JP2001511504A - ディスクブレーキ用磨耗調整装置及びその装置の制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 車両用ディスクブレーキのための磨耗調整装置、及びこの装置の制御方法において、制動時に作動する回転レバー（５）が、ブレーキライニングをブレーキ板の方向に押圧する少なくとも１つの慴動可能な部材（７）に作用する。調整装置は、回転動作によって調整スピンドル（８、９）の少なくとも一方を調整する電動駆動装置（１２）を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、請求項１及び請求項２の前提部分に記載のディスクブレーキ用磨耗
調整装置及び磨耗調整装置を制御する方法に関する。

【０００２】 上記の種類の磨耗調整装置は、例えばＷＯ９１／１９１１５によって知られて
いる。ＷＯ９１／１９１１５の、一面に備えられた締付け装置を有するディスク
ブレーキは、ブレーキ板面に平行な軸の回りに回転可能であり、ブレーキライニ
ングが支持されている１個又は２個の調整スピンドルと、好適にはクロスバーを
介して、協働するカムレバーを備えている。双方の調整スピンドルは、ベルト又
はチェーンによって連結されている。調整スピンドルの空所内には、カムレバー
によって駆動可能であり、且つ送り行程中に調整スピンドルを、及び、それによ
って歯付きＶベルトを介して第２調整スピンドルを、ブレーキディスクへのアプ
ローチ方向にねじ込むように作用する回転駆動機構が延入している。該回転駆動
機構は一方向回転クラッチ、並びにトルク制限器、即ち過負荷クラッチを備えて
おり、これによって制動行程および解放行程中に調整スピンドルの意図しないね
じ込みが防止される。

【０００３】 前記のブレーキ調整の重要な構成要素は一方向クラッチ及び過負荷クラッチで
あり、これらは、例えば摩擦依存で動作するシステムとして設計される（例えば
、巻きばね一フライホィールとしての一方向クラッチ、及び摩擦滑りクラッチ、
つまりは軸方向ジョークラッチとしての過負荷クラッチ）。ＷＯ９１／１９１１
５では、例えば図５に示すように、過負荷クラッチは、玉軸受技術によって玉及
びソケットカップリングとして実施されるが、ここでは玉を受容する傾斜したソ
ケットの幾何学的形状と、初期閉じ込め力の大きさとによって切換えモーメント
が専ら生起される。このシステムは、摩擦作用をほとんど受けず、そして小さい
構造スペースで極めて高い切換えモーメントを可能とする利点を有する。この実
施例の一方向クラッチは、極めて高い反応精度を有し、小さい構造スペースで高
い伝達モーメントの実現を可能とするクランプローラ・スリーブ無しレース・一
方向クラッチとして実現されている。

【０００４】 前述の調整装置はそれ自体としては有効であることが実証されているものの、
高精度の部品を必要とし、従って空圧作動式ディスクブレーキの製造コストを低
減する可能性を更に追求する場合には努力目標を必要とする。

【０００５】 他の調整装置及び車両ブレーキを作動する方法は、ドイツ特許明細書第１９５
２１４０１ Ｃ１に開示されている。これにおいて、調整装置が空隙を乗り越え
るために、ブレーキの操作時間即ち反応時間が長くなることが欠点である。この
発明は前記の問題点を解決するものであり、且つ大量生産において前記のシステ
ムに比較して明確なコストダウンを可能とする調整装置を提供する。上記の問題
点を解決するための特徴は請求項１及び請求項２に選択的に記載されている。好
適には、特に電子的に整流される直流歯車モータ、又は場合によってはブレーキ
内に組み入れられている制御ユット内のステップモータは、出力要素たる歯車が
回転動作の方向でブレーキの磨耗調整機構に作用するように構成されている。

【０００６】 起電力により作動するディスクブレーキは長い間知られている。しかしながら
、実現に際しての多くの問題点（コスト、事故時の安全性等）により、今日まで
実行には移されなかった。本発明は、最終的には空気圧によって締付けられるデ
ィスクブレーキのコンセプトに留まっているが、ブレーキの調整は電動で行われ
るので、別の方途を辿るものである。それによって、本発明は空気圧作動式のデ
ィスクブレーキの利点（安全性、信頼性）と、電動の利点（低コスト）とを理想
的に組合わせたものである。更に、電動駆動によって、ブレーキの調整時の反応
時間が短縮され、必要な空隙は本発明に基づくブレーキ動作間の調整によって極
めて少ない値まで低減することができ、かつ空気圧系統の空気消費量（もしくは
空気の発生に伴うエネルギ消費量）を節減することができる。

【０００７】 ２ピストン（２スピンドル）ブレーキの場合、係合は好適には同期化機構（例
えばチェーン）によって行われ、単一ピストンブレーキの場合は、好適には磨耗
調整部材（調整スピンドル）に対して直接行われる。 本発明のその他の有利な実施態様はその他の従属クレームに記載されている。

【０００８】 本発明は、空気圧作動式ブレーキ用の電動式調整装置をできるだけ簡単且つ確
実に動作させるという課題をも解決する。このような課題を解決するための特徴
は請求項５及び請求項６に選択的に記載されている。双方の請求項共下記のステ
ップを教示している。即ち、 ステップＡ：ブレーキシリンダ内の作動圧が完全に消失した後、空隙が完全にな
くなるまでの期間だけ、調整スピンドルの次のセット−若しくはリセット運動が
行われるステップ、 ステップＢ：その後、調整機構（調整スピンドル）が電動駆動を介して、所定の
目標空隙に対応する所定量だけリセットされる。

【０００９】 上記の種類の調整には以下のような利点がある。即ち、ブレーキを作動した場
合の空隙は通常どおりに回転レバー、偏心クロスバー、及びピストンによって乗
り越えられるので、ブレーキの反応時間が短縮される。必要なブレーキシリンダ
行程及び、ひいては圧縮エネルギの消費量は、２つのブレーキ作動間のみで調整
される必要な空隙が少なくなることで節減される。その上、空隙はブレーキ作動
の度毎に正確に新たに調整されるので、あらゆる動作条件下で極めて均一な空隙
が生ずる。整備の場合は、車両の全てのブレーキをブレーキライニング交換のた
めの整備ステーションに送ることができ、かつ整備の終了後に空隙の調整も自動
的に行われるので、著しい時間短縮が達成される。

【００１０】 ブレーキのその都度の作動後に、磨耗の調整機構は整備のために空隙がゼロに
近づくように調節される。その後、調整機構はステップモータを介して目標の空
隙に対応する所定量だけリセットされる。従って、ブレーキシリンダの作動圧が
消失した後、調整のために作動インパルスが送られ、これは空隙が完全に無くな
るまで継続される。その後、このセットインパルスにすぐ続いて、必要な目標空
隙へのリセットが行われる。

【００１１】 これに代えて、調整機構の動作頻度を低減するため、上記の手順を所定回数の
ブレーキ作動が行われた後にのみ、行ってもよい。

【００１２】 次に本発明をその実施形態について図面を参照して詳細に説明する。 先ず、図１を参照して空気圧ディスクブレーキの構造と機能を簡単に説明する
。ディスクブレーキ１はブレーキサドル２を備え、これは内部空間を有するブレ
ーキディスク３を抱え込んでいる。ブレーキディスク３の一面側には締付け装置
４が設けられ、これは圧縮空気シリンダ（図示せず）のピストンロッドによって
動かされ、それ自体は偏心部材６を作動、つまり回転させるすべり軸受で支承さ
れた作動回転レバー５を備えている。前記偏心部材も圧縮クロスバー７を介して
２つの調整スピンドル８、９と連動するが、これに対向してブレーキライニング
１０の一つが張られている。双方の調整スピンドル８、９も例えばチェーン（図
示せず）を介して連結可能である。クロスバー７とブレーキ・サドル１２との間
にはばねが張られ、それによってクロスバー７が回転レバー５の方向にばね付勢
される。

【００１３】 クロスバー７は両側の外側に、内ねじを設けたそれぞれ１つの穴を有しており
、その中に外ねじを設けた調整スピンドル８及び９がねじ込まれる。調整スピン
ドル８、９の空所部内に、それぞれ電動モータ１２によって直接駆動され、そし
てスピンドル８、９に対して回動できない回転駆動機構１１が延入している。

【００１４】 ブレーキに圧縮空気を作用させる場合は、回転レバー５が旋回され、それが偏
心部材６を回転し、クロスバー７をブレーキ板３の方向に変位させ、その結果ス
ピンドル８、９がライニング１０の方向に移動する。その際に、ブレーキキャリ
アに軸方向移動可能に支承されたブレーキサドルＳが移動し、これは別のブレー
キライニング１０を同伴し、その結果ブレーキは締付けられる。

【００１５】 次に本発明に基づく磨耗調整装置の電動駆動の機能を説明する。 ブレーキ１の各作動後、ブレーキシリンダの供給圧が消失した後、電動モータ
１２は調整機構の整備のために向けられる（ステップＡ）。従って、スピンドル
８、９は、モータ１２と回転駆動機構１１とを介して、ブレーキを解除した場合
に空隙がゼロに近づくまで、ブレーキライニング１０の方向に送られる。ブレー
キの作動ピストンの圧力が完全に平衡した後で、電動モータ１２は（適切に決定
された制御方式に基づいて）ブレーキライニング１０とブレーキ板３の間に所定
の空隙が形成されるまで解除方向に作動される。

【００１６】 上記の方法は特に、調整装置のコストがそれ以上不要に高くなる補助センサ素
子が不要になるので特に有利である。

【００１７】 図１の変化形では、それぞれのスピンドル８、９は空隙の経路を越えた場合に
双方の調整スピンドルを調整する電動ステップモータ１２を備えている。その場
合、電気ブレーキ系統の（例えばＡＢＳまたはＥＢＳ制御装置のための補完ソフ
トウェアの形式の）適宜の評価論理によって、基本的にライニングの磨耗、およ
び場合によっては発生するライニングの傾斜磨耗を監視し、場合によっては補正
することができる。更に、磨耗カバー１３内に電線を統合して、カバーを取付け
る時点で既に必要な接続系を据えつけることが有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は本発明に基づく調整装置の実施例を装備したディスクブレーキの部分断
面図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 Ｍｏｏｓａｃｈｅｒ Ｓｔｒａｓｓｅ 80， 80809 Ｍｕｅｎｃｈｅｎ， Ｇｅ ｒｍａｎｙ (72)発明者 ビーカー、ディーター ドイツ連邦共和国、83080 オーベルアウ ドルフ、ゾネックストラーセ 19 Ｆターム(参考） 3D048 AA02 BB29 BB51 CC43 HH02 HH18 3J058 AA43 AA48 AA53 AA63 AA69 AA73 AA77 AA83 AA87 BA02 BA57 BA61 CC04 CC77 DA03 DA15 DA24 DA32 FA01

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両用のディスクブレーキ用の磨耗調整装置、特に車両用の
   空気圧作動式ディスクブレーキ用の磨耗調整装置であって、 ａ）制動時に作動する回転レバー（５）が、ブレーキライニングをブレーキ板
   の方向に押圧する少なくとも２つの調整スピンドル（８、９）を作動する慴動可
   能な部材（７）に作用し、 ｂ）調整装置は、回転進行によって調整スピンドル（８、９）を調整するよう
   に構成されており、 ｃ）調整スピンドル（８、９）の調整運動を同期化するための同期化機構が備
   えられている磨耗調整装置において、 ｄ）調整装置は、双方の調整スピンドル（８、９）を回転式に調整する電動駆
   動装置（１２）を備えていると共に、 ｅ）電動駆動装置（１２）は、同期化機構を作動させるように構成されている
   ことを特徴とする磨耗調整装置。
2. 【請求項２】 車両用のディスクブレーキ用の磨耗調整装置、特に車両用空
   気圧作動式ディスク・ブレーキのための磨耗調整装置であって、 ａ）制動時に作動する回転レバー（５）が、ブレーキライニングをブレーキ板
   の方向に押圧する１つの調整スピンドル（８、９）を作動する慴動可能な部材（
   ７）に作用し、 ｂ）調整装置は、回転進行によって調整スピンドル（８、９）を調整するよう
   に構成されている磨耗調整装置において、 ｃ）調整装置は、双方の調整スピンドル（８、９）を回転式に調整する電動駆
   動装置（１２）を備えていると共に、 ｄ）電動駆動装置（１２）は、磨耗調整部材（調整スピンドル）を直接作動す
   るように構成されていることを特徴とする磨耗調整装置。
3. 【請求項３】 電動駆動装置を整流された直流歯車モータ（１２）として形
   成したことを特徴とする請求項１に記載の磨耗調整装置。
4. 【請求項４】 電気的な制御線及び／又は給電線をブレーキの磨耗カバー（
   １３）内に組み入れたことを特徴とする前記請求項のいずれか１に記載の磨耗調
   整装置。
5. 【請求項５】 前記請求項のいずれか１に記載の磨耗調整装置を制御する方
   法において、 Ａ）ブレーキシリンダ内の作動圧が完全に消失した後、空隙が完全になくなる
   までの間だけ、調整スピンドル（単数または複数）（８、９）の次のセット−即
   ちリセット運動が行われるステップと、 Ｂ）調整スピンドル（８、９）が電動駆動装置（１２）を介して、所定の目標
   空隙に対応する所定量だけリセットされるステップ、 とを含むことを特徴とする方法。
6. 【請求項６】 車両用ディスクブレーキのための磨耗調整装置、特に車両用
   空気圧作動式ディスク・ブレーキのための磨耗調整装置であって、 ａ）制動時に作動する回転レバー（５）が、ブレーキライニングをブレーキ板
   の方向に押圧する少なくとも１つ、好適には２つの調整スピンドル（８、９）を
   作動する慴動可能な部材（７）に作用し、 ｂ）調整装置は、回転進行によって調整スピンドル（８、９）を調整するよう
   に構成されており、 ｃ）調整装置は、双方の調整スピンドル（８、９）を回転式に調整する電動駆
   動装置（１２）を備えている磨耗調整装置を制御する方法において、 Ａ）ブレーキシリンダ内の作動圧が完全に消失した後、空隙が完全になくなる
   までの間だけ、調整スピンドル（単数または複数）（８、９）の調整運動が行わ
   れるステップと、 Ｂ）調整スピンドル（８、９））が電動駆動装置（１２）を介して、所定の目
   標空隙に対応する所定量だけリセットされるステップ、 とを含むことを特徴とする方法。
7. 【請求項７】 調整は所定回数のブレーキ作動に達した場合にその都度行わ
   れることを特徴とする請求項５又は請求項６に記載の方法。
8. 【請求項８】 ライニングの磨耗及び／又は場合によって発生するライニン
   グの傾斜磨耗が監視され、修正されることを特徴とする請求項５乃至請求項７の
   いずれか１に記載の方法。