JP2002036596A - 液体容器および液体容器製造方法 - Google Patents

液体容器および液体容器製造方法

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JP2002036596A
JP2002036596A JP2000229435A JP2000229435A JP2002036596A JP 2002036596 A JP2002036596 A JP 2002036596A JP 2000229435 A JP2000229435 A JP 2000229435A JP 2000229435 A JP2000229435 A JP 2000229435A JP 2002036596 A JP2002036596 A JP 2002036596A
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liquid
ink
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lyophilic
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English (en)
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Kenji Tsukada
憲児 塚田
Munehide Kanetani
宗秀 金谷
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Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電装置が誤って液体の有無を検出すること
が無い液体容器を提供する。液体の残量が少量になった
場合に、液体容器内に液体を再充填することができる液
体容器を提供する。液体が無い液体容器に液体を再充填
し、リサイクルすることが容易な液体容器を提供する。
液体容器をリサイクルする際に、容器内を洗浄すること
が容易な液体容器を提供する。 【解決手段】 本発明による液体容器は、液体を収容す
る容器と、液体を容器の外部へ供給する液体供給口と、
容器内の液体の消費状態を検出しかつ液体と親和性であ
る親液部を有する圧電装置と、を備える。当該液体容器
は、インク滴を吐出する記録ヘッドを有するインクジェ
ット記録装置に装着され、記録ヘッドへ容器内の液体を
供給することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響インピーダン
スの変化を検出することで、その中でも特に共振周波数
の変化を検出することで、液体を収容する液体容器内の
液体の消費状態を検知するための圧電装置が備えられた
液体容器およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、
圧力発生手段により圧力発生室のインクを印刷データに
対応させて加圧してノズル開口からインク滴を吐出させ
て印刷するインクジェット記録装置に適用される液体容
器およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明が適用される液体容器として、イ
ンクジェット式記録装置に装着されるインクカートリッ
ジを例にとって説明する。一般にインクジェット記録装
置には、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧さ
れたインクをノズル開口からインク滴として吐出するノ
ズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドが搭載
されたキャリッジと、流路を介して記録ヘッドに供給さ
れるインクを収容するインクタンクとを備えており、連
続印刷が可能なように構成されている。インクタンクは
インクが消費された時点で、ユーザが簡単に交換できる
ように、記録装置に対して着脱可能なカートリッジとし
て構成されているものが一般的である。
【0003】インクカートリッジのインク消費の管理方
法として、記録ヘッドによって吐出されるインク滴のカ
ウント数と、印字ヘッドのメンテナンス工程で吸引され
たインク量とをソフトウエアにより積算し、計算上でイ
ンク消費を管理する方法や、インクカートリッジに直接
液面検出用の電極を2本取付けることによって、実際に
インクが所定量消費された時点を検知することでインク
消費を管理する方法がある。
【0004】しかし、ソフトウェアによりインク滴の吐
出数や吸引されたインク量を積算してインク消費を計算
上で管理する方法は、計算上のインク消費量と実際の消
費量との間に無視できない誤差が生じてしまう。また、
同一カートリッジを一旦取外し、再度装着した場合には
積算されたカウント値は一旦リセットされてしまうの
で、実際のインク残量がまったくわからなくなってしま
う。
【0005】また、電極によりインクが消費された時点
を管理する方法は、電極とインクカートリッジとの間の
液密構造が複雑化する。さらに、電極の材料として、通
常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属を使用するの
で、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さら
に、2本の電極をそれぞれインクカートリッジの別な場
所に装着する必要があるため、製造工程が多くなる。
【0006】一方で、音響インピーダンスの変化を検出
することで、液体を収容する液体容器内の液体の消費状
態を検知する圧電装置による方法がある。本方法によれ
ば、上記した問題点は無い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、音響インピー
ダンスの変化を検出することで、液体を収容する液体容
器内の液体の消費状態を検知する圧電装置による方法で
は、インクの液面を検出するために圧電装置はインクと
接触する構造となっている。それ故、インクが消費さ
れ、液面が圧電装置の装着位置よりも下方にある状態の
とき、キャリッジの往復移動などにより液体容器が揺動
して液体が波うち、振動領域に液滴が付着してしまう
と、圧電装置は、インクが無いにもかかわらず、インク
が有ると誤って検出するおそれがある。また、インクカ
ートリッジの内壁面にインク滴が付着し、そのインク滴
が垂れ下がってきて、インクが圧電装置に誤って付着し
た場合にも、同様の誤検出が生じる可能性がある。
【0008】また、インクカートリッジの製造時やリサ
イクル時においてインクを充填する際に、圧電装置にイ
ンクが十分に接触していない場合には、インクが充填さ
ているにもかかわらずインクが無いと誤って検出する虞
がある。かかるインクカートリッジは不良として取り扱
われてしまう。
【0009】また、資源の再利用という観点から、イン
クカートリッジ内のインクが消費され、インクの残量が
少量になった場合に、インクカートリッジ内にインクを
簡単に再充填することが望まれる。さらに、インクが無
いインクカートリッジにインクを再充填し、インクカー
トリッジをリサイクルすることができればより優位であ
る。インクカートリッジをリサイクルする際には、イン
クカートリッジ内を容易に洗浄できることも望まれる。
【0010】そこで本発明は、容器本体の製造時やリサ
イクル時においてインクを充填する際に、圧電装置にイ
ンクが十分に接触することによってインクを充填または
再充填することが容易な液体容器を提供し、液体容器の
信頼性を高めることを目的とする。
【0011】また、圧電装置が誤って液体の有無を検出
することが無い液体容器を提供することを目的とする。
【0012】さらに、液体が無い液体容器に液体を再充
填し、リサイクルすることが容易な液体容器を提供する
ことを目的とする。
【0013】さらに、液体容器をリサイクルする際に、
容器内を洗浄することが容易な液体容器を提供すること
を目的とする。
【0014】この目的は特許請求の範囲における独立項
に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属
項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明に従った液
体容器の実施の形態によると、液体を収容する容器本体
と、容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口と、
容器本体内の液体の消費状態を検出する圧電装置とを備
え、容器本体内の液体と親和性がある親液部を有する。
好ましくは、親液部は圧電装置のうち容器本体内の液体
と接触する振動領域を含む。
【0016】圧電装置は容器本体内の液体と接触するこ
とができるように容器本体の内方に開口するキャビティ
を有してもよい。この場合、好ましくは、親液部はキャ
ビティの内側面を含む。
【0017】圧電装置は圧電性を有する材料を容器本体
に装着する基板を有してもよい。この場合、好ましく
は、親液部は基板のうち容器本体内の液体と接触する部
分を含む。
【0018】親液部は圧電装置を容器本体に取り付ける
ための取付構造体を含んでもよい。親液部は当該液体容
器のうち容器本体内の液体と接触する部分全体であって
もよい。好ましくは、親液部と容器本体内の液体との接
触角が約30度以下である。
【0019】本発明に従った液体容器にある親液部の少
なくとも周辺が容器本体内の液体と疎液性であってもよ
い。好ましくは、親液部と容器本体内の液体との接触角
が約30度以下であり、疎液部と容器本体内の液体との
接触角が60度以上である。
【0020】親液部は容器本体内の液体と親和性がある
材料を被覆することによって形成されてもよい。親液部
は容器本体内の液体と親和性がある材料から形成されて
もよい。親液部は所定の材料に粗面化処理を施すことに
よって形成されてもよい。親液部は所定の材料に紫外線
を照射することによって形成してもよい。
【0021】好ましくは、圧電装置は容器本体内の媒体
の少なくとも音響インピーダンスを検出し、この音響イ
ンピーダンスの変化にに基づいて液体の消費状態を検出
する。また、好ましくは、圧電装置は、振動する振動部
を有し、振動部に残留する残留振動によって発生する逆
起電力に基づいて、液体の消費状態を検出する。
【0022】好ましくは、当該液体容器は、インク滴を
吐出する記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に
装着され、記録ヘッドへ容器内の液体を供給する。
【0023】本発明に従った疎液部形成方法の実施の形
態は、液体を収容する容器本体と、容器本体内の液体を
外部へ供給する液体供給口と、容器本体内の液体の消費
状態を検出する圧電装置とを備え液体容器に、容器本体
内の液体と親和性がある親液部を形成する。
【0024】容器本体内の液体と親和性がある材料を被
覆する被覆ステップを有してもよい。
【0025】被覆ステップは、予め容器本体内の液体と
親和性がある材料に浸漬させることによって容器本体内
の液体と親和性がある材料を被覆してもよい。
【0026】被覆ステップは、容器本体内の液体と親和
性がある材料を塗布することによって、容器本体内の液
体と親和性がある材料を被覆してもよい。
【0027】被覆ステップは、容器本体内の液体と親和
性がある被膜層を貼付することによって、容器本体内の
液体と親和性がある材料を被覆してもよい。
【0028】被覆ステップは、容器本体内の液体と親和
性がある材料を堆積することによって、容器本体内の液
体と親和性がある材料を被覆してもよい。
【0029】被覆ステップは、容器本体内の液体と親和
性がある材料をメッキ処理することによって、容器本体
内の液体と親和性がある材料を被覆してもよい。
【0030】容器本体内の液体と親和性がある材料で親
液部を形成する形成ステップを有してもよい。所定の材
料に紫外線を照射することによって親液部を形成する形
成ステップを有してもよい。親液部は所定の材料に粗面
化処理を施すことによって親液部を形成する形成ステッ
プを有してもよい。
【0031】また、本発明に従った液体容器製造方法の
実施例としては、液体を収容するための容器本体および
容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備えた
液体容器と、容器本体内の液体の消費状態を検出する圧
電装置とを準備し、圧電装置に容器本体内の液体と親液
性がある親液部を形成した後に圧電装置を液体容器に配
備してもよく、圧電装置を液体容器に配備した後に圧電
装置に容器本体内の液体と親液性がある親液部を形成し
てもよい。
【0032】さらに、本発明に従った液体容器製造方法
の実施例としては、液体を収容するための容器本体およ
び容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備え
た液体容器と、容器本体内の液体の消費状態を検出する
圧電装置と、圧電装置を液体容器に取り付けるための取
付構造体とを準備し、圧電装置を取付構造体に配備した
後に少なくとも圧電装置に容器本体内の液体と親液性が
ある親液部を形成し、親液部の形成後に取付構造体を容
器本体に取り付けてもよく、少なくとも圧電装置に容器
本体内の液体と親液性がある親液部を形成した後に、圧
電装置を取付構造体に配備し、該取付構造体を容器本体
に取り付けてもよい。
【0033】なお上記の発明の概要は、本発明の必要な
特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群の
サブコンビネーションも又発明となりうる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通じて
本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかか
る発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明
されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に
必須であるとは限らない。
【0035】本発明の基本的概念は、振動現象を利用す
ることで、液体容器内の液体の状態(液体容器内の液体
の有無、液体の量、液体の水位、液体の種類、液体の組
成を含む)を検出することである。具体的な振動現象を
利用した液体容器内の液体の状態の検出としてはいくつ
かの方法が考えられる。例えばアクチュエータが液体容
器の内部に対して弾性波を発生し、液面あるいは対向す
る壁によって反射する反射波を受波することで、液体容
器内の媒体およびその状態の変化を検出する方法があ
る。また、これとは別に、振動する物体の振動特性から
音響インピーダンスの変化を検知する方法もある。音響
インピーダンスの変化を利用する方法としては、圧電素
子を有する圧電装置またはアクチュエータの振動部を振
動させ、その後に振動部に残留する残留振動によって生
ずる逆起電力を測定することによって、共振周波数また
は逆起電力波形の振幅を検出することで音響インピーダ
ンスの変化を検知する方法や、測定機、例えば伝送回路
等のインピーダンスアナライザによって液体のインピー
ダンス特性またはアドミッタンス特性を測定し、電流値
や電圧値の変化または、振動を液体に与えたときの電流
値や電圧値の周波数による変化を測定する方法がある。
【0036】図1は、本発明が適用される単色、例えば
ブラックインク用のインクカートリッジの一実施形態の
断面図である。図1のインクカートリッジは、圧電素子
を有する圧電装置またはアクチュエータの振動部を振動
させ、その後に振動部に残留する残留振動によって生ず
る逆起電力を測定することによって、共振周波数または
逆起電力波形の振幅を検出することで音響インピーダン
スの変化を検知する方法に基づいている。音響インピー
ダンスの変化を検知する手段としてアクチュエータ10
6が用いられる。インクを収容する容器本体1には、記
録装置のインク供給針に接合するインク供給口2が設け
られている。容器本体1の底面1aの外側には、アクチ
ュエータ106が貫通孔1cを介して内部のインクと接
触できるように取付けられている。また、好ましくは、
アクチュエータ106は、貫通口1cを介して容器本体
1内のインクと接触することができるように容器本体1の
側壁に配備される。さらに、インクKがほぼ消費されつ
くした段階、つまりインクニアエンドとなった時点で、
アクチュエータ106と接触する媒体がインクから気体
へと変更するべく、アクチュエータ106はインク供給
口2よりも若干上方の位置に設けられている。なお、振
動を発生する手段を独立して設け、アクチュエータ10
6を単に検知手段として用いても良い。
【0037】インク供給口2にはパッキン4及び弁体6
が設けられている。図2に示すように、パッキン4は記
録ヘッド31に連通するインク供給針32と液密に係合
する。弁体6は、バネ5によってパッキン4に対して常
時弾接されている。インク供給針32が挿入されると、
弁体6はインク供給針32に押されてインク流路を開放
し、容器本体1内のインクがインク供給口2およびイン
ク供給針32を介して記録ヘッド31へ供給される。容
器本体1の上壁の上には、インクカートリッジ内のイン
クに関する情報を格納した半導体記憶手段7が装着され
ている。
【0038】図2は、図1に示したインクカートリッジ
に適したインクジェット記録装置の要部の実施形態を示
す断面図である。記録用紙の幅方向に往復動可能なキャ
リッジ30は、サブタンクユニット33を備えていて、
記録ヘッド31がサブタンクユニット33の下面に設け
られている。また、インク供給針32はサブタンクユニ
ット33のインクカートリッジ搭載面側に設けられてい
る。
【0039】図3は、圧電装置の一実施形態であるアク
チュエータ106の図である。ここでいうアクチュエー
タは、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して
液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられ
る。特に、残留振動により共振周波数の検出すること
で、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液
体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられ
る。図3(A)は、アクチュエータ106の拡大平面図
である。図3(B)は、アクチュエータ106のB−B
断面を示す。図3(C)は、アクチュエータ106のC
-C断面を示す。
【0040】アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形
状の開口161を有する基板178と、開口161を被
覆するように基板178の一方の面(以下、表面とい
う)に配備される振動板176と、振動板176の表面
の側に配置される圧電層160と、圧電層160を両方
からはさみこむ上部電極164および下部電極166
と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子1
68と、下部電極166と電気的に結合する下部電極端
子170と、上部電極164および上部電極端子168
の間に配設され、かつ両者を電気的に結合する補助電極
172と、を有する。圧電層160、上部電極164お
よび下部電極166はそれぞれの主要部として円形部分
を有する。圧電層160、上部電極164および下部電
極166のそれぞれの円形部分は圧電素子を形成する。
【0041】振動板176は、基板178の表面に、開
口161を覆うように形成される。キャビティ162
は、振動板176の開口161と面する部分と基板17
8の表面の開口161とによって形成される。基板17
8の圧電素子とは反対側の面(以下、裏面という)は液
体容器側に面しており、キャビティ162は液体と接触
するように構成されている。キャビティ162内に液体
が入っても基板178の表面側に液体が漏れないよう
に、振動板176は基板178に対して液密に取り付け
られる。
【0042】下部電極166は振動板176の表面、即
ち液体容器とは反対側の面に位置しており、下部電極1
66の主要部である円形部分の中心と開口161の中心
とがほぼ一致するように取り付けられている。なお、下
部電極166の円形部分の面積が開口161の面積より
も小さくなるように設定されている。一方、下部電極1
66の表面側には、圧電層160が、その円形部分の中
心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成され
ている。圧電層160の円形部分の面積は、開口161
の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の
面積よりも大きくなるように設定されている。
【0043】一方、圧電層160の表面側には、上部電
極164が、その主要部である円形部分の中心と開口1
61の中心とがほぼ一致するように形成される。上部電
極164の円形部分の面積は、開口161および圧電層
160の円形部分の面積よりも小さく、かつ下部電極1
66の円形部分の面積よりも大きくなるよう設定されて
いる。
【0044】したがって、圧電層160の主要部は、上
部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによ
って、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造
となっていて、圧電層160を効果的に変形駆動するこ
とができる。圧電層160、上部電極164および下部
電極166のそれぞれの主要部である円形部分がアクチ
ュエータ106における圧電素子を形成する。上述のよ
うに圧電素子は振動板176に接している。また、上部
電極164の円形部分、圧電層160の円形部分、下部
電極166の円形部分および開口161のうちで、面積
が最も大きいのは開口161である。この構造によっ
て、振動板176のうち実際に振動する振動領域は、開
口161によって決定される。また、上部電極164の
円形部分、圧電層160の円形部分および下部電極16
6の円形部分は開口161より面積が小さいので、振動
板176がより振動しやすくなる。さらに、圧電層16
0と電気的に接続する下部電極166の円形部分および
上部電極164の円形部分のうち、下部電極166の円
形部分の方が小さい。従って、下部端子166の円形部
分が圧電層160のうち圧電効果を発生する部分を決定
する。
【0045】上部電極端子168は、補助電極172を
介して上部電極164と電気的に接続するように振動板
176の表面側に形成される。一方、下部電極端子17
0は、下部電極166に電気的に接続するように振動板
176の表面側に形成される。上部電極164は、圧電
層160の表面側に形成されるため、上部電極端子16
8と接続する途中において、圧電層160の厚さと下部
電極166の厚さとの和に等しい段差を有する必要があ
る。上部電極164だけでこの段差を形成することは難
しく、かりに可能であったとしても上部電極164と上
部電極端子168との接続状態が弱くなってしまい、切
断してしまう危険がある。そこで、補助電極172を補
助部材として用いて上部電極164と上部電極端子16
8とを接続させている。このようにすることで、圧電層
160も上部電極164も補助電極172に支持された
構造となり、所望の機械的強度を得ることができ、また
上部電極164と上部電極端子168との接続を確実に
することが可能となる。
【0046】なお、圧電素子と振動板176のうちの圧
電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106
において実際に振動する振動部である。また、アクチュ
エータ106に含まれる部材は、互いに焼成されること
によって一体的に形成されることが好ましい。アクチュ
エータ106を一体的に形成することによって、アクチ
ュエータ106の取り扱いが容易になる。さらに、基板
178の強度を高めることによって振動特性が向上す
る。即ち、基板178の強度を高めることによって、ア
クチュエータ106の振動部のみが振動し、アクチュエ
ータ106のうち振動部以外の部分が振動しない。ま
た、アクチュエータ106の振動部以外の部分が振動し
ないためには、基板178の強度を高めるのに対し、ア
クチュエータ106の圧電素子を薄くかつ小さくし、振
動板176を薄くすることによって達成できる。
【0047】圧電層160の材料としては、ジルコン酸
チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン
(PLZT)または鉛を使用しない鉛レス圧電膜を用い
ることが好ましく、基板178の材料としてジルコニア
またはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板
176には、基板178と同じ材料を用いることが好ま
しい。上部電極164、下部電極166、上部電極端子
168および下部電極端子170は、導電性を有する材
料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニ
ッケルなどの金属を用いることができる。
【0048】上述したように構成されるアクチュエータ
106は、液体を収容する容器に適用することができ
る。例えば、インクジェット記録装置に用いられるイン
クカートリッジやインクタンク、あるいは記録ヘッドを
洗浄するための洗浄液を収容した容器などに装着するこ
とができる。
【0049】図3に示されるアクチュエータ106は、
液体容器の所定の場所に、キャビティ162を液体容器
内に収容される液体と接触するように装着される。液体
容器に液体が十分に収容されている場合には、キャビテ
ィ162内およびその外側は液体によって満たされてい
る。一方、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ
の装着位置以下まで液面が降下すると、キャビティ16
2内にのみ液体が残存し、その外側には気体が存在する
状態となる。アクチュエータ106は、この状態の変化
に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検
出する。それによって、アクチュエータ106は、液体
容器に液体が十分に収容されている状態であるか、ある
いはある一定以上の液体が消費された状態であるかを検
知することができる。さらに、アクチュエータ106
は、液体容器内の液体の種類も検出することが可能であ
る。
【0050】図4(A)および図4(B)は、それぞれ
親液性でない材料および親液性の材料を示す図である。
本実施例において、親液性は、任意の液体との親和性を
意味し、親水性、親油性、超親水性、超親油性等を含
む。
【0051】図4(A)および図4(B)において、液
体Lと材料B1または材料B2とはそれぞれ接触角θ1
または接触角θ2の角度で接触する。図4(A)におい
て、接触角θ1は接触角θ2に比較して大きい。材料B
1は、親液処理が施されておらず親液性を有さないから
である。一方で、図4(B)において、接触角θ2は比
較的鋭い鋭角になっており、材料B2が液体Lと親和性
であることを示す。本実施例においては、親液部に対す
る液体の接触角は約30度以下であり、接触角は0度に
より近い方が好ましい。
【0052】親液部は、材料自体を親液性にしてもよ
い。また、材料自体が親液性でない場合であっても、親
液性の材料を被覆することによって、親液性にしてもよ
い。親液性の高い材料は、液体との関係において液体の
表面張力が小さい材料といってもよい。
【0053】図5(A)および図5(B)は、アクチュ
エータ106が容器本体1の側壁に配備されている部分
を拡大した断面図である。図5(A)は親液部を有しな
い従来例の断面図である。図5(B)は本発明による実
施例の断面図である。
【0054】本実施例において、親液部は容器本体1内
のインクに対して親インク性を有する部分を意味する。
【0055】図5(A)の従来例においては、親液部が
ない。従って、アクチュエータ106の周辺にインクが
無いときにインクが振動領域176aに誤って付着した
場合に、インク滴Mが滞留する。それにより、アクチュ
エータ106は、インクが無いにもかかわらず、インク
が有ると誤って検出する虞がある。
【0056】一方で、図5(B)において、アクチュエ
ータ106は容器本体1内のインクと親インク性である
親液部を有する。振動板176のうち、少なくともイン
クと接触する振動領域176aが親液部に含まれる。振
動領域176aが親液部に含まれることによって、アク
チュエータ106の周辺にインクが無いときに、インク
が振動領域176aに誤って付着しても、インクとの接
触角が小さいので、インクは振動領域176aの表面に
薄く滞留するのみであり、多くのインクは滞留せずに流
れ落ちる。従って、アクチュエータ106のインクの検
出に影響しない。また、気化したインクが、インクカー
トリッジ内外の温度差により、振動領域176aに結露
することを防止する効果もある。仮にインクが結露した
場合であっても、インクとの接触角が小さいので、イン
クは振動領域176aの表面に薄く滞留するのみであ
る。従って、アクチュエータ106は、インクが無いに
もかかわらず、インクが有ると誤って検出することがな
い。尚、親液部に含まれる振動領域176aの表面に滞
留するインクは非常に薄いので、図5(B)においては
図示していない。
【0057】振動領域176aの周辺を親液部に含めて
も良い。例えば、キャビティ162の内側面161aを
親液部に含めてもよい。さらに、容器本体1の内方へ向
かう基板178の基板裏面178aを親インク性として
もよい。また、アクチュエータ106だけでなく、容器
本体1の貫通孔1cや容器本体1の内壁面1dを親インク
性とすることによって、アクチュエータ106および容
器本体1を親液部としてもよい。このように、振動領域
176aの周辺を親液部にすることによって、誤って付
着したインクをキャビティ162や貫通口1cに滞留さ
せることがない。
【0058】さらに、キャビティ162内または貫通孔
1c内を親インク性にすることによって、インクカート
リッジ内にインクを再充填する場合に、インクがキャビ
ティ162内または貫通孔1c内に入り易いという効果
がある。このため、特別な方法を要することなく、イン
クをインクカートリッジ内に容易に再充填することがで
きる。よって、インクカートリッジを容易にリサイクル
することができる。よって、インクジェット記録装置に
装着されたインクカートリッジに配備されたアクチュエ
ータ106がインクエンドを検知したときに、ユーザー
は、容易にインクをインクカートリッジへ補充すること
ができる。
【0059】図5の実施例においては、インクの液面が
アクチュエータ106を通過した後、インクはキャビテ
ィ162または貫通項1c内に残存しないようにキャビ
ティ162または貫通項1cを設計してある。しかし、
キャビティ162または貫通項1c内にインクを積極的
に残存させるようにキャビティ162または貫通項1c
を設計してもよい。キャビティ162または貫通項1c
内を親インク性にし、かつキャビティ162または貫通
項1cに作用する毛細管力を利用することによって、キ
ャビティ162または貫通項1c内にインクを容易に残
存させることができる。
【0060】キャビティ162または貫通項1c内にイ
ンクを積極的に残存させるようにキャビティ162また
は貫通項1cを設計することによって以下の利点があ
る。即ち、液体容器が揺動して液面が波立ったとして
も、インクがキャビティ162または貫通項1c内に残
存しているため、誤ってインク滴がアクチュエータ10
6の振動領域に付着することがない。よって、アクチュ
エータの誤動作を防止することができる。また、キャビ
ティ162または貫通項1cに液体容器内の液体が残っ
ている場合を、液体の有無の閾値とする。キャビティ1
62の周辺に液体が無く、この閾値よりキャビティ16
2または貫通項1c内の液体が少ない場合は、インク無
しと判断し、キャビティ162または貫通項1cの周辺
に液体が有り、この閾値より液体が多い場合は、インク
有りと判断する。このように閾値を設定することによっ
て、キャビティ内のインクが乾燥してインクが無くなっ
たときであってもインク無しと判断し、キャビティ内の
インクが無くなったところにキャリッジの揺れなどで再
度インクがキャビティに付着しても閾値を越えないの
で、インク無しと判断することができる。
【0061】図5の実施例に戻り、アクチュエータ10
6、容器本体1およびインク供給口2を含め、インクカ
ートリッジ内のインクが接触している部分の全部を親イ
ンク性にしてもよい。かかる場合には、インクカートリ
ッジ内のインクと接触する部分の全部が親液部になる。
【0062】インクカートリッジ内部の全体を親液性に
することにより、親液性を有する所定の洗浄液によって
インクカートリッジ内を容易に洗浄することができる。
より詳細には、インクカートリッジを使用した後、親液
性を有する液体でインクカートリッジ内を洗浄する。こ
の所定の洗浄液は容器本体1内に収容されていたインク
よりもインクカートリッジ内の内壁やアクチュエータ1
06と親和性の高い液体であることが好ましい。例え
ば、水性のインクがインクカートリッジ内に残存してい
る場合に、インクカートリッジ内部とより親和性が高い
油性の洗浄液で洗浄する。洗浄液の種類は、インクカー
トリッジ内の内壁やアクチュエータ106とインクより
高い親液性を有すればよく、特に限定はない。洗浄液
は、インクカートリッジ内の内壁やアクチュエータ10
6とインクより高い親液性を有するので、インクカート
リッジ内の内壁やアクチュエータ106とより馴染み易
い。従って、インクカートリッジ内に残存していた古い
インクや不純物を簡単に洗い流すことができる。さら
に、洗浄液の沸点が低ければ洗浄後の乾燥が容易になる
のでより好ましい。
【0063】また、インクカートリッジ内へ再充填する
インク自体を所定の洗浄液としてもよい。かかる場合に
は、再充填したインク自身がインクカートリッジ内の内
壁やアクチュエータ106と親和性を有する。従って、
インクカートリッジは所定の洗浄液を必要としない。本
実施例によれば、容器本体1内に不純物を溜めることな
く、インクカートリッジをリサイクルすることができ
る。
【0064】さらに、アクチュエータ106を親液性に
することによって、インクを容器本体1内に再充填した
場合にインクがアクチュエータ106と馴染み易い。よ
って、アクチュエータ106のキャビティ内にインクが
容易に導入される。従って、インクを容器本体1内に再
充填したインクカートリッジをインクジェット記録装置
に装着した場合に、アクチュエータ106がインク無し
と誤って検出することが無い。
【0065】逆に、インクカートリッジ内のインクが消
費されたときに、キャビティ162または貫通孔1c内
にインクを残存させるように親液部を形成することもで
きる。例えば、振動領域176aおよびキャビティ16
2の内側面161aを親インク性にし、かつ開口161
は毛細管力が作用する大きさとする。それによって、キ
ャビティ162内にインクが入りやすく、かつ一旦キャ
ビティ162内にインクが満たされると毛細管力によっ
てインクを保持する。従って、インクカートリッジ内の
インクが消費され、アクチュエータ106の周辺にイン
クが無い場合であっても、キャビティ162内にインク
が残存する。さらに、貫通口1cを毛細管力が作用する
大きさとすることによって、キャビティ162内だけで
なく、貫通口1c内にインクを残存させるように設計し
ても良い。
【0066】また、例えば、キャビティ162内にイン
クを残存させるために、キャビティ162内を親インク
性にしつつ、キャビティ162の周辺の基板裏面178
aを疎インク性にしてもよい。
【0067】疎液性は、任意の液体との疎性を意味し、
疎水性、疎油性、撥水性、撥油性、離水性、離油性、超
疎水性、超疎油性、超撥水性、超撥油性、超離水性、超
離油性等を含む。また、疎液部に対する液体の接触角は
60度以上であり、180度により近い方が好ましい。
【0068】また、貫通孔1c内にインクを残存させる
ために、キャビティ162内、基板裏面178aおよび
貫通孔1cの内壁を親インク性にしつつ、貫通孔1cの
周辺の内側面1dを疎インク性にしてもよい。
【0069】キャビティ162または貫通孔1c内を親
インク性にしつつ、キャビティ162または貫通孔1c
の周辺を疎インク性にすることによって、キャビティ1
62または貫通孔1c内に確実にインクが残存する。一
方で、インクを残存させる部分の周辺にインクが誤って
付着することを防止することができる。
【0070】キャビティ162内に液体容器内の液体が
残るように設計する理由は次の通りである。アクチュエ
ータの液体容器への取り付け位置や取り付け角度によっ
ては、液体容器内の液体の液面がアクチュエータの装着
位置よりも下方にあるにもかかわらず、アクチュエータ
の振動領域に液体が付着してしまう場合がある。振動領
域における液体の有無だけでアクチュエータが液体の有
無を検出している場合には、アクチュエータの振動領域
に付着した液体が液体の有無の正確な検出を妨げる。た
とえば、液面がアクチュエータの装着位置よりも下方に
ある状態のとき、キャリッジの往復移動などにより液体
容器が揺動して液体が波うち、振動領域に液滴が付着し
てしまうと、アクチュエータは液体容器内に液体が充分
にあるとの誤った判断をしてしまう。そこで、逆にそこ
に液体を残存した場合であっても液体の有無を正確に検
出するように設計されたキャビティを積極的に設けるこ
とで、液体容器が揺動して液面が波立ったとしても、ア
クチュエータの誤動作を防止することができる。このよ
うに、キャビティ内を親液性にし、積極的にキャビティ
内に液体を残存させることによってアクチュエータの誤
動作を防ぐことができる。
【0071】また、インクが消費されインクの液面がア
クチュエータ106を通過した後に、アクチュエータ1
06のキャビティ162に液体容器内の液体が残ってい
る場合を、液体の有無の閾値とする。すなわち、キャビ
ティ162の周辺に液体が無く、この閾値よりキャビテ
ィ内の液体が少ない場合は、インク無しと判断する。キ
ャビティ162の周辺に液体が有り、この閾値より液体
が多い場合は、インク有りと判断する。例えば、アクチ
ュエータ106を液体容器の側壁に装着した場合、液体
容器内の液体がアクチュエータ106の装着位置よりも
下にある場合には、キャビティ内の液体が閾値より少な
いので、アクチュエータ106はインク無しを検知す
る。液体容器内の液体がアクチュエータ106の装着位
置より上にある場合には、キャビティ内の液体が閾値よ
り多いので、アクチュエータ106はインク有りを検知
する。このように閾値を設定することによって、キャビ
ティ内のインクが乾燥してインクが無くなったときであ
ってもインク無しと判断する。キャビティ内のインクが
無くなったところにキャリッジの揺れなどで再度インク
がキャビティに付着しても閾値を越えないので、インク
無しと判断することができる。
【0072】尚、アクチュエータ106をインクの液面
が通過した後、キャビティ162を親液部としてキャビ
ティ162内にのみインクを残存させる場合には、キャ
ビティ162内に残存しているインクの量が閾値とな
る。キャビティ162および貫通孔1cを親液部として
キャビティ162および貫通孔1c内にインクを残存さ
せる場合には、キャビティ162および貫通孔1c内に
残存しているインクの量が閾値となる。
【0073】キャビティ162や貫通口1c内にインク
を残存させるか否かは、アクチュエータ106の使用の
目的や装着位置等により決定すれば良い。
【0074】次に、親液性の材料について説明する。親
液部を形成するための親液性の材料は限定しない。従っ
て、任意の親液性の材料を使用することができる。親液
性の強い材料としては、例えば、光触媒を被覆し紫外線
を照射したもの、無機材料、活性化表面を有するもの、
親水性エポキシ化合物、シリカ微粒子、分子内にカルボ
キシル基、フェノール性水酸基、エポキシ基から選ばれ
る官能基を2個以上有する化合物がある。
【0075】光触媒の材料としては酸化チタン光触媒が
考えられる。より詳細には、アナターゼ型チタニア、ル
チル型チタニアがある。これらの材料を所定の部分に塗
布し、紫外線を照射することによって、親液部が得られ
る。
【0076】シリカ粒子としては、水または有機溶媒に
分散安定化されたコロイド状シリカを用いることが考え
られる。例えば、水酸基やアミノ基を含有する樹脂に無
機シリカを加えた物がある。水酸基を含有する樹脂とし
てはアクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキ
シ樹脂等がある。アミノ基を含有する樹脂としては、ア
ミド樹脂、アミノ樹脂がある。樹脂中に水酸基とアミノ
基の両者を含有するように、樹脂を混合したり、樹脂合
成時に複合化してもよい。より詳細には、アクリルアミ
ド樹脂、メタクリルアミド樹脂、アミノアクリル樹脂、
エポキシ−アミド樹脂、アミノ−エポキシ樹脂等があ
る。樹脂の水酸基当量やアミノ基当量、水酸基とアミノ
基当量を官能基として考えた場合の官能基当量は、30
00以下のときに、親水性が良好である。
【0077】さらに、有機シラン化合物と、上述した水
酸基含有樹脂、アミノ基含有樹脂、または水酸基および
アミノ基を含有する樹脂と、を反応させたものを親液性
の材料として使用してもよい。
【0078】所定の材料の表面に親液性の材料を被覆す
る方法も特定しない。従って、親液性の材料を被覆する
ための任意の方法を使用することができる。親液性の材
料を被覆する方法としては、例えば、メッキ処理、コー
ティング、堆積などの方法がある。その他の既知の任意
の技術を用いて親液性の材料を被覆すればよい。例え
ば、コーティングによる方法の場合、親液部が回転する
前にもしくは回転しているときに親液性の部材を垂ら
し、親液部を回転させることことによって被覆するスピ
ンコート、親液部を親液性の部材に浸漬することによっ
て被覆するディップコート、ロールによって親液性の部
材を親液部に塗布するロールコートによるコーティング
などで塗布してもよい。また、単に刷毛などによって親
液性の部材を親液部に塗布してもよい。また、疎液部は
疎液性の材料から形成される被膜層を所定箇所に貼付す
ることによって形成してもよい。堆積による方法には、
CVD、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着が
ある。
【0079】材料の表面の粗度が親液性に影響する場合
がある。例えば、接触角が90度以下の材料を粗面化処
理することによって親液性が高まる。また、例えば、材
料がフラクタル構造を有する親水性の材料の場合には、
表面の粗度を高めると超親水表面または超親油表面にな
る。従って、フラクタル構造を有する親液性の材料の表
面を粗面化処理することによって、親液部を形成しても
よい。ただし、粗面化処理することによって親液性にな
る材料であれば、フラクタル構造を有する材料に限定し
ない。
【0080】図6(A)および図6(B)は、図3のア
クチュエータ106が容器本体1の側壁に配備されてい
る部分において、アクチュエータ106およびその周辺
にインクが無いにもかかわらずインク滴が誤って付着し
た場合の図である。図6(A)は、従来のインクカート
リッジの部分を示す断面図である。図6(B)は、イン
クカートリッジ内部においてインクが接触する部分が、
親液性の材料によって形成または被覆されているインク
カートリッジの部分を示す断面図である。
【0081】図6(A)のインクカートリッジでは、親
液処理が施されておらず、インクの接触角θ1が比較的
大きい。よって、アクチュエータ106が配備されてい
る貫通口1cの部分にインクが誤って付着した場合、イ
ンクは貫通口1cの部分に滞留する。接触角θ1は約3
0度から約60度である。
【0082】一方で、図6(B)のインクカートリッジ
では、親液処理が施され、インクの接触角θ2が比較的
小さく鋭角である。アクチュエータ106が配備されて
いる貫通口1cの部分にインクが誤って付着した場合で
も、インクは親液部に馴染む。しかし、インクは親液部
の表面に薄く滞留するのみであり、多くのインクは滞留
せずに流れ落ちる。従って、インクが貫通口1cの部分
に留まることがない。接触角θ2は約20度以下であ
り、0度により近い方が好ましい。
【0083】従って、図6(A)のインクカートリッジ
では、アクチュエータ106がインクが無いにもかかわ
らず、インクが有ると誤って検出する虞がある。図6
(B)のインクカートリッジでは、アクチュエータ10
6がインクが無いにもかかわらず、インクが有ると誤っ
て検出することが無い。
【0084】図7は、アクチュエータ106を取り付け
るための取付構造体の一形態として、モジュール体10
0を示す斜視図である。モジュール体100はインクカ
ートリッジの容器本体1の所定個所に装着される。モジ
ュール体100は、インク液中の少なくとも音響インピ
ーダンスの変化を検出することにより、容器本体1内の
液体の消費状態を検知するように構成されている。本実
施形態のモジュール体100は、容器本体1にアクチュ
エータ106を取り付けるための液体容器取付部101
を有する。また、アクチュエータ106をモジュール体
100に配備するための圧電装置装着部105が設けら
れる。液体容器取付部101は、平面がほぼ矩形の基台
102上に駆動信号により発振するアクチュエータ10
6を収容した円柱部116を載せた構造になっている。
また、モジュール体100が、インクカートリッジに装
着されたときに、モジュール体100のアクチュエータ
106が外部から接触できないように構成されているの
で、アクチュエータ106を外部の接触から保護するこ
とができる。なお、円柱部116の先端側エッジは丸み
が付けられていて、インクカートリッジに形成された孔
へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0085】本実施例における親液部を有するインクカ
ートリッジの製造方法としては以下の方法が挙げられ
る。
【0086】第1の実施例は、図3のアクチュエータ1
06をキャビティ162が露出するように所定の治具に
備えもしくはマスキングする。親液部を形成するための
装置に所定の治具を取り付け、キャビティ162の内部
を親液性にする。その後にモジュール体100にアクチ
ュエータ106を取り付け、モジュール体100をイン
クカートリッジに配備する。所定の治具はキャビティ1
62の部分に孔を設けた樹脂、金属の材料から形成され
る。また、熱可塑性樹脂を用いてキャビティ162以外
の部分をマスキングしてもよい。本実施例によって、ア
クチュエータ106にのみ親液部を形成することができ
る。また、親液部を形成するためにアクチュエータ10
6を取り扱うことができれば足りる。従って、インクカ
ートリッジの製造設備が比較的小さくすることができ
る。それにより、同一のインクカートリッジを製造する
ためのコストを低減させることができる。
【0087】第2の実施例は、モジュール体100に図
3のアクチュエータ106を取り付ける。その後にアク
チュエータ106をキャビティ162が露出するように
所定の治具に備えもしくはマスキングする。親液部を形
成するための装置に所定の治具を取り付け、キャビティ
162の内部またはキャビティ162の内部およびその
周辺のモジュール体100を親液性にする。その後にモ
ジュール体100をインクカートリッジに配備する。本
実施例によって、アクチュエータ106の周辺にあるモ
ジュール体100の部分をキャビティ162の内部と同
時に親液化処理することによって、キャビティ162の
内部およびその周辺のモジュール体100を親液性にす
ることができる。
【0088】第3の実施例は、モジュール体100に図
3のアクチュエータ106を取り付け、モジュール体1
00をインクカートリッジに配備する。その後にアクチ
ュエータ106をキャビティ162が露出するように所
定の治具に備えもしくはマスキングする。親液部を形成
するための装置に所定の治具を取り付け、キャビティ1
62の内部またはキャビティ162の内部およびその周
辺のモジュール体100を親液性にする。本実施例によ
って、アクチュエータ106、モジュール体100およ
びインクカートリッジの内部を同時に親液化処理するこ
とによって、キャビティ162の内部およびその周辺の
モジュール体100さらにインクカートリッジの内部を
親液性にすることができる。
【0089】本実施例によるモジュール体100につい
ても、インクと接触する部分を親液性にすることが好ま
しい。
【0090】図8は、複数種類のインクを収容するイン
クカートリッジの一実施例を示す裏側から見た斜視図で
ある。容器8は、隔壁により3つのインク室9、10及
び11に分割される。それぞれのインク室には、インク
供給口12、13及び14が形成されている。それぞれ
のインク室9、10及び11の底面8aには、アクチュ
エータ15、16および17が、容器8を介して各イン
ク室内に収容されているインクに弾性波を伝達できるよ
うに取付けられている。本実施例によるインクカートリ
ッジの容器8内またはアクチュエータ15、16および
17についても、インクと接触する部分を親液性にする
ことが好ましい。
【0091】以上、本発明を実施の形態を用いて説明し
たが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範
囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又
は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を
加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、
特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0092】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明に
よる液体容器によれば、容器本体の製造時やリサイクル
時においてインクを充填する際に、圧電装置にインクが
十分に接触することによってインクを充填または再充填
することが容易となり、液体容器の信頼性を高めること
ができる。
【0093】また、本発明による液体容器によれば、誤
って液体の有無を検出することが無い。
【0094】また、本発明による圧電装置によれば、液
体の残量が少量になった場合に、液体容器内に液体を再
充填することができる。さらに、液体が無い液体容器に
液体を再充填し、リサイクルすることが容易である。
【0095】さらに、本発明による圧電装置によれば、
液体容器をリサイクルする際に、容器内を洗浄すること
が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される単色、例えばブラックイン
ク用のインクカートリッジの一実施形態の断面図であ
る。
【図2】図1に示したインクカートリッジに適したイン
クジェット記録装置の要部の実施形態を示す断面図であ
る。
【図3】圧電装置の一実施形態であるアクチュエータ1
06の図である。
【図4】ある液体に対して親液性である材料と疎液性で
ある材料とを示す図である。
【図5】アクチュエータ106が容器本体1に配備され
ている部分を拡大した断面図である。
【図6】アクチュエータ106の周辺にインクが無いに
もかかわらずインク滴が誤って付着した場合の図であ
る。
【図7】アクチュエータ106を取り付けるための取付
構造体の一実施形態であるモジュール体100の斜視図
である。
【図8】複数種類のインクを収容するインクカートリッ
ジの一実施例を示す裏側から見た斜視図である。
【符号の説明】
1・・・容器 1c・・・貫通孔 1d・・・内側面 2・・・インク供給口 4・・・パッキン 5・・・バネ 6・・・弁体 7・・・半導体記憶手段 9、10、11・・・インク室 12、13、14・・・インク供給口 15、16、17・・・アクチュエータ 30・・・キャリッジ 31・・・記録ヘッド 32・・・インク供給針 33・・・サブタンクユニット 100・・・モジュール体 101・・・液体容器取付部 102・・・基台 106・・・アクチュエータ 116・・・円柱部 160・・・圧電層 161・・・開口 162・・・キャビティ 164・・・上部電極 166・・・下部電極 168・・・上部電極端子 170・・・下部電極端子 172・・・補助電極 176・・・振動板 176a・・・振動領域 178・・・基板 178a・・・基板裏面 L・・・液体 B1、B2・・・材料 θ・・・接触角

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を収容する容器本体と、前記容器本
    体内の液体を外部へ供給する液体供給口と、前記容器本
    体内の液体の消費状態を検出する圧電装置とを備え、前
    記容器本体内の液体と親和性がある親液部を有すること
    を特徴とする液体容器。
  2. 【請求項2】 前記親液部は前記圧電装置のうち前記容
    器本体内の液体と接触する振動領域を含むことを特徴と
    する請求項1に記載の液体容器。
  3. 【請求項3】 前記圧電装置は前記容器本体内の液体と
    接触することができるように前記容器本体の内方に開口
    するキャビティを有し、前記親液部は前記キャビティの
    内側面を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体容
    器。
  4. 【請求項4】 液体を収容するための容器本体および前
    記容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備え
    た液体容器と、前記容器本体内の液体の消費状態を検出
    する圧電装置とを準備するステップと、 前記圧電装置に前記容器本体内の液体と親和性がある親
    液部を形成する形成ステップと、 前記形成ステップの後に前記圧電装置を前記液体容器に
    配備する配備ステップと、 を有することを特徴とする液体容器製造方法。
  5. 【請求項5】 液体を収容するための容器本体および前
    記容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備え
    た液体容器と、前記容器本体内の液体の消費状態を検出
    する圧電装置とを準備するステップと、 前記圧電装置を前記液体容器に配備する配備ステップ
    と、 前記配備ステップの後に前記圧電装置に前記容器本体内
    の液体と親和性がある親液部を形成する形成ステップ
    と、 を備えることを特徴とする液体容器製造方法。
  6. 【請求項6】 液体を収容するための容器本体および前
    記容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備え
    た液体容器と、前記容器本体内の液体の消費状態を検出
    する圧電装置と、前記圧電装置を前記液体容器に取り付
    けるための取付構造体とを準備するステップと、 前記圧電装置を前記取付構造体に配備する配備ステップ
    と、 前記配備ステップの後に少なくとも前記圧電装置に前記
    容器本体内の液体と親和性がある親液部を形成する形成
    ステップと、 前記形成ステップの後に前記取付構造体を前記容器本体
    に取り付ける取付ステップと、 を有することを特徴とする液体容器製造方法。
  7. 【請求項7】 液体を収容するための容器本体および前
    記容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備え
    た液体容器と、前記容器本体内の液体の消費状態を検出
    する圧電装置と、前記圧電装置を前記液体容器に取り付
    けるための取付構造体とを準備するステップと、 少なくとも前記圧電装置に前記容器本体内の液体と親和
    性がある親液部を形成する形成ステップと、 前記形成ステップの後に前記圧電装置を前記取付構造体
    に配備する配備ステップと、 前記配備ステップの後に前記取付構造体を前記容器本体
    に取り付ける取付ステップと、 を有することを特徴とする液体容器製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006300930A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Univ Of Tokushima 蛍光材料及びx線増感基板
US7731344B2 (en) * 2006-08-08 2010-06-08 Seiko Epson Corporation Method of manufacturing a liquid vessel

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