JP2002045847A - 藻類発生抑制方法及び装置 - Google Patents

藻類発生抑制方法及び装置

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JP2002045847A
JP2002045847A JP2000238409A JP2000238409A JP2002045847A JP 2002045847 A JP2002045847 A JP 2002045847A JP 2000238409 A JP2000238409 A JP 2000238409A JP 2000238409 A JP2000238409 A JP 2000238409A JP 2002045847 A JP2002045847 A JP 2002045847A
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water
water tank
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breeding
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JP2000238409A
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English (en)
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Fumihide Shiraishi
文秀 白石
Kunihiko Sato
邦彦 佐藤
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Shizuki Electric Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鑑賞魚を飼育する水槽内での藻類の発生を抑
制して水槽内の清掃の手間を省くと共に、水槽壁面を美
しく保つことができる藻類発生抑制方法及び装置を提供
すること。 【解決手段】 水槽1内で鑑賞魚2からの排泄物等によ
って生成し、藻類の増殖の原因となるアンモニア成分を
光触媒反応器4によって亜硝酸イオン及び硝酸イオン等
の陰イオンに酸化し、光触媒反応の進行を阻害する上記
陰イオンを陰イオン交換樹脂5によってすみやかに除去
することで光触媒反応が順調に進行するようにした。こ
れにより、水槽1内の飼育水3中のアンモニア濃度を低
減させ、よってアンモニア成分を栄養素とする藻類の発
生を抑制するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鑑賞魚等の水生
生物を飼育する水槽内での藻類の発生を抑制する藻類発
生抑制方法及びこれに使用される装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】周知のように、鑑賞魚等の水生生物を飼
育する水槽では、水槽内の飼育水(単に水という場合も
ある)が水生生物からの排泄物やエサの食べ残しあるい
は枯れた水草等によって汚染されやすいので、頻繁な水
替えや水槽の清掃が必要となる。そして、このような水
替えや清掃の回数が少なければ、上記排泄物等から生成
されるアンモニア成分(アンモニウムイオンと言い換え
る場合もある)は増え、飼育水中のアンモニア濃度は高
くなる。このアンモニア成分は水槽内で発生しやすい藻
類の栄養素となるので、このアンモニア成分を効果的に
除去することが藻類の発生を抑制するために必要と考え
られる。
【0003】ここで従来より行われている除去手段につ
いて簡単に説明すると、たとえば、次の(a)〜(e)
で示すような除去手段が知られている。 (a)汚れの原因となるエサの食い残し、水生生物の排
泄物、枯れた水草等をフィルタ等によって物理的にろ過
し、除去する方法。 (b)活性炭、ゼオライト等の吸着剤で溶質を吸着除去
する方法。 (c)水中微生物によって有機物を分解し、無機物とす
る方法。 (d)人力でこまめに清掃して藻類を除去する方法。 (e)二酸化チタン等の光触媒によって藻類自体を分解
除去する方法(例えば、特開平11−056163号公
報、特開平11−225658号公報、特開平11−3
47419号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記(a)か
ら(e)で示す方法では、次のような不具合がある。
(a)のフィルタによる物理的なろ過方法では、有機物
のろ過に限界があり、藻類が発生しないレベルまで浮遊
混濁物を濾し取ることが実際上困難である。(b)の吸
着剤によりアンモニウムイオンを直接除去する方法も吸
着量が溶質濃度によって変化するので、ある程度までの
改善は可能であるが、十分とはいえない。さらに、陽イ
オン交換樹脂を用いると、アンモニウムイオン以外に、
生物の生命維持に必要な他の陽イオンまで除去されてし
まう。(c)の水中微生物による方法では、微生物を繁
殖させる環境を整えるのが困難であり、実用性に乏し
い。(d)の清掃による方法では、発生している藻類を
除去するだけにとどまり、藻類の発生自体を抑制するこ
とができないので、抜本的な方法とはいえない。(e)
の光触媒だけを用いる方法は、発生した藻類を光触媒で
酸化しようというものであって、藻類の発生抑制という
点からみて効果に乏しい。上記した方法のうち、特に
(a)〜(d)の方法による場合には、方法の実施に使
用する各部品(たとえば、フィルタや吸着剤等)の交換
や掃除等の手間や時間がかかるという煩わしさもあっ
た。
【0005】この発明は上記従来の方法が有する不具合
を解決するためになされたものであって、その目的は、
藻類の栄養素となるアンモニア成分を効率的に酸化除去
することによって藻類の発生そのものを根本的に抑制す
ることができる藻類発生抑制方法及びこれに用いる装置
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の藻類発
生抑制方法は、鑑賞魚等の水生生物を飼育する水槽内で
の藻類の発生を抑制する藻類発生抑制方法であって、上
記水槽内の飼育水中で生成するアンモニア成分を光触媒
反応処理により亜硝酸、硝酸等に酸化し、上記光触媒反
応の進行を阻害する亜硝酸イオン、硝酸イオン等を陰イ
オン交換処理によって除去することを特徴としている。
【0007】光触媒のみによって水槽内で発生する藻類
を分解する方法の場合、藻類の発生抑制という点からみ
て効果的でない。また、この光触媒によってアンモニア
成分を酸化する場合を考えると、アンモニア成分は、亜
硝酸、硝酸に酸化される。ところがこれらによって生じ
る亜硝酸イオン、硝酸イオン等の陰イオンは上記光触媒
反応の進行を阻害するように作用するので、結果的にア
ンモニア成分の減少は期待できない。したがって、アン
モニア成分を栄養素とする藻類の発生・増殖を抑制でき
るものとは考えられない。
【0008】そこで請求項1の発明では、藻類の栄養素
となるアンモニア成分(陽イオン)を光触媒反応処理に
より亜硝酸、硝酸等に酸化するのみならず、上記光触媒
反応の進行を阻害すると考えられる上記陰イオンを陰イ
オン交換処理によって選択的に除去することで光触媒反
応が常時、順調に進行するようにした。光触媒反応が停
止することなく、順調に進行すれば、飼育水中のアンモ
ニア濃度を極力減少させることができ、藻類の栄養源を
少なくできることから、これによって上記藻類の発生を
抑制できるようになる。また、亜硝酸、硝酸も藻類の栄
養素となるので、これらを除去することは、藻類の発生
をより効果的に抑制することができることにもなる。こ
のように、藻類の発生もしくは増殖のために必要な栄養
素であるアンモニア成分を極力、減少させることで、結
果的に藻類の発生、増殖を抑制することができ、よっ
て、水槽内を常にきれいな状態に保ち、清掃の手間や水
替えを大幅に省くことができる。
【0009】また請求項2の発明は、鑑賞魚等の水生生
物を飼育する水槽内での藻類の発生を抑制する藻類発生
抑制装置であって、上記水槽内の飼育水中で生成するア
ンモンア成分を光触媒反応処理により亜硝酸、硝酸等に
酸化するための光触媒反応処理手段と、上記光触媒反応
の進行を阻害する亜硝酸イオン、硝酸イオン等を陰イオ
ン交換樹脂によって除去するための陰イオン交換処理手
段とを備え、上記光触媒反応処理手段は水槽内の飼育水
を取り入れ、かつ処理後の飼育水を再び、水槽内に戻す
ための水循環手段を備えていることを特徴としている。
【0010】上記した請求項2の発明では、請求項1の
発明と実質的に同様の作用効果を奏する他、設備的にみ
て、既存の水槽に対して、飼育水の循環手段を含んだ光
触媒反応処理手段と、陰イオン交換処理手段とを付加す
るだけで所望とする装置が比較的容易に得られるから極
めて実用性が高い。
【0011】さらに請求項3の発明は、上記した請求項
2の発明における光触媒反応処理手段が、光源として中
心部分に配置され、その周りを光源カバー管で覆われた
筒状の紫外線ランプと、この紫外線ランプの周りを取り
囲むガラス管と、上記光源カバー管とガラス管との間に
形成され、水槽から取り入れた飼育水を光触媒反応処理
するために循環させるための水循環路とで構成され、か
つ上記ガラス管の内面に光触媒が担持されていることを
特徴としている。
【0012】上記請求項3の発明では、光触媒反応処理
手段である光触媒反応器が同心円状に構成され、光源で
ある紫外線ランプと水循環路と光触媒を担持させたガラ
ス管とをコンパクトに収めることができるので、光触媒
反応器の小型化が図れる。したがって、水槽容量に対し
て大きなスペースを取ることもなく、小スペースで設置
できる。
【0013】また請求項4の発明は、上記した請求項2
における光触媒反応処理手段が、光源として中心部分に
配置され、その周りを光源カバー管で覆われた筒状の紫
外線ランプと、この紫外線ランプに回りを取り囲むガラ
ス管と、上記光源カバー管とガラス管との間に形成され
た水循環路とを備え、かつ上記水循環路内に光触媒物質
を充填したことを特徴としている。
【0014】上記した請求項4の発明では、請求項3と
同様、光触媒反応処理手段である光触媒反応器が同心円
状に構成され、光源である紫外線ランプと水循環路と光
触媒物質とをコンパクトに収めることができ、小型化が
図れる。特に、この請求項4の場合には、光触媒を水循
環路内に充填したので、飼育水と光触媒との接触効率を
格段に向上させることができ、光触媒反応を効果的に行
わせることができる。
【0015】また請求項5の発明は、上記請求項4にお
ける光触媒物資がビーズ状もしくは繊維状又は異形状の
粉粒体で構成され、水循環路内に充填した際、循環水の
流れを阻害しないように構成されていることを特徴とし
ている。
【0016】上記した請求項5の発明では、水循環路内
に充填する光触媒物質がビーズ状等の粉粒体であるの
で、上記水循環路内は光触媒による多孔質構造となって
水槽内の飼育水の光触媒物資に対する接触面積が広くな
って光触媒反応がより効率的に行える。
【0017】さらに請求項6の発明は、上記請求項2な
いし5のいずれかに記載の藻類発生抑制装置において、
光触媒反応処理手段が水槽外部に設けられ、かつ上記水
槽とは独立分離して設置されていることを特徴としてい
る。
【0018】上記した請求項6の発明では、光触媒反応
処理手段である光触媒反応器が水槽外部でしかも水槽と
は独立分離して設置されるので、既存の水槽に対して後
付け設置が可能となり、また、定期的なメンテナンスに
あたっても水槽から容易に取り外すことができ、メンテ
ナンス作業も行いやすくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】次にこの発明の一実施の形態であ
る藻類発生抑制装置について図面を参照しながら詳細に
説明する。図1は、この発明の一実施の形態である藻類
発生抑制装置を適用した水槽の概略説明図であり、また
図2は光触媒反応器の概略図であって、(a)は内部構
造を説明するための一部切欠斜視図、(b)は同じくガ
ラス管内部の横断面図である。さらに、図3はアンモニ
ア酸化のメカニズムを説明するための反応式である。
【0020】まず、図1により、この発明の一実施の形
態である藻類発生抑制装置を適用した水槽(アンモニア
除去システム)について説明する。水槽1には、所定量
の飼育水3で満たされており、この中に淡水魚などの鑑
賞魚2が飼育されている。そして、この水槽1の上部開
口部分には光触媒反応器4が着脱自在に設置されてお
り、水槽1内の飼育水3中にはネット状物に収容された
陰イオン交換樹脂5が浸漬されている。また、6は水槽
1内の飼育水3を光触媒反応器4内に取り入れるための
流入口であって、7は光触媒反応器4内で処理された飼
育水3を再び、水槽内に戻すための流出口である。8は
上記流入口6と光触媒反応器4との間に設けられたポン
プである。なお、図例の場合、光触媒反応器4は水槽1
の外部に設置された独立分離型とした場合を示している
が、水槽1中に設置する構造とすることも可能であり、
既存の水槽飼育水ろ過装置と一体型とすることもでき、
一定の範囲で種々変更可能である。
【0021】また、図1で示した光触媒反応器の具体的
な構成について図2を参照しながら説明する。この光触
媒反応器4は、たとえば、中心軸方向に配置された光源
9(たとえば、筒状の紫外線ランプ等)と、その周りを
覆う光源カバー管(たとえば、石英ガラス管を用いる)
10と、上記光源9に周りを取り囲むガラス管11と、
上記光源カバー管10とガラス管11との間に形成さ
れ、水槽1から取り入れた飼育水3を循環させるための
水循環路12とから同心円筒状に構成され、上記ガラス
管11の内面には光触媒13(たとえば、二酸化チタン
等)が担持されている。なお、14は外装カバー、15
は外部電源から光源に電気を供給するための配線用コー
ド、6は流入口、7は流出口である。
【0022】上記した光触媒反応器4において、ガラス
管11内面に光触媒13として二酸化チタンを担持させ
た構造に限らず、既存技術の各種形態のものを適用でき
る。また、上記光触媒反応器4は水循環路12内にビー
ズ状、繊維状あるいは異形状に成形した粉粒化された光
触媒13を充填した構造としてもよく、これらと同等の
効果を期待できるものであれば、その他の構造でもよ
い。また、光触媒反応器4は、必ずしも同心円筒状であ
る必要はなく、平面積層状、ハニカム状、メッシュ状
等、一般のろ過器で採用されている構造であってもよ
い。さらに光触媒反応器は図1で示すような独立分離タ
イプに限定されず、従来の水槽水ろ過装置と一体型とす
ることもでき、水槽中に設置する構造としても差し支え
ない。また、陰イオン交換樹脂5は、たとえば、ネット
状物に収容され、図1では水槽1中に吊るした構造にし
てあるが、水循環型にして強制的に飼育水が陰イオン交
換樹脂5と接触するようにしてもよく、こうすること
で、イオン交換効率という点ではより一層顕著な効果を
期待できる。
【0023】次に、上記構成にかかる藻類発生抑制装置
におけるアンモニア除去システムの動作について図1〜
図2を参照しながら説明する。水槽1内で飼育中の鑑賞
魚2からの排泄物16やエサの食い残しからはアンモニ
ア成分が生成し、飼育水3中に拡散される。このアンモ
ニア成分を含んだ飼育水3はポンプ8の吸い上げ作用に
よって流入口6から光触媒反応器4内に導かれる。この
光触媒反応器4では、光源から発された紫外線は光源カ
バー管10を通過してガラス管11の内面に担持させて
ある光触媒13に照射される。光触媒13に紫外線が照
射されると、光触媒である二酸化チタンは電子(−)と
正孔(+)に分かれ、できた正孔が水中の酸素を活性酸
素(OHラジカル)に変え、この活性酸素が水中に溶解
するアンモニア成分(アンモニウムイオン)を酸化す
る。つまり、この光触媒反応器4内部を飼育水3が通過
する間に、紫外線光と光触媒13(たとえば、二酸化チ
タン等)による光触媒反応によって上記アンモニウムイ
オンは亜硝酸イオン及び硝酸イオンの陰イオンに酸化さ
れる。このようにして光触媒反応処理された飼育水3は
流出口7から水槽1内に戻される。水槽1内に戻された
上記飼育水3には亜硝酸イオン及び硝酸イオン等の陰イ
オンが含まれているが、これらの陰イオンは陰イオン交
換樹脂5によってすみやかにイオン交換されて除去され
る。そして、陰イオンが効率的に除去されることで光触
媒反応はその進行を阻害されることなく順調に進行し、
飼育水中のアンモニア成分の濃度を大幅に低減できる。
アンモニア成分が大幅に少なくなったことで、このアン
モニア成分を栄養素とする藻類の発生も格段に少なくな
り、藻類発生の抑制効果は顕著に現われる。
【0024】また、仮に飼育水3中に陰イオン交換樹脂
5が浸漬されていない場合には、水槽1内の陰イオンが
増加すると、アンモニウムイオンが光触媒に近づくのが
妨害される。すなわち、二酸化チタンの等電点は、6.
3にあり、その表面はPH<6.3のときは正に、PH
>6.3のときは負に帯電している。ところが光触媒周
辺の陰イオン(酸化イオン)が増加すると、その表面は
PH<6.3となって正に帯電し、陰イオンが周辺を覆
うようになり、アンモニウムイオンが光触媒に近づくの
が妨害されることになるのである。そして、アンモニウ
ムイオンが光触媒に近づくのが妨害されると、光触媒の
機能が停止した状態になって、アンモニア濃度は一定の
濃度からそれ以上下がらなくなるか、もしくはその濃度
が高くなる。
【0025】ところがこの発明においては、光触媒反応
器4に加え、陰イオン交換樹脂5による処理をも付加し
てあるので、光触媒反応の進行を阻害する陰イオンを効
率的に除去することができ、光触媒反応が常時、順調に
進行する。このことにより、飼育水中のアンモニア濃度
を極力低く抑えることができ、よってアンモニア成分を
栄養素する藻類の発生・増殖を抑制することができる。
【0026】次に、この発明で行われるアンモニア酸化
のメカニズムについて図3を参照しながら説明する。図
3で示すように、アンモニア成分、つまり、アンモニウ
ムイオンは光触媒によって亜硝酸イオン及び硝酸イオン
の陰イオンに酸化される。そして、上記光触媒反応につ
いて種々の実験を行い、考察した結果、以下のことが判
明した。すなわち、1)アンモニウムイオンから亜硝酸
イオンへの酸化は光触媒が存在するときにのみ進行す
る。2)亜硝酸イオンから硝酸イオンへの酸化反応は光
触媒によっては勿論、紫外線照射によるだけでも進行す
る。3)アンモニウムイオンから亜硝酸イオンへの光触
媒反応は最終生成物である硝酸イオンによって著しく阻
害され、反応の初期段階で停止する。4)しかしなが
ら、硝酸イオン等の陰イオンを陰イオン交換樹脂で除去
すると阻害が緩和され、反応が進行するようになるこ
と。
【0027】次に、図1で示した実施形態による藻類発
生抑制装置を実際の淡水魚水槽に適用して、飼育水中の
アンモニア除去の効果についての実験例を説明する。全
く何の処理も行わなかった水槽A、殺菌灯だけの照射を
行った水槽B,図1で示した実施形態による藻類発生抑
制装置を適用した水槽C(本発明によるもの)の3つの
ケースで比較実験をおこなった。図4、図5、図6にそ
れぞれ、水槽A,B、Cの各イオンの濃度変化を示す。
また、図7に各水槽水のPH変化を示す。 水槽Aで
は、アンモニアの濃度がほぼ直線的に増加し、6日目に
最大値7.47g/m3に達した後、減少した。このアンモニア
濃度の減少は水槽の壁面や底面に繁殖した藻がアンモニ
アを吸収したことによる。また、亜硝酸イオンの濃度が
5日目頃から急激に増殖しているが、これは水槽中にア
ンモニア酸化細菌が増殖したことによると考えられる。
一方、硝酸イオン濃度は、今回の実験で使用した水道水
(一日汲み置きしたもの)が3g/m3程度の硝酸イオンを
含んでいたため、終始、この程度の濃度レベルに保たれ
ている。このことにより、水槽内では、亜硝酸酸化細菌
の増殖が律速になっていることがわかる。結果として、
高濃度となった亜硝酸イオンが魚を頻繁に死滅させる事
態を引き起こした。水槽Bでも基本的には水槽Aでの各
成分の濃度変化と同じような傾向が認められた。ただ、
反応器に常時、水が取り込まれて殺菌されるため、水槽
内で藻の増殖が抑制され、その結果、アンモニア濃度の
最大値は水槽Aの場合より大きくなっている。また、そ
の濃度が減少し始める時間も9日目以降である。さらに
亜硝酸酸化細菌の増殖も抑制されるため、亜硝酸イオン
濃度の増加も水槽Aの場合よりも遅い。また、殺菌灯を
アンモニアに照射しても亜硝酸への酸化反応が起こらな
いのは既知の事実である。一方、水槽Cでは、アンモニ
ア濃度は一部の期間を除いて0.1ppm以下に保たれ
た。また、亜硝酸イオン、硝酸イオン濃度も常に1.5
ppm以下であった。水槽A、BのPHは時間の経過と
ともに徐々に減少している。これは亜硝酸イオン濃度の
増加と考えられる。また、水槽内のPH値については水
槽CのPHでは徐々に増加しているものと認められる。
これは実験に使用した陰イオン交換樹脂がOH型であっ
たため、これが交換反応とともに水中に放出された結果
と考えられる。PHのアルカリ側へのシフトは再生後の
樹脂の洗浄を十分に行うなどの処置により緩和されると
考えられる。
【0028】また、図8は金魚等の淡水魚を交換した時
点(死んだため、生きた金魚と交換した時点)と藻類の
コロニーが見られるようになった時点を示す。水槽A、
Bで金魚の主な死因は亜硝酸イオン濃度の増加であると
考えられる。水槽Cでも淡水魚の死亡が発生している
が、それは購入直後の水質の違いなどによる死亡であ
り、通常の状態での死亡率程度である。次に、藻類の発
生については、水槽A、Bでは早い時点から観察され、
水槽Aは7日目には水槽壁面、底面に大量の藻(緑藻
類)が繁殖して水質汚濁がひどく、水槽内部が見えにく
くなった。水槽Bはこれよりも状態は良いが、壁面の透
明性はかなり失われた。また、その底面には大量の藻が
繁殖した。水槽Cは2週間経過後でも藻の発生はほとん
ど見られず、水槽の透明性も良好であることから、鑑賞
魚飼育用の水槽に求められる理想的な条件が整っている
ことが判明した。
【0029】以上にこの発明の一実施形態について説明
をしたが、この発明は上記実施形態に限られるものでは
なく、その主旨を損なわない限り、種々変更して適用可
能である。
【0030】
【発明の効果】以上のように請求項1の藻類発生抑制方
法によれば、藻類の栄養素となるアンモニア成分を光触
媒反応処理により亜硝酸イオン及び硝酸イオンの陰イオ
ンに酸化するのみならず、上記光触媒反応の進行を阻害
すると考えられる上記陰イオンを陰イオン交換処理によ
って除去することで光触媒反応が常時、順調に進行する
ようにした。光触媒反応が停止することなく、順調に進
行すれば、飼育水中のアンモニア濃度を極力減少させる
ことができ、藻類の栄養源が少なくなることになるか
ら、これによって上記藻類の発生を抑制できるようにし
た。このように、藻類の発生のために必要な栄養素であ
るアンモニア成分を極力、減少させることで、結果的に
藻類の発生、増殖を抑制することができる。そして、こ
れによって、水槽内を常にきれいな状態に保ち、清掃の
手間を大幅に省くことができる。
【0031】また請求項2の藻類発生抑制装置によれ
ば、上記した請求項1の発明と実質的に同様の作用効果
を奏する他、設備的にみて、既存の水槽に対して、飼育
水の循環手段を含んだ光触媒反応処理手段と、陰イオン
交換処理手段とを付加するだけで所望とする装置が比較
的容易に得られるから極めて実用性が高い。
【0032】また請求項3の藻類発生抑制装置によれ
ば、光触媒反応処理手段である光触媒反応器が同心円状
に構成され、光源である紫外線ランプと水循環路と光触
媒を担持させたガラス管とをコンパクトに収めることが
でき、小型化が図れる。したがって、水槽容量に対して
大きなスペースを取ることもなく、小スペースで設置で
きる。
【0033】また請求項4の藻類発生抑制装置によれ
ば、請求項3と同様、光触媒反応処理手段である光触媒
反応器が同心円状に構成され、光源である紫外線ランプ
と水循環路と光触媒物質とをコンパクトに収めることが
でき、小型化が図れる。特に、この請求項4の場合に
は、光触媒を水循環路内に充填したので、飼育水と光触
媒との接触効率を格段に向上させることができ、光触媒
反応を効果的に行わせることができる。
【0034】また請求項5の藻類発生抑制装置によれ
ば、水循環路内に充填する光触媒物質がビーズ状等の粉
粒体であるので、上記水循環路内は光触媒による多孔質
構造となって水槽内の飼育水の光触媒物資に対する接触
面積が広くなって光触媒反応がより効率的に行える。
【0035】また請求項6の藻類発生抑制装置によれ
ば、光触媒反応処理手段である光触媒反応器が水槽外部
でしかも水槽とは独立分離して設置されるので、既存の
水槽に対して後付け設置が可能となるのみならず、定期
的なメンテナンスにあたっても水槽から容易に取り外す
ことができ、メンテナンス作業も行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態である藻類発生抑制装
置を適用した水槽の概略説明図である。
【図2】光触媒反応器の概略図であって、(a)は内部
構造を説明するための一部切欠斜視図、(b)はガラス
管内部の横断面図である。
【図3】アンモニア酸化のメカニズムを説明する反応式
である。
【図4】水槽Aの各イオン濃度の変化を示すグラフであ
る。
【図5】水槽Bの各イオン濃度の変化を示すグラフであ
る。
【図6】水槽Cの各イオン濃度の変化を示すグラフであ
る。
【図7】水槽A、B、CについてのPH変化を示すグラ
フである。
【図8】淡水魚交換の交換ポイントを示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 水槽 2 鑑賞魚 3 飼育水 4 光触媒反応器 5 陰イオン交換樹脂 6 流入口 7 流出口 8 ポンプ 9 光源 10 光源カバー管 11 ガラス管 12 水循環路 13 光触媒 14 外装カバー 15 配線用コード 16 排泄物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/72 101 C02F 1/72 101 Fターム(参考) 2B104 CA03 EF11 4D025 AA06 AB11 BA13 BA23 BB11 DA04 DA10 4D037 AA09 AB12 BA18 CA12 CA15 4D050 AA08 AB35 BB01 BC06 BC09 BD02 CA08 4G069 AA03 BA04B BA48A CA01 CA07 CA10 CA13 DA06 EA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鑑賞魚等の水生生物を飼育する水槽内で
    の藻類の発生を抑制する藻類発生抑制方法であって、上
    記水槽内の飼育水中で生成するアンモニア成分を光触媒
    反応処理により亜硝酸、硝酸等に酸化し、上記光触媒反
    応の進行を阻害する亜硝酸イオン、硝酸イオン等を陰イ
    オン交換処理により除去することを特徴とする藻類発生
    抑制方法。
  2. 【請求項2】 鑑賞魚等の水生生物を飼育する水槽内で
    の藻類の発生を抑制する藻類発生抑制装置であって、上
    記水槽内の飼育水中で生成するアンモンア成分を光触媒
    反応処理により亜硝酸、硝酸等に酸化するための光触媒
    反応処理手段と、上記光触媒反応の進行を阻害する亜硝
    酸イオン、硝酸イオン等を陰イオン交換樹脂によって除
    去するための陰イオン交換処理手段とを備え、上記光触
    媒反応処理手段は水槽内の飼育水を取り入れ、かつ処理
    後の飼育水を再び、水槽内に戻すための水循環手段を備
    えていることを特徴とする藻類発生抑制装置。
  3. 【請求項3】 上記光触媒反応処理手段は、光源として
    中心部分に配置され、その周りを光源カバー管で覆われ
    た筒状の紫外線ランプと、この紫外線ランプの周りを取
    り囲むガラス管と、上記光源カバー管とガラス管との間
    に形成された水循環路とを備え、かつ上記ガラス管の内
    面に光触媒が担持されていることを特徴とする請求項2
    の藻類発生抑制装置。
  4. 【請求項4】 上記光触媒反応処理手段は、光源として
    中心部分に配置され、その周りを光源カバー管で覆われ
    た筒状の紫外線ランプと、この紫外線ランプに回りを取
    り囲むガラス管と、上記光源カバー管とガラス管との間
    に形成された水循環路とを備え、かつ上記水循環路内に
    光触媒物質を充填したことを特徴とする請求項2の藻類
    発生抑制装置。
  5. 【請求項5】 上記光触媒物資はビーズ状もしくは繊維
    状又は異形状の粉粒体で構成され、水循環路内に充填し
    た際、循環水の流れを阻害しないように構成されている
    ことを特徴とする請求項4の藻類発生抑制防止装置。
  6. 【請求項6】 上記光触媒反応処理手段は、水槽外部に
    設けられ、かつ上記水槽とは独立分離して設置されてい
    ることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかの藻類
    発生抑制装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007117789A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Takemoto Sangyo Kk 複合機能光触媒分散液及び多孔質複合機能光触媒
WO2010142004A3 (en) * 2009-06-10 2011-07-07 Katholieke Universifeit Leuven Controlled biosecure aquatic farming system in a confined environment
US9560839B2 (en) 2010-11-17 2017-02-07 Technion Research And Development Foundation Ltd. Physico-chemical process for removal of nitrogen species from recirculated aquaculture systems
US10980220B2 (en) 2016-03-08 2021-04-20 Technion Research & Development Foundation Limited Disinfection and removal of nitrogen species from saline aquaculture systems

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