JP2002030641A - 配管外周の止水構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地中に鉛直方向に埋設した配管の外周面を伝
わって水が流下することを防止できる配管外周の止水構
造を提供する。 【解決手段】 水田耕作区２０に設置された水位設定器
１０の排水縦管１４のように、地中に鉛直方向に埋設し
た配管の地中埋設部の外周に、配管外周面に密着する配
管挿通孔を有する止水シート２２を水平方向に設置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、配管外周の止水構
造に関し、詳しくは、水田等の水耕地や池等の底から鉛
直方向に立ち上がるように設置された配管の外周面に沿
って水耕地内等の水が地中に流出してしまうことを防止
するための止水構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】水田の各耕作区内の水位を所定水位に保
つための手段として、従来の堰板に代えて水位設定器が
用いられるようになってきている。この水位設定器は、
鉛直方向に立設した排水縦管の上端に、上下方向にスラ
イド可能な筒体を設けたものであって、筒体の上端の高
さを調節することにより、従来よりも確実な水位設定を
行えるように形成されている（特開平１１−３２３８８
８号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の水位
設定器は、その構造上、水位設定器の下半部や排水縦管
が耕作区の地中に鉛直方向に埋設された状態になってい
るため、前記筒体を操作する際の振動、車両の走行や人
の歩行による振動、耕作区内の作業による振動等によっ
て排水縦管が振動し、この振動が原因で排水縦管外周面
と周囲の土砂との間に隙間が発生することがある。この
ような隙間が発生すると、耕作区内の水（用水）が隙間
を伝わって地中深くまでほとんど抵抗もなく流下し、下
流側の配管の設置状態や下層の土砂の性状によっては大
量の水が流出してしまい、耕作区内の水位が低下してし
まうおそれがあった。

【０００４】そこで本発明は、水田耕作区に設置された
水位設定器の排水縦管のように、地中に鉛直方向に埋設
した配管の外周面を伝わって水が流下することを防止で
きる配管外周の止水構造を提供することを目的としてい
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の配管外周の止水構造は、地中に鉛直方向に
埋設した配管外周の止水構造であって、前記配管の地中
埋設部の外周に、配管外周面に密着する配管挿通孔を有
する止水シートを水平方向に設置したことを特徴とし、
特に、前記配管が、水田に設置された水位設定器に接続
される排水縦管であることを特徴としている。

【０００６】

【発明の実施の形態】図は本発明の配管外周の止水構造
を水田耕作区の水位設定器に適用した一形態例を示すも
のであって、図１は水位設定器の設置状態を示す縦断面
図、図２は止水シートを設けた排水縦管を接続した状態
の水位設定器の縦断面図、図３は同じく斜視図である。

【０００７】まず、水位設定器１０は、角筒状の排水枡
１１と、該排水枡１１の底板１２に設けた排水口１３に
接続される鉛直方向の排水縦管１４と、排水口１３に上
下方向に摺動可能に装着された水位設定用の筒体１５と
により形成されている。前記筒体１５は、水密性と適度
な摺動抵抗とを得るためのゴム製シールパッキン１６を
介して排水口１３に取付けられており、底板１２に対し
て任意の高さに保持できるように形成されている。ま
た、筒体１５には把手１７が設けられており、排水枡１
１の前面開口両側には、土砂の流入を防止する堰板１１
ａを取付けるための堰板取付部１１ｂが設けられてい
る。

【０００８】なお、水位設定器における各部の形状や材
料は任意であり、例えば、排水枡１１の形状は、図４の
排水枡１１１に示すように、横断面が半円形状であって
もよく、図５の排水枡１１２に示すように、横断面が矩
形状であってもよい。また、排水枡の材質も、合成樹脂
やコンクリート等で形成することができる。

【０００９】このように形成された水位設定器１０は、
図１に示すように、排水枡１１に接続した排水縦管１４
の下端に、排水路１８に至る水平乃至下り勾配を有する
排水横管１９をエルボ１９ａを介して接続した状態で、
水田耕作区２０の畦畔２１部分や農道部分に設置され
る。

【００１０】そして、上記水位設定器１０を水田耕作区
２０に設置する際には、耕作区下方の地中に鉛直方向に
埋設される配管、すなわち、排水縦管１４の外周に止水
シート２２を水平方向に設置する。

【００１１】止水シート２２は、その中心部に配管挿通
孔２３を有するものであって、この配管挿通孔２３に配
管を挿入したときに、配管外周面と配管挿通孔２３の内
周縁とが水密状態で密着するように形成されている。こ
のとき、止水シート２２をゴムのような弾性体で形成
し、かつ、配管挿通孔２３の直径を配管外径より小さめ
に形成し、配管挿通孔２３に配管を挿入する際に止水シ
ート２２を引き延ばした状態で行うことにより、配管挿
入後の両者の密着を自動的にかつ確実に行うことができ
る。

【００１２】なお、止水シート２２の外周をプラスチッ
クシートやプラスチックフィルムで形成し、配管挿通孔
２３の付近のみをゴム等の弾性材料で形成することもで
き、全体をプラスチックシートやプラスチックフィルム
で形成し、配管外周面と配管挿通孔２３の内周縁とを別
の部材でシールするようにしてもよい。

【００１３】このように、地中に鉛直方向に埋設された
排水縦管１４の外周に水平方向の止水シート２２を設置
しておくことにより、排水縦管１４に振動や外力が加わ
って管外周面と周囲の土砂との間に隙間が発生し、この
隙間を伝わって水が流下したとしても、止水シート２２
によって流下する水をせき止めることができる。このと
き、せき止められた水が止水シート２２の上面に沿って
流れようとするが、止水シート２２の上面には土圧が作
用しており、土砂と止水シート２２との間に隙間が発生
することはほとんどないので、水が流れたとしてもごく
僅かな量である。

【００１４】したがって、排水縦管１４と周囲の土砂と
の間に大きな隙間が発生したとしても、耕作区内の水が
外部に大量に流出してしまうことを防止でき、耕作区内
の水位を、水位設定器１０で設定した水位に確実に維持
することができる。これにより、耕作用水の無駄を無く
すことができ、肥料や農薬の流出も防止できる。

【００１５】なお、前記止水シート２２の大きさは、配
管の径や、振動等が加わったときの配管の移動量、止水
シート２２の埋設深さによって異なるが、止水シート２
２を大きくし過ぎると、設置時に大きな穴を掘らなけれ
ばなくなるので、止水性を損なわない程度で小さくして
おくことが望ましく、配管外径の２〜４倍、通常は３倍
程度が最適である。同様に、止水シート２２の埋設深さ
も、配管径等によって適宜に設定できるが、穴の深さを
考慮すると、地面（水底）から２０〜５０ｃｍ程度が最
適である。また、止水シート２２の平面形状は任意であ
り、四角形でも円形でもよい。厚みも任意であり、強度
と重量とを考慮して決定すればよく、通常は数ｍｍ程度
が適当である。さらに、止水シート２２を設置した排水
縦管１４とその上方の配管や機器との接続方法も任意で
あり、例えば本形態例では排水縦管１４内に排水口１３
に繋がる管体を挿入するようにしているが、排水縦管１
４の上端を上方の配管や機器に挿入するようにしてもよ
い。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の配管外周
の止水構造によれば、鉛直方向に埋設した配管外周の周
囲に隙間が発生しても、隙間を伝わって水が流下するこ
とを確実に防止できる。特に、水田耕作区の水位の設定
に用いられる水位設定器に接続した排水縦管部分に適用
することにより、耕作区内の用水の流出を防止して耕作
区内を所定水位に維持しておくことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明を水位設定器に適用した一形態例を示
す縦断面図である。

【図２】 止水シートを設けた排水縦管を接続した状態
の水位設定器の縦断面図である。

【図３】 同じく水位設定器の斜視図である。

【図４】 排水枡の他の形状例を示す平面図である。

【図５】 排水枡のさらに他の形状例を示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１０…水位設定器、１１…排水枡、１４…排水縦管、１
５…水位設定用の筒体、１８…排水路、１９…排水横
管、１９ａ…エルボ、２０…水田耕作区、２１…畦畔、
２２…止水シート、２３…配管挿通孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 裕英 京都府京都市南区上鳥羽上調子町２番地の ２ 積水化学工業株式会社内 (72)発明者 米田 稔 滋賀県長浜市三ツ矢町５番８号 三菱樹脂 株式会社長浜工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地中に鉛直方向に埋設した配管外周の止
   水構造であって、前記配管の地中埋設部の外周に、配管
   外周面に密着する配管挿通孔を有する止水シートを水平
   方向に設置したことを特徴とする配管外周の止水構造。
2. 【請求項２】 前記配管が、水田に設置された水位設定
   器に接続される排水縦管であることを特徴とする請求項
   １記載の配管外周の止水構造。