JP2001520939A5 - - Google Patents

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JP2001520939A5
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【書類名】明細書
【発明の名称】プラズマを利用した物質の切開方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】無線周波数信号発生器と電力増幅器とを含む電子システムを使用するステップと、
無線周波数エネルギを発生させるステップと、
上記無線周波数エネルギを活性状態の切開用トランスミッタの電極チップに供給して、上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップの表面から外向きに電磁界を発生させるステップと、
上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップを取り巻く空間にイオン化性ガスを導入する必要なしに、上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップと切開される物質との境界面に沿って原子粒子を活性化するメカニズムによって上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップを覆うプラズマ雲を生成するステップと、
上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップの表面と切開される上記物質との境界面に沿って電磁波から上記原子粒子にエネルギを高効率で伝送することにより上記プラズマ雲を持続させるステップと、
上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップを取り巻く上記プラズマ雲のエネルギを利用して、上記物質を安全に、清潔に、能率的に且つ有効に切開を行うよう、上記物質を切開するステップと、
を含む、プラズマを利用した物質の切開方法。
【請求項2】上記無線周波数エネルギを供給するステップは、上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップを、中実チップであることが望ましいが、中空または半中空チップでもよい導電性または半導電性の材料で構成するステップを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】上記無線周波数エネルギを供給するステップは、上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップを、好ましくは直線状または曲線状の形状のデザイン、ループ状のデザイン、または形状的に特に特定されていないデザインで構成するステップを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】上記電磁界を発生させるステップは、持続性の電磁波を発生させるステップを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】上記電磁界を発生させるステップは、パルス状電磁波を発生させるステップを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】上記プラズマ雲を生成し、持続させるステップは、上記無線周波数信号発生器および電力増幅器からの上記無線周波数エネルギを、上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップを覆う上記プラズマ雲にインピーダンス整合、周波数整合および電力整合させることを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】さらに、上記無線周波数信号発生器および電力増幅器からの上記無線周波数エネルギを、上記切開用トランスミッタの電極チップの表面に沿う上記プラズマ雲中の上記原子粒子に高効率で結合状態で伝送するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】さらに、調和したプラズマ雲を発生させ、持続させるように上記無線周波数信号発生器および電力増幅器の必要な出力電力を整合させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】さらに、上記切開用トランスミッタの電極チップの表面に沿う上記プラズマ雲中の上記原子粒子の擾乱およびカオスを低減させるためのステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】上記切開用トランスミッタの電極チップの表面を覆う調和したプラズマ雲を発生させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】さらに、上記無線周波数信号発生器および電力増幅器から発生された上記電磁波の全エネルギの大きい割合が上記プラズマ雲を通して伝送されるが、それに続いて上記電磁波が上記プラズマ雲と切開される上記物質との境界面に到達したとき、物理化学的トンネル効果により上記電磁波の全エネルギの大きい割合上記プラズマ雲に向けて反射して戻すステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】さらに、上記電磁波の反射されたエネルギがさらに上記プラズマ雲を付勢するステップを含み、それによって上記プラズマ雲を発生させ、持続させるために上記無線周波数信号発生器および電力増幅器によって伝送する必要のある出力エネルギをさらに減少させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】予定された切開パスの周囲の上記物質を上記電磁波のエネルギから遮蔽するステップを含み、それによって上記切開パスの外側にある上記物質が上記電磁波に曝されるのを保護する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】上記プラズマ雲を持続させるステップは、上記プラズマ雲中の上記原子粒子と上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップの上記表面との間の距離を制御するために、伝送された磁気波を利用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】上記伝送された磁気波のエネルギを利用して物理学のピンチ効果により上記プラズマ雲のトラップ、圧縮、輪郭制御、形状および密度の制御を行うステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】さらに、上記プラズマ雲の断面の直径、物質に対する予定された切開パスの幅を減少させつつ上記プラズマ雲のエネルギ密度を増大させる方法を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】固体材料製の閉じ込めまたは封じ込め容器を使用する必要がなく、あるいは上記イオン化性ガスを上記活性状態の切開用トランスミッタの電極チップの周囲の上記空間に導入する必要なしに、上記伝送された磁気波を利用して物理学の磁気ビン効果に従って上記プラズマ雲をトラップし、閉じ込めるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】上記物質を切開するステップは、上記プラズマ雲を含む上記原子粒子の変化の要求および上記プラズマ雲の物理的パラメータを変化させる能力に従って上記電磁波の周波数および電力を選択的に変化させるステップを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】無線周波数エネルギを発生させるステップと、
上記無線周波数エネルギを調整するステップと、
上記調整された無線周波数エネルギを使用して電極の表面から外向きに電磁界を発生させて、電極を取り巻くプラズマ雲を生成し、持続させるステップと、
を含み、
上記プラズマ雲は、上記電極と上記切開が行なわれる物質との境界面に沿う原子粒子を活性化するために上記調整された無線周波数エネルギを利用して生成され、持続されるものである、
物質を切開する方法。
【請求項20】上記電磁界を発生させるステップは、上記電磁界を上記プラズマ雲に対してインピーダンス整合させ、周波数整合させ、電力整合させ、且つ同調させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】上記電磁界を発生させるステップは、上記電極を上記物質のすぐ近くに持ってきたときに上記物質に対して電磁界を照射するステップを含み、上記プラズマ雲は、上記電磁界と、上記電極と上記物質との境界面に沿って位置する原子粒子との相互作用により形成される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】上記磁界を発生させるステップは、電磁界がプラズマ雲に対してインピーダンス整合し、周波数整合し、電力整合し、且つ同調するように調整回路網によって電磁界の特性を変化させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】上記電磁界を発生させるステップは、上記電磁界の磁力線に沿うプラズマ雲を生成するプラズマを伝播させることを含むものである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】上記電磁界を発生させるステップは、持続性電磁波を発生させることを含むものである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】上記電磁界を発生させる上記ステップは、パルス状電磁波を発生させることを含むものである、請求項19に記載の方法。
【請求項26】さらに、上記電磁界の全エネルギの大きな割合を上記プラズマ雲を通して伝送させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】さらに、上記電磁界が上記プラズマ雲と上記物質との境界面と結合するとき、上記電磁界の全エネルギの大きな割合を上記プラズマ雲中に反射して戻すステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】さらに、プラズマ雲中に反射して戻されたエネルギによりプラズマ雲をさらに付勢するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】さらに、切開パスの周囲の上記物質を電磁界から遮蔽するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】さらに、上記プラズマ雲の断面の直径および切開パスの幅を減少させつつ上記プラズマ雲のエネルギ密度を増大させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項31】さらに、上記プラズマ雲中の上記原子粒子の変化に従って電磁界の周波数特性、インピーダンス特性または電力特性を変化させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、調和した(ハーモニアス:harmonious)プラズマ雲で物質を切開する方法に関し、特に、無線周波数信号発生器システムから伝送された電磁エネルギ波により開始され、持続される調和したプラズマ雲に関す。上記無線周波数信号発生器システムは活性化(付勢された)トランスミッタの切開用プローブを覆う調和したプラズマ雲を含む原子粒子にインピーダンス整合し、周波数整合し且つ出力電力(パワー)が整合している。
【0002】
【従来の技術】
大抵の切開は、スチール製のブレード(刃物)、サファイア製のブレード、あるいはダイアモンド製のブレードのような硬質材料製のブレードで行われていた。このような切開は、切開される物質の表面に対して硬質材料製の鋭い鋭利な刃の摩擦によって生じる物理的な相互作用により行なわれるものである。このような一方の硬質材料で他の硬質物質カットする(切り込む)という純粋に物理的な方法は非能率的であり従って切開される物質が非常に頑丈で稠密であるとき、大きな摩擦抵抗を受け、非能率的である。このような理由から、電子的に生じる物質の切開、物質の電気的切開あるいは電気外科医術(electrosurgery)のような方法に頼っている。このような形式の物質の切開方法では、電気的アークが物質のアーク焼けや蒸発を誘発し、一方、切開される物質中の電気的オーミック抵抗は、誘電体ヒステリシスおよび渦電流のような現象により加熱効果を生じさせる。これらの後の2つの現象はジアテルミー(高周波電気刃)として知られている効果を生じさせ、これは物質にカッティング(切断)効果を生じさせることのできる物理的反応が生じる可能性がある。この方法は、予定された切開パス(切開線)の外側の物質に焼け、炭化を生じさせ、さらにしばしば不快な強い臭気を生じさせる過度の損傷を与えるという欠点があるため、用途が限られていた。従来の標準的な電気的切開装置は、切開用チップにカッティング効果を生じさせるのに高電力、通常は50ワット以上の電力を必要とするという点で非能率的であることが明らかにされている。従来の標準的な電気外科医術あるいは電気的カッティング装置このような比較的高い電力出力を必要とすること、従来の標準的なオーミックジアテルミーおよび不安定な燃えるような(腐食性の)プラズマアークの組合わせで動作するこのようなカッティング装置のカッティングの非効率性に対して2次的なものである。
【0003】
切開およびカッティングにレーザが使用されてきたが、このような装置は高価で、また物質をカットし、あるいは切開するために十分なパワーをもったレーザビームを生成するためにシステムに大きな入力エネルギを必要とする。レーザはプラズマを発生させ、また超小型電子技術(マイクロエレクトロニクス)の分野でエッチングのような処理を行うのに使用されている。
【0004】
プラズマアークは、溶接アーク放電、スパークプラグアーク放電、電光アーク、ネオン光、電気外科医術アーク等の数多くの分野で見ることができる。アーク自体は不調和なプラズマ流の形であり、プラズマ中の原子粒子のカオス(混沌)が増加すると共に、プラズマ中のイオン化された原子粒子の非制御性の乱れた流れを呈している。プラズマアーク中の原子粒子の乱れは原子粒子のカオスの形を呈し、原子粒子のカオスの非制御性により、予定された切開パスの外の物質中に大量のエネルギが溢れ、それによって過度の加熱を生じさせる。物質を切開する予定されたパスの周囲の物質にエネルギが溢れると、周囲の物質をエネルギに曝し、その周囲の物質に損傷を与える。カッティング用チップのパワーを単に低減させるだけでは、プラズマアークを生成するイオン化された原子粒子の流れの乱れを低減させない限り、それ自体でプラズマの調和性を大幅に改善することはできない。さらに、本発明は不調和なプラズマアークを最にするために物理化学的原理による配列(アレー)を使用している。本発明は、プラズマ雲中の原子粒子の乱れを最にすることによって不調和なプラズマアークを最にし、それによってプラズマ雲の原子粒子のカオスを大幅に減少させ、調和したプラズマ雲を生成するものである。調和した(調和のとれた)プラズマ雲中の原子粒子の成分はより安定した、バランスのとれた、制御された状態で存在し、不調和なプラズマの場合よりも高次(ハイオーダー、高い秩序で)に組織化されており、また原子粒子の乱れもより少ないので、上記調和したプラズマ雲はより制御された、効率的な且つより安全な態様でカッティングを行うことができる。本発明の調和したプラズマ雲は、物理学のピンチ効果を利用してさらに圧縮され、制御され、輪郭制御され、成形され。本発明の圧縮されたプラズマ雲は、物理学者には周知で、しかも核物理学のような分野において採用されている磁気ビン現象(Magnetic Bottle phenomenon)によってトラップされ、閉じ込められる。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、プラズマ雲中の原子粒子の乱れが少ない調和したプラズマ雲を生成し、それによってプラズマ中で原子粒子が低いカオス状態を呈するようにする方法に関す。物理の分野では物質に関して4つの形式の状態、すなわち固体、液体、気体(ガス)およびプラズマの各状態を定義している。プラズマの例は地球上では一般的ではないが、大部分の宇宙はプラズマからなっている。本発明のプラズマ雲の形は、標準の市販されている無線周波数トランスミッタ(送信機)に類似した安価な無線周波数発生器および増幅器で発生される。切開用トランスミッタ(送信機)プローブを調和したプラズマ雲にインピーダンス整合させ、周波数整合させ、さらにシステムの出力電力(パワー)を整合させることによって、本発明の電磁発生器システムに必要な入力エネルギの低減化が一部可能になる。活性(活動)されたトランスミッタの切開用チップは、その活性化されたトランスミッタの切開用チップの表面を覆う被覆(被膜を形成するプラズマ雲を生成する。本発明の切開用トランスミッタプローブは中実で空所のない導電体であることが望ましいが、中空の切開用トランスミッタプローブを使用することもできる。本発明の無線周波数電磁トランスミッタが付勢されると、物理学の表皮効果(Skin Effect)により切開用トランスミッタすなわちカッティング用チップの表面または外皮に沿って大部分(多量の電子流が生ずる。活性化切開用トランスミッタチップの無線周波数の電磁波をその切開用電極チップを覆うプラズマ雲にインピーダンス整合させることにより、全電磁エネルギの大きな割合をプラズマ雲中に伝送し、全電磁エネルギの僅かな割合のみが活性化トランスミッタ切開用プローブに反射して戻るように、結合されたエネルギ伝送システムを作りだすことができる。この考え方は標準の無線送信機のアンテナを大気にインピーダンス整合させるのと類似している。
【0006】
アーク放電自体は不調和なプラズマ流の形式のもので、プラズマ中のイオン化された原子粒子の非制御状態の乱れた流れを呈しており、プラズマ中に原子粒子のカオス(混沌)を増大させる結果になる。しかしカッティング用チップの電力(パワー)を単に減少させるだけでは、プラズマのアークを作りだすイオン化された原子粒子の流れの乱れを大幅に低減させない限りプラズマの調和性を十分に改善することはできない。プラズマアーク中の原子粒子の乱れは原子粒子のカオスの形を呈し、原子粒子のカオスが非制御状態の性質をもっていることにより予定された切開パス(切開線)の外側の物質に大量のエネルギが溢れ、それによってそこが過度に加熱されることになる。予定された切開パス外の物質にエネルギが溢れると、その部分が熱に曝され、エネルギ輻射に曝されて、その周囲の物質に損傷を与えることになる。さらに、本願発明はプラズマ雲中の原子粒子の擾乱を最にすることによりプラズマのアーク放電を最にし、それによってプラズマ雲の原子粒子のカオスを著しく減少させて調和したプラズマ雲を生成することができる。
【0007】
一旦調和したプラズマ雲が生成されると、活性化切開用トランスミッタ(送信機)チップから送信された電磁波を利用して、従って物理学のピンチ効果を利用して、調和したプラズマ雲は圧縮され、制御され、輪郭制御され、成形される。この圧縮されたプラズマ雲は、物理学者には周知で、しかも核物理学のような分野において採用されている磁気ビン現象(Magnetic Bottle phenomenon)によって、送られた磁界を利用してトラップされ、閉じ込められる。調和したプラズマ雲を圧縮し、集中させ、トラップすることにより、切開用電極を覆うプラズマ被膜の厚みを減ずることができる。このことによって切開用チップ上の調和したプラズマ被膜の密度を高めることができる。調和したプラズマ雲の原子粒子の密度を高めることによりエネルギ密度が高められたプラズマ雲を生成することができる。このことによって物質に対する切開効率を向上させ、切開される物質に対する切開パス(切開線)を細くすることができる。本発明により発生された電磁波がプラズマの被膜を通過すると、電磁波はそれが十分にインピーダンス整合していない調和したプラズマ雲の周囲の物質に遭遇する。そのため、電磁波の全輻射エネルギの大きな割合が調和したプラズマ雲に反射されて戻され、全電磁輻射の小さな割合が周囲の物質に伝送される。電磁輻射と物質との物理的な相互作用については物理化学のトンネル効果によって説明され。調和したプラズマ雲に反射して戻された電磁波エネルギはプラズマ雲の原子粒子をさらに付勢し、それによって本願発明で使用される電磁波発生システムに要求される電磁エネルギの出力をさらに低減させることができる。
【0008】
プラズマの調和性が改善され(向上し)、調和したプラズマの密度が高くなり、活性化トランスミッタ切開用プローブ上の調和したプラズマの被膜が薄くなることにより、さらに、発生された電磁波に関するトンネル効果により、予定された切開パスの周囲の物質に溢れるエネルギを最にして、予定された切開パスに沿って物質を高い効率できれいに切開することができる。予定された切開パスの周囲の組織に溢れるエネルギを減少させることにより、予定された切開パスの外側の物質に対する損傷を著しく低減することができる。物理学の原理により、調和したプラズマは従来の切開方法よりも効率がよく、より清潔に切断あるいはカットするために考案されたものである。
【0009】
従来の標準的な電気的カッティング装置とは違って、本発明の電磁発生システムの発振信号の周波数は切開用チップと切開される物質との境界面に沿うプラズマ雲の分子の振動(発振)の高調波に同調している。表面の原子粒子のこの薄い層の運動エネルギのレベルは著しく高められ、それによってカッティング用電極の周囲に高エネルギのイオンと電子をもった雲を形成することができる。その後プラズマ雲中の分子は、カッティング用トランスミッタのチップに供給される持続モードあるいはパルスモードの無線周波数によってカッティング用プローブのチップに向かうように中心に向けて誘導され、無線周波数波は上記カッティング用トランスミッタのチップから輻射される。このことにより、カッティング用プローブの表面上に高度に集中された調和したカッティング用プラズマの被膜を形成することができる。本発明によれば、プラズマトーチやプラズマチャンバ中のエッチング装置のようなプラズマ発生装置で生ずるようなカッティング域にイオン性ガスを噴射する必要なしにカッティング用プラズマ雲を生成することができる。
【0010】
一旦電磁輻射が遮断(ターンオフ)れると、プラズマは急速にエネルギを放出し、プラズマ雲中の原子粒子はプラズマ状態に止まるのに必要なエネルギを失う。活性化電磁プローブを調和したプラズマ雲の被膜にインピーダンス整合させ、周波数整合させ、電力(パワー)整合させて無線周波数のエネルギで電極チップを励起することにより、プラズマの原子粒子のエネルギでカットすることのできる、プラズマブレードを生成することができる。送信された電磁輻射を切開用チップの周囲のプラズマにインピーダンス整合させることは送信機のアンテナからの電磁輻射をアンテナの周囲の大気にインピーダンス整合させることと同様である。一旦電磁波がプラズマの層を通過すると、この電磁波は予定されたパスにない物質中を通過してインピーダンス整合されていない物質に遭遇し、送信された電磁波信号はトンネル効果に関する物理化学的原理で述べられている態様で大幅に減衰する。このような理由から切開効率は予定された切開パスでは増幅され、予定された切開パス外では著しく減衰される。これによって予定された切開パスの外側の物質上では電磁輻射に曝されることが少なくなり、衝撃あるいは副作用が最になる。このことにより安全且つ清潔で、効率的に物質を切開することができるという結果が得られる。
【0011】
目的および利点
従って、本発明の幾つかの目的および利点
(効果)は次の通りである。
(a)電磁波を発生し、増幅し、送信するために安価な電子的無線周波数信号発生器、増幅器およびトランスミッタ(送信機)プローブを使用した切開法を提供する。
(b)プラズマを生成し、持続させ、制御するために中実の非中空の導電性無線周波数トランスミッタ(送信機)プローブを使用する。これ以外に、トランスミッタプローブは完全に中空、あるいは部分的に中空のデザインのものでもよい。
(c)現在使用されている他の形式の切開法に比して必要とするシステムの入力エネルギが小さい電子的電磁界発生器システムによりプラズマカッティング用ブレードを提供することができる。同様に、このシステムは現在使用されている他の切開法に比して必要とするシステムの出力エネルギが小さく、平均出力は1ワット程度である。
(d)プラズマトーチやプラズマチャンバにおけるエッチングシステムのようなプラズマ発生装置で見られるようなカッティング域にイオン(イオン化可能な)ガスを噴射することなくプラズマ雲を生成することができる。
(e)本発明による電磁発生器システムからのエネルギを活性化切開用トランスミッタのチップ電極を包囲し且つ覆うプラズマ雲にインピーダンス整合させることにより、原子粒子のカオス(混沌)ならびに擾乱の低い調和したプラズマ雲を生成することができる。
(f)本発明による電磁発生器システムからのエネルギを活性化切開用トランスミッタのチップ電極を包囲し且つ覆うプラズマ雲の原子粒子の振動(発振)の高調波(ハーモニックス)に周波数整合させることにより原子粒子のカオス(混沌)ならびに擾乱の低い調和したプラズマ雲を生成することができる。
(g)本発明による電磁発生器システムの出力電力(パワー)を調和したプラズマ雲を励起し持続させるのに必要とされる電力(パワー)に電力(パワー)整合させることにより原子粒子のカオス(混沌)ならびに擾乱の低い調和したプラズマ雲を生成することができる。
(h)電磁波発生器のエネルギを活性化切開用トランスミッタのチップを包囲し且つ覆うプラズマ雲に結合して高効率で伝送することにより、活性化切開用トランスミッタのチップを包囲する調和したプラズマ雲を励起し、持続させるのに必要な無線周波数発生器/増幅器の出力電力(パワー)を低減させることができる。
(i)ピンチ効果(Pinch Effect)として知られている物理の原理を利用して、活性化切開用トランスミッタのチップを包囲する(覆う)調和したプラズマ雲を集中させ、圧縮し、輪郭制御する。
(j)磁気ビン効果(Magnetic Bottle effect)として知られている物理の原理を利用して調和したプラズマ雲をトラップし、閉じ込めることにより、プラズマ雲を収容する中実の材料からなる閉じ込め用の容器が不要になる。それによって、活性化切開用トランスミッタのチップの近傍にプラズマ用の中空の保持チャンバを設ける必要がなくなる。
(k)トンネル効果(Tunnelling Effect)の物理化学的原理を利用して、活性化切開用トランスミッタのチップによって送信された電磁波を調和したプラズマ雲の周囲の物質から反射して上記活性化切開用トランスミッタのチップの周囲の調和したプラズマ雲に戻す。このようにして、本発明はトンネル効果を利用して、送信された電磁輻射が予定された切開パスの外側の物質と相互に作用し、この物質中に進入するのを低減させる電磁シールドを生成することができる。これは輻射を受けることによる副作用の可能性を最にするように作用する。さらに、プラズマ雲に向けて反射されて戻るこの電磁輻射は調和したプラズマ雲をさらに活性化(付勢)するように作用し、それによって電磁発生器システムが必要とする出力エネルギをさらに減少させることができる。
(l)活性化切開用トランスミッタのチップの周囲で圧縮(凝縮)された調和したプラズマ雲を使用して、カッティング用プラズマの運動エネルギを細い切開パスに集束することにより、予定された切開パスの外側の物質への影響あるいは副作用を最にして物質を目立たぬようきれいに切開することができる。
(m)ナイフやブレード(刃物)のような純物理的エネルギによるカッティング技術に代わり、しかもレーザのような今日実施されている他のカッティング方式に比してより効率的な、より有効な、より清潔な、さらにより安価な方法を提供することができる。
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の切開方法はすべての従来の切開方法とは異なるものである。本発明ではパルス状あるいは持続性の無線周波数の電磁波を生成するために安価な電子的無線周波数信号発生器/増幅器を使用しており、上記パルス状あるいは持続性の無線周波数の電磁波は切開用ハンドピースに導かれ、次いで切開用トランスミッタプローブから送信される。本発明の切開用プローブとしては、部分的にあるいは完全に中空の切開用プローブも使用可能であるが、中実で、空所のない導体が望ましい。本発明のシステムは大気にインピーダンス整合した標準の無線送信機(トランスミッタ)と同様に、活性化切開用トランスミッタの電極チップの周囲の調和したプラズマ雲にインピーダンス整合し、周波数整合し、電力(パワー)整合しており、またこれに同調している。
【0013】
プラズマは地球上では発見される4つの形態の中で最も少ないものであるが、宇宙空間で発見される最も豊富な形態のものである。地球上のプラズマの例として、溶接、スパークプラグアーク放電、ネオン光、雷の放電の周囲のアーク放電、電気外科学(electrosurgery)で見られる腐食性のプラズマアーク放電が含まれる。プラズマは半導体エッチングのような分野でも使用されるが、この分野ではプラズマはレーザや精密なプラズマエッチング用チャンバのような高価で高いエネルギ消費のシステムで生成される。
【0014】
本発明のシステムは、活性化切開用トランスミッタのプローブから持続性のあるいはパルス状の電磁界を生成し、送信するために、安価な電子的無線発生器/増幅器システムを使用している。この電磁界発生器システムの個々のパラメータは主として切開用トランスミッタのプローブと切開される物質との界面に沿う原子粒子成分によって決定される。本発明のシステムは、切開域に噴射され、そこで付勢されてプラズマに変換されるイオン性ガスを必要とするシステムとは対照的に、プラズマ雲を発生させるために切開用トランスミッタプローブの界面に沿う原子を利用している。本発明の切開用トランスミッタプローブは直線状あるいは曲線状のデザインであることが好ましいが、トランスミッタチップ電極の形状はデザインの点で必ずしも限定されるものではなく、ループ形状のデザインでもよい。本発明のシステムは、活性化切開用トランスミッタプローブを覆う調和したプラズマ雲を発生して持続させるために、インピーダンス整合され、周波数整合され、出力電力(パワー)整合されおり、それによって切開用チップと切開される物質との界面に生ずる従来のようなプラズマアーク放電を最にすることができる。
【0015】
アーク放電自体は不調和のプラズマ流の形であり、プラズマ中の原子粒子のカオス(混沌)を増大させることになるプラズマ中のイオン化された原子粒子の非制御性の乱流を呈している。プラズマアークを構成するイオン化された原子粒子のその乱流を大幅に減少させない限り、単にカッティング用チップの電力(パワー)を減じてもそれによってプラズマの調和性を大きく改善することはできない。他の形式の材料を用いた場合と同様に、プラズマは広い温度範囲、密度、流れの特性、原子粒子成分等を含む広範囲の物理的特性(表現)をもっている。地球上ではプラズマアーク放電は、溶接アーク放電、スパークプラグアーク放電、落雷のアーク放電、ネオン光、電気的外科学のアーク放電ような多くの分野で見ることができる。プラズマアーク中の高い原子粒子の擾乱は、原子粒子のカオスの形式を呈し、未制御の原子粒子のカオスの性質はプラズマ雲中の原子粒子の乱流によって引き起こされる。この形式のプラズマは不調和性のプラズマを表わし、予定された切開パス(切開線)の外側の物質を過度に加熱し、あるいは大量のエネルギの溢れを生じさせる。予定された切開パスを越えてエネルギの溢れが拡がると、周囲の物質がそのエネルギに曝され、熱に曝され、損傷を受けることになる。このようなことから、本発明はプラズマ雲中の原子粒子の擾乱、およびカオスを減少させることによってプラズマのアーク放電を最にして、調和したプラズマ雲を発生させるように動作する。
【0016】
電磁界は活性化切開用トランスミッタプローブの周囲の調和したプラズマの薄い被膜を横切るから、電磁界の振幅はゆっくりと減衰すなわち減少する。最終的には、電磁界はプラズマ雲を完全に通過して切開用プラズマ雲を取り囲む予定された切開パスの外側の物質に遭遇する。物理化学のトンネル効果の原理により、発生された電磁波は同調もインピーダンス整合もとられていないバリアに遭遇し、それによって電磁波の全エネルギの大部分が調和したプラズマ雲に向けて反射されて戻る。この反射された電磁界のエネルギはプラズマ雲中の分子の粒子をさらに付勢するように作用し、それによって電磁界発生器システムで送信する必要のある出力エネルギを低減することができる。このプロセスは、予定された切開パスの外側の物質に進入し、相互に作用し、輻射に曝すことにより損傷を与える可能性のある全電磁放射の割合を最にするようにも作用する。
【0017】
発生された磁界の求心力(中心に向かう力)は調和したプラズマ雲中の原子粒子と活性化切開用トランスミッタプローブの表面との間の距離を制御するために使用される。この目的のためにプラズマ物理学のような分野で長年使用されてきたピンチ効果が本発明のシステムでも使用される。この方法により本発明では、中実または中空の切開用トランスミッタプローブを用いて調和したプラズマ雲を圧縮し、輪郭制御し、成形し、制御することができる。本発明は、従来から核物理学のような分野において採用されている磁気ビン現象(Magnetic Bottle phenomenon)を利用して、中実材料製の閉じ込め容器を必要とせずに圧縮されたプラズマ雲をトラップし、閉じ込め、それによってプラズマをトラップし、制御するために切開用のチッププローブを収容する中空または空洞を使用する必要がなくなる。調和したプラズマ雲中の原子粒子の密度を増大させることにより、プラズマ雲の電力(パワー)密度を増大させることができ、それによってプラズマ雲のカッティング効率ならびにパワーを向上させることができる。
【0018】
さらに、プラズマ雲を圧縮することによりプラズマ雲の断面の直径を小さくし、それによって予定された切開パスの幅を小さくすると共に、切開パスの外側の物質に対する副作用を与えるのをあるいはその物質に悪影響を与えるのを最にすることができる。電磁波発生器システムの電力が一旦遮断(ターンオフ)されると、調和したプラズマ雲のエネルギレベルは、プラズマ雲を含む原子粒子がプラズマとして知られている状態に止まることのできない点にまで急速に減衰する。
【0019】
従って、形状ならびに輪郭が制御された調和したプラズマを発生させるために特に調整された電磁波を使用することにより、より効率的で、より制御された、より毒性のない、さらにより安価な物質の切開法を実現できることが理解できよう。
【0020】
上の説明では多くの設計仕様を含んでいるが、これらは本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではなく、単に本発明の幾つかの好ましい実施例を示したものである。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲ならびにここに示した実施例以外の適正な均等な方法により決定されるべきである。
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