JP2001515012A - 神経疾患のポリアミン治療 - Google Patents

神経疾患のポリアミン治療

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Abstract

(57)【要約】 ミトコンドリアのダメージに特徴付けられるパーキンソン病及び痴呆の治療のために、実験動物におけるMPTP注射後12時間のMPTPの脱ドパミン効果を完全に打ち消す、及び36時間に及び患者を適性下組織レベルに患者の保護を保持するこの化合物の能力の観点から2,3,2テトラミン(3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン)が提示される。MPTP及び/又は還元剤及び/又は生体異物及び/又は色素減少剤の組合せの注射の、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニン及びエピネフリンレベルに対する効果は、MPTP及びMPP+は銅及びカルシウム、及び不動化された鉄を可動化する還元剤として働くこと、及びこれらのタイプの神経毒に対する及び生体異物及び金属に対するドパミン投与の影響の受けやすさは、内因性ポリアミンのいくつかのそれと類似な他の効果に加え、様々な保存プール及びサイトゾール内遊離金属間金属を再分配し受容体媒介現象を調節すると思われる2,3,2テトラミンの投与により矯正できることを示した。

Description

【発明の詳細な説明】
(発明の分野) 本発明は、哺乳類被験者の神経疾患の治療方法に関し、より詳細にはパーキン
ソン病、オリーブ橋小脳萎縮、アルツハイマー病、及びルーゲーリック病の診断
及び治療に関する。
【0001】 (発明の背景) パーキンソン病は、神経系の変性疾患であり、性別及び社会的な偏りなく、5
0歳以上では50人に1人、70歳以上では20人に1人の人が罹患している。ジ
ェームス・パーキンソン(James Parkinson)が1817年に記述したように、 振せん麻痺は、安静時の振せん、筋肉の硬直、及び動作の低速化という三つの要
素からなる。産業革命の頃になされたこの疾患の正確な記述により、人々は、毒
性のある化学物質に対して環境的に接触することにより病気が進行するのではな
いかと思い込むようになった。鉱山労働者がマンガンに接触することによりパー
キンソン症候群を発症し、分裂病様の行動をも伴っていた。いくつかの疫学的研
究により、銅、マンガン、並びに銅及び鉄に対して同時に工業的に接触すること
と、パーキンソン病の発症率との間の関連性(Gorell J.M et al.)、パーキン ソン病の発症率と血中水銀濃度との間の関連性(Ngim C.H. et al)、及びパー キンソン病による死亡率と鉄及び銅関連の産業工程との緊密度との間の関連性(
Rybicki B.A. et al)が明らかになっている。生体異物、天然及び人工殺虫剤も
また原因ではないかと言われているものである。これらは動物及びヒトにおいて
、時折パーキンソン症候群に似た動作障害を引き起こすためである。従って、無
機及び有機化学物質のどちらも毒性メカニズムに貢献している可能性がある。他
の種類のパーキンソン症候群としては、脳炎の後に生じるもの、脳血管傷害に伴
うウィルソン病及びパーキンソン症候群、空間的に占める割合が大きい病変部、
及び薬剤によって誘発されるものがある。この疾患は、常にというわけではない
が、進行性である。アルツハイマー型病理的変化を伴う痴呆が続いて生じるが、
症例の約四分の一では、パーキンソン病の発症に先立って生じることはない。
【0002】 また、全身的るいそう及び食欲不振も生じ、この疾患の代謝要素は、視床下部
(灰白隆起漏斗)ドーパミン作用性機能障害によって生じるものではない。進行 パーキンソン病の進行は患者によって異なるが、通常は診断から約7年から10
年の時間枠で進行する。全身的るいそう及び食欲不振、鬱及び頻繁な心理状態の
変化を訴える患者もおり、約四分の一が認知機能においてアルツハイマー型の臨
床的変化を生じ、アルツハイマー型の測定可能な病理的変化を生じる患者は症例
の約40%にものぼる。現象学 A.鉄の堆積及び銅の置換 細胞質にヘモシデリン顆粒として鉄が堆積し、パーキンソン病患者の脳からは
、腹側外側視床、尾状核及びレンズ核、及び黒質の神経細胞及びグリア細胞にお
いて、フェリチン顆粒が充満したミトコンドリアが観察されており(Earle K.M.
, Asenjo A. Et al., Riederer P. et al.)、脳内では過剰量の銅は検出されな
いが、銅が脳脊髄液中に流出することはない。銅流出レベルは、パーキンソン病
の臨床的発病度及び患者にみられるアルツハイマー型障害の程度と相関している
(Pall H.S. et al)。
【0003】 パーキンソン症候群は、鉱山労働者にパーキンソン症候群に似た精神病的症状
を引き起こす慢性的マンガン中毒、ウィルソン病における銅の蓄積による肝レン
ズ核変性症等、他の金属によっても誘発されるが、特発性又は脳炎後のパーキン
ソン症候群においては、鉄以外の金属のレベルが過剰となることは観察されてい
ない。 B.ミトコンドリアの形態 ミトコンドリアは形態学的にみて変形しており、大量の鉄が堆積しているが、
他の金属が堆積した証拠はない(Earle K.M., Asenjo A. et al., Riederer P.
et al.)。鉄及び銅は、神経メラニン及びダメージを受けたミトコンドリアから
放出されるのかもしれない。ミトコンドリア及び細胞質ゾル中の遊離鉄量が増加
し、銅が貯蔵所から細胞質ゾルを通して脳脊髄液中へと流出するという現象が起
る。パーキンソン病では、ミトコンドリアの呼吸を低下させるミトコンドリア電
子送達チェーンのコンプレックス1が阻害される。 C.チオールメチルトランスフェラーゼ チオールメチルトランスフェラーゼ活性は、パーキンソン病では低下し、運動
神経疾患では上昇する(Waring et al. 1989)。乏突起神経膠細胞、星状神経膠
細胞の末端足部、脈絡集網、及び上衣細胞にグルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ活性がみられる。酵素のアイソフォームはどちらもニューロン内には存在し
ない。酵素活性は、ypフォームとして白質及び灰白質乏突起神経膠細胞中にみ
られる。ybフォームは、星状神経膠細胞、上衣細胞、及びタン細胞に存在して
いる。酵素の分布は、これが毒性物質に対する最初の防御線であることを暗示し
ている(Cammer W. et al. 1989)。 D.銅−亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ コントロール及びアルツハイマー病患者の脳の大型錐体細胞内で、高い濃度の
CuZnSODが免疫組織化学的に検出された(Delacourte A. et al. 1988) 。スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子が染色体21上に局所化すること、及び
ダウン症候群ではアルツハイマー病が早期に発症することは、スーパーオキシド
ジスムターゼ活性及び過酸化水素の形成がアルツハイマー病の病因に加担してい
ることを暗示しているように思われる。また、高濃度のNADPHジアホラーゼ
を含むニューロンは、新生児低酸素症及び低血糖症では比較的残されているが、
アルツハイマー病では影響を受ける。アルツハイマー病患者のサブグループにみ
られる、血小板膜生合成の制御障害によると思われる血小板膜流動性の上昇は、
赤血球スーパーオキシドジスムターゼ濃度の上昇とは関連性がない(Zubenko G.
S. et al. 1989)。 E.モノアミンオキシダーゼ及びNADPHジアホラーゼ パーキンソン病によるダメージを生じさせるキャパシティーは、種の黒質のメ
ラニン化レベル、及び基底核におけるモノアミンオキシダーゼB及びNADPH
ジアホラーゼの活性と相関性がある。モノアミンオキシダーゼ 加齢と相関するアストログリオシスは、モノアミンオキシダーゼB活性を上昇
させ、種々のマウス株間でモノアミンオキシダーゼB活性が異なるように、トキ
シンMPTPに対する感受性を上昇させる(Zimmer J. et al. 1987)。モノア ミンオキシダーゼB活性は、ヒトでは年齢と共に増加するが、モノアミンオキシ
ダーゼA活性は増加しない(Oreland L. et al. 1986)。モノアミンオキシダー
ゼB活性は、灰白質よりも白質においてより上昇する。アルツハイマー病患者で
は、同年齢のコントロールよりも、モノアミンオキシダーゼBが増加しており、
灰白質よりも白質においてより増加し、10年間で20%の増加と比較して32
%増加する。自殺を図ったアルコール中毒者の脳におけるモノアミンオキシダー
ゼ活性は、アルコール中毒以外の自殺者及びコントロールの脳における活性より
も低い(Gottfries C.G. et al. 1975)。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドフォスフェートジアホラーゼ ヒトの脳では、NADPHジアホラーゼ活性は、白質よりも灰白質で高く、リ
ンゴ酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、チトクロムオキシダーゼ
も同様である。サルの脳では、NADPHジアホラーゼ活性は、主に周核体の核
よりも、より多くの神経網を含む核のほうが高く、ここでも白質における活性の
ほうが低い(Friede R.L. et al. 1963b)。ヒトの脳のランダムに選択した部分
において、NADPHジアホラーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、及びチトクロ
ムオキシダーゼの同様な分布パターンが観察される(Friede R.L. et al. 1962 )。
【0004】 ヒトの脳幹において、NADPHジアホラーゼ含有ニューロンは、迷走神経の
背側運動神経、青斑核、黒質等のメラニン含有ニューロンの近くに位置する。こ
れはメラニン及びリポフスチンの処理における役割を暗示している(Kowall N.W
. et al. 1988, Friede R.L. et al. 1962)。
【0005】 リポフスチンの生成は、酸化酵素活性と相関性があるが、グリア細胞によって
神経網から容易に除去可能であり、周核体に蓄積する(Friede R.L., 1961)。 アルツハイマー病では、大脳皮質の第II、III、V、VI層、並びにソマトスタチ ン、神経ペプチドY、及び高いNADPHジアホラーゼ活性を含有する皮質下白
質における非錐体ニューロンのサブセットは、ダメージを受けやすい(Kowall N
.E. et al., 1988)。免疫組織化学的には、ソマトスタチン及び神経ペプチドY
は、異常な神経突起に存在し、周核体は正常な神経突起にみられる。これとは反
対に、NADPHジアホラーゼニューロンは、新生児低酸素症−虚血におけるダ
メージに対して耐性がある。NADPHジアホラーゼニューロンは、NMDAレ
セプターが仲介するエキシトトキシックダメージに対して耐性があるようである
。NADPHジアホラーゼ陽性であり且つ神経ペプチドY及びソマトスタチンに
染まる中型のアスピニーニューロンは、ハンティントン病では保護されている(
Ferrante R.J., 1987)。ニューロナルNADPHジアホラーゼ活性は、アルツ ハイマー病の脳では低下しており、神経網の染色も低下しているが、これは逆行
性の変性を暗示している。アルツハイマー病では、グリアルNADPHジアホラ
ーゼ活性は上昇する(Jacobs R.W. et al. 1985)。 F.痴呆症におけるアミロイドの過剰生成、神経原繊維のもつれの形成、及び組
織損傷の原因となり得るメタロエンドペプチダーゼプレアスパラギン酸プロテアーゼ アスパラギン酸の前の部位は、前駆体又はプロシーケンスの切断部位又は既知
のシーケンスを持つタンパクの分解部位としては一般的ではない。アルツハイマ
ー病、ダッチタイプのアミロイド症による遺伝性小脳性出血、脳及び脊髄におけ
る血管形成異常、バッテン病、神経加齢、及びアスパラギン酸残基による高密度
リポタンパク質画分にみられるいくつかのタンパク及びペプチドの開始部位を鑑
みると、この部位は潜在的に非常に興味深い部位である。
【0006】 ラットの脳には明らかに、メチオニン−アスパラギン酸結合を切断するエンド
ペプチダーゼ型の酵素がない。これは、コレシストキニン8及びコレシストキニ
ン5ペプチドの加水分解が、このようなエンドペプチダーゼがないことを示して
いるからである。CCK8を基質とする場合よりも、CCK5を基質とした場合
にはGly−Trp−Metが30倍の確率で形成され、CCK8におけるメチオニン− アスパラギン酸結合の切断によって生じるN末端のペンタペプチドは、形成され
ない(Rose C. et al., 1988, 1989)。ラットの脳ではアミロイドプラークは観
察されないが、関連する酵素活性がないことが、この差異の説明となるであろう
インターロイキン−1−ベータの処理 インターロイキン−1−ベータは、カルシウム又はマグネシウム及び亜鉛依存
酵素によってアスパルギン酸の前の位置で切断されると、活性化される(Black
R. et al. 1989)。インターロイキン−1−ベータをラットの脳に注射すると、
アストログリオシス及び新血管生成を刺激する(Giulian D., et al, 1989)。 アルツハイマー病では、無窓血管を含む細小血管症が前提とされている(Scheib
el A.B. et al., 1989)。インターロイキン−1−ベータは、α−アンチキモト
リプシンmRNA の転写を刺激し、このα−アンチキモトリプシンmRNAはアミロイドプラーク
に蓄積する(Baumann H., et al, 1987)。α−アンチキモトリプシンは、胎児 期のヒトの脳では免疫組織化学的には検出されないが、成人の脳の灰白質及び白
質、脈絡膜、及び上衣細胞では検出される(Justice D.L., 1987)。星状神経膠
細胞は、中枢神経系でインターロイキン−1−ベータを生成することがある。ア
ルツハイマー病の脳脊髄液では、インターロイキン−1−ベータのレベルが上昇
している(Cacabelos R. et al., 1991)。ATPアーゼサブユニット9の処理 バッテン病において、アミロイドベータペプチドの免疫反応性が示されており
(Wisniewski K.E. et al. 1989)、ミトコンドリアのアスパラギン酸残基から 開始するATPアーゼサブユニット9タンパクもまた蓄積される(Palmer D.N.
et al., 1989)。処理をするペプチダーゼはメタロエンドペプチダーゼでもある
(Schmidt B. et al., 1984)。アポリポタンパクA1の処理 アポリポタンパクA1タンパクは、プレシーケンスに加えてヘキサペプチドプ
ロシーケンスを有している。このプロシーケンスは、プレシーケンス位置で細胞
外メタロエンドペプチダーゼによって切断される(Edelstein C., et al., 1983
, Kooistra T., et al., 1984, Scanu A.M. et al., 1987, Edelstein C., et a
l., 1987)。アポリポタンパクC111タンパクでも同じ位置に同一のヘキサペ
プチドが形成されるが、これはメタロエンドペプチダーゼでは切断されない。ア
ポリポタンパクC111対立遺伝子とアルツハイマー病との間には、遺伝的な関
連が観察されている(Schellenberg G.D., et al., 1987)。β−アミロイドの処理 アルツハイマー病、ダッチタイプのアミロイド症による遺伝性小脳性出血にお
いて蓄積されるβ−アミロイドは、アスパラギン酸アミノ末端を有し(Prelli F
., et al., 1988)、脳及び脊髄における血管形成障害のβ−アミロイドもおそ らく、アスパラギン酸アミノ末端を有する(Hart M. et al., 1988)。メチオニ
ン−アスパラギン酸部位で切断し、1,10−フェナントロリン、EGTA及び
DFP、α−1−アンチキモトリプシン、及び分泌されたβ前駆体タンパクによ
って阻害されるカルシウム依存性セリンプロテアーゼが、アルツハイマー病の脳
組織から検出されている(Abraham C.R. et al., 1991a)。還元剤を必要とする
金属依存性チオールプロテアーゼもまた、部分的に精製されている(Abraham C.
R., et al., 1991b)。
【0007】 (Sisodia S.S. et al., 1989)によって示された、βペプチドシーケンス中 の生理学的切断部位においてβ前駆体タンパクを切断する酵素のクラスは、未だ
知られていない。
【0008】 タンパクCは、第Va因子、第VIII因子の非活性化及び繊維素分解を引き起し
、よって非凝集効果を有するシステインプロテアーゼである。シスタチンCがタ
ンパクCの生理学的阻害剤だとすると、アイスランド遺伝性小脳性出血症患者の
血清及び脳脊髄液中のシスタチンCの変異タンパクは、タンパクCが仲介する抗
凝固作用及び繊維素分解の阻害が行なわれないため、出血を引き起こす。アイス
ランド遺伝性小脳性出血における出血部位に関連するこのプロテアーゼの局所分
布及びその阻害剤は知られていない。第V因子レベルの制御は、チオールプロテ
アーゼを必要とすることにより、さらに複雑化しており、このプロテアーゼはま
たチオールプロテアーゼ阻害剤の影響を受ける(Rodgers G.M., et al. 1987) 。金属依存チオールプロテアーゼは、アミロイド前駆体タンパクのメチオニン−
アスパラギン酸結合を切断する(Abraham C.R. et al. 1991)。バクテリア性プレアスパラギン酸プロテアーゼ プレアスパラギン酸プロテアーゼは、進化の早期段階に存在し、 亜鉛及びコバルト依存プレアスパラギン酸プロテアーゼはPseudomonas Fragiに 記録されている(Noreau J. et al., 1979)。中枢神経系及び血管系中のプレア
スパラギン酸プロテアーゼの分布については報告されていない。脳カテプシンDの処理 成牛の脳カテプシンDは、アミノ酸末端にアスパラギン酸残基を有している(
Whitaker J.N. et al., 1979)が、牛脾臓カテプシンDは、グリシン残基から開
始している(Press E.M. et al., 1960)。
【0009】 カテプシンDは、アスパルチルプロテアーゼであり、β−エンドルフィンのロ
イシン−フェニルアラニン結合、リポトロフィンのアラニン−アラニン結合、及
びミエリン塩基性蛋白質、P物質、及びソマトスタチンのフェニルアラニン−フ
ェニルアラニン結合を切断する。カテプシンDの活性は、アルミニウムを注射し
たウサギの皮質、海馬上隆起、及び脊髄において上昇する(Suzuki H. et al.,
1988)。ラットに対して様々な年齢においてアルコールを投与すると、カテプシ
ンB及びD活性が上昇した(Suleiman S.A. 1987)。カテプシンD活性は、胎児
発達段階において連続的に上昇する(Dorn A. et al., 1986)。(Matus A., et
al., 1987)は、比較的年齢のいったラットの脳内において、カテプシンD様プ
ロテアーゼの活性が2倍の上昇を示し、(Iqbal K., et al., 1986)が提案して いるように、アルツハイマー病の脳における欠陥微小管形成の原因となり得るM
AP1及びMAP2の分解が増加していることを確認した。その他のエンドペプチダーゼ P物質の生成 P物質(1−7)及びP物質(1−8)を生成するエンドペプチダーゼは、基
本的なSH基を有する金属結合酵素であり、 Phe-Phe結合及びPhe-Gly結合を切断し、脊髄中の無髄求心神経C線維中のカルシ
トニン遺伝子に関連するペプチドによって投与量に呼応して阻害される(Nyberg
F., et al. 1988)。ミエリン塩基性蛋白質エンドペプチダーゼ げっ歯類においてミエリン塩基性蛋白質を分解するカルパインとは別の、亜鉛
依存型ミエリン塩基性蛋白質分解性エンドペプチダーゼが単離された(Chantry
A. et al., 1988, Earl C. et al., 1988, Groome N. et al., 1988)。この物 質の脳内での分布は未だ知られていない。カルシウム活性化ニュートラルプロテアーゼI及びII 白質脳梁中のカルシウム活性化ニュートラルプロテアーゼ活性度は、灰白質大
脳皮質における活性度の7倍である(Chakrabasti A.K.et al., 1989)。これは
さらに白質カルシウム関連ニュートラルプロテアーゼ活性の50%を含有する ミエリン画分を豊富に含む。同様に、カルシウム関連ニュートラルプロテアーゼ
活性は、ミエリンにおいて非常に顕著である。Banik N.L., et al. 1987は、ウ サギ、ラット、及び牛の脳において、白質のカルシウム仲介プロテアーゼ活性が
、プロテオリピドタンパク、ミエリン塩基性蛋白質、及び神経フィラメントトリ
プレットタンパクを低下させること、及び白質よりも灰白質のほうが活性度が低
いことを観察した。カルパインはまた、虚血における神経フィラメントタンパク
の分解の原因ともなる(Ogata N., et al., 1989)。免疫組織化学的には、CA
NP1活性は、脊柱頭部及び首部並びにグリア細胞中の、軸索及び樹状突起工程
において、神経周核体中に存在する(Perlmutter L.S. et al., 1988)。高カル
シウム閾値CANPであるCANP11は、よりグリアに制限されている(Hama
kubo T., et al., 1986)。カルスパスタチンレベルは、他の組織よりも脳のほ うが低い(Blomgren K. et al., 1989)。カテプシンB ニューロンのセロイドリポフスチン沈着症であるバッテン病では、おそらくア
ルデヒド又は過酸化物の蓄積の二次的な結果として、カテプシンB活性が低下す
る(Dawson G., et al., 1987, 1988)。チオールプロテアーゼ阻害剤であるロ イペプチンを注射することにより、高ドリコール含有量で色素のようにリポフス
チンが沈着する。セリンエンドペプチダーゼ ラットの大脳皮質において、コレシストキニンを不活性化するセリンエンドペ
プチダーゼが同定されている(Rose C. et al., 1988)。この物質の中枢神経系
内での分布は報告されていない。Abraham et al., 1991は、アルツハイマー病の
脳血管性及びプラーク性アミロイドのβ−タンパクのアミノ酸末端切断部位で、
メチオニン−アスパラギン酸結合を切断できる、分子量20−35KDのカルシ
ウム活性化セリンプロテアーゼを同定し、またカテプシンG及び金属依存システ
インプロテアーゼもこの部位で切断することを観察した。痴呆の病状における二価金属依存酵素の顕著性 ペプチダーゼを切断する生理学的前駆体、つまり非リソゾームプロテアーゼ等
の金属依存エンドペプチダーゼ、及びカルパインは、in vivoで遊離金属によっ て活性化される。これらは、β−アミロイド、神経原繊維のもつれの形成、及び
髄鞘脱落を含む痴呆の病理学的変化と関連があると考えられる。レービー小体、
ヒラノ小体、ピック小体、及び顆粒空胞変性の形成に関連する分子は、現時点で
は知られていない。脳内銅濃度は、青斑で最も高く、次いで、黒質、被殻、及び
淡蒼球で高い。脳内鉄濃度は、淡蒼球で最も高く、次いで被殻、及び黒質で高い
。特定の細胞レベル下部位における金属の放出は、アルツハイマー性、パーキン
ソン性、バッテン性、及びピック性の痴呆及び透析によって誘発されるアルミニ
ウムエンセファロパシーの病因にはよくあることである。細胞レベル下の区画化
及び二価金属の分布に影響を与える作用物質により、このような病状を防止する
治療を行なうことができるであろう。プレアスパラギン酸プロテアーゼは生理学
的機能を果たしているので、このプロテアーゼの酵素阻害は、実際に治療に用い
ることはできないかもしれない。遊離金属濃度を制御することによって、酵素活
性を切断するペプチド前駆体を制御することは、治療方針として興味深いもので
ある。痴呆の病因におけるその顕著性は、アスパラギン酸の前の部位で切断する
ことができる他の酵素クラスがないためと考えられる。マンガン鉱山労働者のパーキンソン病(Manganese Miners Parkinsonium)、ウ ィルソン病、及び透析誘発性エンセファロパシー アルツハイマー病によるアミロイド形成、神経原繊維のもつれ、及び髄鞘脱落
は、上述のように二価の金属と関連性がある。しかしながら、以下に述べるパー
キンソン病、アルツハイマー病、及びルーゲーリック病の病状進行における三つ
の段階とは反対に、マンガン鉱山労働者のパーキンソン病、ウィルソン病、及び
透析誘発性アルミニウムエンセファロパシーでは、プラーク、もつれ、及び髄鞘
脱落は見られない。よって、銅、マンガン、及びアルミニウムの過剰負荷は、プ
ラーク、もつれの形成、及び髄鞘脱落とは関連性がない。
【0010】 ウィルソン病では、銅と結合するタンパクであるセルロプラスミンが遺伝的に
欠失していることにより、血清中の過剰な遊離銅が脳及び肝臓に若年期から蓄積
しはじめる。パーキンソン病、アルツハイマー病、ルーゲーリック病、オリーブ
橋小脳萎縮、ビンスヴァンガー病、アミロイド性脳血管障害、及び遺伝性脳出血
ダッチタイプは、セルロプラスミン又は他の金属結合タンパクの遺伝的欠失とは
関連性がない。ウィルソン病における細胞死は、クレープスサイクル酵素の阻害
等、直接的な銅毒作用によるものである。未治療の患者の脳及び肝臓における銅
濃度は、非常に高く、治療が成功した患者でも実質的には正常値よりも高い価に
留まっている。ウィルソン病は、銅の置換治療として、いかなるタイプの銅のキ
レート、ユニチオール、ジチオール、テトラミン、及び亜鉛にも反応する。 銅尿症及び組織中の銅濃度の低下として現われる治療効果は、数日から数週間続
く。ドーパミン受容体サブタイプの受容体密度の変化(Schlaug D., et al)は 、ウィルソン病に特異なものではなく、例えば精神分裂病やハンティントン病で
も起る。受容体サブタイプ密度の増加は、根底にある病状によって、ドーパミン
レベルの低下、無変化、上昇を伴うことがある。
【0011】 パーキンソン病、アルツハイマー病、オリーブ橋小脳萎縮、ルーゲーリック病
、ビンスヴァンガー病、及びアミロイド性脳血管障害では、銅は末梢毛細血管領
域には蓄積されない。パーキンソン病、エンセファロパシー後パーキンソン病、
アルツハイマー病、オリーブ橋小脳萎縮、ルーゲーリック病、及びアミロイド性
脳血管障害の病理学的発見には、神経原繊維のもつれ、アミロイドプラーク、顆
粒空胞変性、ヒラノ小体、レービー小体、ブミナ小体、髄鞘脱落、及び脳内のエ
ンケファリン分布の変化が含まれる。これらの変化は、ウィルソン病には見られ
ない。またウィルソン病は生物異体に対する感受性とは関連性がなく、生物異体
はMPTPダメージを真似てこれを促進させ、哺乳類及びヒトにおける運動能に
ダメージを与える。鉄、亜鉛、鉛、コバルト、水銀、又はニッケル等の金属は、
ウィルソン病又はマンガン鉱山労働者のパーキンソン病における病理学的変化を
引き起こすものではない。 I.フリーラジカル「生成」及び「保護」酵素 パーキンソン病のカタラーゼでは、還元型グルタチオン及びグルタチオンペル
オキシダーゼもまた減少している(Ambani A., et al., Perry T.L. et al.)。
パーキンソン病患者の黒質では、還元型グルタチオンのレベルは非常に低く、正
常な黒質は、ヒトの脳の他の核に比べて還元型グルタチオンのレベルが低い核で
ある(Perry T.L., et al.)。スペルミジンはグルタチオンに結合し、加齢によ
って失われていくポリアミンは、グルタチオンレベルを低下させる可能性がある
(Dubin D.T., 1959)。ヒト尾状核及び被殻が含有するスペルミジンのレベルは
、脳の他の領域よりも低く、スペルミジン/スペルミン比も低い(Kremzner L.T
.)。肝臓では、スペルミジンレベルは加齢に伴って低下するが、スペルミンレ ベルは僅かに上昇し、よってスペルミジンのスペルミンに対する比は低下する。
しかしながら脳においては、スペルミンレベルの低下がスペルミジンレベルの低
下より大きいため、この比は増加する(Janne J. 1964)。
【0012】 黒質、尾状核、及び被殻におけるペルオキシダーゼ活性は、パーキンソン病の
脳の黒質及び被殻においてカタラーゼ活性が低下するのと同様に低下する(Amba
ni A. et al.)。グルタチオンの合成に必要なシステインは、重合してニューロ
メラニンになるフェオメラニンによって、ドーパミン作用性ニューロンにおいて
消耗される場合がある(Prota G.)。この不均衡は、ドーパミン作用性ニューロ
ンにおけるメラニン合成と関連するレドックスストレスの増加原因となり得る(
Seals R.C.)。ヒトの脳では、グルタチオンペルオキシダーゼ及びグルタチオン
リダクターゼ活性は、加齢に伴い低下する(Marttila R.J. et al., 1988)。
【0013】 コントロール及びアルツハイマー病患者の脳の大型錐体細胞において、高レベ
ルのCuZn SODが、免疫組織化学的に実証された(Delacourte A., et al.
, 1988)。スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子が染色体21上に局所化するこ
と、及びダウン症候群ではアルツハイマー病が早期に発症することは、スーパー
オキシドジスムターゼ活性及び過酸化水素生成が、アルツハイマー病の病因の一
つであるかもしれないということを暗示している。また、高レベルのNADPH
ジアホラーゼを含有するニューロンは、新生児低酸素症及び低血糖症では比較的
残されているが、アルツハイマー病では影響を受けている。アルツハイマー患者
のサブグループに見られる、血小板膜生合成の制御障害によると思われる血小板
膜流動性の上昇は、赤血球スーパーオキシドジスムターゼ濃度の上昇とは関連性
がない(Zubenko G.S. et al. 1989)。
【0014】 スーパーオキシドは、カタラーゼ及びグルタチオンペルオキシダーゼの阻害剤
である。スーパーオキシド及びヒドロキシルラジカルはカタラーゼを阻害し、過
酸化水素及びヒドロキシルラジカルはグルタチオンペルオキシダーゼを阻害し、
過酸化水素はスーパーオキシドジスムターゼを阻害する(Pigeolet E., et al. )。
【0015】 基底核における酵素系は、以下の構成で作用する: 過酸化水素を排除する酵素活性の、加齢に伴う低下及び疾患に関連する低下は、
特に毛細血管で生じるので、銅及びマンガン依存性スーパーオキシドジスムター
ゼを過剰に活性化することによって、保護酵素のキャパシティーが覆されること
がある。この酵素は、過剰な基質や生成物によって阻害されてしまうので、限ら
れた範囲においてのみ活性であるパーキンソン病、MPTPパーキンソン病、及びグアマニアンパーキンソン性痴 呆(Guamanian Perkinsonian Dementia)におけるレドックス環境の要旨 パーキンソン病の現象として、過剰な酸化鉄及び酸化銅の置換が挙げられる。
メラニン及びリポフスチン含有核の生理学的枠組みにおいて、過剰なスーパーオ
キシド基質又は生成物によって阻害されるグルタチオンペルオキシダーゼ及びカ
タラーゼのレベルが低いということは、レドックス活性はどちらの向きにも限ら
れたシフトしか許容されていないということを示している。NADPHジアホラ
ーゼは、これらの核を新生児低酸素症等における酸化ストレスから保護すること
ができるが、還元剤の影響を受けやすくしてしまう。スーパーオキシド及びヒド
ロキシルラジカルはカタラーゼを阻害し、過酸化水素及びヒドロキシルラジカル
はグルタチオンペルオキシダーゼを阻害し、過酸化水素はスーパーオキシドジス
ムターゼを阻害する(Pigeolet E., et al.)。
【0016】 亜鉛はレドックス金属を置換し、大腸菌(E. coli)におけるパラクアット毒 性を防止する効果が認められた(Korbashi P. et al.)。そしてヒスチジンは大
腸菌(E. coli)においてMPP+誘導性ダメージを成功裏に防止した(Haskel
Y., et al.)。スーパーオキシドジスムターゼ阻害剤であるジエチルチオカーバ
ーメートは、マウスの線条においてドーパミンレベルを低下させるMPTP効果
を促進させた(Corsini P., et al.)。逆にいえば、肝細胞におけるMPTPの
毒性は、1,3−ビス(2クロロエチル)−1−ニトロソウレア(BCNU)の
添加によっては増加せず、デスフェロキサミン及びペニシルアミンには、単離さ
れた肝細胞において(Smith M. et al.)及びRana pipiensにおいて(Barbeau A
., et al., 1985b)、MPTP毒性を防止する効果はなかった。またMPTP及
びMPP+は、単離された肝細胞中で、脂質の過酸化を生じさせなかったが、M
PDP+は生じさせた(Ekstrom G., et al.)。
【0017】 亜鉛による金属置換及びヒスチジンによる金属結合は、細菌培養物中でMPT
P毒性に拮抗することができる。還元剤、スーパーオキサイドジスムターゼ阻害
剤、及び鉄キレートデスフェロキサミン等の銅可動化剤は、MPTP毒性を促進
する。
【0018】 Smith及びEkstromの研究は、MPTP及びMPP+が還元剤であることを示し
ている。さらに、還元剤として作用するジエチルチオカーバメート(ジエチルチ
オカーバメートはスーパーオキシドジスムターゼ阻害剤である)及びペニシルア
ミン等のチオール含有化合物は、ドーパミンレベルを低下させ、MPTPによる
脳内ドーパミンの低下を倍増させることは明らかである。
【0019】 デスフェロキサミンもまた脳内ドーパミンを低下させた(Barbeau A., et al.
, 1986)。デスフェロキサミンの神経毒性は、銅の可動化によるものと考えられ
る。
【0020】 還元ストレスは、MPP+ダメージ及びヒトグアマニアンパーキンソン性痴呆
の双方に共通するものである。MPP+の毒性は、ミトコンドリアからのカルシ
ウム放出と関連している(Frei B.)。ミトコンドリアのカルシウムの可動化は 、NMDA受容体作動に続く細胞内へのカルシウム入来に続いて起ることがある
。NMDA作動薬は、MPTPで処理したマウスの黒質における組織学的ダメー
ジを防止するにあたって、それなりの成功を収めている(24 L. Turski et al. )。 MPTPダメージを防止する潜在能の高さは、キスカレート作動性とは関連して
いない。ソテツ(cycas circinalis)の種に含まれるアミノ酸であり、筋萎縮性
側索硬化症及びグアマニアンパーキンソン性痴呆(Guamanian Parkinsonian dem
entia)並びにパーキンソン症候群のモデルと関連があるBNメチルアミノ−L −アラニンの毒性はまた、2アミノ−7−フォスフォノヘプタノイックアシッド
(AP7)(Ross S.M. 1987a, 1987b)及びMK801(Zeevalk G.D.et al.)
グルタミン酸A1受容体作動薬によっても防止することができる。還元剤である
ジチオスレイトールは、NMDA受容体が仲介する網膜神経節細胞における細胞
死を増加させる。これは細胞のレドックス状態が、グルタミン酸及びカルシウム
の入来に対する反応性に影響を与えていることを示している(Levy D.I.)。酸化及び還元による色素沈着及び色素消失 パーキンソン病で生き残ったニューロン内では、ドーパミンの代謝回転が増加
する。最もダメージを受けやすい脳の核は代謝率が高いので、高いミトコンドリ
ア酵素代謝回転を要する。これらの核では、酸化及び還元された形態の結合した
金属のレベルが高く、保護酵素のレベルが低いことを鑑みると、酸化ストレス及
び還元ストレスを扱うキャパシティーが限られている。ニューロンがアミン前駆
体、アミン、及びその生成物を酸化してニューロメラニンとし、メラニンの分解
ではなく総沈着量を維持できるとすると、金属を蓄積し続けることができる。金
属が幾分過剰に存在していても、ニューロアミンの生成は金属依存性水酸化反応
の影響を受けるので、カテコールアミン及びインドールアミンの合成は増加する
。パーキンソン病で生き残ったニューロンでは、ドーパミン代謝回転の増加が見
られる。これは、酸化鉄と還元鉄との比が酸化鉄の方へシフトするが、還元鉄の
絶対レベルが高いことによって促進されるものである(Riederer P. et al)。
【0021】 ニューロメラニンは徐々に沈着し、ヒトの場合は少なくとも6歳になるまでは 肉眼による検知はできない。ヒトの加齢と共にニューロメラニンの沈着は増加す
る。ドーパミン、ノルエピネフィリン、及びエピネフィリンはチロシナーゼによ
って酸化され、アミノクロム、ノルアドレノクロム、及びアドレノクロムとなる
。 アミンの自動酸化は、キノン中間体を経て、これが閉環してニューロメラニンポ
リマーを形成することによって行なわれる(Graham D.G. et al., 1978a)。二 価の鉄及びマンガンは、in vitroでドーパミンの自動酸化を増加させる(Barbea
u A. et al., 1986)。
【0022】 ポリフェノール化合物源としてのドーパミンは、β−水酸化カテコールアミン
、ノルエピネフィリン、及びエピネフィリンよりも、C1300神経芽腫細胞に
対する細胞毒性が非常に高いことが判った。これはドーパミンが細胞内でより酸
化されやすいためか、若しくはそのキノン生成物の反応性がより高いためのいず
れかである(Graham D.G. et al.)。6ヒドロキシドーパミンのヒドロキシキノ
ン生成物は、グルタチオンのシステニル残基と二重結合する(Liang Y.O.et al.
)。黒質における色素沈着の度合いは、進化の物差し上でその動物がヒトに近い
関係であるほど高くなる(Marsden C.)。自動酸化率は、種の最長寿命と反比例
して異なる(Cutler R.G.)。
【0023】 黒質、淡蒼球、赤核、被殻における鉄のレベルは、ヒトの脳内で最も高く、銅
のレベルは青斑と黒質で最も高い。銅のレベルは淡蒼球及び被殻でも高い。これ
らのポリマーは、金属と電子との沈下物を形成し、色素消失中に金属を放出する
ことがある。遊離した鉄及び銅はまた、プレアスパルギン酸プロテアーゼ活性(
このうち7つはメタロエンドペプチダーゼである)及びカルパイン活性を促進し
得る。パーキンソン病及びアルツハイマー病におけるミトコンドリアへのダメージ A.ミトコンドリア染色体 特発性パーキンソン病の患者の血小板ミトコンドリアにおけるコンプレックス
I(NADH:ユビキノン酸化還元酵素)活性は低下している(Parker W.D. 19
89)。アルツハイマー病では、欠陥血小板小胞体NADH−チトクロムcリダク
ターゼ活性が生じ(Zubenko G.S> et al 1989)、またアルツハイマー病患者の 血小板ミトコンドリアではチトクロムオキシダーゼの欠損が生じる(Parker W.D
. et al., 1990)。MPTP神経毒はNADHデヒドロゲ名―ゼを阻害する(Si
nger I,P,, et al.)。クロラムフェニコール等の抗生物質もまた、ミトコンド リアNADHデヒドロゲナーゼ活性を阻害する。
【0024】 電子伝達鎖から電子を除去するメチルビオロゲン等の化合物は、運動効果を奏
し、これに長い期間曝されると、脳のドーパミン及びノルエピネフィリンレベル
が実質的に低下する。 B.パーキンソン病におけるエンケファリン パーキンソン病の脳では、被殻、黒質、及び腹側被蓋領域においてメチオニン
及びエンケファリンレベルが低下する。線条では、メチオニン及びロイシンエン
ケファリンが同じニューロンに蓄積され、プロエンケファリンAから誘導される
。黒質及び腹側視床領域では、メチオニン及びロイシンエンケファリンが同じニ
ューロンには蓄積されないこともあり、また同じ前駆体からは誘導されないこと
もある。プロエンケファリンBのシーケンスは、プロネオジノルフィン、ジノル
フィン、及びロイシンエンケファリンを含むが、メチオニンエンケファリンは含
まない。ジノルフィン及びネオエンドルフィンは、黒質中に高濃度で存在し、一
方ジノルフィン及びネオエンドルフィンの線条での濃度は高くない。プロエンケ
ファリンAの道筋つまりニューロンの選択的退化は、なぜ双方のペプチドのレベ
ルが線条において低下し、メチオニンエンケファリンレベルのみが黒質において
影響を受けるのかを説明しているようだ(Taquet H.)。D−アラニン−2メチ オニン−5(3H)エンケファリンアミド結合によって測定されるように、パー
キンソン病の黒質の緻密層部では、オピエートレセプター結合は低下している。
エンケファリナーゼ活性も同様に低下している(Llorens-Cortes C., et al.) 。アカゲザルをMPTPによって処置すると、他のペプチドの濃度は変えずに、
黒質におけるメチオニンエンケファリン濃度が選択的に低下した。メチオニン、
エンケファリン、アルギニン、グリシン、ロイシン、及びプロエンケファリンB
から誘導されたペプチドαネオエンドルフィン及びジノルフィンは被殻では低下
したが、メチオニン及びロイシンエンケファリンは、MPTP処理の後、淡蒼球
では低下しなかった(Lamir N.)。 C.エンケファリン及びMPTP 神経毒であるMPTPはまた、アカゲザルの黒質におけるメチオニンエンケフ
ァリンレベルを低下させる。エンケファリンの変化と解剖学的部位との間の関連
性は、パーキンソン病ではプロエンケファリンA通路又はその遺伝子発現が選択
的に退化することを示している(Taquet H., 1983)。
【0025】 パーキンソン症候群を発症させるMPTPのキャパシティーは、そのオピオイ
ド発現及びエンケファリン結合部位に対する効果と関連していると思われる。エ
ンケファリンは、ドーパミンの代謝回転及び放出に影響を与え、これは脳の基底
核領域における基礎代謝に影響を与える。 D.チトクロフィン オピエ−と誘導体であるMPTPがパーキンソン症候群を誘導し、パーキンソ
ン病ではプロエンケファリンA生成物が低下するとすると、内因性オピオイドが
、パーキンソン病における病態生理学的障害のいくつかの原因となっていると考
えられる。牛染色体bの酵素分解によってペプチドが生成されるが、このペプチ
ドのシーケンスTyr-Pro-Phe-Thr、つまりヒトミトコンドリアチトクロムbの画 分345−349は、チトクロフィン−4と呼ばれている。これは、広範囲にわ
たるオピオイドと比較して測定すると、モルモットの回腸筋層間神経叢/縦走筋
試料における電気的に誘発された収縮を阻害する際に、オピオイド活性を有する
(Brantl V., et al.)。ヒトミトコンドリアチトクロームbには、同じペンタ ペプチドシーケンスTyr-Pro-Phe-Thr-Ileが存在する(Anderson S., et al.)が
、マウスのミトコンドリアチトクロームbには存在しない(Bibb M.J. et al.)
。これらのチトクロフィンシーケンスはまた、ヒトNADH−ウビキノン酸化還
元酵素チェーン4(コンプレックス1)中にも存在し、パーキンソン病ではその
活性が低下している。 パーキンソン病の病理 パーキンソン病における鉄の過剰、低い除去酵素(scavenging enzyme)活性、 ミトコンドリア代謝の阻害、ミトコンドリアの形態学的ダメージ及びエンケファ
リン経路へのダメージは、ミトコンドリアのDNA損傷及びそれから翻訳された非 機能的シトクロームの蛋白分解から起こる。ミトコンドリアDNA環境、そのダメ ージ及びピリミジンニ量体修復システムの欠損は、パーキンソン病を発達させや
すくする。パーキンソン病及びアルツハイマー病における、それらの結果として
起こる斑及びもつれの形成は、メタロエンドペプチダーゼを活性化させる鉄、銅
及びカルシウムの放出により起こる。脳炎後パーキンソニズムにおける、ダメー
ジの、異なる解剖学的分布は、インフルエンザウイルスが核DNA及び蛋白合成に 影響する態様と関連する。
【0026】 パーキンソン病は、年齢に関連する、遊離ラジカルの蓄積、生体異物、ドパミ
ン、キノン、放射線、及び年齢関連のポリアミンレベルの減少により起こされる
ミトコンドリア内DNAダメージの結果でありうる。銅は、生体異物誘導DNA塩基ダ
メージを促進するのに、特に活性である(Yourtee DM. et al 1992)。パラクアッ
ト及びポリアミン、プトレッシン、及びスペルミジンは取り込みの相互競合的阻
害を示す。これは、パラクアットはポリアミン取り込みシステムを用いることを
示す(Grabie V et al 1993)。ミトコンドリアDNAは、コード配列中のDNAに比べ て最大17倍速く変異し(Wallace D.G. et al 1987 )、静的な変異(silent mutati
on)に比べて最大6倍の速度で変異する(Lanave C. et al 1984, Miyata T. et al
1982)。ミトコンドリアは、ピリミジンニ量体修復システムを欠いている (Clay
ton D.A. et al)。
【0027】 加齢の間において及びパーキンソン病患者において、脳のいくつかの領域で、
5000塩基対の欠失が観察されている( Ikebe S. et al)。いくつかのサイトのい ずれかにおける単一塩基対の変異又は欠失は、ミトコンドリアミオパチー患者に
おいて、複合体I欠損を起こしうる(Holt I.J. et al)。全てのパーキンソン病の
症例のうちまれなものであるが、これらの顕著な欠損は、ランダムなDNA塩基の ダメージが同様のパターンの病気を起こしうることである。
【0028】 60代及び70代に発生した筋萎縮性側索硬化患者からの白血球は、アルキル化剤
に曝した後に、ダメージ耐性DNA合成を示す(Lambert C.W. et al 1989)。この変
化は若いうちに発症した症例では顕著でなく、二次的に発生しうるものである。
欠損DNA修復は、アルツハイマー病患者の繊維芽細胞中において報告されている(
Li J.C. et al 1985)。
【0029】 シトクローム調節の乱れは、鉄及びオピオイドの欠損をもたらしうる。正常の
ミトコンドリア転写物又は以上に配列された又はスプライシングされたものの過
剰の転写、過剰の翻訳は、ミトコンドリア内鉄過剰、細胞内の鉄及び内因性オピ
オイド、サイトクロフィンの過剰のもととなりうる。
【0030】 体液中の遊離鉄レベルは、10〜18Mのオーダーである。大抵の血清中の鉄はト ランスフェリンに結合し、細胞内への鉄の取り込みはトランスフェリン受容体の
活性に依存する(Testa U.)。
【0031】 上昇した鉄レベルは、キノン中間体を介するカテコールアミンの酸化及び遊離
ラジカル毒性を促進する。内因性オピオイドは、プロエンケファリンA転写又は その転写後調節の抑制を起こしうる。そして、小胞におけるドパミン及び他のア
ミン保存及び後シナプス効果にも影響する。
【0032】 ミトコンドリア転写及びミトコンドリア翻訳の遮断によるミトコンドリアシト
クロームの阻害は、正味の還元への酸化還元状態シフト及び色素減少(depigment
ation)をもたらす。いくつかの生体異物が以下に試験された;リファンピシン、
臭化エチジウム、クロラムフェニコール及びオキシテトラサイクリン。 パーキンソン病における蛋白及びメッセンジャーリボ核酸の変化 グリオーシスは、特発性パーキンソニズムにおいて常に見られる知見であり、
黒質ニューロンの脱メラニン化は、ニューロンの損失が見られない場合において
さえ一般的に見られる ( Friede R.)。疾患の早い段階において、異常なメッセ ンジャーRNAの顕著な増加がグリアにおいて見られ、ニューロンメッセンジャーR
NAにおける同様の増加が疾患の後の段階で観察される(Gomirato G. et al)。影 響された神経グリアのRNAにおけるアデニンの比率が増加し、グアニン及びウラ シルのそれが減少する。疾患の早期に死亡したパーキンソン病患者において、メ
ッセンジャーRNAの増加は、黒質ニューロンのメラニン含量と反比例する。筋萎 縮性側索硬化において、残った運動ニューロンは、包含物-リボ核酸レベルが高 くLewy体様又は好酸的であるBumina体を含む (Chou S.M. 1979)。
【0033】 パーキンソン病患者の赤血球中の蛋白の異常な電気泳動パターンが主張されて
おり、パーキンソニズムは、生化学的及び機能的脱差異化をもたらすグリアの蛋
白合成の機能不全が関与しているという示唆を導く(Weisberger A.S. et al)。 ミトコンドリアDNA、rRNA、mRNA 及び蛋白合成は、例えば筋肉組織中の収縮活動
に応答したミトコンドリアシトクロームbで示されたように、代謝要求に応答し て増加する ( Williams S.R. 1986)。複製数の増加は核遺伝子において起きたも
のより大きく、そして、16s rRNA 及び12S r RNA の比率は変化しなかった (Wil
liams S. et al 1986)。クロラムフェニコールは、ミトコンドリアRNA合成を増 加させ、ミトコンドリア蛋白合成を阻害し、ミトコンドリアNADHデヒドロゲナー
ゼ活性を減少させる。クロラムフェニコールが増殖している細胞における蛋白合
成を阻害すること(Weisberger A.S./ et al )に基づいて、パーキンソン病患者 において、クロラムフェニコール1日当たり1.5〜2.0グラム、6週間のの非対照 治験がなされた。パーキンソン病患者における治療開始4〜17日以内に始まる
硬直及び運動障害及び続いての震顫の臨床的な改善、及び臨床医又は患者にそれ
が最初に明らかとなってから10〜28日に亘り増加する改善( Steffanis G.N. et
al)。もしシトクロームのターンオーバーが疾患過程の制御に有益な効果を有し ていれば、これはNADHデヒドロゲナーゼの阻害及びクロラムフェニコールにより
必要となる余計の解毒要求により軽減される。 特発性パーキンソニズムと比較したMPTP パーキンソニズム パーキンソニズムのMPTPモデルは、パーキンソン病のそれとは同じでない、脳
内のオピオイドの変化をもたらす。ミトコンドリア及びサイトゾール中のMPP+は
、シトクロームからの鉄イオン放出の放出の必要を除く還元剤として働く。遊離
ラジカルは、エンケファリン活性に影響することができ、電子移動鎖から電子を
吸引し、金属を結合又は放出する。従って、オピオイド経路ダメージの形成、電
子移動反応の干渉、シトクローム阻害、ATP 枯渇、酸化還元金属の利用可能性の
変化において、それは、DNAダメージ又は転写の欠陥なしに、迅速にパーキンソ ン病の下流の欠陥を模倣する。しかしながら、 アデノシン三リン酸の枯渇及びアデノシンニリン酸レベルの上昇はミトコンドリ
ア翻訳速度を増加させ、これは、恒常性調節メカニズムである。Lewy体は存在し
ない。しかしながら、サルへのMPTPの減らした投与は、未成熟なLewy体病理の結
果を示しうる。それらは、神経細管と類似したランダムな方向のフィラメント又
は細管を含んでいた (Fomo L.S. et al 1988 )。げっ歯目ではパーキンソン症候
群は起こらないが、それは高用量で細胞毒性である。異なる種におけるMPTPパー
キンソニズムの誘導性は、メラニン化レベル、及び加齢の間のグルタチオンペル
オキシダーゼ及びカタラーゼの損失の程度に依存する。 グアマニアンパーキンソニアン痴呆及びNMDA受容体 MPP+毒性は、ミトコンドリアからのカルシウム放出と関連している( Frei B.
)。ミトコンドリアカルシウムの可動化は、NMDA受容体アゴニズムに続く細胞へ のカルシウム進入に続いて起こる。NMDA アンタゴニストはMPTP処理マウスの黒 質における組織学的ダメージの防止においていくつかの成功を示している。 (24
L.Turski et al)。MPTPダメージ防止の効力の順序は、クイスカレート(quisqua
late)アンタゴニズムと関連しない。ソテツ( cycas circinalis )の種中に見出 されるアミノ酸であり筋萎縮性側索硬化及びグアマニアンパーキンソニアン痴呆
及びパーキンソニズムモデルに関連するB N メチルアミノ-L-アラニンの毒性は 、2 アミノ-7-ホスホノヘプタン酸 (AP7) (Ross S.M. 1987a, 1987b) 及び MK80
1 (Zeevalk G.D. et al) グルタメートA1受容体アンタゴニストにより防ぐこと ができる。還元剤ジチオスレイトールは、網膜ガングリオン細胞内のNMDA受容体
媒介細胞死を増加させる。このことは、細胞の酸化還元状態は、グルタメート及
びカルシウムの進入に影響することを示している(Levy D.L)。 NMDA受容体とポリアミド ポリアミドは、NMDA受容体に2相の作用をする。低用量ではアゴニスト的に、
高用量ではアンタゴニスト的であり、アゴニズム及びアンタゴニズムの範囲及び
強度は鎖の長さ及び末端窒素原子の周りの荷電の分布に伴ない変化する。スペル
ミンは、海馬NMDA受容体の活性を増加させる。1mMスペルミンの存在下で、グリ
シンに対する見かけの親和性の3.5倍の増加及びNMDAに対する最大応答の増加が ある。電圧依存ブロックが起こり、それはイオンチャンネル(3H) MK801サイト内
でのポリアミンの結合のためであると考えられる (Beneviste M et al 1993)。 プトレッシン等の他のポリアミンは、スペルミン誘導NMDA応答増強を阻害する (
McGurkJ.F.1990)。 銅とオピエート受容体 チオールの酸化剤である第二銅イオンは、マウスに脳室内投与された際に、ナ
ロキソンにより反転可能な痛覚消失を起こす。チオールの還元剤であるジチオス
レイトールは痛覚消失を反転させるが、酸化型では何の効果もない (Mazullo G.
et al 1980)。ヒト赤血球内のグルタチオン銅複合体は、オピエート受容体を阻
害する。銅は、高親和性オピエートサイトを低親和性に変換する。これは受容体
効果器系の活性化及びカップリングに必須の工程である (Sadee W. et al 1982)
。銅、カドミウム及び水銀はオピオイドアゴニストのmu受容体への結合を、デル
タ受容体への結合よりも阻害する。亜鉛はmu受容体の結合を阻害する一方、デル
タ及びカッパ受容体は亜鉛に感受性ではない。マグネシウム及びマンガンは、ラ
ット大脳皮質において、これらの受容体への結合を促進する (Tejwani G.A. et
al 1990)。マイクロモル濃度における亜鉛及び銅は、ラット脳において、エンケ
ファリンサイトの数及び親和性を減少させる (OgawaN. et al 1985)。 ポリアミンとプロテインキナーゼC スペルミン等のポリアミンは、最適には濃度5mMにおいてプロテインキナーゼ
Cの触媒ドメインを阻害しうる。 (Mezetti G. et al 1988)。ヒストンへのホス ホリル化の阻害は、非競合的であり、リン脂質へのカチオンポリアミド結合の結
果である。トリエチレンテトラミンもまた、プロテインキナーゼCのリン脂質ホ スファチジルセリンへの結合を阻害する (Moruzzi M.S. et al 1990)。正に荷電
した末端アミノ基、適切な脂肪族側鎖、内部窒素原子の適切な間隔及び分子内疎
水性が、必須の構造的要件と思われる。スペルミンは、カルシウム濃度が0.1μM
より下である場合、プロテインキナーゼCと膜との複合体の形成を阻害する。よ り高いカルシウム濃度において、スペルミンは、酵素分子の膜への可逆的および
非可逆的結合の比率に影響する。(Moruzzi et al 1995)。銅は、プロテインキナ
ーゼCを阻害し、そのIC50は約30μMである。阻害は、ホスファチジルセリンの濃
度を増加させることにより回復される。 (Speizer L.A. et al)。 ポリアミンとニューロン再生 スペルミン、スペルミジン及びプトレッシンは、損傷をうけた海馬ニューロン
の軸索の再生を促進する (Chu P et al.)。ラットに皮下注射されたプトレッシ ン、スペルミン及びスペルミジンは、免疫組織化学的に検出しうる神経成長因子
を増加させる (Gilad G. et al)。高い組織プトレッシンレベルを有していた、 オルニチンデカルボリラーゼ(ornithine decarboylase)を過発現する遺伝子導入
マウスは、ノーザンブロット分析で、海馬において、上昇した脳由来神経栄養因
子(neuronotrophic factor, BDNF)、神経成長因子(NGF)、及びニューロトロフィ
ン-3(NT-3)のmRNAレベルを有していることが見出された(Reeben M. et al)。 銅とコリン作動性受容体 3μM濃度の銅は、 (3H)-l-キヌクリジニルベンジレート結合サイトの数を、40〜50パーセント減少 させ、それに伴ないムスカリンサイトで親和性を増加させ、アゴニスト親和性を
減少させる。2,2,2テトラミンは銅の効果を反転させる。ペニシラミンは、銅と 同様の効果を起こすが、これはおそらくスルフヒドリル(sulfhydryl)基間のジス
ルフィド結合の形成による (Parrar et al 1984)。銅は、ムスカリンアンタゴニ
ストの親和性に影響することなく、ラット海馬及び皮質において(Fisher A. et
al)、及びウシ脳において(Baron B et al 1984)M1及びM2アゴニストの親和性を 増加させる。銅の欠損は、ラット脳において、ムスカリンコリン作動性受容体の
数及び親和性を減少させる (Farrar et al 1985)。 発明の要約 本発明は 変性神経疾患の治療における、伝統的な物質置換療法、例えばLDopa治療におけ るドパミン置換、アルツハイマー病の治療における抗コリンエステラーゼ薬を用
いることによる後シナプス位置におけるアセチルコリン増加、又はパーキンソン
病及びアルツハイマー病の治療における成長因子又は拡散神経ペプチド例えば物
質Pのセルグラフティングを介する供給、等を超えるものを探す試みの結果であ る。
【0034】 かわりに、本発明は、パーキンソン病、アルツハイマー病、グアマニアンパー
キンソン痴呆(Guamanian Parkinsonian Dementia)、筋萎縮性側索硬化、オリー ブ橋小脳萎縮、遺伝性脳内出血-オランダ型、アミロイド血管障害、バッテン病(
Batten's Disease)、及びビンスワンガー病(Binswanger's Disease)における神 経の合併症等における、細胞活性の内在調節に関するものである。なぜ特定の神
経がこれらの疾患において優先的なダメージのターゲットになるか、どのように
、筋萎縮性側索硬化(ルー・ゲーリッヒ病)及びグアナミアンパーキンソン痴呆
における病因のカスケードにおける後に起こる関係する重要性に対し、異なる精
神病理学的現象がパーキンソン病及びアルツハイマー病及びバッテン病における
ダメージのパターンを決定するかについての理解が誘導される。診断的テストが
進められる段階及び治療が用いられる際において、さらなる理解が得られる。 病因における現象のカスケード パーキンソン病において、ミトコンドリアDNAは、自然発生ポリアミドのレベ ルが低下した状態において、ドパミン及び生体異物(Xenobiotics)によりダメー ジをうける。ポリアミンは、立体相互作用による有機分子によるダメージからDN
Aを保護する。それらはまた、神経成長因子、脳由来神経刺激因子等の成長因子 の転写を誘導する。ポリアミンは、MNDA受容体の活性を調節し、MK801イオンチ ャンネルにおけるアゴニズム又はアンタゴニズムのレベルに影響する。ポリアミ
ンは、グルタチオンに結合することにより、酸化還元恒常性を調節する。ポリア
ミン欠乏に関連するこれらの一次的な欠乏は、 成長因子レベル又は比率の変化、MK801イオンチャンネルを介したカルシウムの 迅速な進入及びダメージを受けたRNA転写体による代謝結果を介し、これらの疾 患の非差異化(dedifferentiation)過程を起こし、欠損シトクロームを産生する 。
【0035】 2次的に、欠損シトクロームは、タンパク分解され、エンケファリン副生物を
放出し、遊離鉄をミトコンドリアマトリクスに放出する。鉄は、ダメージを受け
たカルシウム負荷ミトコンドリアから浸出し、ニューロンのサイトゾールに行く
。NMDA受容体活性化は、細胞へのカルシウム進入を起こす。
【0036】 3次的に鉄等の金属の遊離量の総量の増加は、他の金属、例えば銅、ニッケル 、コバルト及び鉛の、それらが結合している位置からの置換をもたらす。これら
の金属の一つ以上は、プレアサパテート(preasapatate)プロテアーゼを過剰に活
性化し、ベータアミロイド及び絡まって関係したタンパクを産生しうる。パーキ
ンソン病及びアルツハイマー病において、絶対的な銅レベルの増加を伴わないか
又はより多くの場合組織銅レベルの実質的な減少(脳脊髄液におけるそれらの損
失による)を伴う、遊離銅レベルの増加がある。遊離銅は、アミンオキシダーゼ
、チロシナーゼ、銅亜鉛過酸化物ジスムターゼ及びモノアミンオキシダーゼBを
活性化する。これらのプレアスパルテートプロテアーゼは、亜鉛、鉄、カルシウ
ム、コバルトを含むいくつかの2価金属イオンにより活性化し得る。これらのプ ロテアーゼについての文献は、亜鉛及びカルシウムは特にそうしうることを示し
ている。プレアスパルテートプロテアーゼの活性化及びアミロイド産生における
2価金属イオンの役割がこのモデルにおける3次的現象としてあれば、それは、
パーキンソン病を有し、続いてアルツハイマー病を発症する患者が、逆より多い
という臨床的状況と一致する。グアマニアンパーキンソン痴呆において、同様に
、プラーク形成は運動ニューロン及びパーキンソン病理に続いて起こる。
【0037】 より具体的には、治療的化合物は、DNAダメージからアミロイド産生へ延長
するこの現象のカスケードにおいて複数の作用を有する; a)ポリアミン輸送サイトにおける生体異物、例えばDNA損傷の原因となる有機分 子のとりこみの競合的阻害; b)脂肪族テトラミンの存在による遊離銅、鉄及びニッケルイオンの除去によるミ
トコンドリアDNAダメージの限定 c)神経成長因子、脳由来神経刺激因子及びニューロノトロフィン-3遺伝子転写の
誘導 d)NMDA受容体の親和性の調節及びMK801イオンチャンネルのブロック; e)還元グルタチオンの結合及び保持; f)脳内の酸化還元環境の恒常性の維持 g)メタロチオネインの誘導 h)タンパクキナーゼCの阻害 i)脳内の2価金属の非毒性キレート化 j)プレ-アスパルテートプロテイナーゼの活性の調節 k)過酸化ジスムターゼ、アミンオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼBの阻害 ; l)痴呆における、内因性ポリアミンレベルの維持による脳内ポリアミンレベルの
調節 実験的バックグラウンド カエルにおいては、ヒト及びサルにおいて効果を起こす量に比較しうる量のMP
TPの注入に続いて、ブラジキネシア(Bradykinesia)、硬直及び震顫が起こる(Bar
beau A. et al 1985a. MPTP及びパラクアットは硬直、ブラジキネシア及び震顫 をカエルにおいて起こす。パラクアットは始めに脳ドパミン濃度の増加を起こし
、その後減少を起こす(Barbeau A. et al 1985b)。クロラムフェニコールを伴 った場合、運動効果もここで観察された。
【0038】 加齢の色素過剰は、痴呆病理の色素減少に先立ち、MPTPもまた、色素過剰と色
素減少を順に起こす。色素化は、チロシナーゼを活性化する銅を必要とする酸化
的なプロセスである。銅の除去及び又は酸化還元状態の正味の還元へのシフトは
、スピントラッピング及びスピンラベリング化合物において観察されたように、
先立つ色素過剰を伴わない色素減少を起こす。
【0039】 細胞下金属コンパートメンテーション及び酸化還元酵素系の不自由化を妨害す
る生体異物及びキレートの使用から明らかな拘束があれば、有効な化合物は、過
剰の銅をチロシナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、モノアミンオキシダーゼB、ア
ミンオキシダーゼから除き、且つ特発性パーキンソニズムにおいて銅を保存サイ
トから移動させる鉄過剰を除く必要とする。直接な過酸化物ジスムターゼ又はチ
オール含有還元剤であってはならない。トリエチレンテトラミンは、グルタチオ
ンの酸化を伴わずに、過酸化物ジスムターゼ活性を減少させる(Kelner M.J. et
al 1989)。過剰の金属の除去及びポリアミン分解の限定は、ミトコンドリアDN
Aダメージの防止及びDNA塩基複製の忠実性の補助のためにはおそらくもっと
も有効な手段である。テトラミンは、これらの要求に対して有望な化合物であり
、この系において試験された。それらは、銅、鉄及びニッケルの代謝において効
果を有し(Sunderman F.W et al 1976, Baselt R.C.et al 1977)、非常に効果 的なキレーターであり、毒性は低いと報告され、またメタロチオネイン合成を誘
導する。 実験的観察 MPTPは、Barbeauらにより、アカガエルにおいて、パーキンソン症候群を誘導 することが示されている(Barbeau A. et al 1985b, 1986)。予め40mg/Kgを採用 した同様の用量のMPTPを用いたこのモデルを、MPTP及びカテコールアミンについ
ての前の観察を確認し、アカガエルモデルが便利で再現性があるので、それらを
インドールアミンの観察に延長するために用いた。中間タイムスケールにわたる
神経アミンの測定は、MPTP神経毒性への洞察を、短期間細胞培養実験において観
察された非特異的細胞死メカニズムと区別されるものとして提供した。 材料及び方法 20〜40グラムのカエル(アカガエル)を半水棲環境に、人道的な条件下で維持
した。カエルを人道的に屠殺した。髄を含む脳を、取り出し、-70℃で保存した 。MPTP遊離塩基をホスフェート緩衝生理食塩水に溶解し、日毎に新しいものを調
製した。動物に、単一用量のMPTP40mg/Kgを腹腔内投与した。金属、TEMPO、PBN 、生体異物、色素減少剤又は生理食塩水の負荷用量をMPTPの1時間前に投与した
。それぞれの治療及び対照群において6つの動物を用いた。脳サンプルを、20mg
/mlの3,4-ジヒドロキシベンジルアミンを含む冷たい0.1M HClO4中で音波破砕し
た。均質化物を15,000rpmで15分間4℃で遠心分離した。上澄みをHPLCチャンバー
に直接注入した。Rheodyneインジェクターを備えたRabbit Raininシステムを用 い、高性能液体クロマトグラフィーを行った。200nMリン酸ナトリウム緩衝液を クエン酸ナトリウム緩衝液の変わりに用いた改変を伴うWesterの方法(Wester P.
1987)を用い、15の神経アミン、前駆体及び分解産物が5pmolレベルで測定され た。脳の金属レベルを、Zeeman原子吸収分光光学測定機により測定した。前に採
用された系に従い、動きを評価した(Barbeau A. et al 1985)。色素を、Hogben とSlomeにより記載された評価スケールを用いて測定した。 2,3,2テトラミン(3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン) 2,3,2テトラミン(2,3,2テトラアミン、2,3,2テトラ-アミン)は、1936年より 合成されており(Van Alpen J. 1936)、このクラスのテトラミンは、主に工業に おいてエポキシ樹脂の硬化剤として粘着剤、塗料中で、またかび防止剤として用
いられてきた。構造的関連を有する又は同様の物理/化学/生物化学的振る舞いを
する化合物のリストは、後に示すが、これらには限定されない。ラットにおいて
、2,3,2テトラミン及び2,2,2テトラミン(トリエン)は有効な銅剤(cupuretic a
gents)であることが見出されており、2,3,2はより有効である(Borthwick et al
1980)。その高い有効性は、部分的には、2,2,2テトラミンより10,000倍高い銅親
和性を有することと関連している。2,3,2テトラミン中のCuN4クロモフォアは、2
,2,2テトラミンとは対照的に、略平面的である。2,2,2テトラミンは、ウィルソ ン病の治療(全身性の紅斑性狼瘡を起こしたためにペニシラミンを中止しなけれ
ばならなかった場合を含む)において成功裡に用いられてきた(Walshe J.M. 196
9, Harder H. et al 1977,及びWalshe J.M. 1975)。 2,3,2テトラミン MPTPの1時間前に前負荷された2,3,2テトラミン1.2mM用量は、MPTP注入12時間 後のMPTP誘導ドパミン損失の防止に完全に有効であり、36時間において部分的に
防止的であった。図1参照。2,3,2テトラミンは、3〜4時間の半減期を有し、一 方MPTPは24〜48時間に亘り排泄される。動物への、2,3,2テトラミンの腹腔内注 射による最初の12時間中の6時間ごとの投与は、36時間における完全な防止を提 供するのには不充分であった。2,3,2テトラミンは色素化又は行動において有害 な作用を何も示さなかった。これは、いくつかの動物で色素過剰をもたらした鉄
キレート1,2ジエチル3-ヒドロキシピリド-4-オン(CP94)とは対照的であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】 脳金属レベル アカガエルに、1日1回5日にわたり金属及びキレーターを腹腔内注射し、脳
の鉄、銅及びマンガンレベルを原子吸収分光光学測定法により決定した。 15mM FeNTA(ニトリロトリ酢酸)は脳鉄レベルを354nmoles/gm湿重量に増加さ せ、生理食塩水対照の179%であった。 15mM NTAは、脳鉄レベルを270nmoles/gm湿重量に増加させ、生理食塩水対照の1
36%であった。 FeNTAは脳銅レベルを45nmoles gm.湿重量に増加させ、対照の169%であった。 NTA単独では、脳銅レベルを45nmoles/gm.湿重量に増加させ、生理食塩水対照の1
37%であった。 15mM MnNTAは銅レベルを25nmoles/gm湿重量に減少させ、対照の76%であった。 MnNTAは脳マンガンを15nmoles/gm湿重量に増加させ、対照の157%であった。 1.2mM 2,3,2テトラミン、9mMデスフェロキサミン及び1.8mM銅トリスは、脳鉄、
銅又はマンガンレベルにおいて、検出されうる変化を起こさなかった。
【0046】
【表6】
【0047】 動物への鉄の負荷は、いくつかの動物において震顫を起こした。銅の負荷は色
素過剰及び硬直をもたらした。鉄の負荷は、震顫を誘導し銅の負荷は硬直及びブ
ラジキネシアを誘導した。 生体異物 ミトコンドリア転写又はミトコンドリア翻訳の遮断によるミトコンドリアのシ
トクロームの阻害は、酸化還元状態のシフトをもたらし、正味の還元と色素減少
をもたらす。用いられる生体異物、リファンピシン、臭化エチジウム、クロラム
フェニコール及びオキシテトラサイクリンは、単独で用いられた場合またはMPTP
と組み合わされた場合ドパミンの枯渇をもたらす。また、色素減少をももたらす
。MPTPとの場合、色素減少は、多くの場合色素過剰のあとにおこり、とくにクロ
ラムフェニコールの場合はそうである。これはおそらく、シトクロームレベルが
クロラムフェニコールにより下げられた際の酸化還元環境の還元状態へのシフト
に続く最初の金属の移動と関連する。日毎のクロラムフェニコール31mg/kgとMPT
Pとの組み合わせは、24時間で、ドパミンを対照の値の33%まで低下させた。ク ロラムフェニコール400mg/kg単独は、24時間で、ドパミンを対照のレベルの38%
まで低下させた。対照的に、リファンピシン及び臭化エチジウムはより急性の色
素減少をもたらした。 スピントラップ/スピンラベル化合物 ラジカル捕捉剤及び還元剤(酸化還元金属の酸化の結果として)TEMPO及びPBN
を、還元又は酸化化合物としてのMPTPのふるまいのさらなる試験として用いた。
生体異物MPTP単独の効果およびMPTP投与の1時間前に動物に前投与されたスピン
トラップ/スピンラベルTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル) の0.1mM、0.25mM及び1.0mM用量、及びPBN(N-tert-ブチル-a-フェニルニトロン )の0.18mM及び1.7mM用量との組み合わせは、アミン前駆体加水分解におけるそ れらの効果のパターンを示した。MPTPはドパミンレベルを減少させ、ノルエピネ
フリン及びセロトニンレベルを増加させ、一方TEMPO及びPBNはノルエピネフリン
、セロトニン及びドパミンレベルを減少させた。単独投与で、それらは色素密度
を減少させた。 MPTP、TEMPO及びPBN処理動物におけるドパミンレベル MPTPと組み合わされたPBNはドパミンレベルをベースラインから約10パーセン ト減少させた。毒性は用量依存的であり、PBNとMPTPとについて累積的であった 。TEMPOも同様にMPTP単独よりもドパミンを減少させた。TEMPOの毒性はより低く
用量依存的であった。
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】 MPTP、TEMPO及びPBN処理動物におけるノルエピネフリンレベル 0.18mMolarのPBNはノルエピネフリンを上昇させるMPTPの効果を、それを4時間
未満の時間において18パーセント減少させることにより、部分的に反転させた。
これは、PBNの最大効果の時間と対応する。
【0051】 TEMPO 0.1mMolarは、MPTP誘導ノルエピネフリンノルエピネフリン上昇におい
て、3時間後に僅かの効果をもたらし、PBNと対照的であったが、ノルエピネフリ
ンをベースラインから13時間減少させた。
【0052】
【表9】
【0053】
【表10】
【0054】 MPTP、TEMPO及びPBN処理動物におけるセロトニンレベル MPTPと組み合わせた、低用量及び高用量でのPBNは、MPTPが誘導したセロトニ ン上昇に対し防止的ではなかった。同様にTEMPOも低用量及び高用量で防止的で はなかった。
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】 MPTP、TEMPO及びPBN処理動物におけるエピネフリンレベル 高用量のPBN及びTEMPOはMPTPと、4時間及び37時間において、エピネフリン
低下において追加的な効果を有する。低用量のPBN及びTEMPOは、MPTPにより誘導
されたエピネフリンの損失を最小化する。ノルエピネフリンはMPTPにより最初の
12時間増加されるが、エピネフリンレベルはMPTPを受け始めたところから減少
する。このことは、MPTPにを受けた場合に利用可能な、さらなる前駆体ノルエピ
ネフリンがあることを示唆する。しかしながら、細胞死もまた発生しており、よ
り遅い時間に、MPTP単独又はMPTPとTEMPO及びPBNの組み合わせにより、エピネフ
リンが低下している。
【0058】
【表13】
【0059】
【表14】
【0060】 試験された用量でのPBNの効果は急性であり短い間しかもたなかった。TEMPOの
効果はPBNより遅い時間に起こり、実験期間を通じて持続した。TEMPOとPBNの作 用は異なるようには見えなかった。時間に関連する差異は、異なる親水性及び親
油性特性を有する2つの化合物の異なる薬剤動力学的パターンを反映しているも
のと思われる。全体にわたり、TEMPO及びMPTPは約12時間において顕著な効果を 有し、一方PBNは約1〜4時間において著明な神経アミンレベルに対する効果を 有していたことは明らかである。ドパミンの減少は、TEMPOについては用量依存 的であったが、PBNはドパミンを遅い時間においてベースラインより下げなかっ た。MPTPが誘導したノルエピネフリン上昇に対するアンタゴニスト的効果は、両
方の化合物において低用量において著明であり、特にPBNの場合は著明であった 。このことは、またしても、MPTPによるパーキンソニズムの誘導における銅移動
の重要性を強調する。 考察 テトラミン 脳内ドパミンレベルは、多くの神経毒及び生体異物の影響を受けやすい。2,3,
2テトラミンによるin vivoでの成功的な保全は、パーキンソン病及び同様の病理
学的現象が関与する痴呆の治療の道を提供する。鉄キレーター、ペニシラミン、
及び酸化剤がドパミン損失及びMPTPダメージを防ぐ能力がないことは、これらの
化合物群が、内因性ポリアミンの模倣;DNA損傷の防止、NMDA及びムスカリンコ リン作動性サイトにおけるアゴニズムの変化、成長因子の誘導、メタロチオネイ
ンの誘導、生体異物の細胞とりこみへの拮抗、プロテインキナーゼCの阻害、グ ルタチオンへの結合、様々な保存プール及びサイトゾル内遊離金属間の金属の再
分配、プレアスパルテートプロテアーゼ、アミンオキシダーゼ、モノアミンオキ
シダーゼ及び過酸化物ジスムターゼの活性の減少等、作用において独特なプロフ
ィールを有していることを示す。 金属分布及び酸化還元状態 ニューロンへの鉄の進入及び排泄は、鉄が細胞内サイトから放出された際に過
剰の鉄の排泄を防ぎうるトランスフェリン受容体に依存する。2,3,2テトラミン は、脳内の鉄、銅又はマンガンの総レベルを大きくは変化させない。著明な色素
化及び行動変化をもたらした銅負荷及びデスフェロキサミンもまた、脳内の鉄、
銅及びマンガンの総レベルを変化させなかった。単なるキレート化は、MPTPモデ
ルにおいて有効ではなく、ペニシラミン等のチオールの場合、還元剤として働く
ことにより、またデスフェロキサミン及びCP94と共に金属移動を起こし、実際ダ
メージを増強する。Barbeau A.らは同様に、デスフェロキサミン及びペニシラミ
ンは単独投与された場合またはMPTPと組み合わされた場合神経毒性であることを
観察した。具体的には、還元剤、及び有機ラジカル及び金属をトラップするスピ
ントラップによるダメージの増強は、金属レベルの絶対量の減少及び酸化から還
元状態へのシフトはダメージを与え、酸化又は還元の極端な場合ではない恒常性
は細胞の通常状態であるという観察を支持する。従って酸化状態の保存ではなく
酸化還元の恒常性が、ダメージ防止と関連する。MPTPモデルにおける2,3,2テト ラミンは、開始数時間の間のドパミンの完全な保存により、MPTPにより直ちにも
たらされるダメージにおいて効果を有する。従って、NMDA受容体における、2,3,
2テトラミンの、他の有機分子からのDNAの立体保護における,NMDA受容体におけ
る、生体異物とりこみの遮断における、及びグルタチオン保存における効果は、
数日から数週間にわたり金属レベルを減少させるキレートの長い時間枠の作用と
は区別しうる、その作用の一次的な特徴である。
【0061】 さらに、鉄又は亜鉛の除去は、過剰の鉄がパーキンソン病脳内にあって過剰の
鉄及び亜鉛がアルツハイマー病脳内にあってそれらのプレアスパラテートプロテ
アーゼの活性化における有効な役割があれば、パーキンソン病、アルツハイマー
病及びルー・ゲーリッヒ病の治療に有効となりうる。もし過剰に存在していれば
、コバルト、水銀、ニッケル、鉛の除去は、補助となりうる。組織銅レベルが脳
脊髄液の損失により減少しうる場合は、脳からのそれの除去は治療的作用の一部
としては必要ない。細胞下サイトにおける二価金属のレベルに対する2,3,2テト ラミンの正味の効果は、 組織へ、又は組織からの金属の輸送におけるその効果、メタロチオネイン誘導及
びそれが結合サイトから金属を移動させうる他の金属に対しどのような効果を有
するかの組み合わせにより決定される。 Lドーパ代替療法 パーキンソニズムの臨床的治療は、前駆体ドーパの投与による欠損ドパミンレ
ベルの代替に焦点があてられる。それは理論上単純であるが、パーキンソン病に
おけるL-ドーパ治療の相対的治療有効性は、生存しているニューロンにおける予
め存在する増加したドパミンターンオーバー、色素形成のための基質としてのド
パの役割および金属キレート又は移動剤としてのドパの作用の影響を受ける。さ
らに、このMPTPモデルの48時間以降において観察されたように、脳インドールア
ミンはいくつかのパーキンソン病の症例において減少している。 アミン産生と分解酵素の金属依存性 MPTPは、ドパミンを減少させることが示されており、一方セロトニン及びノル
エピネフリンは増加させる。還元鉄は、チロシンヒドロキシラーゼ反応において
速度限定的であり銅は効果がない(Fitzpatrick P.F.)。この酵素の4つのヒト
同位形(isoform)は、触媒作用において還元鉄を必要とし、ニッケルにより阻害 される(Haavik J. et al)。チロシンヒドロキシラーゼ及びトリプトファンヒド ロキシラーゼの両方は、カルシウムカルモジュリン依存プロテインキナーゼII(H
amon et al)及びアクチベーター蛋白I4-3-3(Ichimura T. et al)による2段階の
過程で活性化される。しかしながら、カルシウム依存プロテインキナーゼは、ト
リプトファンヒドロキシラーゼ活性化において、ヒト尾状核(caudate)チロシン ヒドロキシラーゼよりずっとより効果的であると見られる(Rausch W.D. et al) 。鉄イオン又はカルシウムはトリプトファンヒドロキシラーゼを活性化させるが
、銅は活性化させない(Imai Y. et al)一方、カルシウムカルモジュリンは、チ ロシンヒドロキシラーゼ活性をかろうじて増加させるのみである(Rausch et al)
。ドパミンベータヒドロキシラーゼは特に銅依存性であり、銅に結合する4つの
イミダゾールリガンドが、パルス電子常磁性共鳴により示された(McCracken J.
et al)。サブユニットの両方の銅が、触媒作用中に、銅ヒドロキシペルオキシド
中間体の形成を伴い、還元及び再酸化を受ける(Klinman J.P.)。Barbeau及びEks
tromによりこれまで報告されているMPTP及びその遊離ラジカル生成物MPDP+及び
MPP+についての異なる酸化還元効果は、様々な細胞下サイトにおける銅の可動 化及び鉄の封鎖(sequestering)の結果である。 有機ラジカルの鉄との相互作用 還元金属の酸化におけるTEMPOの期待されるふるまいは、鉄及び銅依存酵素活 性の減少であり、実際それはドパミン、ノルエピネフリン及びセロトニンのレベ
ル減少において観察される。興味深いことに、PBNはTEMPOと同様な効果を有して
おり、化学作用がオーバーラップしていることが示された。TEMPO及びPBNはMPTP
との組み合わせにおいて、ドパミンベータヒドロキシラーゼの銅依存効果に拮抗
し、トリプトファンヒドロキシラーゼのMPTP誘導増加への拮抗において効果を有
していなかった。TEMPO及びPBNがMPTPと共に投与された再にセロトニンを減少さ
せる能力がないことは、それらが、MPTPが影響する遊離カルシウムに対する効果
がないことと関連していると思われる。これらの神経アミンを生成する反応の金
属依存性のために、MPTPは銅及びカルシウムを移動させ、鉄を封鎖するものと思
われる。MPTP及びTEMPO及びPBNの作用の類似性があれば、それはMPTP及びMPP+ が還元剤であるというin vitroの結論と一致する。 開発プログラム 治療 下記の一般式のポリアミド化合物及び誘導体の、小動物及び哺乳類の研究が進
められている。 H2N-[(CH2)n-NH]n-CH2-NH2 [X-[(CHY)n-NH]n-CH2-X]s ここで末端アミノ基はXで置換することができ、メチレン基はYで置換することが
でき、Sが存在するときは塩化合物を作る。
【0062】
【化2】
【0063】 分岐脂肪族の例は、より脂質に溶けやすい。直鎖及び分岐脂肪族の例のいくつ
かは、オルニチンデカルボキシラーゼを阻害し、内因性ポリアミン合成を減少さ
せ、従って最適な化合物ではない。テトラミンの例、例えば2,3,2テトラミンは 塩;(OCl4)2及び(SO4)2として調製される。
【0064】 動物モデル及びそれに続く臨床治験における化合物治療としてのポリアミン2,
3,2テトラミン、2,2,2テトラミン、3,3,3テトラミン、シクラム(cyclam)、tetの
作用の比較が、パーキンソン病、アルツハイマー病、グアマニアンパーキンソニ
アン痴呆、筋萎縮性側索硬化症、オリーブ橋小脳萎縮、遺伝性脳内出血-オラン ダ型及びバッテン病、ビンスワンガー病及びアミロイド血管障害について行われ
る。
【0065】 2,2,2テトラミン及び3,3,3テトラミンにおいて、CuN4構造はひずみを有してお
り、これは、 2,3,2テトラミン、1,4,8,11テトラ-アゾシクロテトラデカン(シクラム)及びメ
ソ-5,7,7,12,14,14-ヘキサメチル1,4,8,11テトラ-アゾシクロテトラデカン(tet
a又はメソ-1,7CTH)、1,4,7,10テトラゾシクロテトラデカン、1,4,7,10テトラア ゾシクロトリデカン、1、4、7-トリアザシクロノナン、3アザペンタン-1,5-ジアミ
ンにおける略水平なCuN4構造と対照的である。平面性及び他のコンホメーション
の詳細の比較は、様々な直線、分岐及び環状のポリアミンの銅除去剤として、保
存サイト間の金属移動剤としての有効性を理解するのに用いられ、それらのメタ
ロチオネイン誘導、プロテインキナーゼC阻害、NMDA受容体作用及びDNAダメージ
の限定における有効性を検討するのに用いられる。
【0066】 以下のものは、比較研究のための直鎖、分岐及び環状ポリアミンの例である。
【0067】 非環状テトラミンは、以下のものを含む; 3,3',3''トリアミノトリプロピルアミン(tpt)、 N,N'-ジ(3-アミノプロピル)プロピレンジアミン(3,3,3-tet) 2,2',2''-トリアミノトリエチルアミン(tren) N,N'-ジ(2-アミノエチル)エチレンジアミン(trien) N,N'-ジ(2-アミノエチル)プロピレンジアミン(2,3,2-tet) 環状テトラミンは、下記のものの誘導体を含む; 1,4,8,11テトラ-アゾシクロテトラデカン(シクラム) メソ-5,7,7,12,14,14-ヘキサメチル-1,4,8,11-テトラ-アゾシクロテトラデカン(
tet a又はメソ-1,7 CTH)、 1,4,7,10テトラゾシクロテトラデカン、1,4,7,10テトラアゾシクロトリデカン、
1,4,7-トリアザシクロノナン、3アザペンタン-1,5-ジアミン。
【0068】 ポリエチレンポリアミンは、一般式NH2(CH2CH2NH)nHに属するものでありここ でnは1〜5の整数であり、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプ
タミン、プロパンジアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロ
ピルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モノ又はジエタノールアミン
、及びアミノエチルエタノールアミンを含む。
【0069】 環状ポリエチレンポリアミンは、プロピレン架橋された; トリエチレンテトラミン-テトラエチレンペンタミン、 アミノエチルピペラジン、 ジエチレントリアミン-トリエチレンテトラミン テトラエチレンペンタミン アミノエチルピペラジン-トリエチレンテトリアミン アミノエチルピペラジン-テトラエチレンペンタミン ジエチレントリアミン-アミノ-プロピル化トリエチレンテトラミン トリエチレンテトラミン ジエチレントリアミン 同様の及び対照的な生化学的活性に関連する痴呆における他の化合物ファミリ
ーの調査もまた関連する; イミダゾールポリサイクリックイミノイソインドリンキレート、リン酸のアルキ
ルアミノエステル、アルファアミノ酸ジアミド、ヒドロキサム酸、Nカルボキシ メチル-N-(ヒドロキシベンジル)-アスパラギン酸、N,Nフッ素化ビスアシルヒド ラジン及びテトラキスアシルヒドラジン、及び上記ファミリーの分岐化合物。 診断テスト 白血球及び尿を用いたパーキンソン病及びアルツハイマー病におけるミトコン
ドリアDNAダメージのアッセイ。
【0070】 尿及び脳脊髄液を用いたパーキンソン病及びアルツハイマー病及びピック病に
おける内因性ポリアミドのアッセイ。
【0071】 パーキンソン病及びアルツハイマー病患者の脳脊髄液内のエンケファリン及び
サイトクロフィンペプチドのアッセイ。 結論 以上より、2,3,2テトラミン及び同様に振舞う化合物は パーキンソン病、アルツハイマー病、グアマニアンパーキンソニアン痴呆、筋萎
縮性側索硬化、オリーブ橋小脳萎縮、遺伝性脳内出血-オランダ型、バッテン病 、及びビンスワンガー病の神経コンポネント及びアミロイド血管障害の診断及び
治療に対する一連の方法を提供しうる。
【0072】 なぜ特定のニューロンがこれらの疾患において優先的な標的になるか、パーキ
ンソン病からアルツハイマー病への進行のメカニズム、及び筋萎縮性側索硬化、
グアマニアンパーキンソニアン痴呆、オリーブ橋小脳萎縮におけるより下流の原
因に対して異なる病因的現象がどのようにパーキンソン病及びアルツハイマー病
及びバッテン病におけるダメージのパターンを決定するか、及びどの段階におい
て診断テスト及び治療が行えるかについての理解が誘導される。
【0073】 より具体的には、これらの化合物は、DNAダメージからアミロイド酸性までに わたる現象のカスケードに対し複数の作用を提供する; a)ポリアミン輸送サイトにおける生体異物、例えばDNA損傷の原因となる有機分 子のとりこみの競合的阻害; b)脂肪族テトラミンの存在による遊離銅、鉄及びニッケルイオンの除去によるミ
トコンドリアDNAダメージの限定 c)神経成長因子、脳由来神経刺激因子及びニューロノトロフィン-3遺伝子転写の
誘導 d)NMDA受容体の親和性の調節及びMK801イオンチャンネルのブロック; e)還元グルタチオンの結合及び保持; f)脳内の酸化還元環境の恒常性の維持 g)メタロチオネインの誘導 h)タンパクキナーゼCの阻害 i)脳内の2価金属の非毒性キレート化 j)プレ-アスパルテートプロテイナーゼの活性の調節 k)過酸化ジスムターゼ、アミンオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼBの阻害 ; l)痴呆における、内因性ポリアミンレベルの維持による脳内ポリアミンレベルの
調節
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 A61P 43/00 111 111 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,HU,IL,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物の、DNAの立体保護(steric protection)、成長因子配列
    の転写、NMDA受容体の調節及びMK801イオンチャンネルの活性の増大、及び他の 脳細胞の生理的安定化減少による、パーキンソン病、アルツハイマー病、ルー・
    ゲーリッヒ病(Lou Gehrig's)、ビンスワンガー病(Binswanger's)及びオリーブ橋
    (olivopontine)小脳萎縮の治療方法であって、前記動物に、有効用量の、サイク
    リック及び直鎖及び分岐ポリアミンからなる群より選ばれるポリアミンを投与す
    ることを含む方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリアミンが、2,3,2テトラミン、2,2,2テトラミン及び
    3,3,3テトラミンからなる群より選ばれる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記動物が、アカガエル(Rana pipiens)である請求項2記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 前記疾患の症状が、前記動物への単一の40mg/Kg用量のMPTP の腹腔内注射により誘導される請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記有効用量が、単一の1.2mM用量を含む請求項4記載の方 法。
  6. 【請求項6】 前記用量が、2,3,2テトラミンを含む請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記動物がアカガエルである請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記疾患の症状が、前記動物への単一の40mg/Kg用量のMPTP の腹腔内注射により誘導される請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記有効用量が、単一の1.2mM用量を含む請求項8記載の方 法。
  10. 【請求項10】 前記ポリアミンが一般式 X-[(CH2)n-NH]n-CH2-X (但しXは末端アミノ基である)を有する請求項1記載の方法
  11. 【請求項11】 前記末端アミノ基が、式: 【化1】 (但しnは1〜7の整数である)からなる要素からなる群より選ばれる請求項1
    0記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記ポリアミンが、一般式 X-[(CHY)n-NH]n-CH2-X (但しXは末端アミノ基、およびYはメチレン基である)を有する請求項1記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 前記メチレン基が (CH2)n-H である請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記一般式が、(OCl4)2及び(SO4)2からなる群から選ばれ る塩をさらに含む請求項10記載の方法。
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