JP2002045734A - 樹脂部品の静電塗装方法およびその装置 - Google Patents
樹脂部品の静電塗装方法およびその装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 被塗物に接地するためのアース線に高抵抗を
挿入することにより前述した導電性のバラツキによる問
題点の発生を抑制し、また安全性を確保し得る新規な樹
脂部品の静電塗装方法を提供する。 【解決手段】 樹脂製部品に導電処理を施し、該導電部
と接地電位部の間を抵抗体を介して電気的に接続し、か
かる状態で該樹脂部品に対して静電塗装を行うことを特
徴とする樹脂部品の静電塗装方法。
挿入することにより前述した導電性のバラツキによる問
題点の発生を抑制し、また安全性を確保し得る新規な樹
脂部品の静電塗装方法を提供する。 【解決手段】 樹脂製部品に導電処理を施し、該導電部
と接地電位部の間を抵抗体を介して電気的に接続し、か
かる状態で該樹脂部品に対して静電塗装を行うことを特
徴とする樹脂部品の静電塗装方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な樹脂部品の
静電塗装方法およびその装置に関するものである。
静電塗装方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂部品などの電気絶縁性能の高い素材
(被塗物)に静電塗装を施す場合の一般的な手段とし
て、素材自体にカーボンブラックなどの導電性フィラー
を混入して素材に導電性を持たせる場合と、素材表面に
導電性の塗膜を形成して表面のみに導電性を付与する場
合とがあり、いずれの場合においても、これら被塗物の
導電部を接地して、かかる接地がなされた被塗物の塗装
表面(被塗装面)に対して静電塗装を行うのが一般的で
ある。従来、この種の技術としては、特開昭61−24
9570号公報や特開平1−231967号公報に記載
されたものなどがある。
(被塗物)に静電塗装を施す場合の一般的な手段とし
て、素材自体にカーボンブラックなどの導電性フィラー
を混入して素材に導電性を持たせる場合と、素材表面に
導電性の塗膜を形成して表面のみに導電性を付与する場
合とがあり、いずれの場合においても、これら被塗物の
導電部を接地して、かかる接地がなされた被塗物の塗装
表面(被塗装面)に対して静電塗装を行うのが一般的で
ある。従来、この種の技術としては、特開昭61−24
9570号公報や特開平1−231967号公報に記載
されたものなどがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな樹脂部品の静電塗装においては、被塗装面の導電性
が金属などの良導体と異なり、一般的には極めて低い。
このため導電性能の良否や接地の良否が静電塗装の品質
を左右する。すなわち、高い導電性を有する部分には静
電塗装によってより多くの塗料が付着し、導電性能の低
い部分には相対的に付着量が少ないために、製品の仕上
がり上では塗膜にムラができやすい傾向がある。このよ
うな導電性能の差異は、樹脂部品の厚みなどの形状に起
因したり、また表面に形成する導電性の塗膜の厚みなど
に起因するため、コントロールすることは難解であっ
た。
うな樹脂部品の静電塗装においては、被塗装面の導電性
が金属などの良導体と異なり、一般的には極めて低い。
このため導電性能の良否や接地の良否が静電塗装の品質
を左右する。すなわち、高い導電性を有する部分には静
電塗装によってより多くの塗料が付着し、導電性能の低
い部分には相対的に付着量が少ないために、製品の仕上
がり上では塗膜にムラができやすい傾向がある。このよ
うな導電性能の差異は、樹脂部品の厚みなどの形状に起
因したり、また表面に形成する導電性の塗膜の厚みなど
に起因するため、コントロールすることは難解であっ
た。
【0004】また、樹脂部品の静電塗装においては、塗
料をプラスに帯電させるよりもスパークし難いことから
マイナスに帯電させ、被塗物側をアースしている。しか
しながら、かかる被塗物の導電部と接地のためのアース
線との間に接触不良が発生すると、静電塗装中に被塗物
表面に溜まった電荷によってアース線との間にスパーク
放電を引き起こす可能性があるため、スパーク放電に起
因する火災や粉塵爆発が発生しないような大掛かりな防
炎・防爆設備が必要となり、装置コストが嵩むという問
題があった。
料をプラスに帯電させるよりもスパークし難いことから
マイナスに帯電させ、被塗物側をアースしている。しか
しながら、かかる被塗物の導電部と接地のためのアース
線との間に接触不良が発生すると、静電塗装中に被塗物
表面に溜まった電荷によってアース線との間にスパーク
放電を引き起こす可能性があるため、スパーク放電に起
因する火災や粉塵爆発が発生しないような大掛かりな防
炎・防爆設備が必要となり、装置コストが嵩むという問
題があった。
【0005】そこで、本発明の目的は、樹脂部品の静電
塗装において、被塗物である樹脂部品の導電部を接地す
るためのアース線に高抵抗を挿入することにより前述し
た導電性のバラツキによる問題点の発生を抑制し、また
大掛かりな防炎・防爆設備を設けることなく、火災発生
源のスパーク放電自体を抑制し、防災上の安全性を確保
することのできる新規な樹脂部品の静電塗装方法および
その装置を提供するものである。
塗装において、被塗物である樹脂部品の導電部を接地す
るためのアース線に高抵抗を挿入することにより前述し
た導電性のバラツキによる問題点の発生を抑制し、また
大掛かりな防炎・防爆設備を設けることなく、火災発生
源のスパーク放電自体を抑制し、防災上の安全性を確保
することのできる新規な樹脂部品の静電塗装方法および
その装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点に鑑み、本発
明者は、上記目的を達成すべく新規な樹脂部品の静電塗
装方法およびその装置につき鋭意研究した結果、被塗物
を接地するためのアース線に高抵抗を挿入することによ
り、前述した導電性のバラツキによる問題点の発生を抑
制することができ、また静電塗装工程での防災上の安全
性を確保することができることを見出し、本発明を完成
するに至った。
明者は、上記目的を達成すべく新規な樹脂部品の静電塗
装方法およびその装置につき鋭意研究した結果、被塗物
を接地するためのアース線に高抵抗を挿入することによ
り、前述した導電性のバラツキによる問題点の発生を抑
制することができ、また静電塗装工程での防災上の安全
性を確保することができることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】すなわち、上記目的を達成するための本発
明は、請求項毎に次のように構成される。
明は、請求項毎に次のように構成される。
【0008】請求項1に記載の発明は、導電処理された
樹脂部品の導電部と接地電位部との間を、抵抗体を介し
て電気的に接続し、かかる状態で該導電処理された樹脂
部品に対して静電塗装を行うことを特徴とする樹脂部品
の静電塗装方法である。
樹脂部品の導電部と接地電位部との間を、抵抗体を介し
て電気的に接続し、かかる状態で該導電処理された樹脂
部品に対して静電塗装を行うことを特徴とする樹脂部品
の静電塗装方法である。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の樹脂部品の静電塗装方法において、前記樹脂部品の導
電部と(大地の)接地部との間を、抵抗体を介して電気
的に接続する工程が、樹脂部品に導電性の塗料を塗布す
る工程よりも後に、または樹脂部品に導電性の塗料を塗
布する工程よりも前に行われることを特徴とするもので
ある。
の樹脂部品の静電塗装方法において、前記樹脂部品の導
電部と(大地の)接地部との間を、抵抗体を介して電気
的に接続する工程が、樹脂部品に導電性の塗料を塗布す
る工程よりも後に、または樹脂部品に導電性の塗料を塗
布する工程よりも前に行われることを特徴とするもので
ある。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の樹脂部品の静電塗装方法において、前記抵抗
体の抵抗値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹脂部品の
導電部側のアース線の取り付け部との間の接触抵抗値よ
りも大きいことを特徴とするものである。
2に記載の樹脂部品の静電塗装方法において、前記抵抗
体の抵抗値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹脂部品の
導電部側のアース線の取り付け部との間の接触抵抗値よ
りも大きいことを特徴とするものである。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装方法におい
て、前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの間の値
であることを特徴とするものである。
いずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装方法におい
て、前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの間の値
であることを特徴とするものである。
【0012】請求項5に記載の発明は、導電処理された
樹脂部品の導電部と接地部との間を電気的に接続するた
めの装置構成を有する樹脂部品の静電塗装装置におい
て、該樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け部と、
接地部側のアース線の取り付け部との間のアース線に、
抵抗体が挿入されてなることを特徴とする樹脂部品の静
電塗装装置である。
樹脂部品の導電部と接地部との間を電気的に接続するた
めの装置構成を有する樹脂部品の静電塗装装置におい
て、該樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け部と、
接地部側のアース線の取り付け部との間のアース線に、
抵抗体が挿入されてなることを特徴とする樹脂部品の静
電塗装装置である。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の樹脂部品の静電塗装装置において、前記抵抗体の抵抗
値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹脂部品の導電部側
のアース線の取り付け部との間の接触抵抗値よりも大き
いことを特徴とするものである。
の樹脂部品の静電塗装装置において、前記抵抗体の抵抗
値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹脂部品の導電部側
のアース線の取り付け部との間の接触抵抗値よりも大き
いことを特徴とするものである。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項5または
6に記載の樹脂部品の静電塗装装置において、前記抵抗
体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの間の値であることを
特徴とするものである。
6に記載の樹脂部品の静電塗装装置において、前記抵抗
体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの間の値であることを
特徴とするものである。
【0015】請求項8に記載の発明は、請求項5〜7の
いずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装装置におい
て、前記樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け部
が、前記樹脂部品を支持し搬送するための搬送手段、ま
たは該搬送手段に連設されて前記樹脂部品を載置するた
めの載置手段に接続されていることを特徴とするもので
ある。
いずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装装置におい
て、前記樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け部
が、前記樹脂部品を支持し搬送するための搬送手段、ま
たは該搬送手段に連設されて前記樹脂部品を載置するた
めの載置手段に接続されていることを特徴とするもので
ある。
【0016】
【発明の効果】請求項1に記載の発明にあっては、樹脂
部品の静電塗装方法において、導電処理された樹脂部品
の導電部と接地部との間を、抵抗体を介して電気的に接
続し、かかる状態で該導電処理された樹脂部品に対して
静電塗装を行うことことにより、樹脂部品を直接的に接
地して該樹脂部品の塗装表面を接地電位と同電位にする
のではなく、静電塗装中の樹脂部品の表面電位を接地電
位よりも高くすることができる。これにより、樹脂部品
の導電処理により生じた導電性能の差異に起因する静電
塗膜のムラができにくく、均一な塗膜を形成することが
できる。すなわち、樹脂部品の表面電位を接地電位より
も高くすることで、静電塗装中に樹脂部品の塗装表面に
ある程度の電荷が溜まるようにできる。そのため、導電
性能の高い部分にはより多くの電荷がたまり、以後、当
該部分に対しては帯電した塗料粒子との電気的反発によ
り、当該部分での塗料の付着を防止し、局所的な塗膜の
形成を妨げる方向に働くようになる。そのため、導電性
能の低い部分の側により多くの塗料を付着させて塗膜を
形成さることができ、樹脂部品の塗装表面全体として、
塗膜厚さが均一化する方向に働くことになる。特に、導
電性能の低い部分でもある程度の電荷が溜まり塗料粒子
との電気的反発が生じるようになるまで塗装すること
で、塗装表面全体に塗膜ムラがなく極めて均一な厚さの
塗膜を形成することができる。さらに、樹脂部品の表面
電位を接地電位よりも高くすることで、樹脂部品の表面
からアース線取り付け部に対してスパーク放電が発生す
ることなく、結果として火災に至る危険因子を排除でき
るという効果が得られる。これにより、火災や粉塵爆発
が発生しないよう大掛かりな防炎・防爆設備を増設ない
し新設しなくともよく、これらの設備の設計や施工に多
くの人材、時間、コストをかける必要もなく、またこれ
らの設備の設計や施工にあたり生ずるであろう新たな技
術的な課題を解決する困難さや人材、時間、コスト負担
がない点からも極めて有効かつ効果的な樹脂部品の静電
塗装方法といえる。また、本発明の樹脂部品の静電塗装
方法は、極めて適用範囲が広く、自動車用の樹脂製部品
にとどまらず、その他の産業製品全般、例えば、電車
用、飛行機用、船舶用、建築資材、電化製品用などにお
いても十分適用可能である極めて汎用性の高い技術とい
える。
部品の静電塗装方法において、導電処理された樹脂部品
の導電部と接地部との間を、抵抗体を介して電気的に接
続し、かかる状態で該導電処理された樹脂部品に対して
静電塗装を行うことことにより、樹脂部品を直接的に接
地して該樹脂部品の塗装表面を接地電位と同電位にする
のではなく、静電塗装中の樹脂部品の表面電位を接地電
位よりも高くすることができる。これにより、樹脂部品
の導電処理により生じた導電性能の差異に起因する静電
塗膜のムラができにくく、均一な塗膜を形成することが
できる。すなわち、樹脂部品の表面電位を接地電位より
も高くすることで、静電塗装中に樹脂部品の塗装表面に
ある程度の電荷が溜まるようにできる。そのため、導電
性能の高い部分にはより多くの電荷がたまり、以後、当
該部分に対しては帯電した塗料粒子との電気的反発によ
り、当該部分での塗料の付着を防止し、局所的な塗膜の
形成を妨げる方向に働くようになる。そのため、導電性
能の低い部分の側により多くの塗料を付着させて塗膜を
形成さることができ、樹脂部品の塗装表面全体として、
塗膜厚さが均一化する方向に働くことになる。特に、導
電性能の低い部分でもある程度の電荷が溜まり塗料粒子
との電気的反発が生じるようになるまで塗装すること
で、塗装表面全体に塗膜ムラがなく極めて均一な厚さの
塗膜を形成することができる。さらに、樹脂部品の表面
電位を接地電位よりも高くすることで、樹脂部品の表面
からアース線取り付け部に対してスパーク放電が発生す
ることなく、結果として火災に至る危険因子を排除でき
るという効果が得られる。これにより、火災や粉塵爆発
が発生しないよう大掛かりな防炎・防爆設備を増設ない
し新設しなくともよく、これらの設備の設計や施工に多
くの人材、時間、コストをかける必要もなく、またこれ
らの設備の設計や施工にあたり生ずるであろう新たな技
術的な課題を解決する困難さや人材、時間、コスト負担
がない点からも極めて有効かつ効果的な樹脂部品の静電
塗装方法といえる。また、本発明の樹脂部品の静電塗装
方法は、極めて適用範囲が広く、自動車用の樹脂製部品
にとどまらず、その他の産業製品全般、例えば、電車
用、飛行機用、船舶用、建築資材、電化製品用などにお
いても十分適用可能である極めて汎用性の高い技術とい
える。
【0017】請求項2に記載の発明にあっては、請求項
1に記載の樹脂部品の静電塗装方法において、前記樹脂
部品の導電部と接地部との間を、抵抗体を介して電気的
に接続する工程が、樹脂部品に導電性の塗料を塗布する
工程よりも後に、または樹脂部品に導電性の塗料を塗布
する工程よりも前に行われることを特徴とするものであ
るので、請求項1と同様の作用効果を奏する事ができる
ほか、静電塗装前の作業順序に関しては樹脂部品の形態
や部分的にあるいは全体に静電塗装を行う場合など、製
造ロットごとに要求の異なる少量多品種化が進む樹脂部
品を静電塗装する上で作業効率に優れた手順を適宜選択
することが可能である。たとえば、部分的な静電塗装の
場合、前記樹脂部品の導電部と接地部との間を、抵抗体
を介して電気的に接続する工程を樹脂部品に導電性の塗
料を塗布する工程よりも前に、非塗装部位をマスキング
するために用いた導電性テープをアースすることによ
り、他の手順に比べて導電性の塗料のアース作業や金属
物質の樹脂部品の裏面への密着および該金属物質のアー
ス作業が不要となるなどの点で作業効率に優れた手順を
選択することができる。
1に記載の樹脂部品の静電塗装方法において、前記樹脂
部品の導電部と接地部との間を、抵抗体を介して電気的
に接続する工程が、樹脂部品に導電性の塗料を塗布する
工程よりも後に、または樹脂部品に導電性の塗料を塗布
する工程よりも前に行われることを特徴とするものであ
るので、請求項1と同様の作用効果を奏する事ができる
ほか、静電塗装前の作業順序に関しては樹脂部品の形態
や部分的にあるいは全体に静電塗装を行う場合など、製
造ロットごとに要求の異なる少量多品種化が進む樹脂部
品を静電塗装する上で作業効率に優れた手順を適宜選択
することが可能である。たとえば、部分的な静電塗装の
場合、前記樹脂部品の導電部と接地部との間を、抵抗体
を介して電気的に接続する工程を樹脂部品に導電性の塗
料を塗布する工程よりも前に、非塗装部位をマスキング
するために用いた導電性テープをアースすることによ
り、他の手順に比べて導電性の塗料のアース作業や金属
物質の樹脂部品の裏面への密着および該金属物質のアー
ス作業が不要となるなどの点で作業効率に優れた手順を
選択することができる。
【0018】請求項3に記載の発明にあっては、請求項
1または2に記載の樹脂部品の静電塗装方法において、
前記抵抗体の抵抗値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹
脂部品の導電部側のアース線取り付け部との間の接触抵
抗値よりも大きいことを特徴とするものであるので、請
求項1及び2と同様の作用効果を奏する事ができる。と
りわけ、スパーク放電が問題となる表面積の大きい、従
ってスパーク直前の帯電量を大きくすることのできる部
品形状(例えば、バンパーのような)において、特に有
効かつ効果的に作用し得るものである。すなわち、揮発
溶剤や粉体塗料などによる火災や粉塵爆発などを引き起
こすに足りる火花(スパーク)を生じさせる蓋然性の高
い表面積の大きい部品であっても、アース線に挿入した
抵抗体の抵抗値が表面積の大きい部品の表面抵抗値より
も高くすることで、被塗物である樹脂部品の表面からア
ース線の取り付け部に対してスパーク放電が発生するこ
とがないという点で有利である。また、仮に微弱な放電
が発生しても当該抵抗体によって接地部に流れる電流値
が制限されるため、放電が持続しないという安全設計が
なされている点で特に有利なものである。このように、
アース線と被塗物の接触抵抗に起因するスパーク放電の
発生を抑制でき、結果として火災や爆発に至る危険を排
除できるという顕著な効果が得られるものである。
1または2に記載の樹脂部品の静電塗装方法において、
前記抵抗体の抵抗値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹
脂部品の導電部側のアース線取り付け部との間の接触抵
抗値よりも大きいことを特徴とするものであるので、請
求項1及び2と同様の作用効果を奏する事ができる。と
りわけ、スパーク放電が問題となる表面積の大きい、従
ってスパーク直前の帯電量を大きくすることのできる部
品形状(例えば、バンパーのような)において、特に有
効かつ効果的に作用し得るものである。すなわち、揮発
溶剤や粉体塗料などによる火災や粉塵爆発などを引き起
こすに足りる火花(スパーク)を生じさせる蓋然性の高
い表面積の大きい部品であっても、アース線に挿入した
抵抗体の抵抗値が表面積の大きい部品の表面抵抗値より
も高くすることで、被塗物である樹脂部品の表面からア
ース線の取り付け部に対してスパーク放電が発生するこ
とがないという点で有利である。また、仮に微弱な放電
が発生しても当該抵抗体によって接地部に流れる電流値
が制限されるため、放電が持続しないという安全設計が
なされている点で特に有利なものである。このように、
アース線と被塗物の接触抵抗に起因するスパーク放電の
発生を抑制でき、結果として火災や爆発に至る危険を排
除できるという顕著な効果が得られるものである。
【0019】請求項4に記載の発明にあっては、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装方法
において、前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの
間の値であることを特徴とするものであるので、請求項
1〜3と同様の作用効果を奏する事ができるほか、抵抗
体の抵抗値を上記範囲とすることで、導電性のバラツキ
による問題点の発生を抑制することができ、塗膜にムラ
がなく極めて高品質な製品に仕上げることができるとと
もに、スパーク放電の発生を防止することができるた
め、塗膜表面の平滑性や光沢に優れる溶剤系の塗料を使
用して静電塗装を行う必要がある多くの産業分野におい
て、特に引火性のある揮発性溶剤を使用して静電塗装を
行う場合においても、高い安全性を確保することができ
る点で有利である。
1〜3のいずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装方法
において、前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの
間の値であることを特徴とするものであるので、請求項
1〜3と同様の作用効果を奏する事ができるほか、抵抗
体の抵抗値を上記範囲とすることで、導電性のバラツキ
による問題点の発生を抑制することができ、塗膜にムラ
がなく極めて高品質な製品に仕上げることができるとと
もに、スパーク放電の発生を防止することができるた
め、塗膜表面の平滑性や光沢に優れる溶剤系の塗料を使
用して静電塗装を行う必要がある多くの産業分野におい
て、特に引火性のある揮発性溶剤を使用して静電塗装を
行う場合においても、高い安全性を確保することができ
る点で有利である。
【0020】請求項5に記載の発明にあっては、導電処
理された樹脂部品の導電部と接地部との間を電気的に接
続するための装置構成を有する樹脂部品の静電塗装装置
において、該樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け
部と、接地部側のアース線の取り付け部との間のアース
線に、抵抗体が挿入されてなることを特徴とするとする
ことにより、上記請求項1と同様の作用効果を奏するこ
とができるものである。
理された樹脂部品の導電部と接地部との間を電気的に接
続するための装置構成を有する樹脂部品の静電塗装装置
において、該樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け
部と、接地部側のアース線の取り付け部との間のアース
線に、抵抗体が挿入されてなることを特徴とするとする
ことにより、上記請求項1と同様の作用効果を奏するこ
とができるものである。
【0021】請求項6に記載の発明にあっては、請求項
5に記載の樹脂部品の静電塗装装置において、前記抵抗
体の抵抗値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹脂部品の
導電部側のアース線の取り付け部との間の接触抵抗値よ
りも大きいことを特徴とすることにより、請求項5と同
様の作用効果を奏する事ができるほか、上記請求項3と
同様の作用効果を奏することができるものである。
5に記載の樹脂部品の静電塗装装置において、前記抵抗
体の抵抗値が、前記樹脂部品の塗装表面と該樹脂部品の
導電部側のアース線の取り付け部との間の接触抵抗値よ
りも大きいことを特徴とすることにより、請求項5と同
様の作用効果を奏する事ができるほか、上記請求項3と
同様の作用効果を奏することができるものである。
【0022】請求項7に記載の発明にあっては、請求項
5または6に記載の樹脂部品の静電塗装装置において、
前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの間の値であ
ることを特徴とすることにより、請求項5または6と同
様の作用効果を奏する事ができるほか、上記請求項4と
同様の作用効果を奏することができるものである。
5または6に記載の樹脂部品の静電塗装装置において、
前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10GΩの間の値であ
ることを特徴とすることにより、請求項5または6と同
様の作用効果を奏する事ができるほか、上記請求項4と
同様の作用効果を奏することができるものである。
【0023】請求項8に記載の発明にあっては、請求項
5〜7のいずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装装置
において、前記樹脂部品の導電部側のアース線取り付け
部が、前記樹脂部品を支持し搬送するための搬送手段、
または該搬送手段に連設されて前記樹脂部品を載置する
ための載置手段に接続されていることを特徴とすること
により、請求項5〜7と同様の作用効果を奏する事がで
きるほか、製造ロットごとに要求の異なる少量多品種の
樹脂部品の静電塗装においても、載置手段のみを取り替
えることで柔軟に適用できる点で有利である。よって、
種類の異なるものが混在していても問題なく連続生産可
能となる。
5〜7のいずれか1項に記載の樹脂部品の静電塗装装置
において、前記樹脂部品の導電部側のアース線取り付け
部が、前記樹脂部品を支持し搬送するための搬送手段、
または該搬送手段に連設されて前記樹脂部品を載置する
ための載置手段に接続されていることを特徴とすること
により、請求項5〜7と同様の作用効果を奏する事がで
きるほか、製造ロットごとに要求の異なる少量多品種の
樹脂部品の静電塗装においても、載置手段のみを取り替
えることで柔軟に適用できる点で有利である。よって、
種類の異なるものが混在していても問題なく連続生産可
能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の実施の
形態について説明する。
形態について説明する。
【0025】まず、図1および2は、本発明の構成を説
明するための図面であり、樹脂部品の静電塗装方法にお
ける代表的なアース線の接続の状態(装置構成)を示す
概略図である。図3は、比較のために、従来の樹脂部品
の静電塗装方法における代表的なアース線の接続の状態
(装置構成)を説明するための概略図であり、いずれも
樹脂部品は断面を示す。
明するための図面であり、樹脂部品の静電塗装方法にお
ける代表的なアース線の接続の状態(装置構成)を示す
概略図である。図3は、比較のために、従来の樹脂部品
の静電塗装方法における代表的なアース線の接続の状態
(装置構成)を説明するための概略図であり、いずれも
樹脂部品は断面を示す。
【0026】図1は、本発明の一実施形態であって、電
気絶縁性能の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗装を施す
場合の一般的な手段として、樹脂部品の表面に導電性塗
料(プライマーとも称する)を塗布し、導電性塗膜を形
成して表面のみに導電性を付与した場合のアース線の接
続の状態(装置構成)を示す概略断面図である。図1に
示すように、基材となる樹脂部品101の表面に既知の方
法、多くは非静電スプレー塗装で導電性塗料を塗布し、
導電性塗膜103を形成して表面のみに導電性を付与し、
乾燥またはウエット状態での該導電性塗膜103と接地部
との間を、抵抗体105が途中に挿入されているアース線1
07を用いて接続する。この際、導電性塗膜への電気的接
続には、端子クリップ111などの接続端子を利用しても
よいほか、導電性テープや治具などを利用して間接的に
電気接続することもできる(この点については、後述す
る図5〜10を用いてより詳しく説明するので、ここで
の説明は省略する。)。これにより、樹脂部品101の導
電部である該導電性塗膜103と接地部109との間を、抵抗
体105を介して電気的に接続することができ、この状態
の樹脂部品の被塗装面(導電性塗膜形成面)に静電塗装
を施すことにより、上記に説明したような作用効果が得
られるものである。
気絶縁性能の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗装を施す
場合の一般的な手段として、樹脂部品の表面に導電性塗
料(プライマーとも称する)を塗布し、導電性塗膜を形
成して表面のみに導電性を付与した場合のアース線の接
続の状態(装置構成)を示す概略断面図である。図1に
示すように、基材となる樹脂部品101の表面に既知の方
法、多くは非静電スプレー塗装で導電性塗料を塗布し、
導電性塗膜103を形成して表面のみに導電性を付与し、
乾燥またはウエット状態での該導電性塗膜103と接地部
との間を、抵抗体105が途中に挿入されているアース線1
07を用いて接続する。この際、導電性塗膜への電気的接
続には、端子クリップ111などの接続端子を利用しても
よいほか、導電性テープや治具などを利用して間接的に
電気接続することもできる(この点については、後述す
る図5〜10を用いてより詳しく説明するので、ここで
の説明は省略する。)。これにより、樹脂部品101の導
電部である該導電性塗膜103と接地部109との間を、抵抗
体105を介して電気的に接続することができ、この状態
の樹脂部品の被塗装面(導電性塗膜形成面)に静電塗装
を施すことにより、上記に説明したような作用効果が得
られるものである。
【0027】また、図2は、本発明の他の実施形態であ
って、電気絶縁性能の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗
装を施す場合の一般的な手段として、樹脂部品自体にカ
ーボンブラックなどの導電性フィラーを混入して樹脂部
品に導電性を持たせた場合のアース線の接続の状態(装
置構成)を示す概略断面図である。図2に示すように、
基材となる樹脂部品201は、樹脂成形時にすでに導電性
が付与されているため、この場合には、樹脂部品201
(全体が導電部であるため導電部201とも表す)と接地
部209との間を、抵抗体205が途中に挿入されているアー
ス線207を用いて接続する。この際、樹脂部品との接続
(取り付け)には、端子クリップ211などの取り付け端子
を利用することができる。また、樹脂部品の被塗装面以
外の適当な位置に取り付ける(接続する)のが好まし
い。これにより、樹脂部品の導電部201と接地部209との
間を、抵抗体205を介して電気的に接続することがで
き、この状態の樹脂部品の被塗装面(部分的な塗装の場
合は、絶縁性テープなどを貼り付けて非塗装部位を形成
するなどしてもよい)に静電塗装を施すことにより、上
記に説明したような作用効果が得られるものである。
って、電気絶縁性能の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗
装を施す場合の一般的な手段として、樹脂部品自体にカ
ーボンブラックなどの導電性フィラーを混入して樹脂部
品に導電性を持たせた場合のアース線の接続の状態(装
置構成)を示す概略断面図である。図2に示すように、
基材となる樹脂部品201は、樹脂成形時にすでに導電性
が付与されているため、この場合には、樹脂部品201
(全体が導電部であるため導電部201とも表す)と接地
部209との間を、抵抗体205が途中に挿入されているアー
ス線207を用いて接続する。この際、樹脂部品との接続
(取り付け)には、端子クリップ211などの取り付け端子
を利用することができる。また、樹脂部品の被塗装面以
外の適当な位置に取り付ける(接続する)のが好まし
い。これにより、樹脂部品の導電部201と接地部209との
間を、抵抗体205を介して電気的に接続することがで
き、この状態の樹脂部品の被塗装面(部分的な塗装の場
合は、絶縁性テープなどを貼り付けて非塗装部位を形成
するなどしてもよい)に静電塗装を施すことにより、上
記に説明したような作用効果が得られるものである。
【0028】一方、図3は、比較のための従来の樹脂部
品のアースの状態であって、図1と同様に、樹脂部品の
表面に導電性塗膜を形成して表面のみに導電性を付与し
た場合のアース線の接続の状態(装置構成)を示す概略
断面図である。従来は、図3に示すように、基材となる
樹脂部品301の表面に非静電スプレー塗装で導電性塗料
を塗布し、導電性塗膜303を形成して表面のみに導電性
を付与し、乾燥またはウエット状態での該導電性塗膜30
3と接地部との間を、アース線307を用いて接続してい
た。しかしながら、こうして直接的にアースするだけで
は、本発明のような作用効果が得られず、静電塗装によ
る塗膜ムラやスパーク放電による安全上の問題があった
といえる。
品のアースの状態であって、図1と同様に、樹脂部品の
表面に導電性塗膜を形成して表面のみに導電性を付与し
た場合のアース線の接続の状態(装置構成)を示す概略
断面図である。従来は、図3に示すように、基材となる
樹脂部品301の表面に非静電スプレー塗装で導電性塗料
を塗布し、導電性塗膜303を形成して表面のみに導電性
を付与し、乾燥またはウエット状態での該導電性塗膜30
3と接地部との間を、アース線307を用いて接続してい
た。しかしながら、こうして直接的にアースするだけで
は、本発明のような作用効果が得られず、静電塗装によ
る塗膜ムラやスパーク放電による安全上の問題があった
といえる。
【0029】すなわち、図1〜3から明らかなように、
本発明においては、樹脂部品(本明細書では、単に被塗
物とも称する)の表面に塗布した導電性プライマーや、
被塗物自体に混入した導電性フィラーとアース線とを接
続して被塗物表面をおおむね接地電位に保つ従来の樹脂
部品に対する静電塗装方法とは異なり、アース線の中間
に被塗物表面とアース線取り付け部(図1、2の端子ク
リップ111、211がこれに相当する)の接触抵抗値よりも
高い抵抗値を持つ抵抗体105、205を挿入したことを特徴
としている。
本発明においては、樹脂部品(本明細書では、単に被塗
物とも称する)の表面に塗布した導電性プライマーや、
被塗物自体に混入した導電性フィラーとアース線とを接
続して被塗物表面をおおむね接地電位に保つ従来の樹脂
部品に対する静電塗装方法とは異なり、アース線の中間
に被塗物表面とアース線取り付け部(図1、2の端子ク
リップ111、211がこれに相当する)の接触抵抗値よりも
高い抵抗値を持つ抵抗体105、205を挿入したことを特徴
としている。
【0030】したがって、被塗物表面とアース線の取り
付け部はおおむね同電位となり、また、アース線の高抵
抗体よりも接地部側はほぼ接地電位となる。
付け部はおおむね同電位となり、また、アース線の高抵
抗体よりも接地部側はほぼ接地電位となる。
【0031】かかる構成(図1,2参照のこと)にあっ
ては被塗物表面からアース線取り付け部に対してスパー
ク放電が発生することはなく、火災や爆発が生じること
はない。なお、仮に微弱な放電が発生しても高抵抗体に
よって接地に流れる電流値が制限されるため、放電が持
続しないという特徴が得られる。ただし、図4に示すよ
うに、抵抗体の抵抗値とスパーク発生傾向との関係から
抵抗体の抵抗値が1MΩ以上であれば、こうした仮の事
態は生じないといえる。
ては被塗物表面からアース線取り付け部に対してスパー
ク放電が発生することはなく、火災や爆発が生じること
はない。なお、仮に微弱な放電が発生しても高抵抗体に
よって接地に流れる電流値が制限されるため、放電が持
続しないという特徴が得られる。ただし、図4に示すよ
うに、抵抗体の抵抗値とスパーク発生傾向との関係から
抵抗体の抵抗値が1MΩ以上であれば、こうした仮の事
態は生じないといえる。
【0032】さらに、本発明ではスパーク発生傾向に加
え塗着効率を考慮し、抵抗体の抵抗値は、1MΩ〜10
GΩの間の値であることが好ましい。これは、図4に示
す抵抗体の抵抗値と塗着効率との関係、並びに抵抗体の
抵抗値とスパーク発生傾向との関係を示すグラフから求
められたもので、特に抵抗値が1MΩ未満では抵抗体に
よって被塗物に電荷を残す効果が小さくなり、10GΩ
を越えると、逆に被塗物に電荷が多く残るため、この電
荷と同極に帯電した塗料を供給しても、反発するように
作用して塗着効率が低下する。なお、本発明において
は、望ましい範囲の1MΩ〜10GΩを外れたからとい
って、ただちに本発明の範囲に含まれなくなるわけでは
なく、従来の抵抗体を用いない場合に比して、本発明の
効果が得られる以上、本発明の範囲に含まれるものであ
ることはいうまでもない。なお、図4は、自動車用バン
パーに関するものであるが、樹脂材一般に拡張しても同
じ程度である。すなわち、本発明は、接触抵抗について
の発明であるので、表面積や電荷量については、制限を
設ける必要がない。したがって、樹脂材の大きさに制限
はないといえる。ただし、スパークが問題になるのは表
面積の大きい、従って、スパーク直前の帯電量を大きく
することのできる部品形状(バンパーのような)のもの
において、より有効かつ効果的である。
え塗着効率を考慮し、抵抗体の抵抗値は、1MΩ〜10
GΩの間の値であることが好ましい。これは、図4に示
す抵抗体の抵抗値と塗着効率との関係、並びに抵抗体の
抵抗値とスパーク発生傾向との関係を示すグラフから求
められたもので、特に抵抗値が1MΩ未満では抵抗体に
よって被塗物に電荷を残す効果が小さくなり、10GΩ
を越えると、逆に被塗物に電荷が多く残るため、この電
荷と同極に帯電した塗料を供給しても、反発するように
作用して塗着効率が低下する。なお、本発明において
は、望ましい範囲の1MΩ〜10GΩを外れたからとい
って、ただちに本発明の範囲に含まれなくなるわけでは
なく、従来の抵抗体を用いない場合に比して、本発明の
効果が得られる以上、本発明の範囲に含まれるものであ
ることはいうまでもない。なお、図4は、自動車用バン
パーに関するものであるが、樹脂材一般に拡張しても同
じ程度である。すなわち、本発明は、接触抵抗について
の発明であるので、表面積や電荷量については、制限を
設ける必要がない。したがって、樹脂材の大きさに制限
はないといえる。ただし、スパークが問題になるのは表
面積の大きい、従って、スパーク直前の帯電量を大きく
することのできる部品形状(バンパーのような)のもの
において、より有効かつ効果的である。
【0033】さらに、抵抗体の抵抗値と塗着効率との関
係について、以下により詳しく説明する。本発明におい
ては、静電塗装によって、被塗物表面に溜まった電荷が
直ちに接地に流れることを防いでいるため、被塗物表面
の表面抵抗値の比較的高い部分へも塗料がつき回り、結
果的に膜厚が均一になりやすいという効果が得られる。
かかる現象は従来の接地方法においては、表面抵抗値が
低い部分にはより多くの帯電塗料が吸着し、運ばれた電
荷が直ちに接地電位に流れ出すためにその部分の電位が
ほぼ接地状態に保たれるため、より多くの塗料粒子が優
先的に引き寄せられることによると考えられる。一方、
本発明の構成においては、表面に溜まった電荷が直ちに
は流れないため、多くの帯電塗料を引き付けた部分の表
面電位が高くなり、逆に表面抵抗値が比較的高い部分の
電位が相対的に低くなるため、その部位にも早期に塗料
粒子が付着する効果があると推定される。
係について、以下により詳しく説明する。本発明におい
ては、静電塗装によって、被塗物表面に溜まった電荷が
直ちに接地に流れることを防いでいるため、被塗物表面
の表面抵抗値の比較的高い部分へも塗料がつき回り、結
果的に膜厚が均一になりやすいという効果が得られる。
かかる現象は従来の接地方法においては、表面抵抗値が
低い部分にはより多くの帯電塗料が吸着し、運ばれた電
荷が直ちに接地電位に流れ出すためにその部分の電位が
ほぼ接地状態に保たれるため、より多くの塗料粒子が優
先的に引き寄せられることによると考えられる。一方、
本発明の構成においては、表面に溜まった電荷が直ちに
は流れないため、多くの帯電塗料を引き付けた部分の表
面電位が高くなり、逆に表面抵抗値が比較的高い部分の
電位が相対的に低くなるため、その部位にも早期に塗料
粒子が付着する効果があると推定される。
【0034】以上が本発明の静電塗装方法およびその装
置の説明であるが、以下に、樹脂部品として自動車用バ
ンパーを例にとり、本発明の好適な実施の形態につき、
より詳しく説明する。
置の説明であるが、以下に、樹脂部品として自動車用バ
ンパーを例にとり、本発明の好適な実施の形態につき、
より詳しく説明する。
【0035】図5は、樹脂部品としての自動車用バンパ
ーの斜視図である。図5に示すように自動車用バンパー
501の表面502には、その長手方向両端間にわたる一直線
状の非塗装部位503が設定されている。この非塗装部位5
03を除く表面に、静電塗装を施す場合を例にとり、さら
に図6〜図10を用いて作業工程に順じて説明する。
ーの斜視図である。図5に示すように自動車用バンパー
501の表面502には、その長手方向両端間にわたる一直線
状の非塗装部位503が設定されている。この非塗装部位5
03を除く表面に、静電塗装を施す場合を例にとり、さら
に図6〜図10を用いて作業工程に順じて説明する。
【0036】図6〜図10は、樹脂部品に導電処理を施
し、該導電部と接地部の間を、抵抗体を介して電気的に
接続し、かかる状態で該樹脂部品に対して静電塗装を行
うまでの作業経過ごとのバンパーの塗膜形成状態、さら
にワーク治具の取り付け状態を示すものである。図6〜
図10を用いて、静電塗装時の作業手順を説明するが、
図6〜図10の(a)は、図5の切断面線A−Aに沿う
断面であって、作業経過ごと断面をそれぞれ示し、図6
〜図10の(b)は、図6の切断面線B−Bに沿う断面
をそれぞれ示すものである。
し、該導電部と接地部の間を、抵抗体を介して電気的に
接続し、かかる状態で該樹脂部品に対して静電塗装を行
うまでの作業経過ごとのバンパーの塗膜形成状態、さら
にワーク治具の取り付け状態を示すものである。図6〜
図10を用いて、静電塗装時の作業手順を説明するが、
図6〜図10の(a)は、図5の切断面線A−Aに沿う
断面であって、作業経過ごと断面をそれぞれ示し、図6
〜図10の(b)は、図6の切断面線B−Bに沿う断面
をそれぞれ示すものである。
【0037】自動車用バンパー501の静電塗装にあたっ
ては、まず、図6(a)、(b)に示すように、自動車
用バンパー501を前処理した後に、導電被覆材504を自動
車用バンパーの表面502に貼着して非塗装部位503をマス
キングする。この導電被覆材504としては、導電性を有
する被覆層と、接着層を有する積層ないしラミネート材
であればよく、例えば、導電性テープ、導電性フィル
ム、導電性シートなどが利用できる。該導電被覆材504
の導電層としては、導電性を有するものであればどのよ
うな材料から形成されていてもよく、例えば、アルミニ
ウム製のもの(アルミ箔)などが挙げられる。また、非
塗装部位503をその全域にわたってマスキングするよう
にすれば、導電被覆材504をどのように貼着してもよい
が、後述のアース作業を考慮すると、導電被覆材504の
両端を自動車用バンパー501の裏面に貼付しておくこと
が望ましい。
ては、まず、図6(a)、(b)に示すように、自動車
用バンパー501を前処理した後に、導電被覆材504を自動
車用バンパーの表面502に貼着して非塗装部位503をマス
キングする。この導電被覆材504としては、導電性を有
する被覆層と、接着層を有する積層ないしラミネート材
であればよく、例えば、導電性テープ、導電性フィル
ム、導電性シートなどが利用できる。該導電被覆材504
の導電層としては、導電性を有するものであればどのよ
うな材料から形成されていてもよく、例えば、アルミニ
ウム製のもの(アルミ箔)などが挙げられる。また、非
塗装部位503をその全域にわたってマスキングするよう
にすれば、導電被覆材504をどのように貼着してもよい
が、後述のアース作業を考慮すると、導電被覆材504の
両端を自動車用バンパー501の裏面に貼付しておくこと
が望ましい。
【0038】次に、図7に示すように、導電被覆材504
を貼着した状態の自動車用バンパー501を、アース状態
にあるワーク治具(a)505上に設けられたワーク治具
(b)506上に載置する。ここで、ワーク治具(a)505
は、塗装工程を連続的に行うことができるようにコンベ
アなどにより搬送し得るもの(搬送手段)であり、搬送
用の台車などが利用できる。また、ワーク治具(b)50
6は、ワーク治具(a)505上に設けられ、樹脂部品を受
け止めるもの(載置手段)であり、該樹脂部品を安定に
支持し載置できる形状の部材であればよいが、樹脂部品
の形状や大きさに応じて取替えが可能なように、ワーク
治具(a)505に着脱自在に取り付けることができるも
のが好ましい。これにより、少量多品種生産に柔軟に対
応できるものである。
を貼着した状態の自動車用バンパー501を、アース状態
にあるワーク治具(a)505上に設けられたワーク治具
(b)506上に載置する。ここで、ワーク治具(a)505
は、塗装工程を連続的に行うことができるようにコンベ
アなどにより搬送し得るもの(搬送手段)であり、搬送
用の台車などが利用できる。また、ワーク治具(b)50
6は、ワーク治具(a)505上に設けられ、樹脂部品を受
け止めるもの(載置手段)であり、該樹脂部品を安定に
支持し載置できる形状の部材であればよいが、樹脂部品
の形状や大きさに応じて取替えが可能なように、ワーク
治具(a)505に着脱自在に取り付けることができるも
のが好ましい。これにより、少量多品種生産に柔軟に対
応できるものである。
【0039】本発明では、ワーク治具(a)505をアー
ス状態にする際に、ワーク治具(a)505の導電部511と
接地部515との間を、抵抗体517が途中に挿入されている
アース線519を用いて電気的に接続したものである。こ
の際、ワーク治具505、506は、少なくとも導電被覆材50
4とアース線519との間を電気的に接続し得る導電部をそ
れぞれ一部に有するものであればよいが、異なる形状の
樹脂部品に柔軟に対応する観点からは、ワーク治具
(a)505およびワーク治具(b)506が、それぞれ導電
性材料で形成されていることが望ましい。ただし、静電
塗装ではラップアラウンド効果により塗料粒子が被塗物
の背面にまで塗着し得るため、治具の露出面には、予め
絶縁シートなどを貼り付けても良い。
ス状態にする際に、ワーク治具(a)505の導電部511と
接地部515との間を、抵抗体517が途中に挿入されている
アース線519を用いて電気的に接続したものである。こ
の際、ワーク治具505、506は、少なくとも導電被覆材50
4とアース線519との間を電気的に接続し得る導電部をそ
れぞれ一部に有するものであればよいが、異なる形状の
樹脂部品に柔軟に対応する観点からは、ワーク治具
(a)505およびワーク治具(b)506が、それぞれ導電
性材料で形成されていることが望ましい。ただし、静電
塗装ではラップアラウンド効果により塗料粒子が被塗物
の背面にまで塗着し得るため、治具の露出面には、予め
絶縁シートなどを貼り付けても良い。
【0040】本発明では、被塗物の自動車用バンパー50
1をアース状態にする際に、自動車用バンパー501の導電
部と接地部との間(例えば、導電部と接地部との間を電
気的に接続するために用いられる導線(アース線ないし
接地線))に、高抵抗を有する抵抗体、望ましくは被塗
物の塗装表面と該アース線取り付け部の間の接触抵抗値
よりも大きい抵抗値を有する抵抗体、より望ましくは1
MΩ〜10GΩの間の値を有する抵抗体を挿入すること
によって、導電性のバラツキによる塗膜ムラの発生を抑
制し、スパーク放電の発生を防止できるものであればよ
い。これらのワーク治具505、506は、導電性を有する金
属(合金を含む)材料により形成されており、ワーク治具
(b)506の上面は自動車用バンパー501の裏面形状に対
応して形成されているのが望ましい。ワーク治具(b)
506上に自動車用バンパー501を載置することにより、導
電被覆材504の両端部がワーク治具(b)506に密着し、
導電被覆材504が、ワーク治具(b)506、ワーク治具
(a)505、さらには抵抗体517を介してアースされるこ
とになる。
1をアース状態にする際に、自動車用バンパー501の導電
部と接地部との間(例えば、導電部と接地部との間を電
気的に接続するために用いられる導線(アース線ないし
接地線))に、高抵抗を有する抵抗体、望ましくは被塗
物の塗装表面と該アース線取り付け部の間の接触抵抗値
よりも大きい抵抗値を有する抵抗体、より望ましくは1
MΩ〜10GΩの間の値を有する抵抗体を挿入すること
によって、導電性のバラツキによる塗膜ムラの発生を抑
制し、スパーク放電の発生を防止できるものであればよ
い。これらのワーク治具505、506は、導電性を有する金
属(合金を含む)材料により形成されており、ワーク治具
(b)506の上面は自動車用バンパー501の裏面形状に対
応して形成されているのが望ましい。ワーク治具(b)
506上に自動車用バンパー501を載置することにより、導
電被覆材504の両端部がワーク治具(b)506に密着し、
導電被覆材504が、ワーク治具(b)506、ワーク治具
(a)505、さらには抵抗体517を介してアースされるこ
とになる。
【0041】上記抵抗体の抵抗値は、前記導電処理され
た自動車用バンパー501の塗装表面とアース線取り付け
部の間(ここでは、自動車用バンパー501の塗装表面側
の導電部であるワーク治具(a)505とアース線取り付
け部との間)の接触抵抗値よりも大きいこと、好ましく
は、図4で説明したように1MΩ〜10GΩの間の値で
ある。抵抗体の抵抗値が1MΩ未満の場合には、電荷を
残す効果が必ずしも十分ではなく、図4に示すように、
1MΩを境にして、これよりも抵抗値が減少するのにし
たがってスパーク放電の発生する危険性が漸増する傾向
があるので好ましくない。一方、10GΩを超える場合
には、電荷が多く溜まるため、図4に示すように、電荷
の多い部分では塗料が付着しにくく、塗着効率が低下す
るため好ましくない。
た自動車用バンパー501の塗装表面とアース線取り付け
部の間(ここでは、自動車用バンパー501の塗装表面側
の導電部であるワーク治具(a)505とアース線取り付
け部との間)の接触抵抗値よりも大きいこと、好ましく
は、図4で説明したように1MΩ〜10GΩの間の値で
ある。抵抗体の抵抗値が1MΩ未満の場合には、電荷を
残す効果が必ずしも十分ではなく、図4に示すように、
1MΩを境にして、これよりも抵抗値が減少するのにし
たがってスパーク放電の発生する危険性が漸増する傾向
があるので好ましくない。一方、10GΩを超える場合
には、電荷が多く溜まるため、図4に示すように、電荷
の多い部分では塗料が付着しにくく、塗着効率が低下す
るため好ましくない。
【0042】本発明に用いることのできる抵抗体507
は、固定抵抗であっても、可変抵抗であってもよく、従
来公知の各種抵抗器を用いることができ、例えば、金属
系の巻線抵抗器や皮膜抵抗器、炭素系の皮膜抵抗器やソ
リッド抵抗器などの一般的なものが使用できる。
は、固定抵抗であっても、可変抵抗であってもよく、従
来公知の各種抵抗器を用いることができ、例えば、金属
系の巻線抵抗器や皮膜抵抗器、炭素系の皮膜抵抗器やソ
リッド抵抗器などの一般的なものが使用できる。
【0043】次に、図8に示すように、導電性フィラー
などの導電材を含有した導電性プライマー507を、導電
被覆材504上を含む表面502の全面に塗装する。これによ
り、導電性プライマー507は、導電被覆材504およびワー
ク治具(b)506、ワーク治具(a)505、さらには抵抗
体517を介してアースされることになる。
などの導電材を含有した導電性プライマー507を、導電
被覆材504上を含む表面502の全面に塗装する。これによ
り、導電性プライマー507は、導電被覆材504およびワー
ク治具(b)506、ワーク治具(a)505、さらには抵抗
体517を介してアースされることになる。
【0044】この導電性プライマー507の塗装後に、ワ
ーク治具(a)505を図示していない乾燥炉中に導入し
て導電性プライマー507を乾燥させる。
ーク治具(a)505を図示していない乾燥炉中に導入し
て導電性プライマー507を乾燥させる。
【0045】この導電性プライマー507の乾燥処理後、
図9に示すように、導電性プライマー507の全面にわた
ってトップコート508を静電塗装する。このとき、導電
性プライマー507は、導電被覆材504、ワーク治具(b)
506、ワーク治具(a)505、さらには抵抗体517を介し
てアースされているので、良好な静電場を確保し、さら
に上記する本発明の作用効果を発現させながら静電塗装
を行うことができる。
図9に示すように、導電性プライマー507の全面にわた
ってトップコート508を静電塗装する。このとき、導電
性プライマー507は、導電被覆材504、ワーク治具(b)
506、ワーク治具(a)505、さらには抵抗体517を介し
てアースされているので、良好な静電場を確保し、さら
に上記する本発明の作用効果を発現させながら静電塗装
を行うことができる。
【0046】トップコート508の静電塗装後に、ワーク
治具(a)505を図示していない乾燥炉中に導入してト
ップコート508を乾燥させる。この乾燥処理後、図10
に示すように、導電性被覆材を剥がすことにより、塗装
されていない状態のままで残る非塗装部位503を除く表
面502に静電塗装を施した塗装済みの自動車用バンパー5
01を得ることができる。
治具(a)505を図示していない乾燥炉中に導入してト
ップコート508を乾燥させる。この乾燥処理後、図10
に示すように、導電性被覆材を剥がすことにより、塗装
されていない状態のままで残る非塗装部位503を除く表
面502に静電塗装を施した塗装済みの自動車用バンパー5
01を得ることができる。
【0047】ここで説明した静電塗装方法においては、
非塗装部位503をマスキングするのに導電被覆材504を用
いるとともに該導電被覆材504を、ワーク治具(b)50
6、ワーク治具(a)505、さらには抵抗体517を介して
アースするので、その導電被覆材504を覆って塗装され
る導電性プライマー507をアースする作業が不要とな
り、また自動車用バンパー501の裏面に金属物質を密着
させてアースすることが不要となる。したがって作業工
数が減少し、作業効率を向上することができるとする効
果もある。
非塗装部位503をマスキングするのに導電被覆材504を用
いるとともに該導電被覆材504を、ワーク治具(b)50
6、ワーク治具(a)505、さらには抵抗体517を介して
アースするので、その導電被覆材504を覆って塗装され
る導電性プライマー507をアースする作業が不要とな
り、また自動車用バンパー501の裏面に金属物質を密着
させてアースすることが不要となる。したがって作業工
数が減少し、作業効率を向上することができるとする効
果もある。
【0048】さらに、本発明では、上記非塗装部位を設
けることなく表面全体に静電塗装を施すこともできる。
これらは先に図1または2に示すような方法で、自動車
用バンパーの導電部を、抵抗体を介してアースすればよ
いが、好ましくは自動車用バンパーの導電部を、ワーク
治具(b)のような載置手段、ワーク治具(a)のよう
な搬送手段、さらには抵抗体を介してアースするのが望
ましい。たとえば、自動車用バンパーの表面に接続され
るように裏面の一部に導電性塗料を塗布して導電部を設
け、この導電部をワーク治具(b)、ワーク治具
(a)、さらには抵抗体を介してアースするようにして
もよいし、また自動車用バンパーの裏面に金属物質を密
着させる場合には、表面の導電部を抵抗体を介してアー
スし、裏面の導電部をワーク治具(b)、ワーク治具
(a)、さらには抵抗体を介してアースするようにして
もよいなど、従来公知の方法が利用できる。
けることなく表面全体に静電塗装を施すこともできる。
これらは先に図1または2に示すような方法で、自動車
用バンパーの導電部を、抵抗体を介してアースすればよ
いが、好ましくは自動車用バンパーの導電部を、ワーク
治具(b)のような載置手段、ワーク治具(a)のよう
な搬送手段、さらには抵抗体を介してアースするのが望
ましい。たとえば、自動車用バンパーの表面に接続され
るように裏面の一部に導電性塗料を塗布して導電部を設
け、この導電部をワーク治具(b)、ワーク治具
(a)、さらには抵抗体を介してアースするようにして
もよいし、また自動車用バンパーの裏面に金属物質を密
着させる場合には、表面の導電部を抵抗体を介してアー
スし、裏面の導電部をワーク治具(b)、ワーク治具
(a)、さらには抵抗体を介してアースするようにして
もよいなど、従来公知の方法が利用できる。
【0049】本発明の静電塗装方法が適用される樹脂部
品は、電気絶縁性能の高い樹脂部品であればいずれでも
よく、特に制限されるべきものではないが、代表的なも
のとしては、例えば、メラミン、ポリエステル、合成ゴ
ム、変性ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、AB
S、ナイロン、ポリアセタールなどから作られた物品を
挙げることができる。より具体的には、自動車部品であ
る、バンパー、サイドシールド、フェーシャパネルなど
に使用される樹脂成形品を挙げることができる。なお、
上記樹脂部品には、ゴム製部品、エラストマー製部品を
含むほか、部品の一部にこれらの樹脂材を使用するもの
も含まれるものである。
品は、電気絶縁性能の高い樹脂部品であればいずれでも
よく、特に制限されるべきものではないが、代表的なも
のとしては、例えば、メラミン、ポリエステル、合成ゴ
ム、変性ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、AB
S、ナイロン、ポリアセタールなどから作られた物品を
挙げることができる。より具体的には、自動車部品であ
る、バンパー、サイドシールド、フェーシャパネルなど
に使用される樹脂成形品を挙げることができる。なお、
上記樹脂部品には、ゴム製部品、エラストマー製部品を
含むほか、部品の一部にこれらの樹脂材を使用するもの
も含まれるものである。
【0050】前記導電処理された樹脂部品としては、例
えば、(1)樹脂部品に導電性の塗膜を塗布して導電性
被膜を形成してなる樹脂部品、(2)導電材を混入して
調製された樹脂成形原料を用いて作られた樹脂部品など
が挙げられる。よって、導電処理を行う時期に関しては
特に制限されるべきものではなく、少なくとも静電塗装
前に導電処理がなされていればよい。
えば、(1)樹脂部品に導電性の塗膜を塗布して導電性
被膜を形成してなる樹脂部品、(2)導電材を混入して
調製された樹脂成形原料を用いて作られた樹脂部品など
が挙げられる。よって、導電処理を行う時期に関しては
特に制限されるべきものではなく、少なくとも静電塗装
前に導電処理がなされていればよい。
【0051】また、上記樹脂部品の導電処理方法として
は、特に制限されるものではなく、樹脂部品自体にカー
ボンブラックなどの導電性フィラーを混入して樹脂部品
に導電性を持たせる場合と、樹脂部品の表面に導電性被
膜を形成して表面のみに導電性を持たせる場合が挙げら
れる。後者の方法の1つとして、図5〜10で説明した
ように、樹脂部品に対して導電性被覆材と導電性フィラ
ーとを用いて行う方法が挙げられる。すなわち、本発明
では、少なくとも静電塗装を行うまでに、被塗物である
樹脂部品の被塗装面に導電性を付与するための導電処理
を施し、かつ該被塗装面を高抵抗体を介して接地するた
めに、被塗物(の導電部)と大地(の接地部)との間を
抵抗体を介して電気的に接続する処理(接地処理)を施
せばよいものであり、上記に図面を用いて説明したよう
に、一方の導電処理の途中に、他方の接地処理を行って
もよいなど、これらの処理の順序は特に制限されるべき
ものではない。
は、特に制限されるものではなく、樹脂部品自体にカー
ボンブラックなどの導電性フィラーを混入して樹脂部品
に導電性を持たせる場合と、樹脂部品の表面に導電性被
膜を形成して表面のみに導電性を持たせる場合が挙げら
れる。後者の方法の1つとして、図5〜10で説明した
ように、樹脂部品に対して導電性被覆材と導電性フィラ
ーとを用いて行う方法が挙げられる。すなわち、本発明
では、少なくとも静電塗装を行うまでに、被塗物である
樹脂部品の被塗装面に導電性を付与するための導電処理
を施し、かつ該被塗装面を高抵抗体を介して接地するた
めに、被塗物(の導電部)と大地(の接地部)との間を
抵抗体を介して電気的に接続する処理(接地処理)を施
せばよいものであり、上記に図面を用いて説明したよう
に、一方の導電処理の途中に、他方の接地処理を行って
もよいなど、これらの処理の順序は特に制限されるべき
ものではない。
【0052】また、導電処理された樹脂部品の導電部と
接地部との間を、抵抗体を介して電気的に接続する方法
(ないし装置構成)としては、特に制限されるものでは
なく、図1、2、5〜10などで説明したような方法や
装置構成などが挙げられるものであり、樹脂部品上に形
成された導電部と抵抗体との間を、ワーク治具(ないし
その導電部)を介して電気的に接続していてもよく、本
明細書中では、これらの治具までを含めて、単に樹脂部
品の導電部と称する場合もある。
接地部との間を、抵抗体を介して電気的に接続する方法
(ないし装置構成)としては、特に制限されるものでは
なく、図1、2、5〜10などで説明したような方法や
装置構成などが挙げられるものであり、樹脂部品上に形
成された導電部と抵抗体との間を、ワーク治具(ないし
その導電部)を介して電気的に接続していてもよく、本
明細書中では、これらの治具までを含めて、単に樹脂部
品の導電部と称する場合もある。
【0053】以上が、本発明の樹脂部品の静電塗装方法
およびその装置についての説明であるが、本発明の構成
要件として規定する以外の樹脂部品の静電塗装方法およ
びその装置に関しては、何ら制限されるべきものではな
く、従来公知の樹脂部品の静電塗装技術を適宜利用する
ことができることは言うまでもない。
およびその装置についての説明であるが、本発明の構成
要件として規定する以外の樹脂部品の静電塗装方法およ
びその装置に関しては、何ら制限されるべきものではな
く、従来公知の樹脂部品の静電塗装技術を適宜利用する
ことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であって、電気絶縁性能
の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗装を施す場合の一般
的な手段として、樹脂部品の表面に導電性塗料(プライ
マーとも称する)を塗布し、導電性塗膜を形成して表面
のみに導電性を付与した場合のアース線の接続の状態
(装置構成)を示す概略断面図である。
の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗装を施す場合の一般
的な手段として、樹脂部品の表面に導電性塗料(プライ
マーとも称する)を塗布し、導電性塗膜を形成して表面
のみに導電性を付与した場合のアース線の接続の状態
(装置構成)を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の他の実施形態であって、電気絶縁性
能の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗装を施す場合の一
般的な手段として、樹脂部品自体にカーボンブラックな
どの導電性フィラーを混入して樹脂部品に導電性を持た
せた場合のアース線の接続の状態(装置構成)を示す概
略断面図である。
能の高い樹脂部品(被塗物)に静電塗装を施す場合の一
般的な手段として、樹脂部品自体にカーボンブラックな
どの導電性フィラーを混入して樹脂部品に導電性を持た
せた場合のアース線の接続の状態(装置構成)を示す概
略断面図である。
【図3】 比較のための従来の樹脂部品のアースの状態
であって、図1と同様に、樹脂部品の表面に導電性塗膜
を形成して表面のみに導電性を付与した場合のアース線
の接続の状態(装置構成)を示す概略断面図である。
であって、図1と同様に、樹脂部品の表面に導電性塗膜
を形成して表面のみに導電性を付与した場合のアース線
の接続の状態(装置構成)を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の抵抗体の抵抗値と塗着効率との関
係、並びに抵抗体の抵抗値とスパーク発生傾向との関係
を示すグラフである。
係、並びに抵抗体の抵抗値とスパーク発生傾向との関係
を示すグラフである。
【図5】 本発明に用いられる樹脂部品の代表的な実施
形態の1つである自動車用バンパーの斜視図である。
形態の1つである自動車用バンパーの斜視図である。
【図6】 自動車用バンパーに導電性被覆材を貼着した
状態を示す断面図である。図6(a)は、図5の非塗装
部位の切断面線A−Aに沿う断面図であり、図6(b)
は、図5の切断面線B−Bに沿う断面図である。以下、
図7〜10でも同様の断面図を示すが、図10(a)で
は、塗装部位の切断面線A−Aに沿う断面図を示してい
る。
状態を示す断面図である。図6(a)は、図5の非塗装
部位の切断面線A−Aに沿う断面図であり、図6(b)
は、図5の切断面線B−Bに沿う断面図である。以下、
図7〜10でも同様の断面図を示すが、図10(a)で
は、塗装部位の切断面線A−Aに沿う断面図を示してい
る。
【図7】 抵抗体を介してアースされた状態のワーク治
具に自動車用バンパーを載置した状態を示す断面図であ
る。
具に自動車用バンパーを載置した状態を示す断面図であ
る。
【図8】 導電性プライマーを、ワーク治具に載置され
た自動車用バンパーの表面全体に塗装した状態を示す断
面図である。
た自動車用バンパーの表面全体に塗装した状態を示す断
面図である。
【図9】 抵抗体を介してアースされた状態で、自動車
用バンパーの導電性プライマー塗装表面全体に静電塗装
を行った状態を示す断面図である。
用バンパーの導電性プライマー塗装表面全体に静電塗装
を行った状態を示す断面図である。
【図10】 静電塗装後に導電性被覆材を剥がして、非
導電性部位が形成され、静電塗装工程が完了した状態の
自動車用バンパーを示す断面図である。
導電性部位が形成され、静電塗装工程が完了した状態の
自動車用バンパーを示す断面図である。
101、301・・・樹脂部品、 103、303・・・該
導電性塗膜、105、205・・・抵抗体、 1
07、207、307・・・アース線、109、209・・・接地部、
111、211・・・端子クリップ、201・・・樹脂部
品(導電部)、 501・・・自動車用バンパー、
502・・・自動車用バンパーの表面、 503・・・非塗装
部位、504・・・導電被覆材、 505・・・
ワーク治具(a)、506・・・ワーク治具(b)、
507・・・導電性プライマー、508・・・トップコート、
511・・・導電部、515・・・接地部、
517・・・抵抗体、519・・・アース線。
導電性塗膜、105、205・・・抵抗体、 1
07、207、307・・・アース線、109、209・・・接地部、
111、211・・・端子クリップ、201・・・樹脂部
品(導電部)、 501・・・自動車用バンパー、
502・・・自動車用バンパーの表面、 503・・・非塗装
部位、504・・・導電被覆材、 505・・・
ワーク治具(a)、506・・・ワーク治具(b)、
507・・・導電性プライマー、508・・・トップコート、
511・・・導電部、515・・・接地部、
517・・・抵抗体、519・・・アース線。
Claims (8)
- 【請求項1】 導電処理された樹脂部品の導電部と接地
部との間を、抵抗体を介して電気的に接続し、 かかる状態で該導電処理された樹脂部品に対して静電塗
装を行うことを特徴とする樹脂部品の静電塗装方法。 - 【請求項2】 前記樹脂部品の導電部と接地部との間
を、抵抗体を介して電気的に接続する工程が、樹脂部品
に導電性の塗料を塗布する工程よりも後に、または樹脂
部品に導電性の塗料を塗布する工程よりも前に行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品の静電塗装
方法。 - 【請求項3】 前記抵抗体の抵抗値が、前記樹脂部品の
塗装表面と該樹脂部品の導電部側のアース線取り付け部
との間の接触抵抗値よりも大きいことを特徴とする請求
項1または2に記載の樹脂部品の静電塗装方法。 - 【請求項4】 前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10G
Ωの間の値であることを特徴とする請求項1〜3のいず
れか1項に記載の樹脂部品の静電塗装方法。 - 【請求項5】 導電処理された樹脂部品の導電部と接地
部との間を電気的に接続するための装置構成を有する樹
脂部品の静電塗装装置において、 該樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け部と、接地
部側のアース線の取り付け部との間のアース線に、抵抗
体が挿入されてなることを特徴とする樹脂部品の静電塗
装装置。 - 【請求項6】 前記抵抗体の抵抗値が、前記樹脂部品の
塗装表面と該樹脂部品の導電部側のアース線の取り付け
部との間の接触抵抗値よりも大きいことを特徴とする請
求項5に記載の樹脂部品の静電塗装装置。 - 【請求項7】 前記抵抗体の抵抗値が、1MΩ〜10G
Ωの間の値であることを特徴とする請求項5または6に
記載の樹脂部品の静電塗装装置。 - 【請求項8】 前記樹脂部品の導電部側のアース線の取
り付け部が、前記樹脂部品を支持し搬送するための搬送
手段、または該搬送手段に連設されて前記樹脂部品を載
置するための載置手段に接続されていることを特徴とす
る請求項5〜7のいずれか1項に記載の樹脂部品の静電
塗装装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000237397A JP2002045734A (ja) | 2000-08-04 | 2000-08-04 | 樹脂部品の静電塗装方法およびその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000237397A JP2002045734A (ja) | 2000-08-04 | 2000-08-04 | 樹脂部品の静電塗装方法およびその装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002045734A true JP2002045734A (ja) | 2002-02-12 |
Family
ID=18729266
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000237397A Withdrawn JP2002045734A (ja) | 2000-08-04 | 2000-08-04 | 樹脂部品の静電塗装方法およびその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002045734A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014138919A (ja) * | 2013-01-21 | 2014-07-31 | Honda Motor Co Ltd | 静電塗装設備 |
WO2019202701A1 (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-24 | 本田技研工業株式会社 | 樹脂成形品の静電塗装装置および樹脂成形品の静電塗装方法 |
-
2000
- 2000-08-04 JP JP2000237397A patent/JP2002045734A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014138919A (ja) * | 2013-01-21 | 2014-07-31 | Honda Motor Co Ltd | 静電塗装設備 |
WO2019202701A1 (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-24 | 本田技研工業株式会社 | 樹脂成形品の静電塗装装置および樹脂成形品の静電塗装方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071106 |