JP2002056723A - シース - Google Patents

シース

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JP2002056723A
JP2002056723A JP2000239659A JP2000239659A JP2002056723A JP 2002056723 A JP2002056723 A JP 2002056723A JP 2000239659 A JP2000239659 A JP 2000239659A JP 2000239659 A JP2000239659 A JP 2000239659A JP 2002056723 A JP2002056723 A JP 2002056723A
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JP2000239659A
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Naohiko Sato
尚彦 佐藤
Kensuke Uchida
健輔 内田
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、機械的強度、末端切断加工性に優れ
たシースを提供する。 【解決手段】 ハロゲンを含まない熱可塑性エラストマ
ー組成物を成形して得られるシースであって、該熱可塑
性エラストマー組成物は、ASTM D792における
密度が1.1g/cm3以下であり、ASTM D79
0における曲げ弾性率が1.5〜100MPaの範囲で
あり、JIS K6251−93における引張り破断伸
度が500%以下であることを特徴とするシース。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の熱可塑性エ
ラストマー組成物からなり、機械的強度に優れ、柔軟性
に富み、良好な押出し加工性を支持している押出し肌の
平滑性に優れ、かつ末端切断加工性にも優れたシースに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年に目を見張るほどに普及したパソコ
ンからオーディオ機器およびOA機器類に至るまで、身
の回りにはコード、ケーブル類が多用されている。通
常、これらのコード、ケーブル類は電気や光信号を通す
ための内部の導線と、外周の被覆部分のシース(She
ath)から構成されている。シースの役割は、内部の
導線が複数の絶縁芯線の場合は、各々を束ねる役割を果
たしている。一方、内部の導線が単線の場合は芯線を外
部から絶縁し、人体を電気から守るのと同時に、電気信
号等を保護することが挙げられ、その意味においては、
絶縁性に優れたプラスチック系あるいはエラストマー系
の軟質材料が適していると言える。また、近年において
は、プラスチック光ファイバーケーブル(POF)によ
るデータ送信技術が発達しており、この分野におけるエ
ラストマー系のシースの需要も増加しつつある。
【0003】実際、JIS−A硬度が40から95の範
囲の軟質系シース材としては、軟質ポリ塩化ビニルが多
用されてきている。その理由として、廉価で、かつ電気
絶縁性に優れ、自消性の難燃性を有し、更には良好な押
出成形加工性と機械的特性、及び優れた末端切断加工性
を具備していることが第一に挙げられる。この「末端切
断加工性」とは、内部の導線にはんだ付け等を行うこと
を目的として、コードの末端部を刃のついたストリッパ
ーでシース部分のみを切断し、導線を露出させる一連の
作業性を意味している。切断末端が伸びることなくきれ
いに切断加工できるものを良好であるとされおり、軟質
ポリ塩化ビニルはこの末端切断加工性に極めて優れた特
性を具備している。
【0004】ところで近年、環境問題を背景としたポリ
塩化ビニル代替の市場ニーズが高まってきている。当シ
ースに関しても例外ではなく、従来の軟質ポリ塩化ビニ
ルに取って代わる素材の開発要求が強まってきている。
しかし、軟質ポリ塩化ビニル製のシースが具備してい
る、優れた末端切断加工性、および柔軟性、押出し肌の
平滑性、機械的強度を具備する代替素材の開発が遅々と
して進まないのが現実であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハロゲンを
含まない熱可塑性エラストマー組成物からなるシースを
提供することを目的としており、更には、柔軟性と良好
な押出肌の平滑性、機械的特性を有し、かつ優れた末端
切断加工性を具備したシースを提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の点を
鑑み、鋭意検討を重ねた結果、以下に示すシースが前記
課題を全て解決することを見出し、本発明に至った。す
なわち本発明は、1. ハロゲンを含まない熱可塑性エ
ラストマー組成物を成形して得られるシースであって、
該熱可塑性エラストマー組成物は、ASTMD792に
おける密度が1.1g/cm3以下であり、ASTM
D790における曲げ弾性率が1.5〜100MPaの
範囲であり、JIS K6251−93における引張り
破断伸度が500%以下であることを特徴とするシー
ス、2. 該熱可塑性エラストマー組成物は、JIS
K6253−93におけるA硬度が40〜95の範囲で
あり、JIS K6251−93における100%伸長
時の抗力が1.2MPa以上、引張り強度が6MPa以上
であり、メルトフローレイト(230℃、2.16kg
荷重)が0.01〜100の範囲であることを特徴とす
る上記1記載のシース、3. 該熱可塑性エラストマー
組成物が、オレフィン系熱可塑性エラストマーおよび/
またはスチレン系熱可塑性エラストマーを主体とする組
成物からなることを特徴とする上記1あるいは2記載の
シース、に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳しく述べ
る。まず、本発明のシースを構成する熱可塑性エラスト
マー組成物について説明する。本発明のシースを構成す
る熱可塑性エラストマー組成物は、その組成物を構成す
るポリマー成分がハロゲンを含まないことが必須要件で
ある。
【0008】ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素、アスタチンからなる各元素の総称であり、「ハロゲ
ンを含まない」とは、実質的には、シースを構成する組
成物中、ハロゲン原子の存在量が実質的に1重量%未満
であることを意味する。ハロゲンを含む代表的なポリマ
ーである軟質ポリ塩化ビニルにおいては、柔軟性やシー
ス末端切断加工性等を満足するものが数多く存在する
が、軟質ポリ塩化ビニル以外の素材で上記の特性を全て
満足させることが本発明の趣旨であることから、該軟質
ポリ塩化ビニル製のシースは除外される。
【0009】その他、ハロゲン化ブチルゴム組成物、塩
素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、およびハロゲ
ン系難燃剤を含む任意の組成物からなるシースも、本発
明からは除外される。本発明で用いられる熱可塑性エラ
ストマー組成物は、オレフィン系熱可塑性エラストマー
(架橋型、非架橋型)、スチレン・共役ジエン共重合体
(ブロック、ランダムとも;水素添加型、非水素添加型
とも)を主体とする組成物、ポリステル系熱可塑性エラ
ストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウ
レタン系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性
エラストマー等が挙げられるが、特に好ましくは、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー(架橋型、非架橋型と
も)および/またはスチレン・共役ジエンブロック共重
合体(ブロック、ランダムとも;水素添加型、非水素添
加型とも)を主体とする組成物である。
【0010】ここで、「主体とする」とは、該組成物中
のポリマー成分中において、少なくとも25重量%以
上、好ましくは30重量%以上配合されていることを示
している。但し、ゴム用軟化剤等のプロセスオイル等の
オイル成分、炭酸カルシウム等の充填剤成分は除外して
算出する。次に、オレフィン系熱可塑性エラストマー
(架橋型、非架橋型とも)について説明する。
【0011】オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、
主としてエチレン・α−オレフィン(共役ジエン)共重
合体からなるゴム質重合体からなる層と、ポリオレフィ
ン樹脂からなる樹脂層から構成されている。α−オレフ
ィンの具体例を列挙すると、プロピレン、ブテン−1、
ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−
1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中
でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン
−1が好ましく、その中でもオクテン−1が最も好まし
い。オクテン−1は少量ながらもポリマー自身の柔軟性
を付与する効果に優れ、得られた共重合体は機械的強度
と柔軟性のバランスが特に優れている。また、エチレン
・α−オレフィン(共役ジエン)共重合体には、ポリブ
タジエンおよび/またはポリイソプレンおよび/または
ブタジエンとイソプレンの共重合体の部分あるいは完全
水素添加物も該ポリマー構造と合致するため、この範疇
に含まれる。
【0012】また、ポリオレフィン樹脂の例を挙げる
と、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低
密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロ
ピレン(ホモ、ブロック、ランダム)、ポリブテン、ポ
リ(4−メチルペンテン−1)等が挙げられる。中で
も、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低
密度ポリエチレン、ポリプロピレン(ホモ、ブロック、
ランダム)が好ましく、とりわけ動架橋を行う場合はポ
リプロピレン(ホモ、ブロック、ランダム)が最も好ま
しい。
【0013】本発明におけるシースを構成する熱可塑性
エラストマー組成物は、その組成物を部分的または完全
に架橋させることが可能である。架橋させることによ
り、得られるシースの機械的強度を向上させ、かつ引張
り破断伸度を低減させ、シースの末端切断加工性を付与
させることが可能となる。本発明では該組成物を部分的
または完全に架橋せしめる手段についてはなんら規定は
されないが、有機過酸化物等のラジカル開始剤単独、あ
るいはラジカル開始剤および架橋助剤を併用して架橋さ
せる手法が最も推奨される。
【0014】ここで、好ましく使用されるラジカル開始
剤の具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキ
シルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,
4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル
−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等
のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオ
キサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m
−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
および2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド
類;
【0015】アセチルパーオキサイド、イソブチリルパ
ーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパ
ーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等の
ジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチ
ルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベン
ゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−
ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびク
ミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;
ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイ
ドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,
5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−
テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオ
キサイド類を挙げることができる。
【0016】これらの化合物の中でも、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3が特に好ましく用いられる。これらのラジカル開始
剤は、先述のゴム質重合体100重量部に対し0.02
〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部の量で用い
られる。0.02重量部未満では架橋反応が不十分であ
り、一方、3重量部を越えて添加してもエラストマー組
成物の機械的強度等の物性は頭打ちとなり、無意味なも
のとなる。
【0017】更に、架橋助剤としては、ジビニルベンゼ
ン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレ
ート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオ
キシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フ
ェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−
m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、
テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等
が好ましく用いられる。これらの架橋助剤は単独で使用
してもよいし、複数のものを併用してもよい。中でも、
ジビニルベンゼンが好ましく使用される。
【0018】これらの架橋助剤は、先述ゴム質重合体1
00重量部に対し0.1〜5重量部、好ましくは0.5
〜2重量部の量で用いられる。0.1重量部未満では架
橋反応が不十分で添加効果が期待できず、一方、5重量
部を越えて添加しても組成物の機械的強度等の物性は向
上せず、むしろ過剰の架橋助剤が組成物中に残存する結
果となり、品質上好ましくない。
【0019】上記熱可塑性エラストマー組成物には、好
ましく非芳香族系ゴム用軟化剤であるプロセスオイルを
添加することができる。プロセスオイルは得られる組成
物に柔軟性、加工性を付与するのみならず、経済性を改
善する上で有用な成分である。本発明で使用するプロセ
スオイルは一般に知られているパラフィン系およびナフ
テン系に分類されるゴム用オイルである。その中でもパ
ラフィン系オイルが好ましく、さらにパラフィン系の中
でも、芳香族環成分が5%以下のものが好ましく、更に
は1%以下のものが最も望ましい。プロセスオイルの使
用量は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の物性が
損なわれない範囲にとどめるべきであるが、おおよその
目安としてゴム質重合体100重量部に対して5〜30
0重量部程度であり、更に好ましくは30〜200重量
部である。
【0020】オレフィン系熱可塑性エラストマーは、各
々のポリマー成分をバンバリー、加圧ニーダー、あるい
は単軸押出機、2軸押出機等で溶融混練して得る方法
と、重合反応器中で得る方法(通称、「リアクターTP
O」)が主として挙げられる。また、前者の如く溶融混
練してオレフィン系エラストマーを得る場合、過酸化有
機物の存在下、動的に処理し、ゴム層を架橋させ、マト
リックス中に粒子層として分散させたオレフィン系熱可
塑性エラストマー「TPV(Thermoplastic Vulcanizate
s)」も好ましく選択される。
【0021】次に、スチレン系熱可塑性エラストマーに
ついて説明する。スチレン系熱可塑性エラストマーと
は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする
重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共
重合体を、場合により水素添加してなるブロック共重合
体を意味する。中でも耐熱性や耐候性の観点から、水素
添加された水添ブロック共重合体がより好ましく用いら
れる。
【0022】該水添ブロック共重合体は、少なくとも1
個、好ましくは2個以上のビニル芳香族化合物を主体と
する重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン
化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロッ
ク共重合体を水素添加してなるブロック共重合体であ
り、例えばA−B、A−B−A、B−A−B−A、A−
B−A−B−A、B−A−B−A−B、(A−B)
Si、(B−A−B)−Si、(A−B)−Sn、
(B−A−B)−Sn等の構造を有する。
【0023】また、これらのビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにお
けるビニル芳香族化合物または共役ジエン化合物の分布
が、ランダムまたはテーパード(分子鎖にそってモノマ
ー成分が増加または減少するもの)、または一部ブロッ
ク状またはこれらの任意の組み合わせであってもよく、
また重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合は、
各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であってもよ
く、異なる構造であってもよい。本明細書中で使用され
る「主体とする」という表現は、該当モノマー単位が重
合体ブロックの少なくとも50重量%以上、好ましくは
70%以上を占めることを意味する。
【0024】本発明のブロック共重合体を構成するビニ
ル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチ
レンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中
でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物として
は、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジ
エン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのう
ちから1種または2種以上が選択でき、中でもブタジエ
ン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
そして、水素添加される前の共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックBは、そのブロックにおけるミクロ
構造を任意に選ぶことができ、例えば、ポリブタジエン
ブロックの場合においては、1,2−ビニル結合構造が
20〜60重量%、好ましくは25〜45重量%であ
り、ポリイソプレンブロックにおいては1,4−結合が
80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。
【0025】これらのブロック共重合体は、上記した構
造を有するものであれば、その製造方法を制限するもの
ではなく、例えば、特公昭40−23798号公報に記
載された方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒
中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共
重合体を合成することができる。また、より好ましい性
能を発揮するビニル芳香族化合物−水素添加された共役
ジエン化合物ブロック共重合体の製造方法としては、例
えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−66
36号公報に記載された方法で良いが、特に高度の耐侯
性や耐熱老化性を求められる用途にあっては、チタン系
水添触媒の使用が推奨され、例えば、特開昭60−22
0147号公報、特開昭61−33132号公報あるい
は特開昭62−207303号公報が挙げられる。その
際の共役ジエン化合物に由来する脂肪族二重結合は、少
なくとも80%、好ましくは90%以上が水素添加さ
れ、一方、ビニル芳香族化合物の20%未満、好ましく
は10%未満が水素添加されるように選択される。上記
水素添加ブロック共重合体の水素添加率については、赤
外線分光分析や核磁気共鳴分析により容易に知ることが
できる。
【0026】また、ビニル芳香族/共役ジエンランダム
共重合体の部分あるいは完全水素添加物も好ましく用い
られる。該ランダム共重合体は、例を挙げると、好まし
くはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂と、必要に
応じてプロセスオイルを配合し、先述の架橋剤の存在
下、動的に処理して得られた組成物からシースを得るこ
とも可能である。本発明のシースは、ASTM D79
2における密度が1.1g/cm3以下であることが必
須要件である。実際問題として、炭酸カルシウムや水酸
化マグネシウム等の無機充填剤を多量に配合することに
より、該組成物の密度は1.1を越え得る。密度が1.
1g/cm3を超えるまでに無機充填剤を配合すると、
シースに成形した際の押出し肌の平滑性が損なわれ、表
面はざらざら状となり、光沢感も得られず、好ましくな
い。密度を1.1g/cm3以下とすることにより、近
年強まっている製品の軽量化のニーズにも適合し、望ま
しいものとなる。
【0027】また、本発明のシースは、ASTM D7
90で規定される曲げ弾性率が1.5〜100MPaの
範囲であることが必須要件である。1.5MPa未満で
は、得られるシースの腰が不足し、製品としてのコード
・ケーブル類とした際も柔らか過ぎて不適切であるため
好ましくない。また、100MPaを超えると、得られ
るシースが硬くなり、製品としてのコード・ケーブル類
の柔軟性を損ねてしまうため好ましくない。更に好まし
い曲げ弾性率は、3〜85MPaの範囲であり、最も好
ましくは5〜70MPaの範囲である。
【0028】また、本発明のシースは、JIS K62
51−93における引張り破断伸度が500%以下であ
ることが必須要件である。500%を超えるとシースの
末端切断加工性が悪化する傾向で好ましくない。500
%以下であるシースは、末端切断加工性に優れている。
更に好ましい引張り判断伸度は480%以下であり、最
も好ましい引張り破断伸度は450%以下である。更に
本発明のシースは、JIS K6253−93における
A硬度計での瞬間値が40〜95の範囲であることが好
ましい。シースの硬度が40未満であると、シースとし
て柔らか過ぎて腰が無いため好ましくなく、一方、95
を超えると、シースとして硬くなり、柔軟性が損なわれ
るため好ましくない。更に好ましいA硬度は、50〜8
5の範囲であり、最も好ましくは60〜80の範囲であ
る。
【0029】更に本発明のシースは、JIS K625
1−93における100%伸長時の抗力が1.2MPa
以上、破断時の引張り強度が6MPa以上であることが
好ましい。100%伸長時の抗力が1.2MPa未満で
あると、低応力で容易に伸長し、シース切断加工性に悪
影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。更に好ま
しくは、1.5MPa以上であり、最も好ましくは1.
8MPa以上である。一方、破断時の引張り強度が6M
Pa未満であると、シース自身の機械的強度の低下を招
くため、コード・ケーブル等の製品としての品質上好ま
しくない。更に好ましい引張り強度は7MPa以上であ
り、最も好ましくは8MPa以上である。
【0030】更に本発明のシースは、ISO R113
3で規定されるメルトフローレイト(230℃、2.1
6kg荷重)が0.01〜100の範囲であることが好
ましい。メルトフローレイトが0.01未満では、シー
スに成形加工する際に生産性を損ね、更にはシースの外
観を低下させるあることから好ましくない。また、メル
トフローレイトが100を超えると、シースに成形加工
する際、付形性を損ねることからも好ましくない。更に
好ましいメルトフローレイトは0.03〜50であり、
最も好ましくは、0.05〜20である。
【0031】本発明のシースを構成する組成物の一例と
して、以下の組成物が例示できる。該組成を基に、適切
な配合系および配合量を選択することにより、JIS
K6253−93におけるA硬度が40〜95の範囲で
あり、かつJIS K6251−93における引張り破
断伸度が500%以下となるシースが得られ、該シース
は柔軟性と末端切断加工性に優れた特性を示す。また、
下記の組成物の基本概念は、特開昭62−20551号
公報に既に記載されている。該明細書によると、該組成
物は、軟質でありながら強度、耐熱性等に優れかつ圧縮
永久歪が小さいことが特長として挙げられているが、末
端切断加工性の優れたシースに関する記載は無い。
【0032】該組成物は、(a)少なくとも1個のビニ
ル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、少な
くとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる
数平均分子量3万〜30万の水添ブロック共重合体と、
(b)結合単位が下記式(1)
【0033】
【化1】
【0034】(ここで、R1、R2、R3、R4はそれ
ぞれ水素、炭化水素、置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なってもよい。
また、nは1以上の整数。) からなり、還元粘度
(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃測定)が
0.15〜0.70の範囲にあるホモ重合体および、ま
たは共重合体であるポリフェニレンエーテル樹脂、から
構成されるエラストマー組成物であり、更に必要に応じ
てプロセスオイルや他の熱可塑性樹脂が配合された組成
物である。
【0035】該組成物からなるシースは、柔軟性に加
え、優れた末端切断加工性を発現でき、極めて好ましい
ものとなる。ここで、本発明の(a)成分である水添ブ
ロック共重合体の数平均分子量は3万〜30万である
が、更に望ましくは8万〜20万である。数平均分子量
が3万〜30万の範囲の水添ブロック共重合体を用いる
ことにより、押出成形加工性と機械的強度、耐熱性等の
物性のバランスに優れたシースを得ることができる。ま
た、水添ブロック共重合体の分子量分布[重量平均分子
量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)]は10以下、好ましくは5以下、さらに好ましく
は2以下である。分子量分布が10を超えると得られる
シースの機械的強度、耐熱性が十分でなく好ましくな
い。
【0036】これらの水添ブロック共重合体の数平均分
子量、分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーにより、標準ポリスチレンを用いて容易に求める
ことができる。具体的な測定方法を例示すると、 装置:ポリマーラボラトリー社製PL−GPC−210 カラム:PLゲル 10μm MIXED−B 300×7.5mm 2本 PLゲル 10μm GUARD 10×7.5mm 1本 カラム温度: 50℃ 溶媒:O−ジクロロベンゼン 試料濃度0.1重量% 溶解後、フィルターによりろ過を実施。
【0037】次に、(b)成分として使用するポリフェ
ニレンエーテル樹脂について説明する。本発明の(b)
成分として用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、
得られるシースの末端切断加工性を付与する目的で、
(a)成分との組み合わせにおいて有効な成分である。
(b)成分は結合単位が下記式(1)
【0038】
【化2】
【0039】(ここで、R1、R2、R3、R4はそれ
ぞれ水素、炭化水素、置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なってもよい。
nは1以上の整数。)からなり、還元粘度(0.5g/
dlクロロホルム溶液、30℃測定)が0.15〜0.
70、好ましくは0.20〜0.60の範囲にあるもの
が用いられる。このポリフェニレンエーテル樹脂として
は公知のものを用い得る。具体的な例としてはポリ
(2,6−ジ メチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニ
レンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−
フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニ
ル−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられ、ま
た2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例
えば2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−
6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェ
ニレンエーテル共重合体も挙げられる。なかでもポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールが好ましく、更にポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0040】ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)の場合はその還元粘度(0.5g/dl
クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.
70の範囲のものが好ましく、より好ましくは0.20
〜0.60の範囲である。(b)成分の配合量は、成分
(a)の100重量部に対し5〜200重量部の範囲で
好適に選択することが可能である。該配合量が5重量部
未満の場合、ポリフェニレンエーテル樹脂を添加する効
果としてのシースの末端切断加工性が十分に付与され
ず、好ましくない。また該配合量が200重量部を超え
る場合、得られるシース用成形材料の硬度が上昇し、シ
ース自体の柔軟性が損なわれるため好ましくない。更に
は、シース切断加工性は頭打ちとなることから、200
部を超えて配合する必要性も無い。
【0041】更に(b)成分の好適な添加量は、(a)
成分である水添ブロック共重合体100重量部に対して
20〜200重量部であり、更に好ましくは20〜15
0重量部である。本発明のシースには、好ましく先述の
非芳香族系ゴム用軟化剤であるプロセスオイルを添加す
ることができる。その使用量は、得られる熱可塑性エラ
ストマー組成物の物性が損なわれない範囲にとどめるべ
きであるが、おおよその目安として水添ブロック共重合
体100重量部に対して5〜300重量部程度であり、
更に好ましくは30〜150重量部である。
【0042】また、本発明のシースには、好ましく熱可
塑性樹脂を添加することができる。中でもビニル系炭化
水素樹脂を添加することが好ましく、該ビニル系炭化水
素樹脂はシース用成形材料の成形加工性、機械的強度を
改善する上で大変有用である。ビニル系炭化水素樹脂と
して好ましく用いられるものの例として、低密度ポリエ
チレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン、ポリスチレン樹脂等の単独重合体、あるいはエチ
レンおよびプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1
−オクテン等のα−オレフィンの中から任意に選ばれる
2種以上の構成単位の組み合わせによるランダムもしく
はブロック共重合体等が挙げられる。これらは、1種の
みを使用しても良いし、複数のビニル系炭化水素樹脂を
任意の割合で併用してもよい。尚、ビニル系炭化水素樹
脂の使用量は得られるシースの柔軟性が損なわれない範
囲にとどめるべきである。好適な添加量は(a)成分で
ある水添ブロック共重合体100重量部に対して5〜2
50重量部であり、更に好ましくは30〜200重量部
である。
【0043】(a)成分および(b)成分にプロセスオ
イル、熱可塑性樹脂を配合した組成物は必要に応じて、
先述の架橋剤、架橋助剤を用いて動的に架橋させること
も好ましく実施される。動的架橋を行うことにより、機
械的強度が向上し、かつ引張り破断伸度が低下するた
め、シースでの末端切断加工性が改善されるため好まし
い。さらに、本発明のシースには、発明の範囲で、前記
した成分以外に必要に応じて、ブロッキング防止剤、滑
剤、シリコンオイル、顔料、カーボンブラック、無機充
填剤、光安定剤、帯電防止剤等を配合することも可能で
ある。
【0044】一般に、本発明のシースを構成する熱可塑
性エラストマー組成物を製造する方法としては、各配合
物を溶融混練する前に、これらの配合物をヘンシェルミ
キサー、タンブラー、リボンブレンダーのような混合機
を用いて予めドライブレンドし、次いで該混合物を溶融
混練することにより均質なエラストマー組成物が得られ
る。重合体成分をブレンドする為には、従来技術で知ら
れているいかなる方法を使用しても良い。最も均質なブ
レンド物を得るためには、通常使われているミキシング
ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、および単軸押
出機、2軸押出機のような各種の混練機を使用して溶融
混練する方法が望ましい。中でも2軸押出機を用いる手
法が最も好ましい。
【0045】本発明のシースは、良好な押出表面肌の平
滑性、柔軟性、機械的強度を有し、更には軟質ポリ塩化
ビニルに匹敵する、優れたシース切断加工性を有してお
り、多種多様なコード、ケーブル類の被覆材として使用
可能である。以下、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、これら実施例および比較例において、
各種の評価方法に用いられた試験法は以下の通りであ
る。
【0046】(1)密度[g/cm3] ASTM D792に準じて23℃の雰囲気下にて測定
を実施した。 (2)曲げ弾性率[MPa] 厚み1/4インチの試験片を用い、ASTM D790
に準じて23℃の雰囲気下にて測定を実施した。 (3)100%伸長時の抗力[MPa]、引張破断強度
[MPa]、引張り破断伸び[%] JIS K6251−93、JIS3号ダンベル、引張
り速度は500mm/分、試料は2mm厚のプレスシー
トを打ち抜いて用い、23℃の雰囲気下にて測定を実施
した。
【0047】(4)硬度[−] 2mmシートを4枚重ね、23℃雰囲気下にて、JIS
K6253−93、Aタイプ で示される瞬間値を測
定した。 (5)メルトフローレイト[g/10min.] ISO R1133に準じ、230℃、2.16kg荷
重で測定した。
【0048】(6)柔軟性 導線と共に押出し成形したコードから導線を抜き去り、
チューブ状のシースのみで、折り曲げたり、丸めたりし
てその柔軟性を評価した。チューブ状のシースの外径は
4mm、内径は1mmであった。 ◎:柔軟性に特に優れている ○:柔軟性良好。ただし、コード・ケーブルの用途によ
っては比較的に硬い。 △:腰が無い。柔らか過ぎ。 ×:柔軟性に乏しい。硬い。
【0049】(7)押出し肌の平滑性 成形したシースの表面外観を平滑性の尺度で評価した。 ◎:優れている。押出し成形条件で光沢も艶消しも可能
である。 ○:良い。但し、艶消し状である。 ×:表面状態がザラザラ。荒れている。
【0050】(8)末端切断加工性 導線と共に押出成形したコードのシース末端部分をその
専用器具であるストリッパー(VESSEL 3000
C)を用いて切断加工を実施した。その際の評価基準を
下記の通りとした。 ◎:極めて良好な末端切断加工性を示す。 ○:やや伸びる傾向だが、支障は無い。 ×:切断作業性不可。シース末端が伸びて、切れない。 各成分は下記のものを使用した。
【0051】成分(a−1):A−B−Aの構造を有
し、数平均分子量52000、分子量分布1.07、結
合スチレン量19重量%、水素添加前のポリブタジエン
部の1,2−ビニル結合量が35重量%、ポリブタジエ
ン部の水素添加率99%のスチレン/ブタジエンブロッ
ク共重合体の水添ブロック共重合体を特開昭60−22
0147号公報に記載された方法により合成し、成分
(a−1)を得た。
【0052】成分(a−2):A−B−Aの構造を有
し、数平均分子量72000、分子量分布1.09、結
合スチレン量29重量%、水素添加前のポリイソプレン
部の1,4−結合量が94重量%、3,4−結合量が6
重量%、ポリイソプレン部の水素添加率99%のスチレ
ン/イソプレンブロック共重合体の水添ブロック共重合
体を特開昭60−220147号公報に記載された方法
により合成し、成分(a−2)を得た。
【0053】成分(a−3):B−A−B−Aの構造を
有し、数平均分子量140000、分子量分布1.2
5、結合スチレン量35重量%、水素添加前のポリブタ
ジエン部の1,2−ビニル結合量が38重量%、ポリブ
タジエン部の水素添加率99%のスチレン/ブタジエン
ブロック共重合体の水添ブロック共重合体を特開昭60
−220147号公報に記載された方法により合成し、
成分(a−3)を得た。
【0054】成分(a−4):数平均分子量9500
0、分子量分布1.10、水素添加前のポリブタジエン
部の1,2−ビニル結合量が39重量%、水素添加率9
9%のポリブタジエンの水素添加物を合成し、成分(a
−4)を得た。 成分(a−5):結合スチレン量10重量%、数平均分
子量84000、分子量分布1.08、水素添加前のポ
リブタジエン部の1,2−ビニル結合量が36%、水素
添加率99%のスチレン・ブタジエンランダム共重合体
の水素添加物を合成し、成分(a−5)を得た。
【0055】成分(b):ポリフェニレンエーテル樹脂
として、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル(還元粘度:0.54)を合成した。 成分(c):出光興産製ダイアナプロセスオイルPW−
380(パラフィン系プロセスオイル、動粘度;38
1.6cst (40℃)、30.1cst(10
℃)、環分析;CN =27%、CP =73%)
【0056】成分(d−1): モンテル・エスディーケー・サンライズ製ポリプロピレ
ン サンアロマーPB370(エチレンとのブロックタイ
プ)、MFR:1.3 成分(d−2): デュポン ダウ エラストマーズ製エチレン−オクテン
−1共重合体 エンゲージ8180 MFR:0.5(190℃、2.
16kgf) 密度:0.863 成分(d−3): エー・アンド・エム スチレン製ポリスチレン エー・アンド・エム ポリスチレン G9305(GP
PSタイプ) MFR:1.5(200℃、5kgf)
【0057】成分(e): チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 イルガフォス168(商品名;リン系熱安定剤) 成分(f): 日本油脂製有機過酸化物 パーヘキサ25B(商品名;架橋剤) 成分(g): 和光純薬製ジビニルベンゼン(架橋助剤) 成分(h): 同和カルファイン製炭酸カルシウム SST−40(商品名)
【0058】(1)実施例1〜12、15、および比較
例1、3、6の組成物の製造 各成分(a)、(b)、および(e)を、場合により成
分(d)、(f)、(g)、(h)を表1の各々の配合
量に従い、均一にドライブレンドした後、ホッパーに投
入し、40mm径、L/D=46の同方向二軸押出機に
て270℃の条件で溶融混練を行った。なお、成分
(c)のゴム用軟化剤は、押出機の中間点にて、液添を
行って添加した。
【0059】(2)実施例13〜14、16〜18、お
よび比較例2、4、5、7の組成物の製造 各成分(d)および(e)を、場合により成分(a)、
(f)、(g)、を表1の各々の配合量に従い、均一に
ドライブレンドした後、ホッパーに投入し、40mm
径、L/D=46の同方向二軸押出機にて、220℃の
条件で溶融混練を行った。なお、成分(c)のゴム用軟
化剤は、押出機の中間点にて、液添を行って添加した。
【0060】このように上記2系統の熱可塑性エラスト
マー組成物からなるシース用の成形材料を得、これを先
述の試験法にて各実施例および比較例を得た。更に得ら
れたシース用成形材料を用いて、下記の仕様のコードを
製造し、押出し表面の平滑性と末端切断加工性の評価を
行った。 導線:銅に錫メッキを施した、直径0.3mmの3本に
よる撚り線を使用 シース:下記の実施例、比較例で示したシース用成形材
料を使用、外径3mm 押出成形機:三葉製作所製、押出被覆装置 温度条件:シリンダー温度180℃、ダイス温度175
〜200℃ 導線とシース用成形材料と双方を供給し、ダイより被覆
導線を出し、自動定速引取機にて毎分20mの速度で製
造を行った。
【0061】
【実施例1〜18】得られた各シースについて、各項目
の評価を実施し、表1に示す。いずれも、柔軟性、機械
的強度、末端切断加工性に優れることは明らかである。
また、成分(f)架橋剤、(g)架橋助剤、(h)無機
充填剤を用いた系のシースは、シース成形時の温度条件
に因らず押出し表面が艶消しであったのに対し、左記成
分を用いない系のシースは、押出し温度条件で光沢、艶
消し双方が可能であった。
【0062】
【比較例1〜7】実施例と同様に、得られた各シースに
ついて、各項目の評価を実施し、表1に示す。いずれ
も、柔軟性が損なわれている、柔らか過ぎて腰が無い、
末端切断加工性が劣る等、いずれかの点にて本発明にお
けるシースとしての要件が欠落していることは明らかで
ある。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明におけるシースは、柔軟性、機械
的強度、末端切断加工性に優れた特性を具備しているた
め、各種コード、ケーブル類の被覆材として好適に使用
することが可能であり、とりわけ、軟質ポリ塩化ビニル
代替素材として適していることから、その工業的価値は
極めて高い。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC08W BB03W BB12W BB15W BB16W BB20W BP01W BP01X BP02W CF00W CH07X CK02W CL00W CP03W GQ01 5G313 AB01 AB02 AB10 AC07 AD03 AE01 AE02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲンを含まない熱可塑性エラストマ
    ー組成物を成形して得られるシースであって、該熱可塑
    性エラストマー組成物は、ASTM D792における
    密度が1.1g/cm3以下であり、ASTM D79
    0における曲げ弾性率が1.5〜100MPaの範囲で
    あり、JIS K6251−93における引張り破断伸
    度が500%以下であることを特徴とするシース。
  2. 【請求項2】 該熱可塑性エラストマー組成物は、JI
    S K6253−93におけるA硬度が40〜95の範
    囲であり、JIS K6251−93における100%
    伸長時の抗力が1.2MPa以上、引張り強度が6MPa
    以上であり、メルトフローレイト(230℃、2.16
    kg荷重)が0.01〜100の範囲であることを特徴
    とする請求項1記載のシース。
  3. 【請求項3】 該熱可塑性エラストマー組成物が、オレ
    フィン系熱可塑性エラストマーおよび/またはスチレン
    系熱可塑性エラストマーを主体とする組成物からなるこ
    とを特徴とする請求項1あるいは2記載のシース。
JP2000239659A 2000-08-08 2000-08-08 シース Pending JP2002056723A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007280762A (ja) * 2006-04-06 2007-10-25 Hitachi Cable Ltd ノンハロゲン同軸ケーブル及びこれを用いた多芯ケーブル

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