JP2002062612A - 保護された現像主薬の混合物を含むフォトサーモグラフ要素 - Google Patents

保護された現像主薬の混合物を含むフォトサーモグラフ要素

Info

Publication number
JP2002062612A
JP2002062612A JP2001179235A JP2001179235A JP2002062612A JP 2002062612 A JP2002062612 A JP 2002062612A JP 2001179235 A JP2001179235 A JP 2001179235A JP 2001179235 A JP2001179235 A JP 2001179235A JP 2002062612 A JP2002062612 A JP 2002062612A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
developing agent
silver
protected
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001179235A
Other languages
English (en)
Inventor
Zbyslaw Roland Owczarczyk
ローランド オークザークジク ズバイスロー
David Thomas Southby
トーマス サウスビー デビッド
Yang Xiqiang
ヤン シチャン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eastman Kodak Co
Original Assignee
Eastman Kodak Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eastman Kodak Co filed Critical Eastman Kodak Co
Publication of JP2002062612A publication Critical patent/JP2002062612A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49881Photothermographic systems, e.g. dry silver characterised by the process or the apparatus
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49836Additives
    • G03C1/49845Active additives, e.g. toners, stabilisers, sensitisers
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C7/00Multicolour photographic processes or agents therefor; Regeneration of such processing agents; Photosensitive materials for multicolour processes
    • G03C7/30Colour processes using colour-coupling substances; Materials therefor; Preparing or processing such materials
    • G03C7/305Substances liberating photographically active agents, e.g. development-inhibiting releasing couplers
    • G03C7/30511Substances liberating photographically active agents, e.g. development-inhibiting releasing couplers characterised by the releasing group
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/156Precursor compound
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/156Precursor compound
    • Y10S430/16Blocked developers
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/165Thermal imaging composition

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Indole Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成要素において有用な現像主薬の組み
合わせを提供すること。 【解決手段】 異なる波長領域にそれぞれの感度を有す
る少なくとも3つの感光性ユニットを含んで成るフォト
サーモグラフカラー要素であって、前記感光性ユニット
がハロゲン化銀画像形成層を含んでなり、前記ハロゲン
化銀画像形成層が、独立に下記構造式: 【化1】 により表される保護された現像主薬AおよびBを含んで
成る少なくとも2種の保護された現像主薬の混合物を当
該ハロゲン化銀画像形成層と関連して有し、現像主薬B
の開始温度が現像主薬Aの開始温度よりも低く、現像主
薬Bの開始温度が110〜160℃の範囲内、現像主薬Aの開
始温度が130〜170℃であり、これら2種の現像主薬の開
始温度の差が5〜50℃であるフォトサーモグラフカラー
要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】保護された現像主薬の混合物
を含むカラーフォトサーモグラフ要素は、熱現像用のよ
り堅牢な系を与える。特に、互いに開始温度が異なる少
なくとも2種の保護された現像主薬の混合物を使用し
て、より高い開始温度を有する保護された現像主薬につ
いてのより低いフィルム処理温度および/またはより短
い現像時間を実現できるとともに、より小さいディスク
リミネーションを有する保護された現像主薬について改
良されたディクリミネーションを得ることができる。ま
た、互いに開始温度が異なる少なくとも2種の保護され
た現像主薬の混合物を使用して、より有効な相対ディス
クリミネーション対温度曲線を得ることもできる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
のカラー写真法では、感光性ハロゲン化銀を含むフィル
ムがハンドヘルドカメラで使用される。露光されると、
フィルムは、好適な処理をした後にしか現れない潜像を
有する。これらの要素は、歴史的には、カメラで露光さ
れたフィルムを、フィルム中の成分と協働して画像を形
成するように作用する現像主薬を含む少なくとも現像液
で処理することによって処理されてきた。通常使用され
る現像主薬は、還元剤、例えばp−アミノフェノール類
やp−フェニレンジアミン類である。
【0003】典型的には、現像液中に存在する現像主薬
(本明細書において現像剤ともいう)を、処理時に、露
光された写真フィルム要素と反応的に関連させる。現像
主薬を、増感された写真要素中に直接組み込むとハロゲ
ン化銀乳剤の減感および望ましくないカブリをもたらす
ことがあるので、現像主薬とフィルム要素を分けること
がこれまで必要であった。しかしながら、有害な減感ま
たはカブリ効果なしに、ハロゲン化銀乳剤要素中に導入
することのできる有効な保護された現像主薬(本明細書
において保護された現像剤ともいう)を製造することに
これまで多大な努力がなされてきた。すなわち、現像の
所定の条件下で脱保護されて、その後、現像主薬が遊離
して画像形成(色素または金属銀の形成)反応にあずか
る保護された現像主薬が探索されてきた。
【0004】Reevesの米国特許第3,342,599号
には、シッフ塩基の現像主薬前駆体を使用することが開
示されている。SchleighおよびFaulは、リサーチディス
クロージャー(Research Disclosure)(129(1975)p
p. 27-30)において、発色現像主薬の第4級基による保
護とp−フェニレンジアミン類のアセトアミドによる保
護について述べている(本願明細書で引用するリサーチ
ディスクロージャーは全て、イングランド、P010 7DQ
ハンプシャー州,エムズワース,12a ノースストリ
ート,ダドレー・アネックスに所在のKenneth Mason Pu
blications, Ltd.が刊行している)。続いて、Hamaoka
等の米国特許第4,157,915号およびWaxmanおよ
びMourningの米国特許第4,060,418号には、保
護されたp−フェニレンジアミン類の製造とカラー拡散
転写用の受像シートにおけるそれらの使用が述べられて
いる。上記米国特許第4,157,915号に加えて、
脱保護の間にβ脱離反応を伴う保護された現像主薬がヨ
ーロッパ特許出願第393523号明細書並びに特開昭
57−76453号、特開平2−131253号および
特開昭63−123046号の各公報に開示されてい
る。これらの公報には、特に写真要素についての文脈中
に記載されている。
【0005】これらの取り組みは全て、実際の製品への
応用において失敗している。なぜなら、以下の問題点、
すなわち増感されたハロゲン化銀の減感;容認できない
ほど遅い脱保護の反応速度;保護された現像主薬が不安
定で貯蔵後にカブリが増大し、そして/またはDmax
低下すること;保護された現像主薬を放出させるための
簡単な方法が無いこと;不適切または不十分な画像形成
という問題点、およびその他の問題点が1つ以上あるか
らである。特にフォトサーモグラフカラーフィルムの分
野において、他の潜在的な問題に、不十分なディスクリ
ミネーションおよび不十分な色素形成活性がある。
【0006】保護(もしくはブロッキング)とスイッチ
ングの化学における最近の発展によって、比較的良好に
作用するp−フェニレンジアミン類等の保護された現像
主薬が得られている。特に、“β−ケトエステル”型保
護基(厳密にいえばβ−ケトアシル保護基)を有する化
合物が米国特許第5,019,492号に記載されてい
る。β−ケトエステル保護薬剤の出現によって、p−フ
ェニレンジアミン現像主薬を、フィルムシステム中に、
現像を行うため必要なときだけ活性になる形態で組み込
むことが可能になった。β−ケトアシル型の保護された
現像主薬は、それらが組み込まれたフィルム層から、二
求核性試薬、例えばヒドロキシルアミンを含むアルカリ
性現像液によって放出される。
【0007】改良されたカラーフォトサーモグラフ画像
形成要素を得ることおよび組み込まれた保護された現像
主薬(本明細書において「保護された現像剤」ともい
う)を使用してカラーフォトサーモグラフ画像形成要素
を現像する方法を得ることが本発明の1つの目的であ
る。カラーフォトサーモグラフ画像形成要素に関し、現
像が開始されるまで安定な形態にあるが、要素を加熱す
ることにより、あるいは塩基もしくは酸の溶液または純
水等の処理液を加熱中または加熱後に要素に適用するこ
とにより、いったん処理が開始されたら高品質画像を迅
速かつ容易に現像することのできる保護された現像主薬
を使用することが望ましい。完全にドライまたは見かけ
上ドライ(例えば、水溶液の容積がラミネートにより適
用できるほどに十分に小さい)なプロセスが最も望まし
く、実際に、全てまたはほとんどの溶液および写真処理
用化学薬剤の適用がなくなることは、ドライまたは見か
け上ドライなフォトサーモグラフシステムの主な長所の
うちの1つである。そのようなプロセスが存在すれば、
写真処理キオスクで簡単かつ効率的に処理できる非常に
迅速に処理されるフィルムを得ることができる。数およ
び利用性が増しているそのようなキオスクによって、こ
れまで試みられてこなかった多くの新たな環境で写真処
理を行うことが究極的には可能となる。このことは、消
費者にとっての利便性が増すことにつながるであろう。
カラーフォトサーモグラフ要素における保護された現像
主薬について考慮すべき因子の1つは、保護された現像
主薬の開始温度、すなわち、その化合物が実質的に保護
されていない状態または活性化された状態になる温度で
ある。この温度は、一般的に、現像プロセスを行う必要
のある温度についての尺度または目安である。一般的
に、他の因子が等しい場合に、開始温度がより高いほ
ど、処理温度はより高くなる。より低い温度での処理ほ
ど、概して、副反応がより少なく、成し遂げるのにかか
る費用がより少ない。画像品質に悪影響を及ぼすことが
あるフィルムベースの変形のおそれが少なくなる。ま
た、温度が高いほど、写真要素中の成分が望ましくない
ことに分解して揮発性蒸気を放出する傾向がある。
【0008】フォトサーモグラフ要素中の保護された現
像主薬について考慮すべきもう1つの因子は、ある処理
温度でのDminとDmaxの差をDminで割って得られる値
として概して定義される画像の相対ディスクリミネーシ
ョンである。このパラメーターはカブリレベルに対する
写真信号の比を表し、大きな値であることが概して望ま
しい。保護された現像主薬を使用した場合の画像のディ
スクリミネーション(discrimination)は、処理温度に
よって概して変化するため、ピークディスクリミネーシ
ョン(写真要素における)の温度でフィルムを処理する
ことが通常望ましい。フィルムが大きいピークディスク
リミネーションを有することがさらに望ましい。フィル
ムのディスクリミネーションは、写真乳剤の種類および
仕上げ、カプラーの種類および量、サーマル溶剤並びに
他の因子を含む多くの因子によって影響を受けることが
ある。しかしながら、重要な因子はフォトサーモグラフ
フィルムに組み込まれる保護された現像主薬である。
【0009】保護された現像主薬に関わる問題は、保護
された現像主薬が急速に脱保護されるかまたは十分急速
に脱保護しない場合にディスクリミネーションが不十分
な場合があることである。現像の間の現像主薬の反応性
と保護された現像主薬からの現像主薬の放出速度との釣
り合いを適切にとることが都合良い。ある特定の温度
で、画像色素を形成するカプリング剤(または「カプラ
ー」)との現像主薬の反応性が現像主薬の放出速度より
もかなり低すぎる場合には、ディスクリミネーションを
減少(通常、カブリが増大することによって)させるこ
とのある副反応の機会が生じ、その結果として画像品質
が低下する。一方、現像温度で、カプリング剤との現像
主薬の反応性が現像主薬の放出速度よりもかなり高い場
合には、画像形成が起こるのに十分な現像主薬が存在し
ないことがあり、またディスクリミネーションも減少す
ること(この場合、通常、Dmaxが減少することによ
る)があり、その結果、画像品質が低下するであろう。
【0010】保護された現像主薬に関わるもう1つの問
題は、相対ディスクリミネーション曲線(ピークディス
クリミネーション対処理温度のグラフ)が狭すぎる場合
に、写真要素の温度上昇に伴う写真要素中の保護された
現像主薬の放出がうまくタイミングが合わない場合があ
ることである。これは、例えば、写真要素が加熱される
につれて少量の一部の保護された現像主薬のみが脱保護
されるということをもたらす場合があり、そうなると、
写真要素が平衡温度に近づくと、多量の保護された現像
主薬が一度に全て脱保護されて、過剰の現像主薬がカプ
ラーにどっと押し寄せ、不十分なディスクリミネーショ
ン(高Dmin)をもたらすことがある。ヒーターがその
平衡温度に急速に達する場合であっても、写真要素は、
その平衡またはピーク温度に達するのにいくらかの処理
時間を要することが理解されるべきである。写真要素の
平衡またはピーク温度は、場合に応じて、現像処理を速
めるためにピークディスクリミネーションの温度よりも
高く設定されることがある。
【0011】一般的に、より幅が広く、より平坦な相対
ディスクリミネーション曲線が望ましい。そのような場
合に、処理条件の変化に対してより堅牢なだけでなく、
現像主薬の放出をカプラーとの現像主薬の反応性および
その濃度とうまく適合するように現像主薬の比較的一様
な放出または脱保護を与えることができる。これによっ
て、その処理のピークディスクリミネーション付近のあ
る温度で起こる現像の量を増加させることができる。換
言すれば、ピークディスクリミネーションまたはニアピ
ークディスクリミネーション(near peak discriminati
on)が起こる広い温度領域が存在する。
【0012】従って、フォトサーモグラフ要素のピーク
ディスクリミネーションが高百分率でおよそピークディ
スクリミネーション温度の温度範囲内で生じる場合が望
ましいであろう。ここで、ピークディスクリミネーショ
ン温度は、写真要素を加熱したときのディスクリミネー
ションがピークとなる温度として定義される。
【0013】相対ディスクリミネーション曲線が狭い場
合に、写真要素は、現像主薬を放出するのに時間をかけ
ずに非常に急速にそのピークディスクリミネーション温
度に達することができ、現像主薬をいっせいに放出する
ことができる。そのような現像主薬の放出は、先に述べ
たような、カプラーのフラッジング(flooding)および
不十分なディスクリミネーションをもたらすであろう。
より遅く加熱することにより補償することもできるが、
写真要素に及ぼす長時間加熱の悪影響を避けるために急
速に写真要素を加熱することが望ましい。従って、フォ
トサーモグラフ要素の加熱処理の時間および温度範囲に
合う最大ディスクリミネーションが得られるように、よ
り平坦な曲線であることが好ましい。
【0014】先に述べたことをまとめると、より低い処
理温度を与えることおよび/または熱処理の間のより平
坦な相対ディスクリミネーション曲線を与えることで、
より堅牢なフォトサーモグラフ要素およびそれらの熱現
像方法を得ることが望ましい。
【0015】語句の定義 「開始温度」またはToなる語句は、下記実施例で述べ
るように0.5の最大濃度(Dmax)を生じさせるのに
必要な温度と定義する。この温度が低いほど、望ましい
より活性の高い現像主薬であることを示す。「処理温
度」なる語句は、本明細書において、現像処理の間の写
真要素における最大濃度と定義する。この処理温度は、
写真要素が現像処理の間に直接接触する環境の最大温度
とほぼ同じであろう。この処理温度は、良好なヒートト
ランスファーの場合に現像処理の間に発熱要素(熱源)
の温度とほぼ同じであることができる。
【0016】「ディスクリミネーション」なる語句は、
本明細書において、概して、画像形成層におけるDmax
とDminの差を意味する。「ピークディスクリミネーシ
ョン」またはDpなる語句は、実施例におけるように、
最適プラテン温度について、DmaxとDminの差(Dmax
−Dmin)をDminで割って得られる値に対応すると定義
する。「相対ディスクリミネーション曲線」なる語句
は、本明細書において、保護された現像主薬の温度変化
に応じたディスクリミネーションを意味する。「ピーク
ディスクリミネーション温度」なる語句は、本明細書に
おいて、相対ディスクリミネーション曲線での最大ディ
スクリミネーションを意味する。「E」なる語句は、本
明細書において、ルクス・秒単位での露光量を意味す
る。「カプラー」なる語句は、酸化された発色現像主薬
と反応して色素発色団の色相を生成または変更する化合
物を示す。
【0017】青、緑および赤記録色素画像形成層ユニッ
トに言及した場合に、「層ユニット」なる語句は、露光
放射線を捕獲する放射線感受性ハロゲン化銀粒子とその
ハロゲン化銀粒子の現像の際に反応するカプラーとを含
む1つまたは複数の親水性コロイド層を示す。ハロゲン
化銀粒子とカプラーは、通常、同じ層内に存在するが、
隣接層内に存在していても良い。「色素画像形成カプラ
ー」なる語句は、酸化された発色現像主薬と反応して色
素画像を生成するカプラーを示す。リサーチディスクロ
ージャーは、イングランド、P010 7DQ ハンプシャー
州,エムズワース,12 ノースストリート,ダドレー
・ハウスに所在のKenneth Mason Publications, Ltd.の
刊行物である。「シングルユースカメラ」または「OT
UC」なる語句は、その中に感光性ハロゲン化銀写真要
素を予め装填した状態で消費者に提供される、レンズと
シャッターを有するカメラを示す。1回限りの使用を意
図し、使用後にリサイクルされ、その後、現像のために
フィルムが取り出されるカメラについて、当該技術分野
では「シングルユースカメラ」、「レンズ付きフィルム
ユニット」、「使い捨てカメラ」等の語句も使用され
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、同じ乳剤層中
に少なくとも2種のそれぞれ異なる保護された現像主薬
の混合物を含むフォトサーモグラフカラー要素に関す
る。前記保護された現像主薬はそれぞれ異なる開始温度
を有する。それぞれ異なる保護された現像主薬とは、
(1)脱保護によって同じ現像主薬を生じるが、それぞ
れ異なる保護/タイミング基を有する2種の保護された
現像主薬、(2)同じ保護および/またはタイミング基
を有するが、脱保護された場合にそれぞれ異なる現像主
薬を生じる2種の保護された現像主薬、および/または
(3)完全な脱保護によってそれぞれ異なる現像主薬を
生じる、それぞれ異なる保護および/またはタイミング
基を有する2種の保護された現像主薬を意味する。「保
護/タイミング基」なる語句は、カプラーと反応する現
像主薬以外の保護された現像主薬の部分を意味する。従
って、保護/タイミング基は、ゆっくりではあっても、
時間をかけて現像主薬から遊離する。
【0019】本発明の1つの態様において、より高い開
始温度を有する保護された現像主薬単独の場合と比べ
て、保護された現像主薬の混合物が、より低い処理温度
および/またはより短い現像時間を提供するとともに、
より低い開始温度を有する保護された現像主薬単独の場
合と比べて改良されたディスクリミネーションを提供す
ることが見いだされた。場合によっては、それらの現像
主薬のいずれかを単独で使用した場合に得られるピーク
ディスクリミネーションよりも高いピークディスクリミ
ネーションがある処理温度で得られる。
【0020】本発明の別の態様において、保護された現
像主薬の混合物が、相対ディスクリミネーション対温度
曲線でより小さな傾きを与え、それによって、いずれか
の保護された現像主薬を単独で使用する場合と比べて、
より平坦でより堅牢な相対ディスクリミネーション曲線
を与えることが見いだされた。
【0021】好ましくは、現像主薬混合物がドライな物
理的現像システムで使用される場合に、現像主薬は、約
80〜180℃、好ましくは100〜170℃の間の温
度で熱的に活性化される。しかしながら、現像主薬が見
掛け上ドライな化学現像システムで使用される場合に
は、現像主薬混合物は好ましくは、添加された酸、塩基
または水の存在下、約60〜120℃、好ましくは65
〜100℃の間の温度で熱的に活性化される。
【0022】特に、本発明は、異なる波長領域にそれぞ
れの感度を有する少なくとも3つの感光性ユニットを含
んで成るフォトサーモグラフカラー要素であって、前記
感光性ユニットがハロゲン化銀画像形成層を含んでな
り、前記ハロゲン化銀画像形成層が、独立に下記構造式
I:
【0023】
【化3】
【0024】[式中、DEVはハロゲン化銀発色現像主
薬であり;LINK1およびLINK2は連結基であ
り;TIMEはタイミング基であり;lは0または1で
あり;mは0,1または2であり;nは0または1であ
り;lとnの和は1または2であり;Bは保護基である
か、またはBは、
【0025】
【化4】
【0026】(式中、B’は保護基であり、この保護基
は同じまたは異なる現像主薬であることができるもう1
つの保護された現像主薬を含んでいてもよい)である]
により表される保護された現像主薬Aおよび保護された
現像主薬Bを含んで成る少なくとも2種の保護された現
像主薬の混合物を前記ハロゲン化銀画像形成層と関連し
て有し、前記保護された現像主薬Bの開始温度が前記保
護された現像主薬Aの開始温度よりも低く、前記保護さ
れた現像主薬Aの開始温度が110〜160℃、好まし
くは110〜150℃の範囲内にあり、前記保護された
現像主薬Bの開始温度が130〜170℃、好ましくは
140〜160℃の範囲内にあり、これら2種の現像主
薬の開始温度の差が5〜50℃、好ましくは8〜40
℃、より好ましくは10〜30℃であるフォトサーモグ
ラフカラー要素に関する。
【0027】本発明の好ましい態様において、保護され
た現像主薬Aと保護された現像主薬Bの混合物のピーク
ディスクリミネーションは、保護された現像主薬Bのデ
ィスクリミネーションよりも大きい。特に好ましい態様
において、この混合物のピークディスクリミネーション
は保護された現像主薬Aおよび保護された現像主薬Bの
両者のピークディスクリミネーションよりも大きい。
【0028】本発明は、さらに、熱活性化によって分解
して対応する現像主薬を放出して現像画像を形成する上
記のような保護された現像主薬の混合物を有する写真要
素の像様露光されたものを熱現像する工程を含む画像形
成方法に関する。好ましくは、現像の後に、現像された
画像を走査して前記現像された画像から第1電子画像表
現(または「電子記録」)を形成し、この第1電子記録
をデジタル化してデジタル画像を形成し、そしてそのデ
ジタル画像を変更して第2電子画像表現を形成し、この
第2電子画像表現を記憶、伝送、プリントまたは表示す
る。
【0029】本発明は、さらに、支持体と熱活性化によ
って現像主薬の混合物を放出するまたは同じ現像主薬を
別々に放出する(同じまたはそれぞれ異なる画像形成層
で)上記のような保護された現像主薬の混合物とを含ん
でなる感光性写真要素を有するシングルユースカメラに
関する。本発明は、さらに、ヒーターを有するシングル
ユースカメラ内で熱活性化によってそのような感光性写
真要素を像様露光し、次いでカメラ内で露光された要素
を熱処理することを含む画像形成方法に関する。
【0030】本発明の好ましい態様において、LINK
1およびLINK2が独立に下記構造式II:
【0031】
【化5】
【0032】〔式中、Xは炭素または硫黄を表し;Yは
酸素、硫黄またはN−R1(式中、R1は置換もしくは非
置換アルキルまたは置換もしくは非置換アリールであ
る)を表し;pは1または2であり;Zは炭素、酸素ま
たは硫黄を表し;rは0または1であり;但し、Xが炭
素の場合には、pとrはともに1であり、Xが硫黄の場
合には、Yは酸素であり、pは2であり、かつrは0で
あり;#は、PUG(LINK1の場合)またはTIM
E(LINK2の場合)に対する結合部位を表し;$
は、TIME(LINK1の場合)またはT(t) 置換炭
素(LINK2の場合)に対する結合部位を表す〕によ
り表される。
【0033】
【発明の実施の形態】上記構造式Iにおいて、現像主薬
は色素形成性ハロゲン化銀現像主薬である。この現像主
薬は、予め形成された化学種としてまたは前駆体として
保護された化合物の状態で存在することができる。それ
らの現像主薬としては、アミノフェノール類、フェニレ
ンジアミン類、ヒドロキノン類、ピラゾリジノン類およ
びヒドラジン類が挙げられる。現像主薬の具体例は、米
国特許第2,193,015号、第2,108,243
号、第2,592,364号、第3,656,950
号、第3,658,525号、第2,751,297
号、第2,289,367号、第2,772,282
号、第2,743,279号、第2,753,256号
および第2,304,953号に記載されている。これ
らの開示は、引用によりここに含まれていることにす
る。
【0034】現像主薬の具体例を以下に示す。
【0035】
【化6】
【0036】上記式中、R20は水素、ハロゲン、アルキ
ルまたはアルコキシであり;R21は水素またはアルキル
であり;R22は水素、アルキル、アルコキシまたはアル
ケンジオキシであり;ならびにR23、R24、R25、R26
およびR27は水素、アルキル、ヒドロキシアルキルまた
はスルホアルキルである。
【0037】先に述べたように、本発明の好ましい態様
において、LINK1またはLINK2は下記構造式II
により表される:
【0038】
【化7】
【0039】〔式中、Xは炭素または硫黄を表し;Yは
酸素、硫黄またはN−R1(式中R1は置換もしくは非置
換アルキルまたは置換もしくは非置換アリールである)
を表し;pは1または2であり;Zは炭素、酸素または
硫黄を表し;rは0または1であり;但し、Xが炭素の
場合には、pとrはともに1であり、Xが硫黄の場合に
は、Yは酸素であり、pは2であり、かつrは0であ
り;#は、PUG(LINK1の場合)またはTIME
(LINK2の場合)に対する結合部位を表し;$は、
TIME(LINK1の場合)またはT(t) 置換炭素
(LINK2の場合)に対する結合部位を表す]。
【0040】具体的な連結基としては、例えば下記の基
がある。
【0041】
【化8】
【0042】TIMEはタイミング基である。そのよう
な基は当該技術分野で良く知られており、例えば(1)
米国特許第5,262,291号に開示されているよう
な芳香族求核置換反応を利用する基;(2)ヘミアセタ
ールの開裂反応を利用する基(米国特許第4,146,
396号;日本国特願昭60−249148号および昭
60−249149号);(3)共役系に沿う電子移動
反応を利用する基(米国特許第4,409,323号お
よび第4,421,845号;特願昭57−18803
5号、特願昭58−98728号、特願昭58−209
736号、特願昭58−209738号);および
(4)分子内求核置換反応を利用する基(米国特許第
4,248,962号)がある。
【0043】具体的なタイミング基は下記の式T−1〜
T−4で表される。
【0044】
【化9】
【0045】上記式中、Nuは求核性基であり;Eは電
子欠乏炭素原子を含有する1つ以上の炭素芳香族環もし
くは複素芳香族環を含んでなる求電子性基であり;LI
NK3は、Nuの求核性部位とE中の電子欠乏炭素原子
の間の最短の経路に1〜5個の原子を提供する連結基で
あり;ならびにaは0または1である。
【0046】そのようなタイミング基としては、例えば
下記のものがある。
【0047】
【化10】
【0048】これらのタイミング基は、米国特許第5,
262,291号に詳細に記載されている。この米国特
許第5,262,291号明細書の記載は引用によりこ
こに含まれていることにする。
【0049】
【化11】
【0050】上記式中、Vは酸素原子、硫黄原子または
【0051】
【化12】
【0052】を表し;R13とR14は各々水素原子または
置換基を表し;R15は置換基を表し;bは1または2を
表す。R13とR14が置換基を表す場合のR13とR14の典
型例およびR15の典型例としては下記のものがある。
【0053】
【化13】
【0054】上記式中、R16は脂肪族もしくは芳香族の
炭化水素残基または複素環式基を表し;そしてR17は水
素原子、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素残基または複
素環式基を表し;R13,R14およびR15は各々二価の基
を表すことがあり、そしてこれらの基のうちの任意の2
つが互いに結合して環構造を完成していてもよい。式
(T−2)で表される基の具体例を以下に示す。
【0055】
【化14】
【0056】
【化15】
【0057】上記式中、Nu1は求核性基を表し、酸素
原子または硫黄原子を求核性化学種の例として挙げるこ
とができ;E1は、Nu1による求核攻撃を受けやすい
基である求電子性基を表し;そしてLINK4は、分子
内求核置換反応が起りうるような立体配置をNu1とE
1がとることができるようにする連結基を表す。式(T
−3)で表される基の具体例を以下に示す。
【0058】
【化16】
【0059】
【化17】
【0060】上記式中、V、R13、R14およびbは全
て、それぞれ式(T−2)の場合と同じ意味を有する。
さらに、R13とR14は連結してベンゼン環もしくは複素
環を形成していてもよく、またはVはR13もしくはR14
と連結してベンゼン環もしくは複素環を形成していても
よい。Z1とZ2は各々、独立して、炭素原子または窒素
原子を表し、そしてxとyは各々0または1を表す。
【0061】タイミング基(T−4)の具体例を以下に
示す。
【0062】
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】本発明の1つの態様において、保護された
現像主薬の混合物は、比較的低い開始温度を有する第1
の保護された現像主薬(保護された現像主薬A)および
比較的高い開始温度を有する第2の保護された現像主薬
(保護された現像主薬B)を含んで成る。好適には、現
像主薬Aの開始温度が110〜160℃、好ましくは1
10〜150℃の範囲内にあり、現像主薬Bの開始温度
が130〜170℃にあり、これらの2種の現像主薬の
開始温度の差は5〜50℃、好ましくは8〜40℃、よ
り好ましくは10〜30℃である。
【0065】好適なことに、望ましい特性の混合物が得
られるように少なくとも2種の現像主薬の比または相対
量を調節することができる。好適には、保護された現像
主薬Aは5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%
の量で存在し、そして現像主薬Bは95〜5モル%、好
ましくは80〜20モル%の量で存在する。2種よりも
多くの現像主薬が混合物中に存在していても良い。しか
しながら、第3の現像主薬または第3および第4の現像
主薬が存在する場合には、それら追加の現像主薬は好ま
しくは30%未満、より好ましくは20%未満、最も好
ましくは10%未満の量で存在する。
【0066】先に述べたように、保護された現像主薬の
混合物を、それらの現像主薬の一方または両方に応じて
ピークディスクリミネーションを増加させるように選択
することもできる。そのような選択は、より高い品質の
画像を提供するため、通常望ましい。いずれかの保護さ
れた現像主薬単独の場合に得られるピークディスクリミ
ネーションよりも相対ディスクリミネーション曲線が平
坦になるように、保護された現像主薬の混合物を調節す
ることができる。これは加熱処理がより有効になるため
に、通常望ましい。この場合に、現像の全温度範囲につ
いてのオーバーオールディスクリミネーションは、個々
の保護された現像主薬単独の場合よりも大きい。
【0067】先に述べたように、本発明に係るフォトサ
ーモグラフカラー要素は、少なくとも3つの感光性ユニ
ットを含んで成る。これら感光性ユニットはそれぞれ異
なる波長領域にそれぞれの感度を有し、ハロゲン化銀画
像形成層を含んでなり、このハロゲン化銀画像形成層
は、独立に下記構造式I:
【0068】
【化20】
【0069】[式中、DEVはハロゲン化銀発色現像主
薬であり;LINK1およびLINK2は連結基であ
り;TIMEはタイミング基であり;lは0または1で
あり;mは0,1または2であり;nは0または1であ
り;lとnの和は1または2であり;Bは保護基である
か、またはBは、
【0070】
【化21】
【0071】(式中、B’も第2の現像主薬のための保
護基である)である]により表される保護された現像主
薬Aおよび保護された現像主薬Bを含んで成る少なくと
も2種の保護された現像主薬の混合物をそのハロゲン化
銀画像形成層と関連して有する。本発明の好ましい態様
において、保護された現像主薬のうちの少なくとも1種
は下記構造式IIにより表される。
【0072】
【化22】
【0073】式中、DEVは現像主薬であり;LINK
は先に定義した通りの連結基であり;TIMEは先に定
義した通りのタイミング基であり;nは0,1または2
であり;tは0,1または2であり、tが2でない場合
には、必要な数(2−t個)の水素がこの構造中に存在
する;C*は正四面体(sp3混成)炭素であり;pは0
または1であり;qは0または1であり;wは0または
1であり;pとqの和は1であり、pが1である場合に
は、qおよびwの両方が0であり、qが1である場合に
は、wは1であり;R12は水素、または置換もしくは非
置換のアルキル、シクロアルキル、アリールまたは複素
環式基であるか、またはR12はWと組み合わさって環を
形成していてもよく;Tは、置換もしくは非置換(以下
のT基が該当する)のアルキル基、シクロアルキル基、
アリールもしくは複素環式基、無機の一価の電子吸引性
基または少なくとも1個のC1〜C10有機基により
(R13基によりまたはR13基とR14基により)キャップ
された、好ましくは置換もしくは非置換のアルキルもし
くはアリール基によりキャップされた無機の二価の電子
吸引性基から独立に選ばれるか、あるいはTはWもしく
はR12と組み合わさって環を形成しているか、あるいは
2個のT基が組み合わさって環を形成していてもよく;
Tが(有機または無機の)電子吸引性基、1〜7個の電
子吸引性基で置換されたアリール基、または置換もしく
は非置換複素芳香族基である場合に、Tは活性化基であ
る。好ましくは、Tは無機の基、例えばハロゲン、−N
2、−CN、ハロゲン化アルキル基、例えば−CF3
あるいはR13によりまたはR13とR14によりキャップさ
れた無機の電子吸引性基、例えば−SO213,−OS
213,−NR14(SO213),−CO213,−C
OR13,−NR14(COR13)等である。Dは、置換も
しくは非置換(以下のD基が該当する)の複素芳香族基
もしくはアリール基または一価の電子吸引性基から選ば
れる第1の活性化基であり、ここで、前記複素芳香族基
は任意選択的にTまたはR12とともに環を形成していて
もよい。
【0074】Xは、第2の活性化基であるとともに二価
の電子吸引性基である。X基は、少なくとも1個のW基
に結合している酸化炭素、硫黄またはリン原子を含む。
窒素、酸素、硫黄またはリン原子に結合した側基を除
き、X基が水素化炭素を含まないことが好ましい。X基
としては、例えば、−CO−,−SO2−,−SO2
−,−COO−,−SO2N(R15)−,−CON(R
15)−,−OPO(OR15)−,−PO(R15)N(R
16)−等が挙げられ、X基の主鎖中(C*とWの間の最
短の経路内)の原子は水素原子に結合していない。
【0075】WはW’または下記構造式IIAにより表さ
れる基である。
【0076】
【化23】
【0077】W’は、置換もしくは非置換(下記のW’
基が該当する)のアルキル(好ましくは1〜6個の炭素
原子を含む)、シクロアルキル(ビシクロアルキルを包
含するが、好ましくは4〜6個の炭素原子を含む)、ア
リール(例えばフェニルまたはナフチル)または複素環
式基から独立に選ばれ、ここでW’はTまたはR12と組
み合わさって環を形成していてもよい(構造式IIAの場
合に、W’は少なくとも1つの置換基、すなわち構造式
IIAにおけるW’基の右側の部分を含み、その置換基は
活性化の点でXまたはDから構成される)。
【0078】Wが構造式IIAにより表される場合または
W’が1個以上の電子吸引性基で置換されたアルキルも
しくはシクロアルキル基であるか、1〜7個の電子吸引
性基で置換されたアリール基であるか、置換もしくは非
置換の複素芳香族基であるか、または1個以上の電子吸
引性基で置換されている場合の非芳香族複素環である場
合に、Wは活性化基である。Wが電子吸引性基で置換さ
れている場合に、その置換基が無機の基、例えばハロゲ
ン、−NO2、−CN、またはハロゲン化アルキル基、
例えば−CF3、またはR13により(またはR13とR14
により)キャップされた無機の基、例えば−SO
213,−OSO213,−NR13(SO214),−C
213,−COR13,−NR13(COR14)等である
ことがより好ましい。
【0079】R13,R14,R15およびR16は、好ましく
は1〜6個の炭素原子を有する、置換または非置換のア
ルキル、アリールまたは複素環式基から独立に選ばれる
ものであることができ、より好ましくはフェニルまたは
C1〜C6アルキル基である。直接結合していないR12
と、Tと、DもしくはWとからなる組のうちの任意の2
つは、環の生成が保護基の機能を阻害しないことを条件
として、組み合わさって環を形成していてもよい。
【0080】より好ましくは、本発明において使用され
る保護された現像主薬は、上記構造式Iで表されるもの
であるが、下記のより限定された構造式IIBにより表さ
れるものであっても良い。
【0081】
【化24】
【0082】構造式IIから、構造式I中のB基が下記構
造式により表されることが分かるであろう[例外なく、
全て1,2脱離にあてはまる]。
【0083】
【化25】
【0084】この種の保護された現像主薬は、隣接する
連結基に対してα位にある炭素原子とβ位にある炭素原
子の間の結合に関し、1,2脱離である脱保護反応を伴
うと考えられる。本発明の別の態様において、保護され
た現像主薬AおよびBの両方が構造式IIまたはIIBの範
疇に含まれる。本発明において有用な構造式IIにより表
される保護された現像主薬化合物の代表例を以下に示
す。
【0085】
【化26】
【0086】
【化27】
【0087】
【化28】
【0088】
【化29】
【0089】
【化30】
【0090】
【化31】
【0091】
【化32】
【0092】
【化33】
【0093】
【化34】
【0094】
【化35】
【0095】
【化36】
【0096】
【化37】
【0097】
【化38】
【0098】本発明の別の好ましい態様において、保護
された現像主薬Aまたは保護された現像主薬Bは下記構
造式IIIで表される一般構造を有することがある。
【0099】
【化39】
【0100】この式中、R1’およびR2’は独立に水素
もしくはさらに置換されていてもよいアルキル基である
か、またはR1’とR2’は組み合わさって複素環式環を
形成していてもよく;Sは、ハロゲン、ヒドロキシ、ア
ミノ、アルコキシ、カルボンアミド、スルホンアミド、
アルキルスルホンアミドまたはアルキルからなる群から
選ばれるs個の独立に選ばれた置換基であり、これらの
置換基のいずれもさらに置換されていてもよく、N
1’R2’置換基に対してオルト位に存在するS置換基
はP1またはP2と共に複素環式環を形成していてもよ
く、sは0〜4であり;X’,Y’およびZ’は、水
素、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロプロピル、
アリール、アリールアルキルおよび複素環式基から成る
群から独立に選ばれる置換基を表す。前記シクロプロピ
ル基は炭素原子数1〜6のアルキル基でさらに置換され
ていてもよい。前記アリールおよび複素環式基はハロゲ
ン、炭素原子数1〜6のアルキル、アリール、アリール
アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアル
キルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アリールア
ルキルチオ、N,N−ジアルキルアミノ、N,N−ジア
リールアミノ、N,N−ジアリールアルキルアミノ、N
−アルキル−N−アリールアミノ、N−アルキル−N−
アリールアルキルアミノおよびN−アリール−N−アリ
ールアルキルアミノから成る群から選ばれる置換基でさ
らに置換されていてもよい。
【0101】好ましい態様において、X’,Y’または
Z’としてシクロプロピル、アリールまたは複素環式基
が選ばれない場合に、これらの3つの基は全て、アルキ
ル基またはアリールアルキル基の中から選ばれねばなら
ない。さらに、X’,Y’およびZ’の組のうちの2つ
が組み合わさって環を形成していてもよい。典型的に
は、前記アリール基は、フェニル基、1−ナフチル基、
2−ナフチル基および9−アントラシル基により例示さ
れ、一方、前記複素環式基は2−フリル、3−フリル、
2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロ
リル、2−チアゾリル、2−ベンゾチエニル、3−ベン
ゾチエニル、2−インドリルおよび3−インドリルによ
り最も適切に例示される。
【0102】本発明において有用な構造式III により表
される保護された現像主薬化合物の代表例を以下に示
す。
【0103】
【化40】
【0104】
【化41】
【0105】
【化42】
【0106】
【化43】
【0107】
【化44】
【0108】
【化45】
【0109】
【化46】
【0110】
【化47】
【0111】
【化48】
【0112】
【化49】
【0113】
【化50】
【0114】
【化51】
【0115】
【化52】
【0116】
【化53】
【0117】
【化54】
【0118】本発明のさらに別の態様において、保護さ
れた現像主薬AまたはBは、二置換窒素を含む保護基
(NIT)を有し、この保護基は、例えば置換または非
置換のベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベ
ンゾオキサゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフ
リル基、フリル基、イミダゾリル基、インダゾリル基、
インドリル基、イソキノリル基、イソチアゾリル基、イ
ソオキサゾリル基、オキサゾリル基、ピコリニル基、プ
リニル基、ピラニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、
ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリル基、キナルジニ
ル基、キナゾリニル基、キノリル基、キノキサリニル
基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、チアトリアゾ
リル基、チアゾリル基、チオフェニル基、トリアゾリル
基、ジフェニルアミノ基およびカルバゾリル基である。
特に好ましいものは、1−イミダゾリル、1−ベンゾイ
ミダゾリル、1−ピロリル、1−インドリル、1−カル
バゾリル、1−ピラゾリル、1−インダゾリル、N,N
−ジアリールアミノ、1−テトラヒドロカルバゾリルで
ある。複素環式基はさらに置換されていても良い。好ま
しい置換基は1〜6個の炭素原子を含むアルキル基およ
びアルコキシ基である。
【0119】本発明のある好ましい態様において、写真
要素は画像形成層を含んでなり、この画像形成層はそれ
と関連して下記構造式IVにより表される保護された現像
主薬を有する。
【0120】
【化55】
【0121】この式中、PUGは写真に有用な基であ
り;LINK1およびLINK2は、それぞれタイミン
グ基および保護基に隣接する第1および第2の連結基で
あり;TIMEはタイミング基であり;Tは、t個の独
立に選ばれた置換または非置換のアルキル(好ましくは
1〜6個の炭素原子を含む)またはアリール基(好まし
くはフェニルまたはナフチル)を表し、tは0,1また
は2であるが、tが2である場合には、2個のT基が環
を形成していてもよく;NITは、任意選択的にT基と
ともに環系を形成していてよい二置換窒素基であり;l
は0または1であり;mは0、1または2であり;そし
てnは0または1である。
【0122】構造式IVの保護された現像主薬を構造式I
に一致させると、B基が下記構造式IVAにより表される
ことが分かるであろう。
【0123】
【化56】
【0124】この式中、Tはt個の独立に選ばれた置換
または非置換のアルキルまたはアリール基を表し、tは
0,1または2であり、tが2である場合には、2個の
T基が環を形成していてもよく、NITは任意選択的に
環を形成していても良い二置換窒素基である。
【0125】構造式IVに従う種類の保護された現像主薬
の特に好ましい写真的に有用な化合物は下記構造式IVB
により表される。
【0126】
【化57】
【0127】この式中、WはOHまたはNR23であ
り、ここでR2およびR3は独立に水素または置換もしく
は非置換のアルキル基であるか、またはR2とR3が連結
して環を形成しており;R5,R6,R7およびR8は独立
に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、
カルボンアミド、スルホンアミド、アルキルスルホンア
ミドもしくはアルキルであるか、またはR5がR3もしく
はR6とおよび/またはR8がR2もしくはR7と連結して
環を形成していてもよく;Tは、水素、アルキル、アリ
ール、複素芳香族またはアルコキシ基、−NO2、−C
N、R13により置換された電子吸引性基(−SO
213,−OSO213,−N(SO2)R13,−CO2
13,−CCl213,−N(C=O)R13等であるか、
あるいはTが二価の基である場合には、TはR10または
11と組み合わさって環を形成していてよい。Tが、1
〜7個の電子吸引性基で置換されたアルキル基またはア
リール基等の電子吸引性基であることが好ましい。R10
およびR11は独立に水素、アルキル、アリール、置換ア
リールまたは複素芳香族置換基であり、これらは連結し
て、窒素原子を有する環系であって、複素芳香族または
飽和もしくは不飽和複素環式環である環系を形成してい
てもよい。この環系はさらなるヘテロ原子を含んでいて
も良い。構造式IVBにより表される保護された現像主薬
化合物の代表例を以下に示す。
【0128】
【化58】
【0129】
【化59】
【0130】
【化60】
【0131】
【化61】
【0132】本発明の別の態様において、保護された現
像主薬AおよびBの両方が上記の構造式IIおよびIIBに
より表される。本発明のさらに別の態様において、保護
された現像主薬のうちの1つだけが構造式IIにより表さ
れ、そしてもう1つの現像主薬が構造式III,IVまたはI
VBにより表される。
【0133】本明細書において、特定の部分または基に
言及した場合、その部分自体が非置換であっても、1つ
以上の置換基(最大限可能な数までの置換基)で置換さ
れていてもよいことを意味する。例えば、「アルキル」
または「アルキル基」は置換または非置換アルキルを示
し、「アリール基」は置換または非置換ベンゼン(5個
までの置換基を有する)または高級芳香族系を示し、
「複素芳香族基」は置換または非置換複素芳香族(5個
までの置換基を有する)を示し、そして「複素環式基」
は置換または非置換複素環式基(5個までの置換基を有
する)を意味する。一般的に、特に断らない限り、本願
発明において分子に対して利用可能な置換基には、置換
または非置換にかかわらず、写真有用性に必要な特性を
損なわないいかなる基も包含される。上記の基について
の置換基の例としては公知の置換基があり、例えば、ハ
ロゲン、例えばクロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード;ア
ルコキシ、特に“低級アルコキシ”(すなわち1〜6個
の炭素原子を含有)、例えばメトキシ、エトキシ;置換
または非置換アルキル、特に低級アルキル(例えばメチ
ル、トリフルオロメチル);チオアルキル(例えばメチ
ルチオまたはエチルチオ)、特に1〜6個の炭素原子を
有するもの;置換および非置換アリール、特に6〜20
個の炭素原子を有するもの(例えばフェニル);および
置換または非置換のヘテロアリール、特に、N、Oまた
はSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5
員または6員環を有するもの(例えばピリジル、チエニ
ル、フリル、ピロリル);以下に述べるもののような酸
基または酸塩の基;および当該技術分野で公知の他の基
がある。アルキル置換基としては、具体的には、“低級
アルキル”(すなわち1〜6個の炭素原子を有するも
の)、例えばメチル、エチルなどが挙げられる。さら
に、アルキル基またはアルキレン基については、分岐、
非分岐または環式であってもよいことが分かるであろ
う。
【0134】画像形成要素の画像形成層の1つ以上に保
護された現像主薬の混合物が組み込まれることが好まし
い。同じまたは異なる割合で全ての画像形成層で同じ混
合物が使用されることが好ましい。代わりに、画像形成
層の、全てではない1つまたは幾つかの層だけに混合物
が存在しても、保護された現像主薬のそれぞれ異なる混
合物が別個の画像形成層中に使用されても良い。一般譲
渡された米国特許出願第 号明細書(出願人書
類記号80867)を参照されたい。この特許明細書の
開示は引用によりここに含まれていることにする。
【0135】使用される各保護された現像主薬の量は、
それが添加される各層において、好ましくは0.01〜
5g/m2であり、より好ましくは0.1〜2g/m2
あり、最も好ましくは0.3〜2g/m2である。これ
らの層は、画像形成要素の色生成層または非色生成層で
もよい。保護された現像主薬を、処理中に写真要素に接
触する別個の要素に含めてもよい。
【0136】先に述べたように、現像主薬Aの開始温度
が現像主薬Bの開始温度よりも低く、現像主薬Aの開始
温度は110〜160℃、好ましくは110〜150℃
の範囲内にあり、現像主薬Bの開始温度が130〜17
0℃にあり、これらの2種の現像主薬の開始温度の差は
5〜50℃、好ましくは8〜40℃、より好ましくは1
0〜30℃である。本発明の1つの態様において、少な
くとも2種の現像主薬は、構造式II、好ましくは構造式
IIBにより表される少なくとも2種の現像主薬を含んで
成る。本発明の別の態様において、少なくとも2種の現
像主薬は、構造式II、好ましくは構造式IIBにより表さ
れる少なくとも1種の現像主薬と、構造式IIIにより表
される少なくとも1種の現像主薬とを含んで成る。本発
明の別の態様において、少なくとも2種の現像主薬は、
構造式II、好ましくは構造式IIBにより表される少なく
とも1種の現像主薬と、構造式IV、好ましくは構造式IV
B(構造式IVまたはIVBの現像主薬は比較的低い開始温
度を有する)により表される少なくとも1種の現像主薬
とを含んでなる。
【0137】画像形成要素の像様露光を行った後、保護
された現像主薬の混合物は、処理液中の酸または塩基の
存在によって、画像形成要素の処理中に画像形成要素を
加熱することによって、および/または画像形成要素を
処理中にラミネートシートなどの別個の要素と接触させ
ることによって、画像形成要素の処理中に活性化され
る。前記ラミネートシートは追加の処理用化学薬剤、例
えばリサーチディスクロージャー、1996年9月、第
389号、第38957項[以後“リサーチディスクロ
ージャーI”と呼ぶ]のセクションXIXとXXに開示
されているものを任意選択的に含有する。特にことわら
ない限り、本願明細書で引用するセクションはすべて、
リサーチディスクロージャーIのセクションである。こ
のような化学薬剤としては、例えばスルフィット類、ヒ
ドロキシルアミン、ヒドロキサム酸等;カブリ防止剤、
例えばアルカリ金属ハロゲン化物、窒素含有複素環式化
合物等;有機酸等の金属イオン封鎖剤;および緩衝剤、
スルホン化ポリスチレン、ステイン低減剤、殺生物剤、
脱銀剤、安定剤などの他の添加剤がある。
【0138】保護された現像主薬は、画像形成要素の画
像形成層のうちの1つ以上に組み込まれることが好まし
い。使用される保護された現像主薬の量は、現像主薬が
添加される各層において、好ましくは0.01〜5g/
2であり、より好ましくは0.1〜2g/m2であり、
そして最も好ましくは0.3〜2g/m2である。これ
らの層は、画像形成要素の色生成層または非色生成層で
もよい。保護された現像主薬を、処理中に写真要素に接
触する別個の要素に含めてもよい。
【0139】画像形成要素の像様露光を行った後、保護
された現像主薬の混合物は、処理液中の酸または塩基の
存在によって、画像形成要素の処理中に画像形成要素を
加熱することによって、および/または画像形成要素を
処理中にラミネートシートなどの別個の要素と接触させ
ることによって、画像形成要素の処理中に活性化され
る。前記ラミネートシートは追加の処理用化学薬剤、例
えばリサーチディスクロージャー、1996年9月、第
389号、第38957項[以後“リサーチディスクロ
ージャーI”と呼ぶ]のセクションXIXとXXに開示
されているものを任意選択的に含有する。特にことわら
ない限り、本願明細書で引用するセクションはすべて、
リサーチディスクロージャーIのセクションである。こ
のような化学薬剤としては、例えばスルフィット類、ヒ
ドロキシルアミン、ヒドロキサム酸等;カブリ防止剤、
例えばアルカリ金属ハロゲン化物、窒素含有複素環式化
合物等;有機酸等の金属イオン封鎖剤;および緩衝剤、
スルホン化ポリスチレン、ステイン低減剤、殺生物剤、
脱銀剤、安定剤などの他の添加剤がある。
【0140】上記の保護された化合物は、いかなる形態
の写真システムにも使用できる。本発明を実施するのに
有用な典型的なカラーネガフィルムの構成を、下記要素
SCN−1で例示する。
【0141】
【外1】
【0142】支持体Sは反射性でも透明でもよいが、透
明の方が通常好ましい。支持体は、反射性の場合、白色
であり、カラープリント要素に現在用いられているいか
なる従来型の支持体の形態をとってもよい。支持体が透
明の場合、支持体は無色であっても薄い色が付いていて
もよく、カラーネガ要素に現在利用されている従来型の
支持体、例えば無色または薄い色を付けた透明フィルム
支持体の形態をとることができる。支持体の構成につい
ての詳細は、当該技術分野ではよく理解されている。有
用な支持体の例は、ポリ(ビニルアセタール)フィル
ム、ポリスチレンフィルム、ポリ(エチレンテレフタレ
ート)フィルム、ポリ(エチレンナフタレート)フィル
ム、ポリカーボネートフィルムおよび同類のフィルムお
よび樹脂状材料、並びに紙、布地、ガラス、金属および
予想される処理条件に耐える他の支持体である。上記要
素は、フィルター層、中間層、オーバーコート層、下塗
り層、ハレーション防止層などの追加の層を含んでいて
もよい。密着性を高めるための下塗り層を含む透明支持
体および反射性支持体の構成が、リサーチディスクロー
ジャーIのセクションXVに開示されている。
【0143】また、本発明の写真要素は、リサーチディ
スクロージャー、第34390項、1992年11月に
記載されているような磁気記録材料、または例えば米国
特許第4,279,945号および第4,302,52
3号に記載されているような透明支持体の下側に磁性粒
子を含有している層などの透明な磁気記録層を有用に含
んでいてもよい。
【0144】青、緑および赤の記録層ユニットBU、G
UおよびRUは各々、1つ以上の親水性コロイド層から
形成され、少なくとも1種の放射線感受性ハロゲン化銀
乳剤と、少なくとも1種の色素画像形成カプラー等のカ
プラーとを含む。上記緑記録ユニットと赤記録ユニット
が、高い記録寛容度および低い画像粒状度を与えるよう
に少なくとも2つの記録層サブユニットに細分されてい
ることが好ましい。最も単純な考えられる構成におい
て、前記層ユニットまたは層サブユニットは、各々、乳
剤とカプラーを含む単一の親水性コロイド層で構成され
る。層ユニットまたは層サブユニット中に存在するカプ
ラーが、乳剤含有層以外の親水性コロイド層においてコ
ートされている場合、そのカプラー含有親水性コロイド
層は、現像中、酸化された発色現像主薬を乳剤から受容
するように配置される。通常、カプラー含有層は、乳剤
含有層に隣接する親水性コロイド層である。
【0145】優れた画像鮮鋭度を確保するとともに製造
とカメラでの使用を容易にするため、増感された層のす
べてを支持体の同一面上に配置することが好ましい。写
真要素は、スプール型の場合、カメラ内で巻き出される
と、増感層を支持する支持体の面に当たる前に、露光が
増感層の全てに当たるように巻かれている。さらに、要
素上に露光により得られた画像についての優れた鮮鋭度
を確保するため、支持体上方の層ユニットの全厚みを調
節するのがよい。一般的に、支持体の露光面上の増感
層、中間層および保護層の合計厚さは35μm未満であ
る。
【0146】常用の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の中
から適宜選択した乳剤を、前記層ユニット内に組み込ん
で、本発明のスペクトル吸収率を提供するように使用で
きる。少量のヨウ化物を含有する高臭化物乳剤を使用す
ることが、最も一般的である。より高い処理速度を実現
するため、高塩化物乳剤を使ってもよい。放射線感受性
の塩化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、塩臭化
銀、臭塩化銀、ヨウ塩臭化銀およびヨウ臭塩化銀の粒子
がすべて考えられる。これらの粒子は規則性でも不規則
性(例えば平板状)でもよい。平板状粒子乳剤、すなわ
ち平板状粒子が全粒子投影面積の少なくとも50%(好
ましくは少なくとも70%、そして最適なのは少なくと
も90%)を占める乳剤は、粒状度との関係で感度を増
大するのに特に有利である。平板状であるとみなされる
には、粒子は、その厚みに対するその等価円直径(EC
D)の比が少なくとも2である平行な2つの主面を必要
とする。特に好ましい平板状粒子乳剤は、平均アスペク
ト比が少なくとも5、最適なのは平均アスペクト比が8
より大きい平板状粒子を含む乳剤である。平板状粒子の
好ましい平均厚みは0.3μm未満である(最も好まし
くは0.2μm未満である)。極薄平板状粒子乳剤、す
なわち平板状粒子の平均厚みが0.07μm未満の乳剤
が具体的に考えられる。これらの粒子は、本発明のカラ
ーネガフィルム形態で表面現像主薬で処理されるとネガ
像を生成するように表面潜像を形成することが好まし
い。
【0147】従来の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の具
体例は、先に引用したリサーチディスクロージャーIの
I. Emulsion grains and their preparationにある。い
かなる従来型の形態をとっていてもよい乳剤の化学増感
は、セクションIV.Chemicalsensitizationで説明され
ている。化学増感剤として有用な化合物としては、例え
ば、活性ゼラチン、硫黄、セレン、テルル、金、白金、
パラジウム、イリジウム、オスミウム、レニウム、リン
またはこれらの組み合わせがある。化学増感は概して、
pAgレベル5〜10、pHレベル4〜8および温度3
0〜80℃で実施される。いかなる従来型の形態をとっ
ていてもよい分光増感法と増感色素は、セクションV. S
pectral sensitization and desensitizationで説明さ
れている。その色素は、ハロゲン化銀粒子と親水性コロ
イドの乳剤に、その乳剤の写真要素へのコーティングの
前(例えば化学増感中または化学増感後)の任意の時
点、または該コーティングと同時に添加することができ
る。これらの色素は、例えば、水溶液もしくはアルコー
ル溶液として、または固体粒子の分散体として添加され
てもよい。前記乳剤層は典型的には1種以上のカブリ防
止剤または安定剤も含むが、これらの添加剤は、セクシ
ョンVII. Antifoggants and stabilizersで説明されて
いるような従来型の形態をとることができる。
【0148】本発明で使用されるハロゲン化銀粒子は、
例えば上記リサーチディスクロージャーIおよびJames
著「The Theory of the Photographic Process」に記載
されている方法等の当該技術分野で公知の方法によって
製造することができる。これらの方法には、例えばアン
モニア乳剤の製造法、中性または酸性の乳剤の製造法お
よび当該技術分野で公知の他の方法が含まれる。これら
の方法は、一般的に、水溶性銀塩と水溶性のハロゲン化
物塩を、保護コロイドの存在下で混合し、次いで析出に
よるハロゲン化銀の形成の間に、温度、pAg、pHの
値などを好適な値に調節することによって行われる。
【0149】粒子が析出する過程で、1種以上のドーパ
ント(銀とハロゲン化物以外の粒子吸蔵物)を導入して
粒子の特性を調節することができる。例えば、リサーチ
ディスクロージャーI、セクションI. Emulsion grains
and their preparation、サブセクションG. Grain mod
ifying conditions and adjustments、パラグラフ
(3)、(4)および(5)に開示されている各種の従
来のドーパントのいずれが本発明の乳剤中に存在しても
よい。さらに、Olm等の米国特許第5,360,712
号に教示されているような、1つ以上の有機配位子を含
む遷移金属六配位錯体を粒子にドープすることが具体的
に考えられる。この特許明細書の開示は、引用によりこ
こに含まれていることにする。
【0150】リサーチディスクロージャー、第3673
6項(1994年11月発行)で考察されているような
浅い電子トラップ(以下、SETともいう)を形成する
ことによって画像形成感度を増大することのできるドー
パントを、粒子の面心立方結晶格子中に組み込むことが
特に考えられる。
【0151】本発明の写真要素は、通例通り、ハロゲン
化銀を乳剤の形態で備える。写真乳剤は、一般的に、乳
剤を、写真要素を構成するある層としてコートするため
のビヒクルを含む。有用なビヒクルとしては、天然に産
出する物質、例えばタンパク質、タンパク質誘導体、セ
ルロース誘導体(例えばセルロースエステル)、ゼラチ
ン(例えば、牛骨もしくは獣皮のゼラチンなどのアルカ
リ処理ゼラチン、または豚皮ゼラチンなどの酸処理ゼラ
チン)、脱イオン化ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば
アセチル化ゼラチン、フタル酸化ゼラチンなど)および
リサーチディスクロージャーIに記載されている他のビ
ヒクルがある。親水性で透水性のコロイドも、ビヒクル
またはビヒクル増量剤として有用である。これらのもの
としては、合成高分子解膠剤、キャリヤーおよび/また
はバインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリ
(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリビ
ニルアセタール、アルキルアクリレートおよびスルホア
ルキルアクリレート並びにアルキルメタクリレートおよ
びスルホアルキルメタクリレートのポリマー、加水分解
されたポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリビニルピリジ
ン、メタクリルアミド共重合体がある。上記ビヒクル
は、写真乳剤において有用な任意の量で、乳剤中に存在
することができる。また、乳剤は、写真乳剤に有用であ
ることが知られているいかなる添加剤を含んでもよい。
【0152】ハロゲン化銀として任意の有用な量の感光
性銀を、本発明において有用な要素で使用できるが、そ
の全量が、銀が10g/m2未満となる量であることが
好ましい。銀の量は7g/m2未満が好ましく、そして
5g/m2未満がよりいっそう好ましい。銀の量がより
少ないほど、写真要素の光学的特性が改善され、その要
素を用いてより鮮鋭な写真を創製することができる。こ
のように銀の量が少ないことは、写真要素の迅速な現像
と脱銀を行うことができる点でさらに重要である。逆に
言えば、引伸しを目的としている写真に対して適切に低
い粒状度の状態を維持しながら、少なくとも2.7lo
gEの露光寛容度を実現するには、写真要素の支持体表
面積1m2当りコートされる銀が少なくとも1.5gで
あるという銀被覆量が必要である。
【0153】BUは少なくとも1種のイエロー色素像形
成カプラーを含み、GUは少なくとも1種のマゼンタ色
素像形成カプラーを含み、そしてRUは少なくとも1種
のシアン色素像形成カプラーを含む。従来の色素像形成
カプラーのあらゆる都合良い組合せを利用できる。従来
の色素像形成カプラーは、上記リサーチディスクロージ
ャーI、X. Dye image formers and modififiers, B. I
mage-dye-forming couplersに例示されている。本発明
の写真要素は、例えば“現像抑制剤放出型”化合物(D
IR)等の他の画像調整化合物をさらに含んでいてもよ
い。本発明の写真要素に対して有用なDIRは当該技術
分野では公知であり、その例は、米国特許第3,13
7,578号、第3,148,022号、第3,14
8,062号、第3,227,554号、第3,38
4,657号、第3,379,529号、第3,61
5,506号、第3,617,291号、第3,62
0,746号、第3,701,783号、第3,73
3,201号、第4,049,455号、第4,09
5,984号、第4,126,459号、第4,14
9,886号、第4,150,228号、第4,21
1,562号、第4,248,962号、第4,25
9,437号、第4,362,878号、第4,40
9,323号、第4,477,563号、第4,78
2,012号、第4,962,018号、第4,50
0,634号、第4,579,816号、第4,60
7,004号、第4,618,571号、第4,67
8,739号、第4,746,600号、第4,74
6,601号、第4,791,049号、第4,85
7,447号、第4,865,959号、第4,88
0,342号、第4,886,736号、第4,93
7,179号、第4,946,767号、第4,94
8,716号、第4,952,485号、第4,95
6,269号、第4,959,299号、第4,96
6,835号、第4,985,336号;英国特許出願
公開第1,560,240号、第2,007,662
号、第2,032,914号、第2,099,167
号;ドイツ特許第2,842,063号、第2,93
7,127号、第3,636,824号、第3,64
4,416号;欧州特許出願公開第272,573号、
第335,319号、第336,411号、第346,
899号、第362,870号、第365,252号、
第365,346号、第373,382号、第376,
212号、第377,463号、第378,236号、
第384,670号、第396,486号、第401,
612号および第401,613号に記載されている。
【0154】DIR化合物は、Photographic Science a
nd Engineering, Vol. 13, p.174 (1969)におけるC. R.
Barr, J. R. ThirtleおよびP. W. Vittumの論文“Deve
loper-Inhibitor-Releasing (DIR) Couplers for Color
Photography”にも開示されている。この開示は、引用
によりここに含まれていることにする。
【0155】単一の色素像形成層ユニット中で、1つ、
2つまたは3つの別個の乳剤層をコートすることは通常
行われることである。2つ以上の乳剤層を、単一の層ユ
ニットにコートする場合、これらの乳剤層はそれらの感
度が互いに異なるように典型的には選ばれる。より感度
の高い乳剤を、感度のより低い乳剤の上にコートした場
合に、これら2つの乳剤をブレンドした場合よりも高い
感度が実現される。より感度の低い乳剤を、より感度の
高い乳剤の上にコートした場合に、これら2つの乳剤を
ブレンドした場合よりも高いコントラストが実現され
る。最高感度乳剤を、露光放射線源に最も近くなるよう
にコートし、最低感度乳剤を支持体に最も近くになるよ
うにコートすることが好ましい。
【0156】本発明の層ユニットの1つ以上は、少なく
とも2つ、より好ましくは3つ以上のサブユニット層に
細分されていることが好ましい。色記録ユニット内の全
ての感光性ハロゲン化銀乳剤が、可視スペクトルの同じ
領域に分光感度を有することが好ましい。この態様で
は、前記ユニットに組み込まれた全てのハロゲン化銀乳
剤が、本発明に係るスペクトル吸収率を有するが、それ
ら乳剤間のスペクトル吸収特性の差は小さいと考えられ
る。さらにいっそう好ましい態様では、より感度の低い
ハロゲン化乳剤の増感は、低い光レベルから高い光レベ
ルの露光に応じて、写真記録材料による均一な像様スペ
クトル応答を与えるために、感度の低いハロゲン化銀乳
剤の上に存在する層ユニットのより感度の高いハロゲン
化銀乳剤の光遮蔽効果を考慮して、特別に設計される。
従って、下側にある層の分光感度のオンピーク遮蔽(o
n−peak shielding)とブロードニング
を考慮して、細分された層ユニットのより感度の低い乳
剤中でピーク光吸収分光増感色素の割合がより高いこと
が望ましい。
【0157】中間層IL1およびIL2は、その主な機
能として、色汚染低減機能、すなわち酸化された現像主
薬が色素生成カプラーと反応する前に、隣接する記録層
に移行するのを防止する機能を有する親水性コロイド層
である。これらの中間層は、単に、酸化された現像主薬
が移動しなければならない拡散経路の長さを長くするこ
とによってある程度有効である。これらの中間層が酸化
された現像主薬を遮断する効果を高めるため、酸化され
た現像主薬を組み込むことが従来実施されている。ステ
イン防止剤(酸化された現像主薬のスカベンジャー)
は、リサーチディスクロージャーI、X. Dye image for
mers and modifiers, D. Hue modifiers/stabilizatio
n、パラグラフ(2)に開示されているものの中から選
択することができる。GUおよびRU中の1つ以上のハ
ロゲン化銀乳剤が高臭化物乳剤であるために青色光に対
して有意な固有感度を有している場合、IL1中に、例
えばCarey Lea銀またはイエロー処理液で脱色可能な色
素等のイエローフィルターを組み込むことが好ましい。
好適なイエローフィルター色素は、リサーチディスクロ
ージャーI、セクションVIII. Absorbing and Scatteri
ng materials, B. Absorbing materialsに例示されてい
るものの中から選択することができる。本発明の要素で
は、マゼンタ色のフィルター材料は、IL2とRUには
ない。
【0158】ハレーション防止層ユニットAHUは、典
型的には、処理液で除去可能かまたは脱色可能な光吸収
性物質、例えば顔料と色素のうちの一方またはそれらの
混合物を含む。好適な物質は、リサーチディスクロージ
ャーI、セクションVIII. Absorbing materialsに開示
されているものの中から選択することができる。AHU
の一般的な別の位置は、支持体Sと、その支持体の最も
近くにコートされている記録層ユニットとの間である。
【0159】表面オーバーコートSOCは、取扱いおよ
び処理時にカラーネガ要素を物理的に保護するために設
けられる親水性コロイド層である。また、各SOCは、
カラーネガ要素の表面またはその表面の近くで最も有効
な添加剤を組み込むのに都合よい場所も提供する。場合
によっては、表面オーバーコートは、表面層と中間層に
分割され、後者は表面層中の添加剤と隣接する記録層の
ユニットとの間のスペーサーとして機能する。他の一般
的な態様で、表面層と中間層に添加剤が分配され、中間
層は隣接する記録層ユニットとの適合性を有する添加剤
を含む。最も一般的には、SOCは、例えば、リサーチ
ディスクロージャーI、セクションIX.Coating physica
l property modifying addendaに例示されているような
コーティング助剤、可塑剤と潤滑剤、帯電防止剤および
艶消し剤などの添加剤を含む。乳剤層の上に重なるSO
Cは、さらに、好ましくは、リサーチディスクロージャ
ーI、セクションVI. UV dyes/optical brighteners/lu
minescent dyes、パラグラフ(1)に例示されているよ
うな紫外線吸収剤を含む。
【0160】要素SCN−1の層ユニット順序の代わり
に、別の層ユニット順序を利用することができ、この代
替的な層ユニット順序はある種の乳剤を選択する場合に
特に魅力的である。高塩化物乳剤および/または薄い
(平均粒子厚み<0.2μm)平板状粒子乳剤を使用し
て、BU、GUおよびRUの位置の可能な全ての入れ替
えを、マイナスブルー記録の青色光汚染のおそれなしに
実施することができる。なぜなら、これらの乳剤は、可
視スペクトルにおいて無視できる固有感度を示すからで
ある。同じ理由から、青色光吸収剤をこれらの中間層に
組み込む必要はない。
【0161】色素像形成層ユニット中の複数の乳剤層の
感度が互いに異なる場合、最高感度を有する層への色素
像形成カプラーの組み込みを、銀を基準とした化学量論
的量未満に制限することが従来行われている。最高感度
乳剤層の機能は、最小濃度のすぐ上方の部分、すなわち
その層ユニット中の残りの1つまたは複数の乳剤層の閾
値感度より下の露光領域に特性曲線を出じさせることで
ある。この場合、最高感度乳剤層の高い粒状度が生成し
た色素像記録に加わることが、画像形成感度を犠牲にす
ることなく最低限に抑えられる。
【0162】先の考察において、青、緑および赤の記録
層ユニットは、プリントに使用されるカラーネガ要素で
従来実施されているように、それぞれ、イエロー、マゼ
ンタおよびシアンの画像色素形成カプラーを含むものと
して説明した。これは、プリントに使用されるカラーネ
ガ要素では慣用的な態様である。本発明は、例示するよ
うな従来のカラーネガの構成に適切に適用することがで
きる。カラーリバーサルフィルムの構成は、着色マスキ
ングカプラーが完全に存在しないことを除き、類似の形
態をとることができる。典型的な形態で、現像抑制剤放
出型カプラーも存在しないことがある。好ましい態様で
は、本発明のカラーネガ要素は、専ら、3つの別個の電
子カラー記録を生成させるために走査することを意図し
たものである。従って、生成される画像色素の実際の色
相は重要でない。各層ユニットで生じる色素像が、残り
の層ユニットの各々で生じる色素像と区別できることだ
けが不可欠である。このような差異を生じさせる性能を
提供するには、各層ユニットが、別個のスペクトル領域
内に存在する吸収半値幅を有する画像色素を生成するよ
うに選択された1種以上の色素像形成カプラーを含むこ
とが考えられる。青、緑もしくは赤の記録層ユニット
が、プリントに使用することを意図したカラーネガ要素
の場合に一般的であるように、スペクトルの青、緑もし
くは赤の領域内に吸収半値幅を有するか、または近紫外
(300〜400nm)から可視へさらに近赤外(70
0〜1200nm)にわたる範囲のスペクトルの他の都
合の良い領域に吸収半値幅を有するイエロー、マゼンタ
またはシアン色素を形成するかどうかは、層ユニット中
の画像色素の吸収半値幅が実質的に同一の広がりを持た
ない波長範囲に広がっている限り重要でない。「実質的
に同一の広がりを持たない波長範囲」なる用語は、各画
像色素が、別の画像色素の吸収半値幅によって占められ
ていない少なくとも25nm(好ましくは50nm)の
スペクトル領域にわたって広がる吸収半値幅を示すこと
を意味する。画像色素は互いに重ならない吸収半値幅を
示すことが理想的である。
【0163】1つの層ユニットが感度の異なる2つ以上
の乳剤層を含む場合、層ユニットのその他の乳剤層の色
素像と異なるスペクトル領域に存在する吸収半値幅を示
す色素像を層ユニットの各乳剤層において形成すること
によって、電子記録から再生される観察しようとする画
像の画像粒状度を低下させることが可能である。この技
術は、感度の異なるサブユニットに層ユニットが分割さ
れている要素に好適である。この技術によって、同じ分
光感度の乳剤層により形成される異なる色素像に対応し
て、複数の電子記録を各層ユニットについて生じさせる
ことができる。最高感度の乳剤層により形成される色素
像を走査することによって形成されるデジタル記録を使
用して、最小濃度のすぐ上方に位置する観察しようとす
る色素像の部分を再生する。より高い露光レベルで、第
2の電子記録および場合に応じて第3の電子記録を、残
りの1つまたは複数の乳剤層により形成されるスペクト
ル的に区別される色素像を走査することによって形成で
きる。これらのデジタル記録はノイズが少ない(粒状度
が低い)ので、より感度の低い乳剤層の閾値露光レベル
を超える露光範囲で、観察しようとする画像を再生する
のに使用できる。粒状度を低下させるためのこの技術
は、Suttonの米国特許第5,314,794号に詳しく
開示されている。この開示は、引用によりここに含まれ
ていることにする。
【0164】本発明のカラーネガ要素の各層ユニット
は、特性曲線のガンマが1.5より小さい色素像を形成
し、少なくとも2.7logEの露光寛容度を得ること
を容易にする。多色写真要素の許容可能な最低露光寛容
度は、写真使用時に起こる可能性がある最も極端な白色
(例えば花嫁の結婚衣装)と最も極端な黒色(例えば花
婿のタキシード)を正確に記録することを可能にする露
光寛容度である。2.6logEの露光寛容度は、一般
的な花嫁と花婿の結婚シーンに適応できる。少なくとも
3.0logEの露光寛容度が好ましい。なぜなら、こ
の露光寛容度によって、写真撮影者が露光レベルを選ぶ
際の誤りに対して十分な余裕を見込めるためである。さ
らに大きな露光寛容度が特に好ましい。なぜなら、露光
の誤りがいっそう大きくても正確に画像を再現すること
ができるからである。プリント用のカラーネガ要素の場
合、プリントされたシーンの視覚的魅力は、ガンマが著
しく低いと失われることが多いが、カラーネガ要素を走
査してデジタル色素像記録を生成させる場合に、電子信
号情報を調節することによりコントラストを増大させる
ことができる。本発明の要素を、反射ビームを使用して
走査するとき、そのビームは層ユニットを2回通過す
る。その結果、濃度変化(ΔD)が2倍になることによ
ってガンマ(ΔD÷ΔlogE)が有効に2倍になる。
従って、1.0またはさらに0.6という低いガンマが
考えられ、そして約5.0logEまで、またはそれ以
上の露光寛容度が実現可能である。約0.55のガンマ
が好ましい。約0.4〜0.5の間のガンマが特に好ま
しい。
【0165】色素生成カプラーを使用する代わりに、多
色画像を形成させる際に使用される従来の組み込まれる
色素像生成化合物を、青、緑および赤の記録層ユニット
に組み込むことができる。色素像は、露光量の関数とし
て、色素の選択的分解、生成または物理的除去によって
形成させることができる。例えば銀色素の漂白プロセス
は公知であり、組み込まれた画像色素の選択的分解によ
って色素像を形成させるのに商業的に利用されている。
この銀色素漂白プロセスは、リサーチディスクロージャ
ーI、セクションX. Dye image formers and modifier
s, A. Silver dye bleachに説明されている。
【0166】予備形成された画像色素を青、緑および赤
の記録層ユニットに組み込むことができ、そのような組
み込まれる色素として、最初、移動性でないが、酸化さ
れた現像主薬とのレドックス反応にあずかる機能として
移動性部分において色素発色団を放出できる色素を選択
できることも公知である。これらの化合物は、一般的に
レドックス色素放出剤(RDR)と呼ばれている。放出
された移動性色素を洗い流すことによって、走査可能な
保持された色素像が生成する。また、放出された移動性
色素を、それらが媒染層中に固定される受容体に転写す
ることもできる。次に、その画像を保持している受容体
を走査することができる。受容体は、最初、カラーネガ
要素の一体部分である。該要素の一体部分のままの受容
体に対して走査を実施する場合、その受容体は、典型的
には、透明な支持体、その支持体のすぐ下側の色素像保
持媒染層、およびこの媒染層のすぐ下側に白色反射層を
有する。色素像の走査を容易にするために前記受容体を
カラーネガ要素から剥がす場合、受容体の支持体は、色
素像が見えることを意図しているときに通常選択される
ように反射性であってもよく、透明であってもよい。透
明の場合、色素像の透過走査を行うことができる。RD
RおよびRDRが組み込まれた色素像転写システムはリ
サーチディスクロージャー、Vol. 151, 1976年11
月、第15162項に記載されている。
【0167】また、最初、移動性であるが、像様現像の
間に固定することのできる化合物によって色素像を提供
できることも分かっている。この種の画像形成色素を利
用する画像転写システムは、さきに開示した色素像転写
システムで長年にわたって使用されている。本発明の実
施と適合できるこれらのおよびその他の画像転写システ
ムは、リサーチディスクロージャー、Vol. 176、197
8年12月、第17643項、XXIII. Image transfer
systemsに開示されている。
【0168】リサーチディスクロージャーI.セクショ
ンXIV. Scan facilitating featuresに例示されている
ように、走査を調節するためのカラーネガ要素について
のいくつもの変更が示唆されている。本発明の実施に使
用する場合、上記のカラーネガ要素の構成に適合できる
範囲のこれらのシステムが考えられる。
【0169】また、本発明の画像形成要素を非従来型の
増感スキームで使用できることも考えられる。例えば、
スペクトルの赤、緑および青領域に対して増感された画
像形成層を使用する代わりに、感光性材料が、シーンの
輝度を記録するための1つの白感層と、シーンのクロミ
ナンスを記録するための2つの感色性層を有していても
よい。現像後、得られた画像を、米国特許第5,96
2,205号に記載されているように走査し、デジタル
式で再処理し、原シーンの全色を再構築することができ
る。また、この画像形成要素は、カラー分割露光を伴う
パン増感乳剤を含んでいてもよい。この態様では、本発
明の現像主薬は、前記分割露光とあいまって、原シーン
のカラー値を完全に取り戻すことのできる着色または中
性画像を生成する。そのような要素では、画像は、現像
された銀濃度、1種以上の従来のカプラーの組み合わせ
またはレゾルシノールカプラー等の「黒」のカプラーに
よって形成することができる。分割露光は、適当なフィ
ルターによって逐次行うかまたは空間的に離れたフィル
ター要素からなるシステム(一般的に「カラーフィルタ
ーアレイ」と呼ばれている)によって同時に行うことが
できる。
【0170】また、本発明の画像形成要素は、例えばパ
ン増感されたハロゲン化銀乳剤と本発明の現像主薬を含
む黒白画像形成材料であることもできる。この態様にお
いて、画像は、処理後の現像された銀の濃度によって、
または中性画像のトーンスケールを保持するために使用
できる色素を生成するカプラーによって形成できる。
【0171】従来の露光されたカラー写真材料を化学現
像した後、従来型のイエロー、マゼンタおよびシアンの
画像色素が生成されて、その記録されたシーンの露光量
を読み取る場合、それらの濃度を調べることにより写真
要素の赤、緑および青色記録ユニットの応答を正確に知
ることができる。デンシトメトリーは、選択した着色フ
ィルターを使用して、RGB画像色素生成ユニットの像
様応答を、比較的独立したチャネルに分離して、試料を
透過した光を測定する方法である。光学的プリント用の
カラーネガフィルム要素の応答を測定するにはステータ
スMフィルターを使用し、そして、直接透過観察を意図
したカラーリバーサルフィルムにはステータスAフィル
ターを使用することが一般的である。積分デンシトメト
リーにおいて、不完全な画像色素の不要なサイドとテイ
ルの吸収は少量のチャネル混合をもたらし、その場合、
例えばマゼンタチャネルの全応答の一部が、ニュートラ
ルの特性曲線中の、イエローまたはシアンの画像色素の
記録または両方の記録のオフピーク吸収に由来する。そ
のようなアーチファクトはフィルムの分光感度を測定す
る際には無視できる。積分濃度応答を適当に数学的に処
理することによって、これらの不要のオフピーク濃度の
寄与は、解析濃度を提供して完全に修正することがで
き、その場合、所定の色記録の応答は他の画像色素のス
ペクトル寄与から独立している。解析濃度の決定は、W.
Thomas編のSPSE Handbook of Photographic Science a
nd Engineering、セクション15.3、Color Densitometr
y、pp.840-848, John Wiley and Sons, New York, 1973
に要約されている。
【0172】露光され次いで処理されたカラーネガフィ
ルム要素を走査して、画像パターンの操作可能な電子記
録を得て、次に調節された電子記録を目視可能な形態に
再変換することによって画像が得られる場合、画像のノ
イズを低減することができる。画像の鮮鋭度と彩度と
を、他の性能の欠点を避けるかまたは最低限に抑えると
同時に層のガンマ比を狭い範囲内にあるように設計する
ことによって増大できるが、その場合、色記録は、観察
しようとするカラー画像を再生する前に、電子形態にす
る。プリント時に、または電子画像記録を操作すること
によって、残りの画像情報から画像ノイズを分離するこ
とは不可能であるが、低ガンマ比のカラーネガフィルム
要素によって提供されるような、低ノイズを示す電子画
像記録を調節することによって、公知のプリント技術で
は達成できない方式で、全体的な曲線形状と鮮鋭度の特
性を改善することができる。従って、光学的プリント用
途に役立つように構成された従来型のカラーネガ要素か
ら同様に得られる電子画像記録より優れた上記カラーネ
ガ要素から得られた電子画像記録から、画像を再生する
ことができる。上記要素の優れた画像形成特性は、赤、
緑および青の色記録ユニットの各々のガンマ比が1.2
未満の場合に得られる。より好ましい態様では、赤、緑
および青色光感受性色生成ユニットは各々1.15未満
のガンマ比を示す。さらに好ましい態様では、赤および
青色光感受性色生成ユニットは各々1.10未満のガン
マ比を示す。最も好ましい態様では、赤、緑および青の
感光性色生成ユニットは各々、1.10未満のガンマ比
を示す。全ての場合において、単一または複数の個々の
カラーユニットは、好ましくは1.15未満のガンマ比
を示し、より好ましくは1.10未満のガンマ比を示
し、そしてさらにいっそう好ましくは1.05未満のガ
ンマ比を示す。これらの層ユニットのガンマ比は必ずし
も等しくなくてよい。ガンマ比の値がこのように低いこ
とは、中間層の相互作用(層ユニット間の中間層重層効
果としても知られている)のレベルが低いことを示して
おり、走査と電子的操作の後の画像の品質が改善される
原因となると考えられる。層ユニット間の化学的相互作
用からもたらされる明らかに有害な画像特性を、画像操
作中、電子工学的に抑制する必要はない。その相互作用
を、公知の電子的画像操作スキームを用いて適正に抑制
することは、不可能ではないにしても困難な場合が多
い。
【0173】優れた感光性を有する要素が本発明を実施
するのに最もよく利用される。これらの要素が、少なく
とも約ISO 50の感度を有するのが良く、好ましく
は少なくとも約ISO 100の感度、より好ましくは
少なくとも約ISO 200の感度を有する。感度がI
SO 3200まで、またはさらに感度の高い要素が具
体的に考えられる。カラーネガ写真要素のスピードまた
は感度は、処理後、カブリ濃度を超える特定の濃度を得
るために必要な露光量に逆比例する。各色記録における
ガンマが約0.65であるカラーネガ要素の写真感度
は、the AmericanNational Standards Institute (ANS
I)によって、ANSI Standard Number PH2.27-1981(IS
O(ASA感度))として具体的に定義されており、カ
ラーフィルムの緑光感受性でかつ感度が最低の色記録ユ
ニットの各々における最低濃度を0.15超える濃度を
生成するのに必要な平均露光レベルに特に関連する。こ
の定義は、International Standard Organization(I
SO)のフィルム感度の等級に従っている。本願の目的
を達成するため、カラーユニットのガンマが0.65と
異なる場合、ASAまたはISO感度は、他の決まった
方式で感度を決定する前に、ガンマ対logE(露光
量)曲線を0.65の値に、線形的に増加または減少さ
せることによって計算すべきである。
【0174】また、本発明は、しばしばシングルユース
カメラ(または“レンズ付きフィルム”ユニット)と呼
ばれているものに本発明の写真要素を使用することも考
えられる。これらのカメラは、その中にフィルムを予め
装填した状態で販売され、そして、露光されたフィルム
をカメラに入れたまま、そのカメラ全体が処理業者に戻
される。本発明で使用されるこのシングルユースカメラ
は、当該技術分野で知られているいずれのものでもよ
い。これらのカメラは、シャッター手段、フィルム巻上
げ手段、フィルム前進手段、防水ハウジング、単一もし
くは複数のレンズ、レンズ選択手段、可変絞り、焦点レ
ンズまたは焦点距離レンズ、採光条件をモニターする手
段、採光条件または使用者に提供された説明書に基づい
てシャッター時間またはレンズ特性を調節する手段、お
よび使用条件をフィルムに直接記録するカメラの手段等
の当該技術分野で公知の特徴を備えることができる。こ
れらの特徴としては、限定するわけではないが、Skarma
nの米国特許第4,226,517号に記載されている
ようなフィルムを手動でまたは自動的に前進させ、そし
てシャッターをリセットする簡単な機構を備えること;
Matterson等の米国特許第4,345,835号に記載
されているような自動露光制御装置を備えること;Fuji
mura等の米国特許第4,766,451号に記載されて
いるような防湿性;Ohmura等の米国特許第4,751,
536号に記載されているような内部および外部のフィ
ルムケーシングを備えること;Taniguchi等の米国特許
第4,780,735号に記載されているようなフィル
ムに使用条件を記録する手段を備えること;Araiの米国
特許第4,804,987号に記載されているようなレ
ンズ固定カメラを提供すること;Sasaki等の米国特許第
4,827,298号に記載されているような優れたカ
ール防止特性を有するフィルム支持体を用意すること;
Ohmura等の米国特許第4,812,863号に記載され
ているようなファインダーを備えること;Ushiro等の米
国特許第4,812,866号に記載されているような
規定の焦点距離とレンズスピードを有するレンズを備え
ること;Nakayama等の米国特許第4,831,398号
とOhmura等の米国特許第4,833,495号に記載さ
れているような複数のフィルム容器を備えること;Shib
aの米国特許第4,866,469号に記載されている
ような改良された減摩特性を有するフィルムを用意する
こと;Mochidaの米国特許4,884,087号に記載
されているような巻上げ機構、回転スプールまたは弾性
スリーブを備えること;Takei等の米国特許第4,89
0,130号と第5,063,400号に記載されてい
るような軸方向に取り外し可能なフィルムのパトローネ
またはカートリッジを備えること;Ohmura等の米国特許
第4,896,178号に記載されているような電子フ
ラッシュ手段を備えること;Mochida等の米国特許第
4,954,857号に記載されているような露光を行
うための外部で動作可能な部品を備えること;Murakami
の米国特許第5,049,908号に記載されているよ
うな改良されたスプロケットホールを有するフィルム支
持体とそのフィルムを前進させる手段を備えること;Ha
raの米国特許第5,084,719号に記載されている
ような内部ミラーを備えること;およびYagi等の欧州特
許願第0,466,417Aに記載されているようなし
っかり巻き上げられるスプールに使用するのに適したハ
ロゲン化銀乳剤を用意することである。
【0175】当該技術分野で公知の方法でシングルユー
スカメラにフィルムを装填できるが、露光時にスラスト
カートリッジによって巻き取られるようにシングルユー
スカメラにフィルムを装填することが特に好ましい。ス
ラストカートリッジは、Kataokaの米国特許第5,22
6,613号、Zanderの米国特許第5,200,777
号、Dowling等の米国特許第5,031,852号およ
びRobertson等の米国特許第4,834,306号に開
示されている。このようにスラストカートリッジを利用
するのに好適な本体の幅が狭いシングルユースカメラ
は、Tobioka等の米国特許第5,692,221号に記
載されている。
【0176】カメラは、組み込まれた処理能、例えば発
熱要素を備えていてもよい。それらの使用を含む、画像
を捕獲して表示するシステムに使用されるそのようなカ
メラの設計は、引用によりその開示がここに含まれてい
ることにする1999年9月1日付けで出願された米国
特許出願第09/388,573号に開示されている。
この特許出願明細書に開示されているようなシングルユ
ースカメラを使用することが、本発明を実施する際に特
に好ましい。
【0177】本発明の写真要素を、リサーチディスクロ
ージャーI、セクションXVIに記載されている技術を含
む公知の技術のいずれかを使用して像様露光することが
好ましい。これには一般的に、スペクトルの可視領域の
光を露光することが含まれ、一般的に、そのような露光
はレンズを通しての実物像の露光であるが、露光は、発
光装置(例えば、発光ダイオード、CRTなど)によ
る、記憶された画像(例えばコンピュータが記憶してい
る画像)に対する露光でもよい。また、フォトサーモグ
ラフ要素は、各種形態のエネルギーによって露光される
が、それらのエネルギーとしては、電磁スペクトルの紫
外および赤外領域、並びに電子ビームとβ線、ガンマ
線、X線、α粒子、中性子線およびレーザーが生成する
非コヒーレント(ランダム位相)型またはコヒーレント
(同位相)型の他の形態の粒子波様放射線エネルギーが
ある。露光は、写真ハロゲン化銀の分光増感に応じて、
単色、整色または全整色露光である。
【0178】上記諸要素は、画像走査を行って、捕獲画
像の電子的表現(electronic rendition)を生成し、そ
の後、その表現をデジタル処理して、その画像を電子的
に操作し、記憶し、伝送し、出力しまたは表示するプロ
セスのいくつかまたはすべてのための起点材料として使
える。
【0179】本発明の保護された化合物は、上述の特徴
のいずれかまたは全てを有する写真要素に用いることが
できるが、別の形態の処理に使用することも意図してい
る。これらのタイプのシステムを、以下に詳細に説明す
る。 タイプI:熱処理システム(サーモグラフシステムおよ
びフォトサーモグラフシステム)。このシステムでは、
熱を画像形成要素に加えるだけで処理が開始される。 タイプII:小容積のシステム。このシステムにおけるフ
ィルム処理は処理液に接触させることによって開始され
るが、その処理液の容積は、処理される画像形成層の全
容積と同等である。この種のシステムでは、非溶液処理
の補助手段の付加、例えば加熱が行われるか、または処
理の時点で適用されるラミネート層の付加を伴うことが
ある。以下、タイプIおよびIIについて述べる。
【0180】タイプI:ドライまたは実質的にドライな
サーモグラフシステムおよびフォトサーモグラフシステ
ム 本発明の一側面に従って、保護された現像主薬がフォト
サーモグラフ要素に組みこまれる。リサーチディスクロ
ージャー 17029に記載されているタイプのフォト
サーモグラフ要素は、引用によりここに含まれているこ
とにする。フォトサーモグラフ要素は、リサーチディス
クロージャーIに開示されているようにタイプAまたは
タイプBのものであることができる。タイプAの要素
は、反応的に組み合わさる、感光性ハロゲン化銀、還元
剤または現像主薬、アクチベーター、およびコーティン
グビヒクルまたはバインダーを含む。これらのシステム
で、現像は、感光性ハロゲン化銀の銀イオンが金属銀に
還元されることにより起こる。タイプBのシステムは、
有機化合物と銀イオンの塩または錯体に加えて、タイプ
Aのシステムの要素をすべて含むことがある。それらの
システムで、この有機錯体は現像中に還元されて金属銀
を生成する。この有銀塩を銀ドナーと呼ぶことにする。
そのような画像形成要素を記載している文献としては、
例えば、米国特許第3,457,075号、第4,45
9,350号、第4,264,725号および第4,7
41,992号がある。
【0181】フォトサーモグラフ要素は、基本的に写真
ハロゲン化銀からなる感光性成分を含む。タイプBのフ
ォトサーモグラフ材料では、ハロゲン化銀由来の潜像銀
は、処理によって画像を形成する上記組み合わせのため
の触媒として作用すると考えられる。これらのシステム
において、写真ハロゲン化銀の好ましい濃度は、フォト
サーモグラフ材料中の銀ドナー1モル当り写真ハロゲン
化銀0.01〜100モルの範囲内の濃度である。
【0182】タイプBのフォトサーモグラフ要素は、有
機銀塩酸化剤を含む酸化−還元画像形成組み合わせ(im
age forming combination)を含む。その有機銀塩は、
光に対して比較的安定な銀塩であるが、露光された光触
媒(すなわち感光性ハロゲン化銀)および還元剤の存在
下で80℃以上に加熱されると、銀画像の形成を促進す
る。
【0183】好適な有機銀塩としては、カルボキシル基
を有する有機化合物の銀塩が挙げられる。その好ましい
例としては、脂肪族カルボン酸の銀塩と芳香族カルボン
酸の銀塩が挙げられる。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ま
しい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイ
ン酸銀、ラウリン酸銀、カプリン酸銀、ミリスチン酸
銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石
酸銀、フロ酸銀、リノール酸銀、酪酸銀、ショウノウ酸
銀、およびそれらの混合物などが挙げられる。ハロゲン
原子またはヒドロキシル基で置換できる銀塩も有効に使
用できる。芳香族カルボン酸および他のカルボキシル基
含有化合物の銀塩の好ましい例としては、安息香酸銀;
置換安息香酸銀、例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸
銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p
−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、ア
セトアミド安息香酸銀、p−フェニル安息香酸銀など;
没食子酸銀;タンニン酸銀;フタル酸銀;テレフタル酸
銀;サリチル酸銀;フェニル酢酸銀;ピロメリト酸銀;
米国特許第3,785,830号に記載されているよう
な3−カルボキシメチル−4−メチル−4−チアゾリン
−2−チオンの銀塩等;および米国特許第3,330,
663号に記載されているようなチオエーテル基を含む
脂肪族カルボン酸の銀塩がある。
【0184】5個または6個の環原子を含有する複素環
核を有するメルカプトまたはチオン置換化合物の銀塩で
あって、その環原子の少なくとも1つが窒素原子であ
り、他の環原子が炭素原子と、酸素、硫黄および窒素か
ら選択される2つまでのヘテロ原子を含む化合物が具体
的に考えられる。典型的な好ましい複素環核としては、
トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、チアゾリ
ン、イミダゾリン、イミダゾール、ジアゾール、ピリジ
ンおよびトリアジンがある。これら複素環式化合物の好
ましい例としては、3−メルカプト−4−フェニル−
1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベン
ゾイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチ
アジアゾールの銀塩、2−(2−エチル−グリコールア
ミド)ベンゾチアゾールの銀塩、5−カルボキシル−1
−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メ
ルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンゾオキ
サゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記
載されている銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチ
オ−1,2,4−チアゾールの銀塩などの1,2,4−
メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,2
01,678号に開示されているような3−(2−カル
ボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チ
オンの銀塩などのチオン化合物の銀塩がある。複素環核
を含まない他の有用なメルカプトまたはチオン置換化合
物の例は、特願昭48−28221号公報に記載されて
いるようなS−アルキルチオグリコール酸(そのアルキ
ル基は12〜22個の炭素原子を含む)の銀塩などのチ
オグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオ
カルボン酸の銀塩、およびチオアミドの銀塩により示さ
れる。
【0185】さらに、イミノ基を含む化合物の銀塩も使
用できる。これらの化合物の好ましい例としては、特開
昭44−30270号および特開昭45−18146号
公報に記載されているようなベンゾトリアゾールおよび
その誘導体の銀塩、例えばベンゾトリアゾールまたはメ
チルベンゾトリアゾールの銀塩など、ハロゲン置換ベン
ゾトリアゾールの銀塩、例えば5−クロロベンゾトリア
ゾールの銀塩など;1,2,4−トリアゾールの銀塩、
3−アミノ−5−メルカプトベンジル−1,2,4−ト
リアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に
記載されているような1H−テトラゾールの銀塩;イミ
ダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などがある。
【0186】銀の半セッケンを使用することが都合良い
ことも分かっている。その半セッケンとして好ましい例
は、市販のベヘン酸ナトリウム塩の水溶液から析出させ
ることによって製造され、銀の分析値が約14.5%の
ベヘン酸銀とベヘン酸の等モル混合物である。透明フィ
ルムバッキング上に設けられる透明シート材料は透明コ
ーティングを必要とし、この目的のため、約4または5
%以下の遊離ベヘン酸を含有し銀の分析結果が約25.
2%であるベヘン酸銀の全セッケンを使用することがで
きる。銀セッケン分散体の製造方法は当該技術分野で公
知であり、リサーチディスクロージャー、1983年1
0月(23419)および米国特許第3,985,56
5号に開示されている。
【0187】銀塩錯体も、銀イオン化学種、例えば硝酸
銀の水溶液および銀と錯化させようとする有機配位子の
溶液を混合することによって製造できる。この混合プロ
セスは、ハロゲン化銀の析出プロセスに採用されている
プロセスを含む、都合の良い形態をとることができる。
安定剤を使用して、銀錯体粒子の凝集を避けることがで
きる。その安定剤は、写真技術の分野で有用であること
が知られている安定剤物質であればよく、限定するわけ
ではないが、ゼラチン、ポリビニルアルコールまたは重
合体もしくは単量体の界面活性剤などがある。
【0188】感光性ハロゲン化銀粒子と有機銀塩は、現
像中、触媒的近接状態(catalyticproximity)にあるよ
うにコートされる。これらは隣接層にコートされるが、
コートに先だって混合されることが好ましい。常用の混
合技術は、先に引用したリサーチディスクロージャー、
第17029項、並びに米国特許第3,700,458
号および特開昭50−32928号、特開昭49−13
224号、特開昭50−17216号および特開昭51
−42729号公報に例示されている。
【0189】保護された現像主薬に加えて還元剤を含め
てもよい。有機銀塩用の還元剤は、銀イオンを還元して
金属銀にすることができるいかなる物質であってもよ
く、有機物質が好ましい。従来の写真現像主薬、例えば
3−ピラゾリジノン類、ヒドロキノン類、p−アミノフ
ェノール類、p−フェニレンジアミン類およびカテコー
ルが有用であるがヒンダードフェノール還元剤が好まし
い。還元剤は、好ましくはフォトサーモグラフ層の5〜
25%の範囲内の濃度で存在することが好ましい。
【0190】ドライシルバーシステムに関して広範囲の
還元剤が開示されている。その還元剤としては、アミド
キシム類、例えばフェニルアミドキシム、2−チエニル
アミドキシムおよびp−フェノキシ−フェニルアミドキ
シム;アジン類(例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
トキシベンズアルデヒドアジン);脂肪族カルボン酸ア
リールヒドラジド類とアスコルビン酸の組み合わせ、例
えばアスコルビン酸と組み合わせた2,2’−ビス(ヒ
ドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジ
ド;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レ
ダクトンおよび/またはヒドラジンの組み合わせ、例え
ばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシル
アミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミ
ル−4−メチルフェニルヒドラジンの組み合わせ;ヒド
ロキサム酸類、例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒ
ドロキシフェニル−ヒドロキサム酸およびo−アラニン
ヒドロキサム酸;アジン類とスルホンアミドフェノール
類の組み合わせ、例えばフェノチアジンと2,6−ジク
ロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールの組み合
わせ;α−シアノ−フェニル酢酸誘導体、例えばα−シ
アノ−2−メチルフェニル酢酸エチル、α−シアノ−フ
ェニル酢酸エチル;ビス−β−ナフトール類、例えば
2,2’−ジヒドロキシル−1−ビナフチル、6,6’
−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナ
フチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メ
タン;ビス−o−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベ
ンゼン誘導体(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノンまたは2,4−ジヒドロキシアセトフェノン)の組
み合わせ;5−ピラゾロン類、例えば3−メチル−1−
フェニル−5−ピラゾロン;レダクトン類、例えばジメ
チルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロ
アミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロ
−ピペリドン−ヘキソースレダクトン;スルファミドフ
ェノール還元剤、例えば2,6−ジクロロ−4−ベンゼ
ン−スルホン−アミド−フェノールおよびp−ベンゼン
スルホンアミドフェノール;2−フェニルインダン−
1,3−ジオンなど;クロマン類、例えば、2,2−ジ
メチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン;
1,4−ジヒドロピリジン類、例えば2,6−ジメトキ
シ−3,5−ジカルベトキシ−1,4−ジヒドロピリデ
ン;ビスフェノール類、例えばビス(2−ヒドロキシ−
3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−メタン;2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プ
ロパン;4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−
6−メチルフェノール);および2,2−ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;アス
コルビン酸誘導体、例えば1−アスコルビル−パルミテ
ート、アスコルビルステアレート、およびベンジルとジ
アセチルのような不飽和のアルデヒド類とケトン類;ピ
ラゾリジン−3−オン類;並びに特定のインダン−1,
3−ジオン類である。
【0191】フォトサーモグラフ要素の有機還元剤の最
適濃度は、個々のフォトサーモグラフ要素、所望の画
像、処理条件、個々の有機銀塩および個々の酸化剤に応
じて変わる。
【0192】本発明のフォトサーモグラフ要素はトーニ
ング剤(アクチベーター−トナーまたはトナー−促進剤
としても知られている)を含んでいてもよい。トーニン
グ剤の組み合わせも、フォトサーモグラフ要素において
有用である。有用なトーニング剤およびトーニング剤の
組み合わせの例は、例えばリサーチディスクロージャ
ー、1978年6月、第17029項および米国特許第
4,123,282号に述べられている。有用なトーニ
ング剤の例としては、例えば、サリチルアニリド、フタ
ルイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−カリウム
−フタルイミド、スクシンイミド、N−ヒドロキシ−
1,8−ナフタルイミド、フタラジン、1−(2H)−
フタラジノン、2−アセチルフタラジノン、ベンズアニ
リドおよびベンゼンスルホンアミドがある。例えばWind
enderの米国特許第6,013,420号明細書に従来
技術のサーマル溶剤が開示されている。
【0193】ポストプロセッシング画像安定剤と潜像保
持安定剤はフォトサーモグラフ要素において有用であ
る。フォトサーモグラフ技術分野で公知の安定剤はいず
れも、上記フォトサーモグラフ要素に対して有用であ
る。有用な安定剤の具体例としては、例えば米国特許第
4,459,350号に記載されているような光分解活
性な安定剤と安定剤前駆体がある。有用な安定剤の他の
例としては、米国特許第3,877,940号に記載さ
れているようなアゾールチオエーテル類と保護されたア
ゾリンチオン安定剤前駆体とカルバモイル安定剤前駆体
がある。
【0194】本発明のフォトサーモグラフ要素は、単独
または組み合わせの様々なコロイドおよびポリマーを、
ビヒクルおよびバインダーとして各種の層に好ましくは
含む。有用な材料は親水性または疎水性である。これら
の材料は透明または半透明であり、これらの材料として
は、天然に産出する物質、例えばゼラチン、ゼラチン誘
導体、セルロース誘導体、デキストランなどの多糖類、
アラビアゴムなど、並びに合成高分子物質、例えばポリ
(ビニルピロリドン)とアクリルアミドポリマーなどの
水溶性ポリビニル化合物がある。有用な他の合成高分子
化合物としては、例えばラテックス形態にある分散され
たビニル化合物が挙げられ、特に写真要素の寸法安定性
を高めるものが挙げられる。有効なポリマーとしては、
アクリレート類、例えばアルキルアクリレート類、およ
びメタクリレート類、アクリル酸、スルホアクリレート
類の水に不溶性のポリマーおよび架橋部位を有するもの
がある。好ましい高分子量の物質および樹脂としては、
ポリ(ビニルブチラール)、酢酪酸セルロース、ポリ
(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルピロリド
ン)、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリ(塩化ビ
ニル)、塩素化ゴム、ポリイソブチレン、ブタジエン−
スチレン共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合
体、塩化ビニリデンと酢酸ビニルの共重合体、ポリ(ビ
ニルアルコール)およびポリカーボネートがある。コー
ティングを有機溶剤を使用して調製する場合、有機の可
溶性樹脂をコーティング配合物中に直接混合してコート
することができる。水溶液からコーティングを行う場
合、任意の有用な有機の可溶性物質をラテックスまたは
その他の微粒子分散体として加えることができる。
【0195】先に述べたフォトサーモグラフ要素は、有
用な画像の形成を促進することが知られている添加剤を
含有していてもよい。フォトサーモグラフ要素は、リサ
ーチディスクロージャー、1978年12月、第176
43項とリサーチディスクロージャー、1978年6
月、第17029項に記載されているような、感度増大
化合物として機能する現像改良剤、増感色素、硬膜剤、
帯電防止剤、可塑剤および潤滑剤、コーティング助剤、
蛍光増白剤、吸収性色素およびフィルター色素を含んで
いてもよい。
【0196】フォトサーモグラフ要素の諸層は、写真技
術分野で知られているコーティング法、例えば、ディッ
プコーティング、エアナイフコーティング、カーテンコ
ーティング、またはホッパーを使用する押出コーティン
グによって支持体上にコートされる。所望により、2つ
以上の層が同時にコートされる。
【0197】先に述べたフォトサーモグラフ要素は、こ
のフォトサーモグラフ要素を安定化するのに役立つ熱安
定剤を、露光と処理に先立って含むことが好ましい。こ
のような熱安定剤は、貯蔵中のフォトサーモグラフ要素
の安定性を改善する。好ましい熱安定剤は、2−ブロモ
−2−アリールスルホニルアセトアミド類、例えば2−
ブロモ−2−p−トリルスルホニルアセトアミド;2−
(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾール;お
よび6−置換−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s
−トリアジン類、例えば6−メチルもしくは6−フェニ
ル−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジ
ンである。
【0198】像様露光は、フォトサーモグラフ要素に現
像可能な潜像を生成するのに十分な時間と強度で行うこ
とが好ましい。フォトサーモグラフ要素の像様露光を行
った後、得られた潜像は各種の方法で現像することがで
きる。要素を全体的に熱処理温度まで加熱する方法が最
も簡便である。この全体加熱は、単に、フォトサーモグ
ラフ要素を、現像画像が形成されるまで、例えば約0.
5秒間〜約60秒間、約90℃〜約180℃の範囲内の
温度に加熱するだけである。その熱処理温度を上げるま
たは下げることによって、処理時間を短くしたり長くす
ることは有用である。好ましい熱処理温度は、約100
℃〜約160℃の範囲内の温度である。フォトサーモグ
ラフ技術分野で知られている加熱手段は、露光されたフ
ォトサーモグラフ要素に、望ましい処理温度を提供する
のに有用である。加熱手段は、例えば、簡便なホットプ
レート、アイロン、ローラー、加熱ドラム、マイクロ波
加熱手段、熱風、蒸気などである。
【0199】フォトサーモグラフ要素用の処理機の設計
を、フォトサーモグラフ要素の貯蔵と使用に利用される
カセットまたはカートリッジの設計とリンクさせること
が考えられる。さらに、フィルムまたはカートリッジに
記憶されているデータを使用して、該要素の処理条件ま
たは走査を変更することができる。画像形成システムに
おいてこれらの工程を達成する方法は、譲受人が本願と
同じで同時係属中の1998年12月7日付で出願され
た米国特許出願第09/206,586号、第09/2
06,612号および第09/206,583号に開示
されている。これらの開示は、引用によりここに含まれ
ていることにする。処理、走査および画像ディスプレイ
を調節するため使用できる情報を要素に書き込むために
処理機を使用することができる装置を使用することも考
えられる。このシステムは、1998年12月7日付で
出願された米国特許出願第09/260,914号およ
び1999年6月15日付で出願された米国特許願第0
9/333,092号に開示されている。これらの開示
は、引用によりここに含まれていることにする。
【0200】熱処理は、圧力と湿度についての周囲条件
下で行うことが好ましい。標準大気圧および湿度の範囲
外の条件も有効である。フォトサーモグラフ要素の成分
は、所望の画像を提供する該要素のいずれの位置にあっ
てもよい。所望により、1つ以上の成分が該要素の1つ
以上の層内にあってもよい。例えば、場合によっては、
該要素のフォトサーモグラフ画像記録層の上方のオーバ
ーコート層に、一定百分率の還元剤、トナー、安定剤お
よび/または他の添加剤を加えることが望ましい。この
ようにすると、場合によっては、該要素の層中の特定の
添加剤の移行が抑えられる。
【0201】本発明の一側面では、保護された現像主薬
は、サーモグラフ要素に組みこまれる。サーモグラフ要
素において、画像は、該要素を像様加熱することによっ
て形成される。このような要素は、例えば、リサーチデ
ィスクロージャー、1978年6月、第17029項並
びに米国特許第3,080,254号、第3,457,
075号および第3,933,508号に記載されてい
る。これらの開示は引用によりここに含まれていること
にする。画像形成のための熱エネルギー源と手段は、サ
ーモグラフ画像形成技術分野で知られているいかなる像
様熱暴露源および手段であってもよい。サーモグラフ画
像形成手段としては、例えば赤外線加熱手段、レーザ
ー、マイクロ波加熱手段などがある。
【0202】タイプII:低容積処理 本発明の他の側面では、保護された現像主薬が、低容積
処理に向けられたフォトサーモグラフ要素に組み込まれ
る。低容積処理は、利用される現像液の容積が、写真要
素を膨潤させるのに必要な処理液の容積の約0.1〜約
10倍、好ましくは約0.5〜約10倍である処理と定
義されている。この処理は、溶液適用、外層ラミネーシ
ョンおよび加熱の組み合わせにより行うことができる。
この低容積処理システムは、タイプI:フォトサーモグ
ラフシステムについて先に述べた要素のいずれを含んで
もよい。さらに、元のフィルム要素における潜像の形成
または安定性のために必要でない前記セクションで述べ
た成分を完全にフィルム要素から除き、写真処理を実施
するために下記の方法を用いて、露光後の任意の時点で
接触させることが具体的に考えられる。
【0203】タイプIIの写真要素は下記の処理のいくつ
かまたはすべてを受けてもよい。 (I)吹きつけ、インクジェット、コーティング、グラ
ビアプロセスなどを包含する任意の手段により溶液をフ
ィルムに直接適用する処理。 (II)処理液の入っている容器内にフィルムを浸漬する
処理。このプロセスは、要素を小さなカートリッジを通
じて浸漬もしくは通過させる方式をとることができる。 (III)補助処理要素を画像形成要素にラミネートする
処理。そのラミネートには、処理化学薬剤を提供し、消
費された化学薬剤を除き、または潜像から画像情報を記
録フィルム要素に転写する目的がある。前記補助処理要
素に像様方式で転写される色素、色素前駆体または銀含
有化合物から転写画像を生じさせることができる。 (IV)任意の都合のよい手段、例えば簡便なホットプレ
ート、アイロン、ローラー、加熱ドラム、マイクロ波加
熱手段、熱風、蒸気などによる要素の加熱。加熱は、上
記処理I〜IIIの前、それらのいずれかの処理を行って
いる間、その処理の後、またはそれらの処理の全体にわ
たって行なうことができる。加熱によって、室温から1
00℃の範囲内の処理温度にすることができる。熱現像
に続いて漂白定着を行って銀またはハロゲン化銀を除去
し、次いで洗浄し、乾燥させ、例えばその後の走査を改
善したりアーカイバルフィルムを得ることができる。
【0204】イエロー、マゼンタおよびシアン色素像記
録が、本発明の処理された写真要素にいったん形成され
たら、従来技術を使用して、各色記録についての画像情
報を検索し、次に、カラーバランスのとれた観察可能な
画像を続いて形成させるためにその色記録を操作するこ
とができる。例えば、スペクトルの青、緑および赤の領
域内で連続的に写真要素を走査するか、または各色記録
に対する別個の走査ビームを生成するように青、緑およ
び赤のフィルターによって分離されたフィルターを通過
した単一走査ビームに青、緑および赤の光を組み込むこ
とができる。簡単な方法は、一連の横方向にオフセット
された平行な走査経路にそって1点ずつ写真要素を走査
する方法である。走査点で要素を通過する光の強度は、
センサによって認識され、そのセンサは受けとった放射
線を電気信号に変換する。最も一般的には、この電子信
号を、さらに操作し、画像の有用な電子記録を生成す
る。例えば、電気信号を、アナログ−デジタル変換器に
通し、次に、画像内の画素(点)位置についての必要な
位置情報とともにデジタルコンピューターに送る。別の
態様では、この電子信号を、測色情報または調子情報で
符号化し、例えばコンピュータモニター表示画像、テレ
ビジョン画像、プリント像などの観察可能な形態に再構
築するのに好適な電子記録を形成する。
【0205】本発明に係る画像形成要素の多くを、要素
からハロゲン化銀を除去する前に走査することが考えら
れる。残留ハロゲン化銀は濁ったコーティングをもたら
すが、拡散照明光学機器を利用するスキャナーを使用す
ることによって、このようなシステムの走査画像の品質
を改善できることが分かっている。拡散照明を生じる当
該技術分野で知られているいかなる技術も使用できる。
好ましいシステムとしては、その内壁が高度の拡散反射
を生じるように特別に設計された拡散キャビティを利用
する反射システム、および正反射光のビームの拡散が、
ビーム内に配置された光を散乱する働きをする光学要素
を使用することによって達成される透過システムがあ
る。そのような要素は、所望の散乱を生じる成分を含む
かまたは所望の散乱を促進するように表面処理されたガ
ラスまたはプラスチックであることができる。
【0206】走査により抽出された情報から画像を形成
する際に遭遇する難題の1つは、観察するのに利用可能
な情報に係る画素の数が、同じような古典的な写真プリ
ントから利用できる画素の数のほんの一部にしか過ぎな
いことである。従って、利用可能な画像情報の質を最大
限に高めることが、走査画像形成ではいっそう重要であ
る。画像の鮮鋭度を高めかつ異常な画素信号(すなわち
ノイズ)の影響を最低限に抑えることが、画像の品質を
高める一般的な方法である。異常な画素信号の影響を最
低限に抑えるための慣用的な方法は、隣接画素からの読
取り値に補正係数を付加することによって、各画素濃度
の読取り値を重み付けした平均値に調節する方法であ
る。より近傍の画素ほどより大きく重み付けされる。
【0207】Wheeler等の米国特許第5,649,26
0号、Koeng等の米国特許第5,563,717号およ
びCosgrove等の米国特許第5,644,647号に記載
されているように、本発明の要素は、基準露光量を受け
た非露光写真記録材料の部分に1つ以上のパッチ領域に
由来する濃度較正パッチを有することができる。
【0208】画像記録の質を最大限に高める技術を含む
走査信号操作の具体的なシステムは、Bayerの米国特許
第4,553,156号;Urabe等の米国特許第4,5
91,923号、Sasaki等の米国特許第4,631,5
78号;Alkoferの米国特許第4,654,722号、Y
amada等の米国特許第4,670,793号;Kleesの米
国特許第4,694,342号および第4,962,5
42号;Powellの米国特許第4,805,031号;Ma
yne等の米国特許第4,829,370号;Abdulwahab
の米国特許第4,839,721号;Matsunawa等の米
国特許第4,841,361号と第4,937,662
号;Mizukoshi等の米国特許第4,891,713号;P
etilliの米国特許第4,912,569号;Sullivan等
の米国特許第4,920,501号および第5,07
0,413号;Kimoto等の米国特許第4,929,97
9号;Hirosawa等の米国特許第4,972,256号;
Kaplanの米国特許第4,977,521号;Sakaiの米
国特許第4,979,027号;Ngの米国特許第5,0
03,494号;Katayama等の米国特許第5,008,
950号;Kimuraの米国特許第5,065,255号;
Osamu等の米国特許第5,051,842号;Lee等の米
国特許第5,012,333号;Bowers等の米国特許第
5,107,346号;Telleの米国特許第5,10
5,266号;MacDonald等の米国特許第5,105,
469号;およびKwon等の米国特許第5,081,69
2号に開示されている。走査中にカラーバランスを調節
する技術はMoore等の米国特許第5,049,984号
とDavisの米国特許第5,541,645号に開示され
ている。
【0209】いったん得られたデジタル色記録は、ほと
んどの場合、観察するのに満足のいくカラーバランスが
とれた画像を生成し、かつビデオモニターにおいてまた
は従来型のカラープリントとしてプリントするときに、
出力のための各種の変換とレンダリングを通して、画像
保持信号のカラー忠実度を保持するように調節される。
走査後の画像保持信号を変換する好ましい技術は、Gior
gianni等の米国特許第5,267,030号に開示され
ている。この開示は、引用によりここに含まれているこ
とにする。さらに、当業者がカラーデジタル画像の情報
を操作できることの例示が、GiorgianniおよびMaddenの
Digital Color Management, Addison-Wesley, 1988にあ
る。
【0210】図1には、本発明のカラーネガ要素により
提供される画像情報を利用することについて考えられる
方式がブロック図で示されている。画像スキャナー2を
使用して、像様露光され、次いで写真処理された本発明
のカラーネガ要素1を、透過によって走査する。走査ビ
ームは、層ユニットを通過した後に分割され、フィルタ
ーを通過して別個の画像記録、すなわち赤記録層ユニッ
ト画像記録(R)、緑記録層ユニット画像記録(G)お
よび青記録層ユニット画像記録(B)を生成する白色光
のビームであることが最も都合良い。ビームを分割する
代わりに、各画素の位置で、青、緑および赤のフィルタ
ーに、ビームを逐次横切らせてもよい。さらに別の走査
の態様では、発光ダイオードの集積によって得られる別
個の青、緑および赤の光ビームを、各画素位置に導いて
もよい。要素1が、アレイ検出器、例えばアレイ電荷結
合素子(CCD)を使用して画素ごとに1点ずつ走査さ
れるか、またはリニアアレイ検出器、例えばリニアアレ
イCCDを用いてラインごとに走査される場合、スキャ
ナーから提供される空間的位置情報と関連させることの
できるR、G、およびB画素信号のシーケンスが生成す
る。信号強度と位置情報はワークステーション4に送ら
れ、その情報は、電子形態のR’、G’およびB’に変
換され、そしてR’、G’およびB’を任意の常用の都
合のよい記憶装置5に記憶させることができる。
【0211】映画産業界において、一般的な方法は、カ
ラーネガフィルムの情報を、テレシネ変換装置を用いて
ビデオ信号に変換する方法である。すなわち(1)光電
子増倍管検出器を使用する飛点スキャナーまたは(2)
センサとしてのCCDの、2種のテレシネ変換装置が最
も一般的である。これらの装置は、各画素位置でカラー
ネガフィルムを通過した走査ビームを電圧に変換する。
次にポジ像にするため、前記信号処理によって、電気信
号を反転する。次に前記信号を増幅し、変調し、そして
陰極線モニターに送って、画像を表示するかまたは記憶
のために磁気テープに記録する。アナログとデジタル両
方の画像信号操作が考えられるが、信号を、操作のため
に、デジタル形態にすることが好ましい。なぜならば、
圧倒的に大多数のコンピュータがいまやデジタル型であ
り、このようにすることによって、通常のコンピュータ
周辺機器、例えば磁気テープ、磁気ディスクまたは光デ
ィスクによる使用が容易になるからである。
【0212】その要求に合わせて変更されたデジタル画
像情報(R”、G”およびB”で示す)を受け取るビデ
オモニター6は、ワークステーションが受信した画像情
報の観察を可能にする。ビデオモニターの陰極線管によ
らずに、液晶ディスプレイパネルまたは他の便利な電子
画像観察装置を代わりに使用してもよい。ビデオモニタ
ーは、典型的には、画像制御装置3に依存しており、そ
して制御装置3はキーボードとカーソルを備えることが
できる。その結果、ワークステーションのオペレーター
は、表示されるビデオ画像およびデジタル画像情報から
再生される画像を変更する画像操作指令を与えることが
できる。
【0213】画像のいかなる変更も、画像がビデオディ
スプレイ6に伝えられているときに観察することがで
き、記憶装置5に記憶される。変更された画像情報
R''' 、G''' およびB''' は出力装置7に送られて、
再生された画像を観察のために生成する。前記出力装置
はいかなる都合の良い従来の要素ライター(element wr
iter)であってもよい、例えば感熱転写型プリンター、
インクジェットプリンター、静電プリンター、電子写真
プリンター、熱色素昇華型プリンターまたは他のタイプ
のプリンターであることができる。増感された写真印画
紙へのCRTまたはLEDによるプリントも考えられ
る。前記出力装置を使用して、従来のハロゲン化銀カラ
ー印画紙の露光を調節することができる。前記出力装置
は、観察のための再生された画像を有する出力媒体8を
生成する。最終使用者が最終的に観察して、ノイズ(粒
状度)、鮮鋭度、コントラストおよびカラーバランスに
ついて判断するのはその出力媒体の画像である。ビデオ
ディスプレイ上の画像も、インターネットコンピュータ
ネットワークのWorld Wide Web(WWW)の当事者間で
伝送される画像の場合のように、最終使用者が最終的に
観察して、ノイズ、鮮鋭度、トーンスケール、カラーバ
ランスおよびカラー再現について判断する。
【0214】図1に示すタイプの手順を用いて、本発明
に係るカラーネガ要素に含まれる画像を、デジタル形態
に変換し、操作し、次いで観察可能な形態に再生する。
本発明のカラーネガ記録材料は、米国特許第5,25
7,030号に記載されている好適な方法で使用でき
る。1つの好ましい態様において、Giorgianni等の開示
は、透過型スキャナーからのR、GおよびBの画像保持
信号を、基準画像生成装置、例えばフィルムライターも
しくはペーパーライター、サーマルプリンター、ビデオ
ディスプレイなどの三色信号に対応する画像操作および
/または記憶計量値に変換する方法と手段を提供する。
この計量値(metric value)は、その装置でカラー画像
を適切に再現するのに必要な計量値に相当する。例え
ば、基準画像を形成する装置として特定のビデオディス
プレイが選択され、そして中間の画像データ計量値とし
てその基準ビデオディスプレイのためのR’、G’およ
びB’の強度変調信号(コード値)が選択されると、ス
キャナーからのR、GおよびBの画像保持信号は、基準
ビデオディスプレイ上で入力画像を適切に再現するのに
必要なものに対応するR’、G’およびB’のコード値
に変換される。R、GおよびBの画像保持信号を上記コ
ード値に変換する数学的変換からデータ組が生成する。
適当なサンプルを選択し、そして較正されるフィルムの
有用な露光範囲をカバーする露光パターンが、パターン
ジェネレータを露光することによって形成され、次いで
露光装置に送られる。その露光装置は、三色露光部分を
フィルム上に生成し、約150個のカラーパッチからな
る試験画像を生成する。試験画像は、その用途に適した
様々な方法を使用して生成させることができる。これら
の方法としては、感光計などの露光装置を使用する方
法;カラー画像形成装置の出力装置を使用する方法;既
知の光源によって照明される、既知の反射率を有する試
験対象の画像を記録する方法;または写真技術分野で公
知の方法を使用して三色露光量値を計算する方法があ
る。感度の異なる入力フィルムが使用される場合、これ
らフィルム間の感度の相対的な差を補償するため、赤、
緑および青の全体露光量を各フィルムについて適正に調
節しなければならない。従って、各フィルムは、その
赤、緑および青の感度に対して適切な等価の露光を受け
る。露光されたフィルムは化学的に処理される。フィル
ムのカラーパッチが透過スキャナーによって読み取られ
ると、そのスキャナーは各カラーパッチに対応するR、
GおよびBの画像保持信号を生成する。コード値パター
ンジェネレータの信号値パターンがRGB強度変調信号
を生成し、それらの信号は前記基準ビデオディスプレイ
に送られる。ビデオディスプレイ試験色がポジティブフ
ィルムの試験色または焼き付けられたネガの色とマッチ
していることを計器または人間の観測者に相当する色合
わせ装置(color matching apparatus)が示すように、
各試験色に対するR’、G’およびB’のコード値が調
節される。変換装置は、フィルムの試験色についての
R、GおよびBの画像保持信号値を、対応する試験色の
R’、G’およびB’のコード値に関係づける変換を生
じる。
【0215】R、GおよびBの画像保持信号を中間デー
タに変換するのに必要な数学的な操作は、マトリックス
操作とルックアップテーブル(LUT)のシーケンスで
構成されることがある。
【0216】図2を参照すると、本発明の好ましい態様
で、入力画像保持信号R、GおよびBは、下記のよう
に、基準出力装置でカラー画像を適切に再現するのに必
要なR’、G’およびB’の出力画像保持信号に対応す
る中間データ値に変換される。 (1)フィルムの求められた透過率に対応するR、Gお
よびBの画像保持信号を、一次元ルックアップテーブル
LUT1によって、フィルムスキャナーから信号を受信
し記憶するために使用されるコンピュータにおいて対応
する濃度に変換する。 (2)ステップ(1)からの濃度を、次に変換装置から
得られるマトリックス1を使用して変換し、中間画像保
持信号を生成させる。 (3)ステップ(2)の濃度を、入力フィルムのニュー
トラルスケール濃度が基準のニュートラルスケール濃度
に変換されるように誘導された一次元ルックアップテー
ブルLUT2により任意選択的に変更する。 (4)ステップ(3)の濃度を、一次元ルックアップテ
ーブルLUT3によって変換し、基準出力装置のための
対応するR’、G’およびB’の出力画像保持信号を生
成させる。
【0217】個々のルックアップテーブルが、典型的に
は、各入力カラーに対して用意されることが理解される
であろう。ある態様では、3つの一次元ルックアップテ
ーブルが使用され、各一次元ルックアップテーブルが、
赤、緑および青の色記録各々に対して1つずつ利用され
る。別の態様では、多次元ルックアップテーブルを、
D’Erricoの米国特許第4,941,039号に記載さ
れているように利用できる。上記ステップ4の基準出力
装置に対する出力画像保持信号が装置に依存するコード
値の形態にあってもよいこと、または前記画像保持信号
が装置に特異的なコード値になるようにさらに調節する
必要があることは明らかであろう。このような調節を、
さらなるマトリックス変換、もしくは一次元ルックアッ
プテーブル変換、またはそのような変換の組合せによっ
て達成し、特定の装置を使用して出力画像保持信号を、
伝送し、記憶し、プリントまたは表示するステップのい
ずれの目的にも合う出力画像保持信号を適切に生成でき
る。
【0218】本発明の第2の好ましい態様では、透過ス
キャナーからのR、GおよびBの画像保持信号を、1つ
の基準画像記録装置および/または媒体の大きさまたは
種類に対応し、かつ、入力媒体がその原シーンを捕獲し
たのと同じ条件下でその原シーンを捕獲したならば基準
装置または媒体により形成されたであろう三色値に全て
の入力媒体についての計量値が対応する画像操作および
/または記憶計量値に変換される。例えば、基準画像記
録媒体として特定のカラーネガフィルムが選択され、そ
して中間画像データ計量値としてその基準フィルムの求
められたRGB濃度が選択された場合、本発明の入力カ
ラーネガフィルムに関し、スキャナーからのR、Gおよ
びBの画像保持信号は、本発明のカラーネガ記録材料が
露光されたのと同じ条件下で露光されたならば基準カラ
ーネガフィルムにより形成されたであろう画像のR’、
G’およびB’の濃度値に対応するR’、G’および
B’の濃度値に変換される。
【0219】較正されたフィルムの有用な露光範囲を適
切にサンプリングし、カバーするように選択される露光
パターンを、パターンジェネレータを露光することによ
って形成し、次いで露光装置に送る。その露光装置はフ
ィルム上に三色露光部分を生成して、約150個のカラ
ーパッチからなる試験画像を生成する。用途に適した様
々な方法を使用して試験画像を生成することができる。
それらの方法としては、感光計などの露光装置を使用す
る方法;カラー画像形成装置の出力装置を使用する方
法、既知の光源によって照明される既知の反射率を有す
る試験対象の画像を記録する方法;または写真技術分野
で公知の方法を使用して三色露光値を計算する方法があ
る。感度の異なる入力フィルムが使用される場合、これ
らフィルム間の感度の相対的な差を補償するため、赤、
緑および青の全体露光を各フィルムについて適切に調節
しなければならない。従って、各フィルムは、その赤、
緑および青の感度に対して適切な等価の露光量を受け
る。露光されたフィルムは化学的に処理される。フィル
ムのカラーパッチは、各カラーパッチに対応するR、G
およびBの画像保持信号を生成する透過スキャナーによ
って、および各パッチに対応するR’、G’およびB’
の濃度値を生成する透過濃度計によって読み取られる。
変換装置は、フィルムの試験カラーについてのR、Gお
よびBの画像保持信号値を、基準カラーネガフィルムの
対応する試験カラーについての求められたR’、G’お
よびB’濃度に関連づける変換を生じる。別の好ましい
態様では、基準画像記録媒体として特定のカラーネガフ
ィルムが選択され、そして中間画像データ計量値として
その基準フィルムのステップ2の予め求められたR’、
G’およびB’の中間濃度が選択されると、本発明の入
力カラーネガフィルムに関し、スキャナーからのR、G
およびBの画像保持信号は、本発明のカラーネガ記録材
料が露光されたのと同じ条件下で露光されたならば基準
カラーネガフィルムにより形成されたであろう画像の
R’、G’およびB’の中間濃度値に対応するR’、
G’およびB’の中間濃度値に変換される。
【0220】従って、本発明の方法に従って較正された
各入力フィルムは、基準出力装置で基準カラーネガフィ
ルムによって形成されたであろうカラー画像を適切に再
現するのに必要なR’、G’およびB’のコード値に対
応するできる限り同じ中間データ値を生成する。未較正
のフィルムも、類似のタイプのフィルムに対して誘導さ
れる変換で使用することができ、そしてその結果は、前
述のものと同様であろう。
【0221】R、GおよびBの画像保持信号を、この好
ましい態様の中間データ計量値に変換するのに必要な数
学的操作は、一連のマトリックス操作と一次元LUTで
構成することができる。通常、3つの入力色に対して3
つのテーブルが用意される。このような変換は、限定す
るわけではないが、行列代数、画像保持信号のうちの1
つ以上に依存する代数的表現およびn次元LUTを含
む、ホストコンピュータにより生成される計算ステップ
における単一の数学的操作または数学的操作の組み合わ
せを使用することにより他の態様でも達成することがで
きる。1つの態様では、ステップ2のマトリックスは3
×3マトリックスである。より好ましい態様では、ステ
ップ2のマトリックス1は3×10マトリックスであ
る。好ましい態様では、ステップ4の一次元LUT3
は、中間画像保持信号をカラー写真印画紙の特性曲線に
従って変換して、正常なカラープリント画像のトーンス
ケールを再現する。別の好ましい態様では、ステップ4
のLUT3は、いっそう好ましい例えばより低い画像コ
ントラストを有する変更された観察するトーンスケール
に従って、中間画像保持信号を変換する。
【0222】これらの変換の複雑さのために、R、Gお
よびBからR’、G’およびB’への変換は、三次元L
UTでうまく達成されることが多いことに留意すべきで
ある。このような三次元LUTは、米国特許第4,94
1,039号におけるJ. D’Erricoの教示に従って作り
出すことができる。
【0223】画像が電子形態であっても、画像の処理法
は、上記の特定の操作法に限定されないことが理解され
るべきである。画像がこの形態である場合、限定するわ
けではないが、標準シーンバランスアルゴリズム(ネガ
内の1つ以上の領域の濃度に基づいて濃度とカラーバラ
ンスの補正値を決定する);フィルムの露光不足のガン
マを高めるトーンスケール操作;コンボリューションま
たはアンシャープマスキングによる非適応または適応鮮
鋭化;赤目の低減;および非適応または適応粒子抑制等
の追加の画像操作を利用できる。さらに、画像を芸術的
に操作したり、ズーミングを行ったり、クロッピングを
行ったり、追加の画像を組み合わせたり、当該技術分野
で公知の他の操作を行ってもよい。いったん画像を修正
し、そして追加の画像処理および操作を行ったならば、
画像は、遠隔場所に電子的に伝送されるか、または限定
するわけではないが、ハロゲン化銀フィルムもしくはペ
ーパーライター、感熱プリンター、電子写真プリンタ
ー、インクジェットプリンター、ディスプレイモニタ
ー、CDディスク、光および磁気電子信号記憶装置、並
びに当該技術分野で公知の他のタイプの記憶装置とディ
スプレイ装置等の各種の出力装置で記される。
【0224】本発明のさらに他の態様では、Arakawa等
の米国特許第5,962,205号に記載されている輝
度およびクロミナンスの増感ならびに画像抽出製品およ
び方法を利用してもよい。Arakawa等の開示は、引用に
よりここに含まれていることにする。
【0225】
【実施例】例1 この例は、本発明において使用できる保護された現像主
薬B(化合物D−3という)の調製を例示するものであ
る。この保護された現像主薬は下記構造式により表され
る。
【0226】
【化62】
【0227】化合物D−105は、市販の化合物aを出
発物質として使用して、以下の反応スキームに従って調
製した。
【0228】
【化63】
【0229】化合物(b)の調製 化合物a(16.72g,100ミリモル)とTHF
(120ml)の混合物に、ホルマリンの37%水溶液
(13ml)と2滴の50%NaOHを加えた。反応混
合物を室温で8時間攪拌し、そして水(650ml)の
中に注ぎ入れた。濾過により固形物を単離すると18.
11g(92%)の化合物bが得られた。
【0230】化合物(D−105)の調製:化合物b
(9.87g,50ミリモル)、塩化メチレン(40m
l)および2滴のジブチル錫ジアセテートの混合物に、
化合物c(10.81g,52ミリモル)を加えた。室
温で14時間攪拌後、反応混合物を減圧下で濃縮し、そ
してリグロインと酢酸エチルの混合物(4:1)で稀釈
した。濾過により固形物を単離すると、17.84g
(89%)のD−105が得られた。D−105は次の
ように特徴づけられた:1H−NMR(300MHz,
CDCl3):1.11(t,J=7.3Hz,6
H),2.10(s,3H),3.27(q,J=7.
3Hz,4H),6.12(s,1H),6.28〜
6.59(m,4H),7.15〜7.35(m,3
H),7.39〜7.56(m,2H),7.42〜
7.55(t,2H),7.65〜7.74(d,2
H),8.06(d,2H)。
【0231】例2 この例は本発明において有用な代表的な保護された現像
主薬Aの合成を例示するものである。この化合物は、保
護された現像主薬D−10と先に呼んだものであり、以
下の反応スキームに従って調製した:
【0232】
【化64】
【0233】水100ml中でプロピレンオキシド
,7.2ml,105ミリモル)、メタンスルフィ
ン酸ナトリウム(9.19g,90ミリモル)および一
塩基性リン酸ナトリウム一水和物(16.56g)を9
0℃で18時間加熱した。溶液を冷却し、そして4×1
00mlの酢酸エチルにより抽出した。抽出物を硫酸ナ
トリウムにより乾燥させ、そして濃縮すると固形物とな
った。化合物2の収量は6.42g(46ミリモル,5
2%)であった。1,2−ジクロロエタン60ml中の
化合物2(3.32g,24ミリモル)、化合物3
(4.08g,20ミリモル)およびジブチル錫ジアセ
テート(0.05ml)の溶液を室温で7日間攪拌し
た。粗反応混合物をシリカゲルによるカラムクロマトグ
ラフィーで精製した。化合物D−10の収量は6.15
g(18ミリモル、90%)であり、融点80〜82
℃、ESMS:ES+ m/z 343(M+1,10
0%)であった。
【0234】例3 本発明に係る構造式IIIの保護された現像主薬の代表的
な合成例を以下に示す。
【0235】
【化65】
【0236】化合物D−56の調製 アセトニトリル(25ml)中の化合物1(2.04
g,10ミリモル)、化合物2a(1.83g,12ミ
リモル)およびピリジン(0.1ml)の溶液を18時
間還流させた。混合物を冷却し、濾過し、そして減圧濃
縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精
製すると、1.89g(5.3ミリモル,53%)の化
合物D−56が得られた。融点90〜92℃,APM
S:AP+m/z 357(M+1,75%)。
【0237】化合物D−55の調製 化合物1および化合物2bから上記のように化合物D−
56を調製した。収率:62%,融点:90〜91℃,
ESMS:ES+ m/z 373(M+1,100
%)。
【0238】例4 この例は、本発明において有用な他の代表的な保護され
た現像主薬の合成を例示するものである。この化合物
は、現像主薬D−12と先に呼んだものであり、以下の
反応スキームに従って調製した。
【0239】
【化66】
【0240】化合物2および6は市販されている。ジブ
チル錫ジアセテートも市販されている。粗反応混合物
は、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによっ
て精製できる。生成した化合物BD−28をこのように
して良好な収率で得た。
【0241】例5 この例は、写真要素における本発明に係る化合物の性能
を例示するものである。処理条件は、各試料について以
下で説明する。特に断らない限り、現像後にKodak Flex
icolor Fix溶液に浸漬することによりハロゲン化銀を除
去した。概して、この工程を省くことによって、測定さ
れる濃度でおよそ0.2の増加が得られる。各試料で下
記の成分を使用した。全ての化学構造の一覧を載せてお
く。 コーティングフォーマット:本発明のコーティングの例
を、厚さ0.178mm(7ミル)のポリ(エチレンテ
レフタレート)支持体上に作製した。このコーティング
は、ゼラチン(0.22g/m2)と1,1’−(メチ
レンビス(スルホニル))ビス−エテン硬膜剤(全ゼラ
チン濃度の2%)のオーバーコート層を有する乳剤含有
層(含有物を以下に示す)を含んでいた。
【0242】
【表1】
【0243】この構造体中の共通成分は以下の通りであ
る: 銀塩分散体SS−1:攪拌式反応容器に431gの石灰
処理ゼラチンおよび6569gの蒸留水を入れた。21
4gのベンゾトリアゾール、2150gの蒸留水および
790gの2.5モル濃度水酸化ナトリウムを含む溶液
(溶液B)を調製した。反応容器内の混合物を、溶液
B、硝酸および水酸化ナトリウムを必要に応じて加える
ことにより7.25のpAgおよび8.00のpHに調
節した。この容器に0.54モル濃度の硝酸銀溶液4リ
ットルを250cc/分で加え、そして溶液Bを同時に
添加することによりpAgを7.25に保った。硝酸銀
溶液を使い尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液
を使い尽くしたら、混合物を限外濾過により濃縮した。
得られた銀塩分散体は、銀ベンゾトリアゾールの微粒子
を含んでいた。
【0244】銀塩分散体SS−2:攪拌式反応容器に4
31gの石灰処理ゼラチンおよび6569gの蒸留水を
入れた。320gの1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾール、2044gの蒸留水および790gの2.5
濃度水酸化ナトリウムを含む溶液(溶液B)を調製し
た。反応容器内の混合物を、溶液B、硝酸および水酸化
ナトリウムを必要に応じて加えることにより7.25の
pAgおよび8.00のpHに調節した。この容器に
0.54モル濃度の硝酸銀溶液4リットルを250cc
/分で加え、そして溶液Bを同時に添加することにより
pAgを7.25に保った。硝酸銀溶液を使い尽くすま
でこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽くしたら、
混合物を限外濾過により濃縮した。得られた銀塩分散体
は、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールの銀塩
の微粒子を含んでいた。
【0245】乳剤:以下の形態もしくは構成および組成
を有するように常用の手段によりハロゲン化銀乳剤を調
製した。その乳剤を、増感色素の添加により緑色光に対
して分光増感し、次に最適性能を発揮するように化学増
感した。 E−1:臭化銀96%およびヨウ化銀4%の組成を有
し、等価円直径が1.2ミクロンであり、厚さが0.1
2ミクロンである平板状乳剤。 E−2:臭化銀98%およびヨウ化銀2%の組成を有
し、等価円直径が0.45ミクロンであり、厚さが0.
006ミクロンである平板状乳剤。 E−3:臭化銀98%およびヨウ化銀2%の組成を有
し、等価円直径が0.79ミクロンであり、厚さが0.
009ミクロンである平板状乳剤。 E−4:臭化銀97%およびヨウ化銀3%の組成を有
し、大きさが0.16ミクロンである立方晶乳剤。
【0246】カプラー分散体Disp−1:常用の手段
によって、質量比1:0.8:0.2のカプラーM−
1,トリクレシルホスフェートおよび2−ブトキシ−
N,N−ジブチル−5−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)−ベンゼナミンを含むオイルベースのカプラ
ー分散体を調製した。
【0247】
【化67】
【0248】高To現像主薬Dev−1:組み込まれた
高To現像主薬Dev−12は下記構造式により表され
る。
【0249】
【化68】
【0250】この材料は、以下の配合でジルコニアビー
ズを使用して水性混合物の状態で4日間ボールミルし
た。1gの組み込まれた現像主薬当たり、トリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1g)、水
(10g)およびビーズ(25ml)を使用した。ある
場合には、微粉砕の後、ビーズを濾過により除去する前
に、スラリーを温(40℃)ゼラチン溶液(12.5
%,10g)で稀釈した。濾液(ゼラチン添加の有無に
関わらない)を使用前に冷蔵した。 組み込まれた低To現像主薬(Dev−2):Dev−
1に対するのと同様にこの材料を組み込んだ。組み込ま
れた低To現像主薬の構造はD−104である。
【0251】コーティング評価:得られたコーティング
を、ステップウェッジを通して、デイライト(Dayligh
t)5Aフィルター、0.6インコネル(Inconel)フィ
ルターおよびラッテン(Wratten)9フィルターでフィ
ルターした3000Kの3.04logルクス光源に露
光した。露光時間は0.1秒間であった。露光後、前記
コーティングを、加熱プラテンに20秒間接触させるこ
とによって熱処理した。観察された効果の一般性を確認
するために、いくつものストリップを様々なプラテン温
度で処理した。各ステップで濃度測定を行い、そしてそ
れらのデータから2つのパラメーターを得た: A.開始温度To:Toは、0.5の最大濃度(Dmax )
を生成するのに必要な温度に対応する。この温度が低い
ほど、その現像主薬が望ましいより活性の高い現像主薬
であることを示す。 B.ピークディスクリミネーションDp:最適プラテン
温度で、ピークディスクリミネーションは、次式の値:
【0252】
【数1】
【0253】に対応する。Dpの値が大きいことは、そ
の現像主薬が、望ましい良好なS/N比をもたらすこと
を示す。上記のコーティングは下記表5−2に示すよう
に性能を発揮した。
【0254】
【表2】
【0255】これらのデータは、Dev−1を含むコー
ティングにDev−2を組み込むことによって、良好な
ピークディスクリミネーションを保ったまま、開始温度
を概して減少(19℃減少)できたことを示している。
【0256】例6 この例では、以下の変更を加えて、例5におけるのと同
様のコーティング構成および成分を使用した。乳剤を、
増感色素の添加により青色光に対して分光増感し、次に
最適性能を発揮するように化学増感した。E−1の代わ
りにE−5を使用した。E−5は臭化銀98%およびヨ
ウ化銀2%の組成を有し、等価円直径が1.2ミクロン
であり、厚さが0.12ミクロンである平板状乳剤であ
った。E−2の代わりにE−6を使用した。E−6は、
臭化銀98%およびヨウ化銀2%の組成を有し、等価円
直径が0.45ミクロンであり、厚さが0.006ミク
ロンである平板状乳剤であった。E−3の代わりにE−
7を使用した。E−7は、臭化銀98%およびヨウ化銀
2%の組成を有し、等価円直径が0.79ミクロンであ
り、厚さが0.009ミクロンである平板状乳剤であっ
た。E−4の代わりにE−8を使用した。E−8は、臭
化銀97%およびヨウ化銀3%の組成を有し、大きさが
0.16ミクロンである立方晶乳剤。サリチルアニリド
を0.65g/m2でコートした。カプラーM−1の代
わりにカプラーY−1を使用した。質量比1:0.5の
カプラーY−1、1,2−ベンゼンジカルボン酸ジブチ
ルエステルを含むオイルベースのカプラー分散体を調製
した。
【0257】
【化69】
【0258】コーティングの評価:得られたコーティン
グを、ステップウェッジを通して、デイライト5Aフィ
ルターおよびラッテン2Bフィルターでフィルターした
3000Kの3.04logルクス光源に露光した。露
光時間は0.1秒間であった。露光後、前記コーティン
グを、加熱プラテンに20秒間接触させることによって
熱処理した。観察された効果の一般性を確認するため
に、いくつものストリップを様々なプラテン温度で処理
した。上記コーティングは下記表6−1に示すように性
能を発揮した。
【0259】
【表3】
【0260】差は5.2であった。Dev−2の割合の
増加に伴う開始温度の低下が分かる。特に、50%のD
ev−2を使用することにより10℃の減少が得られ
た。
【0261】例7 この例のサンプル写真要素を作製するのに以下の成分を
使用した:攪拌式反応容器に431gの石灰処理ゼラチ
ンおよび6569gの蒸留水を入れた。214gのベン
ゾトリアゾール、2150gの蒸留水および790gの
2.5モル濃度水酸化ナトリウムを含む溶液(溶液B)
を調製した。反応容器内の混合物を、溶液B、硝酸およ
び水酸化ナトリウムを必要に応じて加えることにより
7.25のpAgおよび8.00のpHに調節した。こ
の容器に0.54モル濃度の硝酸銀溶液4リットルを2
50cc/分で加え、そして溶液Bを同時に添加するこ
とによりpAgを7.25に保った。硝酸銀溶液を使い
尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽く
したら、混合物を限外濾過により濃縮した。得られた銀
塩分散体は、銀ベンゾトリアゾールの微粒子を含んでい
た。
【0262】乳剤E−1:当該技術分野で知られている
手段によりハロゲン化銀乳剤を析出させた。この乳剤
は、臭化銀98%およびヨウ化銀2%を含み、有効円直
径1.2ミクロンおよび厚さ0.12ミクロンの寸法を
有していた。この乳剤を、色素SM−1およびSM−2
の添加により緑色光に対して分光増感し、次に、当該技
術分野で知られているように最適位置に対して化学増感
した。
【0263】カプラー分散体CDM−1:追加の永久溶
剤を使用せずに、常用の手段によって、カプラーM−1
を含むカプラー分散体を調製した。
【0264】
【化70】
【0265】
【化71】
【0266】この例の全てのコーティングは1つの感光
性層を含むものであって、組み込まれる現像主薬を変え
ることからなる変更を加えて、表7−1に記載のフォー
マットに従って作製したものであった。全てのコーティ
ングで全現像主薬レイダウンを2.21ミリモル/m2
で一定に保ったが、各現像主薬間の割合は変えた。全て
のコーティングを厚さ0.178mm(7ミル)のポリ
(エチレンテレフタレート)支持体上に作製した。
【0267】
【表4】
【0268】下記表7−2に記載の現像主薬を組み合わ
せて試験した。現像主薬を、以下の配合でジルコニアビ
ーズを使用して水性スラリーの状態で3日間ボールミル
した。1gの組み込まれた現像主薬当たり、トリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.2g、水1
0gおよびビーズ25mlを加えた。微粉砕の後、ビー
ズを濾過により除去した。スラリーを使用前に冷蔵し
た。
【0269】
【表5】
【0270】得られたコーティングを、ステップウェッ
ジを通して、デイライト5Aフィルターおよびラッテン
2Bフィルターでフィルターした3000Kの3.04
logルクス光源に露光した。露光時間は1秒間であっ
た。露光後、前記コーティングを、加熱プラテンに20
秒間接触させることによって熱処理した。最適なストリ
ップ処理条件を得るために、いくつものストリップを様
々なプラテン温度で処理した。このデータから、2つの
パラメーターを得た: A.開始温度To:Toは、0.5の最大濃度(Dmax )
を生成するのに必要な温度に対応する。この温度が低い
ほど、その現像主薬が望ましいより活性の高い現像主薬
であることを示す。 B.ピークディスクリミネーションDp:最適プラテン
温度で、ピークディスクリミネーションは、次式の値:
【0271】
【数2】
【0272】に対応する。より大きなDpの値は、その
現像主薬が、望ましい良好なS/N比をもたらすことを
示す。表7−3は、この例で使用したコーティングにつ
いての結果を示すものである。この表に示した項目は、
現像主薬D−1およびD−2のそれぞれの百分率、開始
温度To、並びに相対ディスクリミネーションDpであ
る。
【0273】
【表6】
【0274】表8−3を検討することにより、保護され
た現像主薬D−1およびD−2の組み合わせが、現像主
薬D−2単独の場合よりも低い開始時間をもたらすとと
もにいずれかの保護された現像主薬を単独で使用した場
合よりも優れた画像ディスクリミネーションを与えるこ
とが分かる。
【0275】例8 本発明の利点をさらに説明するために、以下の成分を使
用してポリエチレンテレフタレート支持体上にフォトサ
ーモグラフ要素を構成した。
【0276】
【表7】
【0277】乳剤E−2は、常用の手段により調製され
た、臭化銀98.7%およびヨウ化銀1.3%の組成を
有するハロゲン化銀平板状乳剤であった。得られた乳剤
は、0.6ミクロンの等価円直径および0.09ミクロ
ンの厚さを有していた。この乳剤を、色素Y−2の添加
により黄色光に対して分光増感し、次に最適な性能を発
揮するように化学増感した。カプラーM−2の構造を以
下に示す。カプラーM−2を、当該技術分野で良く知ら
れているようにカプラー溶媒としてトリクレシルホスフ
ェートを使用して水中油滴型分散体としてフォトサーモ
グラフコーティングに組み込んだ。
【0278】
【化72】
【0279】上記成分に加えて、各コーティングは現像
主薬D−28もしくはD94BRまたは表8−3に記載
の2種の現像主薬の混合物も含んでいた。
【0280】
【表8】
【0281】
【表9】
【0282】得られたコーティングを、ステップウェッ
ジを通して、デイライト5Aフィルターおよびラッテン
2Bフィルターでフィルターした3000Kの3.04
logルクス光源に露光した。露光時間は1秒間であっ
た。露光後、前記コーティングを、加熱プラテンに20
秒間接触させることによって熱処理した。最適なストリ
ップ処理条件を得るために、いくつものストリップを様
々なプラテン温度で処理した。150℃の処理温度での
ピークディスクリミネーションを表9−2に示す。表9
−2に、各フォトサーモグラフコーティングが示した温
度感受性も示す。この温度感受性は、ピークディスクリ
ミネーション対処理温度の傾きとして定義される。処理
温度が変化してもピークディスクリミネーションがほと
んど変化しないため、ゼロに近い傾きが望ましい。
【0283】
【表10】
【0284】これらの例から、2種の現像主薬の混合物
を含むフォトサーモグラフ要素が、各現像主薬を単独で
使用した場合と比較して改良された相対ディスクリミネ
ーションを示すことが明らかである。さらに、本発明の
組み合わせは、Toが高い方の保護された現像主薬の開
始温度を有効に低下させる。さらに、現像主薬の混合物
を使用するフォトサーモグラフ要素はより低い温度感受
性を示し、そのような低い温度感受性のために、フォト
サーモグラフ要素は、処理装置における様々な温度変動
に対してより堅牢なものとなる。
【0285】例9 この例は、多色捕獲および再生を意図した多層フィルム
要素において保護された現像主薬の組み合わせを使用す
ることの利点を示すものである。この例の作製に以下の
成分を使用した。銀塩SS−1(例7に記載した通り) 銀塩分散体SS−2:攪拌式反応容器に431gの石灰
処理ゼラチンおよび6569gの蒸留水を入れた。32
0gの1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2
044gの蒸留水および790gの2.5モル濃度水酸
化ナトリウムを含む溶液(溶液B)を調製した。反応容
器内の混合物を、溶液B、硝酸および水酸化ナトリウム
を必要に応じて加えることにより7.25のpAgおよ
び8.00のpHに調節した。この容器に0.54モル
濃度の硝酸銀溶液4リットルを250cc/分で加え、
そして溶液Bを同時に添加することによりpAgを7.
25に保った。硝酸銀溶液を使い尽くすまでこのプロセ
スを続け、硝酸銀溶液を使い尽くしたら、混合物を限外
濾過により濃縮した。得られた銀塩分散体は、1−フェ
ニル−5−メルカプトテトラゾールの銀塩の微粒子を含
んでいた。
【0286】
【表11】
【0287】カプラー分散体CDM−1:追加の永久溶
媒を使用せずに、カプラーM−1を含むカプラー分散体
を常用の手段により調製した。 カプラー分散体CDC−1:質量比1:2でカプラーC
−1およびジブチルフタレートを含むオイルベースのカ
プラー分散体を常用の手段により調製した。 カプラー分散体CDY−1:質量比1:0.5でカプラ
ーY−1およびジブチルフタレートを含むオイルベース
のカプラー分散体を常用の手段により調製した。
【0288】
【化73】
【0289】
【化74】
【0290】
【化75】
【0291】
【化76】
【0292】表2−2に記載したような基本的な多層画
像形成要素を作製した。コーティングの例での変更は、
表9−2に記載されているように現像主薬の全モルレイ
ダウンを保ちつつ現像主薬D−1およびD−2の各量を
変えることからなっていた。試験コーティングの組成を
表9−3に示す。
【0293】
【表12】
【0294】
【表13】
【0295】
【表14】
【0296】
【表15】
【0297】得られたコーティングを、ステップウェッ
ジを通して、ラッテン2Bフィルターでフィルターした
5500Kの2.1logルクス光源に露光した。露光
時間は0.1秒間であった。ステップウェッジは、それ
ぞれ0.2log(E)ずつ離れた21個のステップを
含み、全体的な露光量範囲で4.0のlog(E)を生
じた。露光後、前記コーティングを、154℃の加熱プ
ラテンに20秒間接触させることによって熱処理した。
各ステップに対応するシアン、マゼンタおよびイエロー
濃度をステータスMカラープロファイルを使用して読み
とった。Dminを超える濃度を示したステップから形成
された濃度に直線を回帰させることによって、各記録に
ついてコーティングの平均ガンマを計算した。表9−4
は、3つのコーティングについて求められたガンマおよ
びDminを示すものであり、この3つのコーティングの
うちの2つはそれぞれ1種の現像主薬を有し、その他の
コーティングはDev−1およびDev−2各50%か
らなる組み合わせを有していた。走査オペレーションか
らの忠実な画像再生におよそ0.3の最小ガンマが必要
であることを考慮すると、現像主薬の混合物を含む本発
明の組み合わせ(例2−2)が低いDmin位置を保った
まま許容可能なガンマを示すことが分かる。Dev−1
のみを有する比較のためのコーティング(例C2−1)
は、許容可能なガンマを示したが、過度のDminを示
し、一方、Dev−2のみを有する比較のためのコーテ
ィング(例C2−3)は許容可能なDminを示したが、
ガンマは不十分であった。
【0298】
【表16】
【0299】本発明を好ましい態様を特に参照して詳述
したが、本発明の精神および範囲の中で変更および改良
をなせることが当然に理解されよう。特に、本発明の現
像主薬は、フルカラー多層フィルムフォーマット中の1
つ以上の層において使用できる。
【0300】本発明の他の態様を特許請求の範囲の記載
と関連して以下に示す。 [態様1] 異なる波長領域にそれぞれの感度を有する
少なくとも3つの感光性ユニットを含んで成るフォトサ
ーモグラフカラー要素であって、前記感光性ユニットが
ハロゲン化銀画像形成層を含んでなり、前記ハロゲン化
銀画像形成層が、独立に下記構造式:
【0301】
【化77】
【0302】[式中、DEVはハロゲン化銀発色現像主
薬であり;LINK1およびLINK2は連結基であ
り;TIMEはタイミング基であり;lは0または1で
あり;mは0,1または2であり;nは0または1であ
り;lとnの和は1または2であり;Bは保護基である
か、またはBは、
【0303】
【化78】
【0304】(式中、B’は第2の現像主薬DEVのた
めの保護基である)である]により表される保護された
現像主薬Aおよび保護された現像主薬Bを含んで成る少
なくとも2種の保護された現像主薬の混合物を当該ハロ
ゲン化銀画像形成層と関連して有し、前記保護された現
像主薬Bの開始温度が前記保護された現像主薬Aの開始
温度よりも低く、前記保護された現像主薬Bの開始温度
が110〜160℃の範囲内にあり、前記保護された現
像主薬Aの開始温度が130〜170℃であり、これら
2種の現像主薬の開始温度の差が5〜50℃であるフォ
トサーモグラフカラー要素。
【0305】[態様2] 前記2種の現像主薬の開始温
度の差が5〜50℃、好ましくは8〜40℃、より好ま
しくは10〜30℃である上記態様1記載のフォトサー
モグラフカラー要素。 [態様3] 前記混合物のDpが前記保護された現像主
薬BのDpよりも大きい上記態様1記載のフォトサーモ
グラフカラー要素。 [態様4] 現像主薬間のDpの差が5.0未満である
上記態様1記載のフォトサーモグラフカラー要素。 [態様5] 保護された現像主薬Aが1〜99モル%の
量で存在し、保護された現像主薬Bが99〜1モル%の
量で存在する上記態様1記載のフォトサーモグラフカラ
ー要素。 [態様6] 第3の現像主薬または第3および第4の現
像主薬が存在する上記態様1記載のフォトサーモグラフ
カラー要素。 [態様7] 前記混合物のピークディスクリミネーショ
ンが各現像主薬単独のピークディスクリミネーションよ
りも大きい上記態様4記載のフォトサーモグラフカラー
要素。 [態様8] 現像主薬がアミノフェノール、フェニレン
ジアミン、ヒドロキノン、ピラゾリジノンまたはヒドラ
ジンである上記態様1記載のフォトサーモグラフカラー
カラー要素。 [態様9] 現像主薬がフェニレンジアミンである上記
態様1記載のフォトサーモグラフカラー要素。 [態様10] LINK1およびLINK2が独立に下
記構造式:
【0306】
【化79】
【0307】[式中、Xは炭素または硫黄を表し;Yは
酸素、硫黄またはN−R1(式中、R1は置換もしくは非
置換アルキルまたは置換もしくは非置換アリールであ
る)を表し;pは1または2であり;Zは炭素、酸素ま
たは硫黄を表し;rは0または1であり;但し、Xが炭
素の場合には、pとrはともに1であり、Xが硫黄の場
合には、Yは酸素であり、pは2であり、かつrは0で
あり;#は、PUG(LINK1の場合)またはTIM
E(LINK2の場合)に対する結合部位を表し;$
は、TIME(LINK1の場合)またはT(t) 置換炭
素(LINK2の場合)に対する結合部位を表す]によ
り表される上記態様1記載のフォトサーモグラフカラー
要素。
【0308】[態様11] LINK1およびLINK
2が独立に、
【0309】
【化80】
【0310】である上記態様10記載のフォトサーモグ
ラフカラー要素。 [態様12] LINK1が、
【0311】
【化81】
【0312】である上記態様10記載のフォトサーモグ
ラフカラー要素。 [態様13] TIMEが、(1)芳香族求核置換反応
を利用する基;(2)ヘミアセタールの開裂反応を利用
する基;(3)共役系に沿う電子移動反応を利用する
基;または(4)分子内求核置換反応を利用する基から
選ばれるタイミング基である上記態様1記載のフォトサ
ーモグラフカラー要素。 [態様14] 保護された現像主薬B中のBが、
【0313】
【化82】
【0314】(式中、Tはt個の独立に選ばれた置換ま
たは非置換のアルキルまたはアリール基を表し、tは
0、1または2であり、tが2である場合には、T基は
環を形成していてもよく;そしてNITは任意選択的に
環を形成していてもよい二置換窒素基である)である上
記態様1記載のフォトサーモグラフカラー要素。 [態様15] NITが、ベンゾイミダゾリル、ベンゾ
チアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニ
ル、ベンゾフリル、フリル、イミダゾリル、インダゾリ
ル、インドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソ
オキサゾリル、オキサゾリル、ピコリニル、プリニル、
ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミ
ジニル、ピロリル、キナルジニル、キナゾリニル、キノ
リル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアジアゾリ
ル、チアトリアゾリル、チアゾリル、チオフェニル、ト
リアゾリル、N,N−ジアリールアミノ、カルバゾリ
ル、およびそれらの置換誘導体から成る群から選ばれる
上記態様14記載のフォトサーモグラフカラー要素。 [態様16] NITが、1−イミダゾリル、1−ベン
ゾイミダゾリル、1−ピロリル、1−インドリル、1−
カルバゾリル、1−ピラゾリル、1−インダゾリル、
N,N−ジフェニルアミノ、および1−テトラヒドロカ
ルバゾリル、ならびにそれらの置換誘導体から成る群か
ら選ばれる上記態様14記載のフォトサーモグラフカラ
ー要素。 [態様17] 前記現像主薬Bが下記構造式:
【0315】
【化83】
【0316】(式中、NITは任意選択的にT基ととも
に環を形成していてもよい二置換窒素基であり;WはO
HまたはNR23であり、ここでR2およびR3は独立に
水素または置換もしくは非置換のアルキル基であるか、
またはR2とR3が連結して環を形成しており;R5
6,R7およびR8は独立に水素、ハロゲン、ヒドロキ
シ、アミノ、アルコキシ、カルボンアミド、スルホンア
ミド、アルキルスルホンアミドもしくはアルキルである
か、またはR5がR3もしくはR6とおよび/またはR8
4もしくはR7と連結して環を形成していてもよく;R
9は独立に水素、アルキル、アリール、複素芳香族基も
しくはアルコキシ基であり、R10またはR11と連結して
環を形成していてもよく;R10およびR11は独立に水
素、アルキル、アリール、置換アリールまたは複素芳香
族置換基であり、連結して環を形成していてもよい)に
より表される上記態様1記載のフォトサーモグラフカラ
ー要素。 [態様18] 保護された現像主薬Aまたは保護された
現像主薬AおよびBの両方が下記構造式:
【0317】
【化84】
【0318】[式中、DEVは現像主薬であり;LIN
Kは連結基であり;TIMEはタイミング基であり;n
は0,1または2であり;tは0,1または2であり、
tが2でない場合には、必要な数(2−t個)の水素が
この構造中に存在する;C*は正四面体(sp3混成)炭
素であり;pは0または1であり;qは0または1であ
り;wは0または1であり;pとqの和は1であり、p
が1である場合には、qおよびwの両方が0であり、q
が1である場合には、wは1であり;R12は水素、また
は置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、ア
リールまたは複素環式基であるか、またはR12はWと組
み合わさって環を形成していてもよく;Tは、置換もし
くは非置換(以下のT基が該当する)のアルキル基、シ
クロアルキル基、アリールもしくは複素環式基、無機の
一価の電子吸引性基または少なくとも1個のC1〜C1
0有機基により(R13基によりまたはR13基とR14基に
より)キャップされた、好ましくは置換もしくは非置換
のアルキルもしくはアリール基によりキャップされた無
機の二価の電子吸引性基から独立に選ばれるか、あるい
はTはWもしくはR12と組み合わさって環を形成してい
るか、あるいは2個のT基が組み合わさって環を形成し
ていてもよく;Dは、置換もしくは非置換(以下のD基
が該当する)の複素芳香族基もしくはアリール基または
一価の電子吸引性基から選ばれる第1の活性化基であ
り、前記複素芳香族基は任意選択的にTまたはR12とと
もに環を形成していてもよく;Xは第2の活性化基であ
って、二価の電子吸引性基であり;WはW’または下記
構造式:
【0319】
【化85】
【0320】(式中、W’は置換もしくは非置換(下記
のW’基が該当する)のアルキル(好ましくは1〜6個
の炭素原子を含む)、シクロアルキル(ビシクロアルキ
ルを包含するが、好ましくは4〜6個の炭素原子を含
む)、アリール(例えばフェニルまたはナフチル)また
は複素環式基から独立に選ばれ、ここでW’はTまたは
12と組み合わさって環を形成していてもよい)により
表される基であり;R13,R14,R15およびR16は、置
換または非置換のアルキル、アリールまたは複素環式基
から独立に選ばれ;そして直接結合していないR12と,
Tと、DもしくはWとからなる組のうちの任意の2つ
は、環の生成が保護基の機能を阻害しないことを条件と
して、環を形成するように連結していてもよい]により
表される上記態様1記載のフォトサーモグラフカラー要
素。 [態様19] 保護された現像主薬が下記構造式:
【0321】
【化86】
【0322】[式中、ZはOHまたはNR23であり、
ここでR2およびR3は独立に水素または置換もしくは非
置換のアルキル基であるか、またはR2とR3が連結して
環を形成しており;R5,R6,R7およびR8は独立に水
素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、カル
ボンアミド、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド
もしくはアルキルであるか、またはR5がR3もしくはR
6とおよび/またはR8がR2もしくはR7と連結して環を
形成していてもよく;WはW’であるか、または下記構
造式:
【0323】
【化87】
【0324】(式中、T,t,C*,R12,D,p,
X,q,W’およびwは先に定義した通りである)によ
り表される基である上記態様18記載のフォトサーモグ
ラフカラー要素。 [態様20] 前記保護された現像主薬Bが下記構造
式:
【0325】
【化88】
【0326】[式中、R1’およびR2’は独立に水素も
しくはさらに置換されていてもよいアルキル基である
か、またはR1’とR2’が組み合わさって複素環式環を
形成していてもよく;Sは、ハロゲン、ヒドロキシ、ア
ミノ、アルコキシ、カルボンアミド、スルホンアミド、
アルキルスルホンアミドまたはアルキルから選ばれるs
個の独立に選ばれた置換基であり、これらのいずれもさ
らに置換されていてもよく、またはNR1’R2’置換基
に対してオルト位に存在するS置換基はP1またはP2
共に複素環式環を形成していてもよく、sは0〜4であ
り;X’,Y’およびZ’は、水素、炭素原子数1〜6
のアルキル基、シクロプロピル、アリール、アリールア
ルキルおよび複素環式基から成る群から独立に選ばれる
置換基であり、前記シクロプロピル基は炭素原子数1〜
6のアルキル基でさらに置換されていてもよく、そして
前記アリールおよび複素環式基はハロゲン、炭素原子数
1〜6のアルキル、アリール、アリールアルキル、アル
コキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ア
ルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、
N,N−ジアルキルアミノ、N,N−ジアリールアミ
ノ、N,N−ジアリールアルキルアミノ、N−アルキル
−N−アリールアミノ、N−アルキル−N−アリールア
ルキルアミノおよびN−アリール−N−アリールアルキ
ルアミノから成る群から選ばれる置換基でさらに置換さ
れていてもよい]により表される上記態様1記載のフォ
トサーモグラフカラー要素。
【0327】[態様21] 各ユニットが、少なくとも
1種の感光性ハロゲン化銀乳剤、バインダーおよび色素
供与カプラーを含んでなる上記態様1記載のフォトサー
モグラフカラー要素。 [態様22] 前記画像形成フォトサーモグラフ要素
が、非感光性銀塩酸化剤および還元剤を含んでなるユニ
ットを少なくとも含む上記態様1記載のフォトサーモグ
ラフカラー要素。 [態様23] 像様露光された上記態様1記載のフォト
サーモグラフカラー要素の潜像を現像する工程を含む画
像形成方法。 [態様24] 前記現像が、前記像様露光された要素を
約90℃〜約180℃の間の温度で約0.5〜約60秒
間処理することを含む上記態様23記載の方法。 [態様25] 前記現像が、前記像様露光された要素
を、その写真要素を完全に膨潤させるのに必要な処理液
の容積の約0.1〜約10倍の容積の処理液で処理する
ことを含む上記態様23記載の方法。 [態様26] 前記現像が、処理薬剤を含むラミネート
シートの適用により達成される上記態様23記載の方
法。 [態様27] 前記現像が、約20℃〜約100℃の間
の処理温度で行われる上記態様23記載の方法。 [態様28] 前記処理液が水性塩基、水性酸または純
水を含んでなる上記態様23記載の方法。 [態様29] 上記態様24記載のフォトサーモグラフ
カラー要素を像様露光し現像したものを走査して、前記
像様露光の第1電子画像表現を形成する工程を含んでな
る画像形成方法。
【0328】[態様30] 上記態様23記載のフォト
サーモグラフカラー要素を像様露光し、現像し、次いで
走査したものから形成された第1電子画像表現をデジタ
ル化してデジタル画像を形成する工程を含む画像形成方
法。 [態様31] 上記態様24記載のフォトサーモグラフ
カラー要素を像様露光し、現像し、次いで走査したもの
から形成された第1電子画像表現を変更して第2電子画
像表現を形成する工程を含む画像形成方法。 [態様32] 上記態様23記載のフォトサーモグラフ
カラー要素を像様露光し、現像し、次いで走査したもの
から得られた画像の電子画像表現を記憶、伝送、プリン
トまたは表示することを含む画像形成方法。 [態様33] 前記電子画像表現がデジタル画像である
上記態様32記載の方法。 [態様34] 画像をプリントすることが、次のプリン
ト技術:電子写真法、インクジェット、熱色素昇華、ま
たは増感印画紙にCRTもしくはLED印刷することの
うちのいずれかによって達成される上記態様32記載の
方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の要素を走査することによって
得られる画像形成を、処理し観察するための装置のブロ
ック図である。
【図2】図2は、現像された本発明のカラー要素を走査
することによって得られる画像保持信号の電子信号処理
を示すブロック図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デビッド トーマス サウスビー アメリカ合衆国,ニューヨーク 14625, ロチェスター,ハンティントン メドウズ 115 (72)発明者 シチャン ヤン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14580, ウエブスター,ノースブルック ウェイ 733 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB23 AB28 BB00 BB02 BB39 CB00 CB03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる波長領域にそれぞれの感度を有す
    る少なくとも3つの感光性ユニットを含んで成るフォト
    サーモグラフカラー要素であって、前記感光性ユニット
    がハロゲン化銀画像形成層を含んでなり、前記ハロゲン
    化銀画像形成層が、独立に下記構造式: 【化1】 [式中、DEVはハロゲン化銀発色現像主薬であり;L
    INK1およびLINK2は連結基であり;TIMEは
    タイミング基であり;lは0または1であり;mは0,
    1または2であり;nは0または1であり;lとnの和
    は1または2であり;Bは保護基であるか、またはB
    は、 【化2】 (式中、B’は第2の現像主薬DEVのための保護基で
    ある)である]により表される保護された現像主薬Aお
    よび保護された現像主薬Bを含んで成る少なくとも2種
    の保護された現像主薬の混合物を当該ハロゲン化銀画像
    形成層と関連して有し、前記保護された現像主薬Bの開
    始温度が前記保護された現像主薬Aの開始温度よりも低
    く、前記保護された現像主薬Bの開始温度が110〜1
    60℃の範囲内にあり、前記保護された現像主薬Aの開
    始温度が130〜170℃であり、これら2種の現像主
    薬の開始温度の差が5〜50℃であるフォトサーモグラ
    フカラー要素。
  2. 【請求項2】 前記2種の現像主薬の開始温度の差が5
    〜50℃である請求項1記載のフォトサーモグラフカラ
    ー要素。
  3. 【請求項3】 保護された現像主薬Aが1〜99モル%
    の量で存在し、保護された現像主薬Bが99〜1モル%
    の量で存在する請求項1記載のフォトサーモグラフカラ
    ー要素。
JP2001179235A 2000-06-13 2001-06-13 保護された現像主薬の混合物を含むフォトサーモグラフ要素 Pending JP2002062612A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US21144500P 2000-06-13 2000-06-13
US60/211445 2000-06-13

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002062612A true JP2002062612A (ja) 2002-02-28

Family

ID=22786955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001179235A Pending JP2002062612A (ja) 2000-06-13 2001-06-13 保護された現像主薬の混合物を含むフォトサーモグラフ要素

Country Status (4)

Country Link
US (1) US6506528B1 (ja)
EP (1) EP1168071A3 (ja)
JP (1) JP2002062612A (ja)
CN (1) CN1329279A (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6645706B1 (en) 2002-09-17 2003-11-11 Eastman Kodak Company Thermally developable materials with improved speed and contrast and methods of use
JP2005266172A (ja) * 2004-03-17 2005-09-29 Fuji Photo Film Co Ltd 熱現像感光材料
US8077192B2 (en) * 2008-01-07 2011-12-13 Zink Imaging, Inc. Platen temperature model
CN104142610A (zh) * 2013-05-09 2014-11-12 天津天感科技有限公司 防止氯溴化银胶片产生灰雾的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5672442A (en) * 1979-11-19 1981-06-16 Olympus Optical Co Ltd Color developing solution for color photosensitive material
JP2631552B2 (ja) * 1989-04-17 1997-07-16 富士写真フイルム株式会社 カラー現像主薬及び画像形成方法
JP3725631B2 (ja) * 1996-09-18 2005-12-14 富士写真フイルム株式会社 熱現像カラー感光材料
US6306551B1 (en) * 1999-12-30 2001-10-23 Eastman Kodak Company Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6319640B1 (en) * 2000-05-26 2001-11-20 Eastman Kodak Company Imaging element containing a blocked photographically useful compound

Also Published As

Publication number Publication date
CN1329279A (zh) 2002-01-02
EP1168071A3 (en) 2002-12-11
US6506528B1 (en) 2003-01-14
EP1168071A2 (en) 2002-01-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004503818A (ja) フェノール系熱溶媒を含むカラーフォトサーモグラフィー要素
JP2001337410A (ja) 保護された写真に有用な化合物を含む画像形成要素
US6306551B1 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6312879B1 (en) Photographic or photothermographic element containing a blocked photographically useful compound
US6521384B2 (en) Silver-halide-containing photothermographic element for improved scanning
EP1113316A2 (en) Imaging element containing a blocked photographic developer
US6426179B1 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6413708B1 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6506546B1 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6506528B1 (en) Photothermographic element containing a mixture of blocked developers
JP2002006439A (ja) 保護された写真に有用な化合物を含む画像形成要素
US6537712B1 (en) Color photothermographic elements comprising blocked developing agents
US6534226B1 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6759187B1 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US7112398B2 (en) Imaging element containing a blocked photographically useful compound
US6770406B1 (en) Imaging element containing a polymeric benzylic blocked developer
US6749977B1 (en) Imaging element containing a polymeric heteroaromatic blocked developer
JP2002023329A (ja) イオン交換された還元剤を含むシートおよび前記シートの存在下で写真要素を処理する方法
JP2002031879A (ja) 写真処理のための方法および材料
US20020160283A1 (en) Silver-halide-containing photothermographic element for improved scanning
EP1290492A1 (en) Record-shifted scanning of silver-halide-containing color photographic and photothermographic elements