JP2002018265A - 蛋白質の吸着防止剤 - Google Patents

蛋白質の吸着防止剤

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JP2002018265A
JP2002018265A JP2000205581A JP2000205581A JP2002018265A JP 2002018265 A JP2002018265 A JP 2002018265A JP 2000205581 A JP2000205581 A JP 2000205581A JP 2000205581 A JP2000205581 A JP 2000205581A JP 2002018265 A JP2002018265 A JP 2002018265A
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reducing agent
adsorption
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vad
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Shigeo Tsuchiya
滋夫 土屋
Hiroshi Iida
寛 飯田
Kiyoshi Yasukawa
清 保川
Norihiko Ishiguro
敬彦 石黒
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コーティング操作等の複雑な操作が不要でしか
もコーティング剤が容器から剥がれて蛋白質溶液中に混
入する恐れや目的とする蛋白質の精製度(純度)の低下
を招く恐れがなく、そして蛋白質の修飾等の変性を生じ
ることのない吸着防止剤を提供すること。 【解決手段】還元剤及びポリオキシエチレン系の非イオ
ン性界面活性剤より成る蛋白質の吸着防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、蛋白質の吸着防
止剤に関するものであり、詳しくは、還元剤及びポリオ
キシエチレン系の非イオン性界面活性剤より成る、蛋白
質の容器への吸着を防止するための吸着防止剤に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】蛋白質を精製する場合には、精製に用い
る容器への該蛋白質の吸着がしばしば大きな問題とな
る。特に蛋白質濃度が低い溶液(例えば0.1mg/m
l以下の溶液)では、溶液中の大部分の蛋白質が容器に
吸着してしまうということもある。このような容器への
吸着は、疎水性の高い蛋白質においてより顕著である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような蛋白質の
吸着を防ぐ方法として、容器をシリコン等であらかじめ
コーティングする方法が知られている。しかしながらこ
の方法では、コーティング操作が煩雑であることや、最
悪の場合、コーティングしたシリコンが容器から剥が
れ、溶液中に混入してしまうという課題がある。
【0004】蛋白質の容器への吸着を防ぐ別の方法とし
て、性状が明らかな別の蛋白質、糖質又は脂質を溶液中
に添加する方法も知られている。この方法で通常使用さ
れる蛋白質はアルブミンであり、糖質はブドウ糖、ガラ
クトース、フルクトース、サッカロース、ラクトース、
マルトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトー
ル等であり、脂質では各種脂肪酸エステル(脂肪酸エス
テルを構成する脂肪酸としては炭素数6〜18の飽和脂
肪酸や炭素数6〜22のモノエン酸、アルコールとして
は炭素数1〜4の1価アルコールや炭素数2あるいは3
の多価アルコール)である(例えば特願平10−128
407号、特願平9−80914号等を参照)。しかし
ながらこの方法には、精製しようとする蛋白質と同等モ
ル数以上の蛋白質、糖質又は脂質を添加する必要があ
り、その結果、目的とする蛋白質の精製度(純度)が低
下してしまうという課題がある。
【0005】蛋白質の容器への吸着を防ぐ別の方法とし
て、ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤を添
加することも知られている。しかしながら、後述する実
施例に示したように、本願発明者の知見によれば、ポリ
オキシエチレン系の非イオン性界面活性剤を添加すると
蛋白質が修飾され、変性してしまうという課題がある。
【0006】本願発明は上記従来技術の課題に鑑み、コ
ーティング操作等の複雑な操作が不要でしかもコーティ
ング剤が容器から剥がれて蛋白質溶液中に混入する恐れ
や目的とする蛋白質の精製度(純度)の低下を招く恐れ
がなく、そして蛋白質の修飾等の変性を生じることのな
い吸着防止剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に成された本願請求項1の発明は、還元剤及びポリオキ
シエチレン系の非イオン性界面活性剤より成る蛋白質の
吸着防止剤である。そして本願請求項2の発明は前記請
求項1の発明に係り、前記還元剤が2−メルカプトエタ
ノールであることを特徴とする。
【0008】本願請求項3の発明は、特にIL−6レセ
プターとIL−6との融合蛋白質の吸着防止剤に関する
ものであり、還元剤及びポリオキシエチレン系の非イオ
ン性界面活性剤より成る吸着防止剤である。そして本願
請求項4の発明は前記請求項3の発明に係り、前記還元
剤が2−メルカプトエタノールであることを特徴とす
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本願発明で使用されるポリオキシエチレン
系の非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレ
ンソルビタンアシルエステル(Tween)系のもの、
ポリオキシエチレンアルコールエーテル(Brij)系
のもの、そしてポリオキシエチレンアシルエステル(M
yrj)系のものを例示できる。その種類や濃度は、吸
着を防止しようとする目的蛋白質や界面活性剤の種類に
より異なるが、後の実施例に示す方法を参照しつつ、決
定すれば良い。参考までに述べれば、界面活性剤として
Tween20であれば0.01%から0.2%の範囲
で使用することを例示できる。
【0010】ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活
性剤のみを用いて蛋白質の容器への吸着を防止しようと
すると、後の実施例に示したように、蛋白質が酸化され
ることが明らかとなった。そこで本願発明の吸着防止剤
では、ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤に
よる蛋白質の酸化を防止するための還元剤を必須の成分
とする。還元剤としては、例えば2−メルカプトエタノ
ール、ジチオスレイトール、システイン塩酸塩等を例示
できる。還元剤の至適濃度範囲は還元剤の種類や吸着を
防止しようとする蛋白質の種類により異なる。還元剤と
して2−メルカプトエタノールを使用する場合、一般的
には0.1mMから2mMの範囲で使用することが例示
できるが、後述の方法により使用する還元剤の効果を目
的蛋白質との関係で実験的に調べ、至適濃度を把握して
使用すると良い。なお還元剤の濃度が至適濃度より低い
場合は酸化を防止できないために蛋白質の吸着を防止で
きてもその変性が生じる可能性を否定できず、また逆に
至適濃度よりも高いと蛋白質が還元されてしまうという
問題を生じることがある。
【0011】ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活
性剤による酸化を防止するための還元剤の至適濃度は以
下のようにして知ることができる。第1の方法は、蛋白
質を含む溶液を当該蛋白質の等電点より高いpHの溶液
で平衡化した陰イオン交換クロマトに供し、緩やかな塩
濃度勾配によって等電点の高い成分から順に溶出させる
方法である。第2の方法は、蛋白質を含む溶液を当該蛋
白質の等電点より低いpHの溶液で平衡化した陽イオン
交換クロマトに供し、緩やかな塩濃度勾配によって等電
点の低い成分から順に溶出させる方法である。組換え蛋
白質のようにその等電点が均一でない場合は、前者の方
法では最も高い等電点、後者の方法では最も低い等電点
を基準に平衡化けのための溶液のpHを決めれば良い。
前者のより具体的な例としては、等電点の範囲が5.6
から6.7である組換え蛋白質を、pH7.6の溶液で
平衡化されたDEAEカラムにかけ、0から50mMの
NaCl濃度勾配で溶出することにより、等電点の高い
成分から順に溶出することが例示できる。
【0012】カラムクロマトによる蛋白質の溶出パター
ンは、蛋白質の純度が高い場合は280nmの吸収によ
り、蛋白質の純度が低い場合は例えば蛋白質に対する抗
体を用いたELISA等により求めれば良い。蛋白質が
ポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤によって
酸化されると等電点が変化するため、陰イオン交換クロ
マトの場合は溶出が遅くなり、陽イオン交換クロマトの
場合は溶出が早くなる等、溶出パターンに差が生じる。
従って、蛋白質溶液にポリオキシエチレン系の非イオン
性界面活性剤及び還元剤を添加した場合の溶出パターン
と、これらを添加していない場合の溶出パターンとの間
に差が生じないように還元剤濃度を決定すれば良いので
ある。
【0013】本願発明において、還元剤及びポリオキシ
エチレン系の非イオン性界面活性剤を共存させることに
より、容器への蛋白質の吸着を防止することができる。
従って、蛋白質に関する精製操作等に対して影響がない
ならば、精製操作中での蛋白質の容器への吸着を防止す
るためにポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤
及び還元剤を添加しておくことが好ましく、また更に
は、精製後の蛋白質溶液に引き続きこれらを共存させ、
保存容器への蛋白質の吸着を防止することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、発明を更に詳細に説明す
るために実施例を示すが、本願発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0015】実施例1 IL−6RとIL−6との融合
蛋白質発現ピキア酵母の樹立、培養、精製 メタノール資化性酵母であるピキア・パストリス、メタ
ノール誘導性プロモーターであるアルコールオキシダー
ゼ1のプロモーター(以下AOX1と略す)を用いて、
非天然蛋白質であるヒトIL−6RとヒトIL−6との
融合蛋白質を発現させた。
【0016】本例で用いたIL−6RとIL−6との融
合蛋白質は、N末端側にヒトIL−6RのN末端112
番目のバリン残基から333番目のアラニン残基までの
部分を有し、このアラニン残基のC末端側にヒトIL−
6のN末端38番目のアスパラギン酸からC末端までの
部分がリンカーを介することなく直接結合したものであ
る(該融合蛋白質を以下112VADと略す;特願平1
1−188650号参照)。
【0017】クローニングベクターであるpBlues
cript II KS(−)(東洋紡(株)製)を制
限酵素KpnIで切断し、クレノウフラグメントで処理
した後、ライゲーション反応を行ってKpnIサイトが
消失したプラスミドpBSを作製した。次に、配列番号
1のプライマーp6RAB20Lと配列番号2のプライ
マーp6RF320Sを用いてIL−6R遺伝子(cD
NA)を増幅し、XhoIで切断した。これを、予めX
hoIとEcoRVで切断したpBSに挿入することに
より、プラスミドpBS6Rを得た。
【0018】次に配列番号3のプライマーpIL6B2
と配列番号4のプライマーpIL6F2を用いてIL−
6遺伝子(cDNA)を増幅し、Bgl IIとNot
Iで切断した。これを、予めBgl IIとNotIで
切断したpBS6Rに挿入することにより、プラスミド
pBS6R6Sを得た。プラスミドpBS6R6SをB
gl IIとKpnIで切断し、配列番号5及び配列番
号6の2種類のオリゴヌクレオチドをアニールし挿入
し、pBS6R6Lを得た。
【0019】pBS6R6Lから配列番号7のプライマ
ーpKN6B38Dと配列番号4のプライマーpIL6
F2を用いてIL−6遺伝子(cDNA)を増幅し、N
ruIとNotIで切断した。これを、予めEco47
IIIとNotIで切断したpBS6R6Lに挿入する
ことにより、プラスミドpBS6R6L−38Dを得
た。
【0020】プラスミドpBS6R6L−38DをXh
oIとNotIで切断してIL−6RとIL−6との融
合蛋白質をコードする遺伝子を取得し、予めXhoIと
NotIで切断した発現ベクターpPIC9(インビト
ロジェン社製)に挿入して、プロテアーゼ抵抗性を有す
るIL−6RとIL−6との融合蛋白質をコードする発
現プラスミドpPIC9−20LADを調製した。
【0021】配列番号8のプライマーp6RAB112
Vと配列番号9のプライマーp344Fを用いてIL−
6R遺伝子(cDNA)を増幅し、XhoIとXbaI
で切断した。これを予めXhoIとAvrIIで切断し
たpPIC9に挿入することにより、プラスミドpPI
C9−112VLを得た。プラスミドpPIC9−11
2VLをXhoIとPmaCIで切断して得られた断片
を、予めXhoIとPmaCIで切断したpPIC9−
20LADに挿入することにより、融合蛋白質112V
ADをコードする発現プラスミドpPIC9−112V
ADを調製した。
【0022】ピキア・パストリス(インビトロジェン社
製、Pichia pastoris GS115株)
から市販試薬(インビトロジェン社製、EasyCom
pTransformation Kit)を用いてコ
ンピテントセルを調製し、Bgl IIによって線状化
したpPIC9−112VADで酵母を形質転換し、得
られた酵母を最小栄養培地で培養してヒスチジン要求性
を失った形質転換体を選別した。
【0023】上記のようにして得られた形質転換体をM
Dプレート(1.34%(W/V)YNB、0.000
04%(W/V)ビオチン、2%(W/V)グルコー
ス)とMMプレート(1.34%(W/V)YNB、
0.00004%(W/V)ビオチン、0.5%(V/
V)メタノール)にそれぞれ接種し、各形質転換体に対
し、mut+であるかmutsであるかを調べ、muts
のうち1株(G1と略す)を以後の実験に用いた。
【0024】100mlのBMGY(Bacto Ye
ast Extract 10g/l、BactoPe
ptone 20g/l、Yeast Nitroge
nBase without amino acids
1.34g/l、100mMリン酸カリウム緩衝液p
H6.0、グリセロール10g/l、ビオチン0.4m
g/l)培地に100ulの20%グリセロール凍結株
G1を接種し、市販の培養装置(NBS社製、G−20
型)にて28℃、200rpmの条件で24時間前培養
を行った。
【0025】8lのBMGY(Bacto Yeast
Extract 15g/l、BactoPepto
ne 30g/l、その他は上記BMGYと同一組成)
培地に前記培養液100mlを接種し、16lのジャー
(NBS社製、SF−116型)にて28℃、350r
p、通気量1vvmの条件で溶存酸素濃度をモニタリン
グしつつ培養を行った。
【0026】培養開始から16時間後、溶存酸素濃度が
急激に上昇したことによりグリセロールの枯渇を確認
し、培地にメタノール300ml、Bacto Yea
stExtract 15g、Bacto Pepto
ne 30gの混合水溶液を2l添加し、112VAD
の発現を誘導した。そしてメタノール添加後20時間で
培養を終了し、培養液を集めた。
【0027】培養液8lを水に対して5時間透析した
後、電気伝導度計でモニターしながら、20mM酢酸塩
緩衝液(pH5.5)及び純水を添加し、NaCl濃度
として約50mMとなるまで希釈した。更にpHメータ
ーをモニターしながら、50%酢酸水溶液を滴下し、p
Hを5.5とし、これを精製原料とした。
【0028】SP基を有する吸着体粒子を含む市販の装
置(商品名;吸着流動床ストリームライン−SP(カラ
ム;STLEAMLINE C−50;5cmID×1
00cm、ゲル;ストリームライン用SP;300m
l、アマシャムファルマシアバイオテク社製)に対し、
20mM酢酸塩緩衝液(pH5.5)を上方送液するこ
とにより平衡化し、上記のように調製した精製原料(6
リットル、112VAD量が109mg、総蛋白質量が
2.4g)を線速毎時300cmで送液した。精製原料
の送液後、平衡化緩衝液を引き続き上方送液することで
充分に洗浄し、カラム上部に純水を注入してアダプター
を下降させゲルをパック状態にした。次いで、75mM
NaClを含む20mM酢酸塩緩衝液(pH5.5)
を線速毎時300cmで下方送液し夾雑物を除去した。
洗浄による夾雑物の除去後、200mM NaCl、5
%(v/v)グリセロールを含む20mM リン酸塩緩
衝液(pH6.5)を線速毎時150cmで下方送液し
IL−6R・IL−6融合蛋白質画分(202ミリリッ
トル、IL−6R・IL−6融合蛋白質量65mg、総
蛋白質量103mg)を得た。
【0029】回収した112VAD画分をゲルろ過クロ
マトグラフィーに供するため、限外ろ過膜処理により濃
縮した。市販の限外ろ過膜(商品名;ペリコンXL、日
本ミリポア社製)に0.45マイクロメーターのメンブ
ランフィルター(日本ミリポア社製)でろ過した回収画
分を供した。
【0030】引き続き限外ろ過膜処理後の画分をゲルろ
過クロマトグラフィー工程に供した。限外ろ過膜濃縮液
(21ミリリットル)を100mM NaClの20m
Mリン酸塩緩衝液(pH6.5)で平衡化したゲルろ過
クロマトグラフィーカラム(商品名;TSKgel G
3000SW(21.5mmID×30cm、東ソー
(株)製)に、毎分5.0ミリリットルで送液、添加
し、280nmにおける吸収のモニター結果と標準蛋白
質の保持時間を指標として112VAD画分を回収し
た。
【0031】次に回収した112VAD画分を陽イオン
交換クロマトグラフィーに供するため、限外ろ過膜処理
により緩衝液を交換した。限外ろ過膜に0.45マイク
ロメーターのメンブランフィルターでろ過した回収画分
を供した。限外ろ過膜処理の間、適宜、5%(v/v)
グリセロールを含む20mM 酢酸塩緩衝液を保持液で
ある112VAD溶液に添加することにより、緩衝液の
交換を行った。緩衝液交換はpHおよび電気伝導度の測
定値を目安として行った。
【0032】引き続き限外ろ過膜処理後の画分を、陽イ
オン交換クロマトグラフィー工程に供した。陽イオン交
換クロマトグラフ用カラム(商品名;TSKgel S
P−5PW(21.5mmID×15cm、東ソー
(株)製)を5%(v/v)グリセロールの20mM
酢酸塩緩衝液(pH5.5)で充分に平衡化し、調製液
を流速8.0(ミリリットル/分)で前記画分を送液し
た。送液後、前記平衡化緩衝液でカラムを洗浄し、平衡
化緩衝液と1000mM NaClを含む20mM酢酸
塩緩衝液を用いて95〜195mMのNaCl濃度勾配
により112VAD画分を流速毎分8.0ミリリットル
で溶出させ、112VAD画分75ミリリットルを回収
した。これにより最終的に30ミリグラムの精製112
VADが回収された。なお、蛋白質の定量は、市販の定
量キット(商品名;プロテインアッセイキット、日本バ
イオ・ラッドラボラトリー社製)を使用した。また、1
12VADの定量は、担体に結合したgp130蛋白
質、ラビット抗IL−6抗体及びアルカリフォスファタ
ーゼで標識したヤギ抗ラビットIgG抗体を用いる測定
法(特願2000−194919号参照)により行っ
た。
【0033】実施例2 DEAE5PWによる精製11
2VADの溶出パターンの解析 実施例1のようにして得られた精製112VADを0.
1%Tween20及び10mM 2−メルガプトエタ
ノール(2−ME)を含む50mM トリス塩酸緩衝液
(Ph7.6)で12倍に希釈し、同じ緩衝液で十分に
平衡化した陰イオン交換クロマトグラフ用カラム(商品
名;TSKgel DEAE−5PW(21.5mmI
D×15cm、東ソー(株)製)に流速4.0(ミリリ
ットル/分)で送液した。送液後、前記平衡化緩衝液で
カラムを洗浄し、平衡化緩衝液と100mM NaCl
を含む平衡化緩衝液を用いて0〜100mMのNaCl
濃度勾配により112VAD画分を毎分4.0ミリリッ
トルで溶出させた。各フラクションの280nmの吸収
を調べた結果、図1に示すような溶出パターンが得られ
た。更に、一部のフラクションを等電点電気泳動で調べ
た結果、図2が得られた。これは、図1に示す溶出パタ
ーンにおいて、64.5分のピークの等電点は6.7、
72.4分のピークと77.1分のピークの等電点は
6.4、83.1分のピークの等電点は6.1、90.
6分のピークの等電点は5.9、101.4分のピーク
の等電点は5.6であることを示す。一方、精製112
VADを、10mM 2−MEを含まない0.1%Tw
een20、50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.
6)で12倍に希釈し、同様にDEAE−5PWで溶出
させると、図3に示すように、2−MEを含む場合(図
1)と全く異なる溶出パターンが得られた。ピークがブ
ロードであること、及びピークの溶出位置が遅くなって
いることから112VADが酸化され、不均一化したこ
とがわかる。
【0034】実施例3 Tween20による112V
ADの容器への吸着防止効果 実施例1で得られた精製112VADに対する各種添加
物質の容器への吸着防止効果を調べた。精製112VA
Dを20mMトリス塩酸緩衝液(pH6.8あるいは
7.6)、0.1%Tween20中で、62.5、1
25、250、500、1000ng/mlとなるよう
に調製し、2ミリリットルのポリプロピレン製チューブ
(エッペンドルフ製フロックチューブ)に1ミリリット
ルずつ加えた。比較のため、0.1%Tween20の
代わりに、何も加えてないもの、0.5%ウシ血清アル
ブミンを含むもの、10%ポリエチレングリコール(P
EG)20000を含むもの、10%PEG8000を
含むもの、10%PEG4000を含むもの、0.1%
Tritonを含むものについても、同様にIL−6R
・IL−6融合蛋白質の各種濃度の溶液を調製した。
【0035】そのまま25℃で一晩放置した後、前述の
測定法(特願2000−194919号に記載した方
法)を用いて112VADを定量し、残存率を求めた。
【0036】図4及び図5から明らかなように、添加剤
を含まない溶液では112VADの濃度が500ng/
ml以下になると残存率はほぼ0%になる。一方、0.
1%Tween20を含む溶液では、残存率は濃度に関
係なく100%であった。0.1%Tritonを含む
溶液、及びPEGを含む溶液では、残存率は100%に
はならなかった。以上の結果は、0.1%Tween2
0のみが容器への高い吸着防止効果を有することを示
す。
【0037】実施例4 Tween20及び各種濃度の
2−ME存在下で置いたときの、112VADの溶出パ
ターン実施例1の方法で得られた精製112VADを3
7μg/ml含む、20mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.6)、0.1%Tween20、0〜100mM2
−MEを4℃で20時間程度放置した。その後、20m
M トリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.1%Twe
en20で平衡化した陰イオン交換クロマトグラフ用カ
ラム(商品名;TSKgel DEAE−5PW(7.
6mmID×7.5cm、東ソー(株)製)に供した。
112VADを供した後、20分から70分間にかけ
て、NaClの直線濃度勾配(0から50mM)をか
け、112VAD画分を溶出させた。280nmの吸収
を測定することにより得られた溶出パターンを図6に示
す。
【0038】図6から明らかなように、2−ME非存在
下(A)及び1mM存在下(B)では、図1の溶出パタ
ーンと比較して、ピークがブロードであること、及びピ
ークの溶出位置が遅くなっていることから、112VA
Dが酸化され、不均一化したことがわかる。これは、
0.1%Tween20を含み、2−MEを含まない溶
液は吸着防止効果は有するものの、酸化防止効果をもた
ないことを示す。さらに、112VADのようなIL−
6RとIL−6との融合蛋白質の場合では、2−MEの
濃度は2〜50mM(C〜F)、特に10mM(D)が
至適であることを示す。一方、2−MEが100mMに
なると(G)、ピークの形状が大きく変わった。
【0039】
【発明の効果】本願発明の吸着防止剤は、還元剤及びポ
リオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤を成分とす
ることにより、特に疎水性の高い蛋白質の精製操作中や
精製後の保存時に、蛋白質の変性を招くことなく、当該
蛋白質の容器への吸着を防止することができる。本願発
明の方法は、分子量的だけでなく等電点的にも均一性が
要求される医薬品原体の工業的な製造に特に有用であ
る。
【0040】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tosoh Corporation <120> 蛋白質の吸着防止剤 <130> PA211-0216 <160> 9 <210> 1 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーp6RAB20L <400> 1 ctcgagaaga ggctggcccc aaggcgctgc cc 32 <210> 2 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーp6RF320S <400> 2 agatctggat tctgtccaag gcgtgcccat ggc 33 <210> 3 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーpIL6B2 <400> 3 agatctggta cccccaggag aagattcc 28 <210> 4 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーpIL6F2 <400> 4 atgcggccgc tacatttgcc gaagagccc 29 <210> 5 <211> 51 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> アニール用オリゴヌクレオチド <400> 5 gatcccctcc agctgagaac gaggtgtcca cccccatgca agcgctggta c 51 <210> 6 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> アニール用オリゴヌクレオチド <400> 6 cagcgcttgc atgggggtgg acacctcgtt ctcagctgga ggg 43 <210> 7 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーpKN6B38D <400> 7 tctcgcgatg tagccgcccc acac 24 <210> 8 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーp6RAB112V <400> 8 ctcgagaaga gggttccccc cgaggagccc cag 33 <210> 9 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマーp344F <400> 9 tctctagag atattatcat cg 22
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、0.1%Tween20及び10mM
2−ME存在下で、実施例2に記載する条件でDEA
E−5PWにかけたときの、112VADの溶出パター
ンを示す。図中、64.5、72.4、77.1、8
3.1、90.6、101.4は、各ピークの溶出時間
(分)を示す。また、図2で示す結果から求められた、
各ピークに含まれる112VADの等電点を記した。
【図2】図2は、図1の27〜79までの奇数のフラク
ションを等電点電気泳動にかけたときのパターンを示
す。図中、Mはマーカーを示し、7.35、6.85、
6.55、5.85はマーカーに含まれる各バンドの等
電点を示す。また図中、Applyは、実施例1に記載
の方法で得られた112VADを供したレーンであるこ
とを示す。
【図3】図3は、0.1%Tween20存在下、2−
ME非存在下で、実施例2に記載する条件でDEAE−
5PWにかけたときの、112VADの溶出パターンを
示す。図中、54.9、56.6、66.2、69.9
は、各ピークの溶出時間(分)を示す。
【図4】図4は、112VADを62.5、125、2
50、500、1000ng/ml含む20mMトリス
塩酸緩衝液(pH6.8)で添加剤を含まないもの(白
ひし形)、0.1%Tween20を含むもの(プラ
ス)、0.5%ウシ血清アルブミンを含むもの(バ
ツ)、10%PEG20000を含むもの(白三角)、
10%PEG8000を含むもの(黒丸)、10%PE
G4000を含むもの(白丸)、0.1%Triton
を含むもの(黒三角)について、実施例3に示す方法に
より一晩放置した後の残存率を示す。
【図5】図5は、112VADを62.5、125、2
50、500、1000ng/ml含む20mMトリス
塩酸緩衝液(pH7.6)で添加剤を含まないもの(白
ひし形)、0.1%Tween20を含むもの(プラ
ス)、0.5%ウシ血清アルブミンを含むもの(バ
ツ)、10%PEG20000を含むもの(白三角)、
10%PEG8000を含むもの(黒丸)、10%PE
G4000を含むもの(白丸)、0.1%Triton
を含むもの(黒三角)について、実施例3に示す方法に
より一晩放置した後の残存率を示す。
【図6】図6は実施例4に示すように、20mMトリス
塩酸緩衝液(pH7.6)(A〜G)、2−ME非存在
下(A)、1mM 2−ME存在下(B)、2mM 2
−ME存在下(C)、10mM 2−ME存在下
(D)、20mM 2−ME存在下(E)、50mM
2−ME存在下(F)、100mM 2−ME存在下
(G)で、4℃20時間放置した後に、DEAE−5P
Wにかけることにより得られたIL−6R・IL−6融
合蛋白質の溶出パターンを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:84) C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 4B024 AA03 BA26 BA63 CA04 CA07 CA09 DA12 FA02 GA11 HA03 4B064 AG03 AG20 CA06 CA19 CC09 CC12 CC24 CD06 CD12 CE06 CE07 CE11 DA01 4B065 AA77X AA93Y AB01 BA02 BB06 BB12 BC14 BD17 BD18 CA24 CA44 4D077 AA02 BA15 DC19X

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】還元剤及びポリオキシエチレン系の非イオ
    ン性界面活性剤より成る蛋白質の吸着防止剤。
  2. 【請求項2】前記還元剤は2−メルカプトエタノールで
    あることを特徴とする、請求項1に記載の吸着防止剤。
  3. 【請求項3】還元剤及びポリオキシエチレン系の非イオ
    ン性界面活性剤より成るIL−6レセプターとIL−6
    との融合蛋白質の吸着防止剤。
  4. 【請求項4】前記還元剤は2−メルカプトエタノールで
    あることを特徴とする、請求項3に記載の吸着防止剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008275412A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Hitachi High-Technologies Corp 試料分析システム及び試料搬送方法

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