JP2001517444A - インスリン様ポリペプチドとその使用 - Google Patents

インスリン様ポリペプチドとその使用

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JP2001517444A JP2000512956A JP2000512956A JP2001517444A JP 2001517444 A JP2001517444 A JP 2001517444A JP 2000512956 A JP2000512956 A JP 2000512956A JP 2000512956 A JP2000512956 A JP 2000512956A JP 2001517444 A JP2001517444 A JP 2001517444A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、例えば結腸及び子宮から、新規の発現したインスリン様ポリペプチド(ILP)を同定及びコードするヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。本発明はまた、ILPをコードするヌクレオチド配列に対するアンチセンス分子、精製したILPの生産のための発現ベクター、ILPに特異的に結合することができる抗体、ILPコード化核酸配列の検出用のハイブリダイゼーションプローブ又はオリゴヌクレオチドILPの発現のために遺伝操作した宿主細胞、ILPコード化核酸分子に基づくインスリン様活性のための診断試験及び該タンパク質に特異的に結合することができる抗体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
発明の分野 本発明は、新規なインスリン様ポリペプチド(ILP)、ILPをコードして
いる核酸、ILPコード化核酸を含むベクターと宿主細胞、及びILPの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
発明の背景 インスリンは、インスリン様成長因子(IGF−I,及び−II)、レラキシ
ン、プラセンチン及び他の類似タンパク質を含む相同タンパク質のファミリーの
良く研究されたメンバーである。ヒトインスリンは、5.8kDaの分子量を持
つ小さなタンパク質である。それはジスルフィド結合によって互いに結合した二
つのアミノ酸鎖(AとB)から構成される。第3のアミノ酸鎖(C−ペプチド)
は、成熟タンパク質を生産するためのプロインスリンから切断される。
【0003】 成熟インスリンの重要な作用は、身体における大部分の細胞の膜を通してグル
コース輸送の速度を増加するそれの能力である。インスリンの完全な不在におい
て、細胞へのグルコース輸送の総合的な速度は、正常値のほぼ4分の1のみとな
る。一方、インスリンの大過剰が分泌される場合、過剰のグルコースが輸送され
るべく利用可能となり、細胞へのグルコース輸送の速度は、正常の5倍程度大き
くなる。かくして、多くの組織についてのグルコース輸送の速度は、20倍程度
に変化し得る。
【0004】 インスリンは、膜レセプター分子と結合したインスリンの容易な拡散のプロセ
スを刺激することによって細胞へのグルコース輸送を促進する。インスリンによ
る細胞膜を通してのグルコースの増大した輸送は、骨格筋と脂肪組織中で特に有
効である。加えて、インスリンは、心臓と子宮のようなある種の平滑筋器官への
グルコース輸送を増す。血中のインスリンとグルコースの両方が過剰であると、
骨格筋中の貯蔵グリコーゲンが顕著に増加し、且つ皮膚、腺、及び他の組織中の
グリコーゲンの中程度の増加がある。脂肪組織において、脂肪細胞へ輸送された
過剰なグルコースは、大部分が脂肪に転換され、この形で貯蔵される。肝細胞に
おいて、過剰グルコースの大部分がグリコーゲンとして貯蔵されていて、且つそ
のグリコーゲン含量がこれら細胞中の限界に達した後、大部分の残る過剰のグル
コースは脂肪に転換される。かくして、インスリンの迅速且つ強力な作用は、脂
肪組織において脂肪貯蔵を促進することである。
【0005】 インスリンはまた、細胞へのアミノ酸の能動輸送を増加し、タンパク質へのm
RNAの翻訳を促進し、且つ続く翻訳のためのmRNAを形成するためDNAの
転写を増加することによってタンパク質代謝にも影響を及ぼす。
【0006】 インスリンの代謝的作用は、成長ホルモンとして成長のために非常に重要にな
る。インスリンの欠如は、循環体液へのアミノ酸の放出と血漿アミノ酸レベルの
上昇の結果と共に、身体タンパク質の極端な消耗をもたらす。タンパク質消耗は
、極端な衰弱と異常な器官機能に至る、重篤な真性糖尿病の全ての影響の最も重
大なものの一つである。
【0007】 関連分子、IGF−1は、血漿、脳脊髄液、及び他の体液中に存在するペプチ
ドである。それは、3つのジスルフィド結合を含む、70アミノ酸を含む。IG
F−Iは、広範な細胞型の成長を促進することができ、且つ骨格の成長に関する
成長ホルモンの作用を調節することができる。大部分の組織、特に肝臓は、特異
的IGF結合タンパク質と共にIGF−Iを生産する。これらの分子は、成長ホ
ルモン(GH)の制御下にある。GH様の、IGF−Iは、強力な同化性タンパ
ク質である(例えば、Tannerら(1977) Acta Endocrinol. 84:681-696;及びUthn
eら、(1974) J. Clin. Endocrinol. Metab. 39:548-554を参照)。IGF−Iは
、ヒト血清から単離され且つ組換えで製造されている(例えばEP123228
とEP128733を参照)。
【0008】 IGF−IとIGF−IIを含むインスリン様成長因子は、それがCドメイン
領域によって結合したAとBドメインを含むこと、及びプロインスリンに高度の
親和性を有することにおいて、ヒトのプロインスリンに化学的に関係付けられる
。該IGFsは、プロインスリン中で見出されない、C末端でのDドメインを含
む。該IGFsは、それが結合するレセプターの細胞質ドメイン内の特異的チロ
シン残基のリン酸化を促進することによると同様にインスリンと機能的に相同で
ある。
【0009】 ヒトIGF−Iに大きな相同性を持つタンパク質は、他の種の血漿から精製し
たIGF−Iの試料中に存在する。IGF−Iは、全身的及び局所的効果の両方
を有し且つ、配列決定されており、且つIGFBP−1,IGFBP−2,IG
FBP−3,IGFBP−4,IGFBP−5,IGFBP−6,Mac25(
IGFBP−7)、及びプロスタサイクリン刺激因子(PSF)又は内皮細胞特
異分子(ESM−1)と称されている幾つかの、異なる特異的結合タンパク質と
結合するようである。Mac25は、例えば、Ohら、J. Biol. Chem., 271:3032
2-30325 (1996)中に記載される。PSFは、Yamauchiら、Biochemical Journal,
303:591-598 (1994)中に記載される。ESM−1は、Lassalleら、J. Biol. Ch
em., 271:20458-20464 (1996)中に記載される。他に同定されたIGFBPsに ついては、例えば、1990年6月27日公開のEP375438;1990年5月23日公開
のEP369943;1989年10月5日公開のWO89/09268;Woodら、Mol
ecular Endocrinology, 2:1176-1185(1988);Brinkmanら、The EMBO J., 7:2417
-2423(1988);Leeら、Mol. Endocrinol., 2:404-411(1988);Brewerら、BBRC, 1
52:1289-1297(1988);1988年12月7日公開のEP294021;Baxterら、BBRC,
147:408-415(1987);Leungら、Nature, 330:537-543(1987);Martinら、J. Bio
l. Chem., 261:8754-8760(1986);Baxterら、Comp. Biochem. Physiol., 91B:22
9-235(1988);1989年9月21日公開のWO89/08667;1989年10月19日公開
のWO89/09792;及びBinkertら、EMBO J., 8:2497-2502(1989)を参照 。これらの結合タンパク質は、ポジティブ及びネガティブ手法の両方でIGF−
Iの生物学的機能と利用能を調節するようである。該結合タンパク質への変化し
た親和性を持つ類似物が生産されており、且つ配列変異に関係した生物学的活性
の変更が見出されている。IGF−Iは、多くの異なる細胞型において原形質膜
の他の表面上に露出した1型IGFレセプターとの相互作用によって主に作用す
るようである。2型IGFレセプターとインスリンレセプターに対する結合もま
た、重要であると思われる。
【0010】 組換えヒトIGF−I(rhIGF−I)の利用能は、身体の食物代謝につい
てホルモンの影響の範囲を評価するための手段を提供している(例えば、Boulwa
re, S.D.ら(1992) Am. J. Physiol. 262:E130-E133及びそこで引用された参考文
献を参照)。正常な絶食ラットにおいて、rhIGF−Iは、抗インスリン血清
と同時に注入した場合、低血糖症を生じることが示されている。インスリンとr
hIGF−Iの両方が末梢グルコース取り込みを促進することが示されている一
方で、rhIGF−Iは肝臓によってグルコースの生産における抑制的作用を僅
かに有するか又は有さず(Jacob, R.ら(1989) J. Clin. Invest. 83:1717-1723)
、rhIGF−Iはまた、インスリンのそれと区別される特徴、ラットにおける
遊離脂肪酸(FFA)レベルについて検出可能な影響を有していない。
【0011】 研究者は、IGF−Iの静脈内ボーラス注射がヒトにおいて血中グルコースレ
ベルを低下することを見出している(Gulerら(1987) N. Engl. J. Med. 317:137
-140)。加えて、IGF−Iは、下垂体切除ラット(Gulerら、Endocrinology,
118:Supp 129 abstract, Skottnerら(1987) J. Endocrinol. 112:123-132;Gule
rら(1988) PNAS USA 85:4889-4893;Froeschら、in Endocrinology Intl. Congr
ess Series 655, LabrieとProulx, eds., Amsterdam: Excerpta Medica, 1984)
、糖尿病ラット(Scheiwillerら(1986) Nature 323:169-171(1986))、及び矮小
ラット(Skottnerら(1989) Endocrinology 124:2519-2526)のような低IGF−
Iレベルで特徴付けされる幾つかの代謝条件で成長を促進する。下垂体切除ラッ
トの腎臓重量は、皮下的なIGF−Iの延長注入で実質上増加する(Gulerら、P
roceedings of the 1st European Congress of Endocrinology 103:abstruct 12
-390(Copenhagen, 1987))。IGF−Iの更なる使用は、ヒト患者において糸球
体濾過と腎プラスマ流を改善するためのその投与である(例えば、EP3275
03;及びGulerら(1989) PNAS USA 86:2868-2872を参照)。ヒト対象者におい て、rhIGF−Iの連続注入が、他の糖調節ホルモンを調節するその能力と同
じくそのホルモンの直接の作用の可能性のある組み合わせの結果となり得る、グ
ルコース、脂質及びアミノ酸代謝における顕著な変化をもたらすことが見出され
た(Boulwareら(1992)上記)。rhIGF−Iとインスリンに対する類似の観測
された代謝応答は、IGF−Iとインスリンが細胞内事象の類似のカスケードを
活性化することを又はそれが同じレセプターに結合されることを示唆した(Boul
wareら(1992)上記)。
【0012】 IGFsは、房水(Tripathiら(1991) Dev. Drug Res. 22:1-23)と硝子体液 (Grantら(1991) Diabetes 35:416-420)中の発育途中の及び成人の目の両方で 見出され、且つ網膜神経細胞の生存性を促進することが示唆されている(WO9
3/08826)。
【0013】 レラキシンは、分娩を容易にするために哺乳動物の生殖管の組織中で生産され
且つ作用するタンパク質であるとして最初は決定された(Sherwood, O.D. in "T
he Physiology of Reproduction", E. KnobilとJ. Neill, eds, p.861, Raven,
New York(1994);及びWade, J.D.とTregear, G.W. in Methods in Enzymlogy 28
9:637-646(1997))。レラキシンの作用原理は、恥骨靭帯の伸張、骨盤の拡張、 子宮収縮の鈍化、及び頸の柔軟化と膨張であると考察された(Wade, J.D.とTreg
ear, G.W.(1997)上記)。しかしながら、後の研究でレラキシンが、血漿重量オ スモル濃度とアルギニンバソプレシンの間の相関関係を経ての流体バランスにお
ける変化(Weisenger, R.S.ら(1995) J. Endocrinology 137:505-510);心拍数
(変時性活性)及び心筋収縮性(イオン性活性)における変化(Kakouris, H.ら
(1995) Lancet 339:1076-1978);及びオスの精液プラスマ中の存在(Winslow, J
.W.ら(1992) Endocrinology(1992) 130:2660-2668)を生じることができるよう なより広い生理学的役割を有していることが示された。
【0014】 レラキシンレセプターは、子宮、脳、及び心臓を含む組織で32P標識した合成
レラキシンを用いたオートラジオグラフィーによって3つの組織中で観測されて
いる(Osheroff, P.とHo, W.-H.(1993) J. Biol. Chem.268:15193-15199)。レ ラキシン結合領域は、血圧と流量と電解質ホメオスタシスのような心臓血管機能
の制御に関連した脳の領域で観測された。
【0015】 レラキシンは、心臓血管の疾患において役割を演じることを示唆する、アンギ
オテンシンII又はエンドセリンよりもより強力であることが示されている(Su
mmers, R.J.ら、in "Recent Progress in Relaxin Research", A.H. MacLennan ら、eds., p.487, Global. Singapore(1995))。それが強皮症のような皮膚疾患
におけるその潜在的な使用に至る、コラーゲン堆積を抑制することも示されてい
る。
【0016】 インスリンC−ペプチドが生物学的な活性を有することが最近示された。ヒト
へのC−ペプチドの注入は、脈管と神経の(電気生理学的)機能不全を防ぎ又は
減じ、且つ糖尿病ラットの組織中のNa+-とK+-依存アデノシン三リン酸活性を
減じた(Ido, Y.ら(1997) Science 277:563-566)。
【0017】
【課題を解決するための手段】
発明の開示 主題発明の一態様は、結腸及び子宮において、同様に肝臓、胎盤、肺、及び眼
において発現される新規ヒトインスリン様ポリペプチドを独自にコードしている
、遺伝子、pro−ilpの核酸配列(配列番号:1)を提供する。その新規遺
伝子は、インスリン/IGFファミリーのメンバーであるインスリン様ポリペプ
チド、pro−ILP(配列番号:2)をコードする。該pro−ILPは、2
つのアミノ酸鎖:アミノ酸鎖がジスルフィド結合によって共有結合されるA鎖(
配列番号:9)、及びB鎖(配列番号:10)を形成するように加工し得る。第
3のアミノ酸鎖(配列番号:21)は、共有結合したアミノ酸鎖A(配列番号:
9)とB(配列番号:10)を含む、成熟ILPへのpro−ILP(配列番号
:2)の加工によって精製したILPのC−ペプチドである。A,B及びCアミ
ノ酸鎖をコードしている核酸配列(配列番号:18,19,20)はそれぞれ、
本発明によって提供される。ここに記載した用語「pro−ilp遺伝子」は、
配列番号:1(図6)に関連する「ilp遺伝子」と相互交換可能に用いられる
だろう。ILPは、ジスルフィド結合によって共有結合したA及びB鎖を含む成
熟ポリペプチドに関する。ILPC−ペプチド(配列番号:21)は、proI
LP(配列番号:2)の加工に続いて単離ペプチドとして存在することが意図さ
れる。本発明は、上述したILPポリペプチド又はそのフラグメント、同じく該
ポリペプチドに対する抗体(モノクローナル抗体を含む)を更に例示する。更な
る実施態様は、制限されることなしに免疫グロブリンのエピトープtag配列又
はFc領域を含む異種アミノ酸配列における、異種アミノ酸配列に融合したIL
Pポリペプチドを含むキメラ分子を含む。
【0018】 本発明の別な態様は、細胞中のilpの測定のための方法を含む。好ましくは
、該診断試験は、ilp発現が疑われる細胞を含む細胞抽出物又は組織試料を用
意すること、及び配列番号:1(図6)又はそのフラグメントに相補の配列に相
補の検出可能なプローブへのmRNAのハイブリダイゼーションによってmRN
Aコード化ILPの存在を測定することを含む。
【0019】 本発明の別の態様は、子宮、結腸又は他のILP−発現細胞又は組織の生理学
的又は病理学的状態の診断方法を含み、該方法は、組織試料、細胞抽出物又はそ
の他の試料中に存在するILPをコードしている発現したmRNAに検出可能な
プローブをハイブリダイズすること、及び健全な組織からのコントロール試料と
試験試料についてハイブリダイズした検出可能なプローブの量を比較することを
含む。該検出可能なプローブは、配列番号:18,19,20の核酸配列又はそ
のフラグメントに相補である。
【0020】 本発明の一態様は、pro−ilp遺伝子のアンチセンス核酸又はそのフラグ
メント;pro−ILP遺伝子又はA及び/又はB及び/又はC鎖を含むクロー
ン化又は発現ベクター;pro ilp又は成熟A,B,及び/又はC鎖をコー
ドしている核酸を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞又は生体;宿主細胞
からの精製ILPの作製及び回収方法;及び精製したILP及び/又はC−ペプ
チドを含む。
【0021】 更なる態様において、本発明は、ポリペプチドが天然ILPポリペプチドの欠
失した、又は70%までの野生型活性を、好ましくは50%活性まで、より好ま
しくは25%活性までを有する、生物学的に活性でない(非機能的)改変した遺
伝子によってコードした改変ilpを含むトランスジェニック動物(「ノックア
ウト」動物)を包含する。加えて、本発明のトランスジェニック動物は、天然I
LP、又はそれのフラグメント又は変異体を含み且つ発現するトランスジェニッ
ク動物を含む。そのようなトランスジェニック動物は、潜在ILPアゴニストと
アンタゴニストのスクリーニングのために有用である。
【0022】 本発明の態様はさらに、製薬上許容されるキャリアと混合して、ここに定義し
た通りの共有結合したILP(AとB鎖)及び/又はILPC−ペプチドを含む
製薬組成物に関する。製薬組成物中のILP又はILPC−ペプチドの用量と投
与は、臨床製薬学又は薬物動態学の分野の当業者により決定され得る(例えば、
Mordenti, J.とRescigno, A.(1992) Pharmaceutical Research 9:17-25;Morent
i, J.ら(1991) Pharmaceutical Research 8:1351-1359;及びMordenti, J.とCha
ppell, W.(1989)"The use of interspecies scaling in toxicokinetics"in Tox
icokinetics and New Drug Development, Yacobiら(eds), Pergamon Press, NY,
pp.42-96、それぞれ全体を参照によりここに組み込まれる)。
【0023】 本発明の一態様において、本発明のILP又はILPC−ペプチド又はそのフ
ラグメントをコードしている単離した核酸は、インビボ又はエクスビボの遺伝子
治療にも使用され得る。好ましくは、該核酸は、動物の細胞への該核酸配列の送
達のためのレトロウイルスベクター内に含有された発現カセットに組み込まれる
【0024】 本発明の別の態様において、ILP又はILPC−ペプチド又はそのフラグメ
ント又は変異体をコードしている核酸配列は、該ILP−コード化核酸又はIL
PC−コード化核酸配列がその細胞中で発現されるように動物の細胞中に組み込
まれる。好ましくは、該ILP−コード化又はILPC−ペプチドコード化核酸
配列は、細胞内でのILP発現の制御のための配列(プロモーター配列のような
)を含む。本発明の実施態様は、発現カセット、該発現カセットをコードしてい
るベクター及び該発現カセットを含む宿主細胞を含む。好適な宿主細胞は、制限
されることなしに、細菌(大腸菌のような)、酵母(S.セレビシエのような)
、及び哺乳動物細胞(CHO細胞のような)を含む。
【0025】 本発明の更に別の態様は、ILPの製造方法が開示される。
【0026】 本発明の更なる態様において、ILP又はILPアゴニスト又はILPC−ペ
プチド又はILPC−ペプチドアゴニストを発現している宿主細胞が動物、好ま
しくはヒトの中に、該宿主細胞により生産されたILP、ILPアゴニスト、I
LPC−ペプチド又はILPC−ペプチドアゴニストが増加した局所又は全身I
LP投与に対する疾患応答を治療するのに有効であるように、導入される。IL
P、そのフラグメント又は変異体を発現するように遺伝子操作した細胞は、因子
の有効なレベルを提供するために宿主中に移植できる。該細胞は、例えばその全
体を参照によりここに組み込まれる米国特許4892538、及び501147
2,WO92/19195,WO95/05452、又はAeischerら(1996) Nat
ure 2:696-699中に提供されるように調製され、被包されることができる。
【0027】 本発明のインスリン様ペプチドが、流体ホメオスタシス、電解質ホメオスタシ
スに影響する神経生理学的機能、心臓血管機能、血圧、身体又は心臓のイオノト
ロピック活性、心臓の変時性活性、及びコラーゲン堆積に関連した疾患の治療に
おいて利用されることが本発明の別の実施態様である。
【0028】 本発明のこれらの及び他の目的、効果及び特徴は、以下により完全に記載した
ような構造、合成、及び利用の詳細を熟読することで当業者に明らかになるであ
ろう。ここに引用したそれぞれの参考文献は、その引例の内容に関連した主題の
記載に特有の注意と共にその全体において参照によりここに組み込まれる。
【0029】 本ポリペプチド、核酸、ベクター、及び宿主細胞及びそれの製造方法を記載す
る前に、本発明が記載された物質の特有の組成物と方法に制限されることなく、
そのような化合物と方法は勿論変更して良いとして理解される。それはまた、こ
こで用いた用語は特有の実施態様のみを記載する目的のためであり、本発明の範
囲は添付した請求の範囲によってのみ制限されるであろうことから、制限される
ことを意図していない。
【0030】
【発明の実施の形態】
定義 ここで用いた「子宮発現インスリン様ポリペプチド」又は「インスリン様ポリ
ペプチド」又は「ILP」は、配列番号:2で示したアミノ酸配列を有する天然
に生じるILP又はその活性フラグメントに関する。該ILPポリペプチドは、
図1(配列番号:1;ジェネンテックDNA27865(図6)内部に;ATC
C番号209296を有するプラスミドDNA27865−1091内部に)で
示した配列番号:22内にコードした配列番号:1(図1)で示した核酸配列を
有するilpによってコードされ得る。ILPはまた配列番号:1の核酸配列か
ら転写したmRNAによってコードされたポリペプチドとしても定義され得る。
本発明のILPポリペプチドは、AとBアミノ酸鎖がILP(配列番号:2)の
推定したアミノ酸配列の内部にあるジスルフィド結合によって結合したA鎖(配
列番号:9)とB鎖(配列番号:10)を含むポリペプチドを包含する。配列番
号:20と配列番号:21によってコードされたpro−ILPのC−ペプチド
はまた本発明に包含される。遺伝コードの縮重のために、ILPをコードしてい
る核酸は、配列番号:2のアミノ酸配列が置換した核酸配列によってコードされ
るように置換され得ることが理解される。この定義は、制限されることなしに、
ヒト又は哺乳動物種からの子宮、結腸、肝臓、胎盤、肺及び眼のような天然IL
Pソースから単離したポリペプチドのみでなく、組換え又は合成方法によって作
製したポリペプチドも包含する。それはまた、機能的誘導体、対立遺伝子の変異
体、天然生起イソタイプ及びその類似体を含んだ変異体型を含む。該ILPは、
哺乳動物から単離されている内因性ILPポリペプチドに関する「天然ILP」
とすることができる。ILPはまた、それが天然ILPと同じアミノ酸配列を有
する限りにおいて「天然配列ILP」とすることができる。「成熟ILP」は、
細胞から放出したILPが溶ける又は分泌され(即ち、N末端疎水性配列を欠い
ている)及び2つのアミノ酸鎖、図1中に示したように鎖間及び鎖内ジスルフィ
ド結合によって結合したA鎖(配列番号:9)とB鎖(配列番号:10)を含む
ILPを更に包含する。
【0031】 本発明のILPは、組換えDNA技術によって又はこれらの何れかの組合せ及
び/又は他の方法によって合成され、生産された天然ソースから精製した開始メ
チオニンを持つ又は無しの、ILPの天然生起、組換え、又は合成形態を包含す
る。本発明の新規ILPは、ヒトpro−ILP、図1(配列番号:2)で示さ
れるアミノ酸配列;成熟ヒトILP(配列番号:9と10)及びILPC−ペプ
チド(配列番号:21)を特に含む。本発明の新規天然ヒトILPsは、長さに
おいて約114アミノ酸であるが、しかし天然ILPの生物学的活性を維持する
一方でより長く又はより短くでき、生物学的活性は、制限されることなしに、レ
セプター結合、ILP用のレセプターを発現する細胞内の生理学的プロセスの活
性化、配列番号:2のILP又は成熟ILP(配列番号:9と10)又はILP
C−ペプチド(配列番号:21)に対して生起した抗体への結合を含む。該新規
天然ヒトILPは、2つのアミノ鎖、ジスルフィド結合で結合したA鎖(配列番
号:9)とB鎖(配列番号:10)を含むポリペプチドを含む。
【0032】 任意に、ILPは、天然グリコシル化、又は他の翻訳後誘導体化と結び付けら
れる。
【0033】 「天然生起ILP」は、制限されることなしに、ジスルフィド結合形成、アセ
チル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化及びアシル化を含む
ポリペプチドの翻訳後修飾から生じる各種のILP形態に遺伝子操作及び特に意
図していない、ヒト細胞によって生産されるILPを意味する。
【0034】 ポリペプチドの「機能的誘導体」は、天然ポリペプチドと共通の性質上の生物
学的活性を有する化合物である。かくして、本発明の天然新規ILPの機能的誘
導体は、そのような天然ILPと共通の性質上の生物学的活性を有する化合物で
ある。「機能的誘導体」は、制限されることなしに、それらがそれぞれの天然ポ
リペプチドと共通の生物学的活性を有するという条件で、何れかの動物種(ヒト
を含む)からの天然ポリペプチドのフラグメント、天然ポリペプチドの誘導体(
ヒト及び非ヒト)及びそのフラグメント、及び天然ポリペプチドのペプチド及び
非ペプチド類似体を含む。誘導体はさらに、ユビキチン化、標識化(例えば放射
性核種、各種酵素などによる)、ペグ化(ポリエチレングリコールによる誘導体
化)のような化学的修飾によって又はヒトタンパク質中に正常に又は天然に見出
されないオルニチンのようなアミノ酸を用いた化学合成によって天然生起ILP
から得られたポリペプチドに関する。用語「誘導体」はまた、アミノ酸配列とグ
リコシル化変異体、及び天然ポリペプチドの共有修飾を定義するためにも用いら
れる。
【0035】 「フラグメント」は、成熟天然ポリペプチドの配列の中の領域を意味する。好
ましいILPフラグメントは、ILPの少なくとも10の、より好ましくは少な
くとも20アミノ酸残基の連続した配列を有するであろう。その好適なフラグメ
ントは、配列番号:2中のILPの配列の部分と同一である約10−100アミ
ノ酸残基を有する。活性を有するため、本発明のILPフラグメントは生物学的
及び/又は免疫学的活性を示すための十分な長さを有する。フラグメントはまた
、1以上のジスルフィド結合によって結合したAとB鎖(配列番号:9と10)
のそれぞれの部分をも含むことができる。同様に、核酸に関して、フラグメント
はILPをコードしている核酸の配列内の領域を意味し得る。ILP遺伝子の部
分を含む好ましい核酸フラグメントは、少なくとも20、好ましくは少なくとも
50核酸残基の配列を有するであろう。好ましい核酸フラグメントは、mRNA
又はDNA分子の増幅又は同定のようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は各
種のハイブリダイゼーション手法において用いるための十分な長さとなる十分な
数の核酸残基を含むであろう。
【0036】 「オリゴヌクレオチド」又は「核酸プローブ」は、本発明によって提供された
ILPをコードするcDNA配列に基づいて作製される。オリゴヌクレオチドは
、少なくとも約15ヌクレオチド、通例は少なくとも約20ヌクレオチドを有す
るDNA配列の部分を含む。核酸プローブは、約6kbよりも少ない、通例は約
1kbよりも少ないヌクレオチドを有する配列の部分を含む。正確でない陽性を
削除するための適切な試験の後、これらのプローブは、ILPをコードしている
mRNAが細胞又は組織中に存在するかどうかを測定するために又はWalsh, P.S
.ら(1992) PCR Methods App. 1:241-250によって記載されたような染色体のDN
Aからの類似核酸配列を単離するために使用され得る。プローブは、天然生起又
は組換え一本鎖又は二本鎖核酸から得ること又は化学的に合成することができる
。それらは、ニックトランスレーション、クレノウ補充反応、PCR又は当該分
野で周知の他の方法により標識され得る(例えば、Sambrook, J.ら(1989) Molec
ular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory, New Yo
rk;又はAusubel, F.M.ら(1989) Current Protocols in Molecular Biology, Joh
n Wiley & Sons, NYCを参照;それぞれの参考文献はその全体が参照によりここに
組み込まれる)。
【0037】 「非ペプチド類似物」は、天然ポリペプチドのペプチド類似物と実質上同じ面
を示す有機化合物である。かくして、本発明の天然新規ILPsの非ペプチド類
似物は、天然ILPsのペプチド類似物と実質上同じ面を示す有機化合物である
。そのような化合物は、そのペプチド類似物と類似の形態において他の分子と相
互作用し、且つ本発明の天然ILPの生物学的活性を模倣する。好ましくは、本
発明のアミノ酸配列変異体は、本発明の天然ILPと、少なくとも約60%アミ
ノ酸配列同一性を、より好ましくは少なくとも約75%アミノ酸配列同一性を、
最も好ましくは少なくとも約90%アミノ酸配列同一性を有する。好ましくは、
該配列変異体は、本発明の新規ILPとILPファミリーの他のメンバーとの間
で保存されたアミノ酸残基でアミノ酸保存のより高いパーセンテージを示す(図
2参照)。
【0038】 用語「単離した」又は「実質上純粋」は、他のペプチド又は核酸、同様に脂質
、炭水化物又は天然に結合されるそれを持つ他の材料のないポリペプチド又は核
酸に関する。例外はグリコシル化により作られ、そこでは糖部分が本発明のIL
Pポリペプチドのアミノ酸に共有結合される。当業者であれば、分子のそれぞれ
のタイプに適切な標準的技術を用いてILPポリペプチド又は該ポリペプチドを
コードしている核酸を精製することができる。
【0039】 用語「パーセントアミノ酸配列同一性」は、ILP配列に関して、該配列の整
列及びギャップ導入後、もし要すれば、最大パーセンテージ配列同一性を達成す
るために、且つその配列同一性の一部として何れかの保存置換を意図せずに、図
1(配列番号:2)又はA,B又はCペプチド(配列番号:9,10と21)中
に記載された推定されたアミノ酸配列を有するILP配列中の残基と同一とされ
るその候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとしてここに定義される。I
LP配列へのN末端、C末端又は内部延長、欠失、又は挿入は、配列同一性又は
相同性に影響を及ぼすように構築されるだろう。
【0040】 ILP変異体の別なタイプは、異種ポリペプチドに融合又は結合した完全長I
LP又はそのフラグメントを含むポリペプチドが用語に包含される「キメラIL
P」である。該キメラは、ILPの持つ少なくとも1の生物学的特性を正常に分
担するであろう。キメラILPの実例は、免疫付着因子及びエピトープ標的IL
Pを含む。別な実施態様において、その異種ポリペプチドは、チオレドキシン、
サルベージレセプター結合エピトープ、細胞毒性ポリペプチド又は酵素(例えば
プロドラッグを活性薬剤に変換するもの)である。
【0041】 「共有結合修飾」及び「共有結合誘導体」は、制限されることなしに、有機蛋
白様の又は非蛋白様の誘導化剤による天然ポリペプチド又はそのフラグメントの
修飾、異種ポリペプチド配列への融合、及び翻訳後修飾と相互交換可能で用いら
れ且つ含む。共有結合修飾は、選択した側鎖又は末端残基との反応が可能な有機
誘導化剤による標的アミノ酸残基を反応することによって、又は選択した組換え
宿主細胞において機能化する翻訳後修飾のメカニズムを利用することによって慣
習的に導入される。ある種の翻訳後修飾は、発現したポリペプチドにおいて組み
換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミン及びアスパラギンの残基は、相当
するグルタミン酸及びアスパラギン酸の残基に度々翻訳後に脱アミド化される。
代替的に、これらの残基は、温和な酸性条件下で脱アミド化される。他の翻訳後
修飾は、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリン、チロシン又はトレオニ
ンの水酸基のリン酸化、リシン、アルギニンのαアミノ基及びヒスチジン側鎖の
メチル化を含む(T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Proper
ties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86(1983))。共有結合誘導 体/修飾物は、特に、本発明の天然ILPを含む融合タンパク質及び免疫付着因
子のようなそれのアミノ酸配列変異体、及び異種シグナル配列へのN末端融合体
を含む。
【0042】 本発明の内容において用語「生物学的活性」は、天然ポリペプチドと性質上共
通の付着性、調節又はエフェクター機能の少なくとも1つの所有として定義され
る。本発明の範囲内の好適な機能的誘導体は、本発明の天然ILPの結合特性を
保持することによって統合される。
【0043】 語句「ILPレセプターを活性化する」は、その表面上のレセプターを発現す
る細胞内の生理学的変化を仲介するためにILPレセプターをもたらす作用に関
する。
【0044】 天然ポリペプチドとその機能的誘導体に関して「同一性」又は「相同性」は、
該配列の整列及びギャップ導入後、もし要すれば、最大パーセンテージ配列同一
性を達成するために、且つその配列同一性の一部として何れかの保存置換を意図
せずに、相当する天然ポリペプチドの残基とそれが同一である候補配列中のアミ
ノ酸残基のパーセンテージとしてここに定義される。N又はC末端延長も挿入も
いずれも無いものは減じられた同一性又は相同性として意図されるであろう。整
列のための方法とコンピュータープログラムは当該分野で周知である。例えばこ
こに開示された配列は、"ALIGN"、ジェネンテック社を用いて分析された。
【0045】 用語「アゴニスト」は、本発明の天然ILPs(天然ILPがpro−ILP
,成熟ILP又はILPC−ペプチドに関する場合)のペプチドと非ペプチド類
似物に且つそれが天然ILPの少なくとも1の生物学的活性を保持するという条
件でそのような天然ILPsを特異的に結合する抗体に関して使用される。好ま
しくは、本発明のアゴニストは、天然ILPポリペプチドの質的な結合認識特性
と天然ILPポリペプチドのレセプター活性化特性を保持する。
【0046】 用語「アンタゴニスト」は、天然ILPがpro−ILP、成熟ILP又はI
LPC−ペプチドに関する場合、本発明の天然ILPの生物学的活性を抑制する
分子に関して用いられる。好ましくは、ここでのアンタゴニストは、本発明の天
然ILPの結合を阻害する。好ましいアンタゴニストは、その他方への結合に対
するILPレセプターへの天然ILPの結合を必然的に完全にブロックする。I
LP「アンタゴニスト」は、ILPエフェクター機能を防ぐ、又はそれと相互作
用する分子である(例えば、ILPによるILPレセプターの結合及び/又は活
性化を防止又は相互作用する)。そのような分子は、例えばそれが試験アンタゴ
ニスト分子の存在及び不在中で天然ILPの結合をモニターすることによってI
LPレセプター活性を競合的に抑制するためにスクリーンすることができる。I
LPアンタゴニストの実例は、ILPに対する中和抗体を含む。本発明のアンタ
ゴニストはまた、アンチセンスポリヌクレオチドがILP遺伝子の転写又は翻訳
をブロックし、それによってその発現と生物学的活性を抑制する、ILP遺伝子
に対するアンチセンスポリヌクレオチドをも包含する。
【0047】 通常、用語「アミノ酸」は、全ての天然生起L−α−アミノ酸に関する。幾つ
かの実施態様において、しかしながら、D−アミノ酸は、構造的制限を容易にす
るために、本発明のポリペプチド又はペプチド中に存在させて良い。例えば、ジ
スルフィド結合形成を容易に且つ安定化するために、Dアミノ酸システィンが本
発明の天然ILPのペプチド機能的誘導体又はペプチドアンタゴニストの一方又
は両方の末端で提供され得る。アミノ酸は、1文字表記又は3文字表記のいずれ
かによって定義される: Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン Thr T トレオニン Leu L ロイシン Ser S セリン Tyr Y チロシン Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン Pro P プロリン His H ヒスチジン Gly G グリシン Lys K リジン Ala A アラニン Arg R アルギニン Cys C システイン Trp W トリプトファン Val V バリン Gln Q グルタミン Met M メチオニン Asn N アスパラギン
【0048】 天然アミノ酸配列との比較としてそのアミノ酸配列において幾つかの相違を持
った分子に関する。
【0049】 代用の変異体は、天然配列において少なくとも1のアミノ酸残基の移動及び同
じ位置で異なるアミノ酸の置換を有するそれらである。
【0050】 挿入変異体は、天然配列中の特有の位置でアミノ酸に直接隣接して挿入される
1又はそれ以上のアミノ酸を持つそれらである。アミノ酸に直接隣接するとは、
アミノ酸のα−カルボキシ又はα−アミノ官能基のいずれかに接合される意味と
する。
【0051】 欠失変異体は、移動した天然生起アミノ酸配列中の1以上のアミノ酸を持つそ
れらである。
【0052】 「抗体(Abs)」と「免疫グロブリン(Igs)」は、同じ構造的特徴を有
するグリコプロテインである。抗体が特異的抗原への特異的な結合を示す一方で
、免疫グロブリンは、抗体と、抗原特異性を欠いた抗体様分子の両方を含む。後
者の種のポリペプチドは、例えば、リンパ系によって低レベルで且つ骨髄腫によ
り増加したレベルで生産される。
【0053】 天然抗体と免疫グロブリンは通例、2つの同一の軽鎖(L)と2つの同一の重
鎖(H)から構成された、約150000ダルトンのヘテロ4量体グリコプロテ
インである。それぞれの軽鎖は、1の共有ジスルフィド結合によって重鎖に結合
され、一方ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖間
で変化する。それぞれの重鎖と軽鎖はまた、鎖内ジスルフィド架橋を整然と離間
させているそれぞれの重鎖は一端で、可変ドメイン(VH)続く若干数の定常ド メインを有する。それぞれの軽鎖は一端で可変領域(VL)とその他端で定常ド メインを有する;該軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインにより整
列され、且つその軽鎖可変領域は、重鎖の可変領域によって整列される特有のア
ミノ酸残基は、軽鎖及び重鎖可変領域間の界面に形成されると確信される(Clot
hiaら、J. Mol. Biol. 186, 651-663(1985);NovotnyとHaber, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 82, 4592-4596 (1985))。
【0054】 何れかの脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の軽鎖は、その定常ドメイ
ンのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダ(λ)と称される、2の明確に
区別される型の一方に割り当てることができる。
【0055】 その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、免疫グロブリンは、異な
るクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあ
る:IgA,IgD,IgE,IgG及びIgM、及びこれらの幾つかは、サブ
クラス(イソタイプ)に更に分割することができ、例えばIgG−1,IgG−
2,IgG−3,及びIgG−4;IgA−1とIgA−2。免疫グロブリンの
異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれα、デルタ、イプシロン
、γ、及びμと称される。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造と
三次元立体配置は周知である。
【0056】 用語「抗体」は最も広い認識で用いられ、それが望まれる生物学的活性を示す
限りは、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む
)、ポリエピトープ特異性を持った抗体組成物、同じく抗体フラグメント(例え
ばFab,F(ab')2,及びFv)を特にカバーする。
【0057】 ここで用いた用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から
得られた抗体、即ちその集団に含まれる個別の抗体が、少量で存在し得る天然生
起変異の可能性を除いて同一である抗体に関する。該修飾「モノクローナル」は
、抗体の実質的に均質の集団から得られているような抗体の特徴を示し、且つ何
れかの特有の方法により抗体の生産を要求するように解釈すべきでない。例えば
、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、KohlerとMilstein, Na
ture 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製し
て良く、又は組換えDNA法によって作製して良い(例えば、米国特許第481
6567号(Cabillyら)及びMageとLamoyi,in Monoclonal Antibody Productio
n Techniques and Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New York (
1987))。該モノクローナル抗体はまた、例えば、McCaffertyら、Nature 348:55
2-554(1990)中に記載される技術を用いて生産したファージライブラリーからも 単離され得る。
【0058】 非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化した」形態は、非ヒト免疫グロブリン
から得られた最小配列を含む、特有のキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖
又はそのフラグメント(Fv,Fab,Fab',F(ab)2又は抗体の他の抗原結
合配列)である。大部分について、ヒト化した抗体は、受容抗体の相補決定領域
(CDRs)からの残基が、望ましい特異性、親和性及び容量を有するマウス、
ラット又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDRsからの残基によっ
て置換されるヒト免疫グロブリン(受容抗体)である。ある場合、ヒト免疫グロ
ブリンのFvフレームワーク領域(FR)は、相当する非ヒトFR残基で置換さ
れる。更に、ヒト化した抗体は、移入したCDR又はFR配列中のいずれにも受
容抗体中で見出されない残基を含み得る。これらの改変は、抗体能力を更に洗練
し且つ最適化するためになされる。一般にヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン
のそれに一致するCDR領域の全て又は実質上全て、及びヒト免疫グロブリンコ
ンセンサス配列のそれらであるFR残基の全て又は実質上全てにおける少なくと
も1の、典型的には2の可変ドメインの実質上全てを含むであろう。最も望まし
いヒト化した抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはヒト免疫
グロブリンのそれの少なくとも一部をも含むであろう。更なる詳細のために、参
考文献はその全体が参考によりここに組み込まれる、Jonesら、Nature 321, 522
-525 (1986);Reichmannら、Nature 332, 323-329 (1988);1987年9月30日公開 のEP-B-239400;Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2 593-596 (1992
);及び1996年1月24日公開のEP-B-451216)を参照。
【0059】 「中和抗体」は、天然配列ILPのエフェクター機能をブロックするか又は件
著に減じることができる、ここに定義した抗体分子を意味する。例えば、中性抗
体は、ILPレセプターを活性化するためのILPの能力を阻害又は減じること
ができる。
【0060】 ここでのモノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の部分が、特有の種から
得られた抗体中の相当する又は特有の抗体クラス又はサブクラスに属する配列と
同一又は相同であり、一方、その鎖の残余は、それが望まれる生物学的活性を示
さない限りにおいて、別の種から得られた又は別の抗体クラス又はサブクラスに
属する相当する配列、同様にそのような抗体のフラグメントと同一か又は相同で
ある(米国特許第4816567号、Cabillyら;Morrisonら、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 81, 6851-6855(1984))。
【0061】 本発明の内容において表現「細胞」、「細胞系」、及び「細胞培養」及び「宿
主細胞」は、相互交換可能に用いられ、且つそのような定義の全ては子孫を含む
全ての子孫は、故意の又は偶発の変異のため、DNA含量において正確に同定す
ることはできない。元の形質転換細胞においてスクリーンされるような同じ機能
的又は生物学的な特性を有する変異体の子孫は、本発明に包含される。安定な転
移の方法、外来DNAが宿主中に継続して保持される手段は、当該分野において
周知である。
【0062】 用語「複製可能な発現ベクター」、「発現ベクター」及び「ベクター」は、1
つの外来DNAの中に挿入され得る、1つのDNA、通例は二本鎖、に関する。
外来DNAは、発現ベクターの内容において宿主細胞中に天然に見出されない、
又は宿主細胞中に天然に見出されないDNAである、異種DNAとして定義され
る。そのベクターは、適当な宿主細胞内への外来又は異種DNAを輸送するため
に使用される。ひとたび宿主細胞中では、そのベクターは宿主染色体DNAを独
自に複製でき、該ベクターとその挿入した(外来)DNAの幾つかのコピーが精
製され得る。加えて、該ベクターは、ポリペプチドへの外来DNAの翻訳を与え
る必須要素を含む。外来DNAによりコードされたポリペプチドの多くの分子は
、かくして迅速に合成することができる。
【0063】 用語「制御配列」は、特有の宿主生物中の任意に結合したコード化配列の発現
に必須のDNA配列に関する。原核生物用に適当である制御配列は、例えば、プ
ロモーター、任意のオペレーター配列、リボソーム結合サイト、及び可能性のあ
る他の配列を含む。真核生物は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及び
エンハンサーを用いることが知られる。
【0064】 核酸は、別の核酸配列との機能的関係において置かれる場合に「操作可能に結
合」される。例えば、予備配列又は分泌リーダー用のDNAは、もしそれが該ポ
リペプチドの分泌において参加するプレタンパク質として発現されるならば、ポ
リペプチドのためのDNAに操作可能に結合される;プロモーター又はエンハン
サーは、もしそれが該配列の転写に影響を及ぼすならば、コード化配列に操作可
能に結合される;又はリボソーム結合サイトは、もしそれが翻訳を促進するよう
に配置されるならば、コード化配列に操作可能に結合される。一般に、「操作可
能に結合した」は、結合されているDNA配列が隣接し、且つ分泌リーダーの場
合では、隣接し且つ読み取り相中にある。しかしながら、エンハンサーは、隣接
してはいない。結合は、利便的な制限サイトでの結紮によって達成される。もし
そのようなサイトが存在していないなら、合成オリゴヌクレオチドアダプター又
はリンカーは、通常の慣行に従い使用される。
【0065】 「オリゴヌクレオチド」は、1988年5月4日公開のEP266032中に記載さ
れたそれらのような固相法を用いてホスホトリエステル、亜リン酸塩、またはホ
スホアミダイト(phosphoramidite)化学のような周知の方法によって、又はFroeh
lerら、Nucl. Acids Res. 14, 5399(1986)によって記載されたようなデオキシヌ
クレオシドH−ホスホナート中間体を経て化学的に合成される、長さの短い、一
本鎖又は二本鎖ポリデオキシヌクレオチドである。これらは、次いでポリアクリ
ルアミドゲル上で精製される。
【0066】 「固相」は、興味ある試薬が付着できる非水性マトリックスを意味する。ここ
に包含される固相の実例は、ガラス(例えば、制御した細孔ガラス)、ポリサッ
カリド(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニル
アルコール及びシリコーンで部分的に又は全体が形成されたそれらを含む。ある
実施態様において、その内容に基づいて、固相は、アッセイプレートのウェルを
含む;他では、精製カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)で
ある。この用語はまた、その全体が参考によりここに組み込まれる米国特許第4
275149号中に記載されたそれらのような、分離した粒子の不連続固相を含
む。
【0067】 用語「形質転換」及び「トランスフェクション」は、ここでは相互交換可能に
用いられ、且つ細胞へのDNAの挿入のプロセスに関する。形質転換又はトラン
スフェクションに続いて、該ILPDNAは、宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、
又は染色体外要素として存在し得る。もし原核細胞又は実質上の細胞壁を含む細
胞を宿主として用いるならば、DNAによる該細胞のトランスフェクションの好
ましい方法は、Cohenら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 69:2110-2114(1972)
によって記載されたカルシウム処理法、又はChungら、Nuc. Acids. Res. 16:358
0(1988)によって記載されたポリエチレングリコール法である。もし酵母が宿主 として用いられるなら、トランスフェクションは、Hinnen, Proc. Natl. Acad.
Sci. U.S.A., 75:1929-1933(1978)により教示されるようなポリエチレングリコ ールを用いて一般的に達成される。もし哺乳動物細胞が宿主細胞として用いられ
るならば、トランスフェクションは、リン酸カルシウム沈澱法、Grahamら、Viro
logy 52:546(1978), Gormanら、DNA and Pritein Eng. Tech. 2:3-10(1990)によ
り実行される。しかしながら、核注入、エレクトロポレーション、又はプロトプ
ラスト融合のような原核生物と真核生物細胞内にDNAを導入するための他の周
知の方法もまた、本発明での使用のために好適である。
【0068】 本発明における特有の利用は、ILPをコードしているDNAの哺乳動物細胞
における一過性発現のために提供される発現ベクターである。一般に、一過性発
現は、その宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積するように、且つ代わ
りにその発現ベクターによりコードされた望まれるポリペプチドを高レベルで合
成するように、宿主細胞中で能率的に複製できる発現ベクターの使用を含む。適
当な発現ベクターと宿主細胞を含む一過性発現系は、クローン化DNAによって
コードしたポリペプチドの利便的な陽性同定のため、同じく望ましい生物学的又
は生理学的特性のためのそのようなポリペプチドを迅速にスクリーニングするた
めに与えられる。
【0069】 本発明のILPが、1991年5月16日公開のWO91/06667において提供 されるような相同組換えによって生産し得ることが更に意図される。概略的には
、ILPに関して、この方法は、相同DNAにより内因性ILP遺伝子を含む細
胞を形質転換すること、相同DNAは、(a)増幅可能遺伝子(例えばジヒドロ
葉酸還元酵素(DHFR)をコードしている遺伝子)、及び(b)少なくとも約
150塩基対の長さを有し該遺伝子コード化ILPの内部又は近接する該細胞ゲ
ノム中の核酸配列と相同である、少なくとも1のフランキング配列を含む。形質
転換は、組換えにより細胞ゲノム中に相同DNAが組み込まれるような条件下で
実行される。組み込まれた相同DNAを有する細胞は、増幅可能遺伝子の増幅用
に選択する条件にかけ、それによって、該ILP遺伝子は同時に増幅される。得
られる細胞は、次いでILPの望まれる量の生産のためにスクリーンされる。I
LPをコードしている遺伝子に近接するフランキング配列は、例えば、図1の配
列番号:22内のヒトILP(配列番号:1;ジェネンテックDNA27865
;Fig.6)の核酸配列の開始点として用いたゲノムのワーキングによって、
迅速に同定される。
【0070】 「ILPをコードしている単離した核酸」は、それが天然ソースに普通に関係
付けられ及び好ましくは何れかの他の哺乳動物RNA又はDNAのない少なくと
も1の不純ソース核酸の無いRNA又はDNAである。語句「それが普通に関係
付けられた少なくとも1の不純ソース核酸の無い」とは、その核酸がそのソース
又は天然細胞中に存在するが、しかしそのソース細胞中で通例見出されない又は
そのソース細胞中のILPコード化核酸の近くに通例見出されない核酸配列によ
って異なる染色体配座中にある又は他に隣接した場合にそのケースを含む。単離
したILPコード化核酸の実例は、ヒトpro−ILP(配列番号:1)との少
なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なく
とも85%、更により好ましくは90%、最も好ましくは95%配列同一性を所
有する生物学的活性ILPをコードするRNA又はDNA;A及びB鎖がジスル
フィド結合によって共有結合したヒト成熟ILP(配列番号:18と19);又
はILPCペプチド(配列番号:20)である。
【0071】 ハイブリダイゼーションは、(1)洗浄のための低いイオン強度と高い温度、
例えば50℃で、0.015塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウ
ム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、を利用すること、又は(2)ホルムアミ
ドのような変性剤をハイブリダイゼーションの間に利用すること、例えば42℃
で、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピ
ロリドン/pH6.5で750mM塩化ナトリウムを伴う50nMリン酸ナトリ
ウム緩衝液、75mMクエン酸ナトリウムを伴う50%(容/容)ホルムアミド
、を意味する「ストリンジェント条件」下に好ましくは実行される。別の実例は
、0.2xSSCと0.1%SDS中42℃での洗浄と共に、42℃で、50%
ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl,0.075Mクエン酸ナト
リウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6/8)、0.1%ピロリン酸ナト
リウム、5xデンハード溶液、音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)
、0.1%SDS、及び10%デキストラン硫酸の使用である。更に別の実施例
は、55℃で、10%デキストラン硫酸、2xSSC(塩化ナトリウム/クエン
酸ナトリウム)及び50%ホルムアルデヒドの緩衝液、続いて55℃でEDTA
を含む0.1xSSCからなる高−ストリンジェントな洗浄を用いるハイブリダ
イゼーションである。
【0072】 望まれる場合、「シグナル又はリーダー配列」は、細胞の膜を通してポリペプ
チドを導くことができる。そのような配列は、本発明のポリペプチド上に天然に
存在して良く又は組換えDNA技術によって異種タンパク質ソースから提供され
得る。
【0073】 ポリペプチド「フラグメント」、「部分」、又は「セグメント」は、少なくと
も約5アミノ酸、しばしば少なくとも約7アミノ酸、典型的には少なくとも約9
から13アミノ酸、及び各実施態様において、少なくとも約17以上のアミノ酸
のアミノ酸残基の連なりである。活性であるためにILPポリペプチドは、生物
学的及び/又は免疫学的活性を示すために十分な長さを有する必要がある。
【0074】 「免疫付着因子」又は「ILP−免疫グロブリンキメラ」は、結合タンパク質
の機能領域(普通はレセプター、細胞付着分子又はリガンド)と免疫グロブリン
配列とを組み合わせたキメラの抗体様分子である。融合タンパク質のこのタイプ
の最も一般的な実例は、免疫グロブリン(Ig)のヒンジ及びFc領域と、特異
的リガンドを認識する細胞表面レセプターのドメインとの組合せである。このタ
イプの分子は、「免疫」と「付着」機能の組合せであるために「免疫付着因子」
と称される;度々用いられる他の名称は「Ig−キメラ」、「Ig−」又は「F
c−融合タンパク質」、又は「レセプターグロブリン」である。
【0075】 「治療」は、治療的な処理と予防して又は防止的手段の両方に関する。治療が
必要なそれらは、既に疾患にかかった、同様に、その疾患が防止するべきもので
あるそれら疾患を有する傾向にあるそれらを含む。
【0076】 「哺乳動物」は、ヒトを含み、家畜及び農業用動物、及び動物園の、スポーツ
の又は愛玩用動物、例えばヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどの、哺乳動物と
して分類される何れかの動物に関する。好ましくは、ここでの哺乳動物はヒトで
ある。
【0077】 ここで用いたような「キャリア」は、その用量と使用濃度でそれにさらされる
細胞又は哺乳動物に無毒性である製薬上許容されるキャリア、賦形剤、又は安定
剤を含む。しばしば生理学的に許容されるキャリアは、水性のpH緩衝化溶液で
ある。生理学的に許容されるキャリアの実例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他
の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量ポリペプ
チド(約10残基より小さい);血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリ
ンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシ
ン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリシンのようなアミノ酸;グ
ルコース、マンノース又はデキストリンを含む、モノサッカリド、ジサッカリド
、及び他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトール又はソルビト
ールのような糖アルコール;ナトリウムのような塩形成カウンターイオン;及び
/又はTweenTM、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPluroni
csTMのような非イオン性界面活性剤を含む。
【0078】 組換えDNA技術によるILPの生産のための一般的な手法 A.新規インスリン様ポリペプチド、ILPをコードしている核酸の同定と単
離。 本発明の天然ILPは、cDNA又はゲノムのライブラリーから単離され得る
。例えば、適当なcDNAライブラリーは、望まれるILPを発現することが知
られる細胞からポリアデニル化mRNAを得ること、及び二本鎖cDNAを合成
するための鋳型としてそのmRNAを用いることによって構築することができる
。mRNAの適当なソースは、胎児及び成体哺乳動物組織である。本発明の天然
ILPをコードしているmRNAは、例えば成体哺乳動物(好ましくはヒト)の
結腸、子宮、肝臓、胎盤、肺及び眼において発現される。本発明の新規ILPを
コードしている遺伝子は、ヒトゲノムコスミドライブラリー、又はマウス誘導胚
ステム細胞(ES)ゲノムライブラリーのようなゲノムライブラリーから得るこ
ともできる。
【0079】 cDNA又はゲノムのいずれか一方のライブラリーは、興味ある遺伝子又はそ
れによってコードされるタンパク質を同定するために設計したプローブによって
スクリーンされる。cDNA発現ライブラリーのために、適当なプローブは、本
発明のILPを認識し特異的に結合するモノクローナル又はポリクローナル抗体
を含む。cDNAライブラリーのために、適当なプローブは、同じ又は異なる種
からのILPポリペプチドの周知の又は予測した部分をコードする注意深く選択
したオリゴヌクレオチド(通例長さにおいて約20−80塩基)及び/又は同じ
又は類似の遺伝子をコードする相補的又は相同cDNAs又はそのフラグメント
を含む。ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングするために適切なプローブ
は、制限することなしに、同じ又は類似の遺伝子をコードするオリゴヌクレオチ
ド、cDNAs、又はそれのフラグメント、及び/又は相同ゲノムDNAs又は
そのフラグメントを含む。選択したプローブによるcDNA又はゲノムライブラ
リーのスクリーニングは、その全体を参照によりここに組み込む、Sambrookら、
Molecular Cloning: A Laboratory Manual, New York, Cold Spring Harbor Lab
oratory Press, 1989,の10-12章中に記載されたような標準法を用いて処理し得 る。
【0080】 もし本発明のILPをコードしているDNAが各種組織型cDNAライブラリ
ーをスクリーンするために注意深く選択したオリゴヌクレオチド配列を用いるこ
とによって単離されるなら、プローブとして選択したオリゴヌクレオチド配列は
、長さにおいて十分とされ且つ正しくない陽性選択が最小化されることが十分明
白とされるべきである。実際のヌクレオチド配列は、最小のコドン余長を有する
領域に基づいて普通は設計される。該オリゴヌクレオチドは、1以上の位置で分
解され得る。分解オリゴヌクレオチドの使用は、ライブラリーが優先のコドン使
用が知られていない種からスクリーンされる場合に特に重要となる。
【0081】 該オリゴヌクレオチドは、それがスクリーンされるライブラリー中でDNAに
対するハイブリダイゼーションにより検出することができるように標識する必要
がある。標識化の好適な方法は、該オリゴヌクレオチドの5′末端を放射能標識
するためのATP(例えばγ32P)とポリヌクレオチドキナーゼを使用すること
である。しかしながら、他の方法は、制限されることなしに、ビオチン化または
酵素標識化を含む、オリゴヌクレオチドを標識するために使用され得る。
【0082】 新規ILPをコードしているcDNAはまた、直接発現クローニングによって
、又はその全体が参照によりここに組み込まれる、1987年7月28日発行の米国特 許第4683195号中に、Sambrookら、上記、のセクション14中に又はCurr
ent Protocols in Molecular Biology, Ausubelら、上記(1989)の15章中に記 載されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることによって、のような組換
えDNA技術の他の周知の技術によって同定され単離され得る。
【0083】 一度ある種から新規天然ILPをコードするcDNAが単離されていると、他
の種からのcDNAもまた、交差種ハイブリダイゼーションによって得ることが
できる。このアプローチに従い、ヒトまたは他の哺乳動物cDNAまたはゲノム
ライブラリーは、周知の基準に従い周知のILP配列(ネズミまたはヒト配列)
から選択した標識化オリゴヌクレオチド配列によって精査される。好ましくは、
該プローブ配列は、長さにおいて十分とされ且つ正しくない陽性選択が最小化さ
れることが十分明白とされるべきである。典型的に、約30から50塩基を有す
32P標識化オリゴヌクレオチドが、特にもし該オリゴヌクレオチドがメチオニ
ンまたはトリプトファンのための1以上のコドンを含んでいれば、十分である。
単離した核酸は、核酸のソースから他のポリペプチドをコードしている不純物核
酸から同定され且つ単離されるDNAとされるだろう。ハイブリダイゼーション
は、ここに定義したような「ストリンジェント条件」下で好ましくは実行される
【0084】 一度その配列が知られれば、特有のILPをコードしている遺伝子もまた、化
学合成、続く、その全体を参照によってここに組み込む、EngelsとUhlmann, Agn
ew. Chem. Int. Ed. Engl. 28,716(1989)中に記載された方法の一つによっても 得ることができる。これらの方法は、トリエステル、ホスファイト、ホスホアミ
ダイト及びH−ホスホン酸法、PCR及び他のオートプライマー法、及び固相上
でのオリゴヌクレオチド合成を含む。
【0085】 B.新規ILPをコードしている核酸のクローニングと発現。 一度新規ILPをコードしている核酸が利用されると、それは更なるクローニ
ングのため(DNAの増幅)、または発現のため複製可能な発現ベクター内に一
般に結紮される。
【0086】 発現及びクローニングベクターは、当該分野で周知であり、1以上の選択した
宿主細胞中で複製することが該ベクターに可能である核酸配列を含む。適切なベ
クターの選択は、1)それがDNA増幅用またはDNA発現用に用いられるもの
かどうか、2)該ベクターに挿入するべきDNAのサイズ、及び3)該ベクター
によって形質転換するべき宿主細胞に基づくであろう。それぞれのベクターは、
その機能(DNAの発現のDNAの増幅)及びそれが和合されるための宿主細胞
に基づいて各種の構成要素を含む。そのベクター要素は、一般に、制限されるこ
となしに、次の:シグナル配列、複製の基点、1以上の標識遺伝子、エンハンサ
ー要素、プロモーター、及び転写終結配列の1以上を含む。上記構成要素の1以
上、望まれるコード化及び制御配列を含む適当なベクターの構築は、標準結紮技
術を利用する。単離したプラスミド又はDNAは、切断し、仕立て、且つ要求さ
れるプラスミドを生産するために望まれる形態に結紮される。構築したプラスミ
ド中の正確な配列を確認する分析のため、該結紮混合物は、大腸菌細胞、例えば
大腸菌K12株294(ATCC31446)を形質転換するために通例用いら
れ、成功裏の形質転換体は、適当である場合アンピシリン又はテトラサイクリン
耐性によって選択される。形質転換体からのプラスミドが調製され、制限エンド
ヌクレアーゼ消化によって分析され、及び/又は、Messingら、Nucleic Acids R
es. 9,309(1981)の方法、又は、Maxamら、Methods in Enzymology 65,499(1980)
の方法によって配列決定される。
【0087】 本発明のポリペプチドは、各種の原核生物と真核生物において発現され得る。
適当な原核生物は、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えば大腸菌又はバチルス
属を含む。好ましいクローニング宿主は、他のグラム陰性又グラム陽性原核生物
、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31537)、大腸菌W311
0(ATCC27325)、シュードモナス種、又はセラティア、マルセザンス
が好適とされるとしても、大腸菌294(ATCC31446)である。
【0088】 原核生物に加えて、糸状菌又は酵母のような真核微生物がここでのベクターの
ための適当な宿主である。サッカロミセス・セレビシエ、又は普通のパン酵母は
、安価な真核生物宿主微生物の中で最も普通に使用される。しかしながら、多く
の他の属、種及び株が通例利用可能でありここで有用とされ、例えばS.ポンベ
(BeachとNurse, Nature 290:140(1981));クルイベロマイセス・ラクチス(de
Louvencourt, L.ら、J. Bacteriol. 154:737-742(1983));ヤロウィア(EP 402226);ピチア・パストリス(EP183070)、トリコデルマ・リ
イシア(EP244234)、ノイロスポラ・クラッサ(Caseら、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 76:5259-5263(1979));及びA.ニドランス(Ballanceら、Bio
chem. Biophys. Res. Commun. 112:284-289(1983);Tilburnら、Gene 26:205-22
1(1983);Yeltonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1470-1474(1984))及びA
.ニガー(KellyとHynes,EMBO J.4:475-479(1985))のようなアスペルギルス宿
主。
【0089】 適当な宿主細胞は、多細胞生物からも得られる。そのような宿主は複合加工と
グリコシル化活性が可能である。原則として、何れかの高等な真核生物細胞培養
は、脊椎動物かまたは無脊椎生物培養物からでも、例えヒトの様な哺乳動物から
の細胞が好適であるとしても、実施可能である。無脊椎生物の実例は、植物及び
昆虫細胞を含む。多くのバキュロウイルス株と宿主からの相当する許容昆虫宿主
細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(いも虫)、アエデス・アエジプチ(
蚊)、アエデス・アルボピクツス(蚊)、ドロソフィラ・メランガスタ(果実ハ
エ)及びボムビクス・モリ宿主細胞が同定されている。Luckowら、Bio/Technolo
gy 6:47-55(1988);Millerら、in Genetic Engineering, Setlow, J.Kら,eds.,V
ol.8(Plenum Publishing, 1986),pp.277-279;及びMaedaら、Nature 315:592-59
4(1985)を参照。そのような各種の株は、公的に利用可能であり、例えば、Autog
rapha californica NPVのL−1変異体、及びそのようなウイルスは、本発明に 従うここでのウイルスとして、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランス
フェクションのために使用され得る。
【0090】 ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、及びタバコの植物細
胞培養物が宿主として利用可能である。典型的に、植物細胞は、ILPDNAを
含むように予め操作されている細菌アグロバクテリウム・チュメファシエンスの
一定の株とのインキュベーションによってトランスフェクションされる。植物細
胞培養物とA.チュメファシエンスとのインキュベーションの間に、ILPをコ
ードしているDNAがそれがトランスフェクションされるように植物細胞宿主に
移入され、且つ適当な条件下でILPDNAを発現するであろう。加えて、植物
細胞と和合可能な調節及びシグナル配列、例えばノパリン合成酵素プロモーター
及びポリアデニル化シグナル配列が利用できる。Depickerら、J. Mol. Appl. Ge
n. 1:561(1982)。加えて、T−DNA780遺伝子の上流領域から単離したDN
Aセグメントは、組換えDNA含有植物組織中の植物−発現可能遺伝子の転写レ
ベルを活性化し又は増加することができる。1989年6月21日公開EP32119 6を参照。
【0091】 しかしながら、興味は脊椎動物細胞において最も大きくなっており、且つ培養
物(組織培養)における脊椎動物の増殖は、周知である(例えば、Tissue Cultu
re, Academic Press, KruseとPatterson, editors(1973)を参照)。有用な哺乳 動物宿主細胞系の実例は、SV40によって形質転換したサル腎臓CV1系(C
OS−7,ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓細胞系(293又は懸濁培
養中での増殖用にサブクローン化した293細胞、Grahamら,J. Gen. Virol. 36
:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL10); チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO;UrlaubとChasin, Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Math
er, Biol, Reprod. 23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC C
CL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76,ATCC CRL
−1587);ヒト頸部腫瘍細胞(HELA,ATCC CCL2);イヌ腎臓
細胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL
3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC C
CL75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB8065);マウス乳癌(MMT
060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.
Acad. Sci. 383:44068(1982);MRC5細胞:FS4細胞;及びヒトヘパトー ム細胞系(HepG2)である。好ましい宿主細胞は、ヒト胚腎臓293とチャ
イニーズハムスター卵巣細胞である。
【0092】 本発明の実施において特に有用なのは、ここでの新規ILPをコードしている
DNAの哺乳動物細胞における発現用に提供される発現ベクターである。一過性
発現が好ましい場合、発現は、その宿主細胞がその発現ベクターの多くのコピー
を蓄積するように、及び代わりに、該発現ベクターによってコードされた望まれ
るポリペプチドの高いレベルを合成するように、宿主細胞中で十分に複製するこ
とができる発現ベクターの使用を含む。適当な発現ベクターと宿主細胞を含む一
過性系は、クローン化DNAによりコードされたポリペプチドの利便的陽性同定
を、同様に望まれる生物学的又は生理学的特性についてそのようなポリペプチド
の迅速なスクリーニングを与える。かくして、一過性発現系は、本発明の天然I
LPの類似物と変異体を同定するための目的で本発明において特に有用である。
【0093】 組換え脊椎動物細胞培養におけるILPsの合成に適合するのに好適な他の方
法、ベクター、及び宿主細胞は、例えば、Gettingら、Nature 293,620-625(1981
);Mantelら、Nature 281, 40-46(1979);Levinsonら;EP117060とEP
117058中に記載される。ILPポリペプチドの哺乳動物細胞培養物発現の
ための特に有用なプラスミドは、pRK5(EP307247)、pRK5B(
Holmesら、Science, 253:1278-1280(1991))、又はpSV16B(PCT公開W
O91/08291)である。
【0094】 各種の宿主細胞において本発明のILPsの発現のために好適な他のクローニ
ング及び発現ベクターは、例えば1991年11月27日公開のEP457758中に記
載される。発現ベクターの多種の発現ベクターが現在商業的に利用可能である。
実例の市販酵母発現ベクターは、pPIC.9(invitrogen)であり、一方大腸菌
細胞の形質転換に好適な商業上利用可能なベクターは、PET15b(Novagen) である。
【0095】 C.宿主細胞の培養 本発明のILPsを生産するための原核生物細胞は、Sambrookら上記、の中の
全般的な記載のような適当な培地中で培養される。
【0096】 哺乳動物細胞は、各種の培地中で培養することができる。Ham's F10(Sigma)、
最少必須培地(MEM,Sigma)、RPM1-1640(Sigma)、及びDulbecco's修正イーグル培 地(DMEM,Sigma)のような商業的に利用可能な培地が宿主細胞を培養するために好
適である。加えて、HamとWallace, Meth. Enzymol. 58, 44(1979);BarnesとSat
o,Anal. Biochem. 102,255(1980)、米国特許第4767704;4657866
;4927762;又は4560655;WO90/03430;WO87/0
0195又は米国特許Re30985中に記載される何れかの培地が、宿主細胞
用の培養培地として使用され得る。これらの培地は何れも、ホルモン及び/又は
他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、又は上皮増殖因子のような)、
塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩のような)、緩
衝剤(HEPESのような)、ヌクレオシド(アデノシンとチミジンのような)
、抗生物質(ゲンタマイシンTM薬剤のような)、微量要素(マイクロモル範囲の
最終濃度で普通存在する無機化合物として定義される)、及びグルコース又は均
等なエネルギー源によって、必要に応じて補充して良い。何れかの他の必要な補
充物もまた、当業者に周知であろう適切な濃度で含めても良い。温度、pHなど
の様な培養条件は、好適には、そのケースが熟達した研究者に明らかであろうよ
うに、クローニング又は発現のために選択した宿主細胞で予め用いられたそれら
である。
【0097】 この開示において関係した宿主細胞は、インビトロ細胞培養における細胞、同
じく宿主動物又は植物の中にある細胞を包含する。
【0098】 本発明のILPsは、相同組換えによって、又は特有のILPをコードしてい
るDNAを既に含んでいる細胞内に導入される制御要素を用いる組換え製造方法
で生産され得る。
【0099】 D.遺伝子増幅及び/又は発現の検出。 遺伝子増幅及び/又は発現は、例えば、通常のサザンブロット法、mRNAの
転写を定量するノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77,
5201-5205(1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はここに提供された
配列に基づいて適切な標識化プローブを用いて、in situハイブリダイゼーショ ン、によって直接試料中で測定し得る。各種の標識を用いることができ、最も普
通には放射性同位元素、特に32Pである。しかしながら、ポリヌクレオチドへの
導入用のビオチン修飾化ヌクレオチドを用いることのような他の技術もまた、利
用することができる。該ビオチンは、放射性核種、蛍光体、酵素などのような広
範な標識によって標識し得る、アビジン又は抗体に結合するための部位として役
割を果たす。代替的に、抗体は、DNA二本鎖、RNA二本鎖、及びDNA-R NAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク質二本鎖を含む特異的二本鎖を認 識できるものを利用し得る。代わりに抗体が標識されて良く、該アッセイは該二
本鎖がその面に結合される場合に、その面上の二本鎖の形成について、該二本鎖
に結合した抗体の存在が検出できるように実行され得る。
【0100】 代替的に遺伝子発現は、組織切片の免疫組織化学的な染色、及び遺伝子生産物
の発現を直接定量化するために、細胞培養物又は体液のアッセイのような免疫学
的方法によって測定できる。本発明における使用のために好適な特に鋭敏な染色
技術は、Hseら、Am. J. Clin. Pharm. 75, 734-738(1980)によって記載される。
【0101】 試料流体の免疫組織学的染色及び/又はアッセイのために有用な抗体は、モノ
クローナル又はポリクローナルのいずれかとして良く、且つ何れかの動物中で調
製して良い。利便的には、該抗体は天然ILPポリペプチドに対し、又はここに
開示したDNA配列に基づいた合成ペプチドに対して調製して良い。
【0102】 E.天然ILPのアミノ酸配列変異体。 天然ILPのアミノ酸配列変異体は、天然ILPDNAに変化する適切なヌク
レオチドを挿入することによって、又は望まれるポリペプチドのインビトロ合成
によって、当該分野で周知の方法によって調製される。アミノ酸配列変異体の構
築において2つの原理的な可変要素がある:変異部位の配置と変異の本質。天然
ILPをコードしているDNA配列の操作を要求しない、天然生起的な対立遺伝
子を除いて、ILPsのアミノ酸配列変異体は、対立遺伝子で生起するか又は天
然に発生しないアミノ酸配列変異体の何れかの、DNAを変異することによって
好ましくは構築される。
【0103】 アミノ酸交替は、変異体種からの新規ILPsと、又は達成すべき到着点に基
づく高度保存領域とは異なる部位で作製することができる。そのような配置で部
位は、例えば、(1)保存的選択によって及び達成した結果に基づくよりラジカ
ルな選択によって最初に置換すること、(2)標的残基を欠失すること、又は(
3)配置部位に隣接する同じ又は異なるクラスの残基を挿入すること、又は方法
1−3の組合せによって、連続して典型的に改変されるだろう。そのような改変
のための一つの有用な技術は、「アラニンスキャニング」(CunninghamとWells,
Schience 244, 1081-1085(1989))と称される。
【0104】 天然生起アミノ酸は、共通の側鎖特性に基づくグループに分割される: (1)疎水性:ノルロイシン,met,ala,val,leu,ile; (2)中性疎水性:cys,ser,thr; (3)酸性;asp,glu; (4)塩基性:asn,gln,his,lys,arg; (5)鎖方位に影響する残基;gly,pro;及び (6)芳香族;trp,tyr,phe。
【0105】 保存的置換は、同じグループ内の別のメンバーのための1グループ内のメンバ
ーの交換を含み、これに対し非保存的置換はこれらクラスと別の一つのメンバー
を交換することを必要とするであろう。機能的又は免疫学的同一性における実質
上の変化は、より劣る保存性であるアミノ酸置換によってなされ、即ち(a)例
えばシート又はヘリカル構造のような、置換のエリア中のポリペプチド主鎖の構
造、(b)標的部位での分子の電荷又は疎水度又は(c)側鎖の大きさを維持す
ることについてのそれの効果がより顕著に相違する。本発明の新規天然ILPs
の特性における最も大きな変化を作ることが一般に予期される置換は、(a)親
水性残基、例えばセリル又はトレオニルが、疎水性残基、例えばロイシル、イソ
ロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニルと(又は、によって)置換さ
れる;(b)システイン又はプロリンが何れかの他の残基と(又は、によって)
置換される;(c)電気陽性側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニル、又
はヒスチジルが、電気陰性残基、例えばグルタミル又はアスパルチルと(又は、
によって)置換される;又は(d)大きな側鎖を有する残基、例えばフェニルア
ラニンが、側鎖を有さないそれ、例えばグリシンと(又は、によって)置換され
る、それらであろう。そのような置換は、ILPとインスリンファミリーの他の
メンバーの間に関係したそれらのアミノ酸で作製した場合それも最も顕著な効果
を有することが予期される(例えば図2参照)。特に、ILPのILPの加工に
影響を及ぼす置換は顕著な効果を有すると予想される。そのようなアミノ酸は、
pro−ILP(配列番号:2)のA,B,及びC鎖切断部位のそれぞれの側部
のほぼ10アミノ酸の中のそれらである。
【0106】 本発明の新規ILPsの置換変異体は、他のタンパク質の機能的相同(少なく
とも約40%−50%相同性を有する)ドメインが新規ILP構造の中の1以上
のドメインのためのルーチンの方法により置換される場合の変異体もまた含む。
【0107】 アミノ酸挿入体は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチド間での長
さの範囲内のアミノ−及び/又はカルボキシル末端融合を、同様に単一又は複数
アミノ酸残基の配列内挿入を含む。配列内挿入(即ち、新規ILPアミノ酸配列
内の挿入)は、約1から10残基まで、より好ましくは1から5残基好ましくは
1から3残基までを一般的に範囲とし得る。末端挿入の実例は、組換え宿主細胞
からの成熟ILP又はそのフラグメントの分泌を容易にするためILP分子のN
末端への異種N末端シグナル配列の融合を含む。そのようなシグナル配列は、意
図した宿主細胞種のシグナル配列、及びかくしてそれに相同である、から一般に
得られるだろう。適当な配列は、大腸菌のSTII又はlpp、酵母のアルファ
因子、及び哺乳動物のヘルペスγFのようなウイルスシグナルを含む。
【0108】 天然ILP分子の他の挿入変異体は、免疫原性ポリペプチドへのILP分子の
N−又はC−末端の融合、例えばベータラクタマーゼ又は大腸菌trp配座によ
りコードされる酵素のような細菌ポリペプチド、又は酵母タンパク質、及び免疫
グロブリン領域(好ましくは免疫グロブリン定常領域)、アルブミン、又は1989
年4月6日公開のWO89/02922中に記載されるようなフェリチンのような
長い半減期を有するタンパク質とのC末端融合を含む。
【0109】 更なる挿入変異体は、免疫学的に競合する外因性ポリペプチド、即ちその融合
が投与されるべき又は外因性ポリペプチドに対して生起した交替によって結合す
ることができる動物における免疫応答を引き出すことができるポリペプチドのエ
ピトープを含む、新規ILPの免疫学的活性誘導体である。そのような免疫学的
競合ポリペプチドの典型例は、アレルゲン、自己免疫エピトープ、又はtrpL
E,β−ガラクトシダーゼのような細菌のポリペプチド,ヘルペスgDタンパク
質のようなウイルスのポリペプチドなどを含む融合受容体における先在抗体によ
って認識される他の強力な免疫原又は抗原である。
【0110】 免疫原性融合は、免疫原性ポリペプチドをコードしている組換えDNAによっ
て形質転換した細胞のインビトロでの架橋又は培養によって生産される。それは
、その免疫原融合が、1以上のペプチド結合により新規ILP分子又はそのフラ
グメントに結合した又はその中に挿入した免疫原配列の一つであることが好まし
い。これらの生産物は、従ってILPエピトープとILPに無縁の少なくとも1
のエピトープを含む直鎖ポリペプチド鎖からなる。本発明のILP分子又はその
フラグメントの中のどこかにエピトープを導入することが本発明の範囲内である
ことが理解されるであろう。これらの免疫原性挿入は、製薬上許容されるキャリ
アの中に配合され且つILP分子に対する抗体を生起するために対象者に投与す
る場合に特に有用であり、抗体は、代わりに、組織タイピングにおいて、又は標
準的な免疫アフィニティー技術によって新規ILPsの精製において診断剤とし
て有用である。代替的に、本発明のILPの精製において、融合した外因性ポリ
ペプチド、例えば抗体、レセプター又はリガンドのための結合パートナーは、そ
の融合が引き出され且つ、もし望むのであれば、その新規ILPは例えば酵素的
な切断によって融合から回収した後、不純な混合物からその融合を吸着するため
に用いられる。
【0111】 変異体ILPの特徴を前もって予測することがしばしば困難であることから、
何らかのスクリーニングが最適な変異体を選択するために必要とされるであろう
ことが理解されるであろう。そのようなスクリーニングは、制限されることなし
に、レセプター結合の配列を含む。
【0112】 望ましい変異体を同定した後、そのILP変異体をコードしている遺伝子は、
例えばここに記載されるような化学的合成によって得ることができる。より好ま
しくは、ILPアミノ酸配列変異体をコードしているDNAは、ILPより早く
調製した変異体又は非変異版をコードするDNAの部位特異的変異誘発によって
調製される。部位特異的(部位特異的)変異誘発は、望まれる変異のDNA配列
をコードする特異的オリゴヌクレオチド配列の使用を経てILP変異体の生産を
、同様に横切っている欠失結合点の両側上に安定な二本鎖を形成するため十分な
大きさと配列複雑性のプライマー配列を提供するために、十分な数の隣接ヌクレ
オチドを与える。典型的に、長さにおいて約20から25ヌクレオチドのプライ
マーが、交換されている配列の結合点の両側上の5から10残基と共に、好適で
ある。一般に、部位特異的変異誘発の技術は、Edelmanら,DNA 2, 183(1983)の ような公知文献により例示されるように、当該分野で周知である。理解されるで
あろうように、部位特異的変異誘発技術は、一本鎖及び二本鎖形態の両方におい
て存在するファージベクターを典型的に利用する。部位特異的変異誘発で有用な
典型的なベクターは、例えば、Messingら、Third Cleveland Symposium on Macr
omolecules and Recombinant DNA, A. Walton, ed., Elsevier, Amsterdam(1981
)に開示されたようなM13ファージのようなベクターを含む。これ及び他のフ ァージベクターは、商業的に利用可能であり、且つその使用は当業者に周知であ
る。M13−由来ベクターを用いたDNAフラグメントにおける部位特異的変異
誘発を導くオリゴデオキシリボヌクレオチドの構築のための多用途及び能率的な
手順は、Zoller, M.J.及びSmith,M., Nucleic Acids Res. 10, 6487-6500(1982)
)によって公表された。また、複製の一本鎖ファージ基点を含むプラスミドベク ター(Veiraら,Meth. Enzymol. 153, 3(1987))は、一本鎖DNAを得るために
利用され得る。代替的に、ヌクレオチド置換は、インビトロで適切なDNAフラ
グメントを合成すること、及び当該分野で周知のPCR法によってそれを増幅す
ることによって導入される。
【0113】 PCR増幅技術は、新規ILPのアミノ酸配列変異体を創造するためにも使用
し得る。PCR変異誘発の特有の実例において、鋳型プラスミドDNA(1μg
)が、増幅されるべき領域の外方のプラスミドDNAにおける独自の認識部位を
有する制限エンドヌクレアーゼによる消化によって線状化される。この材料の1
00ngが4のデオキシヌクレオチド三リン酸を含み、GeneAmpRキット(Perkin
-Elmer Cetus, Norwalk, CT and Emeryville, CAから入手)中に含まれるPCR
緩衝液と、50μlの最終用量までの、各オリゴヌクレオチドプライマーの25
pモルを含むPCR混合物に加えられる。その反応混合物は、35μl鉱油で重
層される。その反応は100℃で5分間変性され、直ぐに氷上に置き、次いで、
Perkin-Elmer Cetus, Norwalk, CT and Emeryville, CA)から購入したThermus
aquaticus(Taq)DNA ポリメラーゼ(5単位/μl)の1μlが鉱油層の下に加え
られる。その反応混合物は、次いで以下の通りプログラムしたDNA熱サイクラ
ー(Perkin-Elmer Cetus)中に挿入される:(実施例として) 2分間、55℃ 30秒間、72℃、次いで以下の19サイクル: 30秒間、94℃、 30秒間、55℃、及び 30秒間、72℃。
【0114】 該プログラムの終わりに、その反応容器は熱サイクラーから外され、その水相
が新たな容器に転移され、フェノール/クロロホルム(50:50容量)によっ
て抽出され、次いでエタノール沈澱し、次いでDNAが標準的な手順によって回
収される。この材料はその後、ベクターへの挿入のための適当な処理を受けさせ
る。
【0115】 カセット変異誘発は、変異体を調製するために有用な別の方法であり、Wells ら(Gene 34:315(1985))によって記載された技術に基づいている。
【0116】 加えて、ファージミドディスプレー法と称されるものは、天然又は変異ILP
又はそのフラグメントのアミノ酸配列変異体の作製において有用となり得る。こ
の方法は、1)変異するべきレセプターをコードしている第1の遺伝子、天然又
は野生型ファージ被覆タンパク質の少なくとも一部をコードしている第2の遺伝
子、ここで第1及び第2の遺伝子は異種である、及び第1と第2の遺伝子に操作
可能に結合しそれによって融合タンパク質をコードしている遺伝子融合を形成す
る転写調節要素を含む複製可能な発現ベクターを構築すること;2)第1の遺伝
子内の1以上の選択した位置で該ベクターを変異させ、それによって関連するプ
ラスミドのファミリーを形成すること;3)該プラスミドにより適当な宿主細胞
を形質転換すること;4)ファージ被覆タンパク質をコードしている遺伝子を有
するヘルパーファージで形質転換した宿主細胞を感染させること;5)プラスミ
ドの少なくとも一部を含む組換えファージミド粒子を形成するために且つ該宿主
を形質転換できる適当な条件下で、形質転換し感染した宿主細胞を培養すること
、該条件は該粒子の表面上の融合タンパク質の1コピーよりも多いファージミド
粒子ディスプレーの少量よりも多くないように調整される;6)ファージミド粒
子の少なくとも一部が抗原と結合するように適当な抗原とファージミド粒子を接
触させること;及び7)結合しないそれらから結合するファージミド粒子を分離
すること、を含む。工程4から7は、1回またはそれ以上繰り返すことができる
。好ましくはこの方法において、該プラスミドが転写調節要素の厳重な制御下に
あり且つその培養条件は、該粒子の表面上の融合タンパク質の1コピーより多く
をディスプレーするファージミド粒子の量又は数が、約1%より少なくなるよう
に調整される。また、好ましくは、融合タンパク質の1コピーより多くをディス
プレーするファージミド粒子の量は、融合タンパク質の単一コピーをディスプレ
ーするファージミド粒子の量の10%より少ない。最も好ましくは、その量は2
0%より少ない。典型的にはこの方法において、発現ベクターは、ポリペプチド
のそれぞれのサブユニットをコードしているDNAに融合した第2のシグナル配
列をさらに含むであろうし、該転写調節要素は、プロモーター系とされるであろ
う。好ましいプロモーター系は、lacZ,λPL,tac,T7ポリメラーゼ,
トリプトファン,及びアルカリホスファターゼプロモーター及びその組合せから
選択される。また、普通該方法は、M13K07,M13R408,M13−V
CS,及びPhiX174から選択されるヘルパーファージを用いるであろう。
好ましいヘルパーファージは、M13K07である、且つ好ましい被覆タンパク
質はM13ファージ遺伝子III被覆タンパク質である。好適な宿主は大腸菌、
及び大腸菌のプロテアーゼ欠如株である。
【0117】 上述の及び類似の変異誘発技術の更なる詳細は、例えば、Sambrookら、上記、
及びCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubelら,eds.,上記、のよう な一般的なテキストブック中に見出される。
【0118】 F.共有結合修飾。 本発明の新規ILPsの共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれる。そのよ
うな修飾は、選択したアミノ酸側鎖又は末端残基と反応できる有機誘導化剤とI
LPの標的としたアミノ酸残基とを反応することによって、又は選択した組換え
宿主細胞中で機能する転写後修飾のメカニズムを利用することによって慣習的に
導入される。得られる共有結合誘導体は、生物学的活性のため、免疫アッセイ用
に、又はその組換え体免疫アフィニティー精製のための抗−ILP抗体の調整の
ために重要な残基を同定することで導かれるプログラムにおいて有用である。例
えば、ニンヒドリンとの反応後のタンパク質の生物学的活性の完全な不活性は、
少なくとも1のアルギニル又はリジル残基がその活性化のために重要であり、そ
の後に選択した条件下で修飾した個々の残基が修飾したアミノ酸残基を含むペプ
チドフラグメントの分離によって同定されることを示唆するであろう。そのよう
な修飾は、当業者の技量の範囲内であり、過度の実験なしに実行される。
【0119】 二官能剤による誘導体化は、ILPsとポリペプチドとの分子内凝集体を調整
するために、同様にアッセイ又はアフィニティ精製における使用のために水不溶
性指示マトリックス又は表面にILPポリペプチドを架橋するために有用である
。加えて、鎖内架橋の研究は、立体配座構造に関する直接情報を提供するだろう
。普通に用いられる架橋剤は、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニル
エタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ホモ二
官能イミドエステル、及び二官能マレイミドを含む。メチル−3−[(p−アジ
ドフェニル)ジチオ]プロピオイミダートのような誘導化剤は、光の存在中で架
橋を形成することができる光活性化可能な中間体を生じる。代替的に、米国特許
第3959642号;3969287号;3691016号;4195128号
;4247642号;4229537号;4055635号;及び433044
0号に記載された臭化シアン活性化炭水化物と系反応基質のような反応性水不溶
性マトリックスがタンパク質固定化及び架橋のために利用される。
【0120】 ある種の翻訳後修飾は、相当するグルタミルとアスパルチル残基への、グルタ
ミンとアスパラギンの翻訳後脱アミド化の作用の結果である。例えば、これらの
残基は穏やかな酸性条件下で脱アミド化される。これら残基のいずれかの形態は
本発明の範囲内に収まる。
【0121】 他の翻訳後修飾は、プロリンとリシンのヒドロキシル化、セリル、トレオニル
又はチロシル残基の水酸基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側
鎖のα−アミノ基のメチル化を含む(T.E. Creighton, Proteins: Structure an
d Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86(1983
))。
【0122】 ここでのILPsの更なる誘導体は、「免疫付着因子」と称される、結合タン
パク質の官能ドメイン(大抵はレセプター、細胞付着分子又はリガンド)と、免
疫グロブリン配列とを組み合わせたキメラ抗体様分子である。このタイプの融合
タンパク質の最も普通の実例は、免疫グロブリンのヒンジとFc領域と、特異的
リガンドを認識する細胞表面レセプターのドメインとの組合せである。このタイ
プの分子は、それが「免疫」と「付着因子」機能を組み合わせたため「免疫付着
因子」と称される;他の頻繁に使われる名称は「Ig−キメラ」,「Ig−」又
は「Fc-融合タンパク質」、又は「レセプター−グロブリン」である。
【0123】 文献中で報告された免疫付着因子は、例えば、T細胞レセプターの融合体(Ga
scoigneら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:2936-2940(1987));CD4(Capo
nら、Nature 337:525-531(1989);Trauneckerら、Nature 339:68-70(1989);Zettm
eisslら、DNA Cell Biol. USA 9:347-353(1990);Byrnら、Nature 344:667-670(1
990));L−seILP(ホーミングレセプター)(Watsonら、J. Cell. Biol.
110;2221-2229(1990));Watsonら、Nature 349:164-167(1991));E−seIL P(Mulliganら、J. Immunol. 151:6410-17(1993);Jacobら、Biochemistry 34:1
210-1217(1995));P−seILP(Mulliganら、上記;Hollenbaughら、Bioch
emistry 34:5678-84(1995));ICAM−1(Stautonら、J. Exp. Med. 176:14
71-1476(1992);Martinら、J. Virol. 64:3561-68(1993);Roepら、Lancet 343:15
90-93(1994));ICAM−2(Damleら、J. Immunol. 148:665-71(1992));I
CAM−3(Holnessら、J. Biol. Chem. 270:877-84(1995));LFA−3(Ka
nnerら、J. Immunol. 148:2023-2029(1992));LI糖タンパク質(Dohertyら、
Neuron 14:57-66(1995));TNF−R1(Ashkenaziら、Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 88:10535-539(1991);Lesslauerら、Eur. J. Immunol. 21:2883-86(1991)
;Peppelら、J. Exp. Med. 174:1483-1489(1991));TNF−R2(Zackら、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 90:2335-39(1993);Wooleyら、J. Immunol. 151:6602-
07(1993));CD44(Aruffoら、Cell 61:1303-1313(1990));CD28とB 7(Linsleyら、J. Exp. Med. 173:721-730(1991));CTLA−4(Lisleyら 、J.Exp. Med. 174:561-569(1991));CD22(Stamenkovicら、Cell 66:1133
-1144(1991));NPレセプター(Bennettら、J. Biol. Chem. 266:23060-23067
(1991));IgEレセプターα(RidgwayとGorman, J. Cell. Biol. 115 abstr.
1448(1991));IFN−γR α−とβ−鎖(Marstersら、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 92:5401-05(1995));trk−A,−Bと−C(Sheltonら、J. Neuro
sci. 15:477-91(1995));IL−2(Landolfi, J. Immunol. 146:915-19(1991)
);IL−10(Zhengら, J. Immunol. 154:5590-5600(1995))を含む。
【0124】 最もシンプルで且つ最も直接的な免疫付着因子デザインは、「付着因子」の結
合領域と免疫グロブリン重鎖のヒンジとFc領域との組合せである。通常、本発
明のILP−免疫グロブリンキメラを調製する場合、望まれるILPポリペプチ
ドをコードしている核酸は、好ましくは免疫グロブリン定常ドメイン配列のC−
末端をコードしている核酸のN末端に対する鎖のC末端で、その鎖の少なくとも
1に融合されるであろうが、しかしながら免疫グロブリンのN末端への融合も又
可能である。典型的には、そのような融合において、コードされるキメラポリペ
プチドは、免疫グロブリン重鎖の定常領域の、少なくとも機能的に活性なヒンジ
、CH2及びCH3ドメインを保持するであろう。融合はまた、定常ドメインの
Fc部分のC末端、又は重鎖のCH1又は軽鎖の相当する領域に直接N末端にも
作られる。その融合が作られる正確な部位は重要でない;特有の部位は周知であ
り且つILP−免疫グロブリンキメラの生物学的活性、分泌又は結合特性を最適
化するために選択し得る。
【0125】 好適な実施態様において、天然、成熟ILPポリペプチドの配列は、免疫グロ
ブリン、例えばIgG−1のエフェクター機能を含む抗体のC末端部分(特にF
cドメイン)のN末端に融合される。それはILP配列に全体の重鎖定常領域を
融合することを可能にする。しかしながら、より好ましくは、パパイン切断部位
の直ぐ上流のヒンジ領域で始まる配列(IgGFcと化学的に表され;残基21
6,114とされる重鎖定常領域の第1の残基、又は他の免疫グロブリンの類似
部位を保持する)は、該融合において用いられる。特に好適な実施態様において
、ILPポリペプチド鎖は、ヒンジ領域及びCH2とCH3またはCH1、ヒン
ジ、IgG−1,IgG−2又はIgG−3重鎖のCH2とCH3ドメインに融
合される。その融合がなされる正確な部位は重要ではなく、且つ最適な部位はル
ーチンの実験によって決定することができる。
【0126】 何れかの実施態様において、ILP−免疫グロブリンキメラは、マルチマーと
して、特にホモダイマー又はホモテトラマーとして構築される(WO91/08
298)。一般に、これらの構築された免疫グロブリンは、周知の単位構造を有
するだろう。基本の4鎖構造単位は、IgG,IgD,及びIgEが存在する形
態である。4の単位はより高分子の免疫グロブリン中で繰り返される;IgMは
、ジスルフィド結合、IgA、及び血清中でマルチマー形態でも存在し得る時折
IgGグロブリンによって団結した基本の4単位のペンタマーとして存在する。
マルチマーの場合、それぞれ4単位は同じか又は異なって良い。
【0127】 本発明の範囲内の各種の例示的に構築されたILP−免疫グロブリンキメラは
、以下に概略的に図式化される: (a)ACL−ACL; (b)ACH−[ACH,ACL−ACH,ACL−VHH,又はVLL−ACH]; (c)ACL−ACH−[ACL−ACH,ACL−VHH,VLL,VLL−ACH ,又はVLL−VHH]; (d)ACL−VHH−[ACH,又はACL−VHH,又はVLL−ACH]; (e)VLL−ACH −[ACL−VHH ,又はVLL−ACH];及び (f)[A−Y]n−[VLL−VHH2, 式中、 それぞれのAは、同じか異なる新規ILPポリペプチドアミノ酸配列を表す; VLは免疫グロブリン軽鎖可変ドメインである; VHは免疫グロブリン重鎖可変ドメインである; CLは免疫グロブリン軽鎖定常ドメインである; CHは免疫グロブリン重鎖定常ドメインである; nは1より大きい整数である; Yは共有結合架橋剤の残基を表す。
【0128】 簡潔さの重要性において、上記構造は鍵となる特徴のみを示す;それらは免疫
グロブリンの結合(J)又は他の領域も、示した結合がジスルフィドであること
も示してはいない。しかしながら、そのようなドメインが結合活性のために要求
される場合に、それらが免疫グロブリン分子中で占有する元の配座においてそれ
らが存在するように構築されるであろう。
【0129】 たとえ免疫グロブリン軽鎖の存在が本発明の免疫付着因子に要求されないとし
ても、免疫グロブリン軽鎖は、ILP−免疫グロブリン重鎖融合ポリペプチドに
共有結合するか、或いはILPポリペプチドに直接融合するかのいずれかで存在
させて良い。前のケースにおいて、免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNA
が、ILP−免疫グロブリン重鎖融合タンパク質をコードしているDNAと典型
的に共発現される。分泌に関し、重鎖と軽鎖のハイブリッドは、2つのジスルフ
ィド結合した免疫グロブリン重鎖−軽鎖対を含む免疫グロブリン様構造を提供す
るように共有的に結合されるであろう。そのような構造の調整のために適当な方
法は、例えば、1989年3月28日発行の米国特許第4816567号中に開示され る。
【0130】 好適な実施態様において、本発明の免疫付着因子の構築で使用される免疫グロ
ブリン配列は、IgG免疫グロブリン重鎖定常ドメインからのものである。ヒト
免疫付着因子のために、ヒトIgG−1とIgG−3免疫グロブリン配列の使用
が好適である。IgG−1を用いることの主な効果は、IgG−1免疫グロブリ
ンが固定化したプロテインA上で能率的に精製できることである。一方、IgG
−3の精製は、プロテインG、多用性が顕著に劣る媒体を要求する。しかしなが
ら、免疫グロブリンの他の構造的及び機能的な特性は、特有の免疫付着因子の構
築用のIg融合パートナーを選択する場合に考慮されるであろう。例えば、Ig
G−3ヒンジはIgG−1に融合した場合重ならず又は機能的適度でないより大
きな「付着因子」ドメインを適応できるようにより大きく且つよりフレキシブル
である。IgG免疫付着因子が典型的に一又は二価である一方、他のIgサブタ
イプ様IgAとIgMは、基本的なIgホモダイマー単位の、それぞれに、ダイ
マー又はペンタマー構造を生じ得る。マルチマー免疫付着因子は、そのIgGベ
ースの相手よりもより大きな結合力によってそのそれぞれの標的を結合できる。
そのような構造の報告された実例は、CD4−IgM(Trauneckerら、上記);
ICAM−IgM(Martinら、J. Virol. 67, 3561-68(1993));及びCD2− IgM(Arulanandamら、J. Exp. Med. 177, 1439-50(1993))。
【0131】 インビボ適用用に設計されるILP−Ig免疫付着因子のために、Fc領域に
よって特徴付けられる薬物動態学的特性及びエフェクター機能が同様に重要であ
る。例えIgG−1,IgG−2とIgG−4が全て21日のインビボ半減期を
有するとしても、補体系を活性化するその相対的な有効性は異なる。IgG−4
は補体を活性化せず、且つIgG−2は、IgG−1よりも補体活性で顕著に弱
い。更に、IgG−1と違って、IgG−2は、単核細胞又は好中球上のFcレ
セプターに結合しない。IgG−3が補体活性化のために最適である一方それの
インビボでの半減期は他のIgGイソタイプのほぼ三分の一である。ヒトの治療
用として使用するために設計した免疫付着因子のための別の重要な考慮すべき事
項は、特有のイソタイプの多数のアロタイプ変異体である。一般に、より少数の
血清学的に定義されたアロタイプを持ったIgGイソタイプが好適である。例え
ば、IgG−1は、4のみの血清学的に定義したアロタイプ部位を有し、2つは
(Glmと2)はFc領域中に配され;且つこれら部位Glm1の一つは非免疫
原性である。一方、IgG−3中には12の血清学的に定義したアロタイプがあ
り、全てがFc領域中にあり;これら部位の3つのみ(G3m5,11及び21
)免疫原性である一つのアロタイプを有する。かくして、γ3免疫付着因子の潜
在免疫原性は、γ1免疫付着因子のそれよりもより大きい。
【0132】 ILP−Ig免疫付着因子は、IgcDNA配列にフレーム内ILP部分をコ
ードしているcDNA配列を融合することによって最も利便的に構築される。し
かしながら、ゲノムIgフラグメントへの融合も又使用することができる(例え
ば、Gascoigneら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:2936-2940(1987);Aruffoら 、Cell 61:1303-1313(1990);Stamenkovicら、Cell 66:1133-1144(1991))。融合
の後者のタイプは、発現用にIg調節配列の存在を要求する。IgG重鎖定常領
域をコードしているcDNAは、ハイブリダイゼーションによって又はポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)技術によって、脾臓又は血中リンパ球から得られたcD
NAライブラリーからの公知の配列に基づいて単離することができる。
【0133】 天然分子よりもより長い半減期を所有する本発明の新規ILPsの他の誘導体
は、非蛋白様ポリマーに共有結合したILP又はILP−免疫グロブリンキメラ
を含む。該非蛋白様ポリマーは、普通、親水性合成ポリマー、即ち天然に見出さ
れないポリマーである。しかしながら、天然に存在する及び組換え又はインビト
ロ法によって生産されるポリマーは天然ソースから単離されるポリマーであると
同じく有用である。親水性ポリビニルポリマー、例えばポリビニルアルコール又
はポリビニルピロリドンは、本発明の範囲内にある。特に有用なものは、ポリエ
チレングリコール(PEG)のようなポリアルキレンエーテル;ポリオキシエチ
レン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレン
のブロックコポリマー(Pluronics);ポリメタクリレート;カルボマー;サッカ リドモノマーD-マンノース、D-とL-ガラクトース、フコース、フルクトース 、D-キシロース、L-アラビノース、D-グルコン酸、シアリル酸、D-ガラクチ
ュロン酸、D-マンニュロン酸(例えばポリマンニュロン酸、又はアルギン酸) 、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-グルコースを含む分枝した又は未 分子のポリサッカリド及びラクトース、アミロペクチン、デンプン、ヒドロキシ
エチルデンプン、アミロース、デキストラン硫酸、デキストラン、デキストリン
、グリコーゲンのようなホモポリサッカリドとヘテロポリサッカリドを含むノイ
ラミン酸、又は酸ムコ多糖類のポリサッカリドサブユニット、例えばヒアルロン
酸;ポリソルビトールとポリマンニトールのような糖アルコールのポリマー;ヘ
パリン又はヘパロンである。架橋前のポリマーは、必須ではないが、しかし好ま
しくは水溶性であるが、しかし最終結合体は水溶性とする必要がある。加えて、
該ポリマーは結合体形態で高い免疫原性でなく、もしそれがそのようなな経路で
投与することを意図するのであれば静脈内注入又は注射と和合可能である粘性を
所有するだろう。
【0134】 好ましいポリマーは、反応性である単一基のみを含む。これはタンパク質分子
の架橋を避けることに役立つ。しかしながら、架橋を減じるために反応条件を最
適化すること、又は実質上均質な誘導体を回収するためにゲル濾過又はクロマト
グラフィー篩別によって反応生成物を精製することは、ここでの範囲内である。
【0135】 ポリマーの分子量は、約100から5000000までの望ましい範囲として
良く、好ましくは約1000から20000までである。選択した分子量は、ポ
リマーの本質と置換の度合に基づくであろう。一般に、ポリマーのより大きな親
水性と、置換性のより大きな度合、分子量の低いそれを利用することができる。
最適な分子量は、ルーチンの実験によって決定されるであろう。
【0136】 該ポリマーは一般に、そのポリマーと、結合するべきILP又はILP−免疫
グロブリンキメラの1以上のアミノ酸又は糖残基とを反応させる他官能架橋剤に
よって新規ILPに又はILP−免疫グロブリンキメラに共有結合される。しか
しながら、ハイブリッドにより誘導したポリマーを反応すること、又はその反対
、によって該ポリマーを直接架橋することは本発明の範囲内である。
【0137】 ILP又はILP−Ig上の共有結合架橋部位は、N末端アミノ基及びリシン
残基上に見出されるイプシロンアミノ基、同様に他のアミノ、イミノ、カルボキ
シル、スルフィドリル、ヒドロキシル又は他の疎水性基を含む。該ポリマーは、
多官能(普通は二官能性)架橋剤の使用なしに、ハイブリッドに直接共有結合さ
せ得る。アミノ基への共有結合は、シアヌリッククロリド、カルボニルジイミダ
ゾール、アルデヒド反応基(PEGアルコキシドに加えブロモアセトアルデヒド
のジエチルアセタール;PEGに加えDMSOと無水酢酸、又はPEG塩化物に
加え4−ヒドロキシベンズアルデヒドのフェノキシド、スクシンイミジル活性エ
ステル、活性化したジチオカルボネートPEG、2,4,5−トリクロロフェニ
ルクロロホルメート)又はP−ニトロフェニルクロロホルメート活性化PEG)
に基づいた周知の化学薬品によって達成される。カルボキシル基は、カルボジイ
ミドを用いてPEG−アミンをカップリングすることによって誘導される。
【0138】 ポリマーは、化学薬品、例えばメタ過ヨウ素酸塩、又は酵素、例えばグルコー
ス又はガラクトースオキシダーゼ(炭水化物のアルデヒド誘導体を生産する何れ
かのもの)を用いた酸化によって、続いて、ビオチン又はアビジンによってオリ
ゴサッカリドの標識化のために、Heitsmannら、P.N.A.S., 71:3537-41(1974)又 はBayerら、Moethods in Enzymology 62:310(1979)により記載されると同じ形で
、ヒドラジド又はアミノ誘導化ポリマーとの反応によってオリゴヌクレオチド基
に接合される。更に、オリゴサッカリドを結合するためにこれまで用いられてい
る他の化学的又は酵素的方法は、一般に、誘導体化のためのアミノ酸部位よりも
より少数の置換があり、且つそのオリゴサッカリド生産物がより均質となるであ
ろうために、特に有効である。そのオリゴサッカリド置換はまた、糖を取り外す
ための酵素消化によって、例えばポリマー誘導体化前のノイラミニダーゼ消化に
よって最適に修飾される。
【0139】 該ポリマーは、アミノ酸側鎖、又は結合したポリペプチドのN又はC末端と直
接反応する、又は多官能架橋剤と反応する基を生じるであろう。一般に、そのよ
うな反応性の基を生じるポリマーは、固定化したタンパク質の調製用に周知であ
る。そのような化学薬品をここで使用するために、それはタンパク質固定化用に
これまで利用された不溶性ポリマーと同じ形態で誘導化した他の水溶性ポリマー
を用いられるであろう。臭化シアン活性化は、架橋ポリサッカリドにおいて利用
するために特に有効な手法である。
【0140】 開始ポリマーに関しての「水溶性」とは、該ポリマー又は接合用に用いたそれ
の反応中間体が、誘導体化反応に加わるために十分な水溶性であることを意味す
る。ポリマー接合体に関しての「水溶性」は、その接合体が血液のような生理学
的流体中に可溶であることを意味する。
【0141】 そのようなポリマーによる置換の度合は、タンパク質上の反応部位の数、タン
パク質の全部又はフラグメントが使用されるかどうか、そのタンパク質が異種タ
ンパク質(例えばILP−免疫グロブリンキメラ)であるかどうか、その分子量
、ポリマーの親水性および他の特性、及び選択した特有のタンパク質誘導化部位
に基づいて変わるであろう。一般に、その接合体は約1から10までのポリマー
分子を含み、一方何れかの異種配列は、望ましい活性が顕著に不利な影響を及ぼ
すことがない限りは、ポリマー分子の必然的に制限されない数によって置換され
得る。架橋の最適度合は、その時間、温度及び他の反応条件が、望まれる形にお
いて機能するための該結合体の能力が決定された後に、置換の度合を変更するよ
うに変えられることで実験マトリックスによって容易に測定される。
【0142】 該ポリマー、例えばPEGは、タンパク質とPEGのような非蛋白様ポリマー
との共有結合修飾のための当該分野で周知の方法の広範な多様性によって架橋さ
れる。これら方法のあるものは、しかしながらここでの目的のために実施されな
い。臭化シアン試薬はタンパク質架橋を含む多くの副反応に至る。加えて、それ
は特に、スルフィドリル基を含むタンパク質の不活性化に至るであろうと思われ
る。カルボニルジイミダゾール試薬(Beauchampら、Anal Biochem. 131:25-33(1
983))は、タンパク質を不活性化できる高いpH(>8.5)を要求する。更に、「活
性化したPEG」中間物が水と反応できることから、タンパク質を越える非常に
大きな過量モルが要求される。カルボニルジイミダゾール試薬のために要求され
るPEGの高い濃度はまた、ゲル濾過クロマトグラフィーと親水性相互作用クロ
マトグラフィーの両方に不利な影響を及ぼすように、精製における問題にも至る
。加えて、「活性化したPEG」の高い濃度は、以前に記載されている問題(Da
vis,米国特許第4179337)タンパク質を沈澱させる。一方、アルデヒド試
薬(Royer,米国特許第4002531号)は、40倍モル過量のPEGと1−2
時間のインキュベーションのみを要求することから、より有効である。しかしな
がら、PEGアルデヒドの調製のためのRoyerによって示唆される二酸化マンガ ンは、「金属ベースの酸化剤と錯体を形成するPEGの著しい傾向のため」問題
をはらんでいる(Harrisら、J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed. 22, 341-52(198
4))。Moffatt酸化の使用、DMSOと無水酢酸の利用がこの問題を取り除く。 加えて、Royerにより示唆される水素化ホウ素ナトリウムは、高いpHで使用す る必要があり、且つジスルフィド結合を減じる顕著な傾向を有する。一方、中性
のpHで有効であり且つジスルフィド結合を減じる傾向が非常に少ない水素化シ
アノホウ素ナトリウムは好ましい試薬である。
【0143】 本発明の長半減期結合体は、ゲル濾過によって未反応の開始材料から分離され
る。該結合体の異種は、同じ方式でその他から精製される。該ポリマーはまた、
親水性ゲルのような不溶性とされ得る。
【0144】 新規ILPは、例えば、コロイダル薬剤デリバリーシステム(例えば、リポソ
ーム、アルブミン微小球、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)に
おいて、コアセルベーション技術によって又は境界面重合化によって調製したマ
イクロカプセル中に内包され得る。そのような技術は、Reminton's Pharmaceuti
cal Sciences, 16th Edition, Osol, A., Ed(1980)中に開示される。
【0145】 G.抗体調製。 (i)ポリクローナル抗体 本発明のILP又はILPのフラグメントに対するポリクローナル抗体は、I
LPとアジュバントの多重皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射によって動物中
に生起させる。それは、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエス
テル(システイン残基を経て結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残
基を経て)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、又はR1N=C=
NR(式中、RとR1は異なるアルキル基である)のような二官能又は誘導体化 剤を用いて、例えば、キーホールリムペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウ
シチログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターのような免疫化する種にお
ける免疫原であるタンパク質に対する標的アミノ酸配列を含むILP又はフラグ
メントを結合するために有用となり得る。
【0146】 動物は、約1mg又は1μgの結合体(それぞれウサギ用又はマウス用)とフ
ロイント完全アジュバントとを組み合わせること及び多重部位で該溶液を皮内に
注射することによって免疫原性結合体又は誘導体に対して免疫化される。1ヶ月
後、その動物は、多重部位で皮下注射によってフロイント完全アジュバント中結
合体の元の量の1/5から1/10によってブーストされる。7日から14日後
、その動物は放血し、その血清が抗ILP抗体価について分析される。動物は、
力価プラトーとなるまでブーストされる。好ましくは、該動物は同じILPの結
合体であるが、異なるタンパク質及び又は異なる架橋試薬によって結合した、に
よりブーストされる。結合体はまた、タンパク質融合として組み換え細胞培養に
おいて作ることもできる。また、明礬のような凝集剤が免疫応答を増加するため
に用いられる。
【0147】 (ii)モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、実質上均質な抗体の集団から得られ、即ち集団の個別
の抗体が、少量で存在し得る天然生起変異の可能性を除いて同一である。かくし
て、修正「モノクローナル」は、別個の抗体の混合物ではないような抗体の特徴
を示す。
【0148】 例えば、本発明の抗ILPモノクローナル抗体は、Kohler & milstein, Natur
e 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製して 良く、または組換えDNA法によって作製して良い(Cabillyら、米国特許第4 816567号)。
【0149】 本発明のモノクローナル抗体をコードしているDNAは、容易に単離され、通
常の手法(例えば、ネズミの抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異
的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)
を用いて配列決定される。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの
好適なソースとしての役割を果たす。一度単離したDNAは、発現ベクターの中
に組み込むことができ、次いで組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合
成を得るため、他の免疫グロブリンタンパク質を生産しない類人猿COS細胞、
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞のような宿主細
胞内にトランスフェクトされる。そのDNAはまた、例えば相同ネズミ配列、Mo
rrisonら、Proc. Nat. Acad. Sci. 81:6851(1984)の代わりにヒト重鎖及び軽鎖 定常ドメインのコード化配列で置換することにより、又は非免疫グロブリンポリ
ペプチドのコード化配列の全部又は一部を免疫グロブリンコード化配列に共有結
合接続することによって修正され得る。その手法において、「キメラ」又は「ハ
イブリッド」抗体は、本発明のILPモノクローナル抗体の結合特異性を有する
ものが調製される。
【0150】 典型的にそのような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ド
メインを置換し、又はそれはILPへの特異性を有する1の抗原結合部位と異な
る抗原への特異性を有する別の抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を創造する
ように本発明の抗体の1の抗原結合部位の可変領域と置換される。
【0151】 キメラ又はハイブリドーマ抗体はまた、架橋剤を包含するそれらを含む、タン
パク質合成化学で周知の方法を用いてインビトロで調製し得る。例えば、イムノ
トキシンは、ジスルフィド交換反応を用いて又はチオエーテル結合を形成するこ
とによって構築して良い。この目的のための適当な試薬の実例は、イミノチオラ
ート及びメチル−4−メルカプトブリルイミダートを含む。
【0152】 診断的な適用のため、本発明の抗体は、検出可能な部分によって標識されるだ
ろう。該検出可能な部分は、直接或いは間接的のいずれか一方で検出可能なシグ
ナルを生産数ことができる何れかのものとすることができる。例えば、その検出
可能な部分は、3H,14C,32P,35S又は125Iのような放射性同位元素;フル
オレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、又はルシフェリンのような蛍光
又は化学ルミネセント化合物;ビオチン;例えば125I,32P,14C,又は3Hの
ような放射性同位体標識;又はアルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダー
ゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼのような酵素として良い。
【0153】 検出可能部分に抗体の別個の結合のための当該分野で周知の何れかの方法は、
Hunterら、Nature 144:945(1962);Davidら、Biochemistry 13:1014(1974);Pai
nら、J. Immunol. Meth. 40:219(1981);及びNygren, J. Histochem. and Cytoc
hem. 30:407(1982)によって記載されるそれら方法を含めて利用して良い。
【0154】 本発明の抗体は、競合結合アッセイ、直接及び間接サンドウイッチアッセイ、
及び免疫沈降アッセイ(例えば、Zola, Monoclonal Antibodies;A Manual of T
echniques, pp.147-158(CRC Press, Inc.,1987)参照)のような何れかの周知の 方法において利用し得る。
【0155】 (iii)ヒト化抗体 非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野において周知である。一般に
、ヒト化抗体は、非ヒトであるソースからのそれに導入した1以上のアミノ酸残
基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「移入」可変領域から
典型的に取られる「移入」残基として関係する。ヒト化は、ヒト抗体の相当する
配列で齧歯類動物素補ドメイン領域(CDR)又はCDR配列を置換することに
よって、Winterと共同研究者の方法(Jonesら、Nature 321, 522-525(1986);Rie
chmannら、Nature 332, 323-327(1988);Verhoeyenら、Science 239, 1534-1536(
1988))に従い本質的に実行される。従って、そのような「ヒト化した」抗体は、
キメラ抗体であり(Cabilly,上記)、完全なヒト可変領域よりも実質上劣るも のが非ヒト種からの相当する配列により置換されている。実際、ヒト化した抗体
は幾つかのCDR残基と可能性のある幾つかのFR残基が齧歯類動物中の類似部
位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0156】 抗原のための高い親和性と他の利便的な生物学的特性の保持によってヒト化さ
れる抗体が重要である。この到達点に達するため、好適な方法に従い、ヒト化抗
体は、親とヒト化配列の三次元モデルを用いて、親配列の分析のプロセスと各種
の概念的ヒト化生産物によって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、商
業上利用可能であり、当業者に良く知られている。コンピュータプログラムは、
選択した免疫グロブリン配列候補の可能性のある三次元立体構造を図示及び表示
することに利用可能である。これらディスプレイの精査は、免疫グロブリン配列
候補の機能かにおける残基の可能性のある役割の分析を、即ちその抗原に結合す
るための免疫グロブリン候補の能力に影響を及ぼす残基の分析を与える。この手
法において、FR残基を選択することができ、且つ標的抗原への増加した親和性
のような望まれる抗体特性となるように、コンセンサス及び移入配列からの結合
が達成される。一般に、CDR残基が直接的であり且つ抗原結合の感化に大部分
が実質上含まれる(例えば、WO92/22653参照)。
【0157】 代替的に、内因性免疫グロブリン生産の不在においてヒト抗体の前レパートリ
ーを、免疫化について作製することができるトランスジェニックマウス(例えば
マウス)を作製することが現在は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列マウ
スにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失が内因性抗体生産の 完全な抑制に帰結することが記載されている。そのような生殖系列変異体マウス
中のヒト生殖系列免疫グロブリンの転移は、抗原チャレンジにおいてヒト抗体の
生産に帰結するだろう。例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9
0, 2551-255(1993);Jakobovitsら、Nature 362,255-258(1993)を参照。
【0158】 (iv)二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも2の異なる抗原に特異的結合性を有する、好ま
しくはヒト又はヒト化したモノクローナル抗体である。本ケースにおいて、特異
的結合性の一つは、本発明のILPのためとして良く、一方他方は、何れかの他
の抗原、例えばインスリンファミリーの他のメンバーのためとして良い。そのよ
うな構造は、二重特異性免疫付着因子として関係付けることもできる。
【0159】 従来、二重特異的抗体の組換え生産は、2の重鎖が異なる特異性を有する場合
、2の免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づいている(MillsteinとCuell
o, Nature 305, 537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖と軽鎖のランダム組合せ
のため、これらのハイブリドーマ(quadromas)は、一つのみが正確な二重特異 的構造を有する10の異なる抗体分子の潜在混合物を生産する。通例はアフィニ
ティクロマトグラフィー工程によってなされる正しい分子の精製は、多少扱いに
くく、且つその生産物収率は低い。類似の方法は、PCT出願公開WO93/0
8829(1993年5月13日公開)、及びTrauneckerら、EMBO 10;3655-3659(1991)
中に開示される。この問題は、それぞれの抗体の結合特異性が、1997年5月5日提
出の米国特許出願第08/850058中に開示される通り保持されるように二
重特異性抗体のそれぞれの腕に共通の軽鎖を選択することによって克服し得る。
【0160】 異なる及びより好適なアプローチに従って、望まれる結合特異性を持つ抗体可
変領域(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合され
る。その好ましい融合は、ヒンジの少なくとも一部、免疫グロブリン重鎖定常ド
メインの第2と第3定常領域(CH2とCH3)を含む免疫グロブリン重鎖定常
ドメインを持つ。それは、該融合の少なくとも1つに存在する、軽鎖結合のため
に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免
疫グロブリン重鎖融合及び、もし望まれるなら、免疫グロブリン軽鎖、をコード
しているDNAsは、個別の発現ベクターに挿入され、そして適当な宿主生物に
共トランスフェクトされる。これは、構築において用いた3つのポリペプチド鎖
の等しくない比率が最適な収量を提供する場合実施態様において3つのポリペプ
チドフラグメントの相互の比率の調整において大きな融通性を提供する。それは
しかしながら、等しい比率において少なくとも2のポリペプチド鎖の発現が高収
量に帰結する場合、又はその比率が特に有意でない場合に、1の発現ベクター中
の3のポリペプチド鎖の2つ又は全てをコードする配列を挿入する可能性がある
。このアプローチの好ましい態様において、二重特異性抗体は一方の腕の中の第
1の結合特異性を持ったハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び他方の腕の中の
ハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)から
構成される。この非対称性構造は、該二重特異性分子の半分のみにおける免疫グ
ロブリン軽鎖の存在が分離の容易な手法のために提供されるように、希望しない
免疫グロブリン鎖の組合せから望まれる二重特異性化合物の分離を容易にするこ
とが見出された。このアプローチは、1994年3月3日公開のPCT出願公開WO9
4/04690中に開示される。
【0161】 二重特異性抗体を生産するための更なる詳細のために、例えばSureshら、Meth
ods in Enzymology 121,210(1986)。
【0162】 (v)異種結合抗体 異種結合抗体はまた、本発明の範囲内である。異種結合抗体は、二つの共有結
合した抗体から構成される。そのような抗体は、例えば、希望しない細胞に免疫
系細胞を標的化すること(米国特許第4676980号)、及びHIV感染の治
療のため(PCT出願公開WO91/00360とWO92/200373;E
P03089)提案されている。異種結合抗体は、何れかの利便的な架橋法を用
いて作製して良い。適当な架橋剤は、当該分野で周知であり、且つ若干数の架橋
技術と一緒に米国特許第4676980号中に記載される。
【0163】 H.診断キットと製造物 本発明は利便的な材料として診断アッセイ(即ち、抗体又はDNAマーカーを
用いて試料中のILPの存在を検出するため及び組織試料中のILP遺伝子の発
現を検出するため)を提供することから、これらのアッセイのための試薬がキッ
ト、即ち試薬の包装された組合せにおいて提供することができる。該キットの構
成要素は、予め決定した比率で通常は提供されるだろう。かくして、キットは、
的とな標識によって直接又は間接的に標識された抗体又はILP(DNA又はポ
リペプチド又はそのフラグメント)を含み得る。その検出可能な標識が酵素であ
る場合、該キットは、基質とその酵素によって要求されるコファクターを含むで
あろう(例えば検出可能な発色団又は蛍光団を提供する基質プレカーサー)。加
えて、例えば安定化剤、緩衝液などのような他の添加物を含み得る。各種試薬の
相対量は、該アッセイの感度を実質上最適化する試薬の溶液中の濃度を提供する
ために広い範囲として良い。特に、その試薬は、溶解したときに適当な濃度を有
する試薬溶液を提供するであろう賦形剤を含む乾燥、通常は凍結乾燥した粉末と
して提供して良い。該キットはまた、バイオアッセイを実行するための指示書も
好ましくは含む。
【0164】 本発明の別の実施態様において、製造物が、ここに記載したようなILP過剰
発現又は漸減した発現に関連した疾患の治療のために有用な材料を含み提供され
る。その製造物は、容器とラベルを含み、該ラベルは本発明に従って哺乳動物の
治療のためのILP又はILPアゴニスト又はアンタゴニストの投与のための指
示を提供する。適当な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ及び試験管
を含む。該容器は、ガラス又はプラスチックのような各種の材料から形成して良
い。該容器は、その状態を治療するために有効である組成物を保持し且つ無菌出
入口を有して良い(例えばその容器は静脈内輸液として、又は皮下の注射針によ
って貫通可能なストッパーを有するバイアルとして良い)。該組成物の活性剤は
、ILP又はそのアゴニスト又はアンタゴニストである。その容器上の又はそれ
に付けたラベルは、該組成物を選択された状態の治療のために使用されることを
示す。その製造物は更に、リン酸塩緩衝化食塩水、リンゲル液及びブドウ糖溶液
のような製薬上許容される緩衝液を含む第2の容器を含めて良い。それは、他の
緩衝液、フィルター、針、シリンジ、及び使用の指示書を伴う包装介挿物を含む
、販売及び使用者の立場から望まれる他の材料を更に含んで良い。
【0165】 I.ペプチド及び非ペプチド類似物 本発明のILPsのペプチド類似物は、天然ポリペプチドの三次元構造に基づ
きモデル化される。ペプチドは、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 15:2149-2154
(1963)中の冒頭に記載された固相合成技術のような周知の技術によって合成し得
る。他のペプチド合成技術は、例えば、Bodanszkyら、Peptide Synthesis, John
Wiley & Sons. 2nd Ed., 1976,の中に、同様に当業者容易に利用可能な他の参 考本中に記載される。ペプチド合成技術の概要は、StuartとYoung, Solid Phase
Peptide Synthelia, Pierce Chemical Company, Rockford, IL(1984)中に見出 し得る。ペプチドはまた、望まれるペプチドをコードしているDNA配列を用い
て、組換えDNA技術によって調製しても良い。
【0166】 ペプチド類似物に加えて、本発明はまた、本発明のペプチド類似物と同じ表面
を実質的にディスプレーし、それによって類似の方式で他の分子と相互作用する
非ペプチド(例えば有機物)化合物をも意図する。
【0167】 J.ILPsの使用。 本発明の天然ILPsのアミノ酸配列変異体は、ILPレセプターへの天然タ
ンパク質の正常結合と競合するため治療的利用できる。かくして、該変異体はレ
セプターと結合するが活性化せず、そのILPアミノ酸配列変異体は、天然IL
Pの生物学的活性の競合インヒビターとして有用である。
【0168】 天然ILPとそのアミノ酸配列変異体は、天然ILPレセプターの同定と精製
において有用である。その精製は、好ましくは、その天然ILPレセプターを認
識するための本発明のILPの定性能力を保持するILPアミノ酸配列を含む免
疫付着因子によって実行される。
【0169】 本発明の天然ILPは、ILPレセプターが発現される組織の分子標識として
更に有用である。
【0170】 更に、本発明のILPは、分子のインスリンファミリーの他の天然メンバーに
挿入又は置換することができる可変配列モチーフを提供する。本発明の新規IL
Pからの配列の置換又は挿入によるこれら天然タンパク質の交換は、レセプター
結合親和性又はレセプター特異性のような変化した生物学的特性を持った変異体
分子をもたらすことができる。例えば、インスリンファミリーの別のメンバーの
1以上のILPドメインは、本発明のILPから得られたILPドメイン配列に
より全体を又は部分的に置換し得る。同様に、ここに開示されたILPからの配
列は、他のインスリンファミリーメンバーのアミノ酸配列に置換又は挿入できる
【0171】 加えて、本発明の抗ILP抗体は、ここに記載した通り、ILPに関連した疾
患の診断のためのキット及び体液又は組織のような試料中のILPの存在又は不
在を検出するための方法において有用である。本発明は、例えば結腸及び子宮で
発現される新規インスリン様ポリペプチドを独自に同定するヌクレオチド配列を
提供する。これら期間における発現の結果、該核酸,ilp,ポリペプチド,I
LP,及びILPに対する抗体は、結腸又は子宮に影響を及ぼす疾患のケースに
おいてILP生産に基づく診断アッセイにおいて有用である。ILPの過剰発現
のための試験は、得られた細胞又は組織試料からその期間の異常な状態を診断す
ることができる。そのような異常状態は、制限されることなしに、大腸癌、子宮
癌、卵巣癌、腺癌、大腸炎症性腸疾患、骨盤炎症疾患、胃腸管出血、クローン病
、異常な子宮収縮、便秘、過敏性腸症候群、糖尿病、及び肥満症を含む。
【0172】 ILPをコードしている核酸配列(又はその相補)は、分子生物学の分野にお
ける当業者に周知の技術で多数の適用を有する。これらの技術は、ハイブリダイ
ゼーションプローブとしての使用、PCRのオリゴマーとしての使用、染色体と
遺伝子地図のための使用、ILPの組換え生産における使用、及びアンチセンス
DNA又はRNA、それの化学的類似物などの生産における使用を含む。ここに
開示したILPをコードしているヌクレオチドの使用は周知の技術の例示であり
、当業者に周知のいずれかの技術におけるその使用に制限することを意図してい
ない。さらに、ここに開示したヌクレオチド配列は、例えばトリプレット遺伝子
コード、特異的塩基対相互作用など、現在知られているヌクレオチド配列の特性
による新たな技術を提供した、未だ開発されていない分子生物学的技術において
使用して良い。
【0173】 たとえILP及び/又はILP変異体をコードするヌクレオチド配列がストリ
ンジェントな条件下で天然生起ILP遺伝子のヌクレオチド配列にハイブリダイ
ジングできるのが好ましいとしても、実質上異なるコドン使用を所有するILP
又はILP誘導体をコードしているヌクレオチド配列を生産するために有効とし
得る。コドンは、特有のコドンが宿主によって利用されることによって頻度に従
って特有な原核生物又は真核生物発現宿主においてペプチドの発現が起こる割合
を増加するように選択することができる。コード化したアミノ酸配列を変更する
ことなしにILP及び/又はILP誘導体をコードしているヌクレオチド配列を
実質上変更するための他の理由は、天然生起配列から生産した転写物よりも、よ
り大きな半減期のような、より望ましい特性を有するRNA転写物の生産を含む
【0174】 結果として遺伝コードの縮重、多数のILPコード化ヌクレオチド配列、何れ
かの周知のヌクレオチド配列及び天然生起遺伝子に対し幾つか生じる最小量の相
同が生産できることは、当業者に予期されるであろう。本発明は、コドン選択の
可能性に基づいて組合せを選択することによって作ることができるヌクレオチド
配列の特異的に意図したそれぞれの及び全ての可能性のある変異体を有する。こ
れらの組合せは、天然生起ILPのヌクレオチド配列に適用されるような標準の
トリプレット遺伝コードに従って作製され、且つそのような変異体の全ては、特
に開示されているとして見なされるべきである。
【0175】 ILPをコードしているヌクレオチド配列は、十分確立した組換えDNA技術
によって各種の他の核酸配列に結合し得る(cf Sambrook J ら(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)
。ilpに結合するための有用なヌクレオチド配列は、クローニングベクターの
分類、例えば当該分野で十分知られた、プラスミド、コスミド、ラムダファージ
誘導体、ファージミド、などを含む。重要なベクターは、発現ベクター、複製ベ
クター、プローブ生成ベクター、シークエンシングベクターなどを含む。一般に
、重要なベクターは、少なくとも1の生物中の複製機能の基点、利便的な制限エ
ンドヌクレアーゼ感受性部位、及び宿主細胞の選択可能マーカーを含み得る。
【0176】 本発明の別の態様は、ILPをコードしている天然生起ヌクレオチド配列とハ
イブリダイズすることができるilp特異的核酸ハイブリダイゼーションプロー
ブを提供することである。そのようなプローブはまた、類似のインスリン様ペプ
チドコード化配列の検出のためにも使用し得る。主題発明のハイブリダイゼーシ
ョンプローブは、配列番号:1のヌクレオチド配列から、又はプロモーター、エ
ンハンサー要素及び天然生起ilpを含むゲノム配列から得ることができる。ハ
イブリダイゼーションプローブは、32P又は35Sのような放射性ヌクレオシ
ド、又はアビジン/ビオチン結合系などを経てそのプローブに結合したアルカリ
ホスファターゼのような酵素標識を含む各種のリポーター基によって標識できる
【0177】 米国特許第4683195;4800195;及び4965188号中に記載
されるようなPCRは、ILPをコードするヌクレオチド配列に基づいてオリゴ
ヌクレオチドのための付加的使用を提供する。PCRにおけるそのようなプロー
ブは、組換え基点として良く、化学合成し又は両方の混合物でも良く、且つ診断
的使用のための別個のヌクレオチド配列又は密接に関連した遺伝配列の同定のた
めの可能性のある配列の縮重したプールを含む。
【0178】 ilp用の特異的なハイブリダイゼーションプローブを生産するための他の手
段は、mRNAプローブの生産のためのベクターへのILP及びILP誘導体を
コードしている核酸配列のクローニングを含む。当該分野で周知であるそのよう
なベクターは、商業上利用可能であり、且つT7又はSP6 RNAポリメラー ゼ及び適切に放射能標識したヌクレオチドの添加によってインビトロでRNAプ
ローブを合成することに使用し得る。
【0179】 後でその遺伝子を、本出願の提出の時点で当該分野で周知である、試薬、ベク
ター及び細胞を用いて多くの利用可能なDNAベクターの何れかの中に挿入する
ことができる、化学合成によって完全に、ILPとILP誘導体をコードしてい
るDNA配列又はその部分を生産することが現在可能である。更に、合成化学は
ilp配列又はその何れかの部分への変異を導入するために用いて良い。
【0180】 そのヌクレオチド配列は、ilpの発現の異常なレベルに関連した疾患を検出
するためのアッセイを構築するために使用することができる。該ヌクレオチド配
列は、当該分野で周知の方法によって標識することができ、且つハイブリダイズ
する条件下で哺乳動物からの体液又は組織資料に加えることができる。インキュ
ベーション期間の後、その試料は、もしそのヌクレオチドが酵素で標識されてい
るなら、染料を任意に含む(又は現像に要求される他の標識)和合可能な流体で
洗浄される。その和合可能な流体を濯ぎ流した後、その染料が定量分析され且つ
標準と比較される。もし染料の量が顕著に上昇されるなら、該ヌクレオチド配列
は試料とハイブリダイズされており、且つそのアッセイはilp発現と疾患の存
在を示す。
【0181】 ilp用のヌクレオチド配列は、その遺伝子をマッピングするためのハイブリ
ダイゼーションプローブを構築するために使用することができる。ここで提供さ
れるヌクレオチド配列は、良く知られた遺伝及び/又は染色体マッピング技術を
用いて染色体及び染色体の特有の領域に地図化できる。これらの技術は、in sit
uハイブリダイゼーション、周知の染色体マーカーに対する結合分析、周知の染 色体に特異的なライブラリー又は流動挿入染色体調製によるハイブリダイゼーシ
ョンスクリーニングなどを含む。染色体拡散の蛍光in situハイブリダイゼーシ ョンの技術は、例えば、Vermaら(1988) Human Chromosomes: A Manual of Basic
Techniques, Pergamon Press, NYC中に記載されている。
【0182】 染色体調製の蛍光in situハイブリダイゼーション及び他の物理的染色体マッ ピング技術は、付加の遺伝子地図データと相互に関連させることができる。遺伝
子マップの実例は、Science(1994)265:1981のゲノム公表中に見出すことができ る。物理的染色体地図に関するilpの配座と特有の疾患(又は特異的疾患の素
因)との相関関係は、遺伝的疾患に関連するDNAの領域に境界を定める助けと
なり得る。主題発明のヌクレオチド配列は、正常者とキャリア又は影響を受けた
個人との間の遺伝子配列における相違を検出するために使用して良い。
【0183】 ILPをコードしているヌクレオチド配列は、組換えDNA技術の周知の方法
を用いて精製したILPを生産するために使用して良い(例えば、Sambrook, J.
ら(1989)上記;Goeddel(1990) Gene Expression Technology, Methods and Enzy
mology, Vol 185, Academic Press, San Diego)。ILPは、原核生物又は真核
生物のいずれか一方の各種の宿主細胞中で発現し得る。宿主細胞は、内因性又は
異なる種からであるilpヌクレオチド配列と同じ種からとして良い。組換えD
NA技術によってILPを生産する効果は、精製のために十分な量のタンパク質
が得られること及び簡略化した精製法の有用性を含む。
【0184】 ILPをコードしているDNAで形質転換した細胞は、ILPの発現及び細胞
培養からのタンパク質の回収のために適当な条件下で培養し得る。組換え細胞に
よって生産したILPは、使用した特有の遺伝構造に基づいて、分泌させること
ができ又は細胞内に含有させることができる。一般に、分泌される形態で組み換
えタンパク質を生産することがより利便的である。精製工程は、生産プロセス、
特に生産されるタンパク質によって変化する。
【0185】 組換え体生産に加えて、ILPフラグメントは、固相技術を用いた直接ペプチ
ド合成によって生産し得る(Stewartら(1969) Solid-Phase Peptide Synthesis,
WH Freeman Co, San Francisco; Merrifield, J.(1963) J Am Chem Soc 85:214
9-2154。インビトロでのタンパク質生産は、マニュアル技術を用いて又は自動に
よって実行して良い。自動化した合成は、例えば、製造者によって提供された指
示に従って、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Foster City, Cal
if.)を用いて達成できる。ILPの各種フラグメントは、完全長分子を生産する
ための化学的方法を用いて独立して又は組み合わせて化学的に合成し得る。
【0186】 抗体導入に用いるILPは、生物学的活性を要求されない;しかしながら、免
疫原である必要がある。特異的抗体を誘導するために用いるペプチドは、少なく
とも5アミノ酸、好ましくは10アミノ酸のアミノ酸配列を有し得る。それはタ
ンパク質のアミノ酸配列の一部を模倣するであろうしILPの完全なアミノ酸配
列を含み得る。ILPアミノ酸配列の短い伸張は、キーホールリムペットヘモシ
アニン及び抗体生産に用いるキメラ分子のような別のタンパク質のそれらと融合
し得る。
【0187】 ILPに特異的な抗体は、ペプチド又は抗原フラグメントによって適切な動物
の接種によって生産し得る。抗体は、もしそれがポリペプチドのエピトープに対
して生成し且つ天然又は組換えタンパク質の少なくとも一部に結合するならば、
ILPに特異的である。抗体生産は、動物への注射による免疫応答の刺激だけで
なく、合成抗体又は組換え免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング(Orla
ndi, R.ら(1989)PNAS 86:3833-3837;又はHuse, W.D.ら(1989)Science 256:1275-
1281)のような他の特異的結合分子の生産又はリンパ球集団のインビトロでの刺
激における類似の工程を含む。
【0188】 培養技術は抗体形成の原理に基づき若干数の高度特異的結合試薬を提供する(
Winter, G. とMilstein, C.(1991)Nature 349:293-299)。これらの技術は、I LPを特異的に結合する分子を生産するために適用し得る。
【0189】 主題発明の付加の実施態様は、細胞の生存性又は成長を刺激するため、制限さ
れることなしに、大腸癌、子宮癌、卵巣癌、腺癌、大腸炎症性腸疾患、骨盤炎症
疾患、胃腸管出血、クローン病、異常な子宮収縮、便秘、過敏性腸症候群、糖尿
病、及び肥満症;又は示された器官の機能に影響を及ぼす他の生理学的及び病理
学的問題を含む、結腸、子宮又は眼のような他の器官及び組織の疾患を治療する
ための生物活性剤として、ILP特異的抗体、インヒビター、レセプター又はそ
の類似物の使用である。
【0190】 ILPのアゴニスト、アンタゴニスト、レセプター又はインヒビターを含む生
物活性組成物は、最大耐性容量を決定するための哺乳動物種での、及び安全な容
量を決定するために健全なヒト被験者での臨床試験を含む幾つかの方法論によっ
て決定した適切な治療容量で投与し得る。加えて、該生物活性剤は、半減期のよ
うな安定性又は生理学的特性を増加する十分に確立された各種の化合物又は組成
物と複合化し得る。その治療用、生物活性組成物は、血流中への静脈内注入で、
又は結腸、子宮、又は関連した器官の問題を治療するために使用することができ
る何れかの他に有効な手段によって送達し得る。
【0191】 製薬組成物中のILP、ILPアゴニスト又はILPアンタゴニストの容量と
投与は、臨床製薬学又は薬物動態学の分野における当業者により決定できる(例
えば、Mordenti, J.とRescigno, A.(1992) Pharmaceutical Research 9:17-25;
Morenti, J.ら(1991) Pharmaceutical Research 8:1351-1359;及びMordenti, J.
とChappell, W.(1989)"The use of interspecies scaling in toxicokinetics"
in Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobiら(eds),Pergamon Press
, NY, pp.42-96、参考文献のそれぞれはその全体が参照によりここに組み込まれ
る)。治療用に利用されるILP又はILPアゴニスト又はアンタゴニストの有
効量は、例えば、治療の対象、投与のルート、及びその哺乳動物の状態に基づく
であろう。従って、最適な治療効果を得るために要求される用量を滴定し投与の
ルートを変更することが療法士に要されるであろう。典型的な一日当たりの用量
は、哺乳動物の体重当たり一日約10ng/kgから100mg/kgまで、好
ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日までの範囲として良い。典
型的に、臨床家は用量が上述した疾患の治療のための望まれる効果の達成に達す
るまでILP又はILPアゴニスト又はアンタゴニストを投与するであろう。
【0192】 ILP又はILPアゴニスト又はILPアンタゴニストは、望まれる薬学的効
果を達成するために単独で又は別のものと組合せて投与して良い。ILPそれ自
身、又はILPのアゴニスト、抗体、インヒビター、レセプター又はアンタゴニ
ストは、治療的に投与される場合、異なる効果を提供できる。そのような治療用
化合物は、たとえそのpHが配合されている及び治療される状態でILP、アゴ
ニスト、抗体、インヒビター、レセプター又はアンタゴニストの特性に従って変
わり得るとしても、好ましくは約5から8、より好ましくは6から8のpHで、
無毒性の、不活性の、製薬上許容される水性キャリア媒体中に配合されるだろう
。治療化合物の特徴は、分子の可溶性、半減期及び抗原性/免疫原性を含む;こ
れら及び他の特徴は有効なキャリアを定義することで助力し得る。天然ヒトタン
パク質は、治療のために好適であるが、薬剤スクリーニングから生じる有機の又
は合成分子が特有の状況で等しく有効となり得る。
【0193】 ILP又はILPアゴニスト、抗体、インヒビター、レセプター又はアンタゴ
ニストは、制限されることなく、局所クリーム及びゲル;経粘膜スプレーとエア
ゾル、経皮パッチと絆創膏;注射可能な静脈内及び洗浄製剤;及び経口投与され
る液体と錠剤、特に胃酸と酵素に耐性とした製剤、を含む投与の周知のルートに
より送達し得る。
【0194】 そのような投与の決定は、治療する状態、治療する哺乳動物のタイプ、投与す
る化合物、及び特有の治療化合物の薬物動態学的プロフィールのような複数の変
数を考慮することによって行われる。考慮して良い付加の要因は、患者の疾患段
階(例えば重篤度)、年齢、体重、性別、食事、投与の時間、薬剤組合せ、反応
感受性、及び治療に対する耐性/応答を含む。長期作用治療化合物(リポソーム
被包ILP又はPEG化ILP又はポリ乳酸ベースのミクロ球体のようなILP
ポリマーミクロ球体のような)は、特有の治療化合物の半減期及びクリアランス
速度に基づいて、3から4日ごとに、毎週、又は2週毎に一度投与し得る。
【0195】 通常の投薬用量は、一日当たり哺乳動物体重当たり約10ng/kgから10
0mg/kgまで、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日まで
、投与のルートに基づいて変わり得る。送達の特有の用量と方法についてのガイ
ダンスが文献中に提供される;例えば、米国特許第4657760;52063
44;又は5225212を参照、それぞれの特許はその全体を参照によりここ
に組み込まれる。異なる製剤が、異なる治療化合物、子宮又は結腸を標的とする
投与と異なる疾患、例えばそれと別の器官又は組織と異なる手法で送達を要し得
る、のために、有効とされるであろうことが予期される。
【0196】 ILPの徐放投与が望まれる場合、タンパク質又はポリペプチドのマイクロカ
プセル化が意図される。徐放要組換えタンパク質のミクロカプセル化は、ヒト船
長ホルモン(rhGH)、インターフェロン−γ(rfIFN−γ)、インター
ロイキン−2、及びMNrgp120で成功裏に実施されている。Johnsonら、N
at. Med., 2:795-799(1996); Yasuda, Biomed. Ther., 27:1221-1223(1993); Ho
raら、Bio. Technol. 8:755-758(1990); Cleland, "Design and Production of
Single Immunization Vaccines Using Polyactide Polyglycolide Microsphere
Systems." in Vaccine Design; The Subunit and Adjuvant Approach, Powellと
Newman, eds,(Plenum Press, New York, 1995), pp.439-462; WO97/036
92,WO96/40072,WO96/07399;及び米国特許第5654
010号。WO96/07399は、IGF−1を含む幾つかのタンパク質に関
する。また緩速放出のため御IGF−1とGHを伴ったミクロ球体組成物につい
てEP257368号を参照。
【0197】 これらタンパク質の徐放製剤は、その成体和合性及び広範な生分解性特性のた
め、ポリ乳酸共グリコール酸(PLGA)ポリマーを用いて開発された。PLG
Aの分解生成物、乳酸とグリコール酸はヒト体内で急速に消失させることができ
る。更に、このポリマーの分解性は、その分子量と組成に基づいて月から年まで
調整することができる。Lewis, "Controlled release of bioactivive agents f
rom lactide/glycolide polymer," in: M.ChasinとR.Langer(Eds.), Biodegra
dable Polymers as Drug Delivery Systems (Marcel Dekker: New York, 1990),
pp.1-41。
【0198】 ILPの投与を要求する何れかの疾病又は疾患の治療に好適な放出特性を持つ
ILPの徐放製剤が、当該分野で必要とされる。85kgの最大体重を持った哺
乳動物においてほぼ80μg/kg/日の用量を提供することができる製剤につ
いて、その最大用量は、一日当たりほぼ6.8mgILPとされるであろう。こ
の用量レベルを達成するために、最初のブーストが可能な最小量(<20%)を
伴うタンパク質負荷の可能性のある最大量(15−20%w/ILP)を含む徐
放製剤が必要である。1−2週間ミクロ粒子からのILPの継続(ゼロ−オーダ
ー)放出も望ましい。加えて放出すべきカプセル被包したタンパク質は、望まれ
る放出期間にわたってその無欠性と安定性を維持すべきである。
【0199】 子宮、結腸、又は他の泌尿生殖組織の状態又は疾患が、ILP発現が病気の状
態を減じる場合はILP又はILPアゴニストによって;又はILP発現が病気
の状態を増加する場合はILPに対する抗体,ILPレセプター,又はILPア
ンタゴニストによって治療可能である損傷を沈降し得る。これらの状態又は疾患
は、その器官の機能に影響を及ぼす生理学的な及び病理学的な問題のために上述
した試験によって特異的に診断し得る。
【0200】 本発明が最も実践的で且つ好適な実施態様として考慮されるものにおいてここ
に示され且つ記載される。それはしかしながら、試みが本発明の範囲内とされる
そこから作ることができ、且つ自明の変更が、この開示を熟読した当業者にもた
らされるであろう。
【0201】
【実施例】
以下の実施例は本発明の化合物と組成物をどのように作製するか及び本発明の
方法をどのように実施するかの完全な開示及び記載と共に当業者に提供するため
に提示され且つその発明に関して発明者が何等範囲の制限を意図していない。使
用した数字に関して正確に保証するために努力がなされている(例えば量、温度
など)が、しかしいくらかの実験誤差と偏差は取るに足らないものであろう。他
に指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃であり、及び圧力は大気圧で又
はその近辺である。
【0202】 実施例1:タンパク質のインスリンファミリーと相同性を持つ発現した配列標識
の選択 タンパク質のインスリンファミリーのメンバー、レラキシン分子の核酸配列は
、Incyte社からの発現配列標識(EST)のヒト結腸cDNAライブラリー中で
の相同配列を調査するために用いた。2のESTs、Incyte INC2328985(Genen
tech DNA 26648;配列番号:14;図5)及びINC778319(配列番号:15;図5
)が得られ、それぞれはレラキシン核酸配列の領域にほぼ40%相同性を有し、
且つインスリン様ポリペプチド(ILP)の遺伝子内の配列を表す。配列番号:
15に相当するESTは、完全長ILP遺伝子をクローンするために用いた。
【0203】 その完全長ILP遺伝子配列は、配列番号:15(Incyte EST INC2328985;Ge
nentech DNA 26648)に相当するESTの核酸配列に基づいたデザインのオリゴ ヌクレオチドプライマーを用いてクローン化した。該オリゴヌクレオチドプライ
マーは、5'CAC ATT CAG TCC TCA GCA AAA TGA A-3'(IN2328985.F;配列番号:1 1);5'-GAG AAT AAA AAC AGA GTG AAA ATG GAG CCC TTC ATT TTG C-3'(IN23289
85.p;配列番号:12);及び5'-CTC AGC TTG CTG AGC TTG AGG GA-3'(IN232898
5.r;配列番号:13)であった。
【0204】 実施例2:完全長cDNAライブラリーの構築。 一般に、ゲノムDNAライブラリーの構築は以下の工程を典型的に含む:(1
)ゲノムDNAの単離、(2)そのDNAの部分的又は完全な消化、及び(3)
サイズ分画。該DNAは、次いでベクターと結紮し、宿主細胞たとえば大腸菌の
中に導入する(プラスミドベクターによる形質転換によって又はバクテリオファ
ージ粒子へのインビトロ包装化、続いて大腸菌の感染によって)。後者の工程は
、ゲノムとcDNAライブラリーとが実質的に同じである。ゲノムに存在する全
ての配列の表示を確保するために要求されるランダムゲノムDNAフラグメント
のライブラリーの大きさは、ゲノムの大きさとクローン化フラグメントの大きさ
に基づくであろう(ClarkとCarbon, Cell 2,91-99(1976)参照)。細胞溶解物の 何れかの形態で開始され、続いて脱蛋白とDNAの回収をする全てのゲノムDN
Aの調製のために幾つかの異なる方法がある。哺乳動物、植物組織及び細菌から
ゲノムDNAを調製するための典型的なプロトコルは、例えば、Ausubelら、上 記、Units 2.2-2.4中に記載される。ゲノムDNAの消化は、部分的又は完全な 消化のルーチンの手法に従い、制限酵素によって実行される。変形を避けるため
に、高頻度でDNAを、一つの部位から別のものにわたる選択における何れかの
バイアスなしに切断する酵素を選択することが重要である。ゲノムライブラリー
におけるDNA配列の無作為性を最大化するための部分消化法は、例えば、Seed
ら、Gene 19, 201-209(1982)中に記載される。DNAの酵素操作のためのプロト
コルは、Ausubelら、上記、Unit 3中に開示される。完全に又は部分的に消化し たDNAは、続くクローニングに干渉するであろう、小さい及び大きいフラグメ
ントを除去するためのサイズ分画が必要となる。サイズ分画の方法は、当該分野
で周知であり、典型的にはショ糖密度勾配分画法又は調整用ゲル電気泳動に基づ
く。そのDNAは、宿主細胞、典型的に大腸菌の中に導入されるベクター中に結
紮される。ゲノムDNAライブラリーの構築のための一般的な技術は、例えば、
Ausubelら、上記、特にUnits 5.1.1-5.1.2;5.3.2-5.3.6;5.4.1-5.4.3;及び5.
7.1-5.7.3中に記載される。大腸菌への該ライブラリーの導入は、CaCl2トラ
ンスフェクションとエレクトロポレーションを含む何れかの標準的な形質転換技
術によって実行できる。
【0205】 組換えcDNAライブラリーを構築する典型的な手法において、ポリ(A)+ mRNAが細胞から、好ましくは望まれるポリペプチドをコードしているmRN
Aが大量に生産される細胞型から分離される。該mRNAは次いで、mRNA鋳
型から相補cDNA鎖を合成するために、逆転写酵素を用いてインビトロで二本
鎖cDNA(dscDNA)に変換させる。ベクターへの結紮のために好適な二
本鎖DNAを得るために、mRNAのdscDNAコピーをメチル化し、適当な
(通常はEcoRI)リンカーを装着した。DNAのメチル化のための方法は当
該分野で周知であり、特有の標的配列内のアデニン又はシトシン残基にメチル基
を共有結合する商業上利用可能なメチラーゼの使用を包含する。例えば、Eco
RI認識配列内のアデニン残基のEcoRIメチルエステル。インビトロでの二
本鎖cDNAへのmRNAの変換のプロセスにおいて、第1のcDNA鎖が逆転
写酵素によって合成され、そしてアルカリでの処理によって又は酵素RNアーゼ
Hのようなヌクレアーゼを用いてmRNAから分離される。利便的には、この工
程はRNアーゼH活性をも有する逆転写酵素を用いて達成することができる。大
腸菌DNAポリメラーゼは、第2のcDNA鎖の合成のために鋳型として第1の
cDNAを用い、それによって元のポリ(A)+mRNAからdscDNA分子 の集団を生産する。平滑末端に5’と3’末端を変換した後、そのdscDNA
は、リンカー/アダプターに結紮することができ、続いて適当なベクターに結紮
し細胞を形質転換するか又はその中に包装し、それによってライブラリーを形成
する。高品質なcDNAライブラリーを調製するための方法は、例えば、Gubler
とHoffman, Gene 25,263-269(1983); OkayamaとBerg, Mol. Cell. Biol. 2,161-
170(1982); 及びKatoら、Gene 150,243-250(1994)を参照。cDNAライブラリ ーを作製するための典型的なプロトコルはまた、Ausubelら、上記、に、特にUni
ts 5.2.1; 5.5.2-5.5.7; 5.6.1-5.6.8; 及び5.8.1-5.8.11にも記載される。
【0206】 dscDNAへのmRNAの変換のための任意の方法は、その全体が参考によ
りここに組み込まれる1996年10月15日提出の同時継続出願08/872,861
号に開示される。この方法に従い、逆転写酵素生産細胞は、5’オリゴヌクレオ
チドキャップを有するmRNAの5’末端がオリゴヌクレオチドキャップに相補
な一本鎖5’オーバーハングに結紮されるベクターにより形質転換され、そのm
RNA分子の3’末端は、その細胞によって生産された逆転写酵素がcDNAラ
イブラリーを形成するようにmRNAsをdscDNAに変換するように、mR
NA分子の3’末端に相補の一本鎖3’オーバーハングに結紮される。
【0207】 代替として、cDNAライブラリーは、そのライブラリーがシグナル配列で富
化されるように調製できる。このライブラリーは、挿入したcDNAクローンの
5’末端と挿入したcDNAのDNAプロモーター5’に両方独自の制限部位を
所有するクローニングベクター内にあるアミノ末端シグナル配列で富化される。
そのようなライブラリーの生成と使用の詳細は、その全体が参考によりここに組
み込まれる、1997年2月27日提出の米国特許出願08/815520中に開示さ れる。
【0208】 米国特許出願08/815520中に開示される方法に従い、哺乳動物シグナ
ル配列は、機能的な天然シグナル配列を欠く、デンプン分解酵素(例えばアミラ
ーゼ)の分泌に作用するその能力に基づいて検出される。該酵素の分泌は、デン
プン分解ができない又はデンプンを分解して吸収することが不可能な傾向になっ
ている、形質転換酵母細胞の能力によってモニターされる。
【0209】 概略的に、該方法は、アミラーゼ、機能的な天然シグナルペプチドを欠くアミ
ラーゼをコードしているDNAに結紮したランダムに選択した正体不明の哺乳動
物シグナルペプチドのコード化配列を含む外因性DNAで非デンプン分解性酵母
細胞を形質転換することを含む。好ましくはその外因性DNAは、シグナル配列
中で富化された哺乳動物cDNAライブラリーからのものであり、且つ該哺乳動
物コード化配列は、分泌不全アミラーゼ遺伝子にアミノ末端が、及びフレーム内
に挿入される。それはまた、ATG開始コドンがシグナル配列のN末端で、同様
に天然アミラーゼ遺伝子のN末端で、翻訳が同定されるべき哺乳動物シグナルペ
プチドの開始コドンからのみ開始されるように、削除又は変異される。その形質
転換酵母細胞は、デンプン分解のその能力によってスクリーンされる。陽性クロ
ーンを単離し、その哺乳動物cDNAが精製される。組換えcDNAライブラリ
ーは、好ましくは哺乳動物cDNAライブラリーである。同定したDNAは、好
ましくは新規の分泌又は膜透過ポリペプチドをコードしている完全長cDNAで
ある。
【0210】 米国特許出願08/815520中に開示される方法に従い、シグナル配列中
で富化したcDNAライブラリーは、次の方法を用いて創造される。cDNAラ
イブラリーを調製するために用いたベクターは、第1の独自の制限部位と挿入し
たcDNAへのDNAプロモーター5’を含む。mRNA転写は、挿入cDNA
から転写される。次に、ランダムDNAオリゴヌクレオチドプライマーは、完全
長cDNAクローンのcDNAフラグメントを創造するためmRNAの逆転写用
に用いられる。ほぼ500bpと1000bpの間の長さに相当するcDNAフ
ラグメントが、第2の独自の制限部位をコードしているアダプターオリゴヌクレ
オチドに結紮される。cDNAフラグメントは、次いで第1の独自の制限部位で
切断する制限酵素によって消化される。該cDNAフラグメントは次いで、該c
DNAの第1及び第2の制限部位と和合可能な酵素で消化されている上述したア
ミラーゼ発現ベクターに結紮される。選択したクローンは、元のcDNAライブ
ラリーから完全長cDNAを単離するために用いられる。
【0211】 mRNAの単離: cDNAライブラリーは、Clontech Laboratories, Inc. Palo Alto, CA USA,
カタログ番号6537-1から得たヒト子宮mRNAから構築した。
【0212】 以下のプロトコルは、参考によりここに組み込まれる、"Instruction Manual:
SUPERSCRIPTR Lamda System for cDNA Synthesis and cloning" cat. No.19643-
014, Life Technologies, Gaithersburg, MD, USA中に記載される。他に記載が ない限り、全ての試薬もまたLife Technologiesから得た。全体のプロトコルは 、次の工程に要約できる:(1)第1の鎖合成;(2)第2の鎖合成;(3)ア
ダプター付加:(4)酵素消化;(5)cDNAのゲル分離;(6)ベクターへ
の結紮;及び(7)形質転換。
【0213】 第1の鎖合成: NotIプライマーアダプター(Life Tech.,2μl,0.5μg/μl)を 、ポリA+mRNA(7μl,5μg)が加えられた滅菌1.5mlミクロ遠心 管に加えた。該反応管を、5分間又はmRNAの第2の構造を変性するのに十分
A時間70℃に加熱した。その反応は氷上で冷やし、5X第1鎖緩衝液(Life T
ech.,4μl)、0.1MのDTT(2μl)と10mMのdNTPミックス(L
ife Tech.,1μl)を加え、その温度を平衡させるために37℃で2分間加熱し
た。SUPERSCRIPT IIR逆転写酵素(Life Tech.,5μl)を加え、その反応管を良
く混合し、次いで37℃で1時間インキュベーションし、次いで氷上に移すこと
で終結した。その反応物の最終濃度は次の通りであった:50mMのトリス塩酸
(pH8.3);75mMのKCl;3mMのMgCl2;10mMのDTT;それぞ
れ500mMのdATP,dCTP,dGTPとdTTP;50mg/mlのN
otIプライマーアダプター;5mg(250mg/ml)mRNA;50000U/m
lのSUPERSCRIPT IIR逆転写酵素。
【0214】 第2の鎖合成: 氷上で次の試薬を、第1の鎖合成からの反応管に加え、反応物と十分に混合し
、次いでその温度が16℃以上にならないように注意して、16℃で2時間反応
させた:蒸留水(93ml);5X第2鎖緩衝液(30ml);dNTPミック
ス(3ml);10U/mlの大腸菌DNAリガーゼ(1ml);10U/ml
の大腸菌DNAポリメラーゼ(4ml);2U/mlの大腸菌RNアーゼH(1
ml)。10UのT4DNAポリメラーゼ(2ml)を加え、その反応を別に5
分間継続した。その反応物の最終濃度は次の通りだった:25mMのトリス塩酸
(pH7.5);100mMのKCl;5mMのMgCl2;10mMの(NH42
4;0.15mMのb−NAD+;それぞれ250mMのdATP,dCTP,
dGTPとdTTP;1.2mMのDTT;65U/mlのDNAリガーゼ;2
50U/mlのDNAポリメラーゼI;13U/mlのRNアーゼH。その反応
は氷上におくこと及び0.5MのEDTA(10ml)の添加で終結し、次いで
フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1,150m
l)により抽出した。その水相を取りだし、採集し、5MのNaCl(15ml
)と無水エタノール(−20℃、400ml)で希釈し、14000xgで2分
間遠心分離した。上清を得られたDNAペレットから注意して取り出し、そのペ
レットを70%エタノール(0.5ml)中に再懸濁し、14000xgで2分
間再び遠心分離した。その上清を再び取りだし、そのペレットを、SPEEDVACTM
燥機で乾燥した。
【0215】 アダプター添加 次の試薬を、第2の鎖合成からのDNAペレットに加え、反応物と穏やかに混
合し、次いで16℃で16時間インキュベーションした:蒸留水(25ml);
5XT4DNAリガーゼ緩衝液(10ml);SalIアダプター(10ml)
;T4DNAリガーゼ(5ml)。その反応の最終組成は次の通りだった:50
mMのトリス塩酸(pH7.6);10mMのMgCl2;1mMのATP;5%(w/w
)PEG8000;1mMのDTT;200mg/mlのSalIアダプター; 100U/mlのT4DNAリガーゼ。その反応物はフェノール:クロロホルム
:イソアミルアルコール(25:24:1,50ml)により抽出し、その水相
を取りだし、採集し、5MのNaCl(8ml)と無水エタノール(−20℃、
250ml)で希釈した。これを14000xgで20分間遠心分離し、上清を
取り出し、そのペレットを70%エタノール0.5ml中に再懸濁し、1400
0xgで2分間再び遠心分離した。続いてその上清を再び取りだし、そのペレッ
トを、SPEEDVACTM乾燥機で乾燥し、次の手順を実行した。
【0216】 酵素消化: 前の段落からのSalIアダプターによって調製したcDNAに次の試薬を加
え、混合し、37℃で2時間インキュベーションした:DEPC−処理水(41
ml);NotI制限緩衝液(REACT,Life Tech.,5ml)NotI(4ml) 。この反応物の最終組成は以下の通りであった:50mMのトリス塩酸(pH8.0 );10mMのMgCl2;100mMのNaCl;1200U/mlのNot I。
【0217】 cDNAのゲル分離: そのcDNAは、5%アクリルアミドゲル上でのアクリルアミドゲル電気泳動
によってサイズ分画し、分子量マーカーとの比較によって決定した、1kbより
も大きいいずれのフラグメントをゲルから削った。そのcDNAは、0.1xT
BE緩衝液(200ml)中にゲルから電気溶出し、フェノール:クロロホルム
:イソアミルアルコール(25:24:1,50ml)により抽出した。水相を
取り出し、採集し、5MのNaCl(8ml)と無水エタノール(−20℃、2
50ml)で希釈し、14000xgで20分間遠心分離した。上清を取り出し
、そのDNAペレットを70%エタノール(0.5ml)中に再懸濁し、140
00xgで2分間再び遠心分離した。その上清を再度廃棄し、そのペレットをsp
eedvac中で乾燥し、蒸留水(15ml)中に再懸濁した。
【0218】 pRK5BベクターへのcDNAの結紮: 次の試薬と一緒に加え、16℃で16時間インキュベーションした:5XT4
リガーゼ緩衝液(3ml);pRK5B,XhoI,NotI消化したベクター
、0.5mg、1ml);前の段落からの調製cDNA(5ml)及び蒸留水(
6ml)。続いて、付加の蒸留水(70ml)と10mg/mltRNA(0.
1ml)を加え、且つ全体の反応物をフェノール:クロロホルム:イソアミルア
ルコール(25:24:1,50ml)により抽出した。水相を取り出し、採集
し、5MのNaCl(10ml)と無水エタノール(−20℃、250ml)で
希釈した。これを14000xgで20分間遠心分離し、デキャントし、そのペ
レットを70%エタノール(0.5ml)中に再懸濁し、14000xgで2分
間再び遠心分離した。そのペレットをspeedvac中で乾燥し、次の手順での使用の
ために蒸留水(3ml)中に溶出した。
【0219】 細菌へのライブラリー結紮の形質転換: 先に調製した結紮cDNA/pRK5BベクターDNAを氷上で冷やし、電子
受容性DH10B細菌(Life Tech.,20ml)を加えた。細菌ベクター混合物 を次に製造者の指示通りにエレクトロポレーションした。続いてSOC媒体(1
ml)を加え、その混合物を37℃で30分間インキュベーションした。その形
質転換体は、次いでアンピシリンを含む20標準150mmLB平板培地上に配
し、増殖してコロニーを与えるように16時間(37℃)でインキュベーション
した。次いで陽性コロニーを集め、DNAを標準的なCsCl−密度勾配プロト
コルを用いて細菌ペレットから単離した(例えば、Ausubelら、上記、2.3.1参照
)。
【0220】 実施例3:完全長ilpの単離 ilpの完全長核酸配列は、Incyte社からのEST配列(Incyte EST INC2328
985(配列番号:14)及びIncyte EST INC778319(配列番号:15))に基づいて 設計したオリゴヌクレオチドを用いたコロニーハイブリダイゼーションによって
プラスミドcDNAライブラリー(実施例2に記載した通りの子宮mRNAから
調製した)をスクリーニングすることによって得られた。該プライマーオリゴヌ
クレオチド配列は、5'-CACATTCAGTCCTCAGGAAAATGAA-3'(配列番号:11);5'-
GAGAATAAAAACAGAGTGAAAATGGAGCCCTTCATTTTGC-3'(配列番号:12);及び5'-CT
CAGCTTGCTGAGCTTGAGGGA-3'(配列番号:13)と、それぞれセンス及びアンチセ
ンス鎖の線上又は線下に図1中に示した。この手法によって得られたcDNAの
配列は、標準的な技術によって決定した。該核酸及びアミノ酸配列は、図1中に
示される。
【0221】 実施例4:cDNAクローンと推定したタンパク質の相同サーチ 上記の通り得られたクローン化核酸配列と推定したアミノ酸配列は、相同の領
域を測定するための"BLAST"サーチアルゴリズムを用いたGenbank配
列データベース中の配列と比較した。どのように配列比較を作動するか決定する
三つのパラメーターは、ウインドウサイズ、ウインドウオフセット、及びエラー
寛容性とした。これら三つのパラメーターの組み合わせを用いた、DNAデータ
ベースは、設問配列に対する相同な領域を含む配列をサーチし、妥当な配列が開
始値としてスコアした。続いて、これらの相同領域が対の見込みから相同の領域
を区別するためのドットマトリックス相同プロットを用いて検査した。スミス−
ウォーターマン配列を、相同サーチの結果を表示するために用いた。
【0222】 ペプチドとタンパク質配列相同性は、DNA配列相同性で用いたそれと類似の
手法で"ALIGN"プログラムを用いて確かめた。パターン特有言語とパラメー
ターウインドウは、開始値によってスコアされた相同の領域を含む配列用のタン
パク質データベースをサーチするための用いた。ドットマトリックス相同プロッ
トを、対の見込みから相同の領域を区別するため調査した。
【0223】 ilp核酸配列とILPアミノ酸配列は相同であったが、しかし周知のポリペ
プチド分子の何れとも明確に異なっており、従って該ILPはタンパク質のイン
スリンファミリーの新規なメンバーを構成する。ILP遺伝子の完全な核酸配列
は、配列番号:1として示される。該配列の3つの可能性のある予期される翻訳
の全部をSwiss Prot及びPIRのようなタンパク質データベースに対 してサーチした場合、的確な適合は、ILPと他のインスリン及びインスリン様
ポリペプチドとの比較を示す図2のilpの可能性のある翻訳に見出されなかっ
た。
【0224】 pro−ILP(配列番号:2)の疎水性分析は図3に示される。そのプロッ
トは、ILPがシグナル配列のN末端特徴で疎水性領域を含むことを示す。その
分子は、その他に、ILPが分泌されるタンパク質と思われ且つ膜付着性又は膜
透過ドメインを含んでいないことを示唆するように有意に疎水性を欠いている。
【0225】 系統発生的分析(図4)は、ILPが他の十分に特徴付けされたヒトインスリ
ン及びインスリン様ポリペプチドに密接に関係していることを示す。これら分子
の最大の関連はその図の右手側で一緒に集めた。
【0226】 該インスリン様分子は、幾つかの特徴を共有する。それらは、それぞれが分泌
タンパク質であり、且つそれぞれが6の保存されたシステイン残基の類似配置を
所有する。多数の付加のアミノ酸はまた、発展的な相関関係を示しているファミ
リーのメンバー間に一般に保存される。成熟型に対するILPの予期した加工が
影響を及ぼすアミノ酸変更(特にアミノ酸47,48,107,及び108(そ
れぞれR,R,K,及びK))は、機能に関して顕著な影響を有すると思われる
【0227】 実施例5:ILPポリペプチド構造 インスリンポリペプチドファミリーの他のメンバーに似た、該成熟インスリン
分子は、該遺伝子の完全長配列内にコードされる、2のアミノ酸鎖、A鎖とB鎖
で作られる。ILPとインスリンファミリーの他のメンバーの間の相同上方に基
づいて、測定は、成熟ILPの含むポリペプチド鎖の数及びそれら鎖が共有結合
かどうかについて行った。それは該成熟ILPポリペプチドがA鎖とB鎖で作ら
れる配列の比較によって決定した。
【0228】 鎖の数と共有結合架橋を測定する別な標準的方法は、黄色の2,4−ジニトロ
フェニル誘導体を形成するための2,4−ジニトロフルオロベンゼン(DNFB
)によってタンパク質鎖のα−アミノ基の反応、続いて酸加水分解と末端アミノ
酸残基の数の定量(例えばLehninger, A.L. ed., Biochemistry, 2nd. ed., Wor
th Publishers, Inc., NY, (1975)pp 102-105を参照)によって、のようなタン パク質の分子当たりに存在するアミノ末端残基の数からそれを減じることである
。もしその鎖間に共有結合架橋が無いならば、それは酸又は塩基によって又は高
濃度の塩又は尿素によってタンパク質を処理することによって分離し得る。もし
その鎖がシステイン分子の−S−S−架橋によって共有結合架橋しているならば
、又は単一鎖が鎖内−S−S−結合を有するならば、これらの結合は最初に切断
する必要がある。加えて、A鎖は、位置6と11間に鎖内−S−S−架橋を有す
る。そのような−S−S−架橋は、2のシステイン半残基をシステイン酸残基に
変換する過ギ酸での酸化によって切断し得る。該鎖は次いで分離し、それぞれ加
水分解する。その鎖中のシステイン酸の位置は、システイン酸残基を含むペプチ
ドフラグメントの位置から最後に決定することができる。それは、本発明の成熟
ILPがB鎖の残基11とA鎖の残基14との間;B鎖の残基23とA鎖の残基
27の間;及びA鎖の残基13と18の間の1の鎖内結合の鎖内−S−S−架橋
によって結合した2の鎖を含むことが予期される。
【0229】 実施例6:アンチセンス分析におけるILP遺伝子配列の使用 正確な知識、インスリン様ポリペプチドをコードしている新規発現遺伝子の完
全なcDNA配列は、遺伝子機能の研究においてアンチセンス技術におけるそれ
の使用を可能にするだろう。ilpのアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチド
、ゲノム又はcDNAフラグメントのいずれかは、特有なタンパク質の発現を抑
制するためにインビトロ又はインビボのいずれかで使用することができる。その
ような技術は現在当該分野で周知であり、且つプローブはそのヌクレオチド配列
に沿って各種の配座で設計できる。細胞の処理又はそのようなアンチセンス配列
による動物の全体の試験によって、興味ある遺伝子を効果的に作り出すことがで
きる。しばしば、該遺伝子の機能は、細胞内、組織又は生体レベルで挙動を観測
することによって確認することができる(例えば、致命的な、差別的機能の損失
、多型性の変化など)。
【0230】 オープンリーディングフレームの転写を妨げるため構築した配列の使用に加え
て、遺伝子発現の変更は、イントロン領域、プロモーター/エンハンサー要素又
は転写促進調節遺伝子にアンチセンス配列を設計することによって得ることがで
きる。同様に、抑制は、Hogeboom塩基対合方法論、"トリプルヘリック ス"塩基対合としても知られる、を用いて達成することができる。
【0231】 実施例7:トランスジェニック及びノックアウト動物 ヒトからの新規ILP又はネズミILPのような非ヒト種からの相同配列をコ
ードする核酸は、トランスジェニック動物又は代わりに治療的に有用な試薬の開
発とスクリーニングに有用な「ノックアウト」動物の何れか一方を生成するため
に使用することができる。トランスジェニック動物(例えばマウス)は、トラン
スジーン、該トランスジーンは動物又は出生前の動物の子孫、例えば胎児段階で
、に導入される、を含む細胞を有する動物である。トランスジーンは、発展する
トランスジーン動物からの細胞のゲノム内に組み込まれるDNAである。一つの
実施態様において、ILPをコードしているネズミcDNA鉈はその適切な配列
は、確立した技術に従ってILPをコードしているゲノムDNAをクローンする
ために、及びILPをコードしているDNAを発現する細胞を含むトランスジェ
ニック動物を生成するために使用することができる。トランスジェニック動物、
特にネズミのような動物を生成するための方法は、当該分野で通常なされており
、且つ例えばそれぞれその全体が参考によりここに組み込まれる米国特許第47
36866と4870009号中に記載される。典型的に、網膜、肝臓、膵臓、
結腸、子宮細胞のような特有の細胞がILPの変更された細胞発現を生じること
ができる組織特異的エンハンサーによるILPトランスジーン組み込みのための
標的となるであろう。胎児段階でその動物の生殖細胞系に導入したILPをコー
ドしているトランスジーンのコピーを含むトランスジェニック動物は、ILPを
コードしているDNAの増加した発現の効果を検査するために使用することがで
きる。そのような動物は、例えば異常な代謝プロセスと関連した、例えば増加し
たILPレベルに関連した疾患からの保護を与えることによって試薬のための試
験用動物として使用することができる。本発明のこの態様に従い、その試薬によ
って処理される動物は、疾患の発生が減じられ、トランスジーンを持つ未処理動
物に比べ、疾患の潜在的治療的介在を示すであろう。
【0232】 代替的に、ILPの非ヒト相同物は、ILPをコードしている内因性遺伝子と
その動物の胚細胞に導入したILPをコードしている変更したゲノムDNAとの
間の相同組み合わせの結果としてILPをコードしている不全な又は変更した遺
伝子を有するILP「ノックアウト」動物を構成するために使用することができ
る。例えば、ILPをコードしているネズミcDNAは、確立した技術に従って
ILPをコードしているゲノムDNAをクローンするために使用することができ
る。ILPをコードしているゲノムDNAの部分は、組み込みをモニターするた
めに使用することができる選択可能な標識をコードしている遺伝子のような、別
な遺伝子と欠失又は置換することができる。典型的に、変更していない隣接DN
A(5’と3’での両方)の数キロベースがベクター中に含まれる(例えば、相
同組換えベクターの記述についてのThomasとCapecchi, Cell 51:503(1987)参照 )。該ベクターは、胚幹細胞系(例えばエレクトロポレーションによって)及び
導入DNAが選択した内因性DNAによって相同的に組み換えられている細胞に
導入される。選択した細胞は、次いで凝集キメラを形成するために動物(例えば
マウス)の胚盤胞に注入される(例えば、Bradley, in Teratocarcinomas and E
mbryonic Stem Cells: A Practical Approach, E.J. Robertson, ed.(IRL, Oxfo
rd, 1987),pp.113-152)。次いでキメラ胚は、適当な偽妊娠メス里親動物中に移
植され、そしてその胚は「ノックアウト動物」を創造するため妊娠期間育成する
。それの生殖細胞中の相同的に組み換えたDNAを有する子孫は、標準的な技術
によって同定することができ、且つ全ての細胞が相同的に組み換えたDNAを含
む動物を繁殖するために使用される。ノックアウト動物は、天然ILPによって
開始され又は維持される細胞のプロセスを復元する、ILPアゴニストのような
潜在的な治療剤の選択において使用することができる:または該ノックアウト動
物は、ilp変異の研究において使用することができる。
【0233】 実施例8:ILPの発現 ILP遺伝子の発現は、適切な発現ベクターにcDNAをサブクローニングす
ること、適切な宿主細胞にこのベクターをトランスフェクトすること、及びその
宿主細胞を培養することにより達成し得る。該ILPは、該宿主細胞のペリプラ
ズム又は培養培地中に細胞内発現し又は分泌し得る。この特有のケースにおいて
、組織ライブラリーの生産のために先に用いたクローニングベクターは、大腸菌
中の含まれた配列の直接発現をも提供する。クローニング部位の上流に、このベ
クターは、β−ガラクトシダーゼ用のプロモーター、続いてアミノ末端Met及
び続くβ−ガラクトシダーゼの7残基を含む配列を含む。直に続くこれら8の残
基は、人工のプライミングと転写のために有用な操作されたバクテリオファージ
プロモーター及びクローニングのためのEcoRIを含む若干数の独自の制限部
位である。
【0234】 標準的な方法を用いたIPTGによる単離した細菌株の導入は、β−ガラクト
シダーゼの最初の7残基、「リンカー」の約15残基、及びcDNA内にコード
したペプチドに相当する融合タンパク質を生産するであろう。cDNAクローン
挿入物が本質的にランダムプロセスによって生成されることから、含まれるcD
NAが適正な翻訳のための正確なフレーム中にあるであろう3つの中の1つの可
能性がある。もしそのcDNAが正確なリーディングフレーム中でないならば、
それは、インビトロ変異誘発、エキソヌクレアーゼIII又は大豆ヌクレアーゼに よる消化、又はオリゴヌクレオチドリンカー包含を含む周知の方法による適切な
数の塩基の欠失又は挿入によって得ることができる。ilpcDNAは、特有の
宿主においてタンパク質の発現のために有用であることが知られる他のベクター
内を往復できる。クローニング部位、同じく標的cDNA(25塩基)の両端を
縮重するようハイブリダイズするために十分なDNAのセグメントを含むオリゴ
ヌクレオチドアンプリマーは、標準的な方法によって化学的に合成することがで
きる。これらのプライマーは、PCRによって望む遺伝子セグメントを増幅する
ために使用することができる。その結果得られる新規遺伝子セグメントは、標準
的な条件下で適切な制限酵素によって消化し且つゲル電気泳動によって単離する
ことができる。代替的に、類似の遺伝子配列は、適切な制限酵素に取るcDNA
の消化と、化学的に合成したオリゴヌクレオチドによる不明遺伝子セグメントの
充填によって作製することができる。1以上の遺伝子からのコード化配列のセグ
メントは、共に結紮し且つ組換え配列の発現を最大化するための適切なベクター
中でクローン化することができる。
【0235】 そのようなキメラ分子のための適当な発現宿主は、制限されることなしに、チ
ャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びヒト293細胞、Sf9細胞のような
昆虫細胞、サッカロミセス・セレビシエのような酵母細胞、及び大腸菌のような
細菌を含む。これらの細胞型のために有用な発現ベクターは、細菌中で増殖を与
えるための複製の起点と細菌中で選択を許容するためのβ−ガラクタマーゼ抗生
物質耐性遺伝子をも含む。加えて、該ベクターは、トランスフェクトした真核細
胞で選択を許容するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子のような第2
の選択可能な標識を含み得る。真核細胞発現宿主における使用のためのベクター
は、もし昆虫のcDNAの部分でないならば、3’ポリアデニル化配列のような
RNA加工要素を要求し得る。
【0236】 適当なベクターはまた、切断可能なシグナル配列が細胞培養培地への分泌、次
いでシグナル配列の切断及びタンパク質の精製のための望まれるタンパク質に融
合されるように上流又はフレーム内にシグナル配列をも含み得る。
【0237】 加えて、該ベクターは、遺伝子発現を増加するプロモーター又はエンハンサー
を含み得る。そのようなプロモーターは、宿主特異的であり、且つMMTV、S
V40、又はCHO細胞用のメタロチオニンプロモーター;細菌宿主用のtrp
,lac,tac又はT7プロモーター、又は酵母のためのアルファ因子、アル
コールオキシダーゼ又はPGHプロモーターを含む。ラウス肉腫ウイルス(RS
V)エンハンサーのような転写エンハンサーが哺乳動物宿主細胞において使用し
得る。一度組換え細胞の均一培養が標準培養法によって得られると、組換えで生
産される大量のILPを、条件付けした培地から回収することができ、且つ当該
分野で周知のクロマトグラフィー的手法を用いて分析できる。
【0238】 各種の宿主中でのILP発現の以下の例示において、ILPは、核酸配列配列
番号:1によってコードした及びアミノ酸配列配列番号:2(図6参照)をコー
ドしているpro−ILP;核酸配列配列番号:18(A鎖をコードしている)
と19(B鎖をコードしている)によってコードされ及びジスルフィド結合によ
って共有結合したアミノ酸配列配列配列番号:9(A鎖)と10(B鎖)(図1
)でコードされる成熟ILP;核酸配列配列番号:20によってコードされ且つ
アミノ酸配列配列番号:21(図1)でコードされるILPC−ペプチド;又は
その変異体のフラグメントに関する。
【0239】 大腸菌でのILPの発現 この実施例は、大腸菌において組換え体初変によってILPの非グリコシル化
型の調製を説明する。
【0240】 ILPをコードしているDNAは、選択したPCRプライマーを用いて最初に
増幅される。該プライマーは、選択した発現ベクター上の制限酵素部位に一致す
る制限酵素部位を含むであろう。各種の発現ベクターが利用できる。適当なベク
ターの実例は、アンピシリンとテトラサイクリン耐性用遺伝子を含むpBR32
2(大腸菌から得られる;Bolivarら、2;95(1997)参照)である。該ベクターは 、制限酵素によって消化され、且つ脱リン酸化される。PCR増幅した配列は、
該ベクター内に結紮される。該ベクターは、抗生物質耐性遺伝子、trpプロモ
ーター、polyhisリーダー(例えば第1の6のSTIIコドン、poly
his配列、及びエンテロキナーゼ切断部位、又はlamBシグナル(米国特許
5324820))、ILPコード化領域、ラムダ転写ターミネーター、及びa
rgU遺伝子を好ましくは含むであろう。
【0241】 該結紮混合物は、Sambrookら、上記、の中に記載された方法を用いて選択した
大腸菌株を形質転換するために用いられる。形質転換は、LB平板培地上で増殖
するその能力によって同定され、抗生物質耐性コロニーが選択される。プラスミ
ドDNAは、制限分析とDNA配列決定によって単離し且つ確認することができ
る。
【0242】 選択したクローンは、抗生物質を補充したLB培地のような液体培養培地中で
一晩培養することができる。一晩培養は、大規模培養に接種するために継続して
用い得る。その細胞は、望ましい光学濃度まで増殖され、その間に発現プロモー
ターが作動する。
【0243】 数時間以上その細胞を培養後、細胞は遠心分離によって収穫できる。遠心分離
によって得られた細胞ペレットは、当該分野で周知の各種の試薬を用いて可溶化
でき、且つ可溶化したILPタンパク質は、該タンパク質の強固な結合が与えら
れる条件下で金属キレート化カラムを用いて精製することができる。シグナル配
列融合タンパク質として調製し且つ宿主細胞培養培地に分泌されるILPは、シ
グナル配列を切断することによって加工され、記載した通りタンパク質が単離さ
れる。
【0244】 ILPの単離に適用することができる大腸菌中に発現した組換えポリペプチド
を単離するための方法が米国特許第5288931号中に開示される。そこに開
示されるのは、不溶性、妥当でない折り畳んだIGF−1を再び折り畳むための
方法であり、原核宿主細胞から沈殿したIGF−1は、同時に可溶化され、拡張
されそして単一緩衝液で生物学的に活性な構造に再び折り畳まれる。
【0245】 組換えポリペプチド型大腸菌を単離するための別の方法が米国特許54078
10中に見出される。そこに開示されるものは、それが発現される細胞からの非
天然構造中の外来ポリペプチドを単離するための方法である。該方法は、ポリペ
プチドを富化している及びバイオマス固体及び細胞から生じる核酸を枯渇してい
る段階の一つと共に、カオトロピズム剤及び好ましくは還元剤によって及び多重
水相を形成するための相フォーミング種によってポリペプチドを接触させること
を含む。
【0246】 哺乳動物細胞中のILPの発現 この実施例は、哺乳動物中での組換え体発現によるILPの調製を説明する。
【0247】 ベクター、pRK5(1989年3月15日公開のEP307247参照)又はpR K5B(Holmesら、上記、1991)が発現ベクターとして利用される。任意にil
pDNA(DNA27865)が、Sambrookら、上記、の中に記載されるような
結紮方法を用いたilpDNAの挿入を与えるXbaIのような選択した制限酵
素部位を持つpRK5B中に結紮される。その結果得られるベクターは、DNA
27865−1091と定義され、ATCC寄託番号209296を有する。任
意に、ILPの成熟型又はILPCペプチドをコードしているDNA配列はベク
ターに挿入し得る。
【0248】 一つの実施態様において、選択した宿主細胞は293細胞とし得る。ヒト29
3細胞(ATCC CCL 1573)は、胎児ウシ血清を、且つ任意に栄養要素
及び/又は抗生物質を補充したDMEMのような培地中で組織培養平板培地中で
合流するよう増殖した。約10μgのDNA27865−1091DNAがVA
RNA遺伝子(Timmappayaら、Cell, 31:543(1982))をコードしている約1μ gのDNAと混合し、1mMのトリス塩酸、0.1mMのEDTA、0.227
MのCaCl2の500μl中に溶かされる。この混合物に、50mMのHEP ES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPO4の500μlを 滴下で加え、且つ沈殿を25℃で10分間形成した。その沈殿を懸濁し、293
細胞に加え、37℃で約4時間処理した。その培養培地を吸引し、PBS中20
%グリセリンの2mlを30秒間加えた。該293細胞は血清なしの培地で洗浄
し、新鮮な培地を加え、約5日間インキュベーションした。
【0249】 トランスフェクションのほぼ24時間後、該培養培地を除去し、培養培地(単
独)又は200μCi/mlの35S−システインと200μCi/mlの35S−
メチオニンを含む培養培地と置換した。インキュベーション12時間後、条件付
け培地を採集し、スピンフィルター上で濃縮し、15%SDSゲル上にかけた。
処理したゲルは乾燥して良く、ILPポリペプチドの存在を表示するために選択
した時間の間フィルムに露光した。トランスフェクトした細胞を含む培養物は、
更にインキュベーションにかけ(血清なしの培地で)、そして培地又は細胞溶解
物を選択したバイオアッセイで試験した。
【0250】 代替技術において、DNA27865−1091のようなILP−コード化ベ
クターは、Somparyracら、Proc. Natl. Acad. Sci., 12:7575(1981)によって記 載されるデキストラン硫酸法を用いて293細胞内に導入し得る。293細胞は
、スピンナーフラスコ中で最大濃度まで培養し、700μgのDNA27865
−1091DNAを加えた。その細胞は遠心分離によってスピンナーフラスコか
ら最初に濃縮し、次いでPBSで洗浄した。DNA−デキストラン沈殿を4時間
、細胞ペレット上でインキュベーションする。その細胞を90秒間、20%グリ
セリンで処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培地、5μg/mlウシイン
スリンと0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピンナーフラスコに再
導入した。約4日後、その条件付け培地を遠心分離し、細胞と破片を除去するた
め濾過した。発現ILPを含む試料は、遠心分離し、透析及び/又はカラムクロ
マトグラフィーのような何れかの選択した方法によって精製した。望ましいIL
Pをコードしているベクターが培養培地にILPを分泌しない場合、その細胞を
溶解し、その溶解物を望まれるILPを回収するため処理する。
【0251】 別の実施態様において、ILPはCHO細胞中で発現することができる。DN
A27865−1091は、CaPO4又はDEAE−デキストランのような周 知の試薬を用いてCHO細胞にトランスフェクションすることができる。上述し
た通り、細胞培養物はインキュベーションでき、その培地は培養培地(単独)又
35S−メチオニンのような放射性標識を含む培地と置換した。ILPポリペプ
チドの存在を測定した後、その培養培地を血清なしの培地と交換した。好ましく
は、その培地は約6日間インキュベーションし、次いで条件付けした培地を収穫
した。発現したILPを含む培地は次いで濃縮することができ、何れかの選択し
た方法によって精製できる。ILPが培地中に分泌されない条件下では、望まれ
るILPが細胞溶解物から回収される。
【0252】 エピトープ標識ILPもまた宿主CHO細胞中で発現し得る。ILPは、pR
K5ベクターの他にサブクローンし得る。そのサブクローン挿入物は、バキュロ
ウイルス発現ベクターへのポリ-his標識のような選択したエピトープ標識と フレーム内で融合するためにPCRを受けさせることができる。そのポリ-hi s標識ILP挿入物は、安定なクローン用のDHFRのような選択標識を含むS
V40運搬ベクターにサブクローンすることができる。標識化は、発現を証明す
るため、上述したように実行し得る。発現したポリ-His標識ILPを含む培 養培地又は細胞溶解物は、Ni2+-キレートアフィニティクロマトグラフィーに よるように、何れかの選択した方法によって濃縮し、選択することができる。
【0253】 酵母におけるILPの発現 以下の方法は酵母における組換え体発現を記載する。 最初に、酵母発現ベクターを、ADH2/GAPDHプロモーターからILP
の細胞内生産又は分泌のために構築した。ILPコード化DNA、選択したシグ
ナルペプチド及びプロモーターを、ILPの直接細胞内で発現するように選択し
たプラスミド中の安定な制限酵素部位に挿入した。分泌のために、ILPコード
化DNAは、ADH2/GAPDHプロモーターをコードしているDNA、酵母
アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、及びILPの発現のためのリンカー
配列(もし必要であれば)と一緒に、選択したプラスミドにクローン化できる。
代替的に、ILPの天然シグナル配列は、ILPの分泌のために利用される。
【0254】 S.セレビシエAB110株のような酵母細胞上述した発現プラスミドによっ
て形質転換でき、例えば米国特許第5010003号中に記載されるような選択
発酵培地中で培養できる。形質転換酵母の上清は、10%トリクロロ酢酸による
沈殿と、SDS−PAGEによる分離と、クマシーブルー染色によるゲルの染色
によって分析できる。
【0255】 組換えILPは、遠心分離による発酵培地からの酵母細胞の取り出し、次いで
選択したカートリッジフィルターを用いた濃縮によって連続的に単離且つ精製で
きる。ILPを含む濃縮物は更に、選択したカラムクロマトグラフィー樹脂を用
いて精製して良い。
【0256】 バキュロウイルスにおけるILPの発現 以下の方法は、バキュロウイルスにおけるILPの組換え発現を記載する。 該ILPは、バキュロウイルス発現ベクターと共に含まれるエピトープ標識の
上流に融合される。そのようなエピトープ標識は、ポリ-his標識と免疫グロ ブリン標識(IgGのFc領域に類似)を含む。pVL1395(Novagen)のよ うな商業的に利用可能なプラスミドから得られるプラスミドを含む各種のプラス
ミドが利用できる。概略的に、ILP又はILPの望まれる部分(膜透過タンパ
ク質の細胞外ドメインをコードしている配列のような)が、5’と3’領域への
補体プラスミドでPCRによって増幅される。5’プライマーは、隣接した(選
択した)制限酵素部位に組み込める。その生産物は、選択した制限酵素のそれら
で消化され、発現ベクター中にサブクローンされる。
【0257】 組換えバキュロウイルスは、リポフェクチン(GIBCO-BRLから商業的に利用可 能である)を用いてスポドプテラ・フルギペルダ("Sf9")細胞(ATCC CRL 1711)への上記プラスミドとBACULOGOLDTMウイルスDNA(Pharming
en)の共トランスフェクションによって生成される。28℃でのインキュベーシ ョンの4−5日後、放出されたウイルスが収穫され、更なる増幅のための使用さ
れる。ウイルス感染とタンパク質発現は、O'Reilleyら、Baculovirus expressio
n vectors: A laboratory Manual, Oxford: Oxford University Press(1994)に よって記載された通り実行される。
【0258】 発現したポリ-his標識ILPは、例えば次のようなNi2+-キレートアフィ
ニティクロマトグラフィーによって精製できる。抽出物は、Rupertら、Nature,
362:175-179(1993)によって記載されるような組換えウイルス感染Sf9細胞か ら調製される。概略的には、Sf9細胞は、洗浄し、音波処理緩衝液(25mL
のHepes,pH7.9;12.5mMのMgCl2;0.1mMのEDTA ;10%グリセリン;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し
、氷上で二度、20秒間音波処理される。該音波処理物は遠心分離によって透明
とし、その上清がローディング緩衝液(50mMのリン酸塩、300mMのNa
Cl,10%グリセロール、pH7.8)で50倍に希釈し、0.45μmフィ
ルターを通して濾過される。Ni2+-NTAアガロースカラム(Qiagenから商業 的に利用可能である)を5mLの床容量で調製し、25μLの水で洗浄し、25
mLのローディング緩衝液で平衡化される。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5
mLでカラムにかけられる。該カラムは、分画採取が開始される時点でローディ
ング緩衝液でベースラインA280まで洗浄される。次に、そのカラムは、非特異 的結合タンパク質を溶出する、第2の洗浄緩衝液(50mMのリン酸塩;300
mMのNaCl、10%グリセリン、pH6.0)で洗浄される。再度ベースラ
インA280に達した後、そのカラムは、第2洗浄緩衝液中で0から500mMの イミダゾール濃度勾配によって展開される。1mLの分画で採取され、SDS−
PAGE及び銀染色又はNi2+-NTA接合したアルカリホスファターゼ(Qiagen
)によってウェスタンブロットによって分析される。溶出したhis10-標識I
LPを含む分画がプールされローディング緩衝液に対して透析される。
【0259】 代替的に、IgG標識(又はFc標識)ILPの精製は、例えばプロテインA
又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む周知のクロマトグラフィー技
術を用いて実行できる。
【0260】 実施例9:キメラILP分子 ILPは、タンパク質精製を容易にするために加える1以上の富化のポリペプ
チドドメインとキメラタンパク質を発現し得る。そのような精製を促進するドメ
インは、制限されることなしに、固定化した金属上で精製を許容するヒスチジン
−トリプトファンモジュールのような金属キレート化ペプチド、固定化した免疫
グロブリン上で精製を許容するプロテインAドメイン、及びFLAGS伸張/ア
フィニティ精製システム(Immunex Corp., Seattle Wash.)で利用されるドメイ
ンを含む。該精製ドメインとilp配列との間の因子XA又はエンテロキナーゼ
(Invitrogen, San Diego Calif.)のような切断可能リンカーの使用は、ILP
の発現を促進するために有用となり得る。
【0261】 実施例10:ILP-特異的抗体の生成 2つのアプローチが、ILP(pro−ILP、成熟ILP、又はILPC−
ペプチド、又はそのフラグメント)に対する抗体を生起するために利用される。
それぞれのアプローチは、ポリクローナル又はモノクローナル抗体の何れか一方
を生成するために有用である。一つのアプローチにおいて、逆相HPLC分離か
らの変性したILPは、精製の時点で当該分野で利用可能なクロマトグラフィー
カラムの容量に基づいて75mg以上の量で得られる。この変性したタンパク質
は、標準プロトコルを用いてマウス又はウサギを免疫化するために使用できる;
約100ミリグラムがマウスの免疫化のために適用され、一方1mgまでがウサ
ギを免疫化するために使用し得る。
【0262】 マウスハイブリドーマを同定するために、その変性したタンパク質は放射性ヨ
ウ素化され、抗体を生産するそれらのために潜在的ネズミB-細胞ハイブリドー マをスクリーンするために使用される。この手法は、数千のクローンの標識とス
クリーニングに十分であろう20mgのような、少量のタンパク質のみを要求す
る。
【0263】 第2のアプローチにおいて、cDNAの翻訳から予測したような、ILPのア
ミノ酸配列は、高度の免疫原性の領域を測定するために分析される。疎水性領域
を含むオリゴヌクレオチドが合成され、抗体を静止するために適当な免疫化プロ
トコールにおいて使用される。適切なエピトープを選択するために分析は、Ausu
bel, F.M.ら、上記(1989)に記載される。 免疫化のために最適なアミノ酸配列は、そのC末端、そのN末端及びそれらの介
在、そのタンパク質がその天然構造である場合、外部環境にさらされると思われ
る該ポリペプチドの疎水性領域で有用である。
【0264】 典型的に、長さにおいて約15残基の選択したペプチドは、fmoc−化学を
用い且つM-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Aus
ubel, F.M.ら、上記)との反応によってキーホルリムペットヘモシアニン(KLH,
Sigma)に結合したApplied Biosystems Peptide Synthesizer Model 431Aを用 いて合成される。もし必要なら、システインはKLHへの結合を与えるためにペ
プチドのN末端で導入して良い。ウサギは、フロイント完全アジュバント中のペ
プチド-KLH複合体で免疫化される。結果として得られる抗血清は、プラスチ ックにペプチドを結合すること、1%BSAでブロック化すること、抗血清と反
応すること、洗浄及び標識した(放射能又は蛍光)アフィニティー精製した特異
的ヤギ抗-ウサギIgGと反応することによって抗ペプチド活性が試験される。
【0265】 ハイブリドーマはまた、標準技術を用いて調製及びスクリーンし得る。例えば
、興味あるハイブリドーマは、望まれる特異性によってモノクローナル抗体を生
産する融合のそれらを同定するための検出可能に標識したILPによってスクリ
ーニングすることによって検出される。典型的なプロトコルにおいて、ミクロタ
イタープレートのウェル(FAST; Becton-Dickinson, Palo Alto, Calif.)は、 10mg/mlで、アフィニティ精製した、特異的ウサギ抗マウス(または適当
な抗-種Ig)抗体によってコートされる。被覆したウェルは、1%ウシ血清ア ルブミン(BSA)でブロックし、洗浄し、且つハイブリドーマの上清にさらさ
れる。インキュベーション後、そのウェルは、1mg/mlの標識したILPに
さらされる。抗体を生産しているクローンは、バックグラウンドを越え検出可能
である標識したILPに定量的に結合するだろう。そのようなクローンは、伸張
され且つ制限された希釈(1細胞/3ウェル)で2回のクローニングを受けさせ
る。クローン化ハイブリドーマは、腹水症を生じる無垢のマウスに注射され、そ
してモノクローナル抗体がプロテインA上のアフィニティクロマトグラフィーに
よってマウス腹水液から精製される。少なくとも108-1,好ましくは109 -1 から1010-1以上の親和性を持つモノクローナル抗体は、両者の全体が参照
によってここに組み込まれる、HarlowとLane(1988) Antibodies: A Laboratory
Manual, Cold Spring Harbor Laboratory New York;及びGoding(1986)Monoclon
al Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory New Yo
rk中に記載されたような標準手法によって典型的に作られるであろう。
【0266】 実施例11:ILP特異的抗体を用いた診断試験 特有の抗ILP抗体は、ILPの量または分布における相違によって特徴付け
られる前病的状態、及び慢性又は急性疾患を診断するために有用である。ILP
は、ヒトの結腸、子宮、肝臓、胎盤、肺と眼において発現することが見出されて
おり、かくして及びこれらの器官に影響を及ぼす異常性又は病的に関連すると思
われる。
【0267】 ILPのための診断試験は、ヒトの体液、組織又はそのような組織の抽出物に
おいてILPを検出するための抗体と標識を利用する方法を含む。本発明のポリ
ペプチドと抗体は、変更を伴う又は無しで使用して良い、頻繁に、該ポリペプチ
ドと抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質と共に、共有結合又は非共有結
合のいずれか一方でそれに結合することによって標識されるであろう。広範な標
識と接合技術が知られ、且つ科学及び特許文献の両方で広範囲にわたり報告され
ている。適当な標識は、放射性核種、酵素、基質、コファクター、インヒビター
、蛍光剤、科学ルミネセント剤、磁性粒子などを含む。そのような標識の使用を
教示する特許は、その全体が参考によってここに組み込まれる、米国特許第38
17837;3850752;3939350;3996345;427743
7;4275149;及び4366241号を含む。また、組換え免疫グロブリ
ンは、その全体が参考によりここに組み込まれる米国特許第4816567号中
に示されるような方法として良い。
【0268】 そのILPに特異的なポリクローナル又はモノクローナルのいずれか一方を用
いる可溶性又は膜結合ILPを測定するための各種のプロトコルは、当該分野で
周知である。実例は、酵素免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセ
イ(RIA)、ラジオレセプターアッセイ(RRA)、及び蛍光標示式細胞分取
器(FACS)を含む。ILP上の2の非干渉性エピトープに対するモノクロー
ナル抗体を用いる2部位モノクローナルベースの免疫アッセイが好適であるが、
しかし競合結合アッセイを利用し得る。これらのアッセイは、Maddoxら((1983)
J. Exp. Med. 158:1211)中の他の場所の中に記載される。
【0269】 実施例12:特異的抗体を用いるILPの精製 天然又は組換えILPは、タンパク質精製の当該分野で標準的な各種の技術に
よって精製し得る。例えば、pro−ILP、成熟BP、又はILPC−ペプチ
ドは、ILPに特異的な抗体を用いた免疫アフィニティクロマトグラフィーによ
って精製される。一般に、免疫アフィニティーカラムは、活性化したクロマトグ
ラフィー樹脂に抗ILP抗体を共有結合することによって構築される。
【0270】 ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムによる沈澱によって又は
固定化したプロテインA(Pharmacia LKB Biotechnology, Piscataway, N.J.) で精製することによってのいずれかで免疫血清から調製される。同様に、モノク
ローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈澱又は固定化したプロテインAでのクロマ
トグラフィーによってマウス腹水液から調製される。部分的に精製した免疫グロ
ブリンは、CnBr-活性化セファロース(Pharmacia LKB Biotechnology)のよう
なクロマトグラフィー溶樹脂に共有結合される。該抗体はその樹脂に結合され、
該樹脂はブロック化され、且つ該誘導樹脂は、製造者の指示に従い洗浄される。
【0271】 そのような免疫アフィニティーカラムは、可溶性形態でILPを含む細胞から
の分画を調製することによってILPの精製において利用される。この調製は、
洗浄剤の添加によって分画遠心分離を経て得られたILPを含む全細胞又は細胞
下分画の可溶化によって又は当該分野で周知の他の方法によって得られる。代替
的に、シグナル配列を含む可溶性ILPは、その細胞が増殖する媒体中に有用な
量で分泌させることができる。
【0272】 可溶性ILP含有調製物は、免疫アフィニティーカラムを通過させ、そして該
カラムは、ILPの優先的な吸着を与える条件下で洗浄される(例えば、洗浄剤
の存在中での高イオン強度緩衝液)。次いで、該カラムは、抗体/ILP結合を
混乱させる(例えば、ほぼpH2−3のような低いpH緩衝液、又は尿素又はチ
オシアン酸イオンのようなカオトロピズムの高濃度)条件下で溶出され、ILP
が採取される。
【0273】 実施例13:ILPレセプターの同定 精製したILPは、特異的な細胞表面レセプター及び他の結合分子の特徴付け
及び精製のために有用である。代謝変化によって又は他の特異的な応答によって
ILPに応答する細胞は、ILPのためのレセプターを発現するように思われる
。そのようなレセプターは、制限されることなしに、チロシンとセリンキナーゼ
と結合し又はそれによって活性化されるレセプターを含む。
【0274】 ILPレセプター又は他のILP結合分子は、放射性標識したILPとの相互
作用によって同定し得る。放射性標識は、当該分野で周知の各種の方法によって
ILPに組み込むことができる。好ましい実施態様は、生物学的活性の付随損失
なしに他のポリペプチドを標識するために用いられている(Hebert, C.A.ら(1991
)J. Biol. Chem.266:18989; McColl, S.ら(1993)J. Immunol. 150:4550-4555)[1 25] Iボルトン-ハンター試薬(Bolton, A.E.とHunter, W.M.(1973)Biochem J 133
:529)によってILP中の第1アミノ基の標識化である。レセプター精製細胞は 、標識したILPとインキュベーションされる。該細胞は次いで、未結合ILP
を除去するために洗浄され、そしてレセプター結合ILPが定量される。ILP
の異なる濃度を用いて得られたデータは、レセプターの数と親和性の値を計算す
るために用いられる。
【0275】 標識したILPは、その特異的なレセプターの精製用の試薬として有用である
。アフィニティ精製の一つの実施態様において、ILPはクロマトグラフィーカ
ラムに共有結合される。レセプター生成細胞は、抽出され、そしてその抽出物は
該カラムを通される。該レセプターは、ILPへのその生物学的アフィニティの
ために、そのカラムに結合する。該レセプターがカラムから回収され、N末端タ
ンパク質配列決定にかける。このアミノ酸配列は次いで、レセプター遺伝子をク
ローニングするための縮重オリゴヌクレオチドプローブを設計するために用いら
れる。
【0276】 代替法において、mRNAはレセプター生成細胞から得られ且つcDNAライ
ブラリーを作る。そのライブラリーは、細胞の集団にトランスフェクションされ
、レセプターを発現するそれら細胞が蛍光的に標識化したILPを用いて選択さ
れる。該レセプターは、高度に標識化した細胞からの組換えDNAを回収し配列
決定することによって同定される。
【0277】 別な代替法において、抗体は、レセプター生産細胞の表面に対して生起され、
特にモノクローナル抗体である。該モノクローナル抗体は、標識したILPの結
合を抑制するそれらを同定するためにスクリーンされる。これらのモノクローナ
ル抗体は、レセプターのアフィニティ精製又は発現クローニングにおいて使用さ
れる。
【0278】 可溶性レセプター又は他の可溶性結合分子は、類似の手法において同定される
。標識したILPは、抽出物又は子宮から得られた妥当な材料とインキュベーシ
ョンされる。インキュベーション後、精製したILPのサイズよりも大きいIL
P複合体が、サイズ排除クロマトグラフィー又は密度勾配遠心分離のようなサイ
ジング技術によって同定され、且つ当該分野で周知の方法によって精製される。
可溶性レセプター又は結合タンパク質は、もし該可溶性タンパク質が知られるな
らば、又はクローニング用にもし可溶性タンパク質が知られていないならば、デ
ータベース同定のために十分な情報を得るためにN末端配列決定にかける。
【0279】 実施例14:ILP誘導細胞応答の測定 ILPの生物学的活性は、例えばILPレセプターに対する本発明のILPの
結合によって測定される。試験化合物は、レセプターに対するILPの結合を祖
Aiするその能力についてアンタゴニストとしてスクリーンされる。試験化合物
は、ILPレセプターに結合する、及びレセプターチロシンキナーゼが活性化し
た免疫捕捉及びリガンド誘導リン酸化のレベルの定量によってモニターされる、
Sadick, M.D.ら(Sadick, M.D.ら, Analytical Biochemistry 235:207-214(1996)
)に記載されるKIRA-ELISAアッセイを用いて、ILPと同じ生理学的事
象に影響するその能力によってILPのアゴニストとしてスクリーンされる。該
アッセイは、活性化したレセプターを捕捉するためのILPレセプター特異的抗
体の使用によってILP誘導レセプター活性をモニターすることに適応させるこ
とができる。
【0280】 実施例15:薬剤スクリーニング 本発明は、各種の薬剤スクリーニング技術のいずれかにおいてILPポリペプ
チド又はその結合フラグメントを用いることによって化合物をスクリーニングす
るために特に有用である。そのような試験で利用されるILP又はフラグメント
は、溶液中で遊離の、固体支持材に固定した、細胞表面に指示された、或いは細
胞内に配されて良い。薬剤スクリーニングの一つの方法は、該ポリペプチド又は
フラグメントを発現する組換え核酸によって安定に形質転換される真核又は原核
宿主細胞を利用する。薬剤は、競合結合アッセイにおいてそのような形質転換し
た細胞に対してスクリーンされる。生存し或いは固定した形態のいずれか一方の
そのような細胞は、標準的な結合アッセイで使用することができる。一つには、
例えばILP又はフラグメントと試験している剤との間の複合体の形成を測定し
得る。代替的にそれは、ILPと、試験している剤によってもたらされるその標
的細胞又は標的レセプターとの間の複合体形成の減少を検査できる。
【0281】 かくして、本発明は、ILP関連疾患に作用することができる薬剤又は何れか
の他の剤のためのスクリーニングの方法を提供する。これらの方法は、そのよう
な剤と、ILP又はそのフラグメントとを接触させること、及び(1)該剤とI
LP又はフラグメントとの間の複合体の存在について、又は(ii)当該分野で周
知の方法によって、ILP又はフラグメントと該細胞との間の複合体の存在につ
いて測定することを含む。そのような競合結合アッセイにおいて、該ILP又は
フラグメントは、典型的に標識される。適当なインキュベーションの後、遊離I
LP又はフラグメントは、結合形で存在するそれから単離され、遊離の又は複合
化しない標識の量が、ILPに結合する又はILP/細胞複合体と干渉する特有
な剤の能力が測定される。
【0282】 薬剤スクリーニングのための別な技術は、ポリペプチドに適当な結合親和性を
有する化合物のための高スループットスクリーニングを提供し、参考によりここ
に組み込まれる、1984年9月13日公開のWO84/03564中に詳細に記載さ れる。概略を述べると、多数の異なる小さなペプチド試験化合物が、プラスチッ
クのピン又は他の何れかの表面のような固体基材上で合成される。ILPに適用
されるような、該ペプチド試験化合物は、ILPと反応され且つ洗浄される。結
合ILPが当該分野で周知の方法により検出される。精製したILPは、上述し
た薬剤スクリーニング技術で使用するためにプレート上に直接被覆することもで
きる。加えて、非中性化抗体は、該ペプチドを捕捉するため及び固体支持体上に
それを固定化するために使用することができる。
【0283】 本発明はまた、ILP又はそのフラグメントへの結合のために試験化合物と競
って特異的にILP結合が可能な中性化抗体における競合薬剤スクリーニングア
ッセイの使用をも意図する。この手法において、その抗体は、ILPと1以上の
抗原決定基を共有する何れかのペプチドの存在を検出するために使用することが
できる。
【0284】 実施例16:合理的な薬剤設計 合理的な薬剤設計の目的は、興味ある生物学的に活性なポリペプチド(即ちI
LP)の又はそれが相互作用する小さい分子の、例えばアゴニスト、アンタゴニ
スト又はインヒビターの構造類似物を作製することである。これら実例のいずれ
も、ILPポリペプチドのより活性である又は安定な形態又はインビボでのIL
Pの機能を増す又は干渉する薬剤を作るために使用することができる(その全体
が参考によりここに組み込まれる、Hodson, J.(1991) Bio/Technology 2:19-21 参照)。
【0285】 一つのアプローチにおいて、ILPの、又はILP-インヒビター複合体の三 次元構造は、X線結晶解析、コンピュータモデリングによって、又は最も典型的
には、2つのアプローチの組合せによって測定される。ILPの形状と電荷の両
方は、その構造を解明すること及び分子の活性部位を決定することを突き止める
のに必要である。稀には、ILPの構造に関して有用な情報は、相同タンパク質
の構造に基づくモデリングによって得ることができる。両方のケースにおいて、
関連する構造情報は、類似ILP様分子を設計するため又は有効なインヒビター
を同定するために使用される。合理的な薬剤設計の有用な実例は、その全体が参
考によりここに組み込まれる参考文献、Bracton,SとWells, J.A.((1992) Bioche
mistry 31:7796-7801)によって示されるような活性又は安定性が改善されている
、又はAthauda, S.B.ら((1993) J. Biochem. 113:742-746)によって示されるよ うな天然ペプチドのインヒビター、アゴニスト、又はアンタゴニストとして作用
する分子を含み得る。
【0286】 上述した通り、機能的なアッセイによって選択される標的特異的抗体を単離す
ること、次いでその結晶構造を解明することもまた、可能である。このアプロー
チは原則として、次の薬剤設計でベースとすることができる薬をもたらす。機能
的、薬学的に活性な抗体に対する抗−イディオタイプ抗体(抗−ids)を生成
することによって全体のタンパク質結晶解析を迂回することが可能である。鏡像
の鏡像のように、抗−idsの結合部位は、元のレセプターの類似物であること
を予想させるであろう。その抗−idは、化学的に又は生物学的に生産したペプ
チドのバンクからペプチドを同定及び単離するために使用できる。
【0287】 本発明により、十分量のILPがX線結晶解析のような分析的研究を実行する
ために利用可能となされ得る。加えて、ILPアミノ酸配列の知識は、X線解析
の代わりに又は加えてコンピュータモデリング技術を利用することへのガイダン
スを提供するであろう。
【0288】 明細書を通して引用した全ての文書、同じくそれに引用される参考文献は、そ
の全体において参考としてここに特に組み込まれる。本発明が特有の実施態様に
ついて参照によって説明される一方、本発明はそれに制限されない。それは、更
なる変更と改変が、本発明の全般的な概念から逸脱することなしに可能であるこ
とが理解されるであろう。そのような変更の全ては、本発明の範囲内であること
が意図される。
【0289】 材料の寄託 以下の材料が、American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Drive,
Rockville, MD, USA (ATCC)に寄託されている: 材料 ATCC寄託番号 寄託した日 DNA27865−1091 209296 1997年9月23日
【0290】 これら寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条
約(ブタペスト条約)の規定に従ってなされた。これは寄託の日から30年間、
寄託の生育可能な培養が保証される。該寄託は、ブタペスト条約の下に利用可能
とされるであろうし、且つ米国特許法第122条に及びそれに応じた米国特許庁
の規則(886 OG638に特に参照される米国特許法施行規則§1.14)に従って それに資格がある米国特許庁によって決定されたそれに子孫の利用可能性を最初
に入手且つ保証されるどれも、当該の米国特許の発行又は何れかの米国又は外国
特許出願の公開に関しての公表まで寄託の培養の子孫の永続的な且つ制限されな
い利用可能性を保証する、ジェネンテック社とATCCとの間の同意に従う。
【0291】 本出願の譲受人は、適切な条件下で培養された際にもし寄託に関する材料の培
養物が死滅し又は紛失或いは破壊されるであろうならば、その材料は同一のもう
一つの提出物と即座に交換されるであろう。寄託した材料の利用可能性は、その
特許法に従っていずれの政府の権限の下で許可される権利の違法行為における本
発明の実施に対するライセンスとして解釈するべきものではない。
【0292】 前述した明細書は、本発明の実施に対し当業者が可能であるために十分である
と考察される。本発明は、記載された実施態様が本発明のある種の態様の単独の
説明として意図され、機能的な均等物であるその構成は、本発明の範囲内である
。ここでの材料の寄託は、ここに含まれる記載された明細書がそれのベストモー
ドを含む本発明の何れかの態様の実施を可能にするために不十分であるとの承認
を構成するものではなく、その表現する特有の説明に請求の範囲が制限されるよ
うに構成されるものでもない。実際、ここに示し且つ記載したそれらに加えて本
発明の各種の変更が、前述の記載から当業者にあきらかとなるであろうし、それ
らは添付した請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ilpの核酸配列(配列番号:1)及び予測したILP
、結腸−及び子宮−発現インスリン様ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:
2)を図示するそのシグナル配列、A鎖(配列番号:9)、B鎖(配列番号:1
0)、及びC−鎖(配列番号:21)もまた上に示される。AとB鎖の間のジス
ルフィド結合中に加わることが予期されるシステイン残基は、その結合が1と4
;2と6;及び3と5の間である場合、その配列内のシステイン残基の丸数字1
から6以下で示される。レラキシンに対する相同性に基づいて設計され且つその
完全長を単離するために用いたプライマーオリゴヌクレオチドIN2328985.f,IN2
328985.p,及びIN2328985.rが、上線と下線で示される。
【図2】 図2は、インスリン/IGFファミリーの他のポリペプチド:配
列番号:−インスリン(配列番号:3);h−IGF−1(配列番号:4);h
−IGF2(配列番号:5);h−preレラキシン(配列番号:6);h−プ
ラセンチン(配列番号:7);h−ライディヒインスリン様ペプチドプレカーサ
ー(配列番号:8);及びh−ILP(配列番号:2)と共にILP(配列番号
:2)のアミノ酸配列アラインメントを示す。示したアラインメントはマルチシ
ーケンスアラインメントプログラム"ALIGN"(ジェネンテック社)を用いて
作製された。
【図3】 図3は、予測したアミノ酸配列と組成に基づいてpro−ILP
疎水度の分析を表す。そのプロットは、ILPがシグナル配列のN末端特性で疎
水性領域を含むことを示す。
【図4】 図4は、幾つかのヒトインスリン/IGFポリペプチドファミリ
ーメンバー(Genbank受託番号を含む)h−preIGFI(P70277)、 h−preIGF2(P01344)、h−preproインスリン(P100
42)、h−ILP(配列番号:2)、h−preproレラキシン(P946
21)、h−ライディヒインスリン様ペプチドプレカーサー(P51460)、
h−プラセンチン(R89134)の系統樹を示す。系統樹は"ALIGN"プロ
グラムによって作製した。
【図5】 図5は、ジェネンテックDNA26648(配列番号:14;In
cyte EST INC2328985)及びIncyte EST INC778319(配列番号:15)の核酸配列
を示す。
【図6】 図6は、配列番号:1として示されるpro−ILPのコード化
核酸配列の中にジェネンテックDNA27865の核酸配列を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】
【課題を解決するための手段】 発明の開示 主題発明の一態様は、結腸及び子宮において、同様に肝臓、胎盤、肺、及び眼
において発現される新規ヒトインスリン様ポリペプチドを独自にコードしている
、遺伝子、pro−ilpの核酸配列(配列番号:1)を提供する。その新規遺
伝子は、インスリン/IGFファミリーのメンバーであるインスリン様ポリペプ
チド、pro−ILP(配列番号:2)をコードする。該pro−ILPは、2
つのアミノ酸鎖:アミノ酸鎖がジスルフィド結合によって共有結合されるA鎖(
配列番号:9)、及びB鎖(配列番号:10)を形成するように加工し得る。第
3のアミノ酸鎖(配列番号:19)は、共有結合したアミノ酸鎖A(配列番号:
9)とB(配列番号:10)を含む、成熟ILPへのpro−ILP(配列番号
:2)の加工によって精製したILPのC−ペプチドである。A,B及びCアミ
ノ酸鎖をコードしている核酸配列(配列番号:1,118)はそれぞれ、
本発明によって提供される。ここに記載した用語「pro−ilp遺伝子」は、
配列番号:1(図6)に関連する「ilp遺伝子」と相互交換可能に用いられる
だろう。ILPは、ジスルフィド結合によって共有結合したA及びB鎖を含む成
熟ポリペプチドに関する。ILPC−ペプチド(配列番号:19)は、proI
LP(配列番号:2)の加工に続いて単離ペプチドとして存在することが意図さ
れる。本発明は、上述したILPポリペプチド又はそのフラグメント、同じく該
ポリペプチドに対する抗体(モノクローナル抗体を含む)を更に例示する。更な
る実施態様は、制限されることなしに免疫グロブリンのエピトープtag配列又
はFc領域を含む異種アミノ酸配列における、異種アミノ酸配列に融合したIL
Pポリペプチドを含むキメラ分子を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 本発明の別の態様は、子宮、結腸又は他のILP−発現細胞又は組織の生理学
的又は病理学的状態の診断方法を含み、該方法は、組織試料、細胞抽出物又はそ
の他の試料中に存在するILPをコードしている発現したmRNAに検出可能な
プローブをハイブリダイズすること、及び健全な組織からのコントロール試料と
試験試料についてハイブリダイズした検出可能なプローブの量を比較することを
含む。該検出可能なプローブは、配列番号:1,118の核酸配列又はそ
のフラグメントに相補である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】
【発明の実施の形態】 定義 ここで用いた「子宮発現インスリン様ポリペプチド」又は「インスリン様ポリ
ペプチド」又は「ILP」は、配列番号:2で示したアミノ酸配列を有する天然
に生じるILP又はその活性フラグメントに関する。該ILPポリペプチドは、
図1(配列番号:1;ジェネンテックDNA27865(図6)内部に;ATC
C番号209296を有するプラスミドDNA27865−1091内部に)で
示した配列番号:2内にコードした配列番号:1(図1)で示した核酸配列を
有するilpによってコードされ得る。ILPはまた配列番号:1の核酸配列か
ら転写したmRNAによってコードされたポリペプチドとしても定義され得る。
本発明のILPポリペプチドは、AとBアミノ酸鎖がILP(配列番号:2)の
推定したアミノ酸配列の内部にあるジスルフィド結合によって結合したA鎖(配
列番号:9)とB鎖(配列番号:10)を含むポリペプチドを包含する。配列番
号:18と配列番号:19によってコードされたpro−ILPのC−ペプチド
はまた本発明に包含される。遺伝コードの縮重のために、ILPをコードしてい
る核酸は、配列番号:2のアミノ酸配列が置換した核酸配列によってコードされ
るように置換され得ることが理解される。この定義は、制限されることなしに、
ヒト又は哺乳動物種からの子宮、結腸、肝臓、胎盤、肺及び眼のような天然IL
Pソースから単離したポリペプチドのみでなく、組換え又は合成方法によって作
製したポリペプチドも包含する。それはまた、機能的誘導体、対立遺伝子の変異
体、天然生起イソタイプ及びその類似体を含んだ変異体型を含む。該ILPは、
哺乳動物から単離されている内因性ILPポリペプチドに関する「天然ILP」
とすることができる。ILPはまた、それが天然ILPと同じアミノ酸配列を有
する限りにおいて「天然配列ILP」とすることができる。「成熟ILP」は、
細胞から放出したILPが溶ける又は分泌され(即ち、N末端疎水性配列を欠い
ている)及び2つのアミノ酸鎖、図1中に示したように鎖間及び鎖内ジスルフィ
ド結合によって結合したA鎖(配列番号:9)とB鎖(配列番号:10)を含む
ILPを更に包含する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】 本発明のILPは、組換えDNA技術によって又はこれらの何れかの組合せ及
び/又は他の方法によって合成され、生産された天然ソースから精製した開始メ
チオニンを持つ又は無しの、ILPの天然生起、組換え、又は合成形態を包含す
る。本発明の新規ILPは、ヒトpro−ILP、図1(配列番号:2)で示さ
れるアミノ酸配列;成熟ヒトILP(配列番号:9と10)及びILPC−ペプ
チド(配列番号:19)を特に含む。本発明の新規天然ヒトILPsは、長さに
おいて約114アミノ酸であるが、しかし天然ILPの生物学的活性を維持する
一方でより長く又はより短くでき、生物学的活性は、制限されることなしに、レ
セプター結合、ILP用のレセプターを発現する細胞内の生理学的プロセスの活
性化、配列番号:2のILP又は成熟ILP(配列番号:9と10)又はILP
C−ペプチド(配列番号:19)に対して生起した抗体への結合を含む。該新規
天然ヒトILPは、2つのアミノ鎖、ジスルフィド結合で結合したA鎖(配列番
号:9)とB鎖(配列番号:10)を含むポリペプチドを含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】 用語「パーセントアミノ酸配列同一性」は、ILP配列に関して、該配列の整
列及びギャップ導入後、もし要すれば、最大パーセンテージ配列同一性を達成す
るために、且つその配列同一性の一部として何れかの保存置換を意図せずに、図
1(配列番号:2)又はA,B又はCペプチド(配列番号:9,10と19)中
に記載された推定されたアミノ酸配列を有するILP配列中の残基と同一とされ
るその候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとしてここに定義される。I
LP配列へのN末端、C末端又は内部延長、欠失、又は挿入は、配列同一性又は
相同性に影響を及ぼすように構築されるだろう。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正内容】
【0069】 本発明のILPが、1991年5月16日公開のWO91/06667において提供 されるような相同組換えによって生産し得ることが更に意図される。概略的には
、ILPに関して、この方法は、相同DNAにより内因性ILP遺伝子を含む細
胞を形質転換すること、相同DNAは、(a)増幅可能遺伝子(例えばジヒドロ
葉酸還元酵素(DHFR)をコードしている遺伝子)、及び(b)少なくとも約
150塩基対の長さを有し該遺伝子コード化ILPの内部又は近接する該細胞ゲ
ノム中の核酸配列と相同である、少なくとも1のフランキング配列を含む。形質
転換は、組換えにより細胞ゲノム中に相同DNAが組み込まれるような条件下で
実行される。組み込まれた相同DNAを有する細胞は、増幅可能遺伝子の増幅用
に選択する条件にかけ、それによって、該ILP遺伝子は同時に増幅される。得
られる細胞は、次いでILPの望まれる量の生産のためにスクリーンされる。I
LPをコードしている遺伝子に近接するフランキング配列は、例えば、図1の配
列番号:2内のヒトILP(配列番号:1;ジェネンテックDNA27865
;Fig.6)の核酸配列の開始点として用いたゲノムのワーキングによって、
迅速に同定される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】 「ILPをコードしている単離した核酸」は、それが天然ソースに普通に関係
付けられ及び好ましくは何れかの他の哺乳動物RNA又はDNAのない少なくと
も1の不純ソース核酸の無いRNA又はDNAである。語句「それが普通に関係
付けられた少なくとも1の不純ソース核酸の無い」とは、その核酸がそのソース
又は天然細胞中に存在するが、しかしそのソース細胞中で通例見出されない又は
そのソース細胞中のILPコード化核酸の近くに通例見出されない核酸配列によ
って異なる染色体配座中にある又は他に隣接した場合にそのケースを含む。単離
したILPコード化核酸の実例は、ヒトpro−ILP(配列番号:1)との少
なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なく
とも85%、更により好ましくは90%、最も好ましくは95%配列同一性を所
有する生物学的活性ILPをコードするRNA又はDNA;A及びB鎖がジスル
フィド結合によって共有結合したヒト成熟ILP(配列番号:1と1);又
はILPCペプチド(配列番号:18)である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0238
【補正方法】変更
【補正内容】
【0238】 各種の宿主中でのILP発現の以下の例示において、ILPは、核酸配列配列
番号:1によってコードした及びアミノ酸配列配列番号:2(図6参照)をコー
ドしているpro−ILP;核酸配列配列番号:1(A鎖をコードしている)
と1(B鎖をコードしている)によってコードされ及びジスルフィド結合によ
って共有結合したアミノ酸配列配列配列番号:9(A鎖)と10(B鎖)(図1
)でコードされる成熟ILP;核酸配列配列番号:18によってコードされ且つ
アミノ酸配列配列番号:19(図1)でコードされるILPC−ペプチド;又は
その変異体のフラグメントに関する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ilpの核酸配列(配列番号:1)及び予測したILP
、結腸−及び子宮−発現インスリン様ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:
2)を図示するそのシグナル配列、A鎖(配列番号:9)、B鎖(配列番号:1
0)、及びC−鎖(配列番号:19)もまた上に示される。AとB鎖の間のジス
ルフィド結合中に加わることが予期されるシステイン残基は、その結合が1と4
;2と6;及び3と5の間である場合、その配列内のシステイン残基の丸数字1
から6以下で示される。レラキシンに対する相同性に基づいて設計され且つその
完全長を単離するために用いたプライマーオリゴヌクレオチドIN2328985.f,IN2
328985.p,及びIN2328985.rが、上線と下線で示される。
【図2】 図2は、インスリン/IGFファミリーの他のポリペプチド:配
列番号:−インスリン(配列番号:3);h−IGF−1(配列番号:4);h
−IGF2(配列番号:5);h−preレラキシン(配列番号:6);h−プ
ラセンチン(配列番号:7);h−ライディヒインスリン様ペプチドプレカーサ
ー(配列番号:8);及びh−ILP(配列番号:2)と共にILP(配列番号
:2)のアミノ酸配列アラインメントを示す。示したアラインメントはマルチシ
ーケンスアラインメントプログラム"ALIGN"(ジェネンテック社)を用いて
作製された。
【図3】 図3は、予測したアミノ酸配列と組成に基づいてpro−ILP
疎水度の分析を表す。そのプロットは、ILPがシグナル配列のN末端特性で疎
水性領域を含むことを示す。
【図4】 図4は、幾つかのヒトインスリン/IGFポリペプチドファミリ
ーメンバー(Genbank受託番号を含む)h−preIGFI(P70277)、 h−preIGF2(P01344)、h−preproインスリン(P100
42)、h−ILP(配列番号:2)、h−preproレラキシン(P946
21)、h−ライディヒインスリン様ペプチドプレカーサー(P51460)、
h−プラセンチン(R89134)の系統樹を示す。系統樹は"ALIGN"プロ
グラムによって作製した。
【図5】 図5は、ジェネンテックDNA26648(配列番号:14;In
cyte EST INC2328985)及びIncyte EST INC778319(配列番号:15)の核酸配列
を示す。
【図6】 図6は、配列番号:1として示されるpro−ILPのコード化
核酸配列の中にジェネンテックDNA27865の核酸配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/53 B C12Q 1/68 M G01N 33/53 C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (71)出願人 460 Point San Bruno Blvd.,South San Fra ncisco,California 94080 USA Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA02 BA55 CA07 DA02 DA06 DA12 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ03 QQ08 QQ53 QR55 QS16 QS34 4B064 AG16 AG26 CA02 CA06 CA10 CA19 DA01 DA13 4B065 AA26X AA72X AA90X AA90Y CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 BA10 CA40 DA37 EA30 FA74

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 図1中に示したインスリン様ポリペプチド(ILP)A鎖(
    配列番号:18)をコードしている配列を含む単離した核酸分子、又は該核酸分
    子の単離した補体。
  2. 【請求項2】 図1中に示したインスリン様ポリペプチド(ILP)B鎖(
    配列番号:19)をコードしている配列を含む単離した核酸分子、又は該核酸分
    子の単離した補体。
  3. 【請求項3】 図1中に示したインスリン様ポリペプチド(ILP)C−ペ
    プチド(配列番号:20)をコードしている配列を含む単離した核酸分子、又は
    該核酸分子の単離した補体。
  4. 【請求項4】 インスリン様ポリペプチド(ILP)をコードする核酸であ
    り、図6中に示した配列番号:1で示した配列を含む単離した核酸分子、又はそ
    の補体。
  5. 【請求項5】 図6中に示したアミノ酸残基1から135(配列番号:2)
    を有するインスリン様ポリペプチド(ILP)をコードしているDNAを含む単
    離した核酸分子。
  6. 【請求項6】 図6(配列番号:2)のアミノ酸残基1から135を含む単
    離した天然配列インスリン様ポリペプチド(ILP)。
  7. 【請求項7】 鎖がジスルフィド結合によって共有結合した、図1のアミノ
    酸残基109から135(配列番号:9)を含む単離したインスリン様ポリペプ
    チド(ILP)A鎖ポリペプチドと、図1のアミノ酸残基19から48(配列番
    号:10)を含む単離したILPB鎖ポリペプチド。
  8. 【請求項8】 図1のアミノ酸残基49から108(配列番号:21)を含
    む単離したインスリン様ポリペプチド(ILP)C−ペプチド。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項2記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項3記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  12. 【請求項12】 請求項4記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  13. 【請求項13】 インスリン様ポリペプチド(ILP)A鎖(配列番号:1
    8)をコードしている配列と、図1のインスリン様ポリペプチド(ILP)B鎖
    (配列番号:19)をコードしている配列とを含む単離した核酸分子を含む発現
    ベクター。
  14. 【請求項14】 請求項9記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  15. 【請求項15】 宿主細胞がCHO細胞、大腸菌細胞、及び酵母細胞からな
    る群から選択される請求項14記載の宿主細胞。
  16. 【請求項16】 請求項10記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  17. 【請求項17】 宿主細胞がCHO細胞、大腸菌細胞、及び酵母細胞からな
    る群から選択される請求項16記載の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 請求項11記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  19. 【請求項19】 宿主細胞がCHO細胞、大腸菌細胞、及び酵母細胞からな
    る群から選択される請求項18記載の宿主細胞。
  20. 【請求項20】 請求項12記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  21. 【請求項21】 宿主細胞がCHO細胞、大腸菌細胞、及び酵母細胞からな
    る群から選択される請求項20記載の宿主細胞。
  22. 【請求項22】 請求項13記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  23. 【請求項23】 宿主細胞がCHO細胞、大腸菌細胞、及び酵母細胞からな
    る群から選択される請求項22記載の宿主細胞。
  24. 【請求項24】 a)ILPの発現のために適当な条件下で請求項14記載
    の宿主細胞を培養すること;及び b)その培養物からILPを回収すること、 を含むインスリン様ポリペプチド(ILP)の製造方法。
  25. 【請求項25】 a)ILPの発現のために適当な条件下で請求項16記載
    の宿主細胞を培養すること;及び b)その培養物からILPを回収すること、 を含むインスリン様ポリペプチド(ILP)の製造方法。
  26. 【請求項26】 a)ILPの発現のために適当な条件下で請求項18記載
    の宿主細胞を培養すること;及び b)その培養物からILPを回収すること、 を含むインスリン様ポリペプチド(ILP)の製造方法。
  27. 【請求項27】 a)ILPの発現のために適当な条件下で請求項20記載
    の宿主細胞を培養すること;及び b)その培養物からILPを回収すること、 を含むインスリン様ポリペプチド(ILP)の製造方法。
  28. 【請求項28】 a)ILPの発現のために適当な条件下で請求項22記載
    の宿主細胞を培養すること;及び b)その培養物からILPを回収すること、 を含むインスリン様ポリペプチド(ILP)の製造方法。
  29. 【請求項29】 a)ILPmRNAを含むことが疑われる試料と、適度に
    ストリンジェントな条件下でILPmRNAにハイブリダイズする検出可能な核
    酸プローブとを接触させること;及び b)該試料に対する該プローブのハイブリダイゼーションを検出すること、 を含む、試料中のインスリン様ポリペプチド(ILP)の存在の測定方法。
  30. 【請求項30】 試料が組織試料であり、検出がin situハイブリダ
    イゼーションによるものである請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 試料が細胞抽出物であり、検出がノーザン分析によるもの
    である請求項29記載の方法。
  32. 【請求項32】 a)検出可能な抗ILP抗体と、ILPが含まれる疑いが
    ある試料とを接触させること;及び b)該試料に対する抗体の結合を検出すること; ここでの該試料は体液、組織試料、細胞抽出物、及び細胞培養培地からなる群
    から選択される、 を含む、試料中のインスリン様ポリペプチド(ILP)の存在の検出方法。
  33. 【請求項33】 異種アミノ酸配列に融合したインスリン様ポリペプチド(
    ILP)を含むキメラ分子。
  34. 【請求項34】 ILPが、 図6のアミノ酸残基1から135(配列番号:2)を含む単離したポリペプチ
    ド、又はそのフラグメント、 図1のアミノ酸残基109から135(配列番号:9)を含むA鎖及び図1の
    アミノ酸残基19から48(配列番号:10)を含むB鎖とを含む単離したポリ
    ペプチド(ここで該A及びB鎖はジスルフィド結合によって共有結合される)、
    又はそのフラグメント、 図1のアミノ酸残基49から108(配列番号:21)を含むC鎖を含む単離
    したポリペプチド、又はそのフラグメント、 からなる群から選択される、請求項33記載のキメラ分子。
  35. 【請求項35】 異種アミノ酸配列がエピトープ標識配列である請求項33
    記載のキメラ分子。
  36. 【請求項36】 異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である請求
    項33記載のキメラ分子。
  37. 【請求項37】 インスリン様ポリペプチド(ILP)に特異的に結合する
    抗体。
  38. 【請求項38】 ILPが、 図6のアミノ酸残基1から135(配列番号:2)を含む単離したポリペプチ
    ド、又はそのフラグメント、 図1のアミノ酸残基109から135(配列番号:9)を含むA鎖及び図1の
    アミノ酸残基19から48(配列番号:10)を含むB鎖とを含む単離したポリ
    ペプチド(ここで該A及びB鎖はジスルフィド結合によって共有結合される)、
    又はそのフラグメント、 図1のアミノ酸残基49から108(配列番号:21)を含むC鎖を含む単離
    したポリペプチド、又はそのフラグメント、 からなる群から選択される、請求項37記載の抗体。
  39. 【請求項39】 抗体がモノクローナル抗体である請求項37記載の抗体。
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