JP2001512831A - 生物学的薬剤組成物を同定する方法 - Google Patents

生物学的薬剤組成物を同定する方法

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JP2001512831A JP2000506529A JP2000506529A JP2001512831A JP 2001512831 A JP2001512831 A JP 2001512831A JP 2000506529 A JP2000506529 A JP 2000506529A JP 2000506529 A JP2000506529 A JP 2000506529A JP 2001512831 A JP2001512831 A JP 2001512831A
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カバノフ,アレキサンダー,ヴィ.
アラコフ,ヴァレリー,ワイ.
ピエトルジンスキー,グルツェゴルツ,ゼルジー
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サプラテック ファーマ インコーポレーテッド
カバノフ,アレキサンダー,ヴィ.
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    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/52Use of compounds or compositions for colorimetric, spectrophotometric or fluorometric investigation, e.g. use of reagent paper and including single- and multilayer analytical elements
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
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    • B01J2219/00274Sequential or parallel reactions; Apparatus and devices for combinatorial chemistry or for making arrays; Chemical library technology
    • B01J2219/0068Means for controlling the apparatus of the process
    • B01J2219/00702Processes involving means for analysing and characterising the products

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Abstract

(57)【要約】 生物学的薬剤組成物を同定する新しい方法であって、該方法は(a)複数のセグメント化コポリマーであって、i)少なくとも1つのセグメント長;ii)化学構造;またはiii)コポリマー構造物;(b)生物学的薬剤を有するセグメント化コポリマー組成物を調製する工程;(c)生物学的薬剤を有する前記セグメント化コポリマーの前記組成物の少なくとも1つを、細胞、動物、植物もしくは他の生物モデル、または試験管内での化学もしくは物理的特性の測定、または理論的モデルを使って生物学的特性について試験する工程、そして(d)所望の生物学的特性をもつ組成物を同定する工程に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、1998年8月8日出願の米国仮出願第60/055,256号に基
づく権利を主張する。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、医薬、生物医薬、診断薬、イメージング、免疫学、獣医学、および
農業の用途に有用である生物学的薬剤組成物(biological agen
ts compositions)を同定する新規方法に関する。
【0003】 (発明の背景) 新薬の従来の設計は非常に困難である。それには、その分子標的に正確に整合
する新分子の設計または発見が必要である。さらに、このような分子が発見され
たとしても、その新しい薬物候補は、溶解性があり、バイオアベイラビリティが
あり、代謝酵素に対する耐性があり、そして患者に対して無毒でなければならな
い。上記要件を満足するために必要な改変を新分子に加えると、その治療効果に
否定的な影響を与えることが非常に多い。新薬を作ることはきわめて複雑なため
に、非常に長い時間がかかり、膨大な財政的資源を必要とする。
【0004】 コンビナトリアル・ケミストリー技術の最近の進歩により、新分子設計のより
迅速な処理が可能になっている。この発展は、所望の分子を設計する時間と費用
を著しく削減する。しかし、このような分子を、溶解性があり、バイオアベイラ
ビリティがあり、代謝酵素に耐性があり、膜を貫通する能力をもたせるように改
変する問題は、しばしば未解決のままおかれている。
【0005】 ドラッグデリバリー産業はこれらの問題のいくつかを手掛けて、その結果、薬
物を担体中に組込むことにより、新製品開発を簡略化する可能性を開発してきた
。薬物送達を支援した製品については、開発期間は7年に短縮され、平均コスト
は著しく引下げられた。あいにく、ほとんどのドラッグデリバリーシステムには
いくつかの厳しい制限がある。第1にそれらは上記の問題の限られた数しか解決
することができないし、第2にそれらを多くの医薬に応用することはできない。
【0006】 (発明の概要) 本発明は、「コンビナトリアル薬物送達」または「コンビナトリアル製剤化」
の領域に属する。本発明は生物学的薬剤組成物を同定する方法を提供し、これは
医薬、生物医薬、診断薬、イメージング、免疫学、獣医学、農業、および生きて
いる生物または細胞との相互作用中に示される生物学的薬剤の特性が改良され得
る他の領域に応用可能である。診断薬もしくはイメージングに有用なもの、また
は細胞、器官もしくは生物に作用して細胞、器官もしくは生物の機能に変化をお
こすことができるものを含む多くの適切な生物学的薬剤がある。これは、限定さ
れるものでないが、医療用薬剤(pharmaceutical agents
)、遺伝子、ワクチン、殺虫剤などを含む。
【0007】 本発明は、標的分子を可溶化し、バイオアベイラビリティをもたせ、代謝酵素
に対する耐性をあたえ、無毒化し、そして膜を通してかつ細胞中に自由に移動し
うるようにする複合体(complex)を作製する、選択対象の生物学的薬剤
組成物を同定する方法を提供する。例えばブロックコポリマーのようなセグメン
ト化コポリマーを使い、かつ生物学的薬剤組成物のライブラリーを調製すること
により、本発明は、迅速に所望の生物学的特性をもつ生物学的薬剤組成物を複合
化し、同定する能力を有する。この発明は、現物の組成物ライブラリーの高速処
理スクリーニングと組合わせて応用することができ、コンビナトリアル・ケミス
トリーで有利であることが見出されている数学的概念を利用することができる。
【0008】 本発明は、臨床試験に直ぐ使えるのみでなく、最終の成功確率を高める複数の
重要な特性も持っている所望の薬物化合物を作製するための時間と費用を削減す
る。コンビナトリアル・ケミストリーと異なり、本発明は、新薬構造を発見した
りまたは所望の薬物特性を変えたりしないが、代りに所望の薬物の最適組成物を
提供し、溶解度、バイオアベイラビリティ、代謝酵素耐性、毒性、膜輸送、部位
特異的送達、その他の薬物の問題を解決する。本発明は、生物学的薬剤分子を出
発点として、選択した分子の最適性能に求められる特徴をもつ新しい組成物を同
定する。
【0009】 本発明は、したがって、生物学的薬剤組成物を同定する新しい方法に関する。
該プロセスは、少なくとも1つのセグメント長が異なるセグメント化コポリマー
を有する複数の組成物を調製し、その後、これらの組成物を所望の1以上の生物
学的特性についてスクリーニングすることに関する。
【0010】 図3および図4における模式図の提示は、本発明による可能なスクリーニング
および同定方法の一例に過ぎない。特に、これらの方法の工程のエレメントと配
列は、ある特定の生物学的薬剤の特性、薬物候補および/または薬物送達状況に
応じて変更することができる。
【0011】 (発明の詳細な説明) 定義分析(analysis):分類されたデータから結論を引出すために、高
速処理スクリーニング(または他の方法)を使う、組成物を試験して取得したデ
ータのレビューと分類。分析は、限定されるものでないが、以下の項を含む一組
の判定基準に応じる所望の生物学的特性をもつ組成物を同定する:(i)組成物
のどれかが最終製品として十分良いか、および(ii)試験から得たデータは新
しい試験サイクル用の新しいライブラリーの作製を支持するか。
【0012】 ・構造物(Architecture):同じまたは類似の化学式を有するコ
ポリマーであるが、ポリマーセグメントのそれぞれを結合する方法が異なるコポ
リマーを意味する。
【0013】 ・コポリマーのベース(Basis of copolymers):セグメ
ント長、分子構造物、または化学構造の少なくとも1つが異なるセグメント化コ
ポリマーの複数を意味する。
【0014】 生物学的薬剤(Biological agent):診断もしくはイメージ
ングに有用であるか、または、限定されるものでないが、細胞、器官もしくは生
物の機能に変化を起こす薬物(drug)(すなわち医薬品(pharmace
uticals))などの、細胞、器官もしくは生物に作用しうる薬剤。このよ
うな薬剤としては、限定されるものでないが、核酸、ポリヌクレオチド、抗菌剤
、抗ウイルス剤、抗真菌剤、駆虫剤、殺腫瘍剤もしくは抗癌剤、タンパク質、ト
キシン、酵素、ホルモン、神経伝達物質、糖タンパク質、免疫グロブリン、免疫
調節剤、染料、放射標識、放射不透明化合物、蛍光化合物、多糖類、細胞受容体
結合分子、抗炎症剤、抗緑内障剤、散瞳性化合物、および局所麻酔を含むことが
できる。
【0015】 ・生物学的特性(Biological property):生物系との相
互作用において生物学的薬剤または生物学的薬剤組成物の作用に影響する生物学
的薬剤または生物学的薬剤組成物の特性。このようなものとしては、溶解度、安
定性、分光特性の分析、血漿タンパク質、DNA、RNA、特異的受容体、酵素
もしくは他の分子との結合、代謝酵素に対する耐性、化学的安定性、毒性、標的
細胞、組織もしくは器官の中へ、それらから外へ、それらの内部でおよびそれら
を通しての輸送の膜輸送、部位特異的送達、特異的な酵素活性、遺伝子発現、全
DNA,RNAおよびタンパク質生合成の活性化もしくは抑制、細胞増殖および
分化、アポトーシス、ホルモンおよびポリペプチド分泌、バイオアベイラビリテ
ィ、薬物動態学(pharmacokinetics)、薬物動力学(phar
macodynamics)、効力、毒性、治療指数などが挙げられる。
【0016】 ・担体(Carrier):セグメント化コポリマーおよびその混合物で、他
のセグメント化コポリマー、ホモポリマー、生物学的薬剤、および界面活性剤と
の混合物を含む。
【0017】 ・計算機解析(Computational Analysis):バーチャ
ルライブラリー中の新しい担体の構造を解析する計算機プログラムは、薬物候補
とそれらの相互作用を予測し、最も有望な担体を選択する。
【0018】 ・薬物候補(Drug candidate):治療に潜在的に有用な生物活
性をもつ物質。新しい組成物開発のために、薬物候補を、物理化学的特性および
生物活性、作用機序、疾患標的、初期スクリーニング結果、および医薬用途につ
いて既知のまたは予測される問題を含む、分子構造および既知特性を規定する化
学物質または理論的モデルとして使うことができる。
【0019】 ・高速処理スクリーニング(High throughput screen
ing):生物学的薬剤組成物ライブラリーの特性を試験する分析法および手順
のセットの使用。このようなものとしては、生物モデル、例えば細胞、動物もし
くは植物を使う組成物のスクリーニング、物理化学的特性の測定、計算機解析な
どが挙げられる。
【0020】 ・生物学的薬剤組成物のライブラリー:複数の、担体を伴なう生物学的薬剤組
成物。
【0021】 ・担体の親データベース:(限定されるものでないが)次の少なくとも1つを
含む公知の薬物担体に関する情報を含んでなる計算機データベース:担体分子(
セグメント化コポリマー)の構造、その構成ブロック(セグメント)の構造およ
び特性、分子構造物、ならびに様々な分子であるこれらの担体組成物の特性に関
する利用可能なデータ、これは物理化学的特性および生物活性、作用機序、疾患
標的、初期スクリーニング結果、ならびに医薬用途についての公知のもしくは予
測される問題を含む。
【0022】 ・組成物の調製:担体を伴なう薬物候補を含む生物学的薬剤の組成物の作製。
これは、溶媒組成、濃度、pH、温度その他の特定条件下での生物学的薬剤と担
体の混合、ならびに担体の親データベースおよび限定されるものでないが化学構
造を含む生物学的薬剤に関する情報を含む計算機データベースの作製を含む。こ
のデータベースは、物理化学的特性、生物活性、および作用機序、疾患標的、初
期スクリーニング結果、および医薬用途についての既知もしくは予測される問題
のような生物学的薬剤の特性に関する利用可能なデータも含むことができる。
【0023】 ・セグメント化コポリマー:少なくとも2つの異なるポリマーセグメントのコ
ンジュゲート。
【0024】 ・界面活性剤:界面に吸着される界面活性剤。
【0025】 ・組成物の試験:限定されるものでないが細胞、動物もしくは植物モデルを含
む生物モデルを使う組成物の特性の評価、組成物の物理化学的特性の測定、およ
び計算機解析。
【0026】 ・バーチャルライブラリー:薬物候補に潜在的に有用な担体のリスト。
【0027】 本発明は、特定の送達および有効性判定基準に適合する担体の迅速な選択およ
び設計を可能にする。本発明は、(i)多数の化学テンプレートを有する親デー
タベース、(ii)探索用バーチャルライブラリーまたは担体、(iii)複合
した化合物の化学的および物理的特性を予測するための計算機解析、(iv)実
証された固相および溶液相化学、ならびに(v)試験、の使用を組込むことがで
きる。
【0028】 1つの実施態様では、本発明は、選択対象の生物学的薬剤組成物を同定する方
法に関し、該方法は: (a)複数のセグメント化コポリマーであって、(i)少なくとも1つのセグメ
ント長、(ii)化学構造;または(iii)コポリマー構造物; (b)少なくとも1つの生物学的薬剤を有する前記セグメント化コポリマーの組
成物を調製する工程; (c)生物学的薬剤を有する前記セグメント化コポリマーの前記組成物の少なく
とも1つを、細胞、動物、植物もしくは他の生物モデル、または試験管内の化学
的もしくは物理的特性の測定、または理論的モデルを使って、生物学的特性につ
いて試験する工程;および (d)所望の生物学的特性をもつ組成物を確認する工程 を含んでなるものである。
【0029】 他の好ましい実施態様では、セグメント化コポリマーは少なくとも1つの親水
性非イオン性ポリマーと少なくとも1つの疎水性非イオン性セグメントを有する
。他の好ましい実施態様では、セグメント化コポリマーは少なくとも1つのカチ
オン性セグメントおよび少なくとも1つの非イオン性セグメントを有する。さら
に他の実施態様では、セグメント化コポリマーは少なくとも1つのアニオン性セ
グメントおよび少なくとも1つの非イオン性セグメントを有する。セグメント化
ポリマーが少なくとも1つのポリヌクレオチドセグメントおよび少なくとも1つ
の核酸でないセグメントを有する組成物も好ましい。さらに好ましいのは、ポリ
マーセグメントが少なくとも1つのポリペプチドおよび少なくとも1つの非ペプ
チドポリマーセグメントを含んでなる組成物である。
【0030】 生物学的薬剤は、診断もしくはイメージングに有用であり、細胞、器官もしく
は生物に作用して細胞、器官もしくは生物の機能に変化をおこすことができる薬
剤である。これは、それらに限定されるものでないが、製薬剤、遺伝子、ワクチ
ン、殺虫剤その他を含むものである。
【0031】 用語「調製する」は、計算機解析用の理論的モデルの設計を含む広い意味で使
われる。本発明は、全てもしくはいずれかのセグメント化コポリマーが合成され
ること、または、全てもしくはいずれかの製薬組成物が実際に調製されることを
必要としない。複数のセグメント化コポリマーを「紙上で」構築し、その後、計
算機データベースで試験することができる.同様に、生物学的薬剤を有するセグ
メント化コポリマーの組成物をデータベースとして提示することができる。
【0032】 「試験すること」は、様々な計算機手法を使って、確認のプロセスの部分また
は全てを実施するかまたはバーチャルで(すなわち計算機により)シミュレーシ
ョンすることができる。
【0033】 用語「ベース(basis)」は、本発明によって使われる複数のセグメント
化コポリマーを意味する。
【0034】 ミセルを形成し、生物学的薬剤を捕捉し放出し、細胞および生物の様々な系と
相互に作用して生物学的特性に影響を与え、またはさもなければ、相互作用して
ある特定の生物学的薬剤に関する生物学的応答を修正する、セグメント化コポリ
マーの能力は、セグメント化コポリマーの長さ(繰り返し単位数)に従属する。
【0035】 セグメント化コポリマーの「ベース」内には、所望の生物学的特性を発現する
生物学的薬剤を有する組成物を形成するであろう少なくとも1つのコポリマーが
あるであろうことが見い出されている。生物学的特性と生物学的薬剤組成物との
間の関係が複雑であるため、有用な生物学的薬剤組成物の発見と最適化は、通常
、非常に時間のかかるプロセスであり多数の試験を必要とする。本発明は、ある
特定の生物学的薬剤に関する所望の特性をベースのどのコポリマーが持つかを決
定することにより、有用な生物学的薬剤組成物を確認するための合理的なコンビ
ナトリアル手法を提供する。
【0036】 好ましい実施態様では、セグメント化コポリマーは、「A」型および「B」型
と名付けられた化学的に異なる繰り返し単位をもつ2つのセグメントを有する。
A型セグメントの長さを「n」、B型セグメントの長さを「m」とする。セグメ
ントの長さは、分子量もしくは重合度、または繰り返し単位数、原子またはその
他として定義することができる。例えば、もしB型セグメントの長さがこのセグ
メントの分子量、Mとして決定されたとすれば、A型セグメントの長さは次式
で計算される: M=M(100−P)/P (1) (式中、Pはブロックコポリマー中のB型セグメントの重量パーセントである)
【0037】 簡単のために、mおよびnがB型およびA型セグメントの繰り返し単位数を表
すとすると、mおよびnはお互いに独立に1〜Nの間で変ることができ、これに
より、一般式Aを有するNセグメント化コポリマーのベースを作製する
であろう。
【0038】 本発明によれば、生物学的薬剤組成物のライブラリーを有用な生物学的性質(
「BP」)について試験する。BPは、薬物治療指数、遺伝子のタンパク質発現
、ワクチンに対する免疫応答などを含むどのような生物学的性質であってもよい
。組成物ライブラリー内の組成物の複数の生物学的性質は、3次元座標系(n、
m、BP)により規定された3次元空間の複数の点として表現することができる
。生物学的薬剤組成物のライブラリーとある特定の生物学的性質に対応する多次
元空間を、本明細書では「組成物空間(composition space)
」と名付ける。例えば、Aジブロックコポリマーのベースを使うと、複数
の生物学的性質は3次元ネットワークを表す。組成物ライブラリーを試験するこ
とにより最適な(例えば最大の)生物学的パラメーターを同定する問題は、ネッ
トワーク上の極値を決定する数学的問題と本質的に同等である(図1を参照する
こと)。
【0039】 このような問題を解くためのコンピュータ的および半コンピュータ的方法が開
発されている(例えば、G.J.Borse,Numerical Metho
ds With Matlab:A Resource for Scient
ists and Engineers(1997);A.Dolan,J.A
ldous., Networks and Algorithms:An I
ntroductory Approach(1994)を参照すること)。こ
れらの方法は「合理的な試験」を提供し、その結果所望の生物学的性質を確認す
るために試験されるべき組成物の数がライブラリー中の組成物の総数より実質的
に少なくする。例えば、Aコポリマーのベースの組成物ライブラリーでは
組成物の総数はNに等しい。このライブラリーで最適な生物学的薬剤組成物を
確認するために実施される試験数はほぼNである。本明細書では集合的に「手が
かり(clues)」と呼ばれる独立実験から得たデータを使って、実施する試
験数をさらに削減することができる。
【0040】 本発明のセグメント化コポリマーは、3つ以上のセグメントを有することがで
きる。コポリマーセグメントの長さおよびBPは、組成物空間の変数を与えるで
あろう。k−セグメントを有するコポリマーのベースでは、該組成物空間は次の
ように表現される:{n,n...n,BP}。同様に、様々な構築物を
もつ数種のセグメント化コポリマーを1つのライブラリーで使うことができる。
この場合、コポリマー構築物の型が、組成物空間に追加の変数を与えうる。例え
ば、もしΓとして定義されるj型のブロックコポリマー構築物を使うと、その
組成物空間は次の通りである:{n,n...n,Γ,BP}。本発明
の有用な生物学的薬剤組成物の確認には、2つ以上の生物学的性質について組成
物を試験する必要があろう。もし1つの異なる生物学的性質を試験するのであれ
ば、その組成物空間は次の通りである:{n,n...n,Γ,BP
,BP...BP}。生物学的組成物のライブラリー中のセグメント化コポ
リマーおよび生物学的薬剤の濃度を変えることもできる。この場合、コポリマー
濃度cおよび生物学的薬剤濃度cが、組成空間に追加の変数を与える:{n
,n...n,Γ,c,c,BP,BP...BP}。
【0041】 他の好ましい実施様態では、生物学的薬剤組成物は、カチオン性、アニオン性
または非イオン性界面活性剤を含有する。このような場合、界面活性剤濃度(c
)が組成空間に追加の変数を与える:{n,n...n,Γ,c
,c,BP,BP...BP}。界面活性剤の濃度の代りに、界面
活性剤とセグメント化コポリマーの濃度比または同様な従属パラメーターを使う
ことができる。ライブラリーを、一式の同族の界面活性剤、例えば親水基の長さ
が異なる界面活性剤を使って、ライブラリー中のある特定組成物が使用される界
面活性剤の型によりお互いに異なるように、設計することができる。1つの例は
、飽和および不飽和脂肪酸の脂肪酸石鹸を含む。ブロックコポリマーベースは、
様々な長さの炭化水素尾部(tail)(φ)、飽和度(Δ)、および不飽和結
合の位置(γ)を有する脂肪酸で設計することができる。これらのパラメーター
の全てが組成空間の追加の変数となるであろう:{n,n...n,Γ
,φ,Δ,γ,c,c,c,BP,BP...BP}。
【0042】 組成空間は、(n,n...n,Γ,φ,Δ,γ,c,c,c
)のような、コポリマーベースおよび組成ライブラリーを特徴づけるパラメータ
ーに従属するパラメーターを使って設計することができる。例えば、(商標名P
luronicTMでも知られる)ポリ(エチレンオキサイド)−ブロック−ポ
リ(プロピレンオキサイド)−ブロック−ポリ(エチレンオキサイド)ブロック
コポリマーのような、ある特定の両親媒性セグメント化コポリマーの臨界ミセル
濃度(CMC)は、ポリマーセグメント長に依存すると考えられている(Kab
anovら,Macromolecules,28:2303−2314,19
95を参照されたい)。同様に、ある特定の場合、ブロックコポリマーミセル中
の医薬の分配係数、Pは、このブロックコポリマーのセグメント長に依存する(
Kabanovら,Macromolecules,28:2303−2314
,1995を参照されたい)。CMCとPの間の関係を図2に示す。
【0043】 いくつかの場合は、CMCおよびPのような従属パラメーターを組成空間を設
計するために使うことが有利である。一つの例は、Pluronicブロックコ
ポリマーを有する医薬(例えば、抗癌抗生物質、神経遮断薬、抗HIV薬その他
)の組成物のライブラリーである。この場合、コポリマー濃度cが、組成空間に
おける第3の有用なパラメーターとなる。この例では、Pluronicコポリ
マーの濃度を、約0.000001%(w/v)から約10%(w/v)または
該コポリマーの37℃での溶解度限界まで変化させる。したがって、組成空間を
:{CMC,P,c,BP}として表現することができ、ここでBPは(治療指
数のような)有用な生物学的特性である。
【0044】 特定の理論に束縛されることは欲しないが、Pluronicブロックコポリ
マーを使う組成空間におけるCMCおよびPの使用を例としてあげることができ
る。Pluronicミセルは、ある特定の生物学的薬剤組成物において重要な
役割を果す(Kabanovら,FEBSLett258:343,1989)
。これらのミセルは、医薬を生物学的に不活性なポリマー殻で囲み、該医薬を血
流中で保護して標的細胞に送達し、そして該医薬を標的の細胞内区画に分配する
。この方法で、非標的細胞は医薬の潜在的毒性の影響から保護される(Kaba
novら,J.Contr.Release,22:141,1992)。同時
に、1本鎖のPluronicブロックコポリマー(いわゆる「ユニマー(un
imers)」)は、ある特定の医薬流出機構を抑制し、多剤耐性(MDR)腫
瘍に対する医薬の細胞傷害活性の増大をもたらす(Alakhovら,Bioc
onjugate Chemistry7:209(1996);Venneら
,Cancer Research,56:3626,(1996))。同様な
機構が、血液脳関門および腸管上皮を横切る医薬輸送に対するPluronic
コポリマーの効果を支える。エチレン(オキサイド)およびプロピレン(オキサ
イド)セグメントの長さを変えることにより、ある特定のクラスの細胞と医薬輸
送系に関して、効果のより高いまたはより低いPluronicコポリマーを選
択することができる。
【0045】 したがって、生物学的薬剤組成物中のブロックコポリマーの効果には2つの要
素がある。第1に、それらは自己集合した医薬担体を形成し、医薬を体内で望ま
しくない相互作用からマスキングし、部位特異的な医薬送達を提供する。第2に
、それらは、細胞中の医薬輸送系に影響を与えることにより、医薬に関する生物
学的応答の修正剤として働く。ブロックコポリマーのこれらの効果は、CMCお
よびPと関係がある。
【0046】 CMCが低いほどかつPが高いほど、(a)ミセルの安定性が高く、(b)溶
液中で利用可能なコポリマーユニマーが少なく、(c)医薬のミセルに対する付
着が強い:ことを示す。これらの条件は、身体防衛機構による分解および消失か
らミセルによる医薬保護の最高水準に対応する。これらの条件下で、医薬の代謝
も最小であり、医薬毒性の影響は最小となる。しかし、疾患部位におけるミセル
からの医薬放出も最小であり、医薬治療効果を低下させる。コポリマーユニマー
の濃度は非常に低く、生物学的薬剤組成の効果を低下させる。
【0047】 対照的に、CMCが高いほどかつPが低いほど、ミセルは非常に不安定で、ユ
ニマー濃度は高く、そして医薬は容易に遊離形態で放出される。同時に、高いC
MCは通常親水性ブロックコポリマーで観察され、これらのポリマーは医薬送達
系としては活性がない。さらに、医薬が主に遊離形態であるので代謝分解からも
保護されず、そしてミセルに組み込まれた医薬より毒性が高い。したがって、あ
る特定の応用(例えば、抗癌抗生物質)では、最適なブロックコポリマー組成の
選択は、中間のCMCおよびP値をもつPluronicコポリマーとなる。図
2のCMC対Pのグラフは、Pluronicブロックコポリマーによるこのよ
うな組成物の同定に有用なツールを提供する。このグラフは、座標としてコポリ
マーセグメント長を使う多次元空間の代りに、CMC対P等温線を使うことによ
って試験および同定方法を単純化する。医薬作用におけるユニマーおよびミセル
の効果に関する情報は、有用な生物学的薬剤組成物の同定を単純化することを可
能にする手がかりを与える。通常、この手がかりを使って、組成空間の座標数な
らびに試験する組成物の数を削減する。
【0048】 セグメント化コポリマー。 本発明のセグメント化コポリマーは、最も簡単に
は、少なくとも2つの異なるポリマーセグメントのコンジュゲートとして定義さ
れる(例えば、Tirrel,Interactions of Surfac
tants with Polymers and Proteins,God
dardおよびAnantha−padmanabhan編,pp.59以下,
CRC Press,Boca Raton,Ann Arbor,Londo
n,Tokyo,1992.を参照されたい)。いくつかのセグメント化コポリ
マー構造を以下に提示する:
【0049】
【化1】
【0050】 (図中、直線および波線は、異なるポリマーセグメントを図示し、円はこれらセ
グメント間の連結を示す。)
【0051】 最も簡単なセグメント化コポリマー構造は、A−B型ジブロックを与えるよう
にそれらの末端で接続された2つのセグメントを含有する。3つ以上のセグメン
トのそれらの末端での結合は、A−B−A型トリブロック、...ABAB..
.型マルチブロック、またはさらにマルチセグメント...ABC...構造を
生じる。もし、あるセグメント化コポリマーの主鎖が、その主鎖で1つ以上の繰
り返し単位が異なるポリマーセグメントに連結されていると定義されることがで
きれば、該コポリマーはグラフト構造、例えば、A(B)型を有する。さらに
複雑な構造は、例えば、1つの中心に3つ以上のポリマーセグメントが連結され
ている(AB)またはAスターブロックを含む。
【0052】 セグメント化コポリマーを作製する1つの方法は、2つのモノマーの逐次的付
加を伴なうアニオン重合を含む。例えば、Schmolka J.,Am.Oi
l Chem.Soc.,1977,543:110;Wilczek−Ver
aら,Macromolecules,1996,29:4036.を参照され
たい。この技術により、狭い分子量分布のポリマーセグメントをもつブロックコ
ポリマーを生じる。非常に高精度でポリマーセグメントの伸長を制御することを
可能にするブロックコポリマーの固相合成が、最近開発された(Vinogra
dovら,Bioconjugate Chemistry,7:3,1996
)。いくつかの事例では、ブロックコポリマーは、他のポリマーセグメントの末
端でポリマーセグメントの重合を開始することによって(Katayose a
nd Kataoka,Proc.Intern.Symp.Control.
Rel.Bioact.Materials,1996,23:899)、また
は完全なポリマーセグメントの結合によって(Kabanovら,Biocon
jugate Chem.,1995,6:639:Wolfertら,Hum
an Gene Ther.,1996,7:2123)合成される。本発明に
関係するブロックコポリマーの特性は、(1)ブロックコポリマー構造および(
2)ポリマーセグメント特性により決定される。これらは、これらセグメントの
結合に使われる鎖の化学構造とは無関係である(例えば、Tirrel In
Interactions of Surfactants with Pol
ymers and Proteins, Goddard and Anan
thapadmanabhan,編,pp59以後,CRC Press,Bo
ca Ration,Ann Arbor,London,Tokyo,199
2;Sperling,Introduction to Physical
Polymer Science,第2版,p.46以後,John Wile
y & Sons,New York,1993.を参照されたい)。
【0053】 連結は、その多くは結合化学で一般的に記載されているいくつかの反応によっ
て作ることができる。これらは、1つのポリマーセグメントの末端ヒドロキシル
基、例えば、R−O−(CO)−H(式中、Rは水素もしくはアルキ
ルのようなブロッキング基である)、および他のポリマーセグメントの適当な基
に関わり、これら2つは、直接にまたは間接に(すなわち第3成分を介して)結
合される。あるいは、1つの末端基を他の官能基、例えばアミノに変換し、その
後、次のポリマーセグメントまたは他の連結成分と反応させることが可能である
。このように、連結基を、ポリマーセグメントの末端基を反応により関与させる
ことにより、または末端基を置き換えることにより、形成させることができる。
例えば、カルボン酸基をN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドにより活性
化し、その後、アミノまたはヒドロキシル基と反応させてそれぞれアミドまたは
エーテルを形成させることができる。無水物および酸クロライドは、アミンおよ
びアルコールと同じ結合を作るであろう。アルコールは、カルボニルジイミダゾ
ールで活性化することができ、その後、アミンと連結してウレタン鎖を作るかま
たは活性化してエーテルまたはエステルを作ることができる。ハロゲン化アルキ
ルは、アミンに転化するか、またはアミン、ジアミン、アルコール、またはジボ
ールと反応させることができる。末端ヒドロキシル基を酸化して、対応するアル
デヒドまたはケトンを形成させることができる。その後、このアルデヒドまたは
ケトンは、末端アミノ基を有する前駆体と反応させてイミンを形成させ、続いて
(例えば)水素化ホウ素ナトリウムで還元して第二級アミンを形成させることが
可能である。Kabanovら,J.Controlled Release,
22:141(1992);Meth.Enzymol.,XLVII,Hir
s & Timasheff,編,Acad.Press,1977を参照され
たい。これにより形成される連鎖は−NH−基であり、ポリマーセグメントの末
端ヒドロキシル基を置き換える。
【0054】 あるいは、ポリマーの末端ヒドロキシル基をブロムアセチルクロライドと反応
させてブロモアセチルエステルを形成させ、続いてアミン前駆体と反応させて−
NH−CH−C(O)−連鎖を形成させることができる。Immobiliz
ed Enzymes,Berezinら,編,MGU,Moscow,197
6,すなわち、−NH−CH−C(O)−。ポリマーセグメントのブロモアセ
チルエステルを、式NH−CqHq−NHのジアミノアルカンと反応させ
、続いて他のポリマーセグメントのカルボキシ基、または酸クロライドもしくは
無水物のようなそれらの活性化誘導体と反応させることもできる。ブロモアセチ
ルエステルを、シアン化塩と反応させてシアノ中間物を形成させることもできる
。例えば、Sekiguchiら,J.Biochem.,85,75(197
9);Tuenglerら,Biochem.Biophys.Acta,48
4,1(1977);Browneら,BBRC,67,126(1975);
およびHunterら,J.A.C.S.,84,3491(1962)を参照
されたい。その後、このシアノ中間物を、例えばメタノールおよび塩化水素の溶
液による処理でイミドエステルに転化し、アミン前駆体と反応させて、−NH−
C(NH+)CHC(O)−連鎖を形成させることができる。末端ヒドロキ
シル基を1,1’−カルボニル−ビス−イミダゾールと反応させ、この中間物を
続いてアミノ前駆体と反応させて−NH−C(O)O−連鎖を形成させることも
できる。Bartlingら,Nature,243:342(1973)を参
照されたい。
【0055】 末端ヒドロキシルを、無水コハク酸のような環状無水物と反応させてハーフエ
ステルを得ることもでき、続いて、末端アミノ基を有する前駆体と通常の縮合技
術を使って反応させ、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルクロロホス
ホネート、または2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンの
ようなペプチド結合を形成させることができる。例えば、Meansら,Che
mical Modification of Proteins,Holde
n−Day(1971)を参照されたい。こうして、−NHC(O)−(CH
)qC(O)O−連鎖が形成される。
【0056】 末端ヒドロキシル基を、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルと反応
させて、エーテル結合を介してポリマーに連結された末端エポキシド官能基を有
する中間物を形成させることもできる。続いて、末端エポキシド官能基をアミノ
前駆体と反応させることができる。Pithaら,Eur.J.Biochem
.,94:11(1979);EllingおよびKula.Biotech.
Appl.Biochem.,13:354(1991);StarkおよびH
olmberg,Biotech.Bioeng.,34:942(1989)
【0057】 末端ヒドロキシル基のハロゲン化により、続いて、1,6−ヘキサンジアミン
のようなアルカンジアミンとの反応が可能になる。その後、得られた生成物を、
水酸化カリウムの存在下で二硫化炭素と反応させることができ、続いて、塩化プ
ロプリオニルを加えることによりイソチオシアネートを作り、続いてアミノ前駆
体と反応させて、−N−C(S)−N−(CH−NH−連鎖を得ることが
できる。Meansら,Chemical Modification of
Proteins,Holden−Day(1971)を参照されたい。アミノ
基で終結するポリマー鎖を、ホスゲンで、それから、アミノ基を含有する他のポ
リマーセグメントで処理して尿素結合を形成させることもできる。Meansら
,Chemical Modification of Proteins,H
olden−Day(1971)を参照されたい。
【0058】 アミノ基で終結するポリマーセグメントを、アルカンジカルボン酸のジメチル
エステルで処理し、生成物をアミノ前駆体と反応させて−N−C(NH+)−
(CH−C(NH+)−N−連鎖を作ることもできる。Loweら,A
ffinity Chromatography,Wiley & Sons(
1974)を参照されたい。アミノ基で終結するポリマーセグメントを、アルカ
ン酸またはフッ素化アルカン酸、好ましくはそれらの酸クロライドまたは無水物
のような活性化誘導体と反応させて、連結基−CONH−を形成させることもで
きる。あるいは、アミノ前駆体をα,ω−ジイソシアノアルカンで処理して、−
NC(O)NH(CHNHC(O)−N−鎖を作ることができる。Mea
nsら,Chemical Modification of Protein
s,Holden−Day(1971)を参照されたい。このようにして、ある
連結基は単に簡単な官能基を有するのみでありうるし、また、他の連結基は、2
つの官能基間にポリメチレン鎖のようなスペーサー単位を有しうる。連結基がこ
のようなポリメチレン鎖を有するときは、2つ以上のメチレン単位有しうるが、
好ましくはもっと多くの;例えば6つ以上のメチレン単位を有する。以上の記載
は、コポリマーのセグメント間の連鎖形成のための典型的な方法を例示する。こ
れらの方法は、生物学的に活性な薬剤および他の薬剤のコンジュゲートを形成す
る公知の方法と匹敵し、Meansら,Chemical Modificat
ion of Proteins,Holden−Day(1971);Gla
zerら,Chemical Modification of Protei
ns.Elsevier,New York(1975);Immunotec
hnologyCatalog & Handbook, Pierce Ch
emical Co.;およびPolyethylene Glycol De
rivatives Catalog,Shearwater Polymer
s,Inc.(1994)に記載された一般的なコンジュゲーション方法を含む
。−CONH−もしくは−NHCOO−のような非対称(not symmet
rical)である連鎖は、それぞれ、逆方向;例えば−NHCO−および−O
CONH−で存在しうることも理解されるであろう。
【0059】 コポリマーのポリマーセグメントは、非イオン性水溶性、非イオン性疎水性も
しくは貧水溶性、カチオン性、アニオン性またはポリペプチドのようにポリ両性
であることができる。これらポリマーセグメントの重合度はお互いに独立して、
約3〜約500,000、より好ましくは約5〜約5000、さらにより好まし
くは約20〜約500である。もし同じタイプの2つ以上のセグメントが1つの
セグメント化コポリマーを有すれば、これらのセグメントは全て同じ長さであっ
てもまたは異なる長さであってよい。
【0060】 好ましい実施様態では、コポリマーの少なくとも1つのセグメントは、非毒性
および非免疫原性の水溶性ポリマーである。このようなセグメントは、(限定さ
れるものでないが)ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキサイド)、多糖類
(例えば、デキストラン)、ポリグリセロール、ビニルモノマーのホモポリマー
およびコポリマー(例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリルエステル(例え
ば、ポリアクリロイルモルホリン)、ポリメタクリルアミド、ポリ(N−(2−
ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン、ポリビニルトリアゾール、ポリビニルピリジンのN−オキサイド、
ビニルピリジンおよびビニルピリジンN−オキサイドのコポリマー)、ポリオル
トエステル、ポリアミノ酸、ポリグリセロール(例えば、ポリ−2−メチル−2
−オキサゾリン、ポリ−2−エチル−2−オキサゾリン)ならびにそれらのコポ
リマーおよび誘導体を含む。
【0061】 好ましい非イオン性の疎水性および貧水溶性セグメントは、ポリプロピレンオ
キサイド、ポリエチレンオキサイドおよびポリエチレンオキサイドのコポリマー
、ポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイド以外のポリアルキレ
ンオキサイド、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリスチレ
ン)、イソプレンのホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリイソプレン)
、ブタジエンのホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリブタジエン)、プ
ロピレンのホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリプロピレン)、エチレ
ンのホモポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリエチレン)、疎水性アミノ酸
およびアミノ酸誘導体(例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、
ノルロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプシン、トリプトファン、ス
レオニン、プロリン、システイン、メチオニン、セリン、グルタミン、アスパラ
ギン)のホモポリマーおよびコポリマー、核酸およびその誘導体のホモポリマー
およびコポリマーを含む。
【0062】 好ましいポリアニオンセグメントは、ポリメタクリル酸およびその塩、ポリア
クリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩のコポリマー、アクリル酸お
よびその塩のコポリマー、ヘパリン、ポリリン酸塩、アニオン性アミノ酸(例え
ば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のホモポリマーおよびコポリマー、ポリリ
ンゴ酸、ポリ酢酸、ポリヌクレオチド、カルボシル化デキストラン、その他を含
む。
【0063】 好ましいポリカチオンセグメントは、ポリリシン、ポリアスパラギン、カチオ
ン性アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)のホモポリマーおよ
びコポリマー、ポリメタクリル酸のアルカノールアミンエステル(例えば、ポリ
−(ジメチルアンモニオエチルメタクリレート)、ポリアミン(例えば、スペル
ミン、ポリスペルミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチ
レンイミン、ポリペンチレンイミン、ポリヘキシレンイミンおよびそれらのコポ
リマー)、第三級アミンおよび第二級アミンのコポリマー、部分的または完全に
四級化したアミン、ポリビニルピリジン、ならびにポリカチオンセグメントの第
四級アンモニウム塩)を含む。これらの好ましいポリカチオンセグメントは、脂
肪族、複素環状または芳香環状イオネン(ionenes)も含む(Remba
umら,Polymer letters,1968,6:159;Tsuts
ui,T.,In Development in ionic polyme
rs−2,Wilson A.D.およびProsser,H.J.(編)Ap
plied Science Publishers,London,New
York,vol.2,pp.167−187,1986)。
【0064】 さらに、デンドリマー(dendrimers)、例えば、様々な世代のポリ
アミドアミン(Tomaliaら,Angew.Chem.,Int.Ed.E
ngl.1990,29,138)を使って、本発明によるコンビナトリアル医
薬送達のためのコポリマーのベースを設計することもできる。
【0065】 次のポリマー群から選択されるコポリマーが、特に好ましい: (a)少なくとも1つの親水性非イオン性ポリマーおよび少なくとも1つの疎
水性非イオン性セグメントを有するセグメント化コポリマー(「親水性−疎水性
コポリマー」)、 (b)少なくとも1つのカチオン性セグメントおよび少なくとも1つの非イオ
ン性セグメントを有するセグメント化コポリマー(「カチオン性コポリマー」)
、 (c)少なくとも1つのアニオン性セグメントおよび少なくとも1つの非イオ
ン性セグメントを有するセグメント化コポリマー(「アニオン性コポリマー」)
、 (d)少なくとも1つのポリペプチドセグメントおよび少なくとも1つの非ペ
プチドセグメントを有するセグメント化コポリマー(「ポリペプチドコポリマー
」)、 (e)少なくとも1つのポリヌクレオチドセグメントおよび少なくとも1つの
核酸でないセグメントを有するセグメント化コポリマー(「ポリペプチドコポリ
マー」)。
【0066】 親水性−疎水性コポリマー。 親水性−疎水性コポリマーの典型的な代表例は
、式:
【0067】
【化2】
【化3】
【0068】 (式中、x、y、z、iおよびjは、約2〜800、好ましくは約5〜約200
、さらに好ましくは約5〜約80の値をとり、それぞれのR、R対について
は、1つは水素であり他はメチル基である) を有するエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマー
である。
【0069】 式(I)から(III)は過剰に単純化されており、実際上、Bブロック内の
イソプロピレンラジカルの方向は無作為である。この無作為な方向は、より整っ
ている式(IV)に示されている。このようなポリ(オキシエチレン)−ポリ(
オキシプロピレン)化合物は、サントンその他(Santon,Am.Perf
umer Cosmet.,72(4):54−58(1958);Schmo
lka,Loc.cit.82(7):25(1967);Schick,No
n−ionic Surfactants,pp.300−371(Dekke
r,NY,1967))により記載されている。いくつかのこのような化合物は
「poloxamers」、「pluronics」および「synperon
ics」のような一般的な商標名で市販されている。B−A−B式内のplur
onicポリマーはしばしば「逆転(reversed)」pluronic、
「Pluronic−R」または「meroxapol」と呼ばれる。式(XV
II)の「polyoxamine」ポリマーは、BASF(Wyandott
e,MI)から商標名TetronicTMで市販されている。式(XVII)
に示されているポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックの順序
は、逆転することが可能で、BASFから同じく市販されているTetroni
c−RTMとなる。Schmolka,J.Am.Oil Soc.,59:1
10(1979)を参照されたい。ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン
ブロックコポリマーを、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド繰り返し単
位の無作為な混合物を含んでなる親水性ブロックで設計することもできる。ブロ
ックの親水性を維持するには、エチレンオキサイドを主にする。同様に、疎水性
ブロックが、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド繰り返し単位の混合物
であることもできる。このようなブロックコポリマーはBASFから商標名Pl
uradotTMで市販されている。
【0070】 式(IV)のジアミン連結pluronicは、式:
【0071】
【化4】
【0072】 (式中、破線は第2窒素から広がるポリエーテルの対称的コピーを表し、R
2〜6個の炭素のアルキレン、5〜8個の炭素のシクロアルキレンまたはフェニ
レンであり、RおよびRについては(a)両方とも水素であるかまたは(b
)1つが水素でありかつ他はメチルであり、RおよびRについては(a)両
方とも水素であるかまたは(b)1つが水素でありかつ他はメチルであり、もし
およびRの両方とも水素であればRおよびRの1つが水素でありかつ
他はメチルであり、そしてもしRおよびRの1つがメチルであればRおよ
びRの両方とも水素である) のジアミン連結ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマーのファミリ
ーのメンバーでもあることもできる。
【0073】 当業者であれば、本明細書の考察に照らして、本発明の実施が例えばポリ(オ
キシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)化合物に限定されるときでも、上記
の例示式は限定し過ぎていることを認識するであろう。したがって、第1ブロッ
クを形成する単位はエチレンオキサイドのみからなる必要はない。同様にB型ブ
ロックの全てがプロピレンオキサイド単位のみからなる必要はない。その代りに
、該ブロックは、第1の実施様態のパラメーターが維持される限り、式(I)〜
(V)に定義されたもの以外のモノマーを組込むことができる。したがって、こ
の最も簡単な例において,ブロックAのモノマーの少なくとも1つは先に記載し
た側鎖基で置換されてよい。
【0074】 親水性−疎水性ブロックコポリマーの様々な他の例が合成されており、本発明
で使うことができる。これらのコポリマーは一般式A(式中、Aは親水性
ホモポリマーまたはコポリマーセグメントであり、Bは疎水性ホモポリマーまた
はコポリマーセグメントである)をもつ。AおよびBセグメントはそれぞれ直鎖
または分岐鎖であることができる。本発明で特に有用なブロックコポリマーの例
は、限定されるものでないが、ポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(イソプ
レン)−b−ポリ(エチレンオキサイド)トリブロックコポリマーを含む(Mo
rganら,Biochem.Soc.Trans.,18:1021,199
0)、ポリ(エチレンオキサイド)−b−ポリ(スチレン)ブロックコポリマー
(Dunnら,Pharm.Res.,11:1016,1964)、ポリ(エ
チレンオキサイド)−b−ポリ(D,L−ラクチド)ジブロックコポリマー(H
agan,ら,Langmuir 12:2153,1996)、およびポリ(
エチレンオキサイド)−b−ポリ((−ベンジルL−アルパラギン酸)ジブロッ
クコポリマー(Kwon,ら,Langmuir 12:945,1993)を
含む。
【0075】 本発明で使うことができる親水性−疎水性ブロックコポリマー中の親水性ホモ
ポリマーまたはコポリマーAセグメントは、それぞれ同じかまたは異なるペンダ
ント基(pendant group)を有する少なくとも3つのモノマー単位
を含有するであろう。それぞれのペンダント基は、酸素と窒素からなる群から選
択される少なくとも1つの原子を有するであろう。親水性ホモポリマーまたはコ
ポリマーの代表的な例は、限定されるものでないが、ポリエチレンオキサイド、
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのコポリマー、多糖類、ポリア
クリルアミド、ポリグリセロール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルピリジンN−オキサイド、ビニルピリジンN−オキサイドおよび
ビニルピリジンのコポリマー、ポリオキサゾリン、およびポリアクロイルモルホ
リンを含む。
【0076】 好ましくは、親水性Aセグメントは:
【0077】
【化5】 または
【0078】 (式中、mおよびjはそれぞれ3〜5000の値を有する) である。
【0079】 本発明に有用な疎水性Bセグメントは、限定されるものでないが、フルオロア
ルキルセグメント、およびフルオロカーボンと炭化水素の両方を含有するコポリ
マーを含む、フルオロカーボン部分を含有することもできる。1つのこのような
例は、式:
【0080】
【化6】
【0081】 (式中、(i)Rは2〜50個の炭素原子をもつ一価のフッ素化炭化水素であ
りかつRは2〜50個の炭素原子をもつ二価の炭化水素であるか、または(i
i)Rは2〜50個の炭素原子をもつ一価の炭化水素でありかつRは2〜5
0個の炭素原子をもつ二価のフッ素化炭化水素であり、 Rは、(i)水素、(ii)2〜50個の炭素原子をもつ一価のフッ素化炭
化水素、または(iii)2〜50個の炭素原子をもつ一価の炭化水素であり、 Rは、(i)もしRが水素であれば、1つの結合;(ii)、もしR
フッ素化炭化水素であれば、2〜50個の炭素原子をもつ二価の炭化水素、また
は(iii)もしRが炭化水素であれば、2〜50個の炭素原子をもつ二価の
フッ素化炭化水素であり、 LおよびLは、それぞれお互いに独立して、1つの連結基であり、 もしRが水素であれば、LおよびLは、Rも一括して1つの結合であ
り、またはもしRが水素以外であれば、LおよびLは、それぞれ独立して
1つの連結基である)を有するセグメント化コポリマーであり、 Aは、少なくとも3つのモノマー単位を含んでなる親水性ホモポリマーまたは
コポリマーであり、それぞれは少なくとも酸素および窒素からなる群から選択さ
れる原子を含有する同じかまたは異なるペンダント基を有し、そして wは1〜100の値を有する) を有するセグメント化ブロックコポリマーである。
【0082】 親水性ホモポリマーまたはコポリマーAは、少なくとも3つのモノマー単位を
含有し、それぞれの単位は同じかまたは異なるペンダント基を有するであろう。
それぞれのペンダント基は、酸素および窒素からなる群から選択される少なくと
も1つの原子を含有するであろう。代表的な親水性ホモポリマーまたはコポリマ
ーは、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイ
ドのコポリマー、多糖類、ポリアクリルアミド、ポリグリセロール、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジンN−オキサイド、ビニ
ルピリジンN−オキサイドおよびビニルピリジンのコポリマー、ポリオキサゾリ
ン、およびポリアクロイルモルホリンを含む。
【0083】 カチオン性コポリマー 有用なセグメント化コポリマーは少なくとも1つのセグメントがポリカチオン
であるコポリマーのクラスを含む。これらの構造物の1つの例は、複数の共有結
合したポリマーセグメントを含んでなるコポリマーのベースであり、該セグメン
トは、(a)少なくとも3種のアミノアルキレンモノマーを含んでなるカチオン
性ホモポリマー、コポリマーまたはブロックコポリマーである少なくとも1種の
ポリカチオンセグメント [ここに該モノマーは次の: (i)少なくとも1種の式:
【0084】
【化7】 の第三級アミノモノマーおよび該第三級アミノモノマーの第四級塩、または (ii)少なくとも1種の式:
【0085】
【化8】 の第二級アミノモノマーおよび該第二級アミノモノマーの酸添加物および第四級
塩 (式中、Rは、水素、2〜8個の炭素原子のアルキル、Aモノマー、またはB
モノマーであり;R2とRは、それぞれお互いに独立して、同じかまたは異な る直鎖または分岐鎖の式:−(C2z)−のアルカンジイル基であり、ここ
にzは2〜8の値を有し;Rは、図示された双方に(geminally)結
合した炭素原子の1つの結合を満足する水素であり;Rは水素、2〜8個の炭
素原子のアルキル、Aモノマー、またはBモノマーであり;Rは水素、2〜8
個の炭素原子のアルキル、Aモノマー、またはBモノマーであり、;Rは直鎖
または分岐鎖の式:−(C2z)−のアルカンジイル基であり、zは2〜8
の値を有し;そして、Rは水素、2〜8個の炭素原子のアルキル、Aモノマー
、またはBモノマーである) の少なくとも1種からなる群より選択される] ;および (b)少なくとも1種の、直鎖または分岐した非イオン性親水性の上に記載した
約5〜約1000モノマー単位を有するセグメントA を有する。
【0086】 本発明のコポリマーのポリカチオンセグメントは分岐していてもよい。例えば
、ポリスペルミンベースのコポリマーは分岐している。これらのコポリマーのカ
チオンセグメントを、1,4−ジブロモブタンとN−(3−アミノプロピル)−
1,3−プロパンジアミンの縮合により合成した。この反応は、高度に分岐した
第一級、第二級および第三級アミンの重合物を生じた。
【0087】 分岐ポリカチオンの例は、少なくとも2個の窒素原子を含有するポリアミンと
少なくとも2個のハロゲン原子(臭化物および塩化物を含む)を含有するハロゲ
ン化アルキルとの縮合反応産物である。特定的には、分岐ポリカチオンはポリ縮
合の結果として作られる。この反応の例は、ポリスペルミンを生成するN−(3
−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミンと1,4−ジブロモブタンの間
の反応である。
【0088】 分岐ポリカチオンの他の例は、式: (NHCHCH[N(CHCH)CHCH (VI)
により表されるポリエチレンイミンである。
【0089】 有用なポリアミンベースのコポリマーの1例は、式: K−L−[G−L−F−L]1−K (VII)
[式中、Fは、複数の式−NH−Rの繰り返し単位を含んでなるポリアミンセ
グメントであり、ここにRは置換しうる2〜6個の炭素原子の脂肪族基であり
; Gは、ポリエチレンオキサイドまたはエチレンオキサイドとプロピレンオキサ
イドのコポリマーで、上に記載したように直鎖または分岐した非イオン性セグメ
ントであり; KおよびKは、お互いに独立して、水素、ヒドロキシ基、アモノ基(am
onogroup)、GまたはFポリマーセグメントであり; L、L、およびLは、それぞれ、お互いに独立して、連結基または化学
結合である] のポリマーである。
【0090】 ポリカチオンセグメントのアミノ基を四級化して、アンモニウム塩を作ること
ができる。例は、第三級および四級化ポリアミンを作るためにハロゲン化アルキ
ルで修飾されたポリスペルミンおよびポリアミンを含む。よく定義された化学構
造をもつカチオンセグメントの他の有用な型は、イオネン(ionenes)で
あり、これは脂肪族、複素環式または芳香族であることができる(Rembau
mら,Polymer Letters,1968,6:159;Tsutsu
i,T.,Development in ionic polymers(イ
オン性ポリマーの発展),Wilson A.D.およびProsser,H.
J.(編)Applied Science Publishers,Lond
on,New York,vol.2,pp.163−187,1986)。
【0091】 アニオンコポリマー アニオンコポリマーは、水性環境でポリアニオンを生じる少なくとも1種のポ
リ電解質(polyelectrolyte)セグメントを含む。これは、広い
pH範囲で高いイオン化度を有する強いポリ酸およびpHに依存するイオン化度
により特徴づけられる弱いポリ酸を含む。アニオンセグメントは、通常、カルボ
キシル基、硫酸塩基、スルホン酸塩基、燐酸塩基、その他のような複数のペンダ
ントアミノ基を有する。アニオンコポリマーの例は、限定されるものでないが、
ポリオキシエチレン−b−ポリメタクリル酸(Wang,ら,J.Polym.
Sci.,Part A:Polym.Chem.,30:2251,1992
)、ポリスチレン−b−ポリアクリル酸(Zhong,ら,Macromole
cules,25:7160,1992)、ポリオキシエチレン−b−ポリオキ
シプロピレン−b−ポリオキシエチレンでグラフトしたポリアクリル酸(Bro
mbergおよびLevin,Macromol.Rapid Commun.
17:1691996)を含む。
【0092】 ポリペプチドコポリマー ポリペプチドコポリマーは複数の共有結合したポリマーセグメントを有し、該
セグメントは少なくとも1つのポリペプチドセグメントおよび少なくとも1つの
非ペプチドポリマーセグメントを有する。ポリペプチドセグメントは複数のアミ
ノ酸単位またはその誘導体を有する。
【0093】 ポリペプチドを含有する有用なセグメント化コポリマーの例は、次式:
【0094】
【化9】 (式中、iは約2〜約500の整数であり、jは約4〜約500の整数である)
のポリ(オキシエチレン)−ポリ−L−リシン)ジブロックコポリマーを含む。 第2の例は、式:
【0095】
【化10】 (式中、iは約2〜約500の整数であり、jは約2〜約500の整数である)
のポリ(オキシエチレン)−ポリ−(L−アラニン−L−リシン)ジブロックコ
ポリマーである。
【0096】 本発明でポリペプチドコポリマーを使用すると、固相および溶液相化学を使う
ことによりポリペプチドセグメント長のより良い制御が可能になる。よく定義さ
れた化学構造をもつポリペプチドに基くセグメント化コポリマーは、ポリ(アミ
ノ酸)−b−ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)−b−ポリ(アミノ酸)
(BrombergおよびLevin,Bioconjugate Chem.
9;40,1998)のように文献に記載されている。さらに、疎水性、親水性
、イオン化性、水素および化学結合を形成するアミノ酸およびその誘導体を含む
ポリペプチドの単位組成および配列を変えて、セグメント化コポリマーのベース
に一層広い多様性をもたせることができる。
【0097】 ポリヌクレオチドコポリマー ポリヌクレオチドコポリマーは複数の共有結合したポリマーセグメントを有し
、該セグメントは少なくとも3つの核酸単位またはその誘導体を含有する少なく
とも1つのセグメントを有する。ポリペプチドコポリマーと同様に、ポリヌクレ
オチドコポリマーは、固相および溶液相化学を使うことによりセグメント長およ
び配列に対するより良い制御が可能である。よく定義された化学構造をもつポリ
ヌクレオチドに基くセグメント化コポリマーは、ポリオキシエチレン−b−ポリ
ヌクレオチドコポリマーおよびポリカチオン−b−ポリヌクレオチドコポリマー
を含めて記載されている(Vinogradovら,Bioconjugate
Chemistry,7:3,1996;米国特許第5,656,611号も
参照すること)。ポリペプチドコポリマーのように、ポリヌクレオチドコポリマ
ーは、ポリヌクレオチドセグメント内の単位組成および配列の変化が可能であり
、本発明による適当な生物学的薬剤組成物を選択するのに特に有用である。
【0098】 スクリーニングアッセイおよび組成確認 本発明のスクリーニングアッセイは、最初に定義した判定基準に従って「陽性
」および「陰性」組成物についてソーティングすることによって、生物学的薬剤
組成物を特性決定しおよび選択するのに有用な分析試験である。通常、好ましい
生物学的薬剤組成物を同定するために、1つ以上のスクリーニングアッセイが必
要である。
【0099】 場合によって、in vitro無細胞および細胞ベース、ならびにin v
ivoの様々なスクリーニングアッセイを使って、好ましい生物学的薬剤組成物
を選択することができる。これは、限定されるものでないが、生物学的薬剤の溶
解度および安定性の特性決定、分光特性の分析のような物理化学的試験;血漿タ
ンパク質、DNA、RNA、特異的受容体、酵素または他分子との生物学的薬剤
結合の特性決定;標的細胞、組織もしくは器官内へ、から外へ、の内部で、およ
び、を通しての輸送の分析のような輸送に関係した試験;特異的な酵素活性の分
析、遺伝子発現の活性化または抑制、全DNA、RNAおよびタンパク質生合成
、細胞増殖および分化試験、アポトーシス分析、ホルモンおよびポリペプチド分
泌アッセイのような機能試験;生物学的薬剤の薬物動態学、薬物動力学、その有
効性、毒性および治療指数のようなin vivo薬理学試験を含む。
【0100】 本発明では生物学的薬剤組成物のライブラリーをスクリーニングするので、高
速処理および超高速処理スクリーニングが好ましい。生物学的薬剤の特定の特性
および本発明を使うことにより解決する必要のある特性に関連した障害に依存し
て、生物学的薬剤組成物を同定するために様々な組合わせのスクリーニングアッ
セイを使うことができる。
【0101】 多くの生物学的薬剤は水溶液中の溶解度が限定されており、そのために、しば
しば、生物学的薬剤溶解度を改良するための特別に選択し最適化した送達系なし
では、体内に必要用量を投与することができない。1つの実施態様では、セグメ
ント化コポリマー担体を有する生物学的薬剤組成物のライブラリーを作製し、水
溶液中の生物学的薬剤溶解度を改良するためにスクリーニングする。これに関係
するスクリーニングシステムでは、生物学的薬剤のみの溶解度を測定し、選択し
た担体と共に製剤した生物学的薬剤の溶解度と比較する。生物学的薬剤溶解度を
測定するために様々な方法を使うことができ、限定されるものでないが、光吸収
、蛍光、分光測光、円二色性、熱量計、NMR、ESR、クロマトグラフィー;
質量分光分析その他を含む。
【0102】 生物学的薬剤の性能の限定に関係する最も一般的な問題の1つは、それらの安
定性が不十分であり、しばしばそれらの代謝酵素に対する高い感受性に関係する
。このような酵素は、生物学的薬剤の構造に依存し、プロテアーゼ、ヌクレアー
ゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼなどを含む。1つの好ましい実施態様で
は、セグメント化コポリマー担体を有する生物学的薬剤組成物のライブラリーを
作製し、代謝酵素による分解からの生物学的薬剤の保護をスクリーニングする。
スクリーニングは、単離された酵素、それらの組合わせ、または細胞もしくは組
織の単離画分に存在する酵素複合体による生物学的薬剤の処理、続いて、分析サ
ンプル中の固有の生物学的薬剤レベルの分析を含むことができる。また、スクリ
ーニングは、生物全体への生物学的薬剤の投与に基き、続いて、サンプリング、
およびサンプル中の固有の生物学的薬剤レベルの分析、または体内の固有の生物
学的薬剤レベルの連続的モニタリングによることもできる。固有の生物学的薬剤
レベルの検出には様々な方法を使うことができ、限定されるものでないが、HP
LC、LC−MS、GC−MS、放射性同位体法、NMR、様々なバイオアッセ
イ、などを含む。
【0103】 生物学的薬剤の有効性を制限する他の共通の障害は、細網内皮系による生物学
的薬剤のクリアランスによる体内の不十分な循環時間である。本発明によれば、
セグメント化コポリマー担体を有する生物学的薬剤組成物のライブラリーを調製
し、生物学的薬剤のクリアランスの低減をスクリーニングすることができる。該
スクリーニング方法は、生物学的薬剤の、アルブミンのような血漿タンパク質、
低密度および超低密度リポポリタンパク質その他との結合の直接測定に基くこと
ができる。また、これらのスクリーニング法は、マクロファージ、多形核細胞な
どのような単離細胞集団による生物学的薬剤食作用の分析を使うこともできる。
スクリーニングは、生物全体への生物学的薬剤投与に基き、続いてサンプリング
およびサンプル中の固有の生物学的薬剤レベルの分析、または体内の固有の生物
学的薬剤レベルの連続的モニタリングによることもできる。上記の方法の組合わ
せも使うことができる。
【0104】 生物学的薬剤の有効性の低下は、しばしば低いバイオアベイラビリティによる
こともある。例えば、ほとんどのポリペプチドおよびタンパク質、ポリヌクレオ
チド、ならびに多くの低分子量医薬は、経口投与すると効果がない。上記医薬の
経口バイオアベイラビリティを限定する重要な因子は、小腸上皮組織を通しての
吸収の低いことである。本発明によれば、セグメント化コポリマー担体を有する
このような生物学的薬剤のライブラリーを作製し、生物学的薬剤経口バイオアベ
イラビリティの増加をスクリーニングすることができる。スクリーニング法は、
限定されるものでないが、分極した上皮細胞単層、例えば、Caco−2または
Caco−4細胞単層を横切る生物学的薬剤輸送の測定を含む。他のバイオアベ
イラビリティに関連する問題は、中枢神経系薬剤の有効性の低いことで、これは
血液脳関門(BBB)としても知られる脳微小血管内皮組織を横切る薬剤の輸送
が制限されることによって起こる。セグメント化コポリマー担体を有する生物学
的薬剤組成物のライブラリーを作製し、BBBを横切る生物学的薬剤輸送を増加
する組成物をスクリーニングすることができる。このアッセイのためのスクリー
ニング法は、主要(primary)ウシ脳微小血管内皮細胞(BBMEC)、
ヒト主要および不死化脳微小血管内皮細胞などのような分極内皮細胞単層を横切
る生物学的薬剤輸送の測定に基くことができる。バイオアベイラビリティのスク
リーニング方法は、サンプリングおよびサンプル中の固有生物学的薬剤レベルの
分析、または体内の固有の生物学的薬剤レベルの連続的モニタリングの続く生物
全体への生物学的薬剤の投与も含む。上記の方法の組合わせも使うことができる
。生物学的薬剤の性質に依存して、その輸送効率を、限定されるものでないが、
蛍光、吸光または他の分光測光、放射性同位体法、様々なバイオまたは免疫アッ
セイなどを含む様々な方法により測定することができる。
【0105】 多くの生物学的薬剤の生物学的活性は、しばしば、細胞膜を通しての生物学的
薬剤輸送効率が不十分であることによって著しく低下する。この問題を解決する
ために、セグメント化コポリマー担体を有する生物学的薬剤組成物のライブラリ
ーを作製し、生物学的薬剤膜通過特性を改良する組成物についてスクリーニング
することができる。膜を通しての生物学的薬剤輸送の効率を評価するために、様
々なスクリーニング法を使うことができる。これらの方法は、限定されるもので
ないが、脂質二重層およびリポソームのような人工膜を横切る生物学的薬剤輸送
の分析、細胞系、一次細胞培養、細菌株および単離体などを含む細胞内の生物学
的薬剤の取り込みの分析に基く方法を含む。生物学的薬剤の性質に依存して、そ
の輸送効率を、限定されるものでないが、蛍光、吸光または他の分光測光、放射
性同位体法、様々なバイオまたは免疫アッセイ、などを含む様々な方法により測
定することができる。
【0106】 生物学的薬剤組成物のライブラリーは、生物学的薬剤の生物学的活性を直接測
定することによってスクリーニングすることもできる。生物学的薬剤の特性に依
存して、生物学的薬剤の生物学的効果を分析するために様々なスクリーニング法
を使うことができる。例えば、多くの抗癌剤に対して、TONEL染色のような
アポトーシスアッセイ;チミジンDNA取り込み速度分析のような増殖アッセイ
、MTT、XTTおよびコロニー形成アッセイを使って、選択した組成物の有効
性を評価することができる。細胞接着に基く方法を、免疫調節組成物の評価に使
うことができる。
【0107】 生物学的薬剤の性質によっては、さらに特異的なスクリーニング法を使って生
物学的薬剤組成物の有効性を評価することができ、それらは、限定されるもので
ないが、特定の生物学的薬剤に対する直接または間接標的として知られる特異的
酵素の活性の分析;生物学的薬剤の作用機序に関わるシグナル伝達事象(チロシ
ンのリン酸化、SH2および/またはSH3シグナリングタンパク質の結合また
は解離、セカンドメッセンジャーレベルの変化などのような)の分析;生物学的
薬剤作用機序に関わることが知られている特異的遺伝子発現の分析(ハイブリダ
イゼーション、RT−PCRおよび/またはタンパク質発現アッセイの使用によ
る)を含む。
【0108】 一般的に、生物学的薬剤組成物の生物学的活性、輸送、薬物動態学、安定性に
関係するどのアッセイも、予め選択された生物学的薬剤を有する最適性能組成物
に対して、セグメント化コポリマー担体を有する生物学的薬剤組成物のライブラ
リーをスクリーニングするために使うことができる。
【0109】 本発明による生物学的薬剤組成物のスクリーニングおよび同定は、バーチャル
ライブラリーを使うことができる。特定のコンピューター解析に限定されること
を望むのでなしに、バーチャルライブラリーの使用を以下に例示する。所望の生
物学的薬剤組成物を同定するスタート情報は、(i)医薬構造、(ii)セグメ
ント化コポリマー合成に利用可能なポリマーセグメントのデータベース、および
(iii)もし利用可能であれば、セグメント化コポリマーの蓄積データを含む
。スタートデータは、候補医薬を含む所与の生物学的薬剤に対する好ましい生物
学的薬剤組成物を同定するための、所望の生物学的特性の選択も含む。コンピュ
ーターデータベースに貯えられたポリマーセグメントの構造を組合せることによ
って、新しい担体分子をバーチャルに組立てる。この組合わせを結合形成の規則
に当てはめ、あたかも新化合物が化学反応の結果として合成されるかのように、
特定の分子構造のセグメント化コポリマーを得る。複数のバーチャルに設計した
セグメント化コポリマーが、バーチャルコポリマーベースとなる。その後、この
ベースの各コポリマーの物理化学的および生物学的特性を、実験で実際に合成し
特性決定した個別のブロックおよび/またはモデルセグメント化コポリマーの特
性を使って、その特定の構造と関係づけて予測する。単離したセグメントの特性
は、限定されるものでないが、繰り返し単位の化学構造、ポリマーセグメントの
長さ、構造から導かれるQSARパラメーター、および実験から利用可能なまた
は実験データから導かれる物理化学的および生物学的パラメーターを含む。セグ
メント特性の例は、分子量、容積、表面、疎水性、水和エネルギー、分配係数、
(ポリ電解質については)イオン化度、などを含む。コポリマー特性を、セグメ
ント特性とコポリマー特性間の既知のまたは予測される関係に基いて予測するこ
とができる。
【0110】 特定の理論に限定されることを望むのでなしに、コポリマー特性について先に
蓄積されたデータの内挿または外挿は予測値を与えると考えられる。この段階で
、生物学的薬剤組成物、例えば候補医薬および実際に合成されたモデルセグメン
ト化コポリマー、の実験的に測定された生物学的特性のデータが、コンピュータ
ー解析に使用される。その後、コポリマーおよびその生物学的薬剤を有する組成
物の予測された特性を所望の値と比較し、適合スコアを計算する。最後に、ベー
スからのバーチャルな担体分子をそのスコアによって分類し、最良組成物を同定
する。
【0111】 特定の理論により限定されることを望むのでなしに、所望の特性を有する生物学
的薬剤組成物の同定で可能性のあるエレメントは、限定されるものでないが、非
常に多彩な化学テンプレートを含んでなる親データベース、担体の探索用バーチ
ャルライブラリー、生物学的薬剤組成物の化学的および物理的特性を予測するコ
ンピューター解析、実証されたセグメント化コポリマー化学(固相および溶液相
化学を含む)および高速処理スクリーニングを含むと考えられる。
【0112】 生物学的薬剤。 本発明の生物学的薬剤は、診断もしくはイメージングに有用
な薬剤、または細胞、器官もしくは生物に作用して、該細胞、器官もしくは生物
の機能に変化を起こすことのできる薬剤であり、具体的は、医薬用薬剤、免疫ア
ジュバント、ワクチン遺伝子、除草剤などが挙げられるが、これらに限定される
ものではない。このような生物学的薬剤は、例えば、診断、治療、免疫化で使用
されるか、さもなければ、ヒトおよび動物の疾患の撲滅に適用される。このよう
な薬剤としては、核酸、ポリヌクレオチド、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、
駆虫薬、殺腫瘍薬もしくは抗癌薬、タンパク質、毒素、酵素、ホルモン、神経伝
達物質、糖タンパク質、免疫グロブリン、免疫調節薬、染料、放射能標識、放射
線不透過性化合物、蛍光性化合物、多糖、細胞受容体結合分子、抗炎症薬、抗緑
内障薬、散瞳薬化合物、局部麻酔薬が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0113】 本発明に使用可能な生物学的薬剤の具体的なクラスとしては、医薬用薬剤が挙
げられる。多くの薬剤は、生体から急速に除去されるか、または生体の防御機構
によって分解される。こうした問題があると、有害な副作用のある場合も含めて
、薬剤がその標的に到達するまでに要する時間を短くしなければならないため、
また安全に患者に投与することのできる薬剤の量が制限されるため、薬剤の有効
性は著しく損なわれる。更に、多くの薬剤は、組織に容易に浸透ぜす、効率的に
適切な細胞を探し出してそこに濃縮されることもないため、それらの治療効果を
最大限に発揮することはできない。本発明に係る生物学的薬剤組成物を使用する
と、副作用が減少するため、治療薬の顕著な改良が可能となり、しかも治療薬の
作用を強化することができる。
【0114】 本発明の組成物に使用可能な生物学的薬剤としては、インドメタシン、サリチ
ル酸酢酸塩、イブプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、およびナプロキセン
のような非ステロイド系抗炎症薬;チモロールまたはピロカルピンのような抗緑
内障薬;アセチルコリンのような神経伝達物質;ジブカインのような麻酔薬;フ
ェノチアジン(例えば、コンパジン、トラジン、プロマジン、クロルプロマジン
、アセプロマジン、アミノプロマジン、ペラジン、プロクロルペラジン、トリフ
ロオペラジン、およびチオプロペラジン)、ラウオルフィアアルカロイド(例え
ば、レスペリン(resperine)およびデセルピン)、チオキサンテン(
例えば、クロルプロチキセンおよびチオチキセン)、ブチロフェノン(例えば、
ハロペリドール、モペロン、トリフルオペルドール、チミペロン、およびドロペ
リドール)、ジフェニルブチルピペリジン(例えば、ピモジド)、およびベンズ
アミド(例えば、スルピリドおよびチアプリド)のような神経弛緩薬;グリセリ
ン誘導体(例えば、メフェネシンおよびメトカルバモル)、プロパンジオール(
例えば、メプロバメート)、ジフェニルメタン誘導体(例えば、オルフェナドリ
ン、ベンゾトラピン、およびヒドロキシジン)、およびベンゾジアゼピン(例え
ば、クロルジアゼポキシドおよびダイアゼパム)のような精神安定剤;催眠薬(
例えば、ゾルピデムおよびブトクタミド(butoctamide));β遮断
薬(例えば、プロプラノロール、アセブトノール、メトプロロール、およびピン
ドロール);ジベンゾアゼピン(例えば、イミプラミン)、ジベンゾシクロヘプ
テン(例えば、アミチリプチリン(amtiriptyline))、および四
環化合物(例えば、ミアンセリン)のような抗うつ薬;MAO阻害剤(例えば、
フェネルジン、イプロニアジド、およびセレゲリン);フェニルエチルアミン誘
導体(例えば、アンフェタミン、デキサンフェタミン、フェンプロポレックス、
フェンテルミン、アンフェプラモン、およびペモリン)およびジメチルアミノエ
タノール(例えば、クロフェンシクラン、シプロデネート、アミノレックス、お
よびマチンドール)のような精神刺激薬;GABA模擬体(例えば、プロガビド
);アルカロイド(例えば、コデルゴクリン、ジヒドロエルゴクリスチン、およ
びビンカミン);抗パーキンソン薬(例えば、L−ドーパミンおよびセレゲリン
);アルツハイマー病の治療で利用されている薬剤であるコリン作用剤(例えば
、シチコリンおよびフィゾスチグミン);血管拡張薬(例えば、ペントキシフィ
リン)、ならびに大脳活性薬(例えば、ピリチノールおよびメクロフェノキサー
ト)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このほかに、これらの
薬剤としては、DNAトポイソメラーゼ阻害剤(タイプIおよびタイプIIを含
む)、脳および腫瘍のイメージング剤、フリーラジカル消去剤、抗凝血剤、イオ
ン導入剤(ionotropic agent)、ならびにエンドルフィンのよ
うな神経ペプチドが挙げられる。
【0115】 また、生物学的薬剤組成物は、パクリタクセル、ダウノルビシン、ドキソルビ
シン、カルミノマイシン、4’−エピアドリアマイシン、4−デメトキシ−ダウ
ノマイシン、11−デオキシダウノルビシン、13−デオキシダウノルビシン、
アドリアマイシン−14−ベンゾエート、アドリアマイシン−14−オクタノエ
ート、アドリアマイシン−14−ナフタレンアセテート、ビンブラスチン、ビン
クリスチン、マイトマイシンC、N−メチルマイトマイシンC、ブレオマイシン
A2、ジデアザテトラヒドロ葉酸、アミノプテリン、メトトレキセート、コルキ
シン、およびシスプラチンのような抗腫瘍薬;ゲンタマイシンなどのアミノグリ
コシドのような抗菌薬;リファンピシン、3’−アジド−3’−デオキシチミジ
ン(AZT)、およびアシクロビルのような抗ウイルス化合物;フルコナゾール
などのアゾールのような抗真菌薬;アンフォテリシンBおよびカンジシジンのよ
うなマクロライド系抗生物質;アンチモン含有物質のような駆虫化合物と有利に
併用することができる。これらの生物学的薬剤には、ビンクリスチンおよびビン
ブラスチンのようなビンカアルカロイド;マイトマイシンCおよびN−メチルマ
イトマイシンのようなマイトマイシンタイプの抗生物質;ブレオマイシンA2の
ようなブレオマイシンタイプの抗生物質;メトトレキセート、アミノプテリン、
およびジデアザテトラヒドロ葉酸のような抗葉酸剤;タキサン;アントラサイク
リン抗生物質などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0116】 本発明の組成物中では、種々のポリペプチド、具体的には、抗体;ジフテリア
毒素のような毒素;コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、神経ペプチド、生長ホル
モン、エリトロポイエチン、および甲状腺ホルモンのようなペプチドホルモン;
μ−リポタンパク質のようなリポタンパク質;ヒアルロン酸のようなプロテオグ
リカン;生殖腺刺激ホルモンのような糖タンパク質;インターフェロンまたはイ
ンターロイキンのような免疫調節薬またはサイトカイン;エストロゲン受容体の
ようなホルモン受容体を利用することもできる。
【0117】 本発明の組成物は、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、アンギオテンシ
ン変換酵、5μ−還元酵素などの酵素阻害剤と併用することができる。これらの
薬剤の典型的な例としては、フィナステリド、キナプリル、ラミプリル、リシノ
プリル、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ジドブジン
、ザルシタビン、アロフェニルノルスタチン、キノスタチン、デラビリジン、ビ
ス−テトラヒドロフランリガンドのようなペプチドおよび非ペプチド構造体(例
えば、Ghosh etal.,J.Med.Chem.1996、39:32
78を参照されたい)、およびジダノシンである。このような薬剤は、単独で、
または併用療法において投与することができる。併用療法としては、例えば、サ
キナビルとザルシタビンとジダノシンの組合せ、ザルシタビンとジドブジンとの
組合せが利用できる。例えば、 Collier eet al.,Antiv
iral Res.,1996,29:99を参照されたい。
【0118】 生物学的薬剤組成物は、チミンのような核酸、DNAもしくはRNAのポリマ
ーのようなポリヌクレオチド、または合成のオリゴヌクレオチドと併用すること
ができ、これらの物質は、細胞中への侵入を容易にするために、疎水性置換基を
用いて、ポリ核酸分子の5’末端または3’末端を共有結合により改変し、誘導
体を形成することが可能である(例えば、Kabanov et al.,FE
BS Lett.,1990,259,327;Kabanov and Al
akhov,J.Contr.Rel.,1990,28:15を参照されたい
)。更に、ポリヌクレオチドのリン酸骨格は、負の電荷を除去するように改変さ
れ(例えば、Agriset al.,Biochemisty,1968,2
5:6268,Cazenave and Helene in Antise
nse Nucleic Acids and Proteins: Fund
amentals and Applications,Mol and Va
n der Krol.,Eds.,p.47以下., Marcel Dek
ker,NewYork,1991を参照されたい)、またはプリンもしくはピ
リミジン塩基は、例えば、光誘起架橋性基、アルキル化基、有機金属基、インタ
ーカレート性基、ビオチン、蛍光性基、および放射性基を導入するように改変さ
れている(例えば、Antisense Nucleic Acids and
Proteins:Fundamentals and Applicati
ons,Mol and Van der Krol.Eds.,p.47以下
.,Marcel Dekker,New York,1991;Millig
an et al.In Gene Therapy for Neoplas
tic Diseases,Huber and Laso,Eds.P.22
8以下.,New York Academy of Sciences,Ne
w York,1994を参照されたい)。このような核酸分子としては、特に
、アンチセンス核酸分子、ホスホジエステル、オリゴヌクレオチド(−アノマー
、エチルホスホトリエステル類似体、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエー
ト、ホスホロ−エチルトリエステル(ethyletriesters)、メチ
ルホスホネートなどが挙げられる(例えば、Crooke,Anti−Canc
er Drug Design 1991,6:609;De Mesmaek
er,et al.,Acc.Chem.Res.1995,28:366を参
照されたい)。本発明は、坑原、リボザイム、およびアプタマー核酸薬と併用さ
れる(例えば、Stull and Szoka,Pharm.Res.199
5,12:465を参照されたい)。
【0119】 適切な生物学的薬剤としては、ウィルスゲノムおよびウイルスが挙げられる(
脂質およびタンパク質コートを含む)。このことは、遺伝子送達において、種々
のウイルスベクターの使用が可能であることを意味し、ウイルスは、全体または
その一部分が使用される(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス
ウイルス、ポックスウイルス)。例えば、Hodgson,Biotechno
logy,1995,13:222を参照されたい。
【0120】 適切な生物学的薬剤としては、酸素トラスタポーター(例えば、ポルフィン、
ポルフィリン、およびそれらと金属イオンとの錯体)、補酵素、およびビタミン
(例えば、NAD/NADH、ビタミンB12、クロロフィル)などが挙げられ
る。
【0121】 また、適切な生物学的薬剤としては、核磁気共鳴イメージングのような診断結
果視覚化法に使用される薬剤(例えば、ガドリニウム(III)ジエチレントリ
アミン五酢酸)が挙げられるが、キレート化基(例えば、ジエチレントリアミン
五酢酸、トリエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,2−ジ
アミノシクロ−ヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸、N,N’−ジ(2−ヒ
ドロキシベンジル)エチレンジアミン)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレ
ンジアミン三酢酸など)であってもよい。更に、このような生物学的薬剤として
は、α線、β線、またはγ線を放出する放射性核種が挙げられる(例えば、ガリ
ウム67、インジウム111、テクネチウム99)。このほかに、適切な生物学
的薬剤としては、ヨウ素を含有する放射線不透過性分子が挙げられる。
【0122】 生物学的薬剤はまた、診断薬であってもよく、例えば、常磁性元素もしくは超
常磁性元素、または常磁性元素と放射性核種との組合せであってもよい。常磁性
元素としては、ガドリニウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウ
ム(III)、ユーロピウム(III)、鉄(III)、またはマンガン(II
)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】 また、本発明はまた、酵素、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組
織プラスミノーゲン活性化因子、または血餅の溶解ならびに血栓症を患った冠状
動脈または他の血管を通る血流の再確立および保持に効果のある他の線維素溶解
酵素を含んでなる有用な線維素溶解組成物を同定するためにも、使用することが
できる。また、本発明は、火傷、循環(特に微小循環)の急性障害がある循環系
疾患、および呼吸窮迫症候群の治療に有用な組成物、ならびに血管形成術時の組
織損傷を低減させるための組成物を同定するためにも使用される。更に、本発明
を用いて同定される組成物としては、心筋損傷、局所貧血組織、再潅流障害によ
る損傷組織、発作、鎌状細胞貧血、および低体温症を治療するための組成物が挙
げられる。これらの組成物は、異常な細胞によって引き起こされ、マラリアおよ
び白血病における合併症として現れることの多い血管閉塞症の治療に特に有用で
あるとともに、器官移植用の潅流媒体としても好適である。このほかに、本発明
は、抗感染症用化合物、および免疫応答のモジュレーター、ならびに改良された
アジュバント、抗原、およびワクチンを含んでなる組成物の同定にも好適である
【0124】 本発明に使用するための好適なアジュバントとしては、無機質、細菌、植物、
合成物、または宿主産物に由来するアジュバントが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。適切な無機質アジュバントとしては、アルミニウム粒子お
よび水酸化アルミニウムのようなアルミニウム化合物が挙げられる。適切な細菌
性アジュバントとしては、ムラミルジペプチド、脂質A、百日咳菌、フロイント
完全アジュバント、リポ多糖、およびその種々の誘導体が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。適切なアジュバントとしては、マラリアの合成ペプ
チドのような小さい免疫原、多糖、タンパク質、細菌、およびウイルスが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。本発明で使用可能な抗原は、哺乳動
物に導入されると抗体が形成される化合物である。適切な抗原としては、ウイル
ス、細菌、真菌、寄生生物、および他の感染性物質に由来する、天然、組換え、
もしくは合成の産物、ならびに自己免疫疾患因子、ホルモン、または予防用もし
くは治療用ワクチンに使用される腫瘍抗原が挙げられるが、これらに限定される
ものではない。こうした抗原としては、酵素的切断によって産生される成分が挙
げられるが、組換えDNA技術によって産生される化合物であってもよい。適切
なウィルス抗原としては、HIV、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、口
蹄病ウイルス、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘ウイ
ルス、仮性狂犬病ウイルス、狂犬病ウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎、C
型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、ジステンパーウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄
炎ウイルス、ロタウイルス、ポリオーマ腫瘍ウイルス、ネコ白血病ウイルス、レ
オウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ラッサ熱ウイルス、イヌパルボウイルス、
ウシ乳頭腫ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、牛疫ウイルス、ヒトライノウイ
ルス種、エンテロウイルス種、メンゴウイルス、パラミクソウイルス、トリ伝染
性気管支炎ウイルスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切な
細菌抗原としては、百日咳菌、ウシ流産菌、大腸菌、サルモネラ種、チフス菌、
連鎖球菌、コレラ菌、赤痢菌、シュードモナス菌、結核菌、らい菌などが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。このほかの適切な抗原としては、ロ
ッキー山斑点熱および発疹チフスに見られるような感染種、マラリア、住血吸虫
、およびトリパノソーマのような寄生生物、クリプトコックス・ネオフォルマン
ス(Cryptococcus neoformans)のような真菌が挙げら
れる。タンパク質抗原およびペプチド抗原としては、組換えタンパク質のサブユ
ニット(例えば、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、B型肝
炎ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、フラビウイルス、デング熱ウイルス、黄熱病
ウイルス、淋菌、マラリア、トリパノソーマ表面抗原、アルファウイルス、アデ
ノウイルスなどに由来するもの)、タンパク質(例えば、ジフテリアトキソイド
、破傷風トキソイド、髄膜炎菌外膜タンパク質、連鎖球菌Mタンパク質、B型肝
炎、インフルエンザ赤血球凝集素など)、合成のペプチド(例えば、マラリア、
インフルエンザ、口蹄病ウイルス、B型肝炎、C型肝炎)が挙げられる。好適な
多糖抗原およびオリゴ糖抗原は、肺炎球菌、ヘモフィルスインフルエンザ、髄膜
炎菌、緑膿菌、肺炎桿菌、肺炎球菌に由来する。
【0125】 界面活性剤 本明細書中において、界面活性剤とは、最も一般的な意味で、界
面に吸着される界面活性な薬剤として定義付けられる (例えば、Martin
,Physical Pharmacy,4th ed.,p.370以下.,
Lea & Febiger,Philadelphia,London,19
93を参照されたい)。これらの界面活性剤は、特に、水溶液において空気−水
の界面での表面張力を減少させる(例えば、Martin,Physical
Pharmacy,4th ed.,p.370以下.,Lea & Febi
ger,Philadelphia,London,1993を参照されたい)
。これらの具体例としては、ミセル形成性両親媒性物質、石鹸、脂質、界面活性
薬、他の界面活性な生物学的薬剤などが挙げられるが、これらに限定されない(
例えば、Martin,Physical Pharmacy,4th ed.
,Lea & Febiger,Philadelphia,London,1
993;Marcel Dekker,New York,Basel,197
9;Atwood and Florence,J.Pharm.Pharma
col.,1971,23:242S;Atwood and Florenc
e.J.Pharm.Sci.,1974,63:988;Florence
and Attwood,Physicochemical Principl
es of Pharmacy,2d.edn.,p.180以下.,Chap
man and Hall,New York,1988;Hunter,In
troduction to Modern Colloid Science
,p.12以下.,Oxford University Press.Oxf
ord.1993を参照されたい)。
【0126】 本発明の生物学的薬剤組成物に使用可能なカチオン性界面活性剤としては、次
の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。第1級アミン(例
えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウン
デシルアミン、ドデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オ
レイルアミン、ステアリルアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミ
ノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミ
ノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン)、第2級アミン(例えば、N,
N−ジステアリルアミン)、第3級アミン(例えば、N,N’,N’−ポリオキ
シエチレン(10)−N−獣脂(tallow)−1,3−ジアミノプロパン)
、第4級アミン塩(例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサ
デシルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルトリメチルアンモニウムブロ
ミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリ
ド、ベンゼトニウムクロリド、ベンジロニウムブロミド、ベンジルジメチルドデ
シルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリ
ド、ベンジルトリメチルアンモニウムメトキシド、セチルジメチルエチルアンモ
ニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、メチルベンゼ
トニウムクロリド、デカメトニウムクロリド、メチル混合トリアルキルアンモニ
ウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド)、1,2−ジアシル
−3 − (トリメチルアンモニオ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジ
パルミトイル、ジステアロイル、ジオレオイル)、1,2−ジアシル−3−(ジ
メチル−アンモニオ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル、
ジステアロイル、ジオレオイル)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメ
チルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール、1,2−ジオレオイル−3
−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル、コレステリル(4’−トリ
メチルアンモニオ)ブタノエート)、ヘテロ環アミン、イミダゾール、チアゾリ
ウム塩、N−アルキルピリジニウム塩およびキナルジニウム塩(例えば、セチル
ピリジニウムハライド)、N−アルキルピペリジニウム塩、ジアルキルジメチル
アンモニウム塩、ジカチオンのボラ形電解質(C12Me;C12Bu)、
ジアルキルグリセリルホルホリルコリン、リゾレシチン)、コレステロールヘミ
スクシネートコリンエステル、リポポリアミン(例えば、ジオクタデシルアミド
グリシルスペルミン(DOGS)、ジパルミトイルホスファチジルエタノール−
アミドスペルミン(DPPES)、N’−オクタデシルスペルミンカルボキサミ
ドヒドロキシトリフルオロアセテート、N’,N”−ジオクタデシルスペルミン
カルボキサミドヒドロキシトリフルオロアセテート、N’−ノナフルオロペンタ
デシルスペルミンカルボキサミドヒドロキシトリフルオロアセテート、N’,N
”−ジオクチル(スペルミンカルボニル)グリシンアミドヒドロキシトリフルオ
ロアセテート、N’−(ヘプタデカフルオロデシル)−N’−(ノナフルオロペ
ンタデシル)−スペルミンカルボニル)グリシンアミドヒドロキシトリフルオロ
アセテート、N’−[3,6,9−トリオキサ−7−(2’−オキサエイコス−
11’−エニル)ヘプタエイコス−18−エニル]スペルミンカルボキサミドヒ
ドロキシトリフルオロアセテート、N’−(1,2−ジオレオイル−sn−グリ
セロ−3−ホスホエタノイル)−スペルミンカルボキサミドヒドロキシトリフル
オロアセテート)(例えば、Behretal.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.1989,86:6982;Remy et al.,Bioco
njugate Chem.1994,5:647を参照されたい)、2,3−
ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N
−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)(
例えば、Ciccarone et al.,Focus 1993,15:8
0を参照されたい)、N,N’,N”,N”’− テトラメチル− N,N’,
N”,N”’−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)(Lukow e
t al.,J.Virol.,1993,67:4566)、N−[1−(2
,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムク
ロリド(DOTMA)(例えば、 Felgner,et al.,Proc.
Natl.Acad.Sci.,USA 1987,84:7413;Cicc
arone et al.,Focus 1993,15:80を参照されたい
)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)(例えば、Wh
ittetal.,Focus 1991,13:8を参照されたい)、1,2
−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DO
RI)(例えば、Felgner et al.,J.Biol.Chem.,
1994,269:2550を参照されたい)、1,2−ジオレイルオキシプロ
ピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)(
例えば、Felgner et al.,JBiol.Chem.1994,2
69:2550を参照されたい)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジ
メチル −ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド(DORIE−HP)(例
えば、Felgneretal..J.Biol.Chem.,1994,26
9:2550を参照されたい)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメ
チル−ヒドロキシブチルアンモニウムブロミド(DORIE−HB)(例えば、
Felgner et al.,J.Biol.Chem.1994,269:
2550を参照されたい)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル
−ヒドロキシペンチルアンモニウムブロミド(DORIE−HPe)(例えば、
Felgner et al.,J.Biol.Chem.,1994,269
:2550を参照されたい)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメ
チル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)(例えば、Fel
gner et al.,J.Biol.Chem.,1994,269:25
50を参照されたい)、1,2−ジパルミトイルオキシプロピル−3−ジメチル
−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DPRJE)(例えば、Felgn
er et al.,J.Biol.Chem.,1994,269:2550
を参照されたい)、1,2−ジステアロイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒ
ドロキシエチルアンモニウムブロミド(DSRIE)(例えば、Felgner
et al.,J.Biol.Chem.,1994,269:2550を参
照されたい)、N,N−ジメチル−N−[2−(2−メチル−4−(1,1,3
,3−テトラメチルブチル)−フェノキシ)エトキシ]エチル)−ベンゼンメタ
ンアミニウムクロリド(DEBDA)、N−[1−(2,3 −ジオレイルオキ
シ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェート(D
OTAB)、リポポリ−L(またはD)−リシン(例えば、Zhou,et a
l..Biochim.Biophys.Acta 1991,1065:8を
参照されたい)、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミンリシンにコン
ジュゲートしたポリ(L(またはD)−リシン(例えば、Zhou.et al
.,Biochim.Biophys.Acta 1991,1065:8を参
照されたい)、ペンダントアミノ基を有するジドデシルグルタメートエステル(
12GluPhC)(例えば、Behr,Bioconjugate
Chem,1994,5:382を参照されたい)、ペンダントアミノ基を有す
るジテトラデシルグルタメートエステル(C14GluC)(例えば、B
ehr,Bioconjugate Chem.1994,5:382を参照さ
れたい)、9−(N’,N”−ジオクタデシル−グリシンアミド)アクリジン(
例えば、Remy et al.,Bioconjugate Chem.19
94,5:647を参照されたい)、エチル4−[[N−[3−ビス(オクタデ
シルカルバモイル)−2−オキサプロピルカルボニル]−グリシンアミド]ピロ
ール−2−カルボキサミド]−4−ピロール−2−カルボキシレート(例えば、
Remy et al.,Bioconjugate Chem.1994,5
:647を参照されたい)、N’、N’−ジオクタデシルオルニチルグリシンア
ミドヒドロ(hydrop)トリフルオロアセテート(例えば、Remyet
al.,Bioconjugate Chem.1994,5:647を参照さ
れたい)、コレステロールのカチオン性誘導体(例えば、コレステリル−3(−
オキシスクシンアミドエチレントリメチルアンモニウム塩、コレステリル−3(
−オキシスクシンアミドエチレンジメチルアミン、コレステリル−3(−カルボ
キシアミド− エチレントリメチルアンモニウム塩、コレステリル−3(−カル
ボキシアミドエチレンジメチル−アミン、3([N −(N’,N’−ジメチル
アミノエタン−カルバモイル)コレステロール](例えば、Singhal a
nd Huang,In Gene Therapeutics,Wolff,
Ed.,p.118以下.,Birkhauser,Boston,1993を
参照されたい)、pH感受性カチオン性脂質(例えば、4−(2,3−ビス−パ
ルミトイルオキシ−プロピル)−1−メチル−1H−イミダゾール、4−(2,
3−ビス−オレオイルオキシ−プロピル)−1−メチル−1H−イミダゾール、
コレステロール−(3−イミダゾール−1−イルプロピル)カルバメート、2,
3−ビス−パルミトイル−プロピル−ピリジン−4−イル−アミン)など(例え
ば、Budker,et al.,Nature Biotechnology
,1996,14:760を参照されたい)。
【0127】 遺伝子送達および他の用途に関連して特に有用なものは、カチオン性界面活性
剤と非イオン性界面活性剤との混合物を含んでなる組成物である。このような物
質としては、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジオ
レオイルホスファチジルコリン(DOPC)が挙げられるが、これらに限定され
るものではない(例えば、Felgner,et al.,Proc.Natl
.Acad.Sci.,USA(1987);Singhal and Hua
ng,Gene Therapeutics,Wolff,Ed.,p.118
以下., Birkhauser.Boston,1993を参照されたい)。
このほかに、このような物質には、カチオン性脂質組成物として市販されている
ものがあり、具体的は、LipofectAMINETM、Lipofecti
ne(登録商標)、DMRIE−C、CellFICTINTM、Lipofe
ctACETM Transfectam試薬(例えば、Ciccarone
et al.,Foeus 1993,15:80;Lukow et al.
,J.Virol.,1993,67:4566;Behr,Bioconju
gate Chem.1994,5:382;Singhal and Hua
ng,Gene Therapeutics,Wolff.Ed.,p.118
以下.,Birkhauser,Boston,1993;GIBCO−BRL
Co.;Promega Co.,Sigma Co.を参照されたい)、お
よび細胞のトランスフェクションに使用される他のカチオン性脂質組成物(例え
ば、Felgner et al.,J.Biol.Chem.,1994,2
69:2550;Budker,et al.,Nature Biotech
nology 1996,14:760を参照されたい)が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0128】 生物学的薬剤組成物に使用可能な陰イオン界面活性剤としては、次の物質が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。アルキルスルフェート、アルキ
ルスルホネート、飽和および不飽和脂肪酸の塩ならびにそれらの誘導体などの脂
肪酸石鹸(例えば、アドレン酸、アラキドン酸、2−オクテン酸、オクタン酸、
ノナン酸、ドデカン酸、ウンデカン酸、ウンデセレン(unde celeni
)酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミト
レイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、ヘネイコサン酸、ド
コサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、cis−15−テトラコセン酸、ヘ
キサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、トリオカンタン(trioc
antanoic)酸など、の塩)、ヒドロキシ−、ヒドロペルオキシ−、ポリ
ヒドロキシ−、エポキシ−脂肪酸の塩(例えば、IngramおよびBrash
,Lipids 1988,23:340;Honnら,Prostaglan
dins 1992,44:413;Yamamoto,Free Radic
.Biol.Med.,1991,10:149;Fitzpatrickおよ
びMurphy,Pharmacol.Rev.,1989,40:229;M
ullerら,Prostaglandins 1989,38:635;Fa
lgueyretら.FEBS Lett.1990,262:197;Cay
man Chemical Co.,1994 Catalog,pp.78−
108を参照されたい)、カルボン酸の塩(例えば、吉草酸、trans−2,
4−ペンタジエン酸、ヘエサン酸、trans−2−ヘキセン酸、trans−
3−ヘセン酸、2,6−ヘプタジエン酸、6−ヘプテン酸、ヘプタン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、デカンジカル
ボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカン二酸、
ドコセン二酸、テトラコサン二酸、プロスタン酸とその誘導体(例えば、プロス
タグランジン)など、の塩)(例えば、Nolsonら,C&EN 1982,
30−44;Frolich,Prostaglandins,1984,27
:349;Cayman Chemical Co.,1994 Catalo
g,pp.26−61を参照されたい)、ロイコトリエンおよびリポキシン(例
えば、Samuelssonら,Science 1987,237:1171
;CaymanChemical Co.,1994 Catalog,pp.
64−75を参照されたい)、アルキルホスフェート、O−ホスフェート(例え
ば、ベンホチアミン)、アルキルホスホネート、天然および合成脂質(例えば、
ジメチルアリルピロホスフェートアンモニウム塩、S−ファルネシルチオ酢酸、
ファルネシルピロホスフェート、 2−ヒドロキシミリスチン酸、2−フルオル
パルミチン酸、イノシトールトリホスフェート、ゲラニルピロホスフェート、ゲ
ラニルゲラニルピロホスフェート、(−ヒドロキシファルネシルホスホン酸、イ
ソペンチルピロホスフェート、ホスファチジルセリン、カルジオリピン、ホスフ
ァチジン酸とその誘導体、リゾホスファチジン酸、スフィンゴ脂質など)、ナト
リウム−ジアルキルスルホスクシネートのような脂質の合成類似体(例えば、A
erosol OT(登録商標)、n−アルキルエトキシル化スルフェート、n
−アルキルモノチオカーボネート、アルキル−およびアリールスルフェート(ア
サプロール(asaprol)、アゾスルファミド、p−(ベンジルスルホンア
ミド)安息香酸、セホニシド、CHAPS)、モノ−およびジアルキルジチオホ
スフェート、N−アルカノイル−N−メチルグルカミン、ペルフルオロアルカノ
エート、胆汁酸のコレートおよびデスオキシコレート塩、4−クロロインドール
酢酸、ククルビン酸、ジャスモン酸、7−エピジャスモン酸の、12−オキソ−
フィトジエン酸、トラウマチン酸、ツベロン酸、アブシジン酸、アシテルチン(
acitertin)など。
【0129】 本発明に従って使用可能な陽イオンおよび陰イオン界面活性剤としては、この
ほかに、フルオロカーボン界面活性剤、フルオロカーボン−炭化水素混合型界面
活性剤が挙げられる。 例えば、Mukerjee,P.Coll.Surfa
ces A:Physicochem.Engin.Asp.,1994,84
:1;Guoら.J.Phys.Chem.1991,95:1829;Guo
らJ.Phys.Chem.1992,96:10068を参照されたい。 本
発明に有用であるこのような界面活性剤を次に列挙するが、これらに限定される
ものではない。ペルフルオロカルボン酸の塩(例えば、ペンタフルオロプロピオ
ン酸、ヘプタフルオロ酪酸、ノナフルオロペンタン酸、トリデカフルオロヘプタ
ン酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロノナン酸、ノナデカ
フルオロデカン酸、ペルフルオロドデカン酸、ペルフルオロテトラデカン酸、ヘ
キサフルオログルタル酸、ペルフルオロアジピン酸、ペルフルオロスベリン酸、
ペルフルオロセバシン酸など、の塩)、ダブルテールハイブリッド界面活性剤(
2m+1)(C2n+1)CH−OSONa(例えば、Guoら、
J.Phys.Chem.,1992,96:6738;Guoら,JPhys
.Chem.,1992,96:10068;Guoら,J.Phys.Che
m.,1992,96:10068を参照されたい)、フルオロ脂肪族ホスホネ
ート、フルオロ脂肪族スルフェートなど。
【0130】 生物学的薬剤組成物には更に、非イオンまたは双性イオン界面活性剤が含まれ
ていてもよく、具体的は、次の物質が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル
グリセロール、ホスファチジルイノシトール、ジアシルホスファチジルコリン、
ジ−O−アルキルホスファチジルコリン、血小板活性化因子、PAFアゴニスト
とPAFアンタゴニスト、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタ
ノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルイノシト
ール、リゾ−血小板活性化因子とその類似体など)、飽和および不飽和脂肪酸誘
導体(例えば、エチルエステル、プロピルエステル、コレステリルエステル、補
酵素Aエステル、ニトロフェニルエステル、ナフチルエステル、モノグリセリド
、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪アルコール、脂肪アルコールアセテート
など)、リポ多糖類、糖脂質とスフィンゴ脂質(例えば、セラミド、セレブロシ
ド、ガラクトシルジグリセリド、ガングリオシド、ラクトセレブロシド、リゾス
ルファチド、サイコシン、スフィンゴミエリン、スフィンゴシン、スルファチド
)発色脂質(中性脂肪、リン脂質、セレブロシド、スフィンゴミエリン)、コレ
ステロールとコレステロール誘導体、AmphotericinB、アバメクチ
ン、アセジアスルホン、n−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、n
−アルキルポリオキシエチレンエーテル(例えば、TritonTM、ソルビタ
ンエステル(例えば、SpanTM、ポリグリコールエーテル界面活性剤(Te
rgitolTM、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、TweenTM
ポリソルベート、ポリオキシエチル化グリコールモノエーテル(例えば、Bri
TM、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン10エー
テル、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル)、ルブロール、エチレンオ
キシドとプロピレンオキシドとのコポリマー(例えば、PluronicTM
Pluronic−RTM、TeronicTM、PluradotTM、アル
キルアリールポリエーテルアルコール(TyloxapoITM、ペルフルオロ
アルキルポリオキシル化アミド、N,N−ビス[3−d−グルコンアミドプロピ
ル]コラミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル(−d−グルコ
ピラノシド、n−デシル(−d−グルコピラノシド、n−デシル(−d−マルト
ピラノシド、n−ドデシル基(−d−グルコピラノシド、n−ウンデシル(−d
−グルコピラノシド、n−ヘプチル(−d−グルコピラノシド、n−ヘプチル(
−d−チオグルコピラノシド、n−ヘキシル(−d−グルコピラノシド、n−ノ
ナノイル(−d−グルコピラノシド1−モノオレイル−rac−グリセロール、
ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ドデシル(−d−マルトシド、n−ド
デシル(−d−マルトシド、N,N−ビス[3−グルコンアミド−プロピル]デ
オキシコラミド、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジギトニン、ヘ
プタノイル−n−メチルグルカミド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、オ
クタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル(−d−グルコピラノシド、
n−オクチル(−d−グルコピラノシド、n−オクチル(−d−チオガラクトピ
ラノシド、n−オクチル(−d−チオグルコピラノシド、ベタイン(R
N+R’CO 、式中、RR’は炭化水素鎖である)、スルホベ
タイン(RN+R’SO3−)、リン脂質(例えば、ジアルキルホス
ファチジルコリン)、3−[(3−コラミドピロピル)−ジメチルアンモニオ]
−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート、3−[(3−コラミドピロピル
)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、N−デシル− N,N
−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、N−ドデシル−N,
N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、N−ヘキサデシル
−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、N−オクタ
デシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、N−
オクチル −N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、
N−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネ
ート、ジアルキルホスファチジルエタノールアミン。
【0131】 以下の実施例により、本発明の典型的な性質が更に明らかになるであろうが、
これにより本発明の範囲が制限されるものではなく、本発明の範囲は、添付の請
求の範囲によってのみ規定されるものと解釈しなければならない。
【0132】 (実施例1) オリゴヌクレオチド組成物ライブラリーの試験 A.目標:ポリアミン−ポリエーテルコポリマーをベースとして設計された、I
CAM−1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの組成物のうち、次の特性
:すなわち、IFN−γ刺激マウス内皮細胞Bend.3中でICAM−1を少
なくとも50%阻害するという特性をもつものを同定すること。
【0133】 B.先に記載したように、20量体のホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌ
クレオチドIP−3082(Strepkowskiら,J.Immunol.
1994)を、DNA合成器を用いて合成した。
【0134】 C.先に記載したように、ポリアミン−ポリエーテルコポリマーのベースを合成
した(Kabanovら,Bioconjugate Chem,6:639−
643,1995)。このベースには、1)ポリスペルミン(10)−b−ポリ
オキシエチレン(34)(「PS915」;2)ポリスペルミン(10)−b−
ポリオキシエチレン(104)(「PS946」);3)ポリスペルミン(10
)−b−ポリオキシエチレン(182)(「PS980」);4)ポリスペルミ
ン(10)−b−ポリオキシエチレン(27)−b−ポリオキシプロピレン(4
0)−b−ポリオキシエチレン(27)(PSP85);3,4−ヨネン−b−
ポリオキシエチレン(182)(「PEG I3,4」);ポリエチレンイミン
(40)(PEI);ポリオキシエチレン(114)で25%グラフトされたポ
リエチレンイミン(500)(「P50MPEI/25」);ポリオキシエチレ
ン(114)で55%グラフトされたポリエチレンイミン(500)(「P50
MPEI/50」);ポリオキシエチレン(114)で75%グラフトされたポ
リエチレンイミン(500)(「P50MPEI/75」);ポリオキシエチレ
ン(182)−ポリエチレンイミン(40)−b−ポリオキシエチレン(182
)(P80PEI/1);ポリオキシエチレン(182)で25%グラフトされ
たポリエチレンイミン(500)(「P80MPEI/2/25」)が含まれる
。 ここで、それぞれの繰り返し単位の数は、カッコの中に示されている。これ
らのコポリマーを、ICAM−1に対する2量体ホスホロチオエートアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドIP−3082(Strepkowskiら、J.Im
munol.,1994)と併用し、ポリマー対オリゴヌクレオチド比(w/w
)を1:1、3:1、5:1、6:1、10:1、17:1、および20:1に
設定して組成物ライブラリーを作製した。
【0135】 D.細胞モデルを用いて、オリゴヌクレオチド組成物ライブラリーの生物活性を
in vitroで試験した。この試験では、マウス内皮細胞Bend.3を用
い、ICAM−1の発現を増大させるべくIFN−γで刺激して、ICAM−1
の発現の阻害をアッセイした(Strepkowskiら,J.Immunol
.,1994)。簡潔に述べると、10%FBS、1%ペニシリン−ストレプト
マイシン、および1%ヘルペスを補足したRPMI1640培地の入った培養フ
ラスコ中に、37℃、5%COの条件下でBend.3細胞を保持した。血清
を含まないRPMI1640培地中において、オリゴヌクレオチドの最終濃度が
2(Mとなる条件下で(この条件下で遊離オリゴヌクレオチドは活性を示さない
)、プレーティングしたBend.3細胞を、IP−3082単独でまたは組成
物ライブラリーの組成物との併用で処理した。37℃で4時間インキュベートし
た後、PBSで細胞を2回洗浄し、10%血清を補足したRPMI1640培地
に25U/mlの濃度でIFN−γを加えて細胞に添加し、続いて、37℃で1
6時間インキュベートした。マウスICAM−1に対するビオチニル化抗体(Y
N1)を用い、ストレプトアビジン−フィコエリトリンコンジュゲートを適用し
た後で、フローサイトメトリーによりICAM−1発現を評価した。この試験で
最適な組成物とあると判断されたものは、窒素対ホスフェート比20:1を有す
るP80PEI/2/25であった。結果は以下の通りであった。
【0136】
【表1】 1)3回の反復実験の平均が示されており、SEMは10%未満である(p<0
.05)
【0137】 (実施例2) プラスミド組成物ライブラリーの試験 A.目標:陽イオンセグメント化コポリマーのライブラリーから、サイトメガロ
ウイルス(CMV)プロモーターの制御下でマウスICAM−1をコードする発
現ベクターpAPR−ICAM−1組成物のうち、次の特性:すなわち、COS
−7細胞中におけるトランスフェクションの効率がLipofectamine
の効率よりも高いという特性をもったものを同定すること。
【0138】 B.CMVプロモーターの制御下でマウスICAM−1遺伝子を含んでなるプラ
スミドpAPR−ICAM−1は、大腸菌DH5a株中で増殖させ、Pharm
acia製のFlexiprepキットを用いて精製した。
【0139】 C.陽イオンのセグメント化コポリマーのベースには、実施例1Cに列挙されて
いるポリアミン−ポリエーテルコポリマー、ポリエチレンイミン(500)−b
−ポリオキシエチレン(550)(「PE250200/2」)、および公知の
方法(米国特許第5656611号)により合成したポリリシン−ポリエーテル
コンジュゲート:すなわち、ポリオキシエチレン(114)で25%グラフトさ
れたポリリシン(150)(「PL18050/20」)、ポリオキシエチレン
(114)で50%グラフトされたポリリシン(150)(「PL18050/
50」)、ポリオキシエチレン(114)で75%グラフトされたポリリシン(
150)(「PL18050/75」)、ポリリシン(19)−b−ポリオキシ
エチレン(114)(「PL40/50」)、ポリリシン(19)−b−ポリオ
キシエチレン(41)−b−ポリオキシプロピレン(16)−b−ポリオキシエ
チレン(41)(「PL40/F38」)、ポリリシン(19)−b−ポリオキ
シエチレン(27)−b−ポリオキシプロピレン(40)−b−ポリオキシエチ
レン(27)(「PL40/F85」)、ポリリシン(19)−b−ポリオキシ
エチレン(17)−b−ポリオキシプロピレン(64)−b−ポリオキシエチレ
ン(17)(「PL40/P123」)、ポリリシン(100)−b−ポリオキ
シエチレン(114)(「PL12050」)が含まれている。ここで、それぞ
れの繰り返し単位の数は、カッコの中に示されている。これらのコポリマーを、
発現ベクターpAPR−ICAM−1と併用し、ポリマー対DNA比(w/w)
を1:1、3:1、40:1、および6:1、85:1に設定して組成物ライブ
ラリーを作製した。
【0140】 D.スクリーニングプロトコル:10%FBS、1%ペニシリン−ストレプトマ
イシン、および1%ヘルペスを補足したDMEM培地の入った培養フラスコ中に
、37℃、5%COの条件下でCOS−7細胞を保持した。この培地中でDN
Aプラスミドと種々のポリマーとを、37℃で20分間混合することにより、ポ
リマーとプラスミドpAPR−ICAM−1との組成物を調製した。Lipof
ectamineは、15mg/mlの濃度で使用した。血清を含まないDME
M培地中において、最終DNA濃度が2(g/mlとなる条件下で、プレーティ
ングしたBend.3細胞を、DNA単独でまたは組成物との併用で処理した。
37℃で4時間インキュベートした後、PBSで細胞を2回洗浄し、10%血清
を補足したDMEM培地を細胞に添加し、続いて、37℃で16時間インキュベ
ートした。マウスICAM−1に対するビオチニル化抗体(YN1)を用い、ス
トレプトアビジン−フィコエリトリンコンジュゲートを適用した後で、フローサ
イトメトリーによりICAM−1発現を評価した。この試験の結果を表を示す。
この試験で所望の組成物とあると判断されたものは、窒素対ホスフェート比1:
1を有するPE250200/2であった。この組成物は、Lipofecta
mineよりも優れている。
【0141】
【表2】
【0142】 (実施例3) Pluronicブロックコポリマーベースでのミセル形成試験 A. 目標:水溶液中で最も安定なミセルを形成するPluronicコポリマ
ーを同定する。
【0143】 B.Pluronicブロックコポリマーは、BASF Co.(Paris
pany,NJ)より入手した。次の物質を含めてPluronicブロックコ
ポリマーのベースを設計した。ポリオキシエチレン(1)−b−ポリオキシプロ
ピレン(16)−b−ポリオキシエチレン(1)(Pluronic L31)
、ポリオキシエチレン(2)−b−ポリオキシプロピレン(31)−b−ポリオ
キシエチレン(2)(Pluronic L61)、ポリオキシエチレン(13
)−b−ポリオキシプロピレン(31)−b−ポリオキシエチレン(13)(P
luronic L64)、ポリオキシエチレン(80)−b−ポリオキシプロ
ピレン(31)−b−ポリオキシエチレン(80)(Pluronic F68
)、ポリオキシエチレン(3)−b−ポリオキシプロピレン(40)−b−ポリ
オキシエチレン(3)(Pluronic L81)、ポリオキシエチレン(1
7)−b−ポリオキシプロピレン(40)−b−ポリオキシエチレン(17)(
Pluronic P84)、ポリオキシエチレン(27)−b−ポリオキシプ
ロピレン(40)−b−ポリオキシエチレン(27)(PluronicP85
)、Pluronic F87、ポリオキシエチレン(4)−b−ポリオキシプ
ロピレン(53)−b−ポリオキシエチレン(4)(Pluronic L10
1)、ポリオキシエチレン(23)−b−ポリオキシプロピレン(53)−b−
ポリオキシエチレン(23)(Pluronic L104)、ポリオキシエチ
レン(136)−b−ポリオキシプロピレン(53)−b−ポリオキシエチレン
(136)(Pluronic F108)、ポリオキシエチレン(5)−b−
ポリオキシプロピレン(64)−b−ポリオキシエチレン(5)(Pluron
ic L121)、ポリオキシエチレン(17)−b−ポリオキシプロピレン(
64)−b−ポリオキシエチレン(17)(Pluronic L123)およ
びポリオキシエチレン(95)−b−ポリオキシプロピレン(64)−b−ポリ
オキシエチレン(95)(Pluronic L127)。ここで、それぞれの
繰り返し単位の数は、カッコの中に示されている。
【0144】 C. ベースBのPluronicコポリマーの臨界ミセル濃度(CMC)は、
既にKabanovらが報告している方法(Macromolecules 2
8:2303,1995)に従って、ピレン蛍光プローブを用い、37℃、リン
酸緩衝生理食塩水pH7.4の条件下で測定した。結果は、表に示されている。
結果:Pluronic L212は、最も安定なミセルを形成する(最小のC
MC)。
【0145】
【表3】
【0146】 (実施例4) Pluronicブロックコポリマーベースにおける薬剤の可溶化についての
試験 A. 目標:モデル薬剤ピレンを可溶化する能力が最大であるPluronic
コポリマーを同定すること。
【0147】 B. Pluronicコポリマーのベースとして、実施例3Bの場合と同じも
のを使用する。
【0148】 C. Pluronicコポリマーミセル中へのピレンの分配係数(P)は、既
にKabanovらが報告している方法(Macromolecules 28
:2303,1995)に従って、ピレン蛍光プローブを用い、37℃、リン酸
緩衝生理食塩水pH7.4の条件下で測定した。結果は、表に示されている。結
果:Pluronicは、ピレンを可溶化する能力が最大である(最大のP)。
【0149】
【表4】
【0150】 (実施例5) Pluronicベースに対するCMCおよび分配係数の予測 A.目的:実施例3および4で得られた実験データを用いて、ポリオキシエチレ
ン(9)−b−ポリオキシプロピレン(21)−b−ポリオキシエチレン(9)
(Pluronic L44)に対するCMCおよびPを予測すること。
【0151】 B. CMCおよびピレンの分配係数(P)をPluronicブロックコポリ
マーの構造と関連づけした。変数iおよびjを用いて構造を表現した。ただし、
iは、ポリオキシプロピレンセグメントの分子質量を300で割った値に等しく
、jは、ポリオキシエチレンセグメントの重量パーセントを10で割った値に等
しい。便宜上、CMCおよびPの代わりに、Log10(CMC)およびLog
10(P)を使用する。Log10(CMC)およびLog10(P)の値をよ
く見ると、iおよびjにほぼ直線的に依存することが分かる。従って、次の2次
式を適用した。
【0152】 Log10(CMC)=(a*i+b*i+c)*(m*j+n
*j+o ) (1) Log10(P)=(a*i+b*i+c)*(m*j+n*j
+o) (2) 各式に対するパラメーターa、b、c、m、n、oは、14種のPluron
icについて測定されたCMCおよびPの実験データから、最小二乗法により計
算した。(a、b、c、m、n、oを調整することにより、偏差の平方和(Σδ
)が最小になるようにした。) この計算は、MS Excel中のSolv
er機能を用いて行った。
【0153】 C. Pluronicベースに対するCMCの計算結果は、以下の通りである
【0154】
【表5】
【0155】 D. 式(1)のパラメーターは、次の通りである。a=0.0341296
33、b=−1.16411354、c=0.41047985、m=0
.003688849、n=−0.04454141、o=0.74866
2669。CMCを求める最終の式は次の通りである。
【0156】 Log10(CMC)=(0.03413*i−1.1641*i−0.41
05)*(0.003689*j−0.04454*j+0.7487) (
3)
【0157】 E. Log10(CMC)の平均標準偏差は、0.24である(すなわち、も
との値からの偏差は5.3%である)。Pluronic L44に対するCM
Cの予測値は、4.69*10−03Mである(Log10(CMC)=−2.
3291)。既にKabanovらが報告している方法(Macromolec
ules 28:2303,1995)に従い、ピレン蛍光プローブを用いて行
った実験において、Pluronic L44に対して得られたCMC値は、6
*10−04Mである。
【0158】 F. Pluronicベースに対するPの計算値は、以下の通りである。
【0159】
【表6】
【0160】 D. 式(2)のパラメーターは、次の通りである。a=0.0010104
4、b=0.107791158、c=0.916109753、m=0
.005753186、n=−0.11070097、o=2.03305
3894。Pを求める最終の式は次の通りである。
【0161】 Log10(P)=(0.0010104*i−0.10779*i−0.9
161)*(0.005753*j−0.1107*j+2.033) (4
【0162】 E. Log10(P)の平均標準偏差は、0.29である(すなわち、もとの
値からの偏差は9.3%である)。Pluronic L44に対するPの予測
値は、196.7である(Log10(P)=−2.2937)。既にKaba
novらが報告している方法(Macromolecules 28:2303
,1995)に従い、ピレンを用いて行った実験において、Pluronic
L44に対して得られたP値は、150である。
【0163】 (実施例6) ペプチドブロックコポリマーライブラリーを用いて生物学的薬剤組成物の同定
を行うためのコンビナトリアル手法 A. 目標:以下の特性を有するセグメント化コポリマー(2〜20kD)を選
択するための手順をデザインする。 1)水溶液中でミセルを形成することのできる両親媒性ブロックコポリマー。 2)所定の薬剤分子を可溶化すること。 3)非毒性。 4)GMP化学合成を利用できること。 より詳細には、所望の高分子は、親水性のAブロックと疎水性のBブロック
とを化学的に連結させてなる線状ブロックコポリマーAx(B)nB
yでなければならない。ただし、x=0または1であり、n(0である。含まれ
るブロックは、薬剤分子に特異的に結合するものであってよい。
【0164】 B. 一般的方法−仮想ライブラリーおよび合成ライブラリーを利用する反復コ
ンビナトリアル手法。 スタートポイント ステップ0. 高分子の親データベースを用意する。データベースは、次の項
目を備える(各エントリーに対して)。 (i)分子構造タイプ(パターン)、(ii)ブロックのパラメーター(実験
値および計算値)、(iii)物理化学的パラメーター(特定の薬剤に対する親
和性のデータなど)。
【0165】 反復サイクル ステップ1. 高分子の仮想ライブラリーを発生させる。これには、発生させ
る分子に対する大域パラメーターの推定が含まれる。推定は、親データベース中
のデータに基づいて行われる。 ステップ2. 仮想ライブラリーを検索して、所定の薬剤の可溶化に対する最
良の候補化合物を選択する。 ステップ3. ライブラリーの化合物を化学合成する。これには、ステップ2
で選択された最良の候補化合物のコンビナトリアル改変が含まれる。 ステップ4. 合成化合物の実験データ、例えば、薬剤との相互作用に関する
データを入手する。 ステップ5. 親ライブラリーを拡張する。 以上の反復は、最後の反復を行った後で改良が見られなくなるまで、繰り返さ
なければならない。
【0166】 C. ブロックコポリマー。一般式:ブロックコポリマーAx(B)n
yは、親水性のAブロックと疎水性のBブロックとを化学的に連結させ
たものである。ただし、x=0または1であり、n≧0である。連結基は、ペプ
チド結合:−CO−NH−、エステル結合:−CO−O−、エーテル結合:−O
−などであってよい。各ブロックは、少なくとも1kDでなければならない。ブ
ロックコポリマーのセグメントには、構成ブロック、例えば、アミノ酸残基、オ
キソ酸残基、アルコキシ残基などが1つ以上含まれる。通常の作業では、アミノ
酸残基を連結するペプチド結合が使用されるであろう。
【0167】 D. 構成ブロック:親水性構成ブロックは、単純な親水性アミノ酸である。疎
水性構成ブロックは、脂肪族環または芳香族環などを有する拘束されたバックボ
ーンを含んでなるアミノ酸である。N−末端の構成ブロックは、アミノ酸ではな
く、分子を中性に保つために、アシル残基でなければならない。
【0168】 E. 計算方法:計算はいずれも、Windows NT上で行われる。 F. データベース:サードパーティのソフトウェアと協動的に使用できるプロ
グラミング可能なリレーショナルデータベース。ISIS−BASEおよびOR
ACLEが対象となるはずである。データ変換のために、MS EXCEL、V
ISUAL BASIC、および/またはVISUAL C++が利用できる。
【0169】 G. ブロックのパラメーター。任意の利用可能なQSARパラメーター、例え
ば、電荷、双極子モーメント、体積、表面積、LogP、および関連値。これら
のパラメーターは、ACD/LABSおよびHYPERCHEM/CHEM+ソ
フトウェアを用いて、計算してもよい。 H. 化学合成。高分子の構築は、古典的なFmocタイプの化学を用いて、固
相ペプチド合成により行われるであろう。構成ブロックはすべて、それぞれのア
ミノ酸残基のFmoc誘導体として導入されるであろう。変形体が生じないよう
にするために、C−末端アミド樹脂およびN−末端アシルが使用されるであろう
。最終生成物は、非常に単純な精製手順、例えば、C18カートリッジを用いた
抽出処理にかけなければならない。
【0170】 I. 実験データ。実験パラメーター:種々の条件下のCMCおよび関連パラメ
ータ、分配係数など。種々の小分子に対して、CMCおよび分配係数を迅速に測
定するための単純な系を構築しなければならない。 K. プロジェクトの段階:予備的段階(いくつかの基本的構成ブロック、例え
ば、HN−PEG1500−COOH、Fmoc−PEG1500−COOH
の入手または合成および特性付け;例示化合物の合成;QSAR法の選択(設定
パラメーターおよび機能));発展的段階(ライブラリーの並行的合成および/
または合成の計画;コンピューターを用いたQSAR法によるデータベースの作
製;アッセイ系の構築;利用可能な構成ブロック集合の拡張;適用)。
【0171】 L. 構成ブロックの合成。必要な物質:RinkアミドAM樹脂;−Fmoc
−PEG1500−COOH;Fmoc−NH−(CH−COOH;他の
試薬:PyBOP、DIPEA、ピペリジン、TFA、トリイソプロピルシラン
;DMAP;溶剤:DMF、アセトニトリル。
【0172】 (実施例7) Pluronicコポリマー組成物のP−gp阻害効果の試験 A. 目標:多剤耐性(MDR)細胞系中において、糖タンパク質P(P−gp
)溶出系の阻害に対して最大の活性を有するPluronic組成物を同定する
こと。P−gp阻害の効力は、ローダミン123取り込み試験を用いて特性付け
する(Miller et al. Bioconjugate Chemis
try 8:649,1997)。 B. 材料:ローダミン123は、Sigma(St Louis,IL)から
購入した。Pluronicポリマーは、BASF Corp.(Parisp
any,NJ)から入手した。ローダミン123を含有するPluronicコ
ポリマー組成物を調製することにより、組成物ライブラリーを作製した。次の組
成物について試験する:0.02%、0.05%、および0.1%Pluron
ic L61、0.02%、0.05%、0.1%、および0.5%Pluro
nic L64、0.05%、0.1%、0.5%、1%、および2%Plur
onic L44。
【0173】 C. 細胞系。Doxを用いた選択により親細胞から誘導されたヒト乳癌MCF
−7細胞(ATCC HTB22)及びそのMDR MCF−7ADR細胞亜系
を、YL,Lee(Willian Beaumont Hospital,R
oyal Oak,MI)から親切にご提供戴いた。5%COを含む37℃の
加湿雰囲 D. 薬剤摂取アッセイ:薬剤を添加する前に、懸濁液中の細胞(2.5×10
個の細胞/管)を37℃で10分間インキュベートした。遊離のローダミン1
23(0.5(M))または組成物ライブラリーのPluronicコポリマー
と併用されたローダミン123を細胞に添加し、上記の培養条件下で45分間イ
ンキュベートした。次に、細胞を氷水スラリー中に入れてインキュベーションを
停止させ、低温のD−PBSで2回洗浄した。525nmフィルターを用い、4
88nm励起(アルゴンレーザー)のCoulter Epics XLサイト
メーターでフローサイトメトリーにより細胞の蛍光を分析した。各ポイントで少
なくとも10,000個のイベントを分析した。細胞の蛍光の実験値は、平均チ
ャネル蛍光値を前方光散乱値で割ることにより、細胞サイズに応じて規格化した
。実験は、3回おこなった。
【0175】 E. 結果を表に示す。この表は、MCF−7細胞およびMCF−7Adr細胞
中において、遊離ローダミン123の摂取量と比較して、組成物の場合のローダ
ミン123の取り込み量が増大することを示している。最も活性な組成物は、P
luronic L61(0.1%)である。
【0176】
【表7】
【0177】 (実施例8) Pluronicコポリマー組成物のP−gp阻害効果の試験 A. 目標:多剤耐性(MDR)細胞系中において、糖タンパク質P(P−gp
)流出系の阻害に対して最大の活性を有するPluronic組成物を同定する
こと。P−gp阻害の効力は、ローダミン123取り込み試験を用いて特性付け
する(Miller et al.Bioconjugate Chemist
ry 8:649,1997)。
【0178】 B. 実施例7と比較して、Pluronicコポリマーのより広範なベースを
使用する。具体的は、次の物質を使用する。Pluronic L31、ポリオ
キシエチレン(41)−b−ポリオキシプロピレン(16)−b−ポリオキシエ
チレン(41)(Pluronic F38)、Pluronic L44、P
luronic L61、Pluronic L64、Pluronic F6
8、Pluronic L81、Pluronic P84、Pluronic
P85、Pluronic F87、ポリオキシエチレン(123)−b−ポ
リオキシプロピレン(48)−b−ポリオキシエチレン(123)(Pluro
nic 98)、Pluronic L101、Pluronic L104、
ポリオキシエチレン(34)−b−ポリオキシプロピレン(53)−b−ポリオ
キシエチレン(34)(Pluronic 105)、Pluronic F1
08、Pluronic L121、Pluronic L123、Pluro
nic L127。Pluronicコポリマーの濃度は、0.0001%、0
.001%、0.01%、0.1%、および1%である。
【0179】 C. 薬剤取り込み試験は、実施例7の記載に従って行う。 D. 結果を表に示す。この表は、MCF−7Adr細胞中において、遊離ロー
ダミン123の取り込み量と比較して、最適なPluronic濃度の組成物の
場合に、ローダミン123の取り込み量が増大することを示している。最も活性
な組成物は、Pluronic L61である。すなわち、この結果は、より狭
いライブラリーの組成物を用いた実施例7のときと同じである。このことは、非
常に少数の組成物をライブラリー中で使用することにより、所望の生物学的薬剤
組成物を同定できることを示している。
【0180】
【表8】
【0181】 (実施例9) Pluronicコポリマー組成物の抗MDR活性の試験 A. 目標:MDR細胞系に対して最大の細胞傷害活性を有するドキソルビシン
(Dox)の組成物を同定すること。 B. 材料:Doxは、Sigma(St Louis,IL)から購入した。
Pluronicポリマーは、BASF Corp.(Parispany,N
J)から入手した。Doxを含有するPluronicコポリマー組成物を調製
することにより、組成物ライブラリーを作製した。次の組成物について試験する
:0.02%、0.025%、および0.1%Pluronic L61、0.
02%、0.05%、および0.1%Pluronic L64、0.02%、
0.05%、0.1%および0.5%Pluronic L44、0.008
%、0.04%、0.2%、および1%Pluronic P85、1%Plu
ronic F108、0.2%Pluronic F127、0.025%P
luronic L61と0.2%Pluronic F127との混合物。
【0182】 C. 細胞傷害性アッセイ:96−ウェルプレート中に細胞を入れ(各ウェルあ
たり3000個の細胞)、一晩かけて再付着させた。Doxおよびポリマーに配
合されたDoxを、37℃、5%COの条件下で細胞を2時間インキュベート
した。細胞を3回洗浄し、4日間培養した。薬剤の細胞傷害性は、標準的な2,
3−ビス[2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル]−2H−テトラゾ
リウム−カルボキシアニリド分子内塩(XTT)アッセイ(Scudievo
et al., 1988)により測定した。マイクロプレートリーダーを用い
て、450における吸光度を測定した。実験はいずれも3回反復して行った。S
EM値は10%未満であった(p<0.05)。
【0183】 D. 逆耐性指数、すなわち、遊離薬剤のIC50対薬剤−コポリマー組成物の
IC50の比として、結果を表に示す。最も活性な組成物は、Pluronic
L61(0.1%)である。
【0184】
【表9】
【0185】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、Aコポリマーに基いて調製したライブラリーを使う、所望の(
最大の)生物学的特性(BP)をもつ生物学的薬剤組成物の同定を示す。
【図2】 図2は、色々な長さのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドセグメント
を有するプルロニック・ブロックコポリマーに対するCMCとピレン分配係数P
の間の関係を、プルロニックL121、L101、L127、L123、L10
4、F108、L81、P85、P84、L61、L64、F87、L31、お
よびF68について示す(37℃)。
【図3】 図3は高速処理スクリーニング方法の模式図であり、ポリマーセグメント(「
ブロック」)およびセグメント化コポリマー(「担体分子」)のバーチャルベー
スを使う計算機解析(「計算(computations)」)、新しい見込み
の担体分子の化学合成、生物学的薬剤組成物ライブラリーの調製(「複合体化(
complexing)」)、物理化学的および生物学的分析を用いる選択した
有望な組成物のスクリーニング、および所望の特性をもつ生物学的薬剤組成物の
同定の間の関係を例示する。
【図4】 図4は選択対象の生物学的薬剤組成物を同定するサイクルを示し、担体の親デ
ータベースの使用、計算機解析、化学合成、実ライブラリー担体(コポリマーの
ベース)および生物学的薬剤組成物の調製および試験、ならびに所望の特性をも
つ組成物(「最適化製剤」)の同定を経る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 カバノフ,アレキサンダー,ヴィ. アメリカ合衆国 68144 ネブラスカ州, オマハ,サウス 126番 ストリート 1304 (72)発明者 アラコフ,ヴァレリー,ワイ. カナダ国 エイチ9エックス 3ビー6 ケベック州,ダルフェ,サニー エイカー バイエ 22 (72)発明者 ピエトルジンスキー,グルツェゴルツ,ゼ ルジー カナダ国 エイチ4ピー 1シー7 ケベ ック州,モントリオール,201番,サック ス 5101 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 CB01 CB17 CB20 DA80 FB03 JA01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の生物学的薬剤組成物を同定する方法であって、 (a)複数のセグメント化コポリマーであって、(i)少なくとも1つのセグメ
    ント長;(ii)化学構造;または(iii)コポリマー構造物のうちの少なく
    とも1つにおいて相違する前記複数のセグメント化コポリマーを調製する工程、 (b)少なくとも1つの生物学的薬剤を有する前記セグメント化コポリマーの少
    なくとも1つの組成物を調製する工程、 (c)生物学的薬剤を有する前記セグメント化コポリマーの前記組成物の少なく
    ともいくつかを、生物学的特性について試験する工程、および (d)所望の生物学的特性をもつ前記組成物を同定する工程 を含んでなる前記方法。
  2. 【請求項2】 セグメント化コポリマーがブロックコポリマーである請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 セグメントが少なくとも3つの繰り返し単位を含有する請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 セグメントが少なくとも約5〜約200個の繰り返し単位を
    含有する請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記セグメント化コポリマーが少なくとも1つの親水性非イ
    オン性ポリマーおよび少なくとも1つの疎水性非イオン性セグメントを有する請
    求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記セグメント化ポリマーが少なくとも1つのカチオン性セ
    グメントおよび少なくとも1つの非イオン性セグメントを有する請求項1に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 前記セグメント化ポリマーが少なくとも1つのアニオン性セ
    グメントおよび少なくとも1つの非イオン性セグメントを有する請求項1に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 前記セグメント化ポリマーが少なくとも1つのポリヌクレオ
    チドセグメントおよび少なくとも1つの核酸でないセグメントを有する請求項1
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 組成物が生物学的モデルで試験される請求項1に記載の方法
  10. 【請求項10】 組成物生物学的モデルが細胞モデルである請求項2に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 生物学的モデルが動物モデルである請求項2に記載の方法
  12. 【請求項12】 生物学的モデルが植物モデルである請求項2に記載の方法
  13. 【請求項13】 前記ポリマーセグメントが少なくとも1のポリペプチドセ
    グメントおよび少なくとも1つの非ペプチドポリマーセグメントを含んでなる請
    求項1に記載の方法。
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