JP2002008575A - 光励起電子線源および電子線応用装置 - Google Patents

光励起電子線源および電子線応用装置

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JP2002008575A
JP2002008575A JP2000189724A JP2000189724A JP2002008575A JP 2002008575 A JP2002008575 A JP 2002008575A JP 2000189724 A JP2000189724 A JP 2000189724A JP 2000189724 A JP2000189724 A JP 2000189724A JP 2002008575 A JP2002008575 A JP 2002008575A
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electron
light
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electron beam
photocathode
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JP2000189724A
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Taku Oshima
卓 大嶋
Hiroyuki Shinada
博之 品田
Hideo Todokoro
秀男 戸所
Satoru Fukuhara
福原  悟
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の技術では電子線源は1μm程度以上であ
り、電子顕微鏡などの応用のためには放出電流量を増や
して輝度を上げる、電子光学系の縮小率を大きくする等
の技術的課題があった。 【解決手段】 光源1と、光源から光ビームを光照射領
域41に照射し、光マスク42のように照射領域を絞る
構造を介して対向面側のサブμm以下の電子放出部44
に光が注入されそこで生じるニアフィールド光でGaAsチ
ップ10を励起してGaAsチップ10と引き出し電極13
との間に印加された電圧により高輝度で光源サイズがサ
ブμm以下の電子を放出する電子源を得ることを可能と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光励起電子線源に係
わり、特に、電子顕微鏡に好適な高輝度電子線源に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の、ホトカソードをSEMの電子銃に
応用した例としては、C. A. Sanford著、Journal of Va
cuum Science and Technology B,1988年第6巻2005ペー
ジから2008ページ記載のものがある。この概略図を図2
に示す。この場合、真空中のホトカソードは、透明基板
とその表面に接着したGaAsを主材料とするホトカソード
膜で形成されており、透明基板側から光を入射し、ホト
カソード膜側から真空中に電子を放出する、いわゆる透
過型ホトカソードとなっている。集光レンズは大気中に
あり、真空容器に取り付けられた窓を通してこのホトカ
ソードに光を照射していた。
【0003】また、透過型のホトカソードを電子線装置
用の電子銃とした例としては、特表平11−50936
0号、の「超微小放出領域を有する負電子親和力フォト
カソードを利用した電子ソース」に記載の電子源があ
る。この場合、ガラス基板上にホトカソードの薄い膜を
形成し、ガラス基板の裏面に真空チャンバに窓を設け、
その外側に集光レンズを設け、ホトカソード上で光を1
μm程度に収束させ、反対側から発生した電子を取り出
す方法が採られている。
【0004】一方、特表平11−509360号では図
2と同様の構成において、集束レンズ23に球面収差を補
正したものを用い、ガラス窓7と、ホトカソード21の透
明基板を通った後に回折限界まで集束できるようにすれ
ばよいことが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】高分解能の走査型電子
顕微鏡の電子源として応用する場合、高い輝度、すなわ
ち、小さい面から大きな電流密度で、そろった方向(小
さな開き角)に放出されることが望まれる。電子放出面
積が小さければ小さいほど、これに比例して少ない電流
量で済む。光励起電子源は、単色性が0.1eV程度とよ
く、輝度が高い電子源として知られているが、この放出
面積は、励起光の照射領域とGaAs内部でのホトキャリア
の拡散距離で決まる。これらが実用上1μm程度で限界
がある。
【0006】励起光の照射領域は、光の集束限界が最小
であり、これは波長による回折で決まり、0.8xλ/NA程
度となる。λは光の波長であり、NAはNeumerical Apert
ureと呼ばれる値で、NA=sinθで決まる。θは光の開き
角、tanθ=r/f、rは光線の半径、fはレンズの焦点距離
である。実用上、可視の半導体レーザーによる光を用い
て収束光を得る場合は、たとえば、波長650nm、NA0.5と
し、理想的な光学系を形成したとしても1μmのビーム
径が限界である。
【0007】一方、光励起によりp型GaAsの伝導帯に励
起された電子は膜内を拡散及びドリフトし、 おおむね
次の3つの過程で消滅する。すなわち、i)価電子帯のホ
ールと再結合、ii)非発光準位に捕獲される、iii)表面
に到達して電子放出。GaAsの場合電子放出に至るまでに
拡散により横方向に広がり、広がり幅は1μm程度であ
る。
【0008】また、p型GaAs表面付近に微細な穴のあい
たマスクを設け電子放出領域を制限する方法としてはJ.
E. Schneider らによる「Patterned negative electro
n affinity photocathodes for maskless electron bea
m lithography」Journal ofVacuum Science and Techno
logie B Vol.16 (6) (1998年)記載の方法があった。こ
の場合、電子ビーム源はマスクにあいた穴のサイズとな
り、150nm程度の微細化を達成しているが、輝度が下が
るという問題があった。マスクによる電子散乱や表面状
態擾乱のために、電流密度や放出電子の直進性が犠牲に
なっていったことが原因であると推測される。したがっ
て、この方法では小さな電子源径は実現されるが、実用
的な輝度や単色性を得ることは難しい。
【0009】以上のことから、電子放出源の大きさが1
μmより大幅に小さくすることが難しいという問題があ
った。
【0010】本発明の第一の目的は半値幅が1μmより
十分小さいもしくは励起光の波長よりも小さい放出領域
の電子源を提案することにある。
【0011】本発明の第二の目的はホトカソード用い
た、高性能の電子線応用装置を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明は、真空中にあって光入射により電子
を放出する手段であるホトカソードと、ホトカソードへ
入射する励起光の光源装置と、発生する電子を引き出す
引出し電極よりなる光励起電子線源において、ホトカソ
ードにニアフィールド光を注入するニアフィールド光励
起手段があり、ホトカソードは、直径1μm未満の構造
とする。
【0013】即ち、光源1と、光源から光ビームを光照
射領域41に照射し、光りマスク42のように照射領域
を絞る構造を介して対向面側のサブμm以下の電子放出
部44に光りが注入されそこで生じるニアフィールド光
でGaAsチップ10を励起してGaAsチップ10と引き出し
電極13との間に印加された電圧により高輝で光源サイ
ズサブμm以下の電子を放出する電子源を得ることを可
能とする。
【0014】ホトカソードは、負の電子親和力を利用し
たもので、材料は、p型半導体で、C, Ge, Si, SiC, Al
As, AlP, Al,Sb, BN, GaAs, GaN, GaP, GaSb, InAs, In
P, InSb, CdS, CdSe, CdTe, ZnO, ZnS, ZnSe, ZnTeのう
ちのひとつもしくは2つ以上の混合物で構成される。表
面吸着層はCs,Na,Kのうちのいずれか、もしくは、Cs,
Na、Kのうちのいずれかと酸素、もしくはBaと酸素、も
しくはCsとF、もしくはこれらの混合物であることで構
成される。
【0015】ニアフィールド光励起手段は針状に尖った
先端を持つ光ファイバもしくは、光の波長より小さい開
口径の光マスクを用いる。これに入ってきた励起光は、
光ファイバ先端付近あるいは波長より小さい開口部付近
で、波の性質のために進行波は反射していき、ホトカソ
ード側には減衰波であるニアフィールドが発生する。も
しくは、ニアフィールド光励起手段としては、レーザー
ダイオードの活性層領域でも良い。光のキャビティーを
形成する鏡となっている端面付近では、レーザー光がニ
アフィールド状態となっている。
【0016】励起光の光源装置は半導体レーザーとコリ
メータレンズを含む光学部品で構成されても、あるい
は、レーザー光源、光ファイバ、および両者の光結合装
置で構成されてもよい。
【0017】上記第2の目的を達成するために、可視光
領域から近赤外領域の光源と、前記光源から光ビームを
通過させる窓部材と、前記窓部材を通過した光ビームを
電子放出面を有するその光照射領域に照射されるホトカ
ソードと、前記電子放出面から放出される電子線を引き
出すための引き出し電極と、前記引き出し電極より引き
出された電子線を収束するレンズと、前記レンズを通過
した電子線を偏向する偏向器と、電子線を試料に照射す
るための対物レンズと、試料を載置する試料台と、前記
電子線を試料に照射し試料からの二次荷電粒子を検出す
る検出器と、を具備した構成にある。
【0018】
【発明の実施の形態】実施例1 図1に本発明を応用した電子源の一例を示す。(a)は全
体図(b)は電子放出源付近の拡大図である。
【0019】電子放出源10は高さ1μm直径0.1μmの
結晶GaAsである。この高さは、光入射で発生したホトキ
ャリアの拡散距離1〜3μmが上限で、これを超えると発
生した電子が表面に到達しなくなる。一方、ホトキャリ
アの発生が減少する光透過厚さ0.05μm程度が下限とな
り、これより薄いとほとんどの光がGaAsに吸収されずに
透過してしまう。電子放出源10であるGaAsは先端を針状
にした光ファイバ4の先端にサポートされている。この
れがニアフィールド光励起手段として機能する。すなわ
ち、レーザダイオード1から放射する波長約650nmのレー
ザー光3は、カップリングレンズ2で光ファイバ4に入射
し、反対側の先端に到達する。このとき、針先端径は光
の波長以下であるため、ニアフィールドが発生する。こ
の先端にあるGaAsチップの価電子帯の電子はここで発生
したニアフィールドにより励起され、伝導帯に遷移す
る。光源として必要なことは、ホトカソードの表面吸着
層のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーを有
しかつ光学レンズが通過出来る波長範囲以内で有り実用
的には可視光から近赤外範囲である。一方、GaAs10の表
面は真空容器15中で圧力10の−7乗Pa以下の超高真空中
において、表面に酸素とCsの被覆が形成され、仕事関数
がGaAsのバンドギャップエネルギーの1.4eV程度かそれ
以下となっているために、伝導帯に励起された電子は真
空準位より高いエネルギーを持ち、いわゆる負の電子親
和力(NEA)により表面から真空中に放出される。この
とき電子源には加速電圧回路172により、電子の加速電
圧V0が印加されており、アース電位に対する電子エネル
ギーが決定される。V0は、半導体用の低加速SEMでは、-
2kVから-500Vの範囲で選ばれる。より高加速が必要な場
合は-2kVを超え、て印加することも可能である。また、
引出電極13の電圧は制御回路174により決められる。こ
の場合、電子放出源10を基準とした引出電極13の電圧を
引き出し電圧V1とすると、V1は-1VからV0の範囲で選ば
れる。V1=V0の条件は引出電極13はアース電位となる。
引出電極での静電レンズ効果によって必要な場合にはV0
を超えた高電圧をかけることも可能である。
【0020】この電子源の場合、電子源径は0.1μm
で、放出電流10nAで、輝度10の8乗A/sr/cm2という、Zr/
O/W拡散補給型電子源程度の高い輝度が得られる。しか
も本実施例では、放出電子の全エネルギー分布は0.1〜
0.2eVと、Zr/O/W拡散補給型電子源の0.4eV以上に比べて
きわめて単色性の良い電子線が得られるという利点があ
る。また、ノイズも1%以下ときわめて安定である。さら
に、電子放出の安定性は、加速電圧回路172もしくは電
子線量のモニタで計測する放出電流量が一定となるよう
に、制御装置17によりLD出力制御回路171のレーザー光
量の設定値を変化させることで、きわめて高い精度(<0.
1%以下)で動作可能である。このとき大きな利点は、電
子線量のコントロールは光のみで可能なため、電子光学
系に全く影響しないことである。
【0021】この電子放出源の構造は、図5に示す工程
で形成される。直径100μm程度の光ファイバー4を
エッチングし、針状の先端52を形成する(図5(a))。一
方、ホトカソード材料としてp+GaAsを準備する。これ
は、p+GaAs基板50にFIB(収束イオンビーム) を用いたエ
ッチングにより直径0.3μm高さ0.5μm程度の円筒51を
形成し、その後イオンによるダメージ層をエッチング液
中で溶解除去して形成した。針52をSPM(走査プローブ顕
微鏡)の探針として、p型GaAsの円筒51に密着させ(図5
(b))、この上からWを2ないし3方向から斜め蒸着して金
属被覆9を形成し、GaAsと探針を接着する(図5(c))。こ
の状態で収束イオンビームを照射し円筒51をGaAs基板50
から切り離して、大きさ1μm以下のGaAs結晶粒が針先
端についた構造が得られる(図5(d))。この後、硫酸と過
酸化水素の水溶液中でイオンビームによるGaAs表面のダ
メージ層及び余分な金属を除去し、フッ酸を含む水溶液
中で表面酸化物を除去して電子源構造が得られる。
【0022】なお、ここで用いた以外のプロセスを用い
ても、同様の構造を形成すれば同様の効果があること明
らかである。例えば、GaAs円筒51の形成工程は従来のホ
トエッチング法でも、可能である。GaAs円柱51上に針先
52が付くように制御するには電子顕微鏡、収束イオン顕
微鏡、などの方法により針先端とGaAs円柱との相対位置
を計測しながら行ってもよい。
【0023】上記方法で形成した電子源を使用するに
は、表面クリーニングと活性化の工程を行う。このため
の装置の位置関係を示す概略を図3に示す。表面クリー
ニングは、大気中で表面にできた酸化物や、水や炭化水
素などの吸着物を除去する工程で、図1の例では、対抗
するところにヒーター11を置き、ヒーター制御回路173
によりGaAs表面を400℃から600℃に短時間(5分から10秒
間)加熱する。ヒーターによる引き出し電界の乱れを防
ぐために、図3に示すように、ヒーター11の上に金属の
メッシュ31を置いている。活性化は、GaAs表面に酸素と
Csの吸着層をもうけ、仕事関数を1.4eV程度あるいはそ
れ以下に下げる工程で、引き出し電極13に埋め込んだCs
ソース13と、真空容器に取り付けた酸素容器19及び可変
リークバルブ18により供給する。Csソース13は金属箔中
にCsのクロム酸化物を入れ、金属箔を通電加熱して、金
属箔の隙間からCsを蒸発させるもので、図3に示すよう
に、斜めにしてGaAs面に対向させ、ヒーター11,メッシ
ュ31の間を通して供給する。
【0024】電子源装着後、表面クリーニングを行い、
活性化して電子放出を続けていると、数時間から数日で
電子放出量が減少し、レーザー光出力のみでは回復しな
くなる。このとき、CsソースからCsを供給することで、
表面が再度活性化される。また、数日から数カ月以上連
続運転して、GaAs表面に炭化水素などの吸着物が増加し
放出電流量が減少した場合は、電子放出を停止し、再度
表面クリーニングと活性化を行うことで電子源の再生が
可能であり、数年という長期にわたり電子源の交換の必
要がないという利点がある。
【0025】本実施例では、光ファイバにより大気中の
光を真空中に導入したが、図4(a)のように真空の窓24に
光3を平行光として入射し、真空容器内で集束レンズ40
により光ファイバ9に励起光を入射しても良い。この場
合、光ファイバが短くて済み、電子線源の扱いが容易に
なるという利点がある。また、光ファイバを用いずと
も、図4(b)のように、透明基板46(例えばガラスのよう
な透明部材)表面にGaAs膜43をつけた構造でも良い。こ
の場合、集束レンズ40による光照射領域41は直径1μm
程度あるため、光マスク42を設け、0.5μmの穴を通し
てニアフィールドを発生させている。GaAs膜43中には直
径0.1μmの電子放出部が形成されている。また、電子
供給のために、金属のコンタクト電極45が表面に設けら
れている。なお、これは、光マスク42を金属膜として兼
用しても良い。
【0026】また、ニアフィールド発生と光源をかね
て、図6に示すように、容器に入っていないレーザーダ
イオード60の端面に電子放出用のp+GaAs膜61をアイソレ
ーション膜63を介して設けても良い。この構造は、エピ
タキシャル成長もしくは膜の貼合せにより形成される。
GaAs電子放出部の微細構造は、表面のSiO2膜62に設けた
直径0.1μmの穴で形成される。これは、図4(b)のよう
な突起としても同様の効果がある。
【0027】ここで、電子放出の方式は、ホトカソード
の電子放出面はp型半導体もしくはp型半導体表面に1
分子層以下の表面吸着層があり、励起光のエネルギーは
前記p型半導体のバンドギャップエネルギー(Eg)以上
であり、前記表面吸着層は電子放出面の仕事関数(φb)
が前記p型半導体のバンドギャップエネルギー(Eg)よ
り1eV以上大きくならない条件で選ばれている。前記p
型半導体はC, Ge, Si,SiC, AlAs, AlP, Al,Sb, BN, GaA
s, GaN, GaP, GaSb, InAs, InP, InSb, CdS, CdSe, CdT
e, ZnO, ZnS, ZnSe, ZnTeのうちのひとつもしくは2つ以
上の混合物で構成されることが効果的である。また、表
面吸着層はCs-Oを用いたが、アルカリ金属もしくはアル
カリ土類金属と酸素の組み合わせであれば同様の効果が
ある。例えば、金属元素としてNa,K,もしくはBaを用い
ても同様の効果がある。また、これら金属元素を単独で
用いても同様の効果がある。また、Csとの組み合わせで
酸素の代わりにフッ素を用いても同様の効果がある。実
際の製品に適用するには、材料やプロセスに応じてこれ
らの材料を混合する、あるいは吸着量を制御し、仕事関
数がカソード材の半導体のバンドギャップエネルギー+1
eV以内となる条件にする事ができれば電子源として用い
ることができる。仕事関数がこれより大きくなると十分
な量の電子を得るためには、より高電界が必要となり、
本電子源の単色性が損なわれるからである。
【0028】また、本実施例ではNEAホトカソードを
用いたが、これ以外に、金の蒸着膜や、カルコゲン化合
物等の金属膜や、これらの表面に表面吸着層を設け、仕
事関数低下した膜を用いてもよく、この場合、伝導帯の
様な拡散距離の長い(μmオーダー)バンドが無く、電子
放出源が広がらない。従って、ニアフィールド照射領域
の範囲のみから電子放出する、いわば、微細構造が内在
したホトカソードが得られるという特徴がある。なお、
この場合、NEAよりも量子効率が悪いので、励起光は
可視から紫外域のエネルギーが必要となる。
【0029】(実施例2)図7に本発明による電子源を走
査電子顕微鏡に応用した例を示す。
【0030】実施例1で示した電子銃70から光励起で電
子線16を発生する。電子線16は第1電子レンズ71、第2電
子レンズ73、と2段のレンズにより1/100から1/10に縮小
して試料75に照射され、偏向器72で電子線を掃引しなが
ら、電子検出器74で、試料移動ステージ76(試料台)上
の試料75からの二次電子や反射電子を検出し、SEM像を
得る。電子のソースサイズが1μmより小さく0.1μm程
度なため、2段のレンズの縮小率は1/100から1/10程度で
試料表面上のプローブビーム径が1nmから10nmと小さな
ものが得られ、高分解能なSEM像が得られる。
【0031】また、必要プローブビーム径が数10nm程度
の場合は、電子レンズは1段で十分である。この場合、
極めてシンプルな電子光学系ですむために、低コスト化
可能、あるいは設計の自由度が増し多機能化が容易とな
るという利点がある。
【0032】電子源70は実用的な安定性を得るには反応
性の高いガスを極力排する必要があるため、10の-8乗か
ら-10乗Paの超高真空、望むらくははそれ以上の極高真
空が必要となる。このため、専用の真空ポンプ77を持
ち、第1絞り78と隔壁14、により2段の差動排気を行って
いる。 SEM像を測定する場合、スキャン中以外にビーム
をブランキングして用いるが、本電子銃では測定に必要
なとき以外には、励起光出力を切り電子線発生を停止す
ることで達成できる。このためには、電子銃70用のLD出
力制御回路171でレーザーダイオード電流を所望のタイ
ミングで所望の時間停止すればよい。このブランキング
のために、これまでの電子源では電子の発生を高速で制
御することは難しいため、電子光学系で電子ビームを試
料上から曲げ別の場所に照射していた。本発明を用いる
ことで、電子光学系からブランキングの設備を省くこと
ができ、コスト,設計の自由度、性能向上などの点が有
利となる。
【0033】本発明による電子線は上記したようにエネ
ルギー幅が狭いので、電子線のエネルギーが数kから1kV
以下と低くとも色収差を小さく抑えられるため、分解能
が高いという特徴がある。この特徴は、電子による欠陥
やチャージアップの問題がある試料観察に適しており、
例えば、集積回路基板の製造工程中の検査に適してい
る。
【0034】また、従来の電子顕微鏡と同等の加速電圧
では、より収差が小さくなるので、高分解能化が可能と
なる。
【0035】本実施例では走査電子顕微鏡を例に取った
が、透過電子顕微鏡や電子線露光装置に用いても上記の
利点があるため、同様に、高性能化できるという利点が
ある。
【0036】
【発明の効果】以上実施例を用いて説明して来たよう
に、本発明を用いることによって光源径が小さく輝度が
高く単色性がよく、安定性の高い高性能の電子源が得ら
れる。また、本発明を用いることによって、高性能の電
子線応用装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電子源の概略図。
【図2】従来例の説明図。
【図3】実施例1の説明図。
【図4】実施例1の説明図。
【図5】実施例1の説明図。
【図6】実施例1の説明図。
【図7】実施例2の概略図。
【符号の説明】
1:レーザーダイオード、2:カップリングレンズ、3:レー
ザー光、4:光ファイバ、5:フィードスルー、6:真空シー
ル、7:フランジ、8:カソード支え、9:金属コーティン
グ、10:GaAsチップ、11:ヒーター、12:Csソース、13:引
出電極、14:真空隔壁、15:真空容器、16:電子線、17:制
御装置、171:LD出力制御回路、172:加速電圧回路、173:
加熱ヒータ回路、174:引き出し電圧及びCs蒸発回路、1
8:可変リークバルブ、19:酸素容器、21:平板ホトカソー
ド、22:レーザー光源装置、23:集光レンズ、24:透明
窓、31:メッシュ、40:非球面レンズ、41:光照射領域、4
2:光マスク、43:p+GaAs膜、44:電子放出部、45:コンタ
クト電極、46:透明基板、50:p+GaAs基板、60:レーザー
ダイオード、601:金属台、602:n+GaAs基板、603:n型AlG
aAsバリア層、604:AlGaAs井戸型発光層、605:p型AlGaA
sバリア層、606:p+GaAs膜、607:金属電極、61:p+GaAs電
子源膜、62:SiO2膜、63:AlAsアイソレーション膜、70:
本発明による電子銃、71:第1電子レンズ、72:偏向器、7
3:第2電子レンズ、74:電子検出器、75:試料、76:試料移
動ステージ、77:電子銃排気ポンプ78:第1絞り。
フロントページの続き (72)発明者 戸所 秀男 茨城県ひたちなか市市毛882番地 株式会 社日立製作所計測器グループ内 (72)発明者 福原 悟 茨城県ひたちなか市市毛882番地 株式会 社日立製作所計測器グループ内 Fターム(参考) 5C030 CC02 CC10 5C035 AA20 CC01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源1と、光源からの第1の光ビームを絞
    る部材と、前記部材とは対向する側のサブμm以下の電
    子放出部と、前記電子放出部で生じる第2の光ビームで
    励起されるチップと、前記チップから電子を引き出すた
    めの引き出し電極と、を有する電子源のサイズがサブμ
    m以下の電子を放出する電子源で有ることを特徴する光
    励起電子線源。
  2. 【請求項2】前記チップはp型半導体のSiC, AlAs, Al
    P, Al,Sb, BN, GaAs, GaN, GaP, GaSb, InAs, InP, InS
    b, CdS, CdSe, CdTe, ZnO, ZnS, ZnSe, ZnTeのうちのひ
    とつもしくは2つ以上の混合物又はSi,C,GeのIV族単結晶
    もしくはこれらの混合物で構成されることを特徴とする
    請求項1光励起電子線源
  3. 【請求項3】前記チップの前記表面吸着層はCs,Na,Kも
    しくは、Cs,Na、Kと酸素、もしくはBaと酸素、もしく
    はCsとF、もしくはこれらの混合物であることを特徴と
    する光励起電子線源。
  4. 【請求項4】真空中にあって光入射により電子を放出す
    る手段であるホトカソードと、入射する励起光の光源装
    置と、発生する電子を引き出す引出し電極よりなる光励
    起電子線源において、ホトカソードにニアフィールド光
    を注入するニアフィールド光励起手段があり、ホトカソ
    ードは金属薄膜であることを特徴とする光励起電子線
    源。
  5. 【請求項5】近赤外から可視光領域の光源と、前記光源
    から光ビームを通過させる窓部材と、前記窓部材を通過
    した光ビームを電子放出面を有するその光り照射領域に
    照射されるホトカソードと、前記電子放出面から放出さ
    れる電子線を引き出すための引き出し電極と、前記引き
    出し電極より引き出された電子線を収束するレンズと、
    前記レンズを通過した電子線を偏向する偏向器と、電子
    線を試料に照射するための対物レンズと、試料を載置す
    る試料台と、前記電子線を試料に照射し試料からの二次
    荷電粒子を検出する検出器と、を具備したことを特徴と
    した電子線応用装置。
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