JP2001518916A - 結晶インスリンを含有する肺投与のための治療用粉末調合物 - Google Patents

結晶インスリンを含有する肺投与のための治療用粉末調合物

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Abstract

(57)【要約】 ヒトインスリン又はその何れかの類似物若しくは誘導体と、より低い気道におけるインスリンの吸収を増強する増強剤とから構成される粒子を含有する肺投与に適した治療用粉末調合物を開示する。該粉末調合物は、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥及び開放乾燥により調製した実質的に同様な組成物の粉末よりもより良好な安定性プロフィールを有する。

Description

【発明の詳細な説明】 結晶インスリンを含有する肺投与のための治療用粉末調合物 発明の分野 本発明は、ヒトインスリン又はその何れかの類似物若しくは誘導体と、より低 い気道におけるインスリンの吸収を増強する増強剤とから構成される粒子を含有 する肺投与に適した治療用粉末調合物に関する。 発明の背景 糖尿病は、真性糖尿病及び尿崩症のように、尿排泄が過剰なヒトにおける障害 に対する一般的な用語である。真性糖尿病は代謝障害であり、グルコース利用能 が略完全に失われる。全人口の約2%が糖尿病に罹患している。 1920年代におけるインスリンの導入から、継続的な進歩が真性糖尿病の治 療を改善してきた。極端な血糖レベルを回避するのを助けるために、糖尿病患者 は、多くの場合、頻回注射療法を実施しており、それによりインスリンは各食事 毎に管理されている。 真性糖尿病の治療において、多くの種類のインスリン製剤が示唆され、且つ使 インスリン等である。商業的に入手可能なインスリン製剤の幾つかは、急速な活 性開始により特徴付けられる。典型的に、外因性インスリンは、正常な個体にお ける内因性インスリンの血漿プロフィールによく似た血漿プロフィールを得られ るであろう時間と用量で投与される。ヒトインスリン類似物を含有するインスリ ン製剤は、正常の血漿プロフィールに非常に近い吸収プロフィールを示すもので あり、例えば、LysB28−proB29ヒトインスリン、及びAspB28ヒトイン スリン等である。しがしながら、これらの新しいインスリン製剤でも、やはり、 食事に関連して注射が行われなくてはならない。注射を回避するためには、肺経 路を介したインスリンの投与が、インスリンの注射を必要としない、内因性イン スリンによく似た代替的な明らかな吸収プロフィールを示すであろう。背景の説明 肺経路を介したインスリン投与は、水性溶液又は粉末製剤の何れかにより達成 され得る。詳細な説明を、多くの参考文献にみることができるが、最近の文献の 1つはニーべン(Niven,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Sys,12(2&3):151-231(199 5))による。前記概要に取り上げられている1つの側面は、タンパク調合物の安 定性の間題であり、これは水性溶液が粉末の調合物よりも安定性が低いことによ る。これまで、全ての粉末調合物は主として非晶質として記述されてきた。 インスリンが適切な吸収増強剤と組み合わされて、適切な粒子サイズの粉末の 形態でより低い気道に導入された場合に、US特許第5,506,203号によ って記載される通り、より低い気道での上皮細胞層を介しての吸収によって、直 ちに全身系循環に入るということが分かった。インスリンを酸性のpHで溶解し pHをpH7.4に調整することと、該溶液を適切な方法により乾燥する前にタ ウロコール酸ナトリウムを添加することとを具備する前記特許に記載された製造 方法により、9:1から約1:1の間の割合にあるヒトインスリンと吸収増強剤 とから構成される粉末を生じる。該粉末は、主に、偏光顕微鏡下で測定される非 晶質として特徴付けられる。 発明の説明定義 ここで使用される「結晶質」及び「非晶質」の表現は、以下の方法;即ち、該 粉末の粒子のアリクウォットを清浄なガラススライド上の鉱油に乗せる方法によ り識別可能な粉末粒子の異なる状態に相当する。偏光顕微鏡を使用した試験は、 結晶粒子の複屈折を明瞭にする。 「増強剤」の表現は、、肺胞に配列する上皮細胞層を介しての隣接する肺血管 系へのインスリン、インスリン類似物又はインスリン誘導体の吸収を増強する物 質をいい、即ち、このとき、全身系へのインスリン吸収量は、増強剤の不在時の 吸収量よりも高い。 ここで使用される「ヒトインスリンの類似物」(又は同様な表現)により、1 以上のアミノ酸が欠失及び/又はコート化できないアミノ酸を含む他のアミノ酸 により置換されているヒトインスリン、又は追加のアミノ酸を含む、即ち、51 以上のアミノ酸を有するヒトインスリンを意味する。 ここで使用される「ヒトインスリンの誘導体」(又は同様な表現)により、少 なくとも1つの有機置換基が1以上のアミノ酸に結合しているヒトインスリン又 はその類似物を意味する。 本コンテクストでは、「粉末」の表現は、本質的に乾燥した粒子、即ち、水分 含有量が約10重量%以下、好ましくは6重量%以下、最も好ましくは4重量% 以下である粒子の収集物をいう。 本発明は、ヒトインスリン又はその何れかの類似物若しくは誘導体と、より低 い気道におけるインスリンの吸収を増強する増強剤とから構成される粒子を含有 する肺投与に適した治療用粉末調合物であって、前記粒子の少なくとも50重量 %が結晶である調合物に関する。 インスリンと増強剤の結晶粉末調合物は、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥及び 開放乾燥により製造される事実上同様な組成物の粉末よりも、良好な安定性プロ フィールを明示する。これは、恐らく、記載された他の方法により製造された粉 末が非晶質状態にあるということと対照的に、本発明の粉末調合物が実質的に結 晶状態にあることに帰するものであろう。安定剤を含有しない2℃から8℃の間 で貯蔵しなくてはならない注射用ヒトインスリン製剤や幾つかの非晶質インスリ ン粉末とは異なり、この手段により、本発明の粉末調合物は室温で保存すること が可能になる。 更に、インスリンと増強剤との実質的な結晶粉末調合物は、相当する非晶質粉 末調合物よりも優れた流れ特性を明示する。 好ましくは、前記粒子の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも9 0重量%が結晶質である。 前記増強剤は、都合よくは界面活性剤であり、好ましくは脂肪酸塩、胆汁酸塩 又はリン脂質からなる群より選択され、より好ましくは胆汁酸塩である。 好ましい脂肪酸塩は、C10-14脂肪酸の塩であり、例えば、カプリン酸ナトリ ウム、ラウリン酸ナトリウム、及びミリスチン酸ナトリウム等である。 リゾホスファチジルコリンは、好ましいリン脂質である。 好ましい胆汁酸塩は、ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココー ル酸、及びタウロジヒドロフシジン酸の塩である。更に好ましいのは、該増強剤 がタウロコール酸塩、好ましくはタウロコール酸ナトリウムである本発明の粉末 調合物である。 ヒトインスリンの好ましい類似物は、速効活性インスリン類似物、特に、位置 B28がAsp、Lys、Leu、Val又はAlaであり、また位置B29が Lys又はProである類似物;或いは、des(B28−B30)、des( B27)又はdes(B30)ヒトインスリンである。最も好ましい類似物は、 AspB28ヒトインスリン又はLysB28ProB29ヒトインスリンである。 ヒトインスリンの好ましい誘導体は、1以上の親油性置換基を具備する誘導体 である。好ましい親油性インスリンは、アシル化インスリンであり、例えば、W O95/07931に記載されるものであり、例えば、LysB29のε−アミノ 基が少なくとも6炭素原子を含むアシル置換基を含むヒトインスリン誘導体等で ある。 インスリン誘導体は、最も好ましくは、B29−Nε−ミリストイル−des (B30)ヒトインスリン、B29−Nε−パルミトイル−des(B30)ヒ トインスリン、B29−Nε−ミリストイルヒトインスリン、B29−Nε−パ ルミトイルヒトインスリン、B28−Nε−ミリストイルLysB28proB29ヒ トインスリン、B28−Nε−パルミトイルLysB29proB29ヒトインスリン 、B30−Nε−ミリストイルThrB29LySB30ヒトインスリン、B30−Nε −パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29−Nε−(N− パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29− Nε−(N−リトコール−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン 、B29−Nε−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒト インスリン、及びB29−Nε−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトイン スリンからなる群より選択される。 好ましい態様において、本発明の粉末調合物は、インスリン誘導体、並びにヒ トインスリン又はその類似物を含む。 しかしながら、ヒトインスリンは、本発明の調合物において使用されるべき最 も好ましいインスリンである。 本発明の詳細な態様において、該粉末調合物は、更に、亜鉛、好ましくはイン スリン6量体当たり2Zn原子からインスリン6量体当たり12Zn原子まで、 より好ましくはインスリン6量体当たり4Zn原子からインスリン6量体当たり 12Zn原子まで、又はインスリン6量体当たり2Zn原子からインスリン6量 体当たり10Zn原子まで、更により好ましくはインスリン6量体当たり2Zn 原子からインスリン6量体当たり5Zn原子までに相当する量で亜鉛を含む。該 製剤に亜鉛を添加する手段により、製剤としての調合物のタイミングを調整する こと、即ち、定義されたタイムスパンで所望する生物学的反応を得ることが可能 であり、インスリン6量体当たり0−10Zn原子を含有する調合物は、7mM リン酸緩衝溶液を使用したインビトロで測定された通り異なる溶解特性を明示す る。 本発明の好ましい態様において、該粉末調合物の結晶の主な部分は、10μm まで、好ましくは7.5μmまで、より好ましくは5μmまでの最大直径を有す る。少なくとも80%又は本質的に全結晶が上記の範囲内の最大直径を有する粉 末調合物であることが最も好ましい。 本発明の粉末調合物におけるインスリン対増強剤のモル比は、好ましくは91 から19、より好ましくは5:1から1:5、更により好ましくは3:1から1 :3の間である。 本発明の粉末調合物は、任意に、肺投与に適するとして一般的に許容される担 体又は賦形剤と組み合わせてもよい。担体又は賦形剤を添加する目的は、充填剤 、安定剤又は流れ特性の改善剤としてであってもよい。 適切な担体剤は、1)炭水化物、例えば、単糖類、例えば、フルクトース、ガ ラクトース、グルコース、ソルボース等;2)二糖類、例えば、ラクトース、ト レハロース等;3)多糖類、例えば、ラフィノース、マルトデキストリン、デキ ストラン類;4)アルジトール類、例えば、マンニトール、キシリトール等;5 )無機塩、例えば、塩化ナトリウム等;6)有機塩、例えば、クエン酸ナトリウ ム、アスコルビン酸ナトリウム等を含む。好ましい担体の群は、トレハロース、 ラフィノース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、サ ッカロース、塩化ナトリウム及びクエン酸ナトリウムを含む。 好ましい態様において、本発明の治療用粉末調合物は、フェノール化合物の安 定化量(stahilizing amount)、好ましくはインスリン6量体当たり少なくとも 3分子のフェノール化合物に相当する量を含有する。フェノール化合物は、好ま しくはフェノール、m−クレゾール、又はこれらの化合物の混合物である。 本発明の粉末調合物は、以下の一般的な手順により製造してよい: インスリンと該増強剤との結晶化は、希釈酸性溶液、例えば、pH=3.0−3 .9にインスリンを溶解すること、任意に、所望する量の亜鉛、例えば、好まし くはインスリン6量体当たり2Zn原子からインスリン6量体当たり10Zn原 子、より好ましくはインスリン6量体当たり2Zn原子からインスリン6量体当 たり5Zn原子に相当する量を添加することにより達成される。最終的に、該イ ンスリン/亜鉛溶液は、若干の攪拌の下で増強剤の溶液と混合される。該溶液の 混合時の重量単位基準でのインスリンと増強剤との割合は、好ましくは9:1か ら19、より好ましくは5:1から1:5、更により好ましくは3:1から1: 3の間である。次に、該製剤のpHを、4、5から7.4、好ましくは4.5か ら7、より好ましくは4.5から6.5、更により好ましくは5.5から6.2 、最も好ましくは5.5から6.1の範囲の値に調整し、約16時間、20℃か ら34℃、より好ましくは20℃から25℃の間の温度で静置する。形成した結 晶を真空蒸発により単離する。必要であれば、該インスリン粉末を微粉砕するこ とも可能である。 本発明は、更に、以下の例により詳しく説明されるが、これにより制限される と解釈されるべきではない。 例I 249.8mgのヒトインスリンを、pH=3.7−3.8となるように2N のHClを添加することにより水に溶解した。50μLの4%の塩化亜鉛溶液を 混合しながら該インスリン溶液に添加した。水を10mLまで添加した。1gの タウロコール酸ナトリウムを10mLの水に溶解した。塩化亜鉛の添加をしてい ないもう1つのインスリン溶液を、pH=3.6−3.7となるように2NのH Clを添加することによって251.6mgのヒトインスリンを水に溶解するこ とにより調製した。 3つのビーカーに、夫々400μL、450μL及び500μLのタウロコー ル酸ナトリウム溶液を添加した。次に、塩化亜鉛を含有するインスリン溶液の1 .6mLを各ビーカーに混合しながら添加した。最後に、混合しながら10mL になるまで水を添加した。 他の3つのビーカーに、夫々400μL、45μL及び500μLのタウロコ ール酸ナトリウム溶液を添加した。次に、塩化亜鉛を含まないインスリン溶液の 1.6mLを各ビーカーに混合しながら添加した。最後に、混合しながら10m Lになるまで水を添加した。 全6ビーカー内を混合しながら、pHを6.1に調整した。約16時間、20 ℃−25℃で静置した後で、結晶が全調製物中で形成された。 各調製物のアリクウォットは、偏光顕微鏡下で観察された通り、殆ど完全な結 晶質状態の粒子を明示した。個々の結晶のサイズは、1μm−5μmであると測 定された。 該上清を、注意深く各調製物から除去し、残留した湿潤結晶質画分を約5時間 、真空乾燥機内に配置することにより乾燥した。 乾燥インスリン粉末は、RP−HPLCにより、ヒトインスリン及びタウロコ ール酸ナトリウム含有量について分析され、その結果は、タウロコール酸ナトリ ウムの含有量に依存して、ヒトインスリンとタウロコール酸ナトリウムの割合が 4:1から2:1であることを示した。如何なる相違も、塩化亜鉛を含有する調 製物と含有しない調製物との間で観察されなかった。 例II 625.9mgのヒトインスリンを、pH=3.6−3.7となるように2N のHClを添加することにより水に溶解した。125μLの4%の塩化亜鉛溶液 を、混合しながらインスリン溶液に添加した。水を25mLまで添加した。1g の タウロコール酸ナトリウムを10mLの水に溶解した。次に、16mLのインス リン溶液に対し、混合しながら4mLのタウロコール酸塩溶液を添加した。混合 しながら、最終的に100mLとなるように水を添加した。自然発生的な非晶質 沈澱物を有する該調製物を、各々10mLずつ7つのビーカーに分配した。混合 しながら、pHを、45、50、55、6.0、61、6.5、7.0及び7. 4に調整した。約16時間、20℃−25℃で静置した後で、全調製物において 結晶が形成した。 各調製物のアリクウォットは、偏光顕微鏡下で観察された通り、略完全な結晶 質状態の粒子を明示した。個々の結晶のサイズは、1μm−5μmであると測定 された。 その上清を、注意深く各調製物から除去し、残留した湿潤結晶質分画を約5時 間真空乾燥機内に配置することにより乾燥した。 その乾燥インスリン粉末は、RP−HPLCにより、ヒトインスリン及びタウ ロコール酸ナトリウムの含有量について分析され、その結果は、実際のpH値に 依存して、ヒトインスリンとタウロコール酸ナトリウムの割合が6:1から3: 1であることを示した。 例III 625.9mgのヒトインスリンを、pH=3.6−3.7となるように2N のHClを添加することにより水に溶解した。水を25mLまで添加した。1g のタウロコール酸ナトリウムを10mLの水に溶解した。インスリン溶液を各4 mLで5つのビーカーに分配した。0.4%の塩化亜鉛溶液を、混合しながら、 該インスリン溶液に、増加量:81μL、123μL、164μL、205μL 、285μL及び410μLで添加した。次に、該溶液の各々に、混合しながら 1mLのタウロコール酸塩溶液を添加した。最終的に、25mLとなるように、 混合しながら水を添加した。混合しながらpH6.1に調整した。自然発生的に 、非晶質沈澱が各調製物中で形成した。約16時間の20℃−25℃での静置の 後、結晶が全調製物中に形成した。 各調製物のアリクウォットは、偏光顕微鏡下で観察された通り、略完全な結晶 質状態の粒子を明示した。個々の結晶のサイズは、1μ−5μであった。 その上清を、注意深く各調製物から除去し、残留した湿潤結晶質分画を約5時 間真空乾燥機内に配置することにより乾燥した。 その乾燥インスリン粉末は、RP−HPLCによりヒトインスリン及びタウロ コールの含有量について分析され、その結果は、亜鉛含有量に依存して、ヒトイ ンスリンとタウロコール酸ナトリウムの割合が6:1から4:1であることを示 した。 例IV 625.3mgのヒトインスリンを、pH=3.6−3.7となるように2N のHClを添加することにより水に溶解した。125μLの4%塩化亜鉛溶液を 、混合しながらインスリン溶液に添加した。水を25mLまで添加した。1gの タウロコール酸ナトリウムを10mLの水に溶解した。該インスリン溶液を4つ のビーカーに1.6mLずつ分配した。該ビーカーの各々に対して、混合しなが ら400μLのタウロコール酸塩溶液を添加した。塩化ナトリウム溶液(100 mg/ml)を混合しながら、増加量:0μL、58μL、116μL及び23 2μLで添加した。最終的に、10mLとなるように混合しながら水を添加した 。混合しながら、pHを6.1に調整した。 各調製物のアリクウォットは、偏光顕微鏡下で観察された通り、50%から8 0%の結晶質状態の粒子であることが明示された。個々の結晶のサイズは、1μ −5μであると測定された。 乾燥インスリン粉末を、ヒトインスリン及びタウロコール酸ナトリウムの含有 量について分析し、その結果は、全調製物においてヒトインスリンとタウロコー ル酸アトリウムの割合が3:1であることを示した。 例V 2.5gのヒトインスリンを、pH=3.6−3.7となるように2NのHC lを添加することにより水に溶解した。500μLの4%の塩化亜鉛溶液を混合 しながら該インスリン溶液に添加した。100mLになるように水を添加した。 2.5gのタウロコール酸ナトリウムを25mLの水に溶解した。該インスリン 溶液を9つの各ビーカーに8mLずつ分配した。混合しながら、3つのインスリ ン溶液(第1群)に2mLを添加し、次の3つのインスリン溶液(第2群)に2 .25mLを添加し、最後の3つのインスリン溶液(第3群)に2.50mLの タウロコール酸塩溶液を添加した。該3群の各々に、塩化ナトリウム溶液100 mg/mlを増加量:0μL、290μL及び1160μLで添加した。最終的 に、50mLとなるように混合しながら水を添加した。混合しながらpHを61 に調整した。自然発生的に、非晶質沈澱が該調製物の各々に形成した。約16時 間の20℃−25℃での静置の後に、結晶が全調製物において形成した。 偏光顕微鏡下で観察された通り、各調製物のアリクウォットは、添加された塩 化ナトリウムを含まない粒子は殆ど完全な結晶質状態を明示したのに対して、塩 化ナトリウムを含有する調製物では約50%から80%の結晶質状態を明示した 。個々の結晶のサイズは1μ−5μで測定された。 該上清を、注意深く各々の調製物から除去し、残留した湿潤結晶質分画を真空 乾燥機に約5時間配置することにより乾燥した。 該乾燥インスリン粉末は、ヒトインスリン及びタウロコール酸ナトリウム含有 量について分析され、その結果は、該調製物におけるヒトインスリンとタウロコ ール酸ナトリウムの割合が6:1から3:1であることを示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/24 A61K 47/26 47/26 A61P 3/10 A61P 3/10 A61K 37/26 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒトインスリン又はその何れかの類似物若しくは誘導体と、より低い気道に おけるインスリンの吸収を増強する増強剤とから構成される粒子を含有する肺投 与に適した治療用粉末調合物であって、前記粒子の少なくとも50重量%が結晶 質である調合物。 2.請求項1に記載の治療用粉末調合物であって、前記粒子の少なくとも75重 量%、好ましくは少なくとも90重量%が結晶質である調合物。 3.請求項1又は2の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、前記増強 剤が界面活性剤である調合物。 4.請求項3に記載の治療用粉末調製物であって、前記界面活性剤が脂肪酸塩、 胆汁酸塩又はリン脂質であり、好ましくは胆汁酸塩である調合物。 5.請求項4に記載の治療用粉末調合物であって、前記界面活性剤がタウロコー ル酸ナトリウム、好ましくはタウロコール酸ナトリウムである調合物。 6.請求項1から5の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、更に、イ ンスリン6量体当たり2Zn原子からインスリン6量体当たり12Zn原子、好 ましくはインスリン6量体当たり4Zn原子からインスリン6量体当たり12Z n原子に相当する量で亜鉛を含有する調合物。 7.請求項6に記載の治療用粉末調合物であって、インスリン6量体当たり2Z n原子からインスリン6量体当たり10Zn原子、好ましくはインスリン6量体 当たり2Zn原子からインスリン6量体当たり5Zn原子に相当する量で亜鉛を 含有する調合物。 8.請求項1から7の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、前記結晶 質の大部分が、10μmまで、好ましくは7.5μmまでの最大直径を有する調 合物。 9.請求項1から8の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、インスリ ン対増強剤のモル比は、9:1から1:9、好ましくは5:1から1:5、より 好ましくは3.1から1:3である調合物。 10.請求項1から9の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、更に、 担体、好ましくはトレハロース、ラフィノース、マンニトール、ソルビトール、 キシリトール、イノシトール、スクロース、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナト リウムからなる群より選択される担体を含有する調合物。 11.請求項1から10の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、更に 、フェノール化合物の安定化量を含有する調合物。 12.請求項11に記載の治療用粉末調合物であって、インスリン6量体当たり 少なくとも3分子のフェノール化合物を含有する調合物。 13.請求項11又は12の何れか1項に記載の治療用粉末調合物であって、m −クレゾール若しくはフェノール、又はその混合物を含有する調合物。 14.請求項1から13の何れか1項に記載の粉末調合物の治療学的有効量をそ れを必要とする対象に投与することを具備する糖尿病を治療する方法。 15.即効活性インスリン類似物、好ましくはLysB28−proB29ヒトインス リン又はAspB28ヒトインスリンの治療学的有効量を、そのような治療を必要 とする対象に肺送達により投与することを具備する糖尿病を治療する方法。
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