JP2002009366A - 強磁性トンネル効果素子及び該強磁性トンネル効果素子を用いた磁気メモリ - Google Patents

強磁性トンネル効果素子及び該強磁性トンネル効果素子を用いた磁気メモリ

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JP2002009366A
JP2002009366A JP2000186856A JP2000186856A JP2002009366A JP 2002009366 A JP2002009366 A JP 2002009366A JP 2000186856 A JP2000186856 A JP 2000186856A JP 2000186856 A JP2000186856 A JP 2000186856A JP 2002009366 A JP2002009366 A JP 2002009366A
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tunnel effect
thin film
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Yoshinobu Sekiguchi
芳信 関口
Ryoji Fujiwara
良治 藤原
Yoji Teramoto
洋二 寺本
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3254Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the spacer being semiconducting or insulating, e.g. for spin tunnel junction [STJ]

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペロブスカイト酸化物磁性体を用いつつも、
安定した素子特性及び素子の高密度集積化を可能とす
る。 【解決手段】 SiO2膜12が上面に形成されたSi
基板11上には、第1強磁性薄膜13、トンネル障壁層
14及び第2強磁性薄膜15が、この順に積層されてい
る。トンネル障壁層14は、SrTiO3で構成され
る。第1強磁性薄膜13及び第2強磁性薄膜15は、1
軸方向にのみ配向したペロブスカイト酸化物磁性体で構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高記録密度磁気記
録再生装置の磁気ヘッドや磁気センサなどに用いられる
強磁性トンネル効果素子、及びこの強磁性トンネル効果
素子を用いた磁気メモリに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気抵抗効果素子が、磁気センサ
や磁気記録装置の磁気ヘッドなどに用いられつつある
が、その中でも特に、抵抗変化率が大きいものとして、
強磁性トンネル効果素子が知られている(例えば、特開
平6−244477号公報、特開平8−708148号
公報)。強磁性トンネル効果素子は、Fe,Co,Ni
等からなる2つの強磁性体層をAl23等の極めて薄い
絶縁層(トンネル障壁層ともいう)で挟んだ構造を有
し、絶縁層を介して強磁性体層間に流れるトンネル電流
の大きさが、強磁性体層の磁化の向き(スピン)に依存
して変化するものである。すなわち、2つの強磁性体層
の磁化の向きが同一方向(以下、単に「平行」ともい
う)の場合には比較的大きな電流が流れ、両者の磁化の
向きが、平行であるが向きが反対(以下、単に「反平
行」ともいう)の場合には、比較的小さな電流が流れ
る。
【0003】このような強磁性トンネル効果素子の磁化
反転に伴う抵抗変化率MRは、一般的に、強磁性体層の
スピン偏極率を用いて以下の式(1)で表すことができ
る。 MR=(Rap−Rp)/Rp=2P12/(1−P12) …(1) ここで、Rapは反平行時の抵抗、Rpは平行時の抵抗、
1は一方の強磁性体層のスピン偏極率、P2は他方の強
磁性体層のスピン偏極率をそれぞれ示す。
【0004】強磁性体層に用いられる強磁性材料とし
て、Fe,Co,Ni等の強磁性金属やそれらの合金が
使用されてきたが、最近、これらの強磁性金属に代わっ
て、ペロブスカイト酸化物磁性体を用いた強磁性トンネ
ル効果素子が提案されている(特開平10−12945
号公報)。ペロブスカイト酸化物磁性体はスピン偏極率
がほぼ100%であるため、上記式(1)の抵抗変化率
MRのスピン偏極率依存性より、磁化反転に伴う抵抗変
化率を大幅に増大することができる。
【0005】ところが、このようなペロブスカイト酸化
物磁性体がFe,Co,Ni等の強磁性金属と同程度の
弱い外部磁場によって磁化方向が反転するためには、ペ
ロブスカイト酸化物磁性体の磁化軸が揃っている一様な
配向膜が必要である。このような一様な配向膜は、同様
にペロブスカイト構造を有する、STO,LAO,また
はMgOなどの酸化物基板上にエピタキシャル成長した
単結晶薄膜により得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ペロブ
スカイト構造を有する酸化物基板は、シリコン等の半導
体基板と比較すると、一般的に入手し得る基板のサイズ
が小さく、しかも高価であり、更に、双晶や結晶欠陥も
多く含んでいる。従って、このような基板上に、強磁性
トンネル効果素子を安定した磁化特性で形成することは
困難であり、更に、多数の強磁性トンネル効果素子を高
密度に集積して構成される磁気メモリを、このような基
板を用いて実現することは不可能であった。
【0007】そこで本発明は、強磁性体層にペロブスカ
イト酸化物磁性体を用いつつも、安定した素子特性が得
られ、しかも高密度集積化が可能な強磁性トンネル効果
素子、及びこの強磁性トンネル効果素子を用いた磁気メ
モリを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の強磁性トンネル効果素子は、トンネル障壁層を
介して2つの強磁性体層を対向させた積層構造を有し、
前記トンネル障壁層を介して流れるトンネル電流が前記
2つの強磁性体層の相対的な磁化の向きに依存して変化
する強磁性トンネル効果素子において、前記2つの強磁
性体層の少なくとも一方が、1軸方向にのみ配向したペ
ロブスカイト酸化物磁性体で構成されていることを特徴
とする。
【0009】STO、LAO等のペロブスカイト結晶基
板上にエピタキシャル成長させた単結晶ペロブスカイト
酸化物磁性体は、実用的な小さな保磁力、及びその保磁
力以上の外部磁場により磁化方向が急峻に揃う磁化特
性、つまり矩形のヒステリシス曲線特性となり、強磁性
トンネル効果素子を構成する強磁性体として望ましい特
性を有する。一方、SiO2等の非晶質基板上に形成さ
れたペロブスカイト酸化物磁性体は、多結晶膜であり、
この多結晶膜を構成する各結晶粒の配向方向はランダム
である。このため、単結晶膜よりも大きな保磁力を有し
ており、更に、その保磁力程度の外部磁場を印加する
と、各結晶粒の磁化方向が徐々に外部磁場に揃うため、
急峻性がない。そのため、強磁性トンネル効果素子を構
成する強磁性体として適していない。
【0010】しかしながら、SiO2等の非晶質基板上
に形成された、基板面の法線方向には配向しているが面
内方向には配向していない、1軸方向にのみ配向した多
結晶ペロブスカイト酸化物磁性体膜は、単結晶膜と同等
の小さな保磁力を有し、その保磁力以上の外部磁場によ
り磁化方向が急峻に反転する矩形のヒステリシス特性を
示す。このような1軸方向に配向した多結晶膜は、強磁
性トンネル効果素子を構成する強磁性体として利用可能
であるだけでなく、ペロブスカイト酸化物磁性体を用い
た強磁性トンネル効果素子をシリコン基板上に形成する
ことを可能にする。つまり、単結晶膜をエピタキシャル
成長させるためのペロブスカイト酸化物基板が不要とな
る。従って、大面積に均一な特性を有する強磁性トンネ
ル効果素子を高密度に形成することも可能となる。
【0011】更に、強磁性トンネル効果素子をシリコン
基板上に形成できるようになることから、シリコン基板
に形成された電子デバイスとのモノリシック集積が可能
となり、例えば、シリコン基板に多数の強磁性トンネル
効果素子をマトリックス状に配置した磁気メモリを構成
することも可能である。
【0012】すなわち、本発明の磁気メモリは、複数の
行方向配線と複数の列方向配線とからなるマトリックス
配線と、それぞれ、上記本発明の強磁性トンネル効果素
子を含み、かつ前記マトリックス配線の中の1本の行方
向配線及び列方向配線と電気的に接続された複数のメモ
リセルとを有する。
【0013】ここで、上記メモリセルは、それぞれ強磁
性トンネル効果素子に対応するスイッチング素子を有し
ていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明の根幹となる、1軸
方向に配向したペロブスカイト酸化物磁性体層に関し、
ペロブスカイト酸化物磁性体であるLa1-xSrxMnO
3膜を非晶質SiO2上に形成する場合の作製方法の一
例、及びその磁化特性について説明する。
【0015】La1-xSrxMnO3膜は、SiO2膜が上
面に形成されたSi基板を500〜700℃に加熱し、
この状態で、スパッタリング法の一種であるヘリコンス
パッタリング法により、 SiO2膜上に直接形成され
る。この際、ターゲットとしてLa1-ySryMnO3
結体を使用し、イオンガスとしてArを使用し、酸素雰
囲気中で行う。更に、La1-xSrxMnO3膜が形成さ
れたSi基板に、空気中で700℃、1時間のポストア
ニールを行う。得られたLa1-xSrxMnO3膜は、X
線回折測定により、Si基板の法線方向には配向してい
るが面内方向には配向していない、1軸配向した多結晶
であることが確認できた。
【0016】このLa1-xSrxMnO3膜の、50Kに
おける磁化特性を図5(a)に示す。図5(a)から分
かるように、SiO2上の1軸配向したLa1-xSrx
nO3膜は、外部磁場により急峻に磁化反転するととも
に適度な保磁力を有しており、良好なヒステリシス特性
を示している。
【0017】一方、図5(b)には、SiO2上に形成
された無配向の多結晶La1-xSrxMnO3膜の磁化特
性を示す。図5(b)から明らかなように、この膜は、
外部磁場による磁化反転は緩やかであり、保磁力もかな
り大きくなっている。更に、図5(c)は、800〜1
000℃程度の高い基板温度でSrTiO3(STO)
基板上に形成した単結晶La1-xSrxMnO3膜膜の磁
化特性であり、外部磁場により急峻に磁化反転するとと
もに適度な保磁力を有し、良好なヒステリシス特性を示
している。以上の結果から、SiO2上に形成された1
軸配向した多結晶La1-xSrxMnO3膜は、SrTi
3基板上にエピタキシャル成長させた単結晶La1-x
xMnO3膜と同等の磁化率及びヒステリシス特性を有
しており、強磁性トンネル効果素子の強磁性体層として
適していると言える。
【0018】次に、上述した、 SiO2上に形成された
1軸配向した多結晶La1-xSrxMnO3膜構造を有す
る強磁性トンネル効果素子について、図面を参照して説
明する。
【0019】図1は、本発明の一実施形態である強磁性
トンネル効果素子の構造を示す断面図である。
【0020】図1に示すように、非晶質のSiO2膜1
2が上面に形成されたSi基板11の上には、基板面に
対して法線方向に配向し面内方向に無配向である多結晶
ペロブスカイト酸化物磁性体La0.8Sr0.2MnO3
らなる第1強磁性体薄膜13が形成されている。この第
1強磁性体薄膜13の上面には、ペロブスカイト酸化物
であるSrTiO3からなるトンネル障壁層14が形成
されており、更にこのトンネル障壁層14の上面に、ペ
ロブスカイト酸化物磁性体であるLa0.8Sr0 .2MnO
3からなる第2強磁性体薄膜15が形成されている。以
上が、本実施形態の強磁性トンネル効果素子の基本構造
である。
【0021】そして、この基本構造に対して更に、第1
強磁性体薄膜13及び第2強磁性体薄膜15の相対的な
磁化の向きに応じた抵抗の違いを検出するために、第2
強磁性体薄膜15に接続する金属電極17と、第2強磁
性体薄膜15及びトンネル障壁層14を貫通して第1強
磁性体薄膜13に接続する金属電極18とが、それぞれ
SiO2からなる絶縁層16を介して設けられている。
【0022】次に、上述の強磁性トンネル効果素子の製
造方法の一例について説明する。
【0023】まず、非晶質のSiO2膜12が上面に形
成されたSi基板11上に、La0.8Sr0.2MnO3
100nmの膜厚で形成し、次いで、その上にSrTi
3を2nmの膜厚で形成し、さらにその上に、La0.8
Sr0.2MnO3を50nmの膜厚で形成することによっ
て、第1強磁性体薄膜13、トンネル障壁層15、及び
第2強磁性体薄膜15からなる積層構造を得る。La
0.8Sr0.2MnO3の形成は、前述したように、ヘリコ
ンスパッタリング法により、La1-ySryMnO 3焼結
体をスパッタリングのターゲットとし、イオンガスとし
てArを使用して、酸素雰囲気中で行う。
【0024】次に、絶縁層16及び金属電極17,18
の形成のために、第2強磁性体薄膜15、トンネル障壁
層14及び第1強磁性体薄膜13の一部をエッチングに
より除去する。その後、空気中でポストアニールを行
う。これにより、第1強磁性体薄膜13及び第2強磁性
体薄膜15を構成するLa0.8Sr0.2MnO3は、シリ
コン基板11の上面に対し法線方向に配向し面内方向に
無配向で、かつ、良好な強磁性特性を持つようになる。
同様に、トンネル障壁層14を構成するSrTiO
3も、シリコン基板11の上面に対し法線方向に配向し
面内方向に無配向となる。
【0025】その後、第2強磁性体薄膜15、トンネル
障壁層14及び第1強磁性体薄膜13の除去した部分
に、SiO2からなる絶縁層16を一般的なスパッタリ
ング法により形成し、更に、フォトリソグラフィ技術を
利用して、第2強磁性体薄膜15に接続する金属電極1
7、及び第1強磁性体薄膜13に接続する金属電極18
を形成する。
【0026】これにより、金属電極17,18間に電圧
を印加し、この状態で外部磁場により第1強磁性体薄膜
13と第2強磁性体薄膜15との磁化の向きが平行ある
いは反平行と変化することで、流れる電流の大きさを変
化させることができる強磁性トンネル効果素子が作製さ
れる。
【0027】ここで、本実施形態の強磁性体トンネル効
果素子の動作原理について、磁化の向きが平行の場合
と、反平行の場合とに分けて説明する。
【0028】a)磁化の向きが平行の場合 図2に、図1に示す強磁性体トンネル効果素子において
第1強磁性体薄膜と第2強磁性体薄膜とが同一の向きに
磁化した場合の電子の状態密度の模式図を示す。
【0029】第1強磁性体薄膜が図2に示す磁化方向M
に磁化されると、強磁性体の伝導帯は、交換相互作用に
より、アップスピンとダウンスピンの2つの伝導帯20
1,202に分離する。図2は、この伝導帯の分離の様
子を示している。ここで、電子エネルギーレベルの低い
伝導帯201に存在する電子はアップスピン、電子エネ
ルギーレベルの高い伝導帯202に存在する電子はダウ
ンスピンと定義される。すなわち、角運動量の向きが強
磁性体の磁化方向Mと平行となる電子はアップスピン、
角運動量の向きが強磁性体の磁化方向Mと反平行となる
電子はダウンスピンと定義される。
【0030】また、第2強磁性体薄膜が第1強磁性体薄
膜と同一の磁化方向Mに磁化されると、エネルギーレベ
ルE(eV)に対する電子の状態密度の分布曲線は、第
1強磁性体薄膜のそれと全く同じになる。従って、第2
強磁性体薄膜についても、アップスピンに対する伝導帯
203及びダウンスピンに対する伝導帯204の2つの
伝導帯2203,204に分離したエネルギー状態図を
描くことができる。
【0031】いま、図1において、第2強磁性体薄膜1
5に接続した金属電極17側が負、第1強磁性体薄膜1
3に接続した金属電極18側が正となるように、両金属
電極17,18間に電圧を印加したとする。電子が、第
2強磁性体薄膜15から、トンネル障壁層14を介して
第1強磁性体薄膜13へトンネルするとき、スピン角運
動量が保存されるのに伴い、スピンの向きも保存され
る。そのため、第2強磁性体薄膜15中のアップスピン
が取り得るエネルギーレベルが、第1強磁性体薄膜13
にも存在しなければならない。第1強磁性体薄膜13と
第2強磁性体薄膜15との磁化方向が平行のときは、図
2に示すように、アップスピンの伝導帯202,203
の中にフェルミレベルEFが存在するので、第2強磁性
体薄膜15中のフェルミレベルEFにあるアップスピン
電子は、第1強磁性体薄膜13中の同一エネルギーレベ
ルに遷移することができる。
【0032】b)磁化の向きが反平行の場合 図3に、図1に示す強磁性体トンネル効果素子において
第1強磁性体薄膜と第2強磁性体薄膜とが反対向きに磁
化した場合の電子の状態密度の模式図を示す。
【0033】第2強磁性体薄膜の磁化方向M’が、図2
に示す磁化方向Mと逆方向となると、交換相互作用によ
りエネルギーレベルの縮退が解けて、第2強磁性体薄膜
の磁化方向M’と平行なスピンを持つ伝導帯203’
と、反平行なスピンを持つ伝導帯204’とが形成され
る。これらの伝導帯203’,204’のエネルギー状
態は、磁化方向M’と反平行のスピンがアップスピン、
磁化方向M’と平行のスピンがダウンスピンとなるの
で、図3に示すように、エネルギー軸に対して右側がア
ップスピン、左側がダウンスピンのエネルギー状態とな
る。
【0034】一方、第1強磁性体薄膜は、図2に示した
状態と同じであるので、このときの第1強磁性体薄膜の
伝導帯201,202のエネルギー状態は、図2と同じ
に描かれる。
【0035】ここで、図1において、磁化の向きが平行
の場合と同様に、金属電極17,18間に電圧を印加し
たとする。電子が、第2強磁性体薄膜15から、トンネ
ル障壁層14を介して第1強磁性体薄膜13へトンネル
するとき、スピン角運動量が保存されるのに伴い、スピ
ンの向きも保存されなければならない。そのため、第2
強磁性体薄膜15中のアップスピンが取り得るエネルギ
ーレベルが、第1強磁性体薄膜13にも存在しなければ
ならない。しかし、第1強磁性体薄膜13と第2強磁性
体薄膜15との磁化方向が反平行のときは、図3に示す
ように、第1強磁性体薄膜13ではアップスピン電子の
伝導帯202の中にフェルミレベルEFが存在している
が、第2強磁性体薄膜15ではアップスピン電子の伝導
帯204’の中にフェルミレベルEFが存在していない
ので、アップスピン電子はトンネル障壁層をトンネルす
ることができない。その結果、障壁抵抗が増大する。
【0036】従って、外部磁場によって第1強磁性薄膜
13と第2強磁性薄膜15との相対的な磁化方向が平行
・反平行となることに対応して、大きな抵抗変化を有す
る強磁性トンネル効果素子が実現される。特に、第1強
磁性薄膜13を1軸方向にのみ配向したペロブスカイト
酸化物磁性体で構成することで、強磁性トンネル効果素
子をシリコン基板11上に作製することが可能となり、
その結果、強磁性トンネル効果素子は素子特性が安定し
たものとなり、しかも強磁性トンネル効果素子の高密度
集積化を実現することができる。
【0037】本実施形態では、1軸方向に配向したペロ
ブスカイト酸化物磁性体からなる第1強磁性薄膜13を
Si02膜12上に形成した例を示したが、それに限ら
ず、非晶質のSi34膜といったシリコン窒化膜やAl
23膜といった金属酸化膜、多結晶膜、あるいはペロブ
スカイト結晶構造を持たない膜上に形成することも可能
である。また、それに伴い、強磁性トンネル効果素子が
作製される基板も、Si基板11に代えて、GaAs、
InP、SiC等の単結晶または多結晶基板、金属基
板、樹脂基板、あるいはガラス基板を用いることができ
る。これらの基板も、比較的安価で大面積のものを使用
でき、また、欠陥も少ない点で、ペロブスカイト酸化物
基板よりも有利である。
【0038】図4に、図1に示す強磁性トンネル効果素
子を用いた不揮発磁気メモリ(MRAM)の一部の回路
図を示す。
【0039】図4に示すように、複数の列方向配線であ
るワード線WL及び複数の行方向配線であるビット線B
L(図4では1本のみ示す)がマトリックス状に配線さ
れている。強磁性トンネル効果素子20は、これらワー
ド線WLとビット線BLとの交点に配置されており、一
方の電極が、スイッチング素子として用いられるMOS
FET(MOS型電界効果トランジスタ)21を介して
ワード線WLと電気的に接続され、他方の電極がビット
線BLと電気的に接続されている。これら強磁性トンネ
ル効果素子20、MOSFET21、ワード線WL、及
びビット線BL等は、シリコン基板上に形成されてい
る。
【0040】強磁性トンネル効果素子20とMOSFE
T21とで1セルが構成されており、図4には2セル分
が描かれていることになる。
【0041】このメモリへのデータの書き込みは、書き
込みを行うセルが属するワード線WL及びビット線BL
に電流を流し、この電流が作る合成磁場によって強磁性
トンネル効果素子20の磁化の向きを反転させることに
よって行う。また、書き込まれたデータの読み出しは、
読み出したいセルのみワード線WL及びビット線BLを
バイアスし、他は接地電位とすることで、バイアスされ
たビット線BL上に生じる電流信号を取り出すことによ
って行うことができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ト
ンネル障壁層を挟む2つの強磁性体層の少なくとも一方
を、1軸方向にのみ配向したペロブスカイト酸化物磁性
体で構成することで、ペロブスカイト酸化物磁性体を用
いた強磁性トンネル効果素子を作製するベースとなる基
板に、ペロブスカイト酸化物基板を用いる必要がなくな
るので、素子特性の安定した強磁性トンネル効果素子を
高密度に集積化して作製することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である強磁性トンネル効果
素子の構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す強磁性体トンネル効果素子におい
て、第1強磁性体薄膜と第2強磁性体薄膜とが同一の向
きに磁化した場合の電子の状態密度の模式図である。
【図3】図1に示す強磁性体トンネル効果素子におい
て、第1強磁性体薄膜と第2強磁性体薄膜とが反対向き
に磁化した場合の電子の状態密度の模式図である。
【図4】図1に示す強磁性トンネル効果素子を用いた不
揮発磁気メモリ(MRAM)の一部の回路図である。
【図5】La1-xSrxMnO3膜の磁化特性を示すグラ
フであり、同図(a)は、SiO2上に形成した1軸配
向多結晶La1-xSrxMnO3膜の磁化特性、同図
(b)は、SiO2上に形成した無配向La1-xSrx
nO3膜の磁化特性、同図(c)は、STO基板上にエ
ピタキシャル成長させた単結晶La1-xSrxMnO3
膜の磁化特性をそれぞれ示す。
【符号の説明】
11 Si基板 12 SiO2膜 13 第1強磁性薄膜 14 トンネル障壁層 15 第2強磁性薄膜 16 絶縁層 17,18 金属電極 20 強磁性トンネル効果素子 21 MOSFET(MOS型電界効果トランジス
タ) 201,202,203,203’,204,204’
伝導帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺本 洋二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5D034 BA04 BA05 BA21 CA08 DA07 5E049 AC01 BA11 CB02 DB02 DB04 DB06 DB12 GC01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル障壁層を介して2つの強磁性体
    層を対向させた積層構造を有し、前記トンネル障壁層を
    介して流れるトンネル電流が前記2つの強磁性体層の相
    対的な磁化の向きに依存して変化する強磁性トンネル効
    果素子において、 前記2つの強磁性体層の少なくとも一方が、1軸方向に
    のみ配向したペロブスカイト酸化物磁性体で構成されて
    いることを特徴とする強磁性トンネル効果素子。
  2. 【請求項2】 前記1軸方向にのみ配向したペロブスカ
    イト酸化物磁性体は、非晶質基体、多結晶基体、または
    ペロブスカイト結晶構造を持たない基体上に形成されて
    いる、請求項1に記載の強磁性トンネル効果素子。
  3. 【請求項3】 前記基体は、シリコン酸化膜、シリコン
    窒化膜、または金属酸化膜である、請求項2に記載の強
    磁性トンネル効果素子。
  4. 【請求項4】 前記基体は、半導体基板、樹脂基板、ガ
    ラス基板、金属基板、またはそれらの薄膜上に形成され
    ている、請求項3に記載の強磁性トンネル効果素子。
  5. 【請求項5】 複数の行方向配線と複数の列方向配線と
    からなるマトリックス配線と、 それぞれ、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の強
    磁性トンネル効果素子を含み、かつ前記マトリックス配
    線の中の1本の行方向配線及び列方向配線と電気的に接
    続された複数のメモリセルとを有する磁気メモリ。
  6. 【請求項6】 前記メモリセルは、それぞれ前記強磁性
    トンネル効果素子に対応するスイッチング素子を有す
    る、請求項5に記載の磁気メモリ。
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