JP2002017158A - 植物育成培地用資材 - Google Patents

植物育成培地用資材

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JP2002017158A JP2000198745A JP2000198745A JP2002017158A JP 2002017158 A JP2002017158 A JP 2002017158A JP 2000198745 A JP2000198745 A JP 2000198745A JP 2000198745 A JP2000198745 A JP 2000198745A JP 2002017158 A JP2002017158 A JP 2002017158A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピシウム属菌等の植物病原菌による植物の病
害を防ぎ、アンモニア過剰障害及び窒素肥料の極端な有
機化による植物の窒素欠乏症を防ぐことができる優れた
植物育成培地用資材を提供することを目的とする。 【解決手段】 浄水場発生土に有機物資材を添加して得
られる混合物のC/N比を10以上30以下に調整し、
次いで該混合物を堆積し、堆積内部の温度を40℃以上
50℃未満に維持して、堆積発酵することにより、ピシ
ウム属菌等の植物病原菌による植物の病害を防ぎ、アン
モニア過剰障害及び窒素肥料の極端な有機化による植物
の窒素欠乏症を防ぐことができる優れた植物育成培地用
資材が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄水場発生土を利
用した植物育成培地用資材に関する。更に詳細には、浄
水場発生土に有機物資材を添加して得られる混合物のC
/N比を10以上30以下に調整し、次いで該混合物を
堆積し、堆積内部の温度を40℃以上50℃未満に維持
して、堆積発酵して得られる植物育成培地用資材であっ
て、この資材を植物育成培地に用いた場合には、ピシウ
ム属菌等の植物病原菌による植物の病害を防ぎ、アンモ
ニア過剰障害及び窒素肥料の極端な有機化による植物の
窒素欠乏症を防ぐことができる優れた植物育成培地用資
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】浄水場発生土は、浄水場に流入した河川
水、又は湖沼に含まれる微細な粘土粒子を沈殿池で沈殿
させ、このヘドロ状の沈殿物を機械脱水してなる低水分
の板状の土壌であるため、有機性の肥料分を多く含んで
おり、農業用、緑化用の培養土の原料として有効性は高
い。しかし、浄水場から排出された直後の浄水場発生土
は、原水由来のピシウム属菌等の植物病原菌を含有して
いる場合が多く、浄水場発生土の農業利用はあまり進ん
でいない。ピシウム属菌は、ツユカビ目に属する菌で、
土壌中にある卵胞子や球形胞子のうは根の残査(根の
屑)などの栄養分と水がある条件下で速やかに発芽し、
菌糸が伸長して植物の根に感染する。また土壌水分が多
量に供給されたり、水中などの好適な条件になると、遊
走子嚢と呼ばれる器官を形成し、遊走子のうから出た遊
走子が植物の根にたどりつくと菌糸を伸長させ、植物の
根のなかに進入して感染する。卵胞子や球形胞子から伸
長した菌糸や遊走子からの菌糸は植物体内で旺盛に生長
し、植物細胞を分解させて養分を摂取する。このため、
感染した植物の根は褐色や黒色に変化して死に至る。こ
のようにピシウム属菌は、卵胞子や球形胞子などの耐久
生存器官、発芽、遊走子の形成、遊泳、感染という過程
で、常に水を必要とし、水媒感染する。また、高温性で
あるピシウム属菌の場合、30〜35℃で最も高い菌糸
の伸長がみられ、25〜30℃で著しい遊走子の発生が
認められる。しかし、温熱条件において42℃以上に長
期間さらすとピシウム属菌は不活化するとされている。
【0003】ピシウム属菌を殺菌する手段としては、蒸
気消毒、乾熱殺菌、殺菌剤等の利用があげられるが、以
上のことを踏まえると、最も経済的な方法としては発酵
熱を利用した方法が考えられる。これに該当する技術と
しては、浄水場発生土に有機物資材を混合し、堆肥発酵
させる特開平5−207816号公報、特開平9−29
9991号公報に記載の技術がある。これは、浄水場発
生土に有機物資材を添加することにより、水分含量を約
50%に調整し、有機物分解に伴う発酵温度を50℃以
上に維持することで、マンガン酸化菌が有機物分解に伴
い増殖し、農作物のマンガン過剰障害の原因である2価
のマンガンが無害な4価のマンガンに酸化するため、農
作物のマンガン過剰障害を回避することを特徴としてい
る。しかし、堆積内温度が50℃以上で維持された場
合、得られた浄水場発生土を植物育成用培地として使用
すると、アンモニア過剰を引き起こす場合があった。そ
の理由として、硝酸化成菌の活動は一般的に25〜30
℃で行われ、15℃以下あるいは40℃以上では活動が
著しく抑制され、50℃では全く停止する(土の微生
物;土壌微生物研究会編、博友社;P362〜368;
1981)。このため、堆積内部の温度を50℃に維持
すると、硝酸化成が停止し、アンモニアから硝酸への酸
化が充分に行われないため、堆積内部に過剰のアンモニ
アが蓄積すると予想される。稲以外の農作物の多くは好
硝酸性植物であり、アンモニアが過剰に存在する場合、
アンモニアの過剰吸収、および拮抗作用によるCaおよ
び微量要素等の吸収阻害によって、生育阻害および枯死
にいたる。また、土壌にアンモニアが過剰に存在する状
態で温度が上昇すると、アンモニアがガス化する。アン
モニアガスが植物体内に入ると細胞の酸素を奪うため、
被害は急激であり、被害葉は黒ずんで萎凋する(作物の
要素欠乏過剰症;(社)農山漁村文化協会;P262〜
264、P213;1990)。また、培養土中に過剰
に蓄積したアンモニアは、徐々に硝酸化され、硝酸態窒
素の増加に伴いECが上昇するため、培養土の保存期間
中に化学性が変化し、その培養土を用いて植物を栽培す
ると場合によっては植物が高塩類障害を起こすことか
ら、培養土の品質安定化の面からも好ましくない。
【0004】堆積発酵に影響する要因としては、C/N
比が上げられ、一般的には、C/N比が約20前後を境
にその性質が異なり、20以下であると、有機物の無機
化が進むが、これ以上であると無機態窒素の有機化が進
む。しかし、これらの堆積発酵特性は含水率、酸素供給
量とも関連しており、浄水場発生土は物理的に土壌に類
似していることから、含水率と気相率の変動が大きく、
一般的な有機物資材と異なる。特開平9−299991
号公報において、浄水場発生土に添加する有機物資材は
バークに特定されているが、C/N比については特に言
及していない。また、バーク等の木質物主体の有機物資
材はC/N比が100〜数100あり、木質系有機物に
多く含まれるリグニン等の難分解性炭素は、かなり高温
下で分解発酵すること、さらに完全に分解発酵させるた
めには、長期間を要する。このため、C/N比の高い有
機物資材を浄水場発生土の堆積発酵に使用する際には、
ある程度分解させるか、窒素肥料を添加することによ
り、C/N比を調整することが望ましい(バーク樹皮堆
肥 製造・利用の理論と実際;博友社;P41〜4
8)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】浄水場発生土にはピシ
ウム属菌等の植物病原菌が混入していることがあるた
め、有機物を添加し堆積発酵処理により、堆積内部温度
を50℃以上に維持すると、以下のような問題点があげ
られる。 1. 堆積内部温度を50℃以上に維持した場合、硝酸
化成菌の不活性化によりアンモニアが過剰に蓄積する。 2. 浄水場発生土を堆積発酵させるために有機物を添
加するが、有機物のC/N比が高い場合、または混合後
の堆積物のC/N比が高い場合には、窒素の過剰な有機
化により、植物の生長に必要な無機態窒素が欠乏する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、浄水場発生土
に有機物資材を添加し堆積発酵させる際、浄水場発生土
と有機物資材との混合物のC/N比が10以上30以下
になるように調整し、且つ堆積内部温度を40℃以上5
0℃未満に維持して、堆積発酵して得られる資材が、植
物育成培地として用いた場合に、ピシウム属菌等の植物
病原菌による植物の病害を防ぎ、アンモニア過剰障害及
び窒素の極端な有機化による植物の窒素欠乏症を防ぐこ
とができるという、新たな知見に基づくものである。従
って、本発明は、浄水場発生土に有機物資材を添加して
得られる混合物のC/N比を10以上30以下に調整
し、次いで該混合物を堆積し、堆積内部の温度を40℃
以上50℃未満に維持して、堆積発酵して得られる植物
育成培地用資材である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる浄水場発生土は、
浄水処理過程で発生する沈積泥土を濃縮脱水したもので
ある。本発明で用いる浄水場発生土は無薬注処理法によ
り処理された凝集剤としてポリ塩化アルミニウムや硫酸
アルミニウムを添加し、加圧法により脱水処理したもの
が好ましい。また、本発明で用いる浄水場発生土は、含
水率が30から60重量%、特に40から60重量%に調
整されたものが好ましい。本発明では、浄水場発生土の
堆積開始時に、浄水場発生に有機物資材を添加してその
混合物のC/N比が10以上30以下、好ましくは15
以上25以下になるように調節する。これにより、堆積
発酵終了後に得られる資材のC/N比が安定し、これを
植物育成培地に用いた場合に、植物育成に必要な肥料分
の過剰な有機化による植物の窒素欠乏を抑え、安定的に
植物に肥料を供給することができる。
【0008】本発明においては、浄水場発生土に添加す
る有機物資材は、そのC/N比が20以上100以下が
好ましく、特に30以上80以下が好ましい。これに適
合する有機物資材としては、バーク、おが屑、剪定枝チ
ップ等が当てはまる。バーク、おが屑等のように難分解
性炭素を含有し、C/N比が通常100〜数100以上
である有機物資材を使用する場合には、該有機物資材を
窒素源を添加しない状態で、1〜10年の期間堆積さ
せ、C/N比を好ましくは20以上100以下、特に好
ましくは30以上80以下に調整したものが用いられ
る。窒素源を添加しない状態で、1〜10年の期間堆積
することにより、C/N比が20〜100であるバー
ク、おが屑等の有機物資材を得ることができる。これを
浄水場発生土に添加することにより、安定した発酵条件
にすることが可能となる。
【0009】本発明では、浄水場発生土に有機物資材を
添加して得られる混合物を、堆積発酵させる。堆積発酵
は、通常、高さ1.5から3.5m、望ましくは2.5
から3mで、広さ10から1000m2に堆積し、通
常、4週間から30週間程度、好ましくは4から12週
間程度放置することにより、実施される。また、ショベ
ル式発酵槽、うねみぞ式発酵層、横型発酵層などの通常
の装置を利用して実施することもできる。本発明では、
このようにして堆積発酵させる際に、堆積内の温度を、
40℃以上50℃未満に、好ましくは45℃以上48℃
以下維持する。堆積内温度は、例えば、堆積山の表層か
ら50cm程度の深さに熱電対を設置して測定される温
度である。温度を40℃以上50℃未満に維持するに
は、例えば、切り返しを行うことにより達成できる。切
り返しは、通常、2から6週間の間隔で行うのが好まし
い。切り返しを行うことにより、発酵温度の下降及び過
剰な上昇を防ぎ、温度を維持することができる。かくし
て、ピシウム属菌等の植物病原菌による植物の病害を防
ぎ、アンモニア過剰障害及び窒素肥料の極端な有機化に
よる植物の窒素欠乏症を防ぐことができる本発明の植物
育成培地用資材が得られる。本発明の資材は、そのまま
植物育成培地として用いることもでき、また、通常使用
される肥料、土壌改良剤などを添加して、植物育成培地
として利用することもできる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
更に詳細に説明する。 実施例1堆積温度条件の検討 1)方法 本実施例では浄水場発生土の堆積発酵する際、適正な発
酵温度について検討するため、インキュベーターを用
い、異なる温度条件で浄水場発生土を保存し、浄水場発
生土中の植物病原菌密度、浄水場発生土の化学性、植物
育成用培地として用いた場合の品質について調査した。
浄水場より発生した直後の浄水場発生土は、最大容水量
の60%に調整した後、約2リットル容のポリエチレン
袋に約1リットルずつ入れ試料とした。小分けにされた
浄水場発生土は、植物育成用チャンバーに入れ、暗黒条
件下で温度が35、38、41、44、47、49、5
0、53、56、59℃の条件で3ヶ月間保管した。個
々の袋にはあらかじめ植物病原菌であるPythium
aphanidermatumの汚染土をナイロンメ
ッシュシートで包含したものを入れ、処理開始から1ヶ
月後に試料を取り出し菌密度を測定した。また、発酵終
了時の培地について、pH、EC、アンモニア態窒素、
水溶性マンガン含有量を測定した。さらに、植物育成培
地として使用し、ユウガオによる植物検定試験を行っ
た。ユウガオはバーミキュライトを詰めた稲用育苗箱に
播種後、子葉展開時に個々の植物育成用培地に移植し
た。移植後2週間目に生体重、マンガン過剰障害、アン
モニア過剰障害の有無について調査した。植物育成用培
地の組成は浄水場発生土を原土とし、原土:50容量
%、バーク堆肥:30容量%、ピートモス:15容量
%、ココファイバー:5容量%とした。
【0011】2) 結果 表1に、処理開始1ヶ月後のピシウム属菌菌密度の測定
結果を示した。表1から明らかなように、処理開始から
1ヶ月後において、35、38℃ではかなり高い密度で
ピシウム属菌が検出された。41℃では若干検出された
ものの、44℃以上では検出されなかった。
【0012】
【表1】
【0013】表2に、チャンバーに保管後、1ヶ月目の
浄水場発生土の化学性の測定結果を示した。表2から明
らかなように、浄水場発生土の化学性について、pH、
ECには処理区間の差はみられなかった。アンモニア態
窒素は温度が49℃になるまで緩やかに増加し、50℃
以上では急激な上昇がみられた。水溶性マンガン含有量
は35、38℃でかなり高い値となったが、41℃以上
ではほとんど検出されなかった。
【0014】
【表2】
【0015】表3に、ユウガオによる植物検定試験の結
果を示した。表3から明らかなように、ユウガオによる
植物検定について、38℃以下、50℃以上で生育が劣
り、50℃以上では温度の上昇に伴い、生体重は減少し
た。マンガン過剰障害は35℃、38℃で著しく、41
℃以上ではみられなかった。アンモニア過剰障害は50
℃以上でみられ、56℃、59℃で著しかった。
【0016】
【表3】
【0017】以上から、ピシウム属菌の殺菌、水溶性マ
ンガンの不溶化のためには約40℃以上の温度が必要で
あるものの、50℃以上では硝酸化成菌の活性が抑制さ
れるため、浄水場発生土にアンモニアが過剰に蓄積し、
植物育成培土として利用した際に植物にアンモニア過剰
障害を引き起こし、生育を停滞させることが明らかとな
った。従って、浄水場発生土を堆積発酵する際の適正な
発酵温度は、40℃以上50℃未満であることが判っ
た。
【0018】実施例2有機物資材の添加と堆積温度条件の検討 本実施例では浄水場発生土の堆積発酵処理における有機
物資材の添加と堆積温度管理が病原菌密度、浄水場発生
土の化学性、又これを植物育成用培養土として用いた場
合のユウガオの生育に与える影響について検討した。 1)方法 処理は、混合物全体に対する容積比として、浄水場発生
土に有機物資材としてバークを30容量%混合したもの
を二つ設置し、対照区として有機物資材を加えない浄水
場発生土のみのものを、それぞれ全体の容積が50m3
以上になるように堆積した。個々の堆積山には表層から
50cmの深さに熱電対を設置し、発酵温度を測定し、
浄水場発生土と有機物資材の混合物について、一つは堆
積内部温度が50℃になる前にショベルローダーにより
切り返し作業を行い(40〜50℃管理区)、もう片方
は切り返し作業は行わなかった(放任区)。また、対照
区も切り返し作業を行わなかった。調査は堆積内部の発
酵温度を経時的に調査し、また、植物病原菌であるPy
thium aphanidermatumの汚染土
(5200cfu/g乾土)をナイロンメッシュシート
で包含し、個々の堆積内部の表層から50cmの深さに
埋設し、堆積2週間後に埋設したピシウム属菌の菌密度
を測定した。また、発酵終了後の培地について、硝酸態
窒素、アンモニア態窒素、水溶性マンガン含有量を測定
した。また、試験終了後の浄水場発生土を主体とした植
物育成用培地を作成し、ユウガオを用いた植物検定試験
を行った。植物育成用培地の組成は浄水場発生土を原土
として、原土:50容量%、バーク堆肥:30容量%、
ピートモス:15容量%、ココファイバー:5容量%で
実施した。
【0019】2) 結果 表4に、堆積内部温度の経時的変化の測定結果を示し
た。表4から明らかなように、堆積内部温度について、
40〜50℃管理区は堆積期間中40℃以上50℃未満
を推移し、放任区は堆積1週間目までに急激な温度上昇
がみられ、堆積から6週間目までは50〜60℃を推移
した。対照区はほとんど温度が高まらず、30℃前後を
推移した。
【0020】
【表4】
【0021】表5に、処理開始1ヶ月後のピシウム属菌
菌密度を測定した結果を示した。表5から明らかなよう
に、堆積開始から2週間目に埋設したピシウム属菌を掘
り出し、菌密度を調査したところ、放任区、40〜50
℃管理区では検出されず、対照区では高い菌密度であっ
た。
【0022】
【表5】
【0023】表6に、処理開始1ヶ月後の浄水場発生土
の化学性を調べた結果を示した。表6の結果から明らか
なように、pHは放任区>40〜50℃管理区>対照区
であり、ECは対照区>放任区>40〜50℃管理区で
あった。アンモニア態窒素含有量は放任区>対照区>4
0〜50℃管理区となり、40〜50℃で管理区が最も
低い値となった。水溶性マンガンは、対照区のみ522
mg/kgと高い値となった。
【0024】
【表6】
【0025】表7に、堆積終了後の浄水場発生土を主体
とした植物育成用培地を作成し、ユウガオを用い植物検
定試験を行った結果を示した。表7の結果から明らかな
とおり、放任区、対照区では発芽2週間後の苗の生育に
停滞がみられ、葉色の褐変、萎縮症状等のアンモニア過
剰障害がみられたが、40〜50℃管理区では順調に生
育し、アンモニア過剰障害もみられなかった。また、対
照区ではマンガン過剰症がみられたが、40〜50℃管
理区、放任区ではみられなかった。
【0026】
【表7】
【0027】以上から、本発明では植物育成用培地とし
て利用する浄水場発生土は、有機物資材を添加し、堆積
発酵させる際、堆積内部の温度を40℃以上50℃未満
に維持し、切り返し作業をして管理することが望ましい
ことが判った。
【0028】実施例3堆積発酵における適正なC/N比に関する検討 本実施例では、有機物の堆積発酵条件が、C/N比によ
って左右されることから、浄水場発生土に添加する有機
物資材の混合割合を変えることにより、適正なC/N比
について検討した。 1) 方法 含水率50重量%に調整された浄水場発生土に、バーク
堆肥を混合物全体の容積比として、0、10、20、3
0、40、50容量%混合し、それぞれについて全体の
容積が50m3以上になるように堆積した。使用したバ
ーク堆肥は鶏糞等の窒素肥料を添加せず、約5年間野積
みした広葉樹と針葉樹のバーク混合品とした。堆積後の
管理は堆積内部温度が40℃以上50℃未満になるよう
に、50℃になる前にショベルローダーにより切り返し
作業を行った。調査は発酵終了時に、個々の処理区の浄
水場発生土のpH、EC、無機態窒素含有量を測定し、
さらに浄水場発生土を主体とした植物育成用培地を作成
し、ユウガオを用いた植物検定試験を行った。植物育成
用培地の組成は浄水場発生土を原土として、原土:50
容量%、バーク堆肥:30容量%、ピートモス:15容
量%、ココファイバー:5容量%とした。
【0029】2) 結果 表8に、堆積時の浄水場発生土のC/N比を示した。表
8から明らかなように、C/N比はバークの混合割合が
増すに従い高まった。
【0030】
【表8】
【0031】表9に、堆積後の浄水場発生土の化学性の
測定結果を示した。表9の結果から明らかなように、堆
積後にはEC、バークの混合割合が増すに従い低下し、
混合割合が50%では無機態窒素含有量は0mg/kg乾土
であった。
【0032】
【表9】
【0033】表10に、ユウガオを用い植物検定試験を
行った結果を示した。表10の結果から明らかなよう
に、バーク混合割合20、30容量%区の生育が最もよ
く、50容量%区では生体重が小さく、葉色が薄く、子
葉は黄化した。0容量%区は葉色が濃く、生育が停滞
し、一部に葉の褐変等のマンガン過剰障害がみられた。
【0034】
【表10】
【0035】以上から、本発明では浄水場発生土に有機
物を混合し堆積発酵させる場合、堆積時における混合物
のC/N比が10以上30以下になるように混合割合を
調節する事が望ましいことが判った。
【0036】実施例4堆積発酵における適正な有機物資材のC/N比に関する
検討 本実施例ではバークやおが屑等のC/N比の高い有機物
資材が堆積期間、堆積発酵方法等によって化学的な性状
が大きく異なることから、浄水場発生土の堆積発酵に好
適な有機物資材の性状について調査した。 1) 方法 供試したバークの前歴、C/N比等は表11に示した通
りであり、個々の処理区のバークと浄水場発生土を混合
し、全体の容積が50m3以上となるように堆積した。
浄水場発生土に対するバークの混合割合は、混合時のC
/N比が20〜30になるように調節した。切り返し作
業はすべての処理区で40〜50℃になるように管理し
た。調査は堆積表面から50cmの深さに熱電対を設置
し、経時的な温度データを測定した。植物病原菌である
Pythium aphanidermatumの汚染
土をナイロンメッシュシートで包含し、個々の堆積内部
の表層から50cmの深さに埋設し、堆積2週間後に埋
設した培養土を掘り出し、ピシウム属菌属の菌密度を測
定した。また、試験終了後の浄水場発生土について、p
H、EC、無機態窒素含有量と水溶性マンガン含有量を
調査した。また、浄水場発生土を主体とした植物育成用
培養土を作成し、ユウガオによる植物検定を行った。培
養土の組成は浄水場発生土を原土とし、原土:50容量
%、バーク堆肥:30容量%、ピートモス:15容量
%、ココピート:5容量%とした。
【0037】
【表11】
【0038】2) 結果 表12に、堆積期間中の堆積内部温度の変化を測定した
結果を示した。表12に示した結果から、堆積内部温度
はバーク(6)を除いたすべての区で温度上昇がみられ
た。
【0039】
【表12】
【0040】表13に、処理開始から2週間後のピシウ
ム属菌菌密度の測定結果を示した。表13の結果から明
らかように、バーク(6)を除いて検出されなかったが、
バーク(6)では高い値となった。
【0041】
【表13】
【0042】表14、堆積発酵後の化学性ついて測定し
た結果を示した。表14の結果から明らかなように、p
Hはバーク(6)が他区に比べ低く、その他は6.0〜
6.5とほぼ適正であった。また、ECはバーク(1)で
0.1と低く、バークのC/N比の低下とともに上昇
し、バーク(6)では2.0と最も高い値となった。無機
態窒素もECとほぼ同様の傾向を示した。また、水溶性
マンガン含有量はバーク(1)、(2)では検出されなかった
のに対し、バーク中のC/N比の低下とともに増加し、
バーク(6)では顕著に高い値となった。
【0043】
【表14】
【0044】表15に、ユウガオを用いた植物検定の結
果について示した。表15の結果から明らかなように、
播種後2週間目の生体重はバーク(2)、(3)、(4)、(5)
が、バーク(1)、(6)に比べ高く、中でも(3)、(4)が最も
高かった。また、バーク(6)では葉縁の褐変等のマンガ
ン過剰障害がみられ、バーク(1)では子葉が黄化し、生
育が著しく抑制されるなどの窒素欠乏症状がみられた。
【0045】
【表15】
【0046】以上から、本発明では浄水場発生土を充分
堆積発酵させるとともに、植物育成用培養土として使用
した場合、植物に窒素欠乏症、マンガン過剰症等が生じ
ることなく、肥沃度の安定した浄水場発生土を得るため
に、堆積発酵の際、浄水場発生土に添加する有機物資材
が窒素を添加しない状態で、1〜10年、より好ましく
は5〜10年の期間堆積され、C/N比が20以上10
0以下、好ましくは30以上80以下に調整されている
ことが望ましいことが判った。
【0047】
【発明の効果】本発明では、浄水場発生土に有機物資材
添加して得られる混合物を堆積させたとき、内部温度を
40℃以上50℃未満で管理することにより、微生物に
よる有機物分解を維持しつつ、ピシウム属菌等の植物病
原菌及び雑草種子を死滅させ、さらに、植物育成培地用
資材として利用した場合、植物のアンモニア過剰症が回
避でき、また、微生物の窒素消費による植物の窒素欠乏
を回避することができる。さらに本発明では、浄水場発
生土に有機物資材を添加して得られる混合物のC/N比
を10以上30以下に管理することで、堆積発酵終了後
のC/N比が安定し、植物育成に必要な肥料分の過剰な
有機化による植物の窒素欠乏を抑え、安定的に植物に肥
料を供給することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 裕隆 大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内 (72)発明者 小堀 英和 大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内 Fターム(参考) 2B022 BA02 BA14 BB01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浄水場発生土に有機物資材を添加して得
    られる混合物のC/N比を10以上30以下に調整し、
    次いで該混合物を堆積し、堆積内部の温度を40℃以上
    50℃未満に維持して、堆積発酵して得られる植物育成
    培地用資材。
  2. 【請求項2】 添加する有機物資材は、C/N比が20
    以上100以下である請求項1の植物育成培地用資材。
  3. 【請求項3】 添加する有機物資材が、窒素源を添加し
    ないで1から10年間堆積したバーク、おが屑及び剪定
    枝チップから選ばれる木質系資材である請求項1または
    2の植物育成培地用資材。
  4. 【請求項4】 浄水場発生土に有機物資材を添加して得
    られる混合物を堆積発酵させる際に、切り返しを行う請
    求項1から3のいずれかの植物育成培地用資材。
  5. 【請求項5】 植物育成培地用に用いた場合に、植物病
    原菌障害、植物のアンモニア過剰症及び/又は窒素欠乏
    症が軽減される請求項1から4のいずれかの植物育成培
    地用資材。
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