JP2002036381A - 炭素繊維強化樹脂製中空成形品の製造方法及び中空一体型成形品 - Google Patents

炭素繊維強化樹脂製中空成形品の製造方法及び中空一体型成形品

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JP2002036381A
JP2002036381A JP2000228724A JP2000228724A JP2002036381A JP 2002036381 A JP2002036381 A JP 2002036381A JP 2000228724 A JP2000228724 A JP 2000228724A JP 2000228724 A JP2000228724 A JP 2000228724A JP 2002036381 A JP2002036381 A JP 2002036381A
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carbon fiber
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fiber reinforced
cfrp
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JP2000228724A
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Hitoshi Sato
等 佐藤
Takashi Ishida
貴志 石田
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FIARO SPACE KK
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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体的に一様でない複雑な中空部断面をもつ
中空一体型の軽量かつ高強度のCFRP製成形品の製造
方法と中空成形品を提供すること。 【解決手段】 (1)冷却水通路部品の通路をなす中子の
製作工程、 (2)中子の周囲に離型用テープとのシート状
CFRP貼りを行うCFRP貼り付け工程、 (3)この中
子を加圧状態で加熱してCFRPを溶融硬化させる溶融
硬化工程、 (4)硬化後の成形品から中子を溶解し、成形
品の仕上げ作業を行う最終成形品にするための中子溶解
・仕上げ工程からなる。 (3)と (4)工程の間に、中間C
FRP成形品に必要な部材の取り付けと2回目のシート
状CFRP貼りを行う第2次CFRP貼り付け工程と、
この中間品を再度加圧状態で加熱して第2回目のCFR
Pを溶融硬化させる第2次溶融硬化工程を必要に応じて
入れることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維強化樹脂
(以下単にCFRPと略す)製中空成形品の製造方法及
び中空成形品に関するもので、特に、中空部として一様
でない複雑な形状の曲り部を有する部品に最適な中空一
体型のCFRP製成形品の製造方法と中空成形品に係
る。
【0002】
【従来の技術】近年、CFRP製成形品は、金属製成形
品に比し格段に軽量で、かつ高強度で柔軟性に富み、し
かもある程度の耐熱性も期待できることから、スポーツ
用品や電気製品及び電気部品、自動車及び航空・宇宙分
野の各種部品等に対して金属製に代わって使用されつつ
ある。しかし、中空一体型のCFRP製成形品として
は、成形過程の複雑さやコスト面から直管状の定形の成
形品(例えば、ゴルフシャフト、釣竿等)に限定される
場合がほとんどであった。
【0003】勿論、従来においてもCFRP製の曲り管
を製造する方法について提案されている。例えば、特開
平57−22016号公報には、弾性体パイプの外周に
繊維強化複合材を巻き付け、これを空気抜き孔をもつ金
属管内に挿入して管状素材を形成し、弾性体パイプに内
圧をかけながら管状素材を所要の曲り形状に折り曲げ
て、繊維強化複合材を加熱硬化させて繊維強化複合材製
部品を製造する方法が、また、特開平57−51424
号公報には、曲げ加工可能な耐熱性の杆状素材に、炭素
繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグを巻装した後、
加圧状態で曲げ加工を施し、加熱し、プリプレグを杆状
素材の表面に、その全面を包囲する如く成形して曲杆部
材を製造する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術においては、曲り部を有する中空一体型の成
形品といっても、その中空部は終始一様な断面形状(円
形状が多い)を呈するものであり、一様でない中空部
(例えば、端部側が円形断面でこれに続く中間部が矩形
状或いはスリット状断面形状である中空部等のように複
雑な断面の中空部)を有するCFRP製成形品は、提案
されていない。
【0005】このような複雑な断面形状の中空部をもつ
CFRP製成形品に対する需要は、現状では余り多くは
ないが、少しでも軽量化を図ることが要求される分野の
製品や部品においては、徐々にではあるが、増えつつあ
る。その一例として、F1レーシングカーの如きレース
用車両の中空部品を挙げることができる。レース用車両
は、コスト面を別にして可及的に軽量化を図ることが大
前提となっており、そのボディ自体や単純な形状の部品
については既にCFRPで製作されているが、それ以外
の部品についてはほとんどCFRP化が実現していない
のが現状である。
【0006】例えば、CFRP化が要求されている部品
例として、エンジン部周囲の冷却ジャケットの冷却水排
出側とラジエータ間に配設される冷却水通路(water pa
ssage )の如き部品がある。この冷却水通路部品を構成
する部材は、中間の本体部分がスリット状の中空部をも
つ、くの字状の平坦部と、その両端側に方向を直角方向
に変えて接続する円筒形ジョイント部と、平坦部及びジ
ョイント部に固着する複数の取付け用座面とからなり、
従前ではアルミニウム鋳物にて製作されていた。したが
って、この金属製の冷却水通路部品をCFRPで製作で
きれば、その軽量化に寄与するメリットは非常に大きい
が、高出力のレース用車両のエンジン部に近接する位置
という過酷な環境の下で使用され、しかも複雑な中空部
断面形状をもつ部品に仕上げるという条件をクリアーす
ることが必須とされる。
【0007】本発明は、このような要求に応えるべくな
されたもので、全体的に一様でない複雑な中空部断面を
もつ中空一体型のCFRP製成形品の製造方法とその中
空成形品を提供するもので、軽量かつ高強度の中空成形
品を確実にしかも再現性良く得ることができることを課
題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明請求項1に係る炭素繊維強化樹脂製中空成形品
の製造方法は、一様でない断面形状の中空部をもつ炭素
繊維強化樹脂製中空一体型成形品を製造するに際し、下
記の (1)〜 (4)の工程からなることを特徴とする。 (1)割り型ブロックにて雌型を造り、これに液状の石こ
うを流し込んで硬化させることにより、最終成形品の中
空部の断面形状に対応する中子を製作する工程、(2)得
られた中子の周囲に離型用テープを貼着してから、その
上に炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付ける工程、(3)
炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付けた中子を離型フィ
ルムで被覆すると共に真空パッキングしてオートクレー
ブ内にて加圧状態で加熱して炭素繊維強化樹脂シートを
溶融硬化させる工程、(4)硬化した炭素繊維強化樹脂層
を表面に有する中子を溶解させると共に離型用テープを
剥離し、表面を仕上げた後気密保持剤を塗布し、最終成
形品に仕上げる工程。また、本発明請求項2は、上記請
求項1における (3)工程と (4)工程の間に、硬化した炭
素繊維強化樹脂層を表面に有する中子の所定位置に、最
終成形品として必要な部材を接着してから、その上に第
2回目の炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付ける工程
と、第2回目の炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付けた
中子を離型フィルムで被覆すると共に真空パッキングし
て再度オートクレーブ内にて加圧状態で加熱して炭素繊
維強化樹脂製シートを溶融硬化させる工程とを介在させ
ることを特徴とする。即ち、請求項2では、CFRPシ
ート貼り付け工程及びオートクレーブ工程を2回ずつ実
施するものである。また、請求項3は、請求項1又は2
の製造方法において、中子の周囲に貼着する離型用テー
プは、中子側は粘着性を有し、反対側は低摩擦係数の表
面であって、耐熱性を有する性状のものを用いることを
特徴とする。さらに、請求項4は、請求項1〜3のいず
れか1項の製造方法において、炭素繊維強化樹脂製シー
トの溶融硬化は、オートクレーブ内にて所定の設定温度
プログラムにそって行うことを特徴とし、請求項5は、
請求項2〜4のいずれか1項において、第2回目の炭素
繊維強化樹脂製シートを貼り付ける際に、予め中子に接
着する部材は、ジョイント部及び座面であり、最終成形
品が冷却水通路部品であることを特徴とする。一方、本
発明請求項6に係る炭素繊維強化樹脂製中空一体型成形
品は、本体部が炭素繊維強化樹脂層から形成され、少な
くとも1箇所の曲り部をもち円形及び非円形断面の単独
もしくはそれらを組み合わせた中空部を内部に有すると
共に、中空部に続く本体端部が開口し、該開口部にジョ
イント部を設けたことを特徴とする。また、請求項7の
炭素繊維強化樹脂製冷却水通路部品は、レース車両用エ
ンジン部の冷却ジャケットの冷却水排出側とラジエータ
間に介在させるためのジョイント部を両端に有し、これ
らジョイント部間を中間で曲り部をもち円形及び非円形
断面の組み合わせた中空部で連絡してなる炭素繊維強化
樹脂製本体部を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をレー
ス車両用のエンジン部冷却ジャケットの冷却水排出側と
ラジエータ間の狭隘なスペースに配置される冷却水通路
部品を例にして説明する。図1は本発明を適用して製作
した冷却水通路部品の最終的な製品形状を示すもので、
両端側に同一方向に開口した断面円形(断面A−A参
照)の中空部をもつジョイント部1a、1bと、両ジョ
イント部1a、1bを接続する通路本体部2と、ジョイ
ント部及び本体部の必要な箇所に固着された複数個の座
面3とから構成されている。通路本体部2は、くの字状
に形成されその内部は断面B−Bに示す如く、スリット
状(矩形状)の中空部を有し、この中空部は前記ジョイ
ント部1a、1bの中空部と連通している。また、ジョ
イント部1a、1bは、実際には独立してジュラルミン
加工品で作られ、通路部品成形後にその両端に接着剤等
で強固に接合されている。なお、場合によってはこのジ
ョイント部は別体品を接合せずに、この部分をCFRP
のまま肉厚に作り成形後ジョイントの形に加工して一体
につくってもよい。
【0010】図2は、図1に示した冷却水通路部品の製
造工程のブロック図であり、この製造工程は図示の如く
大きく分けて、(1)冷却水通路部品の通路をなす中子
の製作工程、(2)中子の周囲に離型用テープと第1回
目のシート状CFRP(プリプレグ)貼りを行う第1次
CFRP貼り付け工程、(3)CFRP貼り付け後の中
子を加圧状態で加熱してCFRPを溶融硬化させる第1
次溶融硬化工程、(4)硬化後の中子を芯にした中間C
FRP成形品に必要なジョイント部及び座面等の部材を
取り付けから、さらに第2回目のシート状CFRP貼り
を行う第2次CFRP貼り付け工程、(5)第2回目の
シート状CFRP貼り付け後の中間品を再度加圧状態で
加熱して第2回目のCFRPを溶融硬化させる第2次溶
融硬化工程、(6)硬化後の成形品から中子を溶解して
除去して通路を作り、さらに成形品の周囲の仕上げ作業
を行って最終成形品にするための中子溶解・仕上げ工
程、とからなる。なお、第1回目のシート状CFRP貼
り付けで目標とする厚みが達成できる場合には、(4)
の第2次CFRP貼り付け工程及び(5)の第2次溶融
硬化工程は省略することもあり得る。
【0011】以下、これらの各製造工程を図3の概略図
にしたがって詳細に説明する。 (1)中子製作工程 まず、複雑で一様でない冷却水の通路となる形状の中子
を製作する。このため図3(a)に示すように、樹脂ブ
ロックにて分割型の雌型4をつくり、これを合わせて通
路形状に対応した空洞部を形成後、離型処理を施し、こ
れに水に溶かした石こうを流し込む。石こうを硬化させ
十分乾燥させた後、中子5(図3(b))を取り出
【0012】(2)第1次CFRP貼り付け工程 得られた中子5の全周に離型用テープ6を貼付する。こ
の離型用テープは最終的には石こうの溶解後引き剥がす
ものであるため、石こう側の面は粘着性に優れ、十分に
石こうに貼着するが、その反対面は低摩擦係数の表面を
有している。また、該離型用テープ6は、良好な耐熱性
及び耐薬品性も要求される。離型用テープ6の貼付後、
その上からシート状のCFRP7の貼り付けを行うが、
最終製品の厚みを考慮して所要厚みのCFRPを必要枚
数積層して、ほぼ均一に貼り付ける。通常、シート状の
CFRPとしては、予め必要量のマトリックス(樹脂)
を含浸させたシート状の強化材(炭素繊維)であるプリ
プレグが用いられる。
【0013】(3)第1次溶融硬化工程 上記のようにして所定枚数のCFRPを中子周囲に貼り
付けたものを加圧状態で加熱し、CFRPの溶融硬化を
行うために、図3(c)に示すオートクレーブ8を使用
する。オートクレーブ法は、機械的な性質の優れたFR
P製品を成形し得る方法として公知のものであり、特別
のものではない。すなわち、前記のプリプレグ貼り付け
品に表面に、製品の接着性を良くするためのピールプラ
イと離型フィルムを被覆してから、加熱溶融時に余分な
樹脂分を吸い取るためのブリーザークロスで覆った後、
バキングフィルムにて真空パッキングする。次いで、気
密状態で真空吸引して全体を成形してから、パッキング
を終了したものをオートクレーブ内に装入し、予め設定
された加熱プログラムに基づいてCFRPの溶融硬化を
開始する。
【0014】オートクレーブ8では、必要な圧力をかけ
ながら設定温度まで昇温すると共に、気密にパッキング
されたものからさらに真空吸引を行い、余剰樹脂を吸い
出し成形する。オートクレーブ内の加熱によって、CF
RPの流動性が増すとともに溶融し始め、一定温度(樹
脂の種類によってその温度は異なる)にて硬化する。加
熱温度範囲としては、大体常温から200℃程度まで可
能である。また、オートクレーブ内で真空加圧すること
によって、溶融状態のCFRPが中子の周囲に密着し、
気泡やガスを内部に残留させることなく精度の高い成形
品が得られる。
【0015】図4(a)(b)に本発明において採用し
たオートクレーブの加熱プログラムの例を示す。図4
(a)は、最終製品の耐熱性がそれ程要求されないよう
なものに適したプログラム例であり、最高加熱温度が1
30℃で、全体の操業時間が4時間程度の場合である。
図4(b)は、最終製品に高い耐熱性が要求されるよう
なものに適したプログラム例であり、最高加熱温度が1
80℃、全体の操業時間が6時間程度の場合である。い
ずれも加熱パターンとしては、常温から一定温度
((a)の場合80℃程度、(b)の場合120℃程
度)までの加熱によってCFRPを溶解し、この状態を
ある程度保持した後、再度加熱してそれぞれの最高温度
まで昇温し、ここでCFRPを硬化させる。最高過熱温
度状態をある程度保持した後、常温まで冷却する形とな
っている。上記した加熱プログラムが終了したなら、成
形品をオートクレーブ8から取りだし、バキングフィル
ム、ブリーザークロス、離型フィルム等を取り去ってか
ら、バリ取り等の必要な手入れを行って中間CFRP成
形品を得る。
【0016】(4)第2次CFRP貼り付け工程 上記オートクレーブによる加熱・加圧工程を経て石こう
中子を芯にした硬化後の中間CFRP成形品が得られる
が、さらに最終製品の厚みにするため及び最終製品のジ
ョイント部及び座面となる部材の取り付けに必要なシー
ト状CFRP(プリプレグ)の貼り付け工程が再度行わ
れる。この第2回目のシート状CFRP貼りは、図3
(d)に示すように、オートクレーブから取り出された
成形品に手入れを加えて得られた中間成形品9に、最終
製品にて必要とされるジョイント部11(ジュラルミン
加工品)及び座面12となる部材を固着してから、その
周囲にシート状のCFRP10を貼り付けることにより
実施される。この第2次CFRP貼り付け工程は、第1
次CFRP貼り付け工程にて最終製品の厚みが既に達成
され、かつ、特にジョイント部などの付属品を付ける必
要のない場合には、省略することも可能である。
【0017】(5)第2次溶融硬化工程 第2回目のシート状CFRP貼りを終えたものを、再度
オートクレーブ8内に装入して第2回目の溶融硬化処理
を施すが、このときも前記(3)で述べたような、離型
フィルムを被覆し、真空パッキング処理をして設定され
た加熱プログラムパターンで作業を行うことになる。従
って、処理の詳細は、第1次溶融硬化工程とほとんど同
様であるので、その説明は省略するが、図3(e)にオ
ートクレーブ8と装入する真空パッキング品を、図3
(c)とは角度を変えて概略的に図示している。なお、
上記した第2次CFRP貼り付け工程を省略する場合に
は、この第2次溶融硬化工程も実施しないことは当然で
ある。
【0018】(6)中子溶解・仕上げ工程 前記(5)の工程を経て得られたCFRP成形品を、図
3(f)に示す如く、中子溶解槽13内の石こう溶解液
中に浸漬して石こうを溶解する。石こうの溶解で中子が
除去されるが、残っている中子の表面に巻いていた粘着
テープ6を引き剥がせば、内部に中子の形状に合致した
通路を有する中空冷却水通路成形品が得られる。この成
形品の表面をサンディングして粗くしてから、さらに製
品の気密性を完全にするために、気密保持剤(シール
液)を塗布するか、或いはそれを入れた液中に浸漬して
一定時間真空脱泡する。最終製品が表面の美麗さを求め
られる場合には、さらに光沢のある外面コーティング処
理(例えば、クリアーラッカー類の塗布)をすればよ
い。
【0019】以上の(1)〜(6)の各工程を経ること
によって、図1に示す構造の冷却水通路部品が得られ
る。なお、図示の例ではレース用車両のエンジン部の冷
却水通路を例にして説明したが、本発明はこれに限るこ
となく、石こう型で中子が製作できるような、他の一様
でない中空部を有する中空一体型のCFRP製成形品、
例えば、自転車のフレームのジョイント部や筒型の抜き
出し成形の困難もしくは不可能な形状で軽量化の必要な
製品、或いはオーディオ用部品などの従来では金属製と
せざるを得なかった箇所の部品の製造にも適用し得るも
のである。
【0020】
【実施例】図1に示す冷却水通路部品を実際に製作する
場合を例にして実施例を説明する。なお、この冷却水通
路部品のサイズは長さ300mm×高さ90mm×中央部厚
み11mmである。 [実施条件] ・石こう製中子:水に溶かした硬質石こう300gを樹
脂型内に注入し、1.5時間後取り出し、50℃の炉内
で12時間(1晩)乾燥させる。 ・第1次CFRP貼り:得られた石こう製中子全周に粘
着テープとしてニフトロンテープ(商品名、日東電工株
式会社製、13mm×10m)巻き付けてから、CFRP
シート(平織りの炭素繊維の強化材にエポキシ樹脂40
%を含浸させたプリプレグ、400mm×300mm×0.
25mmt、6枚)を貼付する。 ・オートクレーブ(第1次及び第2次共):圧力6MPa
[G]で、図4(b)の180℃の加熱プログラムパター
ンに基づき加熱。真空度101kPa 。 ・第2次CFRP貼り:ジョイント部2個、座面4個を
接着剤で強固に取り付けた後、上記の同じCFRPシー
ト(3枚)を貼付する。 ・中子溶解・仕上げ:石こう溶解液(商品名ハイスクリ
ーンGP、吉野石膏株式会社製)に浸漬し、50℃〜6
0℃で6時間で石こうを溶解させた。その後気密保持剤
としてリキッドシール剤に漬けた。最終的にはエポキシ
系クリヤーを塗布して表面を美麗に仕上げた。
【0021】[結果]上記の実施条件によって製作した
冷却水通路部品を、ベンチテスト(条件:57時間)し
てみても、また、実車(3000ccのレースマシン)に
装着(冷却水通路部品としては一対になる)して17時
間にわたってテストしてみても、破断や破損、漏水等の
問題は全く発生しなかった。
【0022】
【発明の効果】以上説明した本発明に係るCFRP製成
形品の製造方法によれば、次のような効果が期待でき
る。 従来では金属製の鋳造品しか作ることができないとさ
れていた、内部に一様でない複雑な中空部を有するCF
RP一体物を、確実に精度高くしかも再現性のある工程
で製作することが可能となり、その工業的な価値は非常
に大きい。 強度の高いCFRPの一体製品であるため、金属製に
比較し強度を低下させることなく大幅な軽量化を達成す
ることができ、常に僅かな重量軽減を図ることが課題と
なっているような各種部品の製造に最適な手段であると
いえる。 複雑な中空部となる中子を石こうで作り、かつ、それ
に表側が低摩擦係数の耐熱性粘着テープを貼り付けか
ら、CFRPシートを貼付しているので、型が容易に精
度よく製作し得ると共に、CFRPシートの貼付にも適
しており、しかも、最終的に石こう溶解後はこの粘着テ
ープが残り、その引き剥がし後の中空部の表面の平滑性
が容易に得られる。 各工程についてそれほどの熟練度を必要とせずに作業
が行うことができ、常に一定した品質の成形品を安定し
て供給することが可能となる。
【0023】一方、本発明に係る中空一体型のCFRP
成形品は、従来では見られない複雑な中空部を有し、軽
量で強度が高くしかも耐熱性にも優れ、自動車用部品、
家電製品やその部品、スポーツ用品やその部材等、各種
用途に広く適用し得るものである。また、自動車用エン
ジンの冷却水通路部品としても、従来のアルミ鋳物に比
較し一層の軽量化を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して製作した冷却水通路部品の最
終的な製品形状を示す斜視図とそのA−A矢視図及びB
−B矢視図である。
【図2】図1に示した冷却水通路部品の製造工程のブロ
ック図である。
【図3】(a)〜(f)は、図2に示す各工程をそれぞ
れ具体的に説明するための概略工程図である。
【図4】オートクレーブにおける加熱プログラムの例を
示すもので、(a)が130℃加熱の例、(b)が18
0℃加熱の例である。
【符号の説明】
1a,1b ジョイント部 2 通路本体部 3 座面 4 樹脂製雌型 5 石こう中子 6 離型用テープ 7 CFRPシート 8 オートクレーブ 9 中間成形品 10 CFRPシート 11 ジョイント部 12 座面 13 石こう溶解液槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D038 AA00 AB04 AC00 4F205 AA36 AD16 AH16 HA03 HA09 HA23 HA35 HA45 HB01 HC17 HK03 HK04 HK05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一様でない断面形状の中空部をもつ炭素
    繊維強化樹脂製中空一体型成形品を製造するに際し、 (1)割り型ブロックにて雌型を造り、これに液状の石こ
    うを流し込んで硬化させることにより、最終成形品の中
    空部の断面形状に対応する中子を製作する工程、 (2)得られた中子の周囲に離型用テープを貼着してか
    ら、その上に炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付ける工
    程、 (3)炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付けた中子を離型
    フィルムで被覆すると共に真空パッキングしてオートク
    レーブ内にて加圧状態で加熱して炭素繊維強化樹脂シー
    トを溶融硬化させる工程、 (4)硬化した炭素繊維強化樹脂層を表面に有する中子を
    溶解させると共に離型用テープを剥離し、表面を仕上げ
    た後気密保持剤を塗布し、最終成形品に仕上げる工程、
    とからなる炭素繊維強化樹脂製中空成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 一様でない断面形状の中空部をもつ炭素
    繊維強化樹脂製中空一体型成形品を製造するに際し、 (1)割り型ブロックにて雌型を造り、これに液状の石こ
    うを流し込んで硬化させることにより、最終成形品の中
    空部の断面形状に対応する中子を製作する工程、 (2)得られた中子の周囲に離型用テープを貼着してか
    ら、その上に第1回目の炭素繊維強化樹脂製シートを貼
    り付ける工程、 (3)炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付けた中子を離型
    フィルムで被覆すると共に真空パッキングしてオートク
    レーブ内にて加圧状態で加熱して炭素繊維強化樹脂製シ
    ートを溶融硬化させる工程、 (4)硬化した炭素繊維強化樹脂層を表面に有する中子の
    所定位置に、最終成形品として必要な部材を接着してか
    ら、その上に第2回目の炭素繊維強化樹脂製シートを貼
    り付ける工程、 (5)第2回目の炭素繊維強化樹脂製シートを貼り付けた
    中子を離型フィルムで被覆すると共に真空パッキングし
    て再度オートクレーブ内にて加圧状態で加熱して炭素繊
    維強化樹脂製シートを溶融硬化させる工程、 (6)硬化した炭素繊維強化樹脂層を表面に有する中子を
    溶解させると共に離型用テープを剥離し、表面を仕上げ
    た後気密保持剤を塗布し、最終成形品に仕上げる工程、
    とからなる炭素繊維強化樹脂製中空成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 中子の周囲に貼着する離型用テープは、
    中子側は粘着性を有し、反対側は低摩擦係数の表面であ
    って、耐熱性を有する性状のものである請求項1又は2
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素繊維強化樹脂製シートの溶融硬化
    は、オートクレーブ内にて所定の設定温度プログラムに
    そって行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 第2回目の炭素繊維強化樹脂製シートを
    貼り付ける際に、予め中子に接着する部材は、ジョイン
    ト部及び座面であり、最終成形品が冷却水通路部品であ
    る請求項2〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 本体部が炭素繊維強化樹脂層から形成さ
    れ、少なくとも1箇所の曲り部をもち円形及び非円形断
    面の単独もしくはそれらを組み合わせた中空部を内部に
    有すると共に、中空部に続く本体端部が開口し、該開口
    部にジョイント部を設けたことを特徴とする炭素繊維強
    化樹脂製中空一体型成形品。
  7. 【請求項7】 レース車両用エンジン部の冷却ジャケッ
    トの冷却水排出側とラジエータ間に介在させるためのジ
    ョイント部を両端に有し、これらジョイント部間を中間
    で曲り部をもち円形及び非円形断面の組み合わせた中空
    部で連絡してなる炭素繊維強化樹脂製本体部を有するこ
    とを特徴とする炭素繊維強化樹脂製冷却水通路部品。
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