JP2001509492A - 治療用薬剤の細胞への送達を増強するための組成物および方法 - Google Patents

治療用薬剤の細胞への送達を増強するための組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、薬剤の細胞への移入を増強するための方法および組成物を提供する。薬剤は、ポリペプチド、遺伝子およびアンチセンス核酸のようなポリヌクレオチド、およびその他の分子を含み得る。いくつの実施態様では、薬剤は、細胞中に導入されるとき、細胞活性または細胞機能を調整し得る調整薬剤である。本発明の方法および組成物は、個々の細胞および組織または器官として存在する細胞中に薬剤を導入するために有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
(発明の背景) 本発明は、治療用およびその他の薬剤を細胞へ送達する分野に関する。遺伝子
、ポリペプチドおよびその他の分子は、特に、本発明の組成物および方法を用い
て送達され得る薬剤である。細胞は個々にか、または生物学的組織または器官と
して存在し得る。
【0001】 化合物の細胞中への送達は、多くの診断プロセスおよび治療プロセスの最初の
重要な工程である。例えば、遺伝子治療は、核酸の細胞への送達を必要とする治
療用およびその他の使用のための高度に約束されたツールである。例えば、遺伝
子移入法を基にした新生物を処置する別個のアプローチが開発された。新生物形
質転換および新生物進行を生じる規定された遺伝子座における特定の損傷を矯正
する方法が開発されている(Spandidosら、Anticancer Re
s.10:1543−1554(1990);Banerjeeら、Cancer
Res.52:6297−6304(1992))。優性オンコジーンの過剰発現
は、形質転換遺伝子または遺伝子産物を阻害する技術を用いて検討され得る。腫
瘍サプレッサー遺伝子機能の損失は、野生型腫瘍サプレッサー遺伝子機能を再構
築する方法を用いてアプローチされ得る(Goodrichら、Cancer R
es.52:1968−1973(1992))。変異補償を達成するためのこれ らの方法の他に、腫瘍細胞を特異的かつ選択的に根絶する遺伝子技法が開発され
た。分子化学療法のこれらのアプローチは、新形成細胞における毒性遺伝子の特
異的発現に依存する(Abeら、Proc Soc Exp Biol Med.2 03:354−359(1993))。最後に、遺伝子移入法を用いて抗腫瘍免疫 が達成されている。遺伝子免疫増強のこれらの方法は、遺伝子免疫調節の技法を
用いて腫瘍の免疫認識を増強する。その結果として、種々の別個のアプローチが
、癌の遺伝子治療を達成するために開発された。
【0002】 膀胱の癌腫の症例では、高い変異の発生数が、p53およびRBのような腫瘍
サプレッサー遺伝子で観察されている(Fujimotoら、Cancer Re
s.52:1393−1398(1992);Cairnsら、Oncogene
6:2305−2309(1991))。腫瘍サプレッサー遺伝子のこのような遺 伝子損傷について、新形成表現型の復帰は、対応する野生型腫瘍サプレッサー遺
伝子の置換により示され得る(Spandidos、前出;Banerjee、 前出)。
【0003】 膀胱の癌腫は、罹病率および死亡率の顕著な供給源を代表する。膀胱癌は、癌
に関連する死亡率では、男性で10番目および女性で12番目のランクである( 癌の事実および外観、Amer.Can.Soc.5:11(1995))。膀胱 癌の処置に利用可能な治療は、アジュバント化学治療または免疫治療、表在性疾
患の経尿道的切除、しばしば全身化学治療と組み合わされる根治的膀胱切除また
は放射線治療を含む。これらの治療オプションにもかかわらず、全体の生存は、
認識され得るほどに変化しなかった(前出)。従って、新たな治療様式が、膀胱癌
の処置のために開発されなければならない。
【0004】 遺伝子治療戦略が、代替の治療アプローチとして開発された(例えば、Bre wsterら、Eur Urol 25:177−182(1994);Takah
ashiら、Proc Natl Acad Sci USA 88:5257−5 261(1991);Rosenberg,SA,J.Clin.Oncol.1
0:180−199(1992))。ヒトまたはその他の動物における癌およびそ の他の状態の成功する処置は、細胞に進入する治療薬剤の適切な量、および治療
薬剤を摂取する標的細胞の十分に大きな比率に依存し得る。
【0005】 多くの他の治療薬およびその他の調整薬剤は、ポリペプチドまたは、例えば、
小分子である。ここで再び、標的細胞集団に到達する薬剤の量は、処置の効力に
対して大きなインパクトを有し得る。従って、細胞または細胞の集団に送達され
る薬剤の量を増強し得る化合物および方法に対する必要性が存在する。
【0006】 本発明は、このおよびその他の必要性を満たす。
【0007】 (発明の要旨) 本発明は、薬剤の細胞への送達を増強し得る化合物を提供する。本発明の送達
増強化合物は、代表的には式Iを有する:
【0008】
【化27】 ここで:mおよびnは同じかまたは異なり、そして各々は2−8の整数であり
;Rはカチオン性基であるか、または
【0009】
【化28】 であり、 X1は、以下からなる群から選択され:
【0010】
【化29】 そして、X2およびX3は、各々独立して、サッカリド基、
【0011】
【化30】 からなる群から選択され、 ここでRが
【0012】
【化31】 であるときX2およびX3の少なくとも1つがサッカリド基である。
【0013】 本発明の好適な送達増強化合物のいくつかの例は、図21に示されるような式
III、IV、またはVを有する化合物である。
【0014】 いくつかの実施態様では、送達増強化合物は式IIを有する:
【0015】
【化32】 ここでX1およびX2は以下からなる群から選択され:
【0016】
【化33】 そしてX3はサッカリド基である。
【0017】 本発明はまた、式Iの送達増強化合物を含む処方物中で、薬剤を細胞に投与す
ることにより薬剤を送達する方法を提供する。
【0018】 さらなる実施態様で、本発明は、薬剤を細胞に送達するための組成物を提供す
る。この組成物は、送達されるべき薬剤および式Iの送達増強化合物を含む。
【0019】 本発明のさらなる局面は、細胞に、式Iの化合物を含む緩衝液中に処方される
治療的に有効な量の治療薬剤を投与することにより、膀胱癌を含む癌を処置する
方法である。
【0020】 (詳細な説明) 本発明は、上皮組織中に存在する細胞のような細胞への薬剤の輸送を増強する
送達増強化合物および処方物を提供する。この化合物および処方物は、例えば、
増殖または疾患状態に関連する細胞プロセスを調整し得、細胞に進入しおよび/
または薬剤を取り込む組織または器官中の細胞の比率を増強する薬剤のような薬
剤の量を増強し得る。本発明の送達増強化合物を用いる薬剤の細胞への送達方法
もまた、提供される。
【0021】 本発明の送達増強化合物および方法は、細胞への分子の送達を必要とする多く
の適用に有用である。例えば、多くの疾患状態の診断および/または処置は、し ばしば、疾患プロセスに関与する細胞への薬剤の進入を必要とする。別の例は、
細胞培養物中または組換え生物中のいずれかの目的のタンパク質を産生するため
の組換えDNA技術の使用である。細胞中に化合物を導入することが所望される
状況の多くのさらなる例は、当業者に公知である。本発明の化合物および方法は
、目的薬剤の標的細胞または組織への増強した送達に起因してこれらの適用の各
々の有効性を改善し得る。
【0022】 (A.送達増強化合物) 本発明は、目的の薬剤と処方されるとき、この薬剤の細胞への送達を増強する
送達増強化合物を提供する。いくつかの実施態様では、細胞は、組織または器官
中に存在する。「送達増強化合物」とは、細胞、組織または器官への薬剤の送達
を増強する任意の化合物をいう。増強した送達が生じる機構の理解は、本発明の
実施には必須ではないが、増強した送達が任意の種々の機構によって生じ得るこ
とに注目すべきである。1つのそのような機構は、送達増強化合物による組織ま
たは器官の上皮表面上の保護グリコサミノグリカン(GAG)層の破壊を含み得る
【0023】 送達増強化合物を含む処方物中の薬剤を細胞に投与することは、送達増強化合
物の非存在下で投与されるときに細胞に送達される薬剤の量に対して、細胞に送
達される薬剤の量の増強を生じさせる。本明細書で用いる「増強した送達」とは
、各細胞に進入する薬剤のコピー数の増加、または、例えば組織または器官中の
薬剤を取り込む細胞の比率の増加のいずれか、または両方をいう。好適な実施態
様では、送達増強化合物は、送達増強化合物の非存在下で細胞に投与されるとき
送達される薬剤の量に比較して、細胞または細胞の集団への薬剤の送達において
、少なくとも約20%の増加、より好ましくは少なくとも約50%の増加、そし
て最も好ましくは少なくとも約100%の増加を生じる。
【0024】 特定の化合物または処方物が、治療用薬剤または診断薬剤のような薬剤の細胞
への増強送達において有効であるか否かは、当業者に公知の種々の手段により測
定し得る。例えば、検出試薬を、標的細胞に投与される送達増強処方物に含め得
る。送達増強処方物で処理される細胞中に存在する検出試薬の量は、送達増強化
合物を含まない処方物で処理した細胞中で検出された量と比較される。例として
、目的の薬剤が、遺伝子または遺伝子を含むベクターである場合、発現が容易に
検出可能なレポーター遺伝子を処方物中に含め得る。調整薬剤がポリペプチドで
ある場合、送達増強化合物を、例えば、標識を送達増強処方物中に存在するポリ
ペプチドに結合させ、そして処方物の投与の後標的細胞中に見出される標識の存
在および量を検出することにより試験し得る。同様に、調整薬剤としてポリペプ
チドおよびポリヌクレオチド以外の分子が用いられるべき場合、分子を標識し得
、そして標的細胞集団に進入する量の標識を検出し得る。
【0025】 送達増強化合物の例は、界面活性剤、アルコール、グリコール、界面活性剤、
胆汁酸塩、ヘパリンアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼインヒビター、高浸
透圧塩溶液、および酢酸塩を含むが、これらに限定されない。アルコールは、例
えば、エタノール、N−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、
アセチルアルコールのような脂肪族アルコールを含む。グリコールは、例えば、
グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングルコール、およびグリセロ
ールおよびチオグリセロールのようなその他の低分子量グリコールを含む。酢酸
、グルコン酸、および酢酸ナトリウムのような酢酸塩は、送達増強化合物のさら
なる例である。1M NaClのような高浸透圧塩溶液もまた、送達増強化合物 の例である。界面活性剤の例は、ドデシル硫酸ナトウリム(SDS)およびリゾレ
シチン、ポリソルベート80、ノニルフェノキシ−ポリオキシエチレン、リゾホ
スファチジルコリン、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、ポ
リオキシエチレンエーテル、ポリグリコールエーテル界面活性剤およびDMSO
を含む。タウロコール酸、タウロ−デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコー
ル酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、
および硝酸銀のようなその他の収斂剤のような胆汁酸塩もまた、プロタミン硫酸
塩のような第4級アミンのようなヘパリンアンタゴニストが用いられ得るように
、用いられ得る。例えば、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸のようなシクロオ
キシゲナーゼインヒビター、ならびにインドメタシン、ナプロキセン、およびジ
クロフェナックのような非ステロイド抗炎症性薬剤(NSAIDS)もまた適切で
ある。
【0026】 送達増強化合物として機能し得る界面活性剤は、例えば、アニオン性、カチオ
ン性、両イオン性、および非イオン性界面活性剤を含む。例示の界面活性剤は、
タウロコール酸、デオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、セチルピリジウ
ム、塩化ベナルコニウム、ZWITTERGENT73−14界面活性剤、CH
APS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオール]-1-プロパンスル ホネート水和物、Aldrich)、Big CHAP、デオキシBig CHA P、TRITON7-X-100界面活性剤、C12E8、オクチル-B-D-グル コピラノシド、PLURONIC7-F68界面活性剤、TWEEN 20界面活
性剤、およびTWEEN7 80界面活性剤(CALBIOCHEM7 Bioc hemicals)を含む。
【0027】 薬剤が、例えば、核酸である、処方物のための好ましい送達増強化合物の1つ
の例は、コール酸誘導体であるBig CHAPである(例えば、Heleniu
sら(1979)「界面活性剤の性質」Methods in Enzymolog
y,第66巻、734−749頁を参照のこと)。市販のBig-CHAP調製物
を含む核酸処方物に対する改良された遺伝子移入を容易にするために、Big CHAPの濃度は、その市販の供給源を基に変動し得る。Big CHAPがC ALBIOCHEM7から供給されるとき、2〜10ミリモル濃度の範囲にある
濃度が好ましい。より好ましくは4〜8ミリモル濃度である。最も好ましくは約
7ミリモル濃度である。Big CHAPがSigmaから供給されるとき、B ig CHAPの濃度が、15〜35ミリモル濃度の範囲にあることが好ましい 。より好ましくは20〜30ミリモル濃度である。最も好ましくは、約25ミリ
モル濃度である。
【0028】 さらなる実施態様では、本発明は、式Iをもつ送達増強化合物を提供する:
【0029】
【化34】 式Iにおいて、mおよびnは同じかまたは異なるかのいずれかであり得、そして
各々は2〜8の整数である。好ましい実施態様では、mおよびnは独立して各々
2または3である。
【0030】 好ましくは、式I中のRは、以下の式を有するカチオン基または構造である
【0031】
【化35】 適切なカチオン基は、化合物に正荷電を提供する任意の部分を含み得る。適切
なカチオン基の例は、トリメチルアンモニウムおよびアンモニウムカチオンを含
むがこれらに限定されない。
【0032】 式I中のX1は、一般に、以下からなる群から選択され
【0033】
【化36】 そしてX2およびX3は、それぞれ独立して、サッカリド基、
【0034】
【化37】 からなる群から選択され、 X3が分子中に存在するとき、X2およびX3の少なくとも1つはサッカリド基 である。
【0035】 本発明の送達増強化合物において用いられ得るサッカリド基は、モノサッカリ
ドであり得るか、またはホモオリゴサッカリドまたはヘテロオリゴサッカリドの
いずれかで連結した1つを超えるモノサッカリドを含み得る。好ましいモノサッ
カリドは、ペントース残基および/またはヘキソース残基を含む。例えば、サッ カリド基は、ペントースモノサッカリド基、ヘキソースモノサッカリド基、ペン
トース−ペントースジサッカリド基、ヘキソース−ヘキソースジサッカリド基、
ペントース−ヘキソースジサッカリド基、およびヘキソース−ペントースジサッ
カリド基からなる群から選択され得る。X3について好ましいサッカリド基の1 つはラクトースである。
【0036】 いくつかの実施態様では、式Iの送達増強化合物は、3つ以上のモノサッカリ
ドからなるサッカリド基としてX2および/またはX3を有する。好ましくは、サ ッカリド基は1〜8のモノサッカリド、より好ましくは、1〜4のモノサッカリ
ド、および最も好ましくは、約2〜3のモノサッカリドを有する。例えば、トリ
サッカリドの使用は、増強した溶解度をもつ化合物を提供し得る。
【0037】 本発明の適切な送達増強化合物の例は、X1およびX2が両方とも
【0038】
【化38】 であり、かつX3がサッカリドである式Iの化合物を含むが、これに限定されな い。
【0039】 他の実施態様は、例えば、X1およびX2の両方を
【0040】
【化39】 として、かつX3をサッカリド基として有する。好ましい化合物はまた、nが2 または3であり、X1およびX2が両方とも
【0041】
【化40】 であり、かつX3がヘキソースモノサッカリド基である化合物;nが2または3 であり、X1およびX3の両方が
【0042】
【化41】 であり、かつX2がヘキソースモノサッカリド基である化合物;およびnが2ま たは3であり、X1およびX2の両方が
【0043】
【化42】 であり、かつX3がヘキソース−ヘキソースジサッカリド基である化合物を含む 。
【0044】 nが2または3であり、X1およびX3が両方とも
【0045】
【化43】 であり、かつX2がヘキソース−ヘキソースジサッカリド基である化合物、また は、nが2または3であり、X1およびX2が両方とも
【0046】
【化44】 であり、かつX3がヘキソース−ペントースジサッカリド基である化合物もまた 適切である。
【0047】 特にX3位でトリサッカリド基を有する式Iの化合物もまた好ましい。
【0048】 本発明の好ましい送達増強化合物の1つの例は、図21で示されるような式I
IIを有するSyn3である。Syn3は、Big CHAPの市販の調製物中 に見出された不純物の合成アナログである(実施例参照)。Big CHAPの不 純物2および3もまた、送達増強化合物としての使用に、特に例えば、Big CHAPのような界面活性剤を含む可溶化緩衝液中に処方されるとき適切である
【0049】 いくつかの適用には、他の化合物と比較して、増強した水溶性および/または 送達増強活性を示す送達増強化合物を用いることが所望される。このような化合
物もまた、本発明により提供される。例えば、本発明は、Rがカチオン基である
式Iを有する化合物を提供する。適切なカチオン基は、例えば、テトラメチルお
よびアンモニウム部分、およびその塩を含む。このような化合物の例は、図21
に示されるようなA−tma(式IV)およびA−HCl(式V)を含む。改良され
た溶解度および/または送達増強活性を有する他の化合物は、式Iの化合物中の サッカリド基(単数または複数)がトリサッカリドまたはより長い化合物を含む。
【0050】 いくつかの実施態様では、本発明の送達増強薬剤は式IIを有し:
【0051】
【化45】 ここで、X1およびX2は、以下からなる群から選択され
【0052】
【化46】 かつX3は、サッカリド基である。適切なサッカリド基は、式Iの化合物につ いて議論された上記の基を含む。適切な化合物の1つの例では、X1およびX2
両方が、
【0053】
【化47】 であり、かつX3がグルコース基である化合物を含むがこれに限定されない。
【0054】 適切な化合物のさらなる例は、X1およびX2の両方が以下からなる群から選択
され
【0055】
【化48】 かつ、X3がラクトース基である。
【0056】 本発明はまた、細胞に送達されるべき薬剤および送達増強化合物を含む処方物
を提供する。処方物中の送達増強化合物の濃度は、用いられている特定の送達増
強化合物、緩衝液、pH、標的組織または器官、および投与の様式のような多く
の因子に依存する。送達増強化合物の濃度は、しばしば、1%〜50%(v/v) 、好ましくは、10%〜40%(v/v)、そして最も好ましくは、15%〜30 %(v/v)の範囲にある。本発明の送達増強化合物は、本発明の処方物中、好ま しくは、約0.002〜2mg/ml、より好ましくは約0.02〜2mg/m lの範囲、最も好ましくは約0.1〜1mg/mlの範囲で用いられる。
【0057】 代表的には、本発明の送達増強化合物は化合物が可溶である溶媒中に処方され
るが、化合物が部分的に可溶化されるのみである処方物もまた好適である。リン
酸緩衝化生理食塩水(PBS)は、これら化合物の適切な可溶化剤の1つの例であ
り、そしてその他は当業者に公知である。特定のさらなる賦形剤および添加剤が
、種々の薬学的処方物のためにこれら薬剤の溶解性特徴を達成するために所望さ
れ得ることが認識される。例えば、界面活性剤、脂肪酸エステル、界面活性剤の
ような周知の可溶化剤は、使用される種々の溶媒における化合物の可溶化を容易
にするように適切な濃度で添加され得る。処方物が界面活性剤を含む場合、患者
に投与される最終処方物中の界面活性剤濃度は、好ましくは、約0.5−2×臨
界ミセル化濃度(CMC)である。適切な界面活性剤は上記列挙されたものを含む
。適切な界面活性剤およびそれらの使用のための適切な濃度の同定は、本明細書
に記載のように決定され得る。
【0058】 Syn3および関連化合物のような化合物に対する好ましい可溶化剤の1つの
例は、約0.05%〜約0.3%濃度の、より好ましくは約0.10%〜約0.
15%の濃度のTween80である。Big CHAPもまたSyn3および 関連化合物のための好ましい可溶化剤である。
【0059】 本発明の化合物は単独で、互いに組み合わせて、または別の送達増強薬剤と組
み合わせて使用され得る。
【0060】 (B.調整性薬剤) 本発明の送達増強化合物は、タンパク質、核酸、アンチセンスRNA、低分子
等を含む薬剤の細胞への送達を増強するに有用である。例えば、送達増強化合物
は、上皮膜を有する細胞を含む、任意の繊維または器官の部分である細胞へと薬
剤を送達するのに有用である。
【0061】 送達増強化合物を使用する送達に適切である薬剤の中で、本明細書中で使用さ
れる「調整性薬剤」とは、生物学的プロセスを調節し得る薬剤をいう。このよう
なプロセスは、例えば、細胞成長、分化、増殖(ガンのような新形成性障害を含
む)、調節、代謝経路または生合成経路、遺伝子発現などを含む。調整性薬剤は
また、例えば免疫応答(自己免疫障害を含む)、細菌および真菌病原体による感
染、ならびに調整性薬剤の導入により調節可能である任意の他の生物学的プロセ
スに影響し得る。
【0062】 治療用薬剤は、送達増強薬剤を使用して送達し得る調整性薬剤の例である。こ
のような薬剤は疾患に関連する細胞性プロセスを調整するのに有用である。本明
細書中で使用される、用語「治療用薬剤」には、治療用タンパク質、治療用遺伝
子、治療用遺伝子を含むベクター(プラスミドまたはウイルスベクター)、アン
チセンス核酸または他の治療用核酸配列(例えば、三重鎖核酸)が挙げられるが
、これらに限定されない。本発明の目的のために、用語「治療用遺伝子」とは、
細胞中に導入されて治療効果を達成する核酸配列をいう。このような治療用遺伝
子の例には、腫瘍サプレッサー遺伝子、自殺遺伝子、アンチセンス核酸分子、三
重鎖形成核酸分子、サイトカイン(例えば、インターフェロンα、β、δおよび
γであるが、これらに限定されない)をコードする遺伝子、インターロイキン(
例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7およびIL−10
)をコードする遺伝子、ならびにGM−CSFのようなコロニー刺激因子が挙げ
られるが、これらに限定されない。いくつかの例において、治療用遺伝子は、天
然に存在するか、または組換え的に改変されたウイルス中に存在し得る。 自殺遺伝子は、その発現が細胞を外部因子による殺傷に対して感受性にさせるか
、または、その発現が細胞において毒性状態を引き起こす核酸配列である。自殺
遺伝子の周知の例には、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子(例えば、Wooら、
米国特許第5,631,236号(1997年5月20日発行);Freema
nら、米国特許第5,601,818号(1997年2月11日発行))があり
、ここで、TK遺伝子産物を発現する細胞は、ガンシクロビルの投与による選択
的殺傷に対して感受性である。
【0063】 アンチセンス核酸分子は、ヌクレオチドの特定の配列に結合してタンパク質(
疾患を引き起こすタンパク質を含む)の産生を阻害するように設計された、核酸
の相補的オリゴヌクレオチド鎖である。特定のオンコジーンに結合するアンチセ
ンス分子は、これらのガン発症因子の転写を阻害するために頻繁に使用される。
これらの薬剤は単独で、または他の治療用遺伝子と組み合わせて使用され得る。
【0064】 三重鎖形成核酸は遺伝子の転写を阻害するように設計された分子であり、例え
ば、疾患発症遺伝子を含む。一般的には、このことは三重鎖形成核酸の、標的遺
伝子の転写制御配列への結合および標的遺伝子の転写の阻害により達成される。
三重鎖形成オリゴヌクレオチドは、Hoogsteen水素結合に起因する二本
鎖DNAの主溝を認識し、そして結合する。三重鎖技術の使用の例には、前立腺
ガン細胞における、アンドロゲンレセプターまたはインスリン様成長因子遺伝子
の三重鎖技術を用いた標的化が含まれる。Boulikasら、T.,Anti
cancer Res.17(3A):1471−1505(1997)。三重
鎖核酸は、いくつかの例において変異誘発性であることが実証されており、そし
てこのような分子が使用されて、治療様式で腫瘍サプレッサー遺伝子の誘導を導
く内因性DNA修復機構の応答を誘導し得、そして標的細胞においてアポトーシ
スを誘導するゲノム不安定性に寄与し得る。種々の三重鎖核化合物が現在研究中
であり、そして科学文献において非常に良く報告されている。
【0065】 「腫瘍サプレッサー遺伝子」とは、腫瘍の形成を抑制するポリペプチドをコー
ドする遺伝子をいう。腫瘍サプレッサー遺伝子は、哺乳動物細胞において天然に
存在する遺伝子であり、その欠損または不活化が腫瘍の発生についての必要条件
であると考えられている。腫瘍サプレッサー遺伝子治療は、一般に、腫瘍サプレ
ッサー遺伝子の、その遺伝子が存在しないか不活化されている細胞への再導入を
試みる。本発明の実施に有用な腫瘍サプレッサー遺伝子の例には、p53、p1
10Rb、p16およびp21を含む腫瘍サプレッサー遺伝子のINK4ファミ
リーのメンバー、ならびにp56Rb、p94Rb等のようなその治療的に有効
なフラグメントが挙げられる。本発明の好ましい実施には、腫瘍サプレッサー遺
伝子はRb遺伝子およびp53遺伝子、ならびにRb56のような、それらの機
能的改変体をコードする核酸配列から選択される。本発明の最も好ましい実施に
おいて、腫瘍サプレッサー遺伝子はp53である。
【0066】 いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、送達増強化合物を含む緩衝
液中に治療用薬剤の「治療的有効」量を含む。本発明で使用される「治療的有効
」とは、疾患状態に関連する症状の予防、減少または治癒をいう。
【0067】 送達増強薬剤およびこれらの薬剤を含む処方物はまた、目的の遺伝子の、細胞
、特に器官または組織の細胞への送達を容易にするために使用され得る。これら
の遺伝子は、例えば、商業目的について興味深いタンパク質をコードし得る。例
として、薬剤および処方物を使用して、哺乳動物の乳房組織へ栄養的に重要なタ
ンパク質(これは、次いで、哺乳動物によって産生される乳汁中に分泌される)
をコードする遺伝子を送達し得る。このような薬剤および処方物の他の使用は当
業者に明らかである。 送達増強薬剤およびこのような薬剤を含む処方物はまた、診断用薬剤を、細胞、
器官および組織に送達するために有用である。診断用薬剤の例には、細胞内で発
現された場合に容易に検出可能であるタンパク質をコードするマーカー遺伝子(
β−ガラクトシダーゼ、グリーン蛍光タンパク質、ルシフェラーゼなどを含むが
これらに限定されない)および標識された核酸プローブ(例えば、放射標識され
たプローブ)が挙げられる。
【0068】 (C.遺伝子送達のためのベクター) 細胞に送達される薬剤が遺伝子である場合では、その遺伝子をベクター中に組
み込み得る。このような目的に使用されるベクターの例には、標的細胞内で目的
の遺伝子の発現を指向し得る発現プラスミドが挙げられる。他の例において、ベ
クターはウイルスベクター系であり、ここで目的の遺伝子は標的細胞をトランス
フェクトし得るウイルスゲノムに組み込まれる。目的の遺伝子が標的細胞内での
発現のために設計される場合、遺伝子は、所望の標的宿主細胞内での遺伝子の発
現を指向し得る発現配列および制御配列に作動可能に連結され得る。それゆえ、
適切な条件下において標的細胞内で遺伝子の発現を達成し得る。
【0069】 本発明の実施に有用なウイルスベクター系には、例えば、天然に存在するまた
は組換えウイルスベクター系が挙げられる。特定の適用に依存して、適切なウイ
ルスベクターには複製コンピテント、複製欠損、および条件的に複製するウイル
スベクター系が挙げられる。例えば、ウイルスベクターはヒトアデノウイルスま
たはウシアデノウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴
ウイルス、マウスマイニュートウイルス(MVM)、HIV、シンドビスウイル
スおよびレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルスを含むがこれに限定されない)な
らびにMoMLVのゲノムに由来し得る。代表的には、目的の遺伝子はこのよう
なベクター中に挿入されて遺伝子構築物のパッケージングを可能にし、代表的に
は、ウイルスDNA、感受性宿主細胞の感染および目的の遺伝子の発現が付随す
る。好ましい組換えウイルスベクターはアデノウイルスベクター送達系であり、
これは第IX遺伝子タンパク質の欠損を有する(国際特許出願WO95/119
84を参照のこと、これは本明細書中で参考としてその全体が全ての目的のため
に援用される)。
【0070】 本明細書中で使用される「組換え」とは、核酸およびこれらによってコードさ
れるタンパク質をいい、ここで、核酸は組換えDNA技術(「遺伝子操作」とも
称される)の方法によって構築される。
【0071】 調整性遺伝子(例えば、送達増強薬剤を含む緩衝液中に処方される組換えウイ
ルスベクター送達系におけるp53遺伝子または網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー
遺伝子)を含む薬学的組成物の治療的有効量は、本発明の教示に従って投与され
る。例えば、送達増強薬剤を含む緩衝液中に処方される組換えアデノウイルスベ
クター送達系における治療遺伝子の治療的有効量は、約1×108粒子/ml〜 1×1012粒子/ml、より代表的には、約1×108粒子/ml〜5×1011 粒子/ml、最も代表的には、約1×109粒子/ml〜1×1011粒子/ml (PN/ml)の範囲にある。
【0072】 (D.遺伝送達系) 本明細書中で使用される場合、「遺伝子送達系」とは、標的細胞への薬剤の送
達のための任意の手段をいう。薬剤は、次いで送達増強化合物を含む処方物を使
用して細胞へと送達される遺伝子送達系に付随し得る。
【0073】 本発明のいくつかの実施態様において、遺伝子構築物または他の薬剤は、DN
A連結部分のような適切な連結部分を介して、容易にされた取り込み(例えば、
被覆されたくぼみの陥入およびエンドソームのインターナリゼーション)のため
に細胞性レセプターリガンドへと連結される(Wuら、J.Biol.Chem
.263:14621−14624(1988);WO92/06180)。例
えば、遺伝子構築物はポリリジン部分を介してアシアロ−オロムコシド(oro
mucocid)(これは肝細胞のアシアログリコプロテインレセプターについ
てのリガンドである)へと連結され得る。
【0074】 同様に、遺伝子構築物のパッケージングのために使用されるウイルスエンベロ
ープは、特定の細胞へのレセプター媒介性エンドサイトーシスを可能にするレセ
プターに特異的なレセプターリガンドまたは抗体の付加によって改変され得る(
例えば、WO93/20221,WO93/14188,WO94/06923を 参照のこと)。本発明のいくつかの実施態様において、本発明のDNA構築物は
アデノウイルス粒子のようなウイルスタンパク質に連結されてエンドサイトーシ
スを容易にする(Curielら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
.S.A.88:8850−8854(1991))。他の実施態様において、
本発明の分子結合体は微小管インヒビター(WO/9406922);インフル
エンザウイルス凝血素模倣合成ペプチド(Plankら、J.Biol.Che
m.269:12918−12924(1994));およびSV40 T抗原
のような核局在化シグナル(WO93/19768)を含み得る。
【0075】 本発明のいくつかの実施態様において、調整性薬剤はアンチセンス核酸である
。アンチセンス核酸はアンチセンスオリゴヌクレオチドとして提供され得る(例
えば、Murayamaら、Antisense Nucleic Acid
Drug Dev.7:109−114(1997)を参照のこと)。アンチセ
ンス核酸をコードする遺伝子もまた、提供され得る;このような遺伝子は、当業
者に公知の方法により、送達増強薬剤とともに処方され得、そして細胞中に導入
され得る。例えば、アンチセンス核酸をコードする遺伝子をウイルスベクター中
(例えば、B型肝炎ウイルス(例えば、Jiら、J.Viral Hepat.
4:167−173(1997)を参照のこと)中;アデノ随伴ウイルス(例え
ば、Xiaoら、Brain Res.756:76−83(1997)を参照
のこと)中または以下を含むがこれらに限定されない他の系中;HVJ(センダ
イウイルス)リポソーム遺伝子送達系(例えば、Kanedaら、Ann.N.
Y.Acad.Sci.811:299−308(1997)を参照のこと);
「ペプチドベクター」(例えば、Vidalら、CR Acad.Sci.II
I 32:279−287(1997)を参照のこと);エピソームベクターま
たはプラスミドベクター中の遺伝子として(例えば、Cooperら、Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:6450−6455(19
97)、Yewら、Hum Gene Ther.8:575−584(199
7)を参照のこと);ペプチド−DNA凝集体中の遺伝子として(例えば、Ni
idomeら、J.Biol.Chem.272:15307−15312(1
997)を参照のこと);「裸のDNA」として(例えば、米国特許第5,58
0,859号および米国特許第5,589,466号を参照のこと);脂質性ベ
クター系中で(例えば、Leeら、Crit Rev Ther Drug C
arrier Syst.14:173−206(1997)を参照のこと);
ポリマーコートリポソーム(Marinら、1993年5月25日に発行された
、米国特許第5,213,804号;Woodleら、1991年5月7日に発
行された米国特許第5,013,556号);カチオン性リポソーム(Epan
dら、1994年2月1日に発行された米国特許第5,283,185号;Je
ssee,J.A.、1996年11月26日に発行された米国特許第5,57
8,475号;Roseら、1994年1月18日に発行された米国特許第5,
279,833号;Gebeyehuら、1994年8月2日に発行された米国
特許第5,334,761号);気体充填ミクロスフィア(Ungerら、19
96年8月6日に発行された米国特許第5,542,935号)、リガンド標的
化カプセル化高分子(Lowら、1992年4月28日に発行された米国特許第
5,108,921号;Curielら、1996年5月28日に発行された米
国特許第5,521,291号;Gromanら、1996年9月10日に発行
された米国特許第5,554,386号;Wuら、1992年11月24日に発
行された米国特許第5,166,320号))に導入し得る。
【0076】 (E.薬学的処方物) 薬学的目的のために使用される場合、本発明の処方物は送達増強化合物を含む
緩衝液を含む。緩衝液は任意の薬学的に受容可能な緩衝液(リン酸緩衝化生理食
塩水またはナトリウムリン酸塩/ナトリウム硫酸塩、Tris緩衝液、グリシン
緩衝液、滅菌水および例えばGoodら(1966)Biochemistry
5:467により記載されるような当業者に公知の他の緩衝液)であり得る。ア
デノウイルスベクター送達系中に含まれる調整性遺伝子を含む薬学的組成物中の
緩衝液のpHは、例えば、代表的には6.4〜8.4、好ましくは、7〜7.5
、および最も好ましくは7.2〜7.4の範囲である。
【0077】 さらに、本発明の組成物は安定化剤、増強剤あるいは他の薬学的に受容可能な
キャリアまたはビヒクルを含み得る。薬学的に受容可能なキャリアーは生理学的
に受容可能な化合物を含み得、これは、例えば、腫瘍サプレッサー遺伝子を含む
組換えアデノウイルスベクター送達系を安定化するように作用する。生理学的に
受容可能な化合物には、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロースま
たはデキストラン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸またはグルタチオン)
、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤もしくは賦形剤が挙げら
れ得る。他の生理学的に受容可能な化合物には、湿潤剤、乳化剤、分散剤または
保存剤(これは微生物の増殖または活動を予防するのに特に有用である)が挙げ
られる。種々の保存剤が周知であり、そして、例えば、フェノールおよびアスコ
ルビン酸が挙げられる。当業者は、投与経路ならびに組換えアデノウイルスベク
ター送達系およびそこに含まれる特定の腫瘍サプレッサー遺伝子の特定の生理化
学特性に依存して、薬学的に受容可能なキャリアの選択を知る。キャリア、安定
化剤またはアジュバントの例は、Martin,Remington‘s Ph
arm.Sci.第15版(Mack Publ.Co.,Easton,PA
1975)(これは本明細書中に参考として援用される)に見いだされ得る。
【0078】 (F.処方物の投与) いくつかの実施態様において、送達増強化合物は、調整性薬剤が処方される緩
衝液中に含まれる。送達増強化合物は、調整性薬剤の前、または調整性薬剤と同
時に投与され得る。いくつかの実施態様において、送達増強化合物は、患者への
投与の直前に調整性薬剤調製物を送達増強化合物処方物と混合することによって
調整性薬剤とともに提供される。他の実施態様において、送達増強化合物および
調整性薬剤は投与のために介護者へと単一のバイアル中に提供される。
【0079】 送達増強薬剤をさらに含む緩衝液中に処方された組換えアデノウイルスベクタ
ー送達系中に含まれる、腫瘍サプレッサー遺伝子を含む薬学的組成物の場合では
、薬学的組成物は、約5分〜3時間、好ましくは、約10分〜120分、および
最も好ましくは約15分〜90分の範囲の時間にわたって投与され得る。別の実
施態様において、送達増強薬剤は、腫瘍サプレッサー遺伝子を含む組換えアデノ
ウイルスベクター系の投与前に投与され得る。送達増強薬剤の前投与は、腫瘍サ
プレッサー遺伝子を含むアデノウイルスベクター送達系の投与前約30秒〜1時
間、好ましくは約1分〜10分、および最も好ましくは約1分〜5分の範囲であ
り得る。
【0080】 送達増強薬剤を含む緩衝液中に処方された調整性薬剤は、当業者に公知である
任意の送達方法(例えば、腫瘍内または膀胱内投与)を使用して、ガン組織のよ
うな新形成性組織を含む任意の組織または器官へと送達され得る。組織および器
官には、胃腸管、膀胱、気道および肺のような上皮膜を有する任意の組織または
器官を含む。例には、膀胱および上部気道、外陰部、子宮頸管、膣、または気管
支のガン腫;腹膜の局所的転移性腫瘍;気管支肺胞ガン腫;胸膜転移性ガン腫;
口および扁桃のガン腫;鼻咽頭、鼻、喉頭、食道、胃、結腸および直腸、胆嚢ま
たは皮膚のガン腫;あるいは黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】 本発明のいくつかの実施態様において、治療用薬剤は、粘膜用、局所用および
/または頬処方物、特に、粘膜接着用ゲルおよび局所用ゲル処方物中に処方され
る。経皮送達のための例示的な透過増強化合物、ポリマー性マトリクスおよび粘
膜接着性ゲル調製物は、米国特許第5,346,701号に開示される。このよ
うな処方物は、特に、口のガン、頭部および頚部ガン(例えば、気管支上皮のガ
ン)皮膚ガン(例えば、黒色腫、基底および扁平上皮細胞ガン腫)、小腸粘膜の
ガン、膣粘膜、および子宮頚管ガンの処置のために有用である。
【0082】 本発明のいくつかの実施態様において、治療用薬剤は、眼への投与のための眼
用処方物中に処方される。このような処方物は、必要に応じてp53の送達と組
み合わせて、網膜芽細胞腫(RB)遺伝子の眼への送達に有用である。
【0083】 (G.処置方法) 本発明の処方物は、代表的には、薬剤の細胞への移入を増強するために投与さ
れる。細胞は組織の一部(例えば、上皮膜)として、または単離された細胞(例
えば、組織培養物中で)として、提供され得る。細胞はインビボ、エキソビボま
たはインビトロで提供され得る。
【0084】 送達増強化合物および調整性薬剤を含む処方物は、目的の組織へと、種々の方
法によって、インビボまたはエキソビボで導入され得る。本発明のいくつかの実
施態様において、調整性薬剤はマイクロインジェクション、リン酸カルシウム沈
澱、リポソーム融合または微粒子銃のような方法により細胞へと導入される。さ
らなる実施態様において、治療用薬剤は目的の組織により直接的に取り込まれる
【0085】 本発明のいくつかの実施態様において、本発明の組成物は患者から外植された
細胞または組織へとエキソビボで投与され、次いで患者へと戻される。治療用遺
伝子構築物のエキソビボ投与の例には、Arteagaら、Cancer Re
search 56(5):1098−1103(1996);Noltaら、
Proc Natl.Acad.Sci.USA 93(6):2414−9(
1996);Kocら、Seminars in Oncology 23(1
):46−65(1996);Raperら、Annals of Surge
ry 223(2):116−26(1996);Dalesandroら、J
.Thorac.Cardi.Surg.,11(2)416−22(1996
);およびMakarovら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93(1):402−6(1996)が挙げられる。
【0086】 (実施例) 以下の実施例は例示することを意図するが、本発明の範囲を制限することは意
図しない。以下の実施例において、「g」はグラムを意味し、「ml」はミリリ
ットルを意味し、「mol」はモルを意味し、「℃」は摂氏温度を意味し、「m
in.」は分を意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、そして「
PN」は粒子数を特定する。全ての温度は、特別に他に記載しない限り、摂氏温
度である。
【0087】 (実施例1) (エタノールは膀胱中への遺伝子移入を改善する) 最初の実験は、ウイルス濃度、投与時間および用量の容量を含むいくつかの因
子が、ラットへの静脈内投与後の膀胱上皮への遺伝子移入に影響を与え得ること
を示した。染料の増加した透過が異なる溶媒の膀胱内投与により達成され得るの
で、アデノウイルス処方物の改変もまた、膀胱内でのアデノウイルストランスジ
ーンの発現を増加させるための代替的ストラテジーとして調査された(Mons
onら、Urology 145:842−845(1991))。本発明の実
験は、膀胱内でのアデノウイルストランスジーン発現を増加させるためのエタノ
ールの使用に焦点を当てた。
【0088】 9匹の雌性buffaloラット(Harlan Sprague Dawl
ey)をイソフルランで麻酔し、そしてlacZ遺伝子をコードするヒト組換え
アデノウイルス(rAd−βgal)の単回膀胱内投与を与えた。lacZ遺伝
子を含むヒト組換えアデノウイルス(rAd−βgal)ベクターは、Will
sら、Human Gene Therapy 5:1079−1088(19
94)に記載される。点滴の前に、膀胱をPBSでフラッシュし、そして空にし
た。次いで、rAd−βgalを希釈して、1.7×1011PN/mLの最終濃
度を、1)VPBS(PBS中、2%(w/v)スクロースおよび2mM Mg Cl)中に、2)30%(v/v)エタノール中に、または3)50%(v/v
)DMSO中に達成し、そして250μL容量で点滴した(N=3匹/グループ
)。投与した物質を膀胱中に45分間保持した。次いで膀胱をPBSでフラッシ
ュし、そして動物を手順から回復させた。投与の2日後、ラットを屠殺して、膀
胱を採取し、固定し、そして器官全体をXgal(5−ブロモ−4−クロロ−3
−インドリル−β−D−ガラクトシド)溶液を用いて染色してレポーター遺伝子
の移入を評価した。次いで、Xgal染色した組織をパラフィンに包埋し、切片
化し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンを用いて対染色した。β−ガラクト
シダーゼによるXgalの加水分解は青色を生じ、これは表在性管腔膀胱上皮に
局在した。
【0089】 アデノウイルスベクターによる送達に続くトランスジーン発現を、rAd−β
galで処置した全ての動物から膀胱で検出したが、非処置コントロールでは検
出しなかった。トランスジーン発現は、以前に発行されたPBS/スクロース処
方物を用いた結果(Bassら、Cancer Gene Therapy 2
:2:97−104(1995))に類似した。きわめて対照的に、管腔上皮表
面におけるβ−ガラクトシダーゼの発現は、30%エタノールで希釈したrAd
−βgalを受けた動物で非常に増強された(図1)。図1に記載される膀胱標
本を、包埋し、切片化し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンを用いて対染色
した。膀胱組織の組織学的評価は、エタノールをアデノウイルス処方物に添加し
た場合の、一過性の膀胱上皮の増加したβ−ガラクトシダーゼ発現を実証した(
図2)。エタノールと保護的グルコサミノグリカン(GAG)層との上皮表面で
の相互作用は、トランスジーン発現において観察された増加についてのメカニズ
ムを提供する。この層の破壊は、表面でのウイルス−細胞相互作用を容易にし得
、そして潜在的に粘膜下への透過を増強し得る。
【0090】 (実施例2) (ラット膀胱における用量依存性トランスジーン発現) 別の実験において、18匹の雌性Sprague−Dawleyラットをイソ
フルランで麻酔し、そして22.5%(v/v)エタノール処方物中、2×10 7 、2×108、2×109、2×1010および2×1011、PN/mLの濃度で 、rAd−βgalの単回0.5ml膀胱内大量投与を与えた。45分のインキ
ュベーション後、膀胱をPBSでフラッシュし、そして動物を麻酔から回復させ
た。2日後、動物を屠殺して、膀胱を採取し、固定し、そして器官全体をXga
l溶液を用いて染色してアデノウイルストランスジーン発現を評価した。管腔膀
胱上皮でのβ−ガラクトシダーゼ発現は、投与された組換えアデノウイルス濃度
と相関した(図3)。2×1010または2×1011PN/mLを受容した動物間
では著しい差異は観察されず、このことはこのモデルにおけるトランスジーン発
現の飽和を示唆する。点滴後に無効にされた用量の分析は、これらの高用量での
投与物質の感染力価におけるほんの最小限の減少を示す。β−ガラクトシダーゼ
の発現は、より低い濃度で減少した。β−ガラクトシダーゼ発現の証拠は、1×
107PN/mLの濃度で投与された動物または非処置コントロール動物では検 出されなかった。
【0091】 (実施例3) (マウス膀胱におけるACNRB遺伝子移入) RT−PCRアッセイを使用してRBトランスジーンの発現を詳細に評価する
パイロット研究を行った。この研究に使用した組換えアデノウイルスは、E1a
、E1bおよびpIXタンパク質をコードするウイルス性初期領域1が欠損され
た血清型5ヒトアデノウイルスに基づいた。このアデノウイルスは、複製のため
に必要とされるAd5 E1遺伝子産物を生成する293細胞で増殖するように
制限されている。完全長または短縮型Rbのいずれかをコードする移入プラスミ
ドを、pACNから生成し(Willsら、Cancer Gene Ther
apy 2:191−197(1995))、次に組換えアデノウイルスを構築
するのに使用した。完全長RB cDNA(1〜928アミノ酸)(プラスミド
pETRbcから、2.8KbのXba I−Bam HIフラグメントとして
サブクローン化した)(Huangら、Nature 350:160−162
(1991))または短縮型フラグメント(381〜928アミノ酸)(1.7
kbのXbaI−BamHI cDNAフラグメントとしてサブクローン化した
)のいずれかを、プラスミドpACNのCMVプロモーター/エンハンサーおよ
びAd2三分節リーダーcDNAの下流に配置した。続いて、これらのプラスミ
ドを、Eco RIで線状化し、そして部分的E4欠失を含むAd−RB56(
ACN56)を作製するための、H5ilE4の単離したClaI消化大型フラ
グメント(Hemstromら、J.Virol.62:3258−3264(
1988))、またはベクターのE3およびE4領域の両方の欠失を含むAd−
Rb110(ACNRB)を作製するための、dl327(Ginsbergら
、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:3823−38
27(1989))とH5ilE4とのハイブリッドウイルス由来の大型フラグ
メントのいずれかを用いて、同時トランスフェクト(CaPO4、Strata gene)した。
【0092】 8匹の雌性ICRマウス(Charles River Laborator
ies)をアベルチンで麻酔し、そしてそれぞれに(ACNRB)の単回80μ
l膀胱内投与を与えた。ACNRB(4×1011PN/mL)を、PBS溶液ま
たは30%(v/v)エタノール溶液中に希釈し、そして調製した。ウイルスを
膀胱中に45分間保持した後、動物を手順から回復および放尿させた。ACNR
B投与の2日後または14日後、マウスを屠殺し、そして各動物からの膀胱、肝
臓および腎臓を採取し、ホモジナイズし、そして分析のために処理した(N=2
匹/グループ)。ACNRBに対して特異的なプライマーを用いるRT−PCR
アッセイを使用してトランスジーンの発現を決定した。より詳細には、ACNR
Bを同定し、そしてCMV配列の3‘末端からRB配列の5’末端までの領域を
増幅するためのプライマーを作成した。増幅(30サイクル)の後、RT−PC
R産物を10%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、エチジウムブロミドで染色
し、そして写真をとった。VPBS中のACNRBでの処理後の非常に低い発現
と比較して、30%(v/v)エタノール中のACNRBでの処理後で増加した
ACNRB発現を検出した。アッセイについてのポジティブコントロールは、A
CNRB感染5637ヒト膀胱がん細胞(コントロール)からのサンプルを含ん
だ。β−アクチンに特異的なプライマーを用いて増幅されたACNRB感染動物
からの膀胱RNAサンプルは、RNAの質についての内部コントロールを提供し
た。逆転写酵素(RT)を用いない非処置サンプルおよび膀胱サンプルは、DN
Aの夾雑についてのコントロールを提供した。投与の2日後、膀胱ホモジネート
中のACNRB発現のレベルを、30%エタノール中に調製したACNRBを受
けた動物から検出した(図4)。非膀胱組織中または投与14日後に採取したサ
ンプルにはいずれも発現の証拠は検出されなかった。
【0093】 (実施例4) (マウスへの膀胱内投与後の生体分布およびACNRB発現の速度論) 膀胱内投与後の発現の時間経過を調査するために、40匹の雌性マウス(Ch
arles River Laboratories)をアベルチンで麻酔し、
そしてACNRB(22%(v/v)エタノール中4×1010PN/mL)の単
回80μL大量投与を与えた。点滴物質を膀胱中に約45分間保持し、そして動
物を手順から回復させた。投与の1、2、3、4、5、6、7および14日後、
分析のためにマウス(N=4/回)を屠殺した。膀胱、肝臓および腎臓を採取し
、そして続いての分析のために液体窒素中ですぐに凍結した。ACNRB発現の
検出のために、組織サンプルをホモジナイズし、そして総RNAをTRI−Re
agent7を用いて抽出した。総RNAのアリコートを内因性RB発現からト
ランスジーン発現を区別するためにACNRBに特異的なプライマーを用いてR
T−PCRアッセイで増幅した。ACNRB DNAの検出のために、DNA抽
出キット(Stratagene)を組織ホモジネートに対して使用した。RT
−PCR分析について上記のように、ACNRBに特異的なプライマーを用いて
PCRを行った。
【0094】 膀胱ホモジネート中におけるACNRBトランスジーン発現は1〜6日目に採
取したサンプル中においてのみ検出され、これは時間とともに減少する内因性p
53に関する発現を伴った(図5、上部パネル)。投与7日および14日後に採
取したサンプルからは発現を検出しなかった。興味深いことに、腎臓では1,2
および3日目にACNRB発現がいくらか検出されたが、肝臓では観察されなか
った(図5、下方パネル)。
【0095】 投与14日後に採取したものを含めて、ACNRBを受けた動物全ての膀胱組
織において、ACNRB DNAを検出した(図6、(左パネル))。腎臓ホモ
ジネートからもまた、DNAを採取し、これはこの組織中で検出したACNRB
発現と一致した(図6、右パネル)。実験中に回収した肝臓サンプルにおいては
、ACNRB DNAについての証拠は検出しなかった(データは示さず)。非
処置動物由来のサンプル(U)および精製ACNRB DNA(PC)を、それ
ぞれ、ネガティブおよび25ポジティブコントロールとして使用した。
【0096】 組換えアデノウイルスの全身投与が、主に肝臓におけるトランスジーン発現を
生じる(Liら、Human Gene Therapy 4:403−409
(1993))ので、肝臓サンプルにおけるACNRB DNAおよび発現の非
存在(図5および図6)は、膀胱内投与後のACNRBのごく微量の全身曝露を
示唆する。尿管を介した逆流は、腎臓におけるACNRBの検出に寄与し得た。
【0097】 上に提示したデータは、ACNRBの膀胱内投与後の齧歯類膀胱におけるトラ
ンスジーン発現を実証する。これらの研究は、さらに、膀胱上皮へのアデノウイ
ルス媒介性遺伝子移入が、処方物中の送達増強薬剤(例えば、エタノール)の存
在によって増強され得ることを示す。増加した遺伝子移入についての1つのメカ
ニズムは、膀胱上皮表面における保護的グリコサミノグリカン層の破壊であり得
る。20〜30%(v/v)エタノール処方物中のACNRBの単回膀胱内投与
は、約1週間の間持続する、膀胱中でのトランスジーンの発現を生じる。逆行性
尿管流入は、腎臓において検出されたACNRBの一過性発現についてのありそ
うな説明を提供する。肝臓におけるACNRB発現およびACNRB DNAの
非存在は、膀胱内投与後の制限された全身性曝露を示す。
【0098】 (実施例5) (界面活性剤処方物の使用) 遺伝子移入効率の損失を伴わずに副作用を最小化するために、他の賦形剤を試
験した。界面活性剤は細胞膜と相互作用すること、および細胞にさらなる損傷を
与えずに大きな孔を形成することが公知である。より毒性の少ない界面活性剤中
に処方された組換えアデノウイルスの効率を、ラットおよびマウス遺伝子移入モ
デル中で研究した。
【0099】 rAd−βgalを臨界ミセル濃度で異なる界面活性剤中に処方して、膀胱上
皮への遺伝子移入の効率を評価した。雌性ラット(約200g b/w、 Ha
rlan Sprague Dawley)をイソフルランを用いて麻酔し、そ
して異なる界面活性剤処方物中でrAd−βgal(1×1011PN/ml)の
単回膀胱内投与を与えた(表1を参照のこと)。点滴の前に、膀胱をPBSでフ
ラッシュし、次いで空にした。次いで、0.5mlの容量でrAd−βgalを
点滴した。点滴した溶液を膀胱内に45分間保持した。次いで膀胱をPBSでフ
ラッシュし、そして動物を手順から回復させた。投与の48時間後、ラットを屠
殺し、膀胱を採取およびホルマリン中で固定した。固定後、レポーター遺伝子(
β−ガラクトシダーゼ)発現が存在する場合、青色に変化する色素(Xgal)
に尿路上皮が曝されるように、長軸方向に膀胱を開いた。膀胱全体の管腔上皮表
面を写真に撮り、青色染色:+(最小染色)、++(中程度の染色)、+++膀
胱上皮表面全体を覆う強い染色を、スコア付けした。結果を表1に示す。アニオ
ン性界面活性剤のいくつか(タウロデオキシコレート)、両性イオン性界面活性
剤(CHAPS、ZWITTERGENT7)および非イオン性界面活性剤(B
ig CHAP(CALBIOCHEM7)、TRITON7 X−100)は
、遺伝子移入を劇的に増強した。カチオン性界面活性剤および非イオン性界面活
性剤のいくつか(PLURONIC7 F68、TWEEN7)は、同様の効果
を有さなかった。遺伝子移入の改善は、しばしば、膀胱炎を伴った。両性イオン
性界面活性剤は、膀胱結石形成を促進した。
【0100】 エタノールを用いて観察される膀胱炎の可能性のある症状を、7mM Big
CHAP(CALBIOCHEM7)(2×CMC)または0.05mM T
RITON7−X−100界面活性剤(CMC)処方物を使用してマウス中で評
価した。処方物を80μLの容量で膀胱内に投与し、そして動物を7日間隔にわ
たり観察した。病理学的評価のために、屠殺後、膀胱をパラフィン包埋し、切片
化し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色した。Big CHA
P(CALBIOCHEM7)を用いて処理したマウスにおいて、膀胱組織中へ
の微量のマクロファージ浸潤のみを観察した。マクロファージのより顕著な(微
量〜中程度)浸潤は、TRITON7−X−100界面活性剤により誘導された
。きわめて対照的に、22%エタノールで処置した動物において顕著な膀胱炎を
検出した。
【0101】 (実施例6) (ACNRBの遺伝子移入) レポーター遺伝子を用いる実験に加えて、異なる一連の研究を、ACNRBの
遺伝子移入を詳細に評価するために行った。雌性のICRマウスをアベルチンで
麻酔し、そして個々のマウスにACNRBの単回の80μLの膀胱内投与を受容
させた。ACNRB(4×1010PN/mL)を、VPBS、22%(v/v)
エタノール、または3mMのBigCHAP(CALBIOCHEM7)中で処
方した。ウイルスを膀胱内で45分間維持した後、動物を回復させた。マウスを
ACNRBの投与後48時間で堵殺し、そして膀胱採取物を液体窒素中で凍結さ
せた。トランスジーンの発現を、RT−PCRを使用して決定した。組織を、R
NAseを含まない水中でリンスし、ホモジナイズし、Tri−Reagent
(Molecular Research Center)中で消化し、そして
全細胞のRNAを抽出した。ACNRBを、ACNRBベクターのCMV領域中
に配置した5’プライマーおよびRbゲノムの5’末端に配置した3’プライマ
ーを使用してプローブした。RT−PCRを、Perkin Elmer 96
00 GeneAmp PCR Systemにおいて行った。サイクル条件は
、65ECで10分間、50℃で8分間、95℃で5分間であった。32サイク
ルのPCRを行い、各サイクルは、94℃で30秒間、58℃で30秒間、そし
て72℃で30秒間であった。32回目のサイクルには、不完全なDNAフラグ
メントの完全な伸張を確実にするために、72℃で10分間の伸張工程を含んだ
。ACNRB−RNAバンドを、エチジウムブロマイドを用いて染色した。エタ
ノールまたはBigCHAP(CALBIOCHEM7)処方物を用いて増強さ
せた発現の結果を、図9に示す。
【0102】 (実施例7) (最小限度の(minimal)膀胱炎でBigCHAP(CALBIOCH
EM7)はトランスジーンの発現を増強する) BigCHAP(CALBIOCHEM7)が最小膀胱炎で遺伝子移入を増強
したので、この処方物をさらなる評価(上記のものと類似の研究における、濃度
および用量依存性を含む)のために選択した。簡潔には、麻酔した雌性のラット
において、rAd−βgal(1×1011PN/ml)を、膀胱内カテーテルを
介して膀胱に投与した。rAd−βgalを、種々の濃度のBigCHAP(C
ALBIOCHEM7)中で処方した。0.5mlの容量を注射し、そして45
分間膀胱内に注入したまま維持した。動物を48時間後に屠殺し、膀胱を、4%
のホルマリン/グルタルアルデヒド中に固定し、縦に開き、そしてβ−ガラクト
シダーゼ酵素活性を、Xgal基質を使用して測定した。青色の染色の強度は、
βgal−トランスジーンの発現と相関する。図7は、Xgal染色した膀胱の
上皮表面を示す。結果は、上皮への遺伝子の移入の濃度依存性の増加を示す。3
.5〜7mMの濃度のBigCHAP(CALBIOCHEM7)は、遺伝子の
移入を有意に改善した。処方物のみ(図7、下のパネル)では、Xgal基質に
よる青色を示さなかった。より高い濃度(17.5)mMでは、遺伝子移入また
は発現を著しくは改善しなかったが、試験した動物のいくつかにおいて膀胱炎を
誘導した。
【0103】
【表1】 より高い組換えアデノウイルス濃度の影響もまた、試験した。簡潔には、麻酔
した雌性ラットにおいて、7mMのBigCHAP(CALBIOCHEM7)
中で処方した種々の濃度のrAd−βgalを、膀胱内カテーテルを通じて膀胱
内に投与した。動物を48時間後に屠殺し、膀胱を4%のホルマリン/グルタル
アルデヒド中に固定し、縦に開き、そしてXgal染色した。図8は上皮への遺
伝子移入の濃度依存性の増加を示す。1.3×1011PN/mlの濃度で、最大
の遺伝子移入を誘導した。より高い濃度(6.5×1011PN/ml)では、青
色の染色を顕著には改善しなかった。より低い濃度のrAd−βGal(1.3
×1010PN/mlまたは1.3×109PN/ml)では、トランスジーンの 発現は、用量依存的に低下した。3.5mMと7mMの処方物とを比較した場合
、β−ガラクトシダーゼの発現は類似であったが、増強された影響は、7mMの
BigCHAP(CALBIOCHEM7)処方物で処理した動物においては、
より再現性があるようであった。
【0104】 (実施例8) (BigCHAP(CALBIOCHEM7)処方物での腫瘍におけるトラン
スジーンの発現) インタクトな膀胱上皮を有する動物に対して、最初に研究が集中したので、移
行性上皮ガンの動物モデルにおいて評価されたアデノウイルス媒介性の遺伝子移
入もまた、研究された。腫瘍を、雄性のFisherラットにおいて、6ヶ月間
、飲料水中への0.05%のBBNの添加によって誘導した。4mMのBigC
HAP(CALBIOCHEM7)またはVPBS中に処方したrAd−βGa
l(1×1011PN/ml)を、直接的な注射によって45分間膀胱内に注入し
た。β−galの発現を、処置の48時間後に評価した。腫瘍を有さない動物を
使用する以前の実験と一致して、腫瘍組織への遺伝子の移入は、VPBS処方物
と比較して、BigCHAP(CALBIOCHEM7)処方物を用いて改善さ
れた(図10)。
【0105】 p53遺伝子(rAd−p53)(Willsら、Human Gene T
herapy 5:1079−1088(1994))を保有するrAdの遺伝
子移入もまた、膀胱ガンのこの動物モデルにおいて試験した。簡潔には、膀胱の
腫瘍を、雌性のFisherラット(Charles River)において、
3ヶ月間、飲料水中への0.05%のBBN(N−ブチル−N−N−(4−ヒド
ロキシブチル)ニトロソアミン)の添加によって誘導した。rAd−p53(1
×1011PN/ml)を、7mMのBigCHAP(CALBIOCHEM7)
中に処方した。イソフルラン麻酔下で、カテーテル(24G)を、投与のために
膀胱に挿入した。rAd−p53を、45分間膀胱内に注入した。次いで、動物
を、麻酔から回復させた。24時間後、動物を屠殺し、そして膀胱をホルマリン
中に固定した。パラフィン包埋および切片化後、p53の発現を、基質としてA
EC(AEC−キット、Vector Labs)を使用するp53ES−キッ
ト(Oncogene)を使用して免疫組織化学によってアッセイした。組織を
、ヘマトキシリンを用いて対比染色した。図12は、増殖性の上皮の表面領域で
のp53遺伝子の発現(左側のパネル)を示し、そしてより高い倍率でのp53
の発現についての核染色(右側のパネル)を示す。未処理の動物に由来する腫瘍
組織においては、染色は検出されなかった。
【0106】 (実施例9) (BigCHAP(CALBIOCHEM7)はブタの尿路上皮においてトラ
ンスジーンの発現を増強する) 臨床的な研究のために予想される容量をシミュレートするために、7mMのB
igCHAP(CALBIOCHEM7)処方物を、SPRI Drug Sa
fety and Metabolismとの、共同研究において常用的にカテ
ーテルを通した成体のブタモデルにおいて試験した。rAd−βgal(1×1
11PN/ml)を、VPBSまたは7mMのBigCHAP(CALBIOC
HEM7)中で処方した。50mlの容量を、意識がある動物の膀胱中にカテー
テルを介して注射した。注入物質を2時間維持した。動物を48時間後に屠殺し
、そして膀胱の中心の切片を回収し、そしてβ−ガラクトシダーゼの発現につい
て染色した。遺伝子発現の強度における増加を、VPBS処理したブタと比較し
て、7mMのBigCHAP(CALBIOCHEM7)処理したブタにおいて
観察した(図11)。組織学的な評価は、BigCHAP(CALBIOCHE
M7)を使用するいくつかの上皮層の形質導入を実証したが(左側のパネル)、
VPBS緩衝液では表面の形質導入のみを示した(右側のパネル)。
【0107】 (実施例10) (ラットにおける腸上皮への遺伝子移入) Sandbergら(Human Gene Therapy 5:323−
329(1994))の方法のわずかな改変を、遺伝子移入研究のためのラット
の回腸セグメントを調製するために使用した。簡潔には、雌性のSprague
−Dawleyラットをイソフルランで麻酔した。腹腔を開き、そして最後のパ
イアー斑に由来するくちばし状の回腸セグメントを単離した。セグメント(約3
cm)から、食物の残りを注意深く取り除き、そして両方の側部を、非外傷性の
血管のクランプで閉じた。rAd−βgal(1×1011PN/ml)、0.5
ml容量を、24G針を用いてセグメントに直接注射し、そして45分間インキ
ュベートした。rAd−βgalを、10mMのタウロデオキシコール酸(蒸留
水中、濾過滅菌した)中で(処置群1)、またはVPBS中で(処置群2)処方
した。第3の処置群は、10mMのタウロデオキシコール酸で処置した動物を含
んだ。その後、クランプを除去し、そして剖検時の認識のために両方の末端をゆ
るい絹糸での縫合で固定した。腹部の切開を閉じ、そして動物をそれらの籠の中
で回復させた。動物を48時間後に屠殺した。感染させたセグメントおよびコン
トロールセグメントを、器官全体のXgal染色のための固定剤中に回収した。
【0108】 結果を、図13に示す。Xgalの青色染色の程度は、回腸切片中でのトラン
スジーンの発現の証拠を実証した。増強された遺伝子移入は、界面活性処方物中
で明らかであった(中央のパネル)。
【0109】 (実施例11) (遺伝子移入に対するBIGCHAP中の不純物の影響) (1.序論) BigCHAP(BC)の別の市販の供給源を、rAd(組換えアデノウイル
ス)媒介性の遺伝子移入および発現を増強する能力について、本質的には、実施
例8に先に記載した方法に従って試験した。6mg/mlの濃度でのより「純粋
な」BC−Sigma(98%純度;Sigma Catalog:Bioch
emicals and Reagents for Life Scienc
e Research、1997、182頁、#B 9518)がrAd媒介性
の遺伝子移入を顕著には改善しなかったことを決定した(図14、最上列)。対
照的に、BC(CALBIOCHEM7;CALBIOCHEM7 Bioch
emical & Immunochemical Catalog 1996
/97、43頁、#200965、95%純度)は、同じ濃度で遺伝子の移入お
よび発現を実質的に増強した(図14、下列)。
【0110】 CALBIOCHEM7およびSigmaのBCをさらに、TLCによって分
析し、そしてカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製したBCおよび
単離した不純物を、膀胱の上皮中でのrAd媒介性の遺伝子移入および発現を増
強するそれらの能力について試験した。
【0111】 以下により詳細に議論するように、3つの不純物をBCから単離した。不純物
のうちの2つは、rAd媒介性の遺伝子移入および発現の改善を実証した。市販
のBCに加えて、両方の不純物が、局所的な遺伝子送達を改善するrAd処方物
緩衝液にとって好ましい。
【0112】 (2.薄層クロマトグラフィーによるBigCHAPの分析:) BC(SigmaまたはCALBIOCHEM7)を、3/1のメタノール/
水中に溶解させ、そしてTLCを、Silica gel60、0.25mm(
EM Industries)上で行った;移動相は以下から構成した:6/2
.5/1.5の1−ブタノール/水/氷酢酸。クロマトグラムを、5/95の硫
酸/エタノール中の0.5gのチモールと加熱を用いて可視化した。図15に示
すように、わずかに1つの異なるバンドが、BC−Sigmaのサンプル(B)
から生じ、一方、3つのさらなるバンドが、BC−CALBIOCHEM7のサ
ンプル中(A)で明らかになった。
【0113】 BC(CALBIOCHEM7)の不純物をさらに、カラムクロマトグラフィ
ーによって単離し、そして薄層クロマトグラフィー(Silica Gel 6
0)によって、6/5/1のクロロホルム/メタノール/水の移動相を使用して
分析した。結果を、図16に示す(レーン1:BC(CALBIOCHEM7)
;レーン2:不純物I;レーン3:不純物II;レーン4:不純物IIと不純物
IIIとの混合物;レーン5:不純物III;レーン6:BC(CALBIOC
HEM7)純粋;レーン7:BC(CALBIOCHEM7))。
【0114】 (3.漸増濃度のBC(Sigma)は遺伝子移入を増強する。) 遺伝子移入の増強についてBCの不純物を試験するために、rAd−βGal
(1×1011PN/ml)を、漸増濃度のBC(Sigma)中で処方し、そし
て上記のように動物において試験した。結果を、図17に示す。より高い濃度(
すなわち、20mg/ml)のSigma BCは、上皮での遺伝子発現を改善
した(上段および中段のパネル)。対照的に、同様の遺伝子発現が、より低い濃
度(6mg/ml、図17、下段)でBC(CALBIOCHEM7)によって
誘導された。
【0115】 (4.カラムクロマトグラフィーによって精製したBCは遺伝子移入を増強し
ない。) rAd−βgalを、両方のBCのカラムクロマトグラフィー精製した物質3
0mg/ml中に処方し、そして膀胱の上皮への遺伝子移入を上記のように試験
した。30mg/mlの濃度では、遺伝子移入および発現は、CALBIOCH
EM7サンプルにおいてわずかに増強されただけであった(図18、上段のパネ
ル、右)。精製されたSigma BCは全く影響を有さなかった(図18、下
段のパネル、左)。両方のBC(SigmaおよびCALBIOCHEM7)の
精製は、減少した遺伝子移入および発現を生じた。
【0116】 (5.不純物IIと不純物IIIとの混合物は遺伝子移入を増強する。) BC(CALBIOCHEM7)の3つの不純物をTLCによって検出し(図
15)、そして遺伝子移入研究のためにカラムクロマトグラフィーによって単離
した。不純物I、および不純物IIと不純物IIIとの混合物を、膀胱の上皮へ
のrAd媒介性遺伝子移入を改善することにおけるそれらの効率を試験するため
に、VPBS(0.6mg/mlまたは6mg/ml)中に希釈した。不純物I
は、膀胱の上皮におけるβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現の増加を導かなかっ
たが、むしろ膀胱炎を生じた(図19、下段のパネル、右)。ちょうど対照的に
、不純物IIと不純物IIIとの混合物は、用量依存的に遺伝子移入および発現
を増強した(図19、下段のパネル、左)。ポジティブコントロールの処方物(
BC、CALBIOCHEM7、上段のパネル、左)およびネガティブコントロ
ールの処方物(BC−CALBIOCHEM7、カラムクロマトグラフィーで精
製した、およびBC−Sigma)を、6mg/mlの濃度で使用した(上段の
パネル、右)。
【0117】 (6.BigCHAP中への不純物の再構成は遺伝子移入の増強を導く。) この実験において、10mg/mlのBC(Sigma、図20、上段中央の
パネル)を、不純物III(上段右のパネル)、不純物II(下段左のパネル)
または不純物IIIの合成したアナログ(下段右のパネル)とともに再構成した
。1×1011PN/mlのrAd−βgalを、上記のように薬物を加えた処方
物中で調製し、そして膀胱内に投与した。図20に示すように、改善されたレポ
ーター遺伝子の発現(β−ガラクトシダーゼ)を、10mg/mlのBigCH
AP(Sigma)の濃度でAを添加した物に類似の(A spiked)BC
(Sigma)処方物中に溶解させたrAdを受容させた動物の膀胱の上皮にお
いて観察した。
【0118】 (実施例12) (3−アミノプロピル−3’−N−グルコンアミドプロピル−アミン(3−A
minopropyl−3’−N−gluconamidopropyl−am
ine)の合成) (1.3’−N−グルコンアミドプロピル−3’’−N−コラミドプロピル−
N−コラミド(3’−N−gluconamidopropyl−3’’−N−
cholamidopropyl−N−cholamido)) グルコノ−δ−ラクトン(0.1mol、17.8g)を、400mlの還流
している無水メタノール中の0.1mol(13.1)gのイミノビスプロピル
アミンの溶液に対して小さい部分で添加する。2時間の還流後、溶液を氷上で1
時間冷却させる。溶媒を乾燥によってエバポレートさせる。
【0119】 (2.3−アミノプロピル−3’−N−グルコンアミドプロピル−アミン(3
−Aminopropyl−3’−N−gluconamidopropyl−
amine)) トリエチルアミン(0.2mol、28ml)を、1リットルのフラスコ中の
500mlの無水DMF中に溶解させた0.2mol(81.6g)のコール酸
の溶液に添加する。溶液を、氷−塩浴中で0ECに冷却し、その後、0.2mo
l(20g)のイソブチルクロロホルメートを添加する。混合物を、氷−塩浴中
で5分間立たせておく。その後、トリエチルアミンヒドロクロリド沈殿物を可視
化する。反応によって、混合された無水物の中間体を得る。
【0120】 別の2リットルのフラスコ中で、0.1mol(30.9g)の3’−N−グ
ルコンアミドプロピル−3’’−N−コラミドプロピル−N−コラミドを、50
0mlのDMF中に40〜60ECまで穏やかに暖めることによって溶解させる
。この溶液を、濁りが生じる直前まで約10ECの氷−塩浴中で迅速に冷却させ
る。混合した無水物の中間体を、DMF中の3’−N−グルコンアミドプロピル
−3’’−N−コラミドプロピル−N−コラミドの溶液中に濾過する。トリエチ
ルアミンヒドロクロリド沈殿物を濾過によって取り除く。その後、溶液を24時
間冷却しながら攪拌する。DMFを減圧および加熱下でのエバポレートによって
除去し、そして粗混合物を、移動相として65/5/1のクロロホルム/メタノ
ール/水を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーに供する。純粋な
画分を回収し、そして減圧によって溶媒をエバポレートさせる。この反応によっ
て、約27g(25%)の生成物を得る。
【0121】 生成物の質量スペクトル分析によって以下のピークを生じた:337.2、3
94.2、412.2、503.8、682.4、700.5、755.1、8
01.1、823.1、912.3、1054.8、1074.7、1090.
6、1112.4、1119.3。
【0122】 (実施例13) (BigCHAP中のトランスフェクション増強成分の特徴付けおよび合成。
) 実施例11に示すように、BigCHAP中に存在する不純物が、遺伝子移入
を増強するように作用する。この実施例では、これらの化合物のさらなる特徴付
けおよび合成を記載する。
【0123】 Calbiochem BigCHAPを、生物学的試験および構造的分析の
ための本質的に純粋な不純物「1」、「2」、および「3」を得るために、カラ
ムクロマトグラフィーによって分画した。不純物1を、最初の実験において観察
した膀胱の刺激に起因して、生物学的活性については試験しなかった。不純物2
および3が水にあまり可溶性ではないので、これらを、6mg/mlのSigm
a BigCHAPと、0.12および1.2mg/mlのレベルで混合し、そ
してこれらが遺伝子移入を増強することを見出した(6mg/ml用量のSig
ma BigCHAPのみでは遺伝子移入を増強しない)。
【0124】 不純物1、2、および3の構造を、MALDI−MSおよびNMR分析によっ
て決定した。図22は、不純物1の構造、MALDI−MS、および1H−NM Rスペクトルを示す。不純物2の構造、MALDI−MS、および1H−NMR スペクトルを図23に、そして不純物3の構造、MALDI−MS、および1H −NMRスペクトルを図24に示す。BigCHAPのスペクトルに対するこれ
らのスペクトルの比較によって、これらの不純物が、BigCHAPに分解物と
してというよりもむしろ、BigCHAPを合成するために使用したプロセスに
よって生じることを実証する。
【0125】 粗Sigma BigCHAPが、26mg/mlの濃度で使用された場合に
、遺伝子移入を増強することを見出した。極微量のレベルの不純物がSigma
BigCHAP中に存在するかどうかを決定するために、1mgをシリカゲル
プレート上にアプライした。Calbiochem BigCHAP中に不純物
2とともに移動する不純物を観察した。MALDI−MSおよびNMRによって
、この不純物がCalbiochem BigCHAP中の不純物2と同じ構造
を有する事を確認した。数グラムのSigma BigCHAPをシリカゲルフ
ラッシュクロマトグラフィーによって分画し、そして不純物を含有する画分を合
わせ、濃縮し、そしてTLCによって分析した。不純物2および3を含むいくつ
かの不純物が、この極微量の不純物を富化した画分中で明らかであった。
【0126】 (不純物2の合成) 不純物2を以下のように合成した(図25を参照のこと)。最初に、図25に
示すように、化合物IIIを200mlの還流メタノール中に1.78g(10
mmol)のグルコノラクトンを溶解させ、そして4.2ml(30mmol)
のN−3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン(N−3−amino
propyl)−1,3−propanediamene)を添加することによ
って合成した。還流を、2時間継続した。次いで、メタノールを回転式エバポレ
ーター上でエバポレートさせ、そして得られる油を、白色の固形物が形成される
までクロロホルムを用いて細かく砕いた。白色の固形物を濾過し、クロロホルム
で洗浄し、そして吸引によって乾燥させて2.1gの生成物(純粋ではない化合
物III)を得た。
【0127】 化合物IVを、加熱および攪拌しながら40mlのN,N−ジメチルホルムア
ミド中に0.65g(1.6mmol)のコール酸を溶解させることによって合
成した。次いで、この溶液を、攪拌を維持しながら氷浴中で冷却した。次いで、
トリエチルアミン(0.223ml(1.6mmol))を添加し、続いて0.
208ml(1.6mmol)のイソブチルクロロホルメートを添加した。攪拌
を10分間続けた場合、化合物IVを溶液中に残しながら、白色の沈殿物を形成
した。
【0128】 不純物2(図25の化合物V)を合成するために、0.5g(1.6mmol
)の化合物IIIを55℃で攪拌することによって100mlのジメチルスルホ
キシド中に溶解させた。化合物IVを含有する懸濁物をこの溶液中に濾過し、そ
して得られる溶液を室温で一晩攪拌した。水の添加、およびメチレンクロリドま
たはメチレンクロリド/メタノールでの抽出による、生成物からのジメチルスル
ホキシドの分離(反応混合物の半分を使用する)の試みは、成功しなかった。反
応混合物の他方の半分をほとんどのジメチルスルホキシドを除去するために減圧
下で蒸留した。残査を、溶出剤としてメタノール/クロロホルム(40/60)
を使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。カラ
ムから溶出した画分の分析を、クロロホルム/メタノール/水(6/5/1)か
ら構成される移動相を使用してシリカゲル薄相クロマトグラフィーによって行い
、そして硫酸エタノール(ethanolic sulfuric acid)
を噴霧した後の焦げによって可視化した。最も純粋な生成物を含有する画分を合
わせ、エバポレートさせて乾燥させ、そしてヘキサンを用いて細かく砕いて、明
るい黄褐色の固体を生じた。これを濾過し、そしてヘキサンで洗浄した。生成物
1H−NMRおよびMALDI質量スペクトル分析は、示した構造と一致した 。
【0129】 この化合物の生物学的な評価は、水におけるその可溶性の欠失によっていくら
か妨げられた。しかし、化合物が完全には溶解していない場合もなお、膀胱への
遺伝子の移入は、不完全に溶解した化合物によって増強された。BigCHAP
中の不純物2の処方は、例えば、細胞への遺伝子移入を増強するために有効であ
る処方物を生じた。
【0130】 (Syn3(不純物3のアナログ)の合成) 不純物3が不純物2よりも極性であり、従ってより水に可溶であるので、この
化合物の合成を試みた。精製したBigCHAPを、コール酸の混合した無水物
(イソブチルクロロホルメートとコール酸とを反応させることによって形成した
)と反応させた。この反応によって、少量でそして多数の生成物を生じ、このよ
うにして不純物3のアナログを合成した。このアナログ(不純物3のものと類似
の極性を有する)を、「Syn3」と呼んだ。
【0131】 (第1部:化合物IIIの合成) Syn3の合成のスキームを、図26に示す。ラクトビオン酸(II)のラク
トンを、1g(2.8mmol)のラクトビオン酸(I)を50mlのメタノー
ル中に溶解させ、回転式エバポレーター上でエバポレートさせて乾燥させ、そし
てこのプロセスを6回繰り返すことによって合成した。化合物IIIを得るため
に、得られた残査(II)を50mlのイソプロパノール中で50℃に加熱する
ことによって溶解させた。この溶液に、1.2ml(8.4mmol)のN−3
−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミンを添加した。温度を、100℃
まで上昇させ、そして溶液を3時間攪拌した。溶媒を回転式エバポレーションに
よって除去し、そして得られる残査を数回クロロホルムで洗浄して、過剰の未反
応のN−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミンを除去した。残っ
ている残査(III)を、以下で第3部において使用した。
【0132】 (第2部:化合物IVの合成) 化合物IVを、2.28gのコール酸(5.6mmol)をN,N−ジメチル
ホルムアミド中で60℃に加熱して溶解させることによって合成した。トリエチ
ルアミン(0.78ml(5.6mmol))を添加し、そして溶液を氷浴中で
冷却した。次いで、イソブチルクロロホルメート(0.73ml(5.6mmo
l)を添加し、そして10分間、攪拌を連続しながら、白色の沈殿物を形成した
【0133】 (第3部:Syn3(化合物V)の合成) 化合物IIIを、N,N−ジメチルホルムアミド中に溶解させ、氷浴中で冷却
し、そして攪拌した、化合物IVの合成によって得られる懸濁物を、化合物II
Iを含有する溶液中に濾過した。得られる溶液を室温で6時間攪拌した。溶媒を
、高真空度の回転式エバポレーションを使用して除去し、そして残査を、100
mlのクロロホルム/メタノール(50/50)中に溶解した。25mlのこの
溶液を、溶出溶媒としてクロロホルム/メタノール(60/40)を使用してシ
リカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。カラムから溶出され
る画分の分析を、クロロホルム/メタノール/水/濃水酸化アンモニウム(10
0/80/10/5)から構成される移動相を使用するシリカゲル薄層クロマト
グラフィーによって行った。化合物を、硫酸エタノールを噴霧した後の焦げによ
って可視化した。生成物を含有する画分を合わせ、そしてフラッシュクロマトグ
ラフィーおよび溶出溶媒としてのクロロホルム/メタノール/水/濃水酸化アン
モニウム(100/80/10/5)を使用して再度精製した。生成物を含有す
る画分を合わせ、そして白色の粉末にエバポレートさせた(300mgの化合物
V)。生成物の1H−NMRおよびMALDI質量スペクトル分析は、示される 構造と一致した。
【0134】 水中での溶解を10mg/mlで試みた場合にSyn3はゲルを形成し、そし
て1mg/mlではベシクルを形成するようであった。しかし、0.1%のTw
een80中での1mg/mlでは、Syn3の透明な溶液が得られた。この処
方物が、遺伝子移入を増強することを見出した。Tween80のみでは、試験
した場合には、遺伝子移入に対して全く影響を有さなかった。
【0135】 不純物2または3を添加した精製したBigCHAPは、遺伝子移入の有効な
エンハンサーである。合成の不純物2のみおよび不純物3の合成のアナログ(S
yn3)のみは、遺伝子移入を増強し得る。従って、BigCHAPと不純物と
の間の相乗的な関係は、遺伝子移入の増強には必要ではない。BigCHAPは
高度に水に可溶性であり、そして不純物およびそれらのアナログを溶液中にもた
らす(おそらく、混合したミセルとして)ことにおいて有効であり、従って、活
性な不純物および/またはアナログのためのビヒクルとして作用する。
【0136】 不純物2は遺伝子移入を増強することにおいて有効である一方で、これは、水
溶液中でその安定性が制限されているのが、これはBigCHAPのような適切
な可溶化剤中で処方した場合に有用である。不純物2とは対照的に、Syn3は
、例えば0.1%のTween80および本明細書中で記載されるような他の水
溶液中で1mg/mlで容易に可溶化される。従って、この化合物は、遺伝子移
入の増強試薬として特に有用である。
【0137】 (実施例14) (膀胱への遺伝子移入を増強する合成の不純物3アナログ(Syn3)の効率
) この実施例は、不純物3のSyn3アナログが膀胱への遺伝子移入を増強する
ことにおいて有効であることを実証する。
【0138】 (方法:) (1.Syn3の溶解) Syn3の最初の試験は、これが、緩衝化した生理食塩水またはdH2Oのい ずれかにおいてもそれほど高度に可溶性ではないことを示した。しかし、Syn
3が界面活性剤BigCHAP、および界面活性剤Tween80(BigCH
AP中への溶解と比較していくらかより困難ではあるが)中にかなり容易に溶解
することを見出した。より高い濃度のBigCHAP溶液を、溶解され得るより
大量のSyn3の溶解のために使用した。5mg/mlまでのSyn3が15m
MのBigCHAP中に溶解することを見出した。
【0139】 Tween80中のSyn3を使用する以下の研究のために、Syn3の10
0mg/mlの溶液を、10%のTween80中に調製した。このストック溶
液をdH2O中に希釈(1:100)して、0.1%のTween80中の最終 濃度1mg/mlのSyn3を得た。
【0140】 表IIは、インビボでの試験のために選択したSyn3の濃度をまとめる:
【0141】
【表2】 (2.インビボ試験) Syn3の遺伝子移入活性を、上記の界面活性溶液の1つ中で送達されるβ−
ガラクトシダーゼ遺伝子を含有するアデノウイルスの投与後に見出される、β−
ガラクトシダーゼ発現のレベルを決定することによってインビボで試験した。こ
の手順において、雌性のHarlan Sprague−Dawleyラットに
カテーテルを通し、そしてSyn3を上記の濃度の1つで含有するBigCHA
PまたはTween80のいずれか中に1:10で希釈したアデノウイルスを4
5分間で投与した。ウイルスの除去および膀胱の洗い流した後、動物を回復させ
た。48時間後に動物を屠殺し、それらの膀胱を固定し、そしてβ−galの発
現について染色した。写真撮影後、膀胱を切片化および組織学的試験のためにパ
ラフィン中に包埋した。
【0142】 (結果:) (1.BigCHAP中のSyn3の遺伝子移入活性) Syn3を、7.8MMのBigCHAP中で0.5mg/mlで試験した。
この濃度では、Syn3は比較的容易に溶解し、そして滅菌濾過が可能であった
(0.2Φm Acrodiscシリンジフィルター;Gelman Scie
nce)。最初の実験は、Calbiochem BigCHAP、ロット#
B19546を利用したが、後の実験では、Sigma BigCHAPロット
#37H5023を利用した。BigCHAPのいずれのストックも、使用した
濃度で、単独で実験遺伝子移入活性を有する。ポジティブコントロールとして、
Calbiochemロット#679793をrAd送達のための処方物として
利用した。BigCHAPのこの特定のロットを、同定し、そしてそれからSy
n3が作成された活性な不純物を含有するとして同定した。図27に見られるよ
うに、Syn3(I3A)が、7.8mMのBigCHAP中の単独でのウイル
スの投与と比較して、遺伝子移入およびβ−gal発現を非常に増強することを
見出した。
【0143】 より低いSyn3の濃度がより高い濃度での遺伝子移入の増強と同様の有効性
であることを検証するかどうか決定するために、Syn3を、3.9mMのBi
gCHAP中で0.25mg/mlで投与した(図28A)。非常に高レベルの
遺伝子移入を得たが、0.5mg/mlでSyn3を用いた場合に見られる高さ
ほど一様には高くなかった(図28B)。
【0144】 (2.Tween80中のI3A/Syn3の遺伝子移入活性) Tween80中のI3Aの最初の試験を、0.4%のTween80中の1
mg/mlのI3Aを使用して開始した。しかし、この濃度のTweenを使用
した場合には、遺伝子移入はほとんど得られなかった(データは示さない)。高
濃度のTween80が、I3Aの膜中への分配およびウイルスの侵入の許容か
ら隔離することが仮定されているので、I3Aの濃度を1mg/mlに維持しな
がらTween80の濃度を0.1%まで低下させた。Syn3の2つの異なる
調製物を、0.1%のTween80中の1mg/mlでのそれらの遺伝子移入
活性について試験した。この濃度では、第1のロット(I3A)(図29A)ま
たはSyn3の第2のロット(図29B)のいずれを使用した場合でも、非常に
高いレベルの遺伝子移入が見られた。Syn3の第2のロットはまた、7.8m
MのBigCHAP中の0.5mg/mlで非常に高いレベルの遺伝子移入活性
を実証した。従って、全てのその後の実験を、I3Aの代わりにSyn3を使用
して行った。
【0145】 BigCHAP(7.8mM中の0.5mg/ml)中のSyn3の遺伝子移
入活性を、Tween80中のその活性(0.1%Tween80中の1mg/
ml)と比較した。両方の処方物が、BigCHAP中のSyn3を用いて見ら
れる、おそらくわずかにより大きい移入を伴う、ほぼ等レベルの遺伝子移入の増
強を有することを見出した(それぞれ、図30Aおよび図30C)。β−ガラク
トシダーゼアッセイがそれほど高度には定量的ではないので、小さな差異を見分
けることが困難である。しかし、7.8mMのBigCHAP中の0.5mg/
mlのSyn3で処置した膀胱は、一貫して、最も高いレベルのβ−ガラクトシ
ダーゼ発現を有した。Syn3は、Tween80へはそれほど容易には溶解し
ないが、いずれの界面活性剤中でも遺伝子移入を増加する。
【0146】 BigCHAP中のSyn3の濃度が、Tween中の濃度の2倍であったの
で、次に、Syn3を、これらの2つの界面活性剤中の同じ濃度でその遺伝子移
入活性について試験した。0.5mg/mlでは、Syn3は、0.05%のT
ween80中でSyn3を使用して得られたものよりも、7.8mMのBig
CHAP中でより良好な遺伝子移入を生じるようであった(図31A)。Syn
3を0.05%のTween80中で0.5mg/mlで使用した場合、これら
は、Syn3/(I3A)の濃度を3.9mMのBigCHAP中の0.25m
g/mlまで減少させた場合に観察されるものと類似の、β−ガラクトシダーゼ
発現を欠いているより多くの領域が存在するようであった(図28A)。このこ
とは、BigCHAP対Tween80中の、Syn3の遺伝子移入活性におけ
るいくつかの差異が、おそらくSyn3が溶解される界面活性剤に由来する影響
の一部に起因することを示唆する。
【0147】 (3.Syn3で処置した膀胱の組織学的実験) Syn3−rAd(β−Gal)で処置した動物に由来する膀胱を、ウイルス
感染のレベル、および膀胱の尿路上皮へのウイルスの侵入の程度を決定するため
の組織学的試験のために調製した。いずれの界面活性剤中でもSyn3の濃度の
低下が、それに伴うβ−Gal発現の低下を生じた(図32A〜F)。7.8m
MのBigCHAP中の0.5mg/mlでのSyn3の投与によって生じるβ
−ガラクトシダーゼの発現が、Tween80を用いる場合よりもわずかにより
大きかったが(図32A対図32D)、Syn3のこの濃度が、膀胱への浸潤の
大量の補充を代表的に生じることに注目した(図32A)。
【0148】 β−ガラクトシダーゼの発現および浸潤のレベルが、Syn3がTween8
0中で1mg/mlである膀胱においてよりも、Syn3をBigCHAP中で
0.5mg/mlで使用した膀胱においてより高かったので、このことは、浸潤
が、rAdがBigCHAP中で投与される場合に生じるウイルスの侵入および
発現における増加に起因したことを示唆する。Syn3が浸潤の補充において有
し得る寄与を識別するために、Syn3およびウイルスに対して暴露した膀胱の
切片を、Syn3のみに対して暴露した膀胱の切片と比較した(それぞれ、図3
3Aおよび図33B)。Syn3を単独で投与する場合、有意な量の浸潤が見ら
れ、Syn3およびウイルスをともに用いて見られたよりもわずかに少ないだけ
である。Syn3を伴わずに投与したウイルスは、感染および浸潤の極端に低い
レベルを生じ(図33C)、一方、ネガティブコントロール(ウイルスなし、S
yn3なし)は浸潤を示さなかった(図33D)。
【0149】 (4.溶液中でのSyn3の安定性) Syn3は、BigCHAP界面活性剤中に溶解した場合に非常に安定である
。Syn3をBigCHAP中に、0.25mg/mlまたは0.5mg/ml
のいずれかで溶解した場合、これは、室温で保存した場合でさえ、延長された期
間(30日以上)、その遺伝子移入活性を保持した。Syn3を、10%のTw
een80中に100mg/mlで溶解した場合、これは、4ECで維持した場
合に、少なくとも1週間安定であった。しかし、室温でこの高い濃度(100m
g/ml)で放置した場合は、これは、24時間以内に凝固する。0.1%のT
ween80中に1mg/mlに希釈したSyn3は、少なくとも30日間(試
験した最も長い期間)安定である。
【0150】 (考察) Syn3の遺伝子移入活性は、7.8mMのBigCHAP中の0.5mg/
mlで極端に高いようである。しかし、より高い濃度での副作用の可能性に起因
して、より低い濃度のSyn3(例えば、3.9mMのBigCHAP中の0.
25mg/ml)が好ましい。Syn3はまた、0.1%のTween80中の
1mg/mlで一貫して高いレベルの遺伝子移入を実証した。これらの研究の結
果に基づくと、遺伝子移入剤としての使用のためのSyn3の1つの特に適切な
処方物は、0.1%のTween80中の1mg/mlである。
【0151】 (実施例15) (Syn3の臨床的処方物) この実施例は、例示の目的のために、ウイルスベクターの送達のための臨床的
な処方物としての使用に適切な、Syn3の処方物の1つの例を提供する。この
処方物はまた、他の送達増強化合物について使用され得る;本明細書中で記載さ
れているような多くの他の処方物もまた、Syn3および他の化合物との使用に
適切である。
【0152】 Syn3ストック溶液を、10%のTween80中に100mg/mlでS
yn3を溶解させることによって調製した。次いで、このストック溶液を、水中
にTris(1.7mg/ml)、リン酸ナトリウム(一ナトリウム、二水和物
、1.7mg/ml)、スクロース(20mg/ml)、塩化マグネシウム(六
水和物、0.4mg/ml)、およびグリセロール(100mg/ml)を含有
する水溶性の緩衝液を使用して、6mg/mlのSyn3濃度に希釈した。
【0153】 この溶液を、0.1%のTween80中に1mg/mlのSyn3を含むウ
イルス溶液を得るために、ウイルスベクターを含有する溶液を用いて希釈した。
この溶液は、遺伝子移入を増強することにおいて有効であった。
【0154】 (実施例16) (水中で増加した安定性を有するSyn3アナログの合成) Syn3は、インビボで高い遺伝子移入増強活性を実証したが、これは、水溶
液中には比較的不溶性であり、そして完全な溶解のためには界面活性剤の存在を
必要とする。さらに、Syn3は、10%のTween80中への完全な溶解の
ために数時間を要し、この試薬の臨床的な使用をさらに複雑にする。これらの困
難を解決するために、水溶液中でより大きな可溶性を有する2つのSyn3アナ
ログを合成した。Syn3のラクトース部分の除去、および続くメチル化または
生じるアミンの還元によって、それぞれ、A−トリメチルアンモニウムクロリド
(A−tma)およびA−ヒドロクロリド(A−HCl)として知られる、2つ
の新規の化合物を合成した。ここで、Aは、両方の分子に共通のSyn3の保存
された領域を示す(図21を参照のこと)。これらの2つの陽イオン性化合物を
さらに、溶解を容易にするためにそれらの塩化物塩に中和した。
【0155】 A−TMAを、図35に示すように合成した。簡潔には、DMF(30mL、
0℃)中のコール酸(CA)(2.0g、5mmol)を、Et3N(0.72 mL、5.1mmol)で処理し、次いで、注意深くイソブチルクロロホルメー
ト(0.67mL、5.1mmol)で処理した。混合物を3日間攪拌し、そし
て1つの化合物を得た。これを、SiO2上で、DCM/MeOH(6:1から 4:1)を用いて溶出して容易に精製した。室温で30分後、DMF(4mL)
中のアミン(J−2/55)(522mg、2.26mmol)の溶液を添加し
た。アミンを、Han,Y−PおよびHang,H−S、Bull.Korea
n Chem. Soc.(1994)15:1025−1027に従って合成
した。1.8gの得られる化合物J−2/5C(BOC−A)を得、72%の収
率を生じた。
【0156】 DMF(10mL)中のアミン(250mg、61/11、0.27mmol
)を、Hungs塩基(ジイソプロピルエチルアミン)(200μL、1.15
mmol)およびMeI(75μL、1.2mmol)で処理した。TLCは、
主要な1つの化合物および2つの不純物を示した。反応混合物を減圧下で濃縮し
、シリカカラム上にアプライし、そしてMeCN/AcOH/H2O(4:1: 1)で溶出した。中央の画分を組み合わせ、そしてDowex50W−X8−2
00陽イオン交換樹脂のNa+形態のイオン交換クロマトグラフィーに供し、そ して1:1の0.5MのNaCl/MeOHで溶出した。最も純粋な画分をLH
−20親油性Sephadex上で脱塩し、そして凍結乾燥させて純粋なトリメ
チルアンモニウムクロリド(J−2/90(A−tma))を得た。82mgの
生じた化合物を得、32%の収率を生じた。
【0157】 A−HClを得るために、MeOH(60mL)中のBOC−A(1.0g、
1mmol)を、0℃にてMeOH中のAcClの溶液(20mL中に2mL)
で処理した。反応系を、ゆっくりと室温にした。3時間後のTLCは、出発物質
を全く示さなかった。エバポレーション(EtOH/トルエンで)後、残査をD
owex50W−X8−200イオン交換カラムのNa+形態にアプライした。 しかし、生成物はまっすぐに素通りした。0.5MのNaClでの溶出によって
は、さらなる物質を全く生じなかった。SiO2上でのフラッシュクロマトグラ フィーは、成功した(DCM/MeOH/H2O;60:35:5)が、生成物 は2つのバンドにおいて溶出されたと思われた。NMRは、後期および初期の画
分が同じであることを示した。650mgの得られる化合物A−HClを得、6
5%の収率を生じた。塩基処理(−Omeまたは樹脂)が生成物のTLCの挙動
を変更し得ることに注目した。
【0158】 (実施例17) (A−tmaおよびA−HClはインビボでの遺伝子移入を増強する。) この実施例は、化合物A−tmaおよびA−HClがインビボでの遺伝子移入
活性を有することを実証する。
【0159】 (方法:) (1.投与のために溶液の調製) 1mg/mlの濃度を、両方の化合物の最初の試験のために選択した。これら
の化合物のそれぞれについての遺伝子移入活性の決定のために、Syn3アナロ
グ/ウイルス/緩衝液の投与後に得られるβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルを
、ウイルス/緩衝液のみを使用した場合の活性と比較した。
【0160】 A−TMAの溶液を、10mlのダルベッコ(Dulbecco)のPBS中
に10mgのA−TMAを溶解させることによって調製した。グリセロールを、
10mg/mlの最終濃度を提供するように添加した。全ての溶液を、使用する
前に滅菌濾過した(0.2Фm、Acrodiscシリンジフィルター)。ウイ
ルス(BGCG 70AAB)を、投与の前に、このA−TMA溶液か、または
ダルベッコのPBS−グリセロール中のいずれかに1:10で希釈した。
【0161】 A−HClは、生理食塩水には完全には溶解しないので、そしてdH2Oへの 溶解がpHが4.7である溶液を生じるので、Tris緩衝化溶液を組成が以下
の通りであるA−HClの溶解のために選択した: 溶解緩衝液(緩衝液D) 2.8mM Tris、pH7.5 1.2mM NaH2PO4 2mM MgCl2 0.2% スクロース 10mg/ml グリセロール 最終pH6.5 10mgのA−HClをこの緩衝液中に溶解させ、そして使用の前に滅菌濾過
した(0.2μm Acrodiscシリンジフィルター)。ウイルス(BGC
G 70AAB)を、投与の前にこの溶液中に1:10に希釈した。比較のため
に、A−HClを伴わずにこの緩衝液中に希釈したウイルスもまた試験した。
【0162】 (2.インビボでの投与) 雌性のHSDラットを、イソフルランを使用して麻酔した。このラットにK−
Yゼリーを用いて滑らかにしたPE50チューブを使用して膀胱内に経尿道カテ
ーテルを挿入した。逆もれを防ぐために、外尿道に結さつを設置した。必要であ
れば、尿を除去し、そして膀胱を0.5mlのPBSで洗い流し、そして空にし
た。rAdを所望の濃度(1:10)に希釈し、そして45分間で注ぎ込んだ。
容量の戻りに気を付けながら用量物質を除去した。膀胱を、0.5mlのPBS
で洗い流し、そして空にした。結さつおよびカテーテルを除去し、そして動物を
籠の中で回復させた。
【0163】 48時間後、動物を屠殺し、そしてそれらの膀胱の膨張を、1時間、0.5m
lの固定剤で固定した。次いで、膀胱を一晩リンスし、そして全器官のX−ga
l染色を行った。
【0164】 (結果:) 2つの化合物の両方が、コントロールと比較して増強された遺伝子移入活性を
生じた。遺伝子移入活性のレベルを、表IIIにまとめる。遺伝子移入活性の相
対的なレベルを示す:遺伝子移入活性の最も高いレベルを、「++++」で示し
、そして低いレベルを「+」で示す(移入活性がないことを0で示す)。
【0165】
【表3】 (考察:) 2つの化合物A−tmaおよびA−HClの両方が、コントロールによって得
られる活性のレベルを有意に超える遺伝子移入活性を示した。これらのレベルは
、Tween80中のSyn3を使用して得られるレベルよりも低いが、これら
は、A−tmaおよびA−HClのような水性ベースのトランスフェクション増
強剤を使用する遺伝子移入の増強が可能であることを示す。Syn3のラクトー
ス部分が無水コハク酸部分で置き換えられている化合物A−SCは、遺伝子移入
増強化合物としては有効ではなかった。この化合物は、コントロールと同等のレ
ベルの遺伝子移入活性を生じた(データは示さない)。表IVは、1mg/ml
のSyn3の遺伝子移入活性と比較した、これらの化合物を使用する遺伝子移入
の結果をまとめる。
【0166】
【表4】 両方の化合物がdH2O中ではるかに高い可溶性を有することが見出されてい るので(5mg/mlまで)、これらのアナログの濃度を増加させることは、お
そらく、インビボでのなおより大きい遺伝子移入活性を生じる。
【0167】 本明細書中で引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊
行物または特許出願が、詳細にそして個々に参考として援用されることが示され
るかのように、それらの全体において本明細書中で参考として援用される。
【0168】 本発明にかかわる当業者に明らかであるように、本発明は、本発明の精神また
は本質的な特徴から逸脱することなく、上記に詳細に開示される実施態様以外の
形態の実施態様であり得る。従って、上記に記載されている本発明の特定の実施
態様は、例示と考えられ、そして限定的ではない。本発明の範囲は、上記の記載
に含まれる実施例に限定されるよりもむしろ、添付の請求の範囲に示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、膀胱内投与後のラット膀胱上皮におけるアデノウイルス媒介遺伝子移
入および発現に対する処方物の影響を示す。
【図2】 図2は、膀胱内投与後の膀胱上皮細胞中のアデノウイルストランスジーン発現
を示す。
【図3】 図3は、膀胱内投与後のラット膀胱における用量依存性アデノウイルストラン
スジーン発現を示す。
【図4】 図4は、膀胱内投与後のマウス膀胱における組換えアデノウイルストランスジ
ーン発現の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)分析を示す。
【図5】 図5は、ウイルスの膀胱内投与後の、膀胱、腎臓、および肝臓組織における組
換えアデノウイルストランスジーン発現の時間経過を示す。
【図6】 図6は、膀胱内投与後の膀胱および腎臓ホモジネート中の組換えアデノウイル
ストランスジーンDNAを示す。
【図7】 図7は、BigCHAP(N,N,ビス-(3−D−グルコンアミドプロピル)−
コラミド(CALBIOCHEM7 Biochemicals,San Die go,California)処方物を用いる膀胱上皮への遺伝子移入の改良を 示す。
【図8】 図8は、7mM Big CHAP処方物中の異なる濃度の組換えアデノウイル
スを用いる膀胱上皮への遺伝子移入の改良を示す。
【図9】 図9は、エタノール(ETOH)またはBig CHAP処方物を用いることに よる膀胱組織中の組換えアデノウイルストランスジーンの増強を示す。
【図10】 図10は、4mM Big CHAP処方物を用いる腫瘍への遺伝子移入を示す
【図11】 図11は、ブタ膀胱上皮へのトランスジーン移入を示す。
【図12】 図12は、腫瘍組織中のp53の発現を示す。
【図13】 図13は、ラット回腸の粘膜への遺伝子移入を示す。
【図14】 図14は、ラットからの膀胱切片の写真である。ここで、2つの供給源からの
Big CHAPの遺伝子移入を増強する能力が比較された。下の列における、 上の列に比較したより強いXgal染色は、Sigma(Sigma Chemi
cal Company,St.Louis,Missouri)からのBig Chapに比較したCALBIOCHEM7からのBig CHAPによる遺伝 子移入のより大きな増強を示した。
【図15】 図15のAおよびBは、CALBIOCHEM7およびSigmaからのBi
g CHAPの薄層クロマトグラフィー(TLC)を示す。BC−Sigmaの試 料からは1つの明瞭なバンドのみが展開されたが(図15B)、BC−CALBI
OCHEM7の試料には3つのさらなるバンドが明瞭になった(図15A)。
【図16】 図16は、Big CHAP不純物のTLCを示す。レーンは以下のようにラ ベルされる:レーン1:Big CHAP(CALBIOCHEM7);レーン2 :不純物I;レーン3:不純物II;レーン4:不純物IIおよびIIIの混合
物;レーン5:不純物III;レーン6:純粋Big CHAP(CALBIOC
HEM7);レーン7:Big CHAP(CALBIOCHEM7)。
【図17】 図17は、ラットからの膀胱切片の写真である。ここで、漸増濃度のBig CHAP(Sigma)の遺伝子移入を増強する能力が、Big CHAP(CAL
BIOCHEM7)標準に対して比較された。より強いXgal染色は、より高 い濃度のBig CHAP(Sigma)において増強した遺伝子移入を示した。
【図18】 図18は、ラットからの膀胱切片の写真である。ここで、精製後のBig C HAP(CALBIOCHEM7)およびBig CHAP(Sigma)の遺伝子 移入を増強する能力が、評価され、そしてコントロールとしてそれらの供給源か
らの精製されていないBig CHAPに対して比較された。Xgal染色の強 度は、いずれかの供給源由来のBig CHAPがカラムクロマトグラフィーに よって精製された後の遺伝子移入を増強する能力の減少を示した。
【図19】 図19は、ラットからの膀胱切片の写真である。ここで、精製後のBig C HAP(CALBIOCHEM7)およびBig CHAP(Sigma)の遺伝子 移入を増強する能力を評価し、そしてこれらの供給源からの非精製Big CH APと、ならびに不純物Iおよび不純物IIと不純物IIIとの組み合わせと比
較した。Xgal染色の強度は、6mg/mlの不純物IIと不純物IIIとの 組み合わせを用いた遺伝子移入の増強を示した。
【図20】 図20は、ラットからの膀胱切片の写真である。ここで、精製後のBig C HAP(Sigma)の遺伝子移入を増強する能力を評価し、そして不純物II、
不純物III、または不純物IIの合成アナログで再構成された精製Big C HAP(Sigma)と比較した。Xgal染色の強度は、精製Big CHAP(
Sigma)が再構成されたときの遺伝子移入の増強を示した。Big CHAP
(CALBIOCHEM7)をコントロールとして含める。
【図21】 図21は、Syn3およびSyn3の2つの水溶性アナログの構造を示す。2
つのアナログ中で保存されているSyn3のドメインを「A」として示す。アナ
ログA−TMAおよびA−HClは、Syn3のラクトース部分を塩化トリメチ
ルアンモニウム(A−TMA)または塩化水素(A−HCl)で置換して得られた。
【図22】 図22は、不純物1の構造、MALDI−MS、および1H−NMRを示す。
【図23】 図23は、不純物2の構造、MALDI−MS、および1H−NMRを示す。
【図24】 図24は、不純物3の構造、MALDI−MS、および1H−NMRを示す。
【図25】 図25は、不純物2の合成経路を示す。
【図26】 図26は、Syn3の合成経路を示す。Syn3合成の代替経路を図34に示
す。
【図27】 図27A〜図27Cは、I3A(Syn3)がアデノウイルス媒介βガラクトシ
ド発現を増強することを示す。高レベルの遺伝子移入が、7.8mM Big C
HAP中0.5mg/mlでI3Aを用いるときに得られた(図27A)。コント ロールを比較のために示す:I3Aなし(図27B)、およびポジティブコントロ
ールとしての7.8mM Big CHAP Calbiochemロット番号6 79693(図27C)。
【図28】 図28Aおよび図28Bは、I3A(Syn3)の遺伝子移入増強活性の滴定の
結果を示す。3.9mMのBig CHAP中の0.25mg/mlへのI3Aの
低減(図28A)はなお、7.8mM Big CHAP中の0.5mg/mlのI 3Aを用いたときに得られた遺伝子移入活性(図28B)と比較してなお高レベル
の遺伝子移入を生じた。固定のとき、0.25mg/ml I3Aで処理した膀胱
は、0.5mg/ml I3Aで処理した膀胱に比べより少ない炎症を有するよう
であった。
【図29】 図29A〜図29Bは、I3AおよびSyn3遺伝子移入活性の比較を示す。
高レベルのβ-ガラクトシダーゼ活性が、I3Aを、0.1% Tween80中
1mg/mlで用いて得られた(図29A)。ほぼ等しいレベルの遺伝子移入が、 Syn3を0.1% Tween80中の1mg/mlで用いて得られた(図29 B)。
【図30】 図30A〜図30Dは、0.1%Tween80対7.8mM Big CHA
PにおけるSyn3遺伝子移入活性の比較を示す。0.1%Tween80中1
mg/mlでSyn3を用いて(図30A)、7.8mM Big CHAP中0. 5mg/mLでSyn3を用いたときに得られたレベル(図30C)に匹敵したレ ベルの遺伝子移入を得た。0.1%Tween80(図30B)または7.8mM
BigCHAP(図30D)のいずれかを用いるときのネガティブコントロール(
Syn3なし)もまた示される。
【図31】 図31A〜図31Dは、Big CHAPおよびTween80界面活性剤中 の同濃度でのSyn3遺伝子移入活性の比較を示す。Syn3を、7.8mM BigCHAP中0.5mg/mlで溶解したとき(図31A)、非常に高いレベ ルの遺伝子移入が得られた。これに対し、0.05% Tween80中のSy n3の遺伝子移入活性(図31C)は、β-ガラクトシダーゼ活性が欠如したより 多くの領域とともにわずかに減少した。7.8mM BigCHAP(図31B) および0.05%Tween80(図31D)の両方に対するネガティブコントロ
ールもまた示す。
【図32】 図32A〜図32Fは、Syn3投与後の浸潤の比較を示す。Syn3のより
低い用量で、膀胱において比例的により低い浸潤が観察された。漸減濃度のSy
n3を、BigCHAP(図32A、B)またはTween80(図32D、E)の
いずれかを用いたとき、膀胱のrAd感染において用いた。Big CHAP(図
32C)またはTween80(図32F)のいずれかとともに界面活性剤のみ(S
yn3なし)で処理した膀胱もまた示される。
【図33】 図33A〜図33Dは、Syn3の投与が、細胞浸潤の誘導を生じることを示
す投与を示す。ウイルスおよびSyn3の投与から得られる浸潤のレベル(図3 3A)を、Syn3単独から得られたレベル(図33B)と比較したとき、Syn 3投与が、浸潤の顕著な誘導を生じることが見出された。ウイルス単独(図33 C)またはウイルスなし/Syn3なしコントロール(図33D)で処理した動物か
らの膀胱もまた示される。
【図34】 図34は、Syn3の合成経路を示す。反応3をDMF中で24時間行った後
、産物をエバポレートして乾燥し、そしてSiO2上でDCM/MeOH/H2O( 60:35:5)を用いて精製した。
【図35】 図35は、水溶液中で増加した溶解性を示す、Syn3のアナログであるA−
tmaおよびA−HClを合成するために用いたプロトコルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (71)出願人 3030 Science Park Roa d, Suite 302, San Di ego, California 92121, United States of A merica (72)発明者 ナガブーシャン, タッタナハリ エル. アメリカ合衆国 ニュージャージー 07054, パーシッパニー, サンセット レーン 3 (72)発明者 ヤングスター, スティーブン ケネス アメリカ合衆国 ニュージャージー 08854, ピスカタウェイ, ラニョン アベニュー 213

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞に薬剤を送達する方法であって、該薬剤を、該細胞に、
    式I: 【化1】 ここで:mおよびnは同じかまたは異なり、そして各々は2〜8の整数であり
    ;Rはカチオン基であるか、または 【化2】 であり、X1は以下からなる群から選択され、 【化3】 2およびX3は、各々独立して、サッカリド基、 【化4】 からなる群から選択され、 ここで、Rが 【化5】 であるとき、X2およびX3の少なくとも1つがサッカリド基である、 の送達増強化合物を含む組成物中で投与する工程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記送達増強薬剤の存在下で前記細胞に送達される薬剤の量
    が、該薬剤が該送達増強化合物の非存在下で投与されるときに該細胞に送達され
    る該薬剤の量に比較して増加する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記薬剤が治療用薬剤である、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記送達増強化合物の濃度が約0.002〜約2mg/ml である、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記送達増強化合物の濃度が約0.02〜約2mg/mlで ある、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記送達増強化合物の濃度が約0.2〜2mg/mlである 、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記細胞が組織として提供される、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記組織が器官である、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記投与が膀胱内投与による、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記薬剤がタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記薬剤が遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記遺伝子がベクター内で投与される、請求項11に記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 前記ベクターがウイルスベクターである、請求項12に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、レト
    ロウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターからなる群から選択さ
    れる、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記ウイルスベクターが、ウイルスベクターの約1×10 8 粒子/ml〜約5×1011粒子/mlを含む懸濁液として投与される、請求項1 3に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記懸濁液が、ウイルスベクターの約1×109粒子/ml
    〜約1×1011粒子/mlを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記遺伝子が治療用遺伝子である、請求項11に記載の方
    法。
  18. 【請求項18】 前記治療遺伝子が腫瘍サプレッサー遺伝子である、請求項
    17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記腫瘍サプレッサー遺伝子がp53である、請求項18
    に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記腫瘍サプレッサー遺伝子が網膜芽腫遺伝子である、請
    求項18に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記網膜芽腫腫瘍サプレッサー遺伝子が完全長RBタンパ
    ク質をコードする、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記網膜芽腫腫瘍サプレッサー遺伝子がp56RBをコード
    する、請求項20に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記細胞が癌細胞である、請求項17に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記癌細胞が膀胱癌細胞である、請求項23に記載の方法
  25. 【請求項25】 前記癌細胞が組織として提供される、請求項23に記載の
    方法。
  26. 【請求項26】 前記送達増強化合物が前記薬剤の投与前に投与される、請
    求項1に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記送達増強化合物が前記薬剤とともに投与される、請求
    項1に記載の方法。
  28. 【請求項28】 細胞に薬剤を送達するための組成物であって、該薬剤およ
    び式I: 【化6】 ここで:mおよびnは同じかまたは異なり、そして各々は2−8の整数であり
    ;Rはカチオン基であるか、または 【化7】 であり、X1は以下からなる群から選択され、 【化8】 2およびX3は、各々独立して、サッカリド基、 【化9】 からなる群から選択され、 ここで、Rが 【化10】 であるとき、X2およびX3の少なくとも1つがサッカリド基である、 の送達増強化合物を含む、組成物。
  29. 【請求項29】 前記サッカリド基が1つ以上のペントースまたはヘキソー
    ス残基を含む、請求項28に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 前記サッカリド基が、ペントースモノサッカリド基、ヘキ
    ソースモノサッカリド基、ペントース−ペントースジサッカリド基、ヘキソース
    −ヘキソースジサッカリド基、ペントース−ヘキソースジサッカリド基、および
    ヘキソース−ペントースジサッカリド基からなる群が選択される、請求項29に
    記載の組成物。
  31. 【請求項31】 前記サッカリド基がトリサッカリドである、請求項28に
    記載の組成物。
  32. 【請求項32】 前記送達増強化合物の濃度が約0.002〜約2mg/m lである、請求項28に記載の組成物。
  33. 【請求項33】 前記送達増強化合物の濃度が約0.02〜約2mg/ml である、請求項32に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 前記薬剤が細胞中に存在するとき該薬剤が該細胞中の生物
    学的プロセスを調整する、請求項28に記載の組成物。
  35. 【請求項35】 前記生物学的プロセスが、細胞成長、分化、増殖、代謝経
    路、生合成経路、遺伝子発現、疾患関連プロセス、および免疫応答からなる群か
    ら選択される、請求項34に記載の組成物。
  36. 【請求項36】 前記薬剤がポリヌクレオチドを含む、請求項28に記載の
    組成物。
  37. 【請求項37】 前記ポリヌクレオチドが、アンチセンス核酸、三重鎖形成
    性核酸、およびポリペプチドをコードする遺伝子を含む核酸からなる群から選択
    される、請求項36に記載の組成物。
  38. 【請求項38】 前記遺伝子が腫瘍サプレッサー遺伝子である、請求項37
    に記載の組成物。
  39. 【請求項39】 前記腫瘍サプレッサー遺伝子が、網膜芽腫遺伝子およびp
    53遺伝子からなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
  40. 【請求項40】 前記組成物がポリマーマトリックスをさらに含む、請求項
    28に記載の組成物。
  41. 【請求項41】 前記組成物が粘接着剤をさらに含む、請求項28に記載の
    組成物。
  42. 【請求項42】 式I: 【化11】 ここで:mおよびnは同じかまたは異なり、そして各々は2−8の整数であり
    ;Rはカチオン基であるか、または 【化12】 であり、X1は以下からなる群から選択され、 【化13】 2およびX3は、各々独立して、サッカリド基、 【化14】 からなる群から選択され、 ここで、Rが 【化15】 であるとき、X2およびX3の少なくとも1つがサッカリド基である: を有する、送達増強化合物。
  43. 【請求項43】 Rが、NMe3 +およびNH3 +からなる群から選択されるカ
    チオン基である、請求項42に記載の化合物。
  44. 【請求項44】 前記サッカリド基が、1つ以上のペントースまたはヘキソ
    ース残基を含む、請求項42に記載の化合物。
  45. 【請求項45】 前記サッカリド基が、ペントースモノサッカリド基、ヘキ
    ソースモノサッカリド基、ペントース−ペントースジサッカリド基、ヘキソース
    −ヘキソースジサッカリド基、ペントース−ヘキソースジサッカリド基、および
    ヘキソース−ペントースジサッカリド基からなる群が選択される、請求項44に
    記載の化合物。
  46. 【請求項46】 前記サッカリド基が、3〜約8のモノサッカリド残基を含
    む、請求項42に記載の化合物。
  47. 【請求項47】 前記サッカリド基がトリサッカリドである、請求項46に
    記載の化合物。
  48. 【請求項48】 X2およびX3の少なくとも1つがサッカリド基である、請
    求項42に記載の化合物。
  49. 【請求項49】 mおよびnの各々が独立に2または3である、請求項42
    に記載の化合物。
  50. 【請求項50】 X1およびX2が両方とも 【化16】 であり、かつX3がサッカリド基である、請求項42に記載の化合物。
  51. 【請求項51】 前記サッカリド基がヘキソース−ヘキソースジサッカリド
    基である、請求項42に記載の化合物。
  52. 【請求項52】 mおよびnが各々3であり、X1およびX2の両方が 【化17】 であり、かつX3がヘキソースモノサッカリド基である、請求項42に記載の化 合物。
  53. 【請求項53】 mおよびnが各々3であり、X1およびX3の両方が 【化18】 であり、かつX2がヘキソースモノサッカリド基である、請求項42に記載の化 合物。
  54. 【請求項54】 mおよびnが各々3であり、X1およびX2の両方が 【化19】 であり、かつX3がヘキソース−ヘキソースジサッカリド基である、請求項42 に記載の化合物。
  55. 【請求項55】 mおよびnが各々3であり、X1およびX3の両方が 【化20】 であり、かつX2がヘキソース−ヘキソースジサッカリド基である、請求項42 に記載の化合物。
  56. 【請求項56】 前記化合物が式III: 【化21】 を有する、請求項42に記載の化合物。
  57. 【請求項57】 前記化合物が式IV: 【化22】 を有する、請求項42に記載の化合物。
  58. 【請求項58】 前記化合物が式V: 【化23】 を有する、請求項42に記載の化合物。
  59. 【請求項59】 式II: 【化24】 ここで、X1およびX2が、以下からなる群から選択され: 【化25】 かつX3がサッカリド基である、送達増強化合物。
  60. 【請求項60】 X1およびX2の両方が 【化26】 であり、かつX3がグルコース基である、請求項59に記載の化合物。
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