JP2002019312A - 平板印刷版用アルミニウム合金板 - Google Patents

平板印刷版用アルミニウム合金板

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JP2002019312A
JP2002019312A JP2000210168A JP2000210168A JP2002019312A JP 2002019312 A JP2002019312 A JP 2002019312A JP 2000210168 A JP2000210168 A JP 2000210168A JP 2000210168 A JP2000210168 A JP 2000210168A JP 2002019312 A JP2002019312 A JP 2002019312A
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aluminum alloy
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Keitaro Yamaguchi
恵太郎 山口
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MA Aluminum Corp
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解エッチングにおいて良好な粗面が得ら
れる平板印刷版用アルミニウム合金板を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金板はFe:0.1〜
0.5%、Si:0.01〜0.15%、Cu:5〜1
80ppmを含有する。さらに表層部が準安定相のAl
Fe系金属間化合物粒子が分散した準安定相分散層から
なり、該分散層では、面方向において、0.1μm以上
の金属間化合物粒子が5000個/mm以上の密度で
分散し、該金属間化合物粒子のうち、0.1〜1.0μ
mの大きさの粒子が20%以上を占める。 【効果】 準安定相を含む適切な大きさと密度の金属
間化合物粒子がピットの起点として有効に作用し、電解
エッチングによって未エッチング部が少なく、しかも均
一にピットが形成された粗面が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め感光層が形成
され、現像処理した後に、そのまま或いは感光層の焼き
付け処理をして用いられるPS版に使用される平板印刷
版用アルミニウム合金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷では、予め感光層が形成され、
現像処理した後に、そのまま或いは感光層の焼き付け処
理をして用いられるPS版が幅広く使用されており、該
PS版は、感光剤が塗布される粗面を有している。該印
刷版は、その構成材料として電解エッチング性に優れる
1050系のアルミニウム合金が広く用いられている。
このPS版は、上記アルミニウム合金を用いて所定の製
造工程を経て製造されるものであるが、上記感光剤の塗
布に先立っては表面処理が施されている。この表面処理
は、電解エッチングによって印刷版表面を粗面化処理し
た後、陽極酸化皮膜処理するものであり、また粗面化処
理前には、脱脂等を目的として苛性処理等の洗浄がなさ
れる。
【0003】上記粗面化処理は、感光層の形成において
印刷版に感光剤が密着して固定されるように行うもので
あり、この密着性は印刷版としての性能に影響する。し
かし、従来の粗面化処理では、粗面化表面に未エッチン
グ部があったり、粗面化により形成されるピットの分布
が不均一だったりして少なからず印刷版としての性能に
悪影響が生じており、この粗面状態を改善することが求
められている。従来、上記観点から材料面での改善が試
みられており、その一方法として材料に特殊元素を添加
する方法が提案されている。例えば、特開平11−11
5333号では、所定量のNiを添加することによって
ピットの形成を促進してエッチング性を向上させる方法
が開示されており、特開昭58−210144号では、
Sn、In、Gaを添加して微細ピットを形成してエッ
チング性を向上させる方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
特殊元素を添加しても上記要望を十分に満足するには至
っておらず、また、特殊元素の添加によって材料費のコ
ストアップを招いたり、リサイクルの障害になるという
問題がある。また、金属間化合物の大きさ、密度に着目
し、これらを制御することによって特殊元素を添加する
ことなくエッチング性を向上させる方法も提案されてい
る(特開平11−151870号等)。この方法では、
該金属間化合物がエッチングの起点になって微細なピッ
トが均一に形成されるものとしている。しかし、この方
法によっても十分にエッチング性を向上させることはで
きず、前記要望を満足させるには至っていない。
【0005】本発明者の研究から、上記における金属間
化合物の大きさ、密度の制御によっても十分なエッチン
グ性を得られないのは、該金属間化合物の化学溶解性が
予想以上に大きく、電解液に溶解してしまうために、エ
ッチングピットの起点として十分に機能していないため
であることが分かった。そして、さらに研究を進めた結
果、上記金属間化合物は安定相からなるのに対し、準安
定相のAlFe系金属間化合物粒子を適度に分散させる
とエッチング性が大幅に向上し、前記した要望にも十分
に応えられることが判明し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0006】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
であり、粗面化処理に際し、特殊元素の添加を必要とす
ることなく、未エッチング部が少なく、かつ均一なピッ
トが形成された粗面が得られ、したがって性能に優れた
PS版を得ることができる平板印刷版用アルミニウム合
金板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の平板印刷版用アルミニウム合金板のうち第1の
発明は、質量比で、Fe:0.1〜0.5%、Si:
0.01〜0.15%、Cu:5〜180ppmを含有
し、残部がAlおよび不可避不純物からなるとともに、
表層部が準安定相のAlFe系金属間化合物粒子が分散
した準安定相分散層からなり、該分散層では、面方向に
おいて、円相当径で0.1μm以上の金属間化合物粒子
が5000個/mm以上の密度で分散しており、さら
に0.1μm径以上の該金属間化合物粒子のうち、粒子
径が0.1〜1.0μmの範囲内にある粒子が個数比で
20%以上であることを特徴とする。
【0008】第2の発明の平板印刷版用アルミニウム合
金板は、第1の発明において、前記分散層に、面方向に
おいて、準安定相のAlFe系金属間化合物粒子が、安
定相のAlFe系金属間化合物粒子に対し、個数比で5
/100以上含まれていることを特徴とする。
【0009】第3の発明の平板印刷版用アルミニウム合
金板は、第1または第2の発明において、前記分散層で
は、面方向において、金属間化合物粒子のうち、下記A
式を満たす粒子(個数a)と、下記B式を満たす粒子
(個数b)とが、下記C式を満たす関係にあることを特
徴とする請求項1または2に記載の平板印刷版用アルミ
ニウム合金板 Al量/Fe量≦1.6 …A Al量/Fe量>1.6 …B b/a≧0.05 …C
【0010】第4の発明の平板印刷版用アルミニウム合
金板は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記分
散層が表面から2μm〜50μmの深さを有することを
特徴とする。
【0011】以下に、本発明で規定した成分等の限定理
由を述べる。なお、成分含有量はいずれも質量比で示さ
れる。 Fe:0.1〜0.5% FeはAlFe系晶析出物(金属間化合物)を形成する
のに不可欠な元素であり、適量の金属間化合物粒子を得
るためには0.1%以上の含有が必要である。この含有
量が0.1%未満であると晶析出物の形成が不十分とな
り、所望のエッチング性が得られない。一方、含有量が
0.5%を越えると巨大晶析出物の形成により電解エッ
チングピットを不均一化するので、Fe含有量は0.1
〜0.5%の範囲に定める。なお、同様の理由で下限を
0.2%、上限を0.4%に定めるのが望ましい。
【0012】Si:0.01〜0.15% Siは0.15%を越えて含有するとAlFeSi系晶
析出物を形成し、AlFe系準安定相の生成を阻害す
る。また、Si系の巨大晶析出物が形成されて電解エッ
チングピットを不均一化する。このためSiの含有量の
上限を0.15%に定める。一方、Siの含有量を0.
01%未満にまで低下させると高純度地金の使用により
コストが増し、工業性の点で問題が発生する。このた
め、Si含有量は0.01〜0.15%の範囲に定め
る。なお、同様の理由で下限を0.04%、上限を0.
08%に定めるのが望ましい。
【0013】Cu:5〜180ppm Cuは、適量の含有によりピットを形成しやすくして均
一なピット形成を可能にする元素であり、上記準安定相
金属間化合物粒子との併存によってエッチング性を顕著
に向上させる。ただし、5ppm未満の含有では粗面化
に際し形成されるピットが浅いか、ピットが形成され難
くなるので、5ppm以上の含有が必要である。一方、
Cu含有量が180ppmを越えると、ピット深さは増
すが局部的に電解エッチングされるようになり、大きな
ピットが不均一に形成されるとともに、準安定相の安定
相への相変化を促進する。したがって、Cuの含有量を
5〜180ppmに限定する。なお、同様の理由で下限
を20ppm、上限を80ppmとするのが望ましい。
【0014】(準安定相分散層)従来、平板印刷版用ア
ルミニウム合金板では、安定相のAlFe系金属間化合
物(AlFe)が分散しており、準安定相の分散層は
見られない。本発明では、従来のものと異なり、表層部
に準安定相のAlFe系金属間化合物が分散した分散層
を有している。この準安定相は、量比でAlFe,A
Fe,AlFeまたはAlFe(4<m<6)
で示される。これらは単独または混相として存在する。
また、準安定相粒子は、通常は、この準安定相の金属間
化合物のみで構成されるが、安定相の金属間化合物が混
ざったものであってもよい。上記した準安定相金属間化
合物粒子は、安定相の金属間化合物粒子に比して、ピッ
トの起点になりやすく、ピットの分散性を高めて未エッ
チング部の発生を効果的に防止する。また、AlFe
のmは6に近い方が効果的である。
【0015】(分散層深さ)上記した分散層は、表面か
ら2〜50μmに至る深さで形成されているのが望まし
い。これは、平板印刷版用アルミニウム合金板の製造に
おいて、圧延後、電解エッチング前に、苛性洗浄による
脱脂、酸エッチングや機械研磨等により表面層除去が行
われており、一般的に、化学的前処理では2〜5μm程
度、機械研磨では5〜10μm程度が除去されることか
ら、分散層の深さは2μm以上が望ましいことになる。
したがって、ここで述べる分散層の深さは、表層除去
前、圧延後の状態を示している。一方、分散層の深さは
50μmを越えても電解エッチングの改善には殆ど関与
しないので、分散層深さは50μmあれば十分である。
【0016】準安定相と安定相の比率(分散層におけ
る) 分散層では、ピットの起点として優れている準安定相の
金属間化合物粒子が、ある程度の比率以上で分散してい
る。この場合、安定相のAlFe系金属間化合物粒子1
00に対し、準安定相のAlFe系金属間化合物粒子
が、5以上の比率で分散しているのが望ましい。この比
率が5未満であると、準安定相粒子の比率が低くて十分
な改善効果が得られない。なお、同様の理由で、準安定
相のAlFe系金属間化合物粒子が15以上の比率で分
散しているのが一層望ましい。
【0017】また、金属間化合物が準安定相であるか安
定相であるかは、粒子中のFe含有量とAl含有量との
比率を調査することにより判明する。なお、粒子では、
安定相と準安定相の結晶が接して存在する場合もある
が、この場合には準安定相単独の粒子と同様にピットの
起点として十分に機能し得ることから準安定相のものと
同列に扱うことができる。上記比率は各粒子における
(Al量/Fe量)で示すことができ、これが1.6以
下のもの(Al量/Fe量≦1.6…A式)を安定相粒
子、1.6を越えるもの(Al量/Fe量>1.6…B
式)を準安定相粒子とみなすことができる。従って、A
式を満たす粒子個数をa個、B式を満たす粒子個数をb
個とした場合、その比率(b/a)が0.05以上とな
ることによって準安定相粒子の分散による改善効果が得
られる。また、該比率は0.15以上であるのが一層望
ましい。なお、準安定相粒子の比率の上限は特に定める
必要はないが、製造方法の制約等によって、通常は安定
相粒子を1とすれば、9程度が上限である。
【0018】(金属間化合物粒子)金属間化合物粒子
は、エッチングピットの起点になることから、上記した
分散層における該粒子の大きさは、その後に成長するピ
ットの性状に影響する。この粒子径が小さくて(円相当
径0.1μm未満)、粒子が微細すぎるとエッチングピ
ットの起点として十分に作用せず、一方、粒子径が大き
すぎる(円相当径1.0μm超)とピットの均一性を低
下させる。したがって、ピットの形成に好適に影響を与
える金属間化合物粒子は、円相当径で0.1μm〜1.
0μmのものである。したがって面方向において、金属
間化合物粒子のなかで、この大きさの範囲にある粒子の
比率が高いほど良好なエッチング性が得られる。面方向
とは、分散層の任意の深さ位置での表面と平行する面方
向を意味する。なお、0.1μm未満の金属間化合物粒
子は、ピットの起点という観点からは殆ど無視できる存
在であるから、0.1μm以上の金属間化合物粒子にの
み着目して、上記範囲内の粒子の比率を規定することが
できる。すなわち、上記大きさ範囲内の金属間化合物粒
子の個数比率が、0.1μm以上の粒子総個数に対し、
20%以上であるのが望ましい。該比率が20%未満で
あると、晶析出物の大きいものが多く、全体的に大きな
ピットが生じて不均一な粗面となる。なお、同様の理由
で該比率が30%以上であるのが一層望ましい。なお、
ここでいう金属間化合物粒子は、安定相であるか準安定
相あるかは問わない。
【0019】また、ピットを十分な数で形成するという
点から、金属間化合物粒子の分散個数密度も重要であ
る。この密度は、上記と同じく面方向におけるものとし
て捉える。また、上記したようにピットの起点として有
効に作用する粒子は、円相当径で0.1μm以上のもの
であるといえるので、この大きさの粒子の密度に着目す
べきである。すなわち、円相当径で0.1μm以上の金
属間化合物粒子の密度が5000個/mm未満である
と、起点としての数が不十分であり、ピット数が不足す
るので、上記密度は5000個/mm以上であるのが
望ましい。なお、同様の理由で、該密度はさらに700
0個/mm以上であるのが望ましい。なお、ここでい
う金属間化合物粒子は、安定相であるか準安定相である
かは問わない。
【0020】すなわち、本発明によれば、ピットの均一
性に寄与するCuを適量含有するとともに、表層部に準
安定相のAlFe系金属間化合物が分散しているので、
特殊元素の添加を必要とすることなく、電解エッチング
に際し、未エッチング部が少なく、ピットが均一に形成
された粗面を得ることができる。さらに、上記表層部で
分散している金属間化合物粒子の大きさ、分散密度を制
御することによって上記効果が一層拡大する。上記効果
により、感光層を形成する際に感光剤が密着して固着さ
れ、印刷版として優れた性能を発揮する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム合金板は、
常法または公知の製造方法を組み合わせることによって
も製造することができるが、その製造に際しては準安定
相粒子が分散した分散層が形成されるような特別な配慮
がなされなければならず、また、必要に応じて該分散層
で分散している金属間化合物粒子の大きさ、分散密度を
制御するための配慮がなされる。通常の製造方法では、
合金を溶製した後、成分の偏析等をなくす目的で均質化
処理を行っており、この段階で既に準安定相は殆ど残存
しない。また、熱間圧延前の加熱(均熱処理)の過程で
十分に加熱されることによっても僅かに残存している準
安定相は消失する。したがって製造工程において適正な
熱管理を行うことによって準安定相粒子が十分に分散し
た状態で本発明のアルミニウム合金板を得ることができ
る。また、金属間化合物粒子の分散は、同様に均質化処
理や均熱処理の温度及び時間、更には熱間圧延の温度を
制御することによって行うことができる。
【0022】以下に、本発明の合金板を得るための製造
過程について説明する。先ず、本発明の合金板の材料と
なるアルミニウム合金は、常法により溶製することがで
き、例えば前記成分範囲内になるように成分調整し、鋳
造することにより得ることができる。その後、従来法で
は550℃以上で均質化処理を行って成分の均質化等を
図っている。ただし、本発明の合金板を得る工程では、
前記した準安定相分散層を得るために、この均質化処理
を省略するか、均質化処理を500℃以下で行うことも
可能である。所定の成分を有するアルミニウム合金は、
熱間圧延→冷間圧延の工程を経てアルミニウム合金薄板
とすることができる。なお、上記工程では適宜、焼鈍工
程を設けることもできる。上記工程を経ることにより得
られるアルミニウム合金薄板は、アルミニウム合金板と
して用いられる。なお、鋳造速度が遅くなると、また、
均質化温度が500℃を越えて高くなると、更に均熱温
度及び熱延温度が高くなると粒子は大きくなる傾向にあ
り、これらを適正な温度条件(具体的には500℃以下
を目標とし)で行うことにより粒子の大きさ、密度を制
御する。
【0023】合金板では、前述したように通常は、感光
剤の塗布に先立って表面清浄がなされる。表面清浄で
は、一般に前述したように表面に付着している油、汚れ
等の除去を目的に洗浄がなされる。この洗浄は、通常は
苛性ソーダを用いた苛性処理によってなされる。ただ
し、本発明としては酸処理、その他の処理を含むもので
あってもよく、また苛性処理を含まない処理からなるも
のであってもよく、要は洗浄を目的とする処理過程であ
ればよい。なお、洗浄に用いる溶液や洗浄の手順、条件
等については本発明としては特に限定されるものではな
く、常法により行うことができる。また、上記洗浄工程
と合わせて、または上記洗浄工程を経ることなく機械研
磨によって表面清浄を行うものであってもよい。
【0024】表面の清浄化がなされたアルミニウム合金
薄板は、その後、表面を粗面化するために粗面化処理が
なされる。この粗面化処理は、電解エッチングにより行
われる。この粗面化は後述する感光剤を印刷版表面に強
固に固定することを目的として行われる。本発明では、
この電解エッチングの条件は特に限定されるものではな
く、常法により行うことができる。本発明の材料は、電
解エッチング性に優れており、該エッチングによって、
未エッチング部が少なく、均一なピットが形成された粗
面が得られる。
【0025】さらに、上記印刷版では通常、粗面化処理
後に、防食、耐摩耗のために陽極酸化皮膜を形成する。
この皮膜処理は常法により行うことができ、本発明とし
て製造条件、皮膜の性状について特に限定されるもので
はない。陽極酸化皮膜形成後には、その表面に所望の感
光剤を塗布する。この感光剤の種別も本発明としては限
定されるものではなく、公知の感光剤を使用することが
できる。また、感光剤の塗布に用いられる装置や塗布方
法、塗布量についても適宜選定される。感光剤の塗布後
はPS版として供給される。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を説明する。表1
に示す組成でアルミニウム合金を溶解鋳造し、得られた
スラブの表面を面削した。ついで、熱間圧延、冷間圧延
を経て0.3mm厚のアルミニウム合金板を得た。つい
で、前処理に相当する表面層の除去処理として、0.3
μm粒子径のアルミナ粒子を用いた湿式バフ研磨により
所定深さまで表面層を除去した(一部供試材では表面層
の除去を省略)。表面層除去後の該合金板の表面面方向
の0.01mmの面における金属間化合物粒子をEP
MAによって観察し、分散個数密度、円相当の粒子径
(0.1μm以上を対象)、各粒子におけるAl量、F
e量を求め、さらに各粒子のAl量/Fe量比を求め
て、該比が1.6以上のものをa個、1.6未満のもの
b個としてその個数比b/aを求めた。上記観察結果
は、それぞれ表1に示した。
【0027】また、上記アルミニウム合金板に対し以下
の条件で電解エッチングを施し、エッチング後の粗面状
態を評価した。すなわち、2%塩酸、25℃、50H
z、60A/dm、40sの電解エッチング処理を行
った後、表面をSEM(500倍)観察し、未エッチン
グ部について、面積率が30%越えるものを×、20〜
30%のものを△、20%未満のものを○で評価した。
また、電解エッチング処理後表面に、円相当径が15μ
mを越える大きなピットが全ピットに対して面積率で2
0%以上あるものを×、20%未満のものを○としてピ
ットの均一性について評価した。これら評価も同様に表
1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示すように、適切な組成を有し、か
つ表層部に準安定相を含む金属間化合物粒子が適切な大
きさと密度で分散している本発明材は、未エッチング部
の少なさ、およびピットの均一性において明らかに優れ
た結果が得られている。一方、本発明の上記条件を満た
していない比較材は、上記評価のいずれかで劣ってい
た。
【0030】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の平板印刷
版用アルミニウム合金板によれば、質量比で、Fe:
0.1〜0.5%、Si:0.01〜0.15%、C
u:5〜180ppmを含有し、残部がAlおよび不可
避不純物からなるとともに、表層部が準安定相のAlF
e系金属間化合物粒子が分散した準安定相分散層からな
り、該分散層では、面方向において、円相当径で0.1
μm以上の金属間化合物粒子が5000個/mm以上
の密度で分散しており、さらに0.1μm径以上の該金
属間化合物粒子のうち、粒子径が0.1〜1.0μmの
範囲内にある粒子が個数比で20%以上であるので、電
解エッチングによって未エッチング部が少なく、かつ均
一にピットが形成された粗面状態を得ることができ、平
板印刷版として用いる際に優れた性能を引き出すことが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量比で、Fe:0.1〜0.5%、S
    i:0.01〜0.15%、Cu:5〜180ppmを
    含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるととも
    に、表層部が準安定相のAlFe系金属間化合物粒子が
    分散した準安定相分散層からなり、該分散層では、面方
    向において、円相当径で0.1μm以上の金属間化合物
    粒子が5000個/mm以上の密度で分散しており、
    さらに0.1μm径以上の該金属間化合物粒子のうち、
    粒子径が0.1〜1.0μmの範囲内にある粒子が個数
    比で20%以上であることを特徴とする平板印刷版用ア
    ルミニウム合金板
  2. 【請求項2】 前記分散層では、面方向において、準安
    定相のAlFe系金属間化合物粒子が、安定相のAlF
    e系金属間化合物粒子に対し、個数比で5/100以上
    含まれていることを特徴とする請求項1記載の平板印刷
    版用アルミニウム合金板
  3. 【請求項3】 前記分散層では、面方向において、金属
    間化合物粒子のうち、下記A式を満たす粒子(個数a)
    と、下記B式を満たす粒子(個数b)とが、下記C式を
    満たす関係にあることを特徴とする請求項1または2に
    記載の平板印刷版用アルミニウム合金板 Al量/Fe量≦1.6 …A Al量/Fe量>1.6 …B b/a≧0.05 …C
  4. 【請求項4】 前記分散層は、表面から2μm〜50μ
    mの深さを有することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の平板印刷版用アルミニウム合金板
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008063667A (ja) * 2007-10-12 2008-03-21 Mitsubishi Alum Co Ltd 平版印刷用アルミニウム合金材料およびその製造方法

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