【0099】また、測定対象物質がグルコースと想定し
た本実施例の濃度演算法は、電極活性物を生成する酵素
を用いた、出力と濃度との関係が線形的である(検量線
が一次式で記述可能である)アンペロメトリック方式の
バイオセンサであれば、すべて適用可能である。
【0100】ただし、本発明による物質測定法および装
置は、検量線が一次式で記述可能なセンサへの応用に限
定されるものではない。
【0101】一例として、出力信号と濃度との間に対数
関係にあるポテンシオメトリック方式のセンサにも適用
可能である。この場合、前記[数1]及び[数2]に相
当する方程式を、Iを電位出力信号vに置き換えると、
以下のようになる:
【0102】
【数12】
【0103】
【数13】
【0104】上記連立方程式からCsamを求める解は
[数3]のように方程式の形で表すことが難しいが、こ
の程度の演算はプログラム化して汎用マイコンに行わせ
ることが可能である。
【0105】このようなポテンシオメトリック方式のセ
ンサの例として、膜電位の検出に基づくpHセンサ、尿素
センサ、アンモニアセンサ、尿素センサなどが挙げられ
【0106】以上、本発明の実施の形態について説明し
てきたが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0107】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、サンプルと、さらにそのサンプルに
校正液を所定の割合で混合した混合サンプルを作製し
て、各々をセンサーで測定することによって、センサー
の接触する溶液を測定時と校正時で略同一にすることを
特徴とするものであり、pH、Clイオン濃度、温度等
の溶液条件が略同一の状態で測定・校正を行なうことが
でき、短時間で精度の良い測定結果を得ることができ
る。請求項2は、前記混合サンプルの作製にあたり、前
記校正液と前記測定サンプルとの混合比が1から100
までの範囲にあることを特徴とするので、校正時サンプ
ル液の比率を高めることで、測定時と校正時とのセンサ
に接触する溶液条件の同一性を高めることができる。請
求項3は、前記混合サンプルを作製する際の校正液と測
定サンプルの混合割合を変更可能としたものであり、測
定サンプルの性質(pH、Clイオン濃度、温度、およ
び測定対象物質濃度の高低など)に応じて混合比を変更
することで、常は高精度の測定を行うことができる。請
求項4は、サンプルと混合する校正液に塩素イオンが含
まれることを特徴とすることにより、特に内部液を含ま
ない銀・塩化銀参照電極が採用されたセンサを利用した
場合、尿など高濃度の塩素イオンを含むサンプルの測定
において、塩素イオンの変動による影響を緩和する効果
がある。請求項5は、前記混合サンプルの作製にあた
り、前記測定サンプルと混合する校正液の温度を予め前
記測定サンプルと略同一の温度にしたことを特徴とする
ことにより、サンプル測定時と校正時との温度の違いに
よる誤差を抑えることができる。請求項6から11で
は、前記測定方法を利用した測定装置を提供するので、
上記効果を持つ測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な一実施形態である尿検査装置
10(計測ユニット11とリム取付式採尿ユニット12
とを含む)およびこの尿検査装置10を装着した洋式便
器100(便座102と便蓋104と洗浄水タンク10
6とを含む、なお便座102、便ふた104は開状態)
の外観図。
【図2】 図1の洋式便器100とリム取付式採尿ユニ
ット12(便座102、便ふた104は閉状態)の側面
図。
【図3】 尿検査装置10の構成の概略を示すブロック
図。
【図4】 採尿ユニット12の内機構成図。
【図5】 採尿アーム32構成図。
【図6】 採尿アーム32男性位置、女性位置を示すリ
ム取付式採尿ユニット12側面図。
【図7】 採尿アーム32女性位置調節範囲を示すリム
取付式採尿ユニット12側面図。
【図8】 本発明を実施した酵素電極方式の原尿センサ
の構造の一例を示す断面図。
【図9】 尿糖センサの電極系を示す模式図。
【図10】 測定中のセンサー出力の経時的変化を示す
図。
【図11】 尿中の塩素(Cl)イオン濃度分布を示す
図。
【図12】 本発明の好適な一実施形態であるバッチ方
式による測定を実行する第1の実施例の測定模式図であ
る。
【図13】 本発明の好適な一実施形態であるあるバッ
チ方式による測定を実行する第2の実施例の測定模式図
である。
【図14】 本発明の好適な一実施形態であるバッチ方
式による測定を実行する第3の実施例の測定模式図であ
る。
【図15】 本発明を実施した採尿皿の第一の実施例を
示す斜視図である。
【図16】 本発明を実施した採尿皿の第二の実施例を
示す斜視図である。
【符号の説明】
1…基板、1−a…センサ感応部、1−b…端子(ホル
ダー) 2…参照極、3…作用極、4…対極 5…接着層、6…選択透過層、7…酵素層 8…制限透過層、9…採尿アーム、 13…採尿皿 11…計測ユニット、12…リム取付式採尿ユニット、
14…給水部 18…送液装置、20…センサユニット、22…タンク
A 23…採尿アーム駆動モータ、24…タンクB、26…
信号処理ユニット、28…尿糖センサ 30…ノズル、32…採尿アーム、34…電極 100…洋式便器、102…便座、104…便蓋 106…洗浄水タンク、110…ポテンシオスタット 151…給水管、152…チューブ、186…配水管 650…樹脂製ベース、651…ゴム、吸盤 652…採尿部、656…メッシュ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/26 381 G01N 33/493 B 27/333 35/00 B 27/327 35/02 D 33/493 1/10 V 35/00 27/46 336B 35/02 27/30 331Y // G01N 1/10 353J 353B 27/46 336G 336C 338 (72)発明者 蛭田 義樹 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 長野 信二郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 片山 久美 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA16 AA21 AA36 CB03 DA01 DA31 DA36 DB09 FB05 JA07 2G058 BA07 BB02 BB05 FA01 GA11 GD02 GD03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気化学センサーを用いた溶液中の測定
    対象物質濃度の定量方法であって、電気化学センサーが
    緩衝液と接触した状態での安定時出力電流値と、前記電
    気化学センサーが測定サンプルに接触した状態での測定
    時出力電流値と、前記測定サンプルと測定対象物質濃度
    既知の校正液とを所定の割合で混合して作製した混合サ
    ンプルを前記電気化学センサーに接触させた状態での校
    正時出力電流値と、をそれぞれ検出し、これらの値を演
    算することによって測定サンプル中の測定対象物質濃度
    を定量することを特徴とする物質濃度定量方法。
  2. 【請求項2】 前記混合サンプルの作製にあたり、前記
    校正液と前記測定サンプルとの混合比が1:1から1:
    100までの範囲にあることを特徴とする請求項1記載
    の物質濃度定量方法。
  3. 【請求項3】 前記混合サンプルの作製にあたり、前記
    校正液と前記測定サンプルとの混合割合が可変であり、
    当該混合割合を前記演算に加味して測定サンプル中の測
    定対象物質濃度を定量することを特徴とする請求項1乃
    至2記載の物質濃度定量方法。
  4. 【請求項4】 前記測定サンプルと混合する校正液に塩
    素イオンが含まれることを特徴とする請求項1乃至3に
    記載の物質濃度定量方法。
  5. 【請求項5】 前記混合サンプルの作製にあたり、前記
    測定サンプルと混合する校正液の温度を予め前記測定測
    定サンプルと略同一の温度にしたことを特徴とする請求
    項1乃至4に記載の物質濃度定量方法。
  6. 【請求項6】 電気化学センサーを用いた溶液中の測定
    対象物質濃度の定量装置であって、溶液中の測定対象物
    質濃度に対応した電流出力を発生する電気化学センサー
    と、電気化学センサーが緩衝液と接触した状態での安定
    時出力電流値を検出・記憶する検出手段及び記憶手段
    と、前記電気化学センサーが測定サンプルに接触した状
    態での測定時出力電流値を検出・記憶する検出手段及び
    記憶手段と前記測定サンプルと測定対象物質濃度既知の
    校正液とを所定の割合で混合して作製した混合サンプル
    を前記電気化学センサーに接触させた状態での校正時出
    力電流値を検出・記憶する検出手段及び記憶手段と、こ
    れらの値を演算することによって測定サンプル中の測定
    対象物質濃度を演算する演算手段と、を備えた物質濃度
    定量装置。
  7. 【請求項7】 前記混合サンプルの作製にあたり、前記
    校正液と前記測定サンプルとの混合比が1:1から1:
    100までの範囲にあることを特徴とする請求項6記載
    の物質濃度定量装置。
  8. 【請求項8】前記混合サンプルの作製にあたり、前記校
    正液と前記測定サンプルの混合割合が可変であるととも
    に、当該測定での混合割合を記憶する記憶手段を有し、
    当該混合割合を前記演算に加味して測定サンプル中の測
    定対象物質濃度を定量することを特徴とする請求項6乃
    至7記載の物質濃度定量装置。
  9. 【請求項9】 前記測定サンプルと混合する校正液に塩
    素イオンが含まれることを特徴とする請求項6乃至8記
    載の物質濃度定量装置。
  10. 【請求項10】 前記混合サンプルの作製にあたり、前
    記測定サンプルと混合する校正液の温度を予め前記測定
    測定サンプルと略同一の温度にしたことを特徴とする請
    求項6乃至9に記載の物質濃度定量装置。
  11. 【請求項11】 前記測定サンプルは尿であり、前記測
    定対象物質は、尿糖、蛋白、潜血、ナトリウムイオン、
    尿酸のうち、少なくとも一つの成分に関するものである
    ことを特徴とする、請求項6〜10に記載の物質濃度定
    量装置。
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