JP2002020387A - キサントバクシン群抗生物質 - Google Patents

キサントバクシン群抗生物質

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JP2002020387A
JP2002020387A JP28458398A JP28458398A JP2002020387A JP 2002020387 A JP2002020387 A JP 2002020387A JP 28458398 A JP28458398 A JP 28458398A JP 28458398 A JP28458398 A JP 28458398A JP 2002020387 A JP2002020387 A JP 2002020387A
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xanthovaccin
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carbon
xanthobaccin
antibiotic
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Yasuyuki Hashitoko
泰之 橋床
Tetsushi Tawara
哲士 田原
Sonto Nakayama
尊登 中山
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    • AHUMAN NECESSITIES
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    • C12P17/18Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms containing at least two hetero rings condensed among themselves or condensed with a common carbocyclic ring system, e.g. rifamycin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗真菌作用に優れた新規の炭素骨格をもつマ
クロラクタム系抗生物質を提供すること。 【解決手段】 ザントモナス属に属するテンサイ苗立枯
病拮抗細菌が産生する新規なキサントバクシン( xanth
obaccin)群抗生物質であるキサントバクシンA、B及
びCを単離精製する。キサントバクシンAは次式(I)
で表される化合物である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ザントモナス属に
属するテンサイ苗立枯病拮抗細菌 Xanthomonas sp.SB
−K88が産生する新規なキサントバクシン(xanthoba
ccin)群抗生物質に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、テンサイに対しては病原性を示さ
ないが、テンサイ苗立枯病拮抗細菌に対しては拮抗作用
を有するザントモナス属に属するテンサイ苗立枯病拮抗
細菌 Xanthomonas sp.SB−K88が知られている(特
開平7−75562号公報)。また、放線菌であるスト
レプトミセス・フェオクロモゲネス(Streptomyces pha
eochromogenes var.ikaruganensis)がマクロラクタム
系抗生物質イカルガマイシン(ikarugamycin)を生産す
ることが知られている。次の構造を有するイカルガマイ
シンには、グラム陽性細菌に対する抗細菌活性の他、抗
原生動物活性、抗アメーバー活性、溶血作用やマクロフ
ァージに対する低密度リポタンパク取り込み抑制作用な
どの多様な生理活性が報告されているが、イカルガマイ
シンは抗真菌作用を示さない。
【0003】
【化4】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、抗真
菌作用に優れた新規な炭素骨格をもつマクロラクタム系
抗生物質を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究し、テンサイ苗立枯病拮抗細
菌ザントモナス・エスピー(Xanthomonas sp.)SB−
K88が産生する新規なキサントバクシン群抗生物質を
単離することに成功し、これら単離されたマクロラクタ
ム系の新規抗生物質の抗真菌作用を確認し、本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、本発明者により命名
された新規な炭素骨格をもつマクロラクタム系のキサン
トバクシン群抗生物質である、式(I)で表されるキサ
ントバクシンAもしくはその互変異性体又はそれらの
塩、式(II)で表されるキサントバクシンBもしくはそ
の互変異性体又はそれらの塩、式(III)で表されるキ
サントバクシンCもしくはその互変異性体又はそれらの
塩に関する。
【0007】
【化5】
【0008】
【化6】
【0009】
【化7】
【0010】また本発明は、上記キサントバクシン群抗
生物質であるキサントバクシンAもしくはその互変異性
体又はそれらの塩、キサントバクシンBもしくはその互
変異性体又はそれらの塩、又はキサントバクシンCもし
くはその互変異性体又はそれらの塩、の1種又は2種以
上を有効成分とする抗菌剤に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】(キサントバクシン群抗生物質生
産菌)本発明のマクロラクタム系抗生物質キサントバク
シン群は、テンサイ苗立枯病拮抗細菌ザントモナス・エ
スピーSB−K88を培養することにより得られる。こ
の細菌ザントモナス・エスピーSB−K88は、北海道
帯広市上清川町のテンサイ連作圃場に栽培したテンサイ
細根より分離され(上記特開平7−75562号公報参
照)、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成5年8
月23日付でFERM P−13821として寄託され
ている。
【0012】このザントモナス・エスピーSB−K88
の菌学的性質は、「バージェーズ・マニュアル・オブ・
システマチック・バクテリオロジー(Bergey's Manual
of Systematic Bacteriology」(1984)、Vol.1、
及び長谷川武治著「微生物の分類と同定」(1985)
によると以下のとおりである。 (a)形態 (1)細胞の形および大きさ:単独もしくは2〜3連の
直桿菌で0.5×2.0μm (2)べん毛:極べん毛なし (3)胞子形成:なし (4)グラム染色:陰性
【0013】(b)生育状態 シュークロース10g/L、カゼイン加水分解物8g/
L、酵母エキス4g/L、寒天15g/L及び蒸留水1
Lの組成の1.5%寒天培地で25℃、7日間培養した
ときの生育状態は以下のとおり。 (1)形状:円形 (2)周縁:円滑 (3)隆起:盛り上がる。ただし乳頭様( umbonate )
ではない。 (4)表面:円滑 (5)色調:黄色
【0014】(c)生理学的性質 (1)O−Fテスト( Hugh Leifson 法による):陰性 (2)生育の範囲:最適pH:6.5 生育pH:4.
0〜7.0 最適温度:28℃ 生育温度:25〜40℃ (3)塩化ナトリウム5%:陰性 (4)トリフェニールテトラゾリウムクロライド0.1
%:陰性 (5)メチルグリーン0.02%:d (6)ユビキノン:Q8 (7)シュクロースからのレバノン産生性:陰性 (8)アルギニン加水分解性:陰性 (9)オキシダーゼ反応:陰性 (10)脱窒反応:陰性 (11)主要な菌体脂肪酸:13−メチール テトラデカン
酸(i−c15:0) (12)GC(グアニン、シトシン)含量:66.8%
【0015】(d)炭素源の資化性 培地組成が硫酸アンモニウム8g/L、リン酸−水素カ
リウム0.3g/L、リン酸二水素カリウム0.2g/
L、硫酸マグネシウム・7水塩0.5g/L、塩化カリ
ウム10.2g/L、メチオニン50mg/L、寒天1
5g/L、コハク酸塩1g/L、D−ガラクトース2g
/L、グルコース2mg/L、プロピオン酸塩1g/L
の培地に接種し、30℃で培養後生育を示したものを陽
性とした。 (1)資化されたもの:グルコース、トレハロース、コ
ハク酸塩 (2)資化されないもの:D−ガラクトース、プロピオ
ン酸塩、2−ケトグルコン酸塩、メソイノシトール、L
−バリン、β−アラニン、DL−アルギニン、馬尿酸塩
【0016】(e)在来の類似種との比較 上記の微生物は、好気性のグラム陰性桿菌であり、ユビ
キノンQ8を持ち、主要な菌体脂肪酸は分岐酸である1
3−メチル テトラデカン酸を持つこと、GC(グアニ
ン、シトシン)含量が66.8%であることから判断し
てザントモナス( Xanthomonas)属に属する細菌である
ことが明らかであり、植物に対する病原性及びD−ガラ
クトース、プロピオン酸塩の資化性が何れも陰性である
ことから、ザントモナス キャンペストリス( Xanthom
onas campestris )とは異なり、また、コロニーの形状
が乳頭様( umbonate )でないこと、塩化ナトリウム4
%及びトリフェニールテトラゾリウムクロライド0.1
%で生育できないことの点からザントモナス マルトフ
ィリア( Xanthomonas maltophilia)ではないことか
ら、ザントモナス( Xanthomonas)属に属する新菌種で
あると判断されている。
【0017】(キサントバクシン群抗生物質の生産)キ
サントバクシン群抗生物質の生産には、ザントモナス属
等に属するキサントバクシン群抗生物質の生産能を有す
る微生物が使用され、具体的には、上記ザントモナス・
エスピーSB−K88(FERM P−13821)を
挙げることができるが、ザントモナス・エスピーSB−
K88を含めて、キサントバクシン群抗生物質生産能を
有する微生物を放射線照射その他の変異処理を行った微
生物や、遺伝子工学的手法により形質転換された微生物
を用いることもできる。
【0018】キサントバクシン群抗生物質の生産におい
て、キサントバクシン群抗生物質の生産能を有するザン
トモナス属に属する微生物を培養する培地としては、当
該微生物が生育し、培地中にキサントバクシン群抗生物
質を生成することができるものであればどのようなもの
でも使用することができるが、低窒素半合成栄養培地を
用いることが好ましい。また、培養温度等の培養条件
は、当該微生物の生育が実質的に阻害されることなく、
キサントバクシン群抗生物質を生産しうる条件であれ
ば、特に制約を受けるものではないが、好気的条件下、
通常は15〜30℃、好ましくは15〜25℃の培養温
度を挙げることができる。例えば、ザントモナス・エス
ピーSB−K88を用いる場合、通気条件下25℃で3
〜10日、好ましくは5〜7日培養すると、培養液中に
キサントバクシン群化合物が蓄積されるが、一般に培地
中に充分な抗菌活性が産生するまで培養を続けることが
望ましい。この培地中のキサントバクシン群抗生物質の
力価の経時変化は、ペーパーディスク法によるピシウム
・ウルチマム(Pythium ultimum)及びリゾクトニア・
ソラニ(Rhizoctonia solani)の菌糸伸長抑制を指標と
して行うことができる。
【0019】培養液からのキサントバクシン群抗生物質
であるキサントバクシンA、キサントバクシンB及びキ
サントバクシンCの単離精製は、これらキサントバクシ
ン群抗生物質を単離精製しうる方法であればどのような
方法も使用することができ、例えば、XAD−2樹脂等
の多孔性吸着樹脂カラムクロマトグラフィー、逆相カラ
ムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどを
用いることにより行うことができる。
【0020】(キサントバクシンAの分子量、分子式及
び発色団の特徴)キサントバクシンAは、ナトリウムと
極めて安定な塩を形成することから、FD−MS分析
(Field Desorption-Mass Spectrometry;難揮発性化合
物をカーボンエミッタで疑似分子イオンとして検出する
質量分析法)における分子イオンピークの検出は困難で
あり、またFAB−MS分析(Farst Atom Bombardment
-Mass Spectrometry;マトリックスに溶解した試料に一
次イオンを高速で衝突させ、難揮発性分子の検出を行う
質量分析)による分子イオン検索も確信の得られるもの
とはいえない。そこで、下式(IV)又は式(V)で表さ
れるキサントバクシンAのナトリウム塩2mgを20%
MeOH/H2O溶液としたのち弱陽イオン交換樹脂
(CM−Cellulose,H+型)に通し、通過液を濃縮後、
逆相TLC(Merck RP−18、展開溶媒MeOH)で
再精製したNaイオンフリーのものを改めてFD−MS
分析に供した。その結果、キサントバクシンAの親イオ
ンと考えられるm/z510(intenslty 100%)が
検出され、FD−HR−MS(Field Desorption-High
Resolution-Mass Spectrometry;各原子の微小な質量差
を計算し、その分子組成式を求める高分解能質量分析)
分析の結果(Found 510.274,Calcd. 510.
273)から、本化合物の組成式はC293826であ
ることが示唆された。またこの分子量から、先に測定し
たFAB−MS分析の結果は、陰イオンモードで得られ
た最大質量イオンm/z509が[M−H]-、また、
陽イオンモードで得られる最大質量イオンm/z533
が[M+Na] + と帰属され、信頼性の高いFAB−H
R−MSにおいてもm/z509.264(C2937
26,,Calcd.509.265)が確認された。一方、
キサントバクシンAのUVλmax(MeOH)は23
9nm及び321nm(ε値はそれぞれ18,900及
び9,800)を示し、また、特徴的な蛍光(励起波長
320nmにおける蛍光波長は428nm及び468n
m)が観測された。
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】(NMRによるキサントバクシンAの構造
解析)1H−NMR分析では、重メタノール中で測定し
たスペクトルで各シグナルの分離が最も良好だったた
め、プロトン同士のカップリングの解析は主にこの溶媒
中で測定したものを用いた。重ピリジン中ではプロトン
シグナルの解像度がやや落ちるものの、炭素シグナルと
の相関を見るには十分な分離が得られた。重ピリジン中
における13C−NMRスペクトルでは化合物のシグナル
と溶媒ピークとの重複がないことから、HMQC(Hete
ronuclear Multiple Quantum Coherence;炭素に直接結
合する水素を特定する二次元NMR。同じ目的で測定さ
れるCH−COSYに比べ、感度が高い。)やHMBC
(Heteronuclear Multiple Bond Coherence;目的の炭
素から一つ、あるいは二つ離れた炭素やヘテロ原子につ
いた水素との遠隔カップリングを検出する二次元NMR
法)等の2次元相関の測定には主に重ピリジンを溶媒と
して用いることとした。13C−NMRの通常測定(Inco
mplate,DEPT)によって、本化合物の28個の炭素
シグナルが特定できたが、残り1個の所在は確認できな
かった。そこでDEPT−HMQCにより、各プロトン
との相関を見たところ、δC 47.4のメチン炭素のシ
グナルには2個のメチンプロトン(δH 0.94及び
2.43)に相関が現れ、2箇所のメチン炭素のシグナ
ルが完全に重複していることが分かった。全ての炭素シ
グナルを高磁場側から順に仮称A,B,C...及びそ
れに対応するプロトンをa,b,c...とし、各炭素
間の繋がりをHH−COSY(Proton-Proton Correlat
ionSpectroscopy)とHMBCから求めた。キサントバ
クシンAのHMBC相関及びHH−COSY相関による
全炭素帰属を図1に示す。図1中、HMBC相関によっ
て繋がった結合間は太線で、HH−COSY相関があっ
たプロトンは矢印でそれぞれ示した。また、各炭素のケ
ミカルシフト値及び検出された各2次元相関を表1に示
す。
【0024】
【表1】
【0025】各種二次元相関から、キサントバクシンA
の推定平面構造を導いた。メチル側鎖とエチル側鎖をも
つ特徴的な5,5,6−員環構造は、2個のC12アセト
ゲニンユニットからなり、この一方がカルボキシル基側
の末端でβ−ハイドロキシオルニチンユニットのδ−ア
ミノ基とアミド結合を形成し、他方のカルボキシル末端
がβ−ハイドロキシオルニチンユニットのα−アミノカ
ルボン酸部分とテトラミン酸様に環化して炭素−炭素間
結合を形成していた。キサントバクシンAは、修飾オル
ニチンユニットとアセトゲニン疎水部の2箇所の側鎖間
で形成される結合によって大環状ラクタム構造を有して
いる新規化合物であることが分かった。また、キサント
バクシンAの発色団は、共役テトラミン酸部分から疎水
基のα,β−不飽和カルボニル部分へ共役が伸びたもの
であり、この構造がキサントバクシンAに特徴的な蛍光
を与えていることが分かった。
【0026】(分解反応によるキサントバクシンAの構
造解析)また、キサントバクシンAを2M塩酸/メタノ
ール中70℃で加熱すると、n−ヘキサン可溶の低極性
化合物を生じた。この生成物のFI−MSおよびFI−
HR−MSからm/z402、組成式C24344 が示
された。UVλmax(MeOH)は、230nmのみ
に見られた。1H−及び13C−NMR分析(重クロロフ
ォルム中)により、2箇所のメチルエステル部分構造
(δH 3.73 and3.75, each 3H)及び2対の
炭素−炭素間二重結合(δC 122.5,123.7,
144.7 and149.1, allCH)の存在が確認さ
れた。これらのデータから、キサントバクシンAのメタ
ノリシスによって2箇所のα,β−不飽和カルボニル部
分(カーボンYおよびA1)でそれぞれ開裂した結果生
成したα,β−不飽和ジカルボン酸ジメチルエステルで
あることが推測された。この推測は、生成物の13C−N
MRスペクトルにおける炭素シグナルがキサントバクシ
ンAの疎水性部分に非常に良く対応していることからも
支持された(表2参照)。ただ、カーボンU−Wの二重
結合はメタノリシス時の異性化反応によってトランス配
置(δH 6.84 and 5.83,J=16HZ )に変
換されていた。また、炭素Tを介して直接発色団部分に
結合していたα,β−不飽和カルボニル炭素A1は、メ
タノリシスによってα,β−不飽和メトキシカルボニル
炭素へ変換された結果、大きな高磁場シフト(δC 16
6.5,Δppm=−16.8 from キサントバクシン
A)を示していた。
【0027】
【表2】
【0028】生成物のHMQC測定結果に基づいた詳細
なHH−COPY解析から、このメタノリシス生成物の
構造が下式(VI)で表されることを確認し、キサントバ
クシンAの新規炭素骨格である5,5,6−員環構造を
再確認することができた。メタノリシス生成物では、キ
サントバクシンAにおいて重複シグナルとして分離でき
なかったメチン炭素LとMがそれぞれ独立した炭素シグ
ナルとして観察された。また、側鎖部分が自由回転でき
るため、メチレン炭素Dにつく2個のプロトンがキサン
トバクシンAのそれらと比べて著しい等価性を示した。
【0029】
【化10】
【0030】(相対配置)キサントバクシンAのNOE
SYスペクトルを重ピリジン中で測定した結果、幾つか
の重要な相関が示された。5員環上のビシナルプロトン
同士の相関は、シス配置及びトランス配置の両方に出現
しやすいため、これらの相関は考慮しなかった。得られ
た相関をもとに、図2にキサントバクシンAで観察され
た重要なNOESY相関とキサントバクシンAの相対配
置を示す。
【0031】キサントバクシンB及びキサントバクシン
Cの構造は、上記キサントバクシンAと同様にして決定
した。そして、これらキサントバクシン群化合物は1,
3−ジケトン構造を有することから互変異性を示す。例
えば、キサントバクシンAは、前記式(I)の構造異性
体として存在する式(VII)で示される互変異性体をも
つ。また、これらキサントバクシン群化合物は、ナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属と安定な塩を形成す
る。さらに、これらキサントバクシン群化合物の誘導
体、例えば次式(VIII)で表されるキサントバクシンA
の水添物等の誘導体を合成することもできる。
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】(キサントバクシンAの理化学的性質) (1)外観;淡黄色アモルファス粉末 (2)分子式;C293826 (3)融点;測定不能 (4)紫外線吸収スペクトル(メタノール中);図3に
示すとおり。 (5)赤外線吸収スペクトル;図4に示すとおり。 (6)高分解能質量分析; 実験値:m/z510.274 計算値:m/z510.273 (7)1H−NMR(重メタノール中);図5に示すと
おり。
【0035】(キサントバクシンBの理化学的性質) (1)外観;淡黄色アモルファス粉末 (2)分子式;C294026 (3)紫外線吸収スペクトル(メタノール中);図6に
示すとおり。 (4)赤外線吸収スペクトル;図7に示すとおり。 (5)1H−NMR(重ピリジン中);図8に示すとお
り。
【0036】(キサントバクシンCの理化学的性質) (1)外観;淡黄色アモルファス粉末 (2)分子式;C293825 (3)紫外線吸収スペクトル(メタノール中);図9に
示すとおり。 (4)赤外線吸収スペクトル;図10に示すとおり。 (5)1H−NMR(重ピリジン中);図11に示すと
おり。
【0037】(キサントバクシン群の抗菌スペクトル)
キサントバクシン群抗生物質の抗菌スペクトルの検討
は、テンサイ苗立枯病菌3種をはじめとする糸状菌16
種、酵母1種、放線菌1種及び細菌3種(グラム陽性菌
1種、グラム陰生菌2種)を用い、ペーパーディスク法
によって行った。各キサントバクシン群のチャージ量は
ディスクあたり5、10、20及び50μgで、24〜
96時間後にペーパーディスク周囲に形成された阻止円
の直径を計測し、全ての被検菌について形成された阻止
円の直径の比較が可能であった各試料のチャージ量20
μg/diskの時の結果を、阻止円の直径(2反復平
均値)によって+++、++、+及び−の4段階に分け
て、キサントバクシン群抗生物質の抗菌活性を評価し
た。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】(キサントバクシン群抗生物質の最小生育
阻止濃度)キサントバクシンA及びキサントバクシンB
について、テンサイ苗立枯病菌3菌株を含む糸状菌16
菌株及び酵母1菌株を用いて最小生育阻止濃度(MI
C)を測定した。MICの測定は、加熱溶解したPDA
培地10mlに、適当量のキサントバクシンAあるいは
キサントバクシンBを含むクロロホルム・メタノール
(1:1,v/v)溶液を熱時に50μl注加し、均一
になるように攪拌後、滅菌シャーレ(90mm i.
d.)に注ぎ、試料を一定濃度で含有する寒天平板を調
製した。キサントバクシンA及びキサントバクシンBの
濃度は、0.1、1.0及び10.0μg/ml培地の
3段階を設定した。被検菌の接種は、寒天平板上に白金
耳で胞子または菌核を塗布するか、あるいは斜面培養し
た菌叢の一部を切り取ってのせるかのいずれかの方法に
よった。接種後25℃の恒温器中に静置し、48時間後
から7日目程度まで観察し、胞子あるいは菌核の発芽、
接種した菌叢から検定培地上への菌糸の伸長を観察し、
これらの現象が全く観察されない濃度をMICとした。
最初の3濃度の結果から、さらに同様の方法で調製した
0.01、0.05あるいは20μg/ml培地となる
ように調製した検定培地でさらに検定した。各被検菌の
MIC検定結果を表4に示す。特に P.vignae 及び G.g
raminis に対するMICが他の菌に対するものより小さ
く、これらの菌に対して強い抗菌活性を有することが明
らかとなった。またペーパーディスク法で強い抗菌活性
が認められた他の卵菌( A.cochlioides及び P.ultimu
m)に対しても10μg/mlの濃度で完全に生育を阻
止し、両菌に対するMICは1〜10μg/mlの範囲
内であることがわかった。
【0040】
【表4】
【0041】
【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。 実施例1 ザントモナス・エスピーSB−K88株(FERM P
−13821)を、市販のポテト−デキストロース ブ
ロス(ポテト−デキストロース24g、硝酸カルシウム
2g、リン酸ナトリウム0.5gを1Lの水に溶解した
もの)中、25℃で7日間振とう培養して得られた培養
液上清をXAD−2樹脂に吸着させ、メタノールで脱着
させた後、コスモシル75C18−OPN( Nacalal tes
que )による逆相カラムに供し、溶出溶媒としてMeO
H−水(90:10)系を用い各フラクションの抗菌活
性を指標に精製し、引き続き含水シリカゲルによる順相
カラムクロマトグラフィーに供し、溶出溶媒として水−
MeOH−クロロフォルム(5:25:65)系を用
い、各フラクションの抗菌活性を指標にキサントバクシ
ン群抗生物質を精製した結果、キサントバクシンCがま
ず溶出され、次いでキサントバクシンAが溶出し、最後
にキサントバクシンBが溶出してきた。各々の抗菌活性
画分を凍結乾燥したところ、15Lの培養液から、13
3mgのキサントバクシンAが、35mgのキサントバ
クシンBが、3mgのキサントバクシンCが、それぞれ
淡黄色粉末として得られた。
【0042】
【発明の効果】本発明のキサントバクシン群抗生物質
は、優れた抗真菌活性を有することから、テンサイ苗立
枯病をはじめとする植物病原菌に対する殺菌剤として有
用であり、また、キサントバクシン群抗生物質が有する
ユニークなアセトゲニンクラスの疎水部分構造及びテト
ラミン酸部分構造は、抗生物質イカルガマイシンと類似
することから、イカルガマイシンが有する抗原生動物活
性、抗アメーバー活性、溶血作用やマクロファージに対
する低密度リポタンパク取り込み抑制作用などの多様な
生理活性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキサントバクシンAのHMBC相関及
びHH−COSY相関による全炭素帰属を示す図であ
る。
【図2】本発明のキサントバクシンAで観察された重要
なNOESY相関とキサントバクシンAの相対配置を示
す図である。
【図3】本発明のキサントバクシンAの紫外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図4】本発明のキサントバクシンAの赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図5】本発明のキサントバクシンAの1H−NMRを
示す図である。
【図6】本発明のキサントバクシンBの紫外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図7】本発明のキサントバクシンBの赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図8】本発明のキサントバクシンBの1H−NMRを
示す図である。
【図9】本発明のキサントバクシンCの紫外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図10】本発明のキサントバクシンCの赤外線吸収ス
ペクトルを示す図である。
【図11】本発明のキサントバクシンCの1H−NMR
を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:64) C12R 1:64) (72)発明者 中山 尊登 茨城県つくば市吾妻1丁目16−2 吾妻1 丁目住宅401棟321号 Fターム(参考) 4B064 AE57 BA06 BG02 BG09 BH02 BH04 BH05 BH06 BH07 CA02 DA03 DA11 4C050 AA01 AA07 BB04 CC12 EE02 FF02 GG03 HH01 4C086 AA01 AA02 AA03 CB14 GA16 GA17 MA01 MA04 NA14 ZB35 ZB38

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)で表される化合物である抗生物
    質キサントバクシンAもしくはその互変異性体又はそれ
    らの塩。 【化1】
  2. 【請求項2】 次式(II)で表される化合物である抗生
    物質キサントバクシンBもしくはその互変異性体又はそ
    れらの塩。 【化2】
  3. 【請求項3】 次式(III)で表される化合物である抗
    生物質キサントバクシンCもしくはその互変異性体又は
    それらの塩。 【化3】
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の化合物又
    はその塩の1種又は2種以上を有効成分とする抗菌剤。
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