JP2002065207A - 高血糖状態により引き起こされる症状を改善する食品 - Google Patents

高血糖状態により引き起こされる症状を改善する食品

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JP2002065207A
JP2002065207A JP2000262621A JP2000262621A JP2002065207A JP 2002065207 A JP2002065207 A JP 2002065207A JP 2000262621 A JP2000262621 A JP 2000262621A JP 2000262621 A JP2000262621 A JP 2000262621A JP 2002065207 A JP2002065207 A JP 2002065207A
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Shigetaka Okada
岡田茂孝
Takashi Yonetani
俊 米谷
Takahisa Nishimura
隆久 西村
Takashi Nakae
貴司 中江
Hiroshi Takii
寛 滝井
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Ezaki Glico Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来の嗜好を維持しつつ高血糖状態により引き
起こされる症状を改善する食品を提供する。 【構成】グリチルリチンおよびその類縁体であるグリチ
ルレチン酸モノグルクロン酸などのテルペン配糖体、ネ
オヘスペリジンジヒドロカルコンなどのフラボノイド系
配糖体、ハイドロキノン-α-グルコサイドやアルブチン
などのフェノール性配糖体を少なくとも1種類食品中に
配合することにより目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖質の過剰摂取に伴う
高血糖状態により引き起こされる疾患、例えば肥満症、
糖尿病などの予防または治療を目的とした健康志向の食
品素材、または飲食品に関わる。特に、糖尿病患者およ
び疑糖尿病患者(糖尿病を強く疑われるいわゆる予備
軍)が手軽に常用することができ、結果として血糖値を
降下、安定させる作用を有する食品に関する。その本体
は、消化管からの糖質の吸収を抑制させる物質、特に甘
草から抽出されたグリチルリチンおよびその類縁体であ
るグリチルレチン酸モノグルクロン酸などのテルペン配
糖体、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンなどのフラボ
ノイド系配糖体、ハイドロキノン-α-グルコサイドやア
ルブチンなどのフェノール性配糖体を必須有効成分とし
て含有するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、他の先進国同様
わが国でも飽食と運動不足に伴うカロリーの過剰摂取に
よる肥満症、糖尿病の罹病が問題として挙げられてい
る。肥満症については欧米で問題となるような重篤なも
のは極めて少ないので、当面問題となるのは糖尿病であ
る。1997年の厚生省による糖尿病実態調査による
と、日本の糖尿病患者は推計で690万人、糖尿病を疑
われる「予備軍」を含めると1370万人、国民の約10
%にも達する。糖尿病は自覚症状が出にくいために治療
が遅れ、深刻な合併症を引き起こすといわれているが、
今回の調査でも「糖尿病が強く疑われる」と判定された
人のうち治療を受けている人は半数以下にとどまってい
ることが明らかになっている。1990年の調査に基づ
いた推計患者数が566万人だったことを考えれば、7
年間で130万人も増えたことになる。そして、欧米化
する食生活や運動不足などの生活習慣によって発症する
人が今後も増え続けると懸念されている。糖尿病は早期
に発見し適切な治療を続ければ合併症を防止できるが、
逆に、「自覚症状がないから」と治療を中断したりする
と、しびれ、痛みなどの神経障害、白内障、網膜症、腎
症、足壊疽(えそ)などの合併症を起こす。急増する患
者数とその重篤さを考えると非常に重大な問題である。
【0003】糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓ラン
ゲルハンス島β細胞の異常やその他の組織のインスリン
感受性低下などにより、絶対的または相対的にインスリ
ンが不足することによって起こる疾患である。このよう
な疾患、特に重症者に対する治療としては、インスリン
注射や血糖降下剤の経口投与によって血中のインスリン
量を調節する方法が挙げられるが、これらの方法には副
作用が伴い、またその投与にあたっては医師の処方や指
導によらなければならない。そのため、特に比較的軽度
な糖尿病患者および疑糖尿病患者(糖尿病を強く疑われ
るいわゆる予備軍)に対しては、もっと手軽でかつ根本
的な治療法が求められているのが現状である。しかしな
がら、現在のところ、その治療法としては日常生活にお
いて食事摂取カロリー量を制限したり、運動量を増やし
たりすることしか効果的な方法がないといわれている。
しかも、カロリー制限や日々の運動の習慣をきちんと守
れない患者が多いことも事実である。特に、食事療法に
おいては、厚生省が認めている特別用途食品の糖尿病食
調整用組合わせ食品があるが、これはいわゆる低カロリ
ーの栄養バランス食品であるにすぎない。そこで、糖尿
病患者に対し、従来の嗜好を満足させつつ、症状を改善
する食品素材が求められ、多岐にわたり研究が進められ
ているのが現状である。
【0004】
【従来の技術】糖尿病の予防または治療には、甘味は維
持しながらもカロリー源の供給量を減らすことが考えら
れる。そのため、カロリー源のひとつである蔗糖などの
糖質に代わる低カロリー甘味料が開発されてきた。これ
らは蔗糖と同様の甘味をもちながらはるかに低カロリー
であるか、蔗糖よりも強い甘味を持つためその使用量が
少なく、それゆえ、摂取カロリーを減らし得るものであ
る。これらの例として、難消化性あるいは低消化性のオ
リゴ糖であるフラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖な
ど、あるいはデンプン加水分解物や他のオリゴ糖の糖ア
ルコール類(例えば、マルチトールやマルトオリゴ糖の
糖アルコール類、イソマルトースとそのオリゴ糖の糖ア
ルコール類、還元パラチノースやラクチトール)、高甘
味度の甘味料であるアスパルテームやステビオサイドな
どが提案されている。
【0005】これらは難消化性、低消化性のため、ま
た、高甘味度で使用量が少ないため、血糖値の上昇が少
ない甘味料として使用されている。しかし、これら血糖
値の上昇が少ない甘味料として使用されていた難消化性
あるいは低消化性のオリゴ糖は、使用量を誤ると下痢を
誘発しやすいなどの欠点がある。さらに、嗜好性、物理
化学性、摂取制限などにより、これら低カロリー甘味料
または高甘味度の甘味料が広く糖尿病患者向けの食品に
利用されるには至っていない。
【0006】また、摂取後の糖質に対し、その消化管か
らの吸収を抑制することにより、糖尿病の予防または治
療をしようという試みもなされてきた。そして植物(ギ
ムネマ・シルベスタ)由来の糖質の吸収を抑制する成分
であるギムネマ酸(上野学、月刊フードケミカル,19
93−12,pp.21−26)およびこれを用いた血
糖値上昇抑制を目的とする飲食物が、特開昭61−50
23号公報、特開昭63−208532号公報に提案さ
れている。しかしながら、ギムネマ酸は、糖質の吸収作
用を抑制するだけでなく、甘味を減じる作用もあり、例
えば、砂糖を舐めても砂を舐めているようなざらざらと
した不快感があること、さらに、舐めてから1〜2時間
もその作用が継続することから食品素材として幅広く利
用するには大きな欠点があった。
【0007】食物繊維も疫学的な研究を通して、例えば
大豆繊維では耐糖改善作用のあることの報告がある(Pr
ogress in Food and Nutrition,vol.11,p113-174 198
7)。また、肥満や糖尿病の予防あるいは治療用途とし
て、食品素材に食物繊維源の原材料として、グルコマン
ナン、カラギ−ナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチ
ン、セルロ−ス等の水溶性あるいは水不溶性の多糖類、
小麦、大麦、ハト麦、とうもろこし、大豆等の穀類の胚
芽や外皮(いわゆる、ふすま)、海草類、野菜類、芋類
等食物繊維を含有させた健康食品も提案されている(特
開昭63−254961号公報)。このように、食物繊
維の多い炭水化物を増やした食事を摂取すると、腸から
の栄養素の吸収が穏やかになり、食後の血糖値の上昇を
抑制し、インスリン分泌を低く抑えることができ、肥満
・糖尿病等の成人病の予防になることが報告されている
〔Dr.Denis Burkitt著「Don't forget fibre in your d
iet (日本語訳;昭和58年5月25日中央公論社発行
の“食物繊維で現代病は予防できる”125−137
頁)」、昭和57年5月15日第一出版株式会社発行の
著書「食物繊維」271−286頁参照〕。しかしなが
ら、食物繊維は食品に添加すると粘度を上昇させ、食品
の口当たりなどの食感を損なうという欠点がある。した
がって、例えば、コーヒーやジュースなどの飲料には用
いることはできない<特開平6-62799>。
【0008】また近年、α−グルコシダーゼ阻害剤を投
与すると、小腸の微絨毛に局在するα−グルコシダーゼ
を阻害し、食後の血糖値の上昇を抑え、それに伴う血中
インスリンの上昇を抑制することが知られている(例え
ば、特開昭52−122342号公報DIABETIC MEDCIN
E, 1993;10:688-693,134-138, Am,J.Clin.Nutr.1992;5
5:318S-9S 、 特開昭57−200335号公報、Am,J.
Clin.Nutr.1992;55:314S-7S 、 特開昭57−5981
3号公報参照)。このようなα−グルコシダーゼ阻害剤
のうち、例えば、アカルボース(バイエル社製、商品名
Gulcobay(グルコバイ))およびボグリボース(武田薬
品社製、商品名ベイスン)などが経口血糖低下薬として
通常使用されている。しかしながら、これらの阻害剤
は、多糖類の体内への吸収は抑制できるが、グルコース
などの単糖類の吸収は抑制できないため、顕著な糖吸収
抑制効果は期待できない。また、その使用目的と薬効発
現が患者によって異なることや副作用の問題があること
から、医師の管理下において厳格に処方されなければな
いため、容易に入手できないのが現状である。(特開平
9-104624参照)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況下になされたものであり、マイルドに血糖値を下げ、
副作用の少ない食品素材を提供することを課題とする。
本発明者らは、天然に存在する各種成分の中から、糖質
負荷後の血糖値上昇抑制効果を有する物質を検討し、そ
の糖吸収の阻害・遅延効果について実験動物を用いて詳
細に研究した。その結果、意外にも甘草に含まれるグリ
チルリチンをはじめとする数種の配糖体にin vivoにお
いて顕著に血糖値上昇抑制作用があることを見いだし
た。さらに、本発明者らは、糖尿病患者および疑糖尿病
患者(糖尿病を強く疑われるいわゆる予備軍)が副作用
などの安全性の心配なく、食品として手軽に飲食するこ
とによって血糖値の上昇を効果的に抑制できるものを得
るべく鋭意研究を重ねたところ、腸管からのグルコース
の吸収を抑制する物質を含む食品がその目的に適い、糖
尿病状態の改善に有用であることを見いだし、本発明を
完成するに至った。
【0010】本発明の腸管からのグルコースの吸収を抑
制する物質(以下、本物質という)を含有する食品にお
いて、食品の製造中に本物質を適宜配合することができ
る。本物質は、食品に含まれる炭水化物の吸収を抑制
し、急激な血糖の上昇を防止する作用がある。したがっ
て、炭水化物を主成分とする食品(例えば、飯類、麺
類、パン類、パスタ類、クッキー類など)や、砂糖を多
く含む食品(例えば、饅頭、羊羹などの和菓子類、ケー
キ類、キャンディ類、ガム類、ジュースおよびコーラな
どの清涼飲料など)に本物質を配合することにより、肥
満解消用ダイエット食品または糖尿病患者用食品などと
しての機能を合わせ持つ食品を提供することができる
が、本発明は、特に上記の食品に限定されるものではな
い。
【0011】本発明の腸管からのグルコースの吸収を抑
制する物質が添加される食品は、健康食品、糖尿病患者
用食品とすることができる。また、本物質は飼料にも添
加することができ、家畜、ペットなどの糖尿病予防など
に用いることができる。このような食品は、他の通常の
食品と同様に、摂食するだけで、上記の作用機序を発現
し得るため、食事制限などの煩わしさから解放され、か
つ手軽に利用することができる。
【0012】腸管からのグルコースの吸収を抑制する物
質の検索は、以下のように行った(Takii, H. et al.,
Biosci. Biotech. Biochem., 61, 1531-1535(1997))。
つまり、6週齢のStd ddYマウスに各種検索すべき物質を
添加したグルコース溶液を胃ゾンデを用いて投与し、一
定時間後(10分後)に採血し、血糖値(A)を測定し
た。検索すべき物質を含まないグルコース溶液を投与し
た時の血糖値(B)を測定した。そして、グルコースの
吸収抑制率を (B-A)/Bx100(%)で表した。
【0013】その結果、トリテルペノイド系配糖体のグ
リチルリチン、グリチルレチン酸モノグルクロン酸、フ
ェノール性配糖体のアルブチン、ハイドロキノン-α-モ
ノグルコサイド、フラボノイド系配糖体のネオヘスペリ
ジンジヒドロカルコンなどが吸収抑制率の高い物質とし
て見出された。本発明では、このようにして検索した配
糖体を利用した。
【0014】上記方法により得られた腸管からのグルコ
ースの吸収を抑制する物質は、その濃度が約0.2〜1.0%
になるように調整して食品や飲料に混入すれば、好適に
飲食することができる。0.4%前後とすれば最適の薬効
濃度となる。但し、グリチルリチンの場合は、この濃度
では甘味が強すぎるので、カプセルなどにより投与する
ことが重要である。そして、上記のようにして得られる
物質の糖尿病の症状改善作用は糖尿病マウスを用いた動
物試験によって確認できた。
【0015】
【実施例】以下に実施例を用いて、本発明の糖尿病の症
状を改善する物質およびそれを含有する食品を説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0016】(実施例1) <抗糖尿病作用試験>遺伝的にII型糖尿病を発症するK
KAyマウス(4週齢、日本クレア(株))を、まず環
境に馴らすために基本食(カゼイン20%、ミネラル混合
4.0%、ビタミン混合2.2%、大豆油10%、コーンスター
チ54.1%、セルロース9.5%、メチオニン0.2%、(オリ
エンタル酵母(株)))を投与して1週間飼育(馴化期
間)し、続いて、これらを3群(1群6〜8匹)に分け
た。一群は対象群で、基本食をそのまま継続して与え
た。他の2群はグリチルリチン添加食群で、これらには
基本食にグリチルリチンを添加し、その添加量は、エサ
重量あたり0.27、0.41%であった。グリチルリチンの添
加量に応じてセルロース量を減じて調整した。食餌と水
は自由摂取とし、9週間にわたって飼育した。飼育条件
は、1匹ずつアパートメント形式のゲージで、飼育室内
温度は22±1℃、飼育期間中の明期を6:00〜18:00、
暗期を18:00〜6:00までの12時間毎の明暗2サイクル
とした。食餌摂取量、飲水量、体重は、毎日測定した。
空腹時血糖値は、毎週1回の測定を行い、測定日には、
5時間の絶食後、尻尾の先端より採血し、グルコースCI
Iテストワコー(和光純薬工業(株))を用いて測定し
た。試験食投与9週間後に一晩絶食し、糖負荷テストを
行った。試験最終日に5時間絶食後、解剖した。そし
て、空腹時の血中成分の分析、内臓重量の測定を行っ
た。血中成分は、血糖値(グルコースCIIテストワコ
ー)、インスリン値(グラザイムInsulin-EIA TEST(和
光純薬工業(株))、遊離脂肪酸値(NEFA C-テストワ
コー)、コレステロール値(コレステロールG-テストワ
コー)、中性脂肪値(トリグリセライドC-テストワコ
ー)を測定した(括弧内は測定方法を示す)。試験期間
中、実験動物の一般健康状態及び行動に異常は見られ
ず、死亡例も皆無であった。表1に示したように、グリ
チルリチン添加食群では、基本食群に比較して体重増
加、肝臓、副睾丸脂肪組織、腎周囲脂肪組織重量は大き
な変化はなかった。試験期間を通し、食餌摂取量に有意
な差は認められなかった。
【0017】
【表1】
【0018】0.41%グリチルリチン添加食群では、試験
食投与7週間期から有意に血糖値上昇が抑制されたこと
(図1)、解剖時の血糖値、血中インスリン値も有意に
低値であったこと(表2参照)から、グリチルリチンの
投与により糖尿病の症状が改善されたことが明らかとな
った。さらに、飼育中の飲水量は、グリチルリチンの添
加量に応じて減少し、0.27%の添加で効果を示した(図
2参照)。糖尿病においては、血糖値が上昇しすぎ、そ
れを下げるため、水分摂取量が増加する。グリチルリチ
ン添加食群において飲水量が血糖値の減少に伴って減少
しており、糖尿病の症状改善があったことを示してい
る。また、各群間で、食餌摂取量、体重増加量にはほと
んど差は見られなかったことや解剖時の各臓器重量にも
ほとんど変化は見られなかったこと(表1参照)から、
グリチルリチンは糖尿病症状以外には大きな影響を与え
なかったことを示唆している。さらに、解剖時の血糖
値、血中インスリン値、血中脂肪酸値、コレステロール
値、中性脂肪値にも影響を及ぼさなかった。結果を表2
に示す。
【0019】
【表2】
【0020】これも、グリチルリチンの摂取は、糖質代
謝は改善するが、脂肪代謝には影響しないことを示して
いる。したがって、糖尿病の発症の初期段階からグリチ
ルリチンを含む食餌を投与すると、血糖値の上昇を抑制
し、糖尿病の進行を抑えられることが明らかとなり、投
与するグリチルリチンの濃度は0.4%程度で充分に血糖
値抑制効果を発揮することも明らかになった。
【0021】(実施例2) <ブドウ糖質負荷テストのおける血糖値上昇抑制作用>
実施例1で飼育したKK-Ayマウスを一晩絶食させ、40mg
グルコース(1g/kg体重)を胃ゾンデを用い経口投与
し、0分、30分、60分、120分後に尻尾の先端より採血
し、血糖値を測定した。図3に示したように、0.41%グ
リチルリチン添加食群で、糖負荷60分後の血糖値が有
意に低値であった。また、0.27%グリチルリチン添加食
群でも120分後の血糖値は減少し、0.27%以上のグリチ
ルリチン投与で耐糖能が改善されることが明らかとなっ
た。
【0022】(実施例3)本実施例は、グリチルリチン
に換えてハイドロキノン-α-グルコサイドを用いた以外
は実施例1と同様に行った。つまり、II型遺伝性糖尿病
マウス(KKAyマウス、4週齢)に実施例1に示す基
本食を投与して1週間馴化飼育し、続いて、これらを3
群(1群6〜8匹)に分けた。一群は対象群で、基本食
をそのまま継続して与えた。他の2群はハイドロキノン
-α-グルコサイド添加食群で、これらには基本食にハイ
ドロキノン-α-グルコサイドを添加し、その添加量は、
0.27、0.41%であった。ハイドロキノン-α-グルコサイ
ドの添加量に応じてセルロース量を減じて調整した。食
餌と水は自由摂取とし、9週間にわたって飼育した。ハ
イドロキノン-α-グルコサイド投与においても、試験期
間中、実験動物の一般健康状態及び行動に異常は見られ
ず、死亡例も皆無であった。0.41%ハイドロキノン-α-
グルコサイド添加食群では、血糖値、血中インスリン値
が有意に低下したこと、さらに、飼育中の飲水量は、ハ
イドロキノン-α-グルコサイドの添加量に応じて減少
し、0.27%の添加で効果を示したことから、ハイドロキ
ノン-α-グルコサイドの投与により糖尿病の症状が改善
されたことが明らかとなった。また、各群間で、食餌摂
取量、体重増加量にはほとんど差は見られなかったこと
や解剖時の各臓器重量にもほとんど変化は見られなかっ
たことから、ハイドロキノン-α-グルコサイドは糖尿病
症状以外には大きな影響を与えなかったことを示唆して
いる。さらに、解剖時の血糖値、血中インスリン値、血
中脂肪酸値、コレルテロール値、中性脂肪値にも影響を
及ぼさなかった。これも、ハイドロキノン-α-グルコサ
イドの摂取は、糖質代謝は改善するが、脂肪代謝には影
響しないことを示している。したがって、糖尿病の発症
の初期段階からハイドロキノン-α-グルコサイドを含む
食餌を投与すると、血糖値の上昇を抑制し、糖尿病の進
行を抑えられることが明らかとなった。
【0023】(実施例4) <ブドウ糖質負荷テストのおける血糖値上昇抑制作用>
実施例3で飼育したKK-Ayマウスを一晩絶食させ、40mg
グルコース(1g/kg体重)を胃ゾンデを用い経口投与
し、0分、30分、60分、120分後に尻尾の先端より採血
し、血糖値を測定した。図3に示したように、0.41%ハ
イドロキノン-α-グルコサイド添加食群で、糖負荷後の
血糖値の上昇が有意に抑制された。また、0.27%ハイド
ロキノン-α-グルコサイド添加食群でも120分後の血糖
値は減少し、0.27%以上のハイドロキノン-α-グルコサ
イド投与で耐糖能が改善されることが明らかとなった。
【0024】(実施例5)グリチルリチンを添加してチ
ューインガムを作成した。チューインガムの製造方法は
常法のとおりである。すなわち、ガムベース20%、砂糖
30%、水飴48.23%、香料1%、軟化剤0.5%、グリチル
リチン0.27%になるように混合攪拌し、成形してガムシ
ートを得た。これを適宜切断して製品とした。このチュ
ーインガムは、グリチルリチン部分を砂糖に戻したもの
(ガムベース20%、砂糖70.5%、水飴8%、香料1%、軟
化剤0.5%配合;グリチルリチンの甘味度を砂糖の150倍
として調整)と大きな味の変化はなく、おいしく食べら
れた。
【0025】(実施例6)ハイドロキノン-α-グルコサ
イドを添加してチューインガムを作成した。チューイン
ガムの製造方法は常法のとおりである。すなわち、ガム
ベース20%、砂糖68.1%、水飴10%、香料1%、軟化剤
0.5%、ハイドロキノン-α-グルコサイド0.27%になる
ように混合攪拌し、成形してガムシートを得た。これを
適宜切断して製品とした。このチューインガムは、ハイ
ドロキノン-α-グルコサイド部分を砂糖に戻したもの
(砂糖68.5%配合)と味の変化はなかった。
【0026】
【発明の効果】本発明の血糖値の上昇を抑制する物質お
よびそれを含有する食品は、糖質と同時摂取しても血糖
値上昇を抑えることができるため、カロリー過剰摂取に
よる肥満症、糖尿病の予防および治療効果を持つ素材お
よび食品としてすぐれている。本発明の血糖値の上昇を
抑制する物質を含有する食品は、摂食するだけで、食後
の血糖値の上昇を抑制することができるため、非常に手
軽であり、糖尿病の治療目的のみならず、肥満解消やダ
イエットを目的とする場合にも有用である。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験期間中におけるKK-Ayマウスの血糖値の経時的
変化を示す図である。
【図2】試験期間中におけるKK-Ayマウスの週間飲水量の変
化を示す図である。
【図3】ブドウ糖負荷試験時におけるKK-Ayマウスの血糖値
の経時的変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A23G 3/30 A23G 3/30 Fターム(参考) 4B014 GB13 GK12 GL03 4B018 LB01 MD27 MD42 ME03 4C086 AA01 AA02 EA08 EA10 EA19 MA01 MA04 NA14 ZA70 ZC35

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】消化管からの糖質等の吸収を抑制するグリ
    チルリチンおよびその類縁体であるグリチルレチン酸モ
    ノグルクロン酸などのテルペン配糖体、ネオヘスペリジ
    ンジヒドロカルコンなどのフラボノイド系配糖体、ハイ
    ドロキノン-α-グルコサイドやアルブチンなどのフェノ
    ール性配糖体を少なくとも1種類以上含み、高血糖状態
    により引き起こされる疾患である肥満症、糖尿病などの
    症状を改善する食品
  2. 【請求項2】グリチルリチンを含み糖尿病の症状を改善
    する食品
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008007452A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Ajinomoto Co Inc 膵β細胞保護剤
JP2017195870A (ja) * 2016-04-28 2017-11-02 株式会社ハートテック 血糖値上昇抑制の加工食品
CN114886104A (zh) * 2022-04-08 2022-08-12 江南大学 一种具有高α-葡萄糖苷酶抑制活力的天然高倍甜味剂及其应用

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