JP2002061736A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP2002061736A
JP2002061736A JP2000254009A JP2000254009A JP2002061736A JP 2002061736 A JP2002061736 A JP 2002061736A JP 2000254009 A JP2000254009 A JP 2000254009A JP 2000254009 A JP2000254009 A JP 2000254009A JP 2002061736 A JP2002061736 A JP 2002061736A
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teeth
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Hajime Fukami
肇 深見
Hirobumi Kuwabara
寛文 桑原
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Toyoda Koki KK
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Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動パワーステアリング装置の減速歯車機構
(ウォーム減速機)に樹脂歯を用いた場合、車両の使用
温度領域内に樹脂のガラス転移温度があるため、使用経
過によって樹脂歯の樹脂物性が低下し、減速歯車機構の
バックラッシュが増大して操舵フィーリングを損ねた
り、異音(歯打ち音)を発生させたりする。 【解決手段】 減速歯車機構(ウォーム減速機99)の
従動歯車(ウォームホイール2)が樹脂歯2bを有し、
この樹脂歯2bが放射線架橋樹脂からなる電動パワース
テアリング装置を採用した。 【効果】 歯車減速機構において使用経過に伴うバック
ラッシュ増大等のない、良好な電動パワーステアリング
装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動パワーステア
リング装置に関し、特に、パワーアシスト部を構成する
減速歯車機構の従動歯車に樹脂歯を用いたものに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電動モータ、減速歯車機構から
なるパワーアシスト部を有する電動パワーステアリング
装置においては、例えば特開2000−177607号
公報に記載されているようなウォーム減速機が減速歯車
機構として用いられている。
【0003】このようなウォーム減速機を採用すること
によって、電動モータからの補助動力を大きく増幅した
状態でステアリングシャフトに伝達することができると
ともに、操向車輪側からの路面反力(キックバック力)
等を、ステアリングシャフトへは伝達させないようにす
ることができる。
【0004】また、前記ウォーム減速機の従動歯車であ
るウォームホイールとして、インサート金具(芯金)の
回りに、一般的な合成樹脂を注型成形、射出成形、圧縮
成形した樹脂歯が一体的に設けられたものが実用新案登
録2556890号公報等によって知られており、樹脂
歯に形成されるホイール歯部は、型成形により、または
成形後の切削歯切りにより形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような構成からな
る電動パワーステアリング装置のウォーム減速機におい
ては、パワーアシスト時における所定の操舵フィーリン
グ、静粛性、耐久性を確保する都合上、ウォーム軸とウ
ォームホイールとの噛み合い部におけるバックラッシュ
(ガタ)を使用経過後も所定値以下に抑える必要があ
る。
【0006】しかし、ウォームホイールの樹脂歯に一般
的な熱可塑性樹脂を使用した場合、車両の使用温度領域
(一般に−40℃〜130℃)内に樹脂のガラス転移温
度(ナイロンであれば50℃〜60℃)があるため、使
用経過に伴い強度、クリープ特性、耐摩耗性等の樹脂物
性が低下して、バックラッシュが増大する。これによ
り、ウォーム減速機の円滑な作動を妨げて操舵フィーリ
ングを損ねたり、異音(歯打ち音)を発生させたりす
る。また、場合によっては、歯面応力、摩耗により歯変
形や歯破損が発生することも懸念される。
【0007】このバックラッシュの増大を樹脂材料(材
質)の面から対策しようとすると、まず、注型ナイロ
ン、スーパーエンプラといった樹脂物性の優れた材料を
用いることが考えられるが、これらは同時に高コスト材
料であり、製造コストの上昇をまねくこととなる。
【0008】また、分子量が極めて高い樹脂を使用する
ことも考えられるが、超高分子量の樹脂は成形時の樹脂
流動性が悪いため、成形コストが高くなり、採用は困難
である。
【0009】さらには、結晶性樹脂をウォームホイール
のインサート成形に使用した場合、インサート金具(芯
金)と樹脂歯との界面には成形収縮により残留応力が発
生し、インサート金具の形状によっては、使用経過によ
って樹脂歯が破損することも考えられる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決するためになされたもので、請求項1に係る発明で
は、電動モータによる補助動力を減速歯車機構を介して
車両のステアリング機構に伝達するように構成され、前
記減速歯車機構の従動歯車が樹脂歯を有する電動パワー
ステアリング装置において、前記従動歯車の樹脂歯が放
射線架橋樹脂からなる電動パワーステアリング装置を要
旨とするものである。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1におい
て、減速歯車機構が、駆動歯車であるウォーム軸と従動
歯車であるウォームホイールとからなるウォーム減速機
である電動パワーステアリング装置を要旨とするもので
ある。
【0012】請求項3に係る発明は、請求項2におい
て、ウォームホイールが、芯金と、この芯金の周りに一
体的に設けられた樹脂歯からなる電動パワーステアリン
グ装置を要旨とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
1、図2を基に説明する。本実施の形態に係る電動パワ
ーステアリング装置は、図1に示すようなウォーム減速
機99(減速歯車機構)および電動モータ4からなるパ
ワーアシスト部を有している。前記ウォーム減速機99
は、電動モータ4に連結されるウォーム軸1(駆動歯
車)と、このウォーム軸1に形成されたウォーム歯部1
1と噛合い係合するホイール歯部21を有し、ステアリ
ングシャフト5(ステアリング機構)に取付けられるウ
ォームホイール2(従動歯車)と、前記ウォーム軸1の
両端部を支持するボールベアリング3、3’と、これら
ボールベアリング3、3’、並びに、ウォーム軸1及び
ホイールギヤ2からなるウォーム減速機を収納するハウ
ジング6と、前記ボールベアリング3、3’に予圧を与
える締結ナット8、8’とからなるものである。
【0014】そして、このような構成からなるパワーア
シスト部が、図2に示す如く、ステアリング装置の一部
に組込まれるようになっている。具体的には、ステアリ
ングホイール55につながるステアリングシャフト5の
一部に前記ウォームホイール2が取付けられ、このウォ
ームホイール2を含むウォーム減速機99(減速歯車機
構)を介して、電動モータ4からの補助動力がステアリ
ングシャフト5(ステアリング機構)に伝達されるよう
に構成されている。
【0015】前記ウォームホイール2は、焼結金属、鋼
等からなる芯金2aをインサート金具として射出成形等
の樹脂成形を行い、芯金2aの周りに樹脂歯2bを一体
的に設け、さらに、電子線、γ線等の放射線を樹脂歯2
bに照射することにより樹脂材料を架橋、強化させたも
のである。すなわち、放射線架橋樹脂からなる樹脂歯2
bを用いたウォームホイール2であり、この点が本実施
の形態の特徴である。
【0016】前記放射線架橋樹脂のベースポリマーとし
ては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(PO
M)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA)
等の一般的な熱可塑性樹脂を用いることができる。その
中でも、分子量が高く、耐荷重性、耐熱性に優れた物性
を示す「PA6(ナイロン6)」、「PA6,6(ナイ
ロン6,6)」、「PA4,6(ナイロン4,6)」が特
に有効である。
【0017】しかし、ベースポリマーのみでは架橋効率
が低いため、放射線架橋助剤として、ジエチレングリコ
ールジアクリレートのような「ジアクリレート系」、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリ
コールジメタクリレート等の「ジメタクリル系」、トリ
メチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート等の「トリアクリレート系」、
トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート等の「トリメタクリレ
ート系」、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシ
アヌレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、
リン酸エステル類を添加する。
【0018】一般的な熱可塑性樹脂は、車両の使用温度
領域内(一般に−40℃〜130℃)にガラス転移温度
(ナイロンであれば50℃〜60℃)があり、ガラス転
移温度を超えると、樹脂の非晶質部分の分子運動が活発
になり強度、クリープ特性、耐摩耗性等の樹脂物性が低
下する。
【0019】本実施の形態では、ウォームホイール2の
樹脂歯2bに放射線架橋樹脂を使用することにより、ガ
ラス転移温度を超えて使用される場合においても、非晶
質部分が架橋により拘束されているため、強度、クリー
プ特性、耐摩耗性等の材料物性の低下が少ないウォーム
ホイール2が得られる。また、ガラス転移温度以下にお
いても前記の物性は向上する。
【0020】また、結晶化度の高い「ナイロン6,6」
や「ナイロン4,6」または疲労強度の高い高分子量の
「ナイロン6」を使用することにより、放射線架橋によ
る効果と高結晶化、高分子量化との相乗効果も得られ
る。
【0021】なお、ベースポリマー、放射線架橋助剤に
ついて具体例を示したが、もちろん、これらに限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の
選択も可能である。また、ベースポリマーは、繊維の含
有されない樹脂に限らず、繊維の含有された樹脂であっ
てもよい。
【0022】ホイール歯部21の形成に関しては、イン
サート成形時に型成形により形成する方法、成形、放射
線架橋後にホブ盤等による機械加工によって形成する方
法、いずれでもよい。
【0023】このような本実施の形態に係る電動パワー
ステアリング装置によれば、以下の効果が得られる。 (1) 電動パワーステアリングのウォーム減速機99
における、使用経過に伴うバックラッシュの増大、歯変
形、歯破損は、樹脂歯2bの圧縮強度、曲げ強度、クリ
ープ特性、耐摩耗性等の樹脂物性に影響されるが、本実
施の形態のように放射線架橋樹脂からなる樹脂歯2bを
用いることにより、使用経過によっても樹脂物性が低下
せず、バックラッシュが増大しないウォーム減速機99
(歯車減速機構)が得られる。すなわち、使用経過によ
っても操舵フィーリングを損ねたり、異音(歯打ち音)
を発生させたりしない電動パワーステアリング装置が得
られることとなる。
【0024】(2) 本実施の形態では、一般的な(超
高分子量ではない)樹脂材料を放射線架橋によって強化
した樹脂歯2bを採用したので、成形性の悪い超高分子
量の樹脂材料を用いることなく、すなわち成形コストの
高騰を招くことなく、耐久性に優れたウォーム減速機9
9を備えた電動パワーステアリング装置が得られる。
【0025】(3) 結晶性樹脂をウォームホイール2
のインサート成形に使用しても、インサート金具(芯金
2a)と樹脂歯2bとの界面に発生する残留応力は、成
形後の放射線架橋によって緩和されるので、前記残留応
力に基づく樹脂歯2bの破損のおそれのない、信頼性に
優れたウォーム減速機を備えた電動パワーステアリング
装置が得られる。
【0026】本発明の実施の形態は、以下のように変更
してもよい。 ○ 前記実施の形態では、減速歯車機構としてウォーム
減速機を例示したが、ベベルギヤ、ハイポイドギヤ等か
らなる他の減速歯車機構においても、従動歯車が樹脂歯
を有するものに適用可能である。
【0027】
【発明の効果】請求項1から3に係る発明によれば、減
速歯車機構(ウォーム減速機)の従動歯車(ウォームホ
イール)に設けられる樹脂歯が放射線架橋樹脂からなる
電動パワーステアリング装置を採用したので、減速歯車
機構において使用経過に伴うバックラッシュの増大、歯
変形、歯破損等のない、操舵フィーリング、静粛性、耐
久性、さらには経済性に優れた電動パワーステアリング
装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリ
ング装置の、パワーアシスト部の断面図である。
【図2】同じく電動パワーステアリング装置の全体構成
図である。
【符号の説明】
1 ウォーム軸(駆動歯車) 11 ウォーム歯部 2 ウォームホイール(従動歯車) 21 ホイール歯部 2a 芯金 2b 樹脂歯 4 電動モータ 5 ステアリングシャフト(ステアリング機構) 99 ウォーム減速機(減速歯車機構)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータによる補助動力を減速歯車機
    構を介して車両のステアリング機構に伝達するように構
    成され、前記減速歯車機構の従動歯車が樹脂歯を有する
    電動パワーステアリング装置において、前記従動歯車の
    樹脂歯が放射線架橋樹脂からなることを特徴とする電動
    パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記減速歯車機構が、駆動歯車であるウ
    ォーム軸と従動歯車であるウォームホイールとからなる
    ウォーム減速機である請求項1に記載の電動パワーステ
    アリング装置。
  3. 【請求項3】 前記ウォームホイールが、芯金と、この
    芯金の周りに一体的に設けられた樹脂歯からなる請求項
    2に記載の電動パワーステアリング装置。
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