JP2001519157A - 改変g蛋白質を発現する酵母細胞及びそれらの利用方法 - Google Patents

改変g蛋白質を発現する酵母細胞及びそれらの利用方法

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JP2001519157A JP2000515008A JP2000515008A JP2001519157A JP 2001519157 A JP2001519157 A JP 2001519157A JP 2000515008 A JP2000515008 A JP 2000515008A JP 2000515008 A JP2000515008 A JP 2000515008A JP 2001519157 A JP2001519157 A JP 2001519157A
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スー ジュン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、異種性G蛋白質共役型レセプターの発現に有用な新規な酵母細胞に関係する。本発明の酵母細胞は、G蛋白質共役型レセプターのモジュレーターをスクリーンするのに用いることのできるスクリーニングアッセイにおいて用いることができる。特に、この発明は、異種性G蛋白質共役型レセプターと変異型及び/又はキメラのG蛋白質サブユニット分子(これらは、この異種性レセプターを酵母細胞のフェロモンシグナリング経路に機能的に統合するように働く)を発現する新規な酵母細胞を提供する。この発明は又、酵母α因子リーダー配列を用いて酵母細胞膜中に機能的に統合された異種性G蛋白質共役型レセプターの発現をも提供する。これらの主題の酵母細胞を用いる薬物発見用アッセイも又、提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の要約 本発明は、とりわけ、異種的に発現されるレセプターの発現を増大させる手段
及び異種的に発現されるGPCRのG蛋白質サブユニットへの共役を増大させる
手段を提供することにより、当分野で以前に知られている薬物スクリーニングの
方法論における重要な進歩を提供する。
【0002】 本発明は、機能的異種GPCRの発現に有用な新規な酵母細胞に関係する。あ
る具体例において、これらの主題の酵母細胞は、異種性GPCRの酵母シグナリ
ング経路への機能的インテグレーションを増大させる改変された及び/又は異種
性のG蛋白質サブユニットを含む。これらの改変されたG蛋白質サブユニットは
、突然変異により変えることができ且つ/又はキメラであってよく即ち酵母G蛋
白質サブユニット由来のポリペプチドと異種のG蛋白質サブユニット由来の少な
くとも一のポリペプチドとを含んでよい。本発明の酵母細胞は、GPCRのモジ
ュレーターのスクリーニングに用いることのできる新規なスクリーニングアッセ
イにおいて用いることができる。
【0003】 一面において、この発明は、以下を含む組換え酵母細胞である: レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセプターの細胞外領域と細胞外
シグナルとの相互作用により調節されるように当該酵母細胞の細胞膜中で発現さ
れた異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、酵母細 胞のフェロモン応答経路における内因性酵母フェロモンレセプターの代用物とし
て作用する);及び 下記よりなる群から選択するキメラG蛋白質サブユニット: 野生型配列と比べて少なくとも一のアミノ酸置換が導入された異種性G蛋白
質サブユニットからの配列を含む非天然G蛋白質サブユニット; 異種性Gγサブユニットのポリペプチドに操作可能に結合された内因性St
e18サブユニット; 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が異種性G蛋白質サブユニットの少
なくとも4つのC末端アミノ酸で置換されている内因性酵母Gpa1サブユニッ
ト;及び 少なくとも4つのC末端アミノ酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの少
なくとも4つのC末端アミノ酸で置換されており且つN末端が第2の異種性G蛋
白質サブユニットの少なくとも最初の5つのN末端アミノ酸に操作可能に結合さ
れている内因性酵母Gpa1サブユニット(ここに、該第1及び第2の異種性G 蛋白質サブユニットは同じであるか又は異なっており;それにより、該キメラG
蛋白質サブユニットの発現は、機能的に、該異種性GPCRを該酵母細胞のフェ
ロモンシステム経路に統合する;及び 該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節が、検出可能
なシグナルを与える)。
【0004】 一面において、この発明は、異種性G蛋白質共役型レセプター;異種性G蛋白
質サブユニットからの配列を有するが野生型配列と比べて少なくとも一のアミノ
酸置換が導入された非天然G蛋白質サブユニットを含む酵母細胞を提供する。非
天然G蛋白質サブユニットの発現は、機能的に、異種性G蛋白質共役型レセプタ
ーを酵母細胞のフェロモンシグナリング経路に統合する。
【0005】 一具体例において、本発明の酵母細胞は、変異型哺乳動物Gαサブユニットで
ある非天然G蛋白質サブユニットを有する。好適具体例において、この変異型哺
乳動物Gαサブユニットは、下記よりなる群から選択する突然変異を有する異種
性G蛋白質サブユニットからの配列を含む:Gα16(S270P);Gαs(D 229S);Gαs(D229V);Gαs(N254D);Gαs(S286P); Gαs(E10K);Gαi2−GαoB(S280P);Gα12(Q229L);
Gα12(G228A);及びGαi2(S288P)。
【0006】 他の具体例において、本発明の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニットからの
第1のポリペプチドと変異型哺乳動物G蛋白質サブユニットからの第2のポリペ
プチドを含む酵母−哺乳動物G蛋白質サブユニットキメラである非天然G蛋白質
サブユニットを含む。好適具体例において、このキメラの第2のポリペプチドは
、下記よりなる群から選択する変異型哺乳動物Gαサブユニットを含む:Gα1
6(S270P);Gαs(D229S);Gαs(D229V);Gαs(N254 D);Gαs(S286P);Gαs(E10K);Gαi2−GαoB(S280P
);Gα12(Q229L);Gα12(G228A);及びGαi2(S288P) 。
【0007】 他の好適具体例において、本発明の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニットか
らの第1のポリペプチドと異種性G蛋白質サブユニットからの第2のポリペプチ
ドを含むキメラG蛋白質サブユニットを有する(ここに、第1のポリペプチドは 、下記よりなる群から選択する:酵母GPA1のアミノ末端からの約40アミノ
酸を含むポリペプチド;及び酵母STE18からのポリペプチド)。
【0008】 更に別の好適具体例において、本発明の酵母細胞は、キメラG蛋白質サブユニ
ットを有する(このキメラの第1のポリペプチドは、酵母GPAのアミノ末端か らの約40アミノ酸を含み、該第2のポリペプチドは、異種性G蛋白質αサブユ
ニットに由来する)。
【0009】 更に別の具体例において、本発明の酵母細胞は、キメラG蛋白質サブユニット
を有する(該サブユニットにおいて、第1のポリペプチドは、酵母STE18に 由来し、第2のポリペプチドは、異種性G蛋白質γサブユニットに由来する)。
【0010】 好適具体例において、本発明の異種性G蛋白質サブユニットは、哺乳動物のも
のである。特に好適な具体例において、本発明の異種性G蛋白質サブユニットは
、ヒトのものである。
【0011】 一具体例において、本発明の酵母細胞は、第1及び第2のポリペプチドの少な
くとも一方が天然のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質サブユニットを含む。更
に別の具体例においては、キメラG蛋白質サブユニットの第1及び第2のポリペ
プチドの少なくとも一方は、非天然のアミノ酸配列を含む。
【0012】 好適具体例において、本発明の酵母細胞は、酵母細胞に機能的に統合された異
種性G蛋白質共役型レセプターを包含する。 特に好適な具体例においては、本発明の改変された又はキメラのG蛋白質サブユ
ニットは、酵母細胞により発現された異種性G蛋白質共役型レセプターに対する
増大された共役を示す(内因性酵母G蛋白質サブユニットにより示されるものと 比べて)。
【0013】 一具体例において、本発明の酵母細胞は、第2のポリペプチドがヒトGγ2サ
ブユニットに由来するキメラG蛋白質サブユニットを含む。好適具体例において
、第2のポリペプチドは、アミノ酸配列ArgGluLysLysPhePhe
(SEQ ID NO:33のアミノ酸19〜24)を含む。特に好適な具体例において、キ
メラG蛋白質サブユニットは、SEQ ID NO:33に示した配列を含む。
【0014】 好適具体例において、本発明の酵母細胞は、下記よりなる群から選択するキメ
ラG蛋白質サブユニットを含む:pgal(41)−Gαi2;gpal(41)−
Gα16;及びgpal(41)−Gαs。一層好適な具体例において、本発明の
酵母細胞は、キメラG蛋白質サブユニットを含む(このキメラG蛋白質サブユニ ットのGαi2、Gα16又はGαs部分は、野生型Gαi2、Gα16又はG
αsと比べてアミノ酸置換を含む)。
【0015】 更に別の具体例において、本発明の酵母細胞は、第2のキメラG蛋白質サブユ
ニットを含む(ここに、この第2のキメラG蛋白質サブユニットは、酵母G蛋白 質サブユニット由来の第1のポリペプチドと哺乳動物G蛋白質サブユニット由来
の第2のポリペプチドを有し、そしてこの第2のキメラG蛋白質サブユニットは
、酵母細胞により発現される第1のキメラG蛋白質サブユニットと異なっている
)。好適具体例において、この第2のキメラG蛋白質サブユニットの第2のポリ ペプチドは、下記よりなる群から選択する蛋白質に由来する:哺乳動物Gαサブ
ユニット、哺乳動物Gβサブユニット及び哺乳動物Gγサブユニット。
【0016】 好適具体例において、本発明の酵母細胞は、機能的形態の内因性酵母フェロモ
ンシステムレセプター蛋白質を生成しない。
【0017】 ある具体例においては、本発明の酵母細胞は、異種性G蛋白質共役型レセプタ
ーのG蛋白質への機能的共役に際して検出可能なシグナルを生成する指標遺伝子
を含む。
【0018】 好適具体例において、本発明の酵母細胞は、オーファンレセプターである異種
性G蛋白質共役型レセプターを含む。
【0019】 他の具体例において、この発明は、異種性G蛋白質共役型レセプター、改変G
蛋白質サブユニット及び指標遺伝子を含む酵母細胞を用意し、その酵母を試験化
合物に接触させ;そして酵母細胞における検出可能なシグナルの変化を誘導する
化合物を同定するステップを含む、GαとGβγの分離を調節することのできる
化合物を同定するためのアッセイを提供する(ここに、該検出可能なシグナルは 、GαとGβγの分離を示す)。
【0020】 ある具体例において、本発明のアッセイを用いて、非ペプチド性有機分子のラ
イブラリーからの化合物を試験する。
【0021】 他の面において、この発明は、それぞれG蛋白質を含む第1、第2、第3及び
第4の酵母細胞を用意することを含む、異種性G蛋白質共役型レセプターを調節
する化合物を同定する方法を提供する、 ここに; 1)第1の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニット由来の第1のポリペプチド
と哺乳動物G蛋白質サブユニット由来の第2のポリペプチドを含む第1のキメラ
G蛋白質サブユニットを含み;2)第2の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニッ
ト由来の第1のポリペプチドと哺乳動物G蛋白質サブユニット由来の第2のポリ
ペプチドを含む第2のキメラG蛋白質サブユニットを含み、この第2のG蛋白質
サブユニットは、前記の第1のキメラG蛋白質サブユニットと異なり;3)第3
の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニット由来の第1のポリペプチドと哺乳動物
G蛋白質サブユニット由来の第2のポリペプチドを含む第3のキメラG蛋白質サ
ブユニットを含み、この第3のキメラG蛋白質サブユニットは、前記の第1及び
第2のキメラG蛋白質サブユニットと異なり;4)第4の酵母細胞は、内因性酵
母gpa1G蛋白質サブユニット;及び酵母フェロモンシステム経路と共役する
異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)をコードする発現可能な遺伝子構築
物;及び異種性G蛋白質共役型レセプターのG蛋白質への機能的共役に際して検
出可能なシグナルを生成する指標遺伝子を含む。このアッセイは、この第1、第
2、第3及び第4の酵母細胞を試験化合物と接触させ;そしてこの試験化合物が
少なくとも第1、第2、第3又は第4の酵母細胞において検出可能なシグナルの
変化を誘導するかどうかを測定し、それにより、異種性GPCRを調節する化合
物を同定することを含む。
【0022】 好適具体例において、このアッセイを、第2のポリペプチドが哺乳動物Gαi
サブユニットに由来するキメラG蛋白質サブユニットを含む酵母細胞を用いて行
う。他の好適具体例において、このキメラG蛋白質サブユニットの第2のポリペ
プチドは、哺乳動物のGα16サブユニットに由来する。更に別の好適具体例に
おいて、このキメラG蛋白質サブユニットの第2のポリペプチドは、哺乳動物G
αsサブユニット由来である。
【0023】 このアッセイの更に別の具体例において、第1のキメラG蛋白質サブユニット
は、哺乳動物Gα12由来のポリペプチドを含み、第2のキメラG蛋白質サブユ
ニットは、哺乳動物Gα16由来のポリペプチドを含み、そして第3のキメラG
蛋白質サブユニットは、哺乳動物Gαs由来のポリペプチドを含む。好適具体例
において、第2のキメラG蛋白質サブユニットは、Gα16(S270P)を含み
、第3のキメラG蛋白質サブユニットは、Gαs(S229S)を含む。
【0024】 他の好適具体例において、第1、第2及び第3の酵母細胞の各々は、更に、第
4のキメラG蛋白質サブユニットを含み、該第4のキメラG蛋白質サブユニット
は、酵母STE18由来の第1のポリペプチド及び哺乳動物G蛋白質γサブユニ
ット由来の第2のポリペプチドを含む。
【0025】 主題のアッセイのある具体例においては、第1、第2、第3及び第4の酵母細
胞を、試験化合物のライブラリーの各メンバーと接触させる。好適具体例におい
て、該ライブラリーの各メンバーは、非ペプチド性有機分子である。
【0026】 好適具体例において、この第1、第2、第3及び第4の酵母細胞は、サッカロ
ミセス・セレビシエ細胞である。
【0027】 この発明の一具体例において、検出可能なシグナルを生じる指標遺伝子を、下
記よりなる群から選択する:βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、西
洋ワサビペルオキシダーゼ、エキソグルカナーゼ、ルシフェラーゼ、BAR1、
PHO5、グリーン蛍光蛋白質及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェ
ラーゼ。
【0028】 更に別の具体例において、検出可能なシグナルを生じる指標遺伝子は、HIS
3遺伝子である。
【0029】 この発明の一具体例において、酵母細胞により発現される異種性G蛋白質共役
型レセプターは、オーファンレセプターである。
【0030】 更に別の面において、この発明は、カルボキシ末端キメラG蛋白質サブユニッ
ト及びサンドイッチキメラG蛋白質サブユニットを指向する。従って、一具体例
において、この発明の酵母細胞は、少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が異
種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換され
た内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニットを含む。
【0031】 他の具体例において、この発明の酵母細胞は、少なくとも最後の4つのC末端
アミノ酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ
酸で置換され且つN末端が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも5つのN末
端アミノ酸に操作可能に結合された内因性Gpa1サブユニットを含むキメラG
蛋白質サブユニットを含む(ここに、該異種性G蛋白質サブユニットは、同じで あるか又は異なる)。
【0032】 他の具体例において、この発明の酵母細胞は、下記を含む: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
される異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、酵母 細胞のフェロモン応答経路における内因性酵母フェロモンレセプターの代用物と
して作用する);及び キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置
換された内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット( 該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節が、検出可能
なシグナルを与える)。
【0033】 他の具体例において、この酵母細胞は、細胞膜中で発現されたレセプターの細
胞外領域との相互作用を可能にする位置に輸送される異種性ポリペプチド;及び
レセプターのシグナル変換活性の異種性ポリペプチドによる調節が検出可能なシ
グナルを与えるだけ十分なレベルで発現される異種性ポリペプチドを含む。
【0034】 更に別の具体例において、この酵母細胞は、フェロモン応答経路により活性化
されるレポーター構築物を含み、ここに、異種性ポリペプチドは、レセプターの
シグナル変換活性の異種性ポリペプチドによる調節がこのレポーター構築物によ
り媒介される検出可能なシグナルを与えるだけ十分なレベルで発現される。
【0035】 更に別の具体例において、この発明の酵母細胞は、FAR1、SST2、BA
R1、SVG1、STE2、STE3、STE14、MFa1、MFa2、MF
a1及びMFa2よりなる群から選択する少なくとも一つの遺伝子中に突然変異
を含み;該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節は、
検出可能なシグナルを与える。
【0036】 この発明は又、組換え酵母細胞の混合物をも指向し、その各々の細胞は細胞膜
を有し、各々の細胞は下記を含む: 該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセプ
ターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現さ
れる異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR); キメラG蛋白質サブユニットの発現が異種性GPCRを酵母細胞のフェロモン
応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が
異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換さ
れた内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット;及び 細胞膜中で発現されたレセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする位置
に輸送される異種性ポリペプチド(この細胞混合物は、集合的に、該異種性ポリ ペプチドのライブラリーを発現し、該ライブラリーは、該レセプターのシグナル
変換活性のライブラリー内の異種性ポリペプチドによる調節が検出可能なシグナ
ルを与えるするだけ十分なレベルで発現することができる)。
【0037】 他の面において、この発明は、サンドイッチキメラG蛋白質サブユニットを指
向する。一具体例において、この発明の酵母細胞は、下記を含む: レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセプターの細胞外領域と細胞外
シグナルとの相互作用により調節されるように、酵母細胞の細胞膜中で発現され
た異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、酵母細胞 のフェロモン応答経路における内因性酵母フェロモンレセプターの代用物として
作用する);及び 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が第1の異種性G蛋白質サブユニット
の少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換され且つN末端が第2の異種性
G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5つのN末端アミノ酸に操作可能に結
合されている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニッ
ト(ここに、該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットは、該キメラG蛋白 質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母のフェロモン応答経路に機能
的に統合するように同じであるか又は異なり;そして該異種性GPCRのシグナ
ル変換活性の細胞外シグナルによる調節が、検出可能なシグナルを与える)。
【0038】 他の具体例において、この発明は、組換え酵母細胞の混合物であり、その各々
の細胞は細胞膜を有し且つ各々の細胞は下記を含む: レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセプターの細胞外領域と細胞外
シグナルとの相互作用により調節されるように、該酵母細胞の細胞膜中で発現さ
れた異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置
換され且つN末端が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5つのN末
端アミノ酸と操作可能に結合された内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメ
ラG蛋白質サブユニット;及び 細胞膜中で発現された該レセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする位
置へ輸送される異種性ポリペプチド(この細胞混合物は、集合的に、該異種性ポ リペプチドのライブラリーを発現し、該ライブラリーは、該レセプターのシグナ
ル変換活性のライブラリー内の異種性ポリペプチドによる調節が検出可能なシグ
ナルを与えるだけ十分なレベルで発現することができる)。
【0039】 他の具体例において、この発明の酵母細胞は、下記を含む: レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセプターの細胞外領域と細胞外
シグナルとの相互作用により調節されるように、該酵母細胞の細胞膜中で発現さ
れた異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、酵母細 胞のフェロモン応答経路における内因性酵母フェロモンレセプターの代用物とし
て作用する);及び 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が第1の異種性G蛋白質サブユニット
の少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換され且つ少なくとも最初の4つ
のN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の6つ
のN末端アミノ酸で置換されている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメ
ラG蛋白質サブユニット(ここに、該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニッ トは、該キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞の
フェロモン応答経路に機能的に統合するように同じであるか又は異なり;そして
該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節が、検出可能
なシグナルを与える)。
【0040】 好適具体例において、このキメラG蛋白質は、少なくとも5つのC末端アミノ
酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換さ
れ且つ最初の5つのN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質サブユニットの最初
の11のN末端アミノ酸で置換された内因性酵母Gpa1サブユニットを含み、
ここに、該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットは、同じである。
【0041】 他の好適具体例において、このキメラG蛋白質サブユニットは、最後の5つの
C末端アミノ酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミ
ノ酸で置換され且つ最初の23のN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質サブユ
ニットの最初の21のN末端アミノ酸で置換された内因性酵母Gpa1サブユニ
ットを含み、ここに、該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットは、同じで
ある。
【0042】 他の面において、この発明は、少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が異種
性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換された
内因性Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニットである。
【0043】 好適具体例において、該Gpa1の最後の5つのC末端アミノ酸は、異種性G
蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換される。
【0044】 他の好適具体例において、該Gpa1の最後の6つのC末端アミノ酸は、異種
性G蛋白質サブユニットの最後の6つのC末端アミノ酸で置換される。
【0045】 他の具体例において、この発明は、少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が
第1の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で
置換され且つN末端が第2の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5
つのN末端アミノ酸に操作可能に結合されている内因性Gpa1サブユニットを
含むキメラG蛋白質サブユニットであり、ここに、該第1及び第2の異種性G蛋
白質サブユニットは、同じであるか又は異なる。
【0046】 好適具体例において、該Gpa1の最後の5つのC末端アミノ酸は、該第一の
異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換されており且
つ該Gpa1の最初の5つのN末端アミノ酸は、該第二の異種性G蛋白質サブユ
ニットの最初の11のN末端アミノ酸で置換されている。
【0047】 他の好適具体例において、該Gpa1の最後の5つのC末端アミノ酸は、該第
一の異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換されてお
り且つ該Gpa1の最初の23のN末端アミノ酸は、該第二の異種性G蛋白質サ
ブユニットの最初の21のN末端アミノ酸で置換されている。
【0048】 他の好適具体例において、この第一及び第二の異種性G蛋白質サブユニットは
、同じである。
【0049】 他の面において、この発明は、下記を含む、酵母細胞により発現される異種性
G蛋白質共役型レセプターのモジュレーターを同定する方法である: この発明の酵母細胞の混合物を試験化合物に接触させ; この混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ; そして 該レセプターのモジュレーターとしての試験化合物を同定する。
【0050】 他の具体例において、この発明は、下記を含む、酵母細胞により発現される異
種性G蛋白質共役型レセプターのモジュレーターを同定する方法である: この発明の酵母細胞の混合物を該レセプターのリガンドと接触させ; この混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ; そして この酵母細胞により発現される異種ポリペプチドを該レセプターのモジュレー
ターとして同定する。
【0051】 他の具体例において、この発明は、下記を含む、酵母細胞により発現された異
種性G蛋白質共役型レセプターのモジュレーターを同定する方法である: 請求項78に記載の酵母細胞の第一の混合物を酵母細胞の第二の混合物と接触
させ、ここに、酵母細胞の第二の混合物は、集合的に、第一の混合物の酵母細胞
の細胞膜中で発現された該レセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする位
置に輸送される異種の試験ポリペプチドのライブラリーを発現し; 第一の混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ;そして 第二の混合物中の異種性試験ポリペプチドをこの酵母細胞により発現された該
レセプターのモジュレーターとして同定する。
【0052】 他の具体例において、酵母細胞により発現された異種性G蛋白質共役型レセプ
ターのモジュレーターを同定する方法は、下記を含む: この発明の組換え酵母細胞の混合物を用意し、ここに、該酵母細胞の各々にお
ける異種性ポリペプチドは、異種性試験ポリペプチドであり; この混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ; そして 異種性試験化合物を該異種性レセプターのモジュレーターとして同定する。
【0053】 更に別の具体例においては、下記を含む、この発明の酵母細胞により発現され
る異種性G蛋白質共役型レセプターのモジュレーターを同定する方法を提供する
: この発明の酵母細胞の混合物を該レセプターのリガンドと接触させ; この混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ; そして この酵母細胞により発現された異種性ポリペプチドを該レセプターのモジュレ
ーターとして同定する。
【0054】 この発明は又、下記のキメラをも指向している:SEQ ID NO:107のアミノ酸
配列を含むキメラG蛋白質サブユニット;SEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含
むキメラG蛋白質サブユニット;SEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含むキメラ
G蛋白質サブユニット;SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
サブユニット;SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質サブユニ
ット;SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質サブユニット;SE
Q ID NO:113のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質サブユニット;SEQ ID NO:
114のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質サブユニット;SEQ ID NO:115の
アミノ酸配列を含むキメラG蛋白質サブユニット;SEQ ID NO:118のアミノ酸
配列を含むキメラG蛋白質サブユニット;及びSEQ ID NO:123のアミノ酸配列
を含むキメラG蛋白質サブユニット。
【0055】
【発明の詳細な説明】
本発明は、とりわけ、酵母細胞で発現された異種性G蛋白質共役型レセプター
(GPCR)の活性を特異的に調節する医薬的に有効な化合物のスクリーニング及
び同定のための迅速な、効果的なアッセイを提供する。これらの主題のアッセイ
は、多数の化合物(例えば、ライブラリー中の化合物)を迅速にスクリーニングし
て、レセプターアゴニスト又はアンタゴニストであるものを同定することを可能
にする。重要な組成物例えば新規な組換え酵母細胞及び新規な遺伝子構築物も又
、本発明に包含される。これらのアッセイは、細胞機能の調節並びに細胞のレセ
プターと特異的に相互作用する化合物の薬理学の理解に有用であり得る化合物の
発見のための便利な形式を提供する。
【0056】 本発明の実施においては、当分野で公知の標準的技術を用いることができる。
例えば、Sherman,1991,Methods Enzymol.194:3; Sherman及びHicks,1991,Method
s Enzymol.194:21; Sambrook等,Molecular Cloning A Laboratory Manual,第二 版(Sambrook,Fritsch及びManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press:19
89又は1991年版)を参照されたい。
【0057】 この発明の更なる説明の前に、この明細書、実施例及び添付の請求の範囲で用
いた幾つかの用語を、便宜のために、ここに集める。
【0058】 I.定義 用語「化合物」は、ここで用いる場合(例えば、「試験化合物」)、外因的に加
えた試験化合物とペプチドライブラリーから内因的に発現されたペプチドの両方
を包含することを意味する。例えば、ある幾つかの具体例においては、試薬細胞
は、スクリーニングされる試験化合物をも生成する。例えば、試薬細胞は、例え
ば、異種性レセプター活性を調節する能力についてスクリーニングされる試験ポ
リペプチド、試験核酸及び/又は試験炭水化物を生成することができる。かかる
具体例においては、かかる試薬細胞の培養物は、集合的に、潜在的エフェクター
分子のライブラリーを与え、レセプター機能を作動し又は拮抗するこのライブラ
リーのメンバーを選択し又は同定することができる。その上、この試薬細胞を用
いて、関心あるレセプターを介するシグナルを変換する作用因子を検出すること
ができるということが明らかとなろう。
【0059】 他の具体例においては、この試験化合物を、外因的に加える。かかる具体例に
おいては、この試験化合物を試薬細胞と接触させる。活性についてスクリーニン
グされ得る典型的化合物には、ペプチド、核酸、炭水化物、小型有機分子及び天
然物抽出ライブラリーが含まれるが、これらに限らない。かかる具体例において
は、レセプター媒介のシグナリング機能を作動し又は拮抗する両化合物を選択し
て同定することができる。
【0060】 用語「非ペプチド性化合物」は、少なくとも部分的に、自然のペプチド結合に
より結合された天然のL−アミノ酸残基と異なる分子構造よりなる化合物を包含
することを意図している。しかしながら、「非ペプチド性化合物」は、完全に又
は部分的に、擬似ペプチド構造例えばD−アミノ酸、非天然L−アミノ酸、改変
されたペプチド主鎖等並びに、完全に又は部分的に、自然のペプチド結合により
結合された天然のL−アミノ酸残基と関係のない分子構造からなる化合物を包含
することを意図している。「非ペプチド性化合物」は又、天然生成物を包含する
ことをも意図している。
【0061】 ここで用いる場合、「組換え細胞」は、異種DNAの導入により改変された任
意の細胞を包含する。対照用細胞は、組換え細胞と実質的に同じであるが、異種
DNAによりコードされる少なくとも一の蛋白質を発現しない(例えば、レポー ター遺伝子構築物、レセプター又は試験ポリペプチドを含まず又は発現しない) 細胞を包含する。
【0062】 ここで用いる場合、「異種DNA」又は「異種核酸」は、ゲノムの部分として
自然には存在しないDNA又は自然において存在する位置と異なるゲノム中の位
置で見出されるDNAを包含する。異種DNAは、自然にはその位置に存在せず
又はそれが導入された細胞にとって内因性でなく他の細胞から得られたものであ
る。一般に、必然的ではないが、かかるDNAは、通常それが発現される細胞に
より生成される蛋白質をコードする。異種DNAは、異なる種に由来するのが好
ましいが、同種由来であってもよい。特に好適な具体例においては、それは、哺
乳動物例えばヒトのものである。異種DNAは、外来DNAとも呼ばれる。当業
者が細胞にとって異種であり又は外来性であると認め又は考える任意のDNAは
、ここでは、用語異種DNAに包含される。異種DNAの例には、試験ポリペプ
チド、レセプター、レポーター遺伝子、転写及び翻訳調節配列、又は選択マーカ
ー若しくは追跡用マーカー蛋白質例えば薬物耐性を付与する蛋白質をコードする
DNAが含まれるが、これらに限られない。
【0063】 用語「異種蛋白質」、「組換え蛋白質」及び「外因性蛋白質」は、この明細書
中で交換可能に用いられ、組換えDNA技術により生成されたポリペプチドをい
う(該技術においては、一般に、ポリペプチドをコードするDNAを適当な発現 ベクター中に挿入し、それを用いて宿主細胞をトランスフォームして異種蛋白質
を生成する)。即ち、このポリペプチドは、異種核酸から発現される。
【0064】 「オーファンレセプター」は、特異的な天然のリガンドが未だ記載されていな
いレセプターに与えられる呼称である。
【0065】 ここで用いる場合、用語「細胞外シグナル」は、直接又は間接に細胞外シグナ
ルと相互作用する細胞表面蛋白質を介して細胞内に変換される環境中の分子及び
変化を包含することを意図している。細胞外シグナル又はエフェクター分子には
、ある仕方で細胞表面蛋白質の活性を変化させる任意の化合物又は物質が含まれ
る。かかるシグナルの例には、細胞表面レセプターに結合してかかるレセプター
の活性を調節するアセチルコリン、成長因子及びホルモン等の分子、脂質、糖及
びヌクレオチドが含まれるが、これらに限られない。用語「細胞外シグナル」に
は、細胞レセプターの活性を調節しそれにより細胞内機能に影響を及ぼす未だ同
定されてない物質も含まれる。かかる細胞外シグナルは、特異的細胞表面レセプ
ターの活性を調節することにより特定の病気を治療するために用いることのでき
る潜在的な薬理学的作用因子である。
【0066】 ここで用いる場合、「細胞表面レセプター」は、細胞の表面に存在し、細胞外
環境と相互作用して、その環境に関する情報を細胞内に、細胞内の第2のメッセ
ンジャーの活性又は特異的プロモーターの転写(特異的遺伝子の転写を生じる)を
調節する仕方で伝達し又は変換する分子をいう。「異種性レセプター」は、「異
種蛋白質」の特別の具体例であり、異種性レセプターは、異種DNAによりコー
ドされ、この異種DNAの組換え細胞中での発現に際して異種性レセプターがそ
の組換え細胞中で発現される。好適なレセプターは、G蛋白質共役型レセプター
であり、典型的GPCRを、ここに詳細に記載する。
【0067】 用語「シグナル変換」は、細胞外環境から細胞膜を通しての細胞内への物理的
又は化学的シグナルの処理を包含することを意図しており、酵素(例えば、プロ テアーゼ又は他のリン酸化パターン若しくは他の翻訳後修飾を変えることのでき
る酵素)の活性化/不活性化、イオンチャンネル若しくは細胞内イオン貯蔵の活 性化、グアニンヌクレオチド結合蛋白質中間体を介するエフェクター酵素の活性
化、イノシトールホスフェートの形成、アデニリルシクラーゼの活性化若しくは
不活性化、転写因子の直接的活性化(又は阻害)及び/又は活性化等の幾つかの機
構の内の少なくとも一つにより起こり得る。「シグナリング経路」は、特定のシ
グナルの細胞内への「シグナル変換」に関与する成分をいう。用語「内因性シグ
ナリング経路」は、シグナリング経路の幾つかの又はすべての成分がその細胞の
天然の成分であることを指す。かかる経路の例は、酵母の内因性フェロモンシス
テム経路である。
【0068】 用語「機能的に統合された」(「細胞内のシグナリング経路に機能的に統合さ れた」又は「内因性酵母シグナリング経路に機能的に統合された」レセプター等
)は、レセプターの細胞表面で発現される能力及び発現されたレセプターのモジ ュレーター(例えば、レセプターのリガンド)に結合してシグナルをその細胞のシ
グナリング経路の成分を介して細胞内に変換する能力をいうことを意図している
。例えば、酵母細胞の内因性フェロモン応答経路に機能的に統合されたG蛋白質
共役型レセプター(GPCR)は、その酵母細胞の表面で発現され、その酵母細胞
内のフェロモン応答経路のG蛋白質と共役し、そのレセプターへのモジュレータ
ーの結合に際してその酵母内にシグナルを変換する。酵母細胞に機能的に統合さ
れるべきG蛋白質サブユニットについて、かかるサブユニット例えばキメラの、
変異型の又は異種性のサブユニットは、GPCR及び他のG蛋白質サブユニット
(これも、酵母細胞にとって内因性であってよく、キメラであってよく又は異種 性であってよい)の両方と共役することができなければならない。変換されたシ グナルは、交配因子に対する幾つかの応答の何れか一つを測定することにより検
出することができる(かかる応答は、酵母細胞で起きるものであり、例えば、成 長停止又はフェロモンシステム経路の調節により生成されるシグナルに応答性の
指標遺伝子の転写)。
【0069】 用語「指標遺伝子」は、一般に、標的レセプター又はイオンチャンネルにより
調節されるシグナル変換経路に応答して発現される発現可能な(例えば、転写さ れ得て且つ(適宜)翻訳され得る)DNA配列をいう。典型的な指標遺伝子には、 宿主細胞の未改変の内因性遺伝子、改変された内因性遺伝子、又は異種性構築物
のレポーター遺伝子(例えば、レポーター遺伝子構築物の部分)が含まれる。
【0070】 用語「内因性遺伝子」は、自然において細胞のゲノムの部分である細胞内の遺
伝子をいうことを意図しており、最も好ましくは、そのゲノム中での自然の位置
に存在する(細胞に導入された「異種」DNAに対して)。同様に、用語「内因性
蛋白質」は、細胞の内因性遺伝子によりコードされる細胞の蛋白質を包含するこ
とを意図している。
【0071】 指標遺伝子として用いるべき内因性遺伝子は、その遺伝子の天然の調節エレメ
ント(例えば、その遺伝子の発現を自然に調節する天然のプロモーター/エンハ ンサーエレメント)又はを含むことができ、又は内因性遺伝子は、「異種性プロ モーター」(又は他の異種性調節エレメント)に「機能的に結合」(即ち、機能的 に共役)され得る。「異種性プロモーター」は、この異種性プロモーターが機能 的に結合された遺伝子を自然においては調節しないプロモーターをいう。例えば
、通常フェロモン応答性でない内因性酵母遺伝子を、酵母フェロモンシステムに
より生成されるシグナルに応答性の異種性プロモーターに機能的に結合しそれに
よりフェロモン応答性をその内因性酵母遺伝子に付与することができる。内因性
酵母遺伝子の指標遺伝子としての利用方法は、米国特許出願第____号(表題 「Methods and Compositions for Identifying Receptor Effectors」、199 7年9月24日出願、弁理士帳簿番号CPI−031CP2)に更に記載されて いる(この内容を明白に本明細書中に参考として援用する)。
【0072】 用語「内因性シグナリング経路により生成されるシグナルの変化の検出」(例 えば、内因性酵母シグナリング経路)は、内因性シグナリング経路の成分の活性 化に際して生じる内因性の第2メッセンジャーの変化、内因性シグナリング経路
の成分の活性化に際して誘導される内因性遺伝子転写の変化、及び/又は内因性
シグナリング経路の成分の活性化に際しての内因性蛋白質の活性の変化の検出を
包含することを意図している。ある具体例において、用語「内因性シグナリング
経路により生じるシグナルの変化の検出」は又、細胞に対する一般的な、全体的
な変化例えば細胞成長又は細胞形態の変化の検定をも包含することができる。
【0073】 ここで用いる場合、「レポーター遺伝子構築物」は、転写調節配列に機能的に
結合された「レポーター遺伝子」を含む核酸をいう。このレポーター遺伝子の転
写は、これらの配列により制御される。これらの制御配列の少なくとも一つの活
性は、標的レセプター蛋白質により直接又は間接に調節される。これらの転写調
節配列には、プロモーター及び他の調節領域例えばプロモーター活性を調節する
エンハンサー配列、又はプロモーターを認識するRNAポリメラーゼの活性若し
くは効率を調節する調節配列、又はエフェクター分子(細胞外シグナルと標的レ セプターとの相互作用により特異的に誘導されるものを含む)により認識される 調節配列が含まれる。例えば、プロモーターの活性の調節は、RNAポリメラー
ゼのプロモーター領域への結合を変えることにより、或は、転写の開始又はmR
NAの伸長を邪魔することにより達成され得る。かかる配列は、ここでは、集合
的に、転写調節エレメント又は配列と呼ぶ。更に、この構築物は、生じたmRN
Aの翻訳を変化させ、それによりレポーター遺伝子産物の量を変化させるヌクレ
オチド配列を含むことができる。本発明のレポーター遺伝子構築物は、異種的に
発現されたレセプターの調節に応じて変換されたシグナルに応答して検出可能な
読出しを与える。
【0074】 「(異種性)レセプターの調節」及び「レセプター蛋白質のシグナル変換活性の
調節」等における用語「調節」は、様々な文法形態において、レセプター活性の
誘導及び/又は増強作用並びに阻害及び/又はダウンレギュレーション及び/又
はレセプターの少なくとも一のシグナル変換経路のダウンレギュレーションを包
含することを意図している。
【0075】 アゴニスト及びアンタゴニストは、レセプターを介するシグナル変換を調節す
る「レセプターエフェクター」分子である。レセプターエフェクター分子は、レ
セプターに結合することができ(必ずしも天然のリガンドの結合部位ではない)、
或は、例えばレセプターを調節する成分か又はそのレセプターにより開始された
シグナル変換経路において機能する成分の活性に影響を及ぼすことによりレセプ
ターの活性を調節することができる。レセプターエフェクターは、単独で用いて
シグナル変換を調節することができる(即ち、代用リガンドたり得る)し、又は天
然のリガンド若しくは他の公知のアクチベーターの存在下でシグナル変換を変化
させることができる(この天然のリガンドは、シグナリングを促進し又は阻害す る)。例えば、「アンタゴニスト」は、レセプターのシグナル変換活性をブロッ クし又は減じる分子であり、例えば、それらは、競争的に、非競争的に及び/又
はアロステリックに、レセプターからのシグナル変換を阻害するが、他方、「ア
ゴニスト」は、レセプターのシグナル変換活性を増強し、誘導し又は増大させる
。用語「代用リガンド」は、レセプターからのシグナル変換を誘導するアゴニス
トをいう。
【0076】 用語「自己分泌細胞」は、ここで用いる場合、物質を生成する同一細胞上又は
内部に位置するレセプターを刺激し得る物質を生成する細胞をいう。例えば、野
生型MATα及びMATa細胞は、自己分泌性でない。しかしながら、α因子と
α因子レセプターの両方又はa因子とa因子レセプターの両方を機能的形態で生
成する酵母細胞は、自己分泌性である。拡大により、レセプターを活性化する能
力に関して(例えば、G蛋白質共役型レセプターの活性化により)スクリーニング
されたペプチドを生成し且つレセプターも発現する細胞は、「自己分泌細胞」と
呼ばれる。幾つかの場合には、かかる細胞は、幾つかの細胞は、発現されたレセ
プターを活性化しないであろうライブラリー由来のペプチドを発現するであろう
から、「推定上の自己分泌細胞」とも呼ばれ得る。多数の異なるペプチドが生成
されるかかる細胞のライブラリーにおいては、少なくとも一の細胞がこの用語の
一層厳密な意味において「自己分泌性」であることは、ありそうなことである。
【0077】 ここで用いる場合、用語「キメラの」G蛋白質サブユニットは、少なくとも2
つの別個のポリペプチド(酵母G蛋白質サブユニット由来の第1のポリペプチド 及び異種性G蛋白質サブユニット由来の第2のポリペプチド)からなるG蛋白質 サブユニットをいう。これらの第1及び第2のポリペプチドの各々は、核酸構築
物によりコードされ、この構築物の発現に際して機能的なキメラG蛋白質サブユ
ニット(即ち第2のポリペプチドに結合された第1のポリペプチドを含む融合蛋 白質)が生成されるように機能的に結合される。好適具体例において、この異種 性G蛋白質サブユニットは、哺乳動物のものである。特に好適な具体例において
、この異種性G蛋白質サブユニットは、ヒトのものである。例えば、本発明のキ
メラG蛋白質サブユニットは、Gαに結合されたGPA、Gγに結合されたST
E18、又はGβに結合されたSTE4からのポリペプチドを含むことができる
。好適具体例において、特にキメラGαサブユニットに関して、酵母GPA1か
らのキメラサブユニットの部分は、GPA1のアミノ末端の一部分を含み、33
0アミノ酸長未満である。特に好適な具体例において、GPA1に由来するキメ
ラサブユニットの部分は、約40アミノ酸である。他の具体例においては、GP
A1由来のキメラサブユニットの部分は、約20アミノ酸である。
【0078】 ここで用いる場合、内因性酵母蛋白質に関して用語「機能的形態で生成されな
い」は、幾つかの理由により、例えばこの蛋白質をコードする遺伝子の突然変異
又はこの蛋白質をコードする遺伝子の欠失例えば破壊の故に、機能的形態で生成
されない蛋白質を包含することを意図している。用語「機能的形態で生成されな
い」は又、条件的突然変異(例えば、ある条件下では蛋白質が機能的形態で生成 されない温度感受性突然変異)を包含することも意図している。
【0079】 ここで用いる場合、アミノ酸突然変異を示すために用いられる用語、例えば「
S270P」等は、野生型アミノ酸残基(標準的一文字コード)を表し、その後ア
ミノ酸位置を表し、その後置換されたアミノ酸(標準的一文字コード)を表してい
る。従って、S270Pは、270位の野生型セリンのプロリンでの置換を示し
ている。これらの用語例えば「Gαs(S270P)」等は、示された置換を有す
るG蛋白質を表す。従って、用語Gαs(S270P)は、野生型の270位のセ
リンに置き換わったプロリンを有するGαsサブユニットを表す。
【0080】 句「最後の例えば4つのC末端アミノ酸」及び「最初の例えば6つのN末端ア
ミノ酸」は、ポリペプチドに関して、ここで用いる場合、そのアミノ酸は、左か
ら右へ順次的に読まれる(N末端は、ずっと左にあり、C末端は、ずっと右にあ る)。例えば、50アミノ酸のポリペプチドにおいて、「最後の5つのC末端ア ミノ酸」は、アミノ酸46〜50をいう。同様に、「最初の6つのN末端アミノ
酸」は、アミノ酸1〜6をいう。
【0081】 用語「位置への輸送」は、ここで用いる場合、酵母細胞の一領域で生成される
がその酵母細胞の別の領域に移動する異種ポリペプチドをいう。
【0082】 用語「十分なレベルで発現される」は、ここで用いる場合、レセプターのシグ
ナル変換活性を調節することのできる量で生成される異種ポリペプチドをいう。
【0083】 用語「第1の異種性G蛋白質サブユニット」は、用語「第1の異種性Gαサブ
ユニット」交換可能に用いられ、Gpa1蛋白質のC末端又はN末端アミノ酸を
置換するのに用いられるGαサブユニットのファミリーのメンバーをいう。この
「第1のG蛋白質サブユニット」は又、Gpa1蛋白質のN末端に操作可能に結
合することもできる。Gαサブユニットの例には、Gα16;Gαs;Gαs;
Gαs;Gαs;Gαs;Gαi2;GαoB;Gα12;Gα12;及びGα
i2が含まれる。用語「第2の異種性G蛋白質サブユニット」は、用語「第2の
異種性Gαサブユニット」と交換可能に用いられ、Gpa1蛋白質のC末端又は
N末端アミノ酸を置換するのに用いられるGαサブユニットのファミリーのメン
バーである。キメラG蛋白質において、Gpa1蛋白質は、第1の異種性G蛋白
質サブユニットによりC末端で置換され得る。「サンドイッチキメラG蛋白質」
において、Gpa1蛋白質のC末端アミノ酸は、第1の異種性G蛋白質サブユニ
ットにより置換することができ、N末端は、第2の異種性G蛋白質サブユニット
で置換し又は該サブユニットに操作可能に結合することができる。これらの第1
及び第2の異種性G蛋白質サブユニットは、同じであってよく(例えば、Gq− Gpa1−Gq、Gs−Gpa1−Gs等)、又はこれらの第1及び第2の異種 性G蛋白質サブユニットは、異なってよい(例えば、Gq−Gpa1−Gs、G α−Gpa1−Gq等)。
【0084】 ポリペプチドに関して、用語「機能的に結合された」及び「操作可能に結合さ
れた」は、ここでは交換可能に用いられ、2つのポリペプチドが各々意図された
機能を果たすことができる仕方で繋がれることを意味することを意図している。
典型的には、これらの2つのポリペプチドは、ペプチド結合により共有結合で結
合される。この融合蛋白質は、好ましくは、標準的組換えDNA技術により生成
される。例えば、第1のポリペプチドをコードするDNA分子を第2のポリペプ
チドをコードする他のDNA分子に連結し、生成したハイブリッドDNA分子を
宿主細胞中で発現させてその融合蛋白質を生成する。これらのDNA分子を、互
いに、5’から3’の向きで、連結後にコードされているポリペプチドの翻訳用
フレームが変化しないように連結する(即ち、これらのDNA分子を、互いに、 イン・フレームで連結する)。
【0085】II.アッセイの概観 上記のように、本発明は、レセプター蛋白質の又はレセプター蛋白質複合体の
エフェクターを同定する方法に関係する。本アッセイは、レセプターアゴニスト
又はアンタゴニストに関する試験化合物を試すための組換え酵母細胞の混合物の
利用により特徴付けられる。以下に一層詳細に記載する通り、試薬細胞は、細胞
に機能的に統合されて酵母細胞中で検出可能なシグナルを変換することのできる
異種性GPCR蛋白質を発現する。典型的なGPCRを、以下で議論する。レセ
プター機能を作動し又は拮抗する化合物を選択し、次いで、そのレセプターによ
り生成される生化学的シグナルに基づいて又は何らかの一層遠いレセプター媒介
された刺激の結果(例えば、内因性mRNA発現の増加等)に基づいて同定するこ
とができる(幾つかの具体例においては、かかるシグナルに応答性のレポーター 遺伝子の利用による)。ある具体例においては、試験すべき化合物のライブラリ ーは、酵母細胞により発現されて自己分泌様式での刺激を引き起こすペプチドラ
イブラリーである。
【0086】 標的レセプターのシグナル変換活性を調節する化合物の能力は、検出シグナル
のアップ又はダウンレギュレーションを検出することにより評価することができ
る。例えば、レセプターにより刺激されるGTPアーゼ活性、リン脂質加水分解
又は蛋白質リン酸化を直接測定することができる。或は、レポーター遺伝子の利
用は、読出しを与えることができる。何れにせよ、検出シグナルにおける統計的
に有意な変化を用いて、標的レセプターのエフェクターである試験ポリペプチド
をコードする核酸を含む混合物に由来する細胞の関心ある化合物の単離を容易に
することができる。
【0087】 ある具体例においては、本アッセイにおいて用いるためのこれらの酵母細胞は
、異種性GPCR及びそのレセプターと共役する内因性G蛋白質サブユニットを
発現する。好ましくは、本発明の酵母細胞は、GPCRの酵母フェロモンシグナ
リング経路への共役が増大されるように改変されている。例えば、好適具体例に
おいて、これらの酵母細胞は、異種性GPCR及びこのレセプターの酵母細胞へ
の機能的統合を容易にする変異した内因性G蛋白質サブユニットを発現する。他
の好適具体例において、これらの酵母細胞は、異種性GPCR及び異種性G蛋白
質サブユニットを発現する。特に好適な具体例においては、異種性GPCR及び
異種性G蛋白質サブユニットは、同一起源例えば哺乳動物起源である。更に別の
好適具体例においては、これらの酵母細胞は、変異した異種性G蛋白質サブユニ
ットを発現する。
【0088】 更に別の好適具体例において、これらの酵母細胞は、キメラG蛋白質サブユニ
ットを発現する。特に好適な具体例において、異種性GPCR及びキメラG蛋白
質サブユニットの異種性セグメントは、同じ起源に由来する。一層好適な具体例
において、このG蛋白質サブユニットキメラ中の第二のアミノ鎖配列は、哺乳動
物G蛋白質サブユニットに由来する。特に好適な具体例において、この第二のア
ミノ酸配列は、ヒトG蛋白質サブユニット配列に由来する。
【0089】 上記の具体例は、互いに排他的ではないということは、更に理解されよう。例
えば、ある好適具体例において、酵母細胞は、第一の変異した又はキメラのG蛋
白質サブユニットと第二の別の変異した又はキメラのG蛋白質サブユニットを発
現して異種性レセプターに対する共役を増大させることができる。
【0090】 ある具体例において、これらの酵母細胞は又、異種性G蛋白質共役型レセプタ
ーのG蛋白質への機能的共役に際して検出可能なシグナルを生成する指標遺伝子
をも発現する。ある具体例においては、この指標遺伝子は、標的レセプターのシ
グナル変換活性に応答性の少なくとも一つの転写調節エレメントに機能的に結合
されたレポーター遺伝子を含むレポーター遺伝子構築物であり、このレポーター
遺伝子の発現レベルがレセプター依存性の検出シグナルを与える。レポーター遺
伝子からの転写の量は、当業者に公知の任意の方法を用いて測定することができ
る。例えば、特異的なmRNA発現をノーザンブロットを用いて検出することが
でき、特異的な蛋白質産物を特徴的な染色又は固有の活性によって同定すること
ができる。好適具体例において、レポーターの遺伝子産物を、その産物と結合し
た固有の活性によって検出する。例えば、レポーター遺伝子は、酵素活性により
、色、蛍光又はルミネセンスに基づく検出シグナルを生じる遺伝子産物をコード
することができる。
【0091】 指標遺伝子の活性化例えばレポーター遺伝子の発現の量を、次いで、同じ細胞
における試験化合物の不在時の発現の量と比較し、又は特異的レセプターを欠く
実質的に同じ細胞における転写の量と比較することができる。対照用細胞は、組
換え細胞を調製したのと同じ細胞(異種DNA例えば試験ポリペプチドをコード する異種DNAの導入により改変されていないもの)に由来してよい。或いは、 それは、特異的レセプターが除去された細胞であってよい。転写の量の如何なる
差異(例えば統計的に有意の差異)も、試験化合物が何らかの仕方で特異的レセプ
ターの活性を変化させたことを示す。
【0092】 他の好適具体例において、レポーター遺伝子は、この化合物がレセプターに対
するエフェクターである細胞が成長における利点を有するように選択方法を与え
る。例えば、レポーターは、細胞生存力を増大させ、細胞の栄養要求性を軽減し
そして/又は薬物に対する耐性を与えることができた。
【0093】 これらの読出しの何れか一つを用いることにより、異種性レセプターを介する
シグナリングを調節する化合物を選択することができる。もしこの化合物がレセ
プター蛋白質を介するシグナリングを調節するようでなければ、アッセイを反復
することができ又、組換え細胞を最初に標的レセプターの公知のアクチベーター
と接触させてそのレセプターからのシグナル変換を誘導し且つ例えばレセプター
アンタゴニストを同定するためにこの化合物をそのレセプター活性を阻害する能
力についてアッセイするステップの導入により改変することができる。更に別の
具体例においては、化合物を、レセプターの公知のアクチベーターに対する応答
を強化するメンバーについてスクリーニングすることができる。
【0094】III.宿主細胞 本発明の宿主細胞は、培養することができ且つ外因性レセプターを宿主細胞の
適当なシグナル変換機構に組み合わせることのできる酵母の任意の種であってよ
い。典型的な種には、Kluyverei lactis、Schizosaccharomyces pombe及びUstil
aqo maydisが含まれるが、サッカロミセス・セレビシエが好適である。本発明の
実施に用いることのできる他の酵母は、Neurospora crassa、Aspergillus niger
、Aspergilus nidulans、Pichia pastoris、Candida tropicalis及びHansenula
polymorphaである。用語「酵母」は、ここで用いる場合、厳密な分類学的意味に
おける酵母即ち単細胞生物のみならず、酵母様の多細胞のカビ又は糸状菌も含む
【0095】 適当な宿主細胞の選択も又、検出シグナルの選択により影響を受けるであろう
。例えば、上記のようなレポーター構築物は、標的レセプターに共役したシグナ
ル変換経路に応答性の転写活性化(又は不活性化)に際して選択可能な又はスクリ
ーニング可能な特徴を与える。指標遺伝子は、宿主細胞経路で前に未改変の遺伝
子例えば酵母における成長停止の原因である遺伝子であってよい。ある具体例に
おいて、宿主細胞遺伝子は、「レセプター応答性」プロモーターに操作可能に結
合されていてよい。或いは、それは、そのように結合された異種遺伝子であって
よい。適当な遺伝子及びプロモーターは、以下で議論する。
【0096】 最適の選択又はスクリーニングを達成するためには、宿主細胞の表現型が考慮
されよう。例えば、フェロモン応答性のキメラHIS3遺伝子の野生型HIS3
遺伝子を有する酵母への導入は、遺伝的選択を失敗させるであろう。従って、栄
養による選択を達成するためには、栄養要求性の株が好ましい。ヒスチジンに対
する栄養要求性である酵母株(HIS3)が、知られており、Struhl及びHill,(19
87)Mol.Cell.Biol.,7:104; Fasullo及びDavis,Mol.Cell.Biol.,(1988)8:4370を
参照されたい。このHIS3(イミダゾールグリセロールホスフェートデヒドラ ターゼ)遺伝子が酵母における選択マーカーとして用いられた。Sikorski及びHei
ter,(1989)Genetics,122:19; Struhl等,P.N.A.S.(1979)76:1035を参照されたい
FUS1−HIS3融合物については、Stevenson等,(1992)Genes Dev.,6:129
3を参照されたい。
【0097】 ある具体例においては、宿主酵母細胞は、別の方法で改変されていてよい。例
えば、相同なレセプターを介するシグナリングによる影響を最小にするために、
突然変異又は欠失等によって、細胞内に存在する相同なレセプター例えばフェロ
モンレセプターを不活性化することは望ましい。宿主細胞の遺伝子に関して、「
不活性化」は、機能的遺伝子産物の生成が阻止され又は阻害されることを意味す
る。不活性化は、遺伝子の欠失、発現が起こらないようなプロモーターの突然変
異又は遺伝子産物が不活性となるようなコード配列の突然変異により達成するこ
とができる。不活性化は、部分的であっても全体的であってもよい。
【0098】 主題のアッセイの好適具体例において、これらの酵母細胞は、下記の特徴の少
なくとも一つを有する:(a)内因性FUS1遺伝子が不活性化されており;(b)
内因性SST2遺伝子及び/又は脱感作に関与する他の遺伝子が不活性化されて
おり;(c)もし相同な内因性のレセプター遺伝子があるならば、それは不活性化
されており;そして(d)もし酵母が外因性レセプターに対する内因性リガンドを
生成するならば、そのリガンドをコードする遺伝子は不活性化されている。
【0099】 外因性レセプターが連続的にペプチドにさらされることは望ましい。幾つかの
場合には、これは、刺激に対するフェロモン経路の脱感作を生じ得る。例えば、
交配シグナル変換経路は、フェロモンの分解及びフェロモンシグナル変換のレセ
プター、G蛋白質及び/又は下流エレメントの機能のSST2、STE50、A
FR1(Konopka,J.B.(1993)Mol.Cell.Biol.13:6876-6888)及びSGV1、MSG
5及びSIG1遺伝子の産物による改変を含む幾つかの機構により脱感作される
ことが知られている。これらの遺伝子における選択された突然変異は、フェロモ
ンに対する過敏及びフェロモンの存在に対する適応不能へと導く。例えば、機能
を邪魔する突然変異を、異種性G蛋白質共役型レセプターを発現している株へ導
入することは、野生型株に対する有意の改善を構成し、これらのレセプターと相
互作用する化合物についての極めて鋭敏なバイオアッセイの開発を可能にする。
他の突然変異例えばSTE50、sgv1、bar1、ste2、ste3、p
ik1、msg5、sig1及びaft1は、このバイオアッセイの感度を増加
させる同様の効果を有する。従って、脱感作は、SST遺伝子を、もはや機能的
蛋白質を生成しないように突然変異させること(欠失を含み得る)により又は上記
の他の遺伝子の一つを突然変異させることにより回避することができる。
【0100】 ある具体例においては、宿主酵母細胞を補完することが望ましいであろう(例 えば、宿主細胞の不活性化遺伝子の最小の部分的機能を外因性核酸により供給す
ることができる)。例えば、酵母細胞は、レセプター及びシグナル変換蛋白質の 哺乳動物の相同物による補完により、「哺乳動物化」されそして「ヒト化」さえ
され得る。説明のために、酵母のByr2/Ste11遺伝子の不活性化を、ヒ
トのMEKK遺伝子の発現により補完することができる。
【0101】 主題のアッセイで用いるための補完は、如何なる過度の実験も要せずに構築す
ることができる。実際、多くの酵母の哺乳動物のシグナル変換蛋白質による遺伝
的補完が、当分野においては記載されている。例えば、Mosteller等(1994)Mol C
ell Biol 14:1104-12は、ヒトのRas蛋白質がS.cerevisiaeにおけるras突 然変異の喪失を補完し得ることを示している。その上、Toda等(1986)Princess T
akamatsu Symp 17:253-60は、ヒトのras蛋白質が酵母におけるRAS1及び RAS2蛋白質の喪失を補完することができ、それ故、機能的に相同であること
を示している。ヒト及び酵母のRAS蛋白質の両者は、酵母膜に存在するマグネ
シウム及びグアニンヌクレオチド依存性アデニレートシクラーゼ活性を刺激する
ことができる。Ballester等(1989)Cell 59:681-6は、哺乳動物のGAP蛋白質を
酵母S.cerevisiae中で発現するベクターを記載している。酵母中で発現された場
合、GAPは、ヒトのras蛋白質の機能を阻害し、IRA1の喪失を補完する
。IRA1は、GAPに対する相同性を有する蛋白質をコードする酵母遺伝子で
あり、RASの上流で作用する。哺乳動物のGAPは、それ故、酵母において機
能して酵母RASと相互作用する。Wei等(1994)Gene 151:279-84は、ヒトのRa
s特異的なグアニンヌクレオチド交換因子Cdc25GEFがS.cerevisiaeにお
けるCDC25機能の喪失を補完することができることを記載している。Marteg
ani等(1992)EMBO J 11:2151-7は、CDC25、S.cerevisiaeRASアクチベー ターの相同物をコードするマウスcDNAの機能的補完によるクローン化を記載
している。Vojtek等(1993)J Cell Sci 105:777-85及びMatviw等(1992)Mol Cell
Biol 12:5033-40は、マウスCAP蛋白質例えばras媒介のシグナル変換に関 係するアデニリルシクラーゼ関連蛋白質が、如何にしてS.cerevisiaeの欠陥を補
完することができるのかを記載している。Papasavvas等(1992)Biochem Biophys
Res Commun 184:1378-85も又、不活性化された酵母のアデニルシクラーゼが哺乳
動物のアデニルシクラーゼ遺伝子によって補完され得ることを示唆している。Hu
ghes等(1993)Nature 364:349-52は、分裂酵母におけるbyr1の哺乳動物MA Pキナーゼキナーゼ(MEK)による補完を記載している。Parissenti等(1993)Mo
l Cell Endocrinol 98:9-16は、ウシのプロテインキナーゼC(PKC)の酵母に おける再構成を記載している。Ca(2+)及びリン脂質依存性のSer/Thr
キナーゼPKCは、哺乳動物細胞における細胞性シグナルの変換において重要な
役割を演じている。Marcus等(1995)PNAS 92:6180-4は、S.pombeにおけるshk 1ヌル突然変異の構造的に関係するS.cerevisiaeのSte20又は哺乳動物のp
65PAKプロテインキナーゼによる補完を示唆している。
【0102】IV.発現系 一般に、発現ベクターが宿主細胞内で複製できることは望ましい。異種DNA
は、宿主ゲノムに組み込まれ得て、その後染色体DNAの一部として複製される
か、又はそれは、プラスミドの場合のように自律的に複製するDNAであっても
よい。後者の場合においては、ベクターは、宿主において機能的な複製起点を含
む。組込み型ベクターの場合には、そのベクターは、組込みを容易にする配列例
えば宿主の配列に相同な配列又はインテグラーゼをコードする配列を含むことが
できる。
【0103】 細菌、カビ、酵母及び哺乳動物細胞宿主で用いるための適当なクローニングベ
クター及び発現ベクターは、当分野で公知であり、例えば、Powels等(Cloning V
ectors: A Laboratory Manual, Elsevier, New York, 1985)に記載されている。
哺乳動物用発現ベクターは、非転写エレメント例えば複製起点、発現すべき遺伝
子に結合された適当なプロモーター及びエンハンサー及び5’又は3’隣接非転
写配列、並びに5’又は3’非翻訳配列例えば必須のリボソーム結合部位、ポリ
アデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、及び転写終結配列を
含むことができる。
【0104】 酵母における組換え蛋白質の発現のための多くのベクターが存在する。例えば
、YEP24、YIP5、YEP51、YEP52、pYES2、及びYRP1
7は、遺伝的構築物をS.cerevisiaeに導入するのに有用なクローニング及び発現
用ビヒクルである(例えば、Broach等(1983)[Experimental Manipulation of Gen
e Expression (M.Inouye編)Academic Press,p.83](参考として本明細書中に援用
する)を参照されたい)。これらのベクターは、pBR322の複製起点が存在す
るので大腸菌中で複製することができ且つ酵母の2ミクロンプラスミドの複製デ
ターミナントの故にS.cerevisiae中で複製することができる。更に、薬物耐性マ
ーカー(例えば、アンピシリン)を利用することができる。酵母における機能に適
したプロモーターには、メタロチオネイン、3−ホスホグリセレートキナーゼ(H
itzeman等,J.Biol.Chem.255,2073(1980))又は他の解糖系酵素(Hess等,J.Adv.Enz
yme Req.7,149(1968);及びHolland等Biochemistry 17,4900(1978))例えばエノ ラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナ
ーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−
6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルベート
キナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラー
ゼ及びグルコキナーゼ用のプロモーターが含まれる。酵母での発現に用いるため
の適当なベクター及びプロモーターは、更に、R.Hitzeman等,EPO Publn.No.73,6
57に記載されている。成長条件により制御される転写の更なる利点を有する他の
プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホ
スファターゼ、窒素代謝と関係する分解酵素及び上記のメタロチオネイン及びグ
リセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ並びにマルトース及びガ
ラクトース利用の原因となる酵素のためのプロモーター領域である。最後に、2
つの一倍体交配型の一方でのみ活性なプロモーターは、ある環境では適当であり
得る。これらの一倍体特異的プロモーターの内で、フェロモンプロモーターMF
a1及びMFα1は、特に興味深い。
【0105】V.レセプター 多くの異なるレセプター型が、本発明で用いるための酵母細胞において発現さ
れ得る。
【0106】 本発明の「異種性レセプター」は、本発明の目的のために、遺伝子工学処理さ
れる細胞にとって外因性である任意のG蛋白質共役型レセプターであってよい。
このレセプターは、例えば、植物細胞レセプターであっても動物細胞レセプター
であってもよい。植物細胞レセプターへの結合に関するスクリーニングは、例え
ば除草剤の開発において有用であり得る。動物レセプターの場合には、それは、
無脊椎動物起源であっても脊椎動物起源であってもよい。無脊椎動物レセプター
は、例えば、殺虫剤の開発を容易にするであろう。酵母の様々な種に由来するレ
セプターの発現も又、用語「異種性」に含まれ、防カビ剤の開発において利用す
ることができよう。このレセプターは又、脊椎動物の、一層好ましくは哺乳動物
の、更に一層好ましくはヒトのレセプターであってもよい。この外因性レセプタ
ーも又、好ましくは、7回膜貫通セグメントレセプターである。
【0107】 GPCRの公知のリガンドには、プリン及びヌクレオチド例えばアデノシン、
cAMP、ATP、UTP、ADP、メラトニン等;生体アミン(及び関連天然 リガンド)例えば5−ヒドロキシトリプトアミン、アセチルコリン、ドーパミン 、アドレナリン、アドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ノルアドレナリン
、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン、チラミン/オクトパミン及び他の関連
化合物;ペプチド例えば副腎皮質刺激ホルモン(acth)、メラノサイト刺激ホ
ルモン(msh)、メラノコルチン、ニューロテンシン(nt)、ボンベシン及び関
連ペプチド、エンドセリン、コレシストキニン、ガストリン、ニューロキニンb
(nk3)、無脊椎動物タキキニン様ペプチド、サブスタンスk(nk2)、サブス
タンスp(nk1)、ニューロペプチドy(npy)、状腺刺激ホルモン放出因子( trf)、ブラジキニン、アンギオテンシンii、べータ−エンドルフィン、c 5aアナフィラトキシン、カルシトニン、ケモカイン(インタークリンとも呼ば れる)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(crf)、ダイノルフィン、エンドルフ ィン、fmlp及び他のホルミル化ペプチド、フォリトロピン(fsh)、カビ交
配フェロモン、ガラニン、胃抑制性ポリペプチドレセプター(gip)、グルカゴ
ン様ペプチド(glps)、グルカゴン、ゴナドトロピン放出ホルモン(gnrh)
、成長ホルモン放出ホルモン(ghrh)、昆虫利尿ホルモン、インターロイキン
−8、リウトロピン(lh/hcg)、met−エンケファリン、オピオイドペプ
チド、オキシトシン、副甲状腺ホルモン(pth)及びpthrp、下垂体アデニ
リルシクラーゼ活性化ペプチド(pacap)、セクレチン、ソマトスタチン、ト
ロンビン、甲状腺刺激ホルモン(tsh)、血管作動性腸管ペプチド(vip)、バ
ソプレシン、バソトシン;エイコサノイド例えばip−プロスタサイクリン、p
g−プロスタグランジン、tx−トロンボキサン;レチナールに基づく化合物例
えば脊椎動物の11−シスレチナール、無脊椎動物の11−シスレチナール及び
他の関連化合物;脂質及び脂質ベースの化合物例えばカンナビノイド、アナンド
アミド、リゾホスファチジン酸、血小板活性化因子、ロイコトリエン等;興奮性
アミノ酸及びイオン例えばカルシウムイオン及びグルタメートが含まれる。
【0108】 好適なG蛋白質共役型レセプターには、α1A−アドレナリン作動性レセプタ
ー、α1B−アドレナリン作動性レセプター、α2−アドレナリン作動性レセプ
ター、α2B−アドレナリン作動性レセプター、β1−アドレナリン作動性レセ
プター、β2−アドレナリン作動性レセプター、β3−アドレナリン作動性レセ
プター、m1アセチルコリンレセプター(AChR)、m2AChR、m3ACh
R、m4AChR、m5AChR、D1ドーパミンレセプター、D2ドーパミン
レセプター、D3ドーパミンレセプター、D4ドーパミンレセプター、D5ドー
パミンレセプター、A1アデノシンレセプター、A2bアデノシンレセプター、
5−HT1aレセプター、5−HT1bレセプター、5HT1様レセプター、5
−HT1dレセプター、5HT1d様レセプター、5HT1dべータレセプター
、サブスタンスK(ニューロキニンA)レセプター、fMLPレセプター、fML
P様レセプター、アンギオテンシンII型1レセプター、エンドセリンETAレ
セプター、エンドセリンETBレセプター、トロンビンレセプター、成長ホルモ
ン放出ホルモン(GHRH)レセプター、血管作動性腸管ペプチドレセプター、オ
キシトシンレセプター、ソマトスタチンSSTR1及びSSTR2、SSTR3
、カンナビノイドレセプター、濾胞刺激ホルモン(FSH)レセプター、リウトロ
ピン(LH/HCG)レセプター、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプター、トロ
ンボキサンA2レセプター、血小板活性化因子(PAF)レセプター、C5aアナ
フィラトキシンレセプター、インターロイキン8(IL−8)IL−8RA、IL
−8RB、デルタオピオイドレセプター、カッパーオピオイドレセプター、mi
p−1/RANTESレセプター、ロドプシン、レッドオプシン、グリーンオプ
シン、ブルーオプシン、代謝共役型グルタメートmGluR1−6、ヒスタミン
H2レセプター、ATPレセプター、ニューロペプチドYレセプター、アミロイ
ド蛋白質前駆体レセプター、インシュリン様成長因子IIレセプター、ブラジキ
ニンレセプター、ゴナドトロピン放出ホルモンレセプター、コレシストキニンレ
セプター、メラノサイト刺激ホルモンレセプター、抗利尿ホルモンレセプター、
グルカゴンレセプター、及び副腎皮質刺激ホルモンIIレセプターが含まれる。
【0109】 他の適当なレセプターは、当分野で公知である。用語「レセプター」は、ここ
で用いる場合、天然の及び変異されたレセプターの両方を包含する。
【0110】 これらのG蛋白質共役型レセプターの多くは、酵母のa及びα因子レセプター
と同様に、7つの疎水性アミノ酸リッチな領域を含み、これらは、原形質膜内に
位置すると想定される。従って、酵母における発現のために、その遺伝子を、処
理される細胞内のプロモーター機能に及びやはりその細胞内で機能するシグナル
配列に操作可能に結合することができる。例えば、適当なプロモーターには、 te2Ste3及びgal10が含まれる。適宜、遺伝子のコドンを、酵母に
おける発現に最適化する。Hoekema等(1987)Mol.Cell.Biol.,7:2914-24;Sharp等
(1986)14:5125-43を参照されたい。
【0111】 幾つかの場合には、酵母で発現される外来レセプターは、その酵母膜中に機能
的に統合され、そこで、内因性酵母G蛋白質と相互作用する。別の場合には、レ
セプターを改変するか、又は適合性のG蛋白質若しくはキメラの(即ち、一部酵 母/一部哺乳動物)G蛋白質サブユニット(外因性レセプターG蛋白質と適当に相
互作用するもの)を用意することができる。STRの相同性は、Dohlman等,Ann.R
ev.Biochem.(1991)60:653-88において議論されている。STRを比較すると、相
同性の明確な空間的パターンが識別され得る。膜貫通ドメインは、しばしば、最
も類似しているが、他方、N末端及びC末端領域並びに膜貫通セグメントV及び
VIを繋ぐ細胞質ループは、一層異なっている。種々のSTR領域の機能的な重
要性は、点突然変異(置換及び欠失の両方)を導入することにより及び異なるが関
連するSTRのキメラを構築することにより研究されてきた。個々のセグメント
に対応する合成ペプチドも又、活性について試験された。アフィニティーラベリ
ングがリガンド結合部位を同定するために用いられてきた。かかる情報は、機能
性を増大するためにGPCR中に突然変異を造るのに有用であり得る。
【0112】 天然の外因性GPCRが酵母中で機能的にされ得ないならば、それを、この目
的のために突然変異させることができる。外因性レセプターと酵母のレセプター
のアミノ酸配列の比較をすることができ、高い相同性の領域と低い相同性の領域
を同定することができる。次いで、試行的突然変異を行って、リガンド又はG蛋
白質の結合に関与する領域をこの膜における機能的統合に必要なものから区別す
る。外因性レセプターを、次いで、後者の領域において、機能的統合が達成され
るまで、一層酵母レセプターに似るように変異させる。もしこれが機能性を達成
するのに十分でないならば、次に、突然変異を、G蛋白質結合に関与する領域で
行う。
【0113】 好ましくは、酵母ゲノムを、アッセイの解釈を容易にするために、機能的形態
の外因性レセプターに相同な酵母レセプターを生成できないように改変する。例
えば、内因性G蛋白質又はG蛋白質サブユニットを突然変異させて例えば温度感
受性変異体を生成する。
【0114】 レセプターをクローニングするために用いた一般的技術は、核酸ハイブリダイ
ゼーション技術により他の公知のレセプターに相同なレセプターを同定する。例
えば、レセプターのクローニングは、対応する蛋白質の単離と配列決定により、
又はこれらのレセプター間の配列相同性に基づく発現クローニング技術の利用に
より達成することができる。この技術は、レセプターのリガンドの以前の知識を
必要としないので、公知のリガンドを有さずしばしば生物学的機能がはっきりし
ない多数の「オーファンレセプター」のクローニングを生じた。
【0115】 多くのオーファンレセプターは、GPCRであるが、すべての型のレセプター
がこの大きいファミリーを含む。公知のオーファンレセプターには、核レセプタ
ーCOUP−TF1/EAR3、COUP−TF2/ARP1、EAR−1、E
AR−2、TR−2、PPAR1、HNF−4、ERR−1、ERR−2、NG
F1B/Nur77、ELP/SF−1及びMPL(Parker等、前出、及びPower
等(1992)TIBS13:318-323)が含まれる。多数のオーファンレセプターが、E PHファミリーにおいて同定されてきた(Hirai等(1987)Science 238:1717-1720)
。HER3及びHER4は、上皮成長因子レセプターファミリーにおけるオーフ
ァンレセプターである(Plowman等(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1746-1750)
。ILAは、ヒト神経成長因子/腫瘍壊死因子レセプターファミリーの新規に同
定されたメンバーである(Schwarz等(1993)Gene 134:295-298)。IRRRは、膜 貫通チロシンキナーゼであるオーファンインシュリンレセプター関連レセプター
である(Shier等(1989)J.Biol.Chem.264:14606-14608)。幾つかのオーファンチロ
シンキナーゼレセプターがキイロショウジョウバエにおいて見出されている(Per
rimon(1994)Curr.Opin.Cell Biol.6:260-266)。
【0116】 一面において、本発明は、GPCR(特に、オーファンGPCR)のアゴニスト
及びアンタゴニストについて試験するために最適化された新規なアッセイを提供
する。これらのアッセイは、酵母の4つの異なる株の利用を含む(各株は、G蛋 白質サブユニットの異なる相補性を含むように処理されている)。このG蛋白質 サブユニットの様々な組合せの発現は、どのG蛋白質サブユニットのキメラ(又 はサブユニットの組合せ)がスクリーニングアッセイにおいて最もよく機能する かを知らなくても機能的共役を得る見込みを増大させる。オーファンレセプター
のリガンドを同定することの重要性は明らかであり、それは、薬物発見の領域に
おいて研究のための広い領域を開く。
【0117】VI.G蛋白質サブユニット及び複合体 ある場合には、天然型の酵母又は哺乳動物のG蛋白質サブユニットを改変する
のが望ましいであろう。例えば、異種性GPCRが内因性酵母G蛋白質サブユニ
ットと十分に共役しない場合、かかるサブユニット例えばGPA1を改変して共
役を改善することができる。かかる改変は、当分野で公知の又は以下に一層詳細
に記載する方法を用いて、突然変異例えば位置指定突然変異又はランダム突然変
異によってなされ得る。
【0118】 或は、異種性サブユニットを発現させることができる。ヘテロ三量体のG蛋白
質に対するレセプターの共役の特異性は、主として、G蛋白質のαサブユニット
により決定される。従って、好適具体例において、異種性Gαサブユニットは、
酵母細胞において発現される。酵母のGα、GPA1の優勢な役割は、このヘテ
ロ三量体のエフェクターシグナリングβγ成分に結合し、封鎖することである。
従って、酵母フェロモンシグナリング経路中への機能的統合を達成するために、
異種性Gαサブユニットは、無活動状態の酵母βγに結合し、レセプターの活性
化に際してそれを遊離しなければならない。
【0119】 もし機能的統合が達成されないか又は最適でないならば、異種性サブユニット
を突然変異させることができる。例えば、一般に、哺乳動物Gαサブユニットは
、酵母細胞のβγサブユニットと僅かしか共役しない。自身の内因性Gαサブユ
ニットを欠く酵母においては、共役に対するこの欠落は、未結合の酵母βγのエ
フェクター活性のためにフェロモン経路の構成的活性化を生じる。従って、もし
天然の異種性G蛋白質サブユニットが共役を増大させないならば、改変を行うこ
とができる。かかる改変は、このG蛋白質サブユニットの酵母G蛋白質サブユニ
ットに対する類似性を増す一方で異種性レセプター会合G蛋白質サブユニットに
対する類似性を減じるようにデザインされた突然変異の形態を取ることができる
【0120】 例えば、ある残基を、対応する酵母G蛋白質の残基と同じになるように変化さ
せ、又はその残基の同一交換グループに属するように変化させることができる。
改変後に、その改変G蛋白質サブユニットは、異種性及び/又は酵母G蛋白質サ
ブユニットと「実質的に相同」であってもなくてもよい。
【0121】 Gαの場合には、好ましくは、改変を、Gβγ結合に関与することがありそう
なGαの領域に集中させる。
【0122】 他の具体例においては、改変は、レセプター会合G蛋白質サブユニットの少な
くとも一つのアミノ酸の、対応する酵母G蛋白質サブユニットのアミノ酸での置
換の形態を取り、それにより、キメラG蛋白質サブユニットを形成する。好適具
体例においては、3つ以上の連続するアミノ酸を置換する。他の具体例において
は、点突然変異は、十分であり得る。
【0123】 この発明のキメラG蛋白質サブユニットは、異種性レセプターの内因性酵母シ
グナリング経路に対する共役を増大させる。例えば、キメラのGαサブユニット
は、異種性レセプター及び酵母のGβγ複合体と相互作用し、それによりシグナ
ル変換を可能にする。
【0124】 本発明の酵母細胞は、示されたG蛋白質構造の少なくとも一つを発現する。例
えば、酵母細胞は、キメラのGαサブユニットと内因性酵母Gβγ、哺乳動物G
βγ、変異させた哺乳動物Gβγ又はキメラのGβγを発現することができる。
【0125】 好適具体例において、レセプターと異種性サブユニットの両者は、同一起源例
えば哺乳動物に由来する。特に好適な具体例においては、両者は、ヒト起源であ
る。
【0126】 他の好適具体例においては、異種性又はキメラのG蛋白質サブユニットを発現
する酵母細胞を、内因性の相同なG蛋白質サブユニット遺伝子が破壊されるよう
に改変した。
【0127】 ある具体例においては、フェロモンレセプターを欠き且つフェロモン応答経路
に共役し得る異種性レセプターを有しない酵母株を用いて、内因性酵母G蛋白質
サブユニット、変異させたG蛋白質サブユニット又はキメラのG蛋白質サブユニ
ットの他の酵母サブユニットに対する親和性を評価することができる。例えば、
gpa1p、キメラgpa−Gαs又はGαサブユニットの酵母βγ又は他のキ
メラβγサブユニットに対する親和性を評価することができる。かかる株は、成
長停止へ導くフェロモン応答経路を介するシグナリングのために遊離のβγに依
存する。変異型Gαサブユニットをかかる系において試験することができ、一層
効果的にβγと結合するものはβγを封鎖してシグナリングを減じ又はブロック
する。好ましくは、かかるキメラ及びgpa1サブユニットは、gpa1とβγ
について競争することを避けるように、gpa1-バックグラウンドで評価する ことができる。例えば、D229S、E10K、N254D、又はS286Pを
有するGαsキメラの変異体(下記参照)は、野生型配列を有するキメラより一層
効果的にbgを封鎖することが見出された。二重変異体は、やはり、単一変異体
より更に一層効果的であった。同様に、高度に効率的なPGKプロモーターから
の転写を駆動することによるGαsの過剰発現は、レセプターの共役の低下を生
じたが、これは、二重変異型Gαs(D229S、E10K)の導入により相殺さ
れ得る。
【0128】 G蛋白質サブユニット中の及びキメラG蛋白質サブユニットの構築中の突然変
異の作成についてのガイダンスは、下記に与えられている。
【0129】 位置指定突然変異導入対ランダム突然変異導入 G蛋白質ヘテロ二量体を構成するサブユニットの会合の媒介に関与する決定基
を限定する試みにより提出された構造−機能の問題を解くための多くの技術的に
認められた方法がある。例えば、ハイブリッド構築物について上で議論した一つ
のアプローチにおいて、特異的な突然変異又は変化を、利用できる実験的証拠に
基づいて、分子に導入する。第2のアプローチにおいて、ランダム突然変異導入
技術を、選択又はスクリーニングシステムと一緒に用いて、多数の突然変異を分
子に導入し、次いで、ランダムに変異させた分子の集合を所望の表現型について
の選択にかけ又は所望の表現型が所望しない表現型のバックグラウンドと対照し
て認められるスクリーニングにかける。
【0130】 ランダム突然変異誘発を用いて、全体分子に突然変異を起こさせることができ
る又はカセット突然変異誘発により進めることができる。前者の場合には、分子
の全体のコード領域をいくつかの方法のうちの1つにより突然変異を誘発する(
化学的、PCR、ドープされたオリゴヌクレオチド合成)及びランダムに突然変
異を生じた分子のそのコレクションを、セレクション又はスクリーニング手順に
かける。ランダム突然変異誘発をこの方法で適用することができ、この場合にお
いては研究されている分子は比較的小さく、強力なストリンジェントセレクショ
ン又はスクリーニング(これは、必然的に生ずる突然変異ヘテロタイプの異なっ
たクラス間を区別するのに利用可能である。)が存在する。第2のアプローチに
おいて、所定の構造(即ち、α−へリックス、β−シート、ターン、サーフィス
ループ)又は機能的デテルミナント(例えば、キャタリティッククレフト又はバ
インディングデテルミナント、トランスメンブレンセグメント)にサチュレイテ
ィング又はセミランダム突然変異を受けさせて、これらの突然変異を生じさせた
カセットは他の野生型の対立遺伝子のコンテクストの中へ再導入される。
【0131】 カセット突然変異誘発は、分子の領域に対する特定の機能を示唆するのに有用
な実験的証拠が存在して興味のある突然変異体と興味のない突然変異体とを区別
するのに有用である強力なストリンジェントセレクション又はスクリーニングが
存在する場合に最も有用である。カセット突然変異誘発はまた、親分子が比較的
大きくて、所望のものが逐次的に分子に突然変異を起こさせることにより分子の
機能的ドメインをマップする(即ち、一度に線状のカセット残基に突然変異を起
こさせて、次いで機能についてアッセイする)ことである場合にも有用である。
【0132】 本発明は、Gα−Gβγ又はサブユニット−レセプター会合に含まれるデテル
ミナントを更に詳細に示すためにランダム突然変異誘発を適用することを提供す
る。ランダム突然変異誘発を、多くの手段により達成することができる。この多
くの手段は、 1.エラーを起こしやすいTaqポリメラーゼを利用する蛋白質サブユニット
の突然変異体の対立遺伝子を生成して、酵母において共役する可能性について直
接アッセイを行うPCR突然変異誘発、 2.G−蛋白質をコードする表現カセットを突然変異原に暴露させて、突然変
異体の蛋白質生成物を酵母において共役する可能性について直接アッセイを行う
化学的突然変異誘発、 3.G−蛋白質サブユニット遺伝子の部分をコードしているオリゴヌクレオチ
ドのドープ合成、 4.インビボ突然変異誘発において、E.coliのミューテーター株、XLI−R
ed(mutD5 musS mutT)(Stratagene、Menas
a、WI)を通過させることにより遺伝子のランダム突然変異をG−蛋白質サブ
ユニットのコード領域に導入することを含む。
【0133】 ある具体例では、例えば、ランダム突然変異誘発をGα−Gβγ会合において
含まれると推測される領域に絞ることができる。ランダム突然変異誘発アプロー
チは、2つの理由にのために実行可能となる。第1に、酵母において、哺乳動物
システムでは容易には利用できないストリンジェントスクリーン及び容易な選択
(生育対死、転写対転写欠乏)を構成することができる。第2に、酵母を用いる
場合に、幾千の形質転換株を介して迅速に効率的にスクリーンすることが可能で
ある。例えば、Gαサブユニットの比較的小さい領域が、カセット突然変異誘発
についての妥当な標的を表している。カセット突然変異誘発の影響を受けやすい
可能性のある別の領域はGαi及びトランスデューシンの結晶構造において溶媒
に暴露され形質導入、Gαサブユニットのスイッチ領域の表面の範囲を明確にし
ている。以下に記載されたデータから、この表面は、酵母Gβγサブユニットと
直接接触している残基を含むと考えられる。それ故、この表面は、突然変異誘発
についての妥当な標的であると考えられる。
【0134】 A.Gαの改変 Gα構造のある面は、改変されたGαサブユニットのデザインに関係している
。配列の類似性を測定するために、Gα及びGPA1のアラインメントを生成す
ることができる。Gαs、Gαi及びGα0、Gαq及びGαzを有するGPA
1の全コード領域のアラインメントについては、Dietzel及びKurja
n(1987、Cell 50:573)並びにLambrightら(199
4,Nature 369:621−628)を見よ。追加的な配列情報が、M
atteraら(1986,FEBS Lett206:36−41)、Bra
yら(1986,Proc.Natl.Acad.Sci USA 83:88
93−8897)及びBrayら(1987,Proc.Natl.Acad.
Sci USA 84:5115−5119)により提供されている。GPA1
及び4つの他のGα蛋白質のアラインメントは、Stone及びReed(19
90.mol.CellBiol.10:4439)により提供されている。図
1に示されているアラインメントもまた見よ。
【0135】 S.cerevisiaeのG蛋白質同族体は、Dietzel及びKurj
an(上記)(彼らは、その遺伝子をSCGIと呼んだ。)並びにNakafu
kuら(1987 Proc Natl Acad Sci 84:2140−
2144)(彼らは、その遺伝子をGPA1と呼んだ。)により独立にクローン
化された。配列解析により、この遺伝子及び哺乳類によりコードされている蛋白
質の間の高度の相同性が明らかになった。4つの記載された族、Gαs、Gαi
、Gαq及びGα12/13における大部分の哺乳動物Gαサブユニットについ
て約340−350アミノ酸であるのと比べて、GPA1は、472個のアミノ
酸からなる蛋白質をコードしている。それにもかかわらず、GPA1は、今まで
同定された全Gα蛋白質と全体の配列及び構造的な相同性を共有している。GP
A1における最高の全体の相同性は、Gαi族(48%の同一性、又は保存的置
換を伴って65%)についてのものであり、最低のものは、Gαs族(33%の
同一性、又は保存的置換を伴って51%) (Nakafukuら、上記)につ いてのものである。
【0136】 Gαサブユニット間の高配列相同性の領域は、プライマリ配列に全体にわた り分散されており、その領域は、グアニンヌクレオチド結合/GTPaseドメ
インを含む配列と最高度の相同性マッピングを共有している。このドメインは、
ras蛋白質及び蛋白質合成伸長因子EF−Tuのαβ折りたたみと構造的に類
似する。この高度に保存されたグアニンヌクレオチド−結合ドメインは、1組の
5つのα−へリックスにより取り巻かれた6鎖のβシートからなる。全てのGα
蛋白質(GPA1を含む)中で、最高度の保存が観察されるのは、これらのβシ
ート及びαへリックス内においてである。最小の配列及び構造上の相同性は、コ
アGTPaseドメインを明確に示すβシート及びαへリックス間の介在ループ
に見いだされる。全Gαサブユニットにおいては、合計で4つの「介在ループ」
又は「挿入」が存在する。ウシ桿状体トランスデューシン(bovin rod transduci
n)のGDP及びGTPγSでリガンドされた形態について今日まで報告された結
晶構造(Noelら(1993)Nature 366:654−663);(
Lambrightら(1994)Nature369:621−628)にお
いては、ループ残基は、コアGTPase構造の外部に見いだされている。これ
らのループ構造についての機能的役割は、ほんの2,3の例で確立された。ホス
ホジエステラーゼ−γへの共役における直接的な役割は、Gαtの挿入3及び4
内の残基について示されているが(Rarickら(1992)Science
256:1031−1033);(Artemyevら(1992)J.Bio
l.Chem.267:25067−25072)、「GAPにような」活性は
、Gαsの広域α−ヘリカル挿入1ドメインに起因するとされている(Mark
byら(1993)Science262:1805−1901)。
【0137】 Gαサブユニットのアミノ−及びカルボキシ−末端は、プライマリ、セコンダ
リ又はターシャリレベルのいずれにおいても顕著な相同性を共有することはない
が、それらについてなすことのできるいくつかの帰納的結果が存在する。第1に
、Gαサブユニットのアミノ端末を、GαのGβγ複合体との会合及びN−末端
のミリストイル化を経由する膜会合に関係していた。更に、カルボキシ末端は、
Gαβγヘテロ三量体複合体のG−蛋白質共役レセプターとの会合に関係してい
た(Sullivanら(1987)Nature330:758−760);
(Westら(1985)J.Biol.Chem.260:14428−14
430);(Conklinら(1993)Nature363:274−27
6);(Kallal及びKurjan.1997.Mol.Cell.Bio
l.17:2897)。N−末端の機能についてのこれらの帰納的結果を支持す
るデータは、生化学及び遺伝学の研究の両方を含むいくつかの出典から得られる
ものである。
【0138】 図1は、ヒトGαs、Gαi2、Gαi3、Gα16及びトランスデューシン
の同源のドメインと調整されたGPA1のアミノ末端側の66残基を示している
。GPA41Gα41Gαハイブリッドにおいて、アミノ末端41残基(GPA
1由来のもの)は、配列LEKQRDKNE−(SEQ ID NO:79)と
同一であってその配列で終わっている。位置41でのグルタメート(E)残基の
次に来る全ての残基は、ヒトGαサブユニットにより与えられるものである。そ
のサブユニットは、アミノ酸配列−GxGxxG−(SEQ ID NO:80
)で示されるコンセンサスヌクレオチド結合モチーフを含んでいる。配列におけ
るピリオドは、この領域におけるアラインメントを最大化するのに生じたギャッ
プを示している。コドンバイアスは、哺乳類のものである。Gαs、Gαi及び
Gα0、Gαq及びGαzを有するGPA1の全コード領域のアラインメントに
ついては、Dietzel及びKurjan(1987、Cell 50:57
3)並びにLambrightら(1994,Nature 369:621−
628)を見よ。追加的な配列情報が、Matteraら(1986,FEBS
Lett206:36−41)、Brayら(1986,Proc.Natl
.Acad.Sci USA 83:8893−8897)及びBrayら(1
987,Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:5115−5
119)により提供されている。
【0139】 上記に示したように、Gαサブユニットのアミノ末端中に共有される配列相同
性はあってもほとんどない。第1のβ−シート(配列モチーフ−LLLLGAG
ESG−(SEQ ID NO:81)を含む;Gαサブユニットの構成要素の
ナンバーリングついてはNoelら(上記)をみよ)より先にあるGαサブユニ
ットのアミノ末端ドメインは、41個アミノ酸(GPA1)から31個アミノ酸
(Gαt)まで長さにおいて変化する。大部分のGαサブユニットは、アミノ末
端(MGXaaS−)(SEQ ID NO:82)においてミリスチン酸の付
加についてコンセンサス配列を共有する、しかし、このモチーフを有する全ての
Gαサブユニットが、ミリスチン酸に位置2(Spiegelら(1991)T
IBS16:338−3441)においてグリシンと共有結合させるわけではな
い。この翻訳後改変はの役割は、ミリストイル化についてのコンセンサス配列を
付加又は削除した突然変異体のGαサブユニット活性をアッセイする研究(Mu
mbyら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA87;7
28−732(Linderら(1991)J.Biol Chem.266:
4654−4659);Gallegoら(1992)Proc.Natl.S
ci.USA89:9695−9699)から推量したものである。これらの研
究は、N−末端ミリストイル化についての2つの役割を示唆している。第1に、
アミノ末端ミリスチン酸の存在が、Gαサブユニットの膜との会合のために要求
されるものであり、第2に、この改変は、GαサブユニットのGβγ複合体との
会合を調節する役割を果たしていることが示されている。
【0140】 Gα及びGβγサブユニットとの会合を促進するGαのアミノ末端の役割を試
験する目的としてなされた他の生化学的研究において、GαGαサブユニットの
蛋白質分解により又は遺伝子的に短縮されたものを、Gβγ複合体と会合するそ
のサブユニットの能力、グアニンヌクレオチドを結合するそのサブユニットの能
力及び(又は)エフェクター分子を活性化するそのサブユニットの能力について
アッセイした。全ての場合において、短縮されたアミノ末端を有するGαサブユ
ニットは、全ての3つの機能において不十分であった(Grafら(1992)
J.Biol.Chem.267:24307−24314);(Journo
tら(1990)J.Biol.Chem.265:9009−9015);及
び(Nerrら(1988)J.Biol.Chem.263:8996−90
00)。Slepakら(1993,J.Biol.Chem.268:141
4−1423)が、Escherichia coliにおいて発現された哺乳
類のGαoのN末端の55個のアミノ酸の突然変異分析を報告している。外来の
付加された哺乳類のGβγとの相互作用する能力が明らかに減じられた分子は、
突然変異ライブラリーにおいて同定された。しかしながら、著者が指摘したよう
に、そのアッセイは、百日咳毒素により突然変異GαのADPリボシル化の範囲
で突然変異体をスクリーニングするのに用いたアッセイはGαとGβγとの相互
作用のプローブとしては完全に満足のいくものではなかった。サブユニットの相
互作用を阻害するものとして同定された突然変異体は、このアッセイを用いて、
GαとGβγとの複合体形成をなおもすることができたが、毒素によりGαのリ
ボシル化を立体的に妨害した。他の研究により、GPA1の機能において重要な
GPA1の特定のアミノ酸残基が明らかになった。例えば、E307K突然変異
体は、Gβサブユニットについての広くなった特異性を有するサブユニットを産
生すると思われる(Whitewayら、1994.Mol.Cell.Bio
l.14:3223)。興味があるのは、E307位置と等価の哺乳類Gαサブ
ユニットにおける残基は、哺乳類のαサブユニットの特定のクラスについて特徴
的である。例えば、Gsαサブユニットはこの位置においてリシンを含み、この
位置において、Go及びGiαサブユニットはヒスチジンを含み、トランスデュ
ーシンαサブユニットはグルタミンを有し、Gqαサブユニットはプロリンを有
し、G13αサブユニットはアスパラギン酸を有する(Whitewayら、上記
)。
【0141】 遺伝子的研究により、ヘテロ三量体サブユニット会合におけるGαのアミノ端
末デテルミナントの役割がGPA1−哺乳類Gαハイブリッドを用いた酵母系(
Kangら(1990)Mol.Cell.Biol.10:2582−259
0)及びGαi/Gαsハイブリッドを用いた哺乳類系(Russell及びJ
ohnson(1993)Mol.Pharmacol.44:255−263
)を試験した。前者の研究において、酵母GPA1及び哺乳類のGα配列からな
る遺伝子の融合は、Kangら(上記)により構成された、S.cerevis
iaeにおけるgpalナル表現型(即ち、フェロモン応答経路の構成的活性化
)を補完する能力についてアッセイした。Kangらは、野生型哺乳類Gαs、
Gαi(Gαoではなく)蛋白質が酵母Gαと会合するのに有用でありgpal
ナル表現型を抑制した。しかし、これは、過剰発現の場合のみに限られた。GP
A1配列のアミノ末端330残基を含む融合蛋白質は、哺乳類Gαs、Gαi及
びGαoカルボキシ末端領域の160、143、又は142に各々リンクしてい
る。これらはまた、強力な誘導性(CUP)又は構成性(PGK)プロモーター
を有する高コピープラスミドについて過剰発現の場合に酵母接合応答経路に共役
している。これらのハイブリッド分子の3つ全ては、成長阻止アッセイにおいて
gpalナル突然変異を相補ることができ、更にα−因子応答性及び検定系統に
おける接合を阻害することができた。これらの後者の2つの観察は、ハイブリッ
ド酵母−ヒトGαサブユニットは直接酵母Gβγと相互作用することができ、そ
れにより酵母ヘテロ三量体の通常の機能を阻害する。しかしながら、Gαs、G
αi又はGαoのアミノ末端ドメインを含む融合は、gpa1ナル突然変異表現
型を補完せず、酵母Gβγ複合体の会合及びゼクエストレーション(sequestrati
on)のためのGPA1のアミノ末端の330個のアミノ酸残基におけるデターミ ントについての要求を示した。更に、これらのデータは、Gαサブユニットのア
ミノ末端領域におけるてデテルミナントが一般にGβγサブユニットとの会合す
る能力だけでなく種制限的方法で特定のGβγサブユニットと会合する能力を決
定することを示唆している。
【0142】 ハイブリッドGαi/Gαoサブユニットを、哺乳類表現システムにおいてア
ッセイした(Russell及びJohnson(上記)。これらの研究では、
多数のキメラGαサブユニットを、アデニリルシクラーゼを活性化する能力につ
いてアッセイした。それ故、間接的にGβγと相互作用する能力についてアッセ
イしたことになる(即ち、GβγへのGαの共役=不活性シクラーゼ、Gβγか
らのGαの非共役=活性シクラーゼ))。これらの研究から、複合体の実情は、
ハイブリッドの25から96残基の間の領域におけるデテルミナントがグアニン
ヌクレオチドの交換対GTPの加水分解の割合と生体内でアデニリルシクラーゼ
を活性する程度に反映されるこれらの対立遺伝子の活性化状態を決定することが
明らかになった。これらのデータは、アミノ末端メチオニンとGαtの結晶構造
において同定されるβシート(上記Noelら及び上記Lambrightを見
よ)との間の領域における構造的要素が(1)Gα及びGβγサブユニットの間の 会合/解離することを駆動すること、(2)GDP/GTP交換を駆動することに よりヘテロ三量体の活性状態を決定することと関係のあるという仮説を支持する
ものである。Gαのこの領域における残基及びGβγサブユニットにおける残基
が相互に接触するという考えを支持する、これらの研究により提供される直接の
証拠はないが、それでもなお、そのデータは機能を保持するハイブリッドGαサ
ブユニットの構造について肯定的な表示を提供している。しかしながら、いくつ
かのそのハイブリッド構造のうちに本研究から生ずる否定的な表示は、キメラ蛋
白質の構成的活性(即ち、Gβ解離及びエフェクター活性の受容体依存性刺激の
低下)に帰する。
【0143】 B.キメラGαサブユニットの構成 好ましい具体例において、キメラGαサブユニットは、可能な限り天然の哺乳
類の蛋白質の配列を保持し、特に好ましくは、それらの内生的な同類の対応する
ものレベル同様、異種の成分についての表現レベルが可能な限り等しくあるべき
である。Kingら(1990,Science250:121−123)によ
り記載されたヒトβ−2アドレナリン作動性の受容体及び酵母におけるGαの表
現型についての結果は、(この結果は、KangらによりGα以外の十分な長さ
の哺乳類のGαを用いて得られた否定的な結果(上記)とともに記載してある)
哺乳類のG蛋白質共役受容体をフェロモン応答経路に結びつけることができる酵
母株の開発についての以下の好ましい具体例となった。
【0144】 1つの具体例において、哺乳類のGαサブユニットを、各サブユニットの天然
の配列を用いて又はその代わりに相同な残基を哺乳類のGαサブユニットと置き
換えたGPA1のアミノ末端由来の配列を用いた最小遺伝子融合としてを発現し
た。他の具体例においては、哺乳類のGαサブユニットを、低コピープラスミド
上で又は単コピー遺伝子として酵母ゲノムに組み込んだ後にGPA1プロモータ
ーから発現させる。ある具体例においては、内生Gβγサブユニットを酵母ST
E4及びSTE18座により提供され、他方との具体例において、キメラ又は異
種Gβサブユニット及び(又は)Gγサブユニットもまた提供される。
【0145】 C.キメラGαサブユニットの理想的な設計 理想的に設計されたGPA1−哺乳類Gαハイブリッドサブユニットを、酵母
βγへの共役可能性について試験した。ハイブリッドの最初で最大のクラスは、
哺乳類Gαサブユニットの相同な領域の代わりにGPA1アミノ末端ドメインの
異なった長さをコードしているものである。このクラスのハイブリッド分子は、
以下に述べるGPABAMH1、GPA41、GPAID及びGPALWハイブリッドを含 む。これらのハイブリッドGα蛋白質を構成する原理は、上記の結果に基づいて
おり、Gβγとの相互作用の媒介する場合にGαのアミノ末端残基の重要性に関
係がある。
【0146】 酵母GαサブユニットをキメラGαサブユニット(このキメラGαサブユニッ
トにおいて酵母Gαのアミノ末端由来の一部、例えば少なくとも約20個、より
好ましくは少なくとも40個のアミノ酸が哺乳類(又は他の外来性の)Gα由来
の配列と融合する)により置き換えるのが好ましい。約40アミノ酸は、示唆さ
れた開始点であるが、より短い又はより長い部分を試験して酵母Gβγに共役す
るために要求される最小長さ及び外来性の受容体に共役するすることを維持する
のに両立できる最大長さを決定することもできる。Gαサブユニットのカルボキ
シ末端における最後の10又は20個のアミノ酸のみが、受容体と相互作用する
ために要求される。
【0147】 i.GPABAMH1ハイブリッド 上記Kangらが、各々GαS、Gαi2及びGαoのカルボキシル末端16 0,143,及び142残基に融合させたGPA1のアミノ末端310残基をコ
ードするハイブリッドGαを記述している。Kangらが試験した全ての場合に
おいて、ハイブリッド蛋白質は、gpa1株の成長阻害表現型を補完することが
できる。GPA1及びGαi3、Gαq及びGα16間のハイブリッドが構成さ
れて、機能的にgpa1株の成長阻害表現型を補完した。
【0148】 GPA41ハイブリッド。GPA1の41個のアミノ酸のみをコードしている
最小のハイブリッドを構成するための原理は、以下の観察とともに上述のGαサ
ブユニットのアミノ酸末端の役割についての生化学的証拠によるものである。G
β及びGγサブユニットは、α−ヘリカルドメインを介してそれらのアミノ酸端
末に相互作用することは公知である(Proninら(1992)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA89:6220−6224);Garrit
senら1993)。Gαサブユニットのアミノ酸末端は、ヘリカルコイルを形
成し、このヘリカルコイルは、GαのGβγとの会合に関係している可能性があ
るとの示唆(Mastersら(1986)Protein Engineer
ing1:47−54);Lupasら(1992)FEBS Lett.31
4:105−108)は、G蛋白質ヘテロ三量体がアミノ末端ヘリカル領域のワ
インディング(winding)及びアンワインディング(unwinding)を介して可逆的に相
互作用するという仮説に至っている。このタイプのメカニズムは、GCN4転写
因子のロイシンジッパー突然変異体の分析からも更に示唆されている(Harb
uryら(1993)Science262:1401−1407)。Kang
ら(上記)により記載されたものと同様なハイブリッド(酵母配列の大部分及び
最小限の哺乳類の配列のみを含む)を構成するための原理は、Gα及びGβγサ
ブユニット間の共役のアッセイにおいてそれらが機能することができるというこ
とに由来している。しかしながら、これらのキメラは、哺乳類G蛋白質共役受容
体及び酵母Gβγサブユニットの両方に共役する可能性のためにアッセイされた
ことはなかった。これ故、酵母におけるハイブリッドシグナリング経路を再構成
する可能性のためにアッセイされたことはなかった。
【0149】 構成されて試験されたGPA41ハイブリッドは、Gαs、Gαi2、Gαi3
、Gαq、Gαoa、Gαob及びGα16を含む。Gαs、Gαi2、Gαi3
及びGα16は、機能的にgpa1株の成長阻害表現型を補完するが、一方Gα
a及びGαobのハイブリッドは、そのようなことはない。成長阻害アッセイに
おいて試験されたことに加えて、これらの構成をfuslp−HIS3遺伝子の
活性についてのより高感度転写アッセイにおいてアッセイした。これらのアッセ
イの両方において、GPA41−Gαsハイブリッドは、、GPA41−i2、i3
及び16ハイブリッドよりも良好に共役しないが、一方GPA41−oa、及び −obハイブリッドは何れのアッセイにおいても機能しない。
【0150】 いくつかの予測アルゴリズムは、高度に保存された配列モチーフ−LLLLG
AGESG−(SEQ ID NO:1)(このモチーフにおける最初のLは、
GPA1における残基43である。)までのアミノ末端が、両親媒特性を有する
ヘリカル構造を形成する。ヘプタヘリカルリピート(heptahelical repeat unit)
、酵母GPA1及び哺乳類GαSの間の以下のハイブリッドを用いてハイブリッ
ド機能: GPA1−7/Gαs8−394 GPA1−14/Gαs15−394 GPA1−21/Gαs22−394 GPA1−28/Gαs22−394 GPA1−35/Gαs36−394 GPA1−42/Gαs43−394 に必要なこのモチーフにおけるヘリカルリピートの数を規定することがで
きる。
【0151】 これらのハイブリッドにおいて、予測されるのは、テトラロイシンモチーフま
でのアミノ末端ドメインにおける構造の繰り返し単位は7であり、7単位におけ
るスワッピング(swapping)配列がこのドメインを含むヘリカル構造のターンのユ
ニットターンのスワップ(swap)に実質的に等しいであろうということである。
【0152】 このクラスの「ダブルクロスオーバー(double crossover)」ハイブリッドの第
2グループは、GPA1における残基G11とともに始まる第1推定の7個の繰
り返し上に整列されたものである。これらのハイブリッドにおいて、ヘリカルリ
ピートをGPA1からGasバックボーンの1つの7個の繰り返し単位中に一度
に交換する。 GPA1−7/GPA11−17/Gαs8−394 GPA1−17/GPA18−24/Gαs25−394 GPA1−17/GPA25−31/Gαs32−394 GPA1−17/GPA32−38/Gαs39−394
【0153】 GαS配列における残基9と10との間に導入されるギャップ(gap)は、−L LLLGAGE−(SEQ ID NO:1の位置1〜8)配列モチーフのアラ
インメントを保護することになっている。このクラスのハイブリッドを、標準カ
ップリングアッセイにおける「7個」のライブラリのこれらのコレクションのス
クリーニングの前に行われる各々の7個の繰り返しのカセット突然変異生成によ
り補完する。
【0154】 アミノ末端がヘプタヘリカルリピートユニットを有するヘリカルドメインを形成
するという予測に基づきハイブリッドの第3クラスは、予測されたヘリカル構造
に対向する側の全体的な疎水的又は親水的な特性に変化を及ぼすものである(上
記Lupasらを見よ)。このモデルにおいて、7個の繰り返しabcdefg
のうちa及びd部は、へリックスの1つの面を明確にする保存された疎水性残基
であり、一方e部及びg部はへリックスの荷電面を明確にすることを見いだした
。ハイブリッドのこのクラスにおいて、GαS親サブユニットの配列は、以下の
臨界残基の1以上における特定の置換を除いて維持されてGαSの異なるヘリカ
ル面はより「GPA1のようなもの」となり、 K8Q +I−10 E10G Q12E R13S N14D E15P E15F K17L E21R K28Q K32L V36R
【0155】 酵母Gβγに効率性を結びつけるために単一の突然変異のこのコレクションを
スクリーニングすることができて、次いで(二重に及び必要ならそれ以上)組み
合わせて構成することができる。
【0156】 GPA1−Gαハイブリッドのこの領域にわたるハイブリッド分子の第4のク
ラスは、3つのプライマーPCRにより導入されるGPA1とGαサブユニット
との間にジャンクション部を有するものである。このアプローチでは、2つの外
側のプライマーを、5’側についてはGPA1のイニシエーターメチオニンにお
ける配列及び3’側についてはGαSのテトラロイシンモチーフ(例えば)にお
ける配列にコードしている。異なったジャンクション点にわたる一連のジャンク
ショナルプライマー(junctional primer)を外側のプライマーと混合して一連の 分子を各々GPA1及びGαS配列の異なった量を有する一連の分子を生成する
ことができる。
【0157】 ii.GPAID及びGPALWハイブリッド 配列アラインメントにより同定されたGβγサブユニット中の高い相同性を有
する領域は、分子全体にわたって散在している。高度に保存された−GSGES
GDST−(SEQ ID NO:2)モチーフを含むG1領域は、そのすぐ後
にとても低い配列保存の領域、「il」又は挿入1領域が続く。配列及び長さの
両方とも、Gαサブユニット中のil領域中においてかなり多様である。Gαサ
ブユニットの配列を整列させることにより、il領域を結合させている保存領域
を同定してGPA1−Gαハイブリッドの2つの付加的クラスを構成した。GP
IDハイブリッドは、GPA1のアミノ末端102残基(配列−QARKLGI
Q−まで)(SEQ ID NO:3)をコードしており、哺乳類Gαにフレー
ムで融合しているが、一方GPALWハイブリッドは、GPA1のアミノ末端24
4残基(GPA1における配列−LIHEDIAKA−まで)(SEQ ID
NO:4)をコードしている。GPAID及びGPALWハイブリッドを構成する理
由は、GPA1のil領域をGPA1の酵母Gβγとの相互作用を媒介するため
、ハイブリッド分子の安定した発現のため、又はハイブリッド分子の機能のため
に要求するという仮説を試すことである。GPAIDハイブリッドは、哺乳類サブ
ユニットのil領域に融合するGPA1のアミノ末端ドメインを含み、それ故G
PA1のil領域を含まないが、一方GPALWハイブリッドは、完全なil領域
(配列アラインメントにより規定されるように)を含むGPA1のアミノ末端2
44残基を含む。GPAID及びGPALWの両方のハイブリッドをGαs、Gαi
2、Gαi3、Gαq、Gαoa及びGα16のために構成する。これらのハイ ブリッドのうちいずれもgpa1成長阻害表現型を補完しない。
【0158】 GPAID及びGPALWハイブリッドクラスの構成及び試験の後、GDP及びG
TPγSの両方の配位形態においてGtransducinの結晶構造及びGTPγS配位
及びGDP−AlF4形態においていくらかのGαilの結晶構造が報告されてい る(Noelら(上記);Lambrightら(上記)及びColemanら
(1994)Science265:1405−1412)。結晶構造により、
配列アラインメントにより規定されたil領域が、固定した配列において6個の
αへリックスからなる保存構造を有して並びにGPAID及びGPALWのハイブリ
ッドの構造のために選択されたジャンクションが結晶において観察されるil領
域の構造特性の保存とは両立し得ないものであることが明らかになった。GPA ID ハイブリッドについて選択されるジャンクションが、長いαAへリックスの中
心に落ちる;おそらく一般に、このへリックスのキメラ化がそれ及びその蛋白質
構造を不安定なものにしているのであろう。同じことが、GPALWハイブリッド
(このハイブリッドでは、GPA1及び哺乳類Gαサブユニット間のクロスオー
バーポイントが短いαCへリックスの末端に落ちて、それ故それを変形させ蛋白
質を不安定化させるものと考えられる。)について選択されるジャンクションに
おいてあてはまる。
【0159】 GPAID及びGPALWハイブリッドの不具合は、上述のil領域における臨界
構造要素の分解のためと予測されている。Noelら(上記)、Lambrig
htら(上記)及びColemanら(上記)において示された新しいアライン
メント及びデータに基づくと、この問題はras様コアドメインを用いて回避す
ることができ、ilヘリカルドメインをαヘリックス様の公知の構造要素の外側
から導入させる。 ハイブリッド A GαS1−67/GPA66−299/GαS203
−394 このハイブリッドは、GαS配列中に介在させるGPA1の完全なilイ
ンサートを含む。 ハイブリッド B GPA1−41/GαS4443−67/GPA66
−299/GαS203−394 このハイブリッドは、ハイブリッドAで見いだされたGαSの42アミノ
末端の代わりにGPA1のアミノ末端41残基を含む。
【0160】 iii.GαSハイブリッド Gαトランスデューシンの171−237残基(Noelら(上記)のナンバ
リングを用いる、これはまたGβγ共役において役割を果たす。)によりコード
された「スイッチ領域」の証拠が存在する。最初に、GαSにおけるG226A
突然変異はリガンドによる受容体活性化時にGDPのGTPへの交換とともに起
こるGTP誘導性コンフォメーションの変化を防止する。この残基は、全Gαサ
ブユニットに存在する高度に保存された配列−DVGGQ−(SEQ ID N
O:5)をマップして、GTP加水分解に関係するものである。Gαt及びGα
ilの両方の結晶構造において、この配列モチーフ残基は、グアニンヌクレオチ
ド結合コアにおけるβ3シート及びαへリックスをループにおいて結合させる。
GTP結合時に起こるコンフォメーション変化を阻止するのに加えて、この突然
変異はまた、GβγからGTP配位GαSの解離を防止する。第2に、架橋デー
タにより、α2ヘリックス(GαoにおけるC215、GαtにおけるC210
)において高度に保存されたシステイン残基がGβサブユニットのカルボキシル
末端領域に架橋していることが明らかになった。ついに、遺伝的証拠(Whit
ewayら(1993)Mol Cell Biol.14:3233−323
9)がβγと直接接触していると考えられるコア構造のβ2でのGPA1(E3
07)における重要な単一残基を同定した。この位置でのGPA1における突然
変異は、Gα−Gβγ会合(より通常的な遺伝的試験によるのと同様に酵母にお
いて2ハイブリッドアッセイでアセスするように)における欠点であるとも知ら
れているSTE4(Gβ)優性ネガティブ突然変異の構造的シグナリング表現型
の多様性を示唆している。
【0161】 GPA1スイッチ領域は、酵母Gβγ(SGS)に共役を抑制するが、一方で
GPA1アミノ末端のコンテクストにおいて、GPA1スイッチ領域はGβγ(
GPβγ−SGS)を用いた共役を安定化させる。このことは、GPA1のこれ
らの2つの領域が共同してGαサブユニット及びGβγサブユニット間の相互作
用を可能なものとしていることを示唆している。この結論は、GPA1スイッチ
領域を含まないGPA41−GαSハイブリッドがgpa1株の成長阻害表現型を
補完することができるとの観察によりにより幾分弱められた。
【0162】 この領域の表面露出残基の役割は、酵母Gβγに効率的に共役することにとり
決定的なことであると考えられ、ハイブリッド分子中に以下のように取り込まれ
る。 GαS−GPA−スイッチ GαS1−202/GPA298−350/Gα
S253−394 このハイブリッドは、GαSのコンテクストにおいてGPA1の完全なスイッ
チ領域をコードしている。 GαS−GPA−α2 GQS−GPA322−332/GQS238−39
4 このハイブリッドは、GαSのコンテクストにおいてGPA1のα2ヘリック
スをコードしている。 GPA41−GαS−GPA−α2GPA1−41/GQS43−226/G
PA238−394 このハイブリッドは、GPA1の41残基アミノ末端ドメイン及びGαSのコ
ンテクストにおいてGPA1のα2ヘリックスをコードしている。
【0163】 更に、αS2のβ2及びβ3シートの表面露出残基を変えてGPA1QSヘリ
ックスのそれと似たものとするハイブリッドを生成することができる。これらの
変化したα2ヘリカルドメインは、以下の構造を有する。(変化した残基の位置
はGαSに対応している。) L203K K211E D215G K216S D229S
【0164】 これらの単一の突然変異を、GαSを主とするものに導入できて単一かつ一対
の組み合わせとすることができる。更に、それらを、上記十分な長さのGαS及
びGPA41−GαSハイブリッドの両方のコンテクスト中に導入することができ
る。すべては、Whitewayと協力者により規定されたこの領域とGβ領域
との間の改良された静電気的かつ疎水的接触によりGαサブユニットを酵母Gβ
γサブユニットへの共役を改善することを予測する(GPA1と接触する部位を
明らかにしたWhitewayら(上記))
【0165】 要するに、酵母フェロモン経路に共役するハイブリッドGαサブユニットの同
定は、以下の一般的観察となった。第1に、GPABAMHIハイブリッドは、
酵母Gβγと会合して、それ故最小限、これらのハイブリッドは、フェロモン応
答経路と共役するのに必要なGPA1におけるデテルミナントを含む。第2に、
GPA1のアミノ末端41残基は、いくつかの例(すべてではないが)でGαハ
イブリッドの酵母Gβγへの共役を容易にする十分なデテルミナントを含む。た
とえば、Gαサブユニットは、GPA1において最初の41残基の外側の領域を
含み、これらはGPA1のそれらと十分に類似しているので、それらと同様なG
PA1のアミノ末端41残基の欠損している場合でさえもGPA1との相互作用
を容易にする。第3に、Gαサブユニットを酵母Gβγサブユニットに共役させ
るのに関係するGPA1の最初の310残基においてたのデテルミナントが存在
する。
【0166】 上記のハイブリッドの種々のクラスは、相互に排除されるのではない。たとえ
ば、GPA1−41を含むGPA1は、L203K突然変異が特徴的である。
【0167】 単純化のために、酵母GPA1及び哺乳類GαSのハイブリッドがここにおい
て記載されてきたが、ハイブリッドは、他の酵母Gαサブユニット及び(又は)
哺乳類Gαサブユニット、注目に値することには哺乳類Gαiサブユニットから
生成することもできることは評価できよう。更に、上述のハイブリッドは、2つ
の親蛋白質から構成されるが、3つ以上の親蛋白質のハイブリッドも可能である
【0168】 例に示されているように、キメラGαサブユニットは、特にGαi種への受容
体を共役させることにおいて特に有用である。
【0169】 iv.Gαの表現 上記Kangらは、天然の哺乳類Gαのいくつかのクラスが、Gαの表現型が
構成的に活性で強力なプロモーター(PGK)又は強力な誘導プロモーター(C
UP)から駆動された場合に酵母のαサブユニットと機能的に相互作用すること
ができることを報告した。これらの著者は、高レベルで発現したラットのGαS
、Gαi2又はGαoが酵母βγに共役することを報告した。哺乳類Gαの高レ
ベルの発現(即ち、酵母βγに関して非化学量論的である)は、この出願におい
て記載されているもののような使用にとって好ましくない。酵母におけるG蛋白
質共役受容体信号トランスデユーションの再構築は、ヘテロ三量体複合体(Gβ
γ)のシグナリング成分がGαサブユニットとともに化学量論的に存在すること
を要求する。過剰のGαサブユニットがシステムにおけるシグナリングバックグ
ラウンドレベルよりも高くなる。Gα及びGβγサブユニットのレベルが平衡し
ていることが好ましい。たとえば、ヘテロなGαサブユニットが内生酵母GPA
1プロモーター及びGPA3’非翻訳領域を含む低複製性(CEN ARS)ベ
クターから発現させることができる。最小限の指標は、(これは酵母フェロモン
経路に機能的に共役することができるということに関して、ヘテロなGαサブユ
ニットに適用される)低複製性プラスミド上のGPA1プロモーターから又は組
み込まれた単一複製遺伝子から発現された場合にgpa1遺伝型を補完すること
である。この出願で記載された研究において、すべてのヘテロなGαサブユニッ
トを、生化学的2つの生物学的システムでアッセイした。第1のアッセイにおい
て、ヘテロなGαサブユニットを、gpa1株の成長阻害表現型を機能的に補完
する可能性について試験した。第2のアッセイにおいては、fusl−HIS3
レポーター遺伝子の転写を使用して、フェロモン応答経路を活性化する程度を測
定した。これ故、この程度は、ヘテロなGαサブユニットが内生酵母Gβγ複合
体を引き離す程度である。ラット、murine及びヒト由来のGαs、Gαi
2、Gαi3、Gαq、Gα11、Gα16、Gαoa、Gαob及びGαzは、
GPA1プロモーターを含む低複製性、CEN ARSベクターから発現された
。Gpa1株の機能的な複製は、ラット及びヒトGαSを除いたこれらの十分な
長さのGα構造のいずれを用いたアッセイシステムにおいても観察されなかった
【0170】 D.キメラ酵母βγサブユニット G蛋白質Gαサブユニットに加えて又は代わりに、酵母又は異種のGβ又はG
γサブユニットを改変することができる。Gαに関する上記の方法を用いて、同
様にこれらのサブユニットのいずれか又は両方を変えることができる。例えば、
酵母配列及び異種配列のアラインメントを生成し、重要な機能的ドメインに関す
る情報と組み合わせることができる。次いで、そのような情報を用いて酵母又は
異種配列における突然変異を生成することにおける手引きを提供することができ
る。同様に、キメラGβ又はGγ分子を構成することができ異種GPCRの酵母
フェロモンシグナリング経路への共役を増大することができる。
【0171】 酵母STE4及びSTE18は、後生動物G蛋白質β及びγサブユニットと各
々関係がある(Whitewayら 1989.Cell.56:467)。β
及びγサブユニットは、αサブユニット及びエフェクターと同様に相互作用でき
るものでなければならない。以前の研究は、哺乳類β及びγサブユニットは、酵
母同族体から十分に分岐したものであるので、それらを機能的にSTE4又はS
TE18に置き換えることはできないと示唆していた。かくして、好ましい具体
例においては、改変を酵母において発現する異種Gβ又はGγサブユニットに行
う及び(又は)異種受容体共役を増大するために行う。
【0172】 G−蛋白質βサブユニットの一次構造は、酵母からヒトに高度に保存されてい
る;Ste4は、ヒトGβアイソホームと約40%同一のものを共有している(
Lebererら 1992 EMBO Journal 11:4085)。
STE4及びGβは各々420及び340若しくは341アミノ酸長さであり、
WD−40モチーフを有する蛋白質を有する蛋白質ファミリーに属する(van
der Voorn及びPloegh 1992.FEBs Lett.30
7:131)。これらのモチーフを用いて、Gβ及びSTE4を8個のブロック
中に分散させることができる(Coriaら Yeast 1996.12:4
1)。哺乳類Gβの中には、Gγサブユニット選択性を呈するものも見いだされ
ている(Pronin及びGautham.1992.Proc.Natl.A
cad.Sci.USA89:6220;Schmidtら 1992.J.Bi
ol.Chem.267:13807;Kleussら 1992.Natur
e.358:424)。後生動物及び酵母G蛋白質βサブユニットのアラインメ
ントは、Coraiらにより提供された(1996.Yeast.12:41)
。そのようなアラインメントを用いて上記でGαについて記載したようなG蛋白
質βサブユニットへの突然変異を行う手引きを提供することができる。更に、S
TE4のある領域が、重要なものであることを見出し、従ってポリペプチドの他
の部分より操作しずらいと考えられる。例えば、STE4産物のc−末端は、ダ
ウンストリームシグナリングについて必須のものである(Coriaら 199
5.FEBS Letters367:122)。Ste4のアミノ末端半分に
おける小さな2つの領域への突然変異もまた、シグナリングを阻害することが示
された(Lebererら 上記)。STE4及びGPA1の相互作用に影響す
る突然変異が同定されている。WD40リピートの2次複製物への突然変異を改
変して、STE4及びGPA1間の相互作用を減ずることができる(この場合に
はSTE4機能の他の面には影響を与えない)(Whitewayら1994.
Mol.Cell.Biol.14:3223)。
【0173】 STE18を含むGγは、Gβよりも相互に非常に分岐している。哺乳類G蛋
白質γサブユニット中でさえ、かなりの量の分岐がある。γサブユニットは、β
γサブユニットの機能的特異性を規定すると考えられる。ウシ網膜由来のγ1サ
ブユニット(Hurleyら Proc.NAT’l ACAD.SciUSA
.1984.81:6948)、ウシ脳由来のγ1、γ3及びγ7サブユニット
(Robishawら.J.Biol.Chem.1989.264:15758
;Gautamら Science.1989.244:971;Gautam
らProc.Nat’l Acad.Sci.USA.1990 87:797
3;Caliら J.Biol.Chem.1992 267:264023)
及びウシ及びラット肝由来のγ5サブユニット(Gisherら 1992.2
67:24023)についての完全なcDNAが報告されている。
【0174】 酵母のSTE18遺伝子は、CAAX(SEQ ID NO:83)ボックス
で終わっている(ここでAは脂肪族アミノ酸であり、Xは任意の非電荷アミノ酸
である)。この配列は、Gγのプレニレーションに関係があり、膜へのGγの局
在化におそらく重要なものであり、このため配列の他の部分よりも操作しずらい
ものと考えられる(Kurjan 1992.Ann.Rev.Biochem
.61:1097)。飽和突然変異誘発は、STE18機能において重要なST
E18領域への洞察を提供してきた。STE4における突然変異を補償するST
E18における突然変異は、セリン65、スレオニン71及びバリン80におい
て同定された。STE18遺伝子の優性なネガティブ対立遺伝子もまた、同定さ
れた(Whitewayら1992 Biochem.Cell.Biol.7
0:1230)。これらの短くされた蛋白質は、CAAXボックスを含むSTE
18のカルボキシル末端を欠いていることが見出された(Whitewayら
上記)。
【0175】 酵母Gγ、STE18及びGβγのアラインメントは、他のG蛋白質サブユニ
ットについて示されているように生成することができる。そのようなアラインメ
ントを、突然変異体Gγ又はキメラGγを構成するのに用いることができる。キ
メラGγサブユニットの特定の例(例えば具体例3)を追加の具体例において提
供する。好ましい具体例において、哺乳類Gγ2を、G蛋白質γサブユニットキ
メラの生成において用いることができる。
【0176】 E.異種GPCRに強化された共役を示す突然変異体の同定
【0177】 多くの方法のうち任意のものを、異種発現されたGPCRに強化された共役を
示す突然変異誘発された又はキメラG蛋白質サブユニットためのスクリーニング
に用いる。
【0178】 例えば、突然変異体GαSサブユニットが酵母βγとしっかりと会合している
だけでなく、受容体が刺激を受けた際にβγから解離して、エピソームfusl
−lacZレポータープラスミドを異種受容体とともに導入することができる。
アゴニストを添加することは、β−ガラクトシダーゼユニットの増加の原因とな
る。突然変異体GαSが受容体と生産的に相互作用してリガンド添加時にβγか
ら解離することができることを示す。更に、第2メッセンジャー又はメイティン
グファクター(mating factor)の生成が応答する(例えば、成長阻害又はシュモ ー (shmoo)形成を測定することができた。)。
【0179】 他の例では、スクリーニングは、野生型GαSを発現するgpa1fuls−
HIS3コロニーは、ヒスチジンが欠乏し1mM3−アミノトリアゾール(AT
)を含む培地にプレーティングするレプリカ上で生育できる。この株の成長は、
fuls−HIS3レポーター遺伝子の一部減少を導くフェロモン経路の一部構
成的状態のために起こる。ATは、IGPデヒドラターゼの活性を阻害する。低
いが一定のレベルのHIS3の発現を有している細胞は、薬剤に対して感受性が
ある。ATの量を選択して基礎レベルのHIS3の発現を(そのレベルが何であ
れ)細胞の成長を阻害するが誘導レベルの発現を有する細胞の成長を許すように
することもできる。所望のβγカップリングGαS突然変異体を含むコロニーは
、しっかりとしたαβγ会合により媒介されるフェロモン経路の不活性化のため
にこの培地ではたぶん成長しないであろう。しかしながら、GαS耐性プラスミ
ドについての選択が緩和される場合には、アデニンの量を制限することを追加す
ることによるこの場合には、所望の突然変異体コロニーが、GαSプラスミドを
失ったコロニー(たいてい5〜10%)における細胞の画分由来の生育因子を生
産するであろう。そのようなコロニーは、アデニン経路の中間体の蓄積のために
赤色を呈するであろう。非突然変異のGαS含有コロニーは、アデニン制限プレ
ート上で白色を呈するが、これはGαS−ADE2プラスミドの存在が、1mM
3−ATにおける細胞の成長を可能にするはっきりとした負の効果を示さないが
、アデニン制限状態下で選択的利点が付与されるからである。スクリーンの視覚
的外観は、潜在的突然変異の容易な同定を可能にし、潜在的に不必要な突然変異
体(例えばSte−のような)を除去する。この理由は、スクリーンはプラスミ
ド−依存性表現型を要求するからである。
【0180】 次いで、プラスミドDNAを、推定突然変異体耐性細胞から回収してSCAH
1上で増幅し再試験し、突然変異のプラスミド連鎖を確認することができる。更
に、突然変異体を酵母中へサブクローンして非コード配列における突然変異がH
is+表現型を与える可能性を除外する。
【0181】 VII.リーダー配列 哺乳動物の細胞外の分泌タンパク質は、酵母で発現されたときは、僅かに分泌
されるにすぎない。しかし、多くの場合、それらの生来のシグナル配列を、より
効率的にER輸送複合体と作用し合う酵母タンパク質のシグナル配列と置き換え
たとき、それらの分泌レベルは、顕著に上昇する。詳しくは、酵母のインベルタ
ーゼ及び酸性ホスファターゼのシグナル配列は、異種タンパク質の分泌発現を扱
うバイオテクノロジーに広く用いられている。しかし、多くの外来タンパク質が
、酵母のシグナル配列によってERを標的としているものの、それらのすべてが
分泌経路を更に前進するわけではないことが、充分に確立されている。主な問題
は、酵母細胞の品質管理装置によってERでのその保持を招く、異種タンパク質
の誤った折畳み、及び/又は不適正な糖鎖形成にある。
【0182】 多くの場合、酵母接合フェロモンであるα因子の前駆体のリーダー配列が、こ
の問題を克服するために成功裡に用いられている[1. Brake, A.J. (1989) in Y
east Genetic Engineering (Barr, P.J., Brake, A.J., & Valenzuela, P., eds
.) pp. 269-280, Butterworths, London;Brake, A.J., (1990) Meth. Enzymol.
185, 408-441、及びその中で引用された参考文献]。この配列は、17残基の N末端シグナルペプチドに加えて、72残基を含み、N結合糖鎖形成の3部位を
有する、疎水性プロ領域を含む。プロ領域は、ER及びゴルジ体内で大規模にグ
リコシル化され、後期ゴルジ体区画内でKex2エンドペプチダーゼによって切
断される。N末端でのプロ領域の存在は、何らかの異種タンパク質が、ER内の
品質管理に合格し、周辺細胞質に到達するのを許すと考えられている。プロ領域
は、タンパク質の正しい折畳みを多少とも容易にできる可能性がある。これに代
えて、それは、品質管理装置によって、適正に折り畳まれた構造的単位として認
識され、こうして、融合タンパク質全体がERを離れるのを許すこともあり得る
【0183】 インベルターゼのリーダーを用いることもできる。このリーダー配列は、小胞
体に進入すると、形成中のインベルターゼペプチド、又は形成中の異種タンパク
質から切断されることが立証されており、受容体の見掛け分子量は、この解釈と
一致する。プレ配列であるKex2の切断を担当する酵素は、トランス−ゴルジ
体網状構造に常在する。
【0184】 A.ペプチド発現 一定の実施態様では、そのようなリーダー配列は、本発明のペプチドライブラ
リーを発現するのに用いることができる。酵母細胞は、原形質膜とよばれる脂質
二重層によって結合する。この原形質膜と細胞壁との間には、周辺腔がある。酵
母細胞が分泌したペプチドは、様々な機序を通じて原形質膜を横断し、それによ
って周辺腔に進入する。次いで、分泌されたペプチドは、周辺細胞質内に存在す
るか、又は原形質膜の外面上に表示されている他の分子と自由に作用し合う。次
いで、ペプチドは、細胞内への再摂取を受けるか、又は細胞壁から培地内に拡散
するか、又は周辺腔内で分解されるかする。
【0185】 試験ポリペプチドライブラリーは、それらが関連付けられた発現系の性質に応
じて、例示した多数の機序のいずれかによって周辺細胞質中に分泌され得る。一
実施態様では、ペプチドは、小胞体及びゴルジ装置を通じての分泌を支配する、
酵母シグナル配列、例えば、α因子前駆体中に存在するそれに構造的に関連付け
られる。これは、受容体タンパク質が原形質膜へのその旅程で追うのと同じ経路
であるため、特定のペプチドが、分泌経路内の移動の際に受容体と作用し合う好
機が、受容体とペプチドライブラリーとの双方を発現する細胞内に存在する。こ
れは、オートクリン活性化を示す哺乳動物細胞に発生すると考えられている。そ
のような相互作用は、移動の際の応答経路の活性化を生じる可能性があり、ペプ
チド作用薬を発現するような細胞の特定を依然として可能にすると思われる。外
部から与えられた受容体作用薬に対する、ペプチド拮抗薬を探すという状況に対
しては、この系は、依然として効果的であるが、それは、ペプチド拮抗薬と受容
体との双方が、細胞の外部へと一斉に送達されると思われるからである。したが
って、拮抗薬を生産するこれらの細胞は、ペプチド拮抗薬が、外部から与えられ
た作用薬によって受容体が刺激されるのを防ぐ状況に、適正かつ適時にあること
になるために、選別できることになる。
【0186】 ペプチドを周辺腔に送達するための代替的機序は、STE6/MDRI群のA
TP依存輸送体を用いることである。この輸送経路、及びタンパク質又はペプチ
ドをこの経路に仕向けるシグナルは、小胞体に基づく分泌経路ほどには充分特徴
付けられていない。にもかかわらず、これらの輸送体は、明らかに、一定のペプ
チドを、ペプチドがER/ゴルジ体経路を通過する必要なしに、原形質膜を越え
て直接、効率的に輸送することができる。ペプチドの少なくとも一つのサブセッ
トが、α因子プロ配列及び末端テトラペプチドに関するライブラリーを発現する
ことによって、この経路を通じて分泌されることができるものと期待される。こ
の系のあり得る利点は、受容体及びペプチドが、双方とも細胞の外表面に送達さ
れるまで、接触しないことである。したがって、この系は、通常は細胞の外部か
ら送達される作用薬及び拮抗薬を厳密に模倣する。記載された経路のいずれかを
用いることは、本発明の対象範囲内にある。
【0187】 本発明は、ペプチドの周辺細胞質分泌、又はそのような分泌が与えられたなら
ば、いかなるシグナル若しくは輸送経路も必要としない。一定の実施態様では、
シグナル配列で発現されたペプチドは、細胞表面へのそれらの輸送の前に、受容
体と結合し、活性化する可能性がある。
【0188】 B.GPCRの発現 もう一つの実施態様では、酵母の分泌タンパク質のリーダー配列を用いて、受
容体、例えばGタンパク質結合受容体の原形質膜への輸送を、付記した実施例に
詳述したとおりに支配することができる。以前の研究は、α因子のリーダーを用
いて、酵母細胞内の外来分泌タンパク質の発現を立証した。しかし、そのような
系を用いて、異種の膜結合受容体、すなわちラットM5受容体を発現したときは
、異種のGPCRは、酵母細胞のシグナリング経路に機能的に組み込まれなかっ
た[Huang et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 1992, 182:1180]。分泌タ ンパク質及び貫膜タンパク質双方の酵母の小胞体への輸送は、Sec61、Sec62及び
Sec63タンパク質を包含する同じタンパク質輸送複合体によって促進される。す べての分泌タンパク質は、そのN末端に、輸送複合体によって認識され、かつE
R標的化シグナルとして働くシグナル配列を有する。代表的なシグナル配列は、
N末端のいくつかの正に荷電した残基、その後の疎水性のコア、及びC末端の、
シグナルペプチダーゼによるプロセシングの部位で構成される。いくつかの貫膜
タンパク質、例えば、代謝刺激性グルタミン酸受容体、及び血管作動性腸ポリペ
プチド受容体は、N末端シグナル配列も有するのに対し、いくつかは、保有しな
い。後者の場合、最初の貫膜ドメインは、ER輸送機構と作用し合う。したがっ
て、α因子リーダー配列を用いることは、一定の受容体の機能的発現に特に望ま
しいことがある。
【0189】 一定の実施態様では、本発明の酵母細胞を更に改変することが望ましいと思わ
れる。例えば、一実施態様では、酵母のカルネキシン樣遺伝子であるCNE1を
開裂して、小胞体からゴルジ体への受容体輸送を改良することが望ましいと思わ
れる。他の実施態様では、STP22を開裂して、ゴルジ体から原形質膜への輸
送を改良することが望ましいと思われる。更に他の実施態様では、AstIをコード
する遺伝子を過剰発現させて、ゴルジ体から原形質膜への輸送を増大させるのが
望ましいと思われる。更に他の実施態様では、END3及び/又はEND4を開
裂して、受容体のインターナリゼーションを妨げるのが望ましいと思われる。
【0190】 VIII.試験化合物 A.外部から加えた化合物 医化学における最近の傾向は、ライブラリーとよばれる、化合物の混合物の生
成を包含する。ペプチドのライブラリーを用いることは、当技術では充分に確立
されているが、新たな手法も開発されていて、他の化合物、例えばベンゾジアゼ
ピン類[Bunin et al., 1992, J. Am. Chem. Soc. 114:10987;DeWirt et al.,
1993, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90:6909]、ペプトイド[Zuckermann, 1994,
J. Med. Chem. 37:2678]、オリゴカルバミン酸塩[Cho et al., 1993, Scienc
e 261:1303]及びヒダントイン[Dewirt et al.、前掲]の混合物の生成を許す 。Rebekらは、104〜105の多様性を有する小さな有機分子の、分子ライブ ラリーの合成のための取組み方を記載している[Carell et al., 1994, Angew.
Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059;Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
33:2061]。
【0191】 本発明の化合物は、当技術に公知の組合せライブラリー法での無数の取組み方
のいずれを用いても得ることができ、それらは、生物学的ライブラリー;空間的
に指定できる平行固相又は液相ライブラリー、脱回旋を要する合成ライブラリー
法、「一ビーズ−一化合物」ライブラリー法、及びアフィニティークロマトグラ
フィー選別を用いる合成ライブラリー法を包含する。生物学的ライブラリーの取
組み方は、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の四つの取組み方は、ペプ
チド、非ペプチドオリゴマー、又は化合物の小分子ライブラリー[Lam, K.S., A
nticancer Drug Des. 1997, 12:145]に適用できる。
【0192】 一実施態様では、試験化合物は、ペプチド又はペプチド模倣体である。もう一
つの、好適な実施態様では、化合物は、小さな有機非ペプチド化合物である。
【0193】 分子ライブラリー合成のためのその他の例示的方法は、当技術、例えばErb et
al., 1994, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91:11422;Horwell et al., 1996, Im
munopharmacology 33:68及びGallop et al., 1994, J. Med. Chem. 37:1233に見
出すことができる。加えて、公衆に所有される特許願である米国特許願第08/864
,241号、同第08/864,240号及び同第08/835,623号明細書に記載されたようなライ
ブラリーは、本発明で試験するための化合物を与えるのに用いることができる。
これらの特許願のそれぞれの内容は、この引用によって本明細書に明示的に組み
込まれる。
【0194】 化合物のライブラリーは、溶液として[例えばHoughten (1992) Biotechnique
s 13:412-421]、又はビーズ[Lam (1991) Nature 354:82-84]、チップ[Fodor
(1993) Nature 364:555-556]、細菌[Ladner米国特許第5,223,409号明細書] 、胞子[Ladner前記特許]、プラスミド[Cull et al. (1992) Proc. Nat. Acad
. Sci. USA 89:1865-1869]若しくはファージ上に[Scott & Smith (1990) Scie
nce 249:386-390;Devlin (1990) Science 249:404-406;Cwirla et al. (1990)
Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382;Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:30
1-310;Ladner、前掲]表してもよい。
【0195】 一定の実施態様では、試験化合物は、組換え受容体を発現する酵母細胞に外か
ら加え、受容体を通じてのシグナル導入を調整する化合物を選ぶ。他の実施態様
では、酵母細胞は、試験しようとする化合物を発現する。例えば、PCT刊行物
の国際公開特許第94/23025号公報(その内容は、この引用によって本明細書に明
示的に組み込まれる)に更に詳述されるとおり、被験酵母細胞の培養を、ペプチ
ドライブラリーを集合的に発現するよう、更に改変することができる。
【0196】 他の形式のペプチドライブラリーも発現させてよく、例えば、米国特許第5,27
0,181号及び第5,292,646号明細書;並びにPCT刊行物の国際公開特許第94/025
02号公報を参照されたい。更にもう一つの実施態様では、cDNAライブラリー
から組合せポリペプチドを生成する。
【0197】 活性についてスクリーニングすることができる例示的化合物は、ペプチド、核
酸、炭水化物、有機小分子、及び天然生成物エキスのライブラリーを包含するが
、これらに限定されない。そのような実施態様では、受容体若しくはチャンネル
仲介シグナリング機能を促進又は阻害する化合物をともに選別かつ特定すること
ができる。
【0198】 B.ペプチドライブラリー 一定の実施態様では、酵母細胞を加工して、試験しようとする化合物を生成す
ることができる。この検定系は、試験しようとする化合物の有効濃度を上昇させ
るという利点を有する。一実施態様では、国際公開特許第94/23025号公報に記載
されたような方法を利用することができる。
【0199】 その他の方法も用いることができる。例えば、ペプチドライブラリーは、標的
との相互作用を許す形態で、ペプチドの非常に多様かつ多数のコレクションを同
時に表示する系である。これらのペプチドは、溶液として[Houghten (1992) Bi
otechniques 13:412-421]、又はビーズ[Lam (1991) Nature 354:82-84]、チ ップ[Fodor (1993) Nature 364:555-556]、細菌[Ladner米国特許第5,223,409
号明細書]、胞子[Ladner前記特許]、プラスミド[Cull et al. (1992) Proc.
Nat. Acad. Sci. USA 89:1865-1869]若しくはファージ上に[Scott & Smith (
1990) Science 249:386-390;Devlin (1990) Science 249:404-406;Cwirla et
al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382;Felici (1991) J. Mol. Bi
ol. 222:301-310;Ladner、前掲]表してもよい。これらの系の多くは、ペプチ ドの最大長、又はペプチドの組成に関しては限定されている(例えばCysは除外 )。立体的因子、例えば支持体に近いことは、結合に干渉し得る。通常、スクリ
ーニングは、人為的に提示された標的とのin vitroでの結合についてであって、
生細胞内の細胞性シグナル導入経路の活性化又は阻害についてではない。細胞表
面受容体を標的として用いることができるが、スクリーニングは、ペプチドの結
合が、受容体の配座のアロステリックな変化を生じたか否かを明らかにすること
はない。
【0200】 Ladnerら(米国特許第5,096,815号明細書)は、望みのDNA結合活性を有す る新規なタンパク質又はポリペプチドを特定する方法を記載している。異なる多
数の潜在的結合タンパク質をコードする、セミランダムな(「斑入りの」)DN
Aを、発現できる形態で、適切な酵母細胞に導入する。標的DNA配列を、タン
パク質又はポリペプチドの結合が、選別的性条件下では遺伝子に有害である遺伝
子産物の発現を妨げるよう、遺伝的に加工したオペロンに組み込む。そのため、
選別的条件に生存する細胞は、標的DNAに結合するタンパク質を発現する細胞
である。酵母細胞は、試験に用いてよいと考えられるが、細菌細胞が好適である
。タンパク質と標的DNAとの間の相互作用は、周辺細胞質又は細胞質ではなく
、細胞内でのみ(したがって核内でのみ)発生するにすぎず、標的は、受容体タ
ンパク質ではなく、核酸である。ランダムなペプチド配列を、細胞タンパク質の
機能的ドメインと置き換えることは、機能の達成に特異的な配列要件のいくつか
の決定を許す。細胞内でのタンパク質の定位の際に機能する認識現象の詳細は、
大部分は不明であるが、ミトコンドリアの標的化配列とタンパク質分泌シグナル
配列との配列変異に対する制約は、ランダムペプチドを用いて解明されている[
それぞれLemire et al., J. Biol. Chem. (1989) 264, 20206及びKaiser et al.
(1987) Science 235:312]。
【0201】 本発明の一定の実施態様では、試験した化合物は、ペプチドライブラリーから
のペプチドの形態である。本発明のペプチドライブラリーは、細胞培養の形態を
取り、基本的には、各細胞が、ライブラリーの一つの、そして通常は唯一である
、ペプチドを発現する。各細胞が、異なる配列のペプチドを生産するならば、ラ
イブラリーの多様性は最大化されるが、通常は、多少の過剰が存在するように、
ライブラリーを構築するのが賢明である。大きさに応じて、ライブラリーの組合
せペプチドは、そのとおりに発現することができるか、又はより大きな融合タン
パク質に組み込むことができる。融合タンパク質は、例えば、分解又は変性に対
する安定性はもとより、分泌された場合の分泌シグナルも与えることができる。
例えば、細胞内標的受容体と併用するための、細胞内発現のためのライブラリー
の例示的実施態様では、ポリペプチドライブラリーを、チオレドキシン融合タン
パク質として発現する(例えば、米国特許第5,270,181号及び第5,292,646号明細
書;並びにPCT刊行物の国際公開特許第04/02502号公報を参照されたい)。組
合せペプチドは、チオレドキシンタンパク質の末端に付着させるか、又は短いペ
プチドのライブラリーについては、いわゆる活性ループに挿入することができる
【0202】 一実施態様では、ペプチドライブラリーを、公知のいかなる配列にも基づかず
、cDNAに由来することもないポリペプチドの組合せライブラリーを発現する
よう、誘導する。すなわち、このライブラリーの配列は、大部分がランダムであ
る。好適実施態様では、組合せポリペプチドは、長さが3〜100アミノ酸、よ
り好ましくは5〜50アミノ酸以上の範囲であり、はるかに好ましくは、長さが
10、13、15、20又は25アミノ酸残基以上である。好ましくは、ライブ
ラリーのポリペプチドは、均一な長さのものである。組合せペプチドの長さは、
発現を容易にするために存在してよい、いかなる外来配列、例えば融合タンパク
質のシグナル配列又は不変部分も反映しないことが理解されると思われる。
【0203】 もう一つの実施態様では、ペプチドライブラリーは、公知のポリペプチド配列
、又はその一部に少なくとも部分的に基づく、ポリペプチドの組合せライブラリ
ーである(cDNAライブラリーではない)。すなわち、該ライブラリーの配列
は、セミランダムであって、公知の配列の組合せ突然変異形成によって誘導され
る。例えば、LadnerらのPCT刊行物である国際公開特許第90/02909号公報;Ga
rrardらのPCT刊行物の国際公開特許第92/09690号公報;Marks et al. (1992)
J. Biol. Chem. 267:16007-16010;Griffiths et al. (1993) EMBO J. 12:725-
734;Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628;及びBarbas et al. (1992)
PNAS 89:4457-4461を参照されたい。したがって、標的受容体のための、公知リ
ガンドであるポリペプチドは、標準的手法によって突然変異原化して、ポリペプ
チド配列の斑入りライブラリーすることができ、これを更に、作用薬及び/又は
拮抗薬についてスクリーニングすることができる。例えば、FPRL−1につい
て特定された代理リガンド、例えばSer-Leu-Leu-Trp-Leu-Thr-Cys-Arg-Pro-Trp-
Glu-Ala-Metというペプチドは、本来のトリデカペプチドと何らかの関係を有す るペプチドのライブラリーを生成するよう、突然変異原化することができる。こ
のライブラリーは、本発明の試薬細胞内で発現させることができ、該ライブラリ
ーからは、他の受容体活性化因子を単離することができる。これは、はるかに強
力なFPRL−1という代理リガンドの特定を許す。
【0204】 更にもう一つの実施態様では、組み合わせポリペプチドは、cDNAライブラ
リーから生成する。
【0205】 本発明の好適実施態様では、酵母細胞は、少なくとも103〜107の異なるペ
プチドを好ましくは包含する「ペプチドライブラリー」を集合的に生産するため
、多様なペプチドを、外来受容体と作用し合える能力について同時に検定し得る
。特に好適な実施態様では、ペプチドライブラリーの少なくともいくつかのペプ
チドが、周辺細胞質に分泌され、ここで外来受容体の「細胞外の」結合部位と作
用し合うことがある。それらは、こうして、細胞受容体との薬物の臨床的相互作
用を、より密接に模倣する。この実施態様は、場合により、フェロモン分泌を更
に妨げることによって、(フェロモン分泌を必要としない検定中で)さらに改良
して、それによって、ペプチドと、シグナルペプチダーゼその他の、分泌系の構
成要素についての現象との間の競争を回避してよい。
【0206】 本発明の一定の実施態様では、ライブラリーのペプチドは、異なる配列のDN
A分子の混合物によってコードされる。ペプチドコーディングDNA分子は、そ
れぞれ、ベクターDNA分子と結合し、得られる組換えDNA分子を酵母細胞に
導入する。どのペプチドコーディングDNA分子が特定の細胞に導入されるかは
、機会の問題であるから、その細胞がどのペプチドを生産するかは、予測できな
い。しかし、混合物が調製された方式の知識に基づいて、ペプチドライブラリー
内のペプチドの混合物について、一定の統計的予測を行ない得る。
【0207】 ライブラリーのペプチドは、不変及び可変残基で構成することができる。n番
目の残基が、ライブラリーのすべてのペプチドについて同じであるならば、不変
であると云われる。n番目の残基が、問題のペプチドに応じて変動するならば、
該残基は可変のそれである。ライブラリーのペプチドは、少なくとも一つの、か
つ通常は一つ以上の、可変残基を有することになる。可変残基は、遺伝的にコー
ドされる全部で20のアミノ酸のいずれの間でも、変動し得る;ペプチドの可変
残基は、同じであるか、又は異なる方式で変動し得る。その上、特定の残基の位
置での許されたアミノ酸の出現頻度は、同じであるか、又は異なり得る。該ペプ
チドは、一つ又はそれ以上の不変残基も有し得る。
【0208】 要求されるDNA混合物を調整するには、二つの主な方法がある。一つの方法
では、一時に一塩基としてDNAを合成する。遺伝暗号が命ずる塩基位置で、変
動が望まれるときは、ヌクレオチドの適切な混合物を、慣用のポリヌクレオチド
合成の純粋なヌクレオチド試薬ではなく、形成中のDNAと反応させる。
【0209】 第二の方法は、アミノ酸の変動に対して、より厳密な制御を与える。初めに、
トリヌクレオチドの試薬を調製するが、各トリヌクレオチドは、ペプチドライブ
ラリー内で特徴付けようとするアミノ酸の一つの(かつ唯一の)コドンである。
特定の可変残基を合成しようとするときは、適切なトリヌクレオチドで混合物を
作り、形成中のDNAと反応させる。必要な「縮重」DNAが完成したならば、
より詳しく下記に考察するとおり、ペプチドの発現を保証するのに必要なDNA
配列と結合しなければならず、完成したDNA構築体を、酵母細胞に導入しなけ
ればならない。 試験化合物がペプチドである実施態様では、そのようなペプチドを、リーダー
配列に関連して発現するのが望ましいことがある。酵母細胞を、原形質膜とよば
れる脂質二重層によって結合する。この原形質膜と細胞壁との間には、周辺腔が
存在する。酵母細胞が分泌したペプチドは、様々な機序を通じて原形質膜を横断
し、それによって周辺腔に進入する。次いで、分泌されたペプチドは、周辺細胞
質内に存在するか、又は原形質膜の外面上に表示されている他の分子と自由に作
用し合う。次いで、ペプチドは、細胞内への再摂取を受けるか、又は細胞壁から
培地内に拡散するか、又は周辺腔内で分解されるかする。
【0210】 試験ポリペプチドライブラリーは、それらが関連付けられた発現系の性質に応
じて、例示した多数の機序のいずれかによって周辺細胞質中に分泌され得る。一
実施態様では、ペプチドは、小胞体及びゴルジ装置を通じての分泌を支配する、
酵母シグナル配列、例えば、α因子前駆体中に存在するそれに構造的に関連付け
られる。これは、受容体タンパク質が原形質膜へのその旅程で追うのと同じ経路
であるため、特定のペプチドが、分泌経路内の移動の際に受容体と作用し合う好
機が、受容体とペプチドライブラリーとの双方を発現する細胞内に存在する。こ
れは、オートクリン活性化を示す哺乳動物細胞に発生すると考えられている。そ
のような相互作用は、移動の際の応答経路の活性化を生じる可能性があり、ペプ
チド作用薬を発現するような細胞の特定を依然として可能にすると思われる。外
部から与えられた受容体作用薬に対する、ペプチド拮抗薬を探すという状況に対
しては、この系は、依然として効果的であるが、それは、ペプチド拮抗薬と受容
体との双方が、細胞の外部へと一斉に送達されると思われるからである。したが
って、拮抗薬を生産するこれらの細胞は、ペプチド拮抗薬が、外部から与えられ
た作用薬によって受容体が刺激されるのを防ぐ状況に、適正かつ適時にあること
になるために、選別できることになる。
【0211】 ペプチドを周辺腔に送達するための代替的機序は、STE6/MDRI群のA
TP依存輸送体を用いることである。この輸送経路、及びタンパク質又はペプチ
ドをこの経路に仕向けるシグナルは、小胞体に基づく分泌経路ほどには充分特徴
付けられていない。にもかかわらず、これらの輸送体は、明らかに、一定のペプ
チドを、ペプチドがER/ゴルジ体経路を通過する必要なしに、原形質膜を越え
て直接、効率的に輸送することができる。ペプチドの少なくとも一つのサブセッ
トが、α因子プロ配列及び末端テトラペプチドに関するライブラリーを発現する
ことによって、この経路を通じて分泌されることができるものと期待される。こ
の系のあり得る利点は、受容体及びペプチドが、双方とも細胞の外表面に送達さ
れるまで、接触しないことである。したがって、この系は、通常は細胞の外部か
ら送達される作用薬及び拮抗薬を厳密に模倣する。記載された経路のいずれかを
用いることは、本発明の対象範囲内にある。本発明は、ペプチドの周辺細胞質分
泌、又はそのような分泌が与えられたならば、いかなるシグナル若しくは輸送経
路も必要としない。
【0212】 IX.スクリーニング及び選別:第二メッセンジャー生成の検定 化合物の生物活性についてスクリーニングするとき、細胞内第二メッセンジャ
ー生成を直接測定することができる。様々な細胞内エフェクターが、Gタンパク
質に調節されるとして特定されていて、アデニリルシクラーゼ、サイクリックG
MP、ホスホジエステラーゼ、ホスホイノシチダーゼC及びホスホリパーゼA2 を包含する。加えて、Gタンパク質は、ある範囲のイオンチャンネルと作用し合
い、一定の電圧感受性Ca++過渡的物質を阻害できるばかりでなく、心臓のK+ チャンネルを刺激する。 一実施態様では、当技術に公知である手法を用いてγ32PGTPの分解を決定
することによって、Gタンパク質によるGTPアーゼの酵素活性を、原形質膜標
本で測定することができる[例えば、Signal Transduction: A Practical Appro
ach, G. Milligan, Ed. Oxford University Press, Oxford、英国を参照された い]。cAMPを調整する受容体を試験するときは、cAMP検出のための標準
的手法、例えば、非標識化cAMPの存在下で[3H]cAMPを定量する、競 争的検定を用いることが可能であると思われる。
【0213】 一定の受容体は、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸の1,4,
5−IP3(細胞内Ca++を動態化)及びジアシルグリセロール(DAG:タン
パク質キナーゼを活性化)への分解を刺激する、ホスホリパーゼCの活性を刺激
する。イノシトール脂質は、標準的な脂質抽出手法を用いて、抽出かつ分析する
ことができる。DAGも、薄層クロマトグラフィーを用いて測定することができ
る。3種類のイノシトール脂質すべて(IP1、IP2、IP3)の水溶性誘導
体も、放射性標識化手法又はHPLCを用いて定量することができる。
【0214】 細胞内カルシウムの動態化、又は細胞外からのカルシウムの流入は、標準的手
法を用いて測定することができる。適切なカルシウム指示薬、すなわち蛍光性、
生物発光性、金属発色性又はCa++感受性微小電極の選択は、細胞型及び強さ、
並びに研究中の事象の時間的定数に依存する[Borle (1990) Environ Health Pe
rspect. 84:45-56]。Ca++検出の例示的方法として、標準的方法を用いて、C
++感受性蛍光染料のフラ−2又はインド−1を、細胞に負荷をかけ得ると思わ
れ、Ca++のいかなる変化も、蛍光計を用いて測定する。
【0215】 PIP2分解の他方の生成物であるDAGは、ホスファチジルコリンからも生
成することができる。このリン脂質の、受容体仲介シグナリングに応答しての分
解も、様々な放射性標識化の手法を用いて、測定することができる。
【0216】 ホスホリパーゼA2の活性化は、例えば、細胞内でのアラキドン酸塩の生成を
包含する、公知の手法を用いて、容易に定量することができる。
【0217】 一定の受容体の場合、細胞性リン酸化の際の変化について、スクリーニングす
ることが望ましいことがある。そのような検定様式は、問題の受容体が受容体チ
ロシンキナーゼであるときに、役立ち得る。例えば、FGF受容体、及びFGF
受容体に結合するリガンドで形質転換された酵母は、抗ホスホチロシンを用いる
コロニー免疫ブロット法[Lyons & Nelson (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA
81:7426-7430]を用いてスクリーニングできると思われる。加えて、リン酸化 についての試験は、それ自体はチロシンキナーゼではなくてよい受容体が、シグ
ナル導入経路の下流で機能するタンパク質キナーゼを活性化するときに、役立つ
と思われる。同様に、タンパク質のリン酸化は、受容体で生成されたシグナルを
増幅するよう働くカスケードでも、決定的な役割を果たすことが注目される。マ
ルチキナーゼカスケードは、シグナル増幅ばかりでなく、細胞型特異的であるこ
とが多くて、成長因子が、一方の細胞の有糸分裂、及びもう一つの分化を刺激す
るのを許す、多数のエフェクターへのシグナル分岐も許す。
【0218】 一つのそのようなカスケードは、異なる細胞型での、ともに分裂促進性の分化及
びストレス応答を仲介すると思われる、MAPキナーゼ経路である。成長因子受
容体の刺激は、Rasの活性化と、その後のc−Raf、MEK、並びにp44
及びp42のMAPキナーゼの逐次活性化とを招く(ERK1及びERK2)。
次いで、活性化されたMAPキナーゼは、多くの枢要な調節タンパク質をリン酸
化するが、これには、MAPキナーゼが核へと転位するときにリン酸化される、
p90RSKおよびElk−1が包含される。相同経路は、哺乳動物及び酵母の
細胞に存在する。例えば、サッカロミセス・セレビシエのフェロモンシグナリン
グ経路の基本部分は、STE11、STE7及びFUS3/KSS1遺伝子(後
者の対は、別個であり、機能的に冗長である)の産物で構成されるタンパク質キ
ナーゼカスケードからなる。したがって、このキナーゼカスケードの成員のリン
酸化及び/又は活性化は、検出し、受容体の噛み合いを定量するのに用いること
ができる。ホスホチロシン特異性抗体は、チロシンリン酸化の増大を測定するの
に利用することができ、リン特異性抗体は、商業的に入手できる(New England
Biolabs, Beverly, MA)。
【0219】 受容体仲介シグナル導入を検出する改変された方法が存在し、当業者は、列挙
された例示的方法と置き換えるのに用いてよい。
【0220】 一実施態様では、指標遺伝子は、検出に用いることができる。一実施態様では
、指標遺伝子は、改変されていない内在遺伝子である。例えば、本発明の方法は
、Bar1若しくはFus1、Fus2、接合因子、Ste3、Ste13、Kex1、Ste2、Ste6、Ste7
、sSst2、又はChs1のような、フェロモン系経路応答性の内在遺伝子の転写レベ ルの検出に依拠することができる[Appletauer & Zchstetter, 1989, Eur. J. B
iochem. 181:243]。
【0221】 その他の実施態様では、内在指標遺伝子の感受性を、この指標遺伝子に対する
天然の座でのプロモーター配列を操作することによって、高めることができる。
そのような操作は、内在調節要素に対する点突然変異から、調節要素のすべての
か、又は実質的な部分の大規模な置き換えまでにわたり得る。Gタンパク質、及
びGタンパク質結合受容体に関する突然変異の以前の考察を、ここで反復する。
【0222】 例えば、Bar1遺伝子の場合、遺伝子のプロモーターを改変して、酵母のフェロ
モン系経路の活性化の際に、Bar1の転写を増進することができる。Bar1遺伝子の
転写は、酵母細胞を接合因子に接触させた際に不活性化される。Bar1遺伝子の配
列は、当技術に公知である[例えば米国特許第4,613,572号明細書を参照された い]。その上、Bar1のα因子で促進される発現に要求される配列、及びその他の
フェロモン応答遺伝子が特定されている[Appletauer & Achstetter 1989, Eur.
J. Biochem. 181:243;Hagen et al. 1991, Mol. Cell. Biol. 11:2952]。例 示的実施態様では、酵母Bar1プロモーターは、突然変異誘発によって加工して、
酵母フェロモン経路の刺激の際に、例えば、より強力なプロモーター遺伝子転写
に対して、より応答性にすることができる。プロモーターを突然変異原化する標
準的手法を、用いることができる。そのような実施態様では、Appletauerらが記
載した、保存されたオリゴヌクレオチドモチーフを保存するのが望ましい。
【0223】 更に他の実施態様では、第二のメッセンジャー生産、又は転写の変更ではなく
、内在酵母タンパク質の活性を検定することができる。例えば、一実施態様では
、受容体のシグナル導入経路が、発現をアップレギュレートするか、さもなけれ
ば細胞に加え得る基質を改変できる酵素を活性化する。シグナルは、検出できる
基質を用いることによって、この場合、基質のシグナルの喪失を追跡するか、又
はこれに代えて、検出できる産物を生成する基質を用いることによって検出する
ことができる。一定の実施態様では、基質は、天然に産する。これに代えて、基
質は、天然に産しないこともできる。好適実施態様では、BAR1の活性を測定
することができる。
【0224】 他の実施態様では、試験化合物による受容体の調節は、遺伝子の転写の変化を
招くが、これは、必ずしもフェロモン応答性ではない。好適実施態様では、遺伝
子は、容易に検出可能である。例えば、好適実施態様では、主たる検定は、Ph
o5という分泌された酸性ホスファターゼを測定するのに用いることができる。
酸性ホスファターゼ活性は、標準的手法を用いて測定することができる。
【0225】 他の実施態様では、リポーター遺伝子構成体を用いることができる。リポータ
ー遺伝子構成体は、リポーター遺伝子を、少なくとも一つの転写調節要素と機能
的に結合することによって調製する。一転写調節要素のみ含まれるにすぎないな
らば、それは調節できるプロモーターでなければならない。選ばれた転写調節要
素のうち少なくとも一つは、選ばれた細胞表面受容体の活性によって間接又は直
接調節され、それによって、受容体の活性が、リポーター遺伝子の転写を介して
追跡することができなければならない。
【0226】 多くのリポーター遺伝子、及び転写調節要素は、当業者に公知であり、その他
は、当業者には公知である方法によって、特定又は合成し得る。リポーター遺伝
子は、RNA又はタンパク質であってよい、検出できる遺伝子産物を発現するい
かなる遺伝子も包含する。好適なリポーター遺伝子は、容易に検出できるそれで
ある。リポーター遺伝子は、望みの転写調節配列を含むか、又はその他の望まし
い特性を示す遺伝子との融合遺伝子の形態で、構成体に含まれてもよい。
【0227】 リポーター遺伝子の例は、CAT(クロラムフェニコールアセチル転移酵素)
[Alton & Vapnek (1979), Nature 282:864-869]、ルシフェラーゼ、その他の 酵素検出系、例えばβ−ガラクトシダーゼ;ホタルルシフェラーゼ[deWet et a
l. (1987), Mol. Cell. Biol. 7:725-737];細菌ルシフェラーゼ[Engebrecht
& Silverman (1984), PNAS 1:4154-4158;Baldwin et al. (1984), Biochemistr
y 23:3663-3667];アルカリ性ホスファターゼ[Toh et al. (1989), Eur. J. B
iochem. 182:231-238;Hall et al. (1983), J. Mol. Appl. Gen. 2:101];ヒ ト胎盤性分泌アルカリ性ホスファターゼ[Cullen & Malim (1992) Methods in E
nzymol. 216:362-368]、及び緑色蛍光タンパク質[米国特許第5,491,084号明細
書;国際公開特許第96/23898号公報]を包含するが、これらに限定されない。
【0228】 好適なリポーター遺伝子構成体は、Fus1p-LacZ及びFus1p-GFPを包含するが、 ここで、フェロモン応答性であるFus1プロモーターは、β−ガラクトシダーゼ(
LacZ)又は緑色蛍光タンパク質(GFP)のいずれかをコードする配列に機能的
に結合されている。GFP配列は、野生型であり得るか、又は変化若しくは増大
した蛍光を示す突然変異配列(当技術では「増大GFP」ともよばれる)であり
得る。そのようなFus1pリポーター遺伝子構成体の構築及び使用は、実施例で更 に詳しく説明する。Fus1p−GFP構成体は、リポーター遺伝子発現の迅速、簡 単かつ鋭敏な検出を許し、細胞の集団内でのシグナルの視覚的均一性又は変異に
対して制御するのに用い得るため、特に好適である。
【0229】 転写制御要素は、プロモーター、エンハンサー、並びにリプレッサー及び活性
化因子結合部位を包含するが、これらに限定されない。適切な転写調節要素は、
その発現が、迅速に、一般的には、細胞表面タンパク質と、細胞表面タンパク質
の活性を調整するエフェクタータンパク質との接触の数分以内に誘導される、遺
伝子の転写調節領域に由来し得る。そのような遺伝子の例は、中間初期遺伝子[
Sheng et al. (1990) Neuron 4:477-485を参照されたい]、例えばc-fosを包含 するが、これらに限定されない。中間初期遺伝子は、細胞表面タンパク質とのリ
ガンドの結合に際して、急速に誘導される遺伝子である。遺伝子構成体に用いる
のに好適である転写制御要素は、中間初期遺伝子、中間初期遺伝子の特徴のうち
いくつか若しくはすべてを示す、その他の遺伝子に由来する要素、又はそれとの
機能的な結合の際に、遺伝子がそのような特徴を示すよう構築された、合成要素
を包含する。転写制御要素が由来する好適な遺伝子の特徴は、休止細胞での低い
か、又は検出できない発現、転写レベルでの、細胞外刺激の数分以内の迅速な誘
導、一過性であり、新たなタンパク質合成とは無関係であり、その後の転写の停
止が新たなタンパク質合成を必要とし、かつこれらの遺伝子から転写されたmR
NAが短い半減期を有する誘導を包含するが、これらに限定されない。
【0230】 その他のプロモーター及び転写制御要素は、上記のそれに加えて、血管作動性
腸内ペプチド(VIP)遺伝子プロモーター[cAMP応答性;Fink et al. (1
988), Proc. Natl.Acad. Sci. 85:6662-6666];ソマトスタチン遺伝子プロモー
ター[cAMP応答性;Montminy et al. (1986), Proc. Natl. Acad. Sci. 8.3
:6682-6686];プロエンケファリンプロモーター[cAMP、ニコチン酸作動薬
及びホルボールエステルに応答性;Comb et al. (1986), Nature 323:353-356]
;ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ遺伝子プロモーター[cAMP
応答性;Short et al. (1986), J. Biol. Chem.261:9721-9726];NGF1−A
遺伝子プロモーター[NGF、cAMP及び血清に応答性;Changelian et al.
(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:377-381];及び当業者には公知であるか 、又は当業者によって調製されるその他を包含する。
【0231】 一定の検定では、スクリーニング手順に成長の変化を用いるのが望ましいこと
がある。例えば、野生型酵母でのフェロモンシグナル経路の活性化の成り行きの
一つは、成長の抑止である。Gタンパク質結合受容体の拮抗薬について試験して
いるならば、成長抑止というこの正常な応答は、フェロモン応答経路が阻害され
た細胞を選別するのに用いることができる。すなわち、公知の作動薬と未知の活
性を有するペプチドとの双方に接触させた細胞は、ペプチドが中立又は作動薬で
あるならば、成長抑止されるが、ペプチドが拮抗薬であるならば、正常に成長す
ることになる。したがって、成長抑止の応答は、好都合にも、拮抗薬として機能
するペプチドを発見するのに用いることができる。
【0232】 しかし、Gタンパク質結合受容体、又は他のフェロモン系タンパク質の作動薬
として機能できる化合物を探索するとき、フェロモン応答経路の活性化の結果と
しての成長抑止は、作動薬と結合する細胞は、成長を停止するが、作動薬と結合
できない周囲の細胞は、成長し続けることから、望ましくない効果である。そう
して、問題の細胞は、過剰成長するか、その検出が、背景細胞によって不明瞭に
されることになり、問題の細胞の特定を混乱させる。この問題を克服するために
、本発明は、細胞を、(1)成長抑止が、外部のシグナル経路活性化の結果とし
て発生せず(例えば、FAR1遺伝子の不活性化による);及び/又は(2)選
別的成長の利点が、経路を活性化することによって与えられる(例えば、フェロ
モン応答プロモーターの制御下で、栄養要求性突然変異体をHIS3で形質転換
し、選別的条件を適用することによる)ように加工することを教示する。
【0233】 これに代えて、プロモーターは、受容体経路によって抑制され、そのため、細
胞に有害である産物の発現を妨げるそれであってもよい。受容体で抑制されたプ
ロモーターを用いて、プロモーターを有害な遺伝子に結合することによって作動
薬について、また有益な遺伝子に結合することによって拮抗薬についてスクリー
ニングする。抑制は、受容体で誘導されたプロモーターを、マーカー遺伝子が(
コーディング領域又はフランキング領域のいずれかで)コードするmRNAの少
なくとも一部に対してアンチセンスであるために、mRNAの翻訳を阻害する、
mRNAをコードする遺伝子に機能的に結合することによって達成してよい。抑
制は、受容体誘導プロモーターを、DNA結合リプレッサータンパク質をコード
する遺伝子に結合し、適当なオペレーター部位をプロモーターその他のマーカー
遺伝子の適切な領域に組み込むことによって、得てもよい。
【0234】 酵母の場合、肯定的に選別できる(有益な)遺伝子は、下記を包含する:URA3
、LYS2、HIS3、LEU2、TRP1;ADE1、2、3、4、5、7、8;ARG1、3、4、5、6、8;HI
S1、4、5;ILV1、2、5;THR1、4;TRP2、3、4、5;LEU1、4;MET2、3、4、8、9 、14、16、19;URA1、2、4、5、10、HOM3、6;ASP3;CHO1;ARO 2、7;CYS3;OL
E1;INO1、2、4;PRO1、3。その他無数の遺伝子が、潜在的な選別マーカーであ る。上記は、充分に特徴付けられた生合成経路に含まれる。イミダゾールグリセ
ロールリン酸脱水酵素(IGP脱水酵素)の遺伝子(HIS3)は、非常に鋭敏であ
り、かつ広い範囲の発現レベルにわたって選別できるため、好適である。最も単
純な事例では、細胞は、活性化の不在下ではヒスチジンに対して栄養要求性であ
る(成長のためにヒスチジンを要する)。活性化は、酵素の合成へと導き、細胞
は、ヒスチジンに対して原栄養要求性になる(ヒスチジンを要しない)。そのた
め、選別は、ヒスチジンの不在下での成長についてなされる。細胞あたり数分子
のIGP脱水酵素が、ヒスチジン原栄養要求性のために必要とされるにすぎない
ことから、検定は非常に鋭敏である。
【0235】 検定のもう一つのバージョンでは、IGP脱水酵素の活性を阻害する薬物であ
る、アミノトリアゾール(AT)に対する耐性について、細胞を選別することが
できる。低い、固定したレベルのHIS3の発現を有する細胞は、該薬物に対し
て感受性であるが、より高いレベルの細胞は、耐性である。ATの量は、基底レ
ベルのHIS3発現(そのレベルが何であれ)を有する細胞を阻害するが、低下
したレベルの発現を有する細胞の増殖を許すように選ぶことができる。この場合
、選別は、ヒスチジンの不在下、及び適切なレベルのATの存在下での増殖につ
いてなされる。
【0236】 適切な検定では、いわゆる逆選別できるか、又は否定的に選別できる遺伝子を
用いてよい。適切な遺伝子は、URA3(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラ
ーゼ;5−フルオロオロチン酸での増殖を阻害)、LYS2(2−アミノアジピン酸
還元酵素;唯一の窒素源としてのα−アミノアジピン酸塩での増殖を阻害)、CY
H2(リボソームタンパク質L29をコードする;シクロヘキサイミド感受性対立
遺伝子が耐性対立遺伝子に対して優性)、CAN1(アルギニン透過酵素をコードす
る;無効対立遺伝子がアルギニン類似体であるカナバニンに対する耐性を賦与)
、その他の劣性耐性マーカーを包含する。
【0237】 一実施態様では、リポーター遺伝子は、酵母細胞の増殖に有効である。酵母フ
ェロモン系応答経路を通じてのシグナル導入に対する自然な応答は、細胞が増殖
抑止を受けることである。これは、該経路を刺激するリガンド/受容体対の拮抗
薬について選別する好適な方法である。拮抗薬は、該経路の活性化を阻害すると
思われ;そのため、細胞は、増殖することができると思われる。したがって、FA
R1遺伝子は、内在性の逆選別できるマーカーであると考え得る。FAR1遺伝子は、
好ましくは、作動薬活性についてスクリーニングするときに不活性化される。
【0238】 リポーター遺伝子も、スクリーニングできる遺伝子であってよい。スクリーニ
ングされる特徴は、細胞の形態学、代謝などのスクリーニングできる特徴の変化
であってよい。適切なマーカーは、β−ガラクトシダーゼ(Xgal、C12FDG、サケ
gal、マジェンタgal(後二者は、Biosynth AGより))、アルカリ性ホスファタ ーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、エキソグルカナーゼ(酵母exbl遺伝子
の産物;非必須、分泌);ルシフェラーゼ;細菌緑色蛍光タンパク質;(ヒト胎
盤性)分泌アルカリ性ホスファターゼ(SEAP);及びクロラムフェニコール
転移酵素(CAT)を包含する。上記のうちいくつかは、分泌されるように加工
することができる(β−ガラクトシダーゼはできないが)。好適なスクリーニン
グ可能マーカー遺伝子は、β−ガラクトシダーゼであって;この酵素を発現する
酵母細胞は、無色の基質であるXgalを青色の色素に転換する。やはり、プロモー
ターは、受容体により誘導されるか、受容体により阻害されてよい。
【0239】 XI.カルボキシル末端キメラGタンパク質サブユニット 適正なシグナル導入は、各GPCRが、いくつかの構造的に類似するGタンパ
ク質の特異的なサブクラスとのみ作用し合うにすぎないことを要する[例えば、
Conklin et al., (1993) Cell 73:631-641;Savarese et al., (1992) Biochem.
283, 1-19;Headin et al., (1993) Cell signalling 5, 505-518を参照された
い]。細胞内シグナルの正しい選別は、GPCR/Gタンパク質相互作用の特異
性に依存する。酵母で発現される異種Gタンパク質に結合した受容体の結合特異
性を改良するため、カルボキシル末端キメラGタンパク質を生成かつ試験した。
キメラGαタンパク質は、Gpa1配列の大部分、及び異種(例えば哺乳動物の )Gタンパク質サブユニットの、Gpa1のC末端に取って代わる一部を含むよ う設計した。
【0240】 キメラGαタンパク質の構築は、Gpa1のC末端アミノ酸を異種(例えば哺 乳動物の)Gαタンパク質サブユニットのC末端アミノ酸で置き換えることを要
する。標準的な分子生物学の手法を用いて、Gpa1その他の異種Gαサブユニ ットをコードする核酸分子を得、例えば、標準的なPCR増幅及び突然変異形成
の後、適切な酵母発現ベクターにクローニングすることによって、キメラGαタ
ンパク質を構築することができる。Gαs、Gαi、Gαo、Gαq及びGαz
と整合するGPA1のコーディング領域全体は、Dietzel及びKurjan[1987, Cel
l 50:573]、並びにLambrightら[1994, Nature 369:621-628]に記載されてい る。追加のGαサブユニットの情報は、Matteraら[1986, FEBS Lett. 206:36-4
1]、Brayら[1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8893-8897]及びBrayら[
1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:5115-5119]によって提供される。GP A1及び4種類の他のGαタンパク質の整合は、Stone及びReed[1990, Mol. Ce
ll Biol. 10:4439]によって提供される。キメラGタンパク質を生成する一般的
な方法及び手順は、例えば、Conklin et al., (1995) Nature 363, 274-276及び
Liu et al., (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. 92, 111642-116460に記載されて いる。
【0241】 Gpa1タンパク質は、1〜472のアミノ酸位置を含む[Dietzel & Kurjan
(1987)、前掲]。Gpa1タンパク質のC末端アミノ酸は、欠失させ、異種(例 えば哺乳動物の)GαサブユニットのC末端アミノ酸残基と置き換えることがで
き、例えば、Gpa1の最後の4個のC末端アミノ酸残基、すなわち469〜4 72位を除去し、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基と置き換える
ことができる。もう一つの実施態様では、Gpa1の最後の5個のC末端アミノ 酸残基、すなわち468〜472位を除去し、異種GαサブユニットからのC末
端アミノ酸残基と置き換えることができる。もう一つの実施態様では、Gpa1 の最後の6個のC末端アミノ酸残基、すなわち467〜472位を除去し、異種
GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基と置き換えることができる。もう一
つの実施態様では、Gpa1の最後の28アミノ酸残基、すなわち445〜47 2位を除去し、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基と置き換えるこ
とができる。もう一つの実施態様では、Gpa1の最後の30アミノ酸残基、す なわち443〜472位を除去し、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸
残基と置き換えることができる。更にもう一つの実施態様では、Gpa1の最後 の50アミノ酸残基、すなわち423〜472位を除去し、異種Gαサブユニッ
トからのC末端アミノ酸残基と置き換えることができる。他の様々な実施態様で
は、4〜50アミノ酸のうちいかなる数のC末端Gpa1アミノ酸残基も、例え ば4〜50、4〜40、4〜30、4〜28、4〜6、より好ましくは5又は6
アミノ酸残基を置き換えることができる。
【0242】 Gpa1のC末端アミノ酸を、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸と 置き換える。例えば、Gpa1の最後の5個のC末端アミノ酸、すなわち468 〜472位を除去し、異種Gαサブユニットの最後の5個のC末端アミノ酸と置
き換える。Gpa1アミノ酸のC末端アミノ酸は、基本的にいかなる異種Gタン パク質αサブユニットと置き換えることもできるが、最も好ましくは、哺乳動物
の配列、最も好ましくはマウス、ラット又はヒトの配列と置き換える。異種Gα
サブユニットは、いかなる数のGαサブユニット群、例えばGαs、Gαi2、
Gαi3、Gαq、Gαoa、Gαob及びGα16から選ぶこともできる。好ま
しくは、Gαサブユニットは、Gαs、Gαi2、Gαi3、Gαq及びGα1
6から選ぶ。
【0243】 一実施態様では、異種Gαサブユニットの最後の5個〜最初の最後の50個の
C末端アミノ酸が、Gpa1のC末端アミノ酸に取って代わる。もう一つの実施 態様では、異種Gαサブユニットの最後の4個〜最後の40個のC末端アミノ酸
が、Gpa1のC末端アミノ酸に取って代わる。更にもう一つの実施態様では、 異種Gαサブユニットの最後の4個〜最後の28個のC末端アミノ酸が、Gpa
1のC末端アミノ酸に取って代わる。好適実施態様では、異種Gαサブユニット の最後の4個〜最後の6個のC末端アミノ酸が、Gpa1のC末端アミノ酸に取 って代わる。より好適な実施態様では、異種Gαサブユニットの最後の5個のC
末端アミノ酸が、Gpa1のC末端アミノ酸に取って代わる。他の様々な実施態 様では、異種Gαサブユニットの4〜50アミノ酸のうちいかなる数のC末端ア
ミノ酸残基も、例えば4〜50、4〜30、4〜40、4〜28、4〜6、より
好ましくは5又は6アミノ酸残基が、Gpa1配列に取って代わることができる 。
【0244】 Gpa1配列は、好ましくは、異種Gαサブユニットの野生型配列と、例えば Gpa1の最後の5個のC末端アミノ酸を野生型哺乳動物のGαサブユニットの 、対応する最後の5個のC末端アミノ酸と置き換えることによって、置き換える
。しかし、Gpa1配列は、例えば、Gαサブユニットの最後の5個のC末端ア ミノ酸配列での一つ又はそれ以上の同類置換を含む、突然変異Gαサブユニット
の配列と置き換えてもよい。突然変異Gαサブユニット配列は、それらが受容体
特異性を保持又は改良できる能力に基づいて選ぶ。したがって、異種Gαサブユ
ニットのC末端アミノ酸は、野生型配列と、受容体特異性を保つ同類置換とを含
むことが意図される。
【0245】 キメラGαタンパク質の結合特異性は、異種Gタンパク質結合受容体も発現す
る、キメラGαタンパク質を酵母細胞内で発現することによって試験することが
できる。異種GPCRとのキメラGαタンパク質の結合は、例えば、実施例11
に記載のとおり、Fus1-LacZスクリーニングによって決定することができる。G pa1の最後の5個、又は最後の6個のC末端アミノ酸が、異種Gαサブユニッ トの、それぞれ、最後の5個、又は最後の6個のC末端アミノ酸で置き換えられ
たキメラGαタンパク質は、いくつかの異種Gタンパク質結合受容体との改良さ
れた結合を立証する(実施例11の表3及び4を参照されたい)。これらのキメ
ラGタンパク質は、オーファン受容体を結合かつ刺激することもできる(実施例
11の表5を参照されたい)。
【0246】 XII.「サンドイッチ」キメラGタンパク質 酵母で発現される異種受容体の結合特異性に対するそれ以上の改良は、Gpa
1配列が、異種Gα配列によって、アミノ及びカルボキシル双方の末端で挟まれ た、「サンドイッチキメラ」を生成することによってなされる。本明細書に用い
られる限りでの用語「サンドイッチキメラ」とは、第一の異種Gタンパク質αサ
ブユニットの少なくとも一つのC末端アミノ酸、及び第二の異種Gタンパク質α
サブユニットの少なくとも一つのN末端アミノ酸を有するキメラGpa1サブユ ニットを意味する。第一及び第二の異種Gαサブユニットは、同じであるか、又
は異なる、例えば、Gαs−Gpa1−Gαs又はGαs−Gpa1−Gαqであ
ることができる。サンドイッチキメラGタンパク質を、Gpa1配列の大部分と 、Gpa1タンパク質のC末端及びN末端にGαサブユニットの一部とを有する よう設計した。
【0247】 サンドイッチキメラGタンパク質の構築は、代表的には、Gpa1のC末端ア ミノ酸を異種GαサブユニットのC末端アミノ酸と置き換え、そしてGpa1の N末端アミノ酸を異種GαサブユニットのN末端アミノ酸と置き換えるか、又は
異種GαサブユニットのN末端アミノ酸をGpa1のアミノ末端の端に付加する かのいずれかを実施することを要する。標準的な分子生物学的手法を用いて、G
pa1及び異種Gαサブユニットタンパク質をコードする核酸分子を得ることが できる。サンドイッチキメラGタンパク質の構築は、例えば、標準的なPCR増
幅及び突然変異形成の後、適切な酵母発現ベクターにクローニングすることによ
って実施することができる。
【0248】 Gpa1タンパク質のC末端アミノ酸は、欠失させ、異種(例えば哺乳動物の )GαサブユニットのC末端アミノ酸残基と置き換えることができ、例えば、G
pa1の最後の4個のC末端アミノ酸残基、すなわち469〜472位を除去し 、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基と置き換えることができる。
もう一つの実施態様では、Gpa1の最後の5個のC末端アミノ酸残基、すなわ ち468〜472位を除去し、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基
と置き換えることができる。もう一つの実施態様では、Gpa1の最後の6個の C末端アミノ酸残基、すなわち467〜472位を除去し、異種Gαサブユニッ
トからのC末端アミノ酸残基と置き換えることができる。もう一つの実施態様で
は、Gpa1の最後の28アミノ酸残基、すなわち445〜472位を除去し、 異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基と置き換えることができる。も
う一つの実施態様では、Gpa1の最後の30アミノ酸残基、すなわち443〜 472位を除去し、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸残基と置き換え
ることができる。更にもう一つの実施態様では、Gpa1の最後の50アミノ酸 残基、すなわち423〜472位を除去し、異種GαサブユニットからのC末端
アミノ酸残基と置き換えることができる。他の様々な実施態様では、4〜50ア
ミノ酸のうちいかなる数のC末端Gpa1アミノ酸残基も、例えば4〜50、4 〜40、4〜30、4〜28、4〜6、より好ましくは5又は6アミノ酸残基を
置き換えることができる。
【0249】 Gpa1のC末端アミノ酸を、異種GαサブユニットからのC末端アミノ酸と 置き換える。例えば、Gpa1の最後の5個のC末端アミノ酸、すなわち468 〜472位を除去し、異種Gαサブユニットの最後の5個のC末端アミノ酸と置
き換える。Gpa1アミノ酸のC末端アミノ酸は、基本的にいかなる異種Gタン パク質αサブユニットと置き換えることもできるが、最も好ましくは、哺乳動物
の配列、最も好ましくはマウス、ラット又はヒトの配列と置き換える。異種Gα
サブユニットは、いかなる数のGαサブユニット群、例えばGαs、Gαi2、
Gαi3、Gαq、Gαoa、Gαob及びGα16から選ぶことができる。好ま
しくは、Gαサブユニットは、Gαs、Gαi2、Gαi3、Gαq及びGα1
6から選ぶ。
【0250】 一実施態様では、異種Gαサブユニットの最後の4個〜最後の50個のC末端
アミノ酸が、Gpa1のC末端アミノ酸に取って代わる。もう一つの実施態様で は、異種Gαサブユニットの最後の4個〜最後の40個のC末端アミノ酸が、G
pa1のC末端アミノ酸に取って代わる。更にもう一つの実施態様では、異種G αサブユニットの最後の4個〜最後の28個のC末端アミノ酸が、Gpa1のC 末端アミノ酸に取って代わる。好適実施態様では、異種Gαサブユニットの最後
の4個〜最後の6個のC末端アミノ酸が、Gpa1のC末端アミノ酸に取って代 わる。より好適な実施態様では、異種Gαサブユニットの最後の5個のC末端ア
ミノ酸が、Gpa1のC末端アミノ酸に取って代わる。他の様々な実施態様では 、異種Gαサブユニットの4〜50アミノ酸のうちいかなる数のC末端アミノ酸
残基も、例えば4〜50、4〜40、4〜30、4〜28、4〜6、より好まし
くは5又は6アミノ酸残基が、Gpa1配列に取って代わることができる。
【0251】 加えて、サンドイッチキメラのためには、異種GαサブユニットのN末端アミ
ノ酸を、Gpa1のN末端アミノ酸から置き換えるか、又はこれに付加する。こ うして、Gpa1のN末端は、異種GαサブユニットのN末端アミノ酸に「機能 的に結合」される。N末端アミノ酸は、C末端配列と同じ異種Gαサブユニット
に由来するか、又は異なるGαサブユニットに由来することができる。最も好ま
しくは、異種N末端アミノ酸は、哺乳動物の配列、最も好ましくはマウス、ラッ
ト又はヒトの配列からのものである。異種Gαサブユニットは、いかなる数のG
αサブユニット群、例えばGαs、Gαi2、Gαi3、Gαq、Gαoa、G αob及びGα16から選ぶこともできる。好ましくは、Gαサブユニットは、 Gαs、Gαi2、Gαi3、Gαq及びGα16から選ぶ。
【0252】 Gpa1タンパク質のC末端アミノ酸は、欠失させ、異種(例えば哺乳動物の )GαサブユニットのC末端アミノ酸残基と置き換えることができ、例えば、G
pa1の第1〜第50N末端アミノ酸を除去し、異種GαサブユニットからのN 末端アミノ酸と置き換えることができる。もう一つの実施態様では、Gpa1の 第1〜第30N末端アミノ酸を除去し、異種GαサブユニットからのN末端アミ
ノ酸と置き換えることができる。好適実施態様では、Gpa1の第1〜第22N 末端アミノ酸を除去し、異種GαサブユニットからのN末端アミノ酸と置き換え
ることができる。もう一つの実施態様では、Gpa1の第1〜第11N末端アミ ノ酸を除去し、異種GαサブユニットからのN末端アミノ酸と置き換えることが
できる。
【0253】 一実施態様では、異種Gαサブユニットの最初の50個のN末端アミノ酸を、
Gpa1のN末端アミノ酸から置き換えるか、又はこれに付加する。もう一つの 実施態様では、異種Gαサブユニットの最初の40個のN末端アミノ酸を、Gp
a1のN末端アミノ酸から置き換えるか、又はこれに付加する。もう一つの実施 態様では、異種Gαタンパク質サブユニットの最初の30個のN末端アミノ酸を
、Gpa1のN末端アミノ酸から置き換えるか、又はこれに付加する。もう一つ の実施態様では、異種Gαタンパク質サブユニットの最初の21個のN末端アミ
ノ酸を、Gpa1のN末端アミノ酸から置き換えるか、又はこれに付加する。更 にもう一つの実施態様では、異種Gαタンパク質サブユニットの最初の11個の
N末端アミノ酸を、Gpa1のN末端アミノ酸から置き換えるか、又はこれに付 加する。他の様々な実施態様では、異種Gαサブユニットの5〜50アミノ酸の
うちいかなる数のC末端アミノ酸残基も、例えば1〜50、1〜40、1〜30
、1〜21、又は1〜11アミノ酸残基を、N末端Gpa1配列から置き換える か、又はこれに付加することができる。
【0254】 一実施態様では、Gpa1のC末端及びN末端アミノ酸に対する置換は、同じ 異種Gαサブユニットを用いて実施することができる。一実施態様では、この異
種Gαサブユニットは、Gαqである。技量を有する当業者は、いかなる数のG
αサブユニット群を用いても置換を実施できることを認識するものと思われる。
やはり本発明の対象範囲内で、N及びC末端での置換は、異なるGαサブユニッ
トを用いてGpa1のC及びN末端で実施することができる。C末端及びN末端 置換の組合せの例は、Gαs−Gpa1−Gαq;Gαq−Gpa1−Gαs;G
αs−Gpa1−Gαi2;Gαi2−Gpa1−Gαs;Gαs−Gpa1−G αi3;Gαi3−Gpa1−Gαsなどを包含するが、これらに限定されない 。
【0255】 Gpa1配列は、好ましくは、異種Gαサブユニットの野生型配列と、例えば Gpa1の最後の5個のC末端アミノ酸を野生型哺乳動物のGαサブユニットの 、対応する最後の5個のC末端アミノ酸と置き換えることによって、置き換える
。しかし、Gpa1配列は、例えば、Gαサブユニットの最後の5個のC末端ア ミノ酸配列での一つ又はそれ以上の同類置換を含む、突然変異Gαサブユニット
の配列と置き換えてもよい。突然変異Gαサブユニット配列は、それらが受容体
特異性を保持又は改良できる能力に基づいて選ぶ。したがって、異種Gαサブユ
ニットのC末端アミノ酸は、野生型配列と、受容体特異性を保つ同類置換とを含
むことが意図される。
【0256】 キメラGαタンパク質の結合特異性は、異種Gタンパク質結合受容体も発現す
る、キメラGαタンパク質を酵母細胞内で発現することによって試験することが
できる。異種受容体とのサンドイッチキメラGタンパク質の結合は、例えば、実
施例12に記載のとおり、Fus1-pHIS3スクリーニングによって決定することがで
きる。Gpa1のC末端及びN末端アミノ酸が、異種Gαサブユニットの配列で 置き換えられたサンドイッチキメラGタンパク質は、様々な異種Gタンパク質結
合受容体で試験したとき、改良された結合を立証する(実施例12を参照された
い)。
【0257】 本明細書に開示されたすべての特許、刊行された特許出願その他の引用文献は
、ここに、引用によって明示的に組み込まれる。
【0258】 実施例 以上、本発明を概括的に説明したが、下記の実施例を参照することによって本
発明はより容易に理解される。しかし実施例は、本発明のある特徴及び態様を単
に例証することが目的であって、本発明を制限するものではない。
【0259】 実施例1:酵母菌/哺乳類キメラGαサブユニット この実施例は、酵母菌G蛋白質サブユニット由来の第一のポリペプチドと哺乳
類G蛋白質サブユニット由来の第二のポリペプチドから作成される、G蛋白質サ
ブユニットのキメラの構築に関する。異質三量体G蛋白質のGαサブユニットは
、βγ複合体及び受容体の両方と相互作用する。従ってキメラαサブユニットの
構築は、受容体結合を促進する。この実施例では、酵母菌GPA1由来のポリペ
プチドと数種類の異なる哺乳類Gαサブユニットを用いて、様々なG蛋白質サブ
ユニットキメラを構築した。GPA1のヌクレオチド配列は公知である。例えば
、サッカロミセス・セレビシエと同種のG蛋白質をコードする遺伝子を、単独で
クローンした[Dietzel及びKurjan(上述;遺伝子はSCG1と称
されている)及びNakafuku他(1987Proc Natl Acad
Sci84:2140−2144(遺伝子はGPA1と称されている)参照]
。ヒトGαサブユニットであるGαs、Gαi2及びGαi3のヌクレオチド配
列も公知である。以下の記述は、G蛋白質サブユニットGαのキメラ構築の特異
な形態の実施例である。
【0260】 使用するプラスミドを下記のように構築した。 pRS416−GPA1(Cadus1069):全長GPA1のプロモータ
ー領域、コード領域、および約250ヌクレオチドの3’末端非翻訳領域をコー
ドするXbaI−SacI断片を、10YCplac111−GPA1(S.R
eed、スクリップス研究所より入手)から切り出し、XbaI及びSacIで
切断したYEpベクターpRS416(Sikorski及びHieter、G
enetics122:19(1989))内にクローンした。
【0261】 部位により誘発されるGPA1突然変異(Cadus1075、1121及び
1122):全GPA1コード領域及び200ヌクレオチドの5’非翻訳領域を
含む1.9kbのEcoRI断片を、EcoRI切断しホスファターゼ処理した
pALTER−1(Promega)内にクローンし、電気穿孔法によりDH5
αF’バクテリア内で形質転換させてCadus1075を得た。組替えプラス
ミドをM13KO7ヘルパーファージで回収し、一本鎖組替えDNAを業者の説
明書に従って抽出した。下記の合成ヌクレオチドを用いて誘発した突然変異によ
って、新規NcolI部位をGPA1の開始メチオニンに導入した。 5’GATATATTAAGGTAGGAAACCATGGGGTGTACA
GTGAG3’ (配列番号13) アンピシリンで正のクローンを分離し、数種類の異なるクローンを+1位置にお
ける新規なNMcoI部位に沿って両方向、配列決定した。正しい配列を含む2
種のクローンを、Cadus1121及び1122として保持した。
【0262】 GPA1に基づく発現ベクター(Cadus1127)の構築:酵母菌中で全
長及びハイブリッド哺乳類Gα蛋白質を発現するのに用いられるベクター(Ca
dus1127)を、以下のように構築した。GPA1の3’非翻訳領域に渡る
350ヌクレオチドの断片を、オリゴヌクレオチドプライマーA(5’CGAG
GCTCGAGGGAACGTATAATTAAAGTAGTG3’(配列番号
14))及びB(5’GCGCGGTACCAAGCTTCAATTCGAGA
TAATACCC3’(配列番号15))を用いるTaqポリメラーゼ(Amp
liTaq;Perkin Elmer)で増幅した。350ヌクレオチドの産
物をGeneCleanII(Bio101)を用いるゲル電気泳動によって精
製し、単ヌクレオチド重複TAクローニング(InVitrogen)によって
、pCRIIベクター内に直接クローンした。組替えクローンを、制限酵素地図
及びジデオキシヌクレオチド配列決定によって特徴付けした。組替え遺伝子は、
通常のGPA1配列の5’側に新規なXhoI部位を、通常のGPA1配列の3
’側に新規なKpnI部位を含んでいた(それぞれプライマーA及びプライマー
Bと称する)。
【0263】 Cadus1013(pRS414)のポリリンカーのNotI及びSacI
部位をこれらの制限酵素で除去し、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を挿入
してブラントエンド結合してCadus1092を得た。GPA1プロモーター
及びGPA1の5’非翻訳領域を含むYCplac111−GPA1から得た1
.4kbのGPA1のPstI−EcoRI5’断片をGeneClean(B
io101)を用いるゲル電気泳動によって精製し、PstI−EcoRI制限
酵素切断Cadus1013内にクローンし、Cadus1087を得た。PC
R増幅した、GPA1の3’非翻訳領域をコードするXhoI−KpnI断片を
、Cadus1089から切り出し、XhoI−KpnI制限酵素切断Cadu
s1087内にクローンしてCadus1092を得た。Cadus1092の
ポリリンカーのNotI及びSacI部位をこれらの制限酵素で除去し、DNA
ポリメラーゼIのクレノウ断片を挿入してブラントエンド結合してCadus1
110を得た。EcoRIの−200〜+120位置から得た、Cadus11
22をコードするGPA1の領域をVentDNAポリメラーゼ(New En
gland Biolabs、マサチューセッツ州ベヴァリー)及び下記のプラ
イマーを用いて増幅した。 5’CCCGAATCCACCAATTTCTTTACG3’(配列番号16)
及び 5’GCGGCGTCGACGCGGCCGCGTAACAGT3’(配列番号
17) 5’末端にEcoRI部位を有し、3’末端に新規なSacI、NotI及び
SalI部位を有する増幅産物を、EcoRI及びSalIで制限酵素切断し、
GeneCleanII(BiolOl)を用いてゲル精製し、EcoRI及び
SalIで制限酵素切断したCadus1110内にクローンしてCadus1
127を得た。−200のEcoRIと、3’非翻訳領域の3’端におけるKp
nI部位との間に位置するベクターのDNA配列を、制限酵素地図及びジデオキ
シヌクレオチドDNA配列分析によって確認した。
【0264】 GPA41−Gα蛋白質のPCR増幅及びCadus1127内へのクローニン
グ:ヒトGαサブユニットであるGαs、Gαi2及びGαi3、並びにサッカ
ロミセス・セレビシエGPA1をコードするcDNAクローンを、Vent熱安
定性ポリメラーゼ(New England Biolabs、マサチューセッ
ツ州ベヴァリー)を用いて増幅した。増幅に用いたプライマー対は下記である。
GαS用:プライマー1:5’CTGCTGGAGCTCCGCCTGCTGC
TGCTGGGTGCTGGAG3’(配列番号18)(SacI5’) プライマー2:5’CTGCTGGTCGACGCGGCCGCGG
GGGTTCCTTCTTAGAAGCAGC3’(配列番号19)(SalI
3’) プライマー3:5’GGGCTCGAGCCTTCTTAGAGCA
GCTCGTAC3’(配列番号20)(XhoI3’) Gαi2用:プライマー1:5’CTGCTGGAGCTCAAGTTGCTG
CTGTTGGGTGCTGGGG3’(配列番号21)(SacI5’) プライマー2:5’CTGCTGGTCGACGCGGCCGCG
CCCCTCAGAAGAGGCCGCGGT CC3’(配列番号22)(S
alI3’) プライマー3:5’GGGCTCGAGCCTCAGAAGAGG
CCGCAGTC3’(配列番号23)(XhoI3’) Gαi3用:プライマー1:5’CTGCTGGAGCTCAAGCTGCTG
CTACTCGGTGCTGGAG3’(配列番号24)(SacI5’) プライマー2:5’CTGCTGGTCGACGCGGCCGCC
ACTAACATCCATGCTTCTCAAT AAAGTC3’(配列番号
25)(SalI3’) プライマー3:5’GGGCTCGAGCATGCTTCTCAA
TAAAGTCCAC3’(配列番号26)(XhoI3’) 増幅後、産物をGeneCleanII(BiolO1)を用いたゲル電気泳動
で精製し、適当な制限酵素で切断してCadus1127内にクローンした。
【0265】 増幅した遺伝子の5’末端付近の望ましい位置に導入したSacI部位並びに
3’非翻訳領域に導入したSalI又はXhol部位を通じて、GPA41−Gα サブユニットをクローンした。結合遺伝子混合物をコンピテントバクテリアに電
気穿孔導入し、アンピシリン耐性バクテリアの50種の培養からプラスミドDN
Aを調製した。
【0266】 GPA41−Gαサブユニットをコードする融和ベクターの構築:各GPA41
αハイブリッドのコード領域を、融和ベクター(pRS406=URA3 A
mpR)内に、このベクターのポリリンカークローン部位に隣接するBssHI
I部位を用いてクローンした。Cadus1011(pRS406)をBssH
IIで制限酵素切断し、業者の説明書に従ってエビアルカリフォスファターゼで
処理し、線型化されたヴェクターをゲル電気泳動で精製した。各GPA41−Gα ハイブリッドから得た挿入物を親ブラスミドからBssHIIを用いて切断し、
ゲル精製したCadus1011内にサブクローンした。
【0267】 GPA41−Gα構造体の構築:鋳型としてのCadus1179(開始メチオ
ニンにおいて新規なNcol部位を有する野生型GPA1対立遺伝子をコードす
る)、Ventポリメラーゼ、及び下記のプライマーを用いるPCR増幅によっ
て、新規なBS5HII部位を、GPA1コード領域内のフレームに導入した。 プライマーA:5’GCATCCATCAATAATCCAG3’(配列番号2
7)及びプライマーB:5’GAAACAATGGATCCACTTCTTAC
3’(配列番号28) 1.1kbのPCR産物をGeneCleanII(BiolO1)でゲル精製
し、NcoI及びBamHIで制限酵素切断し、NcoI−BamHI切断及び
フォスファターゼ処理したCadus1122内にクローンしてCadus16
05を得た。Cadus1605の配列を、制限酵素分析及び2本鎖鋳型のジデ
オキシ配列決定によって確認した。Gαs、Gαi2及びGαl6の組替えGP
Bam−Gαハイブリッドを作成した。組替えGPABam−Gαl6をコードする
Cadus1855の構築をここで主に述べるが、他のハイブリッドの構築も同
様なクローニング法に従う。天然Gαl6をコードする親プラスミドCadus
1617を、NcoI及びBamHIで制限酵素切断し、業者の説明書に従って
エビアルカリフォスファターゼで処理し、線型化したベクターをゲル電気泳動で
精製した。Cadus1605をNcoI及びBamHIで制限酵素切断し、G
PA1の60%のアミノ末端をコードしかつ3’末端に新規なBamHI部位を
有する1.1kbの断片を、NcoI−BamHI制限酵素処理Cadus16
17内にクローンした。GPABam−Gαl6ハイブリッドをコードする、得ら れるプラスミドの配列を、制限酵素分析で確認し、酵母菌Gβγに結合する能力
について試験用株を分析し、gpalについて負の表現型を抑制した。更に、本
出願に説明される2種のGPABam−Gαハイブリッドである、GPABam−Gα
s及びGPABam−Gαi2を同様の方法で調製した。GPABam−Gαi2ハイ
ブリッドの構築にはCadus1606を、GPABam−Gαsハイブリッドの 構築にはCadus1181を、親プラスミドとして用いた。
【0268】 実施例2:Gαの棄却域の同定、及びイーストβγを有する哺乳類Gαsの突然
変異による相互作用の向上 本実施例では、様々な哺乳類Gαサブユニットの棄却域を下記の一連の突然変
異によって同定する。 ラットGαsのD2295、ヒトGαl6のS270P、Gpal−Gαi2−
GαoBのS280P、及びGPA1−Gαl2のS288P 異質三量体G蛋白質の受容体に対する結合の特異性を、G蛋白質のαサブユニッ
トによって決定する。この事実は酵母菌内におけるヒト7経膜受容体の発現、(
薬物発見の経路としての)酵母菌フェロモン応答経路内への機能的結合に利用さ
れてきた。この目的を達成するために、哺乳類Gαサブユニットを、フェロモン
応答性Gαサブユニット(GPA1)を破壊した酵母菌細胞内で発現させた。G
PA1の主要な役割は、異質三量体のエフェクター信号発信βγ成分に結合し隔
離することなので、哺乳類Gαのエフェクター活性を調べることは見当違いであ
る。ここで調べるべき活性は、静止状態において酵母菌βγに結合し、受容体の
活性時に解放する能力である。 一般に、哺乳類Gαサブユニットの、サッカロミセス・セレビシエのβγサブ
ユニットに対する結合能は低い。内生Gαサブユニットを有さない酵母菌内でこ
れらのGαが発現されると、上記したように結合能が低い結果、未結合の酵母菌
βγのエフェクター活性によって、フェロモン経路の構成的活性化がおこる。哺
乳類Gαの、酵母菌βγに対する相互作用は、様々な遺伝子選択とスクリーン法
を組合せた様々なランダム及びセミランダム突然変異によって向上させることが
できる。そのような分析によって、α−βγ結合の棄却域を明確にするだけでな
く、βγには直接結合しないがこの結合を媒介するGα残基を同定する。
【0269】 酵母菌株 実験には下記の酵母菌株を用いた。 CY7757(MATα ste14::trp1::LYS2gpal::
LEU2 fusl−HIS3 farl−1 trp1 his3 ura3
leu2 lys2 ade2−1)、及びCY1316(MATα gpa
lΔ1163 farlΔ1442 tbtl−1 fusl−HIS3 ca
n1 ste14::trp1::LYS2 ste3Δ1156 lys2
ura3 leu2 trp1 his3)を、標準的遺伝子操作法によって構
築した。ste14::TRP1、gpa1::LEU2、far1−1及びf
us1−HIS3対立遺伝子は、それぞれGMZ809(Hrycyna他、1
991、EMBO J.10:1699)、D111(Kurjan他、198
7、Cell50:1001)、IH2512(Chang他、1990、63
:999)及びSY1390(Stevenson他、1992、Genes
and Development6:1293)に由来する。gpaΔ1163
(GPA1の内部Sph1断片の欠損)、ste3Δ1156(STE3の開始
コドンから停止コドンに渡る欠損)、及びfarlΔ1442(FARIのコド
ン50〜696に渡る欠損)の対立遺伝子を、5−フルオロオロチン酸を用いた
2段階遺伝子破壊によって導入した(Rothstein、1991、Meth
ods in Enzymol.Vol.194参照)。ste14::trp
1::LYS2障害を、pRS624を用いて構築した(Sikorski及び
Hieter、1989、Genetics参照)。
【0270】 プラスミド 様々なGα構造体の発現には、動原体プラスミドCp1127由来の発現プラ
スミドを用いた。このプラスミドは、5’及び3’クローン部位として作用する
NcoI及びXhoI部位によって分断される、選択性マーカーとしてのTRP
1遺伝子、並びにGPA1プロモーター及びターミネーターを含む。Cp309
8は、pYSK136からサブクローンされたラットGαsサブユニットを含む
(Dietzel及びKurjan、1987、Cell50:1001参照)
。このサブクローンは、そこに含まれる5’NcoI部位;並びにオリゴヌクレ
オチド「gsxhorev」(5’−CCCCTCGAGTTCCCTTCTT
AGAGCAGCT−3’)(配列番号45)を用いたPCRにより導入された
3’XhoI部位を用いて行う。Cp3222は、TRP1遺伝子を含む917
bpのHindIII断片と、ADE2遺伝子をコードする2.4kbのBbs
I−消化PCR断片と置き換えることによって構築される。このPCR断片は、
オリゴヌクレオチド「ADE2FWD」(5’−CCCGAAGACCAAGC
TTTTGACCAGGTTATTATA−3’)(配列番号46)及び「AD
E2REV」(5’−AAGGAAGACTTAGCTTTATAATTTGG
GCTTTAGTT−3’)(配列番号47)を用いてゲノム野生株酵母菌DN
Aを増幅して得られる。このプラスミド中のADE2遺伝子は、Gαsカセット
とは反対の方向に転写される。
【0271】 野生型ラットGαsにおける突然変異D229Sは、ラットGαs鋳型Cp3 098から得た2種の断片を、オリゴ対523(TTT CTT GTC AC
T CCG TTT CTA AC)(配列番号48)及び逆方向D229S(
CCCCGTCTCAAGAGCGCTGGCCGCCCACATC)(配列番
号49);並びに正方向D229S(CCCCGTCTCACTCTGAACG
CCGCAAGTGGATCC)(配列番号50)及び759(AGC AAG
CAG ATC TTG CTT GTT G)(配列番号51)を用いて増
幅した。前者のオリゴ対を用いて得られた断片をNcoI及びBsmBIで消化
し、後者のオリゴ対を用いて得られた断片をBgIII及びBsmBIで消化し
、NcoI及びBgIIIで消化したCp3098内にそれらを連結させ、Cp
3390を得た。このプラスミドは下記の配列を有していた。 GAT GTG GGC GGC CAG CGC TCT GAA CGC
CGC AAG TGG ATC (配列番号52) D V G G Q R E R
R K W I (配列番号53) これにより、野生型の229位置におけるアスパラギン酸をセリンに置換したラ
ットGa sをコードするようになった。
【0272】 S270P突然変異を有するGpal−Gαl6キメラをコードするプラスミ
ドCp3699を、以下のように構築した。KS5714(5’−TCGTCT
GGAGCTCAAGCTGCTGCTTTTGGGCCCAGGCGAGAG
CGG GAAGAGC−3’)(配列番号54)及びKS4661(5’−C
TGCTGGTCGACGCGGCCGCGGGTCACAGCAGGTTGA
T CTCGTCCAG−3’)(配列番号55)を用いて、ヒトGαl6遺伝
子の第45~374コドンを増幅し、この断片をSacI及びSalIで消化し 、同じ酵素で消化したCp1127に連結して、Gpal(1−43)−Gαl
6(45−374)キメラをコードするCp3233を得た。このプラスミドを
プライーマー対G16−271F(GTCAGGTCTCAACCAGTCAT
CCTCTTTCTCAACAAAACC)(配列番号56)及び524(AC
C CGG AAC GAT TTA ACG AG)(配列番号84);並び
にG16−271R(ACGTGGTCTCATGGTGTGCTTTTGAA
CCAGGGTAGT)(配列番号57)及び713(AGC GGC TGC
AGA TTC CAT TC)(配列番号58)を用いて増幅することによ
って突然変異させた(S270P)。得られた断片をそれぞれBsaI及びXh
oI又はBsaI及びNheIで消化し、Nhel及びXholで消化したCp
3233内に連結させ、Cp3699を得た。このプラスミドは下記の突然変異
配列を有していた。 CTA CCC TGG TTC AAA AGC ACA CCA GTC
ATC CTC TTT CTC AAC AAA (配列番号59) L P W F K S T
I L F L N K (配列番号60) これにより、野生型の270位置におけるセリンをプロリンに置換したヒトGα
l6をコードするようになった。
【0273】 S280P突然変異を有するGpal−Gαi2−GαoBキメラをコードす
るプラスミドCp3635を、以下のように構築した。正方向のプライマーob
(GGGCGTCTCACATGGGATGTACGCTGAGCG)(配列番
号61)及び逆方向ob(GGGGTCGACTCAGTAGAGTCAACA
GCCC)(配列番号62)を用いて、Cp1131からGαoBを増幅し、得
られた断片をBsmBI及びSalIで消化し、NcoI及びSalIで消化し
たCp1127に連結して、Cp3332を得た。S280P突然変異体をプラ
イマー対565(GAT TGG AGC CGG TGA CTA CC)(
配列番号85)及び逆方向obsp(CCCCCGTCTCATAGGGGTA
TCAATGAAAAACTTGTTGTTA)(配列番号63);並びに52
4(上述)及び正方向obsp(CCCCCGTCTCACCTATCATCC
TCTTCCTCAACAAG)(配列番号64)を用いて増幅することによっ
て導入した。得られた断片をそれぞれAatII及びBsmBI又はBsmBI
及びSalIで消化し、AatlI及びSalIで消化したCp3332内に連
結させ、Cp3709を得た。このプラスミドは下記の突然変異配列を有してい
た。 AAC AAC AAG TTT TTC ATT GAT ACC CCT
ATC ATC CTC TTC CTC AAC AAG (配列番号65) N N K F F I D T
I I L F L N K (配列番号66) 上記のヌクレオチド及びアミノ酸のうちイタリック体で書かれたものは、Gαo
A由来の多型であることを意味する。(相当するGαoBアミノ酸はF及びIで
はなく、W及びTである。)Cp3709から得たSphI−XhoI断片を、
同じ酵素で消化したCp1183に連結して、上記の変化を含む、Gpal(1
−43)−Gαi2(36−242)−GαoB(243−354)キメラをコ
ードするCp3635を得た。
【0274】 GPA1−Gα12キメラをコードするプラスミドを、以下のように構築した
。Cp1127の単PstI部位を、BamHI及びPstIで消化することに
よって除去し、T4DNAポリメラーゼで突出部をブラントエンドとし、得られ
た線型DNAを連結した。得られたプラスミド(Cp3326)をNcoI及び
SacIで消化し、GPA1pのN末端41アミノ酸をコードする合成ヌクレオ
チドの挿入を可能にした。GAP1のコドン18及び19においてPstI部位
を有する合成オリゴヌクレオチドは、リン酸化オリゴヌクレオチドo207(A
AAAGAGCCAATGATGTCATCGAGCAATCGTTGCAGC
TGGAGAAACAACGTGACAAGAATGAGCT)(配列番号67
)をオリゴヌクレオチドo208(CATTCTTGTCACGTTGTTTC
TCCAGCTGCAACGATTGCTCGATGACATCATTGGCT
CTTTTGTTC)(配列番号68)で、及びオリゴヌクレオチドo209(
CATGGGGTGTACAGTGAGTACGCAAACAATAGGAGA
TGAAAGTGATCCTTTTCTGCAGAAC)(配列番号69)をリ
ン酸化オリゴヌクレオチドo210(TGCAGAAAAGGATCACTTT
CATCTCCTATTGTTTGCGTACTCACTGTACACCC)(
配列番号70)でアニーリングし次いで連結することによって、作成した。この
約120bpの合成DNA断片の挿入によって得られたプラスミドCp3363
を、SacI及びXhoIで消化し、PCRで増幅してSacI及びXhoIで
消化した断片(野生型Gα12のアミノ酸43から停止コドンをコードする)の
挿入を可能にした。得られたプラスミドCp3435は、GPA1のN末端41
残基が野生型Gα12のN末端42アミノ酸と置き換わっている、キメラGPA
1−Gα12蛋白質をコードする。同様に、PCRで増幅してSacI及びXh
oIで消化した断片(Gα12のGTPアーゼ欠損突然変異体のアミノ酸43か
ら停止コドンをコードする)をCp3363に挿入した。得られたプラスミドC
p3436は、GPA1のN末端41残基がGα12のQ229L突然変異体の
N末端42アミノ酸と置き換わっている、キメラ蛋白質をコードする。
【0275】 Cp3435を鋳型として用い、オリゴヌクレオチドo286(CTTCTT
CAACGTCCCCATCATCCTC)(配列番号71)及びo287(G
AGGATGATGGGGACGTTGAAGAAG)(配列番号72)を用い
てStratagene社の早変えプロトコルによって突然変異誘発を行って、
Cp3822を得た。Cp3822は、野生型Gα12の残基288に相当する
セリンをプロリンに置き換えた、GPA1−Gα12キメラをコードする。Cp
3435を又鋳型として用い、オリゴヌクレオチドo293(GGATGTGG
GCGCCCAGAGGTCACAG)(配列番号73)及びo294(CTG
TGACCTCTGGGCGCCCACATCC)(配列番号74)によって突
然変異誘発を行って、野生型Gα12の残基228に相当するグリシンをアラニ
ンに置き換えた。この突然変異体は、活性化した配座になる能力がないと思われ
るキメラGαをコードする(E.Lee、R.Taussig及びA.G.Gi lman、J.Biol.Chem.267、1212(1992);R.T.
Miller他、Nature334、712(1988))。
【0276】 最後に、ADE8遺伝子を含む1.9kbの断片を、Cp3435のHpaI
部位にクローンし、Cp3506を作成した。Cp3506のユニーク部位Ps
tI及びSacIを用いて、可変アミノ酸をコードするオリゴヌクレオチドライ
ブラリーを導入した。すなわち、Cp3506をPstI及びSacIで消化し
、下記構成のセミランダムオリゴヌクレオチドライブラリーを挿入した。オリゴ
ヌクレオチドo221(GCGGAGCTCMNNMNNMNNMNNMNNC
TTTTCTAATTGCAAGGATTGTTCGATAACGTCATTA
GCTCTCTTATTCTGCAGGG、ここでMはC又はA;NはA、G、
C又はT)(配列番号75)及びo222(CCCTGCAGAATAAGAG
AGCTAATGACGTTATCGAACAATCCTTGCAATTA)(
配列番号76)をアニールし、部分的に2本鎖になったオリゴヌクレオチドをシ
ークエナーゼで穴埋めし、得られた完全な二本鎖産物をSacI及びPstIで
切断した。得られたライブラリーは、以下の配列を有するGαキメラをコードす
る。N末端の35アミノ酸はGPA1のものであり、次いでGPA1の残基36
−40位置に5個の完全にランダムなアミノ酸が続き、GPA1の残基41−4
4、Gα12の残基59−380(停止)が続く。ランダム領域は、予測される
N末端αへリックスのC末端境界に相当する。このライブラリーをキメラの供給
源として用いた。このキメラは、残りのGαサブユニットに対してN末端αへリ
ックスが最適な位置をとる結果、STE4/STE18との結合に向上を示すと
思われる。
【0277】 STE4/STE18との結合能に関して、野生型Gα12は何も有さないベ
クターと変わらない。しかしGPA1−Gα12は、2.5mMアミノトリアゾ
ールで分析した場合、明らかに結合が向上していた(1mMでは向上はかろうじ
て検知される)。従って、Gα12のN末端GαへリックスをGPA1の同等領
域に置き換えることによって、GαサブユニットとSTE4/STE18との結
合が増加する。GPA1−Gα12 S288P突然変異体においては、0.5
mMアミノトリアゾールで結合が検知され、更に向上した結合が見られた。これ
に対し、GTPアーゼ欠損GPA1−Gα12 Q227Lキメラ及びGPA1
−Gα12 G228Aキメラは野生型Gα12より向上した結合を示すことは
ない。 予測されるN末端αへリックスのC末端境界において様々に異なるアミノ酸を
有するGPA1−Gα12キメラライブラリーを、STE4/STE18との結
合において向上を示す蛋白質についてスクリーンした。そのような蛋白質は得ら
れなかった。
【0278】 培養基:キメラG蛋白質サブユニットを内在させる酵母菌細胞の増殖用として、
標準的な酵母菌培養基用の配合を用いた。培養基SCAandはアミノ酸の混合
物とウラシルを含み(例えばRose他、Methods in Yeast
Genetics、1990参照)、アデニンを含まない。1リットル当たり、
4.5mlの1M KOH及び25mlの1M K−Pipes(pH6.8)
を用いてpHを6.8に調節した。培養基SCAH1は、ヒスチジンを含まず1
mM(1,2,4)3−アミノトリアゾール(His3遺伝子産物の競合的阻害
剤)を含むことを除いては、上記と同じである。培養基SCH1(loA)は、
6.25μg/mlのアデニンを含むことを除いては、SCAH1と同じである
【0279】 突然変異体ライブラリー:dITPの存在下でTaqポリメラーゼがエラーを起
こすという傾向を利用して、ラットGαs蛋白質に突然変異を起こさせた。プラ
イマーとしての705(5’−GCATCACATCAATAATCCAG)(
配列番号77)及び386(5’−AACCCGGAACGATTTAACGA
GATCAAGAAC)(配列番号78)(これらのオリゴヌクレオチドはそれ
ぞれGPA1プロモーター及びターミネーターに相当する);200μMのdA
TP、dGTP、dTTP及びdITP、並びに40pMのdCTP;及び業者
(Fisher)により提供される緩衝剤を用いて、サイクル(94℃を30秒
;50℃を30秒;72℃を90秒)を30回繰り返し、ラットGαsをp30 98から増幅した。PCR産物をNcoI及びXhoIで消化し、上記したAD
E2ベクターに連結した。約20,000のDH10B形質転換体がプールされ
、ラットGαs突然変異体のライブラリーが得られた。
【0280】 スクリーニングによる結果: 酵母菌Gβγへの向上した結合を示すGαs突然変異体のスクリーンは、野生型
Gαsを発現するgpal fus1−HIS3コロニーがレプリカ法によって
ヒスチジン欠乏かつ1mM 3−AT含有培地上で成長できる(これはフェロモ
ン経路が部分的構成状態(partially constitutive s
tate)にある結果、fus1−HIS3レポーター遺伝子が部分的に抑制さ
れるためである)ことを利用している。望ましいβγ結合性Gαs突然変異体を
含むコロニーは、緊密なαβγ結合により媒介されるフェロモン経路を不活化す
るため、この培養基上で成長できないと考えられる。しかし、Gαsを発生する
プラスミドに対する選択条件が緩くなったとき、この場合は量を制限されたアデ
ニンを添加するとき、望ましい突然変異体のコロニーは、Gαsプラスミドを失
ったコロニー内の細胞画分(一般に5−10%)から得たものについてのみ成長
がみられる。そのようなコロニーはアデニン経路中間物の蓄積によって赤色を呈
している。Gαs−ADE2プラスミドの存在は1mM 3−AT上で成長する
能力に目に見えるほどの負の効果を与えないので、突然変異誘発していないGα
s−ADE2プラスミドはアデニン制限培養基上で白色を呈するが、アデニン制
限条件下で選択性の利点を与える。スクリーニングにはプラスミド依存性表現型
を用いるので、スクリーニングによって視覚的に容易に潜在的突然変異を同定で
き、Ste−等の望まれない突然変異を排除できる。
【0281】 GPA1プロモーターの制御下に突然変異誘発したラットGαs遺伝子のライ
ブラリーを、gpal fusl−HIS3 far1 ade2株(CY77
57)に導入し、約10,000コロニーを40SCA培養基上で選択した。3
0℃で2日間培養したのち、コロニーのレプリカをSCHI(loA)上に作成
し、内性酵母菌βγとの緊密な相互作用を通じてフェロモン経路を抑制すること
のできる突然変異体Gαs蛋白質を産生するものを同定した。そのようなコロニ
ーはAde−細胞の成長により赤色を呈している。というのは、コロニーのAd
e+細胞はHis+についての選択に負けてしまい、少なくとも部分的に抑制解
除されたフェロモン経路を必要とするからである。予想されるように、SCHI
(loA)上に赤色のレプリカを産生するコロニーは、SCAHI上では成長で
きず、ADE2−Gαsプラスミドが絶対的に必要とされる。
【0282】 プラスミドDNAを推定突然変異産生細胞から回収し、大腸菌DHIOB内で
増幅し、CY7757内に形質転換し、SCAHI上で突然変異体のプラスミド
連鎖について確認した。突然変異体の配列決定により、1点又は2点突然変異で
あることが分かった(下記表1参照)。突然変異が非コード領域で起きている可
能性を除外するために、突然変異体の野生型Gαs−TRP1プラスミド(p3
098)へのサブクローニングを行ったが、全ての場合において、His+表現
型であった。これらサブクローンされたプラスミドは異なるgpal fusl
−HIS3株、CY1316において試験された。
【0283】
【表1】
【0284】 2個の突然変異を有する突然変異体において、ボールドで示したものは、Gαs
に対する結合の向上(Cp3098におけるサブクローニングによって決定)を
賦与する突然変異である。図2はGαs突然変異の作用を示す。S286Pを除 くその他全ては、gpal fusl−HIS3株のうち0.2mM 3−AT
上で成長するものを除外する。これはフェロモン経路の効果的な抑制が行われて
いることを意味する。この効果は、(GTP親和性の減少やGTPアーゼ活性の
増加といった要因も他に考えられるが)Gαs−GDPの酵母菌Gβγに対する
親和性を高めたことに由来する。
【0285】 異なるGαサブユニット中の「スイッチ2」領域において高度に配列が保たれ
ているにもかかわらず、位置229においてはGαsはアスパルテートを有し、
他の全てのGαはセリンを有することが、様々なGαサブユニット群間での整合
性についての研究からわかってきた。突然変異の一つではこのアスパルテートが
バリンに置き換わっている(これはβγ結合における重要性を示唆する)ので、
アスパルテートをより一般的なセリン残基に単に置き換えることで、「天然の」
スイッチ2構造を保持しつつαβγ相互作用が向上するかどうかという疑問が起
こる。図2はD229S対立遺伝子が、元になったD229V突然変異によって
与えられる表現型と同程度に表現型を与えることを示している。この位置におい
てGαsがアスパルテートを有することを除いては、全てのGαサブユニットに
おいて、突然変異の一つであるN254Dが、D229Sと類似であることも注
目に値する。
【0286】 αβγ相互作用を更に向上させるために、標準的な分子生物学法を用いて、二
重突然変異体E10K D229Sを構築した。図2から明らかなように、2個
の突然変異が相互依存的に作用した結果、二重突然変異体の表現型がどちらの単
突然変異体の表現型に比べても程度が増し、内性酵母菌Gpalと比較できるほ
どの程度になった。
【0287】 酵母菌内でのエピソームプラスミドの生来の不安定性(細胞分割あたり〜5%
)を避けるために、突然変異Gαs遺伝子をCY1316のgpal座に組み込
んで(E10K、D229S、S286P及びN254D並びに二重突然変異体
E10K D229S)、エピソームの変形(version)に用いられるプ
ロモーター及びターミネーターを保存した。得られた株はエピソーム上に突然変
異Gαsを有する類似の株を模倣する動作を示した。
【0288】 突然変異Gαsサブユニットが酵母菌βγに密接に結合するだけでなく、受容
体刺激によってβγから解離することを示すために、PGKプロモーターの制御
下に、ヒトアデノシンA2a受容体を、エピソームfusl−lacZレポータ
ープラスミドと共に様々なGαs突然変異体背景に導入した。予想されるように
、外因性のアデノシン類似物NECAを添加したところ、β−ガラクトシダーゼ
ユニットが10倍増加した。これは突然変異Gαsに、受容体と生産的に相互作
用し、リガンドの添加によりβγから解離する能力があることを立証している。
【0289】 S286P突然変異は、酵母菌Gβγと相互作用するGαサブユニットの範囲
を拡張する潜在的な方法があることを示唆している。というのは、全ての哺乳類
Gαサブユニットはこの位置にセリンを有し、プロリンがGpalに見られるの
で、S286P置換を他の哺乳類Gαサブユニットに外挿することによって見か
けのGβγ親和性を向上させられるであろうからである。アミノ末端αへリック
ス領域に相当する、酵母菌Gpa1の最初の43アミノ酸を、Gαi2の対応す
る部分に置換することによって、酵母菌Gβγサブユニットに対するGαi2の
見かけの親和性が劇的に増加する(これは構成的Gβγフェロモン信号(「4l
−i2」の抑制により明らかになる)ことが示されている。Gα16及びGα1
2への改変を行うことによって酵母菌βγ封鎖能が向上し、この親和性は、適当
なセリン残基(Gαs中の位置2862相当)をプロリンと置換することによっ
て更に向上する。加えて、3重キメラGpal(1−43)−Gαi2(36−
242)−GαoB(243−354)のβγに対する見かけの親和性を、適当
なS→P置換によって有意に向上させた。
【0290】 実施例3:STE18/哺乳類Gγキメラ蛋白質の構築 酵母菌の野生型Gγサブユニット、STE18を包含するキメラ蛋白質を作成
した。野生型STE18ヌクレオチド配列は公知のものである。STE18カル
ボキシル末端の34アミノ酸配列は以下の通りである。 GYPVAGSNHFIEGLKNAQKNSQMSNSNSVCCTLM(配
列番号29) 野生型ヒトGγヌクレオチド配列は公知のものである。ヒトGγカルボキシル末
端の24アミノ酸配列は以下の通りである。 PLLPVPASENPFREKKFFCAIL(配列番号30) 下線をつけた残基は全ての哺乳類Gγサブユニットに保持されている。 STE18−哺乳類Gγキメラを、標準的な分子生物学法によって構築した。
以下は作成したGγキメラのリストであるが、これらは全て酵母菌STEを改変
したものであり、Gγサブユニットの部分を包含する。以下に示す配列は、カル
ボキシル末端の配列を並べたものである。下記表において、各配列の第一アミノ
酸の前にある2個の点は、野生型STE18アミノ酸末端配列が、第一アミノ酸
の前に存在することを示している。酵母菌STE18由来の残基は正常株である
のが、哺乳類Gγ由来のものはボールドで示した。 最後に示されるアミノ酸は、各キメラのカルボキシル末端のアミノ酸である。
【0291】
【0292】 実施例4:G蛋白質活性のモジュレーターについてのスクリーニング G蛋白質(この場合はGα)活性のモジュレーターについてのスクリーニング
を、例証を目的として下記の実施例中で行ったが、本発明はこれに限定されるも
のではない。 株CY4874及びCY4877は、プラスミド1中にクローンしたGαi2
遺伝子中にQ205L突然変異が存在することを除いては同質遺伝子型株である
。株CY4901及びCY4904はそれぞれ、ヒトGαi2遺伝子のN末端に
おけるgpalの41アミノ酸を含有する、染色体が一体となったキメラGα融
合体であり、構成的に活性化された突然変異体がCY4901のC5a受容体遺
伝子に存在することを除いては同質遺伝子型株である。株CY5058は酵母菌
Gβγサブユニットのみを有し、Gαサブユニットを有さないgpal突然変異
体である。この株はGαサブユニットの特異的活性を実証する対照株である。
【0293】 Gαの突然変異による活性の抑制 Q205L突然変異は、ヒトGαi2遺伝子の、構成的に活性化されたGTP
アーゼ欠損突然変異体である。Gαi2に作用するアンタゴニスト化合物、化学
物質及び他の物質は、活性レベルを減少させる作用によって認識される。従って
これらの物質は、fusl−lacZレポーター遺伝子からの第二のプラスミド
(プラスミド2)への信号を減少させる。
【0294】 A.GTPアーゼGαi2突然変異体 試験成分=gpa4I−Gαi2(Q205L) 対照成分=gpa4I−Gαi2 上に詳述したCY4874及びCY4877構造体、並びにHis3又はfus
2−CAN1成長の読み出し(readout)を行った類似の株を用いた。f
usl−His3株はアゴニストのスクリーニングに好ましく、fus2−CA
N1株はアンタゴニストのスクリーニングに好ましい。
【0295】
【0296】 それぞれの場合において、アンタゴニストは試験株を対照株のように作用させな
ければならない。
【0297】 B.GTPアーゼGαs突然変異体 (Gα特異性) 試験成分=Gαs(Q227L) 対照成分=Gαs
【0298】 それぞれの場合において、非特異的アンタゴニストは試験株を対照株のように作
用させなければならない。
【0299】 追加の培養基必要条件:fus1−HIS3及びfus2−CAN1スクリー
ンにおけるGαプラスミドの保持用に−TRP、そしてfus1−lacZスク
リーンにおけるGα及びfus1−lacZプラスミドの保持用に−TRP−U
RA
【0300】 II.受容体による活性の抑制 構成的に活性化されたC5a受容体 試験成分=C5aR*(P184L,活性化C5a受容体) 対照成分=C5aR C5aR*突然変異では野生型のアミノ酸配列位置184のプロリンがロイシン 残基に置き換わっている。
【0301】 それぞれの場合において、アンタゴニストは試験株を対照株のように作用させな
ければならない。
【0302】 追加の培養基必要条件:fus1−HIS3及びfus2−CAN1スクリー
ンにおける受容体プラスミドの保持用に−LEU、そしてfus1−lacZス
クリーンにおける受容体及びfus1−lacZプラスミドの保持用に−LEU
−URA、非緩衝酵母菌培養基(pH5.5)
【0303】 下記のデータは酵母菌と結合する様々なGα群の概要である。
【0304】 実施例5:Sγ6突然変異体の、哺乳類G蛋白質結合受容体の結合における効果 Sγ6突然変異体の、哺乳類GPCRの結合における効果を調べた。野生型S
TE18及びSγ6突然変異体の能力を、4つの異なるGαsに関連して比較し
た結果を示す。ここでGPA41Gα12は、酵母菌GPA1のアミノ末端の4
1アミノ酸とGα12とを連結したものを含むキメラであり;GPA41Gα1
6(S27P)は、酵母菌GPA1のアミノ末端の41アミノ酸と、位置27で
SerをProに置き換えたGα16とを連結したものを含むキメラであり;そ
してGαs(D229S)は、位置229でAspをSerに置き換えた哺乳類
Gαsである。
【0305】 (L)はリガンド依存性信号を不明確にすることのない、低いレベルのリガンド
非依存性受容体活性(LIRMA)を示す。 LIRMAはリガンド依存性効果を完全に不明確にする、高いレベルのLIRM
Aを示す。 +はリガンド依存性成長を示す。 −はリガンド非依存性成長を示す。
【0306】 以下の略号を表に用いた。VIP(血管作動性腸管ペプチド);ML1b(メラト ニン受容体);C5a(補体活性化経路成分);FPRL(ホルミルペプチド関
連受容体);IL−8(インターロイキン8);A2a(アデノシン2a受容体
【0307】 実施例6:オーファン受容体発現用の酵母菌4株の作成 この実施例は、薬物スクリーニングアッセイ用の、それぞれ異なるキメラG蛋
白質サブユニットを発現する、4種の酵母菌株の作成を例証する。酵母菌細胞内
で4種の異なるG蛋白質サブユニットを用いることで、少なくとも1種の酵母菌
株内で、最適なG蛋白質受容体結合を達成する機会が得られる。例証用の4種の
酵母菌株の遺伝子型を下記表に例証する。
【0308】 上記したように、Gα及びGγキメラはそれぞれgpa1及びste18座で融
合している。Fus1−HIS3はfus1座で融合しており、表現型はfus
1−である。上に列挙した遺伝子型に関連する一連の表現型を下に記す。
【0309】
【0310】 実施例7:α因子リーダーに基づく発現ベクターの構築 哺乳類G蛋白質結合受容体を発現する酵母菌ベクターで、プリプロα因子のリ
ーダーシークエンスに融合したものを、以下のように構築した。酵母菌遺伝子P
H05の転写ターミネーターを含む0.38kb断片を、プラスミドpTERを
鋳型とするPCRによって増幅した。後者のプラスミドは、PH05遺伝子のS
au3A−PstI断片(GenBank登録番号A07173)を、BamH
I及びPstIで消化したベクターpUC19内にサブクローンすることによっ
て構築した。PCプライマーはTER1、5’−GGATCTAGAGGATC
CTGGTACGTTCCTC−3’(配列番号6)及びTER2、GTCGC
TAGCCAAGCTTGCATGCCTGCAG−3’(配列番号7)(BR
L、Life Technologies、メリーランド州ゲーサーズバーグ)
を用いた。プライマーは増幅断片の5’及び3’末端にそれぞれXbaI及びN
heI制限酵素部位を有する。計30回のPCRサイクルを行った。各サイクル
は94℃での変性を45秒、53℃でのアニーリングを1分、72℃での重合化
を1.5分である。増幅した断片をXbaI及びNheIで消化して、プラスミ
ドCadus1289(pLPXt)(LEU2 PGKp 2mu−ori
REP3 AmpR)のXbaI部位に適当な方向でサブクローンした。これに
よってプラスミドCadus4257(pPP5)(LEU2 PGKp PH
O5t 2mu−ori REP3 AmpR)が得られた。
【0311】 全長プリプロ領域及びα因子前駆体の第一のスペーサーペプチドKREAEA
(配列番号86)をコードする0.27kbの酵母菌遺伝子MFα1断片をPC
Rで増幅した。このPCRでは、鋳型としてのプラスミドpAC109(Ost
anin他、1994、J.Biol.Chem269:8971)、並びに一
対のオリゴヌクレオチドプライマーMF5、5’−GCAGTCATGAGAT
TTCCTTCAATTTTTACTGC−3’(配列番号8)及びMF3、5
’−CAGCCCATGGCTTCAGCCTCTCTTTTATCC−3’(
配列番号9)を用いた。PCRはPHO5ターミネーターの増幅について述べた
のと同じ条件で行った。その結果、BspHI及びNcoI制限部位が増幅した
断片のそれぞれ5’及び3’末端に形成された。断片をBspHI及びNcoI
で処理してプラスミドCadus4257のNcoI部位内に適当な方向でサブ
クローンした。
【0312】 得られたプラスミドCadus4258(pPMP15)(LEU2 PGK
p Mfα1プリプロPHO5t REP3 AmpR)はPGK遺伝子の強度
の構成性プロモーターを有し、α因子リーダーコード配列と、PHO5転写ター
ミネーターがそれに続いた。リーダー配列の3’末端に位置するこのユニーク制
限部位NcoI、並びにターミネーターの5’末端に位置するXbaI及びBa
mHIを用いて、G蛋白質結合受容体をコードする配列のサブクローンに用いた
。転写ターミネータが発現ベクター内に存在するので、受容体特異性mRNAの
異質性の抑制が期待され、従って安定性が得られる。
【0313】 更に、ベクターCadus4431(pPMP15−HA)を構築した。これ
をC末端に血球凝集素(HA)エピトープをつけた受容体の発現に用いることが
できる。2種のオリゴヌクレオチド、HAtop、5’−GATCCGCTTA
CCCATACGATGTTCCAGATTACGCTGCTTGA−3’(配
列番号10)及びHAbot、5’−GATCTCAAGCAGCGTAATC
TGGAACATCGTA−3’(配列番号11)からなる合成アダプターを、
プラスミドCadus4258のBamHI部位に、リーダーコード配列に近接
する側のみでこの部位が再生する方向で導入した。停止コドン欠損の受容体コー
ド配列を得られたベクターのNcoI及びBamHI部位に挿入した結果、C末
端延長部SAYPYDVPDYAA(配列番号12)を有する受容体をコードす
るものが得られた。
【0314】 実施例8:ヒトノーシセプチン(nociceptin)受容体の機能的アッセ
イの作成 酵母菌α因子のプリプロ配列をPGKプロモーターの3’側及び標準的酵母菌
発現ベクターpLPXt(PGKプロモーター発現ベクター、NcoI及びXb
aI部位使用)の受容体クローニング部位の5’側に挿入し、ベクターpMP1
5を作成した。これにより成熟するとゴルジ内でα因子配列欠損の受容体となる
、キメラ受容体が合成される。 このベクターを用いて酵母菌に基づくヒトノーシセプチン受容体アッセイを作
成した。プリプロα因子−ノーシセプチン受容体発現プラスミドを、キメラST
E18−ヒトGγ蛋白質について異なった発現をする数種の同質遺伝子型株に、
下記に説明するように導入した。 α因子リーダーとの融合体として発現されたノーシセプチン受容体は、細胞表
面に呈示され、Ste2受容体について観察されたのと同様な染色パターンを示
す。この事実と一致して、融合受容体は、外鎖グリコシレーション及びゴルジ内
で起こるKex2プロテアーゼによる加工を経ていることが示された。従って、
α因子前駆体のリーダー配列は、受容体の細胞表面への効率的な運搬を支配して
いるようである。 追加のCadus酵母菌株CY2120内で、受容体活性についても調べた。
CY2120は内生酵母菌Gα蛋白質GPA1を欠失しているが、損傷のない酵
母菌Gγを有する。他のCadus酵母菌株と同じように、内生HIS3遺伝子
は不完全であり、FUS1−HIS3をゲノム内に融合した。この株はSST2
遺伝子に新規な突然変異を有する。SST2は、GPA1がGTP加水分解され
る速度を増加させる蛋白質をコードする。従って、SST2の非存在下では、G
PA1は長期間にわたってGTPと結合した状態にある。これは機能的に、GP
A1が長期にわたって活性であることを意味し、従って(特定の7種の経膜受容
体がGPA1と相互作用できる場合には)7種の経膜受容体からの信号を長期に
渡って伝達できることを意味する。この発見は、機能的成長経路の結果によって
もさらに確認された。α因子リーダーノーシセプチン受容体融合タンパク質及び
Gpa1Gαサブユニットを共発現する株CY2120(MATα sst2* 2far1*1442 tbt1−1 fus1−HIS3 can1 ste 14::trp1::LYS2 ste3*1156 lys2 ura3 l eu2 trp1 his3)は、ノーシセプチンに誘発される成長を有し、並
びにノーシセプチンに応答して起こるβガラクトシダーゼ発現の約10倍の活性
化を有することが示された。非リガンド誘発性成長が、非融合受容体を発現する
同じ株に観察された。
【0315】 実施例9:ヒトメラノコルチン4受容体の成長アッセイの改良 ヒトメラノコルチン4受容体(MC4R)は、非融合タンパク質として発現さ
れるとき、酵母菌内で機能することがわかっている。この受容体はGαsD22
9Sサブユニットを介して交配フェロモン応答経路と結合する。この事実は、6
種の異なるMC4R特異的アゴニストに応答して起こる、株CY9438(MA
Tα ste18γ6−3843 far1*1442 tbt1−1 fus 1−HIS3 can1 ste14::trp1::LYS2 ste3*1 156 lys2 ura3 leu2 trp1 his3)の成長活性化に
よって実証されている。しかし成長アッセイの感度は、この受容体がα因子リー
ダーとの融合として発現されるとき、大幅に向上する。これはおそらく細胞表面
での受容体レベルが上昇するためだと思われる。 ヒトメラノコルチン4受容体cDNAを、PGKプロモーターの制御下に、3
種の酵母菌発現ベクター内にクローンした。プラスミドpLPXtにより発現さ
れる全長受容体cDNAを、全ての生物学的応答アッセイにおいて用いた。更に
、受容体N末端にα因子のプリプロ配列を付加したプラスミドpMP15を、生
物学的応答性実験のサブセットに用いた。最後に、プラスミドpLPXt−FL
Uを用いて、血球凝集素エピトープを受容体のC末端に付加した。この最終構築
体を用いて、ウエスタンブロット分析によってMC4受容体発現を立証した。 メラノコルチン受容体は、副オピオメラノコルチンの処理から生ずる複数のリ
ガンドに相互作用することが実証されている。これらの天然リガンドは全て比較
的小さいペプチドである。α−MSHは、アミノ末端でアシル化され、カルボキ
シル末端でアミド化された13アミノ酸ペプチドである。蛋白質分解に対する耐
性を向上させた、α−MSHの合成類似体は[Nle4、D−Phe7]−α−
MSH(NDP−MSH)である。効力の低いアゴニストとしては、長さ22ア
ミノ酸のβ−MSH、長さ11〜27アミノ酸のγ−MSHペプチド群(11ア
ミノ酸のγ1、12アミノ酸のγ2、27アミノ酸のγ3)が挙げられる。 MC4受容体は、Gαsを介する信号としてその多くの特徴が判明している。
従って、ウエスタンブロットによる受容体発現の確認に際して、全長MC4受容
体を幾つかのGαs発現プラスミドと共に、Gγキメラの構成だけが異なる一連
の同質遺伝子型株に導入した。同様に、プリプロ−α因子リーダーと共に発現さ
れるMC4受容体を、一連のGαs発現プラスミドと共に、Gγキメラ株の1つ
に導入した。 リガンドを細胞単層に導入し、FUS1−HIS3成長アッセイによって受容
体の活性化を調べた。リガンドの添加に際して、未改変の受容体がCY9800
内で最も活性があることが示された。しかし2種のリガンドα−MSH及びND
P−MSHだけが、受容体刺激を行うことができた。これに対して、α因子プリ
プロリーダー配列が受容体のN末端に付加されている場合は、アッセイを行った
単一株CY9438において、全てのリガンドが受容体を活性化した。酵母菌交
配経路のリガンド依存性活性化の定量を、非最適化マイクロ力価フォーマットを
用いるFUSI−β−ガラクトシダーゼ導入によって行った。このアッセイにお
いて最大刺激は、約12nMのEC50で約5倍であった。
【0316】 実施例10:ラット代謝生成物産生グルタミン酸塩受容体2(mGluR2)の
酵母菌による発現 他の7種の経膜受容体とは対照的に、代謝性生物産生グルタミン酸塩受容体は
一般に、長い第一の細胞外領域を有している。特に、ラットmGluR2N末端
領域は、567個のアミノ酸残基からなる。 ラットmGlu2受容体cDNAを配列決定した結果、公知の刊行物記載のも
の(GenBank登録番号D16817)と一致することが分かった。cDN
Aを8種の酵母菌発現ベクター内にサブクローンした。 PGKプロモーターからmGlu2受容体を発現するように、プラスミドpL
PXtを改変した。このベクターにおける受容体の転写は、cDNA挿入物の3
’末端側から通常約400ヌクレオチドで停止する。しかし、cDNAのカルボ
キシル末端に隣接する部位に転写ターミネーターを挿入することによって、定常
状態の転写レベルを増加させることが可能であるということを、数々の実験結果
が示唆している。従って、PHO5遺伝子から得た転写ターミネーターを挿入し
てpLPXtを改変した。この構築体をmGlu2と称する。上記したプリプロ
α因子リーダーを用いて、更に2種の構築体を調製した。ppαF−mGluR
2と称する構築体においては、受容体のN末端に隣接する部位にリーダー配列を
挿入した。これに対し、ppαF−mGluR2Δでは、mGlu2受容体の信
号配列を仮定されるものを除去し、プリプロα因子リーダーに置き換えた。最後
に、構築体invmGluR2は、N末端にインベルターゼのリーダーを付加し
たmGlu2受容体の合成を引き起こす。α因子リーダーのように、このリーダ
ーは酵母菌分泌経路への異種蛋白質の導入を促進することが実証されている。こ
れら4種の構築体を用いて、酵母菌におけるmGlu2受容体の生物学的活性を
調べた。ウエスタンブロットにおける発現を向上させるために、血液凝集素エピ
トープをカルボキシル末端に付加して、mGlu2受容体を上記したのと同一の
ベクター組内にクローンした。 血液凝集素を付加した受容体を発現するプラスミドを酵母菌にトランスフェク
トし、受容体レベルを、全膜蛋白質調整物のウエスタンブロット分析によって調
べた。酵母菌リーダーの非存在下では、ニトロセルロース膜へ長く接触させたに
もかかわらず、受容体は検出されなかった。これに対して、プリプロα因子又は
インベルターゼリーダーと共に発現される場合には、濃い二重の高分子量バンド
が検出された。これらの結果は、受容体の発現が酵母菌配列の存在に依存するこ
とを示唆している。 しかしこれには別の解釈もありうる。大きくて高度にグリコシル化した蛋白質
は、効率よくニトロセルロースに転移されない。従って、酵母菌のリーダーを有
さない受容体は、高度にグリコシル化されており、ウエスタンブロットによって
検出されないという可能性がある。この可能性を調べるために、N連結したオリ
ゴ糖上の高マンノース構造を切断するエンドグリコシダーゼH(EndoH)で
蛋白質試料を処理した。その結果、オリゴ糖を除去してもリーダー受容体の可視
化に向上は見られなかった。このことは、ベクター内でmGlu2Rが合成され
なかったことを意味している。更に、EndoHによる結果は、受容体上にオリ
ゴ糖が存在すると、リーダーとの構造体を形成し、分泌経路に運搬されることを
示唆している。これらの結果はmGlu2受容体発現において酵母菌リーダーが
重要な役割を担っているという考えを支持している。 数種類のアゴニストを、mGlu2受容体の研究に利用できる。例えばL−C
CG−I、1S,3R−ACPD及びL−グルタミン酸(EC50はそれぞれ0
.75μM、7.7μM及び11.8μM)を用いることができる。mGlu受
容体を刺激するとアデニリルシクラーゼの阻害が促進されることが実証されてお
り、従って、受容体結合の初期研究ではGαi群の蛋白質を用いることに焦点を
置いた。 CY9437はユニークSte18−Gγ2キメラを発現する。今日、アッセ
イに利用されている受容体の多くは、適当なGαサブユニットと共に用いた場合
、リガンド依存性受容体活性(LIRMA)表現型を示している。従って、受容
体結合が存在しない場合、CY9437は、酵母菌内における受容体の結合能の
診断指標として漠然と用いることができる。他のmGlu2受容体構造物と比較
した場合、ppαF−mGluR2ΔのみがLIRMAを促進する。しかしこれ
はLIRMAではなく、実際には酵母菌から成長培養内に放出されたグルタミン
酸塩による、リガンド依存性活性化である可能性もある。グルタミン酸塩レベル
を減少させることを目的に、グルタミン酸塩をαケトグルタル酸塩に変えるグル
タミン酸オキシダーゼを用いた。それとは別に、L−グルタミン酸デカルボキシ
ラーゼ及びL−グルタミン酸脱水素酵素などの、グルタミン酸塩代謝酵素(酵母
菌成長条件化ではより強い効力を示す)を利用することができる。
【0317】 実施例11:Gpalカルボキシル末端キメラの構築 G蛋白質αサブユニットのC末端は、受容体−G蛋白質特異性の決定に重要な
役割を果たすことが示されている。(例えばConklin他(1995)Na
ture363、274−276;Liu他(1995)Proc.Natl.
Acad.Sci.92、111642−1116460;Hamm他(199
8)J.Biol.Chem.273:669−672;Conklin他(1
996)Mol.Pharmacol.50:885−890参照)。酵母菌内
で発現される異種受容体を通じた特異的結合の能力を調べるために、Gpalの
キメラ蛋白質を構築した。GpaIC末端の最後のアミノ酸5−6個を、哺乳類
Gαサブユニットの最後のアミノ酸5−6個と置換した。キメラ構造体を作成す
るために、野生型Gpa1をコードするCadus1179を鋳型としてPCR
増幅をおこなった。増幅用の特異的プライマー対として下記のものを用いた。
【0318】 GPA1-Gαs(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー2:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC ATA GAA GCT CAT ATT GT
T TAA GG3' (配列番号88) GPA1-Gαi2(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3 (配列番号87) プライマー3:5'ACG TCT CGA GAT CGA CTC AAA ATA GAC CAC AGT C
TT TAA GGT TTT GCT GGA TG3'(配列番号89) GPA1-GαZ(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー4:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC AAC AAA GAC CAA TAT A
TT TAA GGT TTT GCT GGA TG3' (配列番号90) GPA1-Gαq(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー5:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC ATA CAA GAT TAT ATT CT
T TAA GGT TTT GCT GGA TG3,(配列番号91) GPA1-Gα12(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー6:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC ATT GAA GCA TAA TGT C
TT TAA GGT TTT GCT GGA TG3' (配列番号92) GPA1-Gα13(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー7:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC ATT GAA GCA TAA GTT G
TT TAA GGT TTT GCT GGA TG3 (配列番号93) GPA1-Gα16(6)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー8:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC AAA GAA GAT TAA TTT C
AT CAA GGT TTT GCT GGA TGA TT3' (配列番号94) GPA1-Gαs(6)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー9:5'ACG TCT CGA GGT CGA CTC ATA GAA GCT CAT ATT GT
C TAA GGT TTT GCT GGA TG3' (配列番号95) GPA1-Gαo(5)プライマー1:5'TTT GAA GGG CCG TAT AAA GAC3' (配列番号87) プライマー10:5'ACG TCT CGA GAT CGA CTC AAT ATA GAC CAC ATC CT
T TAA GGT TTT GCT GG3' (配列番号96)
【0319】 増幅に次いで、約550pbのPCR産物を、QuiagenPCR精製キッ
トを用いてカラム精製した。精製した増幅産物をBstBI及びXhoIで消化
し、Cadus1179内にクローンした。Cadus1179をBstBI及
びXhoIで消化し、エビアルカリフォスファターゼで処理してゲル電気泳動で
精製した。PCR産物及び線形化したベクターを連結し、コンピテントバクテリ
アに電気穿孔導入した。アンピシリン培養基で成長するコロニーを選択して増幅
した。DNAをバクテリア細胞から単離し、配列決定して下記のC末端キメラを
得た。
【0320】 GPA1及び哺乳類Gαサブユニットの整列比較 Gpa1:...AVTDLIIQQNLKKIGII(配列番号97) ai2: ...AVTDVIIKNNLKDCGLF(配列番号98) (ai1では最後の5aaが同じ) aq: ...AVKDTILQLNLKEYNLV(配列番号99) (a11では最後の5aaが同じ) a12: ...AVKDTILQENLKDIMLQ(配列番号100) as: ...DCRDIIQRMHLRQYELL(配列番号101) a13: ...DVKDTILHDNLKQLMLQ(配列番号102) az: ...AVTDVIIQNNLKYIGLC(配列番号103) a16: ...DVRDSVLARYLDEINLL(配列番号104) as: ...DCRDIIQRMHLRQYELL(配列番号105) ao: ...AVTDIIIANNLRGCGLY(配列番号106)
【0321】 サッカロミセス・セレビシエGPA1及び哺乳類Gαサブユニットのアミノ酸
C末端を上に示す。各哺乳類Gαサブユニットにおいて、GPA1C末端のアミ
ノ酸と置換されているアミノ酸を、ボールド及び下線で示した。 GPA1の最後のアミノ酸5個を、対応する哺乳類Gαサブユニットの5アミ
ノ酸で置換して、下記のGPA1−Gα(5)キメラを作成した。 GPA1−Gαi2(5)、(配列番号107) GPA1−Gαq(5)、(配列番号108) GPA1−Gα12(5)、(配列番号109) GPA1−Gαs(5)、(配列番号110) GPA1−Gα13(5)、(配列番号111) GPA1−Gαz(5)、(配列番号112) GPA1−Gαo(5)、(配列番号113) GPA1の最後のアミノ酸6個を、対応する哺乳類Gαサブユニットの5アミ
ノ酸で置換して、下記のGPA1−Gα(6)キメラを作成した。 GPA1−Gα16(6)、(配列番号114) GPA1−Gαs(6)、(配列番号115)
【0322】 キメラG蛋白質の概要を表1に示す。サンドイッチキメラG蛋白質も表1に示
すが、これは実施例12にて詳述する。
【0323】
【表2】
【0324】融合G蛋白質を有する酵母菌株の構築 天然GPA1のオープンリーディングフレームがキメラのオープンリーディン
グフレームと置き換わるように、GPA1キメラを酵母菌ゲノム内に融合した。
GPA1−Gαi2(5)、GPA1−Gαs(5)、GPA1−Gα12(5
)及びGPA1−Gαq(5)を、CY1316(MATα gpalΔ116
3 farlΔ1442 tbtl−1 fusl−HIS3 can1 st
e14::trp1::LYS2 ste3Δ1156 lys2 ura3
leu2 trp1 his3)及びCY2120(MATα sst2Δ2
gpa1Δ1163 far1Δ1442 tbt1−1 fus1−HIS3
can1 ste14::trp1::LYS2 ste3Δ1156 ly
s2 ura3 leu2 trp1 his3)内に2段階で融合した(Bo
eke他、Meth.Enzymol.154:164−175)。GPA1−
Gαz(5)、GPA1−Gα13(5)、GPA1−Gα16(6)、GPA
1−Gαs(6)、Gαq(1−11)−GPA1(6−467)−Gαq(3
55−359)及びGαq(1−21)−GPA1(24−467)−Gαq(
355−359)を、CY14014(MATα sst2Δ2 gpa1::
k1URA3 far1Δ1442 tbt1−1 fus1−HIS3 ca
n1 ste14::trp1::LYS2 ste3Δ1156 lys2
ura3 leu2 trp1 his3)及びCY14066(MATα s
te18g6−3841 sst2Δ2 gpa1::k1URA3 far1
Δ1442 tbt1−1 fus1−HIS3 can1 ste14::t
rp1::LYS2 ste3Δ1156 lys2 ura3 leu2 t
rp1 his3)内に2段階で融合した(Erdeniz他、Genome
Res.7:1174−83;Rothstein、Meth.Enzymol
.194:281−301)。
【0325】
【表3】
【0326】 メラトニン1a及びFPRL1受容体のLacZアッセイ CY1141(MATα far1Δ1442 tbt1−1 fus1−H
IS3 can1 ste14::trp1::LYS2 ste3Δ1156
gpal(41)−Gαi2 lys2 ura3 leu2 trp1 h
is3)、CY10981(MATα GPA+3907 sst2Δ2 fa
r1Δ1442 tbt1−1 fus1−HIS3 can1 ste14:
:trp1::LYS2 ste3Δ1156 lys2 ura3 leu2
trp1 his3)、及びCY12946(MATα sst2Δ2 GP
Al−Gαi2(5) far1Δ1442 tbt1−1 fus1−HIS
3 can1 ste14::trp1::LYS2 ste3Δ1156 l
ys2 ura3 leu2 trp1 his3)を、下記のプラスミドで形
質転換し、株CY15502、CY15490、CY15494、CY6539
、CY15438、CY15440、CY6545、CY15437及びCY1
5439を作成した。 CADUS1584+CADUS2311 LacZ+ FPRL1受容体+ CADUS1584+CADUS2695 LacZ+ メラトニン1a受容体
+ CADUS1584+CADUS1289 LacZ+ 受容体+
【0327】 形質転換体のプールを各形質転換から採取し、トリプトファン及びロイシン欠
乏培養基(pH6.8、25mM PIPES含有)内で一晩培養した。一晩た
った培養を1/10希釈して600nmにおける光学濃度を測定し、新鮮な培養
基内で最終OD600が0.2になるように培養を希釈した。メラトニン受容体を 有する株を更に1.5時間培養し、OD600が0.2になるように再度培養を希 釈した。濃度を段階的に増加させたリガンドを用いてLacZ酵素活性を測定し
た。LacZ酵素アッセイを96ウェル板で行った。各反応は、合計体積100
μlになるように3回反復した。各反応において、90μlの培養と10mμl
のリガンドを用いた。各ウェル中のDMSO最終濃度はFPRL1受容体につい
ては1%に保持し、メラトニン1a受容体については5%に保持した。 FPRL1受容体の存在又は非存在下におけるLacZ活性を、0nM、1.
6nM、8nM、40nM、200nM、1μM、及び25μMのFPRL1濃
度にて測定した。リガンドの添加に次いで、96ウェル板を30℃で4時間保温
した。20μlの0.5mMフルオレセイン・ジ−β−D−ガラクトピラノシド
(FDG)を反応の基質として添加した。ウェル板を37℃で90分間保温した
。保温に次いで、各ウェルに20mlの1MNa2CO3を添加して反応を停止さ
せた。蛍光計を用いて励起波長485nm、発光波長535nmでウェル板を測
定した。
【0328】 メラトニン受容体の存在又は非存在下におけるLacZ活性を、0pM、1p
M、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM、1μM、10μM
、100μM、1mM及び4.3mMのメラトニン濃度にて測定した。その結果
、Gpa1、αi2サブユニットとC末端αi2(5)蛋白質キメラが結合し、
FPRL1受容体を刺激することが示された。メラトニン受容体について、キメ
ラG蛋白質が、野生型Gpa1と同様に受容体を刺激することが観察された。又
、キメラ蛋白質による受容体の刺激はあまり効果的ではなかったが、Gpa1−
41αi2キメラ蛋白質について結合が観察された。これらの結果は、キメラG
蛋白質が幾つかの異種受容体に結合し刺激できることを実証している。 他の様々な異種受容体を通じた刺激を、キメラG蛋白質を用いて調べた。結果
の概要を表3に示す。表3のデータは、Gpa1のみでは起きなかった異種受容
体の刺激が、幾つかのキメラG蛋白質を用いた場合に観察されたことを示してい
る。
【0329】
【表4】
【0330】 Fus1 p−HIS3アッセイにおいて、異種受容体の刺激はG蛋白質キメ
ラ又はサンドイッチキメラG蛋白質を用いた場合にも観察された。結果を表4に
示す。表4のデータは、野生型Gpa1では起きなかった異種受容体の刺激が、
多くのキメラG蛋白質を用いた場合に起きたことを示している。
【0331】
【表5】
【0332】 C末端キメラG蛋白質又はサンドイッチキメラを用いた異種オーファン受容体
の結合を、lacZアッセイによって調べた。アッセイの結果を表5に示す。表
のデータは、キメラG蛋白質(表5においては「テール」と表現)を用いた場合
にオーファンベクターを介した刺激が観察されたことを実証する。刺激は、Gα
q(1−11)−GPA1(6−467)−Gαq(355−359)サンドイ
ッチキメラを用いた場合にも観察された。
【0333】
【表6】
【0334】 実施例12:「サンドイッチ」キメラG蛋白質の構築 G蛋白質αユニットのC末端が受容体−G蛋白質特異性の決定に重要な役割を
果たしているが、G蛋白質αサブユニットのN末端も受容体接触に関与している
ようである(例えばHamm他(1998)J.Biol.Chem.273:
669−672参照)。受容体特異性における効果を調べるために、Gpa1の
C末端及びN末端領域を蛋白質Gαユニットで置換したサンドイッチキメラ蛋白
質を構築した。
【0335】Gαq(1−11)−GPA1(6−467)−Gαq(355−359)の構 Gαqの最初の11アミノ酸及びGPA1の6−381残基を含むGαq(1
−11)−GPA1(6−467)−Gαq(355−359)サンドイッチキ
メラを、Cp1179を鋳型として用いて構築した。以下のプライマーをPCR
増幅に用いた。 プライマー11:ACGTGGTCTCCCATGACTTTGGAATCTA
TTATGGCTTGTTGTCTTAGTACGCAAACAATAGGAG
ACG(配列番号116) プライマー12:GTATCTTTGAACCACTTAGAG(配列番号11
7) Gαqの最初の11アミノ酸及びGPA1の6−381残基を含むPCR産物
を精製し、BstBI及びBsaIで消化した。消化した産物をCp5042(
GPA1p−GPA1−Gαq(5) CEN6 ARS4 AmpR TRP
1)内に連結した。連結混合物を電気穿孔でコンピテントバクテリア内に導入し
た。プラスミドDNAをアンピシリン耐性バクテリアコロニーから調製し、G蛋
白質配列をDNA配列分析によって確認した。Gαqの11アミノ酸を含むクロ
ーン1種を同定し、Cp5902(GPA1p−Gαq(1−11)−GPA1
(6−467)−Gαq(355−359) CEN6 ARS4 AmpR
TRP1(配列番号118))と称した。
【0336】Gαq(1−21)−GPA1(24−467)−Gαq(355−359)の 構築 Gαqの最初の13−21残基及びGPA1の23−381残基を含むGαq
(1−21)−GPA1(24−467)−Gαq(355−359)サンドイ
ッチキメラを、Cp5902を鋳型として用いて構築した。PCR増幅には2種
のプライマーセットを用いた。第一のプライマーセットは以下の配列を有する。
プライマー13:GTCTAAAATGAAGAGGATAGTAG(配列番号
119) プライマー14:GATCCGTCTCACTTCAGAAAGACAACAA
GCCATAATAG(配列番号120) 第一のプライマーセットを用いて、EcoRI部位下流のPGA1プロモータ
ー配列とGαqの最初の12アミノ酸を含むPCR産物を得た。PCR産物を精
製し、EcoRI及びBsmBIで消化した。 第二のプライマーセットと、鋳型としてのCp5902をを用いて、Gαqの
13−21残基及びGPA1の23−381残基を増幅した。第二のプライマー
セットは以下の配列を有する。 プライマー15:GATCCGTCTCTGAAGAAGCTAAGGAGGC
TAGAAGAATTAATGATGTCATCGAGCAATCGTTGC(
配列番号121) プライマー12:GTATCTTTGAACCACTTAGAG(配列番号12
2) Gαqの13−21残基及びGPA1の23−381残基を含むPCR産物を
精製し、BsmBI及びBstBIで消化した。 2種の消化したPCR産物を、EcoRI及びRstBIで消化したCp50
42(GPA1p−GPA1−Gαq(5) CEN6 ARS4 AmpR
TRP1)内に連結した。連結混合物を電気穿孔でコンピテントバクテリア内に
導入した。プラスミドDNAをアンピシリン耐性バクテリアコロニーから調製し
、G蛋白質配列をDNA配列分析によって確認した。Gαqの21アミノ酸を含
むクローン1種を同定し、Cp6079(GPA1p−Gαq(1−21)−G
PA1(24−467)−Gαq(355−359) CEN6 ARS4 A
mpR TRP1(配列番号123))と称した。GPA1−Gα(5)、GP
A1−Gα(6)及びサンドイッチキメラ構造体の概要は実施例11の表1に示
した。酵母菌細胞に融合したサンドイッチキメラG蛋白質は、実施例11の表2
に示した。実施例11の表4及び5の、Fus1−pHIS3アッセイを用いた
結果は、サンドイッチキメラが異種受容体に結合して刺激できることを示してい
る。
【0337】 GPA1−Gqサンドイッチによる、ブラジキニン応答性受容体の機能的活性の
向上: G蛋白質を融合した酵母菌株の構築は実施例11に述べた。PGKプロモータ
ー、FUS1p−lacZレポーター及びプラスミド[Cp1179(GPA1
)、Cp5042(GPA1−Gαq(5))又はCp5902(Gαq(1−
11)−GPA1(6−467)−Gαq(355−359))のうち1種]の
制御下において、ヒトブラジキニン受容体2でCY2120を形質転換して、異
種受容体を介する刺激についてサンドイッチキメラを調べた。形質転換体は、ロ
イシン、ウラシル及びトリプトファン欠乏培養基(pH6.8)内で、指数増殖
中期まで成長した。100μlの培養基分取を、濃度を段階的に増加させたブラ
ジキニンを用いて96ウェル板内に30℃で4時間保温した。10mMクロロフ
ェノールレッド−β−D−ガラクトシド(CPRG)及び2.5%トライトンX
−100を含む20μlの6X Z緩衝液(0.6Mリン酸ナトリウム、pH7
.0、60mM KCl、6mM MgCl2、1.6%(v/v)β−メルカ プトエタノール)を、各分取に加え、室温で60分保温した。60μlの1M炭
酸ナトリウムを加えて酵素反応を停止させ、Biomek Plate Rea
der(Beckman)を用いてA575値を測定した。リガンドで処理した場 合、Cp1179の形質転換体についてはβ−ガラクトシダーゼ活性は増加しな
かった。Gαq(1−11)−GPA1(6−467)−Gαq(355−35
9)の形質転換体については26倍、GPA1−Gαq(5)の形質転換体につ
いては13倍のβ−ガラクトシダーゼ活性増加が見られた。
【0338】 実施例13:Fus1p−GFPを用いた検出 迅速で効率的な検出方法を提供するために、GFPをレポーター遺伝子として
用いた。プラスミドの構築 Cp2615(nFus1−lacz AmpR TRP1 2mu)からS
alI及びEagIでlacZ遺伝子を切り出し、野生型GFP遺伝子(Clo
ntech)で置き換えて、GFPレポーター遺伝子を含む構造体、Cp275
9(nFus1−GFPwt 2mu AmpR TRP1)を得た。 Cp2759(nFus1−GFPwt 2mu AmpR TRP1)を鋳
型として用いて早替え突然変異誘発プロトコル(Stratagene)に従っ
て野生型遺伝子(Cp2759)内に突然変異を導入した。得られたプラスミド
Cp4567(nFus1−GFP F100S M154T V164A 2
mu AmpR TRP1)は154位置においてトレオニンを有するが、酵母
菌コドンに偏向したトレオニンに変わっていた。突然変異はCrameri他、
Nature Biotech1996 14:315−319に記載のものと
同じであった。 Cp5600のGFP遺伝子内の部位をNcoI及びBstBIで消化して、
Cp5681(nfus1p−GFPS65T 2mu AmpR TRP1)
を作成した。450塩基対の断片を同じ酵素を用いてCp4567内に連結した
。Cp5681をBglII及びEagIで消化して、FusIp−GFPS6
5Tを含む1.1kb断片を、BamHI/EagIで消化した酵母菌組み込み
ベクター[Cp1007(HIS3 AmpR);Cp1009(TRP1 A
mpR);Cp1010(LEU2 AmpR);及びCp1011(URA3
AmpR)]の多重クローン部位内にサブクローンし、Cp5772(nFu
slGFPS65T HIS3 AmpR);Cp5773(nFuslGFP
S65T TRP1 AmpR);Cp5774(nFuslGFPS65T
LEU2 AmpR);及びCp5775(nFuslGFPS65T URA
3 AmpR)を得た。
【0339】 酵母菌株 Cp5774及びCp5775を(LEU2遺伝子内で切断する)BbsIで
線形化し、CY1829(bar1::hisG fus1−HIS3 tbt
−1 ura3 trp1 leu2 his3 SUC+)内に形質転換し、
URA LEU欠乏プレートに植え、3種の形質転換体を得た。3種の形質転換
体のGFP蛍光発光を顕微鏡及び蛍光計で調べ、最も強い蛍光発光をしたものを
CY16363(bar1::hisG fus1−HIS3 tbt1−1
ura3::URA3::fus1−GFPS65T trp1 leu2::
LEU::fus1−GFPS65T his3 SUC+)と称した。 同様に、Cp5773をBsu36Iで線形化し、Cp5775をBbsIで
線形化し、これら2種を同時にCY10981(GPA+sst2*2far1
*1442 tbt1−1fus1−HIS3 can1 ste14::tr
p1::LYS2 ste3*1156 lys2 ura3 leu2 tr
p1 his3)内に形質転換した。10種の形質転換体を単離し、GFPS6
5Tの機能的発現について、哺乳類受容体ML1aR(Cp2695)を形質転
換して調べた。蛍光発光を顕微鏡;及びFACs又は蛍光計によって観察した。
最も強い蛍光発光をしたものをCY16637と称した。 Cp5773を(TRP1遺伝子内で切断する)Bsu36Iで線形化し、C
Y10981内に形質転換した。形質転換体を単離し、GFPS65Tの機能的
発現について、哺乳類受容体を形質転換して調べた。蛍光発光を顕微鏡;及びF
ACs又は蛍光計によって観察した。最も強い蛍光発光をしたものをCY166
38と称した。
【0340】標準的な緑色蛍光蛋白質(GFP)アッセイ 酵母菌株を上記したように適当な培養基内において30℃で一晩育成し、定常
期とした。酵母菌株を0.2OD/mlに希釈し、光学濃度ODが0.4〜0.
5になるまで成長させた。リガンドを、2時間半誘発した細胞に添加した。細胞
が最も高い蛍光発光を見せる約1.0〜1.2OD/mlで酵母菌細胞を採取し
た。
【0341】蛍光計及びGFPを用いた測定 YEPD中に30℃で一晩育成したCY16363を用いて、Ste2に対す
る用量応答を調べた。一晩培養した酵母菌細胞を0.25OD/mlに希釈し、
更に2時間半培養した。濃度を段階的に増加させたα因子を用いてGFP蛍光発
光を調べた。α因子を6mlのYEPDに以下の濃度で(3回反復で)添加した
。1pM、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM及び1μM。
培養をリガンド共に30℃で2時間保温した。1.1〜1.5OD/mlで細胞
を採取した。6.5OD(6.5×107個/ml)の酵母菌細胞を遠心分離に かけ、滅菌した水で1回洗浄した。酵母菌細胞を100μlの滅菌した水に再懸
濁し、96ウェル板に移し、蛍光計を用いて励起波長485nm、発光波長53
5nm、一定ゲイン50でウェル板を測定した。
【0342】FAC機構及びGFPを用いた測定 YEPD中に30℃で一晩育成したCY16363を用いて、Ste2に対す
る用量応答を調べた。一晩培養した酵母菌細胞を0.2OD/mlのOD600に 希釈した。酵母菌細胞を、更に2時間半又はOD600が0.4〜0.6になるま で培養した。α因子を6mlのYEPDに以下の濃度で(3回反復で)添加した
。1pM、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM及び1μM。
培養をリガンド共に30℃で2時間保温した。OD600が約0.8〜1.0OD /mlになるまで30℃で2時間半、酵母菌細胞にリガンドによる刺激を与えた
。酵母菌細胞を採取し、水で1回洗浄した。酵母菌細胞を水に再懸濁し、最終濃
度ODを0.1D/mlとした。とした。一般に、10,000〜50,000
個の細胞が標準的FAC分析法を用いた分析に使われる。
【0343】LacZアッセイを用いた測定 比較を目的として、lacZアッセイを用いて、Ste2に対する用量応答を
調べた。CY16363をYEPD中に30℃で一晩育成した。一晩培養した酵
母菌細胞をOD600=0.2OD/mlに希釈した。酵母菌細胞を、更に2時間 半又はOD600が0.5になるまで培養した。酵母菌細胞を0.1OD/mlに 希釈して、100μlの細胞を96ウェル板に移した。1μlのα因子を各ウェ
ルに添加し、最終濃度を次のようにした。0pM、1pM、10pM、100p
M、1nM、10nM、100nM及び1μM。30℃で2時間半、酵母菌細胞
にリガンドによる刺激を与えた。20μlのトライトン/CPRG基質を各ウェ
ルに添加し、30℃で25分及び45分保温した。 fus1−GFP65Tを用いた、FAC及び蛍光計によるSte2分析の両方
において、fus1−LacZに比較して感度が有意に向上することが実証され
た。
【0344】蛍光計及びGFPを用いた、ML1a受容体に対する用量応答の測定 LEU欠乏培養基中に30℃で一晩育成したCY16639を用いて、ML1
a受容体に対する用量応答を調べた。一晩培養した酵母菌細胞を0.25OD/
mlのOD600に希釈し、6mlのLEU6.8とした。酵母菌細胞を、更に2 時間半(OD=0.4〜0.5)培養した。ML1aリガンドを以下のように段
階的に増加する濃度で添加した。0pM、10pM、100pM、1nM、10
nM、100nM及び1μM。培養をリガンド共に30℃で2時間半保温し刺激
を与えた。6×107個の密度で酵母菌細胞を採取し、水で1回洗浄した。酵母 菌細胞を水に再懸濁し、96ウェル板に移し、蛍光計を用いて励起波長485n
m、発光波長535nm、一定ゲイン50でウェル板を測定した。
【0345】FAC機構及びGFPを用いた、ML1a受容体に対する用量応答の測定 LEU欠乏培養基中に30℃で一晩育成したCY16639を用いて、ML1
a受容体に対する用量応答を調べた。一晩培養した酵母菌細胞を0.2OD/m
lに希釈し、2mlのLEU6.8とした。ML1aリガンドを上記した蛍光計
分析における濃度と同じ濃度で添加した。培養をリガンド共に30℃で2時間半
(OD=0.7〜1.2)保温し刺激を与えた。酵母菌細胞を採取し、水で1回
洗浄した。酵母菌細胞を滅菌水に再懸濁して最終OD600=0.1OD/mlと し、標準的FAC分析法を用いて分析した。
【0346】LacZアッセイを用いた、ML1a受容体に対する用量応答の測定 比較を目的として、lacZアッセイを用いて、ML1a受容体に対する用量
応答を調べた。CY15438(GPA1+3907 sst2*far1*14
42 tbt1−1 fus1−HIS3 can1 ste14::trp1
::LYS2 ste3*1156 lys2 ura3 leu2 trp1 his3)を30℃で一晩育成した。一晩培養した酵母菌細胞を0.2OD/
mlに希釈した。酵母菌細胞を、更に3時間培養して0.4OD/mlとした。
酵母菌細胞を0.1OD/mlに希釈して、100μlの細胞を96ウェル板に
移した。1.2μlのリガンドを各ウェルに添加し、DMSOの最終濃度を各ウ
ェルにつき0.24%とした。ML1a受容体を次の濃度で添加した。0pM、
1pM、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM、10μM及び
100μM。30℃で3時間、酵母菌細胞にリガンドによる刺激を与えた。20
μlのトライトン/CPRG基質を各ウェルに添加し、37℃で1時間保温した
。60μlの1M Na2CO3を添加して反応を停止させ、OD57における吸収
を測定した。
【0347】 野生型GFPの2変異体について調べ、nFus1−GFPwt(Cp275
9)と比較した。変異体GFP F100S M154T V164A(Cp4
567)及びGFP S65T(Cp5681)は双方とも、野生型GFPと比
較して高い相対蛍光発光を示した。GFP S65Tが最も高い蛍光発光を示し
た。GFPレポーター遺伝子を用いて、感度を向上させることができる。これを
利用して、細胞群内での同一又は異質信号の可視化を制御することができる。F
AC及び蛍光計によるML1a分析の両方において、fus1−LacZに比較
して感度が有意に向上することが実証された。
【0348】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 GαサブユニットのN末端領域とGPA41−Gαハイブリッド蛋白質のN末
端配列との配列アラインメントである。
【図2】 哺乳動物のGαsサブユニットの酵母Gβγへの共役に対する哺乳動物G蛋白
質サブユニットGαsの突然変異の効果の説明である。
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0348
【補正方法】変更
【補正内容】
【0348】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 G01N 33/50 G01N 33/50 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ジョン ピー.マーンフレイディ アメリカ合衆国 10562 ニューヨーク、 オシニング、スプリング バリー ロー ド、ティータウン レイク リザベーショ ン (72)発明者 ジェレミー アイ.ポール アメリカ合衆国 10690 ニューヨーク、 ナイアック、ハドソン アベニュー 35 (72)発明者 ジョシュア トルーハート アメリカ合衆国 10960 ニューヨーク、 サウス ナイアック、サウス ブロードウ ェイ 212 (72)発明者 クリスティーン エイ.クライン アメリカ合衆国 10562 ニューヨーク、 オシニング、スプリング バリー ロー ド、ティータウン レイク リザベーショ ン (72)発明者 アンドルー ジェイ.マーフィー アメリカ合衆国 07043 ニュージャージ ー、モントクレア、ウィンザー プレイス 17 (72)発明者 ジュン スー アメリカ合衆国 10562 ニューヨーク、 オシニング、モーニングサイド ドライブ 102 (72)発明者 アヌパマ エヌ.ベネガル アメリカ合衆国 07661 ニュージャージ ー、リバー エッジ、ザ フェンウェイ 437

Claims (119)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キメラG蛋白質サブユニットの発現が異種性GPCRを酵母
    細胞のフェロモン応答経路に機能的に統合するように下記を含み且つ該異種性G
    PCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節が検出可能なシグナルを
    与える組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する);及び 下記よりなる群から選択するキメラG蛋白質サブユニット: 野生型配列と比べて少なくとも一つのアミノ酸置換が導入された異種性G蛋
    白質サブユニットに由来する配列を含む非天然G蛋白質サブユニット; 異種性Gγサブユニットのポリペプチドに操作可能に結合された内因性STE
    18サブユニット; 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が異種性G蛋白質サブユニットの少
    なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換された内因性酵母Gpa1サブユニ
    ット;及び 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が第一の異種性G蛋白質サブユニッ
    トの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換され且つN末端が第二の異種
    性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5つのN末端アミノ酸に操作可能に
    結合されている内因性酵母Gpa1サブユニット(ここに、該第一及び第二の異 種性G蛋白質サブユニットは、同じであるか又は異なるものである)。
  2. 【請求項2】 前記のキメラG蛋白質サブユニットが、少なくとも最後の4
    つのC末端アミノ酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC
    末端アミノ酸で置換された内因性酵母Gpa1サブユニットを含む、請求項1に
    記載の酵母細胞。
  3. 【請求項3】 前記のキメラG蛋白質サブユニットが、少なくとも最後の4
    つのC末端アミノ酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC
    末端アミノ酸で置換され且つN末端が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも
    最後の5つのN末端アミノ酸に操作可能に結合されている内因性酵母Gpa1サ
    ブユニットを含み、該異種性G蛋白質サブユニットが同じであるか又は異なる、
    請求項1に記載の酵母細胞。
  4. 【請求項4】 前記のG蛋白質サブユニットが、野生型配列と比較して少な
    くとも一のアミノ酸置換が導入された異種性G蛋白質サブユニットからの配列を
    含む非天然G蛋白質サブユニットを含む、請求項1に記載の酵母細胞。
  5. 【請求項5】 前記のキメラG蛋白質サブユニットが、異種性Gγサブユニ
    ットのポリペプチドに操作可能に結合された内因性STE18サブユニットを含
    む、請求項1に記載の酵母細胞。
  6. 【請求項6】 前記の非天然G蛋白質サブユニットが、Gα16(S270 P);Gαs(D229S);Gαs(D229V);Gαs(N254D);Gαs(
    S286P);Gαs(E10K);Gαi2−GαoB(S280P);Gα12(
    Q229L);Gα12(G228A);及びGαi2(S288P)よりなる群か ら選択する変異型哺乳動物Gαサブユニットである、請求項4に記載の酵母細胞
  7. 【請求項7】 前記の非天然G蛋白質サブユニットが、酵母G蛋白質サブユ
    ニットからの第一のポリペプチドと変異型哺乳動物G蛋白質サブユニットからの
    第二のポリペプチドを含む酵母−哺乳動物G蛋白質サブユニットキメラである、
    請求項4に記載の酵母細胞。
  8. 【請求項8】 前記の第二のポリペプチドが、Gα16(S270P);Gα
    s(D229S);Gαs(D229V);Gαs(N254D);Gαs(S286 P);Gαs(E10K);Gαi2−GαoB(S280P);Gα12(Q229
    L);Gα12(G228A);及びGαi2(S288P)よりなる群から選択す る変異型哺乳動物Gαサブユニットを含む、請求項7に記載の酵母細胞。
  9. 【請求項9】 キメラG蛋白質サブユニットを含む酵母細胞であって、該キ
    メラG蛋白質サブユニットが酵母G蛋白質サブユニットからの第一のポリペプチ
    ドと異種性G蛋白質サブユニットからの第二のポリペプチドを含み、該第一のポ
    リペプチドが酵母STE18からのポリペプチドである、上記の酵母細胞。
  10. 【請求項10】 前記の第一のポリペプチドが、酵母STE18に由来し且
    つ前記の第二のポリペプチドが異種性G蛋白質γサブユニットに由来する、請求
    項9に記載の酵母細胞。
  11. 【請求項11】 前記の異種性G蛋白質サブユニットが哺乳動物のものであ
    る、請求項10に記載の酵母細胞。
  12. 【請求項12】 前記の異種性G蛋白質サブユニットがヒトのものである、
    請求項11に記載の酵母細胞。
  13. 【請求項13】 前記の第一及び第二のポリペプチドの少なくとも一方が、
    天然のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の酵母細胞。
  14. 【請求項14】 前記の第一及び第二のポリペプチドの少なくとも一方が、
    非天然のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の酵母細胞。
  15. 【請求項15】 酵母細胞に機能的に統合された異種性G蛋白質共役型レセ
    プターを更に含む、請求項9に記載の酵母細胞。
  16. 【請求項16】 前記のキメラG蛋白質サブユニットが、内因性酵母G蛋白
    質サブユニットと比べて、異種性G蛋白質共役型レセプターに対する増大された
    共役を示す、請求項15に記載の酵母細胞。
  17. 【請求項17】 前記の第二のポリペプチドが、ヒトGγ2サブユニットに
    由来する、請求項10に記載の酵母細胞。
  18. 【請求項18】 前記の第二のポリペプチドが、アミノ酸配列ArgGlu
    LysLysPhePhe(SEQ ID NO:33のアミノ酸19〜24)を含む、請求
    項17に記載の酵母細胞。
  19. 【請求項19】 前記の第二のポリペプチドがSEQ ID NO:33に示した配列
    を含む、請求項18に記載の酵母細胞。
  20. 【請求項20】 第二のキメラG蛋白質サブユニットを更に含み、該第二の
    キメラG蛋白質サブユニットが酵母G蛋白質サブユニットに由来する第一のポリ
    ペプチドと哺乳動物G蛋白質サブユニットに由来する第二のポリペプチドを含み
    、該第二のキメラG蛋白質サブユニットが該第一のキメラG蛋白質サブユニット
    と異なる、請求項9に記載の酵母細胞。
  21. 【請求項21】 前記の第二のキメラG蛋白質サブユニットの前記の第二の
    ポリペプチドが、哺乳動物Gαサブユニット、哺乳動物Gβサブユニット及び哺
    乳動物Gγサブユニットよりなる群から選択する蛋白質に由来する、請求項20
    に記載の酵母細胞。
  22. 【請求項22】 内因性酵母フェロモンシステムのレセプター蛋白質が、機
    能的形態で生成されない、請求項15に記載の酵母細胞。
  23. 【請求項23】 異種性G蛋白質共役型レセプターのG蛋白質への機能的共
    役に際して検出可能なシグナルを生成する指標遺伝子を更に含む、請求項15に
    記載の酵母細胞。
  24. 【請求項24】 細胞が、Saccharomyces cerevisiae細胞である、請求項9
    に記載の酵母細胞。
  25. 【請求項25】 前記の異種性G蛋白質共役型レセプターが、オーファンレ
    セプターである、請求項15に記載の酵母細胞。
  26. 【請求項26】 異種性G蛋白質共役型レセプターのG蛋白質への機能的共
    役に際して検出可能なシグナルを生成する指標遺伝子を更に含む、請求項4に記
    載の酵母細胞。
  27. 【請求項27】 下記のステップを含む、GαとGbgの解離を調節するこ
    とのできる化合物を同定するアッセイ: (i)請求項15又は26に記載の酵母細胞を用意し、 (ii)その酵母を試験化合物と接触させ;そして (iii)この酵母細胞において検出可能なシグナルの変化を誘導する化合物
    を同定し、該検出可能なシグナルはGαとGβγの解離を示す。
  28. 【請求項28】 前記の試験化合物が、非ペプチド性有機分子のライブラリ
    ーからのものである、請求項27に記載のアッセイ。
  29. 【請求項29】 下記を含む、異種性G蛋白質共役型レセプターを調節する
    化合物を同定する方法: (i)各細胞が下記を含む第一、第二、第三及び第四の酵母細胞を用意し: (a)下記の特徴を有するG蛋白質 1)第一の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニット由来の第一のポリペプ
    チドと哺乳動物G蛋白質サブユニット由来の第二のポリペプチドを含む第一のキ
    メラG蛋白質サブユニットを含み; 2)第二の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニット由来の第一のポリペプ
    チドと哺乳動物G蛋白質サブユニット由来の第二のポリペプチドを含む第二のキ
    メラG蛋白質サブユニットを含み、該第二のキメラG蛋白質サブユニットは、第
    一のキメラG蛋白質サブユニットと異なり; 3)第三の酵母細胞は、酵母G蛋白質サブユニット由来の第一のポリペプ
    チドと哺乳動物G蛋白質サブユニット由来の第二のポリペプチドを含む第三のキ
    メラG蛋白質サブユニットを含み、該第三のキメラG蛋白質サブユニットは、該
    第一及び第二のキメラG蛋白質サブユニットと異なり;そして 4)第四の酵母細胞は、内因性酵母Gpa1G蛋白質サブユニットを含む
    ; (b)酵母フェロモン応答経路に共役する異種性G蛋白質共役型レセプター( GPCR)をコードする発現可能な遺伝子構築物;及び (c)異種性GPCRのG蛋白質との機能的共役に際して検出可能なシグナル
    に変化を生じる指標遺伝子; (ii)第一、第二、第三及び第四の酵母細胞を試験化合物と接触させ;そして (iii)試験化合物が、第一、第二、第三又は第四の酵母細胞の少なくとも一
    つにおいて検出可能なシグナルの変化を誘導するかどうかを測定し、それにより
    異種性GPCRを調節する化合物を同定する。
  30. 【請求項30】 前記の第一、第二又は第三の酵母細胞の少なくとも一つが
    、第四のキメラG蛋白質サブユニットを含み、該第四のキメラG蛋白質サブユニ
    ットが、それぞれ、第一、第二又は第三の酵母細胞により発現された第一、第二
    又は第三のキメラG蛋白質サブユニットと異なる、請求項29に記載のアッセイ
  31. 【請求項31】 前記の第一、第二又は第三のキメラG蛋白質の少なくとも
    一つが、酵母Gpa1に由来する第一のポリペプチドと哺乳動物G蛋白質αサブ
    ユニットに由来する第二のポリペプチドを含む、請求項29に記載のアッセイ。
  32. 【請求項32】 前記の第二のポリペプチドが、哺乳動物のGαiサブユニ
    ットに由来する、請求項31に記載のアッセイ。
  33. 【請求項33】 前記の第二のポリペプチドが、哺乳動物のGα16サブユ
    ニットに由来する、請求項31に記載のアッセイ。
  34. 【請求項34】 前記の第二のポリペプチドが、哺乳動物のGαsサブユニ
    ットに由来する、請求項30に記載のアッセイ。
  35. 【請求項35】 第一のキメラG蛋白質サブユニットが、哺乳動物Gα12
    由来のポリペプチドを含み、第二のキメラG蛋白質サブユニットが、哺乳動物G
    α16由来のポリペプチドを含み、そして第三のキメラG蛋白質サブユニットが
    、哺乳動物Gαs由来のポリペプチドを含む、請求項29に記載のアッセイ。
  36. 【請求項36】 第二のキメラG蛋白質サブユニットがGα16(S270 P)を含み且つ第三のキメラG蛋白質サブユニットがGαs(D229S)を含む 、請求項35に記載のアッセイ。
  37. 【請求項37】 前記の第一、第二及び第三の酵母細胞の各々が、更に、第
    四のキメラG蛋白質サブユニットを含み、該第四のキメラG蛋白質サブユニット
    が酵母STE18由来の第一のポリペプチドと哺乳動物G蛋白質サブユニット由
    来の第二のポリペプチドを含む、請求項29に記載のアッセイ。
  38. 【請求項38】 第一、第二、第三及び第四の酵母細胞を、試験化合物のラ
    イブラリーの各メンバーと接触させる、請求項29に記載のアッセイ。
  39. 【請求項39】 前記のライブラリーの各メンバーが非ペプチド性有機分子
    である、請求項37に記載のアッセイ。
  40. 【請求項40】 前記の第一、第二、第三及び第四の酵母細胞が、Saccharo
    myces cerevisiae細胞である、請求項29に記載のアッセイ。
  41. 【請求項41】 検出可能なシグナルを生じる指標遺伝子を、βガラクトシ
    ダーゼ、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、エキソグルカ
    ナーゼ、ルシフェラーゼ、BAR1、PHO5、グリーン蛍光蛋白質、及びクロ
    ラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼよりなる群から選択する、請求項
    29に記載のアッセイ。
  42. 【請求項42】 検出可能なシグナルを生じる指標遺伝子を、HIS3、β
    ガラクトシダーゼ、及びグリーン蛍光蛋白質よりなる群から選択する、請求項2
    9に記載のアッセイ。
  43. 【請求項43】 前記の異種性G蛋白質共役型レセプターが、オーファンレ
    セプターである、請求項29に記載のアッセイ。
  44. 【請求項44】 下記を含み、異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外
    シグナルによる調節が検出可能なシグナルを与える組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性フェロモンレセプターの代用物と
    して作用する);及び キメラG蛋白質サブユニットの発現が異種性GPCRを酵母のフェロモン応答
    経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が異種
    性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換されて
    いる内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット。
  45. 【請求項45】 下記を含む、組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する); キメラG蛋白質サブユニットの発現が異種性GPCRを酵母細胞のフェロモン
    応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が
    異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換さ
    れている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット;
    及び 細胞膜中で発現されたレセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする位置
    に輸送され;且つこのレセプターのシグナル変換活性の異種性ポリペプチドによ
    る調節が検出可能なシグナルを与えるように十分なレベルで発現される異種性ポ
    リペプチド。
  46. 【請求項46】 下記を含む、組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置
    換されている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニッ
    ト; この細胞膜中で発現されたレセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする
    位置に輸送された異種性ポリペプチド;及び フェロモン応答経路により活性化されるレポーター構築物;(異種性ポリペプ チドは、レセプターのシグナル変換活性の異種性ポリペプチドによる調節がこの
    レポーター構築物により媒介される検出可能なシグナルを与えるように十分なレ
    ベルで発現される)。
  47. 【請求項47】 下記を含む組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置
    換されている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニッ
    ト;及び FAR1、SST2、BAR1、SVG1、STE2、STE3、STE14
    、MFa1、MFa2、MFa1及びMFa2よりなる群から選択する少なくと
    も一つの遺伝子中の突然変異;そして ここに、該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節は、
    検出可能なシグナルを与える。
  48. 【請求項48】 下記を含む組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置
    換されている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニッ
    ト; この細胞膜中で発現されたレセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする
    位置に輸送された異種性ポリペプチド; フェロモン応答経路により活性化されるレポーター構築物; 及び FAR1、SST2、BAR1、SVG1、STE2、STE3、STE14
    、MFa1、MFa2、MFa1及びMFa2よりなる群から選択する少なくと
    も一つの遺伝子中の突然変異;(ここに、異種性ポリペプチドは、レセプターの シグナル変換活性の異種性ポリペプチドによる調節がレポーター構築物により媒
    介される検出可能なシグナルを与えるように十分なレベルで発現される)。
  49. 【請求項49】 各細胞が細胞膜を有し且つ各細胞が下記を含む、組換え酵
    母細胞の混合物: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのアミノ酸で置換され
    ている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット;及
    び この細胞膜中で発現された該レセプターの細胞外領域との相互作用を可能にす
    る位置に輸送された異種性ポリペプチド; (ここに、集合的にこの細胞混合物は、該異種性ポリペプチドのライブラリーを 発現し、該ライブラリーは、このライブラリー中の異種性ポリペプチドによる該
    レセプターのシグナル変換活性の調節が検出可能なシグナルを与えるように十分
    なレベルで発現することができる)。
  50. 【請求項50】 各細胞が細胞膜を有し且つ各細胞が下記を含む、組換え酵
    母細胞の混合物: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置
    換されている内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニッ
    ト; この細胞膜中で発現された該レセプターの細胞外領域との相互作用を可能にす
    る位置に輸送された異種性ポリペプチド; フェロモン応答経路により活性化されるレポーター構築物; 及び FAR1、SST2、BAR1、SVG1、STE2、STE3、STE14
    、MFa1、MFa2、MFa1及びMFa2よりなる群から選択する少なくと
    も一つの遺伝子中の突然変異; (ここに、異種性ポリペプチドは、レセプターのシグナル変換活性の異種性ポリ ペプチドによる調節がレポーター構築物により媒介される検出可能なシグナルを
    与えるように十分なレベルで発現される)。
  51. 【請求項51】 下記を含む、組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する);及び キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのアミノ酸で置
    換されており且つN末端が第2の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初
    の5つのN末端アミノ酸に操作可能に結合されている内因性酵母Gpa1サブユ
    ニットを含むキメラG蛋白質サブユニット(該第1及び第2の異種性G蛋白質サ ブユニットは、同じであるか又は異なる);そして ここに、該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節が、
    検出可能なシグナルを与える。
  52. 【請求項52】 各細胞が細胞膜を有し且つ各細胞が下記を含む組換え酵母
    細胞の混合物: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR); キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端蛋白質で置換
    されており且つN末端が異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5つの
    N末端アミノ酸に操作可能に結合されている内因性酵母Gpa1サブユニットを
    含むキメラG蛋白質サブユニット;及び この細胞膜中で発現された該レセプターの細胞外領域との相互作用を可能にす
    る位置に輸送された異種性ポリペプチド; (ここに、集合的に、この細胞混合物は、該異種性ポリペプチドのライブラリー を発現し、該ライブラリーは、このライブラリー中の異種性ポリペプチドによる
    該レセプターのシグナル変換活性の調節が検出可能なシグナルを与えるように十
    分なレベルで発現することができる)。
  53. 【請求項53】 下記を含む組換え酵母細胞: 当該酵母細胞の細胞膜中で、レセプターを介するシグナル変換活性がそのレセ
    プターの細胞外領域と細胞外シグナルとの相互作用により調節されるように発現
    された異種性G蛋白質共役型レセプター(GPCR)(該異種性GPCRは、この 酵母細胞のフェロモン応答経路において内因性酵母フェロモンレセプターの代用
    物として作用する);及び キメラG蛋白質サブユニットの発現が該異種性GPCRを該酵母細胞のフェロ
    モン応答経路に機能的に統合するように、少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ
    酸で置換されており且つ少なくとも最初の5つのN末端アミノ酸が第2の異種性
    G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5つのN末端アミノ酸で置換されてい
    る内因性酵母Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット(該第1 及び第2の異種性G蛋白質サブユニットは、同じであるか又は異なる);そして ここに、該異種性GPCRのシグナル変換活性の細胞外シグナルによる調節は、
    検出可能なシグナルを与える。
  54. 【請求項54】 前記のG蛋白質サブユニットが、最後の5つのC末端アミ
    ノ酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換
    されており且つ最初の5つのN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質サブユニッ
    トの最初の11のN末端アミノ酸で置換されている内因性Gpa1サブユニット
    を含み、該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットが同じである、請求項5
    3に記載の酵母細胞。
  55. 【請求項55】 前記のキメラG蛋白質サブユニットが、最後の5つのC末
    端アミノ酸が第1の異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸
    で置換されており且つ最初の23のN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質サブ
    ユニットの最初の21のN末端アミノ酸で置換されている内因性酵母Gpa1サ
    ブユニットを含み、該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットが同じである
    、請求項54に記載の酵母細胞。
  56. 【請求項56】 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が異種性G蛋白質
    サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換されている内因性
    Gpa1サブユニットを含むキメラG蛋白質サブユニット。
  57. 【請求項57】 前記のGpa1の最後の5つのC末端アミノ酸が、異種性
    G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換されている、請求項
    56に記載のキメラG蛋白質サブユニット。
  58. 【請求項58】 前記のGpa1の最後の6つのC末端アミノ酸が、異種性
    G蛋白質サブユニットの最後の6つのC末端アミノ酸で置換されている、請求項
    57に記載のキメラG蛋白質サブユニット。
  59. 【請求項59】 少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸が第1の異種性G
    蛋白質サブユニットの少なくとも最後の4つのC末端アミノ酸で置換されており
    且つN末端が第2の異種性G蛋白質サブユニットの少なくとも最初の5つのN末
    端アミノ酸に操作可能に結合されている内因性Gpa1サブユニットを含むキメ
    ラG蛋白質サブユニット(該第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットは、同 じであるか又は異なる)。
  60. 【請求項60】 前記のGpa1の最後の5つのC末端アミノ酸が、第1の
    異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換され且つ前記
    のGpa1の最初の5つのN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質の最初の11
    のN末端アミノ酸で置換されている、請求項59に記載のキメラG蛋白質サブユ
    ニット。
  61. 【請求項61】 前記のGpa1の最後の5つのC末端アミノ酸が、第1の
    異種性G蛋白質サブユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換され且つ前記
    のGpa1の最初の23つのN末端アミノ酸が第2の異種性G蛋白質の最初の2
    1のN末端アミノ酸で置換されている、請求項59に記載のキメラG蛋白質サブ
    ユニット。
  62. 【請求項62】 前記の第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットが、同
    じである、請求項59、60又は61に記載のキメラG蛋白質サブユニット。
  63. 【請求項63】 前記の異種性G蛋白質共役型レセプターを、ヒトメラトニ
    ンレセプター1a、ヒトメラトニンレセプター1b、ヒトノシセプチンレセプタ
    ー、ヒトソマトスタチンレセプター2、ヒトホルミルペプチドレセプター1、ヒ
    トガラニンレセプター1、ウサギCXCR1、ヒトC5aレセプター、ヒトアデ
    ノシンレセプター2a、ラット血管作動性腸管レセプター、ヒトメラノコルチン
    レセプター4、ラットニューロテンシンレセプター、ヒトホルミルペプチド様レ
    セプター1、ヒトCXCR2(変異体)、ヒトCXCR4、ヒトアデノシン2bレ
    セプター、ヒトボンベシンレセプター亜型3(BRS3)、ヒトブラジキニンレセ
    プター2及びオーファンレセプターよりなる群から選択する、請求項44、48
    、51、54又は55に記載の酵母細胞。
  64. 【請求項64】 前記の異種性G蛋白質サブユニットを、Gαs、Gαi2
    、Gαi3、Gαq、Gαoa、Gαob及びGα16よりなる群から選択する、
    請求項44、48、51、54又は55に記載の酵母細胞。
  65. 【請求項65】 前記の異種性G蛋白質サブユニットが非哺乳動物性である
    、請求項44、48、51、54又は55に記載の酵母細胞。
  66. 【請求項66】 前記のGpa1の最後の4〜最後の40のC末端アミノ酸
    が、前記の異種性G蛋白質ユニットの最後の4〜最後の40のC末端アミノ酸で
    置換されている、請求項2、44、46、47、48、49又は50に記載の酵
    母細胞。
  67. 【請求項67】 前記のGpa1の最後の5〜最後の6つのC末端アミノ酸
    が前記の異種性G蛋白質ユニットの最後の5〜最後の6つのC末端アミノ酸で置
    換されている、請求項66に記載の酵母細胞。
  68. 【請求項68】 前記のGpa1の最後の5つのC末端アミノ酸が、前記の
    異種性G蛋白質ユニットの最後の5つのC末端アミノ酸で置換されている、請求
    項67に記載の酵母細胞。
  69. 【請求項69】 前記のGpa1の最後の6つのC末端アミノ酸が、前記の
    異種性G蛋白質ユニットの最後の6つのC末端アミノ酸で置換されている、請求
    項67に記載の酵母細胞。
  70. 【請求項70】 前記のGpa1の最後の4〜最後の40のC末端アミノ酸
    が、前記の第1の異種性G蛋白質サブユニットの最後の4〜最後の40の末端ア
    ミノ酸で置換され且つ前記のGpa1のN末端が、前記の第2の異種性G蛋白質
    サブユニットの最後の5〜最後の40のN末端アミノ酸に操作可能に結合されて
    いる、請求項51に記載の酵母細胞。
  71. 【請求項71】 前記のGpa1の最後の5〜最後の6つのC末端アミノ酸
    が、前記の第1の異種性G蛋白質サブユニットの最後の5〜最後の6つのC末端
    アミノ酸で置換されており且つ前記のGpa1の最初の1〜50のN末端アミノ
    酸が、前記の第2の異種性G蛋白質サブユニットの最初の6〜40のN末端アミ
    ノ酸で置換されている、請求項70に記載の酵母細胞。
  72. 【請求項72】 前記のGpa1の最初の5つのN末端アミノ酸が、前記の
    第2の異種性G蛋白質サブユニットの最初の11のN末端アミノ酸で置換されて
    いる、請求項71に記載の酵母細胞。
  73. 【請求項73】 前記のGpa1の最初の23のN末端アミノ酸が、前記の
    第2の異種性G蛋白質サブユニットの最初の21のN末端アミノ酸で置換されて
    いる、請求項71に記載の酵母細胞。
  74. 【請求項74】 前記の第1及び第2の異種性G蛋白質サブユニットが、同
    じである、請求項70、71、72又は73に記載の酵母細胞。
  75. 【請求項75】 前記の異種性G蛋白質サブユニットが、哺乳動物性である
    、請求項74に記載の酵母細胞。
  76. 【請求項76】 前記の異種性G蛋白質サブユニットが、Gαqサブユニッ
    トである、請求項75に記載の酵母細胞。
  77. 【請求項77】 前記の細胞が、異種性ポリペプチドを更に含み、その異種
    性ポリペプチドが、細胞膜で発現されたレセプターの細胞外領域との相互作用を
    可能にする位置に輸送され;且つその異種性ポリペプチドが、レセプターのシグ
    ナル変換活性の異種性ポリペプチドによる調節が検出可能なシグナルを与えるよ
    うに十分なレベルで発現される、請求項1、2、3、4、44、47、51又は
    53に記載の酵母細胞。
  78. 【請求項78】 前記の異種性ポリペプチドが、前記の異種性GPCRのリ
    ガンドである、請求項45、46、48、49、50、52又は77に記載の酵
    母細胞。
  79. 【請求項79】 前記の細胞が、第2の異種性ポリペプチドを更に含み、該
    第2の異種性ポリペプチドも又、細胞膜中で発現された前記の異種性GPCRの
    細胞外領域との相互作用を可能にする位置に輸送される、請求項78に記載の酵
    母細胞。
  80. 【請求項80】 異種性ポリペプチドが、レセプターの細胞外領域との相互
    作用を可能にする位置へのそのポリペプチドの輸送を容易にするシグナル配列を
    含む、請求項78に記載の酵母細胞。
  81. 【請求項81】 シグナル配列が、Saccharomyces cerevisiaeのα因子又は
    a因子のリーダーペプチドに対応する、請求項80に記載の酵母細胞。
  82. 【請求項82】 FAR1、SST2、BAR1、SVG1、STE2、S
    TE3、STE14、MFa1、MFa2、MFa1及びMFa2よりなる群か
    ら選択する少なくとも一つの遺伝子中に突然変異を更に含む、請求項1、2、3
    、44、45、46、49、51、52又は53に記載の酵母細胞。
  83. 【請求項83】 前記の酵母細胞が、STE14変異を有する、請求項46
    、47、49又は82に記載の酵母細胞。
  84. 【請求項84】 前記の細胞が、STE2又はSTE3変異を有する、請求
    項83に記載の酵母細胞。
  85. 【請求項85】 前記の細胞が、フェロモン応答経路により活性化されそれ
    により検出可能なシグナルを与えるレポーター構築物を更に含む、請求項1、2
    、3、4、9、43、46、50又は52に記載の酵母細胞。
  86. 【請求項86】 前記の細胞が、フェロモン応答経路により活性化されるレ
    ポーター構築物を更に含み、異種性ポリペプチドが、レセプターのシグナル変換
    活性の異種性ポリペプチドによる調節がこのレポーター構築物により媒介される
    検出可能なシグナルを与えるように十分なレベルで発現される、請求項44、4
    8又は51に記載の酵母細胞。
  87. 【請求項87】 レポーター構築物が、レポーター遺伝子に操作可能に結合
    されたフェロモン応答性プロモーターを含む、請求項46、48、50、86又
    は87に記載の酵母細胞。
  88. 【請求項88】 前記のレポーター遺伝子を、β−ガラクトシダーゼ(La cZ)、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、エキソグルカ ナーゼ、ルシフェラーゼ、BAR1、PHO5、HIS3、グリーン蛍光蛋白質
    (GFP)及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼよりなる群から
    選択する、請求項87に記載の酵母細胞。
  89. 【請求項89】 フェロモン応答性プロモーターが、FUS1プロモーター
    である、請求項88に記載の酵母細胞。
  90. 【請求項90】 前記のFUS1プロモーターが、LacZ及びGFPより
    なる群から選択するレポーター遺伝子に操作可能に結合されている、請求項89
    に記載の酵母細胞。
  91. 【請求項91】 前記のFUS1プロモーターが、GFPに機能的に結合さ
    れている、請求項90に記載の酵母細胞。
  92. 【請求項92】 前記の検出可能なシグナルが、GFPの生成により生成さ
    れる、請求項91に記載の酵母細胞。
  93. 【請求項93】 Saccharomyces cerevisiae種に属する、請求項1、2、3
    、4、44、45、46、47、48、49、50、51、52又は53に記載
    の酵母細胞。
  94. 【請求項94】 下記を含む、酵母細胞により発現される異種性G蛋白質共
    役型レセプターのモジュレーターを同定する方法: 請求項1、2、3、44、47、51又は53に記載の酵母細胞の混合物を試
    験化合物と接触させ; この混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ;そして 試験化合物を上記のレセプターのモジュレーターとして同定する。
  95. 【請求項95】 下記を含む、酵母細胞により発現される異種性G蛋白質共
    役型レセプターのモジュレーターを同定する方法: 請求項45、46、47、48、49又は52に記載の酵母細胞の混合物を上
    記のレセプターのリガンドと接触させ; この混合物中の細胞に検出可能なシグナルを生成させ;そして これらの酵母細胞により発現される異種性ポリペプチドを上記のレセプターの
    モジュレーターとして同定する。
  96. 【請求項96】 下記を含む、酵母細胞により発現された異種性G蛋白質共
    役型レセプターのモジュレーターを同定する方法: 請求項79に記載の酵母細胞の混合物を用意し; この混合物中の細胞に、検出可能なシグナルを生成させ;そして 第2の異種性ポリペプチドを上記のレセプターのモジュレーターとして同定す
    る。
  97. 【請求項97】 下記を含む、酵母細胞により発現された異種性G蛋白質共
    役型レセプターのモジュレーターを同定する方法: 請求項78に記載の酵母細胞の第1の混合物を、酵母細胞の第2の混合物と接
    触させ(集合的に、酵母細胞の第2の混合物は、第1の混合物の酵母細胞の細胞 膜中で発現された該レセプターの細胞外領域との相互作用を可能にする位置に輸
    送される異種性試験ポリペプチドのライブラリーを発現する); 第1の混合物中の細胞に、検出可能なシグナルを生成させ;そして 第2の混合物中の異種性試験ポリペプチドをこの酵母細胞により発現された該
    レセプターのモジュレーターとして同定する。
  98. 【請求項98】 下記を含む、酵母細胞により発現された異種性G蛋白質共
    役型レセプターのモジュレーターを同定する方法: 請求項46、47、48、49、50、51又は77に記載の組換え酵母細胞
    の混合物を用意し(ここに、該酵母細胞の各々における異種性ポリペプチドは、 異種性試験ポリペプチドである); この混合物中の細胞に、検出可能なシグナルを生成させ;そして 異種性試験ポリペプチドを、該異種性レセプターのモジュレーターとして同定
    する。
  99. 【請求項99】 下記を含む、酵母により発現された異種性G蛋白質共役型
    レセプターのモジュレーターを同定する方法: 請求項45、46、48、49、50、52又は77に記載の酵母細胞の混合
    物を該レセプターのリガンドと接触させ; この混合物中の細胞に、検出可能なシグナルを生成させ;そして これらの酵母細胞により発現された異種性ポリペプチドを該レセプターのモジ
    ュレーターとして同定する。
  100. 【請求項100】 前記の混合物の各酵母細胞が、フェロモン応答経路によ
    り活性化されそれにより検出可能なシグナルを与えるレポーター構築物を更に含
    む、請求項93に記載の方法。
  101. 【請求項101】 レポーター構築物が、レポーター遺伝子に操作可能に結
    合されたフェロモン応答性プロモーターを含む、請求項99に記載の方法。
  102. 【請求項102】 フェロモン応答性プロモーターが、FUS1プロモータ
    ーである、請求項100に記載の方法。
  103. 【請求項103】 前記のFUS1プロモーターが、LacZ及びGFPよ
    りなる群から選択するレポーター遺伝子に操作可能に結合された、請求項101
    に記載の方法。
  104. 【請求項104】 前記のFUS1プロモーターが、GFPに機能的に結合
    されている、請求項103に記載の方法。
  105. 【請求項105】 前記の検出可能なシグナルが、GFPの生成により生成
    される、請求項104に記載の方法。
  106. 【請求項106】 異種性ポリペプチドが、レセプターの細胞外領域との相
    互作用を可能にする位置へのそのポリペプチドの輸送を容易にするシグナル配列
    を含む、請求項94、95、96又は97に記載の方法。
  107. 【請求項107】 シグナル配列が、Saccharomyces cerevisiaeのα因子又
    はa因子のリーダーペプチドに対応する、請求項105に記載の方法。
  108. 【請求項108】 前記の酵母細胞が、Saccharomyces cerevisiae種に属す
    る、請求項93、94、95、96、97又は98に記載の方法。
  109. 【請求項109】 SEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  110. 【請求項110】 SEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  111. 【請求項111】 SEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  112. 【請求項112】 SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  113. 【請求項113】 SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  114. 【請求項114】 SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  115. 【請求項115】 SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  116. 【請求項116】 SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  117. 【請求項117】 SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  118. 【請求項118】 SEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
  119. 【請求項119】 SEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含むキメラG蛋白質
    サブユニット。
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