JP2001518302A - Pkbキナーゼインヒビターを同定するための組成物及び方法 - Google Patents

Pkbキナーゼインヒビターを同定するための組成物及び方法

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JP2001518302A JP2000513956A JP2000513956A JP2001518302A JP 2001518302 A JP2001518302 A JP 2001518302A JP 2000513956 A JP2000513956 A JP 2000513956A JP 2000513956 A JP2000513956 A JP 2000513956A JP 2001518302 A JP2001518302 A JP 2001518302A
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Abstract

(57)【要約】 病気の診断及び治療のための医学的適用を有するPKBキナーゼ活性に作用する化合物のためのアッセイに役立つ組成物及び方法が記載される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、分子生物学の分野にあり、プロテインキナーゼBキナーゼ類の同定
及びそれらの医学的適用に関する。
【0002】 発明の背景 インスリン及び他の成長因子は、PI4,5ビスホスフェート(PIP2)を
セカンドメッセンジャーと予想されるPI3,4,5トリホスフェート(PIP
3)に交換する酵素であるホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼの
活性化を誘発する。PI3−キナーゼには複数の型があり、それらは全て、ホス
ファチジルイノシトール(PtdIns)、ホスファチジルイノシトール−4−
ホスフェート(PtdIns−4−P)及びホスファチジルイノシトール−4,
5−ビスホスフェート(PtdIns−4,5−P2)のD−3位をリン酸化し
て、各々ホスファチジルイノシトール−3−ホスフェート(PtdIns−3−
P)、ホスファチジルイノシトール−3,4−ビスホスフェート(PtdIns
−3,4−P2)及びホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェ
ート(PtdIns−3,4,5−P3、又はPIP3)を作り出すことができ
る。
【0003】 プロテインキナーゼB(PKB)はPIP3のシグナル伝達経路にあり、PI
3−キナーゼの下流にある。Frankeら(1995) Cell, vol. 81 、ページ 727-736
を参照のこと。例えば、インスリン又は成長因子によるPKBの活性化は、Wo
rtmanninもしくはLY294002として最も知られているPI3−キ
ナーゼのインヒビターと一緒に細胞をプレインキュベートするなら、又はPI3
−キナーゼの主要ネガティブ変異体の過剰発現により防止される。Burgering, B
.M. 及びCotter, P.J. (1995) Nature ; vol. 376 、ページ 599-602を参照のこ
と。更に、リン酸化された時にPI3−キナーゼに結合するPDGFレセプター
内のチロシン残基の変異も、PKBの異型であるPKBαの活性化を防ぐ。現在
の報告は、PKBはPIP3の下流の別のキナーゼによってもそれ自体活性化さ
れることを示している。Alessi, D ら、Curr. Biol. vol. 7, 261 (1997)を参照
のこと。このPKBキナーゼと呼ぶキナーゼ、又はホスファチジルイノシチド(
PtdIns)3−キナーゼ(PDK1)は、活性化のためにPIP3を必要と
する。Stokoe, D.ら、(1997) Science, vol. 277、ページ 567-570を参照のこと
【0004】 PKBはPIP3経路において重要な酵素であり、細胞成長を調節することに
関係する。それは特定のヒトの癌に関係しており;例えば、卵巣癌、乳癌、及び
膵臓癌の割合が増加することが知られている。Bellacosa, Aら(1995) Int. J.
Cancer 64 、ページ 280-285、及びCheng, J.Qら(1996)Proc. Natl. Acad. Sc
i. U.S.A. vol. 93, 3636-3641を参照のこと。その酵素の増幅は、腫瘍細胞に、
アポトーシスを回避するためのメカニズムを与える。これにより、PKB活性を
阻害する薬剤は、癌を含む不要な細胞成長に関する病気の治療のために有益であ
ろうことが認められよう。この目的を達成するための1つの方法は、これを同定
するアッセイを開発することである。
【0005】 発明の概要 本発明の第1の対象は、PKBキナーゼ、該キナーゼを精製及び発現するため
の方法及び組成物、並びにそれらをコードするcDNA配列である。 本発明の第2の対象は、PKBのリン酸化を行うための、PtdIns(3,
4,5)P3 によるPKBキナーゼの活性化である。
【0006】 本発明の第3の対象は、癌を含む不要な細胞増殖に関する病気を治療するため
の診断又は治療に利益を有する化合物を同定するための組成物及び方法である。 本発明のこれら及び他の対象は、本発明の十分な開示に基づいて当業者に明ら
かになるであろう。 発明の詳細な記載 本明細書に言及される全ての出版物及び特許出願は、各々の個々の出版物又は
特許出願が詳細かつ個々に引用により組み込まれて示されるのと同じ程度まで、
引用により本明細書に組み込まれる。
【0007】 定義 最初に、特に示さなければ、本明細書に用いる全ての技術及び科学用語は、本
発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本
明細書に用いる命名法及び以下に記載の研究手順は公知のものであり、当該技術
分野において一般に用いられるものである。組換え核酸法、ポリヌクレオチド合
成、及び微生物培養及び形質転換(例えばエレクトロポレーション、リポフェク
ション)のために標準的な技術を用いる。一般に、酵素反応及び精製ステップは
、製造元の細胞に従って行う。それらの技術及び手順は、当該技術分野において
慣用的な方法及びこの本明細書全体を通して供される種々の一般的参照文献(一
般に、引用により本明細書に組み込まれるSambrookら、Molecualr Cloning : A Laboratory Manual, 2nd edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s, Cold Spring Harbor, N.Y.)に従って一般に行う。本明細書に用いる命名法、
並びに以下に記載する分析化学、有機合成化学、及び医薬調剤における研究手順
は公知であり、当該技術分野において一般に用いられる。化学合成、化学分析、
医薬調剤及びデリバリー、並びに患者の治療のためには標準的技術を用いる。
【0008】 PKB、又はプロテインキナーゼBは、Coffer, P.J.及びWoodgett, J.R. (19
91) Eur. J. Biochem. vol. 201 、ページ 475-481、及びJones, P.F. ら(1991
) Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol. 88, 4171-4175 、に記載されるように、プ
ロテインキナーゼc及びプロテインキナーゼaと相同性を有する約60kDキナー
ゼを意味するとして本明細書で用いられる。また、WO97/22360、及び
Stokoe, D.ら(1997) Science, vol. 277 、ページ 567-570も参照のこと。その
定義には、その4つが知られている酵素の異型を含む。PKBはc−Akt及び
Rac−PKとも呼ぶ。
【0009】 ホスファチジルイノシトール(3,4,5)−トリホスフェートの‘生物学的
立体異性体’の形式的な名前は、(特定の脂肪酸の組合せのため);(1−ステ
アロイル、2−アラキドニル)Sn−ホスファチジルD−ミオイノシトール(3
,4,5)−トリホスフェートである。我々は、これを略記するが、特定の異性
体を定義するために関連する識別する正確さの全てを残す。ここで、D−D−S
/A−PtdIns(3,4,5)P3 は、2番目のDがグリセロール骨格のキ
ラリティーをいい、即ちD−L−S/A−PtdIns(3,4,5)P3 は(
2−アラキドニル、3−ステアロイル)Sn−ホスファチジルD−ミオイノシト
ール(3,4,5)−トリホスフェートである。ジパルミトイル誘導体はD−D
−P/P−PtdIns(3,4,5)P3 と略記する。D−D−S/A−Pt
dIns(3,4,5)P3 のエナンチオマーはL−L−S/A−PtdIns
(3,4,5)P3 である。
【0010】 対象に適用する場合に本明細書に用いる用語“天然”は、対象が自然に見い出
すことができることをいう。例えば、自然のソースから単離することができ、研
究所でヒトにより意図的に改変されていない(ウイルスを含む)生物中に存在す
るポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は天然である。 本明細書に用いる用語“ポリヌクレオチド”は、リボヌクレオチドもしくはデ
オキシリボヌクレオチド又はいずれかのヌクレオチドの型の改変型である少くと
も10塩基長のヌクレオチドのポリマー形態を意味する。
【0011】 本明細書に用いる用語“オリゴヌクレオチド”は、天然の及び非天然のオリゴ
ヌクレオチド結合により一緒に結合された、天然の及び改変されたヌクレオチド
を含む。オリゴヌクレオチドは、200塩基又はそれより少い長さのポリヌクレ
オチドサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、10〜60塩基
長であり、最も好ましくは、12,13,14,15,16,17,18,19
又は20〜40塩基長である。オリゴヌクレオチドは通常、例えばプローブにつ
いて、一本鎖であるが、例えば遺伝子変異体の作製に用いるために、オリゴヌク
レオチドは2本鎖であってもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、センス又は
アンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。本明細書に用いる用語“天然のヌ
クレオチド”は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含む。本明
細書に用いる用語“改変されたヌクレオチド”は、改変された又は置換された糖
基等を有するヌクレオチドを含む。本明細書に用いる用語“オリゴヌクレオチド
結合”は、オリゴヌクレオチド結合、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチ
オエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチ
オエート、ホスホルアニラデート、ホスホロアミデート等を含む。オリゴヌクレ
オチドは、必要に応じて、検出のための標識を含み得る。
【0012】 本明細書に用いる用語“配列相同性”は、2つの核酸配列間の塩基適合の割合
又は2つのアミノ酸配列間のアミノ酸適合の割合をいう。配列相同性をパーセン
テージ、例えば50%として表す場合、そのパーセンテージは、特定の他の配列
と比較した。PKBキナーゼからの配列の長さにわたる適合のパーセンテージを
いう。(2つの配列のいずれかの)ギャップは、マッチングを最大にするのを許
容し;15塩基又はそれ未満のギャップ長が通常用いられ、6塩基又はそれ未満
か好ましくは、2塩基又はそれ未満がより好ましい。オリゴヌクレオチドをプロ
ーブ又は処理として用いる場合、標的核酸とオリゴヌクレオチド配列との間の配
列相同性は一般に、20の可能なオリゴヌクレオチド塩基対適合のうち17以上
の標的塩基適合(85%);好ましくは10の可能な塩基対適合のうち9以上の
適合(90%)、最も好ましくは20の可能な塩基適合のうち19以上の適合(
95%)である。
【0013】 2つのアミノ酸配列は、それらの配列間に部分的な又は完全な同一性があるな
ら、相同である。例えば、85%相同性は、その2つの配列が最大に適合するよ
うにアラインされた時にアミノ酸の85%が同一であることを意味する。(適合
している2つの配列のいずれかの)ギャップは、適合を最大にすることができ;
5又はそれ未満のギャップ長が好ましく、2又はそれ未満がより好ましい。ある
いは及び好ましくは、2つのタンパク質配列(又は少くとも30アミノ酸長のそ
れら由来のポリペプチド配列)は、それらが、6又はそれ超の変異データマトリ
ックス及びギャップ・ペナルティーでプログラムALIGNを用いて(標準偏差
単位で)多くとも5のアラインメント・スコアを有するなら、本明細書でこの用
語を用いて、相同である。Dayhoft, M.O. (Atlas of Protein Sequence and Str
ucture, 1972, volumeら、National Biomedical Research Foundation, pp 101-
110 、及びSupplement 2からこの巻、pp. 1-10) を参照のこと。2つの配列又は
その部分は、より好ましくは、それらのアミノ酸が、ALIGNプログラムを用
いて最適にアラインした時に50%より大きい又はそれに等しい同一性を有する
なら、相同である。
【0014】 本明細書に用いる場合、“実質的に純粋”とは、対象種が存在する支配的な種
である(即ちモラーベースで、それが、組成物中でいずれの他の個々の種よりも
豊富である)ことを意味し、好ましくは、実質的に精製された画分は、対象種が
存在する全ての高分子種の少くとも50%(モルベース)を含む組成物である。
一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80
%超を含むであろう。より好ましくは約85%、90%、95%、及び99%よ
り多い。最も好ましくは、対象種は、組成物が単一高分子種から本質的になる本
質的に均一になる(汚染種が慣用的な検出法により組成物中で検出できない)ま
で精製される。
【0015】 本明細書に用いる化学用語は引用により本明細書に組み込まれるThe McGraw-H
ill Dictionary of Chemical Terms (ed. Parker, S., 1985), McGraw-Hill, Sa
n Francisco に例示されるような、当該技術分野での慣用的な利用に従って用い
る。 遺伝子操作によってクローン化された遺伝子からのタンパク質の生産は公知で
ある。例えば、Bellらの米国特許第4,761,371の第6欄、3行〜第
9欄、65行を参照のこと(本明細書に言及される全ての特許文献の開示内容は
引用により本明細書に組み込まれる)。従って、後の議論は、この分野の概観と
して意図し、当該技術分野の全ての状態を反映することを意図したものではない
【0016】 DNA領域は、互いに機能的に関連している場合、作用可能に結合している。
例えば、プロモーターは、それが配列の転写を制御するなら、コーディング配列
に作用可能に結合しており;リボソーム結合部位は、それが翻訳を許容するよう
に位置するなら、コーディング配列に作用可能に結合している。 適切な宿主細胞には、原核生物、イースト細胞、又は高等真核生物細胞がある
。原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えば大腸菌(E.coli )又はバチルスがある。高等真核生物細胞には、以下に記載されるような哺乳動
物源の確立された細胞系(即ちcos細胞)がある。典型的な宿主細胞は、DH
5a、大腸菌W3110(ATCC 27,325)、大腸菌B、大腸菌X17
76(ATCC 31,537)及び大腸菌294(ATCC 31,446)
がある。シュードモナス種、バチルス種、及びセラチア・マルセサンス(Serrat
ia marcesans) も適している。
【0017】 昆虫系において、オートグラファ・カリホルニカ(Autographa californica
核ポリヒドロシスウィルス(AcNPV)は、外来遺伝子を発現させるためにベ
クターとして用いることができる(例えば、Smith ら、1983, J. Virol. 46 : 5
84 ; Smith、米国特許第4,215,051を参照のこと)以下に記載の一実施
形態において、Sf9昆虫細胞に、6×ヒスチジンタグ、myc、又はEE−タ
グ(即ちGlu−Glu−タグ)のいずれかを伴うPKBキナーゼ構成物を発現
するバキュロウィルスベクターを感染させる。
【0018】 広範囲の種々の適切な微生物ベクターが利用できる。一般に、微生物ベクター
は、意図した宿主により認識される複製の起点、宿主内で機能するであろうプロ
モーター及び表現型選択遺伝子、例えば抗生物質耐性を与え又は自己栄養要求を
供給するタンパク質をコードする遺伝子を含むであろう。同様の構成物は、他の
宿主について製造されよう。大腸菌は、典型的には、pBR322を用いて形質
転換される。Bolivar ら(Gene 2, 95 (1977))を参照のこと。pBR322は
、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含み、これにより、
形質転換された細胞を同定するための容易な手段を供する。発現ベクターは、宿
主細胞により認識されるプロモーターを含むべきである。これは、一般的に、意
図した宿主から得られるプロモーターを意味する。組換え微生物発現ベクターに
最も一般的に用いられるプロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペンシリナーゼ
)及びラクトースプロモーターシステム(Chang ら、Nature 275, 615 (1978);
及びGoeddel ら、Nucleic Acids Res. 8, 4057 (1980) 及びEPO出願公開番号
36,776)並びにtacプロモーター(H. De Boerら、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 80, 21 (1983)がある。
【0019】 PKBキナーゼの同定 PKBキナーゼは、タンパク質−タンパク質相互作用を検出するための方法を
含む、いくつかの異なる技術を用いて同定することができる。PKBキナーゼ活
性の確認における特定の点で、PIP3による活性化が決定されるであろうと予
想される。Stokoe, D ら(1997) Science, vol. 277 、ページ 567-570を参照の
こと。
【0020】 用いることができる古典的な方法には、細胞ライゼート又は細胞ライゼートか
ら得られたタンパク質の勾配又はクロマトグラフィーカラムを介して、標的タン
パク質、好ましくはPKB、又は他の適切な基質をリン酸化するライゼート中の
タンパク質を同定するための、同時免疫沈降法、架橋及び同時精製である。この
ようなアッセイは、全長のPKB標的又はペプチドを用いることができる。単離
した後、このような細胞内PKBキナーゼを同定し、次に、標準的な技術と組み
合わせてそれを用いて、それが相互作用する他のタンパク質を同定することがで
きる。例えば、PKBと相互作用する細胞内PKBキナーゼのアミノ酸配列の少
くとも一部は、当業者に公知の技術を用いて、例えばエドマン分解法を用いて確
認することができる(例えばCreighton, 1983,“Proteinsi Structures and Mol
ecular Principles ”,W.H. Freeman & Col. N.Y., pp. 34-49 を参照のこと)
。得られたアミノ酸配列は、このような細胞内タンパク質をコードする遺伝子配
列についてスクリーニングするのに用いることができる。スクリーニングは、例
えば標準的ハイブリダイゼーション又はPCR技術により行うことができる。オ
リゴヌクレオチド混合物の生成及びスクリーニングのための技術は公知である(
例えばAusubel 、前掲、及びPR Protocols : A Guide to Methods and Applicat
ions, 1990, Innis, Mら、eds, Academic Press, Inc., New York を参照のこと
)。
【0021】 更に、PKBキナーゼと相互作用する細胞内タンパク質をコードする遺伝子の
同時に同定する方法を用いることができる。これらの方法は、例えば、標識化タ
ンパク質、又は例えばマーカー(例えば酵素、蛍光、ルミネセンスタンパク質、
又は染料)又はIg−Fcドメインに融合した、融合タンパク質を用いる、λg
tllライブラリーの抗体プロービングの公知の技術と同様に発現ライブラリー
をプロービングすることを含む。
【0022】 生体内でタンパク質を検出し、PKBキナーゼのキナーゼ活性に依存しない。
1つの方法は、2−ハイブリッドシステムであり、実例のためのみに詳細に記載
され、限定するものではない。このシステムは、開示されており(Chien らの米
国特許第5,283,173号、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88 : 957
8-9582), Clonetech (Palo Alto. CA)から市販される。要約すると、このような
システムを利用して、次の2つのハイブリッドタンパク質をコードするプラスミ
ドが作製される:PKB、又はペプチドもしくは融合タンパク質をコードするP
KBヌクレオチド配列に融合された転写アクティベータータンパク質のDNA結
合ドメインをコードするヌクレオチドからなる1つのプラスミド、並びにcDN
Aライブラリーの一部としてこのプラスミドに組み込まれている未知のタンパク
質をコードするcDNAに融合された転写アクティベータータンパク質の活性化
ドメインをコードするヌクレオチドからなる他方のプラスミド。DNA結合ドメ
イン融合プラスミド及びcDNAライブラリーは、調節領域が転写アクティベー
ターの結合部位を含むリポーター遺伝子(例えばHBS又はlacZ)を含むイ
ーストサッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) の株に形
質転換される。いずれかのハイブリッドタンパク質のみではリポーター遺伝子の
転写を活性化することができず;DNA結合ドメインは、それが活性化機能を供
さないのでできず、活性化ドメインはそれがアクティベーターの結合部位に局在
化することができないので、できない。2つのハイブリッドタンパク質の相互作
用は機能的なアクティベータータンパク質を再構成し、リポーター遺伝子を発現
させ、それはリポーター遺伝子産物のためのアッセイにより検出される。
【0023】 2−ハイブリッドシステム又は関連する方法は、“ベイト(bait)”遺伝子産
物と相互作用するタンパク質のための活性化ドメインライブラリーをスクリーニ
ングするために用いることができる。例として、限定するものではないが、PK
Bもしくはペプチド、又はそれら由来の融合タンパク質をベイト遺伝子産物とし
て用いることができる。全ゲノム又はcDNA配列が活性化ドメインをコードす
るDNAに融合される。DNA結合ドメインに融合されたベイトPKB遺伝子産
物のハイブリッドをコードするこのライブラリー及びプラスミドは、イーストリ
ポーター株に同時形質転換され、生じた形質転換体は、リポーター遺伝子を発現
するものについてスクリーニングされる。これらのコロニーは精製され、リポー
ター遺伝子発現の原因となるライブラリープラスミドが単離される。次にDNA
配列決定を用いてライブラリープラスミドによりコードされるタンパク質が同定
される。
【0024】 ベイト細胞周期標的遺伝子産物と相互作用するタンパク質をそれから検出する
ことができる細胞系のcDNAライブラリーは、当該技術分野においてルーチン
的に実施されている方法を用いて作ることができる。本明細書に記述される特定
のシステムによれば、例えば、cDNAフラグメントは、それらがGAL4の転
写活性化ドメインに翻訳により融合されるようにベクターに挿入することができ
る。このライブラリーは、GAL4活性化配列を含むプロモーターにより駆動さ
れるlacZ遺伝子を含むイースト株に、ベイト細胞周期標的遺伝子−GAL4
融合プラスミドと共に同時トランスフェクトすることができる。ベイト周期標的
遺伝子産物と相互作用するGAL4転写活性化ドメインに融合されたcDNAコ
ード化タンパク質は、活性なGAL4タンパク質を再構成し、それによりHIS
3遺伝子の発現を駆動するであろう。HIS3を発現するコロニーは、ヒスチジ
ンを欠如する米国体寒天ベース培地を含むペトリ皿上でのそれらの増殖によって
検出することができる。次にそのcDNAは、これらの株から精製され、当該技
術でルーチン的に実施されている技術を用いて、ベイト周期標的遺伝子−相互作
用タンパク質を作り、単離するために用いることができる。
【0025】 タンパク質を2−ハイブリッドアッセイを用い単離する限り、そのタンパク質
がキナーゼ活性を有するか否かを確認するための独立したアッセイが行われる。
このようなアッセイは当該技術分野において公知であり、例はStokoe, D ら(19
97) (Science, vol. 277、ページ 567-570) により記載される。 PKBキナーゼコーディング核酸 本発明による核酸をコードするPKBキナーゼは種々の異なるソースから得る
ことができる。DNA又はRNA、例えばポリアデニル化mRNA、例えば組織
、細胞、もしくは全体の生物から単離されたものから得ることができる。その核
酸は、DNAもしくはRNAから直接、又はcDNAライブラリーから得ること
ができる。その核酸は、要求される遺伝子型表現型(例えばオンコジーンで形質
転換された細胞又は癌細胞)等を有する発達の特定の段階の細胞から得ることが
できる。
【0026】 本発明によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、、P
KBキナーゼのみのコーディング配列;PKBキナーゼのコーディング配列及び
更なるコーディング配列(例えばリーダー、分泌、標的化、酵素、蛍光又は他の
診断ペプチドをコードする配列);PKBキナーゼのコーディング配列及び非コ
ーディング配列、例えば5′又は3′にある非翻訳配列。又はコーディング配列
内に分散している配列例えばイントロンを含み得る。PKBキナーゼポリペプチ
ドを中断なくコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、そのヌクレオチド配列
が、そのコーディング配列中に介在する又はそれを中断する非コーディングヌク
レオチドがない。例えばイントロンがないPKBキナーゼポリペプチドのための
アミノ酸コーディング配列を含むことを意味する。このようなヌクレオチド配列
は、隣接的(contiguous) と記述することもできる。
【0027】 本発明による核酸は、上述のような核酸に作用可能に結合された発現調節配列
も含み得る。句“発現調節配列”は、作用可能に結合された核酸により、コード
されたポリペプチドの発現を制御する核酸配列を意味する。発現は、mRNA又
はポリペプチドのレベルで制御することができる。これにより、発現調節配列は
、mRNA関連要素及びタンパク質関連要素を含む。このような要素には、プロ
モーター、エンハンサー(ウイルス又は細胞)、リボソーム結合配列、転写ター
ミネーター等がある。発現調節配列は、その発現調節配列がコーディング配列の
発現に作用し又はそれを達成するように位置する場合、ヌクレオチドコーディン
グ配列に作用可能に結合される。例えば、プロモーターをコーディング配列に、
5′に作用可能に結合させた場合、そのコーディング配列の発現はそのプロモー
ターにより駆動される。発現調節配列は、その通常の遺伝子に対して異種であっ
ても内因性であってもよい。
【0028】 本発明による核酸は、核酸ハイブリダイゼーションに基づいて選択することが
できる。2つの一本鎖核酸調製物が一緒にハイブリダイズする能力は、それらの
ヌクレオチド配列相補性の基準、例えばヌクレオチド間、例えばA−T,G−L
等の塩基対である。これにより、本発明は、図5(配列番号:1)に記載される
ヌクレオチド配列を含む核酸とハイブリダイズする核酸にも関する。後者の配列
にハイブリダイズするヌクレオチドは、相補的核酸鎖を有するか、又はポリメラ
ーゼ(即ち適切な核酸合成酵素)の存在下でそれのためのテンプレートとして機
能するであろう。本発明は、核酸の両方の鎖、例えばセンス及びアンチセンス鎖
を含む。
【0029】 図5(配列番号:1)に記載のヌクレオチド配列と相補的であるヌクレオチド
の必要な量を有する核酸を選択するためにハイブリダイゼーション条件を選択す
ることができる。このような配列にハイブリダイズすることができる核酸は、好
ましくは、それら配列間に、50%、より好ましくは70%の相補性を有する。
本発明は、特に、ストリンジェント条件下で図5(配列番号:1)に記載のヌク
レオチド配列にハイブリダイズするDNA配列に関する。本明細書に用いる場合
、“ストリンジェント条件”は、それら核酸間に少くとも約95%、好ましくは
97%のヌクレオチド相補性がある場合にハイブリダイゼーションがおこるであ
ろういずれかの条件を意味する。このような条件には、例えば、Norther
nのためのハイブリダイゼーション:5×SSPE,10×Denhardt溶
液、100μg/mlの新しく変性させ、せん断したサケ精子DNA、50%ホル
ムアミド、2%SDSで42℃;cDNAライブラリーからのクローニングのた
めのハイブリダイゼーション:1×PAM,0.1%SDS,50%ホルムアミ
ドで42℃がある。
【0030】 本発明によれば、核酸又はポリペプチドは、図5(配列番号:1)に記載のヌ
クレオチド又はアミノ酸配列内に1又は複数の差を含み得る。ヌクレオチド及び
/又はアミノ酸配列への変化又は改変は、直接又はランダム変異誘発を含む、利
用できるいずれかの方法によって行うことができる。 本発明によるPKBキナーゼをコードする核酸は、天然のPKBキナーゼ、例
えば天然の多形、正常もしくは変異体対立遺伝子(ヌクレオチド又はアミノ酸)
、哺乳動物、例えばヒト、サル、ブタ、マウス、ラット、もしくはウサギの自然
の集団内で発見される変異体内にあるヌクレオチドを含み得る。天然との用語は
、その核酸が、自然のソース、例えば動物組織及び細胞、体液、組織培養細胞、
法医学サンプルから得られることを意味する。PKBキナーゼへの天然の変異は
、ヌクレオチド配列の欠失(例えばトランケートされたアミノ−又はカルボキシ
−末端)、置換、又は付加を含み得る。これらの遺伝子は、当業者が知っている
であろう方法に従って、核酸ハイブリダイゼーションにより検出し、単離するこ
とができる。他のオンコジーンと同様に、PKBキナーゼの天然の変異体は、宿
主細胞及び生物において病因状態を作り出す欠失、置換、及び付加を含む。
【0031】 本発明のPKBキナーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然
の遺伝子、転写物、又はcDNA、例えば図5(配列番号:1)に記載されるも
のに見い出されるコドンを含んでも、同じアミノ酸配列をコードする縮重コドン
を含んでもよい。 本発明の別の態様は、PKBキナーゼに特有であるヌクレオチド配列である。
PKBキナーゼに特有の配列とは、PKBキナーゼ内、例えば図5(配列番号:
1)のヌクレオチド配列内にあるが、他の配列内にはまれに又は珍しい、特に動
物核酸、好ましくは哺乳動物、例えばヒト、ラット、マウス等内にない所定の順
番のヌクレオチドを意味する。センス及びアンチセンスヌクレオチドの両方が含
まれる。本発明による特有の核酸は、ルーチン的に決定することができる。PK
Bキナーゼの特有の配列を含む核酸は、例えばノーザンブロット上で、核酸の混
合物を含むサンプル中でPKBキナーゼの存在を同定するためにハイブリダイゼ
ーションプローブとして用いることができる。ハイブリダイゼーションは、プロ
ーブに対して少くとも95%の同一性(即ち相補性)を有する核酸を選択するた
めにストリンジェント条件下で行うことができるが、より低いストリンジェント
条件も用いることができる。特有のPKBキナーゼヌクレオチド配列は、枠内で
、その5′又は3′端で、PKBキナーゼの他の部分についてのコーディング配
列、酵素、GFP等、発現調節配列等を含む、本特許全体を通して言及される種
々のヌクレオチド配列に融合させることもできる。
【0032】 ハイブリダイゼーションは、例えばSambrookら、Molecular Cloning, 1989 に
記載されるように、要求される選択性により、異なる条件下で行うことができる
。例えば、PKBキナーゼを特異的に検出するために、例えばオリゴヌクレオチ
ドがその標的に対して100%相補的である場合に、そのオリゴヌクレオチドの
みがPKBキナーゼにハイブリダイズする条件下で標的核酸にハイブリダイズさ
せることができる。100%未満で少くとも約99%,97%,95%,90%
,70%,67%のヌクレオチド相補性を有する標的核酸を選択することが要求
されるなら、異なる条件を用いることができる。PKBキナーゼ遺伝子内の変異
は病気又は病因状態、例えば癌、良性腫瘍を引きおこし得るので、本発明による
オリゴヌクレオチドを診断に用いることができる。例えば、癌又はPKBキナー
ゼシグナル伝達経路に関連する他の状態の症状を有する患者は、ポリメラーゼ鎖
反応、次のDNA配列決定によりその配列が正常であるか否かを同定することに
おいて、本発明によるオリゴヌクレオチドを用いることによりその病気を診断す
ることができる。好ましい方法において、本発明は、癌を診断する方法であって
、標的核酸を含むサンプルを、オリゴヌクレオチドに、該標的及びオリゴヌクレ
オチドの間のハイブリダイゼーションを許容するのに有効な条件下で接触させ;
ハイブリダイゼーションを検出し、そして前記オリゴヌクレオチドがハイブリダ
イズする標的核酸のヌクレオチド配列を決定することを含み、前記オリゴヌクレ
オチドが、PKBキナーゼの配列、好ましくはPKBキナーゼの特有な配列を含
むことを特徴とする方法に関する。その配列は、標的核酸又はそのcDNAを単
離し、そして要求される方法に従ってその配列を決定することを含む種々の方法
に従って決定することができる。
【0033】 細胞成長異常の診断 癌を含む細胞成長異常の診断及び予後評価のために、及びこのような異常への
素因を有する患者の同定のために種々の方法を用いることができる。 このような方法は、例えば、上述のような、PKBキナーゼヌクレオチド配列
、及びPKBキナーゼ抗体のような試薬を利用する。特に、このような試薬は、
例えば(1)PKBキナーゼ遺伝子変異体の存在の検出、又は非細胞成長異常状
態に対するPKBキナーゼmRNAの過剰又は下降発現の検出;(2)非細胞成
長異常状態に対するPKBキナーゼ遺伝子産物の過剰な又は過少な量の検出;及
び(3)PKBキナーゼにより媒介されるシグナル伝達経路における混乱又は異
常の検出のために用いることができる。 本明細書に記載される方法は細胞活性化疾患異常を示す患者を診断するために
、例えば、臨床的設定において、便利に用いることができる、少くとも1の本明
細書に記載される特定のPKBキナーゼヌクレオチド配列又はPKBキナーゼ抗
体試薬を含む予め包装された診断キットを利用することにより行うことができる
【0034】 PKBキナーゼの検出のために、ゲノム核酸のための出発源としていずれかの
凝集した細胞を用いることができる。PKBキナーゼ発現のために、PKBキナ
ーゼが発現されるいずれかの細胞型又は組織を利用することができる。 核酸ベースの検出技術が以下に記載される。ペプチド検出技術も以下に記載さ
れる。
【0035】 PKBキナーゼ遺伝子及び転写物の検出 PKBキナーゼ内の変異は、いくつかの技術を利用することにより検出するこ
とができる。いずれかの凝集細胞からの核酸を、このようなアッセイ技術のため
の出発点として用いることができ、当業者に公知である標準的な核酸調製法に従
って単離することができる。
【0036】 DNAは、点変異、挿入、欠失及び染色体再配置を含む、遺伝子構造に関する
異常を検出するための生物サンプルのハイブリダイゼーション又は増幅アッセイ
に用いることができる。このようなアッセイは、これらに限らないが、サザン分
析、一本鎖コンホメーション多形性分析(SSLP)、及びPCR分析を含み得
る。
【0037】 PKBキナーゼ特異的変異の検出のためのこのような診断法は、例えば、サン
プルから、例えば患者サンプル又は他の適切な細胞ソースから得た組換えDNA
分子、クローン化遺伝子又はその縮重変異体を含む、核酸を、上述のような組換
えDNA分子、クローン化遺伝子又はその縮重変異体を分析、1又は複数の標識
化核酸に、PKBキナーゼ内のそれらの相補配列へのこれらの試薬の特定のアニ
ーリングのために好ましい条件下で接触させ、インキュベートすることに関連し
得る。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは少くとも15〜30ヌクレオチド
である。インキュベーションの後、全ての非アニール化核酸を核酸分子ハイブリ
ッドから除去する。次に、ハイブリダイズしている核酸の存在は、いずれかのこ
のような分子が存在するなら、検出される。このような検出スキームを用いて、
関係する細胞型又は細胞は、例えば固体支持体、例えば膜、又はプラスチック表
面、例えばマイクロタイタープレートもしくはポリスチレンビーズ上に固定する
ことができる。この場合、インキュベーションの後、上述の型のアニールしてい
ない標識された核酸試薬は容易に除去される。残ったアリールした標識化PKB
キナーゼ核酸試薬の検出は、当業者に公知の標準的技術を用いて行われる。核酸
試薬がアニールしているPKBキナーゼ遺伝子配列は、遺伝子変異が存在するか
否かを決定するために、正常な遺伝子配列から予想されるアニーリングパターン
と比較することができる。
【0038】 患者サンプル又は他の適切な細胞ソースにおいて、PKBキナーゼ遺伝子特異
的核酸分子を検出するための別の診断方法は、例えば、PCR(Mullis, K.B.,
1987、米国特許第4,683,202号に記載の実験例)、次の当業者に公知の
技術を用いるその増幅された分子の検出により、それらの増幅に関連し得る。生
じた増幅された配列は、遺伝子変異が存在するか否かを決定するために、その増
幅された遺伝子がPKBキナーゼ遺伝子の唯一の正常なコピーを含むなら、予想
されるであろうものと比較することができる。
【0039】 PKBキナーゼ遺伝子産物の検出 先に議論される、野生型又は変異体PKBキナーゼ遺伝子産物又はその保存性
変異体もしくはフラグメントは、本明細書に記載される通り、細胞増殖異常診断
及び予想として用いることができる。このような診断法は、PKBキナーゼ遺伝
子発現のレベルの異常、又はPKBキナーゼの構造及び/又は一時的、組織、細
胞、もしくは亜細胞位置の異常を検出するために用いることができ、生体内又は
試験管内で、例えばバイオプシー組織で行うことができる。
【0040】 分析すべき組織又は細胞型は、一般に、PKBキナーゼ遺伝子を発現する細胞
を含むと知られているもの又はそのように予想されるもの、例えば炎症に浸潤し
ている好中球細胞を含むであろう。本明細書に用いるタンパク質単離法は、例え
ば、その全体から引用により本明細書に組み込まれるHarlow及びLane (Harlow,
E.及びLane, D., 1988“Antibodies : A Laboratory Manual”, Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press, Cols Spring Harbor, New York)に記載されるようなも
のであり得る。その単離された細胞は、細胞培養物から又は患者から得ることが
できる。培養物からとった細胞の分析は、細胞ベースの遺伝子療法の一部として
用いることができる細胞の評価において、又はPKBキナーゼ遺伝子の発現への
化合物の効果をテストするために必要なステップであり得る。
【0041】 例えば、抗体、又は抗体のフラグメント、例えば上述のものは、PKBキナー
ゼ遺伝子産物又はその保存性変異体もしくはペプチドフラグメントの存在を定量
的又は定性的に検出するために本発明に役立つ。これは、例えば、光学顕微鏡、
フローサイトメトリー、又は蛍光測定検出と合わせて蛍光で標識された抗体(以
下を参照)を用いる免疫蛍光技術により、行うことができる。
【0042】 本発明に役立つ抗体(又はそのフラグメント)又はその融合もしくはコンジュ
ゲート化タンパク質は、更に、免疫蛍光、免疫電子顕微鏡又は非免疫アッセイと
して、PKBキナーゼ遺伝子産物又はその保存性変異体もしくはペプチドフラグ
メントのイン・シトゥ検出のために組織学的に用いることができる。 イン・シトゥ検出は、患者から組織学的試料を除去し、そしてそれに、本発明
の標識化抗体又は融合タンパク質を適用することにより行うことができる。その
抗体(又はフラグメント)又は融合タンパク質は、好ましくは、その標識化抗体
(又はフラグメント)を生物サンプルに重ねることにより適用される。このよう
な手順の使用を介して、PKBキナーゼ遺伝子産物又は保存性変異体もしくはペ
プチドフラグメントの存在ばかりでなく、検査した組織中のその分布も決定する
ことが可能である。本発明を用いて、当業者は、(染色手順のような)広範囲の
種々の組織学的方法を、このような、イン・シトゥ検出を行うために改変するこ
とができることを直ちに認めるであろう。
【0043】 PKBキナーゼ遺伝子産物又はその保存性変異体もしくはペプチドフラグメン
トのためのイムノアッセイ及び非イムノアッセイは、典型的には、サンプル、例
えば生物流体、組織抽出物、新しく収集した細胞、又は細胞培養においてインキ
ュベートされている細胞のライゼートを、PKBキナーゼ遺伝子産物又はその保
存性変異体もしくはペプチドフラグメントの存在下でインキュベートし、そして
当該技術で公知であるいくつかの技術のいずれかによりその結合した抗体を検出
することを含むであろう。
【0044】 生物サンプルは、固相支持体又は担体、例えばニトロセルロース、又は細胞、
細胞粒子もしくは可溶性タンパク質を固定することができる他の固体支持体に接
触させて、それ以上に固定化することができる。その支持体は、次に、適切な緩
衝液で洗い、次に検出可能に標識されたPKBキナーゼ抗体又は融合タンパク質
で処理することがてぎる。次に、固相支持体は、緩衝液で洗い、結合していない
抗体又は融合タンパク質を除去することができる。次に、固体支持体上の結合し
た標識の量は、慣用的な手段によって検出することができる。
【0045】 “固相支持体又は担体”は、抗原又は抗体に結合することができるいずれかの
支持体を包含することを意図する。公知の支持体又は担体には、ガラス、ポリス
チレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ
、天然及び改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい者、及び磁鉄鉱がある
。担体の性質は、本発明の目的のためある程度可溶性であっても不溶性であって
もよい。支持体材料はその結合した分子が抗原又は抗体に結合することができる
限り本質的にいずれの可能性ある構造を有してもよい。これにより、支持体構造
は、ビーズとして球形であっても、テストチューブの内側表面として柱状であっ
ても、ロッドの外側表面であってもよい。あるいは、その表面は、平ら、例えば
、シート、テストストリップ等であってもよい。好ましい支持体には、ポリスチ
レンビーズがある。当業者は、抗体又は抗原を結合するための多くの他の適切な
担体を知っているであろうし、それを、慣用的な実験により確認することができ
るであろう。
【0046】 PKBキナーゼ抗体又は融合たんぱく質の所定の組の結合活性は、公知の方法
に従って決定することができる。当業者は、慣用的な実験を用いることにより、
各々の測定のための作用的及び最適なアッセイ条件を決めることができるであろ
う。 抗体に関して、その抗体を検出可能に標識する方法の1つは、それを酵素に結
合し、酵素イムノアッセイ(EIA)に用いることによる(Voller, “The Enzy
me Linked Immunosorbent Assay (ELISA) ”, 1978, Diagnostic Horizons 2 :
1-7, Microbiological Associates Quarterly Publication, Walkersville, MD)
; Voller et al., 1978, J. Clin. Pathol. 31 : 507-520 ; Butler, 1981, Me
th. Enzymol. 73 : 482-523 ; Maggio (ed.), 1980, Enzyme Immunoassay, CRC
Press, Boca Raton, FL. ; Ishikawa et al., (eds.), 1981, Enzyme Immunoass
ay, Kgaku Shoin, Tokyo) 。抗体に結合した酵素は、適切な基質、好ましくは色
原基質と、例えば分光測定、蛍光測定又は視覚的手段により検出することができ
る化学成分を作り出すように反応するであろう。抗体を検出可能に標識するのに
用いることができる酵素には、これらに限らないが、マレートデヒドロゲナーゼ
、スタフィロコッカルヌクレアーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、イ
ーストアルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロホスフェート、デヒドロゲナ
ーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ
、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−
ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−
6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアシラーゼ及びアセチルコリンエス
テラーゼがある。その検出は、酵素のための色原基質を用いる比色測定法により
行うことができる。検出は、同様に調製された標準と比べた基質の酵素反応の程
度の視覚的な比較により行うこともできる。
【0047】 検出は、種々の他のイムノアッセイのいずれかを用いて行うこともできる。例
えば、抗体又は抗体フラグメントを放射能標識化することにより、ラジオイムノ
アッセイ(RIA)の使用によりPKBキナーゼを検出することが可能である(
例えば、引用により組み込まれるWeintraub, B., Prirciple of Radio immunoas
says, Seveenth Training Course on Radioligand Assay Techriques, The Endo
crine Society, March, 1986を参照のこと)。放射性同位体は、ガンマカウンタ
ー又はシンチレーションカウンターのような手段により又はオートラジオグラフ
ィーにより検出することができる。
【0048】 抗体を蛍光化合物で標識することも可能である。その蛍光で標識された抗体を
正確な波長の光に露出した場合、その存在は、蛍光により検出することができる
。最も一般的に用いられる蛍光標識化化合物には、フルオレセインイソチオシア
ネート、ロダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン及
びフルオレスカミンがある。
【0049】 抗体は、蛍光放射性金属、例えば 152Eu、又は他のランタノイド列のものを
用いて検出可能に標識することもできる。これらの金属は、ジエチレントリアミ
ンペンタ酢酸(DTPA)又はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のよう
な金属キレート化グループを用いて抗体に結合させることができる。 抗体は、それを化学発光化合物に結合することによって検出可能に標識するこ
ともできる。次にその化学発光(ケミルミネセント)標識化抗体の存在は、化学
反応の過程で生ずるルミネセンスの存在を検出することにより測定される。特に
有用なケミルミネセンス標識化化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セ
ロマチック(theromatic) アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニ
ウム塩及びオキサレートエステルである。
【0050】 同様に、バイオルミネセンス化合物を、本発明の抗体を標識するために用いる
ことができる。バイオルミネセンスは、触媒タンパク質がケミルミネセンス反応
の効率を増加させる生物系において見い出されるケミルミネセンスの型である。
バイオルミネセンスタンパク質の存在は、ルミネセンスの存在を検出することに
よって測定される。標識化の目的のための重要なバイオルミネセンス化合物は、
ルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリンである。
【0051】 医薬調製物 PKBキナーゼ遺伝子発現もしくはPKBキナーゼ活性、又はこれらに限らな
いがPIP3もしくはPKBを含むいずれかの結合パートナーとのPKBキナー
ゼの相互作用に作用すると測定された化合物は、患者に、癌を含む造血組織成長
異常を治療又は改善するために治療に有効な投与量で投与することができる。治
療に有効な投与量とは、このような異常の症状を緩和するのに十分な化合物の量
をいう。
【0052】 有効投与量 これら化合物の毒性及び治療効能は、例えばLD50(その集団の50%に致死
的な投与量)及びED50(その集団の50%に治療的に有効な投与量)を測定す
るための、細胞培養又は実験動物における標準的医薬手順により決定することが
できる。毒性及び治療効果の間の投与比は治療指数であり、それは、比LD50
ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性
副作用を示す化合物を用いることができるが、非感染細胞への潜在的損傷を最小
にし、それにより副作用を減少させるために、これら化合物を影響を受けている
組織の部位に標的化するデリバリーシステムをデザインすることに注意を払うべ
きである。
【0053】 細胞培養アッセイ及び動物培養から得られたデータは、ヒトに用いるための所
定範囲の投与量を調剤するのに用いることができる。このような化合物の投与量
は、好ましくは、ほとんど又は全く毒性がないED50を含む範囲の循環濃度内に
ある。投与量は、用いる投与型及び利用する投与の経路によりこの範囲内で多様
であり得る。本発明の方法に用いるいずれかの化合物のために、治療に有効な投
与量は、細胞培養アッセイから最初に評価することができる。投与量は、細胞培
養において決定されるように、IC50(即ち、症状の最大の半分の阻害を達成す
るテスト化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルに
おいて調剤することができる。このような情報は、ヒトにおいて有用な投与量を
より正確に決定するために用いることができる。血漿中のレベルは、例えば高性
能液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0054】 調剤及び使用 本発明に従って用いるための医薬組成物は、1又は複数の生理的に許容される
担体又は賦形剤を用いて慣用的な方法で調剤することができる。 これにより、本化合物並びにそれらの生理的に許容される塩及び溶媒和物は、
吸入又は吹き込み(口又は鼻のいずれかを介する)により、又は経口、頬側、非
経口又は直腸投与による投与のために調剤することができる。
【0055】 経口投与のために、医薬組成物は、医薬として許容される賦形剤、例えば結合
剤(例えばプレゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微結晶性セ
ルロース又はリン酸水素カルシウム);滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム
、タルク又はシリカ);分解剤(例えばポテトデンプン又はナトリウムデンプン
グリコレート);又は潤滑剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)と共に、慣用的
手段により調製された、例えば錠剤又はカプセルの型をとり得る。錠剤は、当該
技術で公知の方法によってコートすることができる。経口投与のための液体調製
物は、例えば溶液、シロップ又は懸濁液の形態をとっても、それらは、使用前に
、水又は他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として供してもよい。こ
のような液体調製物は、医薬として許容される添加物、例えば懸濁剤(例えばソ
ルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂);乳化剤(例えばレ
シチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油状エステル、
エチルアルコール又は分画した植物油);及び防腐剤(例えばメチル又はプロピ
ル−p−ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)と共に、慣用的な手段によっ
て調製することができる。その調剤は、緩衝性塩、芳香剤、着色剤及び甘味剤も
、適切なら含み得る。
【0056】 経口投与のための調剤は、適切には、活性成分の制御された放出を供するよう
に調剤することができる。 本化合物は、注入により、例えばボーラス注入又は連続注入による非経口投与
のために調剤することができる。注入のための製剤は、単位投与形態、例えばア
ンプル又は複数投与容器で、防腐剤を添加して供することができる。
【0057】 以下の例は、本発明を詳述し、当業者がそれを作り用いるのを助けるために供
する。その例は、本特許による開示又は保護の範囲を限定することを意味するも
のではない。 実施例1 PKBキナーゼの精製 PKBキナーゼ活性を精製するために用いるアッセイは、1)3μlの〔γ32 P〕−ATP 5μCi;(アッセイ中1μM最終濃度);2)1μlのアッセイ
緩衝液(0.1M KCl,5mM MgCl2 ,1mM EGA,30mM HEP
ES,pH7.4,30℃;6μlアッセイ中最終濃度);3)0.5μlの(E
E)−PKB(最終濃度2.5μM;ストックは1mM DTT,1mM EGTA
を含むPBSであり、次に1:1(v/v)でグリセロールと混合した;キナー
ゼはクローン化した組換えバキロウィルスを感染させたSF9細胞から精製し、
そのタンパク質は(EE)−タグを介して精製し、その溶出したペプチドはゲル
ろ過により除去した);4)D−D−S/A−PtdIns(3,4,5)P3 あり又はなしのホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミンを含む0.5μlの脂質小胞(各々100,100,20及び
15μMのアッセイ中最終濃度、その小胞は、脂質の乾燥フィルムを25mM H
EPES(pH7.4,30℃)に音波処理することにより調製し、3日まで、4
℃で保存した)の混合物5μlと混合した1μlのカラム画分を含んだ(使用前
5分、一緒にし、氷上で保存)。アッセイは、30℃で12分、行い、400μ
lの氷冷1% Triton X100,0.3M NaCl,10mM EDT
A,1mMピロリン酸ナトリウム、10mM β−グリセロホスフェート、50mMフ
ッ化ナトリウム、1mM EGTA,0.01%アジド、25mM HEPES pH
7.4を4℃で加え、次に30μlのα(EE)ビーズ(アッセイ当り4μlの
充填化ビーズ;飽和量のα(EE)モノクローナル抗体に共有結合で架橋したプ
ロテインG−セファロース)を加えることにより停止させた。そのチューブを4
℃で25分、混合し、次に上述の停止緩衝液で1回、洗い、各々のチューブの〔 32 P〕含有量をガイガーカウンターで定量した。全〔γ32P〕−ATPの最大4
0〜45%がいずれかのアッセイにおいて消費されるように、カラム画分を希釈
した、HPLC−SECを、Biosilectカラム(VT 11.6mls ,
BioRad) で行った。35〜45μlのサンプルを充填し、流速を40μl
・ min-1にし、80μlの画分を収集した。そのSEC緩衝液は、0.15M
NaCl,20mM HEPES,pH7.4(4℃),0.5mM EGTA,0.
1mM EDTA,1%ベタイン、0.03% Tween 20,0.01%ア
ジド、2mM β−グリセロホスフェート、1mM DTT及びペプスタチンA、ロ
イペプチン、アプロチニン及びアンチパイン(全て2μg・ml-1)を含んだ。
【0058】 図1は、ホスファチジルイノシトール(3,4,5)−トリホスフェート〔32 P〕−PtdIns(3,4,5)P3 結合タンパク質のPKBキナーゼ活性で
の同時精製、及びPKBの最後の4つの明確な型が、同様の部分精製した調製物
の大規模型から解明することができたことを示す。全部で4つの活性は、Ptd
Ins(3,4,5)P3 、又はPtdIns(3,4)P2 (例えば(1−ス
テアロイル、2−アラキドニル)Sn−ホスファチジルD−ミオイノシトール(
3,4,5)−トリホスフェート:‘D−D−S/A−PtdIns(3,4,
5)P3 ’の生物学的立体異性体の存在下で(ミエリン塩基性タンパク質(MB
P)リン酸化により判断して)PKBをリン酸化し、活性化する;図2Aを参照
のこと。
【0059】 結果は、精製されたキナーゼが、部分精製した活性と同様に、(a)これらの
脂質又はPtdIns(4,5)P2 のエナンチオマーの存在下でPKBに対し
て不活性であり;(b)これらの脂質のジパルミトイル型より低い濃度のステア
ロイルアラキドニルで活性であり、そして(c)D−D−S/A−PtdIns
(3,4,5)P3 及びグリセロール骨格中のキラル中心の配置において異なる
だけのジアステレオ異性体(即ちD−L−S/A−PtdIns(3,4,5)
3 )により等しく有効に活性化された。このことは、認識/相互作用は脂肪酸
の性質に依存するが、それは、水溶性ヘッドグループに関してそれらの正確な立
体化学により指図されないことを示唆する。
【0060】 PKBリン酸化研究のために用いるのを同じアッセイ条件下で、我々は、PK
Bキナーゼ(図2D)及びPKB自体(図2C)の両方の脂質小胞との会合を、
これらのアッセイにおいて研究した。PKB及びPKBキナーゼの脂質小胞との
会合、並びにPKBのリン酸化への異なる脂質の効果をアッセイするため、脂質
小胞を、乾燥フィルムを0.2Mスクロース;20mM KCl;20mM HEP
ES,pH7.4,30℃;0.01%アジド中に音波処理することにより調製し
て、アッセイで最終的に、200μMのホスファチジルコリン、150μMのホ
スファチジルセリン、20μMのホスファチジルエタノールアミン、10μMの
スフィンゴミエリン+示される濃度のイノシトールリン脂質を供した。これらを
、1mg・ml-1 BSA;0.12M NaCl;1mM EGTA;0.2mMカル
シウム;1.5mM MgCl2 ;1mM DTT;0.01%アジド;5mM KC
l;20mM HEPES,pH7.4,30℃(約50μMの遊離カルシウム、全
てアッセイ中の最終濃度)を、〔γ32P〕−ATP(1μM最終濃度)及び(E
E)−PKB(2.5μM最終濃度)と共に又はそれらなしで含むアッセイ緩衝
液中で関連するキナーゼと混合した。脂質小胞とのキナーゼの会合を評価するた
めにアッセイを行う場合、30℃で4分後に、そのアッセイを遠心した(air
fuge(Beckman)最大速度で30分)。その上清のアリコートをアッ
セイ又はイムノブロッティングのために除いた。そのペレットを迅速にアッセイ
緩衝液で洗い、再び遠心してSDS−サンプル緩衝液に溶かした。PKBのリン
酸化を本明細書に記載されるように定量した。
【0061】 極めて低いモル濃度のPtdIns(3,4,5)P3 立体異性体(D−D−
S/A−PtdIns(3,4,5)P3 について0.003%)及びD−D−
P/P−PtdIns(3,4)P2 を含む脂質小胞とPKBキナーゼに会合し
たが、PtdIns(4,5)P2 又はL−L−P/P−PtdIns(3,4
)P2 ではそうでなかった。これは、PKBキナーゼが、〔32P〕−PtdIn
s(3,4,5)P3 と結合することができること、及びThr308周辺のP
KBの配列に基づく水溶性の30−merペプチドのリン酸化がPtdIns(
3,4,5)P3 又はPtdIns(3,4)P2 により劇的に阻害されること
(不図示)という観察結果と一致する。
【0062】 同じアッセイ条件下で、PKBは、脂質小胞と会合することを示すことができ
た(図2C)。しかしながら、転移を検出するために実質的により高濃度の3−
リン酸化脂質が要求され、それは、3−リン酸化脂質への結合について、PKB
キナーゼのそれと異なる特異性を示したが、PKBのリン酸化のものと極めて類
似するものであることを示した(図2B及びCの比較)。これは、いくつかのこ
と;1)2つのキナーゼの脂質結合特性が全く異なること、2)リン酸化の特異
性がPKBの補充によってかなり指図されること(即ちPKBのPHドメインの
アフィニティー及び特異性)、3)PKBの比較的小さな割合だけが、おそらく
、PKBキナーゼの大部分を会合させる活性な脂質の濃度で小胞と会合すること
、及び従って4)PKBのリン酸化へのPKBキナーゼの転移の相対的に最も大
きな効果は、低めて低濃度のPtdIns(3,4,5)P3 で存在し、より高
レベルでは、PKBの転位は主要な要因になることを意味する。
【0063】 PKBキナーゼAの調製物をニトロセルロース上にウェスタン・ブロットし、
その場でトリプシン処理した。その遊離させたペプチドをN末端配列決定及び質
量分析による分析にかけた。L.R. Stephens ら、Cell 89, 105-114 (1997) を参
照のこと。4つのペプチドを規定し、データベースを調査するために用い;ヒト
EST配列のファミリーが同定された(TIGR:THC193570)。(読
み枠を固定するための)ペプチド配列の組み合わせての使用並びにESTクロー
ン及びヒトU937細胞cDNAライブラリーから単離したcDNAの更なる配
列決定からの情報は、cDNAを、(種の差を許容する)全部で4つのペプチド
を含み、55kdと予想される分子量のタンパク質をコードする最小オープン読み
枠であると規定した(図3)。この予想されるタンパク質はNH2 末端プロテイ
ンキナーゼドメイン及びCOOH末端PHドメインを含む(図3)。
【0064】 PKB遺伝子に関するヒト及びマウスEST配列がTIGRデータベースで見
い出すことができた(THC:193570)。PKBキナーゼをコードする更
なるcDNAを、ヒトU937細胞オリゴdT−プライムドライブラリー(λZ
APII:Stratagene内)及びラット脳オリゴdT/ランダムプライム
ドライブラリー(Uni ZAPXR;Stratagene内)を、IMAG
Eクローン526583由来の〔32P〕標識化0.3kb EcoRI−Hind
III フラグメントでスクリーニングすることにより同定した。陽性プラークを同
定し、精製し、そしてそのcDNAをpBluescript登録商標ベースの
プラスミドとして切り出した。DNA配列決定は、Babraham Institute Microch
emical Facility によりABI自動シーケンサーで行った。
【0065】 実施例2 PKBキナーゼcDNAの同定 データベース内のゲノム配列情報を用いて、我々は、正確な染色体局在化(ヒ
ト染色体16p 13.3;(T.C. Bunn ら、Genome Research 6, 525-537 (19
96) を参照のこと))及び全てではないがいくつかのPKBキナーゼのイントロ
ン/エキソン境界を規定することができた。この情報から、及びいくつかのcD
NAの配列決定から、この座が交互にスプライシングする転写物の複雑なパター
ンを生ずることが明らかである。我々のU937細胞ライブラリーから同定され
た1つの転写物は、それがプロテインキナーゼドメインの基質認識モチーフ1残
基:188〜213;我々のペプチド配列データは、我々の精製した酵素がこの
モチーフを含んでいることを明確に示す、図3)をコードするエキソンを失って
いることを除いて図3に示すORFに正確に等しい。我々は、このcDNAを、
PKBキナーゼのキナーゼ−コンプロミスト型を作るのに利用した(以下を参照
のこと)。
【0066】 我々は、等価の遺伝子座から明らかに生ずるが、図3に示す潜在的なORFに
広がり約65kdのタンパク質をコードするラット脳cDNAライブラリーから更
なるcDNAクローンを同定した。交互のスプライシング及び開始コドン利用は
、この遺伝子座からPKBキナーゼの1超の異型を作り出す原因であろうと思わ
れる(注意:図3に示すほとんどのN末端PKBキナーゼAペプチドは、示され
る予想されるORFから分岐しており、これは、おそらく、この酵素のトランケ
ート型がスプライシングによって作ることができることを示す)。更なるデータ
ベースサーチは、ドロソフィア(Drosophila) における未知の機能の近い相同体
も同定した(Embl;YD7908)。K. Salimら(EMBO J. 15, 6241-6250
(1996)を参照のこと)。
【0067】 実施例3 PKBキナーゼの発現 我々は、55kd PKBキナーゼ及びその‘キナーゼ−コンプロミスト’スプ
ライス変異体のN末端にEE標識した型をコードする哺乳動物発現ベクターを作
製した。図3に示すORFを、標準的PCRベースのクローニングストラテジー
を用いることにより、pCMV3転移発現ベクター(L.R. Stephens ら、Cell 8
9, 105-114 (1997) を参照のこと)内のN末端EE−タグと共に枠内に置いた。
残基188〜213についてのヌクレオチドコーディングを欠損するcDNAを
用いた型も作製した(これは、IMAGEクローン510982及び52658
3を用いて作った;‘キナーゼ−コンプロミストスプライス変異体’として本明
細書に言及される)。全ての作製物は、配列決定により確認した。これらのタン
パク質をcos−7細胞内で発現させ、それから精製した(L.R. Stephens ら、
Cell 89, 105-114 (1997) 、図4を参照のこと)。完全なプロテインキナーゼド
メインを有するタンパク質は、PtdIns(3,4,5)P3 −センシティブ
様式にPKBをリン酸化し、このことは、この活性が図3に示すORF内にある
ことを示す。
【0068】 要約すると、タンパク質は、それらの(EE)−タグを介して精製しLmyc
抗体を対照として用いた)、アリコートをウェスタン・ブロットした。次に、α
(EE)モノクローナル抗体でプローブしたPVDFフィルター(ECLにより
検出;右上パネル)をクーマシーブルーで染色した(左上パネル;示すデータは
(EE)−IIのみについてのものであり;(EE)−Iでも同様の結果が得られ
た)。アリコートを、D−D−S/A−PtdIns(3,4,5)P3 、及び
〔γ32P〕−ATP(300mM;各々3μM及び1μM最終濃度)あり又はなし
で脂質小胞の存在下でPKBキナーゼ活性についてアッセイした。オートラジオ
グラムの写真はPKB中の〔32P〕を示す。
【0069】 実施例4 PKBキナーゼインヒビターの同定及び使用 PKBはPIP3経路において重要な酵素であり、細胞成長の制御に関する。
それは特定のヒト癌に関連しており;即ち、卵巣癌、乳癌、及び膵臓癌の割合に
おいて増幅されていることが知られている。Bellacosa, Aら(1995) Int. J. Ca
ncer 64 、ページ 280-288、及びCheng, J.Q. ら(1996) Proc. Natl. Acad. Sc
i. U.S.A. vol. 93, 3636-3641を参照のこと。酵素の増幅は、腫瘍細胞に、アポ
トーシスを回避するメカニズムを供する。これにより、PKB活性を阻害する薬
剤が癌を含む、不要な細胞増殖に関する病気の治療のために有益であろうことが
認められよう。この目的を達成するための1つの方法は、PKBキナーゼへの化
合物の効果を測定するアッセイを開発することである。
【0070】 PKBキナーゼインヒビターの同定は、PKBキナーゼ活性のPIP3活性化
を阻害する化合物についてアッセイすることにより行うことができる。これは、
化合物の存在及び欠如下でPKBリン酸化を測定することによって行われよう。
そのアッセイは、上述の通り、又はStokoe, D ら(1997) Science, vol. 277 、
ページ 567-570の通り行うことができる。例えば、実施例3に記載のアッセイを
用いて、55kd PKBキナーゼの末端にEE−タグを付した型は、PIP3、
ATP再生システム、好ましくは5mM MgCl2 ,2mM ATP,10mMクレ
アチンリン酸、クレアチンキナーゼ(50μg/ml)、1%NP−40からなる
もの、及びPKB、又は他の適切な基質と共にインキュベートされよう。適切な
時間の後、PKBは免疫沈降させて、リン酸化の量を決定することができる。
【0071】 本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲を限定されるも
のではなく、その例は、本発明の個々の態様のうちの一例として示したものであ
り、機能的に等価な方法及び構成物も本発明の範囲内にある。実際、本明細書に
記載され、示されるものに加えて、本発明の種々の改良が、先の記載及び添付の
図面から当業者に明らかになるであろう。このような改良は、添付の請求の範囲
内に含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒツジ脳からのPKBキナーゼの精製 A.流れ図は、ヒツジ脳サイトソルからのPKBキナーゼA−Dの精製を要約
し、各々のステップを介して保たれるタンパク質の量を記録する。最初のサイト
ソル画分からの活性の全体の回収率は15.5%であった。 B.図は、全てPKBキナーゼA−Dの精製におけるHPLCサイズ排除カラ
ム(SEC)である最終的なカラムからのタンパク質の溶出を分析する。Abs
280nm,PKBキナーゼ活性プロフィール及びクーマシー染色したSDS−P
AGEゲルを示す。HPLC−SECは、Biosilectカラム(VT 1
1.6mls ,BioRad)で行った。35〜45μlサンプルを充填し、その
流速は40μl/分であり、80μl画分を収集した。SEC緩衝液は、0.1
5M NaCl,20mM HEPES pH7.4,40℃,0.5mM EGTA
,0.1mM EDTA,1%ベタイン、0.03% Tween 20,0.0
1%アジド、2mM β−グリセロホスフェート、1mM DTT及びペプスタチン
A、ロイペプチン、アプロチニン及びアンチパン(全て2μg/ml)を含んだ。 PKBキナーゼA〜Dのネイティブサイズは、各々58,58,68及び54
kDであると評価され、それらのSDS変性サイズは各々57,57,70及び5
5kDであると評価された(SDS−PAGEの間に移動した220,97.69
,46及び31kD標準の位置を示す)。 C.PKBキナーゼ活性の〔32P〕−PtdIns(3,4,5)P3 結合タ
ンパク質との同時精製。PKBキナーゼの部分精製した調製物をSECにかけ、
画分を、PtdIns(3,4,5)P3 依存性PKBキナーゼ活性(底のパネ
ル)、〔32P〕−PtdIns(3,4,5)P3 結合タンパク質(中のパネル
、〔32P〕−PtdIns(3,4,5)P3 での再生ウェスタンブロットをプ
ロービングすることによる、(18))及び(C)SDS変性タンパク質(上の
パネル、SDS−PAGEゲルを銀染色することによる)について分析した。 〔32P〕−PtdIns(3,4,5)P3 結合を、タンパク質をニトロセル
ロース上にウェスタンブロットする(サンプルはSDSサンプル緩衝液と共に5
0℃に加熱しただけである)ことによりアッセイした。そのフィルターを1%N
P40,1mM EDTA,0.01%アジドを含むPBS中で12時間、4℃で
インキュベートした。そのフィルターを30分(室温)、0.1%コレート、5
0μg・m-1ホスファチジルセリン及びホスファチジルコリン、1mM MgCl 2 及び1mM DTTを更に含む上述の溶液中でブロックした。(組換えp101
/p120−P13K,PtdIns(4,5)P2 及び〔γ32P〕−ATP(
L.R. Stephans ら、Cell 89, 105-114 (1997) を参照)から調製した)〔32P〕
−PtdIns(3,4,5)P3 をブロック溶液(10ml中10μCi)内に音
波処理し、20分(室温)、ブロックフィルターに適用し、次に新しいブロック
溶液(5×5分超)、最後に1%NP40を含むPBSで洗い落とした。そのフ
ィルターを空気乾燥させてオートラジオグラフィーを撮った。
【図2】 PKBキナーゼA〜Dのキャラクタリゼーション A.精製したPKBキナーゼはPtdIns(3,4,5)P3 依存性であり 、PKBを活性化する アッセイを2段階で行った。第1段階は、D−D−S/A−PtdIns(3
,4,5)P3 (最終濃度5μM)あり又はなしで、PKBキナーゼA(6nM)
、野生型(EE)−PKB(2.5μM)又はT308A/S473A−(EE
)−PKB)及び〔γ32P〕−ATP(50μM)の存在又は欠如下で混合脂質
小胞で行った。そのアッセイを停止し、PKBタンパク質をα(EE)−ビーズ
で免疫沈降させ、洗浄し、次に〔γ32P〕−ATP(10μM)及びシエリン塩
基性タンパク質(MBP;7μM)と共にインキュベートして固定されたPKB
の活性を測定した。結果は一回の実験からのものであり、平均±SE(n=3〜
5)として示す;4つの更なる実験も同様の結果を供した。PKBキナーゼB,
C及びDは極めて類似した結果を供した。 B.PKBリン酸化の活性化のリン脂質特異性 アッセイは、示される濃度のイノシトールリン脂質、(EE)−PKB(2.
5μM)、PKBキナーゼA(5mM)及び〔γ32P〕−ATP(1μM、全量1
2μl)を含む一定濃度の混合脂質小胞を含んだ。示されるデータは、12の別
個の実験からプールし、平均したものである(n=3〜6、それらの平均SEは
6%であった)。活性化の同一パターンがPKBキナーゼB,C及びDについて
観察された。 PKB及びPKBキナーゼの脂質小胞との会合及び異なる脂質の、PKBのリ
ン酸化への効果をアッセイするために、脂質小胞を、乾燥脂質フィルムを0.2
Mスクロース;20mM KCl;20mM HEPES,pH7.4,30℃;0.
01%アジドを音波処理することにより調製し、200μMホスファチジルコリ
ン、150μMホスファチジルセリン、20μMホスファチジルエタノールアミ
ン、10μMスフィンゴミエリン+示される濃度のイノシトールリン脂質をアッ
セイの最後に供した。これらを、1mg・ml-1 BSA;0.12M NaCl;
1mM EGTA;0.2mMカルシウム;1.5mM MgCl2 ;1mM DTT;
0.01%アジド;5mM KCl;20mM HEPES,pH7.4,30℃(約
50nM遊離カルシウム、全てアッセイの最終濃度)を含むアッセイ緩衝液中で、
〔γ32P〕−ATP(1μM最終濃度)及び(EE)−PKB(2.5μM最終
濃度)あり又はなしで関連するキナーゼと混合した。そのアッセイを、脂質小胞
とのキナーゼの会合を評価するなら、30℃で4分後、そのアッセイを遠心(A
irfuge(Beckman)、最大速度で30分)した。その上清のアリコ
ートをアッセイ又はイムノブロッティングのために除去した。そのペレットを迅
速にアッセイ緩衝液で洗い、再び遠心してSDSサンプル緩衝液に溶かした。P
KBのリン酸化を上述の通り定量した。 C.PKBの脂質小胞との会合 (EE)−PKB(40nM) を、先のB部のものと同様の条件下でスクロース
を充填した脂質小胞(又はそれらの小胞)と共にインキュベートした。4分後に
、その小胞を遠心によりペレット状にし、上清及びペレット中のPKBの量を、
α−(EE)モノクローナル抗体でイムノブロッティングすることにより定量し
た。インセットイムノブロットは、D−D−S/A−PtdIns(3,4,5
)P3 での実験の結果を示す(16μMのアッセイ中最大濃度、A. Toker, L.C.
Cantley, Nature 386, 673-67642 (1997)を参照のこと)。示されるデータは、
全部で7つの独立した実験からプールし、平均を示す(n=2〜3、これらの平
均についての平均範囲は11.0%であった)。 D.PKBキナーゼの脂質小胞との会合 PKBキナーゼA(5nM)を、図2Bに示すように、種々の濃度のイノシトー
ルリン脂質を含むスクロース充填小胞(又はそれらの小胞のみ)と混合した。3
0℃で4分後に、その小胞を遠心によりペレット状にし、その上清のアリコート
を、5μM D−D−S/A−PtdIns(3,4,5)P3 の存在下でPK
Bキナーゼ活性についてアッセイした。全活性の平均8.2%を、イノシトール
リン脂質を加えない脂質小胞の存在下で沈降させ、イノシトール脂質を加えてい
ない脂質小胞を遠心の後に上清中に残った活性を、他の処理に対する100%値
と定義した。示されるデータは、平均(n=4〜6,16の別個の実験からのプ
ール、平均SEは8%であった)。
【図3】 PKBキナーゼの一次構造 我々のヒトU937細胞ライブラリーから単離したcDNAにより規定される
最小の潜在的なORFを示す。ヒツジ脳PKBキナーゼA由来の4つのペプチド
配列を配列上にボールドで示す。他のプロテインキナーゼ触媒ドメインと相同な
領域は連続線内にボックスで示す。他のPH−ドメインと相同な領域は点線でボ
ックスで示す。
【図4】 cos−7細胞におけるPKBキナーゼの発現 図3に示すPKBキナーゼオープン読み枠のNH2 末端タグ化型を含む哺乳動
物発現ベクター((EE)−IIは完全なORFをいい、(EE)−Iは‘キナー
ゼコンプロミスト’スプライス変異体という)をcos−7細胞内で一時的に発
現させた。タンパク質を、それらの(EE)−タグを介して精製し(myc抗体
を対照として用いた)、アリコートをウェスタン・ブロットした。次にα(EE
)モノクローナル抗体でプロービングしたPVDFフィルター(ECLにより検
出;右上パネル)を、クーマシーブルーで染色した(左上パネル;示すデータは
(EE)−IIのみであり、(EE)−Iでも同じ結果が得られた)。アリコート
を、D−D−S/A−PtdIns(3,4,5)P3 及び〔γ32P〕−ATP
(360nM;各々3μM及び1μM最終濃度)あり又はなしで脂質小胞の存在下
でPKBキナーゼ活性についてアッセイした。オートラジオグラムの写真はPK
B中の〔32P〕を示す。
【図5】 PKBキナーゼのcDNA(配列番号:1)及びコードされたアミノ酸配列を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 4H045 1/19 1/21 1/21 9/12 5/10 C12Q 1/48 9/12 G01N 33/53 D C12Q 1/48 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/53 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ストコー,デビット アメリカ合衆国,カリフォルニア 94706, バークレー,ギルマン ストリート 1221 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA10 CA04 DA02 EA02 EA04 GA11 GA18 HA01 HA12 4B050 CC03 CC10 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QA08 QA19 QQ02 QQ26 QR07 QR42 QR84 QS28 QX07 4B065 AA90X AA90Y AB01 AC14 CA29 CA44 CA46 4C084 AA16 BA35 ZB262 4H045 AA11 AA30 CA40 DA76 DA89 EA28 EA51 FA74 【要約の続き】

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PKBキナーゼ活性をコードするヌクレオチド配列を含む単
    離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列に融
    合された請求項1に記載のヌクレオチド配列を含むキメラタンパク質をコードす
    る単離されたヌクレオチド配列。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のヌクレオチド配列を含むヌクレオチドベク
    ター。
  4. 【請求項4】 宿主細胞内でのヌクレオチド配列の発現を制御するヌクレオ
    チド調節配列と作用的に結合した請求項1に記載のヌクレオチド配列を含む発現
    ベクター。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のヌクレオチド配列を含むように遺伝子的に
    工作されている宿主細胞。
  6. 【請求項6】 宿主細胞内でのヌクレオチド配列の発現を制御するヌクレオ
    チド調節配列と作用的に結合した請求項1に記載のヌクレオチド配列を含むよう
    遺伝子的に工作されている宿主細胞。
  7. 【請求項7】 PKBキナーゼに免疫特異的に結合する抗体。
  8. 【請求項8】 哺乳動物のゲノム内に含まれるPKBキナーゼ変異を検出す
    ることを含む哺乳動物において病気を診断するための方法。
  9. 【請求項9】 細胞成長異常の治療のために役立つ化合物をスクリーニング
    するための方法であって、 溶液中で、化合物、活性化PKBキナーゼ、PKBキナーゼのための基質、A
    TP再生システム、PKB活性化剤を組み合わせるステップと、 前記化合物の存在又は欠如下で、ATPからPTBキナーゼ基質へのホスフェ
    ートの転移についてアッセイするステップと、 を含む方法。
  10. 【請求項10】 前記PKB活性化剤がPIP3であることを特徴とする請
    求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 哺乳動物において細胞成長異常を治療するための方法であ
    って、請求項10で同定された化合物を、哺乳動物に、PKB活性を阻害するの
    に十分な量で投与することを含む方法。
  12. 【請求項12】 溶液中で、前記PKBキナーゼを、PIP3と一緒にイン
    キュベートすることを含むPKBキナーゼを活性化するための方法。
  13. 【請求項13】 請求項10に記載の方法により同定される化合物。
  14. 【請求項14】 単離されたPKBキナーゼ。
  15. 【請求項15】 配列番号:1を含む単離されたPKBキナーゼ。
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