JP2001521702A - 畳込み符号化データの幅優先復号におけるメトリック移動 - Google Patents

畳込み符号化データの幅優先復号におけるメトリック移動

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Abstract

(57)【要約】 メトリック移動即ちソート或いは選択法は、畳込み符号の幅優先省検索復号中に、生き残りメトリックのソートされたセットを効果的に提供することができる。好適な実施形態では、線形時間の比較数(位数O(M))を用いてM個の生き残りメトリックのソートされたセットを提供することによって、M−アルゴリズムを実行する。この効果を得るには、枝メトリックを完全にソートされたサブセットに分割し、これらサブセットのマージを効率的に行う。先行技術と比較して、典型的な1/nバイナリ畳込み符号のM−アルゴリズム復号の実行中、メトリック移動の比較数が30〜40%削減される。より詳しくは、比較数は、(2n−1)M−(n−1)からn(M−1)+2n−1に削減される。

Description

【発明の詳細な説明】 畳込み符号化データの幅優先復号におけるメトリック移動 発明の背景 本発明は、誤り制御符号を復号するときの計算処理上の労力の削減に関し、よ り詳細には、畳込み符号の幅優先復号の方法の改良に関する。 デジタル通信システムでは、信頼性のあるデータ受信を維持するために誤り制 御符号を用いるのが普通である。誤り制御符号化においては、冗長度がシンボル のシーケンスに付加され、またその受信機では、この冗長度が、雑音性の受信シ ーケンス中の誤りを訂正するのに使用される。 誤り制御符号は、伝統的に2つのカテゴリー即ちブロック符号及び畳込み符号 に分けられる。ブロック符号の場合は、k個の情報シンボルがn個の符号シンボ ルからなる1つの大ブロックに符号化され、率k/nの符号が生成される。畳込 み符号の場合は、情報シンボルの進行するストリームが連続的に符号化され、k 個の情報シンボルをシフトレジスタに繰り返しシフトすることによって符号化率 k/nで符号化される。符号化器は、k個の情報シンボルの各セットに対して、 シフトレジスタ及び符号化器機構内でその情報シンボルに基づいてn個の符号化 シンボルを生成する。 符号化がブロックであるか畳込みであるかに関わらず、計算上の労力の大部分 は復号器に集中し、復号器のタスクは、どの符号化シンボルシーケンスがどのシ ンボルの受信した雑音性のシーケンスに最も良く対応するかを推定することであ る。周知の復号器としてビタビアルゴリズム(VA)があるが、これは最大確率 のシーケンス推定を生成するので、最適である(各情報シーケンスが均等に誤り を起こすものとして、シーケンス誤りの確率を最小化するという意味で)。VA は、最初は畳込み符号化の意味で使われたが、その後シンボル間の干渉シーケン スの推定に使われ、最近ではブロック符号を復号するという意味で使われている 。VAの背景情報及びその応用については、文献G.D.Forney Jr.による“The Vite rbi algorithm”Proc.IEEE,vol.61.pp.268-278,及びJ.K.wolf による“Efficient maximum likelihood decoding of linear block codes usin g a trellis,”IEEE Trans.Inform.Theory,vol.IT-24,pp.76-80,Jan.1978が参照 される。しかしながら、ビタビアルゴリズム及びその派生物の使用はデジタル通 信については制限されていなくて、他の確率的意志決定過程やパターンマッチン グ過程、例えばコンピュータの周辺蓄積装置での音声または文字の認識或いは復 号に使うことができる。 残念ながら、VAの計算上の複雑さは、受信機において最も目立つ計算上の負 荷となり得る。VAが潜在的に大きいトレリス線図を通った全てのパスの検索を 実行するという事実により、VAの計算上の労力が必要となる。このトレリスで は、枝が符号の許容シーケンスを表し、節点が可能な符号化器の状態(例えば、 畳込み符号の場合、シフトレジスタの内容)を表している。トレリスの幅(可能 な符号化器の状態の数の意味)は、符号のメモリ(例えば、畳込み符号の場合で のシフトレジスタの長さ)に指数関数的に依存する。計算上での負荷が大きいと 、多くのアプリケーション例えば電池電力に依存しているデジタルセルラ電話や 高速復号が必要なアプリケーションでは不利である。 その結果、符号化の性能及び複雑さとの間で調整する努力が重ねられてきた。 このような努力の一部は、VAのような最大確率復号器の実行効率を改良する方 向に向けられてきたが、その一方で他のアプローチ法として、部分最適(非最大 確率)復号器を使って、希望的に複雑さをかなり減少させている。各種の部分最 適復号スキームが文献に要約してある。例えば、J.B.AndersonとS.Mohanによる “Sequential decoding algorithms:A survey and cost analysis,”IEEE Trans .Commun.,vol.COM-32,pp.169-176,Feb.1984がある。これらのアプローチには、 スタックアルゴリズム,ファノアルゴリズム(R.M.Fanoによる“A heuris discu ssion of probabilistic decoding,”IEEE Trans.Inform.Theory,pp.64-74,Apr. 1963及び米国特許第3,457,562号を参照),及びM−アルゴリズムを例 とする幅優先復号スキームが含まれる。 「幅優先」とは、復号検索が、符号ツリー(或いはトレリス:符号ツリーのよ り簡潔な表現である)を通してパスを延長せしめることを意味する。ここで蓄積 されているパスは全て同じ長さである。VAは幅優先検索であり全てのトレリス を検索する。M−アルゴリズムもまた幅優先検索であるが、このM−アルゴリズ ムでは最良M個のパスのみがツリー(又はトレリス)の各深度で保持される。符 号ツリーの幅優先部分検索は、これら検索が固有にパラレルであり、パラレルな ハードウェアでの実行が容易である点で特に魅力的である。M−アルゴリズムの 詳細についてさらに参照するには、J.A.Andersen及びS.MohanによるCoding:An A lgorithmic Approach.Kluwer,1990と、S.Mohan及びA.K.Soodによる“A multipro cessor architecture for the(M,L)-algorithm suitable for VLSI implement ation,”IEEE Trans.Commun.,vol COM-34,pp.1218-1224,Dec.1986がある。 M−アルゴリズムにおける誤り制御符号の復号で最も顕著な計算上の隘路は、 ツリー(或いはトレリス)中の各深度における最良M個のメトリックを探すタス クであった。このタスクをメトリック移動という。A.D.Kotによる“A linear-ti me method for contender sifting in breadth-first decoding of error contr ol codes,”1993 Canadian Conference on Electrical and Computer Engineeri ng,Vancouver Canada,Sept.1993,(Kot93)において、Mの比較だけを用いたバ イナリ線形ブロック符号のM−アルゴリズムによる復号の間に、メトリックのソ ートされたセットを提供し得る方法が記載されている。これは、位数O(Mlo g2M)個の比較を必要とする比較式ソーティングに対して著しい改良である。 これは、また、ヘディアン・ソベルの比較式選択法(D.E.Knuth,The Art of Com puter Programming:Volume III,Sorting and Searching,Addison Wesley,1973 を参照)に対しても著しい改良であり、ここでは、位数に関係なく最良のメトリ ックが見つかる。非比較式方法の例は、S.J Simmonsによる“A nonsorting VLSI structure for implementing the(M,L)algorithm,”IEEE J.Selected Areas Commun.,Vol.JSAC-6,pp.538-546,Apr.1988に報告があるが、これは、直接且つ正 しく比較できない。というのは、演算のタイプが類似していないからである。 Kot93で報告されたメトリック移動方法の効率は、メトリックに固有の順番付 けを実行することから発生する。バイナリ線形ブロック符号のための方法は、 以下のように簡潔に要約することができる。符号ツリー検索でM側のパス(生き 残り)があると仮定すると、このメトリックは、拡張されて2M個のメトリック を形成する。このタスクは、これらの2M個のメトリックの中から最良M個のメ トリックを移動することである。拡張前のM個のメトリックがソートされた順番 で使用可能であると仮定する。その2M個の拡張メトリックを組織化して2つの サブセットにすることにより、この方法は進行し、一方のサブセットが0ビット による拡張に対応し、もう一方が1ビットによる拡張に対応する。この組織が各 サブセット内にメトリック順番を保存することは、Kot93(特に図3)に示され ている。既に順番付けされたサブセットは、次いでマージ(ソーティングよりは るかに効率的である)され、ソートされたM個の生き残りメトリックのセットを 提供する。 Kot93のメトリック移動方法は、畳込み符号の復号にも応用することができる 。マージ移動を畳込み符号に応用する場合は、2つのサブセットをマージし且つ 枝のn個のビットのそれぞれについて繰り返す方法が、Kot93で説明されており 、これはビット毎マージ移動と称する。この方法は、バイナリブロック符号及び 畳込み符号の双方に適用可能であるが、ブロック符号用として符号化率1/2の 畳込み符号の場合で、計算上の効率としては約3分の1である。 従って、畳込み符号の幅優先復号の効率を更に改良する必要性がまだ残ってい る。 本発明の概要 本発明の目的は、畳込み符号の幅優先復号中でのメトリック移動の複雑さを少 なくしようとするものである。 本発明の目的のためには、畳込み符号は、枝当たりn(nは1より大きい整数 )ビットを有していることのみで特徴付けられる。以下の論議では、この符号化 率1/nとして検討する。というのは、これらが最も知られており、また、パン クチュアリングとして知られている技術によって、高率の符号が普通に構築され るからである。 ビット毎マージ移動の代わりに、ここでは2つのサブセットをマージするn個 のステージが用いられ、本発明は2n個のサブセットをマージする単一ステージ を用いる。この2n個のサブセットは、nビット枝ラベルに従って、枝メトリッ クを分割することにより形成される。この技術を枝マージ移動と称する。1つの ステージで2n個のサブセットをマージすることが、n個のステージで2つだけ のサブセットをマージすることよりも効果的であろうということは反直観的のよ うにみえる。ビット毎マージ移動では、しかしながら、ステージによっては、枝 マージ移動によるアプローチの2倍の大きさであるセットにマージしなければな らないことがある。特に、ビット毎マージ移動では、最初の(n−1)ビットの それぞれでマージされる2M個の変数がある。ここでM個の生き残りを得るため の最終のより小さいマージングは除く。枝マージによるアプローチの場合は、( n−1)個のより大きなマージングステップを回避するが、より多くのサブセッ トを用いるコストがかかる。各種手段で実行し得るこのトレードオフの効果は、 多重セットマージングの効果によって影響を受ける。ビット毎マージ移動に比べ て全体を効率的に実行するために、多重セットマージングを効率的に実行するた めの手段について論議する。 より詳細には、本発明は、トレリスまたはツリーの部分検索を用いて、符号化 率1/n畳込み符号化バイナリデータの幅優先復号中のメトリック移動方法を含 むもので、各々の枝復号ステージの終端に、複数M個のパスが保持されている。 この方法の各ステージ内では、2n個の枝メトリックが形成され、これは1つの nビット枝の2n個の可能性があるラベルに対応する。M個のパスメトリックの それぞれは、拡張されて2M個のメトリックを形成し、ここで、各拡張はその拡 張された枝に対して枝メトリックを用いる。このパスメトリック拡張では、パス メトリックは、枝ラベルに対応する枝メトリックを単に加えることによって更新 される。その結果、2M個のメトリックからなるセットが、拡張枝のnビットラ ベルに従って、2n個のサブセットにグループ化される。サブセット内の2M個 のメトリックは、マージされて、ソートされた出力セットを形成する。このセッ トは、サブセット内の2M個のメトリックの中からの最良M個のメトリックを有 している。これらの最良M個のメトリック及び対応する枝ラベルは、この復号ス テージのために蓄積されているパスを更新するのに使われる。このM個のパス及 び対応するメトリックは、本方法の次の枝復号ステージへの入力として使用され る。 各枝復号ステージまたはサイクル内では、マージングステップは、前記メトリ ックの2n個のサブセットのそれぞれからの最良メトリックを比較することによ って実行され、前記サブセット内から最良生き残り未マージメトリックが選択さ れる。これは、2M個のメトリック全部に対する一連の2路比較でなすことがで きるが、バイナリツリーベースによるマージング方法を用いるのが好ましい。こ の方法では、2n個のメトリックサブセットの一組からの最良メトリックが比較 される。このような比較だけは、メトリックを最も新しく提供したメトリックサ ブセットを出力セットに接続するバイナリ比較ツリー中の節点で実行する必要が ある。 この方法によると、畳込み符号の幅優先復号でメトリックの移動をするのに、 実質的に計算を少なくすることができるようになる。 本発明について、前述及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照しな がら以下の本発明の好適な実施態様の詳細な説明からより明らかになるであろう 。 図面の簡単な説明 図1は、本発明を実施するデジタルデータ通信システムのブロック図である。 図2は、1つの枝を復号するための復号演算を示すもので、先行技術であるビ ット毎マージ移動方法のブロック図である。 図3は、1つの枝を復号するための復号演算を示すと共に図1の復号器の一部 を形成するもので、本発明による枝マージ移動方法のブロック図である。 図4は、図2の先行技術マージ移動方法で実行したメトリック処理演算をより 詳細に説明するための図である。 図5は、直接マージ法を用いて図3の枝マージ移動方法で実行したメトリック 処理演算をより詳細に説明するための図である。 図6は、バイナリツリーマージ法を用いて図3の枝マージ移動方法で実行した メトリック処理演算をより詳細に説明するための図である。 図7は、比較式マージ移動を用いる先行技術と比較した本発明の相対的効果を 示すグラフである。 発明の詳細な説明 本発明は、畳込み符号の復号化について、符号トレリス(またはツリー)を検 索する改良された方法を用いたものである。検索を減らすと、計算負荷が減少す るので、電力消費を減少させることになり、携帯用装置例えば電話などでは特に 利点があって、計算用ICの面積及び複雑さも減少させることができる。本発明 の削減した検索アルゴリズムでは、畳込み符号を復号化するのに必要な比較数を 減らすことによって、畳込み符号を復号化する計算負荷を更に減らすために、Ko t93で説明したマージ移動方法の改良を用いる。 図1において、データ通信システム10の簡略化説明には、データソース12 ,畳込み符号化器14及び変調器16が含まれている。データソースは、例えば コンピュータのようなデジタルデータの起源のもの、または例えばセルラ電話へ の音声入力のようなデジタル−アナログ変換回路付きのトランスジューサのいず れであってもよい。変調デジタルデータは、チャネル20を経て受信機へ伝送さ れるが、受信機には、本発明に従って復調器24,復号器26,及びデータ宛先 28が含まれている。一般的に言うと、このチャネルは雑音が多くて時間不定( time-varying)しており、例えば移動無線チャネルようなものである。しかしな がら、このチャネルは、他の形態、例えばコンピュータのデジタルデータ蓄積に 用いる磁気蓄積媒体を取り得る。 復調器24は、復号器26に軟判定を供する。軟判定とは、判定信頼性情報に 伴う仮のシンボル判定である。バイナリシンボルの場合は、軟判定は、記号化等 級値の形を取ることができ、ここでの記号は仮ビット判定を示し、等級は判定信 頼性(対数確率比)を示す。硬判定(バイナリ量子化された軟判定であると考え ることができる)も使うことが可能であるが、実行の際なんらかのロスを生じる 。一般論として、軟判定は多くの形式で表現することができる。軟判定メトリッ クに用いる正確な形式を考慮しなければ、最良メットリックという用語は、最も ありそうなメトリックを指すと自然に考えられる。 図2は、先行技術であるビット毎マージ移動方法ののブロック図で、符号化率 1/2の畳込み符号の1つの枝を復号するための復号演算を示している。ビット 毎マージ移動方法では、n個のステージのnビット枝を処理する。この例では、 n=2である。 軟判定は、復調器24からメトリック拡張器50への入力であり、nビット枝 の1つのみを用いることに対応する2つのメトリックを形成し、これらの(1ビ ット枝)メトリックを用いるM個のパスメトリックを拡張し、拡張されたビット が0か1かによってメトリックを2つのサブセットにグループ化する。この演算 は、図4の152でより詳しく説明されており、ここでM個のメトリック151 は、拡張されて2M個のメトリック153を形成して2つのメトリックサブセッ ト155とする。なお、メトリックをサブセットに整理するため、各メトリック サブセット155は、ソートされたメトリックを有する。 図2のマージブロック52は、メトリック拡張器50により生成されたメトリ ックサブセットをマージし、その結果としてソートされたセットを形成する。こ の演算は、図4の156でより詳細に示してあり、ここで、2入力比較器157 が最良(例えば最低距離)のメトリックを2つのサブセットの中から選択する。 なお、比較器157への各入力は、サブセット中の最低生き残り未マージメトリ ックである。また、比較器157の出力もソートされたメトリック158の出力 セット内の次に使用可能なスポットに配されている。このソート演算は、メトリ ックを参照するポインタを用いて適所メトリックを用いるか、または、例えば比 較器157に適切なメトリックを提供し、出力シフトレジスタにメトリックに適 切な位置を提供するメトリックサブセットのためのシフトレジスタを用いて、非 適切メトリック蓄積部をもちいることにより実行することができる。 図2のメトリック拡張器54は、メトリック拡張器50と同一である。しかし ながら、M個のメトリックの入力セットからではなく、2M個の入力メトリック からの2M個のメトリックのセットを生成する。この違いは、畳込み符号枝上で 、nビットの第2または次のビットは制約されている(またはパリティである) 、即ちそれらは自由に選べる情報ビットではないという事実から発生している。 符号化率1/2符号の第2ビットに対する2M個のメトリックの拡張は、図4の 160に示してある。 図2のマージブロック56は、メトリック拡張器54によって生成されたメト リックサブセットをマージする。この演算は、図4の164でより詳細に示され ており、マージング演算156を説明したものと類似している。ただし、ここで は2M個の入力の内M個だけがマージされて、M個のソートされた生き残りメト リックをもたらす。 図2のパス蓄積更新ブロック58は、実行されたばかりの拡張及び移動に従っ て、M個の生き残りパスの蓄積を更新する。パス蓄積部は、例えば状態のシーケ ンスや情報ビットのシーケンスを蓄積することなどいかなる等価手段であっても よい。 図2のシンボル解放ブロック60は、適正な復号遅延後に、出力シンボルを解 放する。復号遅延は、典型的には、従来より周知のように、いくつかの拘束長が とられると理解される。同様に、復号遅延後に解放するシンボルをどれにするか 決定するために、従来の周知技術では多くの手段がある。 ハードウェア及びソフトウェアの実行を含むM−アルゴリズム復号の一般演算 理論は、先行技術で説明されているので、ここで更に詳細に述べる必要はない。 符号化率1/nの畳込み符号化のためのビット毎マージ移動方法の先行技術で 説明したばかりであるが、各枝は、n個の単一ビット枝の連結として見られ、n ステージのメトリック拡張及びマージ方法が使われ、2つのメトリックサブセッ トが用いられる。同様に、M個の生き残りを得るための最終のより小さいマージ ングを除いて最初の(n−1)ビットのそれぞれでマージされる2M個のメトリ ックがある。このアプローチは、バイナリブロック符号のマージ移動に対してか なり効率的ではあるが、符号化率1/2の畳込み符号に対しては約3倍の計算が 必要である。 ビット毎マージ移動の代わりに、図3で示すように、本発明は、単一のメトリ ック拡張ステージと単一のマージングステージを利用する。メトリック拡張器1 00は、nビット枝のnビット全てを用いることに対応して2n個のメトリック を形成する。またnビット枝のメトリックを用いてM個のパスメトリックを拡張 し、拡張された枝のnビットラベルに従ってメトリックを2n個のサブセットに グループ化する。 この演算は、符号化率1/2符号(n=2)の例について、図5で記号202 でより詳細に説明されているが、M個のメトリック201がnビット枝により拡 張されて、2M個のメトリック203を4つのメトリックサブセット205に形 成する。この例では、枝ラベルついては4つの値(即ち00,01,10,11 )の可能性があり、結果的には202で示す4つの枝がある可能性がある。なお 、メトリックを4つのサブセットの整理により、各サブセット205は、ソート したメトリックを含んでいる。パス蓄積更新ブロック104とシンボル解放ブロ ック106は、それぞれブロック58とブロック60に対して述べたように動作 する。 多くの数のサブセットをマージすることが、ビット毎マージ移動で2つだけの サブセットをマージすることよりも効率的であり得ることは、反直観的であるよ うにも見える。しかしながら、ビット毎マージ移動の欠点とは、もっとステージ があって、半分或いはそれ以上のステージが2倍の大きさのセットをマージしな ければならないということである。本発明の枝マージアプローチによると、より 多くのサブセットの使用コストがかかるとは言え、ビット毎マージングで必要な (n−1)個のより大きなマージングステップが回避できる。 図3でのマージブロック102を実行する1つの手順は、図5中の206で示 してある。この手順は、直接枝マージングと呼び、これは、2n入力比較器20 7を用いて、2n個のサブセットの中から最低のメトリックを選択する。この比 較器は、一連の(2n−1)個の2入力比較として実現される。 以下の直接枝マージ移動方法に対しては、比較数の上界を定めることができる 。先ず、n=2(即ち、率1/2符号)について計算の数を論議し、次いでその 結果をより大きなnに拡張する。 n=2の場合は、4つのメトリックサブセットがあり、M個の生き残りを拡張 すると、2M個のコンテンダが発生し、このコンテンダは4,3または2個のサ ブセットの中で何らかの方法で分割される。この分割は、符号,メトリック及び Mに依存する。(常に少なくとも2つのサブセットがあるという理由は、各節点 から拡張された枝が、情報ビットに対して必ず0及び1を含み、少なくとも2つ のサブセットを従えていなければならないということである)。 なお、タスクは、各サブセットからの最小の生き残りエレメントの中で比較す ることによって、これらのサブセットの中から最低のM個のエレメントをマージ することを思い出すこと。次に、サブセットの数を減らすことによってのみ、比 較の数を減少させる(または、同じ数のままにする)ことができることを考える こと。(これを証明するために、逆が正しい、即ち、サブセットの数を減らすこ とによってのみ、比較の数を増やすことができると仮定する。しかしながら、こ れは誤りである。1つのサブセットの場合への拡張は最大の比較数をもつことに なり、この場合、実際には丁度ゼロ回の比較が必要となるからである。) 結果的に、最大数の比較は、最大数のサブセットとなる。即ちn=2に対して 4つのサブセットとなる。次に、いずれの所定数のサブセットの場合でも、各サ ブセット中の等しい数のエレメントについて最大数の比較がなされることを考慮 すること。そして、エレメントの等しい分布をもつことは、次のことを認めるの に充分であると考えられる。即ち、上述のごとく、いずれのサブセットからの最 大数のエレメントでも、いずれかのサブセットが空になる前にマージされねばな らないし、その後サブセットの数は少なくなって、比較の数を減らす。まとめる と、2n個のサブセットについて、最大数の比較が発生する(2M個のコンテン ダを等しく分割して、サブセット当たり(2M)/2n=M/2(n-1)個のエレメ ントにすることによる)。(2n−1)の数の比較を用いて、2n個のサブセット の中から、次のマージすべきエレメントを見つけることができる。こうして、直 接枝マージ移動方法の場合は、次式(1)で、M個の生き残りを見つけるための 比較数の上界を定めることができる。 Nc2≦M(2n−1) (1) 比較対照として、Kot93からビット毎マージ移動の比較数を、次式(2)で示 す。 N1≦M(2n−1)−(n−1) (2) 図3のマージブロック102を実行する他の手順を、図6の256に示す。こ の手順は、バイナリツリー枝マージ移動と呼ばれ、2入力比較演算のバイナリツ リー配列を用いて、2n個のサブセットの中から最低のメトリックを選択する。 この手順では、第1のステップは、バイナリツリーでの全比較器で比較の初期 セットを実行することである。このような比較は(2n−1)個ある。次のステ ップは、これらの比較で示された最良(例えば、最低距離)メトリックを取得し 、このメトリックを出力セットに入れることである。このステップは、また、そ のサブセット中で次のメトリックを露呈させる。次のステップ及び続く全ステッ プには、そのツリー内の比較の“更新”(或いは、再計算)、次いで、最低の生 き残り未マージメトリックを出力へ移動することが含まれる。更新を行うには、 サブセット中で新たなメトリックが露呈された時は、前記サブセットから最終節 点まで従えたツリー中の節点で比較をするだけで済む。換言すれば、この手順で は、メトリックサブセットからの最良メトリックのバイナリツリーベースによる 比較が用いられ、このような比較だけは、メトリックを最も新しく提供したメト リックサブセットを前記出力セットに接続するバイナリ比較ツリーの節点で実行 されることが必要である。 このステップに含まれる比較数は、丁度ツリーの深度即ちn個の比較数である 。よって、M個の生き残りをマージするためには、このステップでは最大(M− 1)nの比較数に加えて、ツリー全体の初期比較数、即ち(2n−1)があって 、バイナリツリー枝マージ移動方法の場合は、次式(3)の比較総数が得られる Nc3≦(M−1)n+2n−1,M≧4 (3) 表1は、ビット毎,直接枝及びバイナリツリーマージの移動方法で、n=2, 3,4の重要なケースについて比較の上界数の表記をまとめたものである。 n=2(符号化率1/2)の場合、表1から、直接枝マージ移動では、実質的 にビット毎マージ移動と同じ数の比較を用いることがわかる(なお、Mは、典型 的には、1よりかなり大きい)。また、バイナリツリー枝マージ移動では、約3 分の1の比較数を節約できることもわかる。 n=3(符号化率1/3)の場合、表1から、枝マージ移動では、比較数をお よそ40%までをも節約することがわかる。 表1 2M個のコンテンダからMを移動する比較数の上限 n=2 n=3 n=4 ビット毎マージング M(2n−1)−(n−1) 3M−1 5M−2 7M−3 枝マージング(直接) M(2n−1) 3M 7M 15M 枝マージング(バイナリツリー) ((M−1)n+2n−1) 2M+1 3M+4 4M+11 マージ移動を導入する前から既知の幾つかの比較式移動方法に対する本ソーテ ィング上の労力の釣り合いが、図7で理解できる。図7は、ビット毎マージ移動 を用いる符号化率1/2の場合及びバイナリツリー枝マージ移動の場合のMで正 規化された比較数を示している。図7はまた従来の比較式スキーム例えば挿入ソ ーティング、マージソート、ヘディアン・ソベルの選択アルゴリズムなどに必要 な上の労力を示している。なお、このヘディアン・ソベル選択アルゴリズムは、 D.E.Knuth,“The Art of Computer Programming:Volume III,Sorting and Sear ching,”Addison Wesley,1973で論議されている。ビット毎マージ移動は、マー ジソート(漸近的に最適ソートスキームである)とヘディアン・ソベル選択アル ゴリズム(実行が簡単ではない)よりも良好である。畳込み符号の場合、本発明 によるバイナリツリー枝マージ移動は、ビット毎マージ移動方法に対して実質的 に更なる改良を提供するものである。 本発明の好適な実施態様で本発明の原理を説明及び図説したので、この原理か ら乖離することなく、本発明は変更することができる。以下のクレームの精神及 び範囲内で発生する全ての訂正及び変更を請求するものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.トレリス又はツリーの部分検索を用いて、符号化率1/nの畳込み符号化バ イナリデータの幅優先復号中にメトリック移動を行う方法であって、複数M個の パス及び関連するM個のパスメトリックは、各枝復号ステージの終端で蓄積部に 保持されており、前記方法の各ステージは、 nを1より大きい整数として、nビット枝の2n個の可能性のあるラベルに対 応する2n個の枝メトリックを形成する形成ステップと、 各拡張には拡張nビット枝に対応する枝メトリックを用いて、2M個のメトリ ックを形成すべく、前記M個のパスメトリックのそれぞれを拡張する拡張ステッ プと、 前記拡張nビット枝の前記nビットラベルに従って、前記2M個のメトリック を2n個のサブセットにグループ化するグループ化ステップと、 前記サブセット内の前記2M個のメトリックの中からの最良M個のメトリック であるM個のメトリックを含むソートされた出力セットを形成すべく、前記メト リックをマージするマージステップと、 蓄積部の前記M個のパスのそれぞれを、前記最良M個のメトリックの中からそ の対応するメトリックで更新する更新ステップと、 蓄積部の前記M個のパスのそれぞれとその拡張nビット枝ラベルとを連結する 連結ステップと、 を備えたことを特徴とするメトリック移動方法。 2.請求項1に記載のメトリック移動方法において、前記マージステップは、前 記サブセット中からの最良生き残り未マージメトリックを選択すべく、前記メト リックの前記2n個のサブセットのそれぞれからの最良メトリックを比較するこ とを含むことを特徴とするメトリック移動方法。 3.請求項1に記載のメトリック移動方法において、前記マージステップは、サ ブセットの各組中からの最良生き残り未マージメトリックを選択すべく、前記メ トリックの前記2n個のサブセットのそれぞれからの最良メトリックを2路比較 することを含むことを特徴とするメトリック移動方法。 4.請求項1に記載のメトリック移動方法において、前記マージステップは、前 記メトリックの前記2n個のサブセットの一組から最良メトリックをバイナリツ リーベースにより比較することを含み、このような比較だけが、前記出力セット にメトリックを最も新しく提供したメトリックサブセットと接続する前記バイナ リ比較ツリーの節点で実行されることが必要であることを特徴とするメトリック 移動方法。 5.請求項1に記載のメトリック移動方法において、前記拡張ステップは単一メ トリック拡張ステージで実行され、且つ、前記マージステップは単一マージステ ージで実行されることを特徴とするメトリック移動方法。 6.請求項1に記載のメトリック移動方法において、各サブセット内のメトリッ クは、該メトリックの最低値から最高値まで順番付けされていることを特徴とす るメトリック移動方法。 7.請求項1に記載のメトリック移動方法において、M個のメトリックのソート されたセットは、各ステージへの入力であり、前記2M側の拡張メトリックの各 々の前記サブセットがソートされるようにして、前記拡張枝の前記nビットラベ ルに従って、前記2M個の枝メトリックをグループ化するステップは、メトリッ クの順番を維持し、ソートされたサブセットからの最良メトリックをマージする ステップは、M個のメトリックを含むソートされた出力セットを生成することを 特徴とするメトリック移動方法。 8.トレリス又はツリーの部分検索を用いて、符号化率1/nの畳込み符号化バ イナリデータの幅優先復号するための復号器であって、複数M個のパスは、各枝 復号ステージの終端に保持されており、メトリック移動装置を含む前記復号器は 、 nを1より大きい整数として、nビット枝の2n個の可能性のあるラベルに対 応する2n個の枝メトリックを形成する形成手段と、 各拡張には拡張nビット枝に対応する枝メトリックを用いて、2M個のメトリ ックを形成すべく、前記M個のパスメトリックのそれぞれを拡張する拡張手段と 、 前記拡張nビット枝の前記nビットラベルに従って、前記2M個のメトリック を2n個のサブセットにグループ化するグループ化手段と、 前記サブセット内の前記2M個のメトリックの中からの最良M個のメトリック であるM個のメトリックを含むソートされた出力セットを形成すべく、前記メト リックをマージするマージ手段と、 蓄積部の前記M個のパスのそれぞれを、前記最良M個のメトリックの中からそ の対応するメトリックで更新する更新手段と、 蓄積部の前記M個のパスのそれぞれとその拡張nビット枝ラベルとを連結する 連結手段と、 を備えたことを特徴とする復号器。 9.請求項8に記載の復号器において、前記マージ手段は、前記サブセット中か らの最良生き残り未マージメトリックを選択すべく、前記メトリックの前記2n 個のサブセットのそれぞれからの最良メトリックを比較する手段を含むことを特 徴とする復号器。 10.請求項8に記載の復号器において、前記マージ手段は、サブセットの各組 中からの最良生き残り未マージメトリックを選択すべく、前記メトリックの前記 2n個のサブセットのそれぞれからの最良メトリックを2路比較する比較器を含 むことを特徴とする復号器。 11.請求項8に記載の復号器において、前記マージ手段は、前記メトリックの 前記2n個のサブセットの一組から最良メトリックを選択するように動作するバ イナリツリーベースによる比較器を含み、このような比較だけが、前記出力セッ トにメトリックを最も新しく提供したメトリックサブセットと接続する前記バイ ナリ比較ツリーの節点で実行される必要があることを特徴とする復号器。 12.請求項8に記載の復号器において、前記拡張手段は、単一メトリック拡張 ステージを有し、且つ、前記マージ手段は単一マージステージを有することを特 徴とする復号器。 13.請求項8に記載の復号器において、各サブセット内のメトリックは、該メ トリックの最低値から最高値まで順番付けされていることを特徴とする復号器。 14.請求項8に記載の復号器において、M個のメトリックのソートされたセッ トは各ステージへの入力であり、前記2M個の拡張メトリックの各々の前記サブ セットがソートされるようにして、前記拡張枝の前記nビットラベルに従って、 前記2M個の枝メトリックをグループ化する手段は、メトリックの順番を維持す るよう動作し、前記ソートされたサブセットからの最良メトリックをマージする 手段は、次のステージへの入力のためのM個のメトリックを含むソートされた出 力セットを生成することを特徴とする復号器。 15.データ通信又はデータ蓄積システムにおいて、 nを1より大きい整数として、符号化率1/nの畳込み符号化バイナリデータ のソースと、 通信又はデータ蓄積チャネルを介して、前記畳込み符号化バイナリデータを伝 送する送信機と、 トレリス又はツリーの部分検索を用いて、符号化率1/nの畳込み符号化バイ ナリデータの幅優先復号するための復号器を含む受信機と、 を有し、複数M個のパスは、各枝復号ステージの終端に保持されており、メトリ ック移動装置を含む前記復号器は、 nを1より大きい整数として、nビット枝の2n個の可能性のあるラベルに対 応する2n個の枝メトリックを形成するメトリック形成手段と、 各拡張には拡張nビット枝に対応する枝メトリックを用いて、2M個のメトリ ックを形成すべく、前記M個のパスメトリックのそれぞれを拡張する拡張手段と 、 前記拡張nビット枝の前記nビットラベルに従って、前記2M個のメトリック を2n個のサブセットにグループ化するグループ化手段と、 前記サブセット内の前記2M個のメトリックの中からの最良M個のメトリック であるM個のメトリックを含むソートされた出力セットを形成すべく、前記メト リックをマージするマージ手段と、 蓄積部の前記M個のパスのそれぞれを、前記最良M個のメトリックの中からそ の対応するメトリックで更新する更新手段と、 蓄積部の前記M個のパスのそれぞれとその拡張nビット枝ラベルとを連結する 連結手段と、 を備えたことを特徴とするデータ通信又は蓄積システム。
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