JP2001509056A - 被覆材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 裏打ち層と、穴開きの創傷対向層と、水蒸気に触れるとゲルを形成するであろう材料の繊維からなる中間吸収材層とを備えた創傷被覆材が提供される。中間層はまた、例えば、形成されたゲルを支持することのできる別の繊維状材料のような非ゲル形成成分を備えている。裏打ち層はまた、その水透過率がその水蒸気透過率よりも大きいことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 被覆材 この発明は、創傷被覆材及びその製造ならびに使用の方法に関するものである 。 近ごろ、被覆材は、創傷が発生すると湿性創傷治癒を促進する被覆材を提供す ることを目指してきた。このような被覆材は、例えば、スミス アンド ネフュ ーによりアリービン絆創膏（ＡＬＬＥＶＹＮ ａｄｈｅｓｉｖｅ，登録商標）の 名前で販売され、ヨーロッパ特許出願公開公報第００５９０４９号に記載されて いるものを含んでいる。現在、存在しているデバイスは、基本的に創傷浸出物の ためのレザバー（溜め）、すなわち、吸収材あるいは親水性材料によって浸出物 を吸収するレザバーである。そのレザバーが飽和状態になると、被覆材は一般に 交換される。もしも、このような被覆材が創傷の上に長い間、置かれ過ぎてすっ かり乾くと、その被覆材は、治癒中の創傷床に付着しやすくなり、それが取り除 かれるときに、外傷、痛み及び創傷治癒過程の遅延を引き起こす。 したがって、湿性創傷治癒を促進する創傷被覆材にとっては、浸出物を管理す る手段としての吸収の物理的過程及び湿性創傷治癒環境だけによらないことが必 要である。 このような被覆材が吸収の過程及び水蒸気透過の過程をともに用いて製造され てもよいことをわれわれは現在、発見した。 このことは、その水透過率（ＷＴＲ）がその水蒸気透過率（透湿度，ＭＶＴＲ） よりも小さくない裏打ち層とともに浸出物吸収材のレザバーを大いに用いること で達成される。「水蒸気逆透過率」としても記載されている水蒸気透過率（ＭＶ ＴＲ）及び水透過率（ＷＴＲ）の測定方法は、ヨーロッパ特許出願公開公報第０ ０９１８００号に記載されている。ここで用いられたように、ＷＴＲ及びＭＶＴ Ｒは、３７℃において、１平方メートル当たり、２４時間当たりのグラム数（ｇ ｍ^-2２４ｈｒ^-1）で表され、ＭＶＴＲは１０〜１００％の相対湿度差で測定され る。 したがって、この発明によれば、裏打ち層と、創傷対向層と、裏打ち層及び創 傷対向層に介在する吸収材層とを備え、裏打ち層が、水蒸気透過率（ＭＶＴＲ） よりも小さくない水透過率（ＷＴＲ）を有していることと、吸収材層が、水蒸気 吸収の際に、水蒸気の存在下で、ゲルを形成するような相変化を受ける繊維状成 分と、ゲルを形成するような相変化を受けない成分とを備えた繊維状層であるこ ととを特徴とする被覆材が提供される。 裏打ち層のＷＴＲはそのＭＶＴＲよりも大きいのが好ましい。 裏打ち層は、薄いフィルムであるのが都合よく、薄いフィルムの医療用被覆材 を形成するために従来から用いられている材料のうちのどのようなものからなっ ていてもよい。適切な材料は、米国特許公報第４５９５００１号または第４７４ ７４０１号に記載されているものを含む。特に適切な材料は、ポリウレ タンであり、例えばポリエステルポリウレタンあるいはエステーンズ（Ｅｓｔａ ｎｅｓ，登録商標）として知られたポリエーテルポリウレタンである。他の適切 な材料は、例えばハイトレルズ（Ｈｙｔｒｅｌｓ，登録商標）として知られたエ ラストマーのポリエーテルポリエステルや、ペバックシズ（Ｐｅｂａｘｅｓ，登 録商標）として知られたポリエステルポリアミドである。他の好ましい材料は、 英国特許公報第２０９３１９０Ｂ号、特にその例２に記載されたポリウレタンを 含む親水性ポリウレタンのような親水性ポリマーを含んでいる。 裏打ち層は、水蒸気透過性のものであってもよく、少なくとも５００ｇｍ^-2２ ４ｈｒ^-1の、適切には少なくとも１０００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1の、いっそう適切に は少なくとも１２００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1の、好ましくは、少なくとも１６００ｇ ｍ^-2２４ｈｒ^-1から５０００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1までの水蒸気透過率を有していて もよい。もっとも好ましくは、そのＭＶＴＲは３０００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1を超え るべきではない。 裏打ち層のＷＴＲは、少なくとも２０００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1、いっそう適切に は少なくとも３０００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1、好ましくは、少なくとも６０００ｇｍ^-2 ２４ｈｒ^-1から２００００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1までであってもよい。 裏打ち層は、１５〜１００μｍの、好ましくは２０〜８０μｍの、いっそう好 ましくは２５〜５０μｍの、例えば、２７．５μｍ、３０μｍ、３５μｍ、４０ μｍの厚さを有していてもよい。 創傷対向層は、穴開きフィルムまたはネットからなっていてもよい。 この発明に用いるのに好ましい穴開きフィルムは、火炎または熱ガスの使用を 伴うホットメルト穿孔法により形成される。 この発明に用いるのに好ましい穴開きフィルムは、可撓性ポリマーネットの形 態にある。ポリマーネットはここでは、一体となったストランド及びつなぎ目に よって規定された穴を有するポリマーシートとして用いられる。このようなネッ トは、より薄い領域をエンボス加工したフィルムまたはシートを広げることによ り形成されてもよい。 従来から知られたどのような材料も用いることができるが、適切なポリマーネ ットは、エラストマーのポリマー、特に熱可塑性エラストマーのポリマーからな る。 このようなエラストマーのポリマーのネットは、この発明の装置の表面に「柔 軟性」を付与することができる。 適切な熱可塑性エラストマーのポリマーは、ポリエーテルエステルとポリエー テルポリアミドとのブロックコポリマー、ポリウレタン、スチレンブタジエンと スチレンイソプレンとのブロックコポリマー、ポリイソブタジエンとエチレン酢 酸ビニルとのコポリマーを含んでいる。 この発明に用いられるネットは、相溶性ポリマーまたは、例えば低密度ポリエ チレンまたはポリスチレンなどのポリオレフィンのような非相溶性ポリマーを有 するエチレン酢酸ビニルのコポリマーなどのエラストマーのポリマーの混和物か らなっ ていてもよい。 エチレン酢酸ビニルと非相溶性ポリマーとの混和物からなる、この発明に用い られる適切なネットは、ヨーロッパ特許公報第１４１５９２号に開示されている 。 中間の吸収材層は、従来から知られたどのような材料からなっていてもよい。 この吸収材層は、創傷からの浸出物が多いときに裏打ち層のＷＴＲに影響を与え やすい、例えば、タンパク質や多糖類などの高分子量材料に対する耐性をもたら すであろうものが好ましい。したがって、この吸収材層のゲル化成分は、濡れた ときにゲル化する超吸収材からなっていてもよい。適切な超吸収材のヒドロゲル は、米国特許公報第３６６９１０３号及び第３６７０７３７号に記載されている 。そのようなヒドロゲルの範囲内には、例えばアルギン酸塩及び／または他の親 水コロイドを含むことが意図されている。好ましい超吸収体は、オアシス（ＯＡ ＳＩＳ）繊維（専門吸収材）として知られた１つの例であるポリアクリル酸であ る。吸収材層のゲル化成分は、繊維状またはフィラメント状の材料であろう。 吸収材層の非ゲル化成分は、非吸収材または弱吸収材である繊維状組成物から なっていてもよい。その複合物が２つの繊維状成分からなるとき、１つの組成物 が前記のような超吸収体であり、他の組成物が浸出物に対する非吸収材または弱 吸収材であるのが好ましい。 吸収材層の繊維状成分は、１３０ｇｍ^-2〜３００ｇｍ^-2の、好ましくは１００ ｇｍ^-2〜１７５ｇｍ^-2の量で存在してもよい。 用いられた繊維の大きさ及び形状は、とりわけ、繊維状材料の性質及びその物 品に要求される吸収／透過度に応じて異なってもよい。それにもかかわらず、実 質的に線状の繊維が好ましい。このような繊維の直径は、吸収材物品及び／また は被覆材に従来から用いられていたものと同様であるだろう。実質的に線状の繊 維は、その物品に用いられた従来の長さを有するものでもよい。実質的に線状の 好ましい繊維は、長さが５〜５０ｍｍの、好ましくは長さが１０〜２０ｍｍのも のである。 非ゲル化繊維状成分は１つまたは２以上の繊維状材料からなっていてもよい。 その複合物における繊維状材料は、天然材料または合成材料を含む、従来から知 られたどのような繊維でもよい。例えば、繊維状成分は、セルロース繊維からな っていてもよく、セルロース繊維と熱接合繊維との複合物であってもよい。セル ロース繊維の例としては、木綿繊維または木材パルプ繊維があるが、これらに限 定されない。熱接合繊維は例えばダナクロン（Ｄａｎａｋｌｏｎ）ＥＳＣを含む 。 複合物の吸収材層における非ゲル化繊維状成分の使用は、特に、超吸収材が濡 れてくるにつれてゲルになる場合に超吸収体繊維に対する支持層をもたらすであ ろうという利点がある。このような非ゲル化繊維は、浸出物を創傷対向層から裏 打ち層へ吸い上げる改良されたガーゼをもたらすであろうし、また、さもなけれ ば裏打ち層の効率を減少させるおそれのある高分子量浸出物の堆積物に対する物 理的障壁をもたらすであろう。 したがって、好ましい吸収材層は、例えばポリアクリル酸な どの超吸収体と、例えば木綿繊維または木材パルプなどのセルロース繊維と、例 えばダナクロン（Ｄａｎａｋｌｏｎ）ＥＳＣのような熱接合繊維とからなってい るであろう。このような吸収材層では、その成分は例えば吸収材の織布の中に一 様に分散されて形成されるであろう。 この発明の被覆材は、創傷接触層の身体対向面への接着剤層からなっていても よい。その場合、従来から知られたどのような感圧性接着剤も用いることができ る。 好ましい実施態様では、被覆材の縁はシールされているのが好ましく、その場 合、吸収材層は、例えば浸出物及び／または繊維が被覆材の縁ではみ出るのを防 ぐ仕切りの内側に収納される。したがって、例えば、裏打ち層の縁は創傷対向層 に接合されるであろう。これらの層は、接着剤で接合されてもよく、熱で接合さ れてもよい。 超吸収体に支持された繊維の使用はそれ自体、新規である。したがって、この 発明の別の特徴によれば、これまでに説明したように、被覆材の製造における超 吸収体に支持された繊維の使用法が提供される。 この発明の別の目的によれば、これまでに説明したように、織布を作るために 吸収材層成分を結合させ、引き続きその織布を接合し、さらに、その織布と裏打 ち層と創傷対向面とを接合することからなる吸収材物品の製造法が提供される。 この方法は湿度が適切に管理された雰囲気下で行われるのが好ましい。 吸収材層は、少なくとも１つの繊維状成分を含んだ成分を、例えばランド予備 供給機、オープナー混合機、供給機及び織機などの商業的に得ることのできる設 備を用いて空気含有織布の中に結合させることにより、製造してもよい。次いで 、その織布は、熱接合、化学接合あるいは針穿孔により接合することができる。 製造された吸収材層は、次いで、裏打ち層及び創傷対向層に接合させることが できる。この接合は、化学接合を含んでいてもよいが、熱ラミネート処理により 熱で接合されるのが好ましい。次いで、吸収材物品は、それ自体、従来から知ら れた方法を用いて一定の大きさにするために送られてもよい。 この発明の被覆材は、創傷治癒、特に湿性創傷治癒に有用である。したがって 、この発明の被覆材は、とりわけ床擦れ、脚のできもの、切り傷、擦り傷及び浸 出性創傷の治療あるいは軽減に望ましい。 この発明のさらに別の特徴によれば、これまでに説明したように、被覆材を患 者の創傷に当てることからなる創傷治癒方法が提供される。 この発明は、この発明の被覆材の断面を示す添付図面を参照して、例示として だけ、次に説明されるであろう。 その図によれば、被覆材（１）は、例えば、ヨーロッパ特許出願公開公報第０ ０５９０４９号の例に記載された創傷接触層として利用されたポリウレタンネッ トなどのネットまたは穴開きフィルムの形態にある創傷対向層（２）と、例えば 、ヨー ロッパ特許出願公開公報第００９１８００号の例に記載された親水性ポリウレタ ン基フィルムの形態にある裏打ち層（３）と、ポリアクリル酸基超吸収体材料（ ５）及び木綿繊維の支持材料（６）からなる中間層（４）とを備えている。 使用の際、この被覆材は、患者の創傷部位に当てられてテープで接着されても よく、あるいは、任意に、創傷対向層（２）に身体対向接着剤層が設けられても よい。

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Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．裏打ち層と、穴開きの創傷対向層と、裏打ち層及び創傷対向層に介在する吸 収材層とを備えてなり、裏打ち層が、その水蒸気透過率よりも小さくない水透過 率を有していることと、吸収材層が、水蒸気吸収の際に、水の存在下で、ゲルを 形成するような相変化を受ける繊維状成分と、ゲルを形成するような相変化を受 けない成分とを備えた繊維状層であることとを特徴とする創傷被覆材。 ２．裏打ち層の水透過率が、その水蒸気透過率よりも大きい請求項１に記載の被 覆材。 ３．裏打ちフィルムの水蒸気透過率が、３７℃において少なくとも１０００ｇｍ^-2 ２４ｈｒ^-1から３０００ｇｍ^-2２４ｈｒ^-1までの間にあり、かつ１０〜１００ ％の相対湿度差にある請求項１または２に記載の被覆材。 ４．裏打ちフィルムの水透過率が、３７℃において少なくとも４０００ｇｍ^-2２ ４ｈｒ^-1である先行請求項のいずれか１つに記載の被覆材。 ５．裏打ち層が、エラストマーのポリマーである先行請求項のいずれか１つに記 載の被覆材。 ６．裏打ち層が、１５〜１００μｍの厚さを有している先行請求項のいずれか１ つに記載の被覆材。 ７．創傷対向層が、エラストマーのポリマーの穴開きフィルムまたはネットから なる先行請求項のいずれか１つに記載の被覆材。 ８．エラストマーのポリマーが、ポリエーテルエステル、ポリエーテルポリアミ ドのブロックコポリマー、ポリウレタン、スチレンブタジエンまたはスチレンイ ソプレンのブロックコポリマー、ポリイソブタジエンまたはエチレン酢酸ビニル のコポリマー、またはこれらの混合物または混和物を含んでいる先行請求項のい ずれか１つに記載の被覆材。 ９．吸収材層が、密度１３０〜３００ｇｍ^-2の繊維からなる先行請求項のいずれ か１つに記載の被覆材。 １０．吸収材層のゲル化成分が、ポリアクリル酸またはアルギン酸塩の繊維から なる先行請求項のいずれか１つに記載の被覆材。 １１．非ゲル化成分が、繊維状材料である先行請求項のいずれか１つに記載の被 覆材。 １２．非ゲル化繊維状材料が、弱非吸収材または実質的非吸収材である請求項１ １に記載の被覆材。 １３．吸収材層の非ゲル化成分が、セルロース繊維からなる先行請求項のいずれ か１つに記載の被覆材。 １４．裏打ち層及び創傷対向層が、被覆材の縁でともにシールされている先行請 求項のいずれか１つに記載の被覆材。 １５．創傷対向層の創傷対向面が、皮膚にやさしい感圧性接着剤の層を支持する 先行請求項のいずれか１つに記載の被覆材。