JP2002047214A - エチレン製造装置の汚れ防止方法 - Google Patents
エチレン製造装置の汚れ防止方法Info
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Abstract
て、重合を抑制して装置内に汚れが発生しないように添
加する安定フリーラジカル化合物の最適量を、蒸留塔の
塔底液中のジエン化合物の合計濃度及び工程条件から求
め、該装置の汚れを防止する方法を提供する。 【解決手段】 蒸留塔への供給油量に対して、安定フリ
ーラジカル化合物を、下記式で求められる[D]より高
く、かつ「[D]+3.5」より低い範囲で添加するこ
とからなる。[D]={3.5+5[exp(0.07
T)]×C×(V/L)×10-6}/F〔式中、[D]は
蒸留塔への供給油量に対して添加される安定フリーラジ
カル化合物の添加量(μ・mol/kg原料油供給
量)、Fは安定フリーラジカル化合物中の官能価、すな
わち安定フリーラジカル化合物1分子中のラジカル部位
の数、Tは蒸留塔の塔底温度(℃)、Cは蒸留塔の塔底
液中の1,3−ブタジエン、イソプレン、シクロペンタ
ジエン合計濃度(wt%)、Vは蒸留塔塔底部容積(m
3)、Lは蒸留塔の塔底部より抜き出される流量(m3/
分)を表す。〕
Description
汚れ防止方法に関するものである。さらに詳しくは、エ
チレン製造装置の分離精製工程における重合物の生成を
抑制し、該装置の多年連続操業を円滑かつ確実に実行で
きるようにする汚れ防止方法に関するものである。
したように、熱分解工程、クエンチ工程、圧縮工程、分
離精製工程が連続した工程よりなっている。
って生成した石油留分を多数の連続した蒸留塔で順次蒸
留されて、一般的に、炭素数が小さいものから分離精製
されている。すなわち、脱メタン塔、脱エタン塔、脱プ
ロパン塔、脱ブタン塔、脱ペンタン塔、リラン塔、コン
デンセートストリッパー、分解ガソリンストリッパーな
どの多数の蒸留塔が連続した蒸留塔群からなり、石油留
分が順次分離精製されていく。
が、この熱分解で生成した石油留分には、種々のオレフ
ィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン類、アセ
チレン類、ブタジエン類、ペンテン類、ペンタジエン
類、インデン類、スチレン類等が含まれている。分離精
製工程における汚れは、これらオレフィン類が、熱、微
量の酸素あるいは過酸化物、更に金属イオンなどの作用
を受けてラジカル反応が促進され、装置内にその重合物
が付着していくことに起因している。蒸留塔の塔底部
は、最も汚れやすい個所で、汚れが蓄積してくると、熱
効率が悪くなったり、プロセス流体の流れが悪くなるな
ど運転効率の悪化し、場合によっては装置が閉塞する虞
さえある。
ン、イソプレン、シクロペンタジエン等ジエン類は、ポ
ップコーン重合物と呼ばれるポップコーン状の重合物を
生成する。この重合体は架橋が高度に進んだ3次元構造
を有しており、溶剤に不溶で、加熱しても溶融しない。
このポップコーン重合体がひとたび生成すると、これが
核となって指数級数的に成長を続け、装置内が急速に閉
塞し、装置の破壊に至る虞がある。このために、この重
合物が生成した場合、早急に、装置を一時停止して、高
圧ジェット洗浄等物理的方法でこれを除去する以外に方
法がない。このように、ごく一部の蒸留塔の汚れがエチ
レン製造装置全体の安定運転を阻害し、場合によって、
生産量の低下や装置全体の停止を招く虞がある。
置は、定期的に運転を休止し、装置内の重合物による汚
れ、ポップコーン重合物の付着を取り除く作業を行なっ
ており、現在では2年周期で休止しているのが普通であ
る。しかし、装置の停止、再稼動には膨大な経費がかか
ることから、経済的に有利な長期間の連続操業が計画さ
れている。分離精製工程で長期連続操業を実施しようと
すると、蒸留塔群の装置内に上記の重合物の堆積がない
健全な状態に保持することが重要な課題になっている。
として、例えばフェノール類、ヒドロキシルアミン類を
使用する方法、[例えば、特開昭50−112304号
公報、米国特許4434307明細書(1984
年)]、フェニレンジアミン類、ニトロソフェノール類
を使用する方法(例えば、特開平5−156233号公
報)等が提案されている。
ン類、ヒドロキシルアミン類を使用する方法は、重合物
の生成抑制効果が大きくなく、十分な効果を出すには多
量に使用しなければならない。
−オキシル類などの重合抑制剤を用いる方法(特公昭5
1−15001号公報)、さらに供給油量に対して70
0ppb未満のピペリジン−1−オキシル類を添加して
汚れを防止する方法(特公平4−26639号公報)が
提案された。
のラジカル重合反応の原因となるアルキルラジカルと結
合して初期段階で重合を停止させるものであり、反応性
が高く、重合抑制活性が高い特長を有している。しかし
ながら、ピペリジン−1−オキシル類は、ラジカルと反
応して自らのラジカルを消費していくので、濃度不足の
状況になると急激に重合が進行し、重合抑制剤を加えな
い場合と同様の状況になる。従って、工業的には、安全
運転の観点から必要以上に多量に使用することが多く、
経済的な問題があった。
きく異なり、例えば、油中の1,3−ブタジエン濃度
は、脱エタン塔では数%程度であるが、脱ブタン塔では
数十重量%程度となる。しかもこのような油の組成は工
場によって大幅に異なり、同じ工場でも運転条件によっ
て変わり、実際には脱ブタン塔での1,3−ブタジエン
の濃度は20%程度から50重量%程度と変動してい
る。このような原料油の組成、温度など運転条件の変動
を考慮することなく、一律に供給油量に対して700p
pb未満のピペリジン−1−オキシル類を添加するとい
う上記の方法は、極めて危険な方法である。
く異なり、一般的に塔底温度は上流に位置する蒸留塔で
低く、下流に行くにつれて高くなる傾向がある。例え
ば、脱エタン塔では0℃程度であるが、リラン塔では1
80℃程度である。同じ蒸留塔であっても操業条件は一
定でなく、工場によって異なっており、例えば、脱プロ
パン塔の塔底温度は70℃程度から110℃程度の広い
範囲にわたっている。また、同じ工場であっても、海水
を塔頂部の冷却に用いている場合、例えば脱プロパン塔
の塔底温度は冬季よりも夏季において20℃程度高くし
て運転している。
工程は、取り扱う原料組成が複雑であり、また工場によ
って取り扱う原料組成及び操業条件等が大きく異なって
いるため、重合物による汚れ問題の解決を困難にしてい
た。特に、重合抑制剤の最適添加量を決定する基準がな
く、過去の経験に基づき、または経済的な基準から決定
されていたのが実情である。
合物による重合抑制は、濃度不足の状況になると急激に
重合が進行し、重合抑制剤を加えない場合と同様の状況
になることから、特に多年連続操業を安全に達成するに
は、その適正濃度に保つ方法が大きな課題となってい
た。
ジカル化合物による重合汚れ防止方法が有する欠点を克
服し、エチレン製造装置の長期間連続操業を安全かつ経
済的に達成可能な合理的な方法を提供することにある。
製造装置蒸留塔での重合物の生成抑制には安定フリーラ
ジカル化合物が適しており、その最適添加量は、塔底部
における特定の共役ジエン類の濃度、蒸留塔の塔底温
度、塔底部における原料油の(相対的)滞留時間との関
連から決定されることを見出し、本発明を完成させるに
至った。
製造装置の汚れ防止方法であり、エチレン製造装置の分
離精製工程において、蒸留塔への供給油量に対して、安
定フリーラジカル化合物を下記式で求められる[D]
(μ・mol/kg原料油供給量)より高く、かつ
「[D]+3.5」(μ・mol/kg原料油供給量)
より低い範囲で添加することからなり、 [D]={3.5+5[exp(0.07T)]×C×(V/L)
×10-6}/F 〔式中、[D]は蒸留塔への供給油量に対して添加され
る安定フリーラジカル化合物の添加量(μ・mol/k
g原料油供給量)、Fは安定フリーラジカル化合物中の
官能価、すなわち安定フリーラジカル化合物1分子中の
ラジカル部位の数、Tは蒸留塔の塔底温度(℃)、Cは
蒸留塔の塔底液中の1,3−ブタジエン、イソプレン、
シクロペンタジエン合計濃度(wt%)、Vは蒸留塔塔
底部容積(m3)、Lは蒸留塔の塔底部より抜き出され
る流量(m3/分)を表す。〕
合物が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1
−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、
4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン−1−オキシルおよび4−エトキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−1−オキシルから選ばれる
1種以上である請求項1記載のエチレン製造装置の汚れ
防止方法である。
する。本発明に係るエチレン製造装置は、通常、ナフサ
を熱分解し生成する石油留分を炭素数が小さいものから
順次蒸留により各塔頂より抜き取る分離精製工程であ
り、具体的には、脱エタン塔、脱プロパン塔、脱ブタン
塔コンデンセートストリッパー、分解ガソリンストリッ
パーである。
の存在下において安定に取り扱いできるN−オキシルラ
ジカル化合物で、具体的には、ピペリジン−N−オキシ
ル類、ピロリジン−N−オキシル類が挙げられる。さら
に2塩基酸等で複数のピペリジン−N−オキシル類やピ
ロリジン−N−オキシル類分子を連結させ1分子内に複
数のN−オキシル基が存在する化合物も使用できる。
N−オキシル基を有するピペリジン−N−オキシル類と
しては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1
−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、
4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン−1−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−1−オキシル、4−フェノキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキ
シル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−1−オキシルなどがある。
−N−オキシル類としては、ビス−(2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン−1−オキシル)コハク酸エス
テル、ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン−1−オキシル)アジピン酸エステル、ビス−(2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)
セバケート、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジル−1−オキシル)1,6−ヘキサン
ジアミンなどがある。
−N−オキシル類としては、トリス−(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)ホスファイ
ト等がある。
−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロジン
−N−オキシル、3−カルボキサミド−2,2,5,5
−テトラメチルピロジン−N−オキシル、3−ヒドロキ
シ−2,2,5,5−テトラメチルピロジン−N−オキ
シル、3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチルピロ
ジン−N−オキシル、3−エチルアミノ−2,2,5,
5−テトラメチルピロジン−N−オキシル、3−メトキ
シ−2,2,5,5−テトラメチルピロジン−N−オキ
シル、3−エトキシ−2,2,5,5−テトラメチルピ
ロジン−N−オキシル、3−カルボメトキシ−2,2,
5,5−テトラメチルピロジン−N−オキシル等があ
る。
供給される油への安定フリーラジカル化合物の最低添加
量(μ・mol/kg原料供給量)である。
安定フリーラジカルが有するラジカル部位の数を表す。
例えば、ピペリジン−N−オキシル類では1分子内に存
在するN−オキシル基の数に相当する。
ン、イソプレン、シクロペンタジエンの合計濃度(wt
%)であり、塔底液抜き出しラインから塔底液を採取し
て測定する。測定方法は特に限定するものではないが、
ガスクロマトグラフが簡単で、かつ測定も短時間で実施
でき、該抜き出しラインに測定装置を埋設して常時測定
できることが好ましい。
常、蒸留塔塔底に温度センサーを設置してこれを測定す
る。
常、蒸留塔は、蒸留を維持するため蒸留塔の下層部から
塔底液の一部が塔底部に設置された再沸器(リボイラ
ー)に運ばれ、それより上部に戻されるが、本発明にお
ける蒸留塔塔底部容積はリボイラーからの戻りラインよ
り下部の蒸留塔容量とリボイラ容量の合計である。これ
を具体的に示したものが図2である。これは各々の蒸留
塔で固有の値である。
(m3/分)であり、通常、蒸留塔に設置されてある流
量計によって測定することができる。
は装置によって決まる固有値であり、C、T、Lを自動
測定することにより[D]を計算できるので、フィード
フォワード制御等により制御でき、本発明の目的が一層
適切に達成できる。
題となる蒸留塔の原料供給ライン、蒸留塔リフラックス
ライン、リボイラに一括して添加する、又は複数の場所
より分割して添加される。また、原料がタンクを経由し
て供給される場合には、原料タンクに添加しても良い。
ラジカル化合物の量は、[D]値より高く、かつ
「[D]+3.5」値より低い範囲に制御する。安定フ
リーラジカル化合物の添加を[D]値より低くすると、
重合の抑制が充分でなく、重合物の堆積による汚れ、ポ
ップコーン重合物の発生があり、長期連続運転が得られ
なくなることがある。また「[D]+3.5」値より多
く入れることは、効果の持続は充分で、後続の蒸留塔の
汚れ抑制にも寄与するのでなんら差し支えないが、経済
的見地から好ましくないことがある。
の添加量は、目的とする装置のいずれかの場所で添加さ
れる安定フリーラジカル化合物は勿論であるが、前段の
蒸留工程で添加され残留したまま該蒸留塔系に持ち込ま
れる安定フリーラジカル化合物も考慮されるべきであ
る。
の蒸留塔に添加しても良いし、汚れの問題が発生する最
初の蒸留塔に一括して添加しても良い。一括して添加す
る場合、好ましい添加量は、対象範囲の全ての蒸留塔に
おける安定フリーラジカル量の必要量を本発明の[D]
値によって、容易に決定することができる。連続した蒸
留塔を対象とする場合、一括添加が簡便であるが、汚れ
が下流の蒸留塔で生じている場合、最も上流に位置する
蒸留塔に安定フリーラジカルを添加して、下流の蒸留塔
の原料中に残留している安定フリーラジカル量を測定し
て、不足分のみ追加すれば、安定フリーラジカル量が少
なくて済み有利である。なお、安定フリーラジカル量は
液体クロマトグラフ法、ガスクロマトグラフ法で測定で
きるが、ESR(Electron Spin Reso
nance)法が最も好適である。
の重合抑制剤、酸化防止剤、分散剤、金属不活性化剤な
どを添加使用することがあるが、本発明はこれらの使用
を制限するものではない。
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではない。
ディプロ塔では、塔底液組成の代表値は1,3−ブタジ
エンが33wt%、イソプレンが4wt%、シクロペン
タジエンが3wt%でありジエン類の合計は最大で42
wt%であった。塔底温度は最高で95℃、塔底液抜き
出し量は最低で0.78m3/分であり、塔底容量は1
5m3であった。これらのデータから[D]値を求め
た。 [D]={3.5+5[exp(0.07T)]×C×V/L×10-6}/F ={3.5+5[exp(6.65)]×(42)×(15/0.78)×10-6}/ F =6.6/F
である4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−1−オキシル(HTEMPO)を供給油量
1kgあたり6.6〜10.1μmol、重量濃度基準
では、1.2〜1.7ppm添加が最適添加量と示唆さ
れた。脱プロパン塔の原料供給ライン(フィードライ
ン)より、原料供給量に対して1.2ppm以上を維持
するようにHTEMPOを添加し操業した。従来はリボ
イラーが汚れで閉塞し、運転途中で予備のリボイラーに
切り替えが必要であったが、本発明の方法に切り替えて
からは運転時、汚れの兆候が認められず、リボイラー切
替えの必要がなかった。また、23ヶ月連続操業した後
の点検においては、蒸留塔内、リボイラー、連結配管等
の蒸留装置各部を開放して詳しく点検を行ったが、汚れ
は皆無といって良い程度であった。
ブタン塔では、塔底液組成の代表値はイソプレンが9w
t%、シクロペンタジエンが8wt%であった。これら
は微妙に変化するが、これらジエン類の合計は最大で2
0wt%であった。同じく、塔底温度は最高で105
℃、塔底液抜き出し量は最低で0.15m3/分であ
り、塔底容量は5.5m3であった。これらのデータか
ら[D]値を求めた。 [D]={3.5+5[exp(0.07T)]×C×V/L×10-6}/F ={3.5+5[exp(7.35)]×(20)×(5.5/0.15)×10-6}/ F =9.2/F
である4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−1−オキシル(HTEMPO)を原料供給
量1kgあたり9.2〜12.7μmol、重量濃度基
準では、1.6〜2.2ppm添加すれば汚れが防止で
きることが示唆された。このことより、脱ブタン塔のフ
ィードラインより、原料供給量に対して1.6ppmを
維持するようにHTEMPOを添加した。
的な定期点検において、蒸留塔内、リボイラー、連結配
管等の蒸留装置各部を詳しく点検したが、汚れは皆無で
あった。また、これまでリボイラーは汚れで閉塞し、1
2ヶ月で分解掃除が必要であったが、23ケ月運転後も
汚れは皆無で掃除の必要がなかった。
塔で、塔底液組成の代表値はイソプレンが11.3wt
%、シクロペンタジエンが13.4wt%であった。こ
れらは微妙に変化するが、これらジエン類の合計は最大
で28wt%であった。同じく、塔底温度は最高で11
0℃、塔底液抜き出し量は最低で.95m3/分であ
り、塔底容量は25.2m3であった。これらのデータ
から好ましい安定フリーラジカル供給量を求めた。 [D]={3.5+5[exp(0.07T)]×C×V/L×10−6}/F ={3.5+5[exp(7.7)]×(28)×(25.2/0.95)×10-6}/ F =11.7/F
6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(HT
EMPO)の必要添加量が原料供給量1kgあたり1
1.7〜15.2μmol、重量濃度基準では、2.0
〜2.6ppm添加すれば汚れが防止できることが示唆
された。
を連続的に添加していたので、脱ブタン塔に供給される
油中に残留しているHTEMPOは、定期的な脱ブタン
塔供給油をESR法による測定より、1.1〜1.5p
pmであった。そこで、本脱ブタン塔のフィードライン
より供給油に対して1.1ppm添加して、不足分を補
った。
的な定期点検において、蒸留塔内、リボイラー、連結配
管等の蒸留装置各部を詳しく点検したが、汚れは皆無で
あった。また、これまでの汚れ防止方法では、リボイラ
ーは汚れで閉塞し、12ヶ月で分解掃除が必要であった
が、23ヶ月運転後も汚れは皆無で掃除の必要がなかっ
た。
塔において、p−tert−ブチルカテコールを脱プロ
パン塔のフィードラインより供給油に対して3.5pp
m(原料1kgあたり21.1μmol)添加した他は
実施例1と同様にして、11ヶ月連続操業した。この方
法で11ヶ月連続操業した場合、蒸留塔各部に、特に蒸
留塔塔底内、リボイラーにおいてゴム状重合物やポップ
コーン重合物が多量に発生し、汚れが多量に発生してい
た。また、リボイラー6ヶ月で汚れで閉塞し、分解掃除
が必要であった。
において、フィードラインよりの供給油に対してp−t
ert−ブチルカテコールを3.5ppm(原料1kg
あたり21.1μmol)とN,N−ジエチルヒドロキ
シルアミンを4.0ppm(原料1kgあたり44.9
μmol)添加した他は実施例2と同様にして、23ヶ
月連続操業した。この方法で23ヶ月連続操業した場
合、蒸留塔各部に、特に蒸留塔塔底内、リボイラーにお
いてゴム状重合物やポップコーン重合物が多量に発生
し、汚れが多量に発生していた。また、リボイラーは1
2ヶ月で汚れで閉塞し、分解掃除が必要であり、蒸留塔
塔底液抜き出しライン(脱ペンタン塔供給ライン)は1
2ヶ月で汚れで閉塞し、分解掃除が必要であった。
成の代表値は1,3−ブタジエンが26wt%、イソプ
レンが5wt%、シクロペンタジエンが6wt%であっ
た。これらは微妙に変化するが、これらジエン類の合計
は最大で39wt%であった。同じく、塔底温度は最高
で82℃、塔底液抜き出し量は最低で0.72m3/分
であり、塔底容量は14.5m3であった。これらのデ
ータから[D]は、4.7であった。 [D]={3.5+5[exp(0.07T)]×C×V/L×10-6}/F ={3.5+5[exp(5.74) ]×(39)×(14.5/0.72)×10-6 }/F =4.7/F
は、供給油1kgあたり4.7〜8.2μmol、(重
量濃度基準で、0.8〜1.4ppm)であった。
ラインからのHTEMPO添加量を0.3〜0.5pp
mとして操業したため、操業6ヶ月目にリボイラーが汚
れで閉塞し、分解掃除が必要であった。
は経済的な基準で行うことなく、重合物による汚れ問題
の解決を目的とした重合抑制剤の最適添加量が、工程の
諸条件で算出することができ、長期間の安全な連続運転
をもたらした。
を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 エチレン製造装置の分離精製工程におい
て、蒸留塔への供給油量に対して、安定フリーラジカル
化合物を、下記式で求められる[D](μ・mol/k
g原料油供給量)より高く、かつ「[D]+3.5」
(μ・mol/kg原料油供給量)より低い範囲で添加
することからなるエチレン製造装置の汚れ防止方法。 [D]={3.5+5[exp(0.07T)]×C×(V
/L)×10-6}/F 〔式中、[D]は蒸留塔への供給油量に対して添加され
る安定フリーラジカル化合物の添加量(μ・mol/k
g原料油供給量)、Fは安定フリーラジカル化合物中の
官能価すなわち安定フリーラジカル化合物1分子中のラ
ジカル部位の数、Tは蒸留塔の塔底温度(℃)、Cは蒸
留塔の塔底液中の1,3−ブタジエン、イソプレン、シ
クロペンタジエン合計濃度(wt%)、Vは蒸留塔塔底
部容積(m 3)、Lは蒸留塔の塔底部より抜き出される
流量(m3/分)を表す。〕 - 【請求項2】 安定フリーラジカル化合物が、2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、
4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ
ルおよび4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−1−オキシルから選ばれる1種以上である
請求項1記載のエチレン製造装置の汚れ防止方法。
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