JP2002006899A - 音楽信号の時間軸圧伸方法及び装置 - Google Patents
音楽信号の時間軸圧伸方法及び装置Info
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Abstract
時間軸圧伸後のビート位置を補償して、リズムの狂いや
二度打ちを発生させることを防止する。 【解決手段】 音楽の入力信号x(t)は、アタック位置検
出部1に入力され、ここでアタック位置を検出される。
ビート位置検出部2は、検出されたアタック位置情報と
各アタック位置でのパワーの平均値からビート位置を求
める。時間軸圧伸処理部3は、入力信号x(t)のうち、ビ
ート位置検出部2で検出されたビート位置間の信号につ
いて時間軸圧伸処理を施す。
Description
号のピッチを変えずに原ディジタル信号を所望とする圧
伸率で時間軸圧伸するディジタル信号の時間軸圧伸方法
及び装置に関し、特にリズム音源信号を含む音楽信号に
対する時間軸圧伸方法及び装置に関する。
変えずにその時間軸を圧縮又は伸長する時間軸圧伸技術
は、例えば、収録されたディジタルオーディオ信号の全
体的な収録時間を所定の時間に合わせ込む、いわゆる
「尺合わせ」や、カラオケ装置等のテンポ変換等に利用
される。この種の時間軸圧伸技術としては、従来より、
カット・アンド・スプライス法(例えば特開平10−2
82963号)やポインター移動量制御による重複加算
法(“ポインター移動量制御による重複加算法を用いた
音声の時間積での伸長圧縮とその評価”;森田、板倉、
昭和61年10月;日本音響学会秋期大会講演論文集1-4-1
4,PP149)等が知られている。
よる時間軸圧伸処理は、波形とは無相関に波形の切り出
しを行い、切り出した波形をつなぎ合わせて指定された
圧伸率での圧伸処理を行うもので、切り出し波形同士の
つなぎの部分では、波形の不連続が生じるので、クロス
フェード処理を行って、フレームのつなぎ部分を滑らか
にする。切り出し間隔は、人間の聴感上、エコー感や音
のダブリ感が検知されにくい間隔、例えば60msec程度
に設定される。特に、特開平10−282963号の方
式では、音声タイミング情報に同期して切り出しの長さ
を決める。通常の方式に比べ、元波形のリズムと同じ周
期でつなぎ目が現れ、つなぎ目の部分の音質変化が目立
ちにくいという特徴がある。
算法では、原オーディオ信号において、波形相関の高い
隣接した同じ長さの2つの区間を抽出し、これら区間の
信号を重複加算し、この重複加算された信号を元の2つ
の区間と入れ換えたり、元の2つの区間の間に挿入する
ことで、全体的な時間を短くしたり長くする。この方式
は、カット・アンド・スプライト法よりもスムーズな波
形接続が可能となる。特に音声信号や単音楽器のような
ピッチ性の高い音源に対し、より品質の高い時間軸圧伸
が可能となる。
・アンド・スプライス法では、どのような信号を対象と
しても、それなりの音質が期待できるというメリットは
あるものの、特にリズム音源を対象とした場合には、二
度打ちやリズムの狂いといった非常に目立つ音質劣化を
発生させやすい。特開平10−282963号の方式で
は、元波形のリズムに同期したカット・アンド・スプラ
イスとなっているが、特に伸長の場合、波形を切り出す
際に二つのアタックが切り出し波形に含まれることがあ
り、この場合二度打ちが発生する。更に、ポインタ移動
量制御による重複加算法では、波形の時間相関を見なが
ら時間軸圧伸を行うため、二度打ち現象は原理的には起
きないと考えられる。しかし、時間軸圧伸後のアタック
の位置については全く補償されておらず、この結果、リ
ズムのずれが発生し易い。また、特開平11−1612
72号公報には、テンポに同期した周期で不連続変化点
を設定して時間軸圧伸する技術が開示されているが、こ
の技術では、予め入力信号のテンポを知っておく必要が
ある。
れたもので、リズム音源のようなパルシブな音楽信号に
対し時間軸圧伸処理を施す際に、時間軸圧伸後のビート
位置を補償して、リズムの狂いや二度打ちを発生させる
ことがない音楽信号の時間軸圧伸方法及び装置を提供す
ることを目的とする。
の時間軸圧伸方法は、時間軸圧伸処理すべき音楽信号か
らアタック位置を検出したのち、この検出されたアタッ
ク位置に基づいてビート位置を検出し、この検出された
ビート位置の間の音楽信号に対して時間軸圧伸処理を施
すようにしたことを特徴とする。
伸装置は、時間軸圧伸処理すべき音楽信号からアタック
位置を検出するアタック位置検出手段と、このアタック
位置検出手段で検出されたアタック位置に基づいてビー
ト位置を検出するビート位置検出手段と、このビート位
置検出手段で検出されたビート位置間の音楽信号をピッ
チを変えずに予め指定された圧伸率で時間軸圧伸処理す
る時間軸圧伸処理手段とを備えたことを特徴とする。
置を検出したのち、ビート位置を検出してアタックの検
出漏れや過剰検出を補正し、検出されたビート位置間で
時間軸圧伸処理を施すようにしているので、二度打ちが
発生することはなく、ビート位置の間隔も圧伸率に応じ
て圧縮又は伸長されることになり、これにより圧伸処理
前後のビート位置の相対関係は完全に維持されるので、
リズムの狂いが発生するようなこともない。
検出されたアタック位置の間隔の系列に基づいてビート
間隔を決定し、検出されたアタック位置の間隔と前記決
定されたビート間隔とに基づいて決定することができ
る。より具体的には、例えば検出されたアタック位置と
その1つ前のアタック位置との間隔がビート間隔の整数
倍で且つ前記1つ前のアタック位置から前記検出された
アタック位置までビート間隔ずつ進んだ位置の音楽信号
のパワーが所定値を超えている場合には、その位置をビ
ート位置とする。また、例えば検出されたアタック位置
とその1つ前のアタック位置との間隔がビート間隔の整
数分の1倍で且つ検出されたアタック位置の音楽信号の
パワーが所定値を超えている場合には、その位置をビー
ト位置とし、そうでない場合には誤検出としてビート位
置としない。
ク位置とその近傍とを除いた部分について時間軸圧伸処
理を行い、この時間軸圧伸処理された信号の両端を時間
軸圧伸処理されない信号と滑らかに結合するようにす
る。滑らかに結合させるには、時間軸圧伸処理の際に、
両端部での処理波形が元の信号波形とほぼ似通うように
したり、或いはクロスフェード処理で結合させる。この
場合、ビート位置の部分の波形はそのまま維持されるの
で、本来の音に近い音が得られる。
の好ましい実施の形態について説明する。図1は、この
発明の一実施例に係る音楽信号の時間軸圧伸装置の構成
を示すブロック図である。時間軸圧伸すべきリズム音源
信号であるディジタル・オーディオ信号x(t)は、ア
タック位置検出部1に入力されている。即ち、リズム音
源信号には、“アタック”が存在し、波形レベルでは信
号電力の急激な集中と変化となっている。アタック位置
検出部1では、あるしきい値によって単位時間当たりの
信号電力の評価を行うと共に、この信号電力の時間微分
によって、波形の急激な変化点を検出する。この2つを
組み合わせることにより、音楽信号内のほぼ全てのアタ
ックの検出が可能である。そして、この検出結果は、ア
タック位置情報として出力される。また、アタック位置
検出部1では、各アタック位置におけるパワーの平均値
Patkも求めてこれを出力する。
たアタック位置は、必ずしも音楽信号のビート(拍)位
置を正確に示しているとは限らない。何故なら、アタッ
ク位置検出器1で検出されたアタック位置は、信号電力
の急激な集中と変化の位置を示すので、例えば弱拍の場
合や、たまたま当該位置がビート性の弱い楽器パートで
ビートを示している場合等のように、信号電力が緩やか
な集中と変化を示すようなビート位置を検出漏れしてし
まったり、本来ビートではない位置がたまたま信号電力
の急激な集中と変化とを示しているために、過剰に検出
されるおそれなどがあるからである。そこで、入力オー
ディオ信号は、ビート位置検出部2にも供給されてい
る。ビート位置検出部2では、アタック位置情報及びパ
ワーの平均値Patk等からアタックの検出漏れ、過剰検
出等を補正し、予想される正しいビート位置を求めてこ
れを出力する。更に、入力オーディオ信号は、時間軸圧
伸処理部3にも供給されている。時間軸圧伸処理部3
は、入力されたオーディオ信号のうち、ビート位置検出
部2で検出されたビート位置間の信号について時間軸圧
伸処理を施す。
ブロック図である。入力オーディオ信号は、遅延バッフ
ァ11に順次格納される。遅延バッファ11は、波形の
時間軸伸長処理およびピッチ抽出処理等に必要なデータ
量が格納されるリングバッファである。遅延バッファ1
1に格納されたオーディオ信号は、隣接波形読出位置制
御部12の制御に基づき種々の区間長で切り出され、隣
接波形のデータとして順次読み出される。類似度計算部
13は、隣接波形読出制御部12の制御のもとで読み出
された隣接波形のデータの類似度を計算する。制御部1
4は、求められた類似度から隣接波形が最も類似する区
間長を求め、これを基本周期(ピッチ)Lpとして波形
読出制御部15に与える。波形読出制御部15は、制御
部14に与えられた前記ビート位置情報に基づき、ビー
ト位置間の信号について、与えられた基本周期Lpだけ
離れた2つのデータを遅延バッファ11から読み出す。
遅延バッファ11から読み出された2つのデータD1,
D2は、波形窓掛け・加算部16,圧伸率制御部17及
び出力バッファ18からなる圧伸処理制御手段に供給さ
れる。波形窓掛け・加算部16に供給されたデータD
1,D2は、ここで所定の時間窓関数を乗算されて加算
される。また、一方のデータD2は、圧伸率制御部17
にも供給されている。圧伸率制御部17は、制御部14
から与えられる圧伸処理の対象長さLの情報に基づいて
原オーディオデータから波形を切り出す。圧伸処理の対
象長さLは、予め設定された圧伸率Rと、抽出された基
本周期Lpとに基づき制御部14で算出される。そし
て、波形窓掛け・加算部16で加算された波形と、圧伸
率制御部17で切り出された原波形とが出力バッファ1
8において合成されて時間軸圧伸された出力信号が生成
される。
装置の動作を説明する。図3は、アタック検出部1にお
けるアタック検出処理を説明するための図である。アタ
ックの位置は、信号電力とその時間微分値より求めるこ
とができる。信号電力の計算は、図3に示すように、予
め定めた信号電力計算時間T1の信号について、予め定
めた信号電力評価更新時間長T2で順次更新しながら行
う。入力信号をx(t)とし、期間T1の入力信号x(t)から
信号電力Powを下記数1により求める。
間微分Spwを数2のように求める。
るかどうかを評価してアタック位置Aiを検出する。
位置検出処理について説明する。図4は、ビート位置検
出部2におけるビート位置検出処理を示すフローチャー
トである。まず、アタック位置検出部1で検出されたア
タック位置情報Aiを入力する(S1)。次に、このア
タック位置Aiと、前回検出したアタック位置Ai-1との
間隔ΔA[i]を求める(S2)。次に、過去のアタック
間隔の系列ΔA[0],ΔA[1],…,ΔA[i]から適切な
ビート間隔ΔBを決定する(S3)。ΔBの決定方法と
しては、例えば過去のアタック間隔の系列ΔA[0],Δ
A[1],…,ΔA[i]のうち、統計的に最多頻度となる値
をΔBとする方法等を用いることができる。続いてアタ
ック間隔ΔA[i]とビート間隔ΔBとを比較する(S
4)。この大小関係によって検出漏れ補正又は過剰検出
補正が行われる。
A[i]がΔBのn倍(但しnは整数)の近傍であるかど
うかを判定し(S5)、もしそうであれば検出漏れがあ
ったと判断する。この場合、Ai-1からAiまでΔBずつ
進んだ位置、それぞれがビート位置である可能性がある
とするが(S6,S7,S8,S9)、むやみにビート
位置の数を増加させないようにそれぞれの位置でパワー
の評価を行う(S10)。パワーのしきい値Pthは、固
定的に定めても良いし、その時点での信号から適応的に
求めても良い。もし、パワーがしきい値Pthを超えてい
れば(S10)、その位置をビート位置とし(S9)、
そうでなければビート位置の候補から除外する。なお、
ここではドラム以外の比較的パワーの立上りが急峻でな
い楽音によるビートの提示を考慮して、パワーの立上り
は評価せず、パワーの大きさのみを評価する。即ち、ア
タック位置検出部1においてその位置がアタックとして
検出されなかったのは、パワーの立上りが急峻でなかっ
たことによると仮定している。もし、ΔA[i]がΔBの
整数倍近傍の値でなければ、Aiは誤検出であったと判
断し、次のアタックAi+1を入力して(S1)同様の処
理を繰り返す。
さいと判定された場合、アタック間隔ΔA[i]がΔBの
1/nの近傍の値であるかどうかを判定する(S11)
もし、そうであれば更にアタック位置Aiにおけるパワ
ーが過去のアタック位置におけるパワーの平均値Patk
よりも大きいかどうかを判定する(S12)。これは検
出されたアタックの中でもより重要なものであるかどう
かを見ている。この二つの条件を共に満たしていれば、
Aiはビート位置であると判断する(S13,S1
4)。この条件を一つでも満たしていなければ、Aiは
誤検出であったと判断し、次のアタック位置Ai+1を入
力する(S1)。
ってアタック位置からビート位置を再配置する例を示す
図である。例えば、図5(a)に示すように、検出され
たアタック間隔ΔA[i]=15であるとし、同図(b)
に示すように、ビート間隔がそれまでの処理によってΔ
B=5と決定されていたとすると、ΔA[i]≧ΔBで、
且つΔA[i]=3・ΔBであるから、Ai-1+ΔB(=B
i1),Ai-1+2・ΔB(=Bi2)の位置が検出漏れの
あったビート位置候補と考える。このとき、図5(b)
(1)のように、それぞれのビート候補位置Ai-1+Δ
B,Ai-1+2・ΔBでのパワーP(Ai-1+ΔB),P
(Ai-1+2・ΔB)が全てパワーのしきい値Pthを超
えている場合、これらは共にビート位置として確定す
る。従って、得られるビート位置の系列はBi-1(=Ai
-1),Bi1,Bi2,Bi(=Ai)となる。また、図5
(b)(2)では、ビート候補位置Bi1のパワーだけが
しきい値Pthを超えており、ビート候補位置Bi2のパワ
ーはしきい値Pthを下回っている。この場合には、ビー
ト位置の系列はBi-1(=Ai-1),Bi1,Bi(=Ai)
となる。更に、図5(b)(3)では、ビート候補位置
Bi1,Bi2のパワーがいずれもしきい値Pthを下回って
いるので、この場合には、ビート位置の系列は、Bi-1
(=Ai-1),Bi(=Ai)となる。
B=30であるとすると、ΔA[i]<ΔBで、且つΔA
[i]=(1/2)・ΔBであるから、ΔAiはビート候補
位置である。ここで同図(c)(1)のように、アタッ
ク位置AiでのパワーP(Ai)がしきい値Patkを超え
ている場合、これは重要なアタック位置、すなわちビー
ト位置であると判断される。この場合に得られるビート
位置の系列はBi-1(=Ai-1),Bi(=Ai)となる。
逆に同図(c)(2)に示すように、AiでのパワーP
(Ai)がパワーPatkを下回るときには、Aiはそれほ
ど重要なアタック要素ではないとみなされて、ビート候
補から外れ、却下される。
B=12又はΔB=18等に決定されているとすると、
ΔBの整数倍及び整数分の1は、いずれもΔA[i]の近
傍の値とはならないので、新たにビート位置が挿入され
ることもなく、アタック位置Aiは却下される。
く補正されたビート位置となる。図6は、音楽信号に対
してアタック位置検出のみを行った場合の検出位置と、
ビート位置検出処理を追加した場合の検出位置とを比較
した図である。図6(a)では、アタック位置検出のみ
では検出できなかったビートをビート位置検出を行うこ
とによって検出できる例を示している。これにより、ア
タック検出のみでは二度打ち/抜けが発生していた箇所
が保持されたまま処理することができる。また、図6
(b)では、アタック検出のみの場合には、ビート成分
以外の部分でもアタック位置を検出してしまうのを、ビ
ート位置検出を併用することで、そのような過剰検出を
抑制することができることを示している。これにより、
圧伸処理の増加による音質劣化や計算量の増加を抑える
ことができる。
の時間軸圧伸処理部3における圧伸方式について説明す
る。時間軸圧伸方式としては、カット・アンド・スプラ
イス法、ポインタ移動量制御による重複加算法、リバー
ブ、ディザ、ループの繰り返し等、種々の方法を適用す
ることができるが、ここでは、一例としてポインタ移動
量制御による重複加算法による圧伸方式について説明す
る。
明するための図であり、図7は圧縮処理、図8は伸長処
理をそれぞれ示している。まず、同図(a)に示すよう
に、原オーディオデータの時間軸方向の隣接波形区間の
類似性判定処理を行って基本周期Lpを抽出する。具体
的には、区間長の初期値を最小値Lminに設定して隣接
する区間長Lminの波形の類似度を判定する。これを区
間長が最大値Lmaxとなるまで繰り返し、最も類似して
いると判定された区間長を、同図(b)のように基本周
期Lpと決定する。次に、決定された基本周期Lpの隣
接する2つの波形に、同図(c)に示すような窓関数を
掛けて、これらを同図(d),(e),(f)に示すよ
うに重ね合わせる。図7(f)のように、重ね合わせた
波形を2つの基本周期の波形と置き換えれば時間軸圧縮
となり、図8(f)のように、重ね合わせた波形を2つ
の基本周期の波形の間に挿入すれば時間軸伸長となる。
フローチャートである。入力信号x(t)は、必要な量がま
ず遅延バッファ11に格納される(S21)。このバッ
ファ11は、最低でも2×Lmaxサンプルの容量が必要
である。次に、類似性判定のための区間長Lpの初期値
として最小値Lminが与えられ、類似度Sとして最大値
Smaxが与えられる(S22)。そして類似度Sが計算
されると共に(S23)、区間長Lpを1つずつ増やし
て(S24)、Lpが最大値Lmaxに達するまで、類似
度Sを計算して(S25,S23)、最も類似性の高か
った区間長Lpを求める(S23)。ここで図7及び図
8を参照して明らかなように、類似性判定は、現在点T
0からT0+Lp−1間での区間の波形Wave Aと、T0+
LpからT0+2Lpまでの区間の波形Wave Bとの類似
度演算となる。いま、これら区間の対応する各時間軸方
向の位置をtx,tx+Lpとすると、類似度Sは、下記
数3のように二乗誤差によって求めることができる。
高いことを示すことになる。勿論、これは一例であっ
て、このような二乗誤差の他に、誤差の絶対値和や自己
相関関数を用いることもできる。
ト位置間の区間の前端部分(ビート位置)及び後端部分
(次のビート位置の直前の区間)の信号は、そのままと
し、その中間部分の信号を時間軸圧伸処理する。時間軸
圧伸処理は、その両端において、時間軸圧伸されない信
号と滑らかに結合されるように行う。最も目立つビート
の部分の波形は、そのまま維持されるので、本来の音に
近い音が得られる。
する時間軸圧伸処理では、処理はビート位置間で完結
し、その前後の信号は一切用いないことが重要である。
しかも、前述のように、時間軸圧伸処理された信号と時
間軸圧伸処理されない信号とを滑らかに接続しなければ
ならない。この場合、時間軸圧伸処理をポインタ移動量
制御による重複加算法によって行うと、必ず処理しきれ
ない部分が発生する。特に時間軸圧伸率が100%に近
い部分では、この部分が非常に長くなる。
った部分をビート位置間の後端部分からクロスフェード
に必要な分のデータを取り出し、一部をクロスフェード
して時間的な辻褄を合わせる処理を示している。図12
は、時間軸伸長におけるクロスフェード時に、データが
足りない場合に、一部のデータを繰り返して伸長を行っ
ている様子を示している。これはポインタ移動量が大き
すぎて全く処理できない場合等に有効である。
ので、伸長時と同様に、処理しきれなかった部分をクロ
スフェードで時間軸圧縮している。圧縮時にはデータが
不足することはあり得ないので、全てビート位置間の後
端部分から必要なデータを取り出し、クロスフェードす
ればよい。
について説明したが、処理すべき音楽信号がステレオ信
号である場合には、L,Rのそれぞれのチャネルの信号
に対して独立に処理を行うと、ステレオ再生した場合
に、定位感が広がってしまうことがある。これは、上述
した時間軸圧伸を行った際、左右チャネル間でクロスフ
ェードポイントがずれることにより、位相が変化してし
まうため定位感が大きく損なわれるものと推測される。
そこで、例えば図14に示すように、加算器21によっ
てL+Rの和信号を得、この和信号に対してアタック位
置検出部22にてアタック位置の検出を行う。その後、
和信号から得られたアタック位置をもとに、ビート位置
検出部23でビートの再配置を行う。更に、時間軸圧伸
の際、圧伸処理を行う位置を決定する圧伸位置評価部2
4の評価関数にも左右の和信号を用いた上で、各チャネ
ルを個別に処理する圧伸制御部25,26を設けるよう
にすれば、ビート位置および圧伸処理が左右同じにな
り、入力信号と同じ定位を保ったまま出力できる。
等のパルシブな楽器によって生成されていると仮定した
場合の処理例を示した。しかし、ビート検出の手法は、
上述したものに限定されるものではなく、例えば次のよ
うな手法にて求めるようにしても良い。即ち、まず入力
オーディオ信号に対して周波数解析を行い、各周波数毎
の発音時刻を求め、各周波数毎の発音時刻をベクトル化
する。次に、過去に得られた発音時刻ベクトルからビー
ト間隔を求め、次のビート時刻の予測とビートタイプの
判定を行う。その際、コード変化情報を使用して音楽的
に判定する。コード変化情報は、例えば四分音符レベル
でのコード変化度と、八分音符レベルでのコード変化度
とからなる。前者は、各四分音符の位置でコードがどれ
ぐらい変化した可能性があるか、後者は八分音符の位置
でコードがどれぐらい変化した可能性があるかを示す。
得られるビート情報は、ビート時刻、ビートタイプ及び
現在のテンポからなる。これらの情報を用いて時間軸圧
伸処理を行うようにしても良い。この場合には、ビート
がパルシブな楽器によって生成されたものでなくても、
ビートの位置を正しく検出することができる。
音楽信号のアタック位置を検出したのち、ビート位置を
検出してアタックの検出漏れや過剰検出を補正し、検出
されたビート位置間で時間軸圧伸処理を施すようにして
いるので、二度打ちが発生することはなく、ビート位置
の間隔も圧伸率に応じて圧縮又は伸長されることにな
り、これにより圧伸処理前後のビート位置の相対関係は
完全に維持されるので、リズムの狂いが発生するような
こともないという効果を奏する。
圧伸装置のブロック図である。
すブロック図である。
説明するための図である。
すフローチャートである。
るための図である。
正例を示す図である。
である。
である。
ートである。
伸長処理前後の信号を示す波形図である。
するための図である。
するための図である。
するための図である。
伸装置のブロック図である。
検出部、3,25,26…時間軸圧伸処理部、11…遅
延バッファ、12…隣接波形読出部、13…類似度演算
部、14…制御部、15…波形読出制御部、16…波形
窓掛け・加算部、17…圧伸率制御部、18…出力バッ
ファ、24…圧伸位置評価部。
Claims (10)
- 【請求項1】 時間軸圧伸処理すべき音楽信号からアタ
ック位置を検出したのち、この検出されたアタック位置
に基づいてビート位置を検出し、この検出されたビート
位置の間の音楽信号に対して時間軸圧伸処理を施すよう
にしたことを特徴とする音楽信号の時間軸圧伸方法。 - 【請求項2】 過去に検出されたアタック位置の間隔の
系列に基づいてビート間隔を決定し、検出されたアタッ
ク位置の間隔と前記決定されたビート間隔とに基づい
て、アタック位置の検出漏れ補正又は過剰検出補正を行
ってビート位置を検出することを特徴とする請求項1記
載の音楽信号の時間軸圧伸方法。 - 【請求項3】 前記検出されたアタック位置とその1つ
前のアタック位置との間隔が前記ビート間隔の整数倍で
且つ前記1つ前のアタック位置から前記検出されたアタ
ック位置まで前記ビート間隔ずつ進んだ位置の音楽信号
のパワーが所定値を超えている場合には、その位置をビ
ート位置とすることを特徴とする請求項2記載の音楽信
号の時間軸圧伸方法。 - 【請求項4】 前記検出されたアタック位置とその1つ
前のアタック位置との間隔が前記ビート間隔の整数分の
1倍で且つ前記検出されたアタック位置の音楽信号のパ
ワーが所定値を超えている場合には、その位置をビート
位置とし、そうでない場合には誤検出としてビート位置
としないことを特徴とする請求項2記載の音楽信号の時
間軸圧伸方法。 - 【請求項5】 前記音楽信号のうち、前記検出されたビ
ート位置とその近傍とを除いた部分について時間軸圧伸
処理を行い、この時間軸圧伸処理された信号の両端を時
間軸圧伸処理されない信号と滑らかに結合するようにし
たことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
音楽信号の時間軸圧伸方法。 - 【請求項6】 時間軸圧伸処理すべき音楽信号からアタ
ック位置を検出するアタック位置検出手段と、 このアタック位置検出手段で検出されたアタック位置に
基づいてビート位置を検出するビート位置検出手段と、 このビート位置検出手段で検出されたビート位置間の音
楽信号をピッチを変えずに予め指定された圧伸率で時間
軸圧伸処理する時間軸圧伸処理手段とを備えたことを特
徴とする音楽信号の時間軸圧伸装置。 - 【請求項7】 前記ビート位置検出手段は、過去に検出
されたアタック位置の間隔の系列に基づいてビート間隔
を決定し、検出されたアタック位置の間隔と前記決定さ
れたビート間隔とに基づいて、アタック位置の検出漏れ
補正又は過剰検出補正を行ってビート位置を検出するも
のであることを特徴とする請求項6記載の音楽信号の時
間軸圧伸装置。 - 【請求項8】 前記ビート位置検出手段は、前記検出さ
れたアタック位置とその1つ前のアタック位置との間隔
が前記ビート間隔の整数倍で且つ前記1つ前のアタック
位置から前記検出されたアタック位置まで前記ビート間
隔ずつ進んだ位置の音楽信号のパワーが所定値を超えて
いる場合には、その位置をビート位置とするものである
ことを特徴とする請求項7記載の音楽信号の時間軸圧伸
装置。 - 【請求項9】 前記ビート位置検出手段は、前記検出さ
れたアタック位置とその1つ前のアタック位置との間隔
が前記ビート間隔の整数分の1倍で且つ前記検出された
アタック位置の音楽信号のパワーが所定値を超えている
場合には、その位置をビート位置とし、そうでない場合
には誤検出としてビート位置としないことを特徴とする
請求項7記載の音楽信号の時間軸圧伸装置。 - 【請求項10】 前記時間軸圧伸処理手段は、前記音楽
信号のうち、前記検出されたアタック位置とその近傍と
を除いた部分について時間軸圧伸処理を施し、この時間
軸圧伸処理された信号の両端を時間軸圧伸処理されない
信号と滑らかに結合するものであることを特徴とする請
求項6〜9のいずれか1項記載の音楽信号の時間軸圧伸
装置。
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