JP2001515728A - ヘリコバクターウレアーゼの安定化 - Google Patents

ヘリコバクターウレアーゼの安定化

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、(i)ウレアーゼのアミノ酸を修飾する化合物との接触、または(ii)ウレアーゼのアミノ酸の遺伝的修飾によって、組換えヘリコバクターウレアーゼを安定化するための方法を提供する。安定化されたウレアーゼは、非処理ウレアーゼの特徴である分子凝集または活性化(例えば、インビトロ活性化)が起こるのを阻止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は、ヘリコバクターウレアーゼを安定化するための化学的および遺伝学
的方法に関する。
【0002】 ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、ヒトの胃炎、胃およ び十二指腸の潰瘍、ならびにおそらくは胃癌の原因となるグラム陰性菌であり、
胃十二指腸病原体である(Grahamら、Am. J. Gastroenterol. 82:283〜286、19
87;Homick、N. Eng. J. Med. 316:1598〜1600、1987;Leeら、Microb. Ecol.
Health Dis. 1:1〜16、1988;Coverら、Annu. Rev. Med. 40:269〜285、1989 ;Buck、Clin. Microbiol. Rev. 3:1〜12、1990)。この細菌は、尿素をアンモ
ニアと二酸化炭素とに分解する多量体性ニッケルメタロヒドロラーゼであるウレ
アーゼという酵素を大量に産生する(Huら、Infect. Immun. 58:992〜998、199
0)。H.ピロリ菌(H. pylori)のウレアーゼは、細菌のサイトゾル中および細胞
外表面上の両方に存在する(Hawtinら、J. Gen. Microbiol. 136:1995〜2000、
1990)。細胞外のウレアーゼは、尿素をアンモニアに加水分解し、それによって
細菌周囲の酸を中和する緩衝性のアンモニア雲を作り出すことにより、酸性度の
強い胃内にある細菌の防御に働くと思われる(Ferreroら、Microbiol. Ecol. He
alth Dis. 4:121〜134、1991;Mobleyら、ヘリコバクター・ピロリ菌:臨床的 治癒に至る基礎的機序(Helicobacter pylori:Basic Mechanisms to Clinical
Cune)、Huntら(編)Kluver Acad. Pub.、Dordrecht、1994)。また、ウレアー
ゼは、胃粘膜を覆う細胞に対するアンモニアおよびモノクロラミンの直接的な毒
性により、H.ピロリ菌の病原性の一因にもなっていると思われる。
【0003】 H.ピロリ菌ウレアーゼはヒトに対して免疫原性であり、その抗原性はH.ピロリ
菌の複数の菌株において高度に保存されている(Ferreroら、Mol. Microbiol 9 :323〜333、1993;Gootzら、Infect. Immun. 62:793〜798、1994)。ウレアー
ゼにおける抗原性の保存は、H.ピロリ菌ウレアーゼによるワクチン接種を行った
際にマウスがH.フェリス菌(H. felis)感染から防御されることの基盤をなして
いる(Ferreroら、Mol. Microbiol 9:323〜333、1993)。H.ピロリ菌およびH. ムステラエ菌(H. mustelae)のウレアーゼの間に抗原交差反応性があることも 示されている(Gootzら、Infect. Immun. 62:793〜798、1994)。
【0004】 ウレアーゼ酵素活性は動物およびヒトに対して有毒である(Thomsonら、Am. J
. Med. 35:804〜812、1963;Mobleyら、Microbiol. Rev. 53:85〜108、1985;
LeVeenら、Biomed. Pharmacother. 48(3〜4):157〜 166、1994)。抗ウレア ーゼ抗体はウレアーゼと結合するが、一般にはウレアーゼ酵素活性を阻害しない
。例えば、ウレアーゼに対するモノクローナル抗体によってウレアーゼ活性の阻
害が示されたと主張する報告は1つある(Nagataら、Infect. Immun. 60:4826〜
4831、1992)。本発明者らは、ウレアーゼおよびウレアーゼのサブユニットに対
するモノクローナルおよびポリクローナル抗体の試験を行ったが、ウレアーゼ活
性の阻害は全く認められなかった。トーマス(Thomas)ら(J. Clin. Microbiol
. 30:1338〜1340)は、H.ピロリ菌に感染した小児から採取した血清試料におけ
るウレアーゼ阻害活性を測定し、ウレアーゼ結合活性が認められた13件の血清試
料のうち、何らかのウレアーゼ阻害活性が認められた試料は1つのみであったと 報告している。これらの観察結果は、ウレアーゼの触媒ドメインと免疫原性ドメ
インが異なることを示している。このことは、ウレアーゼ調製物の抗原反応性は
酵素活性が消失する保存条件下でも保たれたという最近の報告によってさらに裏
づけられた(Perez-Perez、Infect. Immun. 62:299〜302、1994)。これらの結
果は、免疫原性を有毒な恐れのある酵素活性と分離しうることを示唆しており、
これはワクチンの候補としては重要な特性である。
【0005】 感染した個体の大半とは言えないまでもかなりの割合では、ウレアーゼに対す
る特異的ヒト抗体反応はみられないか、または弱い。また、動物にウレアーゼに
対する抗体をヘリコバクター生菌とともに投与すると、感染に対する防御が得ら
れる(Blanchardら、Infect. Immun. 63:1394〜1395、1995)。以上を総合する
と、これらの結果は、H.ピロリ菌に対して防御的に働くウレアーゼ特異的な高度
の免疫応答を誘発するワクチンとしてウレアーゼが有効であるとの論拠を裏づけ
るものである。
【0006】 H.ピロリ菌ウレアーゼの遺伝子集団において9つの遺伝子が同定されている(C
ussacら、J. Bacteriol. 174:2466〜2473、1992;Labigneら、J. Bacteriol. 1
73:1920〜193、1992)。これらには、UreAおよびUreBをコードするウレアーゼ 構造遺伝子、ならびにUre I、E、F、GおよびHをコードするアクセサリー遺伝子 (accessory gene)が含まれる。これらの遺伝子はウレアーゼ活性に必須である
ことが示されている。ヒュー(Hu)ら(Infect. Immun. 60:2657〜2666、1992 )は、H.ピロリ菌ウレアーゼのUreAおよびUreBサブユニットをコードする遺伝子
を大腸菌において発現させ、天然ウレアーゼと構造的および免疫学的に同一な完
全に組織化された(fully assembled)アポ酵素をコードするにはこれらの2つの
遺伝子だけで十分であるものの、ニッケルイオンが存在しないことから触媒的に
は不活性であることを示した。ニッケルイオンのみを添加しても触媒活性は回復
しなかった。その他の細菌ウレアーゼについても同様の結果が報告されている。
他の研究では、H.ピロリ菌ウレアーゼとはサブユニット構造および全体的アミノ
酸配列の点で実質的に異なる組換えクレブシエラ・アエロゲネス菌(Klebsiella
aerogenes)のアポウレアーゼが、二酸化炭素または重炭酸塩のいずれかとニッ
ケルイオンとのインキュベーションにより、インビトロで活性化されることが示
されている(Parkら、Science 267:1156〜1158、1995)。結晶解析に基づき、K
.アエロゲネス菌(K. aerogenes)ウレアーゼのニッケル2分子を含む活性中心(
bi-nickel center)は、Ure CサブユニットのHis 272、His 246、His 136、His
134、Asp 360およびLys 219を含むと考えられている。これとの類推によれば、H
.ピロリ菌ウレアーゼのメタロセンター(metallocenter)はUre Bサブユニット のHis 248、His 138、His 136、Asp 362およびLys 219を含むと記載しうると思 われる。
【0007】発明の概要 本発明者らは、ウレアーゼのアミノ酸を化学的に修飾する化合物でヘリコバク
ターウレアーゼを処理することにより、ウレアーゼのインビトロ活性化、さらに
はウレアーゼの分子凝集を阻止しうることを示した。また、本発明者らは、ウレ
アーゼにアミノ酸置換を含めることにより、ウレアーゼのインビトロ活性化を阻
止しうることも示した。
【0008】 したがって、1つの局面において、本発明はヘリコバクター(H.ピロリ菌など )のウレアーゼを安定化する方法を特徴とする。これらの方法では、ウレアーゼ
(例えば、組換え型または天然型のウレアーゼ)を、ウレアーゼのアミノ酸を修
飾する化合物と接触させる。本発明に係るウレアーゼの安定化により、ウレアー
ゼの活性化の阻止またはウレアーゼの分子凝集の阻止が可能となる。
【0009】 これらの方法において用いられる化合物としては、例えば、スルフヒドリル反
応性化合物が可能である。例えば、ヨードアセトアミド(IAM)、ヨード酢酸(I
AA)、5-5'-ジチオ-ビス-2-ニトロ安息香酸(DTNB)、2,2'-ジチオジピリジン(
DTDP)、シスチン、シスタミン、メチルメタンチオスルホネート(MMTS)、N-エ
チルマレイミド(NEM)、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)またはトリニトロ ベンゼンスルホン酸(TNBSA)を用いることができる。本発明に用いうるこのほ かの化合物は以下でさらに記載する。
【0010】 上記のいずれかの方法によって安定化されたヘリコバクター(H.ピロリ菌など
)のウレアーゼポリペプチド、例えば、組換え型または天然型のウレアーゼポリ
ペプチドも、本発明に含まれる。安定化されたウレアーゼポリペプチドは、薬学
的に許容される担体または希釈剤中に存在しうる。
【0011】 もう1つの局面において、本発明は、ウレアーゼポリペプチドの活性化を阻止 する単一のアミノ酸変異(または複数の変異)を有する、ヘリコバクター(例え
ばH.ピロリ菌など)のウレアーゼポリペプチドを提供する。例えば、このウレア
ーゼポリペプチドは、UreBのヒスチジン136、ヒスチジン248またはリジン219と いうウレアーゼのアミノ酸におけるアミノ酸変異を含みうる。このような変異を
有するウレアーゼポリペプチドは、薬学的に許容される担体または希釈剤中に存
在しうる。
【0012】 患者においてヘリコバクターに対する免疫応答を誘発させる方法も本発明に含
まれる。これらの方法では、上記のウレアーゼポリペプチドのいずれか1つを、 ヘリコバクター感染症を発症する危険性はあるがまだ感染してはいない患者、ま
たはヘリコバクターに感染した患者に投与する。ウレアーゼポリペプチドは患者
の粘膜表面に対して投与することもでき、または静脈内、筋肉内もしくは経皮的
投与などによって非経口的に投与することもできる。また、本発明には、ヘリコ
バクター感染症の予防または治療のための医薬品の調製における上記のウレアー
ゼポリペプチドの使用も含まれる。
【0013】 本明細書で用いられるポリペプチド、例えばヘリコバクターのウレアーゼポリ
ペプチドは、免疫原性を保持するのに十分な程度までその分子構造が維持される
ように処理または修飾された場合に「安定化された」という。非処理ウレアーゼ
(下記参照)の特徴である分子凝集または活性化(例えばインビトロ活性化)が
阻止されるように、例えばヨードアセトアミド(IAM)、5,5'-ジチオ-ビス(2-ニ
トロ安息香酸)(DTNB)、N-エチルマレイミド(NEM)またはジニトロフルオロベ
ンゼン(DNFB)などの化合物によって処理されたウレアーゼは、「安定化された
」という。
【0014】 本明細書で用いられる「ウレアーゼ」という用語には、ヘリコバクター属(例
えばH.ピロリ種の細菌など)の細菌などの生物体から精製されたウレアーゼポリ
ペプチド、精製されたウレアーゼの断片のほか、ウレアーゼポリペプチド(ウレ
アーゼアポ酵素など)、ウレアーゼサブユニット(例えば、UreAおよびUreBサブ
ユニット)および組換えまたは化学合成法を用いて作製されたウレアーゼ断片が
含まれる。
【0015】 本発明により、いくつかの利点が得られる。例えば、ウレアーゼを安定な分子
形態に維持することにより、予防的、治療的および診断的方法などのウレアーゼ
を用いる方法の結果に一貫性をもたらすことができる。さらに、活性化ウレアー
ゼは有毒であることが細胞培養アッセイ、動物およびヒトにおいて示されている
ため(Thomsonら、Am. J. Med. 35:804〜812、1963;Mobleyら、Microbiol. Re
v. 53:85〜108、1985;LeVeenら、Biomed. Pharmacother. 48(3〜4):157〜1
66、1994)、ウレアーゼ活性化の阻止により、予防的および治療的方法に使用す
るためのより安全性の高いウレアーゼ製品を製造することが可能になる。
【0016】 本発明のその他の特徴および利点は、詳細な説明、図面および特許請求の範囲
によって明らかになると考えられる。
【0017】詳細な説明 上記の通り、溶液中にあるヘリコバクターアポウレアーゼは、不均一で(すな
わち、さまざまな分子形態で存在する)、不安定であり、凝集体を形成し、さま
ざまな分子形態の間を相互変換するほか、重炭酸塩およびニッケルイオンとのイ
ンキュベーションによって酵素的に不活性な形態から活性な形態へとインビトロ
で変換される。
【0018】 したがって、本発明は、ヘリコバクターウレアーゼを安定化するための方法を
提供する。これらの方法の一例において、ウレアーゼは、酵素的に活性な形態、
または非処理ウレアーゼの特徴である高分子量の重合性凝集物(下記参照)へと
変換されえないようにウレアーゼのアミノ酸を修飾する化合物によって処理され
る。酵素的に活性な形態へと変換されえないようにウレアーゼを安定化するため
の別の方法には、ウレアーゼへの遺伝的修飾(例えば、アミノ酸置換)の導入が
含まれる。これらの方法のいずれかを用いて安定化されたウレアーゼは、例えば
、ヘリコバクター感染症の予防、治療または診断のためのワクチン接種法におい
て用いることができる。
【0019】ヘリコバクターウレアーゼの化学的安定化 20種のアミノ酸にはそれぞれ自由側鎖があり、これらの側鎖の多くはシステイ
ンのチオール基またはリジンのアミノ基などの反応性官能基を有する。少なくと
も9種のアミノ酸の側鎖(Cys、Lys、Asp、Glu、Arg、His、Trp、TyrおよびMet)
は、緩和な条件下で極めて特異的な試薬と反応して、化学的に修飾されたアミノ
酸誘導体を生じうる。アミノ酸側鎖を修飾するための特異的試薬は当技術分野で
数多く知られており(例えば、Fagain、Biochimica et Biophysica Acta 1252:
1〜14、1995;Meansら、Bioconjugate Chem. 1:2〜12、1990;Imotoら、蛋白質
の機能:実践的アプローチ(Protein Function: a Practical Approach(Creigh
ton編)247〜277、IRL Press、Oxford、1989;Lundbladら、蛋白質修飾のための
化学試薬(Chemical Reagents for Protein Modification)、1および2巻、CRC
Press、Boca Raton、Florida、1984を参照されたい)、ヘリコバクターウレアー
ゼの安定化のために本発明において用いることができる。
【0020】 本発明の方法を用いて安定化しうるウレアーゼポリペプチドには、ヘリコバク
ター(例えば、H.ピロリ菌またはH.フェリス菌)培養物(Michettiら、国際公開
公報第94/09823号;Dunnら、J. Biol. Chem. 265:9464〜9469;下記も参照) から精製されるウレアーゼポリペプチドのほか、組換え法を用いて作製されるウ
レアーゼポリペプチド(例えば、組換えアポウレアーゼ;Leeら、J. Infect. Di
s. 172:161〜172、1995;Huら、Infect. Immun. 60:2657〜2666、1992;下記 も参照)が含まれる。天然型ウレアーゼおよびこれに対応するニッケルイオンを
欠く組換え型アポウレアーゼのアミノ酸配列には差がないことも考えられるが、
アポウレアーゼの活性部位でのニッケルイオンの欠失は、特に活性部位および付
近の領域における蛋白質のコンフォメーションに影響を及ぼす可能性がある。こ
のため、アポ蛋白質の活性部位における機能的アミノ酸残基の到達性および反応
性は、天然型蛋白質のものとは大きく異なる可能性が高い。以下に説明する実験
は、アミノ酸修飾のために用いる化学試薬が組換えアポウレアーゼと反応してア
ポウレアーゼの活性化および安定性に影響を及ぼしうることを示している。
【0021】 ウレアーゼの安定化のために用いうる化合物の例には以下のものがある。5,5'
-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、2,2'-ジチオジピリジン(DTDP)、シ
スチン、シスタミン、メチルメタンチオスルホネート(MMTS)およびジニトロフ
ルオロベンゼン(DNFB)などのジスルフィド反応性試薬のほか、ヨード酢酸(IA
A)、ヨードアセトアミド(IAM;この化合物はリジンおよびヒスチジン残基も修
飾する)およびN-エチルマレイミド(NEM)などのアルキル化剤を含む、チオー ル基を修飾する化合物を用いることができる。チオール基を修飾し、本発明にお
いて用いうるほかの化合物には、低pHでチオール基反応性のスルフェンアミドに
変換されるプロトンポンプ阻害剤が含まれる。このような化合物の例には、オメ
プラゾール、ランソプラゾール、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、AG-2
000;Nagataら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 39(2):567〜570、
1995)が含まれる。
【0022】 アミノ基を修飾する化合物もウレアーゼの安定化のために用いうる。例えば、
無水酢酸、メチルアセチルリン酸、ピリドキサールリン酸、フルオロニトロベン
ゼン(例えば、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB))およびIAMなどのアセチル 化剤を用いることができる。同じくアミノ酸を修飾するトリニトロベンゼンスル
ホン酸(TNBSA)も、ウレアーゼの安定化のために用いうる。さらに、ヒスチジ ン残基を修飾する化合物(例えば、ヨード酢酸およびヨードアセトアミド)また
はアルギニン残基を修飾する化合物(フェニルグリオキサールおよびグリオキサ
ール)も、ウレアーゼの安定化のために本発明において用いうる。
【0023】 アミノ酸の修飾を目的として上記およびその他の化合物を用いるための方法は
当技術分野で知られており、ウレアーゼとともに使用するために当業者によって
容易に適合化させることができる。例えば、IAAの場合には、ウレアーゼ(4mg/
mlなど)を0.1〜25mM IAA、例えば1mM IAAとともに室温で5〜20分間インキュベ ートすることができる。ウレアーゼの安定化のために用いうる他の化合物の量は
以下の通りである:1〜200mM IAM、5〜200mM NEM、0.1〜5.0mM DTNB、0.01〜4.5
mM DTDP、0.5〜1.0mMシスチン、0.25〜1.0mMシスタミンおよび25〜100μM MMTS 。安定化反応は、例えば80mM HEPES(pH 7.75)、8mM EDTA中にて20〜40℃、例 えば室温または37℃で行うことができる。
【0024】 上に挙げた化合物のいずれかと用いるための適切な反応条件(例えば、反応容
積、緩衝液、インキュベーション温度およびインキュベーション時間)は、当業
者によって容易に決定しうる。例えば、0.5〜10mg/ml(例、3〜4mg/ml)のウ レアーゼを0.1〜100mMの修飾試薬とともにインキュベートすることができる。使
用可能なこのほかの反応パラメーターの例は以下に述べる。
【0025】 ウレアーゼの化学的修飾は、精製の最終段階の後に行いうる。例えば、トリス
(Tris)またはリン酸緩衝液(pH 7.5〜8.6)中にある精製ウレアーゼを1〜5mM ヨードアセトアミド、1〜10mM NEMまたは0.3〜1mM DTNBとともに室温で1時間イ ンキュベートすることができる。このインキュベーションの後に、試料を緩衝液
の存在下または非存在下で2%スクロース中に透析濾過し、約4.0mg/mlに濃縮す
ることが可能である。
【0026】ヘリコバクターウレアーゼの遺伝的安定化 上記の化学的方法に加えて、遺伝的修飾法を用いて活性化(例えば、インビト
ロ活性化)を阻止する目的でウレアーゼポリペプチドを安定化することもできる
。修飾(すなわち、アミノ酸の置換、欠失または付加)を含むアミノ酸配列をコ
ードするように核酸を修飾するための方法、例えば部位特異的変異誘発およびPC
R変異誘発法は、当技術分野で周知である(例えば、アウスユーベル(Ausubel)
ら編、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular
Biology)、Wiley & Sons、New York、1989を参照)。これらの方法を用いて修
飾された核酸は、以下に説明するものなどの標準的な発現法を用いて修飾蛋白質
を産生させるために用いることができる(例えば、アウスユーベル(Ausubel) ら、前記も参照されたい)。
【0027】 安定化された本発明のヘリコバクターウレアーゼを産生させるために修飾しう
るアミノ酸には、例えば、分子の活性部位にある残基(例えばリジン219)のほ か、ジスルフィド結合の形成に関与する残基が含まれる。本発明に含まれる修飾
の具体的な例には以下のものがある。第136、138、221、248、274、314、322ま たは323位のヒスチジン残基は、例えばアラニンまたはロイシンによって置換す ることができる。第362位のアスパラギン酸残基または第219位のリジン残基は、
アラニンまたはロイシンによって置換しうる。さらに、ウレアーゼのシステイン
(例えば、Cys 321およびCys 257)およびアルギニン(例えば、Arg 338およびA
rg 340)残基も本発明に従って修飾(例えば、アラニンまたはロイシンなどによ
る置換)が可能である。
【0028】ヘリコバクター感染症の予防または治療のための方法における安定化ウレアーゼ の使用 上記の方法を用いて安定化されたウレアーゼは、意図する投与様式に適した標
準的な方法を用いて投与用に処方することができる。例えば、安定化ウレアーゼ
を安定化剤(例えば、炭水化物のマンニトール)と混ぜ合わせて、その産物にフ
リーズドライ処理(すなわち、凍結乾燥)を行うことができる。さらに、この工
程は凝集および断片化による分解を防止する。また、該産物は凍結乾燥後も数カ
月にわたって安定である。
【0029】 安定化ウレアーゼには最終精製段階に続いてフリーズドライ処理を行うことが
できる(下記参照)。精製された蛋白質産物(約4mg/ml)を、2%スクロースに
対して透析濾過するか、または10〜100kDa NMCO透析濾過膜を用いて透析濾過を 行い、この溶液を凍結乾燥用バイアルに移す。バイアルに入れた溶液は液体窒素
中で凍結させた後に凍結乾燥器に入れるか、または4℃に冷却した後に凍結乾燥 器に入れ、それを-40℃またはそれ未満まで冷凍する。凍結乾燥は標準的方法を 用いて行う。フリーズドライ化された産物は水中で再構成しうる。
【0030】 安定化ウレアーゼは、以後のヘリコバクターへの曝露に対する防御が得られる
のに有効な粘膜免疫応答を刺激するため、および/または既存のヘリコバクター
感染の除去を促すために、ヒト患者などの罹患対象の粘膜表面に対して投与する
ことができる。好ましくは、安定化ウレアーゼは、抗ウレアーゼIgA抗体の産生 に伴う粘膜免疫応答および/または胃粘膜へのリンパ球の浸潤を誘発させるため
に投与される。安定化ウレアーゼは患者のあらゆる粘膜表面に投与しうる。好ま
しい粘膜表面は口腔、鼻内および直腸(例えば、坐薬の使用による)の粘膜であ
る。単一の粘膜表面に投与することに加えて、本発明のワクチンを複数の粘膜表
面の組み合わせ(例えば、口腔+直腸、口腔+鼻内、または直腸+鼻内)、また
は粘膜および非経口投与の組み合わせを用いることもできる。経口投与の場合に
は、投与にワクチンの摂取を伴うことが好ましいが、ワクチンの実際の摂取を伴
わずに、口腔の粘膜表面において免疫応答を刺激するように、うがい薬としてワ
クチンを投与することもできる。または、安定化ウレアーゼを、例えば皮下、静
脈内または筋肉内注射による非経口経路によって患者に投与することも可能であ
る。
【0031】 患者に投与される安定化ウレアーゼの適切な投与量は、その目的がヘリコバク
ター感染の予防であっても治療であっても、当業者によって決定されうる。一般
に、投与量には約10μgから1,000mgの安定化ウレアーゼが含まれると思われる。
粘膜への免疫処置の場合には、好ましい投与量は約10mgから100mgの範囲である が、非経口的な免疫処置の場合には好ましい投与量は約10μgから100μgの範囲 である。
【0032】 患者には安定化ウレアーゼを少なくとも1用量投与することが可能であり、例 えば、少なくとも合計2用量、4用量、6用量またはそれ以上の用量を投与するこ とが可能である。前回の免疫処置から1または2週間の間隔をおいて安定化ウレア
ーゼの追加免疫投与を行うことが望ましいと思われる。一般には、初回投与量よ
りも少ないか、それと同量の安定化ウレアーゼを含む1回の追加免疫投与が行わ れる。例えば、1週間毎の間隔をおいて4回投与するワクチン投与方式が可能であ
る。粘膜への免疫処置の場合には、初回および追加免疫投与を同じ粘膜表面に行
っても異なる粘膜表面に行ってもよい。異なる粘膜表面に行う場合には、例えば
、初回投与を口腔に行って鼻内もしくは直腸に追加投与を行うこと、初回投与を
鼻内に行って口腔もしくは直腸に追加投与を行うこと、または初回投与を直腸に
行って口腔もしくは鼻内に追加投与を行うことが可能である。
【0033】 安定化ウレアーゼはアジュバントとともに同時投与することができる。粘膜へ
の免疫処置の場合には、患者に用いるために適した当技術分野で知られた任意の
粘膜アジュバントを用いうる。例えば、粘膜アジュバントとしては、コレラ毒素
(CT)、毒素原性大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)、またはアジュバント活
性を保持しているCTもしくはLTの誘導体、サブユニットもしくは断片が可能であ
る。粘膜アジュバントは、免疫応答、特に体液性および/または粘膜免疫応答を
誘発または増強させるのに有効な量で、安定化ウレアーゼとともに同時投与され
る。投与するアジュバントと安定化ウレアーゼとの比は当業者により標準的な方
法によって決定することができる。例えば、アジュバントは、アジュバントが1 に対して安定化ウレアーゼが10という比率で存在しうる。安定化ウレアーゼは、
当技術分野で知られた1種または複数の多くのアジュバントまたは免疫調節薬と ともに非経口経路によって同時投与することができる。例えば、非経口的アジュ
バントとしては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム
、ムラミルトリペプチド、ムラミルジペプチド、免疫活性化複合体(ISCOM)、Q
S 21などのサポニン誘導体、水中油型乳剤、リポソーム、ブロック重合体または
以上のものの任意の組み合わせが可能である。
【0034】 胃の胃酸のpHを中和または上昇させる目的で、安定化ウレアーゼの投与前に緩
衝剤を投与することができる。胃酸のpHを上昇させる点で有効であって患者にお
ける使用に適する任意の緩衝剤を用いうる。例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウムおよびリン酸ナトリウムなどの緩衝剤を用いることができる。経口
投与の場合には、ワクチンは緩衝剤を含まなくともよく、すなわち胃酸pHに有意
な影響を及ぼす点で有効なpH上昇性の緩衝性化合物をワクチン投与の前またはそ
れと同時に患者に投与せずともよい。
【0035】 安定化ウレアーゼを含むワクチン製剤は、安定化剤、調味料(糖など)を含む
種々の他の任意の成分を含むこともでき、ワクチンが抗菌性治療薬として投与さ
れる場合には、感染性細菌の除去および/または駆除を促進する点で有効な他の
化合物(例えば、抗菌性化合物およびプロトンポンプ阻害剤)を含むこともでき
る。
【0036】 予防療法の場合には、安定化ウレアーゼを含むワクチンを、ヘリコバクター感
染が開始または確立する前の任意の時点で投与することができる。ワクチンは抗
菌療法としても作用するため、ヘリコバクター感染(例えば、無症候性感染)が
すでに存在するというわずかな所見やその疑いがあれば、ワクチン投与の禁忌と
はならない。
【0037】 ワクチンを抗菌療法において用いるには、ヘリコバクター感染または胃炎、消
化性潰瘍もしくは他の消化器疾患に伴う症状が生じる前、その最中またはその後
という任意の時点で、安定化ウレアーゼを投与することができる。治療開始の必
要条件というわけではないが、ヘリコバクター感染症との診断は、例えば、13C 呼気検査、血清学的検査、胃内視鏡検査、生検または当技術分野で知られた別の
ヘリコバクター検出法によって確定することができる。免疫処置を受けた患者の
経過は、全身の医学的評価、血清学的検査によるヘリコバクター感染のスクリー
ニング、13C呼気検査および/または胃内視鏡検査によって行いうる。
【0038】 ヘリコバクターに対する免疫処置に用いることに加えて、安定化ウレアーゼを
、潰瘍性大腸炎および肝不全に伴うアンモニア中毒などのその他の疾患に対する
動物またはヒトの免疫化のために用いることもできる。
【0039】実験結果 大腸菌(Escherichia coli)中で発現される組換えヘリコバクター・ピロリ(He licobacter pylori)アポウレアーゼの重炭酸塩およびニッケルイオンによるイ ンビトロ活性化 大腸菌(E. coli)株ORV214中で発現される組換えH.ピロリ(H. pylori)ウレ
アーゼアポタンパク質を、H.ピロリ(H. pylori)感染によって生ずる消化性潰 瘍の予防的治療および治療のための経口ワクチンとして使用することができる。
このウレアーゼアポタンパク質はNi++イオンを含有せず、ウレアーゼ補助的構築
(accesory assembly)遺伝子を欠損した組換え大腸菌(E. coli)によって合成
されるので、ウレアーゼアポタンパク質は触媒的に不活性であると予測される。
以下に記載する実験は、ORV214大腸菌(E. coli)株において発現され、それか ら精製される組換えH.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼアポタンパク質は、超生 理的濃度のNi++および重炭酸塩と共にインビトロインキュベーションすることに
よって活性化され得ることを示している。
【0040】Ni++および重炭酸塩による組換えウレアーゼの活性化 ウレアーゼ酵素は以下のように尿素の切断を生ずる:
【式】
H2N-CO-NH2 + H2O → 2NH3 + CO2 ウレアーゼの活性は、以下に記載するアッセイ方法を使用して、重炭酸塩および
Ni++イオンとプレインキュベーションしたウレアーゼ調製物中で検出された。フ
ェノールレッド尿素ブロス比色方法を使用して測定した、組換えウレアーゼに対
する重炭酸塩およびNi++イオンの活性化の影響を図1に示す。尿素がアンモニア と二酸化炭素とに変換することによって培地のpHが上昇する。アッセイ混合物は
フェノールレッドを含有し、これがアルカリ性pH中でイオン化されて、550 nmの
吸光度測定によって測定されるとき、ピンク色の産物を形成する。反応は1 cmの
キュベット中で実施され、550 nmにおける吸光度の増加を、CPM 260マルチ-チャ
ンネル温度制御式キュベットホルダーを備えたシマズ(Shimadzu)型番UV-2101
PCを使用して連続的にモニターする。重炭酸塩およびNi++イオンの両方がプレイ
ンキュベーションシステム中に存在する場合のみ活性が検出される。これらの結
果はK. エアロゲネス(K. aerogenes)ウレアーゼ活性の観察(Park(Park)ら 、Science267: 1156-1158, 1995)に一致する。アンモニアの形成は尿素由来の アンモニアを直接評価することによって確認された。未変性PAGEおよびウレアー
ゼ特異的銀染色によるウレアーゼ活性の検出を図2に示す。ウレアーゼタンパク 質は、未変性条件下でポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分別される。次
いで、ゲルを尿素と共にインキュベーションし、ハイドロキノンとp-アミノフェ
ノールとからなるpH感受性酸化還元系で染色し、次に硝酸銀と共にインキュベー
ションする。金属の銀がゲルのウレアーゼ酵素活性部位に付着する。
【0041】活性の時間依存性 ウレアーゼ活性の時間経過を図3に示す。これらの結果は、活性が時間依存性 過程で、タンパク質の時間依存的な変性の発生に一致することを示している。
【0042】活性のNi++、重炭酸塩、温度およびpH依存性 ウレアーゼ活性のNi++イオン濃度依存性を示す実験を図4に示す。活性はNi++ イオン濃度の増加に伴って増加する。使用される実験条件下において、プレイン
キュベーション系の20μMの、または20μMより低いNi++イオン濃度は組換えウレ
アーゼのいかなる有意な活性も生じない。別の実験では、50μMおよび100μMのN
i++濃度において組換えウレアーゼの活性が生じることが観察された。
【0043】 活性の重炭酸塩濃度への依存性を示す実験を図5に示す。活性の程度は、試験 した濃度範囲(5〜500mM重炭酸塩)において重炭酸塩濃度の増加と共に増加した
【0044】 異なる濃度のNi++および重炭酸塩で活性化される組換えウレアーゼのウレアー
ゼ活性特異的銀染色を示す結果を図6に示し、組換えウレアーゼの活性に対する 温度の影響を示す実験を図7に示す。活性は温度依存性過程であり、活性の程度 は4〜40℃の範囲の温度の増加に伴って増加する。時間経過動態の最も直線的な 部分の傾斜は活性の相対値であると考えられる。アッセイ混合物中の基質濃度は
飽和濃度よりはるかに高いので、測定された活性は最大速度に非常に近く、従っ
て、みかけの代謝回転速度定数の測定値である。活性のアレニウスプロットは直
線になり、ウレアーゼ活性については17.4 kcalの活性エネルギーが算出された 。
【0045】活性のpH依存性 ウレアーゼ活性のpH依存性を示す実験の結果を図8に示す。pH 6.5では検出可 能な活性は生じなかった。別の実験では、さらに低いpH(<6.0)では活性は生じ
ないことが見いだされた。
【0046】活性化された組換えウレアーゼのウレアーゼ結合親和性 活性化されたウレアーゼは未結合Ni++イオンおよび重炭酸塩の透析後に触媒活
性を保持していた。透析後の試料の活性は、4℃において2%ショ糖中での保存後 少なくとも1週間保持された(図9)。活性化されたウレアーゼの尿素に対する結
合親和性は、尿素の加水分解によって産生されるアンモニアとα-ケトグルタル 酸塩のNADH-依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ触媒によるL-グルタミン酸へ の変換を伴う、340 nmにおけるNADH吸収の減少を分光測定することによって求め
られた。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ反応は、NADに変換されるNADHを利用す る。NADHのNADへの変換は340 nmにおける吸収の減少を伴う。反応は1cmのキュベ
ット中で実施され、340 nmにおける吸収の減少を、CPM 260マルチ-チャンネル温
度制御式キュベットホルダーを備えたシマズ(Shimadzu)型番UV-2101 PCを使用
して連続的にモニターする。
【0047】 種々の尿素濃度における340nm吸収の減少の動態を示す曲線の直線部分の傾斜 からコンピューター処理された初速度をラインウィーバー・バーク(Lineweaver
-Burk)二重逆数プロットでプロットした。図10において、再活性化された組換 えH.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼのラインウィーバー・バークプロットをタ チナタマメ(IV型(EC 3.5.1.5)シグマ(Shigma)カタログ#U2000、ロット122H
7115)ウレアーゼのそれと比較する。組換えウレアーゼについて算出された1.1
mMのKm値は天然型H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼについて報告されている値 よりわずかに高かったが(モブレイ(Mobley)ら、Microbiol. Rev. 59: 451-48
0, 1995)、実験変動の範囲内である。同様の条件下では、その値はタチナタマ メウレアーゼについて推定される値の約1/4と低い。
【0048】組換えウレアーゼの活性に対する他の金属イオンおよびイミダゾールの影響 組換えウレアーゼを活性化する能力についてNi++、Mn++、Zn++、Cu++、Fe++
よびMg++イオンを試験した。フェノールレッド尿素ブロスアッセイにおいて尿素
と共にインキュベーションしたとき、pHの増加を生ずる能力によってモニターし
たとき、組換えウレアーゼをNi++イオンまたはMn++イオンと共にプレインキュベ
ーションするとウレアーゼが活性化される(図11)。Mn++イオンによる組換えウ
レアーゼの活性は、ネスラー試薬を使用した遊離アンモニアの直接測定によって
も証明される。しかし、未変性PAGEおよびウレアーゼ特異的銀染色によって検出
するとき、Mn++イオンで活性化される組換えウレアーゼはウレアーゼ活性を有す
るバンドが検出されなかった。また、Ni++イオンおよび重炭酸塩で活性化した組
換えウレアーゼは、未結合Ni++イオンおよび重炭酸塩の透析後に触媒活性を保持
していたが、Mn++イオンで活性化した組換えウレアーゼは透析後触媒活性を消失
した(図12)。別の実験では、Li+およびCo++イオンはウレアーゼの活性化を生 じないことが観察された。
【0049】 他の金属イオンがNi++による組換えウレアーゼの活性化と相互作用することが
あるかどうかを調べるために、Ni++と他の金属イオンとの組み合わせを試験した
(図13)。Ni++イオン(0.1 mM)と1 mMの他の金属イオンを使用した。これらの
条件下では、Mg++イオンは検出可能な影響を示さなかった。Mn++イオンは組換え
ウレアーゼの活性化を増大した。これは、Ni++イオンとMn++イオンとの相乗効果
が存在することを示す。Cu++、Fe++およびZn++イオンはNi++による組換えウレア
ーゼの活性化を阻害した。別の実験では、Co++イオンもNi++と重炭酸塩による活
性化を阻害することが見いだされた。プレインキュベーション系がさらに高濃度
のNi++(500μM)を含有する場合には、Ni++の相乗効果は検出されなかった。Ni ++ および他の金属イオンの組み合わせで活性化されたウレアーゼの未変性PAGEお
よびウレアーゼ特異的銀染色は、ウレアーゼの活性化に対するCu++、Fe++および
Zn++イオンの阻害効果を確認した。しかし、Mn++の活性化効果は染色ゲルの分析
では検出されなかった。一方、Mn++およびNi++イオンによる活性化系における活
性はNi++単独またはNi++およびMg++の活性より低かった(図14)。これは、活性
部位にMn++イオンを有するウレアーゼ画分は電気泳動中に活性を損失したことを
示している。この観察はMn++イオンで観察された結果に一致している。ウレアー
ゼの活性部位は、Ni++の結合部位として作用する一群のヒスチジン残基を含有す
ることが知られている。イミダゾールはNi++と複合体を形成することが知られて
おり、従って、組換えウレアーゼの活性部位にNi++が結合するのを阻害するはず
である。2.5〜25 mMの範囲のイミダゾール濃度は濃度依存的に組換えウレアーゼ
の活性化を阻害することが見いだされた(図15)。
【0050】組換えウレアーゼの活性化に対するヨードアセタミドおよびDTNBの影響 ヨードアセタミドまたは5-5'-ジチオ-ビス-2-ニトロ安息香酸(DTNB)を使用 した組換えウレアーゼの化学的修飾は溶液中のウレアーゼに対する安定化効果を
有する。これはスルフヒドリル基が溶液中の組換えウレアーゼの分子状態を維持
する際にある種の役割を果たしていることを示している。ヨードアセタミドまた
はDTNBによってアルキル化された組換えウレアーゼはNi++および重炭酸塩で活性
化されないこと、および活性化混合物中にヨードアセタミドまたはDTNBを含ませ
ても活性化が阻止されることが観察された。また、過剰の修飾剤を除去した後に
、ヨードアセタミドまたはDTNBで修飾したウレアーゼも活性化されなかった(図
16Aおよび図16B)。
【0051】 N-エチルマレイミドは別のスルフヒドリル基修飾剤である。チオール特異的試
薬DTNBとの反応性によって測定するため、室温で20 mM Hepes緩衝液(pH 7.5) 中で組換えアポウレアーゼ(3〜4.0 mg/ml)を9 mM NEMと共に60分間インキュベ
ーションするとスルフヒドリル基が遮断される(図17A)。修飾されたタンパク 質は重炭酸塩およびニッケルによって活性化されなかったが、未修飾の対照ウレ
アーゼは同一条件下で活性化された(図17B)。2〜8℃で15日間保存した後には 、HPLC分析によってウレアーゼの50%より多くの損失が示されるように、対照( 未修飾アポウレアーゼ)は凝集し、有意に分解したが(この損失はHPLCの前に0.
2μmのフィルターで試料を濾過する際に凝集物が除去されたことによると解釈さ
れる)、NEM修飾ウレアーゼは分子の完全性を保持していた(図18Aおよび18B) 。
【0052】 パーク(Park)ら(Science267: 1156-1158, 1995)は、ヘリコバクター(Hel
icobacter)ウレアーゼのリジン219と同様の位置にあるK.アエロゲネス(K. aer
ogenes)アポウレアーゼのリジン217のカルバミル化はウレアーゼのインビトロ 活性化の機序に関係するかもしれないと提唱した。本発明者らは、組換えヘリコ
バクター(Helicobacter)アポウレアーゼを化学的に修飾するためにいくつかの
アミノ基修飾試薬を使用し、本発明者らはインビトロ活性化に対するこのような
修飾の影響を試験した。例えば、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)によるアポ
ウレアーゼの修飾はインビトロ活性化を阻止した(図28A〜28C)。
【0053】 修飾は中性pHまたは酸性pHよりアルカリ性pH(pH>7.5)でより効果的であるの
で、DNFBの影響はpH依存的であった(図28D)。これは、提案されているリジン2
19の反応性に一致する。酵素活性の同様の不活性化はすでに活性化されたウレア
ーゼについてもみられた(図28E)。この結果は、リジン219の修飾はDNFB修飾に
よるインビトロ活性化の原因ではないかもしれないことを示している。DNFBはま
たシステイン残基および他の官能残基とも反応し、これはアポウレアーゼおよび
再活性化ウレアーゼに対するDNFBの影響を説明していると思われる。
【0054】 トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA、5 mM)はアポウレアーゼがインビト ロにおいて再活性化されることを効果的に阻止した(図29)。同様の条件下では
、インビトロで活性化されたウレアーゼを5 mM TNBSAと共にインキュベーション
すると、酵素活性を不活性化しなかった。この観察は、アポウレアーゼのリシル
基修飾はインビトロ活性化を阻止することができ、TNBSAによって修飾されたア ポウレアーゼの基は活性化されたウレアーゼでは利用されないことを示している
。この観察は、インビトロ活性化の機序に関係するリジン残基のカルバミル化に
一致する。
【0055】 Ni++と組換えウレアーゼとの結合のより多くの証拠を得るために、組換えウレ
アーゼを、Ni++および重炭酸塩を含有する活性化緩衝液と共にインキュベーショ
ンすることによって活性化ウレアーゼを調製した。過剰な重炭酸塩およびNi++
オンは2%ショ糖に対して高度に(extensive)透析することによって除去した。 次いで、OD280における分光光度分析によって測定したとき、10 mg/mlの濃度ま でのマクロセップ(Macrosep)100フィルター遠心分離装置(Filtron, Inc.)を
使用して活性化されたウレアーゼを濃縮した。ウレアーゼの吸光度スペクトルを
β-メルカプトエタノールの存在下および非存在下において記録し、β-メルカプ
トエタノールの存在下では、410〜407 nmおよび330〜325 nmにおいて2つの別個 の吸収極大が検出された(図19Aおよび19B)。
【0056】 組換えH.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼは、クローニングされたウレアーゼ 構造サブユニット遺伝子ureAおよびureBを保有する大腸菌(E. coli)から精製 された。組換えタンパク質は構造的および免疫学的に天然型H.ピロリ(H. pylor
i)ウレアーゼと同一であるが、検出可能な酵素活性は有していなかった。テト ラマー型、ヘキサマー型、オクトマー型および高ポリマー型と呼ばれる4種の分 子型のウレアーゼを溶液で保存されたウレアーゼから単離した。オクトマー型お
よびヘキサマー型は酵素的に不活性で、マウス抗H.ピロリ(H. pylori)ウレア ーゼポリクローナル抗体、MPA3および抗H.フェリス(H. felis)ウレアーゼBモ ノクローナルIgA、MAB71と同様の免疫反応性を示した。電子顕微鏡による調査は
、異なる分子型が異なるサイズの粒子として見られることを明らかにした。調製
直後のウレアーゼと比較して、4℃で保存した組換えウレアーゼ溶液中の遊離の スルフヒドリル基の総数は減少した。組換えウレアーゼの遊離のスルフヒドリル
基を5,5'-ジチオ-ビス-(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)またはヨードアセタミド で遮断すると、分子会合が減少することが示された。これらの観察と一致して、
β-メルカプトエタノールはヘキサマー型のウレアーゼを安定化した。これらの 結果は、異なるUreBサブユニット、UreAサブユニットおよびUreAとUreBのサブユ
ニット間におけるサブユニット間ジスルフィド結合の存在を実証している。これ
らの結果はさらに以下に記載される。
【0057】天然型および組換えH.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼの特性の比較 UreAおよびUreBをコードする構造遺伝子を含有する組換えH.ピロリ(H. pylor
i)ウレアーゼ産生大腸菌(E. coli)株ORV214をIPTG誘導性発現系で構築した(
Leeら、J. Infect. Dis. 172: 161-172, 1995; Pappoら、Infect. Immnun. 63:1
246-1252, 1995)。40または400リッターの発酵タンクにおいて、酵母抽出液、 トリプトンおよび0.6〜1.5%グリセロールを含有するが、抗生物質を含まない産 生培地中で細菌を増殖させた。16〜24時間の誘導後、細菌を回収し、遠心分離に
よって洗浄し、-20℃において保存した。微小流動装置を使用した細菌溶解を伴 う方法、遠心分離による清澄化並びに非吸着型DEAE-Sepharose、限界濾過-ダイ アフィルトレーション(100 kDa MWカット-オフ、Omega mebmranes、Filtron, I
nc.)、吸着型DEAE-Sepharoseクロマトグラフィー、限界濾過/ダイアフィルトレ
ーションおよび非吸着型Q-Sepharose陰イオン交換クロマトグラフィーの使用を 伴う精製手法によって組換えウレアーゼを凍結された細菌から精製した。クロマ
トグラフィー条件下でQ-Sepharoseに結合しないウレアーゼを2%ショ糖に緩衝液 交換した。
【0058】 上記のプロトコールを使用した精製されたウレアーゼは、還元型SDS-PAGEゲル
のクーマシー染色により29 kDa(UreA)および60 kDa(UreB)タンパク質バンド
として可視化された。比重走査は、このタンパク質は純度が95%より高いことを 示した。UreAおよびUreBサブユニットは共に、ウェスタンブロット分析において
、精製されたH.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼに対して形成されたマウスポリ クローナル抗体MPA3と反応した。H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼのUreBサブ ユニットに対して形成されたマウスポリクローナル抗体MPA6はUreBサブユニット
に反応し、H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼのUreAサブユニットに対して形成 されたマウスポリクローナル抗体MPA4は組換えウレアーゼのUreAサブユニットに
反応した。還元型SDS-PAGEで分離された組換えウレアーゼのUreAおよびUreBサブ
ユニットのN-末端アミノ酸配列を、UreAおよびUreBをコードする遺伝子の配列を
翻訳することによって誘導された理論的な配列と比較した(Claytonら、Infect.
Immnun. 57:623-629, 1989)。分析した25残基については、実際の配列と推定 配列との間のアミノ酸配列の同一性は100%であった。これらの結果は、精製され
た組換えウレアーゼの同一性を確立した。表1において、組換えウレアーゼのア ミノ酸組成を他の細菌および植物ウレアーゼについて報告されているものと比較
している。
【0059】 分析用サイズ排除HPLCは、上記のプロトコールによって精製されたウレアーゼ
が、使用したクロマトグラフィー条件下において9.1〜9.4分のピーク保持時間を
有する主要ピーク(総面積の80〜90%)からなることを明らかにした(図20A、ク
ロマトグラム3)。HPLCカラムはファルマシア(Phamacia)-LKB製の較正マーカ ーを使用して較正した。このピークのみかけの分子量は550〜600 kDaである。こ
のピークはヘキサマー型のウレアーゼ(UreA-UreB)6と命名された。8.3〜8.5分
の保持時間を有する別のマイナーなピークも検出された。このピークは異なる調
製物では総面積の5〜20%に寄与した。700 kDaの分子量を有するこの型はより高 分子量であるオクトマー型のウレアーゼと命名された。両方の型は分析用サイズ
排除HPLCから単離され、SDS-PAGE、未変性PAGE、クーマシー染色、ウェスタンブ
ロット分析並びにポリクローナルおよびモノクローナル抗ウレアーゼ抗体を使用
したELISAによって異なる型のウレアーゼであると同定された(図21)。
【0060】 精製された組換えウレアーゼの特性を、細菌株CPM630から精製されたH.ピロリ
(H. pylori)ウレアーゼの特性と比較した。分析用サイズ排除HPLCによって検 出するとき、天然型ウレアーゼはわずかに低い分子量を有する(図20A、クロマ トグラム1)。マイナーで高分子量タンパク質ピークはPBSに保存された天然型ウ
レアーゼ中で検出された(図20A、クロマトグラム2)。このピークは精製直後の
ウレアーゼまたは50%グリセロールを含有するPBSに対して透析し、-20℃で保存 されたウレアーゼでは見られなかった。この高分子量成分は、組換えウレアーゼ
に見られるマイナーで高分子量のウレアーゼピークに類似していた。非還元型SD
S-PAGEでは、4℃においてPBS中で保存された組換えウレアーゼ並びに天然型ウレ
アーゼは、抗ウレアーゼ抗体に反応した少量の高分子量タンパク質バンドを示し
た。天然型ウレアーゼおよび組換えウレアーゼは、電子顕微鏡による調査によっ
て同じ形態を有することが示された(Leeら、J. Infect. Dis. 172:161-172, 19
95)。天然型および組換えウレアーゼはMAP3およびMAB71との同じくらいのELISA
反応性を示した。天然型ウレアーゼの未変性PAGEおよびクーマシー染色並びにMP
A3を用いたウェスタンブロット分析(図20B)は別個の高分子量タンパク質バン ドを示したが(レーン1および2)、組換えウレアーゼ(レーン3)はさらに不均 質性を示した。等電点電気泳動(IEF)ゲルでは、天然型ウレアーゼは6.1〜6.15
のpI値を有する鋭いタンパク質バンド(図20C、レーン1および2)として移動し た。組換えウレアーゼは6.25〜6.35のpIを有し、不均質性がより大きかった(図
20C、レーン3)。これらの結果は、ニッケルを欠損する天然型ウレアーゼおよび
組換えアポタンパク質は同様の物理化学的特性および免疫化学的特性を有するこ
とを示している。組換えウレアーゼアポタンパク質はいかなるウレアーゼ酵素活
性も示さず、このような活性はタンパク質をニッケルイオンと共にインビトロで
インキュベーションしても誘導されなかった。活性は、組換えウレアーゼをニッ
ケルおよび重炭酸塩と共にインキュベーションすることによって誘導された。
【0061】異なる条件下における組換えウレアーゼの安定性 分析用サイズ排除HPLCで評価するとき、精製された組換えH.ピロリ(H. pylor
i)ウレアーゼは凍結乾燥されて、-20℃において保存されるとき、少なくとも1 年間は安定であった。還元型SDS-PAGE、クーマシー染色およびデンシトメトリー
並びにMPA3を使用したウェスタンブロット分析によって判定するとき、タンパク
質はその分子の完全性を維持した。MPA3およびMAB71を使用したELISA分析で検出
するとき、タンパク質は免疫反応性も維持した。
【0062】 ある条件下で4℃で保存した組換えウレアーゼ溶液において分子の変化が生じ た。分子の会合が最初に生じた。その後、溶液は濁り、タンパク質が沈殿した。
最初の分子会合および沈殿後、分解産物も検出された。4℃における2%ショ糖中 では、ヘキサマーウレアーゼピーク(H)の面積は時間経過と共に減少し、8.3分
の高分子量オクトマーウレアーゼ(O)ピーク面積が増加した。2、3日後、分子 は、ペンタマーまたはテトラマー(T)ウレアーゼと推定されるものに相当する 、10.1〜10.3分の保持時間を有する低分子量ピークに分解し始めた。カラムの空
隙容量で溶出した高分子量で、可溶性のポリマー型(P)(約6分の保持時間)も
頻繁に検出された。4℃において1ヶ月間保存した組換えウレアーゼ溶液のクロマ
トグラフィープロフィールを図21Aに示す。還元型SDS-PAGEおよびクーマシー染 色は調製直後と保存後のウレアーゼ溶液間のプロフィールに差がないことを示し
た。UreAおよびUreBサブユニットだけが検出された。しかし、未変性ゲル分析は
、分子の変化が保存経過中に生じたことを示した。非還元型SDS-PAGEは、UreAお
よびUreBサブユニット以外に数多くの高分子量バンドを明らかにした。調製直後
の試料では、80%を越えるタンパク質がUreAおよびUreB型であった。これはサブ ユニット間ジスルフィド共有結合がほとんどないことを示唆している。しかし、
異なる長い期間溶液中で保存された試料では、UreAおよびUreBバンドの強度は有
意に低下したが、高分子量成分の強度は増加した。そのような高分子量成分はウ
ェスタンブロット分析では抗UreA抗体だけでなく抗UreB抗体と反応した。これら
の結果は、高分子量成分は、サブユニット間ジスルフィド共有結合によって一体
として保持されるUreAおよびUreBサブユニットを含有することを示した。ウレア
ーゼは-20℃において50%グリセロール中での保存によっても安定化されると思わ
れる。
【0063】異なる形態のウレアーゼの生化学的特性および免疫化学的特性 異なる分子形態のウレアーゼが溶液中に保存されたウレアーゼのサイズ排除HP
LC分析によって検出されたので、これらの形態を分離し、還元型SDS-PAGE(図21
B)、未変性PAGE、ウェスタンブロット分析(図21C)、UV-可視吸収分光光度法 (図21D)、異なる抗ウレアーゼ抗体を使用したELISA(図22A)および電子顕微 鏡(図22B)によってその形態の生化学的特徴および免疫化学的特徴を検討した 。還元型SDS-PAGEおよびクーマシー染色は、異なるピークは全てUreAおよびUreB
サブユニットを含有することを示した。未変性PAGEおよび免疫ブロット分析は、
分子量が異なる多数のウレアーゼバンドが存在することを明らかにした(図21C )。HPLCにおいて保持時間がより短いピークはより高い割合の高分子量タンパク
質バンドを示し(図21C、レーンP)、保持時間のより長いピークは未変性PAGEに
おいて低い分子量タンパク質バンドを示した(図21C、レーンT)。これらの結果
は、HPLCによって分離された異なるピークのウレアーゼは異なる分子型のウレア
ーゼであることを示した。HPLCによって分離された異なるピークのウレアーゼの
吸収スペクトルを図21Dに示す。8.3分(オクトマー)、9.3分(ヘキサマー)お よび10.1分(テトラマー)の保持時間を有するピークのスペクトル特性は明らか
に類似しているが、カラムの空隙容量で溶出したより高分子量型のスペクトル特
性は顕著に異なっていた。ポリマー型の吸収スペクトルはローリーの光散乱によ
るかなりの寄与を示唆している。ポリマー(P)型の観察されたスペクトルは、 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のポリリボシルリビトールホスフェート- 外側膜タンパク質複合体について報告されているものと類似している(Marchら 、Biotechniques 15: 240-242, 1993)。全ての保存条件下において、HPLCトレ ースおよびピーク積分から評価するとき、280 nmにおける吸収と比較して、この
ピークは254 nmにより高い吸収を有した。4種の異なる形態とMPA3およびMAB71と
の免疫反応性を求めた(図22A)。組換えウレアーゼのヘキサマーおよびオクト マー形態はMPA3およびMAB71との明らかに同様の反応性を示した。ポリマー形態 (P)はMPA3およびMAB71の両者との反応性はかなり低かった。
【0064】異なる形態の組換えウレアーゼの電子顕微鏡写真 オクトマー(O)形態およびヘキサマー(H)形態の電子顕微鏡的評価(図22B )は、これらの画分が、直径12 nmの比較的純粋な単分散高分子粒子を含むこと を明らかにし、そのほとんどは中心コアが対面するように配向されている。カラ
ムの空隙容量で溶出する高分子量ポリマー(P)形態は、12 nmの高分子粒子と炭
素表面に分散することができない肥厚した塊に凝集した無作為に配向された粒状
材料との混合物であった。テトラマー形態(T)のウレアーゼは10μmより小さい
細かく分散された粒子と数個の単離された12 nmの粒子とからなった。
【0065】組換えウレアーゼの安定性に対するβ-メルカプトエタノール、EDTAおよびTween 20の影響 精製された組換えウレアーゼの安定性に対するβ-メルカプトエタノール、EDT
AおよびTween20の影響も検討した。表2は、HPLC分析によって評価する、精製さ れた組換えウレアーゼの安定性に対するβ-メルカプトエタノールの影響を示す 。PBSに対して12〜24時間試料の透析を行うことにより、高分子量形態のウレア ーゼが形成された。これは、0.01〜1 mMのウレアーゼを含有するPBS中で透析し たウレアーゼ(ピーク面積72〜80)と比較して、透析直後に分析したウレアーゼ
ピーク(ピーク面積51)の総面積の有意な減少を検出することにより明らかであ
る。改良型ローリー法(Zakら、Clin. Chim. Acta 6: 665-670, 1961)および還
元条件下でのSDS-PAGEによるタンパク質の分析は、β-メルカプトエタノールの 非存在下および存在下においてPBS中で透析された試料間には、タンパク質濃度 またはUreBおよびUreAバンド強度の差は明らかにされなかった。これらの結果は
、PBS中で透析されたウレアーゼは凝集し、HPLC分析のために試料を濾過する際 に使用されるZ-スピンフィルターによって除去されることを示している。PBSに 対する透析の結果、高分子量形態のウレアーゼが形成されることも、空隙容量で
溶出する高分子量ウレアーゼピークの面積の有意な増加が検出されることによっ
て支持される。透析緩衝液に0.01〜1 mMのβ-メルカプトエタノールを添加する と、分子の会合が防止された。EDTA(1 mM)またはTween 80(0.2%)はこれに対
していかなる有意な影響も持たなかった。会合および沈殿の程度はβ-メルカプ トエタノールの非存在下では保存時間の経過と共に増加を続けた。β-メルカプ トエタノールの非存在下において、4℃において1週間の保存の間に、総面積の減
少(1日目はピーク面積51.0で、7日目は5.0)から明らかなように、ウレアーゼ のほぼ90%は0.2μmのZ-スピンフィルターを使用して濾過することによって除去 された。β-メルカプトエタノール(0.01 mM〜1 mM)はこの分子の会合に対す る有意な防止作用を与えた。β-メルカプトエタノールが存在することによって 、ウレアーゼは異なる高分子量形態に会合するのを防止されるだけではなく、ウ
レアーゼの一部が小分子量成分に分解される。ショ糖は、ウレアーゼの会合程度
を有意に低下し、ショ糖の存在下では、β-メルカプトエタノールの影響は小さ かった。β-メルカプトエタノールの防止効果は、β-メルカプトエタノールがUr
eAとUreB間のサブユニット間ジスルフィド架橋を防止する能力によって説明する
ことができる。高分子量形態から低分子量形態への分解の増加は、同様に、β- メルカプトエタノールがウレアーゼサブユニット間の分子間ジスルフィド結合を
切断する能力によって説明することができる。
【0066】組換えウレアーゼの分子状態および免疫化学的特性に対するDTNB処理の影響 これらの結果は、β-メルカプトエタノールによる組換えウレアーゼの安定化 を示している。分子の会合によって生ずる不安定性によりサブユニット間ジスル
フィド架橋が生じるので、ウレアーゼの遊離のSH基を遮断することによって、分
子の会合が防止されるはずである。これを試験するために、DTNBを使用して組換
えタンパク質中の遊離のスルフヒドリル基を遮断した。UreAおよびUreBをコード
する遺伝子の核酸配列によって予測されるアミノ酸組成は、各UreBサブユニット
中の3つのシステイン残基と各UreAサブユニット中の1つのSH基の存在を示唆して
いる。このように、UreAおよびUreBをコードする遺伝子のヌクレオチド配列はウ
レアーゼ(UreA-UreB)モノマー単位の4つのSH基の存在を予測している。組換え
ウレアーゼのSH基をDTNBで滴定した(図23A)。調製直後のウレアーゼの(UreB-
UreA)モノマー各1モルあたり、3モルより多いモルのSH基が滴定された。この観
察は、総SH基の70〜80%は遊離で、DTNBで滴定可能であることを示している。反 応混合物に1% SDSを添加すると、SH基の反応性が高まるが、滴定されるSH基の総
数はSDSの存在下および非存在下において同じであった。調製直後のウレアーゼ 試料の非還元SDS-PAGE、次に実施するクーマシー染色およびデンシトメトリーは
、UreBおよびUreAサブユニットの70〜75%は非共有結合によって結合し、SDS中で
は分解することを明らかにした。残りの20〜30%は共有結合しており、UreBバン ドを上回る高分子量タンパク質バンドとして移動した。この結果は、組換えウレ
アーゼにサブユニット間ジスルフィド結合が存在することを確認している。非還
元SDS-PAGEの結果はDTNB滴定結果に一致していた。
【0067】SH基の反応性は保存時間の経過と共に減少する 異なる期間の間4℃において保存された組換えウレアーゼ溶液は滴定可能なSH 基の時間依存的な減少を示した(図23B)。遊離SH基におけるこのような減少と 一致して、非還元SDS-PAGE(図24B、レーン1〜3)および未変性PAGE(図24C、レ
ーン1〜3)によって検出するとき、高分子量タンパク質バンドは増加し、還元SD
S-PAGEによって検出される変化は非常に小さかった(図25、レーン1〜3)。非還
元SDS-PAGEによって検出される高分子量タンパク質バンドは、MPA3(図25A)、M
PA4(図25B)およびMPA6(図25C)と反応した。これは、UreA-UreB共有結合の形
成を示唆している。
【0068】SH基の遮断は分子の会合を阻止することによって組換えウレアーゼを安定化する スルフヒドリル基がウレアーゼの分子の会合に対して与える役割を求めるため
に、遊離のSH基をDTNBで滴定することによって遮断した。DTNB処理したウレアー
ゼの特性を未処理の対照の特性と比較した(図24および25)。図23Cにおいて、D
TNB処理ウレアーゼの分析用サイズ排除HPLCプロフィールを未処理の対照と比較 している。実験条件下においてウレアーゼをPBS中で透析すると、ヘキサマーお よびオクトマーウレアーゼの面積が有意に減少すると同時に、カラム空隙容量の
高分子量ウレアーゼピークが増加した(図23C、クロマトグラムc)。しかし、D
TNB処理し、次にPBS中で透析すると、分子の会合が阻止された(図23C、クロマ トグラムb)。実際、DTNB処理試料は低分子量ウレアーゼピークのわずかな増加 を示した(テトラマーまたはペンタマーウレアーゼ)。これらの結果(図24A〜2
4C、レーン5および6、図25A〜25C、レーン3および4並びに図23C)は、DTNB処理
はヘキサマー形態のウレアーゼを安定化させ、分子の会合を阻止したことを示す
。DTNBで処理していないが、それ以外はDTNB処理試料と同じように処理した対照
ウレアーゼ高度に重合化した。ウェスタンブロット分析で判定したとき、DTNB処
理はウレアーゼの免疫反応性に影響を与えなかった。ELISA分析で判定したとき 、DTNB処理試料はMPA3およびMAB71との免疫反応性を維持したが、同じように処 理した対照試料はELISA反応性がかなりずっと低かった。ヨードアセタミドを使 用した組換えウレアーゼのアルキル化もヘキサマー形態のウレアーゼを安定化し
、分子の会合を阻止した。
【0069】 20 mM Tris pH 8.6中に保存されている単離直後のウレアーゼは、室温におい て1時間1 mMのヨードアセタミドと共にインキュベーションすることによってア ルキル化された。アルキル化されたウレアーゼおよび対照のウレアーゼをDTNBで
滴定し、各モノマーウレアーゼについての滴定可能なSH基の数を評価した。単離
直後のウレアーゼのDTNB滴定は2.5〜3.0モルの滴定可能なSH基の存在を示し、ア
ルキル化されたウレアーゼの分析はSDSの非存在下では0.4の滴定可能なSH基の存
在を示した。1% SDSの存在下では、アルキル化されたウレアーゼは1〜1.2モルの
SH基の存在を示し、対照のウレアーゼはほぼ3.1モルのSH基の存在を示した。こ れらの結果は、全てのUreA-UreB複合体ではほぼ3つのSH基が遊離であり、実験条
件下ではこのSH基の2つがヨードアセタミドによって遮断されることを示した。 ヨードアセタミドによって遮断されなかった遊離のSH基は1% SDSの存在下でDTNB
と反応性となるが、SDSの非存在下では反応性にならない。
【0070】 上記の説明に使用した略語は以下のようである:HPLC、高速液体クロマトグラ
フィー;FPLC、高速蛋白質液体クロマトグラフィー;MPA、マウスポリクローナ ル腹水;PBS、リン酸緩衝生理食塩液(10 mM リン酸塩、150 mM 塩化ナトリウム
、pH 7.4);DTNB、5-5'-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸);PEM、20 mMリン酸
塩、1 mM EDTA、1 mMβ-メルカプトエタノール;およびCAPS、3-[シクロヘキシ
ルアミノ]-1-プロパンスルホン酸。
【0071】
【表1】 天然型H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼおよび他の起源のウレアーゼのアミノ 酸組成と比較した組換えH.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼのアミノ酸組成 aCys、LysおよびTryは使用した方法では検出不能であった;b7回の評価の平均と
標準偏差を括弧内に示す;cヌクレオチド配列から推定されるアミノ酸組成;d
ュ(Hu)ら、Infection and Immun. 58: 992-998, 1990からのデータ;eナカノ (Nakano)ら、Agric. Biol. Chem. 48: 1495-1502, 1984;*アスパラギンとア スパラギン酸の合計を示す;**グルタミンとグルタミン酸の合計を示す:***異 なる2つの経過時点における捜査の結果の間には非常に大きい標準偏差が見られ た。
【0072】
【表2】 ウレアーゼの安定性に対するβ-メルカプトエタノールの影響 精製された組換えウレアーゼ(2〜2.3mg/ml)を、0、0.01、0.1および1 mMβ-メ
ルカプトエタノールを含有するリン酸緩衝生理食塩液、pH 7.0に対して24時間透
析した。透析直後および4℃において保存後7日目に試料を分析用サイズ排除HPLC
によって分析した。HPLCカラムに注入する前に0.2μmのZ-スピンフィルターを使
用して試料を予め濾過した。異なる形態のウレアーゼの絶対ピーク面積を示す。
ヘキサマー形態(Rt=9.2〜9.4分)、オクトマー形態(Rt=8.2〜8.4分)およびよ
り高分子形態(Rt=6.0分)を評価する。
【0073】 上記の結果は以下の材料と方法を使用して得られた。
【0074】細菌株と培地 H.ピロリ(H. pylori)株ATCC43504(American Type Culture Collection, Ro
ckville, Maryland)を、免疫試薬を作製するためのウレアーゼの産生および精 製のために使用した。H.ピロリ(H. pylori)株CPM 630(Soad Tabaqchali's La
boratory製、St. Bartholomew's Hospital Medical School, London)を組換え ウレアーゼとの比較のための天然型H.ピロリ(H. pylori)ハロ酵素の産生およ び精製のために使用した。H.ピロリ(H. pylori)は、5%ヒツジ赤血球細胞(Cra
ne Labos, Syracuse, NY)および抗生物質(1mlあたり5μg/mlトリメトプリム、
10μg/mlバンコマイシンおよび10 U硫酸ポリミキシンB(TVP);Sigma Chemical
Co., St. Louis, MO)を含有するミューラーヒントン(Mueller Hinton)(MH )寒天(Difco Laboratories, Detroit. MI)中で増殖させた。平板は7%CO2およ
び湿度90%中、37℃において3〜4日インキュベーションした。
【0075】 組換えウレアーゼの発現、産生および精製、並びに天然型H.ピロリ(H. pylor
i)ウレアーゼの精製および抗生物質の作製は記載されている(Leeら、J. Infec
t. Dis. 172: 161-172, 1995;Pappoら、Infect. Immnun. 63: 1246-1252, 1995
)。組換えH.ピロリ(H. pylori)は、H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼの構造
遺伝子を含有するプラスミドで形質転換した遺伝的に作製した大腸菌(E. coli )中で作製した。ORV214と命名された産生株は、イソプロピルチオガラクトシド
(IPTG)-誘導性発現系にUreAおよびUreBをコードする構造遺伝子を含有した(L
eeら、J. Infect. Dis. 172: 161-172, 1995;Pappoら、Infect. Immnun. 63: 1
246-1252, 1995)。
【0076】 組換えウレアーゼは、40〜400リッターの発酵タンク中で組換え大腸菌(E. co
li)株(ORV214)を増殖することによって大規模に産生した。発酵系からの細菌
は遠心分離によって回収した。ウレアーゼは、細菌を20 mMリン酸塩、1 mM EDTA
(PE)緩衝液、pH 6.8中で破壊し、13,000〜19,000 psiの圧力で細菌を微小流動
装置を通過させ、4℃においてソーバル(Sorvall)6c高速遠心分離器で28,000〜
30,000×gで遠心分離することによって清澄化することによって抽出した。抽出 物から得られた可溶性のウレアーゼは、DEAE-SepharoseおよびQ-Sepharose(Pha
rmacia Biotechnology)のイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせを使用し
、限界濾過ダイアフィルトレーション手法によって精製した。
【0077】 天然型H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼは、ヒュ(Hu)ら(Infect. Immnun. 58: 992-998, 1990)によって報告された手法の改良法を使用して精製した。H.
ピロリ(H. pylori)株ATCC43504またはCPM 630は血液寒天を加えたTVPA平板培 地で増殖させた。細菌は遠心分離(4℃においてソーバル(Sorvall)6c高速遠心
分離器で20,000×gで15分間)によって回収し、3容量の水または20 mMのリン酸 塩、1 mM EDTA、1 mMβ-メルカプトエタノール(pH 6.8)に再懸濁させ、使用率
50%、電源設定5に設定したブランソン(Branson)超音波装置(Ultrasonics, Da
nbury, CT)で15秒パルスを3回使用した超音波処理によって溶菌し、遠心分離(
4℃において30,000×gで45分間)によって清澄化した。清澄化した上清に3M塩 化ナトリウムを最終塩化ナトリウム濃度0.15 Mになるまで混合し、1.6×10cmのD
EAE-Sepharoseカラムを通過させた(高速流動)。これらの条件下でカラムを通 過したウレアーゼ活性を有する画分を回収し、フィルトロンマクロセップ(Filt
ron Macrosep)100遠心濾過装置を使用して濃縮し、次いで、スーパーローズ(S
uperose)12(1×30 cm)またはスーパーデックス(Superdex)(1.6×60cm)サ
イズ排除カラムを通過させた。スーパーローズ(Superose)12クロマトグラフィ
ーは、試料負荷量0.5 ml、流速30 ml/時間で実施した。スーパーデックス(Supe
rdex)200カラムクロマトグラフィーは試料負荷2〜4 ml、流速120 ml/時間で実 施した。サイズ排除クロマトグラフィーはファルマシア(Pharmacia)事前充填 カラムおよびFPLCシステムを使用して実施した。ウレアーゼ活性を含有する画分
をプールし、濃縮し、さらにモノQ-セファロース(Mono Q-Sepharose)カラムで
の陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。モノQ(mono Q)陰イオ ン交換クロマトグラフィーはファルマシア(Pharmacia)製の事前充填(0.5×5
cm)カラムおよびFPLCシステムを使用して実施した。カラムはPEM緩衝液で平衡 させた。結合したウレアーゼは、PEM緩衝液に対して塩化ナトリウムを0〜1 Mの 濃度勾配させて溶出した。ウレアーゼ活性を有する画分をプールし、マクロセッ
プ(Macrosep)100遠心フィルターを使用して濃縮した。SDS-PAGEおよびデンシ トメトリーによって求めるとき、純度が90%より低い場合には、スーパーローズ (Superose)12カラムでの最終的な分析用サイズ排除FPLC分別によってさらに精
製を実施した。
【0078】高力価抗ウレアーゼポリクローナルマウス抗体の作製 ポリクローナルマウス抗体を精製H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼおよびウ レアーゼサブユニットに対して形成した。MPA3抗体は精製ウレアーゼを使用して
形成した。UreBおよびUreAサブユニットはアンモニアによってサブユニットを分
離し、分離したサブユニットをゲルスライスから電気溶出することによって精製
した。電気溶出したタンパク質はMPA4およびMPA6の作製に使用した。MPA3(抗ウ
レアーゼ)、MPA4(抗-UreA)およびMPA6(抗-UreB)の作製は記載されている(
Leeら、J. Infect. Dis. 172: 161-172,1995)。精製H.ピロリ(H. pylori)ウ レアーゼに対するウサギポリクローナル抗体は精製ウレアーゼ(150μg)をフロ
インド完全アジュバントに加えたものを皮下注射し、次に27日目と45日目に150 μgの精製ウレアーゼをフロインド完全アジュバントに加えたものを用いて2回の
追加抗原投与を実施することによって作製した。血清IgGは硫酸アンモニウム沈 殿および透析によって精製した(Leeら、J. Infect. Dis. 172: 161-172, 1995 )。UreBサブユニットを認識するIgAを分泌するモノクローナルハイブリドーマ はチン博士(Dr. S. Czinn)の研究室で作製された(Blanchardら、Infect. Imm
nun. 63: 1394-1395, 1995)。このハイブリドーマはH.フェリス(H. felis)超
音波処理抗原を使用して調製した。ハイブリドーマは血清を含まず、タンパク質
を含まない培地(Sigma)で増殖させた。
【0079】分析方法 分析用カラム(Superdex 200、Superdex 75およびSuperose12カラム)は、事 前充填FPLCカラムとして入手するか、またはファルマシア(Pharmacia)-LKB製 のアダプターと樹脂をもしいたファルマシア(Pharmacia)XKシリーズカラムを 使用して研究室内で充填した。分析用のサイズ排除HPLCカラム(Progel TSK-G40
00 SW×L、7.8×30 cm)およびプロゲル(Progel)SW×LガードカラムをSpeICo より入手した。クロマトグラフィー樹脂DEAE-セファロース(Sepharose)(FF)
およびQ-セファロース(Sepharose)(FF)はファルマシア(Pharmacia)から入
手した。
【0080】 精製ウレアーゼの分析用サイズ排除HPLCは、ベックマン社(Beckaman, Inc) 製のゴールドHPLCシステムを使用して実施した。系は、ポンプ126、ダイオード アレイUV-可視二重波長検出器168およびシステムゴールドソフトウェアーパッケ
ージV711からなった。クロマトグラフィーは、プロゲル(Progel)TSK4000 SW×
L(7μm)カラム(内径7.8cm×30 cm)GW×Lガードカラムを使用して、100 mMリ
ン酸塩、100 mM塩化ナトリウム(pH 7.0)の無勾配溶出条件下で、流速1 ml/分 および圧力450〜500 psiで実施した。
【0081】 還元SDS-PAGEは10%または12.5%ポリアクリルアミドゲルで実施した。還元SDS-
PAGEは、NOVEX(Novel Experimental Technology, San Diego, CA)製の4〜20% プレキャスト濃度勾配ゲルを使用して実施した。未変性-PAGEは4%または6%ポリ アクリルアミドゲルを使用して実施した。クーマシー染色ゲルのデンシトメトリ
ーによる走査はファルマシア(Pharmacia)-LKB製のウルトラスキャン(Ultrasc
an)XLレーザーデンシトメーターを使用して実施した。
【0082】 ウェスタンブロットについては、ポリアクリルアミドゲルで分離したタンパク
質をニトロセルロース紙に移し、50 mMTris、0.5 M NaCl(pH 7.5)に2.5%の脱 脂粉乳を加えたものでブロックし、次いでブロック用緩衝液で適当に希釈した抗
ウレアーゼ抗体と共に4℃において終夜インキュベーションした。ブロック用緩 衝液で10分間、3回洗浄することによって未結合の抗体を洗い流した。次いで、 ブロットした紙をアルカリ性ホスファターゼを結合した抗マウスIgGと共に室温 で2時間インキュベーションした。50 mM Tris、0.5M NaClで10分間、3回洗浄す
ることによって未結合の抗体を洗い流し、シグマファースト(Sigmafast)アル カリ性ホスファターゼ基質(1錠を10 mlの水に溶解したもの)を使用して展開し
た。
【0083】 N末端配列決定については、UreBおよびUreAサブユニットを10%還元SDS-PAGEに
よって分離し、10 mM CAPS、10%メタノール、pH 11.0を使用したトランスプロッ
トPVDF膜(Biorad)に移し、0.1%クーマシーブリリアントブルーRの50%メタノー
ル溶液を使用して染色し、洗浄し、空気乾燥した。N-末端の配列決定はマサチュ
ーセッツ州ボストンのダナファーバー癌研究所(Dana Farber Cancer Institute
)の分子生物学中心施設(Molecular Biology Core Facility)で実施した。配 列決定は、エドマン(Edman)分解によるポスト-リキッド(post-liquid)技術 を使用してアプライド バイオシステム(Applied Biosystem)の自動シークエ ンサーで実施した。
【0084】 総アミノ酸組成の分析については、精製された産物をHPLC-品質の水に対して 高度に遠心分離した。分析した試料の一部を速やかに加水分解管に移した。アミ
ノ酸加水分解および分析はマサチューセッツ州ボストンのダナファーバー癌研究
所(Dana Farber Cancer Institute)の分子生物学中心施設(Molecular Biolog
y Core Facility)で実施した。加水分解は、フェノールを含有する真空下の6 N
HClで100℃において1時間実施し、ABI製のアナライザーおよびピコ-タグ(Pico
-tag)方法を使用して分析を実施した。
【0085】 異なる条件下の保存経過中に形成された異なる分子形態のウレアーゼを特徴づ
けるために、分析用サイズ排除HPLCによって分子の形態を分離した。異なる画分
を回収し、未変性および還元SDS-PAGE、クーマシーブルー染色および抗ウレアー
ゼ抗体を使用したウェスタンブロット分析によって分析した。異なる分子形態の
ピーク位置に相当する画分を、マウスポリクローナル抗ウレアーゼ抗体MPA3およ
びマウスモノクローナル抗ウレアーゼIgA MAB71を標準化したELISAにおいて使用
してELISA反応性について分析した。これらの抗体を使用したELISA反応製は、標
準化したウレアーゼ捕獲ELISAを使用して測定した(Leeら、J. Infect. Dis. 17
2: 161-172, 1995)。
【0086】 0.1%グリセロールを含有した1%モリブデン酸アンモニウム、pH 7.5でネガティ
ブ染色したカーボンサポートフィルム銅製グリッド(Electron Microscopy Scie
nces, Fort Washington, PA)にHPLCで分離したウレアーゼのピークを適用し、J
EM-1010電子顕微鏡(JEOL, Inc., Peaboy, MA)で調査した。最初の倍率は24,00
0×とした。
【0087】 ウレアーゼ中の反応性チオール基の総数は、5-5'-ジチオ-ビス(2-ニトロ安息
香酸)(DTNB)を使用して412 nmの分光光度計による滴定によって評価した。DT
NBで遮断したウレアーゼは、精製し、100 mM Tris-HCl中に再懸濁したウレアー ゼ(pH8.0)を0.4%DTNBと共にインキュベーションすることによって調製した。 反応したSH基の総数は、システインを使用して同様の実験条件下で作製した標準
曲線を使用して求めたとき、13,000のモル吸光係数(Ellman, Arch. Biochem. B
iophys. 74: 443-450, 1958)を使用して算出した。
【0088】遺伝的改変によるウレアーゼの安定化 ウレアーゼの化学的修飾はその再活性化を阻止し、いくつかの安定性の利点を
提供しているが、化学的修飾は免疫原性が低下する可能性に関連することもある
。ホルムアルデヒドによる化学的修飾は、例えば、ワクチンの免疫原性に影響を
与えることが知られている。Ni++導入はウレアーゼ活性にとって重大であるので
、本発明者らは、Ni++配位に関連するアミノ酸を変更する点変異を使用しても、
活性化/再活性化を阻止できることを提案した。本発明者らは、この種の改変は 、ウレアーゼ配列の残りを変更することないのでその免疫原性を保存した、安全
な(非活性化)ウレアーゼを作製することを見いだした。
【0089】 クレブシエラ エアロゲネス(Klebsiella aerogenes)ウレアーゼにおけるNi ++ 配位に関係する残基は、H.ピロリ(H. pylori)ウレアーゼのUreBサブユニッ トに相同な配列内に含有されると判定された。Ni++配位に関係するアミノ酸は変
異原性によって同定され、X線結晶解析によって確認された。これらのアミノ酸 は、H.ピロリ(H. pylori)のUreBサブユニットのHis 136、His 138、His 248、
Lys 219およびAsp 363に相当することが見いだされた。これらの残基の任意のも
のの変異は単独または組み合わせで、精製のための折りたたみおよび集合並びに
免疫応答の誘導を可能にしたまま再活性化を阻止することができる。このクラス
のウレアーゼ変異体のいくつかの例の作製および特徴付けを以下に記載する。
【0090】 本発明者らは、機能的残基をアラニンまたは他の非機能的残基と交換したいく
つかのウレアーゼ構造他変異体を構築した。これらの変異体には、例えば、ヒス
チジン136がアラニン(H136A)と交感された株ORV261、リジン219がアラニン(K
219A)と交換されたORV 273が含まれる。ORV273はまた、偶然によって導入され たヒスチジン248とアラニン(H248A)の交換も含む。これらの活性化不可能な変
異体の組換えアポタンパク質の構築および試験を以下にさらに記載する。
【0091】 UreAおよびUreB遺伝子はパスツール研究所のクローンpILL944(pET11a(ureA+
B))から入手した。このプラスミドは、ureAの開始コドンに、ベクター調節配 列とureAの開始部位の間の未翻訳領域を最小にする、工作されたNdeI部位を有す
る。ureAおよびureB単位を含有するpILL944のNdeI/EcoRI断片を同様に消化され たpET29a+にサブクローニングし、pORV261を作製した。T7調節制御下でUreAおよ
びUreBを発現するために、このプラスミドをBL21 DE3に導入した。この株(ORV2
61)は、ウレアーゼを発現することが確認され、この株を培養し、ORV214の方法
を使用してウレアーゼを精製した。ureAおよびureBのヌクレオチド配列は報告さ
れている配列に一致することが確認された。このプラスミドを, 再活性化を防止する意図のための変異を導入するための鋳型として使用した。
【0092】 特定のアミノ酸置換を、クンケル(Kunkel)の方法を使用した部位特異的変異
を介してpORV261に導入した(Kunkelら、酵素における方法(Methods in Enzymo
logy)154:367, 1987;Kunkel、Proc. Natl. Acad. Sci. USA82:488, 1985)。 本発明者らはいくつかの変異体株を構築した。変異体株のうち2種(ORV261-H136
AおよびORV261-K219AプラスH248A)をクローニングし、高度に特徴づけた。H136
A変異体ウレアーゼを発現する組換え大腸菌(E. coli)株およびK219AプラスH24
8A二重変異ウレアーゼ構造遺伝子はORV214によって産生されるアポタンパク質に
構造的に類似したウレアーゼを産生した。大腸菌(E. coli)ペレットから精製 されたウレアーゼは、ORV214ペレットからアポタンパク質を精製するために使用
される方法と同様の方法によって精製された。変異体株から精製されたウレアー
ゼは、分析用サイズ排除HPLC、SDS-PAGEおよびクーマシー染色によって検出する
とき、ORV214株から精製されたウレアーゼと構造的に同じであり、ウレアーゼ酵
素活性を示さなかった。ORV214由来のアポタンパク質とは異なり、この変異体株
由来のアポタンパク質は重炭酸塩およびニッケルイオンとのインキュベーション
によってインビトロにおいて活性化されなかった。このデータは、変異H136Aお よび二重変異K219AプラスH248Aによってインビトロにおける活性化が阻止される
ことを確認した。
【0093】 K219AプラスH248Aの二重変異体をさらに特徴づけた。この変異は、変異の配列
決定およびウレアーゼ挿入物の全長の配列決定によってクローン273において確 認された。(試みられた変異はK219Aであり、H248Aは偶発的であった。)ウレア
ーゼの産生のためにリザーチセルバンク並びにマスターおよびワーキングセルバ
ンクを構築した。ウレアーゼは、ORV214ペレットの精製に使用される方法と同様
の方法を使用してORV273ワーキングセルバンクの発酵ペレットから精製した。精
製されたウレアーゼは、ORV214から産生されたアポタンパク質と構造的に類似し
ており、酵素的には活性でなく、ORV214由来のアポタンパク質が活性化される条
件下においてインビトロで活性化されない(図26A〜26D)。
【0094】 ORV273から精製されたアポウレアーゼは、H.ピロリ(H. pylori)抗原投与に 対する防御の際の有効性についてマウスモデルにおいて試験された。ORV273およ
びORV214由来のウレアーゼを使用した比較試験において、両者は同様の免疫応答
を誘導し、細菌感染からマウスを防御する際に等しい効果を示した(図27)。こ
の観察は、インビトロにおける活性化の阻止はヘリコバクター(Helicobacter)
感染に対するウレアーゼの防御効果に全く影響を与えないことを確認している。
また、菌株ORV273から精製され、遺伝的に変更されたウレアーゼは、UreBに対し
て形成されたモノクローナルIgA抗体である、MAB71の野生型ウレアーゼと同様の
反応性を示した(表3)。これらの結果は、ORV273の変異は細菌抗原投与に対す るウレアーゼの抗原性、免疫原性および保護効果に影響を与えないことをさらに
示している。
【0095】
【表3】 菌株ORV273から精製された組換え変異体ウレアーゼの免疫反応性と、菌株ORV273
から精製された組換えウレアーゼの免疫反応性との比較 *ELISA力価は菌株ORV214から精製した基準の標準的なウレアーゼを使用して構築
した標準曲線から算出した。標準曲線に使用したウレアーゼの反応性は比較のた
めに任意に100%と考えた。菌株ORV273由来のウレアーゼの反応性は、アッセイ変
動内で、OR214由来の標準的な組換えウレアーゼのそれと同様である。ELISA力価
決定は分析方法に記載されている標準化されたウレアーゼ捕獲ELISAを使用して 実施され、研究室で使用されている標準的なプロトコールを使用して値を算出し
た。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ニッケルイオンおよび炭酸水素塩による組換えH.ピロリ 菌の活性化を示すグラフである。2%スクロース中にて凍結乾燥させたウレアー ゼを、2%スクロース中に4.0mg/mlの濃度となるように水中に再構成した。再構
成されたウレアーゼを、炭酸水素ナトリウムおよび/またはNi++イオンの存在下
または非存在下において、等容積のHEPES(0.1M)、NaCl(0.3M)、EDTA(1mM)
緩衝液と混合した。試料(1)インキュベーション混合物は0.2M炭酸水素ナトリ ウムおよび200μM Ni++を含み、試料(2)インキュベーション混合物は0.2M炭酸
水素ナトリウムを含むがNi++を含まず、試料(3)インキュベーション混合物は2
00μM Ni++を含むが炭酸水素塩を含まない。試料はすべて37℃で40分間インキュ
ベートした後、ウレアーゼ培養液アッセイ(urease-broth assay)を用いてウレ
アーゼ活性に関してアッセイした。20μlの各試料を1mlのウレアーゼ培養液に添
加し、十分に混合した上で、フェノールレッドのpH依存的脱プロトン化による薄
赤色のフェノラート陰イオンの生成を観測するために直ちに550nmでスキャニン グを行った。経時的スキャニングは、CPM 260多チャンネル式キュベットホルダ ーを用いて島津(Shimadzu)UV-1 PC型分光光度計にて行った。スキャン値はゼ ロ時(zero time)補正のために標準化した。
【図2A】 図2Aは、Ni++イオンおよび炭酸水素塩による組換えH.ピロリ菌
ウレアーゼの活性化を示す写真である。組換えウレアーゼを、図1に関して上述 した通りの炭酸水素塩および/または Ni++イオンを含むHEPES、NaCl、EDTA緩衝
液とともにインキュベートした。試料1および2は炭酸水素塩およびNi++とともに
インキュベートし、試料3および4は炭酸水素塩のみとインキュベートし、試料5 および6はNi++のみとインキュベートした。37℃で35分間インキュベートした後 、試料を4℃の冷蔵庫に移し、一晩保存した。続いて試料を非還元性および非解 離性条件下で4%ポリアクリルアミドゲル(ノベックス(Novex)社のプレキャス
トゲル)にかけて分画し、クーマシーブルーを用いて染色した。
【図2B】 図2Bは、図2Aに関して上述した分画試料のウレアーゼ特異的銀
染色の写真である(ウレアーゼ特異的銀染色の手順の詳細については、例えばde
Llanoら、Analytical Biochemistry 77:37〜40、1989を参照されたい)。
【図3】 図3は、Ni++イオンおよび炭酸水素塩とともにインキュベートし た組換えH.ピロリウレアーゼの活性化動態を示すグラフである。組換えH.ピロリ
菌ウレアーゼを活性化緩衝液とともに37℃でインキュベートした。活性化混合物
は2mg/mlウレアーゼ、100mM HEPES(pH 8.3)、0.3M NaCl、1mM EDTA、200μM
Ni++および200mM炭酸水素ナトリウムを含む。表記した時点で、10μlの活性化混
合物を1mlの尿素培養液(urea-broth)に移し、十分に混合した上で550nmでの吸
光度を15分間追跡した。15分間の読み取り値からゼロ時読み取り値を差し引き、
活性化系における37℃での活性化時間を横軸としてプロットした(1)。曲線2〜
4は、さまざまな時点でアッセイしたタチナタマメウレアーゼでの結果を示して いる。アッセイ系におけるウレアーゼの濃度は、(1)20μg/mlの活性化組換え
H.ピロリ菌ウレアーゼ、(2)2μg/mlのタチナタマメウレアーゼ、(3)1μg/
mlのタチナタマメウレアーゼ、および(4)0.5μg/mlのタチナタマメウレアー ゼである。
【図4】 図4は、Ni++イオン濃度の上昇に伴って(2μM、20μM、200μMお
よび1mM)、組換えH.ピロリ菌アポウレアーゼの活性化が亢進することを示すグ ラフである。組換えH.ピロリ菌アポウレアーゼを、図に示したさまざまな量のNi ++ を含む活性化緩衝液(100mM HEPES(pH 8.3)、0.3M NaCl、1mM EDTA、200mM 炭酸水素ナトリウム)中にて37℃で1時間インキュベートした。1時間のインキュ
ベーションの後に、10μlの活性化ウレアーゼを1mlの尿素培養液に移し、十分に
混合した上で550nmでの吸光度の上昇を15分間観測した。
【図5】 図5は、炭酸水素塩の濃度の上昇に伴って組換えH.ピロリ菌アポ ウレアーゼの活性化が亢進することを示すグラフである。図に示したさまざまな
量の炭酸水素ナトリウムを含む活性化緩衝液(100mM HEPES(pH 8.3)、0.3M Na
Cl、1mM EDTA、200μM Ni++)中にて37℃で1時間インキュベートした。1時間の インキュベーションの後に、10μlの活性化ウレアーゼを1mlの尿素培養液に移し
、十分に混合した上で550nmでの吸光度の上昇を15分間観測した。
【図6】 図6は、組換えウレアーゼの活性化に対するNi++イオンおよび炭 酸水素塩の影響を示すゲルの写真である。組換えH.ピロリ菌ウレアーゼを、200m
M炭酸水素塩およびさまざまな濃度のNi++(レーン1は2μM Ni++、レーン2は20μ
M Ni++、レーン3は200μM Ni++、レーン4は1mM Ni++)、200μM Ni++および5mM 炭酸水素塩(レーン5)、または200μM Ni++および200mM炭酸水素塩(レーン6)
を含む活性化緩衝液中にて37℃で1時間インキュベートした。試料を等容積の非 還元性および非会合性試料緩衝液を混合し、4%未変性ポリアクリルアミドゲル での電気泳動によって分画した。電気泳動後にウレアーゼ特異的銀染色手順を用
いてゲルを染色した。レーン7はタチナタマメウレアーゼを含む。
【図7A】 図7Aは、炭酸水素塩およびニッケルイオンによる組換えH.ピロ
リ菌ウレアーゼの活性化が温度依存的であったことを示すグラフである。組換え
H.ピロリ菌アポウレアーゼ(2.0mg/ml)を、100mM HEPES(pH 8.3)、0.3M NaC
l、1mM EDTA、200μM Ni++、200mM炭酸水素ナトリウム中にて、図示した温度で1
時間インキュベートした(温度は絶対温度(°K)で表記した)。1時間のインキ
ュベーションの後に、10μlの活性化ウレアーゼを1mlのウレアーゼ培養液に移し
、十分に混合した上で550nmでの吸光度の上昇を15分間観測した。
【図7B】 図7Bは、吸光度の上昇(図7A)によって評価した相対的活性お
よび絶対温度を用いて作成したウレアーゼ活性化のアレニウスプロットである。
【図8】 図8は、Ni++および炭酸水素塩による組換えH.ピロリ菌アポウレ アーゼのインビトロ活性化がpH依存的であることを示すグラフである。組換えH.
ピロリ菌アポウレアーゼを、200mM炭酸水素塩、200μM Ni++イオン、1mM EDTAお
よび0.3M NaClを含む100mM HEPES緩衝液とともに図示したpHにて37℃で1時間イ ンキュベートした。1時間のインキュベーションの後に、10μlの活性化ウレアー
ゼを1mlの尿素培養液に添加し、550nmでの吸光度の上昇を15分間観測した。
【図9】 図9は、活性化された組換えH.ピロリ菌ウレアーゼが非結合性の ニッケルおよび炭酸水素塩を透析した後も触媒活性を保つことを示すグラフであ
る。組換えH.ピロリ菌アポウレアーゼを、0.1M HEPES(pH 8.3)、0.3M NaCl、1
mM EDTA、1mM Ni++および200mM炭酸水素ナトリウムとともに37℃で1時間インキ ュベートした。炭酸水素塩またはNi++を含まない試料も同時にインキュベートし
た。1時間のインキュベーションの後、試料を2%スクロースに対して一晩透析し
た。透析した試料を透析直後に分析し、透析後に4℃で6日間保存した後にも分析
した。活性が認められたウレアーゼは、炭酸水素塩およびNi++の両方とプレイン
キュベートしたもののみであった。活性は2%スクロース中にて4℃で6日間保存 した後にも保たれていた。曲線に付した記号は以下の通りである:Ni++および炭
酸水素塩とともにインキュベートしたウレアーゼ、透析直後(a)および透析6日
後(b);Ni++とともにインキュベートしたウレアーゼ、透析直後(c)および透
析6日後(d);炭酸水素塩とともにインキュベートしたウレアーゼ、透析直後(
e)および透析6日後(f)。
【図10】 図10は、活性化されたH.ピロリ菌ウレアーゼおよびタチナタマ
メウレアーゼの尿素に対する親和性を比較した結果を示すグラフである。組換え
H.ピロリ菌ウレアーゼを、ウレアーゼ活性化緩衝液中にて37℃で1時間インキュ ベートすることにより、インビトロで活性化した。活性化系は2mg/mlウレアー ゼ、100mM HEPES、1mM EDTA、0.3M NaCl、200mM炭酸水素ナトリウムおよび1mM N
i++を含む。37℃で1時間インキュベートした後、活性化ウレアーゼを2%スクロ ースに対して一晩透析した。ウレアーゼの活性は、ウレアーゼ共役グルタミン酸
デヒドロゲナーゼアッセイ(urease-coupled glutamate dehydrogenase assay)
を用いて、尿素濃度0.2〜10.0mMの範囲にわたって測定した。アッセイ系は50mM
TrisHCl(pH 7.5)、1mg/mlα-ケトグルタール酸、0.4mg/ml NADH、6.5〜300 μg/mlグルタミン酸デヒドロゲナーゼ、および種々の濃度の尿素を含む。ウレ アーゼ酵素の供給源としては、活性化されたH.ピロリ菌ウレアーゼおよびタチナ
タマメウレアーゼを用いた。ウレアーゼおよびNADHの非存在下にて反応管のブラ
ンク値を測定した。すべての管にNADHを添加し、吸光度を1〜2分間にわたり観測
した。110μlのウレアーゼ酵素を添加して直ちに混合し、340nmでの吸光度の低 下を観測した。340nmでの吸光度低下動態の最適線形適合領域の勾配を、初期速 度の指標とみなした。ラインウィーバー-バークプロット(1/Vに対して1/Sを プロットしたもの)を作成し、勾配および切片からKm値を決定した。
【図11】 図11は、組換えH.ピロリ菌アポウレアーゼに対する他の金属イ
オンおよび炭酸水素塩の影響を示すグラフである。組換えH.ピロリ菌アポウレア
ーゼを、0.1M HEPES(pH 8.3)、0.5M塩化ナトリウム、1mM EDTA、200mM炭酸水 素ナトリウム、および200μMの図に示したさまざまな金属イオンとともに37℃で
1時間インキュベートした。1時間のインキュベーションの後に、10μlの活性化 ウレアーゼを1mlの尿素培養液に添加し、550nmでの吸光度を15分間観測した。
【図12】 図12は、マンガン(II)および炭酸水素塩によって活性化され
た組換えH.ピロリ菌ウレアーゼが、透析後に触媒活性を失ったことを示すグラフ
である。組換えH.ピロリ菌アポウレアーゼは、100mM HEPES(pH 8.0)、0.3M Na
Cl、1mM EDTA、200mM炭酸水素ナトリウム、および1mM Ni++(aおよびc)または1
mM塩化マンガン(bおよびd)のいずれかとインキュベートすることによって活性
化した。試料を37℃で1時間インキュベートした後、直ちにウレアーゼ活性に関 してアッセイするか(aおよびb)、または2%スクロースに対して40℃で一晩透 析した後に活性に関してアッセイした(cおよびd)。Mn++イオンによって活性化
されたウレアーゼは透析後に活性を失った。活性はMn++イオンを添加しても回復
せず、Mn++イオンとともに数時間プレインキュベートした後に活性をアッセイし
た場合もそうであった。滴定曲線はゼロ時読み取り値に対して標準化した。
【図13A】 図13Aは、ニッケルイオンおよび炭酸水素塩による組換えH. ピロリ菌アポウレアーゼの活性化に対して、マンガン(II)イオンに相乗作用が
あり、銅(II)、鉄(II)および亜鉛イオンに拮抗作用があることを示すグラフ
である。組換えH.ピロリ菌アポウレアーゼを、0.1M HEPES緩衝液(pH 8.0)、0.
3M塩化ナトリウム、1mM EDTA、100μM Ni++および200mM炭酸水素ナトリウムを含
む活性化緩衝液とともに、図に示した他の金属イオンの非存在下または存在下に
おいてインキュベートした。37℃で2時間インキュベートした後、10μlの活性化
ウレアーゼを1mlの尿素培養液に添加し、550nmでの吸光度の上昇を15分間観測す
ることによって活性を追跡した。
【図13B】 図13Bは、活性化緩衝液が100μM Ni++ではなく500μM Ni++ を含む点を除いて図13に関して上述したものと同じ実験の結果を示すグラフであ
る。
【図14】 図14は、マンガン(II)およびNi++イオンの併用により、未変
性PAGEおよびウレアーゼ特異的銀染色によって判定した活性ウレアーゼの量が減
少したことを示すゲルの写真である。図13Aに関して上述した条件下で活性化し た組換えウレアーゼを、40℃で一晩保存した。活性はフェノールレッド尿素培養
液アッセイを用いて観測した。試料を等容積の試料緩衝液と混合し、非還元性お
よび非変性条件下で4%PAGEゲルにかけて分離して、ウレアーゼ特異的染色条件 を用いて活性染色(activity staining)を行った。レーン1はタチナタマメウレ
アーゼを含み、レーン2はCu++およびNi++イオンとともにインキュベートした試 料を含み、レーン3はZn++およびNi++イオンとともにインキュベートした試料を 含み、レーン4はFe++およびNi++イオンとともにインキュベートした試料を含み 、レーン5はMg++およびNi++イオンとともにインキュベートした試料を含み、レ ーン6はMn++およびNi++イオンとともにインキュベートした試料を含み、レーン7
はNi++イオンとともにインキュベートした試料を含む。
【図15】 図15は、Ni++イオンおよび炭酸水素塩によるウレアーゼの活性
化をイミダゾールが阻害することを示すゲルの写真である。組換えH.ピロリ菌ア
ポウレアーゼを、200mM炭酸水素塩および200μM Ni++を含む活性化緩衝液ととも
に37℃で1時間53分にわたりインキュベートした。続いて試料を6%未変性PAGEに
よって分離し、ウレアーゼ特異的銀染色によりウレアーゼ活性に関して染色した
。ゲルの各レーンにて分画される試料に用いた条件は以下の通りである:レーン
1、25mMイミダゾール;レーン2、12.5mMイミダゾール;レーン3、5mMイミダゾー
ル;レーン4、0.5mMイミダゾール;レーン5、5mM MgCl2とともにNi++の非存在下
でインキュベートしたウレアーゼ。レーン6はタチナタマメウレアーゼを含む。
【図16A】 図16Aは、ヨードアセトアミドによる組換えH.ピロリ菌アポ ウレアーゼの化学的修飾が、ニッケルイオンおよび炭酸水素塩によるウレアーゼ
の活性化を阻害することを示すグラフである。組換えウレアーゼ溶液(4mg/ml )にヨードアセトアミドを最終濃度が1mMとなるように添加し、室温でインキュ ベートした(Ure-IAA)。ゼロタイム時に100μlのUre-IAAを100μlのウレアーゼ
活性化緩衝液と混合し、37℃でインキュベートした(a)。5分毎に250μlの(Ur
e-IAA)をマクロセップ100濾過遠心装置(Macrosep 100 filter centrifuge)に
移し、5mlの2%スクロースを添加した上で試料をほぼ250μlに濃縮した。5mlの2
%スクロースを添加して試料を250μlに濃縮することによる透析濾過工程をさら
に2回行った。100μlの試料を100μlのウレアーゼ活性化緩衝液と混合し、混合 物を37℃で1時間インキュベートした(b)。室温で60分間インキュベートした後
、100μlのUre-IAA混合物を100μlのウレアーゼ活性化緩衝液と混合し、37℃で1
時間インキュベートした(c)。60分後の時点で、250μlのUre-IAA混合物を、試
料bに関して説明した通りにマクロセップ100(Macrosep 100)を用いて2%スク ロース中での透析濾過にかけた。100μlの透析濾過材料を100μlのウレアーゼ活
性化緩衝液と混合し、37℃で1時間インキュベートした(d)。非処理ウレアーゼ
(100μl)を100μlのウレアーゼ活性化緩衝液と混合し、37℃で1時間インキュ ベートした(e)。活性化緩衝液中でウレアーゼを1時間インキュベートした後に
、10μlを1mlの尿素培養液に添加し、550nmでの吸光度の上昇を追跡することに よってウレアーゼ活性を観測した。
【図16B】 図16Bは、組換えH.ピロリ菌ウレアーゼをDTNB(50μlのDTNB
(5mg/ml)を1mlのウレアーゼ(4mg/ml)と混合したもの)で処理したことを 除いて図16Aに関して上述したものと同じ実験の結果を示すグラフである。試料a
〜eは、図16Aに関して上述したUre-IAA混合物に関して記載したものと全く同じ 方式で処理した。
【図17A】 図17Aは、スルフヒドリル反応性および組換えアポウレアー ゼのインビトロ活性化に対するN-エチルマレイミドの影響を示すグラフである。
20mM Hepes緩衝液-2%スクロース(pH 7.5)中にある組換えアポウレアーゼ(3 〜4mg/ml)を、9mM NEMとともに室温で60分間インキュベートした。インキュベ
ーションの後に、20mM HEPES-2%スクロースに対する2〜8℃での透析によって過
剰な試薬を除去した。非処理ウレアーゼにも同様の行程を加えた。透析後に、DT
NB反応性スルフヒドリル基の分析を行った。ウレアーゼ試料を0.3mM DTNB溶液と
ともにインキュベートし、412nmでの吸光度の上昇を観測した。
【図17B】 図17Bは、図1に関して上述した通りのフェノール培養液を用
いて炭酸水素塩/Ni++試薬とともにインキュベートした、修飾および対照ウレア
ーゼ(図17Aの説明を参照のこと)の酵素活性の測定結果を示すグラフである。
【図18A】 図18Aは、プロゲルTSK-4000カラム(内寸5mm×30cm)をGSXL
ガードカラムとともに用いる分析用サイズ排除HPLCによって検討した、組換えヘ
リコバクターアポウレアーゼの分子安定性に対するNEM処理の影響を示す一組の グラフである。クロマトグラフィーは修飾および透析の直後に行った。
【図18B】 図18Bは、プロゲルTSK-4000カラム(内寸5mm×30cm)をGSxL
ガードカラムとともに用いる分析用サイズ排除HPLCによって検討した、組換えヘ
リコバクターアポウレアーゼの分子安定性に対するNEM処理の影響を示す一組の グラフである。修飾された透析試料のクロマトグラフィーは、2〜8℃で15日間保
存した後に行った。
【図19A】 図19Aは、β-メルカプトエタノールが、活性化された組換え
H.ピロリ菌ウレアーゼのUV-可視光吸収スペクトルに擾乱をもたらすことを示す グラフである。組換えH.ピロリ菌ウレアーゼは、100mM HEPES、1mM EDTA、0.3M
NaCl、200mM炭酸水素ナトリウムおよび1mM Ni++中でのインキュベーションによ って活性化した。37℃で1時間インキュベートした後に、2%スクロースに対する
4℃、24時間の透析を2回行うことによって非結合性のNi++および炭酸水素塩を除
去した。吸収スペクトルはグラフ中に示されており、これは島津UV2101PC型分光
光度計を用いて記録した。スペクトル(a)はβ-メルカプトエタノールの非存在
下で記録し、スペクトル(b)は1mM β-メルカプトエタノールの存在下で記録し
、スペクトル(c)は10mM β-メルカプトエタノールの存在下で記録した。
【図19B】 図19Bは、β-メルカプトエタノールの存在下および非存在下
における活性化ウレアーゼのさまざまなスペクトルを示すグラフである。曲線(
1)はスペクトル(b)-スペクトル(a)、曲線(2)はスペクトル(c)-スペク トル(a)を示す。
【図20A】 図20Aは、プロゲルTSK-4000カラム(内寸5mm×30cm)をGSxL
ガードカラムとともに用いる分析用サイズ排除HPLCによって分析した、(1)PBS
中で透析した天然型H.ピロリ菌ウレアーゼ、(2)50%グリセロール中で透析し た天然型H.ピロリ菌ウレアーゼ、および(3)50%グリセロール中で透析した組 換えH.ピロリ菌ウレアーゼの特性の比較を示す一連のグラフである。大腸菌ORV2
14株由来の組換えウレアーゼ、およびH.ピロリ菌CPM 630株由来の天然型H.ピロ リ菌ウレアーゼを、以下に説明する通りに精製した。精製されたウレアーゼを、
50%グリセロールの存在下または非存在下で、10mMリン酸、0.15M NaCl(pH 7.4
)に対して透析した。
【図20B】 図20Bは、抗体MPA3を用いた、図20Aに関する上記の3種の試 料の未変性PAGEおよびウエスタンブロット分析の写真である。
【図20C】 図20Cは、5%ポリアクリルアミドゲル(pH 3〜10)中で行っ
た、図20Aに関する上記の3種の試料の等電点電気泳動の写真である。
【図21A】 図21Aは、分析用サイズ排除HPLCによって分離した4種の異な
る形態のウレアーゼの単離および特徴を示すグラフである。組換えウレアーゼ溶
液は4℃で2〜3週間保存した。異なる分子形態のウレアーゼを、プロゲル(Proge
l)-TSK 4000 SWxLカラムを用いる分析用サイズ排除HPLCによって分離した。個 々のピークを回収し、分析した。種々のピークに付した記号は以下の通りである
:P―高分子量の重合ウレアーゼ(HPLCでの保持時間は短い)、O―8量体ウレア ーゼ、H―6量体ウレアーゼ、T―4量体ウレアーゼ。
【図21B】 図21Bは、図21Aに関して上述した通りの分析用サイズ排除HP
LCによって分離されたさまざまな分子形態のウレアーゼの還元性SDS-PAGEおよび
クーマシー染色分析の写真である。
【図21C】 図21Cは、図21Aに関して上述した通りの分析用サイズ排除HP
LCによって分離されたさまざまな分子形態のウレアーゼに対する、MPA3を用いた
未変性PAGEおよびイムノブロット分析の写真である。
【図21D】 図21Dは、図21Aに関して上述した通りの分析用サイズ排除HP
LCによって分離されたさまざまな分子形態のウレアーゼのUV-可視光吸収スペク トルである。
【図22A】 図22Aは、図21Aに関して上述した通りに単離されたさまざま
な分子形態のウレアーゼに対する、MPA3およびMAB71を用いたELISA反応性を示す
一組のグラフである。
【図22B】 図22Bは、さまざまな形態の組換えウレアーゼの電子顕微鏡 分析の写真である。種々の形態のウレアーゼを、図21Aに関して上述した通りに 単離した。種々の形態に付した記号は以下の通りである:P―重合ウレアーゼ、O
―8量体ウレアーゼ、H―6量体ウレアーゼ、T―4量体ウレアーゼ。実験の詳細は 以下の分析方法の項で説明する(51ページ、13〜17行)。
【図23A】 図23Aは、組換えウレアーゼのスルフヒドリル基の滴定にお けるSH基の反応性に対するSDSの影響を示すグラフである。組換えウレアーゼ(4
.0mg/ml)に対して、1%SDSの非存在下または存在下で、100mM Tris-HCl(pH 8
.0)中にあるDTNB(1mM)による滴定を行った。412nmでの吸光度を反応時間に対
してプロットした。
【図23B】 図23Bは、組換えウレアーゼのスルフヒドリル基の滴定にお けるSH基の反応性に対する保存期間の影響を示すグラフである。2%スクロース 中にある組換えウレアーゼ(4.0mg/ml)を4℃でさまざまな期間にわたって保存
した。DTNB滴定は上記の通りに1%SDSの存在下で行った。
【図23C】 図23Cは、分析用サイズ排除HPLCによって分析した、ウレア ーゼの分子状態に対するDTNB処理の影響を示す一組のグラフである。100mM Tris
(pH 8.0)中にある組換えウレアーゼ(4.0mg/ml)を、1mM DTNBとともに室温 で1時間インキュベートした。次に、DTNB処理試料および対照試料をリン酸緩衝 生理食塩水(pH 7.4)に対して12〜24時間透析した。続いて試料を4℃で48時間 保存した後、HPLCによって分析した。この3点のグラフに示した実験で用いた試 料は以下の通りである:(a)2%スクロース中にある組換えウレアーゼ溶液、(
b)DTNB処理および透析(PBS)を行ったウレアーゼ、(c)PBS中で透析した対照
ウレアーゼ。
【図24A】 図24Aは、組換えウレアーゼの蛋白質プロフィールに対する 保存期間およびSH基ブロックの影響を示す還元性SDS-PAGEおよびクーマシー染色
分析の写真である。PBS中で透析したDTNB処理試料および対照試料は、図23Cに関
して上述した通りに調製した。2%スクロース中にて4℃でさまざまな期間にわた
って保存した組換えウレアーゼの分析も行った。ゲルの各レーンは以下の通りで
ある:レーンMW、分子量マーカー;レーン1、4℃で9週間保存したウレアーゼ溶 液;レーン2、4℃で5週間保存したウレアーゼ溶液;レーン3、4℃で3日間保存し
たウレアーゼ溶液;レーン4、PBSに対して48時間透析したウレアーゼ溶液;レー
ン5、DTNBで処理した後にPBSに対して48時間透析したウレアーゼ溶液。
【図24B】 図24Bは、組換えウレアーゼの蛋白質プロフィールに対する 保存期間およびSH基ブロックの影響を示す非還元性SDS-PAGEおよびクーマシー染
色分析の写真である。試料の調製およびレーンの記号の意味は図24Aに関して上 述した通りである。
【図24C】 図24Cは、組換えウレアーゼの蛋白質プロフィールに対する 保存期間およびSH基ブロックの影響を示す未変性SDS-PAGEおよびクーマシー染色
分析の写真である。試料の調製およびレーンの記号の意味は図24Aに関して上述 した通りである。
【図25A】 図25Aは、さまざまな条件下で保存し、DTNBで処理したウレ アーゼに対する、MPA3(分析方法については以下を参照)を用いたウエスタンブ
ロット分析の写真である。各レーンに存在する試料に対して用いた条件は以下の
通りである:1、溶液中で9週間保存したウレアーゼ;2、4℃で3日間保存したウ レアーゼ溶液;3、PBSに対して透析したウレアーゼ溶液;4、DTNBで処理し、PBS
に対して透析したウレアーゼ。
【図25B】 図25Bは、図25Aに関する上記のウレアーゼ試料に対する、MP
A4(分析方法については下記参照)を用いたウエスタンブロット分析の写真であ
る。
【図25C】 図25Cは、図25Aに関する上記のウレアーゼ試料に対する、MP
A6(分析方法については下記参照)および非還元性SDS-PAGEを用いたウエスタン
ブロット分析の写真である。
【図26A】 図26Aは、変異型uneA-uneB構造遺伝子(H136A変異)を有す る大腸菌ペレットから得た組換えアポウレアーゼが活性化されないことを示すグ
ラフである。ORV261-H136A変異株およびORV214ペレットから産生された組換えウ
レアーゼをイオン交換および膜濾過の併用によって精製した後に活性化緩衝液と
ともにインキュベートし、図1に関して上述した通りに活性に関して検討した。
【図26B】 図26Bは、変異型ウレアーゼ構造遺伝子(K219A+H248Aの二 重変異)を有する大腸菌ORV273株から産生された組換えアポウレアーゼが、炭酸
水素塩およびニッケルイオンとのインキュベーションによって活性化されないこ
とを示すグラフである。ORV273変異株およびORV214ペレットから産生された組換
えウレアーゼをイオン交換および膜濾過の併用によって精製した後に活性化緩衝
液とともにインキュベートし、図1に関して上述した通りに活性に関して検討し た。
【図26C】 図26Cは、ORV273変異株から産生および精製された組換えア ポウレアーゼが活性化されないことを示すグラフである。試料をインビトロ活性
化および対照緩衝液によって処理して、未変性ポリアクリルアミドゲルによって
分離した。続いてゲルをウレアーゼ特異的銀染色を用いてウレアーゼ活性に関し
て染色した。レーン1はインビトロ活性化緩衝液とともにインキュベートしたORV
214株由来のウレアーゼを含み、レーン3はニッケルの非存在下で炭酸水素塩とと
もにインキュベートしたORV214株由来のウレアーゼを含み、レーン5、7および9 は活性化緩衝液とともにインキュベートしたORV273株由来のアポウレアーゼを含
み、レーン11は天然型H.ピロリ菌ウレアーゼを含む。
【図26D】 図26Dは、ORV273株における変異部位の模式図である。ORV27
3株では天然型ウレアーゼのLys 219およびHis 248がいずれもAlaによって置換さ
れている。
【図27】 図27は、ORV273二重変異株(rUre 96IO1)から産生された組換
えアポウレアーゼが、ORV214(rUre 94JO3)株によって産生されるアポウレアー
ゼに匹敵する効力で、マウスをH.ピロリ菌感染から防御したことを示すグラフで
ある。マウス10匹からなる各群に対して、500ngの大腸菌易熱性エンテロトキシ ンと混合した50、500または5000ngの組換えウレアーゼによる免疫処置を行った 上で、H.ピロリ菌による刺激を行った。胃内でのH.ピロリ菌のコロニー形成を培
養によって判定した。図中のデータポイントは、マウスの胃前庭部組織の4分の1
から回収したH.ピロリ菌のコロニー形成単位数を表す。このデータは、組換え変
異型H.ピロリ菌ウレアーゼ(ORV273株から精製されたロット96I01)による免疫 処置により、組換え野生型H.ピロリ菌ウレアーゼ(pORV214から精製されたロッ ト94J03)によって得られるものと同様なレベルの防御が得られることを示して いる。
【図28A】 図28Aは、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)処理によって 組換えアポウレアーゼのインビトロ活性化がブロックされることを示すグラフで
ある。50mMリン酸(pH 8.0)中にあるORV214株(ほぼ4.0mg/ml)由来の精製組 換えウレアーゼを、1mM DNFBとともに37℃で1時間インキュベートした。DNFBを 含まない対照試料も37℃で1時間インキュベートした。1時間インキュベートした
後に、100μlのDNFB処理試料および対照試料を、ヘペス(Hepes)、塩化ニッケ ルおよび炭酸水素ナトリウムを含む100μlの活性化緩衝液とともに37℃で2時間3
0分にわたりインキュベートした。図1に記載した通りに550nmでフェノラート陰 イオンの形成を観測することにより、ウレアーゼ酵素活性を分光光度的に測定し
た。曲線「a」は対照試料であり、曲線「b」は活性化緩衝液とともにインキュベ
ートしたDNFB処理試料であり、曲線「c」はDNFBの存在下で活性化緩衝液ととも にインキュベートした対照試料である。これらの結果は、DNFBで処理した試料が
活性化されないこと、およびDNFBを活性化緩衝液とともに添加すると活性化がブ
ロックされることを示している。活性化緩衝液とのインキュベーション中にはDN
FBを含む試料中に沈殿が認められた。
【図28B】 図28Bは、DNFB処理によって組換えアポウレアーゼが安定化 されることを示す一組のグラフである。画面1はDNFB処理ウレアーゼを示し、画 面2は対照の非処理ウレアーゼを示す。図28に関して上述した通りのDNFB処理試 料および対照試料をリン酸緩衝液に対して一晩透析した。これらの結果は、透析
中に分子凝集および対照ウレアーゼの分解が起こること、およびDNFB処理によっ
て6量体形態のウレアーゼが安定化されることを示している。
【図28C】 図28Cは、5、15、30および60分間のDNFB処理によって組換え
アポウレアーゼのインビトロ活性化がブロックされることを示すグラフである。
ORV214株由来の精製組換えウレアーゼを0.5mM DNFBとともにインキュベートした
。1mlのアリコートを200μlの100mMシスチン-HCl(pH 7.0)に移すことにより、
DNFBとの反応を図示した時点で停止させた。続いて2%スクロースを含む20mMリ ン酸緩衝液、pH 7.5に対して試料を一晩透析した。次に透析した試料を塩化ニッ
ケルおよび炭酸水素塩を含む活性化緩衝液とともに37℃で2.5時間インキュベー トした。続いて図1に関して上述した通りのフェノール培養液アッセイを用いる ことによってウレアーゼ触媒活性を観測した。
【図28D】 図28Dは、ウレアーゼのインビトロ活性化のブロックに関す るDNFBの作用がpH依存的であることを示すグラフである。ORV214株由来の精製組
換えウレアーゼを、さまざまなpHの25〜30mMリン酸緩衝液中にある1mM DNFBとと
もにインキュベートした。5分間のインキュベーションの後に、試料をHEPES緩衝
液中に塩化ニッケルおよび炭酸水素ナトリウムを含む等容積のインビトロ活性化
緩衝液と混合し、37℃で3時間にわたりインキュベーションを続けた。続いて図1
に関して上述した通りにウレアーゼ酵素活性を測定した。
【図28E】 図28Eは、DNFBが、ウレアーゼのインビトロ活性化をブロッ クする効果に匹敵する程度に、活性化前のウレアーゼをpH依存的な様式で不活性
化することを示すグラフである。ORV214株由来の精製組換えアポウレアーゼを、
炭酸水素塩-塩化ニッケル-ヘペス(Hepes)緩衝液とともにインキュベートする ことにより、インビトロで活性化した。マクロセップ100(Macrosep 100)(100
kDa NMWCO)濾過遠心装置を用いて10mMリン酸、pH 7.4に対して透析濾過を行う ことにより、過剰な炭酸水素塩およびニッケルイオンを除去した。続いて活性化
ウレアーゼを図示したpHの等容積の200mMリン酸緩衝液と混合し、1mM DNFBとと もに1時間インキュベートした。続いてフェノール培養液アッセイを用いること によってウレアーゼ活性を測定した。
【図29】 図29は、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA)処理によっ て組換えアポウレアーゼのインビトロ活性化がブロックされることを示すグラフ
である。ORV214株由来の精製組換えアポウレアーゼを5mM TNBSA、pH 8.2ととも に30〜120分間インキュベートした。TNBSAを含まない対照も同一条件下でインキ
ュベートした。指定した時点で試料を採取し、塩化ニッケル、炭酸水素塩および
ヘペス(Hepes)を含む等容積のインビトロ活性化緩衝液と混合して、37℃で2時
間インキュベートした。続いて図1に関して上述した通りのフェノール培養液ア ッセイを用いることにより、ウレアーゼ活性を測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 9/99 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 モナス トーマス ピー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ハ ーバード フィン ロード 21

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘリコバクター(Helicobacter)ウレアーゼポリペプチドで
    あって、該ウレアーゼの活性を抑制するアミノ酸変異を含むポリペプチド。
  2. 【請求項2】 ヘリコバクター(Helicobacter)がヘリコバクター・ピロリ
    (Helicobacter pylori)である、請求項1記載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 変異がウレアーゼへのNi++の取り込みを抑制する、請求項1 記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 アミノ酸変異が、UreBのウレアーゼアミノ酸であるヒスチジ
    ン136、ヒスチジン138、ヒスチジン248、リジン219およびアスパラギン酸363に おける置換からなる群より選択される、請求項3記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 ポリペプチドが薬学的に許容される担体または希釈剤中に存
    在する、請求項1記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 患者においてヘリコバクター(Helicobacter)に対する免疫
    応答を誘導するための医薬品の調製における請求項5または請求項18記載のポリ ペプチドの使用。
  7. 【請求項7】 患者が、ヘリコバクター(Helicobacter)感染症を発症する
    危険性があるが感染していない、請求項6記載の使用。
  8. 【請求項8】 患者がヘリコバクターに(Helicobacter)感染している、請
    求項6記載の使用。
  9. 【請求項9】 ポリペプチドが患者の粘膜表面に投与されるように処方され
    る、該患者に非経口的に投与されるように処方される、または該患者に静脈内投
    与されるように処方される、請求項6記載の使用。
  10. 【請求項10】 ポリペプチドが非経口経路と粘膜経路とを組み合わせるこ
    とによって投与されるように処方される、請求項6記載の使用。
  11. 【請求項11】 ヘリコバクター(Helicobacter)ウレアーゼを安定化する
    方法であって、該ウレアーゼのアミノ酸を修飾する化合物と該ウレアーゼを反応
    させる段階を含む方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の方法であって、安定化がヘリコバクター(
    Helicobacter)ウレアーゼの活性を抑制する方法。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の方法であって、安定化がヘリコバクターウ
    レアーゼの分子凝集を抑制する方法。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の方法であって、アミノ酸がスルフヒドリル
    基を含み、化合物がスルフヒドリル反応性化合物である方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の方法であって、化合物がヨードアセタミド
    (IAM)またはヨード酢酸(IAA)である方法。
  16. 【請求項16】 請求項14記載の方法であって、化合物が、5-5'-ジチオ-ビ
    ス-2-ニトロ安息香酸(DTNB)、2,2'-ジチオジピリジン(DTDP)、シスチン、シ
    スタミン、メチルメタンチオスルフォネート(MMTS)、N-エチルマレイミド(NE
    M)、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)およびトリニトロベンゼンスルホン酸 (TNBSA)からなる群より選択される方法。
  17. 【請求項17】 ヘリコバクター(Helicobacter)がヘリコバクター・ピロ
    リ(Helicobacter pylori)である、請求項11記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項1記載の方法によって安定化されているヘリコバク ター(Helicobacter)ウレアーゼポリペプチド。
  19. 【請求項19】 ヘリコバクター(Helicobacter)がヘリコバクター・ピロ
    リ(Helicobacter pylori)である、請求項18記載のポリペプチド。
  20. 【請求項20】 ポリペプチドが組換え型である、請求項18記載のポリペプ
    チド。
  21. 【請求項21】 ポリペプチドが薬学的に許容される担体または希釈剤中に
    存在する、請求項18記載のポリペプチド。
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