JP2002065868A - フッ化水素酸化学熱傷治療用具 - Google Patents

フッ化水素酸化学熱傷治療用具

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JP2002065868A
JP2002065868A JP2000266925A JP2000266925A JP2002065868A JP 2002065868 A JP2002065868 A JP 2002065868A JP 2000266925 A JP2000266925 A JP 2000266925A JP 2000266925 A JP2000266925 A JP 2000266925A JP 2002065868 A JP2002065868 A JP 2002065868A
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hydrofluoric acid
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Mikio Suzuki
幹夫 鈴木
Mamoru Yamashita
衛 山下
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Nichiban Co Ltd
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Nichiban Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウムイオンを短時間に容易に経皮吸収
させることによって、フッ化水素酸熱傷に対する治癒効
果の飛躍的な改善をもたらす、フッ化水素酸化学熱傷を
治療するための治療用具、及びそのための治療用薬剤を
提供する。 【解決手段】 カルシウムイオンを用いてイオントフォ
レシスを行うことによりフッ化水素酸化学熱傷を治療す
るための治療用具であって、電源、カルシウムイオン溶
液を含有する皮膚接触部と接続させた陽電極、及び生理
食塩水を含有する皮膚接触部と接続させた陰電極から構
成される治療用具;並びにカルシウムイオンを含有す
る、イオントフォレシスによるフッ化水素酸化学熱傷の
治療用薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルシウムイオン
を短時間に容易に経皮吸収させることによって、フッ化
水素酸熱傷に対する治癒効果の飛躍的な改善をもたら
す、フッ化水素酸化学熱傷を治療するための治療用具、
及びフッ化水素酸化学熱傷の治療用薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ化水素酸は、金属表面の洗浄、ガラ
スエッチング工業などにおいて使用されている、皮膚及
び粘膜に対してきわめて強い刺激性と腐食性を有する、
無色の液体である。液が皮膚に付着すると、激しい疼痛
を伴った化学熱傷が引き起こされる。1〜2%の水溶液
が付着した場合は、直ちに疼痛が惹起されるわけではな
いが、数時間後に障害が現れ、救急にて受診する例が多
い。
【0003】フッ化水素酸による熱傷を受傷した場合、
特に濃フッ化水素酸による受傷の場合には皮膚角質層が
損傷を受けるため、外観上受傷部の判別も容易である。
しかしフッ化水素酸の一般的な用途では、希釈したフッ
化水素酸が用いられることが多く、この場合には外観
上、皮膚角質層の損傷部がはっきりとはわからない場合
もある。このように一見受傷したと思われないような場
合であっても、時間がたつにつれてフッ化水素酸が皮膚
深部に達することがフッ化水素酸熱傷の特徴とされてい
る。フッ化水素酸により受傷した場合、受傷部を直ちに
水洗処置することは勿論であるが、単なる水洗では、皮
膚表面のフッ化水素酸が洗浄されるのみであり、皮膚表
皮から浸入したフッ化水素酸は洗い落とされずに更に皮
膚に深く浸透する。フッ化水素酸が皮膚深部に達した場
合には、何らかの処置によりフッ化水素酸を中和するこ
とが必要であり、中和のために一般には塩化カルシウム
又はグルコン酸カルシウムゲルを塗布する治療が行われ
る。しかし、このような治療法では、皮膚角質層のバリ
ヤー機能のためにカルシウムの経皮吸収の効率は非常に
わるく、浸透したフッ化水素酸を中和することは一般に
困難である。一方、皮膚に塗布する処置ではなく、塩化
カルシウム又はグルコン酸カルシウム溶液を皮下注射す
る処置もまた行われているが、注射したカルシウムが局
在してしまうため効果は少なく、また穿刺による痛み
や、局所注入によりかえって組織の部分的な壊死が起き
てしまうなどの問題点が動物実験により確認されてい
る。上述のいずれの方法においても、治療効果は小さ
く、深達性フッ化水素酸熱傷に至った場合には、現在で
は外科的処置に頼らざるを得ない場合が少なくない。
【0004】一方、直流電流を用いた電気治療によりイ
オン化した薬剤を皮膚中に浸透させる方法であるイオン
トフォレシス(イオン浸透療法)は、従来、各種の薬剤
を経皮的に吸収させるために行われており(特開昭63
−283652号又は特開昭64-11565号を参
照)、具体的には局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗生物
質、化学療法剤、催眠・鎮静剤、鎮痛消炎剤、抗眩暈
剤、精神神経用剤、自律神経用剤、鎮痙剤、抗パーキン
ソン剤、不整脈剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去
痰剤、消化性潰瘍治療剤、副腎ホルモン剤、抗悪性腫瘍
剤などの薬剤をイオントフォレシスによって投与するこ
とができることが特開昭64-11565号に記載され
ている。しかし、カルシウムイオンを経皮吸収させるた
めにイオントフォレシスを行うことは従来行われていな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上述のような
欠点がなく、効果的にカルシウムイオンを経皮吸収させ
ることが可能であり、また受傷面積が広い場合、あるい
は手の指など複雑な形態の受傷に対しても適用が可能
な、フッ化水素酸化学熱傷を効果的に治療するための治
療用具及び治療剤の開発が最大の課題とされていた。本
発明者らは、カルシウムイオンの経皮吸収を促進すべく
鋭意探求した結果、直流電流を用いた電気治療によりイ
オン化した薬剤を皮膚中に浸透させる方法であるイオン
トフォレシス経皮吸収法により、低電圧、低電流にてカ
ルシウムイオンの経皮吸収を著しく促進することができ
ることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、カ
ルシウムイオンを用いてイオントフォレシスを行うこと
によりフッ化水素酸化学熱傷を治療するための治療用具
であって、電源、カルシウムイオン溶液を含有する皮膚
接触部と接続させた陽電極、及び生理食塩水を含有する
皮膚接触部と接続させた陰電極から構成される治療用
具、並びにカルシウムイオンを含有する、イオントフォ
レシスによるフッ化水素酸化学熱傷の治療用薬剤に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の治療用具及び治療用薬剤
に使用するカルシウムイオンとしては、溶解してカルシ
ウムイオンを解離し、また生体に無害である化合物であ
ればいかなるカルシウム塩化合物のイオンも使用するこ
とができ、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、エ
デト酸ニナトリウム・カルシウム、グリセロリン酸カル
シウム、乳酸カルシウム、L−アスパラギン酸カルシウ
ム、パントテン酸カルシウムなどのカルシウム塩化合物
のカルシウムイオンを挙げることができる。なかでも塩
化カルシウム及びグルコン酸カルシウムのカルシウムイ
オンを好ましく使用することができる。カルシウムイオ
ン溶液のカルシウムイオン濃度は、一般的には約0.1
〜1.0M、好ましくは約0.5Mである。カルシウムイ
オン溶液として塩化カルシウム溶液を用いる場合は、約
1.1〜11.1重量%、好ましくは約5.55重量%
の塩化カルシウム溶液を用い、グルコン酸カルシウム溶
液を用いる場合は、約5〜12重量%、好ましくは約
8.5重量%のグルコン酸カルシウム溶液を用いる。ま
た、カルシウムイオン溶液の溶媒としては、水、エタノ
ール/水混液(3:7〜7:3)などを用いることがで
きるが、なかでも水を用いるのが好ましい。
【0008】本発明のカルシウムイオンを用いてイオン
トフォレシスを行うことによりフッ化水素酸化学熱傷を
治療するための治療用具は、電源、カルシウムイオン溶
液を含有する皮膚接触部と接続させた陽電極、及び生理
食塩水を含有する皮膚接触部と接続させた陰電極を構成
要素として有し、ここでイオントフォレシスは、従来行
われている方法で行うことができる(例えば特開昭63
−283652号又は特開昭64-11565号に記載
されている方法)。具体的には、熱傷部位に適用するカ
ルシウムイオン溶液を含有させた、熱傷部位に応じた形
状のガーゼ又は脱脂綿のような媒質からなる皮膚接触部
に陽電極を接続固定することによって陽電極をカルシウ
ムイオン溶液と接触させ、また生理食塩水を含有させた
同様の媒質からなる皮膚接触部に陰電極を接続固定する
ことによって陰電極を生理食塩水と接触させ、その状態
で陽電極と接続させた皮膚接触部は熱傷部位の皮膚に、
陰電極と接続させた皮膚接触部は正常部位の皮膚に接触
させてその状態で電源から通電することによってイオン
トフォレシスを行う。ここで、正常部位の皮膚とは、熱
傷部位に対して隣接する位置にある部位の皮膚である。
【0009】ここで使用する電極としては、生体には無
害であり、電極として使用することができる金属であれ
ばいかなる金属も使用することができるが、なかでもア
ルミニウム、白金、銀などの電極、好ましくはアルミニ
ウム又は白金の電極を用いることができる。この電極
は、電極として使用するのに適した形状であればいかな
る形状のものも用いることができるが、熱傷の部位、大
きさ、形状に応じて適当な大きさ、形状のものを用いる
ことができ、特に箔又は薄片などの形状の、厚さ約0.
03〜0.07mmのものを好ましく使用することができ
る。
【0010】また本発明におけるイオントフォレシスの
条件としては、電圧は、約1.0〜4.5V(DC)、
好ましくは約1.5V(DC)、電流は、約0.1〜1
mA、好ましくは約0.2mAの条件で、イオントフォレシ
スを行う。通電時間は、約30〜90分、好ましくは約
60分間である。本発明では、このような低電圧、低電
流の条件下でイオントフォレシスを行うことによって、
カルシウムの経皮吸収を著しく促進することが可能であ
る。ただし上述したようなイオントフォレシスの条件
は、熱傷の状態など各種状況に応じて適宜変更すること
ができるのは当然のことである。
【0011】また本発明の、カルシウムイオンを含有す
る、イオントフォレシスによるフッ化水素酸化学熱傷の
治療用薬剤は、上述したように、溶解してカルシウムイ
オンを解離し、また生体に無害である化合物であればい
かなるカルシウム塩化合物も含有することができ、塩化
カルシウム、グルコン酸カルシウム、エデト酸ニナトリ
ウム・カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カ
ルシウム、L−アスパラギン酸カルシウム、パントテン
酸カルシウムなどのカルシウム塩化合物を挙げることが
できる。なかでもグルコン酸カルシウム(約5〜12重
量%、好ましくは約8.5重量%)又は塩化カルシウム
(約1.1〜11.1重量%、好ましくは約5.55重
量%)などのカルシウム塩化合物が好ましい。溶媒とし
ては、水、エタノール/水混液などを用いることがで
き、なかでも水を用いるのが好ましい。
【0012】上述したように、本発明の治療用具は、熱
傷部位の形状により種々の形態であることが可能であ
る。例えば、前腕等の比較的平坦な熱傷部位の場合は、
熱傷部位の大きさに切断したガーゼ又は脱脂綿などの媒
質からなる皮膚接触部に塩化カルシウム又はグルコン酸
カルシウムなどのカルシウムイオン溶液を適当量注入し
て含ませ、その面積とほぼ同じ面積の陽電極を該皮膚接
触部上に固定する。また別のガーゼ又は脱脂綿などの媒
質からなる皮膚接触部に生理食塩水を適当量注入して含
ませて、その上にやはりその面積とほぼ同じ面積の陰電
極を固定する。そしてこれらの電極を各皮膚接触部に接
続固定したまま、陽電極と接続した皮膚接触部は熱傷部
位の皮膚に、陰電極と接続した皮膚接触部は正常部位の
皮膚にあてて通電させる。また、手の指などの円筒状の
熱傷部位の場合は、熱傷の大きさ及び熱傷部位の屈曲面
に合わせた形状の電極を作ることも可能である。このよ
うに本発明の治療用具は、フッ化水素酸による不特定な
形状の熱傷部位に応用することができる。このように熱
傷部位に合わせた形状の電極を作製し、カルシウムイオ
ン溶液を含有させた熱傷部位に合わせた形状のガーゼ又
は脱脂綿などの媒質からなる皮膚接触部と組み合わせ、
上述したような条件で通電することにより、皮膚中に深
達したフッ化水素酸をカルシウムイオンで中和すること
ができる。
【0013】本発明の治療用具を使用する一例を図1に
示す。これは、指や腕などに本発明の治療用具を適用し
て、イオントフォレシスを行う一例である。カルシウム
イオン溶液を含有させたガーゼ(14)からなる皮膚接
触部に陽電極(11)を、電極固定粘着フィルム(1
6)を用いて接続固定し、また生理食塩水を含有させた
ガーゼ(15)からなる皮膚接触部に陰電極(12)
を、同様に電極固定粘着フィルム(17)を用いて接続
固定して、イオントフォレシスを行う。
【0014】
【実施例】以下の例においては、フッ化水素酸による化
学熱傷モデルを作成し、本発明の治療用具及び治療用薬
剤による化学熱傷に対する治癒効果を動物実験により確
認した。
【0015】例1 本例においては、本発明の治療用具及び治療用薬剤の皮
膚透過性を調べるための実験装置として、図2に示した
in vitro実験装置を用いた。ヌードラットから背部の皮
膚(24)を摘出し、上記の実験装置を用いて、イオン
トフォレシスを行った。カルシウム溶液としては、塩化
カルシウム水溶液(注射用5.55重量%)又はグルコ
ン酸カルシウム水溶液(8.5重量%)(21)を陽極
側に使用した。陰極側には生理食塩水(22)を使用し
た。リザーバーには、生理食塩水を入れておいた(2
8)。電圧は、3.0、6.0及び9.0V(DC)、
電流は2mAであり、通電時間は60分間としてイオント
フォレシスを行い、通電後のリザーバー中の生理食塩水
のカルシウムイオン濃度を測定して、イオントフォレシ
ス後のカルシウムイオンの皮膚透過性を検討した。また
コントロールの皮膚には、通電を行わなかった。この結
果、塩化カルシウム溶液を用いて60分間通電した皮膚
では、リザーバー中の生理食塩水中のカルシウム濃度の
著しい上昇が認められた一方、通電しなかったコントロ
ールの皮膚では、カルシウム濃度の上昇は認められず
(0〜0.2mg/dl程度)、イオントフォレシスを行う
ことによって、カルシウムの皮膚透過性が著しく上昇す
ることが証明された。結果を図2に示す。グルコン酸カ
ルシウム溶液の場合でも、塩化カルシウム溶液の場合よ
りもリザーバー中の生理食塩水のカルシウム濃度は低か
ったものの、コントロールに比してカルシウム濃度の著
しい上昇が認められた。
【0016】以下の例2〜6では、ウレタン麻酔を行っ
たヌードラット(7週齢雄性)を用い、その背部に電極
を貼付してイオントフォレシスを行って、フッ化水素酸
熱傷に対する塩化カルシウム及びグルコン酸カルシウム
の治癒効果を、イオントフォレシスを行わない場合と比
較して検討した。通電は、DC1.5V、電流は100
μAの条件で行った。60分後に通電を中止し、イオン
トフォレシス処理を行った熱傷部位の皮膚を摘出し、ホ
ルマリン固定し、病理組織を観察した。
【0017】例2 フッ化水素酸50μlを麻酔下のヘアレスラット背部に
直径約7mmになるようマイクロピペッターにて滴下し1
分後に水洗した後、60分経過後に熱傷部位の皮膚を摘
出し、ホルマリン固定した。摘出皮膚の表皮から真皮層
に至る皮膚組織の病理組織検査を行った。
【0018】例3 フッ化水素酸50μlを麻酔下のヘアレスラット背部に
直径約7mmになるようマイクロピペッターにて滴下し1
分後に水洗した後、8.5重量%グルコン酸カルシウム
水溶液を熱傷部位皮下に0.5ml注射による投与を行
い、60分経過後に熱傷部位の皮膚を摘出し、ホルマリ
ン固定した。摘出皮膚の表皮から真皮層に至る皮膚組織
の病理組織検査を行った。
【0019】例4 フッ化水素酸50μlを麻酔下のヘアレスラット背部に
直径約7mmになるようマイクロピペッターにて滴下し1
分後に水洗した後、5.55重量%塩化カルシウム水溶
液を熱傷部位皮下に0.5ml注射による投与を行い、6
0分経過後に熱傷部位の皮膚を摘出し、ホルマリン固定
した。摘出皮膚の表皮から真皮層に至る皮膚組織の病理
組織検査を行った。
【0020】例5 フッ化水素酸50μlを麻酔下のヘアレスラット背部に
直径約7mmになるようマイクロピペッターにて滴下し1
分後に水洗した後、8.5重量%グルコン酸カルシウム
水溶液を0.7ml含むガーゼ(直径1.5cmの円形)
に、アルミニウムの陽電極(面積1.7cm2、厚さ0.
06mm)を取り付け、熱傷モデル部位に固定した。一
方、陰極については、陽極についてと同様に、ガーゼ
(直径1.5cmの円形)に生理食塩水0.7mlをしみ込
ませ、アルミニウムの陰電極(面積1.7cm2、厚さ
0.06mm)をガーゼに取り付け、正常皮膚に固定し
た。電圧1.5Vの直流を60分間通電した。その後、
熱傷部位の皮膚を摘出し、ホルマリン固定した。摘出皮
膚の表皮から真皮層に至る皮膚組織の病理組織検査を行
った。
【0021】例6 フッ化水素酸50μlを麻酔下のヘアレスラット背部に
直径約7mmになるようマイクロピペッターにて滴下し1
分後に水洗した後、5.55重量%塩化カルシウム水溶
液を0.7ml含むガーゼ(直径1.5cmの円形)に、ア
ルミニウムの陽電極(面積1.7cm2、厚さ0.06m
m)を取り付け、熱傷モデル部位に固定した。一方、陰
極については、陽極についてと同様に、ガーゼ(直径
1.5cmの円形)に生理食塩水0.7mlをしみ込ませ、
アルミニウムの陰電極(面積1.7cm 2、厚さ0.06m
m)をガーゼに取り付け、正常皮膚に固定した。電圧
1.5Vの直流を60分間通電した。その後、熱傷部位
の皮膚を摘出し、ホルマリン固定した。摘出皮膚の表皮
から真皮層に至る皮膚組織の病理組織検査を行った。
【0022】例2〜6の結果を以下の表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】フッ化水素酸による化学熱傷の治療のため
に、塩化カルシウムあるいはグルコン酸カルシウムなど
のカルシウムイオン溶液のイオントフォレシスによる経
皮吸収を行うことにより、フッ化水素酸の深達性が著し
く抑制され、皮下組織の壊死が観察されなくなり、すぐ
れた治療効果が得られることが明かとなった。本発明に
より、フッ化水素酸による化学熱傷に対して極めて有用
な治療用具及び治療用薬剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の治療用具を用いたイオントフォレシス
の一例を示す。
【図2】In vitro実験装置を示す。
【図3】イオントフォレシスによるカルシウム皮膚透過
性を示す。
【符号の説明】
11.陽電極;12.陰電極;13.電源;14.カル
シウムイオン溶液を含ませたガーゼ;15.生理食塩水
を含ませたガーゼ;16.電極固定粘着フィルム;1
7.電極固定粘着フィルム;18.電流計;19.電圧
計;21.カルシウム溶液;22.生理食塩水;23.
撹拌子;24.ラットから摘出した皮膚;25.サンプ
リング口;26.温水;27.スターラー;28.リザ
ーバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C053 HH02 HH04 4C086 AA01 AA02 HA04 MA01 MA04 MA63 NA11 ZA89 4C206 AA01 AA02 DA36 MA01 MA83 NA11 ZA89

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムイオンを用いてイオントフォ
    レシスを行うことによりフッ化水素酸化学熱傷を治療す
    るための治療用具であって、電源、カルシウムイオン溶
    液を含有する皮膚接触部と接続させた陽電極、及び生理
    食塩水を含有する皮膚接触部と接続させた陰電極から構
    成される治療用具。
  2. 【請求項2】 カルシウムイオンが、塩化カルシウム又
    はグルコン酸カルシウムのカルシウムイオンである、請
    求項1に記載の治療用具。
  3. 【請求項3】 カルシウムイオンを含有する、イオント
    フォレシスによるフッ化水素酸化学熱傷の治療用薬剤。
  4. 【請求項4】 カルシウムイオンが、塩化カルシウム又
    はグルコン酸カルシウムのカルシウムイオンである、請
    求項3記載の治療用薬剤。
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