JP2002065277A - 変異型bcrpタンパク質 - Google Patents
変異型bcrpタンパク質Info
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Abstract
し、化学療法をより効果的なものにする。 【解決手段】 BCRPタンパク質の第5膜貫通領域におい
て、野生型BCRPタンパク質のアミノ酸配列に対して1個
又は複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加からなる変異
を有することを特徴とする、変異型BCRPタンパク質、又
は上記変異を含む断片を提供する。
Description
ク質に関し、更に詳細には抗癌剤等の薬剤耐性の低下し
た変異型BCRPタンパク質に関する。
広く行われている化学療法において、抗癌剤に対する耐
性は臨床的に重要な問題の一つである。抗癌剤耐性に関
与するタンパク質として、P-糖タンパク質やMRP1等の種
々のABC(ATP結合カセット)タンパク質ファミリーが知
られている。これらのタンパク質は、抗癌剤を細胞外に
排出することによって、耐性に関与することが報告され
ている(Bradley, G.ら、Biochim. Biophus. Acta, 94
8:87-128, 1988;Zaman,G.J.R.ら、Proc. Natl. Acad.
Sci. U.S.A., 91:8822-8826, 1994)。
のメンバーであるBCRPタンパク質(ABCPタンパク質と称
される場合もある)が、薬剤耐性において重要な機能を
有していることが報告された。このタンパク質は、胎盤
で高い発現を示すABCトランスポーターであり、トポII
阻害剤であるメトトレキセートへの暴露によって選択し
た多くの耐性細胞系で過剰発現し(Ross, D.D.ら、J. N
atl. Cancer Inst., 91:429-433, 1999;Miyake, K.
ら、Cancer Res.,)、またメトトレキセートに対する耐
性を有するこれらの細胞系は、SN-38及びミトキサント
ロン等の他の抗癌剤に対しても交差耐性を示すことが報
告されている(Maliepaard, M.ら、CancerRes., 59, 45
59-4563, 1999)。
に、655個のアミノ酸からなり、6個の膜貫通領域を
有している。上記P-糖タンパク質が同じ構造のドメイン
を2個有する2unit型タンパク質であるのに対し、BCRP
タンパク質は1unit型であり(図1)、その機能発現に
は2分子のBCRPタンパク質が必要である可能性も考えら
れる。
独立した2つの研究グループにより報告されている。AB
CPと名付けられた遺伝子はGenBankのaccession number
AF103796に登録されており、Allikmets, R.ら、Cancer
Res. 58(23), 5337-5339 (1998)等に発表されている。
一方、BCRPと名付けられた遺伝子はGenBankのaccession
number AF098951に登録されており、Doyle, L.A.ら、P
roc. Natl. Acad. Sci.U.S.A. 95(26), 15665-15670 (1
998)等に発表されている。
現れた場合、癌に対する化学療法を成功させるために
は、上記耐性のメカニズムを解明し、それを克服するた
めの手段をとることが必要である。例えば抗癌剤耐性に
関与するタンパク質としてよく知られているP-糖タンパ
ク質の場合には、その薬剤排出機能に対する阻害剤を使
用すること等によって耐性に対抗し得ることが報告され
ている(Tsuruoら、Cancer Res. 41:1967-1972(199
8))。
は、その性状や機能が解明されつつある段階であり、BC
RPタンパク質の関与する抗癌剤耐性の克服については、
未だ十分検討されていなかった。また、BCRPタンパク質
の示す耐性が、抗癌剤だけでなく、他の薬剤耐性に関与
する可能性もあると考えられる。従って、化学療法をよ
り効果的なものにするために、BCRPタンパク質の関与す
る薬剤耐性を克服する手段が必要とされている。
BCRPタンパク質の機能を詳細に検討するために、遺伝子
組換え技術等を使用してBCRPタンパク質の種々の変異体
を作製し、野生型及び変異型のBCRPタンパク質を発現ベ
クターに組み込み、マウス等の宿主細胞で発現させてそ
の変異と機能との関連を検討した。その結果、BCRPタン
パク質のN末端から5番目の膜貫通領域(アミノ酸547
番目から566番目までの20アミノ酸と推定されている)
において変異が生じた変異型BCRPタンパク質を導入した
細胞において、野生型BCRPタンパク質が導入された細胞
において観察された抗癌剤耐性が見られないことを見出
した。このことは、第5膜貫通領域において変異が生じ
たBCRPタンパク質は抗癌剤耐性が低下していることを示
す。これにより、こうした変異型BCRPタンパク質を、遺
伝子治療等の方法により、薬剤耐性を示す患者及び薬剤
耐性の予想される患者に対する治療において、抗癌剤等
の薬剤と組み合わせて、又は単独で使用することができ
る。
3)を提供する。 (1) BCRPタンパク質の第5膜貫通領域において、野
生型BCRPタンパク質のアミノ酸配列に対して1個又は複
数のアミノ酸が欠失、置換又は付加からなる変異を有す
ることを特徴とする、変異型BCRPタンパク質、又は上記
変異を含む断片。 (2) 上記変異が1個のアミノ酸の置換である、上記
(1)に記載の変異型BCRPタンパク質、又は上記変異を
含む断片。 (3) 上記置換が野生型BCRPタンパク質のアミノ酸配
列における554番目の残基における置換である、上記
(2)に記載の変異型BCRPタンパク質、又は上記変異を
含む断片。
記(3)に記載の変異型BCRPタンパク質、又は上記変異
を含む断片。 (5) 薬剤に対する耐性が低下したものである、上記
(1)から(4)のいずれかに記載の変異型BCRPタンパ
ク質、又は上記変異を含む断片。 (6) 上記野生型BCRPタンパク質が配列番号1に示す
塩基配列でコードされたものである、上記(1)から
(5)のいずれかに記載の変異型BCRPタンパク質、又は
上記変異を含む断片。 (7) 上記野生型BCRPタンパク質が配列番号2に示す
アミノ酸配列からなるものである、上記(1)から
(5)のいずれかに記載の変異型BCRPタンパク質、又は
上記変異を含む断片。
に記載の変異型BCRPタンパク質をコードしてなる遺伝子
又はその断片。 (9) 上記(8)に記載の遺伝子を含有する発現ベク
ター。 (10) 上記発現ベクターが、レトロウイルス、アデ
ノウイルス、又はリポソームである、上記(9)に記載
の発現ベクター。
の発現ベクターを含んでなる医薬。 (12) 配列番号1に示す塩基配列である野生型BCRP
遺伝子。 (13) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、野
生型BCRPタンパク質。
細胞を用い、ヒト胎盤で高い発現を示すBCRPタンパク質
の遺伝子を導入し、in vitroでの抗癌剤耐性を確立させ
た。尚、本発明の実施において、PCR(ポリメラーゼ連
鎖反応)、制限酵素によるDNAの切断、プラスミドベク
ターへのサブクローニング、大腸菌等の宿主細胞の形質
転換、塩基配列決定等の基本的な遺伝子工学・生化学的
操作については、例えば村松正實編、ラボマニュアル遺
伝子工学増補版(丸善、1990)などに記載の一般的な方
法に従って行えば良く、特に限定されるものではない。
CP)の全長cDNA配列をもとに設計したプライマーを用い
て、PCRによってBCRP cDNAを増幅し、単離した。得られ
た野生型遺伝子を発現ベクターに組み込み、適当な宿主
細胞に導入する。
は、例えばAusubelら(Current Protocols in Molecula
r Biology, Wiley Interscience, New York, New York,
1987)に記載されたものが挙げられ、特に限定される
ものではなく、使用する宿主細胞によって選択し得る。
上記発現ベクター中には、細胞内における該遺伝子の転
写を促進するプロモーター配列等の調節配列、複製開始
点、選択マーカーをコードする遺伝子等を有していても
良い。
ポリペプチドを産生するために導入し得る宿主細胞とし
ては、例えば大腸菌のような原核生物の細胞、例えば酵
母、昆虫、哺乳動物の培養細胞のような真核生物の細胞
が挙げられる。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する
ための方法は当該分野において公知である。例えば上記
Ausubelらに記載の形質転換法、リン酸カルシウム沈降
法、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーシ
ョン法、リポフェクション法、感染などが挙げられる。
coli)の場合、発現ベクターとして、pHa-IRES-DHFRプ
ラスミドベクター(Zhangら、Methods in Enzymology 2
92:474-480(1998))、プラスミドベクターpET-3(Rosen
berg, A. H. et al., Gene 56, 125-35 (1987))、pGEX
-1(Smith, D. B. and Johnson, K. S., Gene 67, 31-4
0 (1988))などが用いられる。大腸菌の形質転換は、Ha
nahan法(Hanahan, D.,J. Mol. Biol.166, 557-580 (19
83))、エレクトロポレーション法等で行う。酵母の形
質転換は、例えば、スフェロプラスト法、酢酸リチウム
法等により行なわれる。
スPA317細胞、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞CH
O、ヒトHeLa細胞などの場合、pMSG(クロンテク社)な
どのベクターが用いられる。ほ乳動物細胞への組換えDN
Aの導入は、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン
法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等
で行われる。宿主が昆虫細胞の場合には、バキュロウイ
ルスベクターpBacPAK8/9(クロンテク社)などが用いら
れる。昆虫細胞の形質転換は、例えば、バイオ/テクノ
ロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1980)などに記載
の方法に従って行うことができる。
7細胞に発現させたところ、形質転換された細胞がSN-3
8、ミトキサントロンに対して耐性になることが観察さ
れた(図2)。この耐性は、N末端にHAタグ、Myc
タグ等のタグを結合させて融合タンパク質の形態で発現
させても同じであった。得られた抗癌剤耐性細胞をMycA
BCPと命名した。
ダムに突然変異を導入した。突然変異変異としては、コ
ードされるタンパク質において1個又は複数のアミノ酸
が欠失、置換又は付加された変異が含まれる。変異型BC
RP遺伝子及びタンパク質を得る方法は当分野において公
知の方法を用いれば良く、特に限定するものではない
が、簡便であること、ランダムに突然変異が入るので導
入される変異に偏りがないこと、分子あたりの突然変異
の数を制御可能であることなどから、PCRを用いる方法
が好ましい。種々の変異を導入した変異型BCRP遺伝子
を、野生型BCRPタンパク質を発現するようになった抗癌
剤耐性細胞MycABCPに、同様にして導入する。導入され
た細胞におけるタンパク質の発現は、ウエスタンブロッ
ト等によって確認する。
RP遺伝子を導入した各細胞において、SN-38、ミトキサ
ントロン等の抗癌剤を添加し、耐性の強さを検討した。
具体的には、抗癌剤耐性細胞MycABCPに変異型BCRP遺伝
子を導入後にメトトレキセートで選択して得られた細
胞、親株の耐性細胞MycABCP、及び感受性細胞PA317を、
種々の濃度のSN-38又はミトキサントロンの存在下で培
養した。抗癌剤添加6日後の細胞数を計測し、抗癌剤に
対する感受性を調べた。
域において、野生型BCRPタンパク質のアミノ酸配列に対
して1個又は複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加から
なる変異を有する変異型BCRPにおいて、抗癌剤耐性が顕
著に低下することが示された。薬剤耐性に関与するタン
パク質において、変異型タンパク質の共存によって阻害
効果が示された報告はこれまでになく、この結果は予想
外のものであった。変異は、第5膜貫通領域内における
ものであれば良く、部位及び変異の種類が特に限定され
るものではないが、好ましくは1個のアミノ酸の置換で
ある。より好ましくは、この置換は野生型BCRPタンパク
質のアミノ酸配列における554番目の残基における置換
である。さらに好ましくは、この置換は野生型BCRPタン
パク質のアミノ酸配列における554番目の残基における
ロイシンからプロリンへの置換(Leu554Pro)である。
また、該変異型タンパク質は、第5膜貫通領域以外にも
別の変異を有するものであっても良い。
剤耐性を示す細胞において、上記変異型BCRPタンパク
質、又は上記変異を含む断片を共存させることにより、
同細胞の薬剤耐性を低下させることができる。断片とし
ては、上記変異を含む、アミノ酸30個以上の断片であ
るのが好ましい。また、対象となる薬剤は、SN-38、ミ
トキサントロン、イリノテカン等の抗癌剤等の薬剤が挙
げられる。従って、本発明に係るタンパク質、又は上記
変異を含む断片を、薬剤耐性克服のための医薬として使
用することができる。
する遺伝子又はその断片を用い、遺伝子治療に利用する
ことも可能である。断片としては、発現するポリペプチ
ドが上記変異を含むような、90個以上の塩基であるこ
とが好ましい。遺伝子治療に用いる場合には、ヒト細胞
への遺伝子導入のために、発現ベクターとして、レトロ
ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、リポソー
ムなどを用いる方法が用いられる。
の生じた当該薬剤、特に抗癌剤と組み合わせて、又は単
独で、上記タンパク質若しくは上記変異を含む断片、上
記遺伝子若しくはその断片を投与するものが挙げられ
る。対象疾患としては、白血病、リンパ腫、乳癌及び肺
癌等の癌等が挙げられ、これらの治療のために、薬剤耐
性となった患者、又は薬剤耐性となるおそれのある患者
に対して投与することができる。また、上記必須成分の
他、製薬上許容される担体、賦形剤、緩衝剤等の医薬に
おいて通常使用される成分を適宜含ませることができ
る。患者への投与法としては、骨髄移植、皮下注射、静
脈注射などが用いられる。投与量は、患者の年齢、性
別、体重、疾患の程度などに応じて、適宜決定される。
は、Clontech社のHuman placenta Marathon-ready cDNA
を鋳型とし、ヒトBCRP cDNAの5’側のプライマー1S
(CCTGAGATCCTGAGCCTTTGGTT:配列番号7)、及び3’
側のプライマー5AS(GATGGCAAGGGAACAGAAAACAACA:配列
番号8)の2本のオリゴヌクレオチドをプライマーとし
て、Clontech社のAdvantage cDNA PCR kitを用いて、9
4℃で1分間の反応を1回行った後、94℃で30秒
間、68℃で3分間の反応を35回繰り返し、最後に9
4℃で30秒間、68℃で15分間の反応を1回行い、
約2150bpの増幅されたcDNAを得た。
ン社)にサブクローニングしてPerkin Elmer社のABI PR
ISM 377 DNA Sequencerを用いて塩基配列を決定した。
独立した4個のクローンの塩基配列を決定し、PCRによ
る変異と推定される部分は除いて、本遺伝子のコーディ
ング領域の塩基配列(配列番号1)と、それから推定さ
れるアミノ酸配列(配列番号2)を決定した。これらの
配列を、本明細書において、それぞれ野生型BCRPの塩基
配列及びアミノ酸配列とする。得られたBCRP遺伝子の塩
基配列は、従来報告されていた配列と相違していること
が見出された。この野生型BCRPの塩基配列と、GenBank
にaccession number AF103796として登録されているABC
Pの配列、及びaccesion number AF098951として登録さ
れているBCRPの配列の相違点を表1に示した。
を入れるために、2度目のPCRを行った。2度目のPCRで
は、上記のPCR反応で得られたヒトBCRP cDNAを鋳型と
し、5’側のプライマー5HA-204S(CCCCGCGGCATGTACCCA
TACGACGTCCCAGACTACGCTATGTCTTCCAGTAATGTCGAAGTTTTTAT
CCCAGTGTC:配列番号9)及び3’側のプライマー8AS
(CGCCTCGTGGATGGCAAGGGAACAGAAAACAACA:配列番号1
0)の2本のオリゴヌクレオチドをプライマーとして、
Clontech社のAdvantage cDNA PCR kitを用いて、94℃
で1分間の反応を1回行った後、94℃で30秒間、6
8℃で3分間の反応を35回繰り返し、最後に94℃で
30秒間、68℃で15分間の反応を1回行い、約2200
bpの増幅されたcDNAを得た。
の制限酵素で切断後、SstII及びXhoIで切断したpHa-IRE
S-DHFRプラスミドベクター(Zhangら、Methods in Enzy
mology 292:474-480(1998))とT4 DNA ligaseを用いて
ライゲーションした。このライゲーション反応液を用い
てE.coli DH5α(ギブコ社)を形質転換し、pHa-IRES-D
HFRプラスミドベクターのSstII部位とXhoI部位の間にBC
RP cDNAが挿入されたクローンを多数得た。E.coliを培
養してプラスミドを精製し、Perkin Elmer社のABI PRIS
M 377 DNA Sequencerを用いてpHa-IRES-DHFRプラスミド
ベクターに挿入されたBCRP cDNAの塩基配列を決定し
た。
であるクローン15の塩基配列を配列番号3(5'末端の30
個はHAエピトープであり、31個目以降がBCRP遺伝
子)、推定されるアミノ酸配列を配列番号4(N末端の
10個はHAエピトープであり、11個目以降がBCRPアミノ
酸配列)に示す。BCRP cDNAクローン15は、野生型BCRP
に比して、233番目のリシンがアルギニンに、418番目の
アスパラギンがセリンに、554番目のロイシンがプロリ
ンに、と3個のアミノ酸置換が起こっていた(図1)。
このうち554番目の変異はBCRPタンパク質の第5膜貫通
領域における変異であった。
リンに変異したBCRP cDNAクローン15Bの作製 HAタグで標識した野生型BCRP cDNA(配列番号1)をM
scI部位で切断し、5’側の断片を得た。次にBCRP cDNA
クローン15(配列番号3)のcDNAをMscI部位で切断し、
3’側の断片を得た。この両断片をライゲーションし、
pHa-IRES-DHFRプラスミドベクターのSstII部位とXhoI部
位の間に挿入した。このBCRP cDNAクローン15Bの塩基配
列を配列番号5(5'末端の30個はHAエピトープであ
り、31個目以降がBCRP遺伝子)、推定されるアミノ酸配
列を配列番号6(N末端の10個はHAエピトープであ
り、11個目以降がBCRPアミノ酸配列)に示す。
5及び15Bの導入と発現による野生型BCRPの抗癌剤耐性の
克服 マウスPA317細胞にMycタグで標識した野生型BCRP cDNA
をトランスフェクトしてBCRPを発現するようになった抗
癌剤耐性細胞MycABCPに、pHa-IRES-DHFRプラスミドベク
ターのSstII部位とXhoI部位の間にBCRP cDNAクローン15
又は15Bが挿入されたプラスミドをリン酸カルシウム法
を用いてトランスフェクションした。遺伝子導入後の細
胞を120ng/mlのメトトレキセートで選択し、導入遺伝子
を発現している細胞を得た。
キセートで選択して得られた細胞をMyc-15/MTX、MycABC
Pにクローン15Bを導入後にメトトレキセートで選択して
得られた細胞をMyc-15B/MTXと名付けた。これらの細胞
及び親株の耐性細胞MycABCP、感受性細胞PA317を、種々
の濃度のSN-38又はミトキサントロンの存在下で培養し
た。抗癌剤添加6日後の細胞数を計測し、抗癌剤に対す
る感受性を調べた。その結果、MycABCPはPA317に比して
SN-38及びミトキサントロンに対する耐性を示したが、M
yc-15/MTX及びMyc-15B/MTXでは、MycABCPの抗癌剤耐性
が顕著に低下し、ほとんどPA317に近い抗癌剤感受性を
示した(図2)。BCRP cDNAクローン15Bでは、554番目
のロイシンがプロリンに変異しているが、このアミノ酸
はBCRPの推定される構造では5番目の膜貫通領域の中に
あり、この領域がBCRPの抗癌剤耐性の克服に有用である
と考えられる。
ンパク質の関与する薬剤耐性を克服し、化学療法をより
効果的なものにすることができる。
B/MTXの導入により感受性細胞と同程度に抗癌剤耐性が
低下することを示す。
Claims (13)
- 【請求項1】 BCRPタンパク質の第5膜貫通領域におい
て、野生型BCRPタンパク質のアミノ酸配列に対して1個
又は複数のアミノ酸が欠失、置換又は付加からなる変異
を有することを特徴とする、変異型BCRPタンパク質、又
は上記変異を含む断片。 - 【請求項2】 上記変異が1個のアミノ酸の置換であ
る、請求項1に記載の変異型BCRPタンパク質、又は上記
変異を含む断片。 - 【請求項3】 上記置換が野生型BCRPタンパク質のアミ
ノ酸配列における554番目の残基における置換である、
請求項2に記載の変異型BCRPタンパク質、又は上記変異
を含む断片。 - 【請求項4】 上記置換がLeu554Proである、請求項3
に記載の変異型BCRPタンパク質、又は上記変異を含む断
片。 - 【請求項5】 薬剤に対する耐性が低下したものであ
る、請求項1から4のいずれか1項に記載の変異型BCRP
タンパク質、又は上記変異を含む断片。 - 【請求項6】 上記野生型BCRPタンパク質が配列番号1
に示す塩基配列でコードされたものである、請求項1か
ら5のいずれか1項に記載の変異型BCRPタンパク質、又
は上記変異を含む断片。 - 【請求項7】 上記野生型BCRPタンパク質が配列番号2
に示すアミノ酸配列からなるものである、請求項1から
5のいずれか1項に記載の変異型BCRPタンパク質、又は
上記変異を含む断片。 - 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項に記載の
変異型BCRPタンパク質をコードしてなる遺伝子又はその
断片。 - 【請求項9】 請求項8に記載の遺伝子又はその断片を
含有する発現ベクター。 - 【請求項10】 上記発現ベクターが、レトロウイル
ス、アデノウイルス、又はリポソームである、請求項9
に記載の発現ベクター。 - 【請求項11】 請求項9又は10に記載の発現ベクタ
ーを含んでなる医薬。 - 【請求項12】 配列番号1に示す塩基配列である野生
型BCRP遺伝子。 - 【請求項13】 配列番号2に示すアミノ酸配列からな
る、野生型BCRPタンパク質。
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