JP2002012957A - 軽量合金の成形方法およびその成形方法で作られた成形品 - Google Patents
軽量合金の成形方法およびその成形方法で作られた成形品Info
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Abstract
剤を均一に分散させることが難しい。従って添加剤の均
一な分散が不可能なために成形品の表面硬さ、引っ張り
強度が不均一となり、後処理の切削加工しても平滑にな
らないという問題がある。また不均一な場合は溶湯の流
動性が悪い。特に薄肉の筐体を成形する場合は溶湯を狭
い型内に射出するために高射出圧力、高射出速度が必要
となり装置が大型化になるという問題がある。 【解決手段】 母材と成るアルミニウムとマグネシウム
の合金又は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金の
少なくとも1つからなる母材合金を加熱溶融する工程
と、前記母材合金に添加材を添加して撹拌する工程と、
添加材を添加された母材合金を冷却凝固させる工程と、
この凝固した母材合金を再溶融して成形することを特徴
とする軽量合金の成形方法を提供する。
Description
マグネシウム合金に炭化珪素、ホウ酸アルミニウム、炭
素繊維等の添加材を添加した軽量合金の成形方法に関
し、特にノートパソコンや携帯電話等の小型電子機器用
の軽量合金製薄肉筐体の製造方法に関するものである。
炭化珪素及びホウ酸アルミニウム、炭素繊維等の添加材
を均一に分散させることによって、耐熱性及び耐磨耗性
が優れた成形材料となる。この添加材を合金に分散する
製造方法としては、一般的に知られた粉末状添加材を分
散混合する粉末冶金法又は、金属または金属合金の溶湯
中に粉末状添加材を添加する溶湯法が使用される。
法は多くの工程を必要とし、粉末状添加材が均一に分散
混合できない。また溶湯法の1つであるコンポキャステ
ィング法は、添加材が溶湯から分離しやすいと共に添加
材の凝集が発生しやすい等の問題点がある。更に溶湯法
の1つであるインジェクション法は添加材を均一に分散
させることが難しい。従って添加材の均一な分散が不可
能なために成形品の表面硬度、引っ張り強度が不均一と
なり後処理、例えば切削加工をしても切削加工面が平滑
にならないという問題がある。また不均一な場合は溶湯
の成形材料が金型内を流動しにくい。特に薄肉の筐体を
成形する場合は、溶湯の成形材料を狭い間隙の金型内に
射出するために高射出圧力、高射出速度が必要となり装
置が大型化になるという問題がある。本発明は、軽量合
金中に添加材を均一に分散させると共に、成形品の表面
の硬度を均一にし、切削加工後の平滑な表面仕上げを可
能にし、且つ成形品の引っ張り強度を増加する。そして
溶湯した成形材料の流動を改善することを目的とする。
は、母材と成るアルミニウムとマグネシウムの合金又
は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金の少なくと
も1つからなる母材合金を加熱溶融する工程と、前記母
材合金に添加材を添加して撹拌する工程と、添加材を添
加された母材合金を冷却凝固させる工程と、この凝固し
た母材合金を再溶融して成形することを特徴とする軽量
合金の成形方法である。この結果、軽量合金中に添加材
を均一に分散させると共に、成形品の表面の硬度を均一
にし、切削加工後の平滑な表面仕上げを可能にし、且つ
成形品の引っ張り強度を増加する。そして溶湯した成形
材料の流動を改善することが可能となる。
凝固揺動させる工程と母材合金の再溶融工程とは、請求
項1記載の加熱溶融する工程と添加材を添加して撹拌す
る工程を行う溶解炉と異なる加熱炉で行われることを特
徴とする軽量合金の成形方法である。従って、誘導コイ
ルにて溶湯を揺動しながら凝固させることができるため
に、溶湯中の固相部と液相部とに添加材が均一に分散さ
れる。このため固相部分と液層部分とは同等の硬度を持
った表面となる。
冷却凝固工程は溶湯を空冷にて約2時間で500度Cま
で冷却し、さらに水冷にて500度Cから常温まで急冷
することを特徴とする軽量合金の成形方法である。従っ
て、成形品の引っ張り強度を増加し、成形品表面の硬度
を均一にでき、切削加工後に平滑な表面に仕上げられ
る。
のいずれかに記載された軽量合金の成形方法で作られた
成形品である。結果として成形品の引っ張り強度を増加
し、成形品表面が平滑な成形品が得られる。
説明する。
程図である。本発明の製造方法の大略は母材合金の加熱
溶融工程、添加撹拌工程、凝固揺動工程、凝固した母材
合金の再溶融工程との4工程から成っている。
ついて説明する。
図である。1は溶解炉、1aは蓋、2は加熱機、3は攪
拌装置、3aは攪拌プロペラ、4は溶湯、5はガス供給
パイプ、6は傾斜ピン、7は溶湯移動器、8は母材合金
及び添加材を投入する投入口である。
バーナー2が設けられており、溶解炉1内に投入された
母材合金をバーナー2により加熱して溶解する。溶解炉
1の上部には蓋1aが載置され、蓋1aには母材合金及
び添加材の投入口8が設けられている。また、溶解炉1
の上端部には傾動ピン6が設けられていて、この傾動ピ
ン6を支点として溶解炉1が傾動するようになってい
る。溶解炉1が傾動すると溶湯4が溶湯移動器7を移動
できる。溶解炉1の上方には撹拌装置3が設置されてお
り、この撹拌装置3により回転駆動される攪拌プロペラ
3aが溶解炉1内に挿入されている。これにより、溶解
炉1内にて溶解された溶湯4がプロペラ3aにより撹拌
される。そして溶解炉1底部にポーラス状のレンガ(図
示せず)が設置されていて、このポーラスレンガを介し
て溶湯4内に精錬ガスを導入するようになっている。こ
の精錬ガスとしては、塩素ガスをアルゴンガス又は窒素
ガスで希釈したものと、CCl6 及びSF6 等のように
分解して塩素ガス若しくは弗素ガスを発生するものを露
点がマイナス10度C以下のアルゴン又は窒素ガスにキ
ャリアさせたものとがある。この塩素系又は弗素系ガス
により溶湯4を精錬して脱ガスすることができる。そし
て溶解炉1内の溶湯4の湯面上には、ガス供給パイプ5
を介してアルゴンガス又は窒素ガス等の不活性ガスが供
給されるようになっている。この不活性ガスにより溶湯
4が水素又は酸素ガスを吸収したり、溶湯中に酸化物等
の化合物を発生することを防止する。
図である。
コイル、14は射出成形機である。但し、図2と同じ部
分には同一符号を記して説明を省略している。この成形
機11は大略、加熱炉12と射出成形機14とから構成
されている。この加熱炉12内に溶湯4が収納されてい
る。そして加熱炉12の炉壁内には誘導コイル13が内
設されており、誘導コイル13に通電することにより、
加熱炉12内の溶湯4が揺動される。そして加熱炉12
の側壁下部には、射出成形機14が連通して設けられて
おり、射出成形機14内の溶湯4はこの射出成形機14
により射出成形されて製品である薄肉筐体に加工され
る。
合金の加熱溶融工程と添加撹拌工程とを説明する。 <実施例1> (1)<母材合金の加熱溶融工程> 母材合金であるマグネシウム合金9Kgを溶解炉1内に
投入し、そしてガスバーナー2でマグネシウム合金を大
気開放下で700度Cにて約1時間、加熱溶融し溶湯4
を得た。マグネシウム合金はノルスクハイドロ株製の製
品名AZ91Dである。このAZ91Dの材料特性は比
重1.7、引っ張り強度3000(kgf/平方cm)、硬度
(モース 固相部4 液相部5)である。この工程にて
溶湯を700度Cの温度に保持しているので、溶湯4の
水素溶解度を低レベルにすることができ、溶湯4が吸収
する水素量を低減させることができる。従って、溶湯4
が凝固する際にガスが発生して、鋳塊内にガスポロシテ
ィが残留することを防止できる。次に、塩素ガスをドラ
イガスつまり露点がマイナス10度C以下のアルゴンガ
スと共に溶解炉1の底部より溶湯4内に送り込み、溶湯
4内を気泡で撹拌して脱ガスして精錬を実施する。溶湯
4中のマグネシウム合金は、100g中に約0.3cc
以上の水素を吸収しているので、塩素ガスを溶湯内に送
ることにより精錬して水素を除去する。この場合、精錬
後にマグネシウム合金100g中に含まれる水素を0.
3cc以下にすると、鋳塊内にガスポロシティが発生す
ることを防止できる。更に、溶湯温度を700度C以下
に保持することによって、後述する添加材(例えば、炭
化珪素、ホウ酸アルミニウム、炭素繊維)とマトリック
ス金属(例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合
金)との反応を抑制し、製品の耐蝕性の劣化の原因とな
るAl4 C3 の発生を防止できる。
解炉1上の蓋1aを閉じて炉を密閉する。その後、ガス
供給パイプ5を介してアルゴンガス又は窒素ガスを溶解
炉1内に供給し、溶湯4表面をアルゴンガス又は窒素ガ
スで充填して、酸素分圧を0.1気圧以下に保持する。
これにより、溶湯4の水素ガス及び酸素ガスの吸収並び
に化合物(酸化物)の発生が防止される。
添加した。試料としてホウ酸アルミを500g、100
0g、1500g、2000gつまり重量比で約5%、
10%、15%、20%を添加した4種類を作成した。
ホウ酸アルミは具体的には四国化成工業株製の製品名ア
ルボレックスMである。このホウ酸アルミの材料特性は
比重2.9、引っ張り強度80000(kgf/平方cm)、
硬度(モース7)の粒径1.5μm、長さ10μmから
200μmの繊維状である。この繊維状は球状、針状、
鱗片状でも同等の効果を持っている。
ば10乃至100rpm の回転数で回転駆動することによ
り溶湯4を機械的に約1時間撹拌する。この回転数が1
0rpm 未満では撹拌が不充分で添加材の分散が不充分で
あり、回転数が100rpm を超えると溶湯内でうずが発
生し、雰囲気ガスの巻き込みが起こる。
ている。そしてこの工程で固相部に添加材が均一に分散
される。
固揺動工程と、凝固した母材合金の再溶融工程とを説明
する。
7を伝って成形機11の加熱炉12に溶湯4を注入す
る。そして空冷にて約2時間で500度Cまで冷却し、
さらに水冷にて500度Cから常温まで急冷する。この
冷却期間中に誘導コイル13を通電することにより溶湯
4が揺動され、液相部と固相部に添加材が均一に分散さ
れる。
ており、ガスバーナー2で加熱炉12内の凝固した母材
合金が600度Cの温度に加熱され再度溶湯4となる。
この期間中も誘導コイル13を通電することによって溶
湯4は揺動されている。その後に、溶湯4は加熱炉12
から射出成形機14に注入される。そして加熱炉12の
側壁下部に設けられた射出成形機14で図1に示す薄肉
筐体を成形する。この射出成形機14の金型温度は22
0度C、射出速度2.5m/sである。
れた成形品である。この成形品の形状は製品部分とゲー
ト部分とからなる。製品部分の形状は厚さt1が0.8
mm、幅w1が100mm,長さLが150mmである。そし
てゲート部の形状は厚さt2が0.5mm、幅w2が3mm
である。
るために、固相部と液相部とに添加材が均一に分散され
る。このため固相部分と液層部分とは同等の硬度を持っ
た表面となる。つまり全表面が同一の硬度となる。且つ
形成品の引っ張り強度が補強される。更に溶湯4の流動
性を改善することができる。 <実施例2>実施例2が実施例1と異なる点は添加材に
炭化珪素を使用した点だけである。この炭化珪素は材料
特性は例えば東海カーボン株製の製品名トーカマックス
であり、比重3.2、引っ張り強度210000(kgf/
平方cm)、硬度(モース9)の粒径5μm、長さ10μ
mから200μmの繊維状である。そして、次の4種類
の試料を製作した。炭化珪素を容積比で約5%、10
%、15%、20%を添加した4種類を製作した。そし
て実施例1と同じ薄肉筐体を成形した。その他の分量及
び製造方法全てを実施例1と同様とした。 <実施例3>実施例3が実施例1と異なる点は添加材に
炭素繊維を使用した点だけである。この炭素繊維は材料
特性は具体的には東レ株製の製品名トレカであり、比重
1.8、引っ張り強度28000(kgf/平方cm)、硬度
(モース6)の粒径10μm、長さ10μmから200
μmの繊維状である。そして実施例1と同じ薄肉筐体を
成形した。その他の分量及び製造方法全てを実施例1と
同様とした。 <比較例>比較例が実施例1と異なる点は添加材を使用
していない点である。このために凝固揺動工程と凝固し
た母材合金の再溶融工程との工程を省略している。そし
て実施例1と同じ薄肉筐体を成形した。その他の製造方
法全てを同様とした。
特性を示す。添加材を付与した各実施例1、2、3と、
添加材を付与しなっかた比較例とを比較検討する。 ・最初に引っ張り強度について比較検討すると、実施例
1は比較例の2倍、実施例2は比較例の3.2倍、実施
例3は比較例の約1.03倍である。従って比較例つま
り従来例より良くなっていることが理解できる。 ・続いて、硬度について比較検討すると、比較例の固相
部と液相部の硬度(ビッカース)差が30である。対し
て実施例1の固相部と液相部との硬度(ビッカース)差
は5である。次に実施例2は固相部と液相部との硬度
(ビッカース)差は0である。更に、実施例3の固相部
と液相部との硬度(ビッカース)差は10である。従っ
て比較例より大変良くなっていることが判明した。
関係を示している。これら添加材の割合は5%未満では
硬度の向上がなく、20%以上では成形材料の流動は良
くないことが判明した。
加材を均一に分散させると共に、成形品の表面の硬度を
均一にし、切削加工後の平滑な表面仕上げを可能にし、
且つ成形品の引っ張り強度を増加する。そして溶湯の流
動を改善することができる。
品、
品の特性図、
Claims (4)
- 【請求項1】 母材と成るアルミニウムとマグネシウム
の合金又は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金の
少なくとも1つからなる母材合金を加熱溶融する工程
と、 前記母材合金に添加材を添加して撹拌する工程と、 添加材を添加された母材合金を冷却凝固させる工程と、 この凝固した母材合金を再溶融して成形することを特徴
とする軽量合金の成形方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の凝固揺動させる工程と母
材合金の再溶融工程とは、請求項1記載の加熱溶融する
工程と添加材を添加して撹拌する工程を行う溶解炉とは
異なる加熱炉で行われることを特徴とする軽量合金の成
形方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の冷却凝固工程は溶湯を空
冷にて約2時間で500度Cまで冷却し、さらに水冷に
て500度Cから常温まで急冷することを特徴とする軽
量合金の成形方法。 - 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載された
軽量合金の成形方法で作られた成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000195974A JP2002012957A (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | 軽量合金の成形方法およびその成形方法で作られた成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000195974A JP2002012957A (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | 軽量合金の成形方法およびその成形方法で作られた成形品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002012957A true JP2002012957A (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=18694551
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000195974A Pending JP2002012957A (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | 軽量合金の成形方法およびその成形方法で作られた成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002012957A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105120625A (zh) * | 2015-07-31 | 2015-12-02 | 广东欧珀移动通信有限公司 | 一种金属壳的加工方法、金属壳及电子设备 |
CN107829054A (zh) * | 2017-11-14 | 2018-03-23 | 湖南大学 | 一种高强韧性碳氮化钛基金属陶瓷材料及其制备方法 |
CN111112551A (zh) * | 2020-01-14 | 2020-05-08 | 山西神舟航天科技有限公司 | 一种镁合金大尺寸铸件的成形方法 |
-
2000
- 2000-06-29 JP JP2000195974A patent/JP2002012957A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105120625A (zh) * | 2015-07-31 | 2015-12-02 | 广东欧珀移动通信有限公司 | 一种金属壳的加工方法、金属壳及电子设备 |
CN107829054A (zh) * | 2017-11-14 | 2018-03-23 | 湖南大学 | 一种高强韧性碳氮化钛基金属陶瓷材料及其制备方法 |
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