JP2002000255A - 核酸抽出装置 - Google Patents

核酸抽出装置

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JP2002000255A
JP2002000255A JP2000187367A JP2000187367A JP2002000255A JP 2002000255 A JP2002000255 A JP 2002000255A JP 2000187367 A JP2000187367 A JP 2000187367A JP 2000187367 A JP2000187367 A JP 2000187367A JP 2002000255 A JP2002000255 A JP 2002000255A
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nucleic acid
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liquid
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JP2000187367A
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Masaharu Kiyama
政晴 木山
Takeshi Fujita
毅 藤田
Sakae Saito
栄 斉藤
Masayoshi Matsunami
正吉 松波
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動化装置によって大量かつ高純度の核酸を
得る。 【解決手段】 生体試料からの核酸抽出法として、膜状
にしたシリカゲルを内包する筒状抽出カラム11を利用
したシリカゲル抽出法を用いた。酵素処理した反応液を
シリカゲル膜14の上部に保持し、吐出口15を陰圧に
することで反応液をシリカゲル膜に通過させ、核酸をシ
リカゲルに吸着させて補集する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体試料から核酸
を抽出する生化学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、生体試料から核酸等の核酸を抽出
する操作方法には、Maniatisらの方法(モレキュラーク
ローニング第2版第9章16−19(1989年))に
あるようにフェノール・クロロフォルム抽出法が一般的
であったが、近年になって核酸が二酸化珪素(シリカゲ
ル)に特異的に吸着する性質を利用して核酸の抽出を行
う方法が開発された。ごく一般的な核酸の抽出方法であ
るフェノール・クロロフォルム抽出法について全血を例
に説明すると、全血に10倍量の水を与えると、血球細
胞の膜の内と外とで圧力差が生じ、血球が破裂して細胞
中の核が溶出する。蛋白質分解酵素を混ぜ至適活性温度
で反応することで、染色体、ヒストン等が酵素処理され
DNAが浮遊される。ここでフェノール・クロロフォル
ム溶媒を分注した後、良く混合し遠心分離操作を行う
と、有機溶媒層と水層とこの境界に蛋白質の層が分離さ
れる。核酸は水層に溶解しているので、水層を採取しエ
タノール沈殿法を行うことで、水層内のDNAを凝集し
て単離することができる。つまり生体試料からの核酸抽
出プロセスの大まかな流れは、細胞中の蛋白質の酵素処
理、蛋白質分解成分からの核酸の分離、核酸の精製から
なる。
【0003】ところで、生命科学分野の解明に従って人
或いは動植物の遺伝情報が明らかになりつつあり、これ
らの遺伝情報を医療あるいは産業、農業に活かそうと研
究開発が活発化している。取り分け医療に関しては、遺
伝病やウイルス性の病気に関するメカニズムの解明が進
んだ結果、PCR法を用いて目標とする遺伝子領域を選
択的に増幅し、遺伝情報の差異を元に病気の治療法の決
定、病気の早期発見、早期治療を目指すなどの試みが成
されつつある。こうした必要から、上述した核酸を抽出
する操作は欠くことの出来ない処理ステップであるが、
従来方法は検査者が手操作で抽出作業を行うため、生体
試料から感染の危険が伴う操作であり、DNA抽出操作
の自動化は必須の課題である。
【0004】この自動化を困難とさせる要因は、フェノ
ール・クロロフォルム抽出法に代表されるように、従来
の主な方法では蛋白質分解成分からの核酸の分離処理に
おいて遠心分離操作を必要とする点である。遠心分離操
作を自動装置化する場合、回転ロータへのサンプルの移
動の際、ロータを位置決めする制御やサンプルをロータ
に移動する制御が困難となって、mlオーダの容量に対
して十分な遠心加速度を与えるには装置が大型化する問
題がある。逆に移動制御を簡便化しようと回転モータに
位置制御を兼用させようとすると、十分な遠心加速度が
得られず、得られたDNAの純度が低くなる。こうした
問題の多い遠心分離操作を回避する為、上述したシリカ
ゲルを用いた核酸の抽出方法が注目され、その抽出プロ
セスの自動化装置の開発がなされてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】シリカゲルを用いた核
酸抽出の一般方法は、(1)生体試料に蛋白変性剤、蛋
白質分解酵素を混合して細胞膜、染色体、ヒストン等の
蛋白質を分解する工程と、(2)核酸を遊離した反応液
中に対し、核酸結合性シリカとカオトロピック塩のある
条件下で混合させ、溶液中の水和分子より水を除去する
ことにより試料中の核酸をシリカゲルに吸着させ、他の
夾雑物が含まれる液相と固相とに分離する工程と、
(3)さらにカオトロピックイオンを含むエタノール溶
液で夾雑物をシリカゲルより除去する洗浄工程と、
(4)水や低塩濃度の緩衝液でシリカゲルを浸すことに
より、核酸をシリカゲルより溶出させる工程から成るも
のである。シリカゲルを膜状にしたものでは、核酸を含
む反応液を、圧力や吸引力により膜を通過させて核酸を
分離する方法や、特開平8−62224号公報、或いは
特開平11−215978号公報では、磁気微粒子とシ
リカゲルを結合し、磁気微粒子を励磁することによりシ
リカゲルを凝集して核酸を補集する方法が開示されてい
る。このようにシリカゲルを用いた方法は、核酸を固相
に吸着させて液相より分離する方法であるから、遠心加
速度を与えて液相と液相を分離する方法よりも自動化が
容易である。
【0006】上記述べてきた様々な核酸抽出プロセスに
おいて、共通して特に重要な工程は蛋白質分解工程
(1)であり、蛋白質の分解効率が悪いと抽出した核酸
の収量が低下したり、未分解の蛋白質が核酸に混入し、
PCR法などの解析をする場合に増幅効率が不安定化す
る原因となる。この工程は、生体試料にカオトロピック
塩溶液、界面活性剤、変性剤、および蛋白質分解酵素を
分注し、混合、加熱反応から成るが、それぞれの試薬を
良く混合して均一にすることが蛋白質の分解効率を上げ
る重要な操作である。
【0007】しかしながら、生体試料やこれらの試薬は
粘性が高く、非常に混ざりにくい。手操作であれば反応
容器にふたをして、強い攪拌力が得られるボルテックス
ミキサ(液面に渦を生じさせるミキサ)を用いて混合を
行うことができるが、自動化を鑑みた場合、自動分注装
置における液体を吸引、排出を繰り返すいわゆるポンプ
動作による混合や、反応容器を前後左右に揺する振倒混
合などの方法では手操作で主に使用するボルテックスミ
キサと同等の攪拌力を得ることは困難であった。特に核
酸を大量に得ることを目的として、mlオーダの多量の
生体試料を取り扱う場合は粘性もより高く、より効果的
な攪拌混合が必須となる。
【0008】前述した特開平8−62224号公報にお
ける自動装置の構成には、振倒と思われる図が開示され
ているが、その詳述な記載はない。同じく特開平11−
215978号公報には容器の外側に配置された磁石の
内側を容器が上下して、容器内部の磁気微粒子を移動さ
せることで混合を行っているが、容器の上下する速度の
記載も無く、混合の程度は不明でありその評価はない。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、生体試
料より大量かつ高純度の核酸を抽出するために、自動化
に適したシリカゲルを用いた核酸抽出法に関して、その
自動化プロセス及び自動化装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、生体試料お
よび液体を保持する円筒の容器と、該容器に液体を分注
する分注手段と、該容器を複数保持できる容器ホルダ
と、該容器の液体を混合する混合手段と、該容器の生体
試料を加熱する加熱手段と、シリカゲルを内包した筒状
の抽出カラムと、該抽出カラムを複数保持できる抽出カ
ラムホルダと、前記抽出カラムホルダにおける抽出カラ
ムの吐出部を陰圧にする吸引手段と、前記抽出カラムの
吐出部より液体を補集する補集容器と、補集容器を複数
保持できる補集容器ホルダと、前記容器ホルダを前記混
合手段と前記加熱手段に移動し、且つ前記抽出ホルダを
前記吸引手段と前記加熱手段に移動し、且つ前記補集容
器を前記吸引手段に移動する移動手段と、分注手段と加
熱手段と吸引手段と移動手段の動作を制御する制御手段
を備え、前記分注手段と前記混合手段と前記加熱手段に
より前記容器内の生体試料に対し変性処理と酵素反応を
処理し、前記分注手段により反応液を前記抽出カラムに
移送し、前記吸引手段により前記抽出カラム内の反応液
を液移送し、前記分注手段と前記吸引手段により前記抽
出カラム内の夾雑物を除去し、前記分注手段と前記吸引
手段により前記抽出カラム内の核酸成分を前記補集容器
に補集する核酸抽出プロセスを有する核酸抽出装置、に
よって達成される。
【0010】また、生体試料に対する変性処理と酵素処
理反応方法の最適化、および生体試料分解条件における
混合手段の最適化、および酵素反応処理により単離され
た核酸を前記抽出カラムに吸着させる方法の最適化、お
よび前記吸引手段により前記抽出カラム内の反応液を液
移送する方法の最適化、によって達成される。より詳細
には、前記核酸抽出装置において、前記混合手段により
前記容器内の液体液面に渦を生じさせる回転運動を行う
手段を設ける。また、前記核酸抽出装置において、前記
容器ホルダと前記容器との接合部がOリングである手段
を設ける。また、前記核酸抽出装置において、前記容器
ホルダの下方に開口部を持ち前記容器が前記混合手段、
もしくは前記加熱手段と接することを行う手段を設け
る。また前記分注手段により前記容器内の生体試料の液
に蛋白質分解酵素を分注し次いで変性剤を分注し、生体
試料の液層と変性剤の液層を2層化せしめる手段を設け
る。また、前記核酸抽出プロセスにおいて、前記分注手
段による前記抽出カラム内への反応液の移動と同時に前
記吸引手段により前記抽出カラム内の反応液の液移送を
行う手段を設ける。また、前記分注手段による前記抽出
カラム内への反応液の移動が2回以上で行われ、反応液
が第1回の移動よりも第2回以降の移動が多量である手
段を講じる。また前記吸引手段において廃液が通過する
管路と空気が通過する独立した複数の管路を備える手段
を設ける。また、前記容器ホルダおよび前記抽出カラム
ホルダおよび前記補集容器ホルダの大きさを水平方向に
おいて88mm×129mm角以内とする。また、前記
吸引手段において廃液が通過する管路と空気が通過する
独立した複数の管路を備える。
【0011】本発明は、シリカゲルを用いた核酸抽出方
法の自動化プロセスを確立するものであり、これに適し
た自動装置を開発することにより、生体試料を取り扱う
作業者をウイルス汚染から守ることができる。また、手
操作で扱っていたボルテックスミキサを自動化し、その
強い攪拌効率により、最適な蛋白質分解処理のもとで高
純度の核酸を抽出することが出来る。また、複数検体同
時処理可能であり数10μgオーダのゲノムDNAを再
現性良く抽出でき、かつサンプル間でコンタミネーショ
ンなき核酸抽出を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。以下では、具体的な形状や寸法、
材質などを交えて説明するが、これらはあくまでも理解
を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明がこれ
らの具体的な事項に限定されるものではないことはいう
までもない。
【0013】本発明では、生体試料からの核酸抽出方法
として、膜状にしたシリカゲルを内包する筒状抽出カラ
ムを利用したシリカゲル抽出法を用いた。酵素処理した
反応液をシリカゲル膜の上部に保持し、吐出口を陰圧に
することで反応液をシリカゲル膜に通過させ、核酸をシ
リカゲルに吸着させて補集する方法である。核酸の抽出
工程に重要な混合条件を得る為に、前処理用の容器とし
て円筒丸底容器を用い、容器内の液体液面に渦を生じさ
せる混合回転運動を行う混合手段を設けた。本発明の装
置は、磁性粒子状のシリカゲルを用いた従来の自動装置
に比べ、吸引手段である真空ポンプや移動手段を有し、
自動制御すべき装置要件は複数化するが、従来の方法で
は得られない高純度かつ高い収量の核酸を得ることが出
来る。またシリカゲル膜を使用する装置構成は、吸引チ
ャンバと廃液タンクと電磁弁と真空ポンプからなる負圧
ラインを接続した簡便な装置構成で、小さく構成するこ
とは如何様にも出来、制御自体も電磁弁のON/OFF
のみで簡便にカラム内の液移送が実現でき、自動化に非
常に適している。また吸引(減圧)手段によって膜或い
はフィルタ上の液体を液移送し固相化する装置構成は、
プラスミド抽出など一般的な遺伝子工学操作にも共通し
て用いられるので、多機能試料調製ロボットを考える上
で非常に効率的な方法である。
【0014】以下、本発明における実施例を、自動化プ
ロセス、装置構成の順に詳述する。 (1)自動化プロセス 図1は自動装置上で実行する核酸抽出プロセスである。
以下これに沿って本発明における自動核酸抽出プロセス
を詳述する。処理可能な検体は生体試料として全血、粉
砕された臓器および組織細胞である。全血に関しては予
め遠心分離を行い血清と血漿と白血球に分画されたもの
より、白血球のみを取り出したバフィーコートを用いれ
ば更に良好な核酸抽出が行える。また大量培養された大
腸菌よりプラスミドDNAを採取する場合にも、下記の
試薬組成を変化させて対処することも可能である。得ら
れる核酸としてはDNA、RNAであり、1本鎖、2本
鎖を問わず、ゲノムDNA、プラスミドDNA、cDN
A、ウイルスRNA、他内在性RNA等である。図1に
示すプロセスにおいては全血1mlよりゲノムDNAを
抽出処理する試薬量と処理方法を記載しているが、試料
の容量に応じて適宜試薬量は適量とすることにより、様
々な試料の容量に対応することが出来る。
【0015】ステップ100は、自動プロセスで使用す
る容器および試薬の準備を示す。必要な容器は生体試料
(ここでは全血)を保持する反応容器と、シリカゲル膜
を内包する抽出カラムと、抽出された核酸を捕集する補
集容器の3種である。反応容器には円筒丸底の形状で、
ポリプロピレン製等を使用することが一般的である。抽
出カラムに使用するシリカゲル膜は繊維状のシリカを高
密度に織り上げた形状であり、シリカゲルは如何様な形
状にも加工できるから、粒状、膜状のものを高密度に固
相化したものも使用できる。溶出容器は、本来ふたが設
けられるポリプロピレン製の容器をふたを開放して設置
する。本実施の形態では自動装置を1検体から最大24
検体を同時処理する構成で設計しており、処理数に応じ
て容器数を準備する。分注チップは使い捨てのものを必
要数準備し、この場合最大1ml容量保持できる分注チ
ップを144本設置する。
【0016】使用する試薬は蛋白質分解酵素(Proteas
e)と、カオトロピック塩を含む変性剤、エタノール、
精製バッファ1、精製バッファ2、溶出バッファであ
り、後述する試薬ホルダ(図7)にまとめて準備する。
蛋白質分解酵素には様々な種類があるが、分解活性が高
く安定的に使用可能なプロテアーゼKなどが一般的であ
る。また目的の核酸に応じて、例えばRNA抽出が目的
であればリボヌクレアーゼの混入のない酵素を使用すべ
きである。変性剤カオトロピック塩にはグアニジン塩酸
塩あるいはグアニジンチオシアン酸塩を4〜7M濃度で
使用することが望ましい。界面活性剤として陰イオン界
面活性剤であるドデシル硫酸アンモニウムを10%程度
濃度で使用することが望ましいが、ラリウム硫酸ナトリ
ウムやトライトン系界面活性剤、トゥイーン系界面活性
剤を1〜5%の濃度で使用することも出来る。また本プ
ロトコルにおいては、蛋白質分解処理と変性処理を同時
に行っており、変性剤には蛋白質分解酵素の至適pHに
あわせ緩衝液を予め混合して使用している。この場合に
用いる緩衝液にはトリス塩など10〜100mM程度を
含んでいる。精製バッファにはシリカゲルに吸着した核
酸が乖離しない程度に調製したカオトロピック塩(グア
ニジン塩酸塩など)をエタノールと混合して使用する。
このうち精製バッファの1と2では、カオトロピック塩
濃度とエタノール比を変えており、シリカゲルに非特異
吸着した夾雑物を徐々に除去するよう、精製バッファ1
より2がそれぞれ成分比が低くなるよう調製している。
溶出バッファには水或いは低塩濃度の緩衝液を用い、1
mM程度のトリス−EDTAバッファの使用が好適であ
る。以上の準備が整えば自動処理を開始する(ステップ
101)。
【0017】ステップ102およびステップ103は、
後述する分注機構(図2)を用いて全血を保持した常温
ステージ(図5)上の反応容器にProteaseと血球変性剤
を分注する工程である。ステップ104は反応容器を後
述する移動機構(図2)を用いて後述する混合機構(図
7)へ移動する工程である。ステップ105は反応容器
内の液体に対し混合機構により混合する工程である。ス
テップ106は反応容器を移動機構により後述する加熱
機構(図6)へ移動する工程である。ステップ107は
反応容器内の液体に対し加熱機構により加熱する工程で
ある。以上、ステップ102〜107の工程により、変
性作用により血球細胞より核を溶出し、DNAが巻き付
いたヒストン等の蛋白質が酵素分解され、ゲノムDNA
は反応溶液中に遊離される。
【0018】ステップ108は反応容器を移動機構によ
り後述する常温ステージ(図2)へ移動する工程であ
る。ステップ109は分注機構を用いて反応容器にエタ
ノールを分注する工程である。ステップ110およびス
テップ111は、反応容器を移動機構により混合機構へ
移動して、反応容器内の液体に対し混合機構により混合
する工程である。ステップ112は反応容器を移動機構
により常温ステージへ移動する工程である。ステップ1
13は反応容器をその常温ステージ上で10分間保持す
る工程である。以上、ステップ111の混合工程は蛋白
質分解処理で未分解の蛋白質と核酸を引き離し、核酸を
遊離させる促進効果を与え、ステップ109〜113の
工程によって溶液中に遊離したDNAがエタノール凝集
作用により凝集する。
【0019】ステップ114は、抽出カラムを移動機構
により後述する吸引機構(図4)へ移動する工程であ
る。ステップ115は、分注機構を用いて反応容器から
反応液のml以下の液量を抽出カラムに分注(移送)す
る工程である。ステップ116は、抽出カラムの内部の
液体を吸引機構によりシリカゲル担体を通して液移送す
る工程である。ステップ117は分注機構を用いて反応
容器内の反応液の残量を抽出カラムに分注するととも
に、移送された抽出カラムの内部の液体を吸引機構によ
りシリカゲル担体を通して液移送する工程である。以
上、ステップ114〜117の工程によって反応液のゲ
ノムDNAが抽出カラムのシリカゲルに吸着される。
【0020】ステップ118は、分注機構を用いて抽出
カラムに精製1バッファを分注する工程である。ステッ
プ119は、抽出カラムの内部の精製1バッファを吸引
機構によりシリカゲル担体を通して液移送する工程であ
る。ステップ120は、分注機構を用いて抽出カラムに
精製2バッファを分注する工程である。ステップ121
は、抽出カラムの内部の精製2バッファを吸引機構によ
りシリカゲル担体を通して液移送する工程である。以
上、ステップ118〜121の工程によって抽出カラム
内のシリカゲルより不要な蛋白成分を除去しDNAを精
製する。
【0021】ステップ122は、抽出カラムを移動機構
により常温ステージへ移動する工程である。ステップ1
23は、補集容器を移動機構により吸引機構へ移動する
工程である。ステップ124は、抽出カラムを移動機構
により吸引機構上の補集容器上(図4)へ移動する工程
である。ステップ125は、分注機構を用いて抽出カラ
ムに溶出バッファを分注する工程である。ステップ12
6は、抽出カラムを吸引機構上で5分間保持する工程で
ある。ステップ127は、抽出カラムの内部のシリカゲ
ルより溶出バッファを吸引機構によりシリカゲル担体を
通して液移送する工程である。ステップ128〜130
は、上記ステップ125〜127の工程を繰り返すもの
である。以上、ステップ122〜124の工程によっ
て、抽出カラムの下に補集容器を配置し、さらにステッ
プ125〜130の工程によりゲノムDNAを溶出バッ
ファに溶解させ、静止することで更に溶解度を高め、吸
引によって補集用の容器にゲノムDNAを補集するもの
である。ステップ131およびステップ132は、抽出
カラムと補集容器を移動機構により常温ステージへ移動
する工程であり、ステップ133で処理プロセスを終了
する。
【0022】(2)抽出システム自動化要素 図2は、以上の核酸抽出プロセスを実行する自動装置の
全体構成図である。1は吸引機構であり、抽出カラムの
出口を陰圧にして抽出カラム内部の液体を液移送する。
2は加熱機構であり、反応容器の液体を任意温度で任意
の時間加熱する。3は混合機構であり反応容器の液体を
任意回転数で任意の時間混合する。4,5は分注機構お
よび移動機構であり、XYZの3軸に動作可能でかつ、
Z軸の取り付けヘッド部を自動で交換することにより分
注機構と移動機構を兼用できる。分注機構4の状態では
使い捨て分注チップ41を使用するピストン駆動式の分
注機構であり、反応容器および抽出カラムの内部に液体
を分注できる。また吸引動作と吐出動作共に、任意の容
器深さでの分注、任意の液体移動速度での分注、任意の
液量での分注を設定でき、加えて使い捨て分注チップの
連続使用あるいは分注毎の廃棄の選択動作、吐出時にお
いて吸引量にプラスアルファ量を吐出して残液を低減す
る動作、分注チップ先端に付着した液体を容器の縁に接
触して拭き取り効果を与える動作、を行うことができ
る。また場合によりペリスタポンプ式の分注動作も用い
ることも出来、試薬ボトルから比較的多量の試薬を注入
することが可能である。99はそのポンプと試薬ボトル
を示す。一方、移動機構5の状態では、抽出カラムを複
数保持する抽出カラムホルダ12、および反応容器を複
数保持する反応容器ホルダ10、および補集容器を複数
保持する補集容器ホルダ62を水平に保持し、自動装置
内の任意の場所に移動する。加えて分注チップを保持す
るラックを移動することも可能である。6は制御盤であ
り、吸引機構の動作、加熱機構の動作、混合機構の動
作、分注機構の動作、移動機構の動作を制御する。また
98はすべての電源であり装置下方に設置されている。
【0023】図3は本自動装置におけるワークステージ
の配置図である。本ステージは図2における分注機構4
および移動機構5におけるX軸(長手方向)Y軸(奥行
き方向)の移動範囲を示し、自動調製において分注操作
と移動操作に関連する自動化要素は、ワークステージ上
に配置する必要がある。1は吸引機構、2は加熱機構、
3は混合機構、41と42と43は分注機構4の構成部
品を示し、51と52と53は移動機構5の構成部品を
示す。
【0024】抽出カラムホルダ12は常温ステージ13
の上部に保持され、抽出カラム11を保持している。抽
出カラムホルダ12は移動機構によって吸引機構1の上
部に設置することが出来る。反応容器ホルダ10は、常
温ステージ81の上部に保持され、反応容器9を保持す
る。反応容器ホルダ10は移動機構によって混合機構3
と加熱機構2の上部に設置することが出来る。62は補
集容器ホルダであり、常温ステージ63の上部に保持さ
れ、補集容器61を保持している。補集容器ホルダ62
は移動機構によって吸引機構1の上部に設置することが
出来る。45は分注チップ41を保持する分注チップラ
ックであり、43は分注機構4に於ける分注ヘッドであ
る。42は先のペリスタポンプ式の分注ヘッドである。
51は移動機構5における移動ヘッドであり、52は反
応容器ホルダなどをつかむ掴み部であり、53は移動ヘ
ッド51や分注ヘッド43と42を保持するパーツラッ
クである。7は試薬ラックであり、試薬ボトル71を複
数保持する。73はチップ廃棄ボックスであり、分注機
構4により取り外された使用した分注チップ41を保持
することが出来る。
【0025】また本抽出プロセスを24検体分(即ち1
セット)行うには、反応容器ホルダ、抽出カラムホル
ダ、補集容器ホルダの3つの容器ホルダが必要である。
ワークステージ上には現状未使用のステージが3ヶ所あ
るが、このそれぞれに反応容器ホルダ、抽出カラムホル
ダ、補集容器ホルダを保持することで、2セットのプロ
セスを連続して実行することが可能となる。若しくは、
1セット目のプロセスにおける反応時間を利用して、2
セット目のプロセスにおける分注操作を行うことによ
り、2セット分のプロセスを並列処理することで処理時
間の短縮を図ることも可能である。この場合、使い捨て
分注チップに関して新たに補充する必要があるが、これ
については別途分注チップのラックをストックしておく
機構(図示せず)を設け、移動機構5を用いて使用済み
の分注チップのラックを廃棄ボックスに廃棄し、新しい
ラックを設置するなどして大量処理に対応できる。
【0026】図12は以上の構成を簡略化して、図1に
示す自動化抽出プロセスに準じた移動要素の移動を示し
たものである。ここでは反応容器ホルダ10、抽出カラ
ムホルダ12、補集容器ホルダ62の3つの移動要素に
おける移動の流れと配置を示している。
【0027】Aは試薬および容器ホルダの準備から反応
容器に試薬を分注するまでの工程(ステップ100〜1
03)、Bは反応容器ホルダ10を混合機構3に移動
し、反応容器に対し混合操作を行う工程(ステップ10
4〜105)、Cは反応容器ホルダ10を加熱機構2に
移動し、反応容器に対し加熱操作を行う工程(ステップ
106〜107)を示す。Dは反応容器ホルダ10を常
温ステージに移動し、反応容器に対し試薬の分注操作を
行う工程(ステップ108〜109)、Eは反応容器ホ
ルダ10を混合機構3に移動し、反応容器に対し混合操
作を行う工程(ステップ110〜111)、Fは反応容
器ホルダ10を常温ステージに移動し、反応容器に対し
常温反応を行う工程(ステップ112〜113)を示
す。Gは抽出カラムホルダ10を吸引機構1に移動し、
抽出カラムに反応容器内の反応液を移し替えと、吸引動
作によりシリカゲルへの核酸の吸着及び夾雑物の洗浄を
行う工程(ステップ114〜121)を示す。Hは抽出
カラムホルダ12を常温ステージに移動する工程(ステ
ップ122)、Iは補集容器ホルダ62を吸引機構1に
移動する工程(ステップ123)、Jは吸引機構1上の
補集容器ホルダ62上に抽出カラムホルダ62を移動
し、吸引機構の吸引動作により抽出カラムから溶出した
核酸を補集する工程(ステップ124〜130)を示
す。Kは抽出カラムホルダ12を常温ステージに移動す
る工程(ステップ131)を示し、Iは補集容器ホルダ
62を常温ステージに移動する工程(ステップ132)
を示すものである。以上のプロセスは制御盤6によって
シーケンシャルに制御されており、基本的に容器や試薬
等の事前準備以外は人の手を介さないで核酸抽出が自動
に行うことができる。
【0028】以下、各自動化要素に関して詳細に説明す
る。 (吸引)図4は吸引機構1を示す図である。左図は図1
におけるステップ114〜121までの工程の状態で、
DNAの吸着処理から精製処理までの吸引機構の状態で
ある。また右図はステップ122〜130の工程の状態
で、DNAの溶出処理までの吸引機構の状態である。
【0029】抽出カラム11は円筒形をしており、液体
保持部13と液体保持部の底部に詰められたシリカゲル
14と吐出部15と容器口16からなる。本実施例にお
いては容器16の口径は12mm、吐出部15口径は
1.5mm、保持可能な容量は4mlであり、1検体に
付き1本使用する。12は抽出カラムホルダであり、初
期条件ではワークステージ上の常温ステージ21に設置
されている。抽出カラムホルダ12の構成は、抽出カラ
ム11を4本−6列で最大計24本を保持する取り付け
口18が上部に設けられている。抽出カラムの配置間隔
は列方向19mmで行方向19mmであり、容器を24
本設置した状態では88mm×129mm角以内の大き
さにあり、この大きさはこの分野で一般的に使用される
反応プレートと同等である。抽出カラムホルダの各々の
取り付け口18には、抽出カラム11の外周径に応じた
穴が設けられたゴムシート17とガイド19が設けられ
ている。
【0030】抽出カラム11の取り付け時には、吐出部
15を下にして、ガイド19の上端部に容器口16の縁
が当たるまで押し込むことで、抽出カラム11の設置位
置を一定に設置する。またこの位置で抽出カラム11が
ゴムシート17の穴を押し広げ、カラムの外面にゴムが
密着して接することでこの部位は吸引動作時の気密性が
保たれる。尚、検体数が24検体に満たない場合は、抽
出カラムの外周と同等の形状の密栓を用いて、未使用の
容器口16を塞ぐことで異なる数の検体処理に対処す
る。また抽出カラムホルダ12は移動時の重量負荷を低
減することと、視認性の観点から透明アクリル製のもの
を使用した。
【0031】20はワークステージ上に固定されている
吸引チャンバであり、抽出カラムホルダ12下面との接
合部の全周にはシリコンゴムリング22が取り付けられ
ている。吸引チャンバ20内部の底部は傾斜を設け、抽
出カラム11より排出される液体(廃液)を廃液口23
に集める作用がある。24は廃液管であり、廃液口23
と廃液ボトル25を連結している。吸引チャンバ20に
設けられたもう一つの管路は吸引管28であり、制御盤
6の制御により開閉する電磁弁29に直接連結されてい
る。30は電磁弁29に連結された真空ポンプであり、
本実施例では排気量70l/分、真空到達圧600mm
Hgであるダイヤフラム式真空ポンプを用い、この動作
も制御盤6の制御によりON/OFFされる。
【0032】この吸引機構は次のようにして抽出カラム
11に保持された液体を移送する。抽出カラムホルダ1
2を移動機構5によって、吸引チャンバ20上部に設置
し、分注機構4により液体を抽出カラム11の保持部に
分注する。準備された抽出カラム11に液体が満たされ
たとき、或いは密栓も併用して抽出カラムホルダ12の
24個の穴が塞がれたとき、真空ポンプ30を動作し、
さらに電磁弁29を開放することで、吸引管28と廃液
ボトル25と廃液管24と吸引チャンバ20内部が負圧
状態となり、抽出カラム11内部の液体はシリカゲル1
4担体を通過し、吐出部15より液体が移送される。
尚、複数の抽出カラムを使用した場合、吐出部15で移
送された液体が飛び散ったりして試料間の汚染を防ぐ必
要がある。27は廃液ガイドであり隣り合った吐出部1
5の周りをガードする構成である。
【0033】吸引チャンバに設けた吸引管28と廃液管
24の2つの管路は、廃液の移送と吸引を理想的に行う
作用がある。これは廃液管のみの構成では、空気を吸引
しながら廃液を移動させるため、管路内部で廃液が節に
なり廃液ボトルの出口で廃液が飛び散り、ミスト(飛沫
微粒子)を生じさせる。この廃液のミストはより真空源
に近いところの電磁弁や真空ポンプにも到達し、これら
の動作を不安定にさせる可能性がある。さらにダイヤフ
ラム型真空ポンプでは吸引した空気を大気中に排気する
から、廃液のミストは室内を汚染する可能性がある。加
えて吸引状態から電磁弁を閉止すると、吸引チャンバの
内部が常圧に戻ろうとするため、廃液管内の廃液が逆流
する可能性もある。本発明では廃液用の管路と吸引管を
分けているから、廃液は節を作らず自然に落下し、負圧
の管路全体を汚染せず、また気圧の変化に対しても吸引
管がバイパスとなって廃液の流れを一定にすることがで
きる。
【0034】核酸の溶出操作時の動作について説明す
る。補集容器61は容量1.5mlのポリプロピレン製
で円筒形をしており、通常はネジ式の蓋が個別に設けら
れているが、本使用時は内部を開放して設置する。62
は補集容器ホルダであり初期条件ではワークステージ上
の常温ステージ63に設置されている。補集容器ホルダ
62への補集容器61の保持方法は、補集容器ホルダの
底部に補集容器の外周よりやや大きい設置口64が設け
られ、設置口と補集容器を迎合する様設置する。補集容
器ホルダの底部には貫通穴63が設けられている。
【0035】この吸引機構は、次のようにして抽出カラ
ム11に保持された液体を補集容器61に補集する。補
集容器ホルダ62を移動機構5によって吸引チャンバ2
0上部に設置し、さらに抽出カラムホルダ12を補集容
器ホルダ62上部に設置する。補集容器ホルダ62と抽
出カラムホルダ12下面との接合部の全周には、吸引チ
ャンバ20と同じくシリコンゴムリング65が取り付け
られている。分注機構4により液体を抽出カラム11の
保持部に分注し、前記した吸引操作を行うと、貫通穴6
3を通じて吸引チャンバ20から抽出カラムの吐出部1
5まで負圧状態になり、抽出カラム11の吐出部15よ
り、液体が移送され、補集容器61に液体が補集出来
る。抽出カラムの吐出部15は、吐出部15が補集容器
61の内部に入り込む位置関係になっており、吐出部1
5で液体が飛び散り検体間で試料が汚染されることを防
ぐことが出来る。
【0036】(反応容器ホルダ)図5は、ワークステー
ジ上の反応容器ホルダ10を示す図である。81は常温
ステージであり、伝熱性を考慮したアルミニウム製であ
る。9は反応容器(丸底円筒容器)であり、ここでは外
周直径14.4mm、内径12mm、深さ82mm、容
量8ml、ポリプロピレン製の使い捨てテストチューブ
であり、1検体に付き1本使用する。容器底から口径に
向かって外周にはテーパが設けられており、容器底部付
近での外径は14mmである。10は容器1を4本−6
列で最大計24本を保持する容器ホルダである。容器の
配置間隔は列方向19mmで行方向19mmであり、容
器を24本設置した状態ではおよそ88mm×129m
m角以内の大きさにあり、この大きさはこの分野で一般
的に使用される反応プレートと同等である。
【0037】反応容器ホルダ10への反応容器9の保持
部位を図5下図に示す。反応容器ホルダ10の上部は持
ち手部84と押さえ83の2つの部品からなり、2つは
ネジで結合されている。85は開口部82に取り付けら
れたOリングであり、規格品AS−568−014を使
用した(センタ径:14.5mm、肉径:1.2mm、
NBR製)。このOリング85は容器9における底から
68mmに位置する外周にあり、容器ホルダの上面内部
の円形のOリング溝86の形状(内径18mm)に対し
小さく、押さえ83の容器穴(内径15mm)よりも大
きく、自然状態では落下しない。またOリング溝86の
深さは2mmであり、Oリングの肉径1.2mmよりも
大きく、OリングはOリング溝86との隙間の間で上下
動可能になっている。反応容器9の反応容器ホルダ10
への保持方法は、反応容器ホルダ10の上方より容器底
を押し込み、常温ステージ81の容器受け部に突き当て
る様に設置する。また反応容器ホルダ10は移動時の重
量負荷を低減することと、視認性の観点から透明アクリ
ル製のものを使用した。
【0038】(加熱)図6は本発明における加熱機構2
を示し、前記した反応容器9を反応容器ホルダ10ごと
移動し、加熱機構2に設置した図である。90はヒート
ブロックであり、電熱ヒータ92を内蔵したアルミニウ
ム製である。電熱ヒータ92は温度制御部93に接続さ
れ、温度制御部93は温度表示部94と制御盤6とに制
御され電源供給も成されている。加えてヒートブロック
90には温度センサも設けられ、温度制御部93により
フィードバック制御が成されている。ヒートブロック9
0の上面には反応容器9の底形状に適合するよう丸底形
状の開口部91が、24本の反応容器9に応じた位置に
設けられている。
【0039】反応容器の内部の液体を加熱するには、移
動機構5によって、反応容器ホルダ10を加熱機構上部
に設置し、制御部6からの加熱の指令に応じて、常温か
ら100℃までの任意温度、任意時間でヒートブロック
90を加熱制御し、反応容器内の液体を加熱保持するこ
とが出来る。
【0040】(混合)図7は本発明における混合機構3
を示す図であり、前記した反応容器9を反応容器ホルダ
10ごと移動し、混合機構3に設置した図である。13
5は偏芯回転盤であり反応容器9の数に応じた円形の容
器受け部136を有している。各々の容器受け部136
の中心は反応容器9の垂直な中心に対し3mmずれてお
り、反応容器9を設置するとき容器の底の外面は容器受
け部136の溝の端部に接し、丸い底を滑らせて容器受
け部136の底部に反応容器9の底部が突き当てられて
迎合する構成となっている。偏芯回転盤135の底部に
はボールベアリング軸受137が3個設けられ、軸受1
37には偏芯シャフト139における偏芯軸138が迎
合し、もう一端の回転軸140にはプーリ141が接続
されている。偏芯軸138と回転軸140の中心は3m
mずれており、プーリ141はタイミングベルト142
に連動して回転し、偏芯軸138の方向は3個の偏芯シ
ャフト139で常に同じである。ベルト142にはモー
タ143が設けられ、ここではスピードコントローラA
Cモータユニット、型名HBL210Kオリエンタル社
製(最高回転2000rpm、定格トルク0.5kg・
cm)を使用した。本ユニットには回転計144および
ドライバ145、メインスイッチ146が設けられ、制
御盤6によりモータ143の回転スピードと回転時間を
設定することができる。また、メインスイッチ146に
よりモータ143の動作のON/OFFを制御すること
も出来る。
【0041】以上の構成において、制御盤6で回転数を
指定し回転が指示されると、モータ143が回転をはじ
め、ベルト142に取り付けられたプーリ141が連動
して回転し、偏芯回転盤135はプーリ141の回転に
従って、3mmの偏芯した回転運動を行う。反応容器9
は上方のOリング85の中心を頂点とした円錐形の軌道
で水平な円を描くよう回転運動し、反応容器9の内部に
保持する液体に回転力を与え液体に渦を生じさせて液体
を混合する。本発明においては反応容器9にふたは設け
られていないが、3mlの液体を保持した状態での液面
高さは静止状態20mmから、1300rpm回転時は
20mm上昇して40mmとなり、反応容器から液体は
こぼれ出ない。本発明においては制御盤6からの外部電
気信号を入力することで、回転と停止をサイクリックに
動作することや、混合当初は低速で次第に高速回転を与
えるような混合方法も可能である。
【0042】本混合機構の特徴は、従来手操作で使用さ
れているボルテックスミキサと同等の攪拌力が得られる
ことと、容器を複数保持する構成であって容器の位置決
め機構が不要な構成を実現したことにある。通常移動が
前提となる移動体を回転駆動部の上に設置し、回転駆動
後に再び他の位置に移動する装置構成では、回転駆動部
上の移動体の位置を一定にする位置決め要素を用いる必
要があるが、こうした構成は機械の大型化、複雑化を招
く原因となる。本発明では反応容器の保持方法について
創意工夫することにより、位置決め要素を不要とする構
成の実現と、従来自動化が困難であったボルテックスミ
キサの自動化を同時に実現出来たので、以下これを説明
する。
【0043】本発明の要点を良く説明するための対比例
として、容器と容器ホルダの接合をOリングでなく、ゴ
ムシートに容器の外径に応じた穴を空けた方法による保
持構成を図8に示す。図8において149は厚さ2mm
のゴムシートであり、容器外径に対しほぼ同じ穴径を有
し、反応容器ホルダ10における持ち手部147と押さ
え148の2mmの隙間の間に挟まれ、ネジによって抑
えられている。上記と同様にこの接合部に上方より容器
を押し込むと、ゴムの自由端部位が縮み、弾性変形して
容器を保持する。この方法では部品点数としては少な
く、容器を弾性力によって保持する構成では上記のOリ
ングを用いた方法と同じである。しかしながら本構成に
おいて上記した回転駆動系によって容器に回転運動を与
えると、容器が次第に上方にせり出し偏芯回転盤の容器
受け部保持部位から容器底が離れ、容器に回転運動がで
きない現象となる。また容器ホルダの振動も大きく安定
した運転は出来ない。
【0044】この現象は、ゴムシートの穴を押し広げて
円筒反応容器を保持する方法では、一定のゴムの弾性力
で複数の容器を保持できない理由による。より詳細に
は、容器を取り付ける際、摩擦により容器に接するゴム
の端部は下向きに引っ張られ、静止状態ではゴムが縮も
うとする弾性力が常に上向きにあることと、また上向き
の力は、容器の形状やゴムの穴加工のばらつきから、容
器の外周に沿って一定でないからである。この状態で容
器を円錐形に回転させたとき、本来安定な容器の回転運
動に伴うゴムの弾性運動が、一部の一定でない弾性力部
位でゴムと容器との摩擦力を超えて上向きの力となり、
容器が上方にせり出すものと考えられる。
【0045】ゴムシート穴を使用した方法に対し、Oリ
ングを使用した本発明においては、上記O容器の取り付
け時、Oリングは押し広げられ伸長されるが、容器の外
周に対し水平かつ均等な弾性力によって容器に接合す
る。また容器を設置するときの上下方向の弾性力も生じ
ることがない。すなわちOリングを使用した方法では、
容器に不要な弾性力を与えないでOリングは容器と一体
となって回転することから、容器の安定した回転運動を
実現できるものと考えられる。
【0046】図9は本発明における試薬ホルダを示す図
である。7は試薬ホルダであり、71は試薬ボトルであ
る。24検体調製時の最大使用量48ml(精製1バッ
ファ及び精製2バッファ 2ml×24検体)に従っ
て、68ml試薬ボトルを保持できる構成であり、試薬
ボトルは広口角型試薬瓶 2110−0002型PP
製、(36角、深さ79、容量68ml)(ナルジーン
社)を使用した。また、この試薬ホルダ上には、少量の
試薬を保持することも可能であり、反応容器9を使用し
て8ml以下の試薬を保持して分注操作に使用すること
も可能である。
【0047】(全血からの核酸抽出実施例)以上の構成
を用いて全血からのゲノムDNAの抽出に適用した実施
例を説明する。未使用の反応容器9を24本準備し、反
応容器ホルダ10に手操作で設置した。手操作で反応容
器の24本それぞれに全血1mlを分注し、その後、図
3における常温ステージ81に反応容器ホルダ10を設
置した。変性剤60mlを採取し、試薬ボトル71に移
し替えた。同じく精製バッファ1を60ml、精製バッ
ファ2を60ml、また補集溶液としてTEバッファ6
0mlを各々試薬ボトル71に移し替えた。蛋白質分解
酵素にはProteaseK(シグマ)を20mg/ml濃度と
なるよう滅菌蒸留水で溶解し、6mlを試薬ホルダ7上
の反応容器9に移し替えた。99.5%エタノールを6
0mlを採取して試薬ボトル71に移し替えた。以上試
薬ボトルに移し替えた6種類の試薬を試薬ホルダ7に設
置し、ワークステージにおける指示位置に設置した。
【0048】滅菌処理された分注チップ72本を保持す
る分注チップラック2箱を準備し、図3における指示位
置に設置し、抽出カラムホルダ12に抽出カラム11を
24本を固定して、図3における指示位置13に設置
し、補集容器ホルダ62に補集容器61を24本保持し
て、図3における指示位置63に設置した。
【0049】以上の準備の後、本自動装置による図1に
示す自動化プロセスを実行した。上記実施例により得ら
れたゲノムDNAの収量は吸光度計測により検定した。
およそ550μlの溶出バッファに溶解されたゲノムD
NAより40μlを採取し、純水160μlに溶解し、
分光セルに入れ分光器(U−3400日立)を用いて、
260nm、280nm、300nmの吸光度(OD:
Optical Density)を測定した。DNAの収量は次式に
より求めた。
【0050】DNA収量=(OD260−OD300)
×50μg/ml×5(希釈倍率)×V(液量:ml) DNAの純度はDNA/蛋白質の混入量の一般検定法で
ある吸光度計測(OD260/OD280)により検定
した。また得られたゲノムDNAの分解等を調べる為
に、アガロースゲル電気泳動法による確認を行った。ま
た、得られたゲノムDNAが遺伝子解析に使用可能かど
うか、PCR増幅を行って検定を行った。
【0051】本実施例における自動処理の抽出性能を調
べる為、同一のサンプル(全血)からのゲノムDNA抽
出結果を図10に示す。24本の平均で20.0μgの
ゲノムDNAが得られた。また純度も1.95〜2.2
の範囲にあり、蛋白質の混入無く良好なゲノムDNAが
得られている。通常全血1mlから抽出できる健常人の
ゲノムDNA量は15〜30μgといわれ、十分な抽出
量が得られた。同じ血液サンプルを手操作で抽出した場
合の抽出量は4検体平均で22.1μgであったので、
この結果と比較しても遜色無い抽出量であった。またア
ガロースゲル電気泳動法による確認の結果、得られたゲ
ノムDNAは短鎖DNAが少なく、切断の少ないゲノム
DNAである結果が得られた(図示せず)。またPCR
増幅を行った検定においても良好な増幅結果が得られた
(図示せず)。加えて、生体試料を加えず自動抽出を行
った検体からはPCR増幅は行われず、コンタミネーシ
ョンの無いゲノムDNAの自動抽出が行えることを明ら
かにした。
【0052】次に、反応処理により得られた反応液を前
記抽出カラムに分注手段により移送する方法に関して、
本発明において最適化された特徴の一つを説明する。シ
リカゲル膜を内包した抽出カラムを使用して手操作で核
酸を抽出するキットがQIAGEN社等よりQIAamp Mid
i-Blood DNA Kitとして上市されており、以上までの説
明では本発明は市販のシリカゲル抽出キットを用いて単
に手操作のプロセスを自動化したにすぎないと思われる
かもしれないが、これは早計である。その理由は、本発
明は、手操作で抽出カラムを扱う場合に起こりうる核酸
抽出量の減少という問題を、本発明の特徴である吸引方
法と自動化プロセスを用いた方法によって解決したから
である。以下、その問題のメカニズムと解決方法に関し
て説明する。
【0053】結論から言えば、ゲノムDNAの抽出量の
減少という問題は、特に多数の検体を同時に処理する場
合に顕著であり、生体試料を酵素分解しゲノムDNAを
浮遊させた反応液を、シリカゲル抽出カラムに吸着する
工程に原因がある。図11は反応液をシリカゲル抽出カ
ラムに吸着するプロセスにおいて、最適化が成されてい
ない状態における処理の順番とDNA収量の関係を示し
たものである。具体的には24本の検体の処理を行った
場合、反応液を抽出カラムに移し替える処理が1検体1
分かかるので、検体No.1と検体No.24で反応液の移し
替えに約24分の時間遅れが生じている。この結果、移
し替え処理の速い検体は移し替え処理の遅い検体に比べ
収量が低く、処理の遅い検体に対しおよそ1/2倍の収
量となっている。加えて、このカラムに保持する時間が
長時間である検体ほど収量が少ないという問題は、前出
の手操作キットで行っても同様であることが分かった。
【0054】抽出カラムの一般構成は図4における吸着
機構において示しており、抽出カラムは液体保持部13
と液体保持部の底部に詰められたシリカゲル14からな
る。反応液の移し替えは分注機を用いたり、手操作では
容器を反転して直接カラムへ移し替えなどを行ってお
り、保持されている反応液はシリカゲルの上部で留まる
ものと考えられる。しかし実際はシリカゲルとカラム内
側の壁面との間に隙間が存在し、反応液は通過しにくい
シリカゲルよりもこの隙間から漏れて通過すること考え
られた。事実、図11の実験において処理の順番の速い
(保持時間が長い)検体は、吐出部15より反応液が滴
下し、20分後には移し替えた反応液の水位が元の1/
3に低下していた。また予備検討において、吸引や遠心
分離操作無しですべての反応液を滴下(1時間20分)
させたとき、収量は約3μgであり、本来廃液として処
理される通過した反応液からは15μgを超えるDNA
が採取される結果も得られた。
【0055】以上の結果、図11に示すDNA収量の減
少という問題は、反応液内の核酸がシリカゲルに十分接
触することなく落下してしまうことが原因で、本実施例
で使用した抽出カラムの固有の問題であるのかもしれな
い。しかしながらポリプロピレン製の円筒形の内部にシ
リカゲルを詰めるという一般的な構成において、内壁と
シリカゲルの隙間を全く無くすということは製造過程上
極めて困難であると考えられる。また、一度吸着させた
廃液を再度回収して吸着するなどの方法も考えられる
が、独立した廃液受けの形状を考慮したり、それから再
度廃液を分注する構成は、試料のコンタミネーションを
引き起こす可能性を増大させる。
【0056】上記の問題の一つの解決法は、反応液を抽
出カラムに移し替える分注時間を短縮する方法である。
図11の実験においては移し替える処理が1検体1分か
かることを想定したが、これは本発明における自動分注
装置の処理時間を勘案したもので、1検体の移し替える
処理をより高速化することで、当面の問題は回避可能で
ある。例えば本実施例で説明した容器等の配置は4列×
6行で統一されているから、4列を一度に分注する分注
機構を新たに作成することはさほど難しいことではな
い。しかしこの問題の本質は、反応液を移し替えて時間
のロス無くシリカゲル担体に反応液を通過させる方法を
提示することにあり、単に分注速度を早くするだけでは
この問題の解決には成らない。
【0057】本発明では移し替えの問題に関し、吸引方
式を特徴とした本自動化プロセスに独自の方法によって
解決し、その結果として図10における安定した高い収
量を得ることが出来た。図1は既に説明した本発明にお
ける自動プロセスであり、このうちステップ114〜1
17の工程が本発明の特徴の一つであるプロセスを示し
ている。本プロセスは反応液の移し替えを2回に分けて
行い(ステップ115,117)、また吸引による吸着
操作を2回行っている(ステップ116,117)。し
かし、2回目の分注による移送が吸引操作とともに行う
ことが可能であることが、上記問題を解決した本発明の
自動化プロセスの特徴の一つであるといえる。つまりス
テップ117に示す工程では、移送と同時に吸引による
吸着を行っているから、時間遅れ無しにほとんどのゲノ
ムDNA反応液をシリカゲルを通過させることができ
る。
【0058】しかし一方で、本発明では複数処理を前提
としているから、1つの負圧チャンバでは他の未使用の
抽出カラムから空気が漏れて、液移送可能な陰圧を発生
させることができず、液移送に要する時間は長時間とな
る。これを解決する第1の手段は、処理する検体数に応
じた、独立の吸引チャンバを設けることによって液移送
可能な陰圧を発生させることが出来る。図示はしない
が、複数の抽出カラムに独立の負圧チャンバと、各々負
圧管と廃液ラインを構成し、その各々の管路をタイミン
グ良く切り替えて制御する方法であり、こうした複数の
吸引チャンバの制御は当分野の技術者であれば容易に構
成できる。
【0059】第2の解決方法は、反応液の移送に関して
図1に示したように2回に分けて行う方法である。この
方法は全量3.3mlの反応液のうちステップ115に
おいて0.4mlを移送して、ステップ116において
吸引操作を行うという方法である。1ml程度を超える
反応液を抽出カラムに移し替えた場合は、その自重で反
応液は滴下するのに対し、数100μlオーダの反応液
の場合、抽出カラムより滴下しないことが実験的に確か
められた。さらに準備した抽出カラム全てにこの少量の
反応液の移送を行った後、吸引操作を行うと反応液で抽
出カラム内のシリカゲルが浸される結果、負圧チャンバ
の内圧が液移送するに必要な陰圧に安定に維持できるこ
とを確認している。即ち、少量の反応液およびそれらに
含まれる高粘度の蛋白質分解物がふたの代わりとなっ
て、その後の2回目の反応液の移し替えと吸引による吸
着を同時に行うことを可能とするのである。もちろん、
2回目の移し替えをして吸引操作後の抽出カラムは、1
回目の吸引操作後と同じに、ふたと同じ作用が得られ、
複数の抽出カラムの連続した処理を可能とする。
【0060】また、ふたという考え方を進めれば、抽出
カラムにおける吐出口を閉止するふたを設けることも一
つの解決法になりうる。即ち、抽出カラムに反応液を移
し替える工程の間吐出口がふたで閉止されていれば、ふ
たと反応液の間に空気の層が生じ、反応液はシリカゲル
膜上に留まるものと考えられ、吸引操作時にのみこのふ
たが開放されれば上記と同様の効果が得られることが期
待できる。
【0061】次に、生体試料に対し変性処理と酵素処理
反応方法について最適化した本発明の特徴の一つを説明
する。本実施例においては生体試料対し変性処理と酵素
処理反応を行う過程において(図1のステップ102−
105)、1mlの全血に対し酵素処理は終量2mgの
ProteaseKと、同時に変性剤として4Mグアジニン塩酸
溶液1.2ml、10%(W/V)ドデシル硫酸ナトリ
ウムを加え、加熱して処理を行っている。フェノール・
クロロフォルム抽出法にあるように、従来この変性処理
と酵素処理反応は別のステップで行われるものである
が、本実施例ではこれを一つの反応で行い、処理時間を
大幅に短縮できた。ここで変性剤と蛋白質分解酵素を一
緒に混合することは、変性剤が蛋白質分解酵素をも変性
させ、酵素活性を低下させる可能性があることは周知の
事実である。しかしながら本発明では本自動装置の特徴
を活かした分注方法により、酵素活性の低下を防ぎ、変
性処理と酵素処理反応を同時に行うことを可能にしたの
で以下解説する。
【0062】その方法は、分注手段により反応容器内の
生体試料に蛋白質分解酵素を分注し次いで変性剤を分注
し、生体試料の液層と変性剤の液層を2層化するもので
ある。この方法が有効な理由について以下述べる。上記
の酵素活性の低下は変性剤と酵素の分注の2液を分注し
た時点より始まっており、また変性剤の量は混合したと
きの濃度で酵素活性が保証される量となっているから、
理想的には反応容器に対し2液を分注し、混合操作を行
うまで変性剤と酵素を含む生体試料は1容器内で上下に
層分離して保持されることが望ましい。第1に分注の順
序であるが、変性剤を酵素より先に生体試料に分注する
と、変性剤が生体試料の上に層分離できていても、酵素
の分注動作でこの界面は乱れ、変性剤と酵素が交じり合
って酵素活性は低下する問題となる。従って、変性剤よ
り先に酵素を生体試料に分注を行う必要がある。第2に
分注の位置であるが、手操作で分注ピペッタを用いて分
注動作を行う場合、2液の比重が大きく違わない限り、
2液を層分離して分注することは、慣れた作業者であっ
ても非常に困難である。その理由は内径10mm程度の
容器に分注しようとするとき、分注機先端を容器の中心
に真っ直ぐ位置させなければ液体は容器の内壁面に沿っ
て流れ、元々分注してある液の下側に潜り込むからであ
る。本抽出プロセスは自動分注機で行う為、分注機の先
端位置を必ず容器の中心に置き、液面からの高さ、ピス
トンの移動速度も制御して2液の層分離可能な最適な位
置で分注を行うことができる。このことより生体試料と
酵素から成る層と、変性剤の層とを混合操作を行う直前
で2層化せしめることが容易に実現可能となった。
【0063】次に、生体試料を混合する条件について最
適化した本発明の特徴の一つを説明する。本発明の特徴
の一つは、従来自動装置化が為し得なかったボルテック
ス混合の自動化を達成できたことにあることを上述し
た。この混合方法の攪拌力および最適化に関して、他の
混合方法と比較検討した。
【0064】図1に示した自動化プロセスのうち、混合
条件に関してポンピング方式と、本発明によるボルテッ
クス混合方式とを比較した。ポンピング方式では1ml
の容量の液体の吸引と排出可能な分注機をもちい、2.
3mlの反応液より1mlの吸排動作を10回繰り返し
た。ボルテックス混合方式では、偏芯回転盤の回転数に
関し1300rpmを60秒回転させた方式と、4秒間
回転したのち2秒間停止し回転と停止をサイクリックに
10回動作させた方式と、ボルテックスミキサ(S−1
00:タイテック社)を使用し、参考として手操作でボ
ルテックス混合(10秒間)を行った方法を比較した。
手操作の方法に関しては、回転数や偏芯角など不明な部
分があり、必ずしも本自動化装置の混合方法と単純比較
はできない。以上の混合条件による全血1ml中からの
ゲノムDNAの収量結果、ポンピング方式においては4
検体平均16.8μg(±1.0)の収量で、ボルテッ
クス混合方式1300rpmを60秒回転では22.0
μg(±0.5)、サイクリック回転23.0μg(±
0.5)、手操作では24.0μg(±0.5)の収量
が得られた。DNAの純度を示すAbs260nmとA
bs280nmの比からは、いずれの混合方法からも
1.9以上の値となり明確な差異は得られ無かったが、
核酸抽出後の抽出カラムのシリカゲル膜を観察すると、
通常白色のシリカゲル膜がポンピング方式においてのみ
所々黄色であり、蛋白質の分解工程において分解が不十
分であるものと考えられた。
【0065】以上の結果から、生体試料の変性処理場合
における粘性の高い液体を混合する方式として、分注機
を用いたポンピング方式は攪拌力として不十分であり、
本発明では手操作と同等の核酸収量を得られ、同等の攪
拌力を得ることが出来た。またボルテックス混合方式に
関して連続に回転するよりも、サイクリックに10回動
作させた方法が高い収量が得られた。こうしたサイクリ
ックな混合方法は手操作では実現不可能であり、これも
本発明の特徴の一つである。
【0066】
【発明の効果】本発明によると、自動化した核酸抽出プ
ロセスによって生体試料より大量かつ高純度の核酸を抽
出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動核酸抽出プロセスの一例を示
す図。
【図2】本発明の実施例における自動装置の概要を示す
図。
【図3】本発明の実施例における機械要素の配置を示す
図。
【図4】本発明の実施例における吸引機構を示す図。
【図5】本発明の実施例における反応容器の常温ステー
ジを示す図。
【図6】本発明の実施例における加熱機構を示す図。
【図7】本発明の実施例における混合機構示す図。
【図8】本発明の実施例において反応容器の保持につい
て簡易な例を示す図。
【図9】本発明の実施例における試薬ホルダを示す図。
【図10】本発明の実施例における抽出結果を示す図。
【図11】本発明の通常の方法で行った場合の抽出結果
を示す図。
【図12】図1に示したプロセスに従って移動する移動
要素の配置を示す図。
【符号の説明】
1:吸引機構、2:加熱機構、3:混合機構、4:分注
機構、5:移動機構、6:制御盤、7:試薬ラック、1
0:反応容器ホルダ、11:抽出カラム、12:抽出カ
ラムホルダ、14:シリカゲル、15:吐出部、16:
容器口、17:ゴムシート、18:取り付け口、19:
ガイド、20:吸引チャンバ、22:シリコンゴムリン
グ、23:廃液口、24:廃液管、25:廃液ボトル、
27:廃液ガイド、28:吸引管、29:電磁弁、3
0:真空ポンプ、41:分注チップ、42分注ヘッド、
43:分注ヘッド、45:分注チップラック、51:移
動ヘッド、52:反応容器ホルダ、53:パーツラッ
ク、61:補集容器、62:補集容器ホルダ、63:常
温ステージ、65:シリコンゴムリング、71:試薬ボ
トル、73:チップ廃棄ボックス、81:常温ステー
ジ、85:Oリング、90:ヒートブロック、92:電
熱ヒータ、93:温度制御部、94:温度表示部、9
8:電源、99:ポンプ、135:偏芯回転盤、13
6:容器受け部、137:ボールベアリング軸受、13
8:偏芯軸、139:偏芯シャフト、140:回転軸、
141:プーリ、142:タイミングベルト、143:
モータ、144:回転計、145:ドライバ、146:
メインスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 栄 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 松波 正吉 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA40 CA25 CA26 DA12 DA13 DA14 FB01 JA20 4B024 AA19 AA20 CA01 CA11 HA11 4B029 AA12 AA23 AA27 BB01 BB11 BB20 CC01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体試料および液体を保持する円筒の容
    器と、該容器に液体を分注する分注手段と、該容器を複
    数保持できる容器ホルダと、該容器の液体を混合する混
    合手段と、該容器の生体試料を加熱する加熱手段と、シ
    リカゲルを内包した筒状の抽出カラムと、該抽出カラム
    を複数保持できる抽出カラムホルダと、前記抽出カラム
    ホルダにおける抽出カラムの吐出部を陰圧にする吸引手
    段と、前記抽出カラムの吐出部より液体を補集する補集
    容器と、補集容器を複数保持できる補集容器ホルダと、
    前記容器ホルダを前記混合手段と前記加熱手段に移動
    し、且つ前記抽出ホルダを前記吸引手段と前記加熱手段
    に移動し、且つ前記補集容器を前記吸引手段に移動する
    移動手段と、分注手段と加熱手段と吸引手段と移動手段
    の動作を制御する制御手段を備え、前記分注手段と前記
    混合手段と前記加熱手段により前記容器内の生体試料に
    対し変性処理と酵素反応を処理し、前記分注手段により
    反応液を前記抽出カラムに移送し、前記吸引手段により
    前記抽出カラム内の反応液を液移送し、前記分注手段と
    前記吸引手段により前記抽出カラム内の夾雑物を除去
    し、前記分注手段と前記吸引手段により前記抽出カラム
    内の核酸成分を前記補集容器に補集する核酸抽出プロセ
    スを有することを特徴とする核酸抽出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の核酸抽出装置において、
    前記混合手段により前記容器内の液体液面に渦を生じさ
    せる回転運動を行うことを特徴とする核酸抽出装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の核酸抽出装置において、
    前記容器ホルダと前記容器との接合部がOリングである
    ことを特徴とする核酸抽出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の核酸抽出装置において、
    前記容器ホルダの下方に開口部を持ち前記容器が前記混
    合手段、もしくは前記加熱手段と接することを特徴とす
    る核酸抽出装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の核酸抽出プロセスにおい
    て、前記分注手段による前記抽出カラム内への反応液の
    移動と同時に前記吸引手段により前記抽出カラム内の反
    応液の液移送を行うことを特徴とする核酸抽出プロセス
    を有する核酸抽出装置。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の核酸抽出プロセスにおい
    て、前記分注手段による前記抽出カラム内への反応液の
    移動が2回以上に分けてで行われ、反応液が第1回の移
    動よりも第2回以降の移動が多量であることを特徴とす
    る核酸抽出プロセスを有する核酸抽出装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の核酸抽出プロセスにおい
    て、前記分注手段により前記容器内の生体試料の液に蛋
    白質分解酵素を分注し次いで変性剤を分注し、生体試料
    の液層と変性剤の液層を2層化せしめることを特徴とす
    る核酸抽出プロセスを有する核酸抽出装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の前記容器ホルダおよび前
    記抽出カラムホルダおよび前記補集容器ホルダの大きさ
    が水平方向において88mm×129mm角以内である
    ことを特徴とする請求項1記載の核酸抽出装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の前記吸引手段において廃
    液が通過する管路と空気が通過する独立した複数の管路
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の核酸抽出装
    置。
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