JP2002069594A - 低騒音トランス用電磁鋼板 - Google Patents
低騒音トランス用電磁鋼板Info
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Abstract
をみたすことで効果的に騒音を低減できる低騒音トラン
ス用の一方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 励磁磁束密度がBTの時の磁気ひずみ
(p―p値)をλB とする時、1.0≦B≦1.5にお
けるλB が0.3×10-6以下であり、かつ、1.5<
B≦1.9におけるλB が0.5×10-6以下であるこ
とを特徴とする低騒音トランス用電磁鋼板。
Description
に用いられ、磁気ひずみ特性の優れた低騒音トランス用
電磁鋼板に関するものである。
材料において、磁界印加時の長さ変化の度合い(これを
磁気ひずみと呼ぶ)は変圧器騒音の原因となるため、品
質管理における重要な評価項目の一つとなっている。近
年、電機機器からの騒音は、生活環境快適化の要求と共
にさらに規制が厳しくなりつつある。このため、磁気ひ
ずみの低減による低騒音化の研究が盛んに行われてい
る。
れる一方向性電磁鋼板については、還流磁区を減少させ
ることで磁気ひずみを低減する手法がある。ここで言う
還流磁区とは、磁界印加方向に対して直角に向いている
磁化を有する領域である。この磁化が印加磁界により磁
界と平行方向に向けて動くときに磁気ひずみが生じる。
従って、還流磁区量が少ないほど磁気ひずみは小さくな
る。主な磁気ひずみ低減の手法として以下のものが知ら
れている。
揃え、磁化回転により形状変化を生じさせる還流磁区を
作らない方法(T.Nozawa et al, "Relationship Betwee
n Total Losses under Tensile Stress in 3 Percent S
i-Fe Single Crystals and Their Orientations near
(110)[001 ]", IEEE Trans. on Mag., Vol. MAG-14,N
o.4,1978.), 2)塑性歪を開放することで還流磁区を消去する方法(
特開平7-305115、[画記的な方向性珪素鋼板オリエント
コア・ハイビーの開発]:OHM1972.2) 、 3)被膜張力を鋼板に印加することで還流磁区を消去す
る方法(T.Nozawa et al, "Relationship between Total
Losses under Tensile Stress in 3 PercentSi-Fe Sin
gle Crystals and Their Orientations near (110) [0
01 ]", IEEETrans. on Mag., Vol. MAG-14, No.4,197
8.) 主にこれら3つの手法により、磁気ひずみを低減させ、
電機機器の低騒音化に寄与してきた。
騒音化への要求は強く、目的を達するためには高度な技
術が必要となる。従来の低騒音化の研究は還流磁区の消
滅による磁気ひずみの低減を主な目的としてきた。とこ
ろが、この還流磁区の挙動は磁束密度の大きさによって
変わり、1.0−1.5Tの中磁場では発生し、1.5
超−1.9Tの高磁場では消滅する。このような挙動に
より磁気ひずみは磁化過程の途中で減少し、さらに飽和
に近づくにつれ増加に転ずる複雑な挙動を示す。よっ
て、それぞれの磁束密度によって磁気ひずみ低減の最適
方法があり従来技術として確立されている。例えば、あ
る基準の磁束密度(中磁場の1.3T,高磁場の1.9
T等)を定めて最適化を行ってきた。しかしながら、さ
らなる低騒音化への要求は強く、更に高度な技術が必要
となっている。
区の挙動を把握し、中磁場から高磁場まで磁気ひずみを
低減する条件を見出せれば大きな騒音の低減効果が得ら
れる。本発明は、中磁場および高磁場両域における最適
磁気ひずみ低減条件を見出し、低騒音化を効果的に実現
する、磁気ひずみ特性の優れた低騒音トランス用電磁鋼
板を提供することにある。
は、以下の通りである。 (1)励磁磁束密度がBTの時の磁気ひずみ(p―p
値)をλB とする時、1.0≦B≦1.5におけるλB
が0.3×10-6以下であり、かつ、1.5<B≦1.
9におけるλB が0.5×10-6以下であることを特徴
とする低騒音トランス用電磁鋼板。 (2)鋼板の励磁方向に3MPa以上の圧縮力を加えた
状態での1.9TにおけるλB が0.5×10-6以下で
あることを特徴とする上記(1)記載の低騒音トランス
用電磁鋼板。 (3)板厚が0.30mm以上であることを特徴とする
上記(2)記載の低騒音トランス用電磁鋼板。
おける最適磁気ひずみ低減条件を見出すことによって、
騒音を大きく低減させた低騒音トランス用電磁鋼板であ
る。すでに述べたように、現在までの研究はいずれも、
ある一定条件の磁束密度において磁気ひずみを低減させ
ていた。しかしながら、本発明者らは、中磁場あるいは
高磁場のどちらか一方で磁気ひずみの最適化を行った場
合、最適化していない磁束密度域における騒音が高く、
騒音が効果的に低減していないことを知見し、これを改
善するために鋭意研究を行った。以下実験にもとづき説
明する。
磁場で励磁した場合の磁気ひずみ波形を示したものであ
る。被膜張力が比較的弱い2.5MPaの場合は磁気ひ
ずみの波形は正に増加している。被膜張力を強くし、
7.5MPaにした場合は磁束密度が最大で磁気ひずみ
波形は負の方向に増加し、λ1.3 は大きくなる。特に、
波形が正にも負にも大きく伸びず、λ=0である磁束密
度軸に沿っている場合、磁気ひずみの振幅は小さく、こ
の条件が中磁場で低λB の最適条件である。
の磁気ひずみの波形を示したものである。被膜張力が強
くなるに従いλ1.9 が小さくなった。この図から高磁場
ではやや強い7.5MPaの被膜張力が最適条件である
ことが見受けられる。このように中磁場と高磁場におい
て磁気ひずみ低減化の条件が異なるため、それぞれの条
件に注意しないと予想した低騒音化効果が得られないこ
とが予想される。
合のλ1.5 の変化を示したものである。中磁場の1.5
Tでは一旦ある張力で下がり、再び増加している。これ
は前述の波形の変化からも同様な傾向であり、最適な張
力においてλ波形は磁束密度増加によって正または負の
方向に増加せず、λ=0である磁束密度軸に沿っている
のでλ1.5 は小さい。
を示した図である。図4から分かるように、張力を印加
するに従いλ2.0 は減少する。これは、張力が弱い場
合、磁束密度増加に伴い還流磁区が減少するため正方向
に増加している磁気ひずみ波形が張力を加えた場合、始
めから還流磁区が少なく磁束密度が増加しても還流磁区
の変化量が小さいため、磁束密度軸に沿うように近づく
ためであり、これも前述した現象と一致する。
は高磁場のいずれかにおいて磁気ひずみを最適化するだ
けでは騒音低減は不完全で、それぞれの磁場において同
時に低磁気ひずみ条件を満たすことが重要であると考え
た。この条件は、図3、図4においては5MPaの機械
的張力の領域で満足される。また、被膜張力では機械的
張力よりも経験的に約2倍の強さの張力が必要であり、
これらの条件を満たす電磁鋼板を提供することで、効果
的にトランス等の電機機器騒音を低減できると考え、本
発明に至ったのである。
る。1.0≦B≦1.5におけるλB を0.3×10-6
以下とする理由は、低騒音用トランスでは中磁場設計が
多く用いられるため、この値まで磁気ひずみを低減する
必要があるからである。1.5<B≦1.9におけるλ
B を0.5×10-6以下とする理由は、高磁場で従来以
上の低騒音を得るためにはこの条件を満たす必要がある
からである。
加えた状態での1.9Tにおけるλ B を0.5×10-6
以下とする理由は、この条件を満足すれば製造されたト
ランスで鋼板に圧縮力が加わっても特性が劣化し騒音が
大きくなる可能性が少なく、低騒音化のためにはこのレ
ベルの特性が必要であるからである。板厚を0.30m
m以上とする理由は、この条件でトランスが多く組み立
てられており、低騒音化のためにはこの板厚で上記条件
を満たす必要があるからである。
て良好な磁気ひずみ条件を満足させるためには操業条件
等を調整すれば良い。調整する手段としては、上記で述
べたように張力を変える一例として、絶縁被膜の厚さ・
組成を調整する方法に加え、磁区制御方法の強度、例え
ば、レ−ザ−による手段であればレ−ザ−の強度、物理
的な溝形成による手段であれば溝深さなどを適宜調整す
ることで、所望の磁気ひずみ条件を得ることができる。
強度の変更により磁気ひずみを制御できる理由として
は、以下のように考えている。局所ひずみを導入する
と、ひずみの部分に還流磁区(磁化容易方向に直交する
磁区)が生じ、磁気ひずみは励磁磁束密度全域で高くな
る。同時に局所ひずみによる磁区細分化で、1.7T付
近で発生するランセットと呼ばれる還流磁区を消去で
き、磁気ひずみ波形をある範囲で制御できるからであ
る。なお、ここで言うランセットは、結晶粒の[00
1]軸が板厚方向へ傾斜しているため発生する。この
際、表面から漏れ磁束が発生するが、静磁エネルギ−的
に不安定なためにこの漏れ磁束を吸収し安定にする役割
を果たしている。
効果により還流磁区が消磁状態で消滅し、これが還流磁
区消滅開始の磁束密度を変え波形制御が可能になる。従
って、この二つの因子を適宜調整することで中高磁場に
おける磁気ひずみを制御し、低騒音を得ることができ
る。このため、磁区細分化の方法はひずみを残存させる
方法、例えば、レ−ザ−などのように熱ひずみを与える
方法が効果的である。
30mmの一方向性電磁鋼板に対し、張力被膜を、張力
が1〜5MPaの範囲になるよう、塗布量を5条件に振
って塗布した。この5試料について1.4T、1.7
T、1.9Tに励磁した時の磁気ひずみを、レ−ザ−ド
ップラ−方式による非接触式磁気ひずみ測定装置により
測定した。結果を表1に示す。
Dと、満たさないA、Bを用いて500kVAの3相トラ
ンスを組み立て、50Hz1.5T で励磁した状態におけ
る騒音を測定した。その結果を表2に示す。本発明の条
件を満たす材料から製作したトランスでは、騒音を低く
することができた。
27mmの一方向性電磁鋼板に対し、エネルギ−密度を
0〜90mJ/mm2 の範囲で5条件にしたレ−ザ−照
射により、5mm間隔の歪帯を導入した。この鋼板に張
力被膜を、張力がほぼ6MPaの範囲になるよう、塗布
量を制御して塗布した。
1.9Tに励磁した時の磁気ひずみを、レ−ザ−ドップ
ラ−方式による非接触式磁気ひずみ測定装置により測定
した。結果を表3に示す。この中から本発明の波形条件
を満たす試料Gと、満たさないJを用いて500kVAの
3相トランスを組み立て、50Hzで1.5〜1.7T で
励磁した状態における騒音を測定した。その結果を図5
に示す。
ランスでは、騒音を低くすることができた。
0.30mmの一方向性電磁鋼板に対し、エネルギ−密
度30mJ/mm2 のレ−ザ−照射により6 mm間隔の
歪帯を導入した。この鋼板に張力被膜を、張力が0〜6
MPaの範囲になるよう、塗布量を5条件に振って塗布
した。
1.9Tに励磁した時の磁気ひずみを、レ−ザ−ドップ
ラ−方式による非接触式磁気ひずみ測定装置により測定
した。結果を表4に示す。この中から本発明の波形条件
を満たす試料Oと、満たさないK、Mを用いて500k
VAの3相トランスを組み立て、50Hz1.5T で励磁し
た状態における騒音を測定した。その結果を表5に示
す。
ランスでは、騒音を低くすることができた。
磁場および高磁場において磁気ひずみの少ない一方向性
電磁鋼板が容易に提供でき、電機機器の低騒音化を図る
ことが可能となる。
である。
である。
ある。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 励磁磁束密度がBTの時の磁気ひずみ
(p―p値)をλB とする時、1.0≦B≦1.5にお
けるλB が0.3×10-6以下であり、かつ、1.5<
B≦1.9におけるλB が0.5×10-6以下であるこ
とを特徴とする低騒音トランス用電磁鋼板。 - 【請求項2】 鋼板の励磁方向に3MPa以上の圧縮力
を加えた状態での1.9TにおけるλB が0.5×10
-6以下であることを特徴とする請求項1記載の低騒音ト
ランス用電磁鋼板。 - 【請求項3】 板厚が0.30mm以上であることを特
徴とする請求項2記載の低騒音トランス用電磁鋼板。
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- 2000-08-25 JP JP2000256094A patent/JP4585101B2/ja not_active Expired - Fee Related
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