JP2002005792A - 噛合い機構の歯の片当り率の解析方法 - Google Patents

噛合い機構の歯の片当り率の解析方法

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JP2002005792A JP2000192201A JP2000192201A JP2002005792A JP 2002005792 A JP2002005792 A JP 2002005792A JP 2000192201 A JP2000192201 A JP 2000192201A JP 2000192201 A JP2000192201 A JP 2000192201A JP 2002005792 A JP2002005792 A JP 2002005792A
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Atsushi Sakai
淳 酒井
Takuya Okada
拓也 岡田
Shigeo Morii
茂夫 森井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際に製造された製品の形状寸法検査結果を
用い、簡単に高精度な歯の片当り率を定め、材料強度の
確率分布を考慮した噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法を提供すること。 【解決手段】 複数の噛合い要素についてのある噛み合
わせ状態の歯の片当り率を求めることを繰り返してこれ
ら噛合い要素を用いる噛合い機構の歯の片当り率の確率
分布を求め、この片当り率の確率分布とモンテカル
ロ法とを用いて噛合い機構の噛合い要素の応力を算出
し、この応力が加わる場合の寿命を、当該噛合い要素の
材料についての材料強度分布とモンテカルロ法とを用
いて求めることを繰り返して計算寿命分布を求め、こ
の計算寿命分布による所定の寿命確率から逆算して材
料強度分布を考慮した新たな片当り率を定めるようにす
る。これにより、最悪の場合の値よりも現実的な材料強
度の影響を考慮した片当り率の値を定めることができる
ようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、噛合い機構の歯
の片当り率の解析方法に関し、スプラインなどの噛合い
機構の寸法検査結果を用い、複雑な解析を行うこと無く
歯の片当り率を容易に定めることができ、特に、スプラ
インなどの噛合い要素に用いる材料強度の確率分布を考
慮して精度良く定めることができるようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】動力伝達を行う機構の一つに噛合い機構
があり、例えば動力伝達を行う軸と穴の結合のために用
いられるスプライン機構があり、噛合い要素としてスプ
ラインが用いられる。
【0003】このような動力伝達を伴う噛合い機構の一
つであるスプライン機構では、噛合い要素としてのスプ
ラインの軸と穴とを噛み合わせた場合に製造公差のため
全ての歯に均等に荷重がかかることはなく、通常、片当
りを起こした状態でスプラインの軸と穴とが噛み合うこ
とになる。
【0004】そこで、スプラインの設計や寿命の検討の
ために歯の片当りの度合いを表わす片当り率(PEAKING
FACTOR)を用いることが行われている。
【0005】この歯の片当り率は、スプラインの軸と穴
とを噛み合わせた場合において、1つの歯に作用する平
均荷重に対する、最大荷重を受ける歯に作用する荷重の
比であり、平均荷重は理想状態のスプラインの1つの歯
に作用する荷重を表すものである。
【0006】このような歯の片当り率は有限要素法を用
いることで求めることができるものの、スプラインの歯
の形状、軸の振れ、歯の位置、ピッチ円の楕円化などの
様々な不確定要素があり、実際には解析的な解を得るこ
とは難しく、しかも1回の解析では、スプラインの軸と
穴との1つの噛み合い状態の値しか求めることができな
い。
【0007】例えば、あるターボファンエンジンの中間
ファン軸MFSとフロントファン軸FFSとのスプライ
ンでは、64個の歯で構成される場合があり、1組の中
間ファン軸MFSとフロントファン軸FFSとの間でも
64通りの噛み合わせの組み合わせがあり、別々に製造
される多数の中間ファン軸MFSと多数のフロントファ
ン軸FFSとの中から任意に選定されるスプラインの組
み合わせは膨大な数になってしまう。
【0008】一方、スプラインの設計や寿命の検討のた
めに用いる歯の片当り率(PEAKINGFACTOR)としては、
製造される公差内の全ての中間ファン軸MFSとフロン
トファン軸FFSのスプラインがどのように噛み合わさ
れても絶対にそれ以上大きくならないと考えられる値
(歯の片当り率(PEAKING FACTOR))を使用しておく必
要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、スプライン
の設計や寿命の検討のために必要な歯の片当り率(PEAK
ING FACTOR)を予め有限要素法を用いて解析的に求めて
その最大値を設定することは、不確定要素が多く、しか
も天文学的な回数の解析が必要となるため不可能であ
り、通常は経験的に十分大きな歯の片当り率(PEAKING
FACTOR)を設定している。
【0010】このため実際に製造されるスプラインの歯
の片当り率と経験的に設定した歯の片当り率の間にずれ
が生じてしまうという問題がある。
【0011】また、スプラインなどの噛合い機構の寿命
解析を行う場合には、使用材料の材料強度が必要とな
り、通常は最も材料強度の低い値と、最も大きな片当り
率とを用いて解析しているが、このような最悪の条件が
重なる確率は極めて低く、実際の寿命との間に大きなず
れが生じてしまうという問題がある。
【0012】この発明は、かかる従来技術の現状に鑑み
てなされたもので、実際に製造された製品の形状寸法検
査結果を用い、簡単に高精度な歯の片当り率を定めるこ
とができるとともに、噛合い要素に用いる材料強度の確
率分布を考慮して精度良く歯の片当り率を定めることが
できる噛合い機構の歯の片当り率の解析方法を提供しよ
うとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】噛合い機構の歯の片当り
率について鋭意検討を重ねたところ、理想的な噛み合い
状態では、隣接するそれぞれの歯には一定の間隙(以
下、ギャップとする)が形成されるのに対し、通常の噛
み合い状態では、1つの歯と隣接する歯のギャップに変
化が生じることに基づき片当りが生じると考えられるこ
とから、ある噛み合わせ状態における隣接する歯のギャ
ップの和のうち最大の値を求め、このギャップの和の最
大値が生じる噛合い状態に対して演算で歯の片当り率を
求めたところ、これらの間に相関関係を見出だすことが
できた。
【0014】そこで、噛合い状態の1つ1つに対して歯
の片当り率を解析的に求めること無く、噛合い機構の形
状寸法検査結果を用いて、あらゆる噛合い状態での隣り
合う歯との間のギャップの和のうち最大の値を求め、こ
の値を予め得られた相関関係に適用することで、噛合い
機構の歯の片当り率を得ることができ、この歯の片当り
率には確率分布があり、また、寿命解析に必要な材料強
度にも確率分布があって、片当り率と材料強度との両方
が最悪の値となることがほとんどないことから、これら
を考慮して計算で寿命の確率分布を求め、この寿命の確
率分布から逆算して使用すべき歯の片当り率を定めるこ
とがより現実的であることに基づき、この発明を完成し
たものである。
【0015】すなわち、上記課題を解決するこの発明の
請求項1記載の噛合い機構の歯の片当り率の解析方法
は、複数の歯どうしを互いに噛み合わせて荷重を伝達す
る噛合い要素を備えた噛合い機構の歯の片当り率を定め
るに際し、複数の前記噛合い要素についてのある噛み合
わせ状態の歯の片当り率を求めることを繰り返してこれ
ら噛合い要素を用いる噛合い機構の歯の片当り率の確率
分布を求める一方、この片当り率の確率分布とモンテカ
ルロ法とを用いて当該噛合い機構の噛合い要素の応力を
算出し、この応力と当該噛合い要素の材料についての材
料強度分布とモンテカルロ法とを用いて寿命を求めるこ
とを繰り返して計算寿命分布を求め、この計算寿命によ
る所定の寿命確率から逆算して材料強度分布を考慮した
新たな片当り率を定めるようにしたことを特徴とするも
のである。
【0016】この噛合い機構の歯の片当り率の解析方法
によれば、複数の噛合い要素についてのある噛み合わせ
状態の歯の片当り率を求めることを繰り返してこれら噛
合い要素を用いる噛合い機構の歯の片当り率の確率分布
を求め、この片当り率の確率分布とモンテカルロ法とを
用いて噛合い機構の噛合い要素の応力を算出し、この応
力が加わる場合の寿命を、当該噛合い要素の材料につい
ての材料強度分布とモンテカルロ法とを用いて求めるこ
とを繰り返して計算寿命分布を求め、この計算寿命分布
による所定の寿命確率から逆算して材料強度分布を考慮
した新たな片当り率を定めるようにしており、歯の片当
り率の確率分布と材料強度の確率分布とを用いるモンテ
カルロ法によるシュミレーション結果から得られる計算
寿命分布から逆算した片当り率を用いることで、最悪の
場合の値よりも現実的な材料強度の影響を考慮した片当
り率の値を定めることができるようになる。
【0017】また、この発明の請求項2記載の噛合い機
構の歯の片当り率の解析方法は、請求項1記載の構成に
加え、前記噛合い機構の歯の片当り率の確率分布を、互
いに噛み合う歯の形状寸法検査結果に基づき、ある噛み
合わせ状態における隣り合う歯との間のギャップの和の
うち最大値を算出し、このギャップの和の最大値が生じ
る噛合わせ状態での歯の片当り率を演算で求めることを
繰り返して求めるようにしたことを特徴とするものであ
る。
【0018】この噛合い機構の歯の片当り率の解析方法
によれば、噛合い機構の歯の片当り率の確率分布を、互
いに噛み合う歯の形状寸法検査結果に基づき、ある噛み
合わせ状態における隣り合う歯のギャップの和のうち最
大値を算出し、このギャップの和の最大値が生じる噛合
わせ状態での歯の片当り率を演算で求めることを繰り返
して求めるようにしており、ギャップの和の最大値が生
じる噛合わせ状態から噛合い機構の歯の片当り率を定め
ることで、あらゆる場合を想定すること無く、設計など
に必要な値を定めることができるようになる。
【0019】さらに、この発明の請求項3記載の噛合い
機構の歯の片当り率の解析方法は、請求項1または2記
載の構成に加え、前記計算寿命による所定の寿命確率を
正規分布の−3σ値として新たな片当り率を定めること
を特徴とするものである。
【0020】この噛合い機構の歯の片当り率の解析方法
によれば、前記計算寿命による所定の寿命確率を正規分
布の−3σ値として新たな片当り率を定めるようにして
おり、寿命確率として、正規分布の−3σ値を用いるこ
とで十分な信頼性の新たな片当り率を定めることができ
るようになる。
【0021】また、この発明の請求項4記載の噛合い機
構の歯の片当り率の解析方法は、請求項1〜3のいずれ
かに記載の構成に加え、前記逆算する材料強度分布の確
率を正規分布の−3σ値として新たな片当り率を定める
ことを特徴とするものである。
【0022】この噛合い機構の歯の片当り率の解析方法
によれば、前記逆算に用いる材料強度分布の確率を正規
分布の−3σ値として新たな片当り率を定めるようにし
ており、計算寿命からの逆算に用いる材料強度分布の確
率を正規分布の−3σ値とすることで、十分な信頼性の
新たな片当り率を定めることができるようになる。
【0023】さらに、この発明の請求項5記載の噛合い
機構の歯の片当り率の解析方法は、請求項1〜4のいず
れかに記載の構成に加え、前記噛合い機構の歯の片当り
率の確率分布を、1組の噛合い要素に対するあらゆる噛
合わせ状態について前記ギャップの和の最大値を算出
し、この最大値とその噛合い状態での歯の最大荷重との
相関関係を求め、この相関関係からある噛み合い状態で
の当該噛合い機構での歯の片当り率を定めることを特徴
とするものである。
【0024】この噛合い機構の歯の片当り率の解析方法
によれば、噛合い機構の歯の片当り率の確率分布を、各
1組の噛合い要素に対するあらゆる噛合わせ状態につい
て前記ギャップの和の最大値を算出し、この最大値とそ
の噛合い状態での歯の最大荷重との相関関係を求め、こ
の相関関係からある噛み合い状態での当該噛合い機構で
の歯の片当り率を定めるようにしており、噛合い機構の
ギャップの和の最大値を算出したのち、この最大値から
相関関係を用いて噛合い状態での歯の最大荷重を求める
ことができ、これから噛合い機構の歯の片当り率を定め
ることができるようになる。
【0025】これらにより、噛合い機構の設計に用いた
歯の片当り率をより現実的な値に修正したり、噛合い機
構の寿命の算出に用いる歯の片当り率をより現実的な値
に修正することで高精度な設計や寿命計算ができるよう
になる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態に
ついて図面を参照しながら詳細に説明する。この噛合い
機構の歯の片当り率の解析方法では、噛合い機構として
スプライン軸と穴とを噛み合わせるスプラインの場合を
例に説明する。
【0027】スプラインを構成するスプライン軸(雄)
と穴(雌)とを無負荷状態で噛み合わせた場合には、理
想状態であれば全ての歯が隙間無く接触して片当りを生
じない状態となるのに対し、実際には片当りが生じるた
め、ある1組の歯が接触した状態で全ての歯が隙間無く
接触することはなく隙間が生じている歯がほとんどとな
る。
【0028】そこで、スプライン軸(雄)と穴(雌)と
の隙間の状態、すなわち各歯のギャップを調べようとす
ると、スプライン軸と穴との形状寸法検査結果があれ
ば、比較的容易に求めることができ、例えばスプライン
が64枚の歯で構成される場合には、64通りの噛合わ
せ状態があるものの、それぞれの噛合わせ状態での各歯
のギャップを求めることは可能となる。
【0029】一方、このギャップと歯の片当り率との関
係を考察すると、ある歯が噛合っているとき、隣接する
両側の歯のギャップが大きければ大きい程、噛み合って
いる歯に荷重が集中して片当り状態になることから、図
1に示すように、片当り状態を表わす値としてある噛合
い状態における隣り合う歯との間のピッチ円上でのギャ
ップの和を用い、これをギャップデルタ(Gap Delta )
とすると、次式で表わすことができる。
【0030】Gap Delta =(Gap 2−Gap 1)+(Gap
3−Gap 1)=(A+B) ここで、Gap 1:ある噛み合い状態の歯の間のピッチ円
上でのギャップ、 Gap 2:隣り合う一方の歯の間のピッチ円上でのギャッ
プ、 Gap 3:隣り合う他方の歯の間のピッチ円上でのギャッ
プである。
【0031】そして、ある噛合わせ状態におけるこのギ
ャップデルタの最大値をマックスギャップデルタ(Max
Gap Delta )とすると、このギャップデルタの最大値と
なる歯に最も荷重が集中すると考えられる。
【0032】このような歯のギャップをスプライン軸と
穴との形状寸法検査結果に基づいて表示した一例が図2
であり、図中、9番目の歯と隣接する8番目および10
番目の歯との間のギャップデルタA,Bが最大値のマッ
クスギャップデルタ(Max Gap Delta )となる。なお、
図中、歯のギャップがマイナスの値となっているもの
は、実際には噛み合わせることができるものの、表示
上、食い込んだ状態となることを示すものである。
【0033】このようにスプラインを構成するスプライ
ン軸と穴との形状寸法検査結果があれば、これに基づき
ギャップデルタを求めることができるとともに、その最
大値であるマックスギャップデルタを求めることができ
る。
【0034】そこで、18本のスプライン軸MFSと9
本のスプライン穴FFSとの形状寸法検査結果からそれ
ぞれのスプライン軸と穴とを任意に組み合わせた場合に
それぞれ64通りの噛み合わせ状態が生じるがその中で
マックスギャップデルタとなる場合の値を求めたものが
表1である。
【0035】
【表 1】
【0036】次に、このような、ある噛合い状態におけ
る隣り合う歯との間のピッチ円上でのギャップの和が最
大のマックスギャップデルタ(Max Gap Delta )となる
状態において、各歯の円周方向に加わる荷重を有限要素
法により求めてみた。
【0037】この有限要素法による解析では、図3〜図
5に示すように、スプライン軸MFSとスプライン穴F
FSをモデル化するとともに、境界条件を定めて解析を
行った。
【0038】このような有限要素法による各歯に加わる
荷重を求めたものの一例が図6であり、このスプライン
の組み合わせは、既に説明したギャップデルタを示した
図2に対応したものである。
【0039】これらスプラインの歯のギャップデルタと
各歯に加わる荷重を比較すると、マックスギャップデル
タとなる歯の荷重が最大となっていることが分かる。
【0040】そして、この場合のスプラインでの歯の片
当り率(PEAKING FACTOR)を求めると、1.684とな
る。
【0041】同様にして、表1に示した任意の組み合わ
せのマックギャップデルタに対する各歯に加わる荷重を
有限要素法で求め、その結果から歯の片当り率(PEAKIN
G FACTOR)を求めたものが表2である。
【0042】
【表 2】
【0043】また、これらのマックスギャップデルタと
歯に加わる最大荷重(GAP FORCE )との関係および歯の
片当り率(PEAKING FACTOR)を図示したものが図7であ
る。
【0044】同図から明らかなように、マックスギャッ
プデルタと対応する歯の荷重との間には、相関関係があ
り、次の1次式で表わすことができることが分かる。
【0045】y=24719x+851.2 ここで、y:歯に加わる最大荷重、 x:マックスギャップデルタである。
【0046】以上のように、スプラインにおいては、形
状寸法検査結果から求められる、ある噛み合い状態にお
ける隣接する歯との隙間の和の最大値であるマックスギ
ャップデルタとその歯に加わる最大荷重との間に相関関
係があることが分かり、1次式で表わすことができる。
【0047】したがって、スプラインのスプライン軸と
穴とのあらゆる組み合わせにおける歯に加わる最大荷重
を有限要素法による解析で求めること無く、スプライン
軸と穴の形状寸法検査結果からマックスギャップデルタ
を求め、予め求めた1次式にこのマックスギャップデル
タの値xを代入することでその歯に加わる最大荷重yを
求めることができる。
【0048】これにより、各歯の平均荷重に対する最大
荷重の比である歯の片当り率(PEAKING FACTOR)を簡単
に求めることができる。
【0049】また、噛合い機構の歯の片当り率には、確
率分布が見られ、これまでは、噛合い機構の歯の片当り
率を定める場合に、歯の片当り率が最悪となる場合(形
状寸法検査結果から得られるマックスギャップデルタが
最大(最悪)となる場合)の値を用いてスプラインのL
CF寿命計算などを行ってきたが、このような最悪の組
み合わせとなる可能性は極めて低いと考えられる。
【0050】一方、スプラインの寿命の計算には、使用
材料の材料強度のデータが必要になるが、この材料強度
のデータを用いる場合にも、これまでは最悪となる値を
用いてきた。
【0051】しかし、片当り率と材料強度との両方が最
悪の値となることは極めて少ないと考えられることか
ら、これらを考慮して計算で寿命の確率分布を求め、こ
の寿命の確率分布から逆算して使用すべき新たな歯の片
当り率を定めることがより現実的である。
【0052】そこで、片当り率の確率分布と材料強度の
確率分布との影響を考慮した噛合い機構の歯の新たな片
当り率について検討を行うため、モンテカルロ法による
数値実験を行った。
【0053】() まず、このモンテカルロ法による
数値実験では、図8に示すように、片当り率(PEAKING
FACTOR)の確率分布と乱数発生により、1つの片当り率
CPFの値を定める。そして、この片当り率CPFに基
づき、スプラインの歯に加わる応力(最大応力)を求め
る。このスプラインに発生する応力の計算には、歯に加
わる最大荷重の算出に用いたと同様の有限要素法を用い
た。こうして乱数発生により定めた片当り率CPFと計
算で求めた応力値Saltを示したものが表3である。
【0054】
【表 3】
【0055】() こうして応力が求められると、材
料強度からその寿命が求まる。この材料強度のデータ
は、材料試験の結果を用いるもので、多くの試験結果か
ら確率分布を持つデータが得られ、ここではスプライン
と同一材料のデータと乱数発生により材料強度を定め、
計算寿命を求めた。この寿命の計算結果が表 中のLo
g(Salt)として示してある。
【0056】() このような1つの片当り率に対し
て応力が求まり、1つの材料強度によって1つの計算寿
命が求まる。
【0057】() このような計算寿命の算出を繰り
返し、例えば上記()〜()を10000回繰り返
すことで、計算寿命分布を得ることができる。
【0058】こうして10000回の繰り返しで得られ
た計算寿命の一例を図示したものが図9である。
【0059】この計算寿命の確率分布から平均寿命Lo
g(AvgLife)や−3σ値Log(AvgLif
e−3s)を求めることができ、例えば平均寿命Log
(AvgLife)が4.99、−3σ値Log(Av
gLife−3s)が4.27となる。
【0060】() この計算寿命の確率分布から現実
的に最も厳しい値として−3σ値を用いるとともに、材
料強度の確率分布からも現実的に最も厳しい値として−
3σ値を用い、対応する応力に換算する。
【0061】() こうして求めた応力から、この応
力が作用する片当り率CPFを逆算する。
【0062】すると、新たな片当り率CPFが求めら
れ、計算寿命分布の確率が−3σ値で、材料強度の確率
分布も−3σ値の場合の値となり、材料強度を考慮した
新たな片当り率(PEAKING FACTOR)を定めることができ
る。
【0063】したがって、この新たな片当り率を用いる
ことで一層現実的な信頼性の高い寿命を求めることがで
きる。
【0064】なお、上記実施の形態では、64枚の歯を
備えたスプラインを噛合い機構の一例として挙げて説明
したが、これに限らず他の噛合い機構にも同様に適用す
ることができる。
【0065】また、マックスギャップデルタとその歯に
加わる最大荷重の相関関係は、機種が変われば異なる関
係となることは言うまでもなく、このような場合でも形
状寸法検査結果からマックスギャップデルタを求め、こ
れに対する歯の最大荷重を有限要素法により相関関係を
見出だすことができる個数を予め求めることで、それ以
降はマックスギャップデルタを求めて相関関係に適用す
るだけで必要な歯の片当り率を求めることができる。
【0066】
【発明の効果】以上、一実施の形態とともに詳細に説明
したように、この発明の請求項1記載の噛合い機構の歯
の片当り率の解析方法によれば、複数の噛合い要素につ
いてのある噛み合わせ状態の歯の片当り率を求めること
を繰り返してこれら噛合い要素を用いる噛合い機構の歯
の片当り率の確率分布を求め、この片当り率の確率分布
とモンテカルロ法とを用いて噛合い機構の噛合い要素の
応力を算出し、この応力が加わる場合の寿命を、当該噛
合い要素の材料についての材料強度分布とモンテカルロ
法とを用いて求めることを繰り返して計算寿命分布を求
め、この計算寿命分布による所定の寿命確率から逆算し
て材料強度分布を考慮した新たな片当り率を定めるよう
にしたので、歯の片当り率の確率分布と材料強度の確率
分布とを用いるモンテカルロ法によるシュミレーション
結果から得られる計算寿命分布から逆算した片当り率を
用いることで、最悪の場合の値よりも現実的な材料強度
の影響を考慮した片当り率の値を定めることができる。
【0067】また、この発明の請求項2記載の噛合い機
構の歯の片当り率の解析方法によれば、噛合い機構の歯
の片当り率の確率分布を、互いに噛み合う歯の形状寸法
検査結果に基づき、ある噛み合わせ状態における隣り合
う歯のギャップの和のうち最大値を算出し、このギャッ
プの和の最大値が生じる噛合わせ状態での歯の片当り率
を演算で求めることを繰り返して求めるようにしたの
で、ギャップの和の最大値が生じる噛合わせ状態から噛
合い機構の歯の片当り率を定めることで、あらゆる場合
を想定すること無く、設計などに必要な噛合い機構の歯
の片当り率の値を定めることができる。
【0068】さらに、この発明の請求項3記載の噛合い
機構の歯の片当り率の解析方法によれば、前記計算寿命
による所定の寿命確率を正規分布の−3σ値として新た
な片当り率を定めるようにしたので、寿命確率として、
正規分布の−3σ値を用いることで十分な信頼性の新た
な片当り率を定めることができる。
【0069】また、この発明の請求項4記載の噛合い機
構の歯の片当り率の解析方法によれば、前記逆算に用い
る材料強度分布の確率を正規分布の−3σ値として新た
な片当り率を定めるようにしたので、計算寿命からの逆
算に用いる材料強度分布の確率を正規分布の−3σ値と
することで、十分な信頼性の新たな片当り率を定めるこ
とができる。
【0070】さらに、この発明の請求項5記載の噛合い
機構の歯の片当り率の解析方法によれば、噛合い機構の
歯の片当り率の確率分布を、各1組の噛合い要素に対す
るあらゆる噛合わせ状態について前記ギャップの和の最
大値を算出し、この最大値とその噛合い状態での歯の最
大荷重との相関関係を求め、この相関関係からある噛み
合い状態での当該噛合い機構での歯の片当り率を定める
ようにしたので、噛合い機構のギャップの和の最大値を
算出したのち、この最大値から相関関係を用いて噛合い
状態での歯の最大荷重を求めることができ、これから噛
合い機構の歯の片当り率を定めることができる。
【0071】これらにより、噛合い機構の設計に用いた
歯の片当り率をより現実的な値に修正したり、噛合い機
構の寿命の算出に用いる歯の片当り率をより現実的な値
に修正することで高精度な設計や寿命計算を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかるギャッ
プデルタの説明図である。
【図2】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかるギャッ
プデルタの測定結果の説明図である。
【図3】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかる有限要
素法によるモデル化の説明図である。
【図4】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかる有限要
素法によるモデル化の説明図である。
【図5】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかる有限要
素法によるモデル化の境界条件の説明図である。
【図6】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかる有限要
素法による解析結果の一例の説明図である。
【図7】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかるマック
スギャップデルタと歯に加わる最大荷重との相関関係の
説明図である。
【図8】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかる新たな
歯の片当り率を求める工程の説明図である。
【図9】この発明の噛合い機構の歯の片当り率の解析方
法をスプラインに適用した一実施の形態にかかる計算寿
命分布のモンテカルロ法による数値実験結果の説明図で
ある。
【符号の説明】
MFS スプライン軸 FFS スプライン穴 Gap ピッチ円上での隙間 CPF 歯の片当り率 TBO オーバーホール間隔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森井 茂夫 東京都田無市向台町三丁目5番1号 石川 島播磨重工業株式会社田無工場内 Fターム(参考) 2G024 AB20 BA04 BA07 BA12 CA11 FA06 5B046 AA00 JA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の歯どうしを互いに噛み合わせて荷
    重を伝達する噛合い要素を備えた噛合い機構の歯の片当
    り率を定めるに際し、 複数の前記噛合い要素についてのある噛み合わせ状態の
    歯の片当り率を求めることを繰り返してこれら噛合い要
    素を用いる噛合い機構の歯の片当り率の確率分布を求め
    る一方、この片当り率の確率分布とモンテカルロ法とを
    用いて当該噛合い機構の噛合い要素の応力を算出し、こ
    の応力と当該噛合い要素の材料についての材料強度分布
    とモンテカルロ法とを用いて寿命を求めることを繰り返
    して計算寿命分布を求め、この計算寿命による所定の寿
    命確率から逆算して材料強度分布を考慮した新たな片当
    り率を定めるようにしたことを特徴とする噛合い機構の
    歯の片当り率の解析方法。
  2. 【請求項2】 前記噛合い機構の歯の片当り率の確率分
    布を、互いに噛み合う歯の形状寸法検査結果に基づき、
    ある噛み合わせ状態における隣り合う歯との間のギャッ
    プの和のうち最大値を算出し、このギャップの和の最大
    値が生じる噛合わせ状態での歯の片当り率を演算で求め
    ることを繰り返して求めるようにしたことを特徴とする
    請求項1記載の噛合い機構の歯の片当り率の解析方法。
  3. 【請求項3】 前記計算寿命による所定の寿命確率を正
    規分布の−3σ値として新たな片当り率を定めることを
    特徴とする請求項1または2記載の噛合い機構の歯の片
    当り率の解析方法。
  4. 【請求項4】 前記逆算する材料強度分布の確率を正規
    分布の−3σ値として新たな片当り率を定めることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の噛合い機構の
    歯の片当り率の解析方法。
  5. 【請求項5】 前記噛合い機構の歯の片当り率の確率分
    布を、1組の噛合い要素に対するあらゆる噛み合わせ状
    態について前記ギャップの和の最大値を算出し、この最
    大値とその噛合い状態での歯の最大荷重との相関関係を
    求め、この相関関係からある噛み合い状態での当該噛合
    い機構での歯の片当り率を定めることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の噛合い機構の歯の片当り率
    の解析方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104568433A (zh) * 2015-01-19 2015-04-29 上海交通大学 一种齿轮间隙磨损判别方法
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CN112857675A (zh) * 2021-01-05 2021-05-28 航天科工空间工程发展有限公司 一种改标的密封元器件可靠性评价方法

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