JP2001517928A - 細菌の低温貯蔵中の生存能および形質転換効率増強法 - Google Patents

細菌の低温貯蔵中の生存能および形質転換効率増強法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、低温での生存能が増強された改良E.コリ細菌、低温での生存能を増強することができる改良細菌株の製造方法、および低温での細菌の生存能を増強できる遺伝物質の単離および使用に関する。低温での生存能が増強される以外に、この細菌は、低温貯蔵後の形質転換効率が増強されたている。本発明は、このままで外来DNA配列を本発明の細菌中に挿入するのに使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】 細菌の低温貯蔵中の生存能および形質転換効率増強法発明の分野 : 本発明は、細菌の低温(例えば、約4℃から約−20℃)での安定貯蔵に関する 。特に、本発明は、低温貯蔵中の生存能が増強された、または形質転換効率が増 強された改良細菌、そのような細菌の生産法、およびかかる増強に関与する遺伝 物質に関する。本発明は更に、形質転換に対してコンピテント状態にした細胞、 そのようなコンピテント細胞の作成法およびそのようなコンピテント細胞を形質 転換する方法に関する。関連出願の相互参照 : 本出願は、出典明示により本明細書の一部とした1996年3月29日出願の 米国特許出願第60/014,330号および出典明示により本明細書の一部とし た1996年9月5日出願の米国特許出願第60/025,838号の部分継続出 願である。発明の背景 : 細菌の長期間貯蔵は、典型的に非常に低温(−80℃以下)でなされる。このよ うな非常に低い温度は細菌の貯蔵のみに使用されてきたのではなく、形質転換に 対してコンピテントにした細菌を貯蔵するのにも使用されてきた(米国特許第4, 981,797号)。しかしながら、より高い温度(例えば、約−20℃から約4 ℃)での細菌およびコンピテント細菌細胞の貯蔵には各種問題が付随する。これ らのより高い温度では、細菌およびコンピテント細菌細胞は、生存能および形質 転換効率を迅速に失う。数ヶ月間で、このような細胞の生存可能細胞数および形 質転換効率は、数桁低下する。形質転換に対してコンピテントな細菌は、4℃で 数日間(Dagent et al.,Gene 6:23-28(1979))または16日間しか(Pope et al. ,Nucl.Acids Res.24(3):536-537(1996))貯蔵できない。従って、生存能およ びコンピテンシーを維持するため、細菌およびコンピテント細菌細胞は、典型的 には−80℃で貯蔵されてきた。 多くの研究室が非常に低い温度での貯蔵を利用できないことから、細菌、特に コンピテント細胞の−80℃より高い温度での安定貯蔵は、非常に望まれている 。更に、−80℃での細菌貯蔵はより高い温度の場合よりも費用がかかり、また 細菌細胞を−20℃以下で輸送するのは困難かつ高価である。発明の概要 : 本発明は、形質転換効率または生存能を明らかに損失することなく、細菌細胞 およびコンピテント細胞を長期間−80℃以上の温度(例えば、約−20℃から 約4℃)で貯蔵可能にする方法を提供する。即ち、本発明の方法は、生存能およ び/または形質転換効率を維持するための特別な貯蔵条件(例えば、極度に低温) を必要としない、細菌細胞およびコンピテント細胞を提供する。 本発明の方法は、細菌の脂肪酸含量を変えることを含む。好ましくは、本発明 では、細菌の不飽和脂肪酸含量を変える。好ましくは、1種またはそれ以上の脂 肪酸を細菌中で増やし、最も好ましくは細菌膜中にある脂肪酸含量を増やす。脂 肪酸含量を変える好ましい方法は、細菌の遺伝子変更(例えば、1種またはそれ 以上の脂肪酸の生産(合成または異化)に関与する1種またはそれ以上の遺伝子の 発現を増強することによる)を含む。本発明に従い使用される細菌には、グラム 陽性およびグラム陰性菌があるが、エシェリヒア(Escherichia)などのグラム陰 性菌が好ましい。特に好ましい細菌には、エシェリヒア・コリ(Escherichia col i)がある。 本発明はまた、低温(−80℃以上、好ましくは約−20℃から約4℃)貯蔵期 間後の生存能および/または形質転換効率が増強された細菌に関する。このよう な貯蔵安定性細胞は、脂肪酸含量が変化している。好ましくは、貯蔵安定性細菌 細胞またはコンピテント細胞は、1種またはそれ以上の脂肪酸、好ましくは不飽 和脂肪酸のレベルまたは量が増加している。このような脂肪酸含量の量増加は、 遺伝子変更によって、好ましくは、細菌の脂肪酸含量の変化に関与する1種また はそれ以上の遺伝子の発現を増強することによって引き起こすことができる。 本発明はまた、本発明の細菌をコンピテントにする方法、そのような本発明の コンピテント細菌株を形質転換する方法および外来DNAで形質転換させた本発 明の細菌細胞に関する。本発明によれば、外来DNA配列(例えば、プラスミド 、コスミド、DNAライブラリー、cDNAライブラリー、発現ベクター、真核 生 物(特に、哺乳動物、もっと具体的には、ヒト))DNA、ファージDNA等)は、 化学媒介形質転換、エレクトロポレーションおよびリポソーム媒介形質転換など 、これらに限定されないが、様々な技術により、本発明の新規細菌内に形質転換 させることができる。 本発明は更に、低温(例えば、−80℃以上、好ましくは約−20℃から約4 ℃)で細菌の生存能または形質転換効率を増強できる配列を含むDNA分子を提 供する。このようなDNA分子は、好ましくは、細菌中の1種またはそれ以上の 脂肪酸の生産に関与する1種またはそれ以上の遺伝子を含む。最も好ましくは、 本発明の核酸分子は、細菌中の脂肪酸の生産を増強させる。図面の簡単な説明 : 図1は、細胞/mlで表した、20℃で細胞貯蔵後のE.コリDH10B、SB 3499A、SB3499BおよびSB3499Cの生存能を示す。 図2は、DNAμg当りの形質転換体で表した、−20℃で細胞貯蔵後のE. コリDH10B、SB3499A、SB3499BおよびSB3499Cの形質 転換効率を示す。 図3は、コスミドベクターpCP13またはコスミド1(NRRL B−215 50)、2(NRRL B−21551)または4(NRRL B−21552)のい ずれかを含有するDH10B細菌をある期間4℃で貯蔵した後の生存可能細胞数 を示す。 図4Aは、−20℃で貯蔵した4ヶ月にわたるベクターpCP13およびコス ミド1、2および4を含有するDH10B細胞の生存可能細胞数を示す。 図4Bは、クローン1、2および4からキュアリングしたDH10B細胞の生 存可能細胞数を示す。 図5は、DH10B細胞、ベクターpCP13またはコスミド1を含有するD H10B細胞、コスミド1からキュアリングしたDH10B、コスミド1からキ ュアリングし、ベクターpCP13で再形質転換させたDH10Bまたはコスミ ド1およびコスミド1を含有するDH10Bを、ある期間4℃で貯蔵した後の生 存可能細胞数を示す。 図6Aおよび6Bは、ある期間−20℃で貯蔵後、4℃で貯蔵した下記の細菌 株:DH5α、ベクターpCP13を含有するDH5α、コスミド1を含有する DH5α、STBL2、ベクターpCP13を含有するSTBL2およびコスミ ド1を含有するSTBL2の生存能を示す。 図7は、共に−20℃で5分間貯蔵した、コスミドクローン1を含有するDH 10B株およびベクターpCP13を含有するDH10B株の形質転換効率を示 す。 図8は、4℃で貯蔵後の、コスミドクローン1、pDELTA2、pDELT A2 8Kb+、pDELTA2 8Kb−、pDELTA2 14Kb+または pDELTA2 14Kb−プラスミドのいずれかを含有するDH10B細胞の 生存能を示す。 図9は、−20℃で貯蔵後の、コスミドクローン1、pDELTA2、pDE LTA2 8Kb+、pDELTA2 8Kb−、pDELTA2 14Kb+ま たはpDELTA2 14Kb−プラスミドのいずれかを含有するDH10B細 胞の生存能を示す。 図10は、様々な間隔をおいて4℃で貯蔵後の、pDELTA2、pDELT A2 14Kb+、pDELTA2 14Kb−プラスミドまたは、ショ糖/アン ピシリン選択下、欠失ファクトリー・システム(Deletion Factory System)によ り作製したpDELTA2 14Kb+プラスミドの11種の欠失誘導体の1つ のいずれかを含有するDH10B細胞の生存能を示す。 図11は、様々な間隔をおいて4℃で貯蔵後の、pDELTA2、pDELT A2 14Kb+プラスミドまたは、ストレプトマイシン/カナマイシン選択下、 欠失ファクトリー・システムにより作製したpDELTA2 14Kb+の16 種の欠失誘導体の1つのいずれかを含有するDH10B細胞の生存能を示す。 図12は、図10と11に概略説明した安定性研究を組み合わせ、欠失ファク トリー・システムを用いて挿入物の一部を欠失させた後に残る挿入DNAの長さ を表す。 図13は、コスミドクローン1の必須領域(2658bp)のDNA配列(配列 番号14)を示す。 図14は、コスミドクローン1の必須領域内に含まれるオープン・リーディン グ・フレームおよびMluI制限部位の位置を示す。 図15は、4℃で9日間貯蔵後の、pDELTA2、pDELTA2 32、 pDELTA2 fabB10、pDELTA2 fabB13、pDELTA2 fabB14 、またはpDFLTA2 fabB15プラスミドのいずれかを含有するDH10B 細胞の生存能を示す。 図16は、−20℃で(およそ120日間)貯蔵後の、pDELTA2、pDE LTA2 32、pDELTA2 fabB10、pDELTA2 fabB13、pDE LTA2 fabB14、またはpDELTA2 fabB15のいずれかを含有するDH 10B細胞の生存能を示す。 図17は、4℃で30日まで貯蔵後の、pDELTA2、pDELTA2 fab B14、pDELTA2 14欠失、pDELTA2 fabB15またはpDELT A2 15欠失プラスミドのいずれかを含有するDH10B細胞の生存能を示す 。 図18は、−20℃で60日まで貯蔵後の、pDELTA2、pDELTA2 fabB14、pDELTA2 14欠失、pDELTA2 fabB15またはpDEL TA2 15欠失プラスミドのいずれかを含有するDH10B細胞の生存能を示 す。 図19は、菌株DH5αおよびDH10Bにおけるシスバクセン酸(cisvaccen ic acid)レベル%に対する様々なfabBクローンの存在効果を示す。 図20は、菌株DH5αおよびDH10Bにおける不飽和脂肪酸レベル%に対 する様々なfabBクローンの存在効果を示す。 図21は、−20℃で2ヶ月まで貯蔵後の、pCP13、コスミドクローン1 、pDELTA2、またはpDELTA2 fabB15プラスミドのいずれかを含 有するDH5α細胞の生存能を示す。 図22は、−20℃で2ヶ月まで貯蔵後の、pCP13、コスミドクローン1 、pDELTA2、またはpDELTA2 fabB15プラスミドのいずれかを含 有するDH10B細胞の生存能を示す。 図23は、−20℃で2ヶ月のDH5αとDH10Bの生存と細胞膜中に見ら れる不飽和脂肪酸の量との間に存在する相関関係を示す。 図24は、20℃、30℃、37℃または42℃で16時間増殖させたDH1 0B、SB3499BおよびCY322細胞の増殖温度と、細胞中のシスバクセ ネート量との間に存在する相関関係を示す。 図25は、23℃、30℃、37℃または42℃で増殖させたDH10B、S B3499BおよびCY322細胞の細胞膜における不飽和脂肪酸のレベルにお ける増殖温度変化の影響を示す。 図26は、−20℃で2ヶ月貯蔵後の、23℃、30℃、37℃または42℃ で増殖させたDH10B細胞の生存能を示す。 図27は、−20℃で2ヶ月貯蔵後の、23℃、30℃、37℃または42℃ で増殖させたSB3499B細胞の生存能を示す。 図28は、菌株DH10BおよびSB3499Bについて、−20℃での細胞 膜の不飽和脂肪酸総量と細胞生存との相関関係を示す。発明の詳細な説明 : 定義 下記の説明では、組換えDNA技術で使用される多数の用語を広範囲に使用し ている。かかる用語に与えた範囲を含めて明細書および請求の範囲の明瞭かつ一 貫した理解を提供するために、下記の定義を与える。 DNA分子。ウイルス、原核生物および真核生物を含むあらゆる供給源に由来 するあらゆるサイズのあらゆるDNA分子。このDNA分子は、これらに限定さ れないが、直鎖状または環状かつ一本鎖または二本鎖を含むあらゆる形態である ことができる。DNA分子の非限定的例には、プラスミド、ベクターおよび発現 ベクターがある。 クローニングベクター。宿主細胞において自律的に複製する能力があり、かつ 1またはそれ以下の数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を持ち、その部位でか かるDNA配列を、ベクターの実質的な生物学的機能を損失することなく、測定 可能に切断でき、かつその部位にDNAフラグメントをスプライシングして、そ の複製およびクローニングを実行できることを特徴とする、プラスミド、ファー ジDNA、コスミド、またはその他のDNA分子。このクローニングベクターは 、更に、クローニングベクターで形質転換させた細胞の同定に使用するのに適 したマーカーを含有できる。マーカーは、例えば、テトラサイクリン耐性または アンピシリン耐性を与えるものである。 発現ベクター。クローニングベクターに類似するが、宿主内に形質転換後、そ の中へクローニングされている遺伝子を発現できるベクター。クローン化遺伝子 は、通常、プロモーター配列などのある制御配列の制御下(即ち、作動可能に連 結した状態)にある。 貯蔵安定性。本発明の意味する中では“貯蔵安定性”である細菌細胞および/ またはコンピテント細菌細胞は、目に見えて形質転換効率および/または生存能 を損失することなく、適切な温度での長期間貯蔵に耐えられる。“目に見えて形 質転換効率および/または生存能を損失することなく”という用語は、細胞が、 −20℃で30日、好ましくは60日、より好ましくは90日、最も好ましくは 120日の貯蔵期間中、その元々の形質転換効率および/または生存能の約40 %から100%、好ましくは60%から100%、より好ましくは70%から1 00%、最も好ましくは約80%から100%を維持することを意味する。本発 明の細菌細胞またはコンピテント細菌細胞の適切な貯蔵温度は、約室温から約− 180℃の間で変わる。好ましくは、貯蔵温度は、約4℃から約−80℃、より 好ましくは約−20℃から約4℃の範囲である。本発明の好ましい態様では、細 胞を約−20℃で貯蔵する。貯蔵期間または時間は、約0日から約180日(例 えば、6ヶ月)、好ましくは約0日から約120日(例えば、4ヶ月)、より好ま しくは約0日から約90日(例えば、3ヶ月)の範囲であるが、約−20℃および それ以下の温度ではもっと長い貯蔵時間を使用できる。 脂肪酸。飽和または不飽和であるあらゆる脂肪酸。不飽和脂肪酸は、モノエノ ン酸(monoenic acids)、ジエノン酸(dienoic acids)および高級不飽和脂肪酸(例 えば、トリ、テトラ、ペンタおよびヘキサエノン酸等)を含む。不飽和脂肪酸の 例には、これらに限定されないが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シス バクヤン酸、アラキドン酸、パルミトール酸等がある。飽和脂肪酸の例には、酪 酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびステアリン酸がある。本発明で好ましい脂 肪酸は、不飽和脂肪酸、最も好ましくはシスバクセン酸およびパルミトール酸で ある。 コンピテント細胞。外来DNA分子を取り込み、定着させる能力のある細胞。 本発明は、脂肪酸含量(好ましくは不飽和脂肪酸含量)を変えることにより、細 菌の生存能または形質転換効率を増強する方法に関する。本発明はまた、かかる 脂肪酸含量が変えられた細菌を得る方法に関する。この方法は、細菌を修飾また は変異させて、非修飾または非変異細菌と比べて該細菌の脂肪酸含量を変えるこ とを含む。次いで、生存能が増強された、または形質転換効率が増強された修飾 または変異細菌を単離できる。このような修飾細菌の選択は、非修飾細菌と比べ てこのような特性の増強をアッセイすることにより選択できる(実施例参照)。好 ましくは、脂肪酸の量は、細菌内で増加させる。この増加は、様々な技術によっ て達成でき、例えば、1種またはそれ以上の脂肪酸を細菌に加えるか、または細 菌を遺伝子修飾することによる。天然選択、人工的変異および遺伝子工学を含む あらゆる種類の遺伝子修飾が本発明によって使用できる。このような技術は、当 分野ではよく知られている。一般的な遺伝子工学技術には、コピー数を増大する ためにベクター内で1種またはそれ以上の脂肪酸遺伝子をクロ−ニングしたり、 または、例えば、過剰発現による(例えば、発現ベクターを用いる)かかる遺伝子 の翻訳または転写の増強がある。 本発明の方法は、低温(例えば、−80℃以上、好ましくは約−20℃から約 4℃)貯蔵中の生存能および/または形質転換効率が増強された細胞の生産を提 供する。このような貯蔵安定性株は、長期間、様々な温度で貯蔵できる。本発明 によれば、1種またはそれ以上の脂肪酸の含量を変えると、生存能または形質転 換効率が増強される。脂肪酸含量の変更は、これらの有益な特性を有する細菌を 提供するあらゆる細菌において達成できる。 本発明によれば、グラム陰性原核細胞とグラム陽性原核細胞(例えば、細菌)の 両方が使用できる。適切な原核細胞の例には、これらに限定されないが、エシェ リシア種、クレブシエラ種、サルモネラ種、バシラス種、ストレプトマイセス種 、ストレプトコッカス種、シゲラ種、スタフィロコッカス種およびシュードモナ ス種がある。本発明により使用できる上記した各属内の非限定的例には、エシェ リシア・コリ、クレブシエラ・ニューモニアエ、バシラス・スブチルス、サルモ ネラ・チフィムリウム、ストレプトマイセス・アウレウス、ストレプトコッカス ・ ミュータンス、ストレプトコッカス・ニューモニアエおよびシュードモナス・シ リンガエがある。 好ましい実施態様では、本発明で使用できる細胞は、エシェリシア、最も好ま しくはE.コリである。E.コリ株の非限定的例には、DH5、DH5α、DH 10、DH10B、HB101、RR1、JV30、DH11S、DM1、DH 10B/p3、DH5αMCR、DH5αF’IQ、DH5αF'、SCS1、 S tb1−2、DH12S、DH5α−E、DH10BAC、XL−1ブルーMR F、XL−2ブルーMRF、XL−1ブルーMR、SURE株、SURE2株、 XL−1ブルー、XL−2ブルー、AG1、JM10I、JM109、JM11 0/SCS110、NM522、TOPP株、ABLE株、XL1−レッド、B L21株、BJS183 TKB1株およびそれらの誘導体がある。 本明細書で使用する、特定の細菌の“誘導体”は、特定の細菌から直接または 間接的に得られた遺伝物質を含有する後代または他のレシピエント細菌である。 このような誘導体細菌は、例えば、遺伝物質を特定細胞から取り出し、続いて、 それを他の細菌(即ち、後代または他のレシピエント細菌)内へ(例えば、形質転 換、接合、エレクトロポレーション伝達等を介して)導入することにより、形成 できる。あるいは、このような誘導体細菌は、特定の細菌の遺伝物質の有効配列 を有する(クローニング、インビトロ増幅などを介して合成的に生産された)遺伝 物質を所有できる。 脂肪酸含量を変えた本発明の細菌は、よく知られた技術を用いて形質転換に対 してコンピテントにすることができる。このようなコンピテント細菌細胞は、本 発明では、低温(例えば、−80℃以上、好ましくは約−20℃から約4℃))貯 蔵中のまたは後の形質転換効率が増強されている。本発明の情況では、形質転換 は、外来DNAを細菌内へ挿入し、細菌の遺伝子型および/または表現型の変化 をもたらすプロセスである。このような遺伝子型または表現型の変化は、一過性 でもよく、そうでなくてもよい。外来DNAは、生物体内へ挿入される能力のあ る供給源由来のあらゆるDNAであり、天然のものでもそうでなくてもよい。好 ましくは外来DNAは、細菌内へ挿入される能力のある供給源由来のあらゆるD NAであり、天然のものでもそうでなくてもよい。このような外来DNAには、 これらに限定されないが、プラスミドDNA、コスミドDNA、真核生物(特に 、哺乳動物の、最も具体的には、ヒトの)DNA、DNAライブラリー、cDN Aライブラリー、発現ベクターおよびファージDNA(バクテリオファージラム ダDNA)がある。 コンピテント細菌の調製およびそれらの細菌へのDNAの導入には、多くの方 法が存在する。E.コリを使用する非常に簡単で適度に効率の良い形質転換法は 、対数増殖期の細菌を氷冷50mM塩化カルシウムに約1010細菌/mlで再懸濁し 、それらを約30分間氷冷維持するものである。次いで、このコンピテント細菌 の小アリコート(0.2ml)にプラスミドDNA(0.1mg)を加え、氷上でインキュベ ーションを更に30分間続け、次いで、42℃で2分間熱ショックを与える。そ の後、普通は、細菌を栄養培地に移し、しばらく(30分から1時間)インキュベ ーションして、プラスミドによって与えられる表現型特性、例えば、プラスミド 含有細胞用の選択マーカーとして通常使用される抗生物質耐性を発現させる。コ ンピテント細菌生産プロトコールは、Hanahan,J.Mol.Biol.166:557-580(198 3);Liu et al.,Bio Techniques 8:21-25(1990);Kushner,In:Genetic Engineer ing:Proceedings of the International Symposium on Genetic Engineering,E lsevier,Amsterdam,pp.17-23(1978);Norgard et al.,Gene 3:279-292(1978) ;Jessee et al.,U.S.Patent 4,981,797;Maniatis et al.,Cold Spring Harb or,New York(1982)に記載されている。 その他の迅速かつ簡単な細菌内への遺伝物質導入法は、エレクトロポレーショ ンである(Potter,Anal.Biochem.174:361-73(1988))。この技術は、高圧電気 パルスが細胞原形質膜の融合を誘導できるというZimmerman et al.,J.Membr. Biol.67:165-82(1983)による最初の観測に基づく。その結果、電気ショック(典 型的には、電圧勾配4000〜16000V/cmに短時間さらす)を与えると、細 菌は、明らかに原形質膜に一時的にできた穴を介して懸濁溶液から外来DNAを 取りこむことが分かった。これらの細菌の一部は、安定に形質転換され、形質転 換DNA上に適切なマーカー遺伝子を持つかどうかを選択できる(Newman et al. ,Mol.Gen.Genetics 197:195-204(1982))。E.コリの場合、エレクトロポレ ーションは、109〜1010T/μgDNAのプラスミド形質転換効率を与え ることが分かっている(Dower et al.,Nucleic Acids Res.16:6127-6145(1988) )。 細菌細胞はまた、リポソームによる形質転換にも感受性である(Old and Primr ose,In:Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Gene Manipula tion,Blackwell Science(1995))。カチオン性脂質から調製したリポソームを使 用する簡単な形質転換システムが開発されている(Old Primrose,In:Principles of Gone Manipulation:An Introduction to Gene Manipulation,Blackwell Sc ience(1995))。小さな単ラメラ(単一二層)小胞を生産する。溶液中のDNAは( 既に採用されていた非イオン性脂質を要するリポソームキャプシド封入(encapsi dation)法とは反対に)自発的かつ効率良くこれらのリポソームと複合体形成する 。正電荷のリポソームは、DNAと複合体形成するだけでなく、細菌とも結合し 、おそらく、細胞との融合により、それらを形質転換するのに能率が良い。形質 転換またはトランスフェクションシステムとしてのリポソームの使用は、リポフ ェクションと呼ばれる。 本発明はまた、該細菌の低温での生存能および/または形質転換効率を増強で きる遺伝物質にも関する。特に、本発明は、細菌内に導入したときに脂肪酸含量 を変更させる単離核酸分子に関する。好ましくは、核酸分子は、該細菌の脂肪酸 含量を変えるのに関与する1種またはそれ以上の遺伝子を含む。このような遺伝 物質は、好ましくはクローニングまたは発現ベクターに含まれる。本発明の一態 様では、核酸分了は、1種またはそれ以上の脂肪酸レベルを高める1種またはそ れ以上の遺伝子を含む。好ましくは、その遺伝子は、不飽和脂肪酸レベルを高め る。このような不飽和脂肪酸には、これらに限定されないが、オレイン酸、リノ ール酸、リノレン酸、シスバクセン酸およびパルミトール酸がある。このような 遺伝子には、これらに限定されないが、fabB、fabF、fabD、fabG、fabA、fabH、 fabI、habZ、fadA、fadB、fadE、fadL、fadR、farR、fatA等がある。 本発明の方法により生産される生存可能細胞数は−20℃で約0日から約1ヶ 月、好ましくは約0日から約3ヶ月、より好ましくは約0日から約6ヶ月貯蔵し た場合、約1×106細胞/ml以上、好ましくは約1×107細胞/ml以上、より 好ましくは約1×108細胞/ml以上、最も好ましくは約1×109細胞/ml以上で あろう。これらの細胞は、DNAマイクログラム当り少なくとも約1×105、 好ましくは少なくとも約1×105、より好ましくは少なくとも約1×107、更 にもっと好ましくは少なくとも約1×108および最も好ましくは少なくとも1 ×109形質転換体(T/μg)の形質転換効率を保持するであろう。適切な貯蔵温 度は、約室温から約−180℃の間で変わる。好ましくは、貯蔵温度は、約4℃ から約−80℃、より好ましくは約−20℃から約4℃の範囲である。本発明の 好ましい態様では、細胞は約−20℃で貯蔵される。貯蔵期間または時間は、約 0日から約1ヶ月、好ましくは約0日から約3ヶ月、更にもっと好ましくは約0 日から約6ヶ月、もっと好ましくは約0日から約1年の範囲であり得るが、約− 20℃以下の温度では更に長い貯蔵時間を採用できる。本発明の方法により生産 されるコンピテント細胞は、実質的にその形質転換効率を保持しながら、少なく とも3ヶ月間−20℃で貯蔵できる。形質転換効率の実質的な保持とは、細胞が 貯蔵後に、貯蔵前に試験したコンピテント細胞の形質転換効率の約40%から1 00%、好ましくは60%から100%、より好ましくは70%から100%、 最も好ましくは約80%から100%の形質転換効率を有することを意味する。 本発明はまた、本発明の方法により生産されたコンピテント細菌細胞を形質転 換するのにも適している。該コンピテント細胞の形質転換は、本発明のコンピテ ント細菌細胞を獲得し、該細胞とDNA分子とを混合し、該細胞を該DNA分子 で形質転換させるのに充分な条件下で該混合物をインキュベーションすることを 含む。本発明のこの態様では、コンピテント細胞はグラム陽性またはグラム陰性 細菌であることができ、エシェリシア、クレブシエラ、サルモネラ、バシラス、 ストレプトマイセス、ストレプトコッカスおよびシュードモナスがあるが、これ らに限定されない。好ましくは、グラム陰性原核細胞を本発明により形質転換し 、より好ましくは、エシェリシア、最も好ましくはE.コリを形質転換する。本 発明によれば、あらゆるDNA分子(例えば、ベクター、プラスミド、ファージ ミド、発現ベクター等)が使用できる。 細胞を対象のDNA分子で形質転換させた後、形質転換細胞を増殖誘導培地に て増殖させることができる。典型的には、このような増殖誘導培地は、形質転換 細胞の選択を助けるために抗生物質を含有する。即ち、形質転換するDNA分子 は、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含有することもでき、対応す る抗生物質を培地に使用する場合に形質転換細胞の選択が可能である。 本発明はまた、本発明のコンピテント細胞を、所望のタンパク質をコードする DNA分子で形質転換することにより、所望のタンパク質を生産する方法に関す る。よって、本発明は、所望のタンパク質を生産する方法に関し、本発明により 生産されたコンピテント細胞を獲得し、該細胞を、該所望のタンパク質を発現で きるDNA分子で形質転換させ、該形質転換細胞を該所望のタンパク質の生産に 充分な条件下で培養することを含む。本発明のこの態様に使用できる細胞には、 グラム陰性細菌とグラム陽性細菌の両方があり、好ましくは、エシェリシア、最 も好ましくはE.コリである。本発明のこの態様では、細胞をDNA分子と混合 し、該細胞を該DNA分子で形質転換させるのに充分な条件下でその混合物をイ ンキュベーションすることにより、細胞を形質転換させる。形質転換細胞は、例 えば、DNA分子上のマーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子)の選択を含 む当分野で良く知られた技術により選択できる。形質転換細胞を選択した後、次 いで、細胞はよく知られた技術に従い増殖誘導培地にて培養できる。細胞を適切 な条件下で培養する際、その細胞は、所望のタンパク質を生産する能力がある。 その後、所望のタンパク質を単離し、続いて、よく知られた精製技術により純粋 なタンパク質を得る。 ここまで、本発明を総括的に記載してきたが、本発明は、例示目的の、特記し ない限り本発明を限定することを意図しない下記実施例を参照して一層容易に理 解されるであろう。引用した特許、特許出願および刊行物は全て、出典明示によ り本明細書の一部とする。 実施例1 サイクリングによる変異株の生産 微生物遺伝学における一般的技術は、リサイクリングを利用する細菌の変異株 の生産である。この技術は、不都合な条件下での迅速な細菌殺傷速度に左右され る。この特定の場合では、CCMB80緩衝液中E.コリ株DH10Bを−20 ℃で貯蔵することにより、この菌株を迅速に殺傷し、その結果、6ヶ月間で生 存可能細胞数の減少をもたらす。−20℃で6ヶ月貯蔵後に生き残った細胞は、 再度増殖させ、CCMB80緩衝液中−20℃で貯蔵する。この特定の条件下で 4サイクル後、単一コロニーを−20℃での生存について試験する。単離した菌 株は、SB3499と呼んだ。 実施例2 コンピテント細胞の調製 E.コリ株DH10Bの1種の単一コロニー単離物とE.コリSB3499( 実施例1)の3種の単一コロニー単離物(それぞれSB3499A(NRRL B− 21606)、SB3499B(NRRL B−21607)およびSB3499C (NRRL B−21608)と呼び、それぞれ微生物寄託に関するブダペスト条 約の規定下、1996年8月1日に寄託された)を選択した。これらの単離物の コンピテント細胞は、出典明示により本明細書の一部としたJessee,J.and Blo om,F.R.,米国特許第4,981,797号の方法に従い、作製した。実際には、 下記のようなプロセスである:DH10B、SB3499A、SB3499Bお よびSB3499Cの単一コロニー単離物をそれぞれ15/10培地(1.0%バ クトトリプトン、1.5%バクト酵母抽出物、10mM NaCl、2mM KCl、 10mM MgCl2、10mM MgSO4、0.001%ポリプロピレングリコール( PPG))2mlに接種し、30℃、275rpmで一晩振盪した。各一晩培養物の0. 3mlアリコートを用いて、15/10培地60mlを含有する500mlバッフル付 きフラスコに接種した。得られた培養物を30℃、275rpmで振盪することに より、培養物のOD550がおよそ0.3になるまで増殖させた。培養物50mlアリ コートを、細菌細胞がペレットになるまで充分な時間、4℃、2,000rpmで遠 心し、回収した。次いで、この細菌細胞ペレットを氷冷CCMB80緩衝液(1 0mM酢酸カリウム、pH7.0、80mM CaCl2、20mM MnCl2、10mM MgCl2、0.1NHClでpH6.4に調整した10%グリセロール、出典明 示により本明細書の一部とした、Hanahan,et al.,Methods in Enzymology,20 4:63-113(1991)に記載)4mlに再懸濁した。次いで、再懸濁させた細菌細胞を氷 上で20分間維持した。再懸濁させた細菌細胞を250μlアリコートに分け、 ドライアイス/エタノール浴で少なくとも5分間凍結させた。 各単離物の1アリコート以外は全て、その生存能および形質転換効率の測定前に 、特定期間、−20℃で貯蔵した。 生存能および形質転換アッセイ 実施例2に従い調製したコンピテント細胞を含有するアリコートを−20℃で 特定期間貯蔵後試験し、そのアリコートの生存能および形質転換効率を測定した 。アリコートは、−20℃で貯蔵後直ちに試験するか、または月1回間隔で試験 するかのいずれかである。 アリコートの住存能を測定するために、アリコートを−20℃から取り出し、 氷上におよそ15分間置いた。このアリコートを0.85%NaClを用いて連 続希釈した。次いで、希釈物をLB寒天プレート(Gibco/BRL)に置き、生存可能 細胞数を測定した。図1は、E.コリDH10B、SB3499A、SB349 9BおよびSB3499Cの生存能を示す。SB3499A、SB3499Bお よびSB3499Cの生存可能細胞数は、これらの細胞を2〜4ヶ月の間−20 ℃で貯蔵した後、DH10Bよりも100倍以上多かった。 アリコートの形質転換効率を測定するために、アリコートを−20℃から取り 出し、氷上におよそ15分間置いた。出典明示により本明細書の一部とするHana han,J.Mol.Biol.166:577(1983)の方法に従い、プラスミドpUC19を用い て形質転換効率について細胞をアッセイした。図2は、DNAμg当りの形質転 換体として表現したE.コリDH10B、SB3499A、SB3499Bおよ びSB3499Cの形質転換効率を示す。DH10B細胞の形質転換効率は、− 20℃で1ヶ月貯蔵後1.0×105形質転換体/DNAμg以下に減少した。SB 3499A、SB3499BおよびSB3499Cの形質転換効率は、−20℃ で4ヶ月貯蔵後3.0×106形質転換体/DNAμg以上であった。よって、単離 物SB3499A、SB3499BおよびSB3499Cは、−20℃で長期貯 蔵後、DH10Bよりも実質的に高い生存可能細胞数および形質転換効率を示す 。 E.コリDH10B、SB3499A、SB3499B およびSB3499Cの遺伝子特性化 SB3499A、SB3499BおよびSB3499C単離物をE.コリDH 10Bの特性である遺伝子マーカーについて評価した。表1は、E.コリ株DH 10BのSB3499A、SB3499BおよびSB3499C単離物の特徴で ある遺伝子マーカーを示す。菌株SB3499A、SB3499BおよびSB3 499Cについて評価した遺伝子マーカーは、DH10Bの遺伝子マーカーと同 一である。1%ガラクトース含有Difco MacConkey寒天を用いてMacConkeyガラク トースプレートを作った。50μg/ml X−galおよび1mMIPTG含有LB寒天 を用いてX−galIPTGプレートを作った。最小寒天プレートは、ストックI( 塩化アンモニウム20g、リン酸カリウム(一塩基性)60g、およびリン酸ナト リウム(二塩基性)120g、蒸留水で1リットルに希釈)100ml、ストックII( グルコース60gおよび硫酸マグネシウム7水和物1.3g、蒸留水で600mlに 希釈)60ml、ストックIII(蒸留水で200mlに希釈した塩化カルシウム脱水物 0.735g)20mlおよび0.1%チアミン1mlをバクト寒天12gに加え、最終 容量を600mlに調整することにより作った。ロイシン含有プレート用に、1. 5%ロイシン溶液100μlをプレートに塗沫した。 実施例5 ゲノムDNA単離 ゲノムDNA単離は、出典明示により本明細書の一部とするLin and Kuo,Foc us 17:66-70(1995)に記載されている。E.コリ株BRL3433(Life Technolo gies,Irc.)をLBプレートに画線培養し、37℃で一晩インキュベーションし た。単一細菌コロニーを単離し、LBブロス(1リットル当りトリプトン10グ ラム、酵母抽出物5グラム、NaCl5グラム)5mlに再懸濁し、振盪インキュ ベーターにて37℃/275rpmで一晩インキュベーションした。培養細胞の1. 0mlアリコートを微小遠心管に移し、細胞ペレットを室温で5分間11,000 ×gで遠心して集めた。ペレットをTES−スクロース緩衝液[8%スクロース 、50mMNaCl、20mMトリス−HCl(pH8.0)および1mMEDTA]1m lに再懸濁し、25℃で5分間1mg/mlリゾチームと共にインキュベーションした 。容量100μlの10%SDSを管に加え、その管を短時間旋回させた。DN Aをフェノール−クロロホルムで抽出し、0.3M酢酸ナトリウムおよび1容量 のイソプロパノールで沈殿させた。溶液を11,000×g、4℃で10分間遠心 した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、11,000×g、4℃で10分間 遠心した。RNA夾雑物を除去するために、DNAペレットをTE緩衝液200 μlで再懸濁し、次いで、37℃で10分間、1μg/mlRNアーゼAで処理した 。その後、試料をフェノール−クロロホルムで抽出し、DNAを0.3M酢酸ナ トリウムおよび2.5容量の100%エタノールで沈殿させた。次いで、溶液を 4℃、11,000×gで15分間遠心した。DNAペレットを70%エタノール で洗浄し、11,000×g、室温で10分間遠心した。DNAペレットを洗浄後 、TE緩衝液100μlに溶解させた。 実施例6 E.コリ株のコスミドゲノムライブラリーの構築 BRL3433から単離したゲノムDNAのDNA100μg(実施例5)を1 0×React2(Life Technologies,Inc.)および滅菌蒸留水と混合して、1×Reac t2緩衝液中、および1000μlの最終反応容量中、100μg/mlDNAの最終 濃度を得た。ゲノムDNA試料を、1つの管はゲノムDNA200μgを 含有し、他の8つの管はゲノムDNA100μgを含有する9つの微小管に等分 した。5μlアリコートを最後の管(管9)から取り出し、非処理対照とした。 10単位の制限エンドヌクレアーゼPstI(Life Technologies,Inc.)を管1に 加えた。2倍の連続希釈物を下記のように準備した:試料(酵素を含む)100μ lを管1から第2管へと順次移し、等濃度のゲノムDNAを含有する管中、PstI 濃度の一連の2倍希釈物を得た。最終的に、管9から100μlを新たな管(10 と番号付ける)に移した。10管全てを37℃で正確に1時間インキュベーショ ンしたら直ちに、使用までの間−20℃で貯蔵した。 10管全てを氷上で解凍し、連続希釈物の各管由来の5μlアリコートを、ア ガロースゲル電気泳動(0.9%アガロースゲル)により非切断対照5μlと比較し 、ゲノムDNAが消化される度合いを解明した。Maniatis et al.,Molecular C loning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbo r,New York((1982)に記載の方法に従い、アガロースゲル電気泳動により見積 もった25ないし45kbの範囲内に最高割合のDNAフラグメントを含有した 、連続希釈試料または複数試料を選択して、コスミドライブラリーを構築した。 これらの選択アリコートまたは複数アリコートは、フェノールで2回抽出し、次 いで、2.5容量の100%エタノールでエタノール沈殿させ、11,000gで 30分間遠心した。DNAペレットを70%エタノール200μlで洗浄し、1 1,000×gで10分間遠心した。得られた部分消化ゲノムDNAペレット(“ ゲノム消化DNA”と呼ぶ)を、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(Life Technolo gies,Inc.)15μlに再懸濁した。 BJS80(pCP13)コスミドベクター5μgを37℃で4時間、30単位 のPstI(Life Technologies,Inc.)と共に、1×React2(Life Technologies,I nc.)中、最終容量50μlでインキュベーションした。次いで、このコスミドベ クター含有反応混合物を100%エタノール2.5容量でエタノール沈殿させ、 11,000×gで30分間遠心した。得られたDNAペレットを70%エタノー ル200μlで洗浄し、次いで、11,000×gで10分間遠心した。洗浄した ペレットを最終的に1×React2緩衝液(Life Technologies,Inc.)50μlに再 懸濁させた。ウシ腸内アルカリホスファターゼ((1単位/μl)(Life Technologies,Inc.))1μlアリコートを予め切断したコスミドベクターと混合 し、37℃で30分以上インキュベーションして、5'ホスフェートを除去した 。試料5μlアリコートをManiatis et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1982)に記 載の方法に従い、0.9%アガロースゲルで電気泳動し、試料が直鎖状であるこ とを確認した。次いで、残りの試料を2回フェノール抽出し、100%エタノー ル2.5容量でエタノール沈殿し、11,000×gで30分間遠心した。得られ たDNAペレットを70%エタノール200μlで洗浄し、次いで、11,000 ×gで10分間遠心した。次いで、洗浄したpCP13コスミドベクターを1× T4 DNAリガーゼ緩衝液(Life Technologies,Inc.)15μlに再懸濁し、必要 になるまで、−20℃で貯蔵した。 貯蔵したコスミドベクターを氷上で解凍した。解凍したベクター(100ng/μ l)15μlをPstI消化“ゲノム消化DNA”(600ng/μl)15μlおよび1単 位/μl T4 DNAリガーゼ(Life Technologies,Inc.)1μlに加えた(“ライ ゲーション反応混合物”)。“ライゲーション反応混合物”を室温で一晩インキ ュベーションし、必要になるまで、−20℃で貯蔵した。 ライゲートしたDNAを、Epicentre Technologies,1207 Ann Street,Madis on,WI53713から入手したλパッケージングキット(the Max Plax Packaging Ext ract)を利用してパッケージングした。パッケージング法は、製造元使用説明書 に記載のとおりであり、出典明示により本明細書の一部とする。反応は、実質的 に下記のとおりである:Max Plaxキットから、−70℃で貯蔵した凍結解凍超音 波処理抽出物の1管を室温で解凍した。直ちに、解凍抽出物に“ライゲーション 反応混合物”5μ1(約2μg鋳型DNA)を加えた。試料を11,000×gで2秒 間遠心後、22℃で2時間インキュベーションした。インキュベーション後、フ ァージ緩衝液(10mMトリス−HCl、100mMNaCl、10mMMgCl2、および pH8.3までNaOH、500μlを試料に加える。200μlアリコートを試 料から取り出し、下記のように、DH10B細胞(Life Technologies,Inc.)(Ha nahan,et al.,Methods in Enzymology,204:63-111(1991)、出典明示により本 明細書の一部とする)を感染させるのに使用した(“保留ファージスト ック”)。残りの試料をクロロホルム15μlと混合し、後に使用するためにファ ージストックとして4℃で貯蔵した。 一晩培養物から、DH10B培養物の200μlアリコートを使用して、LB 培地25mlに接種した。これらの細胞を37℃、275rpmで振盪して増殖させ た。細胞密度がCD5900.5に到達したら、細胞を11,000gで2分間遠心し 、次いで、10mMMgSO42mlに再懸濁した。“保留ファージストック”20 0μlをDH10B細胞の150μlアリコートと混合した。混合物を37℃で1 5分間インキュベーションした。インキュベーション後、SOC培地(Life Tech nologies,Inc.)700μlを試料に加え、次いで、試料を37℃で更に1時間イ ンキュベージョンした。試料100μlアリコートを新たに調製したLB+Tet1 5寒天プレート(15μg/mlテトラサイクリン含有LB寒天プレート)に塗沫した 。細菌を37℃で一晩増殖させた。 10種の別のコロニーが選択された。各コロニーは、LB培地3mlを含有する 別の管に入れた。これらの管を37℃で一晩置いた。コスミドDNAは、Maniat is et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pr ess,Cold Spring Harbor,New York(1982)に記載のミニープレプ法により単離 した。コスミドDNAの確認は、製造元使用説明書に従い、コスミドDNAをPs tIで消化することにより実施した。ゲノム挿入物の平均サイズは、20kbま たはそれよりも大きかった。 10プレートの残りの細菌をプールし、CG培地(CIRCLE GROW,Bio101,Inc. ,Cat # cp-1000C)20mlに再懸濁した。細菌をプール後、最終グリセロール濃 度10%グリセロール(v/v)まで、グリセロールを懸濁細菌と混合した。混合物 を5mlアリコートに分け、後の使用のためにコスミドライブラリーグリセロール ストックとして−70℃で貯蔵した。 コスミドライブラリー中のクローン数は、グリセロールストックの1つを取り 出し、次いで、氷上でそのストックを解凍することにより、算出した。細菌細胞 数は、解凍ストックから100μlアリコートを取り出し、予想細菌細胞数(1011 細胞/ml)に基づき、そのアリコートを希釈した。予想細胞数に基づき、104 、103、102倍に希釈した試料100μlを3つのLB+Tet15寒天プレート (15μg/mlテトラサイクリン含有LB寒天プレート)に入れ、37℃で一晩増殖 させた。プレート試料から、コスミドライブラリーがそのグリセロールストック 中1011細胞/mlであったことが算出できた。 実施例7 安定性コスミドクローンの選択 BRL3433コスミドライブラリー20μlアリコート(初期生存可能細胞数 1.0×105細胞/ml)を用いて、15/10培地(1.0%(w/v)バクトトリプト ン、1.5%(w/v)バクト酵母抽出物、10mM NaCl、2.5mM KCl、1 0mM MgCl2、10mM MgSO4、0.001%ポリエチレングリコール)5ml および100μg/mlカナマイシンに接種した。細菌を30℃で18時間インキュ ベーションした。細菌を3,000rpm、4℃で10分間遠心して回収した。次い で細菌を冷CCMB80緩衝液(80mMCaCl2、20mMMnCl2、10mMM gCl2、10mM酢酸カリウムおよび10%(v/v)再蒸留グリセロール)0.5m lに再懸濁し、氷上で20分間貯蔵し、次いで、ドライアイスエタノール浴にて 凍結させた。その後、細胞を4℃で貯蔵する前に解凍した。細菌細胞の生存可能 細胞数は、細胞を0.85%NaCl中に希釈し、その希釈物をLBプレート上 にまくことによって測定した。次いでプレートを37℃で一晩インキュベーショ ンし、コロニー数を測定した。 細胞アリコートを4℃で36日間貯蔵後、貯蔵コスミドライブラリークローン の生存可能細胞数を測定した。生存能は、初期値2.5×108細胞/mlから1.6 ×105細胞/mlへ下落する。4℃で36日生きた個々のコロニーを、貯蔵コスミ ドクローンを希釈することにより単離した。希釈コスミドクローンをLBプレー ト上にまき、次いで37℃で一晩インキュベーションした。個々のクローンを無 作為に選択した。コスミドDNAは、単離したコロニーから精製した。コスミド DNAは、製造元使用説明書に従い、PstIで消化することにより分析し、3つの 単離物を更なる分析用に保留し、コスミドクローン1(NRRL B−21550 、1996年3月28日に寄託、Agricultural Research Service Culture Coll ection(NRRL),1815 North University Street,Peoria,Illinois 61604,USA) 、2(NRRL B−21551、1996年3月28日に寄託、 Agricultural Research Service Culture Collection(NRRL),1815 North Unive rsity Street,Peoria,Illinois 61604,USA)および4(NRRL B−2155 2、1996年3月28日に寄託、Agricultural Research Service Culture Co llection(NRRL),1815 North University Street,Peoria,Illinois 61604,US A)とラベルを付けた。 実施例8 コスミドクローン1、2および4の特性化 コスミドクローン1、2、4またはコスミドベクターpCP13のいずれかを 含有するDH10B細菌を、15/10培地2ml中、30℃で16時間インキュ ベーションした。これらの培養物から、0.3mlアリコートを用いて、500ml バッフル付振盪フラスコ中15/10培地50mlおよびカナマイシン10μg/ml に接種した。このフラスコを振盪インキュベーター中30℃、275rpmで、培 養物の光学密度が0.335から0.399(OD550)の間になるまでインキュベ ーションした。細菌培養物を遠心して回収した。得られたペレットを冷CCMB 80緩衝液4mlに再懸濁し、氷上で20分間維持した。再懸濁試料250mlアリ コートを1.0mlNuncクリオバイアルに入れ、次いで、それらの管をドライアイ ス/エタノール浴にて凍結させた。これらの細胞のアリコートをHanahan(J.Mol .Biol.166:557-580(1983)の方法に従い形質転換効率についてアッセイし、生 存細胞を計数した。次いで、バイアルを安定性研究のために−20℃に置いた。 残りのアリコートを解凍し、更なる分析用に4℃で保持した。 図3は、ベクターpCP13含有DH10Bの生存可能細胞数が4℃で40日 の期間にわたり、およそ5.0×108細胞/mlからおよそ1.0×105細胞/mlま で経時的に減少したことを示す。反対に、コスミドクローン1、2または4を含 有するDH10Bは、より安定であり、同じ期間にわたり生存可能細胞数におい ておよそ50倍の減少を示しただけであった。 図4は、ベクターpCP13含有DH10Bの生存可能細胞数が、細胞を−2 0℃で貯蔵した場合、4ヶ月の期間で1000倍に減少したことを示す。反対に 、コスミドクローン1を含有するDH10B細胞は、同じ期間で50倍の細胞能 減少を示す。図4はまた、コスミドクローン2または4を含有するDH10B細 胞 がDH10B pCP13細胞と比較して10倍に向上した残存能を示し、コス ミドクローン1がその生存可能細胞数を100倍に向上したことを示した。 実施例9 コスミド1の損失は低温安定性の損失をもたらし、 クローン1でのDH10B再形質転換は、低温安定性を回復させる 出典明示により本明細書の一部とするDanilevskaya and Gragerov,Mol.Gen .Genet.178:233-235(1980)に記載のように、クメルマイシンを用いて、コスミ ドクローンをDH10B細胞からキュアリングした。4℃で貯蔵したDH10B コスミドクローン1、DH10Bコスミドクローン2およびDH10Bコスミド クローン4細胞の20μlアリコートをSOB−Mg培地(Life Technologies,I nc.)1mlに接種した。細胞は、37℃で16時間増殖させた。その細胞をSOB −Mg培地でおよそ1.0×104細胞/mlまで希釈した。細胞の1mlアリコート を37℃で16時間、0、1、2、3および4μg/mlクメルマイシンの存在下、 培養した。その後、4μg/mlクメルマイシンの存在下で増殖させた培養物をLB プレートにて画線培養し、カナマイシンの存在下および不在下での増殖能につい てコロニーをスクリーニングした。カナマイシンの存在下で増殖を示さなかった 細胞は、コスミドクローン1を損失していた。 その後、各培養物由来の1つのカナマイシン感受性コロニーを15/10培地 5ml中30℃で4時間増殖させた。細菌細胞を3,000rpmで10分間遠心し、 冷CCMB80緩衝液0.4mlに再懸濁した。その細胞を氷上で20分間維持し 、次いで、ドライアイスエタノール浴で凍結させた。凍結後、細胞を解凍し、4 ℃で置いた。生存可能細胞数は、0日、5日および11日に計数した。 図4Bは、コスミドクローン1、クローン2またはクローン4に関してキュア リングした細胞の生存可能細胞数がDH10B細胞またはpCP13含有DH1 0B細胞と同程度に速く減少し、コスミドクローン1、2または4を含有する培 養物ではみられた4℃での安定性を呈示できなかったことを示す。DH10B細 胞由来のコスミドクローン1をキュアリングすると、細胞を4℃でDDMB80 緩衝液に入れた場合、生存能の迅速な損失をもたらした。 コスミドクローン1をキュアリングDH10B細胞に再導入すれば安定性を回 復するかどうかを評価するために、コスミドクローン1をキュアリングしたDH 10Bのコンピテント細胞を調製した。 ここで、コスミドクローン1、並びにコスミドpCP13を、Hanahan(J.Mol .Biol.166:557-580(1983)の方法を用いてコスミドクローン1をキュアリング したDH10B株のコンピテント細胞に再形質転換させた。最大効率DH10B コンピテント細胞ロットFA4104(Life Technologies,Inc.)もまた、コス ミドクローン1およびpCP13で形質転換させた。形質転換培養物を50μg/ mlカナマイシン含有LBプレート上にまき、30℃でインキュベーションした 。pCP13含有DH10Bおよびコスミドクローン1含有DH10Bのコンピ テント細胞並びにDH10Bのコンピテント細胞は下記のように調製した:ベク ターpCP13含有DH10Bおよびコスミドクローン1含有DH10Bは、5 0μg/mlカナマイシン含有15/10培地50ml中で、細胞がOD5500.244 から0.258の間になるまで増殖させた。DH10B細胞はカナマイシンなし の15/10培地で増殖させた。これらの細胞は、遠心して回収した後、冷CC MB80緩衝液40mlに再懸濁させた。再懸濁後、細胞を氷上で20分間維持し た。次いで、細胞をドライアイスエタノール浴で凍結させ、解凍し、4℃で置い た。 生存可能細胞数は、CCMB80緩衝液中4℃で貯蔵した細胞についてある間 隔をおいて測定した。図5は、DH10B細胞またはベクターpCP13含有D H10B細胞の住存可能細胞数がおよそ16日間にわたり、およそ1.0×106 細胞/mlからおよそ1.0×105ないし1.0×106細胞/mlに迅速に減少したこ とを示す。一方、コスミドクローン1の存在は、生存可能細胞数/mlの100倍 増加をもたらした。これらの結果はまた、コスミドクローン1をキュアリングし たDH10B細胞(4℃で不安定)にコスミドクローン1を再導入すると、4℃で のこれらの細胞の安定性が再び向上することを示す。図6Aおよび6Bは、低温 貯蔵に対する安定性遺伝子を含有するコスミドをDH5αおよびSTBL2(Tri ng et al.,Focus 16:78-80(1994))細胞に導入すると、4℃でのこれらの細胞系 列の生存能が高まることを示す。 実施例10 クローン1の存在による形質転換効率の増大 図7は、−20℃で3ヶ月貯蔵したコスミドクローン1を含有するDH10B 株が同様に貯蔵したベクターpCP13を含有するDH10Bと比較して(10 0倍以上の)高い形質転換効率を示したことを示す。−20℃で3ヶ月後、ベク ターpCP13含有DH10B細胞は1.0×105形質転換体/μg以下の形質転 換効率を示した。反対に、コスミドクローン1含有DH10B細胞は>1.0× 106形質転換体/μgの形質転換効率を示した。 実施例11 生存能および形質転換効率の増大を担う クローン1のDNAフラグメントの単離 コスミドクローン1は、幾つかのE.コリ株において実質的に低温安定性の向 上を示した22Kb挿入物を含有する。コスミドクローン1中の22Kb挿入物 は、制限エンドヌクレアーゼPstIを用いて消化し、14Kbと8Kbの2つの フラグメントを単離した。続いて、これら2つのフラグメントをそのPstI部位 でプラスミドベクターpDELTA2(下記の入れ子欠失(nested deletions)の 作製に利用されるプラスミドベクター)にクローニングした。両方のサブクロー ンの制限地図は、HindIIIまたはEcoRIのいずれかでプラスミドDNAを消化す ることにより、導き出した。これら2つのサブクローンは、そのサイズを基にし てそれぞれpDELTA2 14KbおよびpDELTA2 8Kbと呼んだ。p DELTA2 14KbとpDELTA2 8Kbの配向を区別するために、反対 配向のプラスミドをpDELTA2 14Kb+とpDELTA2 14Kb−お よびpDELTA2 8Kb+とpDELTA2 8Kb−と呼んだ。 実施例12 クローン1の14および8Kbフラグメントの pDELTA2へのサブクローニング サブクローンが4℃または−20℃で貯蔵したDH10B細胞を安定化できる かどうかを測定するために、いずれかの配向(pDELTA2 14Kb+および pDELTA2 14Kb−)の14Kbサブクローンを含有するpDELTA2 プラスミドおよびいずれかの配向(pDELTA2 8Kb+およびpDELTA 2 8Kb−)の8Kbサブクローンを含有するpDELTA2プラスミドをE. コリ株DH10Bのコンピテント細胞へ形質転換させた。形質転換体は、カナマ イシン50μg/mlを含有するLBプレートにて30℃で選択した。DH10Bコ スミドクローン1、DH10BpDELTA2、DH10BpDELTA2 8 Kb+、DH10BpDELTA2 8Kb−、DH10BpDELTA2 14 Kb+およびDH10BpDELTA2 14Kb−の単一コロニーをLBカナ マイシンプレートから拾い出して、50μg/mlカナマイシン含有15/10培地 2mlに入れ、培養物を30℃で16時間振盪しながらインキュベーションした。 一晩培養物0.3mlを同じ培地60mlに接種し、培養物を30℃、275rpmでイ ンキュベーションした。光学密度を監視し、およそ0.3(0.26から0.307 )のOD550rmで、細胞培養物50mlを4℃で10分間IEC臨床遠心機で遠 心して集めた。細胞ペレットを冷CCMB80緩衝液4mlに再懸濁し、細胞を氷 上に20分間残留させた。250μlアリコートを冷凍NUNCクリオバイアル 中に入れ、ドライアイスエタノール浴にて凍結させた。バイアルをアッセイまで の間−70℃で貯蔵し、次いで、バイアルを安定性研究用に−20℃のフリーザ ーに移した。CCMB80緩衝液中、残りの細胞(およそ2ml)をドライアイスエ タノール浴で凍結させ、氷上で10分間解凍し、生存可能細胞数についてアッセ イした。次いで、残りの細胞を安定性研究用に4℃で貯蔵した。ある間隔をおい て、バイアルを−20℃フリーザーから取り出し、生存可能細胞数を測定した。 更に、4℃で貯蔵した細胞も、生存可能細胞数についてアッセイした。結果は、 図8および9に示す。図8に表したデータは、14Kbサブクローンがいずれの 配向(pDELTA〜2 14Kb+およびpDELTA2 14Kb−)でも実質 的に4℃で貯蔵した場合のDH10B株の安定性を向上させることを示す。一方 、8Kbサブクローンは、細胞の安定性を改善しない。更に、14Kbサブクロ ーンは、いずれの配向でも、−20℃で貯蔵した細胞の安定性も向上させる(図9 )。この事実は、コスミドクローン1中に見られた安定性遺伝子が14Kbサブ クローン上にあることを顕示している。 実施例13 安定性を担うDNAフラグメントを位置特定するための 欠失ファクトリー誘導体の作製 4℃で貯蔵したDH10B細胞の多大な安定性をもたらすプラスミドpDEL TA2 14Kb+中の領域を狭めるために、ライフ・テクノロジー・インコー ポレイテッド(Rockville MD)欠失ファクトリーTMシステムを利用した。このシス テムは、プラスミドpDELTA2 14Kb+中の14Kb挿入物において様 々な長さの一連の入れ子欠失(nested deletions)を作製する。欠失ファクトリー システムは、製造元の推薦に従い使用した。 クローンは、アンピシリンおよびスクロースに対するその耐性またはカナマイ シンおよびストレプトマイシンに対するその耐性に基づき選択した。36種の異 なるクローンを各選択項目から選択し、プラスミドDNAはコスミドクローン1 の場合と同じ方法に基づき単離した。両方の選択項目について72種の異なるク ローン全てに由来するプラスミドDNAをPstIで消化した。PstIクローニング 部位の1つが欠失クローンの作製中に損失したため、この消化により、ベクター から挿入物を切り出すことなく、プラスミドDNAを直鎖状にした。直鎖状プラ スミドDNAを、標準として1kbラダー(Gibco/BRL)を用いる1%アガロース ゲルにて分離した。各クローンのサイズは、Sambrook et al,1989に従い、1k bラダーに基づき算出した。更に4℃で貯蔵したDH10B細胞を安定化する能 力の分析用に、挿入DNAのサイズ毎にクローンの代表的な試料を選択した。 5%ショ糖および100μg/mlアンピシリンを含有する寒天プレートにて作製 した菌株DH10B中のプラスミドpDELTA2 14Kb+の11の欠失誘 導体を拾い上げて100μg/mlアンピシリン含有15/10培地2mlに入れ、培 養物を30℃で16時間増殖させた。プラスミドpDELTA2を含有するDH 10B、プラスミドpDELTA2 14Kb+を含有するDH10Bおよびプ ラスミドpDELTA2 14Kb−を含有するDH10Bもまた、同じ培地で 増殖させた。一晩培養物25μlを50mlファルコン管中、同じ培地5mlに接種 し、管を30℃、275rpmで3時間振盪させた。IEC HN SII遠心機に て10分間、4℃)、2500rpmで遠心して細胞を集めた。細胞ペレットを冷C CMB80緩衝液400μlに再懸濁した。細胞を氷上に20分間残留させた。 細胞をドライアイスエタノール浴中で5分間凍結させ、氷上で15分間解凍させ た。生存可能細胞数は、0.85%塩水に希釈することにより測定した。細胞を 安定性研究用に4℃に置いた。ある間隔をおいて、生存可能細胞数を測定し、そ の結果を図10に表した。このデータは、プラスミドが2種の別個の分類:DH 10B細胞を安定化するものと安定化しないもの、に分けられることを示す。D H10B細胞を安定化するプラスミドの中には、プラスミド16、18、27お よび32がある。DH10B細胞を安定化しないプラスミドの中には、プラスミ ド14、19、23、28、29、33および34がある。対照として、プラス ミドpDELTA2は、DH10B細胞を安定化しないが、プラスミドpDEL TA2 14Kb+およびプラスミドpDELTA2 14Kb−は、DH10B 細胞を安定化する。特に、プラスミド32に注目されたい(以降、pDELTA 232と称する)。このプラスミドは、(欠失ファクトリーシステムを用いて)p DELTA2 1.4Kb+から得られた、4℃で貯蔵したDH10Bを安定化す る能力のある最小のプラスミドである。 このプラスミドが依然として、4℃で貯蔵したDH10Bの安定性を向上させ る遺伝子または遺伝子群を含有したかどうかを測定するために、100μg/mlス トレプトマイシンおよび50μg/mlカナマイシンを含有する寒天プレートにて単 離した菌株DH10BにおけるpDELTA2 14Kb+の16種の欠失誘導 体を拾い上げ、50μg/mlカナマイシン含有15/10培地2mlに入れ、30℃ で一晩増殖させた。一晩培養物25μlを、50mlコーニング管(Fisherカタログ 番号05-539-6)中、同じ培地5mlに接種し、管を30℃、275rpmで3時間振盪 させた。IEC HN SII遠心機を用いて10分間、4℃、2500rpmで遠 心して細胞を集め、細胞ペレットを冷CCMB80緩衝液400μlに再懸濁し た。細胞を氷上に20分間残留させた。細胞をドライアイスエタノール浴中で5 分間凍結させ、氷上で解凍させ、そして生存可能細胞数を測定した。管を安定性 研究用に4℃に置いた。ある間隔をおいて、生存可能細胞数を測定し、その結果 を図11に表した。このデータは、プラスミドが2種の別個の分類:DH10B 細胞の安定性を向上させるものと向上させないもの、に分けられることを再度示 している。DH10B細胞を安定化するプラスミドの中には、プラスミド3、1 0、12、16、20、23および31がある。DH10B細胞を安定化しな いプラスミドの中には、プラスミド1、2、4、8、9、21、32、35およ び36がある。上記のように、プラスミドpDELTA2は、4℃で貯蔵したD H10B細胞を安定化しないが、プラスミドpDELTA2 14Kb+は、そ の細胞を安定化する。特に、プラスミド16に注目されたい(以降、pDELT A2 16と称する)。このプラスミドは、4℃でDH10Bを安定化する能力の あるこのスクリーニング由来の最小のプラスミドである。 図12は、図10および図11に概略説明した安定性研究を組み合わせたもの であり、欠失ファクトリーシステムを用いて挿入物の一部を欠失させた後に残っ ている挿入物DNAの長さを示す。図12は、欠失ファクトリーシステムの使用 により、安定性遺伝子含有領域をおよそ2.5Kbの挿入物サイズに狭めること を例示説明するものである。 実施例14 コスミドクローン1における安定性/形質転換遺伝子の位置特定および配列 欠失クローン16および32は、およそ2500塩基長の必須配列領域を定め た。この必須領域内に配列させるために、ベクターに相補的で、かつこれらのク ローンの欠失末端に隣接するプライマーを用いた。クローン16の場合、プライ マーT7−25(CGA CTC ACT ATA GGG AAC TGA TCC T)(配列番号1)を使用し、クローン32の場合、プライマーSP6−25(GA T TTA GGT GAC ACT ATA GAG ATC C)(配列番号2)を使 用した。 DNA配列決定は、[α−35S]dATPでのサイクルシーケンス法(出典明示 により本明細書の一部とするMurray,V.(1989)Nucleic Acids Res.17,8889) を用いて実施した。クローン16から得られた配列は302塩基長であり、クロ ーン32から得られた配列は169塩基長であった。BLASTサーチは、各配 列断片でBLASTNを用いて実施した。クローン16配列と、ベータ−ケトア シルACPシンターゼIをコードするE.コリ遺伝子fabBの下流の141塩基D NA領域(受託番号M24427)との間には強力なマッチ(P(N)=2.8×1 0-40)が見られた。クローン32は、fabB遺伝子の上流のヘモフィラス・イン フルエンザDNA936塩基領域(受託番号U32775L42023)と の弱いマッチ(P(N)=0.47)を与えた。E.コリのこの領域は、まだデータ ベースにはない。fabB領域の既知のE.コリDNA配列から、およそ300塩基 間隔で各鎖に沿って配列決定(シーケンシング)プライマーを設計した。染色ター ミネーターシーケンス法(Dye terminator sequencing)は、ABI 373Aスト レッチシーケンサーを用いて実施した。更なるプライマーは、全ての配列データ が1つの隣接断片(contiguous piece)内にアセンブルできるまで、クローン16 および32由来の配列を伸長するように設計した。更なる配列プライマーには: “32由来”CCA CAT ATC CGG GTT TTT CGC TG(配列番 号3);“fab46”GAG GTT GGC AGG TTG TAT GGA GT( 配列番号4);“fab470”TAT GGA GCA GGC AAT CGC TG A TG(配列番号5);“fab1176”CGT GAA GTG TTC GGC GAT AAG AG(配列番号6);“fab1510”AAT GCG GCC TC C GGC ACT AAC AC(配列番号7);“16由来”GGT TAC GG T GCG TTG GCA GGA TT(配列番号8);“fab1104C”TAT CAA CGC CAT GCA TCG CCA TC(配列番号9);“fab68C ”ACT CCA TAC AAC CTG CCA ACC TC(配列番号10); “fab796”CTG GCG GCG GCG AAG AG(配列番号11);“fa b150”AAA TGG CTG ATC GGA CTT GTT(配列番号12) ;“fab865C”TCC GGG GTG TCG TTG TAT T(配列番号1 3)が含まれる。シーケンサー2.0(Gene Codes Corp.)は、データをアセンブル するために使用した。クローン1の重要領域の配列(配列番号14)は、図13に 示す。 E.コリ株DH10BのfabB領域は、1.1×エロンガーゼスーパーミックス (LTI)とM24427配列中の39位(TAAATTCGAGGTTGGCA GGTT)(配列番号15)および1592位(AATCGACAAAGCGGGA AGTT)(配列番号16)のプライマーを用いて増幅した。サイクリング条件は 、95℃で30秒、55℃で75秒および72℃2分間を30サイクル、次いで 、72℃で10分間インキュベーション1回であった。PCR産物は、エキソヌ クレアーゼI(出典明示により本明細書の一部とするAdamczky,J.J.,Jr., (1995)Editorial Comments 22,36)で消化し、イソプロパノールで沈殿(Brow ,M.A.D.(1990)in PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Inni s,M.A.,Gelfand,D.H.,Sninsky,J.J.,and White,T.J.,eds.)p.194,Acad emic Press,San Diego.)させて、精製した。ペレットを10mMトリス−HCl( pH7.5)、5mMNaCl、0.1mMEDTAの初期容量に再溶解させた。再度 、染色ターミネーターシーケンス法を、ABI373Aストレッチシーケンサー および上記のプラスマーを用いて実施した。配列アラインメントプログラムAlig n Plus(Scientific and Educational Software)を用いて、クローン16とDH 10B由来の配列を比較し、それらが配列決定した領域と同一であることを示し た。 図13の配列では、クローン1の必須領域は、fabB以外に幾つかのオープンリ ーディングフレームを含有した。その機能がfabB遺伝子と特異的に相関すること を確認するために、欠失させた(下記参照)。クローン1の必須領域内の100ア ミノ酸以上のオープンリーディングフレームは、下記の通りである: ORF 塩基 アミノ酸数 1(fabB) 1043−2263 406 2 1900−1133 255 3 488−24 154 図14は、コスミドクローン1のおよそ2500bp必須領域におけるオープ ンリーディングフレームとMluI制限部位の位置を表す。 上記に与えた配列決定データから、fabB遺伝子は、CCMB80緩衝液中4℃ または−20℃で貯蔵したE.コリ細胞を安定化する可能性のある一遺伝子とし て同定できる。 fabB遺伝子が−20℃で貯蔵したE.コリ株の安定性を増強できる能力を評価 するために、pDELTA2 32由来のfabB遺伝子をプラスミドpDELTA 2内へサブクローニングした。先のデータ(Tsay J.et al.,J.Bact 174:508-5 13,1992)により、fabB遺伝子全体が1.8Kb MluIフラグメントとしてサブク ローニングされ得ることが示された。pDELTA2 32DNAを3 7℃で2時間、MluIで消化した。消化反応物をTAE緩衝液中1%アガロース ゲルでの電気泳動にかけ、製造元のプロトコールに従い、GlassMax(Gibco BRL) を用いて1.8Kbフラグメントを精製した。プラスミドpDELTA2を37 ℃で3時間、MluIで消化し、アルカリホスファターゼで37℃で1時間処理し た。ドデシル硫酸ナトリウムを0.5%まで加え、次いで、プロテインナーゼK を50μg/mlまで加えた。反応物を37℃で1時間インキュベーションし、次い で、フェノール−クロロホルムで抽出した。DNAを沈殿させ、10mMトリス( pH7.5)1mMEDTA緩衝液に再懸濁させた。次いで、1.8Kb MluIフラ グメントは、T4 DNAリガーゼを室温で16時間使用して、MluI切断アルカ リホスファターゼ処理pDELTA2ベクターDNAとライゲートさせた。その 後、最大効率DH10Bコンピテント細胞(Gibco BRL)を形質転換させるのに製 造元の指導書に従い、ライゲーション反応を使用した。次いで、100μg/mlア ンピシリン含有LBプレートにて37℃で選択したコロニーを100μg/mlアン ピシリン含有LB培地中、37℃で16時間増殖させ、プラスミドDNAを単離 した。このプラスミドDNAをMluIで消化し、1.8Kb MluIフラグメント の存在についてスクリーニングした。1.8Kb MluIフラグメントを含有する 4つのプラスミド(10、13、14および15と番号付ける)を更なる研究用に 選択した。更に、このプラスミドDNAは、BglIで消化することにより、MluI フラグメントの配向についてスクリーニングした。消化したフラグメントのゲル 電気泳動は、クローン10と15が一配向でMluIフラグメントを含有し、クロ ーン13、14が反対配向でMluIフラグメントを含有したことを示していた。 プラスミドpDELTA232由来のクローン化MluI挿入物を含有するこれ らのプラスミドがfabB遺伝子産物に特有の酵素機能をコードする能力を評価する ために、クローン10、13、14および15と命名したプラスミド(並びに、 プラスミドpDELTA2 32およびpDELTA2)を、fabB遺伝子の変異を 含有するE.コリ株内に導入した。具体的には、この菌株は、温度感受性fabB遺 伝子産物をコードするfabB15(ts)対立遺伝子を含有する。変異により、この菌 株は30℃で増殖できるようになったが、42℃では増殖できない。この 菌株は、エール大学のE.コリ・ジェネティック・ストック・センターから入手 し、名称CGSC5641を与えた。この菌株のコンピテント細胞は、下記のよ うにして調製した:CGSC5641の幾つかのコロニーを、30℃で増殖させ たLBプレートからSOB培地50mlへと拾い入れ、フラスコを30℃、275 rpmで振盪させた。 550nmでの光学密度が0.308に到達したら、細胞をIEC HN SII 遠心機にて4℃、2500rpmで10分間遠心して集めた。細胞ペレットを冷C CMB80緩衝液4mlに再懸濁し、細胞を氷上に20分間置いた。細胞250μ lを冷凍NUNC管に等分し、管をドライアイスエタノール浴中で凍結させた。 バイアルは−80℃で貯蔵した。コンピテント細胞の数管を−80℃のフリーザ ーから取り出し、氷上でおよそ15分間解凍した。コンピテント細胞100μl を、公開された方法(Hanahan J.Mol.Biol.166:557-580(1983))に従い、5μl のプラスミドDNA、pDELTA2、pDELTA2 32、クローン10、 クローン13、クローン14、クローン15で形質転換させた。細胞をSOC添 加後30℃で1時間発現させた。発現期間後、細胞100μlを100μg/mlア ンピシリン含有LBプレート上にまき、そのプレートを30℃または42℃のい ずれかでインキュベーションした。30℃および42℃の両方でコロニーがプレ ート上に現れたら、その場合は、プラスミドが、E.コリ株CGSC5641で は42℃で欠損する、酵素的に活性なfabB遺伝子産物を提供したということであ る。コロニーが30℃でのアンピシリンプレートのみに現れたら、その場合は、 プラスミドが活性なfabB遺伝子産物を提供できなかったということである。表2 は、fabBts変異の相補性の結果を示す。 表2の結果は、pDELTA2プラスミドでの形質転換が30℃でのみアンピ シリン耐性コロニーをもたらすことを示し、これはpDELTA2プラスミドが 活性fabB遺伝子産物をコードしないことを示す。プラスミドpDELTA2 3 2、クローン10、クローン13、クローン14およびクローン15での形質転 換は、30℃および42℃の両方でアンピシリン耐性コロニーをもたらし、これ はこれらのプラスミドが野生型fabB遺伝子産物をコードすることを示す。よって 、1.7Kbの挿入物DNA(fabBのコード配列1.2Kbを含む)を含有するクロ ーン10、13、14および15は、活性fabB遺伝子産物を発現する。これらの クローンは、以後、pDELTA2fabB10、pDELTA2fabB13、pDE LTA2fbB14およびpDELTA2fabB15と称する。 pDELTA2fabB10、pDELTA2fabB13、pDELTA2fabB14 およびpDELTA2fabB15と称するこれらのプラスミドが、4℃および−2 0℃で貯蔵したDH10B細胞の安定性を向上する能力を評価するため、製造元 による指導書に従い、各プラスミド5μlを最大効率DH10Bコンピテント細 胞(ロット番号HFK701)に形質転換させた。プラスミドpDELTA2およ びpDELTA2 32もまた対照として形質転換させた。形質転換体は、10 0μg/mlアンピシリン含有LB寒天プレートにて30℃で選択した。翌日、それ ぞれの形質転換からアンピシリン耐性形質転換体1つを拾って、100μg/mlア ンピシリン含有15/10培地2mlに入れ、培養物を30℃で16時間振盪させ た。各一晩培養物0.25mlを500mlバッフル付振盪フラスコ中同じ培地60m lに接種し、培養物をNew Brunswickフロアー・シェーカー中30℃、275rpm で振盪させた。光学密度は、550nmで監視し、光学密度が0.26〜0.32に 到達したら、培養物を回収する。培養物50mlを4℃で10分間IECベンチ・ トップ遠心機で遠心し、ペレットを冷CCMB80緩衝液4mlに再懸濁した。細 胞を氷上に20分間インキュベーションした。細胞を2mlずつ2つに分けた。2 ml部の一方をドライアイスエタノール浴にて5分間凍結させた。次いで細胞を氷 上で解凍した。生存可能細胞数は、0.85%NaClに連続希釈して測定した 。次いで、細胞を4℃の冷蔵庫中に置いた。第2部の細胞は次のように処理した :細胞250μlをNUNCクリオバイアルに入れ、そのバイアルをドラ イアイスエタノール浴にて凍結させた。細胞バイアル管1つは、生存可能細胞数 を測定するために使用し、残りのバイアルは−20℃のフリーザーに入れた。あ る間隔をおいて、4℃で貯蔵した細胞から生存可能細胞数を測定した。更に、バ イアル管を−20℃での貯蔵から取り出し、その生存可能細胞数を測定した。結 果は、図15および16に示す。図15から分かるように、プラスミドpDEL TA2含有DH10B細胞の生存可能細胞数は、4℃で9日貯蔵後、100倍低 下した。プラスミドpDELTA232含有DH10B細胞(fabBコード配列の クローニングに使用されるMluIフラグメント源)の生存可能細胞数は、同じ期間 で8倍だけ低下し、よって、生存可能細胞数においてプラスミドpDELTA2 含有DH10B細胞と比較し、30倍増強したことになった。pDELTA2fa bBクローン10、13、14および15を含有するDH10Bもまた、ベクター pDELTA2を含有するDH10B細胞に対し、30〜60倍の増強された生 存を示した。従って、fabBコード配列を含有するクローンは、4℃でのDH10 B細胞の生存増強をもたらした。 図16から分かるように、プラスミドpDELTA2 32およびpDELT A2fabBクローン10、13、14および15はいずれも、細胞を−20℃で貯 蔵した場合もDH10B細胞の生存増強をもたらす。fabBクローンは、DH10 B細胞の生存能において、プラスミドpDELTA2を含有するDH10Bの生 存能に対し、400〜700倍の増強をもたらした。 活性fabB遺伝子産物を発現するプラスミドが4℃および−20℃で貯蔵したD H10B細胞の安定性を増強する更なる証拠を提供するために、プラスミドpD ELTA2fabB14およびプラスミドpDELTA2fabB15におけるfabBのコ ード配列を、およそ750bpフラグメントの欠失により中断させた。pDEL TA2fabB14およびpDELTA2fabB15由来のプラスミドDNA(酵素的 に活性なfabB遺伝子をコードする)を、55℃で1時間Kpn2Iで消化した。次い で、PinAIを加え、反応を更に1時間37℃でインキュベーションした。消化反 応物を1%アガロースゲルでTAE緩衝液により電気泳動した。ゲルから単離し た9KbフラグメントをGlassMax(Gibco BRL)で精製し、精製DNAをTE緩衝 液に再懸濁した。9Kbフラグメントの末端をT4DNAリガーゼ で室温で16時間ライゲートした。ライゲーション反応は、最大効率DH10B コンピテント細胞を形質転換するために、37℃で100μg/mlアンピシリン含 有LBプレートでの選択と併用した。プレートからコロニーを拾って100μg/ mlアンピシリン含有LB培地に入れ、培養物を37℃で16時間増殖させた。プ ラスミドDNAを単離し、MluIおよびBglIで消化し、ゲル電気泳動により分析 した。pDELTA2 14欠失およびpDELTA2 15欠失と呼んだ2つの プラスミドは、750bpフラグメントを欠くことが示された。 750bpフラグメントの欠失が、fabB遺伝子産物の損失をもたらすかどうか を測定するために、pDELTA2、pDELTA2fabB14、pDELTA2 fabB15、pDELTA2 14欠失およびpDELTA2 15欠失をCGSC 5641(fabB15ts)のコンピテント細胞へ形質転換させた。その結果は、表3 に示す。 表3は、CGSC5641(fab15ts)コンピテント細胞のpDELTA2、 pDELTA2fabB14、pDELTA2 14欠失、pDELTA2fabB15 またはpDELTA2 15欠失プラスミドでの形質転換の結果を示す。プラス ミドpDELTA2をCGSC5641のコンピテント細胞内に形質転換すると 、30℃でのみアンピシリン耐性コロニーをもたらし、これは、pDELTA2 プラスミドが機能的fabB遺伝子産物をコードしないことを示す。 プラスミドpDELTA2fabB14またはpDELTA2fabB15をCGSC 5641のコンピテント細胞内に形質転換すると30℃および42℃の両方でア ンピシリン耐性コロニーをもたらし、これは、プラスミドpDELTA2fab B14およびpDELTA2fabB15が機能的fabB遺伝子産物をコードすること を示す。プラスミドpDELTA2 14欠失またはpDELTA2 15欠失の 形質転換は、30℃でのみアンピシリン耐性コロニーをもたらし、これは、これ らのプラスミドが機能的fabB遺伝子産物をコードしないことを示す。よって、fa bBコード領域のおよそ750bpが欠失すると、fabBts変異を補足できない。 MluI部位は、768および2436位にある。MluI14△およびMluI15 △での欠失は、fab470プライマーとの接合部(配列番号5)全域での配列決定 により確認した。fab470プライマーの3'末端は、我々のfabB遺伝子配列中の 1298塩基に配置する。この欠失により、塩基1310から2033が除去さ れるはずである。典型的には、このプライマーの3'配列の最初のおよそ20塩 基は解読可能でないので、このプライマーを用いた場合、最初の解読可能塩基は 、欠失がない場合はfabB配列の約1318位であり、欠失がある場合は約204 1位であろう。解読可能な配列は、両方のクローンとも2041位で始まるため 、その欠失は予想どおりである。プライマーfab470由来のクローンMluI14 △およびMluI15△の配列(配列番号17)は、下記の通りである: fabBコード配列の混乱がプラスミドのDH10B細胞安定化能力を低減するか どうかを測定するために、プラスミドpDELTA2、pDELTA2fabB14 、pDELTA2fabB15、pDELTA2 14欠失およびpDELTA2 1 5欠失を最大効率DH10BロットHFK701に形質転換させた。形質転換体 は、100μg/mlアンピシリン含有LBプレートにて30℃で16時間平板培養 した。それぞれの形質転換から単一コロニーを拾い、100μg/mlアンピシリン 含有15/10培地2mlに入れ、培養物を30℃で16時間振盪させる。一晩培 養物0.25mlを同じ培地50mlに接種し、550nmでの光学密度が0.27から 0.30になるまで増殖させた。細胞をIEC HN SII遠心機にて4℃、2 500rpmで10分間遠心して集め、細胞ペレットを冷CCMB80緩 衝液4mlに再懸濁させた。細胞を氷上に20分間置き、細胞250μlを冷凍N UNCクリオバイアルに入れた。細胞をドライアイスエタノール浴で5分間凍結 させ、−20℃のフリーザーに入れた。残りの細胞をドライアイスエタノール浴 で凍結させ、解凍して4℃で置いた。生存可能細胞数は、0.85%塩水での連 続希釈により測定した。ある間隔をおいて、4℃または−20℃のいずれかで様 々な期間後の生存可能細胞数を測定した。 結果は、図17および18に示す。図17は、CCMB80緩衝液中4℃で貯 蔵したpDELTA2プラスミド含有DH10B細胞の生存可能細胞数が、30 日の期間で1×108細胞/mlから1×105細胞/mlに下落することを示す。プラ スミドpDELTA2fabB14またはpDELTA2fabB15を含有する細胞の 生存可能細胞数は、pDELTA2ベクター含有細胞よりもおよそ100倍高い 。これらの結果は、機能的fabB遺伝子を含有するプラスミドが4℃で貯蔵したD H10B細胞の安定性を顕著に増強することを示す。fabBコード配列を中断する 欠失誘導体(プラスミドpDELTA2 14欠失およびpDELTA2 15欠 失)を含むDH10B細胞は、無傷のfabBコード配列を含有するDH10B細胞 におけるよりも実質的に低い生存可能細胞数を持つ。これらの結果は、fabBコー ド配列の混乱が、これらのプラスミドのDH10B細胞安定化能力を除去するこ とを示している。DH10BpDELTA2 14欠失およびpDELTA2 1 5欠失の生存可能細胞数は、DH10BpDELTA2細胞の生存可能細胞数よ りもわずかに高い。これらの結果は、中断fabBコード配列と共にプラスミドを含 有する細胞におけるfabB遺伝子産物の僅かな増大が、恐らくこれらのプラスミド の調節作用によるものであることを示している。図18は、−20℃で60日間 貯蔵したpDELTA2プラスミド含有DH10B細胞が、生存可能細胞数を3 対数減少するという著しい不安定性を示すことを指摘している。機能的fabB遺伝 子産物の存在(プラスミドpDELTA2fabB14またはpDELTA2fabB1 5の存在に起因する)は、生存可能細胞数の100倍増大をもたらす。更に、fab Bコード配列を中断する欠失誘導体の存在は、プラスミドpDELTA2含有細 胞よりもわずかに高いが、機能的fabB遺伝子産物をコードするプラスミドを含有 する細胞よりもかなり低い生存可能細胞数をもたらす。 これらの結果は、マルチコピープラスミド上に無傷fabB遺伝子が存在すると、 細胞を4℃または−20℃のいずれかで貯蔵した場合、DH10B細胞の安定性 を向上することを示す。 実施例15 不飽和脂肪酸レベルに対するFabBの効果 E.コリにおけるfabB遺伝子のクローニングおよび過剰発現の結果の1つは、 膜リン脂質にみられる不飽和脂肪酸総量の増大である。この増大は、シスバクセ ネートレベルが増大した結果である(de Mendoza D.et al.,J.Biol.Chem.25 8:2098-2101(1983))。クローン化fabB遺伝子が、DH5αおよびDH10B細胞 におけるシスバクセネートレベルの増大も同様に引き起こすかどうかを評価する ために、pCP13、コスミドクローン1、pDELTA2およびpDELTA 2fabB15を、DH5αおよびDH10Bのコンピテント細胞に形質転換させ、 細胞膜中に存在する脂肪酸の分析用に、これらの細胞を増殖させた。細胞はまた 、CCMB80緩衝液中、−20℃での安定性についても分析した。形質転換体 は、50μg/mlカナマイシン(pCP13およびコスミドクローン1の場合)また は100μg/mlアンピシリン(pDELTA2およびpDELTA2fabB15の 場合)を含有するLBプレートにて30℃で選択した。これらのプレートのコロ ニーを培地2mlに接種した。DH5αpCP13およびDH5αコスミドクロー ン1の場合、細胞を50μg/mlカナマイシン含有SOB培地に接種した。DH5 αpDELTA2およびDH5αpDELTA2fabB15の場合、細胞を100 μg/mlアンピシリン含有SOB培地に接種した。DH10BpCP13およびD H10Bコスミドクローン1の場合、細胞を50μg/mlカナマイシン含有15/ 10培地に接種した。DH10BpDELTA2およびDH10BpDELTA 2fabB15の場合、細胞を100μg/mlアンピシリン含有15/10培地に接種 した。DH10BpDELTA2およびDH10BpDELTA2fabB15の場 合、細胞を100μg/mlアンピシリン含有15/10培地に接種した。細胞を3 0℃で16時間増殖させた。培養物250μlを同じ培地60mlに接種し、培養 物を30℃、275rpmで増殖させた。光学密度は550nmで監視し、培養物が 光学密度およそ0.3(範囲0.253〜0.312)に到達したら、 細胞を遠心して集めた。具体的には、細胞40mlをIEC HN SII遠心機に て4℃、250rpmで10分間遠心して集めた。細胞ペレットを冷CCMB80 3.2mlに再懸濁し、細胞を氷上に20分間置いた。細胞250μlをNUNCク リオバイアルに入れ、バイアルをドライアイスエタノール浴中、5分間凍結させ た。細胞を安定性研究用に−20℃のフリーザーで貯蔵した。ある間隔をおいて 、2つのバイアルをフリーザーから取り出し、細胞を生存可能細胞数についてア ッセイした。残りの細胞(15〜20ml)を遠心して集め、10mMトリスHClp H7.5中で1回洗浄し、細胞ペレットを−20℃で貯蔵した。脂質を細胞ペレ ットから抽出し、脂肪酸について分析した。 細胞ペレットを洗浄し、蒸留水に再懸濁し、溶液をガラス管に移した。各容量 の細胞溶液のガラス管にメタノール2容量とクロロホルム1容量を加えた。混合 および遠心後、上清を新しいガラス管に移した。この管に1容量の蒸留水と1容 量のクロロホルムを加え、二相溶液を得た。有機相を新しいガラス管に移し、有 機溶液を、溶液表面上に窒素ガスを吹き込んで乾燥させた。次いで、エタノール 2mlを各管に加え、溶液を再度窒素で乾燥させた。エタノール洗浄工程を繰り返 した。0.5Mナトリウムメトキシド(Aldrich)2mlを各管に加え、その管を室温 で1時間維持した。氷酢酸0.1mlと蒸留水5mlを各管に加えた。溶液をヘキサ ン5mlで2回抽出した。次いで、溶液を乾燥させ、二硫化炭素200μlに再溶 解させた。 GC分析では、キャピラリー注入口システムとHP7673自動サンプラーを 装備したHewlett-Packard 5890シリーズIIガスクロマトグラフ装置を使用した(H ewlett-Packard,Palo Alto,CA)。カラムは、フィルム厚1.0μのジメチリポ リシロキサンでコーティングされた30m×0.32μmI.D.融合シリカキャピラ リーカラムであった(Alltech,Deerfield,IL)。流速1ml/分の超高純度ヘリウ ムをキャリアーガスとして使用した。285℃に設定したインジェクターによる 分割注入(50:1)モードを使用した。オーブン温度は190℃に設定した。各 分析後に、オーブン温度を50℃/分ずつ285℃まで上昇させ、10分間維持 した。FID検出器温度は285℃であった。 表4は、DH5αおよびDH10Bにおける不飽和脂肪酸レベルに対するfab Bクローンの存在効果を示す。 表4中、C14:0はミリスチン酸を表し、C16:0はパルミチン酸を表し 、C16:1はパルミトール酸を表し、C17:0はマルガリ酸を表し、C18 :0はステアリン酸を表し、C18:1はシスバクセン酸を表し、C19:0は ノンデシル酸を表す。表4および図19から分かるように、DH5α株における コスミドクローン1の存在は、シスバクセネートレベルを、DH5αpCP13 株の15.5%からDH5αコスミドクローン1の41%へと上げる。プラスミ ドpDELTA2fabB15の存在は、シスバクセネートレベルをDH5αpDE LTA2の12.2%からDH5αpDELTA2fabB15の69.2%へと上げ る。シスバクセネートレベルにおける同様の増大が、DH10B株でも見られた 。シスバクセネートレベルは、DH10BpCP13株の29.9%からDH1 0Bコスミドクローン1の40.6%へ、DH10BpDELTA2株の29.3 %からDH10BpDELTA2fabB15の62.4%へと上げる。総不飽和脂 質レベル(C18:1およびC16:1の両方)を算出する場合、プラスミド上の 機能的fabB遺伝子の存在は、不飽和脂肪酸レベルをDH5αpCP13およびD H5αpDELTA2株の48〜49%からDH5αコスミドクローン1の 66.5%へ、およびDH5αpDELTA2fabB15の91%へと上げる(図2 0)。予想どおり、より高コピー数プラスミドpDELTA2fabB15は、より 低コピー数コスミドクローン1よりも不飽和脂質レベルを上げる。DH10B株 では、プラスミド上の機能的fabB遺伝子の存在は、不飽和脂肪酸レベルをDH1 0BpCP13およびDH10BpDELTA2株の56−60%からDH10 Bコスミドクローン1の67%へ、およびDH10BpDELTA2fabB15の 80%へと上げる(図20)。この場合も、より高コピー数プラスミドpDELT A2fabB15は、より低コピー数コスミドクローン1よりも不飽和脂質レベルを 上げる。 安定性研究の結果は図21および22にみることができる。図21からわかる ように、pCP13またはpDELTA2を含有するDH5α細胞は、−20℃ で不安定であり、生存可能細胞数は、2ヶ月の間に3〜5×108細胞/mlから3 .9〜106細胞/mlへ低下する。コスミドクローン1またはpDELTA2fabB 15を含有するDH5α細胞は、対照細胞よりも安定であり、pCP13または pDELTA2を含有する細胞と比較して、5〜10倍以上の生存可能細胞/ml を有する。同様に、pCP13またはpDELTA2を含有するDH10B細胞 もまた、−20℃で不安定であり、−20℃で同じ期間にわたり2〜3×108 細胞/mlがらおよそ1.0×106細胞/mlに減少する(図22)。コスミドクローン 1またはpDELTA2fabB15を含有するDH10B細胞は、対照細胞よりも 10〜40倍高い生存可能細胞数を持ち、より安定である。 図23に示したように、DH5αとDH10B細胞の−20℃での生存と細胞 膜中に見られる不飽和脂肪酸量との間には相関関係が存在する。この結果を−2 0℃での細胞生存としてY軸上に、不飽和脂肪酸としての総脂質のパーセントを X軸上にプロットすると、細胞膜中の総不飽和脂質値が高ければ高いほど、−2 0℃での細胞の生存率が大きくなることが示される(図23)。 実施例16 SB3499B細胞の生存増大 −20℃で貯蔵したSB3499B細胞の生存増大が細胞膜の不飽和脂肪酸レ ベルの増大に起因するかどうかを測定するために、DH10BおよびSB349 9B細胞を数種の異なる温度で増殖させ、脂質を実施例15のように分析した。 更に、fabFの変異を含むCY322株もまた、この研究に含まれる。この特定の fabF変異は、全ての増殖温度でシスバクセネートの過剰生産をもたらす(Ulrich ,A.K.et al.,J.Bact 154:221-230(1983))。具体的には、−70℃で貯蔵し たCY322、DH10BおよびSB3499Bマスターシードをコスミドの実 験に使用する細胞源として使用した。菌株をLBプレートにて画線塗沫し、プレ ートを23℃、30℃、37℃および42℃でインキュベーションした。これら のプレート由来の細胞を用いて1.5mlブロス培養物に接種した。DH10Bお よびSB3499Bの場合、細胞を15/10培地に接種した。CY322の場 合、細胞をSOB培地に接種した。培養物を23℃、30℃、37℃および42 ℃で16時間増殖させた。DH10BおよびSB3499B細胞0.3mlを15/ 10培地60mlに接種し、培養物を適切な増殖温度、275rpmで増殖させ、光 学密度は550nmで監視した。CY322細胞0.2mlをSOB培地25mlに接 種し、培養物を適切な増殖温度で振盪させた。CY322細胞の光学密度が0. 25(範囲0.24〜0.262)に到達したら、細胞をIEC HN SII遠心機に て4℃、2500rpmで10分間遠心して集めた。細胞ペレットを10mMトリス HCl pH7.5で1回洗浄し、−20℃で貯蔵した。脂質を抽出し、実施例1 7に示したようにしてGCにより分析した。DH10BおよびSB3499B細 胞の場合、光学密度を監視し、ODがおよそ0.3(範囲0.24〜0.33)に到 達したら、細胞40mlを遠心して集め、細胞ペレットを冷CCMB80 0.32 mlに再懸濁した。細胞を氷上で20分間維持させ、250μlをNUNCクリオ バイアルに入れた。バイアルをドライアイスエタノール浴で凍結させ、安定性研 究用に−20℃で貯蔵した。細胞15〜20mlもまた、遠心し、細胞ペレットを 10mMトリスHCl pH7.5で1回洗浄した。細胞ペレットを−20℃で貯蔵 し、次いで、実施例17に示したような脂質分析のために抽出した。 脂質分析の結果は、表5および図24にみられる。 表5中、C14:0はミリスチン酸を表し、C16:0はパルミチン酸を表し 、C16:1はパルミトール酸を表し、C17:0はマルガリ酸を表し、C18 :0はステアリン酸を表し、C18:1はバクセン酸を表し、C19:0はノン デシル酸を表す。 図24は、SB3499Bの細胞が、DH10Bの細胞(17〜20%)と比較 して高レベルのシスバクセネート(37〜42%)を有することを示す。より高レ ベルのシスバクセネートは、23℃、30℃または37℃のいずれかで増殖させ たSB3499B細胞中にみられる。しかしながら、SB3499B細胞を42 ℃で増殖させると、シスバクセネートレベルは、42℃で増殖させたDHIOB 細胞の場合よりもそれほど高くない。更に、23℃、30℃、37℃または42 ℃で増殖させたCY322細胞は、DH10B中にみられたレベルよりも高いシ スバクセネートレベルを有し、増殖温度によってあまり変化しない。この事実は 、fabF変異を持つ既知のE.コリ株表現型(CY322など)、具体的には、増殖 温度に関するシスバクセネートの過剰生産と一致する。 図25はまた、23℃、30℃および37℃で、不飽和脂質の総レベル(C1 6:1およびC18:1)がSB3499B細胞ではDH10B細胞よりも高い ことを示している。そのレベルは、SB3499Bでは65%から71%の範囲 であり、DH10Bでは49%から52%である。一方、これら2種の菌株を4 2℃で増殖させると、不飽和脂質のレベルは、両方の菌株において実質的に同じ である(DH10Bでは41%、SB3499Bでは48%)。これらの結果は、 SB3499Bが、せいぜい試験した増殖温度で、DH10B細胞と比べてシス バクセネートを過剰生産することを示す。結果として、これらの同じ増殖温度で 、リン脂質中の不飽和脂質レベルは、DH10BよりもSB3499Bの方が高 い(図25)。 −20℃安定性研究の結果は図26および27に与える。DH10B細胞は、 −20℃で貯蔵した場合、かなり不安定であるが、37℃または42℃で貯蔵す ると一層不安定なようである。23℃または30℃で増殖させ、−20℃で貯蔵 させたDHIOB細胞は、−20℃で1ヶ月後、生存可能細胞のおよそ90%を 損失するのに対し、37℃または42℃で増殖させたDH10B細胞は、生存可 能細胞のおよそ99%を損失する。SB3499B細胞は、ここでもDH10B 細胞と比べて高い生存を示すが、その効果は増殖温度に左右される。23℃で増 殖させ、−20℃で1ヶ月貯蔵したSB3499B細胞は、DH10B細胞と比 較して6倍高い生存可能細胞数を有する。しかしながら、SB3499B細胞の 生存可能細胞数の向上は、DH10B細胞と比べ、増殖温度が上がるにつれ累進 的に低くなる。37℃または42℃で増殖させたSB3499B細胞は、DH1 0B細胞と同様−20℃で安定でない。細胞膜中の総不飽和脂肪酸と−20℃で の細胞生存との相関関係は、−20℃での細胞生存を細胞膜の総不飽和脂肪酸含 量に対してプロットすると観察できる。このデータは図28に示す。データは、 菌株SB3499BおよびDH10Bの両方における相関関係を示し、細胞膜の 総不飽和脂肪酸組成の増大は、−20℃での細胞生存の増強をもたらす。 本発明は、その具体的な実施態様に関連して記載してきたが、更なる修飾が可 能であり、本願が、一般に、本発明の本質に従い、かつ本発明が関連する分野内 の既知または慣用事項に属するような、および上述の実質的な特徴に応用でき、 添付の請求の範囲に従うような本開示からの派生事項を含む本発明のあらゆる変 更、使用または適応を包含することを意図すると理解されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP ,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU, LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI ,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US, UZ,VN,YU (72)発明者 クオ,ジョナサン アメリカ合衆国20874メリーランド州 ジ ャーマンタウン、クーパー・リッジ・ロー ド 13305番 (72)発明者 リン,ジージュ アメリカ合衆国20854メリーランド州 ポ トマック、キャンドルライト・コート4番 (72)発明者 マ,ジン アメリカ合衆国20879メリーランド州 ゲ イザーズバーグ、ロスト・ナイフ・サーク ル 18365番、アパートメント203

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.低温貯蔵中の生存能が増強された、または形質転換効率が増強された細菌を 得る方法であって、 a.細菌に該細菌の脂肪酸含量を変えるような修飾を施し、 b.低温貯蔵中の生存能が増強されたまたは形質転換効率が増強された修飾細 菌を単離する、 ことを含んでなる方法。 2.該修飾工程が該細菌を遺伝子的に変えることを含んでなる、請求の範囲第1 項記載の方法。 3.該修飾工程が、該細菌の不飽和脂肪酸含量の変化に関与する1種またはそれ 以上の遺伝子を修飾することを含んでなる、請求の範囲第1項記載の方法。 4.該修飾工程が、該細菌の1種またはそれ以上の不飽和脂肪酸含量を増大する ことを含んでなる、請求の範囲第1項記載の方法。 5.該修飾工程が、1種またはそれ以上の該不飽和脂肪酸遺伝子の発現を増強す ることを含んでなる、請求の範囲第3項記載の方法。 6.該発現増強が、該遺伝子のコピー数を増やすことを含んでなる、請求の範囲 第5項記載の方法。 7.該発現増強が、該遺伝子の転写または翻訳を増大することを含んでなる、請 求の範囲第5項記載の方法。 8.該細菌がグラム陰性菌である、請求の範囲第1項記載の方法。 9.該細菌がエシェリヒアである、請求の範囲第8項記載の方法。 10.該細菌がE.コリである、請求の範囲第9項記載の方法。 11.該脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、パルミトール酸およびシスバクセ ン酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸である、請求の範囲第1項記載の方 法。 12.該不飽和脂肪酸が、シスバクセン酸およびパルミトール酸からなる群から 選択される、請求の範囲第11項記載の方法。 13.該修飾細菌は、細菌膜中の不飽和脂肪酸含量が変えられている、請求の範 囲第1項記載の方法。 14.該低温が約−20℃から約4℃の範囲である、請求の範囲第1項記載の方 法。 15.低温貯蔵中の細菌の生存能を増強する、または細菌の形質転換効率を増強 する方法であって、該細菌の脂肪酸含量を変えることを含んでなる方法。 16.該修飾工程が遺伝子的に該細菌を変えることを含んでなる、請求の範囲第 15項記載の方法。 17.該修飾工程が、該細菌の不飽和脂肪酸含量の変化に関与する1種またはそ れ以上の遺伝子を修飾することを含んでなる、請求の範囲第15項記載の方法。 18.該修飾工程が、該細菌の1種またはそれ以上の不飽和脂肪酸量を増大する ことを含んでなる、請求の範囲第15項記載の方法。 19.該修飾工程が、1種またはそれ以上の該不飽和脂肪酸遺伝子の発現を増強 することを含んでなる、請求の範囲第17項記載の方法。 20.該発現増強が、1種またはそれ以上の該遺伝子のコピー数を増やすことを 含んでなる、請求の範囲第19項記載の方法。 21.該発現増強が、1種またはそれ以上の該遺伝子の転写または翻訳を増大す ることを含んでなる、請求の範囲第19項記載の方法。 22.該細菌がグラム陰性菌である、請求の範囲第15項記載の方法。 23.該細菌エシェリヒアである、請求の範囲第22項記載の方法。 24.該細菌がE.コリである、請求の範囲第23項記載の方法。 25.該脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、パルミトール酸およびシスバクセ ン酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸である、請求の範囲第15項記載の 方法。 26.該不飽和脂肪酸が、シスバクセン酸およびパルミトール酸からなる群から 選択される、請求の範囲第25項記載の方法。 27.該修飾細菌は、細菌膜中の不飽和脂肪酸含量が変えられている、請求の範 囲第15項記載の方法。 28.該低温が約−20℃から約4℃の範囲である、請求の範囲第15項記載の 方法。 29.請求の範囲第1項または第15項のいずれか1項の方法により生産される 細菌。 30.脂肪酸含量が変えられている、貯蔵安定性細菌。 31.該細菌が形質転換に対してコンピテントである、請求の範囲第30項記載 の方法。 32.低温貯蔵中の生存能が増強された、または形質転換効率が増強された細菌 であって、脂肪酸含量が変えられている、細菌。 33.該細菌は、不飽和脂肪酸含量が増やされている、請求の範囲第32項記載 の細菌。 34.該細菌が遺伝子的に修飾されている、請求の範囲第32項記載の細菌。 35.該細菌が、該細菌の不飽和脂肪酸含量の変化に関与する1種またはそれ以 上の遺伝子を含んでなる、請求の範囲第32項記載の細菌。 36.該不飽和脂肪酸量の増大が、該細菌の不飽和脂肪酸含量の変化に関与する 1種またはそれ以上の遺伝子の発現を増強することによって引き起こされる、請 求の範囲第33項記載の細菌。 37.該発現増強が、1種またはそれ以上の該遺伝子のコピー数を増やすことを 含んでなる、請求の範囲第36項記載の細菌。 38.該発現増強が、1種またはそれ以上の該遺伝子の転写または翻訳を増大す ることを含んでなる、請求の範囲第36項記載の細菌。 39.該細菌がグラム陰性菌である、請求の範囲第32項記載の細菌。 40.該細菌がエシェリヒアである、請求の範囲第39項記載の細菌。 41.該細菌がE.コリである、請求の範囲第40項記載の細菌。 42.該脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、パルミトール酸およびシスバクセ ン酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸である、請求の範囲第32項記載の 細菌。 43.該不飽和脂肪酸が、パルミトール酸およびシスバクセン酸からなる群から 選択される、請求の範囲第42項記載の細菌。 44.該細菌は、細菌膜中の不飽和脂肪酸含量が変えられている、請求の範囲第 32項記載の細菌。
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