JP2001514007A - キメラ転写アクチベーター、ならびにそれに関連する組成物および使用 - Google Patents

キメラ転写アクチベーター、ならびにそれに関連する組成物および使用

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JP2001514007A JP2000507816A JP2000507816A JP2001514007A JP 2001514007 A JP2001514007 A JP 2001514007A JP 2000507816 A JP2000507816 A JP 2000507816A JP 2000507816 A JP2000507816 A JP 2000507816A JP 2001514007 A JP2001514007 A JP 2001514007A
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ネイトサン,スリダラン
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アリアド ジーン セラピューティクス インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、キメラ転写アクチベーターに関する。キメラ転写アクチベータータンパク質は、少なくとも1つの複合性転写アクチベータードメイン(「TAD」)および少なくとも1つのDBDを含有する。複合性TADは、2つ以上の成分ポリぺプチド領域(「活性化タグ」ともいわれる)を含有する連続的なポリぺプチド領域を含み、成分ポリぺプチド領域のうち少なくとも2つは、天然において同じ遺伝子産物中にともに存在しない。いくつかのこれらの実施態様において、キメラタンパク質は、アロステリックな活性のための、リガンド結合ドメイン(例えば、テトラサイクリンもしくはそのアナログ、またはステロイド(例えば、RU486もしくはエクジソン)のような細胞透過性リガンドを結合し得る、レセプタードメイン)を含む。このような場合において、キメラ転写アクチベーターは、それぞれのリガンドの存在下、標的遺伝子の転写を選択的に活性化する。他の実施態様において、キメラ転写アクチベーターは、構成的に、すなわち、このような任意のリガンドの存在を必要としないで、標的遺伝子の発現を活性化し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 多数の生物学的なおよび臨床学的なプロトコル、特に、遺伝子治療、生物学的
物質の生成、および生物学的研究は、治療学的価値、商業的価値、または実験的
価値があるRNAまたはタンパク質をコードする遺伝子の特異的な、および高レベ ルの発現を誘発する能力に依存する。開発された多様な発現系の中には、調節性
の発現系が挙げられ、テトラサイクリン、RU486、およびエクジソンによって誘 発されるスイッチ、ならびにFK1012、FK-CsA、ラパマイシン、およびそれらのア
ナログによって誘発される、二量体化ベースのオンオフスイッチに対するアロス
テリックを包含する。例えば、Clackson、「小分子を用いる哺乳動物遺伝子発現
の制御化」Current Opinion in Chemical Biology 1997、1:210-218を参照のこ と。さらに、全生物体を含む種々の情況において、遺伝子操作された細胞中で、
臨床学的なまたは他の有用性のために十分に高レベルの発現を達成することは、
しばしば、制限的な問題であった。この問題に取り組むための種々のアプローチ
としては、より強力な転写プロモーターまたはより高いトランスフェクション効
率についての探索が挙げられ、多くの場合において、未だ成功していない。一方
で、転写因子を用いる種々の種類の研究において、一過性のトランスフェクショ
ンモデルにおける将来有望な結果は、染色体に取込まれるレポーター遺伝子構築
物に関して生み出されていない。さらに、転写因子の過剰発現は、一般に、宿主
細胞に対する毒性と関連する。これらの前例にもかかわらず、本発明は、標的遺
伝子を含有する操作された細胞内で発現される転写因子タンパク質の新規な使用
、およびそれについての新規な設計を介して、遺伝子発現を至適化する挑戦に対
する、新規なアプローチを用いる。本発明は、遺伝子操作された細胞(全生物体
内の遺伝子操作された細胞を含む)において、標的遺伝子の高レベルの発現を達
成するための、改善された方法および材料を提供する。
【0002】 発明の概要 転写活性化に対する本発明者らの研究の過程において、本発明者らは、全く予
期しなかったことだが、より強力な転写活性化ドメインの発見および/または至
適化においては、より優れた進歩がないことを説明し得る重要な現象を発見した
。簡潔には、本発明者らは、転写活性化を研究するためにこの分野において典型
的に使用される、従来の一過性トランスフェクション実験の種類において、活性
化ドメインの数または見かけの作用力価が増加するので、観察される転写のレベ
ルは最大に増加し、次いで、レベルは、「鎮圧化(squelching)」と呼ばれる現
象で低下または減少するという予期さぬ発見をした。しかし、一過的にトランス
フェクトされたレポーター遺伝子の代わりに安定に組込まれたレポーター遺伝子
を使用して、類似の実験が行われる場合、鎮圧化は回避され、その代わりに、妨
げられない構造活性関係が、種々の転写活性化ドメインおよびその改変体につい
て観察され得る。鎮圧化による目隠しが、今や取り除かれ、本発明者らはキメラ
タンパク質および転写系における転写活性化ドメインの設計および実行に、有意
な前進を成した。
【0003】 本発明は、以下により詳細に開示されるように、種々のキメラ転写アクチベー
タータンパク質(以下で「複合性アクチベーター」ともいわれる)をコードする
核酸構築物、およびいくつかの実施態様において、補助的なキメラタンパク質、
ならびに関連する物質および方法を包含する。多くの例示的な実施態様は、以下
に強調される。
【0004】 例えば、本発明の多くの実施態様は、キメラ転写アクチベータータンパク質が
標的化される遺伝子の転写を活性化する、キメラ転写アクチベータータンパク質
をコードする核酸を包含する。標的化は、標的遺伝子が作動可能に連結されるDN
A配列に結合する1つ以上のDNA結合ドメイン(「DBD」)を介して達成され得る 。以下に広範囲に詳細に開示されるように、DBDは、キメラ転写アクチベーター タンパク質内に存在し得るか、または補助的なキメラタンパク質によって提供さ
れ得る。
【0005】 本発明のある実施態様において、キメラ転写アクチベータータンパク質は、少
なくとも1つの複合性転写活性化ドメイン(「TAD」)、および少なくとも1つ のDBDを含有する。複合性TADは、2つ以上の成分ポリぺプチド領域(以下で「活
性化タグ」ともいわれる)を含有する連続的なポリぺプチド領域を含み、成分ポ
リぺプチドのうちの少なくとも2つは、天然には同じ遺伝子産物中にともに存在
しない。いくつかのこれらの実施態様において、キメラタンパク質は、アロステ
リック活性化についてリガンド結合ドメイン(例えば、テトラサイクリンもしく
はそのアナログ、またはステロイド(例えば、RU486またはエクジソン)のよう な細胞透過性リガンドを結合し得る、レセプタードメイン)を包含する。このよ
うな場合において、キメラ転写アクチベーターは、それぞれのリガンドの存在下
、標的遺伝子の転写を、選択的に活性化する。他の実施態様において、キメラ転
写アクチベーターは、構成的に、すなわち、任意のこのようなリガンドの存在に
ついての必要性を伴うことなく、標的遺伝子の発現を活性化し得る。
【0006】 他の実施態様において、キメラ転写アクチベータータンパク質は、3つ以上の
成分ポリぺプチド領域を含有する少なくとも1つの複合性TAD、および複合性TAD
の少なくとも1つの成分ポリペプチド領域に関して異種である少なくとも1つの
さらなるドメインを含み、成分ポリぺプチド領域のうちの少なくとも2つは、天
然には同じ遺伝子産物中にともに存在しない。さらなるドメインは、オリゴマー
化リガンドについてのDBDまたはレセプタードメインを含み得る。オリゴマー化 リガンドは、多価の、好ましくは細胞透過性の化合物であり、一般に、約5kDを
下回る、および好ましくは約2kDを下回る分子量を有し、これは、リガンドが結
合するレセプタードメインを含有するタンパク質との複合体の形成を媒介する。
制限されないが、オリゴマー化リガンドの説明的な例としては、FK1012(FKBPド
メインを含有するタンパク質に関して)、クメルマイシン(coumermycin)(DNA
グリアーゼドメインを含有するタンパク質に関して)、フジスポリン(それぞれ
、シクロフィリンおよびFKBPドメインを含有するタンパク質に関して)、ならび
にラパマイシン(それぞれ、FKBPおよびFRAPドメインを含有するタンパク質に関
して)が、挙げられる。
【0007】 なお他の実施態様において、キメラ転写アクチベータータンパク質は、2つ以
上の成分ポリぺプチド領域を含有する連続的なポリぺプチド領域を含む少なくと
も1つの複合性TAD、および複合性TADの成分ポリぺプチド領域の少なくとも1つ
に関して異種である少なくとも1つのさらなるドメインを含み、成分ポリぺプチ
ド領域の少なくとも2つは、天然には同じ遺伝子産物中にともに存在しないか、
または本発明のキメラタンパク質において見出されるのと少なくとも同じ順序、
配置、または数で存在しない。いくつかのこれらの実施態様において、成分は、
全てヒト起源である。他のこれらの実施態様において、少なくとも1つの異種ド
メインは、イムノフィリン、シクロフィリン、FRAP、またはDNAジャイレースの ドメイン、テトラサイクリンもしくはエクジソンもしくは別のステロイドについ
てのレセプターに由来するドメイン;または複合性DNA結合ドメインに由来する ドメインを含む。
【0008】 なお他の実施態様において、キメラ転写アクチベータータンパク質は、少なく
とも1つの転写活性化ドメイン、および少なくとも1つのバンドリングドメイン
を含み、転写活性化ドメインは、以前に公知の転写活性化ドメイン(例えば、VP
16、以下に詳細に開示される新規な短縮型P65由来の活性化ドメイン、または本 明細書中に記載される複合性TAD)であり得る。バンドリングドメインは、それ ぞれがバンドリングドメインのコピーまたはその密接な改変体を含む2つ以上の
タンパク質の複合体のアセンブリを許容するドメインである。バンドリングドメ
インの制限されない例としては、p53またはE.coli lacリプレッサー由来のドメ イン、ならびに種々のロイシンジッパードメインが挙げられる。バンドリングド
メインは、例えば、非常に異なる結合ドメインを含有するタンパク質のヘテロオ
リゴマー化を形成する、ヘテロオリゴマー化タンパク質(例えば、FKBP/カルシ ニューリン対、FKBP/FRAP対、シクロフィリン/カルシニューリン対、PXR/TBP対 )とは区別される。対照的に、バンドリングドメインは、同じバンドリングドメ
インまたは非常に類似するその改変体を含有するタンパク質間のオリゴマー化を
許容し、およびリガンド媒介の必要性を伴わずにこれを許容する。
【0009】 種々の実施態様において、1つ以上のDBD、レセプタードメイン、オリゴマー 化リガンド結合ドメイン、または他のさらなる異種のドメインは、複合性転写活
性化ドメインの成分ポリぺプチド領域の少なくとも1つに関して異種である。他
の実施態様において1つ以上のこのようなさらなる異種ドメインは、複合性転写
活性化ドメインの少なくとも2つの成分ポリぺプチド領域に関して異種である。
1つの実施態様において、複合性アクチベータータンパク質は、異種供給源から
の少なくとも2つの異なる活性化タグ(例えば、2つ以上の異なる転写因子また
はコアクチベーターに由来し、そして天然には同じタンパク質中にともに存在し
ない活性化タグ)を含む。任意の特定の機構的な仮説に拘束されることを望まな
いが、複合性アクチベーターの2つ以上の活性化タグ、より好ましくは別個のタ
ンパク質に由来する2つの活性化タグは、遺伝子の基底の活性化に必要とされな
いTAFを補充し得る。活性化タグを介して、キメラアクチベーターは、そうでな ければポリメラーゼ複合体で分散されるいくつかの因子の相互作用を再捕捉し得
るか、またはその複合体との新規な接触を提供し得、その相互作用はアクチベー
ター依存性の転写複合体の形成を補充および/または安定化し得る。
【0010】 この情況において、多様な活性化タグは、転写活性化の同時の増加を伴って、
同じキメラタンパク質において複数回反復され得るか、またはそれらと幾重にも
会合され得る。反復される活性化タグの実施態様は、例えば、反復される活性化
タグと同じ供給源または異種供給源からの他の活性化タグと併用され得る。
【0011】 本発明の別の局面は、新規な活性化タグの同定に関する。この点において、活
性化タグは、NF-kB転写因子サブユニットp65において同定された。p65のいわゆ る「アラニン/プロリンリッチ」または「AP」活性化タグは、このタンパク質の アミノ酸約361〜アミノ酸約450に及ぶ。配列番号2を参照のこと。類似のAP活性
化タグはまた、例えばp53およびCTFタンパク質に存在する。本発明はまた、p65 のフラグメント(または例えば、p53もしくはCTF由来のそれに対して相同な配列
)を意図し、これは約75、60、50、30、または20アミノ酸残基長である。他の実
施態様において、AP活性化タグは、配列番号2のAP活性化タグに対して少なくと
も95%、90%、80%、または70%同一である。
【0012】 本発明のキメラアクチベーターは、天然に存在する、またはそうでなければゲ
ノムに取込まれた遺伝子から高レベルの転写を駆動するために使用され得る。本
発明のキメラアクチベーターは、過去において受容されるレベルで首尾良くトラ
ンス活性化されなかった、取込まれた単一コピー遺伝子の転写を、活性化するた
めに特に有用である。好ましい実施態様において、本明細書中に開示される新規
なおよび/または複合性の転写活性化ドメインを用いて達成される、染色体に取
込まれた標的遺伝子の発現のレベルは、科学的に妥当な比較において測定される
ように、類似の発現系において、転写活性化ドメインとしてVP16ドメインを使用
して達成される発現レベルよりも、少なくとも2倍、好ましくは3倍、より好ま
しくは5倍、および最適には10倍以上高い。
【0013】 本発明はまた、上記のようなオリゴマー化リガンドに対する1つ以上のリガン
ド結合ドメインを含有するキメラ転写アクチベータータンパク質をコードする第
1の核酸、ならびに少なくとも1つのDNA結合ドメインおよび細胞透過リガンド についての少なくとも1つのリガンド結合ドメインを含有するキメラDNA結合タ ンパク質をコードする第2の核酸を含む、核酸組成物を包含する。従って、これ
らの核酸によってコードされるキメラタンパク質は、それぞれ、キメラタンパク
質の二量体化または高次のヘテロオリゴマー化を媒介するオリゴマー化リガンド
に結合するための、1つ以上のリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施態
様において、キメラタンパク質のうちの1つまたは両方は、2つ以上のリガンド
結合ドメインを含む。核酸組成物はさらに、キメラDNA結合タンパク質が結合す るDNA配列を含有する転写調節エレメントに作動可能に連結される標的遺伝子を 含む標的遺伝子構築物を含み得る。
【0014】 本発明はまた、上記のような1つ以上の複合性TADおよび1つ以上のDBDを含有
するキメラアクチベータータンパク質をコードする第1の核酸、ならびにキメラ
転写アクチベータータンパク質が結合するDNA配列を含有する転写調節エレメン トに作動可能に連結される標的遺伝子を含む標的遺伝子構築物を含む第2の核酸
を含む、核酸組成物を包含する。
【0015】 本発明のキメラタンパク質をコードする核酸は、細胞においてキメラタンパク
質の発現を許容する転写調節エレメントに作動可能に連結され得る。種々の核酸
は、以下に開示されるようなDNAベクター中に提供され得る。
【0016】 本発明はまた、異種標的遺伝子の調節性のまたは構成的な発現について細胞を
操作するための方法を包含する。この方法は、本発明の核酸または核酸組成物を
、核酸の細胞による取込みを許容する方法および材料を使用して、細胞に導入す
る工程を包含する。特に重要な実施態様において、標的遺伝子は、宿主細胞の染
色体内に取込まれる。いくつかの場合において、トランスフェクトされた細胞が
選択され、そしてトランスフェクトされなかった細胞から別々に回収される。あ
る実施態様において、細胞は培養において増殖される。いくつかの実施態様にお
いて、細胞はインビボ(全生物体内)で操作されるが、他の実施態様において、
細胞はインビトロでトランスフェクトされ、そしてトランスフェクトされた細胞
および/またはそれらの子孫は、その後全生物体に導入され得る。後者の場合に
おいて、操作された細胞は、生物体への導入の前にカプセル化され得る。
【0017】 本発明の1つ以上の核酸または核酸組成物を含む操作された細胞がまた、包含
される。さらに、標的遺伝子が細胞の染色体内に安定に取込まれる操作された細
胞は、特に重要である。
【0018】 本発明はさらに、標的遺伝子の発現を達成するための方法を包含し、この方法
は、遺伝子発現について安定な条件下で、本明細書中に記載されるような遺伝子
操作された宿主細胞を維持する工程を包含する。調節性の発現の実施態様におい
て、方法は、細胞を、インビトロまたはインビボで、キメラタンパク質のうちの
一方または両方に結合するリガンドまたはオリゴマー化剤と接触する工程を包含
する。
【0019】 本発明の適用は、例えば、別々に回収され得る所望のタンパク質の生成ための
、転写ベースのアッセイ(ツーハイブリッドアッセイを含む)においてより高い
レベルの発現を達成するための、ならびに組換えウイルスの生成のために使用さ
れる産生細胞株における、必要なウイルス遺伝子の調節性の発現のための(例え
ば、組換えAAVの生成のために使用される宿主細胞における、AAVrepおよび/ま たはcap遺伝子の調節性の発現のための)、インビトロでの、構成的なまたは薬 物依存性の様式での、遺伝子の転写を包含する。他の適用としては、動物モデル
における、目的の標的遺伝子の構成的なまたは調節性の発現(例えば、研究また
は獣医学の目的のため)、ならびに、例えば、遺伝子治療において、ヒト被験体
における、目的の標的遺伝子の構成的なまたは調節性の発現のような、インビボ
での適用を包含する。ヒト遺伝子治療の場合において、キメラタンパク質の成分
は、ヒト起源であること、および/または操作された細胞がカプセル化されるこ
とが、しばしば好ましい。
【0020】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載および請求の範囲から明白
である。
【0021】 図面の説明 図1は、種々の量のGAL4-p65(ひし形)またはGAL4-VP16(四角)発現構築物 (アクチベーターDNA)で同時トランスフェクトされたHT1080細胞に、一過的に トランスフェクトされたプラスミド5×GAL4−IL2-SEAPからのレポーター遺伝子
発現のレベルを示す(EAP単位)。培地に分泌されるSEAP活性の平均値が示され る(+/-S.D.)。
【0022】 図2は、種々の量のGAL4-p65(ひし形)またはGAL4-VP16(四角)発現構築物 で同時トランスフェクトされた取り込まれたプラスミドを有するHT1080細胞(HT
1080B)クローンからのレポーター遺伝子発現のレベルを示す(EAP単位)。培地
に分泌されるSEAP活性の平均値が示される(+/-S.D.)。
【0023】 図3は、種々の量のGAL4-p65(ひし形)またはGAL4-VP6(四角)発現構築物で
同時トランスフェクトされた取り込まれたプラスミドpLH-5×GAL4-IL2-SEAPを保
有する、独立したHT1080クローンの数百個のプールにおけるレポーター遺伝子発
現のレベルを示す(EAP単位)。培地に分泌されるSEAP活性の平均値が示される (+/-S.D.)。
【0024】 図4は、同時トランスフェクトされた5×GAL4-IL2-hGHレポータープラスミド の存在下(四角)または不在下(丸)での、pLH-5×GAL4-IL2-SEAPからの取込ま
れたSEAP遺伝子の転写活性、ならびに種々の量のGAL1-p65発現構築物(アクチベ
ーター)で同時トランスフェクトされたHT1080細胞における、一過的にトランス
フェクトされた5×GAL4-IL2-hGHレポータープラスミド(三形)の転写活性を示 す。培地に分泌されるSEAP活性およびhGHタンパク質の平均値が示される(+/-S
.D.)。
【0025】 図5は、2つの融合タンパク質のラパマイシン誘導性の二量体化の図による表
示を示し、一方は、FKBP12に融合されるGAL4 DNA結合ドメインを含有し、他方は
、FRBに融合されるp65活性化ドメインを含有し、それによって標的遺伝子発現の
刺激を導く。
【0026】 図6は、2つの融合タンパク質のラパマイシン誘導性の二量体化の図による表
示を示し、一方は、3コピーのFKBP12に融合されるGAL4 DNA結合ドメインを含有
し、および他方は、FRBに融合されるp65活性化ドメインを含有し、それによって
、ラパマイシンの存在下で、各GAL4モノマーと、3つのp65活性化ドメインとの 会合を導く。
【0027】 図7は、2つの融合タンパク質のラパマイシン誘導性の二量体化の図による表
示を示し、一方は、1コピーのFKBP12に融合されるGAL4 DNA結合ドメインを含有
し、および他方は、FRBとp65活性化ドメインとの間にラクトースレセプターの四
量体化ドメインを含む「バンドル」融合タンパク質のRLSを含有し、それによっ て、ラパマイシン依存性の様式で、各FKBPと、4つの活性化ドメインとの会合を
導く。
【0028】 図8は、10nM ラパマイシンの存在下、1、2、3、または4個のFKBP12タン パク質(それぞれ、GF1、GF2、GF3、およびGF4)に連結されるGAL4 DNA結合ドメ
インをコードするプラスミド、ならびにp65活性化ドメインに融合されるFRBをコ
ードするプラスミド(RS)またはE.coli四量体化ドメインおよびp65活性化ドメ インに融合されるFRBをコードするプラスミド(RSL)のいずれかで、同時トラン
スフェクトされたHT1080B細胞における、安定に取込まれたpLH-5×GAL-IL2-SEAP
プラスミドのレポーター遺伝子発現のレベルを表す(SEAP単位)。10nM ラパマ イシンの添加後に、培地に分泌されるSEAP活性の平均値が示される(+/- S.D.)
。AD/DBD比率は、活性化ドメインをコードするプラスミド(AD)の量と、GAL4 D
NA結合ドメインをコードするプラスミド(DBD)の量との間の比率を示す。
【0029】 図9は、10nM ラパマイシンの存在下、1、2、3、または4個のFKBP12タン パク質(それぞれ、GF1、GF2、GF3、およびGF4)に連結されるGAL4 DNA結合ドメ
インをコードするプラスミド、ならびにp65活性化ドメインに融合されるFRBをコ
ードするプラスミド(RS)またはE.coli四量体化ドメインおよびp65活性化ドメ インに融合されるFRBをコードするプラスミド(RSL)のいずれかで、同時トラン
スフェクトされたHT1080細胞における、一過的にトランスフェクトされた5×GAL
-IL2-SEAPプラスミドのレポーター遺伝子発現のレベルを表す(SEAP単位)。10n
M ラパマイシンの添加後に、培地に分泌されるSEAP活性の平均値が示される(+/
- S.D.)。AD/DBD比率は、活性化ドメインをコードするプラスミド(AD)の量と
、GAL4 DNA結合ドメインをコードするプラスミド(DBD)の量との間の比率を示 す。
【0030】 図10は、120nMトリコスタチンA(ひし形)または1mM 酪酸ナトリウム(丸
)のいずれかの存在下、または不在下(四角)、種々の量のGAL4-p65プラスミド
で一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP遺伝 子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。培地に分泌されるSEAP
活性の平均値が示される(+/- S.D.)。
【0031】 図11は、種々の転写因子由来の活性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質
をコードする発現ベクターで一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞にお ける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位
)。
【0032】 図12は、活性化ドメインを有しないGAL4融合タンパク質(Gのみ);VP16由 来の1、2または4個の活性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質(それぞれ
、GVP16X1、GVP16X2、およびGVP16X3);p65由来の1、2、3、または4個の活
性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質(それぞれ、Gp65X1、Gp65X2、Gp65X3
、およびGp65X4);またはVP16由来の活性化ドメインと、p65由来の活性化ドメ インとの組合せを有するGAL4融合タンパク質(Gp65+VP16)をコードする発現ベ
クターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたS
EAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【0033】 図13は、2、4、8、または12コピーのV8を有するGAL4融合タンパク質をコ
ードする発現ベクター(それぞれ、GV8X2、GV8X4、GV8X8、およびGV8X12)で一 過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP遺伝子の レポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【0034】 図14は、1、2、3、4、5、または6コピーのVcを有するGAL4融合タンパ
ク質をコードする発現ベクター(それぞれ、GVCX2、GVCX3、GVCX4、GVCX5および
GVCX6)で一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSE
AP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【0035】 図15は、8コピーのV8を有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクタ
ー(GV8X8)、5コピーのVcを有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベク ター(GVCX5)、8コピーのV8および5コピーのVcを有するGAL4融合タンパク質 をコードする発現ベクター(GV8X8+GVCX5)、8コピーのV8および5コピーのVc
を逆の順序で有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクター(GVCX5+GV8
X8)、またはVP16を有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクター(GV16
)で、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP 遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【0036】 図16は、p65のアミノ酸450〜550を有するGAL4融合タンパク質をコードする
発現ベクター(Gp65(450〜550))、p65のアミノ酸361〜450の1、2、もしく は4コピーを有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクター;またはSp1 由来の1、2、もしくは4コピーの活性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質
をコードする発現ベクターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞に おける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単
位)。
【0037】 図17は、Sp1活性化ドメイン単独(GS)または1または2コピーのAPドメイ ンをともに有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクターで、一過的にト
ランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP遺伝子のレポータ ー遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【0038】 図18は、GAL4融合タンパク質の種々の活性化ドメインまたはその組み合わせ
をコードする発現ベクターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞に おける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単
位)。
【0039】 図19は、GAL4融合タンパク質の種々の活性化ドメインまたはその組み合わせ
をコードする発現ベクターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞に おける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単
位)。
【0040】 図20は、複合性アクチベーターの模式的な表示である。
【0041】 発明の詳細な説明I. 概説 真核生物においてタンパク質をコードする遺伝子は、RNAポリメラーゼII(pol
II)(多くの遺伝子転写因子を含有するプレイニシエーション複合体のアセンブ
リを介して、適切な遺伝子プロモーター(pol IIプロモーター)に運ばれる多重
サブユニット酵素)によって、転写される。多重サブユニットタンパク質複合体
TFIIDは、pol IIによって標的される全てではなくとも大部分のプロモーターに よる転写のために必要とされる。TFIIDのTATAボックス結合タンパク質(TBP)は
、基本の転写に十分であるのに対して、pol II転写はまた、遺伝子特異的アクチ
ベータータンパク質によって調製される。アクチベーター依存性の転写は、とり
わけ、TBP随伴因子(TAF)および他の転写補因子を、必要とする。真核生物遺伝
子発現の研究から浮上する重要な概念の1つは、pol-II依存性の転写のアクチベ
ーターは、機能的なモジュールから構成され、最終的なpol II複合体のサブユニ
ットに結合するその能力は、近くの遺伝子の転写活性を調節するということであ
る。
【0042】 本発明は、真核生物細胞において遺伝子の発現を調節するために使用され得る
核酸分子およびタンパク質に関係する。
【0043】 本発明の1つの局面は、複数の異種「活性化タグ」(以下にさらに規定される
)(例えば、転写活性化を影響し得る(例えば、活性化ポリメラーゼ複合体のア
センブリまたは安定性を影響し得る)ポリぺプチド配列)を含むようにされるキ
メラ転写アクチベーター(「複合性アクチベーター」)に関する。別個のタンパ
ク質からの活性化タグが、単一のポリぺプチド中で併用され得るか、または複合
体によって、単一の認識エレメントに人工的に補充され、転写を相乗作用的に活
性化する能力を獲得することが発見された。その最も単純な詳細において、キメ
ラアクチベーターは、異種供給源由来の少なくとも2つの異なる活性化タグ(例
えば、2つ以上の異なる転写因子またはコアクチベーターに由来し、および同じ
タンパク質中に天然においてともに存在しない活性化タグ)を含む。添付の実施
例においてさらに記載されるように、このタイプの構築物は、多様な使用を伴っ
て、強力な転写アクチベーターを形成することが観察される。従って、本発明は
、少なくとも2つの別個のタンパク質に由来する活性化タグを用いて得られる複
合性転写アクチベーターを提供する。
【0044】 この情況において、転写活性化の同時の増加を伴って、多様な活性化タグが、
キメラタンパク質において複数回反復され得るか、またはそれらと幾重にも会合
されることがまた、発見された。この結果は、例えば、先行技術の系において観
察された鎮圧化が、一般的な転写因子(例えばTFIID複合体の転写因子)の利用 可能性を含む速度制限工程の結果であったという考えを考慮すると、予期されな
いことであった。従って、本発明の複合性アクチベーターの別のタイプは、所与
の複合性アクチベーターにおいて複数のコピーの活性化タグが反復される(例え
ば、2〜20回)アクチベーターである。反復する活性化タグの実施態様は、例え
ば、反復される活性化タグとして、同じ供給源または異種供給源由来の他の活性
化タグと併用され得る。本明細書中により詳細に記載されるように、上述の実施
態様のいずれかにおいて、活性化タグは、それ自身、アクチベーター依存性の転
写を誘導し得る。あるいは、活性化タグは、アクチベーター依存性の転写を誘導
するには単独では不十分であるが、アクチベーター依存性の転写を誘導するある
能力をそれ自身有する第2の活性化タグとともに提供される場合、相乗作用的な
効果を生成する活性化タグであり得る。本発明の複合性アクチベーターは、DNA 結合ドメイン、リガンド結合ドメイン(LBD)、および/またはオリゴマー化ド メイン(OD)を含むように作製され得る。
【0045】 本発明の別の局面は、新規な活性化タグの同定に関する。この点において、活
性化タグは、NF-kB転写因子サブユニットp65において同定された。p65のいわゆ る「アラニン/プロリンリッチ」または「AP」活性化タグは、このタンパク質の アミノ酸約361〜アミノ酸約450に及ぶ。配列番号2を参照のこと。類似のAP活性
化タグはまた、例えばp53およびCTFタンパク質に存在する。実施例において記載
されるように、タンパク質における1つまたは複数コピーのAPドメイン単独の存
在は、アクチベーター誘導性の転写活性化を誘導する能力を提供しない。しかし
、それ自身アクチベーター依存性の転写のあるレベルを誘導し得る活性化タグ(
例えば、p65またはVP16の別の部分)に連結される場合、AP活性化タグは、第2 の活性化ドメインと相乗作用して、活性化される転写のレベルの増加を誘導する
。AP活性化タグは、例えば、キメラ転写因子を構築するために、薬物スクリーニ
ングアッセイを作製するために、または転写複合体を形成するためにAP活性化タ
グを利用するp65または他の転写因子の拮抗性のインヒビターとして、使用され 得る。
【0046】 本発明のなお別の局面は、エピソーム遺伝子と対照的に、取込まれた遺伝子の
転写のレベルが、遺伝子に送達され得る活性化タグの数に直接的に関連するとい
う観察に関する。任意の特定の機構的な理論に束縛されることを望まないが、複
数の活性化単位の存在下でのエピソーム遺伝子の転写の阻害は、(i)基本的な
機構とアクチベーターとを架橋するために必要なアダプター成分、および/また
は(ii)基本成分のいずれかの、アクチベーター(DNAに未結合)による隔離か ら生じ得る。対照的に、取込まれた遺伝子の転写は、遺伝子のプロモーター配列
へのさらなる活性化単位の送達によって増強されるようである。したがって、本
発明のキメラアクチベーターは、天然に存在する、またはそうでなければゲノム
に取込まれた遺伝子から、高レベルの転写を駆動するために使用され得る。本発
明のキメラアクチベーターは、以前は適切なレベルで首尾良く転写されなかった
、取込まれた1コピーの遺伝子の転写を活性化するために、特に有用である。
【0047】 II.定義 簡便のために、本明細書、実施例、および添付の請求の範囲において用いられ
る用語および句の意味は、以下に提供される。
【0048】 本明細書中で使用されるように、用語「遺伝子」または「組換え遺伝子」は、
オープンリーディングフレームを含み、ならびに少なくとも1つのエクソンおよ
び(必要に応じて)イントロン配列を含む核酸分子をいう。用語「イントロン」
は、タンパク質に翻訳されず、所与の遺伝子中に存在するDNA配列をいい、およ び一般に、エクソン間に見出される。
【0049】 本明細書中で使用されるように、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA) 、および適切である場合、リボ核酸(RNA)等のポリヌクレオチドをいう。この 用語はまた、ヌクレオチドアナログから作製される、RNAまたはDNAのいずれかの
等価物、誘導体、改変体、およびアナログ、ならびに、記載される実施態様に対
して理解されるように、1本鎖(センスまたはアンチセンス)および2本鎖ポリ
ヌクレオチドが含まれることが、理解されるべきである。
【0050】 転写調節配列およびコード配列に言及される場合、用語「作動可能に連結され
る」は、調節配列が、アクチベーター依存性の様式においてコード配列の転写を
促進するような様式で、コード配列と会合されることを意味することが意図され
る。
【0051】 用語「タンパク質」、「ポリぺプチド」、および「ペプチド」は、例えば、コ
ード配列によってコードされ得るので、遺伝子産物に関する場合、本明細書中で
交換可能に使用される。
【0052】 「転写調節配列」はまた、本明細書中で「調節エレメント」、「調節配列」、
または「調節エレメント」と呼ばれ、作動可能に連結されるタンパク質コード配
列の転写を誘導または制御するDNA配列(例えば、開始シグナル、エンハンサー 、およびプロモーター)を言及するために本明細書を通して使用される一般的な
用語である。用語「エンハンサー」はまた、本明細書中で「エンハンサーエレメ
ント」といわれ、基本のプロモーターからの転写を、増加、刺激、または増強し
得る調節エレメントを含むことが意図される。用語「サイレンサー」はまた、本
明細書中で「サイレンサーエレメント」といわれ、基本のプロモーターからの転
写を、減少、阻害、または抑制し得る調節エレメントを含むことが意図される。
調節エレメントはまた、5隣接配列以外の遺伝子に存在し得る。従って、遺伝子
の調節エレメントは、イントロン、エクソン、コード領域、および3隣接配列に
位置することが可能である。
【0053】 本明細書中で使用されるように、用語「基本的なプロモーター」または「最小
プロモーター」は、作動可能に連結される選択されるDNA配列の転写を開始し得 る、最小の転写調節配列をいう。この用語は、基本的な転写を提供するプロモー
ターエレメントを示すことが意図される。基本的なプロモーターは、頻繁に、TA
TAボックスまたはTATA様ボックスからなり、そしてRNAポリメラーゼおよび多数 の転写因子(例えば、GTFおよびTATAボックス結合タンパク質(TBP))によって
結合される。
【0054】 用語「基本的なプロモーター」および「調節エレメント」はさらに、「組織特
異的」プロモーターおよび調節エレメント、すなわち、特定の細胞(特定の組織
の細胞)において優先的に、選択されたDNA配列の発現を達成するプロモーター および調節エレメントを含む。遺伝子発現は、特異的な細胞型における発現が、
他の細胞型における発現よりも有意に高い場合、この細胞型において優先的に生
じる。用語「プロモーター」および「調節エレメント」はまた、いわゆる「漏出
性」プロモーターおよび「調節エレメント」を含み、これは、ある組織において
選択された遺伝子の発現を主に調節するが、他の組織においてもまた発現を引き
起こす。用語「プロモーター」および「調節エレメント」はまた、非組織特異的
プロモーターおよび調節エレメント(すなわち、ほとんどの細胞型において活性
であるプロモーターおよび調節エレメント)を包含する。さらに、プロモーター
または調節エレメントは、構成的なプロモーターまたは調節エレメント(すなわ
ち、誘導性であるプロモーターまたは調節エレメント(すなわち、主に刺激に応
答して活性であるプロモーターまたは調節エレメント)とは対照的に、構成的に
転写を調節するプロモーターまたは調節エレメント)であり得る。刺激は、例え
ば、分子(例えば、ホルモン、サイトカイン、重金属、ホルボールエステル、サ
イクリックAMP(cAMP)、またはレチノイン酸)であり得る。
【0055】 用語「コアプロモーターエレメント」は、TATAボックスおよびイニシエーター
エレメントを含むことが意図される。
【0056】 「DNA認識配列」または「DNA認識エレメント」は、これらの句が本明細書中で
使用されるように、例えば転写因子の、1つ以上のDNA結合ドメインに結合し得 るDNA配列を意味する。
【0057】 用語「イニシエーター」は、転写開始部位を含み、および正確に開始される転
写産物の合成を指向するのに重要な、短い、弱く保存されたエレメントをいう。
任意の1つの理論に拘束されることを望まないが、TFIIDは、イニシエーターを 接触することが考えられる。
【0058】 用語「転写因子」は、転写の開始に関与するが、それ自身ポリメラーゼの一部
ではない、任意のタンパク質またはそれの改変された形態をいう。転写因子は、
タンパク質またはそれの改変された形態であり、これは、特異的な核酸配列(す
なわち、調節エレメント)と、優先的に相互作用し、そして適切な条件下で、転
写を刺激する(「転写アクチベーター」)か、または転写を抑制する(「転写リ
プレッサー」)タンパク質またはそれの改善された形態である。いくつか転写因
子は、それらが単量体の形態にある場合に活性である。あるいは、他の転写因子
は、2つ以上の同一のタンパク質または異なるタンパク質からなるオリゴマーの
形態(ヘテロ二量体)において活性である。因子は、転写開始の間に異なる作用
を有する:これらは、他の因子と、RNAポリメラーゼと、完全な複合体と、アク チベーターと、またはDNAと、相互作用し得る。因子は、一般に、2つの群:( i)一般的な転写因子、および(ii)転写アクチベーターに分類可能である。転
写因子は、通常、1つ以上の調節ドメインを含む。
【0059】 用語「調節ドメイン」は、転写を調節する任意のドメインをいい、および活性
化ドメインおよび抑制ドメインの両方を含む。用語「活性化ドメイン」は、遺伝
子転写の速度をポジティブに調節する(増加する)転写因子中のドメインを示す
。用語「抑制ドメイン」は、遺伝子転写の速度をネガティブに調節する(阻害ま
たは減少する)転写因子中のドメインを示す。
【0060】 用語「GTF」および「基本的な転写因子」と、本明細書中で交換可能に使用さ れる、用語「一般的な転写因子」は、RNAポリメラーゼIIと接触において作動し 、プロモーター認識および正確な転写開始をもたらすタンパク質またはタンパク
質複合体をいう。これらのタンパク質は、RNAポリメラーゼIIとともに、転写開 始複合体を構成する。GTFは、TFIIA、TFIIB、TFIID、TFIIE、TFIIF、およびTFII
Hを含む。GTFは、通常、強力なプロモーター(例えば、TATAボックスを含有する
プロモーター)からインビトロで、基底レベルの転写を指向するのに十分である
。いくつかのGTFは、互いと、および/またはRNAポリメラーゼIIと、相互作用す
る。例えば、TFIIEは、TFIIHおよびRNAポリメラーゼIIと相互作用し、TFIIFは、
RNAポリメラーゼIIおよびTFIIBと相互作用し、ならびにTFIIBは、TFIIDからのTB
PおよびRNAポリメラーゼIIと相互作用する。
【0061】 本明細書中で使用される用語「転写アクチベーター」は、基本的な転写複合体
が行う効率を増強し得る(すなわち、転写を活性化し得る)タンパク質またはタ
ンパク質複合体をいう。従って、本明細書中で使用されるように、転写アクチベ
ーターは、単一のタンパク質であり得るか、あるいはこれは、少なくともいくつ
かが互いに共有結合的に連結されない、いくつかのユニットから構成され得る。
転写アクチベーターは、典型的に、モジューラー構造を有し、すなわち、種々の
ドメイン(例えば、DNA結合ドメイン)および1つ以上の転写活性化タグを含む 。いくつかの転写アクチベーターは、、GTFのサブセットを従事させ得る。例え ば、いくつかの転写アクチベーターは、TFIIDおよびTFIIBの両方を集合的に接触
する活性化タグを含み得る。他の転写アクチベーターは、単一のGTFを接触し得 る。
【0062】 用語「コアクチベーター」、「アダプター」および「メディエーター」と、本
明細書中で交換可能に使用される用語「補因子」は、遺伝子非特異的な様式で転
写を増強するかまたは抑制するかのいずれかである(例えば、内因性DNA結合特 異性を欠損する)タンパク質をいう。従って、補因子は一般的なエフェクターで
ある。ポジティブに作用する補因子は、基底の転写を刺激しないが、アクチベー
ターに対する応答を増強する。ポジティブに作用する補因子としては、PC1、PC2
、PC3、PC4、およびACFが挙げられる。転写アクチベーターと直接的に作用するT
AFはまた、補因子といわれる。
【0063】 「活性化タグ」、「転写活性化単位」、および「活性化単位」として、本明細
書中でまた言及される用語「転写活性化タグ」は、それ自身でまたは別の転写活
性化単位に、共有結合的にもしくは非共有結合的に連結される場合、アクチベー
ター依存性の転写を誘導し得るか、またはそうでなければ強化し得る、ペプチド
配列をいう。転写アクチベーターとは対照的に、一般に、活性化タグは、転写因
子と直接的にまたは間接的に作用する能力を保持する最小ポリぺプチド配列に対
応する。もちろん、そうでなければ情況から明らかにならない限り、キメラタン
パク質が、活性化タグを「包含する」あるいは「含む」といわれる場合、タグが
由来するタンパク質の他の部分が含まれ得ることが理解される。転写活性化タグ
は、あるアミノ酸が豊富であり得る。例えば、転写活性化単位は、酸性残基、グ
ルタミン、プロリン、またはセリン、およびスレオニン残基が豊富なペプチドで
あり得る。なお他の転写アクチベーターは、イソロイシンまたは塩基性アミノ酸
残基が豊富であり得る(例えば、Triezenberg(1995)Cur. Opin. Gen. Develop
. 5:190、およびそこにおける参考文献を、参照のこと)。例えば、活性化タグ は、転写活性化ドメインと会合される、少なくとも約6アミノ酸残基のペプチド
モチーフであり得、それぞれ、周知の「酸性」モチーフ、「グルタミン-リッチ 」モチーフ、および「プロリン-リッチ」モチーフ(例えば、それぞれ、p65由来
のK13モチーフ、OCT2 Qドメイン、およびOCT2 Pドメイン)を含む。
【0064】 「二量体化ドメイン」は、ドメインを有する2つのタンパク質間の二量体の形
成を誘導するドメインとして規定され、一方、「四量体化ドメイン」は、四量体
化ドメインを含有するタンパク質間の四量体の形成を誘導するドメインとして規
定される。「オリゴマー化ドメイン」は、二量体化および四量体化ドメインの両
方について総称的であり、オリゴマーの形成を促進し、これは、任意のサブユニ
ット化学量論であり得る(もちろん1つよりも多い)。
【0065】 本明細書中で使用されるように、用語「相互作用」は、分子間の検出可能な相
互作用を含むことが意味され、例えば、酵母ツーハイブリッドアッセイを使用し
て、または免疫沈降によって、検出され得る。用語相互作用はまた、分子間の「
結合」相互作用を含むことが意味される。相互作用は、例えば、天然において、
タンパク質−タンパク質、タンパク質−核酸、タンパク質−小分子、小分子−核
酸であり得る。
【0066】 用語「ホロ酵素複合体」は、RNAポリメラーゼII含有複合体をいう。
【0067】 用語「アクチベーター阻害」と、本明細書中で交換可能に使用される用語「鎮
圧化」は、アクチベーターが人工的に高濃度で存在する場合に観察される転写の
阻害をいう(PtashneおよびGann(1990)Nature 346:329)。任意の特定の理論 に拘束されないが、阻害は、(i)基本的な機構とアクチベーターとを架橋する
ために必要なアダプター成分、および/または(ii)基本的な成分のいずれかの
、アクチベーター(DNAに未結合)による隔絶から生じることが理解される。
【0068】 用語「サブユニット」は、転写アクチベーターのサブユニットを言及する場合
、転写アクチベーターの任意の単位(例えば、転写活性化単位、DNA結合ドメイ ン、またはリガンド結合ドメイン)をいう。
【0069】 用語「単位」は、転写因子の単位を言及する場合、一般に、特異的な活性(例
えば、転写活性化、転写抑制、DNA結合、またはリガンド結合)を有する転写因 子の最小の部分をいう。
【0070】 本明細書中で使用されるように、用語「トランスフェクション」は、核酸媒介
性遺伝子移入による、レシピエント細胞への核酸(例えば、発現ベクター)の導
入を意味する。本明細書中で一般に使用されるように、用語「形質導入」は、一
般に、核酸でのトランスフェクションが、核酸のウイルス送達による場合に、本
明細書中で使用される、「形質転換」は、外因性DNAまたはRNAの細胞取込みの結
果として、細胞の遺伝子型が変化されるプロセスをいい、例えば、形質転換され
た細胞は、ポリぺプチドの組換え形態を発現するか、または移入された遺伝子か
らのアンチセンス発現の場合、組換えタンパク質の天然に存在する形態の発現が
中断される。
【0071】 本明細書中で使用されるように、用語「トランスジーン」は、細胞に導入され
た核酸配列をいう。トランスジーンが導入された細胞から分裂する嬢細胞はまた
、(トランスジーンが欠失されない限り)トランスジーンを含むといわれる。ト
ランスジーンは、例えば、それが挿入されるトランスジェニック動物または細胞
に対して部分的にまたは完全に異種の(すなわち、外来の)ポリぺプチドをコー
ドし得るか、またはトランスジーンが導入されるトランスジェニック動物もしく
は細胞の内因性遺伝子に対して相同であるが、導入される細胞のゲノムを変化す
るような方法で動物ゲノムに挿入されるように設計されるか、または挿入される
(例えば、トランスジーンは、天然の遺伝子の位置とは異なる位置で、挿入され
る)。あるいは、トランスジーンはまた、エピソームに存在し得る。トランスジ
ーンは、選択されたコード配列の至適な発現のために必要であり得る、1つ以上
の転写調節配列および任意の他の核酸(例えば、イントロン)を含み得る。
【0072】 本明細書中で使用されるように、用語「ベクター」は、それが連結される別の
核酸を輸送し得る核酸分子をいう。好ましいベクターの1つのタイプは、エピソ
ーム(すなわち、染色体外複製し得る核酸)である。好ましいベクターは、それ
らが連結される核酸の自己複製およびまたは発現を行い得るベクターである。作
動可能に連結される遺伝子の発現を指向し得るベクターは、本明細書中で「発現
ベクター」といわれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは 、しばしば、「プラスミド」の形態であり、これは、一般に、それらのベクター
の形態において染色体に結合しない環状2本鎖DNAループといわれる。本明細書 において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般に使用
されるベクターの形態であるので、交換可能に使用される。しかし、本発明は、
等価な機能を作用する、および今後当該分野において公知になる発現ベクターの
他の形態を含むことが意図される。
【0073】 「本明細書中で使用される句「由来する」は、所与の配列内から選択されるペ
プチドまたは核酸配列を示す。指定される配列に由来するペプチドまたはヌクレ
オチド配列は、親配列に比較して少数の改変を含み得、ほとんどの場合、親配列
中に存在するアミノ酸残基または塩基対の約15%未満の、好ましくは約10%未満
の、および多くの場合において約5%未満の欠失、置換、または挿入を示す。DN
Aの場合において、一方のDNA分子はまた、互いに選択的にハイブリダイズし得る
場合、他方のDNA分子に由来し得ることが考慮される。
【0074】 用語「キメラ」、「融合」、および「複合性」は、天然において直接的に(共
有結合的に)連結されることが見出されないという意味において、相互に異種で
ある少なくとも2つの成分部分を含有する、タンパク質、ペプチドドメイン、ま
たは核酸配列、または分子を示すために使用される。より具体的には、成分は、
天然において、少なくとも同じ順序もしくは方向において、またはキメラタンパ
ク質または複合性ドメインに存在する同じ間隔を伴って、同じ連続的なポリぺプ
チドまたは遺伝子中に見出されない。このような物質は、少なくとも2つの異な
るタンパク質もしくは遺伝子に由来する、または同じタンパク質または遺伝子の
少なくとも2つの近接しない部分に由来する成分を含む。複合性タンパク質、お
よびそれらをコードするDNA配列は、天然において直接的に(共有結合的に)連 結されることが見出されない少なくとも2つの構成部分を含むという意味におい
て、組換えである。
【0075】 III. 例示的なキメラアクチベーター 1つの局面において、本発明は、例えば、DNA結合ドメイン、リガンド結合ド メイン、および/またはオリゴマー化ドメインに融合される、複数の活性化タグ
から構成される複合性のアクチベーターを提供する。
【0076】 複合性転写活性化領域は、2つ以上の反復されるか、またはそうでなければ異
種の活性化タグを含有する連続的なポリぺプチド領域からなる。活性化タグは、
少なくとも2つの異なるタンパク質、通常は互いに関して同じ方向に存在しない
ポリぺプチド配列(ポリぺプチド配列の反復されるコピーを含む)、または天然
に存在しないポリぺプチド配列を含む。
【0077】 1つの実施態様において、少なくとも1つの活性化タグは、TFIID複合体に対 してTFIIAを補充して、「DA」複合体を形成し、および/またはDA複合体の形成 を安定化した。他の活性化タグは、他のTAF、およびアクチベーター依存性の転 写に必要なコアクチベーターを含む複合体を、補充、または安定化する。例えば
、ある場合において、複合性アクチベーター配列は、TFIIA、およびTFIIB、TFII
E、TFIIF、またはTFIIHを補充し得る。好ましい実施態様において、複合性アク チベーターは、酸性活性化タグ、プロリン−リッチ転写活性化タグ、セリン/ス
レオニン−リッチ活性化タグ、グルタミンリッチ活性化タグ、およびAP活性化タ
グの群からの少なくとも2つの異なる活性化タグを含み、ならびにさらにより好
ましくは、これらの活性化タグのうちの少なくとも2つは、別個のタンパク質か
ら選択される(すなわち、天然には同じタンパク質にともに存在しない)。
【0078】 複数コピーの特定の活性化タグが同じ連続的なポリぺプチド中に含まれる場合
、複合性アクチベーターは、好ましくは、少なくとも3コピーの活性タグを含む
が、より好ましくは、少なくとも5、10、15、または少なくとも20コピーのタグ
も含む。
【0079】 図20において示されるものは、本発明の複合性アクチベーターの代表的な例
である。例示的な複合性アクチベーターにおいて、2つ以上の活性化タグは、異
なるタンパク質に由来する。AP活性化配列およびp65(450〜550)活性化配列は 、ヒトNF-(B p65サブユニット)に由来するが、V8ドメインは、VP16のN末端由来
の酸性活性化タグであり、およびVc活性化タグは、VP16のC末端部分である。p
65(450〜550)、V8、およびVc配列のそれぞれは、アクチベーター依存性の転写を
誘導し得る。同じポリぺプチド配列中に示される場合、これらの活性化タグは、
相乗作用的な形で、応答遺伝子の発現を誘導する。他方、AP活性化タグは、それ
自身で、アクチベーター依存性の転写を誘導するのに不十分であるが、活性化タ
グ(例えば、V8活性化タグ)と併用される場合、AP活性化タグの存在は、V8活性
化タグ単独に比較して、遺伝子のトランス活性化を増加する。
【0080】 例示される複合性アクチベーターの別の特徴は、いくつかの活性化タグ配列の
反復である。V8およびVc活性化タグを反復することは、例えば、特にゲノムに取
込まれた遺伝子の転写アクチベーターとして得られるタンパク質の耐性を増加す
る。
【0081】 以下により詳細に記載されるように、複合性アクチベーターにおいて、含まれ
る活性化タグの理想的な数、および種々のタグの互いに対する相対的な方向は、
当該分野において公知の技術によって、容易に決定することができ、レポーター
遺伝子ベースのアッセイを使用する高処理量のスクリーニングを含む。
【0082】 本発明の複合性アクチベーターから観察される鎮圧化の欠損に、少なくとも部
分的に基づいて、本発明の融合タンパク質は、複数の複合性アクチベーターの非
共有結合的なオリゴマー化を許容する1つ以上のオリゴマー化配列を含み得る。
例えば、図7は、四量体化ドメインの包含が、複合性アクチベーター配列の多量
体化複合体の形成を許容することを示す。上述から反復すると、この実施態様は
、特に、DA複合体の形成について、多数の活性化タグに起因する鎮圧化が、ゲノ
ム配列からの発現を妨害しないという発見に、一部、由来する。
【0083】 記載されるように、複合性アクチベーター配列は、DNA結合ドメインを含む融 合タンパク質の部分として提供され得る。他の実施態様において、図5〜7にお
いて説明されるように、複合性活性化配列は、多価リガンドの存在下で、DNA結 合化複合体への複合性アクチベーターの補充を促進し得るリガンド結合ドメイン
と、融合され得る。複合体は、複数のリガンド結合ドメインの包含によって、リ
ガンド依存性の様式で、複数のアクチベーターとともに負荷され得る。
【0084】 複合性アクチベーターが1つ以上のオリゴマー化ドメインおよび/またはリガ
ンド結合ドメインを含むが、DNA結合ドメインと連続的でない場合の本発明にお いて、複合性アクチベーターは、DNA結合ドメインおよび適切なオリゴマー化も しくはリガンド結合ドメインを含む第2のタンパク質とともに、細胞において同
時発現されて、複合性アクチベータータンパク質と複合体を形成する。従って、
複合性アクチベータータンパク質は、オリゴマー形成によってDNA結合タンパク 質と相互作用することによって、転写調節の部位に補充することができ、これは
、構成的または誘導性であり得る。
【0085】 本発明の融合タンパク質を作製するための技術は、周知の手順から適応される
。本質的に、異なるポリぺプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの結 合は、ライゲーションのための平滑末端または互い違いの末端、適切な末端を提
供するための制限酵素消化、突出末端の適切な充填、非所望の結合を回避するた
めのアルカリホスファターゼ処理、および酵素ライゲーションを用いる、従来の
技術に従って行われる。あるいは、融合遺伝子は、自動化DNA合成を含む従来の 技術によって合成され得る。別の方法において、2つの連続的な遺伝子フラグメ
ント間に相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを使用して、遺伝
子フラグメントのPCR増幅が行われ得る。増幅産物は、続いて、アニーリングさ れて、キメラ遺伝子配列を生成し得る(例えば、Current Protocols in Molecul
ar Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。
【0086】 A.活性化タグ 本発明の複合性アクチベーターにおいて有用な活性化タグは、1つ以上の転写
因子に由来し得る。真核生物細胞において転写を活性化するために機能し得るポ
リぺプチドは、当該分野において周知である。特に、適切な活性化タグを含有す
る転写活性化ドメインは、多くのDNA結合タンパク質について記載され、そして 転写活性化ドメインまたはその適切なフラグメントが、異種タンパク質に移され
る場合、それらの活性化機能を保持することが示された。
【0087】 活性化タグは、単独で、または他の活性化タグと組み合わせて、それらが、基
底のおよび/またはアクチベーター依存性の転写複合体が行う効力を増強し得る
限り(すなわち、それらが、転写因子またはコアクチベータータンパク質ととも
に相互作用し得る限り)、天然に存在し得るか、または合成物であり得る。任意
の特定の活性化タグは、好ましくは、少なくとも6アミノ酸長であり、好ましく
は、約300を越えないアミノ酸残基を含むが、さらにより好ましくは、200残基未
満、またはさらに100残基未満を含む。
【0088】 天然に存在する活性化単位は、本明細書中で「Vc」といわれる、転写因子の部
分(例えば、VP16のC末端の30アミノ酸フラグメント(アミノ酸461〜490)を含
む。
【0089】 他の活性化単位は、天然に存在するペプチドの誘導体である。例えば、別のア
ミノ酸による、天然に存在する活性化単位のあるアミノ酸の置換は、活性化をさ
らに増加し得る。このような活性化単位の例は、VP16の8アミノ酸ペプチドの誘
導体(アミノ酸配列DFDLDMLGを有する誘導体)である。
【0090】 なお他の活性化単位は、完全な合成物である。例えば、酸性アミノ酸のあるラ
ンダムなアラインメントは、転写を活性化し得る。ある転写因子が特定の細胞型
においてのみ活性であること(すなわち、転写因子が組織特異的に作用し得るこ
と)が、当該分野において周知である。特定の作用の機構に拘束されることを望
まないが、この組織特異性は、転写因子が、ある細胞型においてのみに存在する
特異的因子(例えば、補因子)と相互作用するという事実の結果である。この組
織特異性は、転写因子の特定の部分に局在化され得る。ある転写因子において、
この部分は、活性化ドメインの外側に位置され、一方、他の転写因子において、
この部分は活性化ドメイン内に局在化され得る。従って、特定の細胞において本
質的に機能的である活性化タグを使用することによって、ある組織特異性を有す
る本発明の転写アクチベーターを設計することが可能である。
【0091】 本発明の融合タンパク質における使用のために好ましいポリぺプチドは、単純
ヘルペスウイルスのビリオンタンパク質16(本明細書中でVP16と呼ばれ、そのア
ミノ酸配列は、Triezenberg,S.J.ら(1988)Genes Dev. 2:718-729において開 示される)である。1つの実施態様において、VP16の約127個のC末端アミノ酸 に対応する活性化タグが使用される。例えば、配列番号X(208〜335位)におい
て示されるアミノ酸配列を有するポリぺプチドが、融合タンパク質において第2
のポリぺプチドとして使用され得る。別の実施態様において、少なくとも1コピ
ーの、転写活性化能力を保持するVP16のC末端領域からの約11個のアミノ酸が、
活性化タグとして使用される。好ましくは、この領域のオリゴマー(すなわち、
約22個のアミノ酸)が、使用される。VP16の適切なC末端ペプチド部分は、Seip
el,K.ら(EMBO J.(1992)13:4961-4968)において記載される。
【0092】 酸性活性化タグの別の例は、GAL4の753〜881残基において提供される。
【0093】 本発明の多くの実施態様において特徴付けられる転写活性化タグの1つの特に
重要な供給源は、(ヒト)NF-kBサブユニットp65である。1つの実施態様におい
て、キメラアクチベーターは、450〜550残基にわたるp65配列の全てもしくは部 分、またはそれらに由来するペプチド配列を含有するペプチド配列の、1コピー
以上を含む。ある実施態様において、p65ペプチド配列を、p65の361〜450残基に
及ぶ配列を含むように伸長することによって(例えば、「AP活性化タグ」を含む
ことによって)、転写活性化の予期されない増加が導かれることが見出された。
さらに、異種活性化タグと組合わせて、p65(361-550)の全てもしくは一部を含
むペプチド配列、もしくはそれらに由来するペプチド配列は、転写活性化のレベ
ルの驚くべきさらなる増加を生じ得る。p65ベースの活性化ドメインは、広範囲 のプロモーターを横切って機能し、そしてそれ自身で非常に強力な活性化ドメイ
ンとして広範に認識されるVP16の直列コピーを用いて得られるよりも、6倍、8
倍、およびさらに14〜15倍高い、転写レベルの増加が得られた。
【0094】 得られた活性強度の増加は劇的であるが、p65ベースの転写因子は、さらなる および予期されない特徴を保有する。例えば、VP16とは異なり、本発明のp65ベ ースのアクチベーターは、操作された細胞に対して毒性でないようである。これ
は、明らかに、多くの適用において十分に実際的に有意である。p65活性化タグ またはそれらに由来するペプチド配列を含むキメラタンパク質をコードする組換
えDNA分子は、その種々の情況において(本明細書中に記載されるような構成的 な系を含む)において、ならびに国際特許出願第PCT/US94/01617号、同第PCT/US
95/10591号、同第PCT/US96/09948号などにおいて開示される調節性の系において
、ならびに他の異種転写系(例えば、Bujardらによって報告されるテトラサイク
リンベースの調節およびステロイドまたは他のホルモンベースの調節を含む系)
において、異種遺伝子発現のために有意な利点を提供する。
【0095】 p65ベースの転写因子の1つのクラスは、1コピーよりも多いp65由来のドメイ
ンを含む。このようなタンパク質は、典型的に、p65(361〜550)の全てもしくは 一部を含有する2〜約6コピーのペプチド配列、またはそれらに由来するペプチ
ド配列を含む。
【0096】 真核生物細胞において、転写活性化能力を有する他のポリぺプチドは、本発明
の融合タンパク質に活性化タグを提供するために使用され得る。種々のタンパク
質内に見出される転写活性化ドメインは、類似の構造特徴に基づくカテゴリーに
分類された。転写活性化ドメインのタイプとしては、酸性転写活性化ドメインに
加えて、プロリンリッチ転写活性化ドメイン、セリン/スレオニンリッチ転写活 性化ドメイン、およびグルタミンリッチ転写活性化ドメインが挙げられる。プロ
リンリッチ活性化ドメインの例としては、CTF/NF1のアミノ酸399〜499残基、お よびAP2のアミノ酸31〜76残基が挙げられる。セリン/スレオニンリッチ転写活性
化ドメインの例としては、ITF1のアミノ酸1〜427残基およびITF2のアミノ酸2 〜451残基が挙げられる。グルタミンリッチ活性化ドメインの例としては、Oct1 のアミノ酸175〜269残基およびSp1のアミノ酸132〜243残基が挙げられる。上記 の領域のそれぞれのアミノ酸配列、および他の有用な転写活性化ドメインのアミ
ノ酸配列は、Seipel,K.ら(EMBO J.(1992)13:4961-4968)において開示され る。
【0097】 ヒト起源のなお他の例示的な活性化ドメインおよびモチーフとしては、ヒトCT
Fの活性化ドメイン、18個のアミノ酸(NFLQLPQQTQGALLTSQP)、Oct-2のグルタミ
ンリッチ領域、p53のN末端の72個のアミノ酸、Ewing肉腫遺伝子におけるSYGQQS
反復、およびRelAタンパク質の11個のアミノ酸(535-545)の酸性リッチ領域が 挙げられる。
【0098】 以前に記載された転写活性化ドメインに加えて、新規な転写活性化タグを、標
準的な方法によって同定することができ、これは、本発明の範囲内である。ポリ
ぺプチドの転写活性化能力は、DNA結合活性を有する別のポリぺプチドにこのポ リぺプチドを連結し、そして融合タンパク質によって刺激される標的配列の転写
の量を測定することによって、アッセイされ得る。例えば、当該分野において使
用される標準的なアッセイは、推定の活性化タグと、GAL4 DNA結合ドメイン(ア
ミノ酸1〜93残基)との融合タンパク質を利用する。次いで、この融合タンパク
質は、GAL4結合部位に連結されるレポーター遺伝子の発現を刺激するために使用
される(例えば、Seipel,K.ら(1992)EMBO J. 11:4961-4968、およびそこで引
用される参考文献を参照のこと)。
【0099】 上記されるように、転写アクチベーターはまた、複合性活性化タグを含むこと
ができ、この活性化タグは他方の活性化タグの不在下では転写を活性化し得ない
。例えば、VP16由来の活性化タグAPは、複数のコピーで存在する場合であってで
さえ、他の活性化単位の不在下では転写を活性化しない。
【0100】 従って、本発明は、AP活性化タグ、またはその誘導体を提供し、これは、TFII
Aと相互作用し得るが、それ自身では転写を活性化し得ない。1つの実施態様に おいて、APポリぺプチドは、配列番号2の361〜450残基のアミノ酸配列を有する
。AP活性化タグの機能的に等価な誘導体はまた、TFIIAに対する結合について、A
Pの誘導体をスクリーニングし、そして上記のように、同時トランスフェクショ ンアッセイにおいてこのような誘導体の転写活性を測定することによって、得る
ことができる。このような等価物は、N末端もしくはC末端のいずれかで、また
は両方で短縮される活性化タグの形態(例えば、約75、60、50、30、またはさら
に20アミノ酸残基長(例えば、20〜89アミノ酸長の範囲)であるp65のフラグメ ント(または、それに相同な配列)を含むことが予測される。同様に、p65由来 のAP活性化タグ配列は、アミノ酸置換に耐性であり得、例えば、配列番号2のAP
活性化タグ配列と、少なくとも95%、90%、80%、およびさらに70%の同一性の
AP活性化タグを生成する。
【0101】 本発明の転写アクチベーターの複数の活性化単位または他のドメインは、任意
の真核生物由来である可能性があり、ならびに全ての単位およびドメインが、同
じ種由来である必要はない。好ましい種としては、脊椎動物(例えば、哺乳動物
)が挙げられる。さらにより好ましい単位またはドメインは、ヒト由来である。
特定の種(例えば、ヒト)の被験体における遺伝子治療において、本発明の転写
アクチベーターを使用するために、転写アクチベーターまたは複合体に対する免
疫反応を回避するために同じ種由来の単位およびドメインを使用することが好ま
しい。
【0102】 転写コアクチベーターの活性化単位は、直線状配列において互いに供給結合的
に連結され得る(すなわち、一方の活性化単位のNH2単位は、他方の活性化単位 のCOOH末端に連結される)。活性化単位は、任意の順序で配置され得る。しかし
、本明細書中で記載されるように、活性化単位のある配置は、他の配置よりも高
レベルの転写活性化を生じることが観察された。活性化単位が配置されるべき順
番は、所望される結果(すなわち、達成することを所望するトランス活性化の程
度)に依存し、そして例えば、実施例において記載されるように、同時トランス
フェクション実験を行うことによって決定され得る。簡潔には、DNA結合ドメイ ンに連結される、種々の配置で活性化単位をコードする発現ベクターは、DNA結 合ドメインによって認識されるDNA部位を含有するプロモーターに作動可能に連 結されるレポーター遺伝子を含むレポーター構築物でともに同時トランスフェク
トされ、そしてレポーター遺伝子の発現が測定される。このようなアッセイにつ
いて、活性化単位が活性であることが知られる細胞株を使用することが好ましい
【0103】 本発明の複合性アクチベーターの転写活性を至適化するために、ポリぺプチド
中で互いに関して活性化タグを混合することが有利であり得る。活性化タグが、
互いに関してある程度、ポリぺプチド中で混合されるタンパク質のライブラリー
を作製し、そしてサンプリングすることによって、本発明の複合性アクチベータ
ーのコンビナトリアルライブラリーを作製するために適応され得る、利用可能な
多様なコンビナトリアルライブラリー技術がある。
【0104】 例示的な実施態様において、個々の活性化タグのコード配列が、配列GCGGCCGC
N(これはまた、(Ala)3をコードし、不統一なリンカーである)の付加によっ て、5および3末端での両方でNotI切断部位を含むように合成される。不統一な
リンカーの利点は、以下に記載される。このような活性化タグ配列をコードする
多様な核酸は、NotIで処理され、互いに混合され、そして互いに関して異なる活
性化タグ配列の種々の位置的な組み合わせを示すコンビナトリアルライブラリー
を形成するために再ライゲーションされ得る。転写活性化の最も優れたレベルを
生成する活性化タグの組合わせは、定量可能なレポーター遺伝子の発現に基づく
選択によって、得られるコンビナトリアルライブラリーにおいて、容易に同定さ
れ得る。
【0105】 別の実施態様において、コンビナトリアルイントロンスプライシングが、複合
性活性化配列の多様なライブラリーを作製するために使用され得る。米国特許第
5,498,531号は、イントロン媒介性のトランススプライシングにより、等価な「 エクソンシャッフリング」を行うための手段を記載する。簡潔には、531特許の トランス−スプライシング系は、トランス−スプライシングについての転写物の
活性なセットを提供し、ここでは、隣接するイントロン配列は、分子間反応にお
いて相互作用することができ、2つ以上の転写産物のエステル転移反応を促進す
る反応性の複合体を再構成する。例えば、活性化タグをコードする「エクソン」
配列を含み、互いに対してエクソン配列のトランススプライシングを指向し得る
イントロン配列により、各側で隣接されるRNA転写産物が、提供される。これら のRNA構築物を混合することによって、2つの異なる構築物の隣接するイントロ ン配列間の分子間相補性は、2つの不連続性の活性化タグ配列を互いに連結する
ために必要なエステル転移反応を媒介する機能的なイントロンを形成し、そして
それによって、活性化タグ配列をコードする、これらの連結されたRNA配列を含 む伸長された転写産物を作製する。1つの実施態様において、活性化タグ「エク
ソン」は、群Iまたは群IIイントロンの1つの部分によって連結され、それによ って、隣接するイントロン配列の相互作用は、任意の他の因子の不在下で、エク
ソンの連結を駆動し得る自己触媒性コアを生成するのに十分である。本発明の情
況において、用語「エクソン」は、活性化タグを含むポリぺプチドをコードする
核酸配列を単に示し、そして例えば、天然に存在するおよび天然に存在しないエ
クソン配列に対応し得る。得られるRNA転写産物は逆転写され、そして、上述の ように、最も高い転写活性の位置順列が、容易に単離される。
【0106】 B.DNA結合ドメイン 本発明のある実施態様において、複合性アクチベーターは、DNA結合ドメイン をさらに含むキメラタンパク質の部分として提供される。別の実施態様において
、複合性アクチベーターは、キメラDNA結合ドメインとの構成的なまたは誘導性 のオリゴマー化のために、DNA配列に局在化される。このような例において、DNA
結合ドメインは、1つ以上のオリゴマー形成ドメインまたはリガンド結合ドメイ
ンを含む融合タンパク質中に提供され得る。成分DNA結合ドメインの選択は、多 くの考慮(標的される種、系、および細胞型;モデリングによって示され得るよ
うに、キメラタンパク質への組込みの容易さ;ならびに所望の適用または利用性
を含む)によって影響され得る。
【0107】 DNA結合ドメインは、転写因子由来の天然に存在するDNA結合ドメインであり得
る。あるいは、DNA結合ドメインは、DNA結合活性を有する人工的な(または、部
分的に人工的な)ポリぺプチド配列であり得る。例えば、DNA結合ドメインは、 異なるDNA結合部位を認識するように改変された、天然に存在するDNA結合ドメイ
ンであり得る。選択される特定のDNA結合ドメインは、標的プロモーターに依存 する。例えば、本発明の方法によって転写活性化される遺伝子が、内因性遺伝子
である場合、DNA結合ドメインは、内因性遺伝子のプロモーター(内因性プロモ ーター)と相互作用できなくてはならない。あるいは、以下により詳細に記載さ
れるように、内因性プロモーターは、例えば、相同組換えによって、DNA結合ド メインが選択される異種プロモーターと、置換えることができた。このような置
換は、目的の内因性プロモーターに結合する転写因子が知られていない場合に、
必要であり得る。あるいは、このような状況において、目的のプロモーター中の
配列と特異的に相互作用するDNA結合ドメインをクローン化することが可能であ る。このことは、例えば、目的のプロモーターの少なくとも一部分を含有するDN
A分子で、ファージディスプレイをスクリーニングすることによって行われ得る 。
【0108】 DNA結合ドメインの所望の特性としては、特異的なヌクレオチド配列(本明細 書中で「標的配列」と呼ばれる)に対する高い親和性、複雑なゲノム(例えば、
ヒトゲノム)におけるほとんどの他の配列に対する低い親和性、特異的なDNA部 位からの低い解離速度、および公知の天然のDNA結合タンパク質のDNA認識特異性
とは異なる新規なDNA認識特異性が、挙げられる。好ましくは、特異的な標的配 列に対するDNA結合ドメインの結合は、相対的なKd値によって、または選択され たおよび任意の代替のDNA配列と関連する遺伝子の転写の相対的な速度もしくは レベルによって測定され得るように、任意の1つの代替のDNA配列への結合より も、少なくとも2等級、より好ましくは3等級、さらにより好ましくは4等級高
い規模である。選択されたDNA配列は、内因性タンパク質によってよりも、本発 明の転写アクチベーターのDNA結合ドメインによって実質的により高い程度に認 識されることがまた、好ましい。従って、例えば、細胞中での標的遺伝子発現は
、DNA結合領域を含有する本発明の転写アクチベーターの存在下において、その 不在下よりも好ましくは2等級、より好ましくは3等級、およびさらにより好ま
しくは4等級を越えて高い規模である。
【0109】 好ましいDNA結合ドメインは、10-8M、好ましくは10-9M、より好ましくは10-10
Mを下回る、さらにより好ましくは、10-11Mを下回る、標的配列についての解離 定数を有する。遺伝子治療の適用について、これらは、好ましくはヒトタンパク
質に由来する。
【0110】 構造的展望から、本発明において使用され得るDNA結合は、ヘリックス−ター ンヘリックス構造設計を伴うDNA結合タンパク質(例えば、制限されないが、Myb
、Ultrabithorax、Engrailed、Paired、Fushi tarazu、HOX、Unc86、Ets、およ び転写因子のホメオボックスファミリー、および以前に示されたOct1、Oct2、お
よびPit);亜鉛フィンガータンパク質(例えばZif268、SW15、Kr、ppel、およ びHunchback);ステロイドレセプター;ヘリックス−ループ−ヘリックス構造 設計を伴うDNA結合タンパク質(例えば、Daughterless、Achaete-scue(T3)、M
yoD、E12、およびE47;ならびにロイシンジッパーのような他のらせんモチーフ (GCN4、C/EBP、c−Fos/c-Jun、およびJunBを含む)として分類され得る。成分
DNA結合ドメインのアミノ酸配列は、天然に存在してもよく、または天然に存在 しなくてもよい(または改変され得る)。DNA結合ドメインおよびその標的部位 は、TF SEARCH( html)にて見出され得る。別の公式に利用可能な転写因子、お
よびそれが結合する配列のデーターバースは、「Transcription Data Base」に おけるNational Library of Medicineから利用可能である。
【0111】 本発明に適切な特性を有する成分DNA結合ドメインを得るための1つのストラ テジーは、既存のDNA結合ドメインを、DNAに対するその親和性を適切な範囲に減
少するように改変することである。例えば、ヒト転写因子PhoxIに由来するホメ オドメインのようなホメオドメインは、ホメオドメインの50位でのグルタミン残
基の置換によって改変され得る。この位置での置換は、タンパク質と、このタン
パク質によって認識される6bpのDNA配列のうちの1または2塩基対との間の接触
の重要な点を除去または変化する。従って、このような置換は、結合の遊離エネ
ルギー、およびこの配列との相互作用の親和性を減少し、そして他の配列に対す
る親和性を、同時に増加するかもしれないし、増加しないかもしれない。このよ
うな親和性の減少は、哺乳動物細胞において典型的なレベルで生成される場合、
このタンパク質による天然の標的部位の占有を、効果的に排除するのに十分であ
る。しかし、このドメインは、結合エネルギーを第2の連結されるDNA結合ドメ インに提供するようにされ、それゆえ、第2の連結されるDNA結合ドメインと共 同作用する。このタイプの操作に影響されやすい他のドメインとしては、対合化
されたボックス、ステロイドホルモンレセプターによって示される亜鉛フィンガ
ークラス、mybドメイン、およびetsドメインが挙げられる。
【0112】 別の実施態様において、DNA結合ドメインは、種々の転写因子からのDNA結合ド
メインのアセンブリによって作製され、新規なDNA結合特異性を有するDNA結合ド
メインが得られる。このようなDNA結合ドメインは、本明細書中で「複合性DNA結
合ドメイン」と呼ばれ、独特の結合部位を特異的に認識するように設計され得る
。例えば、亜鉛フィンガータンパク質およびホメオボックスタンパク質由来のDN
A結合領域を含むDNA結合ドメインが、構築され得る。このようなDNA結合ドメイ ンの1つは、ZFHDI(Oct-1ホメオドメインおよびZif268の亜鉛フィンガー1およ
び2を含有する複合性のDNA結合ドメイン)であり、これは、Pomerantzらによる
PCT出願WO96/20951においてさらに記載される。
【0113】 複合性DNA結合ドメインを含有するキメラタンパク質によって認識されるDNA配
列は、以下に記載されるように、実験的に決定され得るか、またはタンパク質は
、所望の配列に対してそれらの特異性を指向するように操作され得る。所望の核
酸認識配列は、少なくとも10個、好ましくは11個、およびより好ましくは12個以
上の塩基に及ぶヌクレオチド配列からなる。ヌクレオチド配列内の成分結合部分
(推定のまたは実証された)は、完全に連続的である必要はなく、これらは、キ
メラタンパク質によって直接的に接触される必要はないが、各モジュールによっ
て認識される核酸サブサイト間の正確な間隔を賦課する「スペーサー」塩基対を
散在することができる。これらの配列は、操作されたDNA結合タンパク質の不在 下で細胞に導入される場合、連結された遺伝子に発現を授与するべきではない。
【0114】 複合性DNA結合領域を含有する転写アクチベータータンパク質によって認識さ れる、好ましくは、高い親和性(解離定数10-11M以下が、特に好ましい)を伴っ
て認識される核酸配列を同定するために、いくつかの方法が、使用され得る。複
合性DNA結合領域の個々のサブドメインに対する、高い親和性の結合部位が既に 知られる場合、これらの配列は、種々のスペーシングを使用して結合され、そし
て方向および至適な立体配座が、実験的に決定され得る(親和性を測定するため
の方法については、以下を参照のこと)。あるいは、タンパク質またはタンパク
質複合体に対する、高い親和性の結合部位は、公開された方法(Rollock、R.お よびTreisman、R.、1990、タンパク質−DNA結合特異性の決定のための感度の高
い方法、Nucl. Acids Res. 18、6197-6204)の適応によってランダムなDNA配列 の大きなプールから選択され得る。結合される配列は、プラスミドにクローン化
され、そしてそれらの正確な配列およびタンパク質に対する親和性が、決定され
る。配列のこの回収から、所望の特性(すなわち、複合性タンパク質に対する最
大の親和性、個々のサブドメインに対する最小の親和性)を有する個々の配列が
、選択され使用される。あるいは、配列の回収は、各位置で好ましい塩基対を保
有するコンセンサス配列を提供するために使用される。このようなコンセンサス
配列は、これが適切なレベルの親和性および特異性を有することを確認するため
に、合成および試験される(以下を参照のこと)。
【0115】 多くの十分に特徴付けされたアッセイが、DNA結合タンパク質およびこれが結 合する同族のDNA配列に対する、結合親和性を決定するために利用可能であり、 通常、解離定数として表される。これらのアッセイは、通常、公知の濃度および
比活性の精製されたタンパク質および結合部位(通常、合成オリゴヌクレオチド
)の調製を必要とする。例としては、電気泳動移動度シフトアッセイ、DNアーゼ
I保護、または「フットプリンティング」、およびフィルター結合が挙げられる 。これらのアッセイはまた、会合および解離速度定数の大まかな見積もりを得る
ために使用され得る。これらの値は、BIAcore装置を使用して、より優れた精度 を伴って、決定され得る。このアッセイにおいて、合成オリゴヌクレオチドは、
アッセイ「チップ」に結合され、そして精製されたDNA結合タンパク質は、フロ ーセルを通過させられる。チップ上に固定化されたDNAへのタンパク質の結合は 、屈折率の増加として測定される。いったんタンパク質が、平衡状態で結合され
ると、タンパク質を含有しない緩衝液がチップ上を通過され、そしてタンパク質
の解離は、基底値への屈折率の回復を生じる。会合および解離の速度は、これら
の曲線から算定され、そして親和性または解離定数は、これらの速度から算定さ
れる。高い親和性の複合性部位についての結合速度および親和性が、タンパク質
の各サブドメインによって認識されるサブサイトについて得られる結果と比較さ
れ得る。上記のように、これらの解離定数における差異は、少なくとも2等級、
好ましくは3等級以上の規模であるべきである。
【0116】 本発明はさらに、本発明の複合性アクチベーターを提供し、誘導性のDNA結合 ドメインとの融合タンパク質として提供される。1つの実施態様において、誘導
性のDNA結合ドメインは、E.coli tetリプレッサー(TetR)であり、これは、標 的遺伝子の上流のtetオペレーター(tetO)配列に結合する。テトラサイクリン 、またはtetRに結合するアナログの存在下、DNA結合は回避され、従ってトラン ス活性化が無効にされる。この系は、TetRが、例えばVP16由来の転写活性化ドメ
インに連結されており、一般に、GossenおよびBujard(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA(1992)89:5547)ならびにBujardらによる米国特許第5,464,758号;同第5,
650,298号、および同第5,589,362号によって記載されるように、アロステリック
な「オフスイッチ」といわれる。さらに、培養培地中の抗生物質の濃度(0〜1
mug/ml)に依存して、標的遺伝子の発現は、濃度を数等級の規模まで、調節され
得る。従って、系は、真核生物細胞において、個々の遺伝子の活性の特異的な制
御を許容するのみでなく、また、可逆的な方法において、このような遺伝子につ
いてのいくつかの「オン/オフ」状況を創成するのに適切である。この系は、テ トラサイクリンまたはアナログの不在下で、低いバックグラウンドおよび比較的
高い標的遺伝子の発現を提供する。従って、本明細書中に記載される本発明は、
標的遺伝子のさらにより強力な転写誘導を得るための方法を提供し、これは、テ
トラサイクリン系または他の誘導性のDNA結合ドメインによって調節可能である 。例えば、TetRは、複数の転写活性化単位に連結でき、それによって高レベルの
転写が、テトラサイクリンまたはそのアナログの不在下で生じ、そして転写は、
テトラサイクリンの存在下で抑制される。
【0117】 別の実施態様において、「逆」Tet系が、使用され、これはまた、E.coli TetR
変異体であるDNA結合ドメインに基づくが、Tetの存在下、TetOに結合する。従っ
て、本明細書中に記載される本発明は、テトラサイクリンの不在下では非常に低
いバックグラウンドから、テトラサイクリンまたはその類似物の存在下で、標的
遺伝子のさらにより強力な転写の誘導を得るための方法を提供する。
【0118】 C.オリゴマー化ドメイン 上記されるように、複合性アクチベーターの種々の実施態様において、融合タ
ンパク質はまた、少なくとも1つのオリゴマー化ドメインを含み得る。このよう
なドメインは、構成的なオリゴマー化ドメインであり得るか、または誘導性のオ
リゴマー化ドメイン(すなわち、小有機分子のような第3の分子の存在下でのみ
オリゴマー化を媒介するドメイン)であり得る。構成的なオリゴマー化ドメイン
の例としては、ロイシンジッパーが挙げられる。
【0119】 誘導性のオリゴマー形成ドメインの例としては、FK506結合タンパク質および シクロフィリンのFK506およびシクロスポリン結合ドメイン、ならびにFRAP(tor
1)のラパマイシン結合ドメインが挙げられる。このような誘導性のオリゴマー 化ドメインは、本明細書中で、「リガンド結合ドメイン」といわれ、そして、そ
のように表題されるセクションにおいて、本明細書中でさらに記載される。
【0120】 本発明の1つの実施態様において、少なくとも1つの活性化タグまたはリガン
ド結合ドメインまたはDNA結合ドメインは、構成的なオリゴマー化ドメイン(例 えば、二量体化ドメインまたは四量体化ドメイン)に連結される。二量体化ドメ
インは、本明細書中で、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成し得るアミノ酸の
配列として、規定される。二量体化ドメインの1つの例は、ロイシンジッパー(
LZ)エレメントである。ロイシンジッパーは、一般に、6つのアミノ酸によって
互いから分離される4〜5個のロイシン残基を含有する約35個のアミノ酸のスト
レッチとして同定される(ManiatisおよびAbel(1989)Nature 341:24-25)。例
示的なロイシンジッパーは、多様な真核生物DNA結合タンパク質(例えば、GCN4 、C/EBP、c-Fos、c-Jun、c-Myc、およびc-Max)中に存在する。他の二量体化ド メインとしては、ヘリックス−ループ−ヘリックスドメイン(Murre,C.ら(198
9)Cell 58:537-544)が挙げられる。二量体化ドメインはまた、他のタンパク質
(例えば、レチノイン酸レセプター、甲状腺ホルモンレセプター、または他の核
ホルモンレセプター(Kurokawaら(1993)Genes Dev. 7:1423-1435))から、ま
たは酵母転写因子のGAL4およびHAP1(Marmonsteinら(1992)Nature 356:408-41
4;Zhangら(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2851-2855)からも選択さ れ得る。二量体化ドメインはさらに、Eisenmanによる米国特許第5,624,818号に おいて記載される。
【0121】 別の実施態様において、オリゴマー化ドメインは、四量体化ドメインである。
例えば、4つの活性化単位は、四量体化ドメインに活性化単位を共有結合的に連
結することによって、単一のDNA結合ドメインまたはリガンド結合ドメインに連 結され得る。好ましい実施態様において、実施例において記載されるように、四
量体化ドメインは、E.coliラクトースリプレッサー四量体化ドメイン(アミノ酸
46〜360;Chakerianら(1991)J. Biol. Chem.266:1371;Albertiら(1993)EMB
O J.12:3227;およびLewisら(1996)Nature 271:1247)である。従って、転写 アクチベーターに四量体化ドメインを含めることによって、4つの活性化ドメイ
ンがともに複合体化され、そして転写アクチベーター複合体を形成することを許
容する。さらに、1つよりも多い活性化単位は、1つの四量体化ドメインに連結
でき、それによって、4つよりも多い活性化単位を含有する転写アクチベーター
複合体を形成する。
【0122】 別の実施態様において、四量体化ドメインは、p53タンパク質由来のドメイン である。p53四量体化ドメインは、p53の残基322〜355(Wangら(1994)Mol. Cel
l. Biol. 14:5182;Cloreら(1994)Science 265:386)にマップされ、そしてさ
らに、Halazonetisによる米国特許第5,573,925号において記載される。
【0123】 本発明はまた、少なくとも1つの改変されたオリゴマー化ドメインを含有する
転写アクチベーターを提供する。オリゴマー化ドメインにおける改変は、四量体
形成の安定性を増加でき、例えば、ロイシンジッパーによって駆動されるオリゴ
マー化を安定する置換が公知である(Krylovら(1994)上述で引用された;OShe
aら(1992)上述手引用された)。このタイプの例示的な改変として、ヒトp53の
174または175が、本発明のp53キメラタンパク質において、グルタミンまたはロ イシンによって、それぞれ置換される。
【0124】 他の実施態様において、オリゴマー化ドメインは、野生型p53四量体化ドメイ ンを有するp53タンパク質(例えば、野生型p53または腫瘍由来のp53変異体)と ヘテロ四量体を形成し得ない、変化されたp53四量体化ドメインであり得る。こ のような変化されたp53四量体化ドメインはさらに、Halazonetisによる米国特許
第5,573,925号において記載される。
【0125】 これらの変化されたp53四量体化ドメインは、ネイティブなp53四量体化ドメイ
ンの破壊、および四量体化を保存する方法における異種オリゴマー化ドメインの
挿入によって特徴付けられる。本発明によれば、335〜348残基またはこれらの残
基のサブセットを含む、p53四量体化ドメインの破壊は、このドメインの機能を 十分に破壊し、それによって、このドメインは、もはや、野生型p53とも、腫瘍 由来のp53変異体とも四量体化を駆動し得ない。しかし、同時に、異種二量体化 ドメインの導入は、四量体を形成する能力を再確立し、これは、異種二量体化ド
メイン、およびp53の残存する四量体化ドメインの両方によって媒介される。
【0126】 他の例示的な、適切な四量体化ドメインとしては、人工的な四量体化ドメイン
(例えば、四量体を形成するGCN4ロイシンジッパーの改変体が挙げられる(Albe
rtiら(1993)EMBO J. 12:3227-3236;Harburyら(1993)Science 262:1401-140
7;Krylovら(1994)(1994)EMBO J. 13:2849-2861)。当業者は容易に、代替の 四量体化ドメインを選択し得た。例えば、Harburyら(1993)、前出、において 記載されるGCN4ロイシンジッパーの四量体改変体は、それぞれ、ロイシンおよび
バリンを有する元来のジッパーと対照的に、超らせんのdの位置でイソロイシン
、およびaの位置でロイシンを有する。
【0127】 GCN4ロイシンジッパーは、平行なサブユニットアセンブリを駆動する[Harbury
ら(1993)、上述で引用された]が、ネイティブなp53四量体化ドメインは、逆平
行のアセンブリを駆動する[Cloreら(1994)、上述で引用された;Sakamotoら(
1994)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:8974-8978]。従って、活性化単位複合体
の種々の立体配座が、種々の四量体化ドメインを選択することによって得られ得
る。
【0128】 さらに、当該分野はまた、他の天然に存在するオリゴマー化ドメイン、および
変異配列またはそうでなければ人工的な配列に由来するオリゴマー化ドメインを
同定するための多様な技術を提供する。例えば、Zengら(1997)Gene 185:245;
OSheaら(1992)Cell 68:699-708;Krylovら(上述で引用された)を参照のこと
【0129】 オリゴマー化ドメインと、融合タンパク質の他の成分との間の距離は、変化し
得る。1つの実施態様において、活性化単位と四量体化ドメイン(例えば、変化
されたGCN4ロイシンジッパー)との間にリンカーは存在しない。しかし、他の実
施態様において、それぞれ、グルタミン酸、またはアスパラギン酸、またはイソ
ロイシンリンカーが存在する。リンカーは、簡便にクローニングするためにまた
はいくつかの有用な特性を付与するために、存在し得る。例えば、特異的な二次
構造エレメント(例えば、αヘリックス)を安定化する残基が、公知である(Ri
chardsonら(1988)Science 240:1648-1652]。このような残基は、オリゴマー化
ドメインを安定化するためにリンカー中に導入され得る。例えば、リンカーグリ
シン−アスパラギン、アルギニン−グリシン-アスパラギン、アルギニン-グリシ
ン-グリシン-アスパラギン-プロリン-グルタミン酸、グリシン-グリシン-アスパ
ラギン-グルタミン-アラニンは、全て、αヘリックスのオリゴマー化ドメインの
N末端を安定化するために設計される。
【0130】 1つの実施態様において、キメラタンパク質は、アスパラギンリンカー、次い
でGCN4の249〜281残基の四量体改変体に融合される活性化単位を含む。あるいは
、リンカーは、アルギニン−グリシン-アスパラギンリンカー、アルギニン-グリ
シン-グリシン-アスパラギン-プロリン-グルタミン酸リンカー、グリシン-グリ シン-アスパラギン-グルタミン-アラニンリンカーであり得る。
【0131】 多様な他のアミノ酸またはぺプチドのリンカーが、上述で考察される理由のた
めに使用され得るが、但し、これらのリンカーは、活性化単位およびリガンド結
合ドメインまたはDNA結合ドメインの機能を妨げない。
【0132】 D.リガンド結合ドメイン 本発明の別の実施態様において、本発明の系の成分は、リガンド依存性の様式
で融合タンパク質のオリゴマー化を媒介するための、1つ以上のリガンド結合ド
メインを含む。好ましい実施態様において、リガンドは、2つのリガンド結合ド
メインと相互作用し得る。例示的な実施態様において、転写複合体の形成は、リ
ガンドの添加によって調節され、そして複合性アクチベーターおよびリガンド結
合ドメインを含む融合タンパク質、ならびにDNA結合ドメインおよびリガンド結 合ドメインを含む第2の融合タンパク質を、細胞に導入する工程を包含し、それ
によって、リガンドの存在下、転写アクチベーター複合体が、2つの融合タンパ
ク質間で形成される。好ましいリガンドは、マクロライド(例えば、ラパマイシ
ン、シクロスポリンA、FK506、FK1012、およびそのアナログ)、および他の合成
二量体化剤またはオリゴマー化剤が挙げられる。リガンド結合ドメインとしては
、FKBPのFK506結合ドメイン、カルシニューリンのシクロスポリン結合ドメイン 、およびFRAPのラパマイシン結合ドメインが挙げられる。これらの結合ドメイン
およびリガンドはさらに、例えば、PCT/US93/01617において開示される。このよ
うな誘導タンパク質は、標的遺伝子の発現の制御が、適切なリガンド(例えば、
2つのリガンド結合ドメインと同時に相互作用し得るリガンド)の添加に依存す
ることを許容する。
【0133】 一般に、本発明のキメラタンパク質のリガンド結合ドメインは、天然または非
天然のリガンド、好ましくは非天然の合成リガンドを使用して、融合タンパク質
のリガンド依存性オリゴマー化を許容する、任意の簡便なドメインであり得る。
特に重要なのは、リガンド(好ましくは、小さな有機リガンド)が公知であるか
または容易に生成され得る、結合タンパク質である。これらのレセプターまたは
リガンド結合ドメインとしては、FKBPおよびシクロフィリンレセプター、ステロ
イドレセプター、テトラサイクリンレセプター、上述で示される他のレセプター
など、ならびに抗体、特に重鎖または軽鎖サブユニット、その変異された配列、
確立論的な手順によって得られるランダムなアミノ酸配列、コンビナトリアル合
成などから得られ得る、「非天然の」レセプターが挙げられる。
【0134】 大部分について、レセプタードメインは、天然のドメインまたはその短縮され
たその活性な部分のいずれかとして、少なくとも約50アミノ酸であり、および約
350アミノ酸よりも少なく、通常、200アミノ酸よりも少ない。好ましくは、結合
ドメインは、小さく(25kDaよりも小さい、ウイルスベクターにおいて効果的な トランスフェクションを許容する)、単量体であり(これは、アビジン-ビオチ ン系を除外する)、非免疫性であり、そして二量体化を形成し得る、合成的に入
手可能な、細胞透過性の、非毒性のリガンドを有するべきである。
【0135】 本発明を実施するにおいて有用な多量体化リガンドは多価であり、すなわち、
リガンド結合ドメインを有する2つ以上のキメラタンパク質分子に結合し、従っ
て多量体化し得る。多量体化リガンドは、順にまたは同時にのいずれかにおいて
、好ましくは、約10-6を下回る、より好ましくは約10-7を下回る、さらにより好
ましくは、約10-8を下回る、およびいくつかの実施態様において約10-9Mを下回 るKd値で、このようなリガンド結合ドメインを含有するタンパク質に結合し得る
。リガンドは、好ましくは、タンパク質でもポリぺプチドでもなく、および約5
kDa、好ましくは2kDaを下回る分子量を有する。このように多量体化されるキメ
ラタンパク質のリガンド結合ドメインは、同じであり得るか、または異なり得る
。リガンド結合ドメインは、特に、種々のイムノフィリンドメインを含む。1つ
の例は、FK506部分または他のFKBP結合部分を組込む二量体化リガンドに結合し 得るFKBPドメインである。例えば、PCT/US93/01617を参照のこと、この全ての内
容は、本明細書中に参考として援用される。
【0136】 リガンド結合ドメインをコードする構築物の部分は、多様な理由のために変異
誘発に供され得る。変異誘発されたドメインは、より高い結合親和性を提供し、
リガンド結合ドメインの変異体と、天然に存在する形態との間のリガンドによる
区別を許容し、リガンド-リガンド結合ドメイン対などを設計する機会を提供し 得る。リガンド結合ドメインの変化は、結合部位であることが知られるアミノ酸
の変化、コンビナトリアルライブラリー技術を使用するランダムな変異誘発を含
むことができ、ここでは、結合部位と関連するアミノ酸または立体配座の変化と
関連する他のアミノ酸についてのコドンは、特定のアミノ酸についてのコドンを
、特定してまたはランダムに、変化し、適切な原核生物宿主において得られるタ
ンパク質を発現し、次いで、得られるタンパク質を結合についてスクリーニング
することによって、変異誘発に供され得る。この状況の例示は、FK506またはFK5
20の9または10位での置換体を順応させるために、FKBP12のPhe36をAlaに改変す
ること、および/またはAsp37をGlyもしくはAlaに改変することである。特に、T
yr26、Phe36、Asp37、Tyr82、およびPhe99のうちの1つ以上のかわりに、Val、A
la、Gly、Met、または他の小アミノ酸を含む変異体FKBP12の部分は、C9および/
またはC10での改変を含むFK506型およびFK520型のリガンドについてのレセプタ ードメインとしてとりわけ重要である。
【0137】 ラパマイシン結合ドメインの説明的な例は、FRAPからの約89アミノ酸のラパマ
イシン結合ドメインでを含むドメインであり、例えば、ヒトFRAPの2025〜2113残
基を含む。類似の考慮は、FRAP結合エフェクタードメインにおけるラパマイシン
に比較して改変を含む(すなわち、「衝突される(bumped)」)ラパマイシンア
ナログ(ラパログ)に、優先的に結合する変異体FRAP由来のドメインの生成に、
適用する。例えば、ヒトFRAP FRBポリぺプチド配列に基づくFRBで、C7位での−O
Me以外の置換体を保有するが、残基Tyr2038、Phe2039、Thr2098、Gln2099、Typ2
101、およびAsp2102のうちの1つ以上についてのアミノ酸置換を保有するラパロ
グを使用して、優先的な結合を得ることができる。例示的な変異としては、Y203
8H、Y2038L、Y2038V、Y2038A、F2039H、F2039L、F2039A、F2039V、D2102A、T209
8A、T2098N、T2098Sが挙げられる。C28で-OH以外の置換、および/またはC30で の=O以外の置換を保有するラパログは、Glu2032についてのアミノ酸置換を保有
するFRAPタンパク質への優先的な結合を得るために使用され得る。例示的な変異
としては、E2032AおよびE2032Sが挙げられる。上述の位置での1つ以上のアミノ
酸置換を含有するFRBを含むタンパク質、これらの位置でランダム化された(す なわち、これらの残基で、種々の置換されたアミノ酸を含有する)タンパク質も
しくはポリぺプチドのライブラリー、タンパク質のドメイン全体をランダム化す
るライブラリーまたは変異体のこれらのセットの組み合わせが、衝突されたラパ
ログに優先的に結合する変異体FRAPを同定するために、上記の手順を使用して作
製される。
【0138】 本発明において有用な他のマクロライド結合ドメイン(その変異体を含む)は
、当該分野において記載される。例えば、WO96/41865、WO96/13613、WO96/06111
、WO96/06097、WO96/12796、WO95/05389、WO95/02684、WO94/18317、を参照のこ
と(それぞれは、本明細書中に参考として援用される)。
【0139】 タンパク質をコードする配列のインビトロ変異誘発およびコンビナトリアル改
変を用いる能力は、異なるリガンドについての結合親和性をスクリーニングされ
得るタンパク質のライブラリーの生成を許容する。例えば、結合タンパク質をコ
ードするDNA配列中の1つ以上の部位で、1、5、または10個以上のコドンの 配列を、全体的にランダム化し得、発現構築物を作製し得、そして単細胞微生物
中に発現構築物を導入し得、そしてライブラリーを開発し得る。次いで、ライブ
ラリーを、1つまたは望ましくは複数のリガンドに対する結合親和性についてス
クリーニングし得る。導入される細胞と適合性である最も良好な親和性配列は、
次いで、リガンドドメインとして使用され得る。リガンドは、内因性タンパク質
に対するリガンドの結合のレベルを決定するために使用される宿主細胞とともに
、スクリーニングされ得る。結合プロフィールは、内因性タンパク質に対する結
合親和性と、変異誘発された結合ドメインに対する結合親和性との比率を考慮し
て決定され得る。次いで、最も良好な結合プロフィールを有するこれらのリガン
ドが、リガンドとして使用され得た。制限されない例として、ファージディスプ
レイ技術が、上述を行うにおいて使用され得る。
【0140】 他の実施態様において、単鎖抗体を作製するための、抗体サブユニット(例え
ば、重鎖または軽鎖、詳細にはフラグメント、より詳細には可変領域の全てもし
くは部分、または重鎖および軽鎖の融合物が、リガンド結合ドメインとして使用
され得る。抗体は、生理学的に受容可能であるハプテン分子に対して調製され、
そして個々の抗体サブユニットは、結合親和性についてスクリーニングされ得る
。サブユニットをコードするcDNAは、定常領域、可変領域の一部の欠失、可変領
域の変異誘発などによって単離および改変され得、リガンドに対して適切な親和
性を有する結合タンパク質ドメインを得る。この方法において、ほとんどの任意
の生理学的に受容可能なハプテン化合物は、リガンドとして用いられ得るか、ま
たはリガンドについてのエピトープを提供し得る。抗体単位の代わりに、天然の
レセプターが用いられ得、ここでは結合ドメインが公知であり、そして結合に有
用なリガンドが存在する。
【0141】 本発明のなお別の実施態様において、DNA結合単位は、1つよりも多いリガン ド結合ドメインに連結される。例えば、DNA結合ドメインは、少なくとも2、3 、4、または5個のリガンド結合ドメインに連結され得る。DNA結合ドメインは また、少なくとも5個のリガンド結合ドメインまたは任意の数のリガンド結合ド
メインに連結され得る。このような実施態様において、リガンド結合ドメインは
、例えば、図5〜7において示されるように、一方のリガンド結合ドメインのNH
2末端を、他方のリガンド結合ドメインのCOOH末端に連結することによって、例 えば、直線的な配列において互いに連結され得る。従って、複数の複合性アクチ
ベーターは、リガンドの存在下、単一のDNA結合ドメインに連結され得る。
【0142】 本発明はさらに、さらなる誘導系を提供する。1つの実施態様において、本発
明は、ヒトプロゲステロンレセプターの欠失変異体を用いる、転写についての代
替のアロステリックオンスイッチを使用する(すなわち、この変異体は、プロゲ
ステロンおよび任意の公知の内因性ステロイドをもはや結合しないが、経口的に
活性なプロゲステロンアンタゴニストRU486によって活性化され得る)(例えば 、Wangら(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:8180において記載される )。活性は、例えば、ヒトにおいて流産を誘導する通常の用量(10mg/kg)をか なり下回る、RU486の用量(5〜50μg/kg)を用いて、マウスに移植された細胞 において、実証された。しかし、この系を記載する当該分野によれば、培養物お
よび動物における誘導比率は、むしろ低かった。この系において本明細書中に記
載される本発明を適用することによって、より高い誘導比率を有する誘導性の系
が提供される。従って、本発明は、変異体ステロイド結合ドメインに共有結合的
に連結される少なくとも1つのサブユニットを含む転写アクチベーターを提供し
、RU486依存性の様式でトランス活性化する転写アクチベーターが得られ、高い 誘導比率を生じる。
【0143】 本発明は、エクジソン誘導性の系に適応され得る。初期の研究は、ショウジョ
ウバエステロイドエクジソン(Ec)レセプター(EcR)のEc結合ドメインを、異 種のDNA結合ドメインおよび活性化ドメイン(例えば、E.coli lexAおよびヘルペ
スウイルスVP16)に融合することが、適切な結合部位の下流の標的遺伝子のエク
ジソン依存性の活性化を許容することを実証した(Christophersonら(1992)Pr
oc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.89:6314)。改善されたエクジソン調節系が、EcR
自身のDNA結合ドメインを使用して、開発された。この系において、調節化転写 因子は、2つのタンパク質:(1)ヘルペスVP6に融合される短縮された、変異 体EcR、および(2)EcRとヘテロ二量体化する、Ultraspiracleタンパク質(USP
)の哺乳動物ホモログ(RXR)(Noら(1996)Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A 93:
3346)として提供される。この系において、DNA結合ドメインがまた、ヒトレセ プター(ヒトファルネソイドXレセプター)によって認識されるので、変異体Ec
Rによってのみ認識される部位に変化された。従って、本発明は、エクジソン誘 導性の系を提供し、この系において、短縮された変異体EcRは、本発明の転写ア クチベーターの少なくとも1つのサブユニットに融合される。転写アクチベータ
ーはさらに、USPを含有し、それによって、エクジソンの存在に依存して、EcR標
的配列を有する標的遺伝子の転写の高レベルの誘導を提供する。
【0144】 本発明はまた、任意の他の誘導性の系に適用され得、それによって、本発明の
転写アクチベーターの強力な転写活性に起因する誘導に対するバックグラウンド
のより高い比率を有する誘導性の系を提供する。
【0145】 E.さらなるドメインおよびリンカー さらなるドメインは、本発明の転写アクチベーターに含まれ得る。例えば、転
写アクチベーターは、核に転位置されるタンパク質を提供する核局在化配列を含
み得る。従って、本発明の1つの実施態様において、本発明の転写アクチベータ
ーの少なくとも1つサブユニット(例えば、活性化単位、DNA結合ドメイン、ま たはリガンド結合ドメイン)はさらに、核局在化シグナル(NLS)を含む。NLSは
、サブユニット(例えば、活性化単位)のN末端またはC末端に融合され得るか
、または、NLSの挿入によってサブユニットの機能が破壊されない限り、あるサ ブユニットと別のサブユニットとの接合部(例えば、活性化ドメインと、DNA結 合ドメイン、またはリガンド結合ドメイン、またはオリゴマー化ドメイン、また
はタンパク質中のどこかとの間)で挿入され得る。典型的に核局在化配列は、複
数の塩基性アミノ酸を有し、二連の基本反復と呼ばれる(Garcia-Bustosら(199
1)Biochimica et Biophysica Acta 1071:83-101にて論評)。NLSは、アミノ酸 プロリン-リジン-リジン-リジン-アルギニン-リジン-バリンから構成されるSV40
ラージT抗原のNLS(Kalderonら(1984)Cell 39:499-509)であり得る。NLSは また、p53タンパク質由来であり得る。野生型p53は、3つの核局在化シグナル(
NLS)を含み、これらの全ては、野生型p53のC末端に、詳細には、p53の316〜3
25、369〜375、および379〜384残基にマップされる(Shaulskyら(1990)Mol. C
ell. Biol. 10:6565-6577)。さらなる異種NLSは、Shaulsky(1990)前出および
Shaulskyら(1991)Oncogene 6:2056によって記載される。
【0146】 キメラタンパク質は、それらの精製を容易にするドメイン(例えば、「ヒスチ
ジンタグ」またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼドメイン)を含む。これ らは、細胞内におけるタンパク質の検出またはインビトロでの抗体によるタンパ
ク質の捕獲のために、公知のモノクローナル抗体によって認識されるペプチドを
コードする「エピトープタグ」を含み得る。
【0147】 いくつかの例において、キメラアクチベーターの活性化タグと他の部分との間
に、不統一なポリぺプチドリンカー領域を含むことが必要であり得る。融合タン
パク質がまた、例えば、オリゴマー化配列を含む場合、オリゴマー化配列と活性
化タグとの間にリンカーを配置することが好ましくあり得る。リンカーは、融合
タンパク質の増強された柔軟性を促進し、一方、オリゴマー化配列は、他のタン
パク質間(例えば、他のキメラアクチベーターとの)接触をなすのに比較的自由
である。リンカーはまた、融合タンパク質の任意の2つのフラグメント間の立体
的な妨害を減少し得る。リンカーはまた、各フラグメントの適切な折畳みが生じ
ることを促進し得る。リンカーは、天然起源(例えば、タンパク質の2つのドメ
イン間のランダムなコイルに存在することが決定される配列)であり得る。例示
的なリンカー配列は、RNAポリメラーゼサブユニットのC末端ドメインとN末端 ドメインとの間に見出されるリンカーである。天然に存在するリンカーの他の例
としては、lcIおよびLexAタンパク質において見出されるリンカーを含む。ある いは、リンカーは、合成起源であり得る。例えば、配列(Gly4Ser)3は、合成の
不統一なリンカーとして使用され得る。このタイプのリンカーは、Hustonら(19
88)PNAS 85:4879;および米国特許第5,091,513号(この両方は、本明細書中で 参考として援用される)において記載される。
【0148】 いくつかの実施態様において、リンカーの設計が、リンカーが比較的短い、好
ましくは約10ナ未満の距離に及ぶことを必要とするドメインの配置を含むことが
好ましい。しかし、ある実施態様において、例えば、選択されたDNA結合ドメイ ンおよび立体配座に依存して、リンカーは、約50ナまでの距離に及び得る。
【0149】 リンカー内で、アミノ酸配列は、経験的に決定されるように、およびモデリン
グによって示されるように、リンカーの好ましい特徴に基づいて変化し得る。例
えば、所望の長さに加えて、モデリング研究は、あるアミノ酸の側基が、タンパ
ク質の生物学的活性(例えば、DNA結合または転写活性)を妨げ得ることを示し 得る。リンカーを選択するにおける考慮は、リンカーの柔軟性、リンカーの電荷
、および天然に存在するサブユニット中のリンカーのいくつかのアミノ酸の存在
を含む。リンカーはまた、リンカー中の残基がDNAに結合し、それによって、結 合親和性または特異性を影響するように、または他のタンパク質と相互作用する
ように、設計され得る。例えば、リンカーは、プロテアーゼによって認識され得
るアミノ酸配列を含み得、それによってキメラタンパク質の活性が切断によって
調節され得た。いくつかの場合において、特に、サブユニット間でより長い距離
に及ぶことが必要である場合、またはドメインが特定の立体配座に保たれなけれ
ばならない場合、リンカーは、必要に応じて、さらに折畳まれたドメインを含み
得る。
【0150】 大部分の本発明の融合タンパク質は、単純なアッセイを使用して、インビボで
活性について試験され得る(F.M.Ausubelら編、Current Protocols in Molecula
r Biology、John Wiley & Sons、New York、1994;de Wetら(1987)Mol. Cell
Biol. 7:725)。このインビボアッセイは、複合性アクチベーター、および適切 な場合、アクチベーターのDNA局在化のために必要とされる他のタンパク質をコ ードする、組換えDNA配列を含み、そしてこのDNA配列の発現を指向し得る発現ベ
クターを必要とする。このアッセイはまた、転写因子の結合部位に連結されるレ
ポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、分泌性のアルカリホスファターゼまたは ヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子)を含有するプラスミドを必要とする。発現構 築物は、通常は、妨害レベルのレポーター遺伝子産物を産生しない宿主細胞に導
入される。第2の群の細胞は、複合性アクチベーターまたはレポーター遺伝子に
アクチベーターを局在化するための手段を欠損し、コントロールとして作用し得
る。
【0151】 レポーター遺伝子によってコードされるmRNAまたはタンパク質の生成が測定さ
れる。コントロールにおいて見られないレポーター遺伝子の発現の増加は、転写
因子が、転写のポジティブなレギュレーターであることを示す。レポーター遺伝
子発現が、コントロールの発現よりも少ない場合、転写因子は、転写のネガティ
ブなレギュレーターである。
【0152】 必要に応じて、アッセイは、転写効率のコントロールプラスミドを含み得る。
このプラスミドは、試験遺伝子から独立して遺伝子産物を発現し、この遺伝子産
物の量は、いくつの細胞がプラスミドを採り込んでいるか、およびどれくらいの
効率でDNAが細胞に導入されているかを、大まかに示す。本発明のキメラタンパ ク質を評価するにおけるさらなる指針は、以下に提供される。
【0153】 III. 核酸組成物 本発明の別の局面において、本明細書中に記載されるタンパク質は、発現ベク
ター中に提供される。例えば、本発明の複合性アクチベーターを含有するポリぺ
プチドをコードするヌクレオチド配列を含み、コード配列が少なくとも1つの転
写調節配列に作動可能に連結される、発現ベクターが意図される。本発明の融合
タンパク質の発現を指向する調節配列は、当該分野において認識され、そして多
くの十分に確立された基準によって選択される。例示的な調節配列は、Goeddel ;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology、Academic Press、San
Diego、CA(1990)において記載される。例えば、DNA配列の発現を、それに作 動可能に連結される場合に制御する任意の広範に多様な発現制御配列が、本発明
の融合タンパク質をコードするDNA配列を発現するために、それらのベクターに おいて使用され得る。このような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の
初期および後期プロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルスの即
時型初期プロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、T7プロモーター(この
発現は、T7 RNAポリメラーゼによって指向される)、3-ホスホグリセレートキナ
ーゼまたは他の糖分解酵素のプロモーター、酸ホスファターゼ(例えば、Pho5)
のプロモーター、および酵母a-接合因子のプロモーター、および原核生物細胞ま
たは真核生物細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知ら
れる他の配列、およびそれらの種々の組み合わせが挙げられる。発現ベクターの
設計が、形質転換される宿主細胞の選択のような因子に依存し得ることが理解さ
れるべきである。さらに、ベクターのコピー数、ベクターによってコードされる
任意の他のタンパク質(例えば、抗生物質マーカー)のコピー数および発現を制
御する能力はまた、考慮されるべきである。
【0154】 明らかになるように、本発明の遺伝子構築物は、培養において増殖された細胞
中で、本発明の融合タンパク質の発現を引き起こすために(例えば、精製のため
に融合タンパク質を含むタンパク質またはポリぺプチドを生成するために)、使
用され得る。
【0155】 本発明はまた、本発明のポリぺプチドの1つを発現するために、組換え遺伝子
でトランスフェクトされた宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞
または真核生物細胞であり得る。例えば、本発明の融合タンパク質は、E.coliの
ような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス)、酵母、または哺乳動物細胞に
おいて発現され得る。他の適切な宿主細胞が、当業者に知られる。
【0156】 従って、本発明はさらに、本発明の融合タンパク質を産生する方法に関する。
例えば、目的のタンパク質をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた
宿主細胞は、タンパク質の発現が生じることを許容するのに適切な条件下で、培
養され得る。タンパク質は、分泌シグナル配列の包含によって、分泌され得、そ
して細胞およびタンパク質を含有する培地の混合物から、単離され得る。あるい
は、タンパク質は、細胞質に保持され得、そして細胞が、採集され得、溶解され
得、そしてタンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿主細胞、培地、および
他の副生成物を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野において周知である。
タンパク質は、タンパク質を精製するために当該分野において公知の技術(イオ
ン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動
、およびタンパク質の特定のエピトープに特異的な抗体を用いるイムノアフィニ
ティー精製)を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から、単離
され得る。
【0157】 従って、本発明の融合タンパク質のコード配列は、微生物または真核生物の細
胞性プロセスを介して、タンパク質の組換え形態を生成するために使用され得る
。遺伝子構築物(例えば、発現ベクター)へのポリヌクレオチド配列のライゲー
ション、および真核生物(酵母、トリ、昆虫、もしくは哺乳動物)または原核生
物(細菌細胞)のいずれかの宿主への、形質転換またはトランスフェクトは、標
準的な手順である。
【0158】 組換えタンパク質を生成するための発現ベヒクルとしては、プラスミドおよび
他のベクターが挙げられる。例えば、本発明の融合タンパク質の発現のために適
切なベクターとしては、E.coliのような原核生物細胞における発現について、pB
R322由来のプラスミド、pEMBL由来のプラスミド、pEX由来のプラスミド、pBTac 由来のプラスミド、およびpUC由来のプラスミドのタイプのプラスミドが挙げら れる。
【0159】 多くのベクターが、酵母において組換えタンパク質を発現するために存在する
。例えば、YEP24、YIP5、YEP51、YEP52、pYE52、およびYRP17は、S.cerevisiae への遺伝子構築物の導入において有用である、クローニングおよび発現ベヒクル
である(例えば、Broachら(1983)Experimental Manipulation of Gene Expres
sion、M.Inouye編、Academic Press、83頁(本明細書中に参考として援用される
)を参照のこと)。これらのベクターは、E.coliにおいて、pBR322複製起点の存
在に起因して、およびS.cerevisiaeにおいて、酵母2ミクロンプラスミドの複製 決定因子に起因して、複製し得る。さらに、アンピシリンのような薬物耐性マー
カーが、使用され得る。
【0160】 好ましい哺乳動物発現ベクターは、細菌においてベクターの増殖を促進するた
めの原核生物配列、および真核生物細胞において発現される1つ以上の真核生物
転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo 、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来のベクター
は、真核生物細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例で
ある。これらのベクターのうちのいくつかは、原核生物細胞および真核生物細胞
の両方において、複製および薬物体制選択を容易にするために、細菌プラスミド
(例えば、pBR322)由来の配列で改変される。あるいは、ウイルスの誘導体(例
えば、ウシパピローマウイルス(BPV-1)、またはエプスタインバーウイルス(p
HEBo、pREP由来、およびp205)は、真核生物細胞におけるタンパク質の一過性の
発現のために使用され得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例
は、遺伝子治療送達系の記載において以下に見出され得る。プラスミドの調製お
よび宿主生物体の転写において用いられる種々の方法は、当該分野において周知
である。原核生物細胞および真核生物細胞の両方に適切な他の発現系、ならびに
一般的な組換え手順について、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2 版、Sambrook、Fitsch、およびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess、1989)第16および17章を参照のこと。いくつかの例において、バキュロウ イルス発現系の使用によって、組換え融合タンパク質を発現することが望ましく
あり得る。このようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来のベクタ ー(例えば、pVL1392、pVL1393、およびpVL941)、pAcUW由来のベクター(例え ば、pAcUW1)、ならびにpBlueBac由来のベクター(例えば、 -galを含有するpB
lueBacIII)が挙げられる。
【0161】 なお他の実施態様において、本発明の発現構築物は、本発明の遺伝子を、ウイ
ルスベクター(組換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、
およびI型単純ヘルペスウイルス)、または組換え細菌プラスミド、または組換 え真核生物プラスミドに挿入することによって、提供される。以下により詳細に
記載されるように、本発明の発現構築物のこのような実施態様は、種々のインビ
ボおよびエクスビボ遺伝子治療プロトコルにおける使用のために、具体的に意図
される。
【0162】 レトロウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターは、一般に、イン
ビボでの、特にヒトへの外因性遺伝子の移入のために選択される組換え遺伝子送
達系であることが理解される。これらのベクターは、細胞への遺伝子の効率的な
送達を提供し、移入された核酸は、宿主の染色体DNAに安定に取込まれる。レト ロウイルスの使用について主に必要なことは、それらの使用の安全性を、特に、
細胞集団における野生型ウイルスの伝播の可能性に関して、確実にすることであ
る。複製欠陥レトロウイルスのみを産生する特殊化された細胞株(「パッケージ
ング細胞」と呼ばれる)の開発は、遺伝子治療についてのレトロウイルスの利用
性を増加し、そして欠陥レトロウイルスが、遺伝子治療目的のための遺伝子移入
における使用について、十分に特徴付けされる(概説について、Miller、A.D.(
1990)Blood 76:271を参照のこと)。従って、レトロウイルスコード配列の部分
(gag、pol、env)が、本発明の融合タンパク質(例えば、複合性アクチベータ ー)をコードする核酸によって置換えられ、レトロウイルス複製欠陥を与える組
換えレトロウイルスが、構築され得る。次いで、複製欠陥レトロウイルスは、標
準的な技術により、ヘルパーウイルスの使用を介して標的細胞に感染するために
使用され得る。組換えレトロウイルスを生成するための方法、およびこのような
ウイルスで、インビトロまたはインビボで細胞を感染するための方法は、Curren
t Protocols in Molecular Biology、Ausubel,F.M.ら(編)Greene Publishing
Associates(1989)第9.10〜9.14節、および他の標準的な実験室マニュアルに おいて見出され得る。適切なレトロウイルスの例としては、pLJ、pZIP、pWE、お
よびpEMが挙げられ、これらは当業者に周知である。狭宿主性および広宿主性の レトロウイルス系の両方を調節するために適切なパッケージングウイルス株の例
としては、SYMBOL121 f「Symbol」Crip、SYMBOL 121 f「Symbol」Cre、SYMBOL 1
21 f「Symbol」2、およびSYMBOL 121 f「Symbol」Amが挙げられる。レトロウイ ルスは、インビトロおよび/またはインビボで、多くの異なる細胞型(ニューロ
ン細胞、上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、筋芽細胞、肝細胞、骨髄細胞を含む)
に、多様な遺伝子を導入するために使用されてきた(例えば、Eglitisら(1985 )Science 230:1395-1398;DanosおよびMulligan(1988)PNAS USA 85:6460-646
4;Wilsonら(1988)PNAS USA 85:3014-3018;Armentanoら(1990)PNAS USA 87
:6141-6145;Huberら(1991)PNAS USA 88:8039-8043;Ferryら(1991)PNAS US
A 88:8377-8381;Chowdhuryら(1991)Science 254:1082-1085;van Beusechem ら(1992)PNAS USA 89:7640-7644;Kayら(1992)Human Gene Therapy3:641-64
7;Daiら(1992)PNAS USA 89:10892-10895;Hwuら(1993)J. Immunol 150:410
4-4115;米国特許第4,868,116号;米国特許第4,980,286号;PCT出願WO 89/07136
;PCT出願WO 89/02648;PCT出願WO 89/05345;およびPCT出願WO 92/07573を参照
のこと)。
【0163】 さらに、ウイルス粒子の表面上のウイルスパッケージングタンパク質を改変す
ることによって、レトロウイルス、従ってレトロウイルスベースのベクターの感
染範囲を制限することが可能である(例えば、PCT出願WO 93/25234、WO 94/0692
0、およびWO 94/11524を参照のこと)。例えば、レトロウイルスベクターの感染
範囲の改変のためのストラテジーは、ウイルスenvタンパク質に、細胞表面抗原 に特異的な抗体を結合する工程(Rouxら(1989)PNAS USA 86:9079-9083;Julan
ら(1992)J. Gen Virol 73:3251-3255;およびGroudら(1983)Virology 163:2
51-254)、またはウイルスenvタンパク質に細胞表面リガンドを結合する工程(N
edaら(1991)J. Biol. Chem. 266:14143-14146)を包含する。結合は、タンパ ク質または他の変種(例えば、envタンパク質をアシアロ糖タンパク質に転換す るためのラクトース)との化学架橋の形態において可能であり、および融合タン
パク質(例えば、単鎖抗体/env融合タンパク質)を作製することにより可能で ある。この技術は、ある組織型に感染を制限するか、またはそうでなければ指向
するのに有用であり、これはまた、狭宿主性ベクターを広宿主性ベクターに変換
するために使用され得る。
【0164】 本発明において有用な別のウイルス遺伝子送達系は、アデノウイルス由来のベ
クターを利用する。アデノウイルスのゲノムは、目的の遺伝子産物をコードする
ように操作され得るが、通常の溶菌性ウイルス生活環において複製する能力に関
して不活性である(例えば、Berknerら(1988)Bio Techniques 6:616;Rosenfe
ldら(1991)Science 252:431-434;およびRosenfeldら(1992)Cell 68:143-15
5を参照のこと)。アデノウイルス株Ad5型 dl324またはアデノウイルスの他の 株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)に由来する適切なアデノウイルスベクターは 、当業者に周知である。組換えレトロウイルスは、それらが非分裂性の細胞を感
染し得ないというある情況において、有利であり得、そして広範に多様な細胞型
(気道上皮(Rosenfeldら(1992)、前出で引用される)、内皮細胞(Lemarchan
dら(1992)PNAS USA 89:6482-6486)、肝細胞(HerzおよびGerard(1993)PNAS
USA 90:2812-2816)および筋細胞(Quantinら(1992)PNAS USA 89:2581-2584 を含む)を感染するために使用され得る。さらに、ウイルス粒子は比較的安定で
あり、ならびに精製および濃縮に影響を受けやすく、そして上述のように、感染
力の範囲を影響するように改変され得る。さらに、導入されたアデノウイルスDN
A(およびそこに含まれる外来DNA)は、宿主細胞のゲノムに採り込まれないが、
エピソームに残存し、それによって、導入されたDNAが宿主ゲノム(例えば、レ トロウイルスDNA)に取込まれる情況において、挿入性の変異誘発の結果として 生じ得る潜在的な問題を回避する。さらに、他の遺伝子送達ベクターに比較して
、アデノウイルスゲノムが外来DNAを保持する能力は大きい(最大8キロベース )(Berknerら、前出;Haj-AhmadおよびGraham(1986)J. Virol. 57:267)。現
在使用され、それゆえ本発明に好ましい、大部分の複製欠陥アデノウイルスベク
ターは、ウイルスE1およびE3遺伝子の全てまたは部分が欠失されるが、80%もの
アデノウイルス遺伝子物質を保持する(例えば、Jonesら(1979)Cell 16:683;
Berknerら、前出;およびGrahamら、Methods in Molecular Biology、E.J.Murra
y編(Humana、Clifton、NJ、1991)第7巻、109-127頁を参照のこと)。挿入さ れるキメラ遺伝子の発現は、例えば、E1Aプロモーター、主要後期プロモーター (MLP)および関連のリーダー配列、ウイルスE3プロモーター、または外因的に 付加されるプロモーター配列の制御下であり得る。
【0165】 本発明のキメラ遺伝子の送達のために有用な、なお別のウイルスベクター系は
、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。アデノ随伴ウイルスは、効率的な複製お よび生産的な生活環のために、ヘルパーウイルスとして別のウイルス(例えば、
アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)を必要とする、天然に存在する欠陥ウ
イルスである(概説のために、Muzyczkaら、Curr. Topics in Micro. and Immun
ol.(1992)158:97-129を参照のこと)。これはまた、非分裂細胞にそのDNAを取
り込み得る数少ないウイルスのうちの1つであり、そして高頻度の安定な取込み
を示す(例えば、Flotteら(1992)Am. J.Respir. Cell. Mol. Biol. 7:349-356
;Samulskiら(1989)J. Virol. 63:3822-3828;およびMcLaughlinら(1989)J.
Virol. 62:1963-1973を参照のこと)。AAVの300塩基対を含有するベクターは、
パッケージングされ、そして採り込まれ得る。外因性DNAについての場所は、約4
.5kbに制限される。Tratschinら(1985)Mol. Cell. Biol. 5:3251-3260におい て記載されるAAVベクターは、細胞にDNAを導入するために使用され得る。多様な
核酸は、AAVベクターを使用して異なる細胞型に導入された(例えば、Hermonat ら(1984)PNAS USA 81:6466-6470;Tratschinら(1985)Mol. Cell. Biol. 4:2
072-2081;Wondisfordら(1988)Mol. Endocrinol 2:32-39;Tratschinら(1984
)J. Virol.51:611-619;およびFlotteら(1993)J. Biol. Chem.268:3781-3790
を参照のこと)。
【0166】 遺伝子治療における適用を有し得る他のウイルスベクター系は、ヘルペスウイ
ルス、ワクシニアウイルス、およびいくつかのRNAウイルスに由来してきた。特 に、ヘルペスウイルスベクターは、中枢神経系および眼組織の細胞における組換
え遺伝子の残留についての独特のストラテジーを提供し得る(Peposeら(1994)
Invest Ophthalmol Vis Sci 35:2662-2666)。
【0167】 上述で説明されるような、ウイルス移入法に加えて、非ウイルス法がまた、動
物の組織においてタンパク質の発現を引き起こすために用いられ得る。遺伝子移
入の大部分の非ウイルス法は、高分子の採り込みおよび細胞内輸送のために、哺
乳動物細胞によって使用される通常の機構に依存する。好ましい実施態様におい
て、本発明の非ウイルス遺伝子送達系は、標的化細胞による遺伝子の取込みにつ
いてのエンドサイトーシス経路に依存する。このタイプの例示的な遺伝子送達系
としては、リポソーム由来の系、ポリリジン結合体、および人工的なウイルスエ
ンベロープが挙げられる。
【0168】 代表的な実施態様において、複合性アクチベーターをコードする遺伝子は、そ
の表面で正電荷を保有し、および(必要に応じて)標的組織の細胞表面抗原に対
する抗体でタギングされるリポソーム(例えば、リポフェクチン)中に捕獲され
得る(Mizunoら(1992)No Shinkei Geka 20:547-551;PCT出願WO91/06309;日 本特許出願1047381;および欧州特許公開公報EP-A-43075)。例えば、神経膠細 胞のリポフェクションは、神経膠腫関連性の抗原に対するモノクローナル抗体で
タギングされたリポソームを使用して、行われ得る(Mizunoら(1992)Neurol.
Med. Chir. 32:873-876)。
【0169】 なお別の例示的な実施態様において、遺伝子送達系は、遺伝子結合剤(例えば
、ポリリジン)と架橋される抗体または細胞表面リガンドを含む(例えば、PCT 公開公報WO93/04701、WO92/22635、WO92/20316、WO92/19749、およびWO92/06180
を参照のこと)。例えば、本発明の任意の遺伝子構築物が、ポリカチオン(例え
ば、ポリリジン)に結合される抗体を含む可溶性のポリヌクレオチドキャリアを
使用して、インビボで特定の細胞をトランスフェクトするために使用され得る(
例えば、米国特許第5,166,320号を参照のこと)。エンドサイトーシスを介して 媒介される本発明の核酸構築物の効率的な送達が、エンドソーム構造からの遺伝
子の逸脱を増強する薬剤を使用して、改善され得る。例えば、全アデノウイルス
、またはインフルエンザHA遺伝子産物のフソゲニックな(fusogenic)ペプチド は、DNAを含有するエンドソームの効率的な破壊を誘導するために送達系の一部 として使用され得る(Mulliganら(1993)Science 260-926;Wagnerら(1992)P
NAS USA 89:7934;およびChristianoら(1993)PNAS USA 90:2122)。
【0170】 臨床学的な設定において、遺伝子送達系は、任意の多くの方法によって患者に
導入され得、その方法のそれぞれは、当該分野においてよく知られる。
【0171】 例えば、遺伝子送達系の薬学的な調製物は、例えば、静脈内注射によって全身
的に導入され得、そして標的細胞における構築物の特異的な形質導入が、遺伝子
送達ベヒクル、遺伝子の発現を制御する転写調節配列に起因する細胞型または組
織型発現、またはその組み合わせによって提供されるトランスフェクションの特
異性から、優先的に生じる。他の実施態様において、組換え遺伝子の最初の送達
は、非常に局在化される動物への導入を伴って、より制限される。例えば、遺伝
子送達ベヒクルは、カテーテルによって(米国特許第5,328,470号を参照のこと )または定位的な注射によって(例えば、Chenら(1994)PNAS USA 91:3054-305
7)、導入され得る。
【0172】 IV.標的遺伝子 本明細書中で使用されるように、「標的遺伝子」は、その転写が、本発明の方
法に従って刺激される遺伝子をいう。好ましい実施態様において、遺伝子は、細
胞の染色体DNAに取込まれる。標的遺伝子を含有する細胞は、本明細書中で「標 的細胞」といわれる。
【0173】 本発明の好ましい実施態様において、標的遺伝子は、内因性遺伝子である。本
明細書中で使用されるように、用語「内因性遺伝子」は、その天然の環境におい
て、細胞中に天然に存在する遺伝子(すなわち、遺伝子操作によって細胞に導入
されていない遺伝子)をいう。内因性遺伝子は、少なくとも1つの転写因子によ
って認識されるプロモーターを有する任意の遺伝子であり得る。好ましい実施態
様において、内因性遺伝子のプロモーターまたはその任意の調節エレメント(そ
れぞれ、「内因性プロモーター」および「内因性調節エレメント」)は、公知の
、好ましくはクローン化された、DNA結合ドメインによって認識され、これは転 写アクチベーターまたはリプレッサーのいずれかである。あるいは、DNA結合タ ンパク質が、標的プロモーターと相互作用することが知られない場合、過度の実
験を伴うことなく、当該分野において周知の技術(例えば、標的プロモーターの
少なくとも部分を用いる発現ライブラリーのスクリーニング)を使用して、この
ような因子をクローン化することが可能である。さらに、標的配列へのDNA結合 ドメインの結合の親和性は、当該分野において公知の方法に従って改善され得る
。このような方法は、例えば、DNA結合ドメインに変異を導入する工程、および 増加されたDNA結合親和性を有する変異体についてスクリーニングする工程を包 含する。
【0174】 本発明の別の実施態様において、標的遺伝子は、内因性遺伝子であり、これは
外因性標的配列を含む。外因性標的配列は、内因性プロモーターに導入され得る
か、または内因性プロモーターの少なくとも一部分を置換し得る。好ましい実施
態様において、内因性標的プロモーターに導入される外因性プロモーターまたは
調節エレメントは、DNA結合タンパク質によって認識され、標的配列に高い親和 性および特異性で結合し得る。好ましい実施態様において、DNA結合タンパク質 はヒトである。しかし、DNA結合タンパク質は、任意の他の種由来であり得る。 例えば、DNA結合タンパク質は、酵母GAL4タンパク質由来であり得る。
【0175】 なお別の実施態様において、標的遺伝子は、外因性遺伝子である。好ましい実
施態様において、外因性遺伝子は、細胞の染色体DNAに取込まれる。外因性遺伝 子は、染色体DNA中に挿入されるか、または外因性遺伝子は、内因性遺伝子の少 なくとも1部分を置換し得る。標的遺伝子は、単一コピーで、または複数コピー
で存在し得る。本明細書中に記載される実験的な結果を考慮して、標的遺伝子は
、1コピーよりも多く存在する必要はない。しかし、標的遺伝子によってコード
されるタンパク質のさらにより高いレベルが所望される場合、複数コピーの遺伝
子が使用され得る。
【0176】 1つの実施態様において、本発明に従って転写因子によって調節される標的遺
伝子の転写を可能にする標的遺伝子構築物はDNA分子を含み、これは、(1)複 合性アクチベーターを含む融合タンパク質の、または複合性アクチベーターを補
充するタンパク質の、DNA結合ドメインによって高い親和性で認識される、1コ ピーまたは複数コピーのDNA配列;(2)TATAボックスおよびイニシエーター配 列から最小なるが、必要に応じて他の転写因子結合部位を含む、プロモーター配
列;(3)適切である場合、翻訳の開始および終結を促進する配列を含む、所望
の遺伝子産物のコード配列;(4)スプライスドナー、スプライスアクセプター
、および介在するイントロンDNAからなる随意の配列;ならびに(5)得られるR
NA転写産物の切断およびポリアデニル化を指向する配列から典型的になる、合成
転写単位を含む。広範に多様な遺伝子を、標的遺伝子として用いることができ、
目的の治療学的タンパク質、アンチセンス配列、またはリボザイムをコードする
遺伝子を含む。標的遺伝子は、所望の表現型を提供する任意の目的の配列であり
得る。標的遺伝子は、表面膜タンパク質、分泌性タンパク質、細胞質タンパク質
をコードし得るか、または異なる産物をコードする複数の標的遺伝子が存在し得
る。標的遺伝子は、転写調節タンパク質を阻害することによって特定の経路を調
節し得るか、または経路のインヒビターの翻訳を阻害することによって特定の経
路を作動し得るアンチセンス配列であり得る。標的遺伝子は、関連の転写調節因
子の発現または特定の経路のインヒビターの発現を、RNAレベルで、妨げること によって、特定の経路を調節し得るリボザイムをコードし得る。単一で、または
組み合わせて発現されるタンパク質は、ホーミング、細胞傷害性、増殖、免疫応
答、炎症性応答、凝固、または凝固の溶解、ホルモン調節などを含み得る。発現
されるタンパク質は、天然に存在するタンパク質、天然に存在するタンパク質の
変異体、独特の配列、またはその組み合わせであり得る。
【0177】 種々の分泌性産物としては、ホルモン(例えば、インスリン、ヒト成長ホルモ
ン、グルカゴン、下垂体の放出因子、ACTH、メラノトロピン、リラキシンなど)
;増殖因子(例えば、EGF、IGF-1、TGF-α、TGF-β、PDGF、G-CSF、M-CSF、GM-C
SF、FGF、エリトロポイエチン、トロンボポイエチン、巨核球刺激および増殖因 子など);インターロイキン(例えば、IL-1〜13、TNF-αおよびTNF-βなど);
ならびに酵素および他の因子(例えば、組織プラスミノゲンアクチベーター、補
体カスケードのメンバー、パーフォリン、スーパーオキシドジスムターゼ、凝固
因子、抗トロンビン-III、第VIIIc因子、第VIIIvW因子、第IX因子、α-アンチト
リプシン、プロテインC、プロテインS、エンドロフィン、ダイノルフィン、骨
形態形成タンパク質など)が、挙げられる。
【0178】 遺伝子は、天然に存在する表面膜タンパク質、または適切なシグナルペプチド
および膜貫通配列の導入によって作製されるタンパク質であり得る。種々のこの
ようなタンパク質としては、ホーミングレセプター(例えば、L-セレクチン(M
el-14))、特に、クリングル(kringle)構造を有する血液関連性のタンパク質
(例えば、第VIIIc因子、第VIIIvW因子)、造血細胞マーカー(例えば、CD3、CD
4、CD8、β細胞レセプター、TCRサブユニットα、β、γ、δ、CD10、CD19、CD2
8、CD33、CD38、CD41など)、インターロイキンレセプターのようなレセプター (IL-2R、IL-4Rなど)、イオン(例えば、Ca+2、K+、Na+、Cl-など)の流入また
は流出についてのチャンネルタンパク質、CFTR、チロシン活性化モチーフ、zap-
70などが挙げられる。
【0179】 タンパク質は、エクソサイトーシスについてベヒクルに輸送するために、改変
され得る。ベシクルに指向されるタンパク質由来の配列を付加することによって
、配列が、一方または他方の末端の近傍で改変されるか、またはタンパク質供給
源に類似する位置において配置される場合、改変されたタンパク質は、ベシクル
中にパッケージングするために、コルジ体に指向される。このプロセスは、エク
ソサイトーシスのためのキメラタンパク質の存在と組み合わせて、細胞外培地へ
のタンパク質の迅速な移行、および比較的高い局在化濃度を許容する。
【0180】 また、細胞内タンパク質は、目的のものであり得、宿主細胞の性質に依存して
、例えば、代謝経路におけるタンパク質、調節タンパク質、ステロイドタンパク
質、転写因子などである。上述のタンパク質のいくつかは細胞内タンパク質の役
目も果たし得る。
【0181】 さらなる説明として、T細胞において、T細胞レセプターの一方または両方の
鎖をコードする遺伝子を導入することが所望され得る。B細胞について、分泌の
ために免疫グロブリンの重鎖および軽鎖が提供され得る。皮膚細胞(例えば、ケ
ラチノサイト、特に幹細胞ケラチノサイト)について、α、β、γインターフェ
ロン、抗走化性因子、細菌細胞壁タンパク質に特異的なプロテアーゼなどを分泌
することによって、感染に対する防御を提供し得た。
【0182】 治療学的価値を有する遺伝子の発現を提供することに加えて、特定の部位に細
胞を指向することが望まれる多くの状況が存在する。部位としては、解剖学的な
部位(例えば、リンパ節、粘膜組織、皮膚、滑膜、肺、または他の内部器官もし
くは機能的な部位(例えば、凝固部位、創傷部位、外科操作の部位、炎症部位、
感染部位など)が挙げられ得る。宿主標的部位で、天然に存在するエピトープへ
の結合を提供することによって、宿主細胞を特定の部位に指向する表面膜タンパ
ク質の発現を提供することにより、分泌された産物の局在化された濃度が達成さ
れ得る。目的のタンパク質としては、ホーミングレセプター(例えば、L-セレ クチン、GMP140、CLAM-1など)、またはアドレシン(例えば、ELAM-1、PNAd、LN
Adなど)、凝固結合タンパク質、または走化性因子の局在化された勾配に応答す
る細胞表面タンパク質が挙げられる。特定の部位に細胞を指向することが所望さ
れる多くの状況が存在し、ここでは、治療学的産物の放出が、非常に価値があり
得た。
【0183】 遺伝子治療における使用のために、標的遺伝子は、被験体に有益である任意の
遺伝子産物をコードし得る。遺伝子産物は、分泌性のタンパク質、膜タンパク質
、または細胞質タンパク質であり得る。好ましい選択されるタンパク質としては
、増殖因子、分化因子、サイトカイン、インターロイキン、tPA、およびエリト ロポイエチンが挙げられる。好ましい膜タンパク質としてはレセプター(例えば
、増殖因子またはサイトカインのレセプター、またはタンパク質媒介性のアポト
ーシス(例えば、Fasレセプター)が挙げられる。他の候補となる治療学的遺伝 子は、PCT/US93/01617において開示される。
【0184】 なお別の実施態様において、ゲノムDNAとの相同組換えにより、内因性遺伝子 の転写調節配列を変化する「遺伝子活性化」構築物が、本発明の操作されたタン
パク質の1つのDNA結合活性についての認識部位を導入するために使用され得る 。遺伝子活性化構築物の多様な異なる形式が、利用可能である。例えば、Transk
aryotic Therapies、Inc PCT公開公報WO93/09222、WO95/31560、WO96/29411、WO
95/31560、およびWO94/12650を参照のこと。
【0185】 V.本発明の方法 本発明は、標的遺伝子、特に取込まれた遺伝子の転写を刺激するための方法を
提供する。遺伝子は、内因性遺伝子、外因性遺伝子、またはその両方の組み合わ
せであり得る。本発明の方法は、DNA結合ドメインおよび/またはリガンド結合 ドメインに連結される複数の転写活性化単位を、標的細胞に導入する工程を包含
する。転写活性化単位が、リガンド結合ドメインに連結される場合、方法はさら
に、少なくとも1つのリガンド結合ドメインに連結されるDNA結合ドメイン、お よびリガンド結合ドメインと相互作用し得るリガンドを細胞に導入する工程を包
含し、それによって、転写活性化単位およびDNA結合ドメインが相互作用し、そ れにより標的遺伝子の転写を刺激する。
【0186】 別の実施態様において、本発明の方法は、リガンド結合ドメインに連結される
少なくとも1つの転写活性化単位および同時に2つのリガンド結合ドメインに結
合し得るリガントとともに、DNA結合ドメインに連結される複数のリガンド結合 ドメインを、標的細胞に導入する工程を包含する。従って、適切なリガンドをと
もなう標的細胞の曝露は、複数の活性化単位を含む転写アクチベーター複合体の
形成を生じる。さらに、本明細書中に示されるように、標的遺伝子の転写のレベ
ルが、標的遺伝子に送達され得る活性化単位の数に直接的に相関するので、標的
遺伝子の転写のレベルは、標的細胞を処理するために使用されるリガンドのレベ
ルによって制御され得る。
【0187】 好ましい実施態様において、本発明の方法は、標的遺伝子、複数の活性化単位
、DNA結合ドメイン、またはリガンド結合ドメインを有するポリぺプチドをコー ドする核酸を細胞に導入する工程を包含する。ポリぺプチドが、リガンド結合ド
メインを含む場合、方法はさらに、DNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメイ ンを含むポリぺプチドをコードする核酸を、細胞に導入する工程を包含する。核
酸および核酸を含むベクターは、上記のように調製され得る。これらは、当該分
野において公知の方法に従って、標的遺伝子を含む細胞(すなわち、標的細胞)
に導入され得る。標的細胞がインビトロである実施態様において、核酸は、エレ
クトロポレーション、化学形質転換(例えば、塩化カルシウム)、リポソーム、
またはウイルス形質転換を含むトランスフェクションによって、標的細胞に導入
され得る。標的細胞がインビボである実施態様において、核酸は、裸のDNAの直 接的な注射、リポソーム、または被験体に核酸を投与する任意の他の方法によっ
て、細胞に導入され得る。
【0188】 VI キット 本発明はさらに、上述の適用に有用なキットを提供する。1つのこのようなキ
ットは、転写アクチベーターまたはそのサブユニットをコードする1つ以上の核
酸を含む。キットはさらに、転写活性化因子が結合し得るDNA配列に連結される 標的遺伝子を含有するさらなる核酸を含み得る。あるいは、さらなる核酸は、実
施者による所望の標的遺伝子の挿入のためのクローニング部位を含み得る。調節
可能な適用のために(すなわち、組換えタンパク質がリガンド結合ドメインまた
は誘導性ドメインを含む場合において)、キットはさらに、オリゴマー化剤(例
えば、上述で考察されたマクロライド二量体化剤)を含み得る。このようなキッ
トは、例えば、2つの組換えタンパク質を二量体化でき、そして標的遺伝子の転
写を活性化し得る、二量体化剤のサンプルを含み得る。
【0189】 VII.例示的な使用 本発明は、標的遺伝子、特に染色体DNAに取込まれた標的遺伝子の高レベルで の転写を刺激するための方法を提供する。強力な転写アクチベーターは鎮圧化を
誘導することが知られていたので、強力な転写アクチベーターは、過去に調製さ
れていなかった。しかし、本明細書中に示されるように、取込まれた遺伝子の転
写は、取込まれた遺伝子における鎮圧化の不在に起因して、取込まれていない遺
伝子よりも有意に高いレベルで刺激され得る。非常に強力な転写アクチベーター
が、細胞に対する通常の毒性を伴うことなく、非常に高いレベルに、治療学的遺
伝子の発現を駆動するために使用され得ること、および有効なレベルの分泌性タ
ンパク質が、以前に考えられていたよりも少ない操作された細胞を用いて達成さ
れ得ることが示唆されるので、この観察は、ある遺伝子治療の適用の情況におい
て重要である。さらに、本発明は、種々の量のオリゴマー化剤の使用により、標
的遺伝子に送達される転写活性化単位の量を制御することによって、転写のレベ
ルを制御するための方法を提供する。
【0190】 1つの実施態様において、本発明は、エクスビボで、より高いレベルの所望の
タンパク質を生成するために使用される。商業および研究の目的のための、治療
学的な組換えタンパク質の生成は、しばしば、高レベルでタンパク質を発現する
ように操作された哺乳動物細胞株の使用を介して、達成される。細菌または酵母
ではなく、哺乳動物細胞の使用が、タンパク質の正確な機能が、異種細胞によっ
て一般には行われない翻訳後修飾を必要とする場合に示される。この方法におい
て商業的に生成されるタンパク質の例としては、エリトロポイエチン、組織プラ
スミノーゲンアクチベーター、凝固因子(例えば第VIIIc因子)、抗体などが挙 げられる。この様式においてタンパク質を生成する費用は、操作された細胞にお
いて達成される発現のレベルに、直接的に関連する。従って、本明細書中に記載
される発明は、従来の発現系よりもかなり高い発現を達成し得るので、タンパク
質生成の費用を、非常に減少し得る。このようなタンパク質の生成における第2
の制限は、宿主細胞に対する毒性である:タンパク質発現は、細胞が高密度で増
殖することを妨げることができ、生成レベルを激しく減少する。それゆえ、タン
パク質発現をしっかりと制御する能力は、調節性の遺伝子治療について記載され
るように、細胞が、タンパク質生成の不在下で、高密度に増殖することを許容す
る。至適な細胞密度が達成される後にのみ、遺伝子の発現が達成され、タンパク
質産物が、続いて採集される。
【0191】 商業的な使用(例えば、遺伝子治療)および実験的に使用するための組換えウ
イルスの生成について「パッケージング株」を構築および使用する際、類似の問
題に直面する。これらの細胞株は、欠陥組換えゲノムを保有する感染性ウイルス
粒子のアセンブリのために必要とされるウイルスタンパク質を生成するように操
作される。このようなパッケージング細胞株に依存するウイルスベクターとして
は、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスが挙げられる
。後者の場合において、パッケージング細胞株から得られるウイルスストックの
力価は、ウイルスrepおよびコアタンパク質の生成のレベルに、直接的に関連す る。しかし、これらのタンパク質は、宿主細胞に対して非常に毒性である。それ
ゆえ、高力価の組換えウイルスを作製することは困難であることが証明された。
本発明は、repおよびコアタンパク質が、本明細書中に記載される設計の調節性 の転写因子の制御下におかれるパッケージング細胞株の構築を許容することによ
って、この問題に対する解決を提供する。パッケージング細胞株は、高密度に増
殖され、ヘルパーウイルスで感染され、そして組換えウイルスゲノムでトランス
フェクトされ得る。次いで、パッケージング細胞株によってコードされるウイル
スタンパク質の発現は、高力価でのウイルスの生成を許容する二量体化剤の添加
によって、誘導される。
【0192】 他の実施態様において、本発明の構築物は、動物からの治療学的処置プログラ
ムの部分として使用される。1つの実施態様において、本発明の構築物は、本発
明の内因性遺伝子の転写を刺激するために使用される。内因性遺伝子は、ゲノム
の任意の遺伝子であり得、その遺伝子の増加した発現は被験体に有益である。例
えば、被験体は、特定タンパク質をコードする遺伝子の発現を調節するタンパク
質における欠陥に起因して、このタンパク質の十分な量を生成しないかもしれな
い。別の実施態様において、標的遺伝子の発現は、別の遺伝子の発現の欠陥を補
うことが所望される。なお他の実施態様において、本発明の方法は、内因性遺伝
子によってコードされるタンパク質の喪失を補うために、内因性遺伝子の発現を
刺激するために使用される。例えば、特異的な分泌性タンパク質を生成する細胞
の数が、被験体において、例えば、疾患または状態の結果として、減少する可能
性があり、従って、被験体において、特異的な因子の生成の減少が生じる。
【0193】 好ましい実施態様において、本発明の方法は、1つ以上の特異的な細胞型の増
殖および/または分化に必要である因子の生成を刺激するために使用され得る。
少なくともいくつかの血球が、例えば、放射線療法および化学療法によって破壊
されている被験体において、例えば、増殖因子およびリンホカインの発現を刺激
することが望ましい場合があり得る。従って、好ましい実施態様において、エリ
トロポイエチン遺伝子の発現が、被験体において刺激され、それによって、より
高いレベルのエリトロポイエチンが、被験体において生成され、そして赤血球の
生成が刺激される。同様に、1つ以上の特異的な細胞型が、疾患プロセスによっ
て破壊される疾患または状態において(例えば、自己免疫病において)、特異的
な細胞型が、これらの細胞の増殖を刺激する因子をコードする1つ以上の遺伝子
の発現を刺激することによって、補充され得る。本発明の方法はまた、例えば、
あるTヘルパー(Th)細胞の増殖を刺激するリンホカイン(例えば、IL-4)の発
現を刺激することによって、AIDSを有する被験体においてリンパ球の数を増加す
るために使用され得る。
【0194】 特定のタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現を刺激することによって、
被験体において、このタンパク質の生成を増加する少なくとも1つの利点は、こ
のタンパク質に対する免疫反応の不在であり、従って、被験体のより効果的な処
置が得られる。さらに、同じ理由のために、被験体に投与される転写アクチベー
ターまたはこのようなタンパク質をコードする核酸が、このタンパク質が投与さ
れる被験体のタンパク質と同じ種から生じることが所望される。特に、ヒト被験
体に、ヒト起源の転写アクチベーターを投与することが好ましい。しかし、ヒト
起源でない活性化タグを有する転写アクチベーターはまた、本発明の方法に従っ
て使用され得る。このような状況において、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリ
ンA、または免疫反応を抑制する他の化合物)を、被験体に同時に投与すること
が好ましい場合があり得る。免疫抑制剤は、当該分野において周知である。
【0195】 本発明のDNA構築物で、エクスビボで改変された細胞は、選択的な条件下、培 養において増殖され、次いで、所望の構築物を有するとして選択された細胞は、
拡張され、そしてさらに、例えば、宿主細胞における構築物の存在を決定するた
めのポリメラーゼ連鎖反応および/または所望の遺伝子産物の生成についてのア
ッセイを使用して、分析され得る。
【0196】 細胞の性質に依存して、細胞は、広範に多様な方法において宿主生物体(例え
ば、哺乳動物)に導入され得る。造血細胞は、血管系への注射によって投与する
ことができ、通常、少なくとも104個の細胞および、通常、約1010個を超えない 細胞が存在する。用いられる細胞の数は、多くの情況、導入の目的、細胞の寿命
、使用されるプロトコル(例えば、投与の数)、細胞が増殖する能力、治療学的
薬剤の安定性、治療学的薬剤についての生理学的必要性などに依存する。一般に
、筋芽細胞または線維芽細胞について、例えば、細胞の数は、少なくとも104個 であり、約109個を超えず、ならびに分散剤として投与でき、一般に目的の部位 でまたはその近くで注射される。細胞は、通常、生理学的に受容される媒体であ
る。
【0197】 本発明に従って操作される細胞はまた、例えば、従来の生体適合性材料および
方法を使用して、治療学的タンパク質の生成のために宿主生物体または患者に移
植される前に、カプセル化され得る。例えば、Hguyenら、宿主内に生存可能な高
い細胞密度を維持するための組織移植系および方法、米国特許第5,314,471号(B
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PC12細胞);Kordowerら、1994、PNAS USA 91(23):10898-902(サルに移植され たhNGFを発現する、ポリマーカプセル化された操作されたBHK細胞)、およびBut
lerら、WO 95/04521(カプセル化デバイス)を参照のこと。次いで、細胞は動物
宿主、好ましくは哺乳動物、およびより好ましくはその必要があるヒト被験体に
、カプセル化された形態で導入され得る。好ましくはカプセル化材料は、半透過
性であり、カプセル化された細胞によって生成される分泌性のタンパク質の宿主
への放出を許容する。多くの実施態様において、半透過性のカプセル化は、カプ
セル化された細胞が導入された宿主生物体から免疫学的に単離されるカプセル化
細胞を与える。これらの実施態様において、カプセル化される細胞は、宿主種の
タンパク質および/またはウイルスタンパク質、または宿主種以外の種からのタ
ンパク質に由来する成分ドメインを含有する1つ以上のキメラタンパク質を発現
し得る。例えば、このような場合において、キメラは、GAL4およびVP16に由来す
るエレメントを含み得る。細胞は、レシピエント以外の1つ以上の個体に由来し
得、およびレシピエント生物体または患者の種以外の種に由来し得る。
【0198】 細胞のエクスビボ改変の代わりに、多くの状況において、インビボで細胞を改
変することが望まれ得る。この目的のために、種々の技術が、インビボでの標的
組織および細胞の改変のために開発されてきた。多くのウイルスベクターが、例
えば上記のように開発され、これにより、トランスフェクションおよび、いくつ
かの場合において、宿主へのウイルスの取込みが許容された。例えば、Dubensky
ら(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81、7529-7533;Kanedaら(1989)Scie
nce 243,375-378;Hiebertら(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86、3594-35
98;Hatzogluら(1990)J. Biol. Chem. 265、17285-17293およびFerryら(1991
)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88、8377-8381を参照のこと。ベクターは、例え
ば、静脈内または筋肉内の注射、吸入、または他の非経口態様によって、投与さ
れ得る。リポソームとの複合体を介する、または注射、カテーテル、もしくは微
粒子銃による、DNAの投与のような非ウイルス送達方法がまた、使用され得る。
【0199】 インビボ遺伝子改変に従って、改変の様式は、組織の性質、必要とされる細胞
改変の効率、特定の細胞を改変する機会の数、導入されるDNA組成物に対する組 織の接近可能性などに依存する。標的転写開始領域を保有する減弱されたまたは
改変されたレトロウイルスを用いることによって、所望であれば、本発明の転写
因子構築物のうちの1つを用いてウイルスを活性化し、それによってウイルスが
精製され、そして近接する細胞をトランスフェクトし得る。
【0200】 DNA導入は、全ての場合において取込みを生じる必要はない。状況によっては 、導入されたDNAの一過性の維持が十分な場合があり得る。この方法において、 短期の効果を有することができ、ここでは細胞は、宿主に導入され、次いで、予
め決定された時間後に、例えば、細胞が特定の部位に戻り得た場合に、刺激され
得る。
【0201】 本発明の別の実施態様において、本発明の転写アクチベーターは、標的内因性
遺伝子を認識し、この遺伝子において、プロモーターおよび/または遺伝子の1
つ以上の他の領域は、公知の転写因子のDNA結合ドメインによって特異的に認識 される標的配列を含むように改変され、そして転写アクチベーターは、このDNA 結合ドメインを含む。従って、標的内因性遺伝子は、所望の転写因子によって特
異的に認識されるように改変される。このような実施態様は、標的遺伝子の調節
領域に特異的に結合することが知られるDNA結合タンパク質がない状況において 、有用であり得る。従って、1つの実施態様において、細胞は、被験体から得ら
れ、そして細胞は、標的遺伝子のプロモーターに所望の調節配列を挿入するよう
にインビトロで遺伝子操作される。次いで、細胞は、被験体にさらに投与され得
る。あるいは、被験体への細胞の投与の前に、細胞はさらに、標的遺伝子に導入
される調節エレメントと特異的に相互作用し得るDNA結合ドメインを含む転写活 性化因子をコードする核酸を含むように改変され得る。別の実施態様において、
内因性遺伝子は、例えば、相同組換えによって、インビボで改変される。
【0202】 細胞における遺伝子の改変は、例えば、相同組換えによって行うことができ、
これは当該分野において周知の技術であり、例えば、ThomasおよびCapecchi(19
87)Cell 51:503;Mansourら(1988)Nature 336:348;およびJoynerら(1989)
Nature338:153において記載される。
【0203】 別の実施態様において、転写アクチベーターは、被験体の染色体DNAに取込ま れる外因性遺伝子の転写を刺激するために使用される。外因性標的遺伝子は、被
験体から細胞を得、標的遺伝子および必要に応じて転写アクチベーターをコード
する核酸を、細胞に導入し、そして被験体に細胞を導入することによって、被験
体に導入され得る。この実施態様は、標的遺伝子の調節領域に特異的に結合する
ことが知られるDNA結合タンパク質がない状況において、または標的遺伝子が、 細胞によって天然には生成されないタンパク質をコードする状況において、有用
である。例えば、標的遺伝子は、腫瘍抗原であり得、これは、通常の条件下で被
験体によって生成されないが、腫瘍抗原を発現する腫瘍の発生を防止するための
ワクチン抗原として被験体において発現されることが望まれる。
【0204】 外因性遺伝子はまた、アンチセンスRNAもしくはリボザイム、または翻訳され ない他のRNA分子をコードし得る。例えば、本発明の方法は、被験体の細胞にお いて1つ以上の特異的なタンパク質の生成を阻害するために使用され得る。本発
明によって提供される強力な転写アクチベーターの利用可能性は、高レベルのRN
A(例えば、アンチセンスRNA)が細胞において生成されることを確実にする。
【0205】 本発明の好ましい実施態様において、転写アクチベーターは、複数の活性化単
位およびリガンド結合ドメインを有する第1の融合タンパク質、DNA結合ドメイ ンおよびリガンド結合ドメインを有する第2の融合タンパク質、ならびに両方の
リガンド結合ドメインと同時に相互作用するリガンドを含む複合体である。従っ
て、標的遺伝子の転写の活性化は、リガンド(例えば、二量体化剤)の存在下で
のみ刺激される。従って、被験体における標的遺伝子の発現は、被験体へのリガ
ンドの投与の際にのみ刺激される。
【0206】 二量体化剤は、標的遺伝子の転写を活性化するために所望されるように、患者
に投与され得る。リガンドの結合親和性、所望される応答、投与の数、半減期、
存在する細胞の数に依存して、種々のプロトコルを用いることができる。リガン
ドは、非経口的にまたは経口的に投与され得る。投与の数は、上記の因子に依存
する。リガンドは、丸剤、粉末、または分散剤として経口的に;口内に;舌下に
摂取され得るか;静脈内、腹腔内、皮下で注射され得るか;吸入によるかなどで
投与され得る。リガンド(および単量体アンタゴニスト化合物)は、投与の種々
の経路について、当該分野において周知である従来の方法および材料を使用して
、処方され得る。投与の正確な用量および特定の方法は、上述の因子に依存し、
そして、付き添いの医師またはヒトもしくは動物の保険医療提供者によって決定
される。大部分について、投与の様式は、経験的に決定される。
【0207】 リガンドによる転写活性化が逆転または終結される事象において、二量体化剤
と拮抗し得る単量体化合物を投与し得る。従って、有害な反応、または治療学的
効果を終結することが望まれる場合、二量体化剤に対するアンタゴニストが、任
意の簡便な方法によって、迅速な逆転が所望される場合、特に静脈内に、投与さ
れ得る。あるいは、DNA結合ドメインとともに不活性化ドメイン(または転写サ イレンサー)の存在を提供し得る。別のアプローチにおいて、細胞は、他の場所
で記載されるFasまたはTNFレセプターを介するシグナル伝達によるアポトーシス
を介して、排除され得る。国際特許出願PCT/US94/01617およびPCT/US91/08008を
参照のこと。
【0208】 任意の適用についてリガンドの特定の投薬量を、治療学的投薬量をモニターす
るために使用される手順に従って、決定することができ、ここでは、特定のレベ
ルの発現の維持が、長期間、例えば、2週間以上にわたって望まれるか、または
反復治療の場合、短期間にわたる個々のまたは反復される用量で、長間隔、例え
ば、2週間以上で望まれる。予め決定された範囲内のリガンドの用量が与えられ
、そして応答についてモニターされ、それによって、時間−発現レベルの関係、
および治療学的応答の観察が得られる。期間中に観察されるレベルおよび治療学
的応答に依存して、次回により大きなまたはより小さな用量を提供し、応答を追
跡し得る。この手順は、治療学的範囲内の投薬量が得られるまで、反復して繰り
返される。リガンドが、慢性的に投与される場合、いったんリガンドの維持投薬
量が決定されると、次いで、細胞系が適切な応答および発現産物のレベルを提供
することを確実にするために、長期の間隔でアッセイが行われ得る。
【0209】 系が、多くの変数(例えば、リガンドに対する細胞応答、発現の効率、および
適切な場合、分泌のレベル、発現産物の活性、患者の特定の必要性(これは、時
間および情況とともに変化し得る)、細胞の喪失の結果としての細胞活性の喪失
の速度、または個々の細胞の発現活性など)に供されることが理解されるべきで
ある。それゆえ、各個々の患者について、全体として集団に投与され得る普遍的
な細胞が存在する場合であっても、各患者は、個体についての正確な投薬量につ
いてモニターされることが期待される。
【0210】 本発明の1つの実施態様において、リガンド(例えば、二量体化剤)、および
/または標的遺伝子から高レベルのタンパク質を合成する本発明の方法に従って
改変される、細胞の導入の方法は、再装備可能なまたは生分解性のデバイスによ
って提供され得る。種々の遅延放出ポリマーデバイスが、近年、タンパク質性の
生物薬剤を含む薬物の制御された送達のために開発され、そしてインビボで試験
されている。生分解性ポリマーおよび非生分解性ポリマーの両方を含む、多様な
生体適合性のポリマー(ヒドロゲルを含む)が、特定の標的部位で、本発明の方
法に従って改変された細胞によって生成される二量体化剤またはタンパク質の持
続性放出のために、移植片を形成するために使用され得る。本発明のこのような
実施態様は、本発明の方法に従って生成される外因的に精製されたタンパク質(
これは、ポリマーデバイス中に組込まれる)の送達のために、またはポリマーデ
バイス中にカプセル化される細胞によって生成されるタンパク質の送達のために
、使用され得る。
【0211】 移植片のある実施態様の本質的な特徴は、ポリマー組成物および形態の操作を
介して達成され得るカプセル化された細胞によって生成される、二量体化剤また
はタンパク質の線形放出であり得る。単量体組成物またはポリマー化技術の選択
によって、水の量、空隙率、および結果としての透過性特徴が、制御され得る。
形状、大きさ、ポリマー、および移植のための方法の選択は、処置される異常に
従う個々の基準および個々の患者の応答に対して決定され得る。このような移植
片の生成は、一般に、当該分野において公知である。例えば、Concise Encylope
dia of Medical & Dental Materials、David Williams編(MIT Press:Cambridg
e、MA、1990);およびSabelら、米国特許第4,883,666号を参照のこと。移植片 の別の実施態様において、本発明の方法に従って改変され、所望のタンパク質を
生成する細胞の供給源、または精製されたタンパク質もしくは二量体化剤を含有
するヒドロゲルマトリクスの溶液は、移植可能な中空線維中にカプセル化される
。このような線維は、予め紡がれ、およびタンパク質供給源または二量体化剤と
連続して負荷されるか(Aebischerら、米国特許第4,892,538号;Aeischerら、米
国特許第5,106,627号;Hoffmanら(1990)Expt. Neurobiol. 110:39-44:Jaeger
ら(1990)Prog. Brain Res. 82:41-46;およびAebischerら(1991)J. Biomech
. Eng. 113:178-183)、または細胞、タンパク質、もしくは二量体化剤について
ポリマーコートを形成するように作用するポリマーと同時押し出し形成され得る
。(Lim、米国特許第4,391,909号;Sefton、米国特許第4,353,888号;Sugamori ら(1989)Trans.Am. Artif. Intern.Organs 35:791-799;Seftonら(1987)B
iotehnol. Bioeng. 29:1135-1143;およびAebischerら(1991)Biomaterials 12
:50-55)。
【0212】 従って、本発明の方法は、例えば、任意の疾患または状態を処置または防止す
るために、任意の状況に広範に適用することができ、ここでは取込まれた標的遺
伝子の転写活性化が望まれる。本発明の特定の実施態様に依存して、転写アクチ
ベーター、これをコードする核酸、標的外因性遺伝子、および/またはオリゴマ ー化剤は、被験体に投与される。これらは、このように、または送達ベヒクル(
例えば、リポソーム)とともに、投与され得る。送達ベヒクルを伴っても伴わな
くても、これらの化合物は、好ましくは、薬学的に受容されるキャリアとともに
投与される。これらの化合物の投与の方法は、当該分野において公知であり、そ
して以下に簡潔に開示される。
【0213】 このような化合物の毒性および治療学的な効力は、例えば、LDADVANCE d 1 50
ADVANCE u 1(集団の50%に致死的な用量)およびEDADVANCE d 1 50ADVANCE u 1 (集団の50%において治療学的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物ま たは実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性と治療学
的効果との間の用量比は、治療学的指数であり、そしてLDADVANCE d 1 50ADVANC
E u 1/EDADVANCE d 1 50ADVANCE u 1の比として表され得る。大きな治療学的指
数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が使用され得るが、未感
染の細胞に対する潜在的な障害を最小にし、それによって副作用を減少するため
に、罹患された組織の部位にこのような化合物を標的する送達系を設計するよう
に、注意が払われるべきである。
【0214】 細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用の
ための投薬量の範囲を処方するために使用され得る。このような化合物の投薬量
は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く伴わないEDADVANCE d 1 50ADVANCE
u 1を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態および利用 される投与の経路に依存してこの範囲内で変化し得る。本発明の方法において使
用される任意の化合物について、治療学的に有効な用量は、細胞培養アッセイか
ら最初に見積もることができる。用量は、細胞培養物において決定されるような
、ICADVANCE d 1 50ADVANCE u 1を含む循環血漿範囲(すなわち、症状の半最大 阻害を達成する試験化合物の濃度)を達成するために、動物モデルにおいて処方
され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量を、より正確に決定する
ために使用され得る。血漿中のレベルが、例えば、高速液体クロマトグラフィー
によって、測定され得る。
【0215】 本発明に従う使用のための薬学的組成物は、1つ以上の生理学的に受容される
キャリアまたは腑形剤を使用して、従来の様式において処方され得る。従って、
化合物およびそれらの生理学的に受容される塩および溶媒和化合物は、例えば、
注射、吸入、もしくはガス注射(口または鼻のいずれかを介する)による、また
は経口、口内、非経口、または直腸投与による投与のために処方され得る。この
ような治療のために、本発明の化合物は、投与の多様な負荷量(全身性および局
所的または局在化投与を含む)について処方され得る。技術および処方は、一般
に、Remmingtons Pharmaceutical Sciences、Meade Publishing Co. Easton、PA
において見出され得る。全身性の投与について、注射が好ましく、筋肉内、静脈
内、腹腔内、および皮下を含む。注射について、本発明の化合物は、液体溶液中
に、好ましくは生理学的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス溶液またはリンゲ
ル溶液)中に、処方され得る。さらに、化合物は、固体形態で処方され得るか、
または使用の直前に再溶解もしくは懸濁され得る。凍結乾燥化形態がまた、含ま
れる。
【0216】 経口投与について、薬学的組成物は、薬学的に受容される腑形剤(例えば、結
合剤(例えば、トウモロコシアルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、また
はヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィルター(例えば、ラクトース、
微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステア
リン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);分解剤(例えば、ジャガイモデ
ンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウ
リル硫酸ナトリウム))を用いて、従来の手段によって調製され得る、例えば、
錠剤またはカプセル化剤の形態を取り得る。錠剤は、当該分野において周知の方
法によってコートされ得る。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シ
ロップ、もしくは懸濁液の形態を取り得るか、またはこれらは、使用の前に水ま
たは他の適切なベヒクルと構成するための乾燥産物として存在し得る。このよう
な液体調製物は、薬学的に受容される付加物(例えば、懸濁化剤(例えば、ソル
ビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素付加された可食脂肪);乳化
剤(例えば、レシチンまたはアカシアゴム);非水性ベヒクル(例えば、アーモ
ンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分画化された植物油);およ
び保存剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸またはソルビ ン酸)を用いて、従来の手段によって調製され得る。調製物はまた、緩衝塩、香
料、発色剤、甘味剤を適切に含み得る。
【0217】 経口投与のための調製物は、活性化化合物の制御された放出を与えるために、
適切に処方され得る。口内投与について、組成物は、従来の様式において処方さ
れる錠剤またはトローチ剤の形態を取り得る。吸入による投与について、本発明
に従う使用のための化合物は、安定な噴霧剤(例えば、ジクロロジフオロメタン
、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、ま
たは他の適切な気体)の使用を伴って、加圧化パックまたは噴霧器からのエアロ
ゾル噴霧提示の形態で、簡便に投与される。加圧化エアロゾルの場合において、
投薬量単位は、計量供給量を送達するためのバルブを提供することによって、決
定され得る。吸入器またはガス吸入器における使用のための、化合物および適切
な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含む、例えば
、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジが、処方され得る。
【0218】 化合物は、注射によって、例えば、ボーラス注射または連続的な注入によって
、非経口的に投与するために処方され得る。注射のための処方物は、保存剤の添
加を伴って、例えば、アンプル中にまたは多用量の容器中に、単位投薬量の形態
で存在し得る。組成物は、油性または水性ベヒクル中の懸濁液、溶液、または乳
化液のような形態を取り、そして懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤
のような処方剤を含み得る。あるいは、有効成分は、適切なベヒクル(例えば、
滅菌の発熱物質非含有水)との、使用の前の構築のために、粉末形態であり得る
【0219】 化合物はまた、従来の坐薬基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド
)を含む坐薬または滞留浣腸のような、直腸組成物中に処方され得る。
【0220】 以前に記載される処方物に加えて、化合物は、蓄積調製物として処方され得る
。このような長期に作用する処方物は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内に)
によって、または筋肉内注射によって、投与され得る。従って、例えば、化合物
は、適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、受容される油中の乳濁液とし
て)、またはイオン交換樹脂とともに、または倹約型の可溶性誘導体として(例
えば、倹約型の可溶性塩として)、処方され得る。
【0221】 全身性投与はまた、経粘膜的なまたは経皮的な手段により得る。経粘膜的なま
たは経皮的な投与について、透過される障壁に適切な透過剤が、処方物中で使用
される。このような透過剤は、一般に、当該分野において公知であり、そして例
えば、経粘膜投与について、胆汁酸塩およびフジン酸誘導体を含む。さらに、洗
浄剤が、透過を促進するために使用され得る。経粘膜投与は、鼻噴霧を介するか
、または坐薬を使用し得る。局所投与について、本発明のオリゴマーは、当該分
野において一般に知られるように、軟膏、塗剤、ゲル、またはクリーム中に処方
される。
【0222】 臨床学的な設定において、転写アクチベーターおよび必要に応じて標的遺伝子
をコードする遺伝子についての遺伝子送達系は、当該分野においてよく知られる
任意の多くの方法によって、患者に導入され得る。例えば、遺伝子送達系の薬学
的調製物は、例えば、静脈内注射によって、全身的に導入することができ、そし
て標的細胞におけるタンパク質の特異的な形質導入が、レポーター遺伝子の発現
を制御する転写調節配列、またはその組み合わせに起因して、遺伝子送達ベヒク
ル、細胞型、または組織型発現によって提供される、トランスフェクションの特
異性から優先的に生じる。他の実施態様において、組換え遺伝子の最初の送達は
、非常に局在化される動物へ導入に関しては、より制限される。例えば、遺伝子
送達ベヒクルは、カテーテル(米国特許第5,328,471号を参照のこと)によって 、または定位的な注射(例えば、Chenら(1994)PNAS 91:3054-6057)によって 導入され得る。
【0223】 遺伝子治療構築物の薬学的調製物は、本質的に受容される希釈剤中の遺伝子送
達系からなり得るか、または遺伝子送達ベヒクルが包埋される遅延放出マトリク
スを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達系が、無傷の形態の組換え細胞を生
成する場合(例えば、レトロウイルス)、薬学的調製物は、遺伝子送達系を生成
する1つ以上の細胞を含み得る。
【0224】 組成物は、所望であれば、有効成分を含む1つ以上の単位投薬量形態を含み得
るパックまたは分配デバイス中に存在する。パックは、例えば、ブリスター包装
のような金属またはプラスチック箔を含み得る。パックまたは分配デバイスは、
投与のための指示を付随し得る。
【0225】 本発明はさらに、制限するものとしていか様にも解釈されるべきでない以下の
実施例によって説明される。本出願を介して引用される全ての参考文献(文献、
発行された特許、公開された特許出願を含む)の内容は、明白に、本明細書中に
参考として援用される。本発明の実施は、他で示されない限り、細胞生物学、細
胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、およ び免疫学の従来の技術を用い、これらは、当業者の範囲内である。このような技
術は、文献において十分に説明される。例えば、Molecular Cloning A Laborato
ry Manual、第2版、Sambrook、Fritsch、およびManiatis編(Cold Spring Harb
or Laboratory Press:1989);DNA Cloning、第IおよびII巻(D.N.Glover編、1
985);Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait編、1984);Mullisら、米国特 許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization(B.D. Hames & S. J.Higgins編
、1984);Transcription And Translation(B.D. Hames & S.J.Higgins編、198
4);Culture Of Animal Cells(R.I. Freshney、Alan R.Liss, Inc.、1987);
Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press、1986);B. Perbal、A Practical
Guide To Molecular Cloning(1984);the treatise、Methods In Enzumology
(Academic Press、Inc.、N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cell
s(J.H. MillerおよびM.P. Calos編、1987、Cold Spring Harbor Laboratory) ;Methods In Enzymology、第154および155巻(Wuら編)、Immunochemical Meth
ods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker編、Academic Press、
London、1987);Handbook Of Experimental Immunology、第I〜IV巻(D.M.Weir
およびC.C.Blackwell編、1986);Manipulating the Mouse Embryo、(Cold Spr
ing Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1986)。
【0226】 実施例 本発明は、これまで概略的に記載されたが、以下の実施例を参照してより容易
に理解されよう。実施例は、本発明のある局面および実施態様の説明の目的のた
めにのみ含まれ、本発明を制限することを意図するものではない。
【0227】 実施例1.取込まれた遺伝子の高レベルの転写の刺激 本実施例は、染色体DNAに取込まれた遺伝子が、鎮圧化の効果から免れること 、および取込まれた遺伝子の高レベルの転写が、複数の活性化ドメインを遺伝子
に送達することによって得ることができることを示す。
【0228】 先ず、取込まれたレポーター遺伝子対取込まれていないレポーター遺伝子に対
する転写アクチベーターの濃度の増加の効果を、以下のように比較した。CMVエ ンハンサー/プロモーターの制御下で、キメラ転写アクチベーターをコードする
2つの構築物を、使用した。第1の構築物(pCG-GV)は、酵母GAL4 DNA結合ドメ
イン(アミノ酸1〜94)および単純ヘルペスウイルスのタンパク質VP16に由来す
る活性化ドメイン(アミノ酸410〜490)(Sadowski,Iら(1988)Nature 335:56
3-4)から構成されるキメラ転写因子をコードする。第2の構築物(pCG-CS)は 、酵母GAL4 DNA結合ドメイン(アミノ酸1〜94)およびNF-B p65タンパク質から
の活性化ドメイン(アミノ酸361〜550)(Ballaed,D.W.ら(1991)Proc. Natl.
Acad. Sci. 89:1875-1879;Schmitz、M.L.およびBaeuerle,P.A.(1991)EMBO
J. 10:3805-3817)から構成されるキメラ転写因子をコードする。これらの転写 因子の効果を、5つのGAL4結合部位によって隣接される最小ヒトIL-2遺伝子プロ
モーターの制御下で分泌されるアルカリホスファターゼ(SEAP)レポーターから
構成される標的遺伝子に対して、試験した。
【0229】 HT1080細胞を、レポーター構築物および/またはキメラ転写因子をコードする
構築物で、以下のように一過的にトランスフェクトした。HT1080細胞を、37℃に
て、10%胎児ウシ血清、非必須アミノ酸、およびペニシリン−ストレプトマイシ ンを含有するMEM培地中で、増殖した。トランスフェクションの24時間前に、約 2×105細胞を、12ウェルプレートにおいて各ウェルに播種した。細胞を、推奨 されるようにリポフェクタミン(Gibco BRL)を使用して、トランスフェクトし た。各ウェル中の細胞は、400ngのレポータープラスミドを伴ってまたは伴わな いで、図において示される量のプラスミドを受け、DNAの全量は、pUC19で1.25μ
gに調節した。5時間後、培地を除去し、そして1mlの新鮮な培地を添加した。1
8〜24時間後、100μl培地を、除去し、そして350nm励起および450nm発光で、Lum
inescence Spectrometer(Perkin Elmer)を使用して、SEAP活性についてアッセ
イした。
【0230】 HT1080細胞を、レポーター構築物pLH-5×GAL4-IL2-SEAPで、以下のように安定
にトランスフェクトした。レトロウイルスpLH-5×GAL4-IL2-SEAPを、上記の5×G
AL4-IL2-SEAPフラグメントをベクターpLH(Rivera,V.M.ら(1996)Nature Medi
cine 2:1028-1032)にクローニングすることによって構築し、これはまた、モロ
ニーマウス白血病ウイルス長末端反復によって駆動されるハイグロマイシンB耐
性遺伝子を含む。記載されるように(Rivera,V.M.ら Nature Medicine 2,1028
-1032(1996))作製される、ヘルパー非含有レトロウイルスを、HT1080細胞を 感染するために使用した。数百のハイグロマイシンB(300μg/ml)耐性クロ
ーンを、プールし(HT1080 B プール)、そして個々のクローンを、pCG-GSでの
一過性のトランスフェクションによってスクリーニングした。最も応答性の細胞
のHT1080Bを、さらなる分析のために選択した。
【0231】 レポーター遺伝子および転写因子をコードする発現プラスミドの両方を、HT10
80ヒト線維肉腫細胞に、一過性に導入した場合、インプットアクチベータープラ
スミドの比較的低いレベルでのレポーター遺伝子のピーク発現が観察され、一方
、アクチベーターのより高いレベルは、レポーター遺伝子発現の明らかな減少を
導いた(図1)。高レベルのアクチベーターの存在下での遺伝子発現の阻害が、
広範に観察され、そしてこの現象を「鎮圧化」と称した。対照的に、取込まれた
レポーター遺伝子の発現は、一過性にトランスフェクトされたレポーターを明ら
かに鎮圧化するアクチベーターのレベルによって阻害されなかった(図2)。
【0232】 取込まれた遺伝子が鎮圧化を受けないことが、単一の異常な取込み部位の影響
を反映するという可能性を排除するために、この実験を、独立したレポーター遺
伝子挿入を保有する数百のHT1080由来のクローンのプールを使用して反復した。
図3において示されるように、挿入されたレポーター遺伝子のこの集団の発現は
、高レベルのアクチベーターによって阻害されなかった。同じGAL4で駆動される
IL-2プロモーターが、ヒト成長ホルモン(hGH)レポーター遺伝子に融合された 第2のレポーター構築物を、hGH遺伝子でSEAP遺伝子を置換えることによって構 築した。このプラスミドを、GAL4-p65発現プラスミドとともに、取込まれたSEAP
レポーター遺伝子を含有する細胞に同時トランスフェクトし、従って、両方のレ
ポーター遺伝子が、同じ細胞集団においてアッセイされることを許容した。トラ
ンスフェクションおよびレポーター遺伝子発現は、上記のように測定した。hGH レポーター構築物の発現を決定するために、2〜5μlの培地を、推奨されるよ うにhGHタンパク質についてアッセイした(Nichols Diagnostic)。
【0233】 高コピーのエピソーム鋳型の存在下、GAL4-p65がこのプロモーターの活性に必
要なGTFを滴定する場合、エピソームhGH遺伝子および取込まれたSEAP遺伝子の両
方の阻害が観察されることが予測される。しかし、結果は、エピソームhGH遺伝 子の発現が、高いアクチベーター濃度で阻害されたが、取込まれたSEAP遺伝子は
、エピソーム遺伝子が存在しても存在しなくても、同じく応答した(図4)。類
似の結果が、GAL4-VP16を用いる平行した実験において得られた。この観察は、 転写サイクルにおける1つ以上の機構的工程が、エピソーム遺伝子と取込まれた
遺伝子との間で異なることを示す。
【0234】 実施例2:取込まれた遺伝子の転写は、遺伝子に送達された活性化ドメインの
数に比例して増加する。
【0235】 この実施例は、取込まれた遺伝子の発現が、多くの強力な活性化ドメインを遺
伝子のプロモーターに送達することによって非常に高レベルに駆動され得ること
を示す。
【0236】 モジューラーストラテジーを、異なる数の活性化ドメインを単一の取込まれた
標的遺伝子に送達するために設計した。このストラテジーは、小分子の「二量体
化剤」が、活性化ドメインを、DNA結合されたレセプターに補充する能力に基づ いた(Belshaw、P.J.ら(1996)Proc. Natl. Acad.Sci. 93:4604-4607;Rivera
,V.M.ら(1996)Nature Medicine 2:1028-1032;Ho,S.N.ら(1996)Nature 38
2:822-824)。基本的な系は、図5において図示され、これは、単一コピーのヒ トFKBP12に融合されたGAL4 DNA結合ドメイン、およびFRAP(Ho, S.N.ら、前出;
Sabatini,D.M.ら(1994)Cell 78:35-43)のFRBドメインに融合されるp65活性 化ドメインから構成された。天然の産物の免疫抑制化合物のラパマイシンの存在
下で、FRB-p65融合タンパク質は、GAL4-FKBP融合タンパク質に効率的に補充され
る。この基本的な系は、GAL4単量体当たり最大1つのp65活性化ドメインの送達 を生じる。送達可能な活性化ドメインの数は、2つの方法:(i)図6において
示されるように、GAL4に融合されるFKBP部分の数を増加することによって;およ
び(ii)図7において示されるように、4つの活性化ドメインの「バンドル」を
、各FKBP部分に送達するためにE.coli lacリプレッサーに由来する四量体化ドメ
イン(Chakerian A.E.ら(1991)J Biol Chem 266:1371-4;Alberta,sら(1993 )EMBO J. 12:3227-36;Lewis、M.ら(1996)Nature 271:1247-1254)の使用を 介して、増加された。これらの異なる配置は、最大16個のp65活性化ドメインが 、単一のGAL4モノマーに補充されることを許容した。
【0237】 これらの発現構築物を、以下のように調製した。pCGNN-G発現ベクターを、上 流のXbaIならびに下流のSpeIおよびBamHI部位によって隣接されるGAL4 DNA結合 ドメイン(アミノ酸1〜94)を含むPCRフラグメントを、XbaIおよびBamHI消化し
たpCGNN(Ricardo Attar、参考文献を提供されたい)に挿入することによって、
作製した。FKBP12コード配列(アミノ酸1〜107)は、上流のXbaIならびに下流 のSpeIおよびBamHI部位に隣接され、これを、pCGNN-GのSpeIとBamHIとの間に挿 入して、pCGNN-GF1を作製した。プラスミドpCGNN-GF2、GF3、およびGF4を、それ
ぞれ、SpeIおよびBamHI消化したpCGNN-GF1、2、および3プラスミドに、FKBP1
2コード配列を続いて挿入することによって作製した。PCGNN-RLを、E.coliラク トースリプレッサー(アミノ酸46〜360)の一部を含有するXbaI-BamHIフラグメ ントを、SpeIおよびBamHI消化したpCGNN-R(Rivera,V.M.ら、前出)にクローニ
ングし、FRBドメインのカルボキシ基末端にこれを融合することによって構築し た。p65活性化ドメインを、XbaI-BamHIフラグメントをSpeIおよびBamHI消化した
pCGNN-RLに挿入することによってこのキメラのカルボキシ末端に融合して、pCGN
N-RLSを作製した。
【0238】 発現構築物の種々の組み合わせ(すなわち、DNA結合ドメイン融合物を発現す る10ngのプラスミド、およびp65活性化ドメイン融合物を発現する漸増量のプラ スミド)を、取込まれたレポーター遺伝子を保有するHT1080B細胞にトランスフ ェクトした。次いで、細胞を10nMラパマイシンで処理して、活性化ドメインを標
的遺伝子に送達し、そしてSEAPの量を、上清中で測定した。図8において示され
るように、結果は、単一のGAL4単量体に送達される活性化ドメインの数の関数と
して、レポーター遺伝子発現のほぼ線形的な増加を示す。対照的に、GAL4単量体
当たり1〜2個の活性化ドメインの増加を除いて、エピソーム標的遺伝子に送達
され得る(一過性のトランスフェクションによって導入された)活性化ドメイン
の数の増加は、鎮圧化が生じる前に達成される遺伝子発現のピークレベルを増強
できなかった(図9) これらの結果は、エピソームレポーター遺伝子の発現が、エピソーム遺伝子か
らの発現についての上限を効果的に確立する際、鎮圧化の設定の前に固定された
レベルにのみ駆動され得ることを示す。鎮圧化が、取込まれた遺伝子に対するこ
のような制限を課さないので、発現は、より多くの活性化ドメインを送達するこ
とによって実質的に増大することができ、このことは、取込まれた、クロマチン
に包埋される遺伝子の発現が、プロモーターで結合される活性化ドメインの数(
または強度)によって大きく制限されることを示す。さらに、特に、鋳型当たり
の基準で考慮される場合、図10において示されるように、取込まれた遺伝子に
よって達成される発現のレベルは、エピソーム遺伝子によって達成されるレベル
よりもかなり高い。
【0239】 実施例3:転写活性化単位は、取り込まれた標的遺伝子の転写を活性化するた
めに相乗作用し得る。
【0240】 この実施例は、転写活性化ドメインの特定の組み合わせが、取込まれた単一コ
ピー遺伝子の強力なトランス活性化を行い得る強力な転写アクチベーターを、生
じ得ることを示す。
【0241】 HT1080細胞(クローンHT1080B)において取込まれたpLH-5×Gal4-IL2-SEAPベ クターの転写に対する、GAL4 DNA結合ドメイン融合タンパク質をコードする種々
の構築物の効果を、決定した。GAL4 DNA結合ドメイン(アミノ酸1〜94)に融合
される活性化ドメインは、QIIIのアミノ酸18×4(GQIII)、p53のアミノ酸1〜9
2(Gp53)、VP16のアミノ酸417〜490(GVP16)、p65のアミノ酸450〜550(Gp65 )、CTFのアミノ酸399〜499(GCTF)、SRFのアミノ酸411〜508(GSRF)、または
SP1のアミノ酸263〜499(GSP1)からなる。
【0242】 これらの構築物の種々の量を、単一の取込まれたコピーのベクターpLH-5×Gal
4-IL2-SEAPを有するHT1080B細胞株に一過的にトランスフェクトし、そしてレポ ーター遺伝子の発現のレベルを、上記のように測定した。結果は、図11におい
て示され、種々の融合タンパク質間で、GAL4-VP16およびGAL4-p65のみが、取込 まれた単一コピーのレポーター遺伝子の転写を活性化することを示す。
【0243】 次に、転写活性化ドメインの組み合わせのトランス活性化可能性を、単一コピ
ーの取込まれた遺伝子に対して試験した。発現構築物は、1、2、もしくは4個
のVP16活性化ドメイン(アミノ酸417〜490)、または1、2、3、または4個の
p65活性化ドメイン(アミノ酸450〜550)、またはVP16活性化ドメインに融合さ れたp65活性化ドメインに連結された、GAL4 DNA結合ドメインをコードした。結 果を、図12において示し、そして複数のp65活性化ドメインまたはVP16活性化 ドメインは、単一のp65またはVP16活性化ドメインを含む転写アクチベーターに 比較して、より高いレベルの転写を提供しないことを示す。対照的に、p65およ びVP16の活性化ドメインは、取込まれた遺伝子の転写活性化において協同作用し
得る。
【0244】 別の実施態様において、単一コピーの取込まれた遺伝子に対するVP16の転写活
性化ドメインの組み合わせの転写可能性を、決定した。GAL4 DNA結合ドメイン(
アミノ酸1〜94)を含む以下の融合タンパク質をコードする発現構築物を調製し
、そして取込まれたベクターpLH-5×Gal4-IL2-SEAPを含有するHT1080細胞の一過
性のトランスフェクションにおいて試験した:2、4、8、または12コピーの、
アミノ酸配列DFDLDMLGを有するVP16由来のトランス活性化ドメインの8アミノ酸
改変体(本明細書中で「V8」ペプチドと呼ばれる)を含む融合タンパク質(それ
ぞれ、GV8X2、GV8X4、GV8X8、およびGV8X12);1、2、3、4、5、または6 コピーのアミノ酸461〜490に対応するVP16のC末端由来のトランス活性化ドメイ
ン(本明細書中で「Vc」ペプチドと呼ばれる)を含む融合タンパク質(それぞれ
、GVCX1、GVCX2、GVCX3、GVCX4、GVCX5、GVCX6);および8コピーのV8と5コピ
ーのVcを含む融合タンパク質(ここで、V8コピーは、VbのN末端またはC末端の
いずれかに融合される)。結果は、図13および14において示され、約8コピ
ーまでのV8ペプチドと5コピーまでのVcとの間の協同作用性を示す。V8およびVc
のより高いコピー数は、レポーター遺伝子の減少された転写活性を生じた。しか
し、図15において示されるように、5コピーのVcのN末端に融合される8コピ
ーのV8の組み合わせは、8コピーのV8または5コピーのVcのいずれかで得られる
レベルよりも強力な転写レベルを生じる。この転写レベルは、完全長のVP16を用
いて得られるレベルよりもなお高かった。しかし、興味深いことに、5コピーの
VcのC末端に融合される8コピーのV8を含む融合タンパク質は、8コピーのV8お
よび5コピーのVcに比較して、レポーター構築物のより高い転写活性を生じなか
った。従って、転写活性化ドメインの特定の配置は、転写を活性化する場合にお
いて他の配置よりも、強力である。
【0245】 従って、この実施例は、複数の活性化ドメインの組み合わせが、単一コピーの
取込まれた遺伝子の転写を刺激し得る強力な転写アクチベーターを生じ得ること
を実証する。
【0246】 実施例4:p65のアラニン/プロリンリッチドメインは、別のトランス活性化 ドメインが存在する場合、標的遺伝子を強力にトランス活性化し得る。
【0247】 この実施例は、gp65の特異的なドメインが、それ自身では標的遺伝子の転写を
刺激し得ないが、他の活性化ドメインと相乗作用して、標的遺伝子の転写を刺激
し得ることを実証する。
【0248】 p65アミノ酸配列の分析は、p65における2つのアラニン/プロリンリッチ領域
の存在を示した。第1のドメイン(すなわち、ドメインI)は、アミノ酸376〜40
1からなり、そしてアミノ酸配列SALALAPAPPQVLPQAPAPAPAPAMV(配列番号 )を有
する。第2のドメイン(すなわち、ドメインII)は、アミノ酸402〜427からなり
、そしてアミノ酸配列SALAQAPAPVPVLAPGPPQAVAPPAP(配列番号 )を有する。こ れらの配列の転写可能性を、以下のように調査した。GAL4 DNA結合ドメイン(ア
ミノ酸1〜92)および以下のドメインを含む融合タンパク質をコードする構築物
を、一過性のトランスフェクションにおける使用のために調製した:2つの上記
のアラニン/プロリンリッチ領域(本明細書中でAPドメインと呼ばれる)を含む
、1、2、または3コピーのp65のアミノ酸361〜450を含む融合タンパク質;1 、2、または4コピーのSP1活性化ドメインを含む融合タンパク質;および1つ または2つのAPドメインに、そのN末端またはC末端で融合されるSP1活性化ド メインを含む融合タンパク質。
【0249】 1コピーの取込まれたベクターpLH-5×Gal4-IL-SEAPを含むHT1080B細胞株への
これらの構築物のトランスフェクションの際に得られるレポーター遺伝子発現の
量を、図16および17において示す。これらの結果は、2および4コピーのAP
ドメインは、レポーター遺伝子の有意なトランス活性化を生じず、対照的に、添
加されるSp1の数に比例して、転写の増加が生じることを示す(図16)。しか し、Sp1活性化ドメインと1つ以上のAPドメインとの組み合わせは、レポーター 構築物の転写を相乗作用的に活性化した(図17)。興味深いことに、相乗作用
は、APドメインがSp1活性化ドメインのN末端に連結される場合、より強力であ るようである。従って、転写活性化ドメインの組み合わせは、天然に存在する転
写因子よりも非常に強力であり得る転写アクチベーターを生じる。
【0250】 トランス活性化ドメインのなお他の組み合わせを、取込まれた単一コピーの遺
伝子の転写に対するそれらの効果について試験した。試験した融合タンパク質は
、GAL4 DNA結合ドメイン、ならびに1つ以上のV8ドメイン、1つ以上のVcドメイ
ン、および/または1つ以上のAPドメインを構成した。これらの融合タンパク質
をコードする発現構築物を、取込まれた1コピーのベクターpLH-5×Gal4-IL2-SE
APを含有するHT1080細胞株に一過的にトランスフェクトした。結果を、図18お
よび19において示す。これらの結果は、APドメインが、転写活性化ドメインの
種々の組み合わせの転写活性化を増強することを示す。しかし、APドメインは、
他の活性化ドメインに対するよりも、いくつかの活性化ドメインに対してより強
力な増強効果を有する。特に、図18において示されるように、APは、V8ととも
に相乗作用するが、Vcによってわずかに転写を増加するのみである。特定の理論
に拘束されることを望まないが、本発明者らは、この現象についての1つの可能
性のある説明は、APドメインおよびVcの両方が、同じGTF(すなわち、TFIIA)と
相互作用するのに対し、V8は、異なるGTFと相互作用することであることに注目 する。従って、異なる転写活性化ドメイン間の相乗作用が、活性化ドメインが異
なるGTFと相互作用する場合に誘導される可能性がある。図18はさらに、活性 化ドメインのある組み合わせ(例えば、AP-V8x8-Vcx2およびAP-V8x8-AP-Vcx2) が、公知の天然に存在する最も強力な転写因子のうちの1つであるVP16およびさ
らにp65よりも高いレベルに、レポーター遺伝子の転写を刺激し得ることを示す 。
【0251】 図19は、トランス活性化ドメインの種々の組み合わせを有するなお他の融合
タンパク質でのトランスフェクションの結果を示す。特に、図19は、p65の転
写活性化ドメイン(アミノ酸361〜550に対応する(APドメインを含む))の転写
活性が、1つ以上の他のトランス活性化ドメイン(例えば、さらなるAPドメイン
および/またははV8またはVcドメイン)の添加によって、さらに増強されること を示す。
【0252】 トランスフェクションのなお他の設定において、3コピーのリガンド結合ドメ
インFKBPに融合される活性化ドメイン、リガンド結合ドメイン(単一または複数
コピーにおけるFKBPまたはFRB)に融合される活性ドメインを有する融合タンパ ク質をコードする構築物を使用した。これらのトランスフェクションにおいて、
転写は、リガンド(例えば、ラパマイシン、FK1012、AP1510、または他の合成の
二量体化剤(リガンド結合ドメインに依存する))の添加によって誘導された。
得られた結果は、共有結合系を用いて得られる結果に類似した。
【0253】 従って、この実施例は、強力な転写アクチベーターが、種々の転写活性化ドメ
インの組み合わせによって作製され得ること、およびこれらの転写アクチベータ
ーが取込まれた単一コピーの遺伝子の転写を刺激することを示す。
【0254】 上述で引用された参考文献および刊行物の全ては、本明細書中に参考として援
用される。
【0255】 等価物 当業者は、本明細書中に記載される特定のポリぺプチド、核酸、方法、アッセ
イ、および試薬に対する多数の等価物を、認識するか、または日常的な実験のみ
を用いて、確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内であることが考慮
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、種々の量のGAL4-p65(ひし形)またはGAL4-VP16(四角)発現構築物 (アクチベーターDNA)で同時トランスフェクトされたHT1080細胞に、一過的に トランスフェクトされたプラスミド5×GAL4−IL2-SEAPからのレポーター遺伝子
発現のレベルを示す(EAP単位)。
【図2】 図2は、種々の量のGAL4-p65(ひし形)またはGAL4-VP16(四角)発現構築物 で同時トランスフェクトされた取り込まれたプラスミドを有するHT1080細胞(HT
1080B)クローンからのレポーター遺伝子発現のレベルを示す(EAP単位)。
【図3】 図3は、種々の量のGAL4-p65(ひし形)またはGAL4-VP6(四角)発現構築物で
同時トランスフェクトされた取り込まれたプラスミドpLH-5×GAL4-IL2-SEAPを保
有する、独立したHT1080クローンの数百個のプールにおけるレポーター遺伝子発
現のレベルを示す(EAP単位)。
【図4】 図4は、同時トランスフェクトされた5×GAL4-IL2-hGHレポータープラスミド の存在下(四角)または不在下(丸)での、pLH-5×GAL4-IL2-SEAPからの取込ま
れたSEAP遺伝子の転写活性、ならびに種々の量のGAL1-p65発現構築物(アクチベ
ーター)で同時トランスフェクトされたHT1080細胞における、一過的にトランス
フェクトされた5×GAL4-IL2-hGHレポータープラスミド(三形)の転写活性を示 す。
【図5】 図5は、2つの融合タンパク質のラパマイシン誘導性の二量体化の図による表
示を示す。
【図6】 図6は、2つの融合タンパク質のラパマイシン誘導性の二量体化の図による表
示を示す。
【図7】 図7は、2つの融合タンパク質のラパマイシン誘導性の二量体化の図による表
示を示す。
【図8】 図8は、10nM ラパマイシンの存在下、1、2、3、または4個のFKBP12タン パク質(それぞれ、GF1、GF2、GF3、およびGF4)に連結されるGAL4 DNA結合ドメ
インをコードするプラスミド、ならびにp65活性化ドメインに融合されるFRBをコ
ードするプラスミド(RS)またはE.coli四量体化ドメインおよびp65活性化ドメ インに融合されるFRBをコードするプラスミド(RSL)のいずれかで、同時トラン
スフェクトされたHT1080B細胞における、安定に取込まれたpLH-5×GAL-IL2-SEAP
プラスミドのレポーター遺伝子発現のレベルを表す(SEAP単位)。
【図9】 図9は、10nM ラパマイシンの存在下、1、2、3、または4個のFKBP12タン パク質(それぞれ、GF1、GF2、GF3、およびGF4)に連結されるGAL4 DNA結合ドメ
インをコードするプラスミド、ならびにp65活性化ドメインに融合されるFRBをコ
ードするプラスミド(RS)またはE.coli四量体化ドメインおよびp65活性化ドメ インに融合されるFRBをコードするプラスミド(RSL)のいずれかで、同時トラン
スフェクトされたHT1080細胞における、一過的にトランスフェクトされた5×GAL
-IL2-SEAPプラスミドのレポーター遺伝子発現のレベルを表す(SEAP単位)。
【図10】 図10は、120nMトリコスタチンA(ひし形)または1mM 酪酸ナトリウム(丸
)のいずれかの存在下、または不在下(四角)、種々の量のGAL4-p65プラスミド
で一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP遺伝 子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【図11】 図11は、種々の転写因子由来の活性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質
をコードする発現ベクターで一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞にお ける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位
)。
【図12】 図12は、活性化ドメインを有しないGAL4融合タンパク質(Gのみ);VP16由 来の1、2または4個の活性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質(それぞれ
、GVP16X1、GVP16X2、およびGVP16X3);p65由来の1、2、3、または4個の活
性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質(それぞれ、Gp65X1、Gp65X2、Gp65X3
、およびGp65X4);またはVP16由来の活性化ドメインと、p65由来の活性化ドメ インとの組合せを有するGAL4融合タンパク質(Gp65+VP16)をコードする発現ベ
クターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたS
EAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【図13】 図13は、2、4、8、または12コピーのV8を有するGAL4融合タンパク質をコ
ードする発現ベクター(それぞれ、GV8X2、GV8X4、GV8X8、およびGV8X12)で一 過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP遺伝子の レポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【図14】 図14は、1、2、3、4、5、または6コピーのVcを有するGAL4融合タンパ
ク質をコードする発現ベクター(それぞれ、GVCX2、GVCX3、GVCX4、GVCX5および
GVCX6)で一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSE
AP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【図15】 図15は、8コピーのV8を有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクタ
ー(GV8X8)、5コピーのVcを有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベク ター(GVCX5)、8コピーのV8および5コピーのVcを有するGAL4融合タンパク質 をコードする発現ベクター(GV8X8+GVCX5)、8コピーのV8および5コピーのVc
を逆の順序で有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクター(GVCX5+GV8
X8)、またはVP16を有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクター(GV16
)で、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP 遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【図16】 図16は、p65のアミノ酸450〜550を有するGAL4融合タンパク質をコードする
発現ベクター(Gp65(450〜550))、p65のアミノ酸361〜450の1、2、もしく は4コピーを有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクター;またはSp1 由来の1、2、もしくは4コピーの活性化ドメインを有するGAL4融合タンパク質
をコードする発現ベクターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞に おける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単
位)。
【図17】 図17は、Sp1活性化ドメイン単独(GS)または1または2コピーのAPドメイ ンをともに有するGAL4融合タンパク質をコードする発現ベクターで、一過的にト
ランスフェクトされたHT1080B細胞における、取込まれたSEAP遺伝子のレポータ ー遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単位)。
【図18】 図18は、GAL4融合タンパク質の種々の活性化ドメインまたはその組み合わせ
をコードする発現ベクターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞に おける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単
位)。
【図19】 図19は、GAL4融合タンパク質の種々の活性化ドメインまたはその組み合わせ
をコードする発現ベクターで、一過的にトランスフェクトされたHT1080B細胞に おける、取込まれたSEAP遺伝子のレポーター遺伝子発現のレベルを示す(SEAP単
位)。
【図20】 図20は、複合性アクチベーターの模式的な表示である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 A61K 48/00 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // A61K 48/00 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, UZ,VN Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 CA07 FA01 FA08 4B064 AG01 CA10 CA19 CC24 DA16 4B065 AA93X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA60 4C084 AA13 NA10 4H045 AA10 AA20 CA40 DA01 DA50 FA74 【要約の続き】

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸であ
    って、該キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸は: (a)該キメラ転写アクチベータータンパク質が標的される遺伝子の転写を活性
    化し;および、 (b)2つ以上の成分ポリぺプチド領域を含有する連続的なポリぺプチド領域を
    含む少なくとも1つの複合性転写活性化ドメイン、およびDNA結合ドメインを含 有する少なくとも1つのさらなるドメインを含み、該成分ポリぺプチド領域のう
    ちの少なくとも2つは、互いに異種であり、および同じ遺伝子産物中に天然には
    存在しないことを特徴とする核酸。
  2. 【請求項2】 キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸であ
    って、該キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸は: (a)該キメラ転写アクチベータータンパク質が標的される遺伝子の転写を活性
    化し;および (b)3つ以上の成分ポリぺプチド領域を含有する連続的なポリぺプチド領域を
    含む少なくとも1つの複合性転写活性化ドメイン、および複合性転写活性化ドメ
    インの少なくとも1つの成分ポリぺプチド領域に関して異種である少なくとも1
    つのさらなるドメインを含み、該成分ポリぺプチド領域のうちの少なくとも2つ
    は、互いに異種であることを特徴とする核酸。
  3. 【請求項3】 細胞透過性リガンドに結合する少なくとも1つの異種ドメイ
    ンをさらに含むキメラ転写アクチベータータンパク質をコードすることを特徴と
    する請求項2記載の核酸。
  4. 【請求項4】 少なくとも1つのDNA結合ドメインを含有する少なくとも1 つの異種ドメインをさらに含むキメラ転写アクチベータータンパク質をコードす
    ることを特徴とする請求項2記載の核酸
  5. 【請求項5】 キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸であ
    って、該キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸は: (a)キメラ転写アクチベータータンパク質が標的される遺伝子の転写を活性化
    し;および (b)2つ以上の成分ポリぺプチド領域を含有する連続的なポリぺプチド領域を
    含む少なくとも1つの複合性転写活性化ドメイン、および該複合性転写活性化ド
    メインの少なくとも1つの成分ポリぺプチド領域に関して異種である少なくとも
    1つのさらなるドメインを含み、成分ポリぺプチド領域のうちの少なくとも2つ
    は、互いに異種であり、ここで少なくとも1つの異種ドメインが、イムノフィリ
    ン、シクロフィリン、カルシニューリン、FRAP、もしくはDNAグリアーゼに由来 するか、またはテトラサイクリンもしくはエクジソンもしくは他のステロイドに
    対するレセプターに由来することを特徴とする核酸。
  6. 【請求項6】 キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸であ
    って、該キメラ転写アクチベータータンパク質をコードする核酸は: (a)キメラ転写アクチベータータンパク質が標的化される遺伝子の転写を活性
    化し;および (b)2つ以上の成分ポリぺプチド領域を含有する連続的なポリぺプチド領域を
    含む少なくとも1つの複合性転写活性化ドメイン、バンドリングドメイン、およ
    び該複合性転写活性化領域の少なくとも1つの成分ポリぺプチド領域に関して異
    種である少なくとも1つのさらなるドメインを含み、成分ポリぺプチド領域のう
    ちの少なくとも2つは、互いに異種であることを特徴とする核酸。
  7. 【請求項7】 請求項3もしくは5(またはlbdに従属する請求項2または 6)のいずれかに記載のキメラ転写アクチベータータンパク質をコードする第1
    の核酸、ならびに細胞透過性リガンドに対する少なくとも1つのリガンド結合ド
    メインおよび少なくとも1つのDNA結合ドメインを含むキメラDNA結合タンパク質
    をコードする第2の核酸を含むことを特徴とする核酸組成物。
  8. 【請求項8】 キメラDNA結合タンパク質が、2つ以上のリガンド結合ドメ インを含むことを特徴とする請求項7記載の核酸組成物。
  9. 【請求項9】 キメラDNA結合タンパク質が結合するDNA配列を含む発現制御
    配列に作動可能に連結される標的遺伝子を含有する標的遺伝子構築物をさらに含
    むことを特徴とする請求項7または8記載の核酸組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1もしくは4(またはDBDに従属する請求項2また は6)のいずれかに記載のキメラ転写アクチベータータンパク質をコードする第
    1の核酸、ならびにキメラ転写アクチベータータンパク質が結合するDNA配列を 含む発現制御配列に作動可能に連結される標的遺伝子を含有する標的遺伝子構築
    物を含むことを特徴とする核酸組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれかに記載の核酸を含有することを特
    徴とする宿主細胞。
  12. 【請求項12】 請求項7〜10のいずれかに記載の核酸組成物を含有する
    ことを特徴とする宿主細胞。
  13. 【請求項13】 ゲノムに取込まれた標的遺伝子を含有することを特徴とす
    る請求項11または12記載の宿主細胞。
  14. 【請求項14】 遺伝子操作された宿主細胞を生成するための方法であって
    、該方法は、細胞による核酸の取込みを許容する条件下で、請求項1〜6のいず
    れかに記載の核酸を宿主細胞に導入する工程を包含することを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 遺伝子操作された宿主細胞を生成するための方法であって
    、該方法は、細胞による核酸の取込みを許容する条件下で、請求項7〜10のい
    ずれかに記載の核酸組成物を、宿主細胞に導入する工程を包含することを特徴と
    する方法。
  16. 【請求項16】 標的遺伝子の発現を達成するための方法であって、遺伝子
    発現に適切な条件下で、請求項11、12、または13に記載の遺伝子操作され
    た宿主細胞を維持する工程を包含することを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の方法であって、前記標的遺伝子の発現が
    調節され、および遺伝子発現のための条件が、1つ以上のキメラタンパク質に結
    合するリガンドの存在を含むことを特徴とする方法。
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