JP2001507978A - 電気外科用器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 電気外科用器具（１０）のための非常に耐久性のあるコーティングを提供する。この導電性コーティング（１２）はマグネタイト、すなわちＦｅ₃Ｏ₄粒子からなり、これは熱スプレー法を用いて外科用器具のベースメタル（１８）の上にスプレーコートされたものである。

Description

【発明の詳細な説明】 電気外科用器具発明の分野 本発明は、電気外科用器具に関するものであり、特に腹腔鏡による電気外科用 器具に関するものである。発明の背景 外科手術のための高周波電気エネルギーの使用は、およそ１世紀前から始まっ ている。電気外科手術は、活性化電極と分散電極の間で高周波電流を発生させて 伝達し、組織温度を上昇させて、切断、凝固、放電アークによる組織破壊、及び 乾燥を行うものである。 電気外科用エネルギーは、外科手術において最も一般的に用いられているエネ ルギー源である。開腹手術のような開放的な手術において、外科医は出血及び切 断を制御することができるという、より幅広い利点を有することができ、かつ外 科医の技術を完全なものにするためのより多くの選択が可能となる。腹腔鏡及び その他の閉鎖的な手術においては、電気外科用エネルギーの正確な出射が外科手 術の結果を最適にするために必要となる。 歴史的には、組織の切断及び凝固のための電気外科用器具の使用には問題があ った。例えば、そのような器具の電極の作用表面は、それらと接触している組織 に対し貼り付いてしまう傾向がある。また、不注意による電気的ショック及び爆 発が患者及び医者に対して数多く生じることが報告されており、患者の死亡さえ も報告されている。これらの数多くの場合において、報告されている障害の原因 は、電気外科用器具の絶縁破壊によるものである。 電気外科用器具のための不活性な電極作用表面を与える方法が数多く知られて いる。最も一般的な方法は、ベースメタルに非粘着性コーティングを設ける方法 である。ベースメタルとしては、通常ステンレススチールが用いられるが、アル ミニウムまたは他の金属を用いることもできる。一般的な非粘着性コーティング はまた、絶縁材料であり、従って器具の電極部分の作用表面上に塗布す ることができない。このような非粘着性コーティングの例としては、ポリ（テト ラフルオロエチレン）のようなフッ化炭素、ポリ（塩化ビニル）（ＰＶＣ）、ま たは熱収縮プラスチックが挙げられる。これらの材料はよく知られているように 電気的絶縁特性を有しているが、電気外科用器具において用いるのに最適なもの ではない。上記の非粘着性コーティングの最大の欠点は、不適当な耐磨耗性（す なわち、コーティングがこすれて落ち、容易に裸の金属が露出すること）、殺菌 及び電気外科手術自体において用いられる比較的高温でのコーティングの分解、 並びにコーティングとステンレススチール器具の間での水分の保持である。この 水分の保持は、最終的に器具の腐食をもたらし、また結果として器具の不十分な 殺菌を生じる。ヘルスケアのコストの上昇に伴い、これらの問題から、今日、電 気外科用器具に用いる新たな種類の絶縁材への置き換えが継続的に求められてい る。 これに適した絶縁セラミックコーティングが、Ｍｏｒｒｉｓの米国特許５，５ ６２，６５９号に記載されている。 本発明は、導電性を有するが不活性である酸化鉄表面によって、電気外科用電 極の実質的に非粘着性の作用表面を提供するものである。この酸化鉄コーティン グは耐久性、耐熱性を有し、容易に洗浄することができる。さらに、本発明のコ ーティングは、殺菌プロセスまたは使用時の高周波電流により生じる熱ストレス によってダメージまたは腐食を生じることがない。発明の要約 電極の作用表面として働く金属面の上に導電性のマグネタイト（Ｆｅ₃Ｏ₄）コ ーティングを有する、腹腔鏡による電気外科用器具が提供される。ステンレスス チール基板は、好ましい電極表面を有しているが、アルミニウムのような他の金 属も作用表面を与えるものとして用いることができる。マグネタイトコーティン グは、約０．０１インチ（約０．２５ｍｍ）までの厚みとすることができ、プラ ズマガン、デトネーション（爆発）ガン、高速酸素燃料（ＨＶＯＦ）システム、 高エネルギープラズマ（ＨＥＰ）システムなどのような熱ス プレープロセスを用いて金属基板上に形成することができる。図面の簡単な説明 図面において、図１は器具の電極部分の作用表面の上にマグネタイト（Ｆｅ₃ Ｏ₄）のコーティングが設けられた電気外科用器具の一部断面部分図である。好ましい実施例の説明 プラズマガン、デトネーションガン、高速酸素燃料システム、高エネルギープ ラズマシステム等の熱スプレープロセスを用いてマグネタイトコーティングを形 成することにより、電気外科用器具のための高品質な非粘着性作用表面を実現す ることができる。このコーティングは容易に洗浄することができ、引っかき、欠 けまたはカッティングに対する耐久性を含めた外部からの摩擦及び磨耗特性を与 えるものである。さらに、このようなコーティングは化学的に不活性であり、毒 性がなく、炎症を起こすことがなく、さらには人体における使用に適している。 上記熱スプレー法を用いたマグネタイトコーティングの形成は、器具のベースメ タルに対するコーティングの良好な接着性を促進させる。このため、腐食性を最 低限にすることができ、困難なくスチーム及び化学的な殺菌を行うことができる 。マグネタイトコーティングは熱スプレーにより種々の形状及びサイズの器具に 容易に形成することができ、効率的なコストをもたらす。 電気外科用器具の作用表面に好ましい材料は、約０．００１〜約０．０１イン チ（約０．０２５ｍｍ〜約０．２５ｍｍ）の範囲の厚みを有したマグネタイト、 すなわちＦｅ₃Ｏ₄のコーティングである。さらに好ましいコーティングの厚みは 、約０．００１〜約０．００４インチ（約０．０２５ｍｍ〜約０．１ｍｍ）の範 囲内である。特定の用途であるならば、相対的にこれよりも薄いもしくはこれよ りも厚い厚みのマグネタイトコーティングを形成してもよい。 図１を参照して、腹腔鏡の用途に適した一般的な電気外科用電極１０の部分が 示されている。電極１０はフック先端部を有するように図示されているが、ナイ フ先端部、コーン先端部、ボタン先端部、へら先端部、スリング先端部、 はさみ先端部、ピンセット先端部など他の先端部形状であってもよい。電気外科 用器具の先端部形状は本発明の一部をなすものではない。 マグネタイトコーティング１２は、電極１０の導電性チップ部分１４の上に設 けられている。絶縁層１６、代表的にはアルミナ複合物等のセラミック材料が、 導電性先端部１４及び高周波（ＲＦ）電源との必要な接触部以外の電極１０の周 りに設けられている。電極１０のシャフト１８は、代表的には、外科用グレード のステンレススチールから形成されている。先端部１４は、シャフト１８と結合 しており、電極１０の作用表面をなし、またマグネタイトコーティング１２の基 板となるステンレススチールから形成されている。 電気外科用器具のマグネタイトコーティングを示す以下の実施例により本発明 をさらに説明する。 実施例１：電気外科用器具の導電性マグネタイトコーティング 以下に示す表、すなわち表Ｉは、マグネタイトすなわちＦｅ₃Ｏ₄コーティング の代表的なロットの化学分析結果を示す。黒色酸化物の粒子サイズは−３２／＋ １０ミクロンである。このコーティングは、約０．００３インチ（０．０８ｍｍ ）の厚みとなるようにプラズマガンでスチール基板の上に形成されており、また 導電性コーティングであることが確認されている。 実施例２：コーティングされた電極の比較性能 ステンレススチールの作用表面を有する、へら（スパーテル）先端部の電気外 科用電極を、種々の化合物で表面コーティングした。次に、これらの電極を５０ ０ＫＨＺ及び種々のパワー条件で、使用の容易性及び洗浄性について評価した。 また、電極の組織への貼り付き開始までの接触時間を記録した。得られた結果を 以下の表IIに示す。 上記明細書は本発明を説明するためのものであるが、本発明を限定するもので はない。本発明の精神及び範囲内において、さらに他の変形が可能であり、それ は当業者によって容易に理解され得るであろう。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，Ｍ Ｗ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ， ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，Ｅ Ｓ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＧＷ，ＨＵ，ＩＤ ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ， ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，Ｍ Ｇ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ， ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，Ｙ Ｕ，ＺＷ (72)発明者 ソーレンセン・ネルズ アメリカ合衆国 イリノイ州60099，ジオ ン，プリムローズ・コート，4207号

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．（ａ）露出した作用表面を有する金属電極と、 （ｂ）金属電極の作用表面上の導電性マグネタイトコーティングとを備える電 気外科用器具。 ２．コーティングの厚みが約０．０２５ｍｍ（約０．００１インチ）〜約０． ２５ｍｍ（約０．０１インチ）の範囲内である請求項１の器具。 ３．コーティングの厚みが約０．０２５ｍｍ（約０．００１インチ）〜約０． １ｍｍ（約０．００４インチ）である請求項１の器具。 ４．金属電極がステンレススチールである請求項１の器具。