JP2002055319A - フォトリフラクティブ素子及びそれを利用した振動検出装置 - Google Patents

フォトリフラクティブ素子及びそれを利用した振動検出装置

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JP2002055319A
JP2002055319A JP2000239450A JP2000239450A JP2002055319A JP 2002055319 A JP2002055319 A JP 2002055319A JP 2000239450 A JP2000239450 A JP 2000239450A JP 2000239450 A JP2000239450 A JP 2000239450A JP 2002055319 A JP2002055319 A JP 2002055319A
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well layer
light
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electric field
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JP2000239450A
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Inventor
Hiroichi Ikeda
博一 池田
Masami Yamamoto
正美 山本
Hajime Hiratsuka
哉 平塚
Nobuya Tsujikura
伸弥 辻倉
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Kubota Corp
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Kubota Corp
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バッファ層を設けない縦電界印加型のフォト
リフラクティブ素子を提供する。 【解決手段】 バンドギャップが異なる複数の半導体層
を積層して構成されて、電圧の印加によって光吸収スペ
クトルが変化する量子井戸層5と、量子井戸層5に電圧
を印加するための一対の電極2、8とが設けられたフォ
トリフラクティブ素子であって、一対の電極2、8は、
量子井戸層5に対して半導体層の積層方向に電界を形成
するために、量子井戸層5の積層方向の両側に直接に接
する状態で、又は量子井戸層5の光吸収端近くの波長の
光を透過し得る層厚を有して前記量子井戸層を挟むよう
に設けられた導電層を挟んで連なる状態で振り分けられ
て配置されると共に、量子井戸層5に対して積層方向に
光が入射するのを許容するように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、量子井戸層を有す
るフォトリフラクティブ素子およびそのフォトリフラク
ティブ素子を備えた振動検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】感光性を有する物質に光を照射すると、
その物質が光を吸収することで電子正孔対が発生する。
その際、照射光の光強度が空間的な分布を持っていれ
ば、励起される電子正孔対も空間的に分布を持って発生
するため、物質内部に電界強度の分布が発生する。この
内部電界強度の分布にしたがって物質の屈折率が変化す
ることをフォトリフラクティブ効果という。さらにそれ
らの物質は、外部から電界を印加することで光吸収強度
が変化し、その結果、屈折率がさらに変化する。照射光
強度の空間的な変化に比例してその屈折率が変化すると
いうフォトリフラクティブ効果を示す材料として、例え
ば、LiNbO3 、BaTiO3 、GaAs等が知られ
ており、従来のマイケルソン干渉計、ファブリ−ペロー
干渉計等を用いた超音波振動の検出方法に代わって、こ
れらのフォトリフラクティブ素子を振動検出装置へ応用
することが可能である。フォトリフラクティブ素子を振
動検出装置に応用する場合にはフォトリフラクティブ素
子へ電圧の印加が行われ、そのためにも小さい電圧を印
加することで大きな光吸収強度の変化を示すようなフォ
トリフラクティブ素子が求められている。
【0003】フォトリフラクティブ素子への電圧の印加
方式としては、図9に示すように(a)横電界印加型と
(b)縦電界印加型とが提案されている。横電界印加型
のフォトリフラクティブ素子は図9(a)に示すよう
に、基板の上にフォトリフラクティブ層を配置し、フォ
トリフラクティブ層の両側に電極が配置されるように構
成され、フォトリフラクティブ素子の膜厚方向に対して
垂直方向、即ち横方向に電圧が印加される。一方で、縦
電界印加型のフォトリフラクティブ素子は図9(b)に
示すように、透明電極が作製された基板の上に、空間電
荷をトラップするためのバッファ層と、フォトリフラク
ティブ層と、バッファ層とを順次積層し、それらの層を
挟むようにもう一方の電極を形成して構成され、フォト
リフラクティブ素子の膜厚方向に対して平行方向、即ち
縦方向に電圧が印加される。縦電界印加型を採用した場
合には、光励起されたキャリアによる内部電界を維持す
るために、空間電荷をトラップしてキャリアが電極から
流れ出してしまうことを防ぐためのバッファ層をフォト
リフラクティブ層を挟んで設ける必要がある。また、い
ずれの電界印加方式を採用した場合であっても、フォト
リフラクティブ素子の受光部分は基板と平行な膜面に設
定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
横電界印加型のフォトリフラクティブ素子を使用して振
動検出装置を構成しようとした場合、必要な電界強度を
確保するためには、電極間に数kV以上の高い電圧を印
加する必要があった。また、素子構造における電極配置
が図9(a)のようなものであるために、受光領域を大
きくしようとした場合は電極間隔を広げる必要があり、
その結果、同じ電界強度を得るためにはさらに大きな電
圧を印加する必要があるという問題がある。他には、横
電界印加型のフォトリフラクティブ素子の場合、量子井
戸層を構成する各層のエネルギー準位を変化させたとし
ても、電圧の印加方向は各層に平行であるため印加され
る電界と各層のエネルギー準位との相関が現れにくく、
その結果、量子井戸の構造を工夫することでフォトリフ
ラクティブ素子の特性向上のための効果を発揮させるこ
とが難しいという問題がある。
【0005】一方で、縦電界印加型のフォトリフラクテ
ィブ素子を使用して振動検出装置を構成しようとした場
合にも、量子井戸層の両側にバッファ層を設けることが
必須であるとされていたために、振動検出を行うために
は交流電圧をフォトリフラクティブ素子に印加しなけれ
ばならないという問題があった。これは、バッファ層が
絶縁体または電気抵抗の大きい材料で作製されているた
めに、直流電圧を印加した場合は電界がバッファ層に集
中して印加されることになり、量子井戸層に十分な電界
を印加することができないからである。直流電圧を印加
するとしても、電圧のオンオフを行うことで、過渡的な
測定を行うことしかできなかった。
【0006】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、バッファ層を設けない縦電界印
加型のフォトリフラクティブ素子を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係るフォトリフラクティブ素子の第一の特徴
構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如
く、バンドギャップが異なる複数の半導体層を積層して
構成されて、電圧の印加によって光吸収スペクトルが変
化する量子井戸層と、前記量子井戸層に電圧を印加する
ための一対の電極とが設けられたフォトリフラクティブ
素子であって、前記一対の電極は、前記量子井戸層に対
して前記半導体層の積層方向に電界を形成するために、
前記量子井戸層の積層方向の両側に直接に接する状態
で、又は前記量子井戸層の光吸収端近くの波長の光を透
過し得る層厚を有して前記量子井戸層を挟むように設け
られた導電層を挟んで連なる状態で振り分けられて配置
されると共に、前記量子井戸層に対して前記積層方向に
光が入射するのを許容するように構成されている点にあ
る。
【0008】上記目的を達成するための本発明に係るフ
ォトリフラクティブ素子の第二の特徴構成は、特許請求
の範囲の欄の請求項2に記載した如く、第一の特徴構成
に加えて、前記量子井戸層が、多重量子井戸を構成して
いる点にある。
【0009】上記目的を達成するための本発明に係るフ
ォトリフラクティブ素子の第三の特徴構成は、特許請求
の範囲の欄の請求項3に記載した如く、第一または第二
の特徴構成に加えて、前記一対の電極のうちの少なくと
も一方が、透明電極にて構成されている点にある。
【0010】上記目的を達成するための本発明に係るフ
ォトリフラクティブ素子の第四の特徴構成は、特許請求
の範囲の欄の請求項4に記載した如く、第三の特徴構成
に加えて、前記透明電極が、透明ガラス板上に形成さ
れ、前記量子井戸層又は前記導電層とファンデルワール
ス力により結合している点にある。
【0011】上記目的を達成するための本発明に係るフ
ォトリフラクティブ素子の第五の特徴構成は、特許請求
の範囲の欄の請求項5に記載した如く、第一から第四の
いずれかの特徴構成に加えて、前記量子井戸層が、Ga
AsとAlGaAsとを交互に積層することにより形成
されている点にある。
【0012】上記目的を達成するための本発明に係る振
動検出装置の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項
6に記載した如く、レーザ光源と、そのレーザ光源から
出射された光線を測定対象の振動物に照射するための信
号光と参照光とに分岐する光線分岐手段と、請求項1〜
5のいずれか1項に記載のフォトリフラクティブ素子
と、そのフォトリフラクティブ素子に電圧を印加する電
源と、前記振動物にて反射された前記信号光と前記参照
光とが設定角度をなす状態で前記フォトリフラクティブ
素子に入射させるための光学系と、前記フォトリフラク
ティブ素子を通過した光を検出する検出手段とが設けら
れた点にある。
【0013】以下に作用並びに効果を説明する。本発明
のフォトリフラクティブ素子の第一の特徴構成によれ
ば、電界が量子井戸層の積層方向に印加される、即ち、
量子井戸層の膜厚方向に対して印加されるため、小さい
印加電圧で大きな印加電界強度を確保することができ
る。さらに、小さい印加電圧で大きな電界吸収率が見ら
れることから、屈折率変化も同様に大きく現れることに
なる。さらに、積層方向に電界を印加するということか
ら、各層のエネルギーバンド構造を考慮して積層された
膜の組成、厚さ等を変化させることで、得られたフォト
リフラクティブ素子の吸収スペクトル特性を調節し、フ
ォトリフラクティブ特性を改善することができる。ま
た、受光面積は積層面全体にわたって広い範囲に設定す
ることが可能であるために、照射される光のビーム径を
絞る必要はなく、絞らずにそのまま受光したとしても、
ビームがフォトリフラクティブ素子の受光領域からはみ
出すことはない。さらに、従来は量子井戸層を挟んでバ
ッファ層を設ける必要があったが、本発明に係るフォト
リフラクティブ素子では、バッファ層を設ける必要がな
いために、素子構造およびその作製工程を簡略化するこ
とができる。
【0014】同第二の特徴構成によれば、量子井戸層を
多重量子井戸構造として構成することで、量子化された
電子のポテンシャル井戸を複数形成することができる。
さらに、所望のエネルギー準位を有する井戸層を複数組
み合わせた場合は、それらのエネルギー準位を最適化す
ることで、フォトリフラクティブ素子の光吸収特性を改
善させることができる。
【0015】同第三の特徴構成によれば、一対の電極の
うちの少なくとも一方が透明電極であることにより、光
が電極により遮られることなく量子井戸構造内部に侵入
することができる。従って、電極面積に制限を受けるこ
となく十分な受光領域を確保することができる。
【0016】同第四の特徴構成によれば、量子井戸層ま
たは導電層を特別な成膜装置を使うことなくファンデル
ワールス力によって電極上に設けることができるため、
フォトリフラクティブ素子の作製工程が簡略化され、さ
らに作製された素子においては、通常の蒸着法などによ
る成膜中に起こりうる熱などの影響をなくすことができ
る。
【0017】同第五の特徴構成によれば、GaAsとA
lGaAsとを交互に積層して多重量子井戸層を形成す
ることで、赤外域に吸収波長を持つ素子を構成すること
ができる。
【0018】本発明の振動検出装置の特徴構成によれ
ば、振動物で反射された信号光と、レーザ光源から放射
された参照光とを干渉させて本発明に係るフォトリフラ
クティブ素子に照射することで、振動の情報を信号光の
振幅、即ち信号光の明暗として明確に検出することがで
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1を参照して本発明のフォトリ
フラクティブ素子の構造を説明する。本発明のフォトリ
フラクティブ素子は、バンドギャップが異なる複数の半
導体層を積層して構成されて、電圧の印加によって光吸
収スペクトルが変化する量子井戸層と、上記量子井戸層
に電圧を印加するための一対の電極とが設けられて構成
され、上記一対の電極は、上記量子井戸層に対して上記
半導体層の積層方向に電界を形成するために、上記量子
井戸層の積層方向の両側に直接に接する状態で又は上記
量子井戸層の光吸収端近くの波長の光を透過し得る層厚
を有して上記量子井戸層を挟むように設けられた導電層
を挟んで連なる状態で振り分けられて配置されると共
に、上記量子井戸層に対して上記積層方向に光が入射す
るのを許容するように構成されている。
【0020】具体的には、広い波長範囲の光を透過させ
ることのできる石英ガラスなどの基板1上にITO(i
ndium tin oxide)等の透明導電性膜に
よる電極2を作製し、量子井戸層5を含む複数の半導体
からなる層3〜7を電極2上にファンデルワールス力で
結合させて設置し、その上に電極8を作製する。ここ
で、電極8側から光を量子井戸層5に入射させることを
目的とする場合、電極8は透明でなければならないが、
電極8が光を透過させる必要が無い場合は透明でなくて
も良い。量子井戸層5は、AlGaAsとGaAsとが
交互に複数層形成された多重量子井戸(MQW)層であ
る。さらに半導体層3〜7の各層にプロトン注入を行う
ことで量子井戸層5を半絶縁化して深い準位を形成し、
井戸層中のGaAs層で光励起されたキャリアの拡散・
ドリフト・捕獲による外部印加電場のスクリーニングが
利用可能になる。半導体層3〜7は、p型GaAs層3
と、p型AlGaAs層4と、量子井戸層5と、p型A
lGaAs層6と、p型GaAs層7とを順に積層して
形成された層である。本願発明では、半導体層3と電極
2とをファンデルワールス力で結合させて、量子井戸層
5を含む半導体層3〜7を電極2上に配置している。
電極2上に半導体層3をファンデルワールス力で結合さ
せる方法は次のようなものである。初めに、半導体層3
〜7を所定の基板上に順次積層する。次に、半導体層3
〜7を基板から剥離させる。基板からの剥離は、特定の
層を選択的にエッチングすることなどにより行われ得
る。次に、液体の上に浮かべた半導体層3〜7を電極2
が形成された基板1ですくい、その後乾燥させること
で、半導体層3と電極2とがファンデルワールス力で結
合される。
【0021】次に、本発明に係る縦電界印加型のフォト
リフラクティブ素子に対して図1に示すように直流電圧
を印加しながら光吸収特性を測定した結果を図2に示
す。印加電圧の範囲は0(V)〜10(V)である。
尚、測定に使用した半導体層3〜7は、図1に示したp
型GaAs層3および7を共に約10nmの厚さに形成
し、p型AlGaAs層4および6を共に約50nmの
厚さに形成し、量子井戸層5を約1000nmの厚さに
形成したものである。また、入射光は透明導電性膜で作
製された電極2側から照射されるため、受光面積は半導
体層3〜7の積層面の面積と同じである。
【0022】図2より、印加電圧を変化させることで光
吸収強度が徐々に変化することがわかる。図3は以下の
数1で表される電界吸収率を示す。
【0023】
【数1】電界吸収率={(印加電圧がx(V)のときの
光吸収強度)−(印加電圧が0(V)のときの光吸収強
度)}/(印加電圧が0(V)のときの光吸収強度)
【0024】図3に示されているように、電圧を印加す
ることによって光吸収強度が小さくなる波長域と、光吸
収強度が大きくなる波長域とがあることが分かる。その
結果、光吸収強度が変化することで、励起される電子正
孔対の数が変化する、即ち、内部電界強度が変化し、フ
ォトリフラクティブ素子に屈折率の変化が現れることに
なる。さらに、印加電圧が大きいほど電界吸収率が大き
く、屈折率の変化も大きく現れることになる。例えば、
波長約815nm〜約840nmに現れるエキシトン準
位に対応する光吸収強度は、電界を印加することによっ
て減少し、電圧を10(V)印加した場合、電界吸収率
は最大で約−0.13である。他方で、電圧を10
(V)印加した場合、波長約850nm付近に現れる吸
収の電界吸収率の変化量は最大で約+0.23である。
ここで、フォトリフラクティブ素子における光吸収強度
の変化を見るために印加される電圧の大きさは数ボルト
オーダーという小さい値で十分である。これは、電圧が
縦方向、即ち膜厚方向に印加されるために、印加電圧が
小さくとも電界強度が十分大きくなるためである。
【0025】図4は、縦電界印加型のフォトリフラクテ
ィブ素子における量子井戸層5のエネルギーバンド図と
印加された電界の方向とを図示したものである。印加さ
れる電界の方向は図中に矢印で示した方向である。縦電
界印加型のフォトリフラクティブ素子では、電子正孔対
は井戸層内に閉じ込められた状態にあるために、高電界
を印加したとしてもエキシトン準位に対応した吸収が維
持される。例えば図3に示したように、波長820nm
〜840nm付近に現れている吸収ピークはフォトリフ
ラクティブ素子のエキシトン準位に対応した吸収を示し
ているが、印加する電圧を大きくしても光吸収強度が急
激に減少することはない。図3において、電圧を印加す
ることでエキシトン準位に対応する吸収ピークが長波長
側にシフトしているのは、電界を印加することでエキシ
トンのエネルギー準位がシフトしたことに起因する。
【0026】<比較例>本発明に係る縦電界印加型のフ
ォトリフラクティブ素子の比較例として、横電界印加型
のフォトリフラクティブ素子の光吸収特性を測定した結
果を示す。尚、横電界印加型のフォトリフラクティブ素
子の構造は図9(a)に示したのと同様であり、半導体
層3〜7は図1に示した縦電界印加型のフォトリフラク
ティブ素子と同様とする。また、入射光はフォトリフラ
クティブ素子の上部から照射されるため、受光面積は電
極間の面積と同じである。受光面積を変更する場合は、
電極の配置を変更する必要がある。ここでは電極間隔を
1(mm)とした。
【0027】図5は、図9(a)と同様の構造の横電界
印加型のフォトリフラクティブ素子に電圧を印加しなが
ら測定した光吸収特性であり、図6は、印加電圧が0〜
3000(V)である場合の電界吸収率を印加電圧毎に
プロットしたグラフである。図3に示した縦電界印加型
のフォトリフラクティブ素子の電界吸収率のグラフと異
なり、縦電界印加型のフォトリフラクティブ素子と同程
度の光吸収強度の変化を見るために必要な印加電圧の大
きさは数千Vのオーダーという極めて大きい値である。
電圧を印加することによって光吸収強度が小さくなる波
長域と、光吸収強度が大きくなる波長域とがあることが
分かる。それぞれの波長域において、印加電圧が大きい
程、電界吸収率が大きく観測されるが、縦電界印加型の
フォトリフラクティブ素子に比べて電界吸収率は小さ
い。例えば、図6において、電圧を3000(V)印加
した場合、波長約848nmに現れる吸収の電界吸収率
は約−0.125であり、波長約855nm付近の吸収
の電界吸収率は最大で+0.13である。この変化量は
上述した縦電界印加型のフォトリフラクティブ素子に比
べてたいへん小さいと言える。
【0028】図7は、横電界印加型のフォトリフラクテ
ィブ素子において量子井戸層のエネルギーバンド図と印
加された電界の方向とを図示したものである。横電界印
加型のフォトリフラクティブ素子では、高電界を印加す
るとエキシトン準位に対応した吸収が見られなくなる。
これは、フォトリフラクティブ素子の横方向に電界が印
加されるために、発生した電子正孔対がポテンシャル障
壁の無い一つの層内を自由に動くことが可能であり、そ
の結果、電子正孔対が解離されるからである。以上のこ
とより、フォトリフラクティブ素子としては上述した縦
電界印加型のフォトリフラクティブ素子を用いることが
好ましいといえる。
【0029】次に、上述した縦電界印加型のフォトリフ
ラクティブ素子を用いた振動検出装置について図8を参
照して説明する。本発明に係る振動検出装置は、レーザ
光源10と、そのレーザ光源10から出射された光線を
測定対象の振動物15に照射するための信号光SBと参
照光RBとに分岐する光線分岐手段12と、フォトリフ
ラクティブ素子SPと、そのフォトリフラクティブ素子
SPに電圧を印加する電源20と、上記振動物15にて
反射された上記信号光SBと上記参照光RBとが設定角
度をなす状態で上記フォトリフラクティブ素子SPに入
射させるための光学系と、上記フォトリフラクティブ素
子SPを通過した光を検出する検出手段19とが設けら
れて構成される。以下に振動検出装置の動作を具体的に
説明する。
【0030】初めに、外部共振器型波長可変半導体レー
ザにて構成されるレーザ光源10から放射された光はビ
ームスプリッタ(光線分岐手段)12にて、ビームスプ
リッタ12を直進する参照光RBと進路が90°屈曲さ
れる信号光SBとに分離され、振動物15に集光され
る。次に、振動物15にて反射された信号光SBは、ビ
ームスプリッタ12を直進通過して直流安定化電源20
により電圧が印加された測定対象の試料SP(上述の縦
電界印加型のフォトリフラクティブ素子など)に入射す
る。一方で、参照光RBも信号光SBの光路と交差しな
がら試料SPに入射し、フォトリフラクティブ素子上に
干渉縞が形成されることで、その内部に屈折率格子が誘
起される。ここで、試料SPがフォトリフラクティブ効
果を有する場合は、信号光SBは参照光RBによって増
幅されてプリズム型ミラー17に反射された後に受光素
子18に受光され、受光素子18の検出信号は信号検出
回路(検出手段)19に入力される。そして、振動物1
5の振動は信号光の振幅、即ち信号光の明暗で検出され
る。振動測定の応用分野としては、例えば、炉壁の微小
超音波振動の振動状態の計測がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦電界印加型のフォトリフラクティブ素子の構
成図である。
【図2】縦電界印加型のフォトリフラクティブ素子の光
吸収強度をプロットしたグラフである。
【図3】縦電界印加型のフォトリフラクティブ素子の電
界吸収率をプロットしたグラフである。
【図4】縦電界印加型のフォトリフラクティブ素子にお
けるエネルギーバンド図と電界の印加方向とを示す図で
ある。
【図5】横電界印加型のフォトリフラクティブ素子の光
吸収強度をプロットしたグラフである。
【図6】横電界印加型のフォトリフラクティブ素子の電
界吸収率をプロットしたグラフである。
【図7】横電界印加型のフォトリフラクティブ素子にお
けるエネルギーバンド図と電界の印加方向とを示す図で
ある。
【図8】本発明に係る振動検出装置の構成図である。
【図9】フォトリフラクティブ素子の構造を示す図であ
り、(a)は横電界印加型のフォトリフラクティブ素子
を示し、(b)は縦電界印加型のフォトリフラクティブ
素子を示す。
【符号の説明】
1 基板 2 ITO(電極) 3 p型GaAs 4 p型AlGaAs 5 量子井戸層 6 p型AlGaAs 7 p型GaAs 8 電極 10 レーザ光源 12 ビームスプリッタ 15 振動物 17 プリズム型ミラー 18 受光素子 19 信号検出回路 20 直流安定化電源 RB 参照光 SB 信号光 SP 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 哉 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 辻倉 伸弥 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 Fターム(参考) 2G064 AB07 BC22 BC32 2H079 AA02 AA13 BA01 CA11 DA16 EB05 KA18 KA19 2K002 AA04 AB13 BA01 CA13 EA07 EA27 HA17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バンドギャップが異なる複数の半導体層
    を積層して構成されて、電圧の印加によって光吸収スペ
    クトルが変化する量子井戸層と、 前記量子井戸層に電圧を印加するための一対の電極とが
    設けられたフォトリフラクティブ素子であって、 前記一対の電極は、 前記量子井戸層に対して前記半導体層の積層方向に電界
    を形成するために、前記量子井戸層の積層方向の両側に
    直接に接する状態で、又は前記量子井戸層の光吸収端近
    くの波長の光を透過し得る層厚を有して前記量子井戸層
    を挟むように設けられた導電層を挟んで連なる状態で振
    り分けられて配置されると共に、前記量子井戸層に対し
    て前記積層方向に光が入射するのを許容するように構成
    されているフォトリフラクティブ素子。
  2. 【請求項2】 前記量子井戸層が、多重量子井戸を構成
    している請求項1記載のフォトリフラクティブ素子。
  3. 【請求項3】 前記一対の電極のうちの少なくとも一方
    が、透明電極にて構成されている請求項1又は2記載の
    フォトリフラクティブ素子。
  4. 【請求項4】 前記透明電極が、透明ガラス板上に形成
    され、前記量子井戸層又は前記導電層とファンデルワー
    ルス力により結合している請求項3記載のフォトリフラ
    クティブ素子。
  5. 【請求項5】 前記量子井戸層が、GaAsとAlGa
    Asとを交互に積層することにより形成されている請求
    項1〜4のいずれか1項に記載のフォトリフラクティブ
    素子。
  6. 【請求項6】 レーザ光源と、そのレーザ光源から出射
    された光線を測定対象の振動物に照射するための信号光
    と参照光とに分岐する光線分岐手段と、請求項1〜5の
    いずれか1項に記載のフォトリフラクティブ素子と、そ
    のフォトリフラクティブ素子に電圧を印加する電源と、
    前記振動物にて反射された前記信号光と前記参照光とが
    設定角度をなす状態で前記フォトリフラクティブ素子に
    入射させるための光学系と、前記フォトリフラクティブ
    素子を通過した光を検出する検出手段とが設けられた振
    動検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110081965A (zh) * 2019-05-17 2019-08-02 电子科技大学中山学院 一种驻波波节、波腹定位探测结构

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