JP2001507931A - 組換えピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ、組換えディリジェントタンパク質、および使用方法 - Google Patents

組換えピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ、組換えディリジェントタンパク質、および使用方法

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政之 藤田
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Abstract

(57)【要約】 ディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼは、Forsythia intermedia、Thuja plicata、およびTsuga heterophyllaから、これらの種からのディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコードするcDNAとともに単離されている。従って、ディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの発現をコードする、単離されたDNA配列が提供される。他の局面において、ディリジェントタンパク質もしくはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ、または少なくともディリジェントタンパク質もしくはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのDNAもしくはRNAの一部に十分に相補的であり、それらとのハイブリダイゼーションを可能にする塩基配列をコードする、複製可能組換えクローニングビヒクルが提供される(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応プライマーとして、あるいはディリジェントタンパク質もしくはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコードする遺伝子または関連遺伝子のためのプローブとして有用である、アンチセンスディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼRNA、または相補的なディリジェントタンパク質もしくはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのDNAフラグメント)。なお他の局面において、組換えクローニングビヒクルおよび/またはディリジェントタンパク質もしくはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコードするDNA配列で、形質転換され、トランスフェクトされ、感染され、そして/または注入された、改変された宿主細胞が提供される。従って、その後の使用のための有意な量の組換えディリジェントタンパク質および/またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの産生、単離、および精製を容易にし、リグナン生合成を増強または他の様式で改変するために植物中のディリジェントタンパク質および/またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの発現または増強した発現を得るために使用され得るか、あるいはディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの調節または発現のために他の様式で使用され得る、ディリジェントタンパク質および/またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの組換え発現のための系および方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 組換えピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ、 組換えディリジェントタンパク質、および使用方法 発明の分野 本発明は、Forsythia intermedia、Tsuga heterophylla、およびThuja plicat aから単離されたディリジェント(dirigent)タンパク質およびピノレシノール /ラリシレシノールレダクターゼ、Forsythia intermedia、Tsuga heterophylla 、およびThuja plicataからのディリジェントタンパク質およびピノレシノール /ラリシレシノールレダクターゼをコードする核酸配列、ならびにそれらの配列 を含むベクター、それらの配列を含む宿主細胞、および組換えピノレシノール/ ラリシレシノールレダクターゼ、組換えディリジエントタンパク質、およびそれ らの改変体を生成する方法に関する。 発明の背景 リグナンは、広い範囲の生理学的機能および薬理学的に重要な特性を有する、 巨大な構造多様性クラスの維管束植物代謝物である(Ayres,D.C.,およびLolke,J. D.、Chemistry and Pharmacology of Natural Products.Lignans.Chemilcal, Biological and Clinical Properties,Cambridge University Press,Cambridg e,England(1990);Lewisら、Chemistry of the Amazon,Biodiversity Natural Products,and Environmental Issues,588,(P.R.Seidl,O.R.GottliebおよびM .A.C.Kaplan)135-167,ACS Symposium Serles,Wasington D.C.(1995))。それら の明白な抗生物質特性(Markkanen,T.ら、Drugs Exptl.Clin.Res.7:711-718(198 wa,Tら、Agric.Biol.Chem.49:3351-3352(1985))、および摂食抑制物質特性(H armantha,J.,およびNawrot,J.,Biochem.Syst.Ecol.12:95-98(1984))のために 、維管束植物におけるリグナンの主な役割は、種々の日和見性生物学的病原体お よび捕食動物に対する抵抗性を付与するのを補助することである。リグナンはま た、 サイトカインとして(Binns,A.N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:980-984(198 7))、および木化における中間体として(Rahman,M.M.A.ら、Phytochemistry 2 9:1861-1866(1990))提唱されており、これは、植物生長および発生における重 要な役割を示唆する。生化学経路のリグニン/リグナンへの同化作用およびフェ ニルアラニンからの関連基質(チロシン)は、水生植物のそれらの維管束乾燥地 帯対応物への首尾良い変異(transition)(Lewis,N.G.,およびDavin,L.B.,Isopr enoids and Other Natural Products.Evolution and Function,562(W.D.Nes, 編)202-246,ACS Symposium Sreies:Washington,DC(1994))、4億8000年前の いくつか(Graham,L.E.,Origin of Land Plants,John Wiley&Sons,Inc.,New Y ork,NY(1993))に必須であったことが、幅広く支持される。 存在する化学分類学的データに基づいて、リグナンは、シダ類Blechum orient ale(Wada,H.ら、Chem.Pharm.Bull.40:2099-2101(1992))およびマツモ(例え ば、Dendroceros japonicusおよびMegaceros flagellaris)(Takeda,R.ら、Bry ophytes.Their Chemistry and Chemical Taxonomy,第29巻(Zinsmeister,H.D. およびMures,R.編)201-207頁、Oxford University Press:New York,NY(1990) ;Takeda,R.ら、Tetrahedron Lett.31:4159-4162(1990))のような「原始」植 物において存在し、シシル紀に発生するとして最近分類されている(Graham,L.E .,J.Plant Res.109:241-252(1996))。興味深いことに、裸子植物および被子 植物の両方の進化は、リグナンの構造複雑性および酸化改変における主な変化に よって達成された(Lewis,N.G.,およびDavin,L.B.,Isoprenoids and Other Nat ural Products.Evolution and Function,562(W.D.Nes,編)202-246,ACS Sympo sium Series:Washington,DC(1994);Gottlieb,O.R.およびYoshida,M.,Natural Products of Woody Plants.Chemicals Extraneous to the Lignocelluosic Ce ll Wall(Rowe,J.W.およびKirk,C.H.編)439-511頁、Springer Verlag:Berlin(1 989))。実際は、Western Red Ceder(Tsuja plicata)のようないくつかの種に おいて、リグナンは心材色、質、芳香、および耐久性を増強することよって、心 材形成/作製に広範に寄与し得る。 植物におけるそれらの機能に加えて、リグナンはまた、重要な薬理学的役割を 有する。例えば、ポドフィロトキシンは、そのエトポシドおよびテニポシド(te niposide)誘導体と同様に、抗ガン剤として首尾良く使用されている植物化合物 の例である(Ayres,D.C.,およびLoike,J.D.Chemistry and Pharmacology of Na tural Products.Lignans.Chemical,Biological and Clinical Properties,Ca mbridge University Press,Cambridge,England(1990))。抗ウイルス特性はま た、選択されたリグナンについて報告されている。例えば、(-)-アークタイゲニ 5c,1215−1211(1990))、およびノルジヒドログアヤレン酸(nordihydroguaiare tic acid)(Gnabre,J.N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:11239-11243(1995) )は、それらの明白な逆転写酵素阻害活性に起因して、HIVに対して各々有効で ある。いくつかのリグナン(例えば、マタイレジノール(matairesinol)(Nika ido,T.ら、Chem.Pharm.Bull.29:3586-3592(1981)))は、cAMPホスホジエステ ラーゼを阻害する一方、他は、心血管活性を増強する(例えば、シリンガレジノ ール(Syringaresinol)β-D-グルコシダーゼ)(Nishibe,S.ら、Chem.Pharm.Bu ll.38:1763-1765(1990))。また、常食における、高繊維常食の消化後に形成さ れる「哺乳動物」リグナンまたは「フィトエストロゲン」、エンテロラクトン( enterolactone)およびエンテロジオール(enterodiol)の存在と、乳ガンおよ び前立腺ガンの減少した発生率との間の高い相関関係が存在する(いわゆる、化 学防御)(Axelson,M.,およびSetchell,K.D.R.,FEBS Lett.123:337-342(1981) ;Adlercreutzら、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.41:3-8(1992);Adlercreutz ら、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.52:97-103(1995))。「哺乳動物リグナン 」は、順に、マタイレジノールおよびセコイソラリシレシノール(secoisolaric iresinol)のようなリグナンに由来すると考えられる(Borielloら、J.Applied Bacteriol.,58:37-43(1985))。 リグナンへの生合成経路は、リグナン生合成経路に関与する酵素または遺伝子 の単離の先行技術の報告が存在しないが、現在定義されているところである。Fo rsythia intermediaからの粗酵素抽出物に関する放射性標識実験に基づいて、8, 8'結合リグナン(これは、公知のほとんどの一般的なジリグノール(dilignol) 結合(Davin,L.B.,およびLewis,N.G.,Rec.Adv.Phytochemistry,第26巻(Staffo rd,H.A.,およびIbrahim,R.K.編)、325-375頁、Plenum Press,New York,NY(19 92))を示す)への侵入が、2つのアキラルコニフェリルアルコール分子の立体 選択的カップリングを介して、酸素化フリーラジカルの形態において生じ、フロ フラン(furofuran)リグナン(+)-ピノレシノールを産出することが最初に確認 された(Davin,L.B.,Bedgar,D.L.,Katayama,T.,およびLewis,N.G.,Phytochem 94))(図1)。 二分子フェノキシラジカルカップリング反応(例えば、フロフランリグナン(+ )-ピノレシノールを産出する、2つのアキラルコニフェリルアルコール分子の立 体選択的カップリング)には、多数の生物学的プロセスに関与する。これらは、 維管束植物におけるリグニン形成(M.Noseら、Phytochemistry 39:71(1995))、 維管束植物におけるリグナン形成(N.G.LewisおよびL.B.Davin,ACS Symp.Ser. におけるスベリン形成(M.A.Bernardsら、J.Biol.Chem.270:7382(1995))、真菌 における子実体発生(J.D.Bu'Lockら、J.Chem.Soc.2085(1962))、昆虫クチクラ メラニン沈着および硬化(M.Miessnerら、Helv.Chim.Acta 74:1205(1991);V.J. Marmarasら、Arch.Insect Biochem.Physiol.31:119(1996))、アブラムシ色素 の形成(D.W.CameronおよびLoad Todd,Organic Substances of Natural Origin .Oxidative Coupling of Phenols,W.I.TaylorおよびA.R.Battersby編(Dekker,N ew York,1967)第1巻、203頁)、および藻類細胞壁ポリマーの形成(M.A.Ragan ,Phytochemistry 23:2029(1984))を含むと推定される。 前述のリグニンおよびリグナン基質のインビボでの生合成において観察される 顕著な位置化学(regiochemical)および/または立体化学特異性とは対照的に 、全ての以前に記載の化学的インビトロ二分子フェノキシラジカルカップリング 反応(J.Iqbalら、Chcm.Rev.94:519(1994)))および酵素的インビトロ二分子 フェノキシラジカルカップリング反応(K.Freudenberg,Science 148:595(1965) )は、厳密な位置特異的制御および立体特異的制御を欠如している。すなわち、 キラル中心が、インビトロでのカップリングの間に導入される場合、産物はラセ ミ体であり、そして1つより多い潜在的カップリング部位が存在する場合、異な る 位置化学が生じ得る。従って、特定の鏡像異性形態またはインビトロでの特異的 カップリング産物を生じる能力は、明白な制御下ではない。結果的に、二分子フ エノキシラジカルカップリング反応の位置化学および立体化学を制御して、例え ばリグナンの形成を導くという機構がインビボで存在することが推測される。 Forsythia intermedia、およびおそらく他の種において、(+)-ピノレシノール (2つのE-コニフェリルアルコール分子の立体特異的カップリングの産物)は、 逐次還元を受けて、(+)-ラリシレシノール、次いで(-)-セコイソラリシレシノー ルを生じる(Katayama,T.ら、Phytochemistry 32:581-591(1993);Chu,A.ら、J. Biol.Chem.268:27026-27033(1993))(図1)。今までは、1つより多いレダク ターゼが、逐次工程を触媒するのに必要とされるか否かは不明であったが、還元 は、NADPHのプロR水素化物の抽出を介して進行し、産物((+)-ラリシレシノール および(-)-セコイソラリシレシノール)のC-7およびC-7'位置の両方で立体配置 の「反転」を生じた(Chu,A.ら、J.Biol.Chem.268:27026-27033(1993))。(-)- マタイレジオールは、(-)-セコイソラリシレシノールの脱水素化を介して続いて 形成され、さらにその代謝はおそらく、Ipomoea cairicaにおける抗ウイルス(-) -トラシェロゲニンおよびPodophyllum peltatumにおける(-)-ポドフィロトキシ ンのようなリグナンを産出する。 従って、(+)-ピノレシノールの立体特異的形成、ならびに(+)-ラリシレシノー ルおよび(-)-セコイソラリシレシノールを生じる続く還元工程は、リグナン代謝 における中枢点である。なぜなら、それらは、フラノ、ジベンジルブタン、ジベ ンジルブチロラクトン、およびアリールテトラヒドロナフタレンリグナンサブク ラスへの侵入を示すからである。さらに、リグナンは通常、光学活性であるが、 存在する特定の鏡像異性体は、植物種の間で異なり得ることに注意するべきであ る。例えば、(-)-ピノレシノールは、Xanthoxylum ailanthoidesにおいて生じ( Ishiiら、Yakugaku Zasshi,103:279-292(1983))、そして(-)-ラリシレシノー ルは、Daphne tanguticaにおいて存在する(Lin-Genら、Planta Medica,45:172 -176(1982))。特定のリグナンの光学活性は、生物学的活性に関する重要な結果 を有し得る。例えば、(-)-トラシェロゲニンは、HIV-1のインビトロ複製を阻害 し、一方、(+)-鏡像異性体は、あまり有効ではない(Schroderら、Naturforsc h,45c:1215-1211(1990))。 発明の要旨 前述に従って、本発明の1つの局面において、78kDディリジェントタンパク質 が、8,8'-結合リグナン形成における立体特異性を付与することに関与すること が、今や発見された。このタンパク質は、検出可能な触媒活性酸化中心を有さず 、そして明らかに、コニフェリルアルコール由来フリーラジカルへの結合および 配向のみに供し、これは、次いで、立体選択的なカップリングを受け、(+)-ピノ レシノールを形成する。フリーラジカルの形成は、最初の場合には、非特異的オ キシダーゼまたは非酵素的電子酸化剤のいずれかの酸化許容量を必要とする。本 発明の別の局面において、単一の酵素(ピノレシノール/ラリシレシノールレダ クターゼと称される)は、ピノレシノールからラリシレシノール、次いでセコイ ソラリシレシノールへの変換を触媒する。従って、本発明の1つの局面は、例え ば、Forsythia intermedia、Thuja plicata、およびTsuga heterophyllaからの もののような、単離されたディリジェントタンパク質および単離されたピノレシ ノール/ラリシレシノールレダクターゼに関する。 本発明の他の局面において、Forsythia intermedia(配列番号12および14)、 Thuja plicata(配列番号20、22、24、26、28、30、32、および34)、およびTsu ga heterophylla(配列番号16および18)からのディリジェントタンパク質をコ ードするcDNAは、単離および配列決定されており、そして対応するアミノ酸配列 は、推定されている。また、Forsythia intermedia(配列番号47、49、51、53、 55、および57)、Thuja plicata(配列番号61、63、65、および67)、およびTsu ga heterophylla(配列番号69および71)からのピノレシノール/ラリシレシノ ールレダクターゼをコードするcDNAは、単離および配列決定されており、そして 対応するアミノ酸配列は、推定されている。 従って、本発明は、単離されたタンパク質、およびディリジェントタンパク質 またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの発現をコードする単離 されたDNA配列に関する。他の局面において、本発明は、ピノレシノール/ラリ シレシノールレダクターゼまたはディリジェントタンパク質をコードする核酸配 列を含む複製可能組換えクローニングビヒクルに関する。本発明はまた、ピノレ シノール/ラリシレシノールレダクターゼDNAまたはRNAの少なくとも一部、また はディリジェントタンパク質DNAまたはRNAの少なくとも一部に十分に相補的な、 それらへのハイブリダイゼーションを可能にする塩基配列に関する。前述の相補 的塩基配列は、以下を含むがこれらに限定されない:アンチセンスピノレシノー ル/ラリシレシノールレダクターゼRNA;アンチセンスディリジェントタンパク 質RNA;ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼDNAまたはディリジェン トタンパク質DNAに相補的なDNAのフラグメント、そしてこれらはそれゆえ、ポリ メラーゼ連鎖反応プライマーとして、またはピノレシノール/ラリシレシノール レダクターゼ遺伝子、ディリジェントタンパク質遺伝子、もしくは関連遺伝子の ためのプローブとして有用である。 本発明のなお別の局面において、本発明の組換えクローニングビヒクルおよび /またはDNA配列で形質転換され、トランスフェクトされ、感染され、そして/ または注入された改変された宿主細胞が提供される。従って、本発明は、植物、 動物、微生物、および細胞培養物におけるピノレシノール/ラリシレシノールレ ダクターゼおよびディリジェントタンパク質の組換え発現を提供する。本明細書 中に記載される発明概念は、植物、動物、微生物、または細胞培養物における、 有意な量の組換えピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼもしくはディ リジェントタンパク質、またはそれらの酵素産物の産生、単離、および精製を容 易にするために使用され得る。 図面の簡単な説明 本発明の前述の局面および多くの付随する利点は、添付する図面と組み合わせ た場合、以下の詳細な説明を参照することによってより理解されるように、より 容易に理解されるようになる、ここで: 図1は、Forysythia intermediaにおける、E-コニフェリルアルコールの(+)- ピノレシノールへの立体特異的変換を示す。この反応の立体選択性は、ディリジ ェントタンパク質によって制御される。次いで、(+)-ピノレシノールは、(+)-ピ ノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼによって、(+)-ラリシレシノ ールおよび(-)-セコイソラリシレシノールに連続的に変換される。(+)-ピノレシ ノール、(+)-ラリシレシノール、および(-)-セコイソラリシレシノールは、それ ぞれリグナンのフロフラン、フラノ、およびジベンジルブタン系統群の前駆体で ある。 好ましい実施態様の詳細な説明 本明細書中で用いられるように、用語「アミノ酸(amino acid)」および「ア ミノ酸(amino acids)」は、全ての天然に存在するL-α-アミノ酸またはその残基 をいう。アミノ酸は、1文字表記または3文字表記のいずれかによって識別され る: Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン Thr T スレオニン Leu L ロイシン Ser S セリン Tyr Y チロシン Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン Pro P プロリン His H ヒスチジン Gly G グリシン Lys K リジン Ala A アラニン Arg R アルギニン Cys C システイン Trp W トリプトファン Val V バリン Gln Q グルタミン Met M メチオニン Asn N アスパラギン 本明細書中で用いられるように、用語「ヌクレオチド」は、DNAまたはRNAのモ ノマー単位をいい、これは、糖部分(ペントース)、リン酸、および窒素複素環 式塩基を含む。塩基は、グリコシド炭素(ペントースの1'炭素)を介して糖部分 に結合し、そして塩基および糖の組合せは、ヌクレオシドと称される。塩基は、 アデニン(「A」)、グアニン(「G」)、シトシン(「C」)、およびチミン (「T」)であるDNAの4つの塩基で、ヌクレオチドを特徴づける。イノシン( 「I」)は合成塩基であり、これは、4つの天然に存在する塩基(A、C、G、 またはT)のいずれかを置換するのに使用され得る。4つのRNA塩基は、A、G 、C、およびウラシル(「U」)である。本明細書中に記載されるヌクレオチド 配 列は、隣接するペントースの3'炭素と5'炭素との間のホスホジエステル結合によ って結合されるヌクレオチドの線状配列を含む。 用語「パーセント同一性」(%I)は、2つのアミノ酸配列または2つの核酸 配列が並行して配列される場合、同じ相対的位置を占有するアミノ酸またはヌク レオチドの割合を意味する。 用語「パーセント類似性」(%S)は、2つの比較タンパク質配列の関連性の 程度の統計学的基準である。パーセント類似性は、コンピュータープログラムに よって計算され、これは、化学的類似性(例えば、比較されるアミノ酸は、酸性 、塩基性、疎水性、芳香族などであるか否か)、および/または塩基対変化の最 小数によって測定されるような進化的距離(これは、比較されるアミノ酸の対の 1つのメンバーをコードするコドンを対の他のメンバーをコードするコドンに変 換するのに必要とされる)に基づくアミノ酸の各比較対に対する数値を割り当て る。計算は、2つの配列の最良適合アラインメントが全ての可能なアラインメン トの反復比較によって経験的に作製された後、行われる。(Henikoff,S.およびH enikoff,J.G.,Proc.Nat'l Acad Sci USA 89:10915-10919(1992))。 「オリゴヌクレオチド」は、ホスホジエステル結合を介して結合したデオキシ リボヌクレオチドの短い長さの一本鎖または二本鎖配列をいう。オリゴヌクレオ チドは、公知の方法によって化学的に合成され、そして例えば、ポリアクリルア ミドゲルで精製される。 用語「ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ」は、2つの還元反応 :ピノレシノールのラリシレシノールへの還元、およびラリシレシノールのセコ イソラリシレシノールへの還元を触媒し得る酵素を意味するように、本明細書中 で使用される。これらの反応の産物(ラリシレシノールおよびセコイソラリシレ シノール)は、(+)-または(-)-鏡像異性体のいずれかであり得る。 用語「ディリジェントタンパク質」は、二分子フェノキシラジカルカップリン グ反応を先導し、それにより反応の産物および/またはそのポリマー誘導体の維 立体化学および位置化学を決定し得るタンパク質を意味するように、本明細書中 で使用される。 用語「改変」、「アミノ酸配列改変」、「改変体」、および「アミノ酸配列改 変体」は、対応する天然のディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラ リシレシノールレダクターゼと比較して、それらのアミノ酸配列においていくつ かの相違を有するディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシ ノールレダクターゼ分子をいう。通常は、改変体は、対応する天然のディリジェ ントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼと少なく とも約70%の相同性を有し、そして好ましくは、対応する天然のディリジェント タンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼと少なくとも 約80%相同性である。本発明内にあるディリジェントタンパク質またはピノレシ ノール/ラリシレシノールレダクターゼのアミノ酸配列改変体は、特定の位置で の置換、欠失、および/または挿入を有する。ディリジェントタンパク質または ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの配列改変体は、所望の増強ま たは減少された酵素活性、改変された位置化学または立体化学、あるいは改変さ れた基質利用性または産物分布を達成するために使用され得る。 置換ディリジェントタンパク質改変体またはピノレシノール/ラリシレシノー ルレダクターゼ改変体は、除去された対応する天然のディリジェントタンパク質 配列またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ配列における少なく とも1つのアミノ酸残基、および同じ位置でのその位置において挿入された異な るアミノ酸を有するものである。置換は単一であり得、ここで分子中の1つのア ミノ酸のみが置換されているか、または複数であり得、ここで同じ分子中の2つ 以上のアミノ酸が置換されている。ディリジェントタンパク質またはピノレシノ ール/ラリシレシノールレダクターゼ分子の活性における置換変化は、天然のア ミノ酸の側鎖と、電荷および/または構造において有意に異なる側鎖を有するア ミノ酸の置換によって得られ得る。この型の置換は、ポリペプチド骨格の構造お よび/または置換の領域における分子の電荷もしくは疎水性に影響を及ぼすこと が予測される。 ディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクタ ーゼ分子の活性における穏和な変化は、天然の分子の側鎖と電荷および/または 構造において類似である側鎖を有するアミノ酸の置換によって予測される。この 型の置換(保存的置換といわれる)は、ポリペプチド骨格の構造または置換の領 域における分子の電荷もしくは疎水性のいずれかを実質的に変更させないと予測 される。 挿入ディリジェントタンパク質改変体またはピノレシノール/ラリシレシノー ルレダクターゼ改変体は、天然のディリジェントタンパク質またはピノレシノー ル/ラリシレシノールレダクターゼ分子における特定の位置でアミノ酸のすぐ隣 に挿入される1つ以上のアミノ酸を有するものである。アミノ酸のすぐ隣は、そ のアミノ酸のαカルボキシまたはαアミノ官能基のいずれかに結合されることを 意味する。挿入は、1つ以上のアミノ酸であり得る。通常は、挿入は、1つまた は2つの保存的アミノ酸からなる。挿入の部位に隣接するアミノ酸に、電荷およ び/または構造において類似のアミノ酸は、保存的として定義される。あるいは 、本発明は、挿入の部位に隣接するアミノ酸とは実質的に異なる電荷および/ま たは構造を有するアミノ酸の挿入を含む。 欠失改変体は、天然のディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリ シレシノールレダクターゼ分子における1つ以上のアミノ酸が除去されているも のである。通常は、欠失改変体は、ディリジェントタンパク質またはピノレシノ ール/ラリシレシノールレダクターゼ分子の特定の領域において欠失した1つま たは2つのアミノ酸を有する。 用語「アンチセンス」または「アンチセンスRNA」または「アンチセンス核酸 」は、メッセンジャーRNA分子の全てまたは一部に相補的である核酸分子を意味 するように、本明細書中で使用される。アンチセンス核酸分子は、代表的には、 相補的な発現されるメッセンジャーRNA分子のインビボでの発現を阻害するため に使用される。 用語「生物学的活性」、「生物学的に活性な」、「活性」、および「活性な」 は、ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ分子に関して使用される場 合、以下の実施例8に記載されるアッセイのような酵素活性アッセイにおいて測 定されるような、ピノレシノールおよびラリシレシノールを還元して、それぞれ ラリシレシノールおよびセコイソラリシレシノールを得る、ピノレシノール/ラ リシレシノールレダクターゼ分子の能力をいう。 用語「生物学的活性」、「生物学的に活性な」、「活性」、および「活性な」 は、ディリジェントタンパク質に関して使用される場合、二分子フェノキシラジ カルカップリング反応を先導して、それにより反応の産物およびそのポリマー誘 導体の立体化学および位置化学を決定するディリジェントタンパク質の能力をい う。 ディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクタ ーゼのアミノ酸配列改変体は、所望の改変された生物学的活性を有し得、これは 、例えば、改変された反応速度論、基質利用性、産物分布、または位置化学およ び立体化学のような他の特徴を含む。 用語「コードするDNA配列」、「コードするDNA」、および「コードする核酸」 は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列 をいう。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、翻訳されたポリペプチド 鎖に沿ったアミノ酸の順序を決定する。従って、DNA配列は、アミノ酸配列をコ ードする。 用語「複製可能発現ベクター」および「発現ベクター」は、DNAの小片、通常 は二本鎖をいい、これは、外来DNAの小片をそれに挿入されてい得る。宿主にお いて天然には見い出されないDNAである外来DNAは、異種DNAとして規定される。 ベクターは、外来または異種DNAを適切な宿主細胞に輸送するのに使用される。 一旦宿主細胞に入ると、ベクターは、宿主染色体DNAと独立的または同時に複製 し得、そしてベクターおよびその挿入した(外来)DNAのいくつかのコピーが作 製され得る。さらに、ベクターは、外来DNAのポリペプチドへの翻訳を可能にす る必要なエレメントを含む。従って、外来DNAによってコードされるポリペプチ ドの多くの分子は、迅速に合成され得る。 用語「形質転換宿主細胞」、「形質転換された」、および「形質転換」は、DN Aの細胞への導入をいう。細胞は「宿主細胞」と称され、そして原核生物細胞ま たは真核生物細胞であり得る。代表的な原核生物宿主細胞としては、E.coliの種 々の株が挙げられる。代表的な真核生物宿主細胞としては、植物細胞(例えば、 トウモロコシ細胞)、酵母細胞、昆虫細胞、または動物細胞が挙げられる。導入 されたDNAは、通常、DNAの挿入小片を含むベクターの形態である。導入されたDN A配列は、宿主細胞と同じ種由来、または宿主細胞とは異なる種由来であり得る か、またはハイブリッドDNA配列(いくつかの外来DNAおよび宿主種に由来するい くつかのDNAを含む)であり得る。 本発明に従って、Forsythia intermedia、Thuja plicata、およびTsuga heter ophylla由来のディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノ ールレダクターゼをコードするcDNAが、以下の様式において、単離され、配列決 定され、そして発現された。 Forsythia intermedia由来のデイリジェントタンパク質をコードするcDNAに関 連して、経験的に決定された精製プロトコルが開発されて、Forsythiaディリジ ェントタンパク質が単離された。この手順は、ディリジェントタンパク質の少な くとも6つのアイソフォームを生じた。これらのアイソフォームの各々のアミノ 末端のアミノ酸配列決定は、各アイソフォームの配列が同一であることを示した 。これらのアイソフォームの混合物のN-末端の配列決定は、28アミノ酸配列を生 じた(配列番号1)。これらアイソフォームの混合物のトリプシン消化は、6つ のペプチドフラグメントを生じ、これらは、配列番号2から7の配列決定を可能 にするのに十分な量に精製された。 PSINT1(配列番号8)と称されるプライマーは、N-末端ペプチド(配列番号1 )のアミノ酸9〜15の配列に基づいて合成された。PSI1R(配列番号9)と称さ れるプライマーは、(配列番号2)に示される内部ペプチド配列のアミノ酸3〜 9の配列に基づいて合成された。PSI2R(配列番号10)と称されるプライマーは 、(配列番号2)に示される内部ペプチド配列のアミノ酸13〜20の配列に基づい て合成された。PSI7R(配列番号11)と称されるプライマーは、(配列番号3) に示される内部ペプチド配列のアミノ酸6〜12の配列に基づいて合成された。 Forsythia全RNAは、大濃度のポリフェノールを含む木質組織のために特異的に 設計された方法から改変されたプロトコルを用いて単離された。ポリA+RNAが 単離され、そしてcDNAライブラリーが、標準的な手段を用いて構築された。プラ イマーPSINT1(配列番号8)およびPSI7R(配列番号11)、PSI2R(配列番号10) 、またはPSI1R(配列番号9)のうちの1つを、基質としてのForsythia cDNAの アリコートともに利用する各PCR反応は、それぞれ、約370bp、約155bp、および 約125bpの単一のcDNAバンドを生じた。PSINT1(配列番号8)-PSI7R(配列番号1 1) 反応の約370bp産物は、PCRによって増幅され、そしてForsythia intermedia cDN Aライブラリーの約600,000PFUをスクリーニングするためのプローブとして利用 された。2つの別々のcDNAが同定され、pPSDFi1(配列番号12)およびpSDFi2( 配列番号14)と命名された。ディリジェントタンパク質をコードするcDNAインサ ートは、プラスミドpPSDFi1から切り出され、そしてバキュロウイルス移入ベク ターpBlueBac4にクローン化された。得られる構築物を使用して、Spodopterafru giperdaを形質転換し、そこから、機能的ディリジェントタンパク質を精製した 。 Thuja plicataおよびTsuga heterophylla由来のディリジェントタンパク質の クローニングに関連して、Forsythia cDNAが、Tsuga heterophyllaからの2つの ディリジェントタンパク質クローン(配列番号16、18)およびThuja plicataか らの8つのディリジエントタンパク質cDNAクローン(配列番号20、22、24、26、 28、30、32、34)を単離するためのプローブとして使用された。 Forsythia intermedia由来の(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダ クターゼをコードするcDNAに関連して、経験的に決定された精製プロトコル(こ れは、8クロマトグラフィー工程からなる)が、Forsythia(+)-ピノレシノール /(+)-ラリシレシノールレダクターゼタンパク質を単離するために開発された。 この手順は、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼの2つの アイソフォームを生じ、これは両方とも、(+)-ピノレシノールおよび(+)-ラリシ レシノールの還元を触媒し得た。これらのアイソフォーム各々のN-末端の配列決 定は、同一の30アミノ酸配列(配列番号36)を生じた。これらのアイソフォーム の両方の混合物のトリプシン消化は、4つのペプチドフラグメントを生じ、これ らは、配列決定を可能にするのに十分な量で精製された(配列番号37〜40)。さ らに、これらのアイソフォームの両方の混合物の臭化シアン切断は、3つのペプ チドフラグメントを生じ、これらは、配列決定を可能にするのに十分な量で精製 された(配列番号41〜43)。 PLRN5(配列番号44)と称されるプライマーは、N-末端ペプチドのアミノ酸7 〜13の配列(配列番号36)に基づいて合成された。PLR14R(配列番号45)と称さ れるプライマーは、配列番号37に示される内部ペプチド配列のアミノ酸2〜8の 配列に基づいて合成された。PLR15R(配列番号46)と称されるプライマーは、配 列番号37に示される内部ペプチド配列のアミノ酸9〜15の配列に基づいて合成さ れた。配列番号37に示される内部ペプチド配列のアミノ酸9〜15の配列(プライ マーPLR15R(配列番号46)がそれに基づく)はまた、配列番号41に示される、臭 化シアンで作製した内部フラグメントのアミノ酸4〜10の配列に対応した。 Forsythia全RNAは、大濃度のポリフェノールを含む木質組織のために特異的に 設計された方法から改変されたプロトコルを使用して単離された。ポリA+RNA が単離され、そしてcDNAライブラリーが、標準的な手段を用いて構築された。プ ライマーPLRN5(配列番号44)およびPLR14R(配列番号45)またはPLR15R(配列 番号46)のいずれかを、基質としてのForsythia cDNAのアリコートとともに利用 するPCR反応は、380bpおよび400bpの2つの増幅されたバンドを生じた。1つの4 00bp cDNAインサートは、Forsythia cDNAライブラリーをスクリーニングするた めにプローブとして利用された。400bpプローブは、配列番号47の塩基22〜423に 対応した。6つのcDNAクローンが、単離されそして配列決定された(配列番号47 、49、51、53、55、57)。これらのクローンは共通のコード領域を有し、多くは 、異なる5'非翻訳領域およびそれぞれ異なる地点で終わる3'非翻訳領域を有した 。これらのcDNA(配列番号47)のうちの1つは、E.coliにおいてβガラクトシダ ーゼ融合タンパク質として発現し、これは、天然の植物タンパク質として同じ鏡 像異性体特異的反応を触媒した。 (+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼおよびThuja plicat a由来の(-)-ピノレシノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼのクローニン グに関連して、cDNAを合成し、そしてPCR反応におけるテンプレートとして利用 した。ここでプライマーは、3'リンカープライマー(配列番号59)および5'プラ イマー(CR6-NTと称される)(配列番号60)であった。予測した長さ(1.2kb) の少なくとも2つのバンドが生成し、そしてプラスミドベクターにクローン化さ れた。1つのクローン(plr-Tp1と称される)(配列番号61)が完全に配列決定 され、そしてE.coliにおいてβガラクトシダーゼ融合タンパク質として発現され た。plr-Tp1は、(-)-ピノレシノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼをコ ードする。 クローンplr-Tp1のcDNAインサートを使用して、T.plicata cDNAライブラリー がスクリーニングされ、そしてさらなる唯一のクローン(plr-Tp2と称される) (配列番号63)が同定された。plr-Tp2はplr-Tp1に高い相同性を有するが、(+)- ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼをコードする。クローンpl r-Tp1のcDNAインサートを使用して、T.plicata cDNAライブラリーがスクリーニ ングされ、そしてさらなる2つのピノレシノール/ラリシレシノールレダクター ゼcDNA(配列番号65、67)が同定された。 Tsuga heterophylla由来のピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを コードする2つのcDNA(配列番号69、71)が、Tsuga heterophylla cDNAライブ ラリーをplr-Tp1 cDNAインサートでスクリーニングすることによって単離された 。 ディリジェントタンパク質、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダ クターゼ、および(-)-ピノレシノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼをコ ードするcDNAの単離は、これらの機能的酵素のための効率的な発現系の開発を可 能にし;リグナン生合成の発生的調節を検査するための有用なツールを提供し、 そして他のディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノール レダクターゼの単離を可能にする。ディリジェントタンパク質およびピノレシノ ール/ラリシレシノールレダクターゼcDNAの単離はまた、リグナン生合成を増強 または改変するために、広範な生物の形質転換を可能にする。 本発明のタンパク質および核酸は、二分子フェノキシカップリング反応(例え ば、フロフラン、フラノ、およびジベンジルブタンリグナン)の産物の立体化学 、位置化学(regiochemistry)、またはその両方を予め決定するのに利用され得 る。限定的でない例として、本発明のタンパク質および核酸は、以下のために利 用され得る:植物種における健常保護リグナン(例えば、ポドフィロトキシン) のレベルを上昇させるかまたはそうでなければ改変する(ここで、植物種は、野 菜、穀物、および果実、ならびにこのような遺伝的に改変した植物由来の物質を 取り込んだ食品を含むがこれらに限定されない);植物種を遺伝的に改変して、 種々の目的(例えば、ニュートラシューテイカルズ(neutriceuticals)および 栄養補助食品)に有用なリグナンの豊富な天然の供給を提供する;所望の生物学 的特性を有する光学的に純粋なリグナン(例えば、抗ウイルス特性を有する(-)- アル クチゲニン(arctigenin))の豊富な供給を産生するように生存生物を遺伝的に 改変する。特に、ディリジェントタンパク質結合部位の特徴付けおよび作用の機 構は、立体化学的に制御されたポリマーアセンブリのためのテンプレートとして 働く一連(array)のディリジェントタンパク質結合部位からなる合成タンパク 質の開発を可能にする。 当該分野で周知のN-末端輸送配列(例えば、von Heijne,G.ら、Eur.J.Biochem 180:535-545(1989);Stryer,Biochemistry W.H.Freeman and Company,New Yor k,NY,769頁(1988)を参照のこと)は、種々の細胞または細胞外位置に、ディリ ジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを指 向させるのに使用され得る。 欠失、置換、変異、および/または挿入によって産生され得る、野生型ディリ ジェントタンパク質クローンならびにピノレシノール/ラリシレシノールクロー ンの配列改変体は、先行技術によって制限される範囲を除いて、本発明の範囲内 であることが意図される。ディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラ リシレシノールレダクターゼアミノ酸配列改変体は、野生型ディリジェントタン パク質または野生型ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコードす るDNA配列を、例えば、部位特異的変異誘発と通常呼ばれる技術を用いることに より変異させることによって構築され得る。現在、当該分野において周知である 種々のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法(例えば、ClontechのTransformer Site- Directed Mutagenesisキットのような2プライマー系)が、この目的のために使 用され得る。 この系における標的プラスミドの変性に続いて、2つのプライマーは、プラス ミドに同時にアニールされる;これらのプライマーのうちの一方は、所望の部位 特異的変異を含み、他方は、プラスミドにおける別の点での変異を含み、制限部 位の排除を生じる。次いで、第2鎖合成が行われ、これらの2つの変異を強固に 連結させ、そして得られるプラスミドは、E.coliのmutS株に形質転換される。プ ラスミドDNAは、形質転換細菌から単離され、問題の制限部位で制限され(これ により、非変異プラスミドは線状化される)、次いでE.coliに形質転換される。 この系は、サブクローニングまたは一本鎖ファージミドの生成を必要とせずに、 発現プラスミドにおいて直接変異の生成を可能にする。2つの変異の強固な連結 および続く非変異プラスミドの線状化は、高い変異効率を生じ、そして最小スク リーニングを可能にする。最初の制限部位プライマーの合成に続いて、この方法 は、1変異部位あたり1つの新規なプライマー型のみの使用を必要とする。各位 置変異体を別々に調製するよりはむしろ、「設計された縮重」オリゴヌクレオチ ドプライマーのセットが、所定の部位で所望の変異の全てを同時に導入するため に合成され得る。形質転換体は、変異された領域を通じてプラスミドDNAを配列 決定して変異クローンを同定および選別することによってスクリーニングされ得 る。次いで、各変異体DNAは制限され、そしてMutation Detection Enhancement ゲル(J.T.Baker)で電気泳動することによって分析されて、配列に他の改変が 生じていないことを(未変異誘発コントロールに対するバンドシフト比較によっ て)確認され得る。 検証した変異体二重鎖は、既にこの型のベクターにクローン化されていない場 合、複製可能発現ベクターにクローン化され得、そして得られる発現ベクター構 築物は、変異体タンパク質の高レベルの産生および続くそのタンパク質の精製の ため、E.coli(例えば、E.coli BL21(DE3)pLysS株)を形質転換するために使用 され得る。FAB-MSマッピングの方法は、変異体発現の正確さを迅速にチェックす るために使用され得る。この技術は、全体タンパク質を通じてセグメントを配列 決定することを提供し、そして配列の割り当てにおける必要な確信を提供する。 この型のマッピング実験において、タンパク質はプロテアーゼで消化される(選 択は、改変される特定領域に依存する。なぜなら、このセグメントが最重要であ り、そして残りのマップは未変異誘発タンパク質のマップと同一であるはずだか らである)。切断フラグメントのセットは、微小孔(microbore)HPLC(逆相ま たはイオン交換、再度、改変される特異的領域に依存する)によって分画され手 、各々の画分においていくつかのペプチドを提供し、そしてペプチドの分子量は 、FAB-MSによって決定される。次いで、質量は、予測配列の消化から予測したペ プチドの分子量と比較され、そして配列の正確さが素早く確認される。タンパク 質改変へのこの変異誘発アプローチが指向されるので、改変したペプチドの配列 決定は、MSが予測と一致する場合、必要ではない。変化した残基を検証すること が 必要な場合、CADタンデムMS/MSが使用されて、問題の混合物のペプチドを配列決 定し得るか、または標的ペプチドが、改変の位置に依存して、減算エドマン分解 またはカルボキシペプチダーゼY消化のために精製される。 特定の部位特異的変異の設計において、非保存的置換(例えば、Cys、Hisまた はGluをAlaに)を最初に行い、そして活性が結果的に大きく損なわれるかどうか を決定することが一般的に所望され得る。次いで、変異誘発したタンパク質の特 性は、改変した機能の感受性指標としてのKmおよびkcatの速度パラメーターに対 して特別の注意をもって試験され、改変した機能から、結合および/または触媒 作用における変化自体は、天然の酵素に対する比較によって推定され得る。残基 が、この手段によって、活性減損またはノックアウトによって重要であると実証 される場合、保存的置換が行われ得る(例えば、側鎖の長さを改変するためのGl uをAspに;CysをSerに、またはHisをArgに)。芳香族もまた、アルキル側鎖を置 換され得るが、疎水性セグメントについては、改変されるのは主にサイズである 。正常な産物分布における変化は、反応シーケンスのどの工程が、変異によって 改変されているかを示し得る。 他の部位特異的変異誘発技術もまた、本発明のヌクレオチド配列とともに使用 され得る。例えば、DNAの制限エンドヌクレアーゼ消化に続く連結は、Sambrook らの第15.3節に記載されるように、ディリジェントタンパク質またはピノレシノ ール/ラリシレシノールレダクターゼ欠失改変体を作製するのに使用され得る( Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laborat ory Press,New York,NY(1989))。同様のストラテジーは、Sambrookら(前 出)の第15.3節に記載されるように、挿入改変体を構築するのに使用され得る。 オリゴヌクレオチド特異的変異誘発もまた、本発明の置換改変体を調製するの に使用され得る。本発明の欠失および挿入改変体を簡便に調製するためにもまた 使用され得る。この技術は、Adelmanら(DNA 2:183(1983))によって記載される ように、当該分野で周知である。一般的には、少なくとも25ヌクレオチド長のオ リゴヌクレオチドが、ディリジェントタンパク質遺伝子またはピノレシノール/ ラリシレシノールレダクターゼ遺伝子において2つ以上のヌクレオチドを挿入、 欠失、または置換するために使用される。至適オリゴヌクレオチドは、変異をコ ードするヌクレオチドのどちらの側でも12〜15の完全に一致したヌクレオチドを 有する。野生型ディリジェントタンパク質または野生型ピノレシノール/ラリシ レシノールレダクターゼを変異誘発するために、オリゴヌクレオチドは、適切な ハイブリダイゼーション条件下で、一本鎖DNAテンプレート分子にアニールされ る。次いで、DNA重合化酵素(通常は、E.coli DNAポリメラーゼIのKlenowフラ グメント)が添加される。この酵素は、DNAの変異保有鎖の合成を完了するため のプライマーとして、オリゴヌクレオチドを使用する。従って、ヘテロ二重鎖分 子が形成され、その結果、DNAの1つの鎖は、ベクターに挿入された野生型ディ リジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを コードし、そしてDNAの第2の鎖は、同じベクターに挿入されたディリジェント タンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの変異形態を コードする。次いで、このヘテロ二重鎖分子は、適切な宿主細胞に形質転換され る。 置換された1より多いアミノ酸を有する変異体は、いくつかの方法のうちの1 つにおいて作製され得る。アミノ酸がポリペプチド鎖においてともに近接して位 置する場合、それらは、所望のアミノ酸置換の全てをコードする1つのオリゴヌ クレオチドを用いて、同時に変異され得る。しかし、アミノ酸が、互いにいくら か離れて位置する場合(例えば、10アミノ酸以上によって隔てられる)、所望 の変化の全てをコードする単一のオリゴヌクレオチドを作製するのはより困難で ある。代わりに、2つの別の方法のうち1つが使用され得る。第1の方法におい て、別々のオリゴヌクレオチドが、置換される各アミノ酸のために作製される。 次いで、オリゴヌクレオチドは、一本鎖テンプレートDNAに同時にアニールされ 、そしてテンプレートから合成されるDNAの第2鎖は、所望のアミノ酸置換の全 てをコードする。 別の方法は、所望の変異体を産生するための2回以上の変異誘発を包含する。 1回目は、単一の変異体について記載されるとおりである:野生型ディリジェン トタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼDNAは、テ ンプレートのために使用され、第1の所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌ クレオチドが、このテンプレートにアニールされ、そして次いで、ヘテロ二重鎖 DNA分子が作製される。2回目の変異誘発は、1回目の変異誘発において産生し た変異DNAをテンプレートとして利用する。従って、このテンプレートは既に、 1つ以上の変異を含む。次いで、さらなる所望のアミノ酸置換をコードするオリ ゴヌクレオチドが、このテンプレートにアニールされ、そしてDNAの得られる鎖 は今や、一回目および2回目の変異誘発の両方からの変異をコードする。この得 られたDNAは、3回目の変異誘発において、テンプレートとして使用され、この 後同様に続き得る。 真核生物発現系は、ディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシ レシノールレダクターゼ産生のために利用され得る。なぜなら、それらは、任意 の必要な翻訳後改変を行い得、そして適切な膜位置に酵素を指向させ得るからで ある。この目的のための代表的な真核生物発現系は、組換えバキュロウイルスAu tographa californica核多核体ウイルス(AcNPV;M.D.SummersおよびG.E.Smith, A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Proc edures(1986);Luckowら、Bio-technology 6:47-55(1987))を、本発明のディリ ジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの発 現のために使用する。昆虫細胞(例えば、Spodoptera frugiperda種の細胞)の 組換えバキュロウイルスによる感染は、大量のディリジェントタンパク質または ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼタンパタ質の産生を可能にする 。さらに、バキュロウイルス系は、組換えディリジェントタンパク質またはピノ レシノール/ラリシレシノールレダクターゼの産生についての他の重要な利点を 有する。例えば、バキュロウイルスはヒトに感染せず、そしてそれゆえ、大量に 安全に扱われ得る。バキュロウイルス系において、ディリジェントタンパク質ま たはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコードするDNAセグメン トおよびベクターを包含するDNA構築物が調製される。ベクターは、バキュロウ イルスの多核体遺伝子プロモーター領域、組換えの間の適切な交差に必要なバキ ュロウイルス隣接配列(この隣接配列は、プロモーター配列に隣接する約200〜3 00塩基対を含む)、および構築物が細菌において複製することを可能にする細菌 の複製起点を含み得る。ベクターが構築され、その結果、(i)DNAセグメン トが、多核体遺伝子プロモーターに隣接して(または、これに作動可能に連結し て、またはこれの「下流」または「制御下に」)配置され、そして(ii)プロモ ーター/ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ、またはプロモーター /-ディリジェントタンパク質の組合せの両側に、バキュロウイルスDNAの200〜3 00塩基対(隣接配列)が隣接する。 ディリジェントタンパク質DNA構築物、またはピノレシノール/ラリシレシノ ールレダクターゼDNA構築物を産生するために、全長ディリジェントタンパク質 またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコードするcDNAクロー ンは、本明細書中に記載されるような方法を用いて得られる。DNA構築物は、宿 主細胞において、適切なバキュロウイルス(すなわち、構築物においてコードさ れるプロモーターと同じ種のバキュロウイルス)のバキュロウイルスDNAと、組 換えが成立する条件下で接触される。得られる組換えバキュロウイルスは、完全 なディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクタ ーゼをコードする。例えば、昆虫宿主細胞は、DNA構築物および機能的バキュロ ウイルスで、同時トランスフェクトされ得るかまたは別々にトランスフェクトさ れ得る。次いで、得られる組換えバキュロウイルスが単離され、そして細胞に感 染させて、ディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノール レダクターセの産生をもたらすために使用され得る。宿主昆虫細胞としては、例 えば、Spodoptera frugiperda細胞が挙げられる。次いで、本発明の組換えバキ ュロウイルスに感染した昆虫宿主細胞は、バキュロウイルスにコードされるディ リジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの 発現を可能にする条件下で培養される。従って、産生される組換えタンパク質は 、次いで、当該分野で公知の方法を用いて細胞から抽出される。 酵母のような他の真核微生物もまた、本発明を実施するために使用され得る。 いくつかの他の株が利用可能であるが、パン酵母Saccharomyces cerevisiaeは、 一般的に使用される酵母である。プラスミドYRp7(Stinchcombら、Nature 282:3 9(1979);Kingsmanら、Gene 7:141(1979);Tschemperら、Gene 10:157(1980)) は、Saccharomycesにおける発現ベクターとして、一般的に使用される。このプ ラスミドは、トリプトファンにおいて増殖する能力を欠く酵母の変異体株(例え ば、ATCC番号44,076およびPEP4-1(Jones,Genetics 85:12(1977)))についての 選択マーカーを提供するtrp1遺伝子を含む。次いで、酵母宿主細胞ゲノムの特徴 としてのtrp1損傷の存在は、トリプトファンの非存在下において増殖することに より形質転換を検出するための有効な環境を提供する。酵母宿主細胞は一般的に 、Hinnen(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929(1978))に記載のように、ポリエチ レングリコール法を用いて形質転換される。さらなる酵母形質転換プロトコルは 、Gietzら、N.A.R.20(17):1425(1992);Reevesら、FEMS 99:193-197(1992)に示 される。 酵母ベクターにおける適切なプロモート配列は、3-ホスホグリセレートキナー ゼ(Hitzemanら、J.Biol.Chem.255:2073(1980))または他の解糖酵素(Hessら、 J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968);Hollandら、Biochemistry 17:4900(1978))( 例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、 ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グ ルコース-6-ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピル ベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソ メラーゼ、およびグルコキナーゼ)についてのプロモーターを含む。適切な発現 プラスミドの構築において、これらの遺伝子に関連する終結配列もまた、発現さ れることが所望される配列の3'側で発現ベクターに連結されて、mRNAのポリアデ ニル化および終結を提供する。増殖条件によって制御される転写のさらなる利点 を有する他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロー ムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、および前述のグリセル アルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびマルトースおよびガラク トース利用を担う酵素のプロモーター領域である。酵母適合性プロモーター、複 製起点、および終結配列を含む任意のプラスミドベクターが適切である。 多細胞生物(例えば、植物)に由来する細胞培養物は、本発明を実施するため の宿主として使用され得る。トランスジェニック植物は、例えば、ピノレシノー ル/ラリシレシノールレダクターゼおよび/またはディリジェントタンパク質を コードするプラスミド、ならびに選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐 性をコードするkan遺伝子)を、Hoeckemaら、Nature 303:179-181(1983)に記載 されるように、ヘルパーTiプラスミドを含むAgrobacterium tumifaciensに移入 し、そしてAnら、Plant Physiology 81:301-305(1986)に記載されるように、Agr obacterium細胞を形質転換される植物の葉スライスとともに培養することによっ て得られ得る。培養した植物宿主細胞の形質転換は、通常、上記のように、Agro bacterium tumifaciensを介して達成される。哺乳動物宿主細胞および固い細胞 膜バリアを有さない他の宿主細胞の培養は、通常、GrahamおよびVan der Eb(Vi rology 52:546(1978))によって元々記載され、そしてSambrookら(前出)の第1 6.32〜16.37節に記載されるように改変されたリン酸カルシウム法を用いて形質 転換される。しかし、DNAを細胞に導入するための他の方法もまた使用され得る :例えば、ポリブレン(KawaiおよびNishizawa,Mol.Cell.Biol.4:1172(1984) )、プロトプラスト融合(Schaffner,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2163(1980) )、エレクトロポレーション(Neumannら、EMBO J.1:841(1982)、および核への 直接マイクロインジェクション(Capecchi,Cell 22:479(1980)。さらに、動物形 質転換ストラテジーは、Monastersky G.M.およびRobl,J.M.,Strategies in Tra nsgenic Animal Science,ASM Press,Washington,D.C.(1995)に概説される。形 質転換植物カルスは、選択マーカーを介して、例えば、カナマイシンおよび適切 な量の植物ホルモン(例えば、カルスおよびシュート誘導のためナフタレン酢酸 およびベンジルアデニン)を含む培地で細胞を増殖させることによって選択され 得る。次いで、植物細胞が再生され得、そして得られる植物は、当業者に周知の 技術を用いて土壌に移される。 さらに、ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ産生またはディリジ ェントタンパク質産生を調節する遺伝子は、誘導可能な必要なプロモーターとと もに植物に取り込まれ得る。本発明のこの実施態様の実施において、特定の外部 または内部刺激のみに応答するプロモーターが、標的cDNAに融合される。従って 、遺伝子は、特定の刺激に応答する以外には、転写されない。遺伝子が転写され ない限りは、その遺伝子産物は産生されない。 本発明の実施において使用され得る応答性プロモーター系の例示的な例は、ト ウモロコシにおけるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)系である。GST は、発生前除草剤としてしばしば使用される多数の疎水性求電子化合物を解毒し 得る酵素のファミリーである(Weigandら、Plant Molecular Biology 7:235-243 (1986))。研究は、GSTが、この増強された除草剤耐性を生じることに直接関与 することを示している。この作用は、主に、特定の1.1kb mRNA転写産物を通して 媒介される。要約すれば、トウモロコシは、外部刺激に応答し得、そして遺伝子 産物を産生するように誘導され得る、既に存在する天然に存在する静止遺伝子を 有する。この遺伝子は、以前に同定およびクローニングされている。従って、本 発明の1つの実施態様において、プロモーターは、GST応答遺伝子から取り出さ れ、そして前もってその天然のプロモーターが除去されている、ピノレシノール /ラリシレシノールレダクターゼ遺伝子、またはディリジェントタンパク質遺伝 子に付着される。この操作された遺伝子は、外部化学刺激に応答するプロモータ ーと、ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼまたはディリジェントタ ンパク質の首尾良い産生を担う遺伝子との組合せである。 上記の方法に加えて、クローン化DNAを広範な種々の植物種(裸子植物、被子 植物、単子葉植物、および双子葉植物を含む)に移入するためのいくつかの方法 が、当該分野で公知である(例えば、GlickおよびThompson編、Methods in Plan t Molecular Biology,CRC Press,Boca Raton,Florida(1993)を参照のこと) 。例示的な例としては、プロトプラストによるエレクトロポレーション促進性DN A取り込み(Rhodesら、Science 240(4849):204-207(1988)):プロトプラストの ポリエチレングリコールでの処理(Lyznikら、Plant Molecular Biology 13:151- 161(1989));および細胞のDNA荷積(laden)微粒子銃(Kleinら、Plant Physio l.91:440-444(1989)およびBoyntonら、Science 240(4858):1534-1538(1988)) の照射が挙げられる。多数の方法が、例えば、禾穀類の形質転換について現在存 在する(例えば、McKinnon,G.E.およびHenry,R.J.,J.Cereal Science,22(3):2 03-210(1995);Mendel,R.R.およびTeeri,T.H.,Plant and Microbial Biothechn ology Research Series,3:81-98,Cambridge University Press(1995);McElro y,D.およびBrettell,R.I.S.,Trends in Biotechnology,12(2):62-68(1994); Christouら、Trends in Biotechnology,10(7):239-246(1992);Christou,P.お よびFord,T.L.,Annals of Botany,75(5):449-454(1995);Parkら、Plant Mole cular Biology,32(6):1135-1148(1996);Altpeterら、Plant Cell Reports,1 6:12-17(1996)を参照のこと)。さらに、植物形質転換ストラテジーおよび技術 は、Birch,R.G.,Ann Rev Plant Phys Plant Mol Biol 48:297(1997);Forester ら、Exp.Agric.33:15-33(1997)に概説される。わずかな改変により、これらの 技術が広範な植物種に適用可能である。 これらの技術の各々は、利点と欠点を有する。各々の技術において、プラスミ ドからのDNAは、目的の遺伝子のみでなく、選択可能マーカー遺伝子およびスク リーニング可能マーカー遺伝子をも含むように遺伝子操作される。選択可能マー カー遺伝子は、プラスミドのコピーを取り込んでいるこれらの細胞のみを選択す るのに使用される(目的の遺伝子および選択可能遺伝子およびスクリーニング可 能遺伝子が、一単位として移入されるように構築される)。スクリーニング可能 な遺伝子は、目的の遺伝子を有するこれらの細胞のみの首尾良い培養のための別 のチェックを提供する。一般的に使用される選択可能マーカー遺伝子は、ネオマ イシンホスホトランスフェラーゼII(NPT II)である。この遺伝子は、カナマイ シン(細胞が増殖する増殖培地に、直接添加され得る化合物)に対する耐性を伝 達する。植物細胞は、通常、カナマイシンに感受性であり、そして結果として死 亡する。NPT II遺伝子の存在は、カナマイシンの影響を克服し、そしてこの遺伝 子を有する各々の細胞は、生存したままである。本発明の実施において使用され 得る、別の選択可能マーカー遺伝子は、除草剤グルフォシネート(glufosinate )(Basta)への耐性を付与する遺伝子である。一般的に使用されるスクリーニ ング可能な遺伝子は、βグルクロニダーゼ遺伝子(GUS)である。この遺伝子の 存在は、組織化学反応(推定的に形質転換される細胞のサンプルが、GUSアッセ イ溶液で処理される)を用いて特徴づけられる。適切なインキュベーションの後 、GUS遺伝子を含む細胞は青色に変わる。好ましくは、プラスミドは、選択可能 マーカー遺伝子およびスクリーニング可能マーカー遺伝子の両方を含む。 これらの遺伝子の1つ以上を含むプラスミドは、植物プロトプラストまたはカ ルス細胞のいずれかに、以前に言及した技術のいずれかによって導入される。マ ーカー遺伝子が選択可能な遺伝子である場合、DNAパッケージを取り込んでいる これらの細胞のみが、適切な植物毒素試薬での選択下で生存可能である。一旦、 適切な細胞が同定されそして繁殖されると、植物は再生される。形質転換植物か らの子孫は、DNAパッケージが植物ゲノムに首尾良く取り込まれていることを保 証するために、試験されなければならない。 哺乳動物宿主細胞もまた、本発明の実施において使用され得る。適切な哺乳動 物細胞株の例としては、以下が挙げられる:SV40によって形質転換されたサル腎 臓CVI株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児性腎臓株293S(Grahamら、J.Gen.V iol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイ ニーズハムスター卵巣細胞(UrlabおよびChasin,Proc.Natl.Acad.Sci USA 77:4 216(1980));マウスsertoli細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243(1980)) ;サル腎臓細胞(CVI-76、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO- 76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頚ガン細胞(HELA、ATCC CCL 2);コーニング 腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB806 5);マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562、ATCC CCL 51);ラット肝臓ガン細胞( HTC、MI.54、Baumanら、J.Cell Biol.85:1(1980));ならびにTRI細胞(Mather ら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44(1982)。これらの細胞についての発現ベクタ ーは、本来(必要であれば)、複製起点、発現される遺伝子の前に位置するプロ モーター、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、お よび転写終結部位のDNA配列を含む。 哺乳動物発現ベクターに使用されるプロモーターは、しばしば、ウイルス起源 である。これらのウイルスプロモーターは、一般的には、ポリオーマウイルス、 アデノウイルス2、および最も頻繁には、サルウイルス40(SV40)に由来する。 SV40ウイルスは、初期および後期プロモーターと称される2つのプロモーターを 含む。これらのプロモーターは特に有用である。なぜなら、それらは両方、ウイ ルス複製起点も含む1つのDNAフラグメントとして、ウイルスから容易に得られ るからである(Fiersら、Nature 273:113(1978))。より小さなまたはより大き なSV40 DNAフラグメントもまた使用され得る。ただし、これらのフラグメントは 、ウイルス複製起点に位置するBglI部位に向かうHindIII部位から伸張される約2 50bp配列を含む。 あるいは、外来遺伝子と天然に会合するプロモーター(同種プロモーター)が 使用され得る。ただし、これらのフラグメントは、形質転換のために選択される 宿主細胞株と適合可能である。 複製起点は、外因性供給源(例えば、SV40または他のウイルス(例えば、ポリ オーマ、アデノ、VSV、BPV)から得られ得、そしてクローニングベクターに挿入 され得る。あるいは、複製起点は、宿主細胞染色体複製機構によって提供され得 る。外来遺伝子を含むベクターが、宿主細胞染色体に取り込まれる場合、後者は しばしば重要である。 二次DNAコード配列の使用は、形質転換細胞株におけるピノレシノール/ラリ シレシノールレダクターゼまたはディリジェントタンパク質の産生レベルを増強 し得る。二次コード配列は、代表的には、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR )を含む。DHFRの野生型形態は、通常、化学メトトレキセート(MTX)によって 阻害される。細胞におけるDHFR発現のレベルは、培養宿主細胞に添加されるMTX の量に依存して変化する。二次配列として特に有用にするDHFRのさらなる特徴は 、形質転換細胞を同定するための選択マーカーとして使用され得ることである。 DHFRの2つの形態は、二次配列、野生型DHFR、およびMTX耐性DHFRとしての使用 に利用可能である。特定の宿主細胞に使用されるDHFRの型は、宿主細胞がDHFR欠 損であるかどうかに依存する(その結果、内因的に非常に低いレベルのDHFRを産 生するか、または全く機能的DHFRを産生しないかのいずれかである)。Urlaubお よびChasin(前出)によって記載されるCHO細胞株のようなDHFR欠損細胞株は、 野生型DHFRコード配列で形質転換される。形質転換後、これらのDHFR欠損細胞株 は、機能的DHFRを発現し、そして栄養性ヒポキサンチン、グリシン、およびチミ ジンを欠如する培養培地において増殖し得る。非形質転換細胞は、この培地にお いて生存しない。 DHFRのMTX耐性形態は、MTX感受性である正常な量の機能的DHFRを内因的に産生 するこれらの宿主細胞において形質転換宿主細胞についての選択手段として使用 され得る。CHO-Kl細胞株(ATCC番号CL61)は、これらの特徴を所有し、従って、 この目的のための有用な細胞株である。MTXの細胞培養培地への添加は、MTX耐性 DHFRをコードするDNAで形質転換したこれらの細胞のみを、増殖することを可能 にする。非形質転換細胞は、この培地において生存し得ない。 原核生物もまた、本発明の最初のクローニング工程のための宿主細胞として使 用され得る。それらは、大量のDNAの迅速な産生のため、部位特異的変異誘発の ために使用される一本鎖DNAテンプレートの産生のため、同時に多くの変異体を スクリーニングするため、および生成した変異体のDNA配列決定のために特に有 用である。適切な原核生物宿主細胞としては、E.coli K12株294(ATCC番号31,44 6)、E.coli株W3110(ATCC番号27,325)、E.coli X1776(ATCC番号31,537)、お よびE.coliBが挙げられる;しかし、E.coliの多くの他の株(例えば、HB101、JM 101、NM522、NM538、NM539)、ならびに桿菌(例えば、Bacillus subtilis)他 の腸内細菌科(例えば、Salmonella typhimuriumまたはSerratia marcesans)、 および種々のPseudomonas種を含む原核生物の多くの他の種および属は全て、宿 主として使用され得る。原核生物宿主細胞または強固な細胞壁を有する他の宿主 細胞は、好ましくは、Sambrookら(前出)のセクション1.82に記載されるような 塩化カルシウム法を用いて形質転換される。あるいは、エレクトロポレーション が、これらの細胞の形質転換のために使用され得る。原核生物形質転換技術は、 Dower,W.J.,in Genetic Engineering,Principles and Methods,12:275-296, Plenum Publishing Corp.(1990);Hanahanら、Meth.Enxymol,204:63(1991)に示 される。 代表的な例として、ディリジェントタンパク質またはピノレシノール/ラリシ レシノールレダクターゼをコードするcDNA配列は、異種宿主としてのE.coliにお ける過剰発現のために、市販の(Novagenから)(His)6・Tag pETベクターに移入 され得る。このpET発現プラスミドは、高レベルの異種発現系におけるいくつか の利点を有する。所望のcDNAインサートは、インフレームで、6ヒスチジンをコ ードするプラスミドベクター配列に連結され、続いて標的タンパク質のアミノ末 端コドンに結合される高度に特異的なプロテアーゼ認識部位(トロンビン)に連 結される。発現される融合タンパク質のヒスチジン「ブロック」は、固定化金属 イオンへの非常に強固な結合を促進し、そして固定化金属イオンアフィニティク ロマトグラフィーによる組換えタンパク質の迅速な精製を可能にする。次いで、 ヒスチジンリーダー配列は、特異的なタンパク質分解部位で、精製タンパク質の トロンビンでの処理によって切断され、そしてディリジエントタンパク質または ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼが溶出される。この過剰発現- 精製系は、高能力で優れた分解能を有し、迅速であり、そして(トロンビンタン パク質分解の前および後に)同様の結合挙動を示すE.coliタンパク質が夾雑する 機会を極めて小さくする。 当業者に明らかなように、宿主細胞に適合する種に由来するレプリコンおよび 制御配列を含む任意のプラスミドベクターもまた、本発明の実施において使用さ れ得る。ベクターは通常、複製部位、形質転換細胞における表現型選択を提供す るマーカー遺伝子、1つ以上のプロモーター、および外来DNAの挿入のためのい くつかの認識部位を含むポリリンカー領域を有する。E.coliの形質転換のために 代表的に使用されるプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、pUCI18、pUC1 19、およびBluescript M13が挙げられ、これらは全て、Sambrookら(前出)の第 1.12〜1.20章に記載される。しかし、多くの他の適切なベクターも同様に利用可 能である。これらのベクターは、アンピシリンおよび/またはテトラサイクリン 耐性をコードする遺伝子を含み、これは、これらのベクターで形質転換した細胞 が、これらの抗生物質の存在下で増殖することを可能にする。 原核生物ベクターに最も一般的に使用されるプロモーターは、βラクタマーゼ (ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Changら、Nature 375:615 (1978);Itakuraら、Science 198:1056(1977);Goddelら、Nature 281:544(1979 )ならびにトリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら、Nucl.Acuds.Res. 8:4057(1980);EPO Appl.Publ.No.36,776)、ならびにアルカリホスファターゼ 系を含む。これらは最も一般的に使用されるが、他の微生物プロモーターが利用 されており、そしてそれらのヌクレオチド配列を確認する詳細は刊行されており 、当業者が、プラスミドベクターにそれらを機能的に連結することを可能にする (Siebenlistら、Cell 20:269(1980)を参照のこと)。 細胞から通常分泌される多くの真核生物タンパク質は、アミノ酸配列の一部と して、内因性分泌シグナル配列を含む。従って、細胞質に通常見いだされるタン パク質は、シグナル配列をタンパク質に連結することによって分泌のために標的 化され得る。これは、シグナル配列をコードするDNAを、タンパク質をコードす るDNAの5'末端に連結し、次いでこの融合タンパク質を適切な宿主細胞において 発現することによって容易に達成される。シグナル配列をコードするDNAは、シ グナル配列を有するタンパク質をコードする任意の遺伝子からの制限フラグメン トとして得られ得る。従って、原核生物、酵母、および真核生物シグナル配列は 、本発明を実施するのに利用される宿主細胞の型に依存して、本明細書中で使用 され得る。いくつかの真核生物遺伝子のシグナル配列部分(例えば、ヒト成長ホ ルモン、プロインシュリン、およびプロアルブミンを含む)をコードするDNAお よびアミノ酸配列は公知であり(Stryer,Biochemistry W.H.Freeman and Compa ny,New York,NY,769頁(1988)を参照のこと)、そして適切な真核生物宿主細 胞におけるシグナル配列として使用され得る。例えば、酸ホスファターゼ(Arim aら、Nucleic Acids Res.11:1657(1983))、α因子、アルカリホスファターゼ 、およびインベルターゼのような酵母シグナル配列は、酵母宿主細胞からの分泌 を指向するために使用され得る。例えば、LamBもしくはOmpF(Wongら、Gene 68: 193(1988))、MalE、PhoA、またはβラクタマーゼをコードする遺伝子ならびに 他の遺伝子からの原核生物シグナル配列は、原核生物細胞からのタンパク質を培 養培地に標的するために使用され得る。 植物、動物、および微生物からの輸送配列は、本発明の実施において、遺伝子 産物を、細胞質、小胞体、ミトコンドリア、もしくは他の細胞成分に指向するた め、または培地への搬出のためにタンパク質を標的するために使用され得る。こ れらの考察は、ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼまたはディリジ エントタンパク質の過剰発現、および任意の所望の位置における遺伝子産物の機 能を可能にするための細胞またはインタクトな生物内での発現の指向に適用され る。 目的の複製配列、調節配列、表現型選択遺伝子をコードするDNA、およびディ リジェントタンパク質DNAまたはピノレシノール/ラリシレシノールレダクター ゼDNAを含む適切なベクターの構築物は、標準的な組換えDNA手順を用いて調製さ れる。単離されたプラスミドおよびDNAフラグメントは、当該分野で周知のよう に(例えば、Sambrookら(前出)を参照のこと)、切断され、仕立てられ、そし て所望のベクターを作製するために特定の順序で一緒に連結される。 上記で議論したように、ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ改変 体またはディリジェントタンパク質改変体は、好ましくは、部位特異的変異誘発 の方法を用いて作製される変異(単数または複数)によって産生される。この方 法は、オリゴヌクレオチドがDNAテンプレートに安定にハイブリダイズすること を可能にするために、所望の変異の配列および十分な数の隣接ヌクレオチドの両 方をコードする特定のオリゴヌクレオチドの合成および使用が必要である。 ディリジェントタンパク質遺伝子および/またはピノレシノール/ラリシレシ ノールレダクターゼ遺伝子、あるいはディリジェントタンパク質遺伝子またはピ ノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ遺伝子の全てまたは一部に相補的 なアンチセンス核酸フラグメントは、適切な場合には、種々の目的のための任意 の植物種に導入され得、この目的には以下が含まれるがこれらに限定されない: 木組織(特に心材組織)の色、手触り、耐久性、および害虫耐性を改変または改 善すること;トウモロコシ(これは、動物飼料として有用である)のような植物 種におけるリグナンおよび/またはリグニンの形成を低減し、それにより植物材 料を摂取する動物の消化系への植物材料のセルロース画分の利用可能性を増強す ること;パルプおよび紙産生において利用される食物種のリグナン/リグニン含 有量を低減し、それにより、より容易および安価にパルプおよび紙を産生するこ と;捕食動物および病原体に対する植物の防御能力を、防御的リグナンまたはリ グニンの産生を増強することによって改善すること;リグナンまたはリグニンに よって媒介される他の生態学的相互作用の改変;医薬または植物添加剤として、 上昇したレベルの光学的に純粋なリグナン鏡像異性体を産生すること;ディリジ ェントタンパク質および/またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクター ゼの産生、あるいはピノレシノールまたはラリシレシノールおよびそれらの誘導 体の産生を誘導するか、増強するか、または阻害すること。ディリジェントタン パク質および/またはピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ遺伝子は 、種々の目的のために任意の生物に導入され得、この目的は以下を含むがこれら に限定されない;ディリジェントタンパク質および/またはピノレシノール/ラ リシレシノールレダクターゼの産生、あるいはピノレシノールまたはラリシレシ ノールおよびそれらの誘導体の産生を誘導するか、増強するか、または阻害する こと。 前述は、以下の例示的な実施例と組み合わせてより完全に理解され得、ここで 「プラスミド」は、英小文字p、続く英数字によって示される。本発明において 使用される開始プラスミドは、市販されるか、無制限の基準に基づいて公に入手 可能であるか、または公開された手順を用いてこのような入手可能なプラスミド から構築され得る。さらに、他の等価なプラスミドは当該分野で公知であり、そ して当業者には明らかである。 DNAの「消化」、「裁断」、または「切断」は、DNAにおける特定の位置でのみ 作用する酵素での、DNAの触媒切断をいう。これらの酵素は、制限エンドヌクレ アーゼと称され、そして各酵素が切断するDNA配列に沿った部位は、制限部位と 称される。本発明において使用される制限酵素は市販され、そして製造業者によ って提供される説明書に従って使用される。(Sambrookら(前述)の第1.60〜1.61 章および第3.38〜3.39章もまた参照のこと) 制限消化物からのDNAの所定のフラグメントの「回収」または「単離」は、ポ リアクリルアミドゲルまたはアガロースゲル上での得られたDNAフラグメントの 電気泳動による分離、その移動度対公知の分子量のマーカーDNAフラグメントの 比較による目的のフラグメントの同定、所望のフラグメントを含むゲル区画の除 去、およびゲルのDNAからの分離を意味する。この手順は一般的に公知である。 例えば、Lawnら(Nucleic Acids Res.9:6103-6114(1982))、およびGoeddelら( Nucleic Acids Res.,(前出))を参照のこと。 以下の実施例は、本発明を実施するために現在意図される最良の態様を単に例 示するに過ぎないが、本発明を制限すると解釈されるべきではない。本明細書中 に引用される全ての文献は、参考として明白に援用される。 実施例1 ディリジェントタンパク質のForsythia intermediaからの精製 植物材料。Forsythia intermedia植物は、Bailey's Nuesery(var.Lynwood G old,St.,Paul,MN)から入手して、ワシントン州立大学温室施設において維持 するか、または地域団体からの贈られたかのいずれかであった。 最初の抽出および硫酸アンモニウム沈殿。結合タンパク質の可溶化を、4℃で 行った。冷凍Forsythia intermedia茎(2kg)を、液体窒素の存在下で、warrin g Blendor(Model CB6)において微粉砕した。得られる粉末を、5mMジチオスレ イトールを含む0.1M KH2PO4-K2HPO4緩衝液(pH7.0、4リットル)で均一化し、 そして4層のチーズクロスを通して濾過した。不溶性残留物を、250rpmの連続撹 拌で、以下のように連続して抽出した:冷却(-20℃)再蒸留アセトン(4リッ トル、3×30分);0.1%βメルカプトエタノールを含む0.1M KH2PO4-K2HPO4緩衝 液(pH6.5)(溶液A、8リットル、30分);1%Triton X100を含む溶液A(8 リットル、4時間)および最終的に溶液A(8リットル、16時間)。各抽出の間 、残留物を、1層のMiracloth(Calbiochem)を通して濾過した。(+)-ピノレシ ノール形成系の可溶化を、1M NaClを含有する溶液Aにおいて残留物を機械的に 撹拌することによって達成した。ホモジネートをデカントし、そして得られる溶 液を、Miracloth(Calbiochem)およびガラス繊維(G6、Fisher Sci.)を通して 連続して濾過した。濾過物を、Amiconセル(Model 2000、YM30膜)において、最 終用量約800mlまで濃縮し、そして(NH4)2SO4分画に供した。40〜80%飽和のタン パク質沈殿を、遠心分離(15,000g、30分)によって回収し、そして(NH4)2SO4ペ レットを、必要とされるまで-20度にて保存した。 Mono Sカラムクロマトグラフィー。78kDディリジェントタンパク質の精製およ びオキシダーゼの部分精製。硫安ペレット(2kgのF intermedia茎から得た)を 、6M NaOHでpH5.0に調整した40mM MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸) 緩衝液(溶液B、30ml)で再構築し、スラリーを遠心分離し(3,600g、5分)、 そして上清を溶液B(4リットル)で一晩透析した。透析抽出物を濾過し(0.22 、μm)、そしてサンプル(35〜40mgタンパク質)を、4℃にて溶液Bで平衡化 したMono S HR5/5(50mm×5mm)カラムにアプライした。溶液B(13ml)で溶出 (流速5ml min-1cm-2)した後、タンパク質を、溶液B中の以下のNa2SO4で脱着 した:8mlでの0〜100mMの直線勾配を用い、そしてこの濃度で32m維持し、次い で133mMを50ml、166mMを50ml、200mMを40ml、233mMを40ml、そして最終的に333m M Na2SO4を40mlでの一連のステップ勾配を実行する。E-コニフェリルアルコール から(+)-ピノレシノールを形成し得る画分を、333mM Na2SO4で溶出し、合わせて 、必要なときまで保存した(-80℃)。 POROS SP-Mマトリックスカラムクロマトグラフィー(第1カラム)。Mono S H R5/5カラム(33mM Na2SO4)からの15の個々の溶出物からの画分を合わせ(18.5m gタンパク質、180ml)、そして溶液Cに対して一晩透析した。透析した酵素溶液 (190ml)を濾過し(0.22μm)、そしてアリコート(47ml)を、POROS SP-Mカラ ムにアプライした。予め25mM MES-HEPES-酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0,溶液C) で平衡化したPOROS SP-Mマトリックス(100mm×4.6mm)での全ての分離を、60ml min-1cm-2の流速および室温にて行った。溶液C(12ml)での溶出後、タンパク 質を溶液Cにおける直線Na2SO4勾配(66.5ml中0から0.7M)で脱着し、ここで確 立した濃度を、さらなる16.6mlについて保持した。これらの条件下で、別々の4 つの画分(I、II、III、およびIV)を、それぞれ、約40、47、55、および61mSで 達成した。この精製工程を、残留透析酵素抽出物で3回繰り返し、そして各実験 からの画分I、II、III、およびIVを別々に合わせた。プロテアーゼインヒビター (すなわち、フェニルメタンスルホニルフルオリド(0.1mmol ml-1)、EDTA(0. 5nmol ml-1)、ペプスタチンA(1μg ml-1)、およびアンチペイン(1μgml- 1 ))を、可溶化および全ての続く精製段階の間に添加した場合、画分I、II、II I、およびIVの溶出プロフィールにおいて相違は観察されなかった。 POROS SP-Mマトリックスカラムクロマトグラフィー(第2カラム)。第1PORO S SP-Mマトリックスカラムクロマトグラフィー工程からの画分I(2.62mgタンパ ク質、40ml、約24.6mS)を、濾過した冷蒸留水において、約8mSの伝導率を達成 するまで希釈した(最終容量=150ml)。次いで、希釈したタンパク質溶液を、P OROS SP-Mカラム(100mm×4.6mm)にアプライした。溶液C(12ml)での溶出後 、画分Iを、20ml中0〜0.25Mの直線Na2SO4勾配で脱着し、ここで確立した濃度を 、さらに25mlについて保持した。これに続いて、26ml中0.25〜0.7Mの直線Na2SO4 勾配で行い、次いでさらなる16.6mlについて0.7Mで維持した。約30mSで溶出した 画分(溶出物のイオン強度を、貫流検出器で測定した)を合わせ(15ml、1.3mg )、水で希釈し、そして再クロマトグラフした。得られるタンパタ質(上記の勾 配で約30mSで溶出した)を、必要なときまで保存した(-80℃)。 ゲル濾過。画分Iからのアリコート(595.5μgタンパク質、3ml、約30mSで溶 出)を、0.6mlまで濃縮し(Centricon 10,Amicon)、そして4℃にて50mM Na2SO4 を含む0.1M MES-HEPES-酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)で平衡化したS200(73. 2cm×1.6cm、Pharmacia-LKB)ゲルクロマトグラフィーカラムにロードした。見 かけ上均一な78kDディリジェントタンパク質(242μg)を、133mlでの単一の成 分として溶出した(流速0.25ml min-1cm-2)(Vo=105ml)。分子量を、それら の溶出プロフィールの以下の標準タンパク質との比較によって見積もった:βア ミラーゼ(200,000)、アルコールデヒドロゲナーゼ(150,000)、ウシ血清アル ブミン(66,000)、オボアルブミン(45,000)、炭酸脱水素酵素(29,000)、お よびシトクロムC(12,400)。 実施例2 精製ディリジェントタンパク質の特徴付け 分子量および等電点決定。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を、Laem mliの緩衝液系において、勾配(4〜15%アクリルアミド、Bio-Rad)ゲルで、変 性および還元条件下で行った。タンパク質を、銀染色によって可視化した。画分 Iのゲル濾過(S200)クロマトグラフィーは、天然の分子量約78kDのタンパク質 を与え、一方SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、約27kDの一本のバンドを 示し、これは、天然のタンパク質が三量体として存在することを示唆する。ポリ アクリルアミドゲルにおける天然のタンパク質の等電点電気泳動(pH3〜10勾配 )は、6つのバンドの存在を明らかにした。等電点電気泳動後、これらのバンド の各々を、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)膜に電気ブロットし、そしてアミ ノ末端配列決定に供した。これは、全てが一連のアイソフォームを示す類似の配 列を有したことを確証した。タンパク質の紫外光-可視光スペクトルは、約330nm でのわずかに認識できるショルダーとともに、280nmでの特徴的なタンパク質吸 収のみを有した。誘導結合型プラズマ(ICP)分析は、タンパク質に存在する金 属を全く示さなかった。従って、78kDディリジェントタンパク質は、任意の検出 可能な触媒活性酸化中心を欠如する。 E-コニフェリルアルコールから(+)-ピノレシノールを形成する精製ディリジェ ントタンパク質の能力のアッセイ。第1POROS SP-Mカラムクロマトグラフィー工 程(実施例1)からの4つの画分(I〜IV)を、別々に再クロマトグラフィーし 、 各画分を、続いて、基質としてのE-[9-3H]コニフェリルアルコールとの(+)-ピノ レシノール形成活性について1時間アッセイした。画分I(ディリジェントタン パク質を含む)は、非常にわずかな(+)-ピノレシノール形成活性(POROS SP-Mカ ラムにロードした全活性の<5%)を有し、一方、画分IIIは、非特異的酸化カ ップリングを触媒して(±)-デヒドロジコニフェリルアルコール、(±)-ピノレシ ノール、および(±)-エリスロ/スレオグアヤシルグリセロール8-o-4'-コニフェ リルアルコールエーテルを生じた。従って、画分IIIは、内因性植物酸素添加タ ンパク質を含むようである。 推定オキシダーゼ調製物(画分III)を、電気泳動的に均質まで精製していな いが、このタンパク質調製物の電子常磁性共鳴(EPR)スペクトルは、代表的な 植物ラッカーゼ(すなわち、天然に存在する植物オキシゲナーゼタンパク質のク ラス)のスペクトルと類似した。次いで、本発明者らは、オキシダーゼ(画分II I)、78kDのディリジェント(dirigent)タンパク質(画分I)のそれぞれ、およ び画分IIIと78kDタンパク質の両方の存在下で、E-[9-3H]コニフェリルアルコー ル(2μmol ml-1、14.7kBq)の最終結果を研究した。画分III調製物単独では、 非特異的二分子ラジカルカップリングのみが生じて、(±)-デヒドロジコニフェ リルアルコール、(±)-ピノレシノール、および(±)-エリスロ/スレオグアヤシ ルグリセロール8-o-4'-コニフェリルアルコールエーテルを生じた。しかし、78k Dタンパク質自身では、少量の(+)-ピノレシノール形成(10時間にわたって<5 %)が観察され、これは、調製物における酸化能力の残留追跡から生じると推定 された。画分IIIと78kDタンパク質の両方を合わせた場合、産物中の完全な触媒 活性ならびに位置特異性および立体特異性が回復され、それにより本質的に(+)- ピノレシノールのみが形成される。さらに、画分III単独で、そして画分IIIを78 kDタンパク質と合わせた場合、基質消費(depletion)および二量体産物形成の 速度は、ほぼ同一であった。さらに、オキシダーゼの存在下のいずれの場合にお いても、試験した時間(8時間)を通じて、二量体リグナン産物は本質的に代謝 代謝回転しなかった:続く二量体酸化は、E-コニフェリルアルコール(好ましい 基質)がアッセイ混合物に存在したままの場合、生じない。それゆえ、78kDタン パク質は、二分子フェノキシラジカルカップリング反応の特異性を決定する ようである。 ゲル濾過研究もまた、任意の検出可能なタンパク質-タンパク質相互作用が、 立体選択性について説明し得るかどうかを確証するために、ディリジェントと画 分IIIタンパク質の混合物で行った。しかし、複合体形成を指示する証拠(すな わち、より高分子のサイズ体)は、観察されなかった。 実施例3 78kD ディリジェントタンパク質の 植物ラッカーゼ触媒性モノリグノールカップリングにおける効果 E-コニフェリルアルコールカップリングアッセイ。E-[9-3H]コニフェリルアル コール(4μmol ml-1、29.3kBq)を、120kDラッカーゼ(Forsythia intermedia 茎組織から以前に精製した)とともに、24時間にわたって、ディリジェントタン パク質の存在および非存在下で、以下のようにインキュベートした。各アッセイ は、全容量250μlの緩衝液(0.1M MES-HEPES-酢酸ナトリウム、pH5.0)中、E-[9 -3H]コニフェリルアルコール(4μmol ml-1、29.3kBq、7.3Mbq mole litele-1 ;または画分IIIとともに2μmol ml-1、14.7kBq)、78kDディリジェントタンパ ク質、オキシダーゼまたは酸化剤、あるいは両方(最終濃度:770pmpl ml-1ディ リジェントタンパク質;10.7pmolタンパク質ml-1 Forsythiaラッカーゼ;12μg タンパク質ml-1画分III;0.5μmolml-1 FMN;0.5μmol ml-1 FAD;1および10μ mol ml-1過酸化二硫酸アンモニウム)。酵素反応を、E-[9-3H]コニフェリルアル コールの添加によって開始した。コントロールを、緩衝液のみの存在下で行った 。 30℃にて振盪しながら1時間のインキュベーションの後、アッセイ混合物を、 放射化学キャリアとして、(±)-ピノレシノール(7.5μg)、(±)-デヒドロジコ ニフェリルアルコール(3.5μg)、および(±)-エリスロ/スレオグアヤシルグ リセロール8-O-4'-コニフェリルアルコールエステル(7.5μg)、ならびに内部 標準としてフェルラ酸(15.0μg)を含む酢酸エチル(EtOAc、500μl)で抽出し た。遠心分離(13,800g、5分)後、EtOAc可溶性成分を取り出し、そして抽出手 順を、EtOAc(500μl)で反復した。各アッセイからのEtOAc可溶性成分を合わせ 、溶液を真空下で吸引して乾燥し、そのアリコート(50μl)とともにメタノー ル- 水溶液(1:1、100μl)に再溶解し、逆相カラムクロマトグラフィー(Waters,N ova-Pak C18,150mm×3.8mm)に供した。溶出条件は以下:アセトニトリル/H2O 中3%酢酸(5:95)で0〜5分、次いで10:90の比の直線勾配で5分と20分との 間、ついで20:80で20分と45分との間で、および最後に50:50で45〜60分で、流速 8.8ml min-1cm-2であった。 E-コニフェリルアルコール、(±)-エリスロ/スレオグアヤシルグリセロール8 -o-4'-コニフェリルアルコールエーテル、(±)-デヒドロジコニフェリルアルコ ール、および(±)-ピノレシノール、に対応する画分を、別々に回収し、アリコ ートを液体シンチレーションカウンティングのために除去し、そして残りを凍結 乾燥した。ピノレシノール含有画分を、メタノール(100μl)に再溶解し、そし て移動相としてヘキサンとエタノール(1:1)の溶液を有するキラルカラムクロ マトグラフィー(Daicel,Chiralcel OD,50mm×4.6mm)に供し(流速3ml min- 1 cm-2)、一方、デヒドロジコニフェリルアルコール画分を、Chiralcel OF(25 0mm×4.6mm)カラムクロマトグラフィーに供して、移動相としてヘキサンとイソ プロパノール(9:1)の溶液で溶出(流速2.4ml min-1 cm-2)し、溶出物の放射 活性を、フロースルー検出器(Radiomatic,Model Al20)で測定した。 E-コニフエリルアルコールカップリングアッセイの結果。ラッカーゼ里独での インキュベーションは、優勢な(±)-デヒドロジコニフェリルを有する、ラセミ 二量体産物のみを生じた。しかし、ディリジェントタンパク質の存在下で、ラッ カーゼのみが存在する場合に観察される非特異性とは異なり、このプロセスは、 今や、(+)-ピノレシノールを産生する一次立体選択性であった。両方のE-コニフ ェリルアルコール(基質)減損の速度および二量体リグナンの形成は、ディリジ ェントタンパク質を伴っても伴わなくても類似であった。実質的な差異は、E-コ ニフェリルアルコール減損後に観察されるリグナン産物の続く代謝回転にみられ た。ラッカーゼ単独では代謝回転を生じないが、両方のタンパク質が存在した場 合、産物の消失は顕著であった。差異を理解する目的で、ディリジェントタンパ ク質の重量濃度と一致したレベルのウシ血清アルブミン(BSA)およびオボアル ブミンを、ラッカーゼ含有溶液に別々に添加するアッセイを行った。この方法に おいて、産物代謝回転の差異は、高度なタンパク質濃度でのラッカーゼ活性の安 定化に単純に起因することが確証されたが、興味深いことに、ディリジェントタ ンパク質、BSA、およびオボアルブミンは、いくらか異なる程度の保護を有した 。この知見は、真菌ラッカーゼ(Trametes versicolor由来)を植物ラッカーゼ のかわりに使用した場合に、非常に匹敵した。酸化力(すなわち、ラッカーゼ濃 度)が5倍低い場合、(+)-ピノレシノールのみを観察した。従って、完全な立体 選択性は、酸化力が、ディリジェントタンパク質が飽和する点を超えない場合に 保存される。 立体選択的E-コニフェリルアルコールカップリング。アッセイをまた、E-[9-2 H2,OC2H3]コニフェリルアルコールおよびディリジェントタンパク質で、ラッカ ーゼの存在下で以下のように行った。E-[9-2H2,OC2H3]コニフェリルアルコール (2μmol ml-1)を、全容量250μl中、ディリジェントタンパク質(770pmol ml-1 )、精製植物ラッカーゼ(4.1pmol ml-1)、および緩衝液(0.1M MES-HEPES- 酢酸ナトリウム、pH5.0)の存在下でインキュベートした。1時間のインキュベ ーションの後、反応混合物をEtOAcで、しかし、内部標準および放射性化学キャ リアの添加は省いて抽出した。逆相カラムクロマトグラフィーの後、酵素的に形 成したピノレシノールを回収し、凍結乾燥し、メタノール(100μl)中に再溶解 し、そしてキラルカラムクロマトグラフィー(Daicel,Chiralcel OD,50mm×4. 6mm)に供して、280nmで検出し、そしてEIモードにおいて質量分析フラグメント 化によつて分析した(Waters,Integrity System)。得られた(+)-ピノレシノー ル(>99%鏡像異性体過剰)の液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)分析 は、荷電比(m/z)368に対する質量を有する分子イオンを生じ、従って、10の2H原 子の存在を確立すること、ならびにE-[9-2H2,OC2H3]コニフェリルアルコールの 立体選択的カップリングに触媒されるラッカーゼおよびディリジェントタンパク 質とともに証明された。 他の補助(auxiliary)1電子酸化剤もまた、ディリジェントタンパク質との 立体選択的カップリングを容易にし得る。過酸化二硫酸アンモニウムは、等方性 分化を容易に行い(A.Usaitis,R.Makusuka,Polymer 35:4896(1994))、そして アクリルアミドポリマー化における1電子酸化剤として日常的に使用される。過 酸化二硫酸アンモニウムを、最初に、E-[9-3H]コニフェリルアルコール(4μmo l ml-1、29.3kBq)とともに、6時間、上記のE-コニフェリルアルコールカップ リングアッセイ手順を用いてインキュベートした。非特異的二分子ラジカルカッ プリングが観察され、優性な(±)-デヒドロジコニフェリルアルコール、および 他のラセミリグナンを得た(表1)。しかし、ディリジェントタンパク質を添加 した場合、カップリングの立体選択性は劇的に変化して、両濃度の酸化剤で、少 量のラセミリグナンとともに第一の(+)-ピノレシノールを生じた。これは、無機 酸化剤(例えば、過酸化二硫酸アンモニウム)が、たとえ画分IIIオキシダーゼ またはラッカーゼと同様にモノリグノールに対して選択的に酸化性でなくても、 ディリジェントタンパク質の存在下で(+)-ピノレシノール合成を促進し得ること を確証した。 E-コニフェリルアルコールの(+)-ピノレシノールへの立体特異的変換における 他の酸素添加剤の効果。E-コニフェリルアルコール(4μmol ml-1,29.3kBq) の、フラビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド (FAD)とのインキュベーションの効果を調査した。なぜなら、酵素補因子とし てのそれらの役割に加えて、それらはまた、種々の有機基質を酸化し得るからで ある(T.C.Brulce,Acc.Chem.Res.13:256(1980))。E-[9-3H]コニフェリルアル コールを、それぞれFMNおよびFADとともに、48時間インキュベートした。FMNを 得るために、ヘビ(Naja naja atra,Formosanコブラ)毒をFADの溶液(H2O中5 μmol ml-1)に添加し、そして30℃にて30分間のインキュベーションの後、酵素 的に形成したFMNを、Centricon 10(Amicon)マイクロコンセントレーターを通 してフィルターによって、タンパク質混合物から分離した。どの場合も、E-コニ フェリルアルコール酸化は、FADよりもFMNの存在下でより迅速であった。FMNとF ADとの間のE-コニフェリルアルコール酸化の触媒速度のこれらの差異は予測され なかったが、一致したパターンが確認された:以前のように優性である(±)-デ ヒドロジコニフェリルアルコールとともにラセミリグナン産物を得た。ディリジ ェントタンパク質の存在下で経時変化を反復した場合、本質的に(+)-ピノレシノ ール形成のみを生じる、立体選択性における劇的な変化が観察された。再び、E- コニフェリルアルコール消費速度は、ディリジェントタンパク質調製物における 微量な残留酸化力(10時間にわたって<5%)のために調整した場合、形成した 二量体の総量として、[FMN]および[FAD]にのみ依存した。E-コニフェリルアルコ ールが全て消費される場合、対応するリグナン二量体は、時間の関数として酸化 的変化し始め得る;特に、E-コニフェリルアルコールが全て消費された後、オー プン溶液において、FMNは続いてピノレシノールを酸化し得る。 基質特異的立体選択性の調査。カップリング立体選択性は基質特異性であった 。E-p−[9-3H]クマリル(4μmol ml-1,44.5kBq)またはE-[8-14C]シナピル(s inapyl)アルコール(4μmol ml-1,8.3kBq)(これらは、芳香環のメトキシ基 置換体によってのみE-コニフェリルアルコールと異なる)は、ディリジェントタ ンパク質の存在または非存在下で、それぞれFMNおよび過酸化二硫酸アンモニウ ムとともに6時間インキュベートした場合、立体選択的産物を生じた。インキュ ベー ションを、以下の改変を伴って、上記のように行った:E-p-[9-3H]クマリル(4 μmol ml-1,44.5kBq)またはE-[8-14C]シナピルアルコール(4μmol ml-1,8. 3kBq)を基質として使用し、そして30℃にて6時間のインキュベーションの後、 反応混合物を、放射化学的キャリアの添加なしに、EtOAcで抽出した。E-シナピ ルアルコールは、容易にカップリングされて、シリンガレジノールを産出したが 、キラルHPLC分析により、得られる産物が、どの場合においてもラセミであるこ とが明らかになった(表2)。興味深いことに、それ自体により、78kDディリジ ェントタンパク質調製物は、低レベルの二量体形成を触媒した(以前に記載)が 、ラセミ(±)-シリンガレジノール形成のみを生じた。これはおそらく、タンパ ク質調製物中に存在する微量な夾雑した残留酸化力の結果である。 類似の様式において、立体選択的カップリングは、E-p-クマリルアルコールを 基質として用いては観察されなかった。すなわち、E-コニフェリルアルコールの みが、ディリジェントタンパク質の存在下で、立体選択的カップリングを受ける 。将来、ディリジェントタンパク質のE-コニフェリルアルコールについての与え られた顕著な基質特異性がEucommia ulmoidesにおいて(+)-シリンガレジノール を与える基質特異性とどのように異なるか、を決定することが非常に興味深い( T.Deyama,Chem.Pharm.Bull.31,2993(1983))。 本発明者らは、立体選択的カップリングの任意の特定の機構に束縛されること を意図しないが、3つの別々の可能性が考えられ得る。最もありそうなのは、オ キシダーゼまたは酸化剤が、E-コニフェリルアルコールからフリーラジカル種を 作製すること、および後者が、カップリングの前にディリジェントタンパク質に 結合する真の基質であるということである。他の2つの可能性は、E-コニフェリ ル分子がディリジェントタンパク質に結合および配向し、それにより、(+)-ピノ レシノール形成のみが、続く酸化カップリングにおいて生じることを確認するこ とを必要とする:これは、両方の基質フェノールヒドロキシル基が暴露され、そ の結果それらが、オキシダーゼまたは酸化剤によって容易に酸化され得る場合、 または、電子転移機構が、オキシダーゼまたは酸化剤とディリジェントタンパク 質の電子受容部位との間で作動性である場合、生じ得る。 3つの別々の機構の間で、3つの系統の証拠は、ディリジェントタンパク質に よるフェノキシラジカル中間体の「捕捉」を示唆する。第1に、基質消費および 産物形成の両方の速度は、ディリジェントタンパク質の存在によって、あまり影 響されない。フリーラジカル中間体の捕捉が作動可能な機構である場合、ディリ ジェントタンパク質は、コニフェリルアルコールの単一電子の酸化が速度決定性 である場合、カップリング特異性に影響を及ぼすのみである。第2に、電子転移 機構は現在除外される。なぜなら、本発明者らは、補助オキシダーゼまたは酸化 剤の存在または非存在下のいずれにおいても、酸化条件下で、新規な紫外-可視 発色団を観察しなかったからである。第3に、一次速度論データは(実施例4に 議論するように)、E-コニフェリルアルコールの(+)-ピノレシノールへの変換を 、ディリジェントタンパク質単独で、および種々のオキシダーゼまたは酸化剤の 存在下で特徴づける、ミカエリス定数(Km)および最大速度(Vmax)の公式値に 基づくフリーラジカル捕捉の概念を指示する。 実施例4 ディリジェントタンパク質および酸素添加剤の存在下における E- コニフェリルアルコールの(+)-ピノレシノールへの変換の 速度論的特徴付け アッセイを、実施例3に記載のように、一連のE-[9-3H]コニフェリルアルコー ル濃度(8.00と0.13μmol ml-1との間、7.3MBq mole liter-1)を、ディリジェ ントタンパク質(770pmol ml-1)単独で、そしてForsythiaラッカーゼ(2.1pmol ml-1)、画分III(12μgタンパク質ml-1)、またはFMN(0.5μmol ml-1)の存 在下でインキュベートすることによって行った。ディリジェントタンパク質を有 するアッセイを、FMNの存在または非存在下において、30℃にて1時間インキュ ベートし、一方、ディリジエントタンパク質の存在または非存在下におけるFors ythiaラッカーゼまたは画分IIIでのアッセイを、30℃にて15分間インキュベート した。ディリジェントタンパク質によるフリーラジカルの捕捉が作動可能な機構 である場合、得られるミカエリス-メンテンパラメーターは、真の値とは異なる 公式値を示すのみである。なぜなら、E-コニフェリルアルコールの(+)-ピノレシ ノールへの変換の間の最も高いフリーエネルギー中間体状態は未だ未知であり、 そして基質の濃度とオープン溶液中の対応する中間体フリーラジカルの濃度との 間の関係は、描述されていないからである。 これらの条件を考慮して、本発明者らは、ディリジェントタンパク質調製物に ついての公式のKmおよびVmax値を評価した。初めに記したように、E-コニフェリ ルアルコールからの(+)-ピノレシノールおよびE-シナピルアルコールからのラセ ミ(±)-シリンガレジノールの両方の低レベルの形成を生じ得る。なぜ詑、夾雑 する酸化能力の追跡のためである。この調製とともに(表3)、10±6mMの公式 Kmおよび0.02±0.02mol s-1 mol-1のVmaxを得た。しかし、画分III、ラッカーゼ 、およびFMNの添加とともに、公式Km値(mM)は、それぞれ、1.6±0.3、0.100± 0.003、および0.10±0.01に減少し、一方Vmax値は、補助オキシダーゼ/酸化剤 のこれらの濃度で、はるかに低く影響された。 公式KmおよびVmax値を、3つのラセミリグナンへのE-コニフェリルアルコール 変換の点から、ラッカーゼおよび画分IIIオキシダーゼについて計算した。しか し、78kDタンパク質への直接的比較はなし得ない。なぜなら、公式Km値は、対応 するオキシダーゼにのみ関与するからである。完全性のために、Km(mM)および Vmax(mol s-1 mol-1酵素)は以下のようであった:ラッカーゼに関して、(±)- エリスロ/スレオグアヤシルグリセロール8-o-4'-コニフェリルアルコールエス テルについて、0.200±0.001および3.9±0.2、(±)-デヒドロジコニフェリルア ルコールについて、0.3000±0.0003および13.l±0.6、ならびに(±)-ピノレシノ ールについて、0.300±0.002および7.54±0.50;画分IIIオキシダーゼ(80kDaの 天然の分子量を有することが確証された)に関して、(±)-エリスロ/スレオグ アヤシルグリセロール8-o-4'-コニフェリルアルコールエステルについて、2.2± 0.3および0.20±0.03、(±)-デヒドロジコニフェリルアルコールについて、2.2 ±0.2および0.7±0.1、ならびに(±)-ピノレシノールについて、3.7±0.7および 0.6±0.1。 これらの一次速度論パラメーターは、ディリジェントタンパク質が、画分III 、ラッカーゼ、およびFMNの存在下でE-コニフェリルアルコール消費速度に実質 的に影響を及ぼさないという発見と調和する。両セットの結果は、ディリジェン トタンパク質が、フリーラジカル中間体を捕捉することによって機能し、次いで 立体選択性カップリングを受けるという作用仮説にともに従う。 実施例5 Forsythia intermedia 由来のディリジェントタンパク質cDNAのクローニング 植物材料‐Forsythia intermedia植物を、Bailey's Nursery(var.Lynwood Go rd,St.,Paul,MN)から入手し、そしてワシントン州立大学温室において施設維 持するか、または地方群落からの寄贈であったかのいずれかであった。 材料‐使用したすべての溶媒および化学物質は、試薬またはHPLCグレードであ った。Taq熱安定性DNAポリメラーゼをPromegaから入手し、一方、制限酵素を、G ibco BRL(HaeIII)、Boehringer Mannheim(Sau3a)、およびPromega(TaqI) から入手した。pT7BlueTベクターおよびコンピテントNovaBlue細胞をNovagenか ら購入し、そして放射標識ヌクレオチド([α-32P]dCTP)をDuPont NENから購入 した。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および配列決定のためのオリゴヌクレオチドプ ット(BIO 101 Inc.)を、1.5%アガロースゲルにおける低DNA質量ラダー(Gibc o BRL)と比較することによって決定したゲル精製DNA濃度で、PCRフラグメント の精製のために使用した。 装置‐UV(OD260でのRNAおよびDNA決定を含む)スペクトルを、Lamda6UV/VIS 分光光度計で記録した。Temptronic IIサーモサイクラー(Thermolyne)を、す べてのPCR増幅のために使用した。配列決定のためのDNAの精製は、QIAwell Plus プラスミド精製システム(QIAGEN)を使用し、続いてPEG沈降を行い(Sambrook ,J.,Fritsch,E.F.,およびMniatis,T.(1994)Molecular Cloning:A Laborator y Manual,第3巻、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harb or,NY)、DNA配列を、Applied Biosystems Model 373A自動配列決定機を用いて 決定した。アミノ酸配列を、オンラインHPLC検出を備えたApplied Biosystemsタ ンパク質配列決定機を用いて、製造業者の説明書に従って得た。 ディリジェントタンパク質アミノ酸配列決定‐ディリジェントタンパク質N-末 端アミノ酸配列(配列番号1)を、オンラインHPLC検出を備えたApplied Biosys temsタンパク質配列決定機を用いて、精製タンパク質から得た。トリプシン消化 のために、精製酵素(150pmol)を、0.1M Tris-HCl(50μl、pH8.5、Boehringer Mannheim、配列決定グレード)中に懸濁し、77.5μl中8Mの最終濃度まで尿素 を添加した。混合物を、15分間50℃にてインキュベートし、続いて100mMヨード アセトアミド(2.5μl)を添加し、その全体を、室温にて15分間維持した。次い で、トリプシン(20μl中1μg)を添加し、混合物を24時間37℃にて消化し、続 いてTFA(4μ)を添加して、酵素反応を停止した。得られた混合物を逆相HPLC 分析(C-8カラム、Applied Biosystems)に供し、これを、0から100%アセトニ トリル(0.1%TFA中)までの2時間にわたる直線勾配で、0.2ml/分の流速にて溶 出し、280nmで検出した。個々のオリゴペプチドピークを含む画分を手動で回収 し、そしてアミノ酸配列決定に直接供した(配列番号2〜7)。 Forsythia intermedia stem cDNAライブラリー合成‐全RNA(約300μg/gの新鮮 な量)を温室生長Forsythia intermedia植物(var.Lynwood Gold)の若い緑色茎 から得た(Dong,Z.D.,およびDunstan,D.I.(1996)Plant Cell Reports 15:516- 521)。Forsythia intermedia stem cDNAライブラリーを、5μgの精製ポリA+m e)とともに構築し、一次ライブラリーについて1.2×1010PFUの力価を得た。増 幅したライブラリー(1.2×1010PFU/ml、全量158ml)(Sambrook,Jら、前出)の 一部(30ml)を使用して、PCRのための精製cDNAライブラリーDNAを得た(Ausube l,F.M.,Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D,Seidnam,J.G.,Smith,J.A.,お よびStruhl,K.(1991)Current Protocols in Molecular Bology,2つの巻、Green e PUblishing Associates and Wiley-Interscience John Wiley&Sons,NY)。 ディリジェントタンパク質DNAプローブ合成-N-末端および内部ペプチドアミノ 酸配列を使用して、縮重オリゴヌクレオチドプライマーを構築した。精製F.inte rmediac DNAライブラリーDNA(5ng)を、100μlPCR反応物(10mM Tris-HCl(pH 9.0)、50mM KCl、0.1% Triton X-100、2.5mM MgCl2、0.2mM各dNTP、および2.5 ユニットのTaq DNAポリメラーゼ)中、プライマーPSINT1(配列番号8)(100pmol )、およびプライマーPSI7R(配列番号11)(20pmol)、プライマーPSI2R(配列番 号10)(20pmol)、またはプライマーPSI1R(配列番号9)(20pmol)のいずれか とともに、テンプレートとして使用した。PCR増幅を、サーモサイクラーにおい て、以下のように行った:1分94℃、2分50℃、および3分72℃の35サイクル; 72℃にて5分、および最終サイクルの後4℃にて無制限維持。1つのプライマー 、テンプレートのみ、およびプライマーのみの反応を、コントロールとして行っ た。PCR産物を、1.5%アガロースゲルに溶解し、ここで一本のバンド(それぞれ 、約370bp、約155bp、または約125bp)が、各反応について観察された。 増幅したバンドのヌクレオチド配列を決定するために、5つの100μlのPCR反 応を、PSINT1(配列番号8)およびPSI7R(配列番号11)、PSINT1(配列番号8)お よびPSI2R(配列番号10)、ならびにPSINT1(配列番号8)およびPSI1R(配列番号 9)のプライマー対を用いて上記のように、行った。各プライマー対からの5つ の反応物を濃縮し(Microcon 30、Amicon Inc.)、そしてTE緩衝液(10mM Tris- HCl、pH8.0、1mM EDTA;2×200μl)で洗浄し、続いて、PCR産物をTE緩衝液中 (2×50μl)に回収した。これらを、調製用1.5%アガロースゲル中で分離した 。次いで、各ゲル精製PCR産物(約0.2pmol)を、pT7BlueTベクターに連結し、そ してNovagenの説明書に従ってコンピテントなNovaBlue細胞に形質転換した。イ ンサートサイズを、急速煮沸溶解およびPCR技術(R20マーおよびU19マープライ マーを用いる)を用いて、製造業者の説明書に従って決定した。制限分析を行い 、前述のプライマー対を利用する各反応からのすべてのインサートが、同一であ るかどうか、以下のように決定した:100μl PCR反応物(R20マー(配列番号74 )およびU19マー(配列番号75)で増幅した目的のインサート)のうち各20μlに、 4ユニットのHaeIII、1.5ユニットのSau3a、または5ユニットのTaqI制限酵素を 添加した。制限消化を、HaeIIIおよびSau3Aについては37℃にて、ならびにTaqI 反応については65℃にて60分進行させた。制限産物を、1.5%アガロースゲルに 溶解し、試験した各インサートについて1つの制限グループを得た。PSINT1(配 列番号8)およびPSI7R(配列番号11)からの5つの組換えプラスミド(pT7PSI1- pT7PSI5と称す)、およびPSINT1(配列番号8)およびPSI2R(配列番号10)からの 2つの組換えプラスミド(pT7PSI6およびpT7PSI7と称す)PCR産物を、DNA配列決 定のために選択した;すべてが、同じオープンリーディングフレーム(ORF)(配 列番号69)を含んだ。次に、ディリジェントタンパク質プローブを、以下のよう に構築した:5つの100μl PCR反応を、10ngのpT7PSI1 DNA(配列番号69)で、プ ライマ−PSINT1(配列番号8)およびPSI7R(配列番号11)を用いて上記のように 、 ットおよび[α-32P]dCTPとともに、キット説明書に従って使用して、放射性標識 プローブを生成した(0.1ml中)。これを、BioSpin6カラム(Bio−Rad)を通し て精製し、そしてキャリアDNA(0.5mg/ml剪断サケ精子DNA(Sigma)、0.9ml)に 添加した。 ライブラリースクリーニング-600,000PFUのF.intermedia増幅cDNAライブラリ ーを、一次スクリーニングのために、Stratageneの説明書に従ってプレートした 。プラークを、Magna Nylon円形膜(Micron Separations Inc.)にブロットした 。 ブラリーファージDNAを膜に固定し、そして100℃にて2分間迅速な排気を伴いオ ートクレーブすることによって、1段階で変性させた。膜を、6×標準クエン酸 生埋食塩水(SSC)および0.1%SDS中で37℃にて30分間洗浄し、そして結晶化用 ディッシュ(150×75mm)において、予熱した6×SSC、0.5%SDS、および5×De nhard試薬(ハイブリダイゼーション溶液、300ml)中で57〜58℃にて穏やかに振 盪しながら、5時間プレハイブリダイズした。[32P]放射標識したプローブを変 性し(煮沸、10分)、素早く冷却し(氷、15分)、そして結晶化用ディッシュ( 190×75mm)中の予熱した新鮮なハイブリダイゼーション溶液(60ml、58℃)に 添加した。次に、プレハイブリダイズした膜をこのデイッシュに添加した。次い でこれを、プラスチックラップで覆った。ハイブリダイゼーションを、57〜58℃ にて、穏やかに浸透しながら、18時間行った。膜を、4×SSCおよび0.5%SDSに おいて、5分間室温にて洗浄し、2×SSCおよび0.5%SDSに移し(室温)、そし て57〜58℃にて、穏やかに浸透しながら、20分間インキュベートし、プラスチッ クラップで覆って乾燥を防ぎ、そして最後に増感スクリーンで-80℃にて24時間 、Kodak X-OMAT ARフィルムに暴露した。20のポジティブプラークを、上記のハ イブリダイゼーション条件での2回以上のスクリーニングによって精製した。 ディリジェントタンパク質cDNA含有ファージミドインビボ切除および配列決定 -精製cDNAクローンを、stratageneのインビボ切除プロトコルに従って、ファー ジから得た。ディリジェントタンパク質をコードするいくつかの異なるcDNAの両 鎖を、重複配列決定プライマーを用いて完全に配列決定した。2つの異なるcDNA を同定し、pPSD_Fi1(配列番号12)およびpPSD_Fi2(配列番号14)と命名した。 配列分析:DNAおよびアミノ酸配列分析を、UnixベースのGCG Wisconsin Packa ge(Program Manual for the Wisconsin Package,Version8、1994年9月、Genet ics Computer Group,575 Science Drive Madison,Wisconsin,USA53711;Rice ,P.(1996)Program Manual for the EGCG Package,Peter Rice,The Sanger C entre,HinxtonHall,Cambridge,CB10 1 Rq,Englamd)およびthe ExPASy Worl d Wide Web分子生物学用サーバー(Geneva University Hospital and Universit y of Geneva,Geneva,Switzerland)を用いて行った。実施例6 Spodoptera frugiperda における機能的ディリジェントタンパク質の発現 Escherichia coliにおいて機能的ディリジェントタンパク質を発現する試みは 失敗した。従って、本発明者らは、バキュロウイルス発現系を利用して、Spodop tera frugiperdaにおいて、ディリジェントタンパク質を発現した。F.intermedi aにおけるディリジェントタンパク質(PSD)のための全長1.2kb cDNAクローン( これは、5'および3'未翻訳領域の両方を含む)を、プラスミドpSD_Fi1(配列番 号12)由来のpBlueScript(Staratagene)から、制限エンドヌクレアーゼBamHI およびXhoIを用いて切除した。この1.2kbフラグメントを、バキュロウイルス移 入ベクターpBlueBac4(Invitrogen,San Diego,CA)のマルチクローニングサイ トにおけるこれらの同じ制限部位に直接サブクローン化した。これは、6.0kb構 築物pBB4/PSDを産生し、これはディリジェントタンパク質cDNAの開始コドンで開 始される翻訳との非融合ディリジェントタンパク質を作製する。次いで、この構 築物を線状化Bac-N-Blue DNA(Invitrogen)と、Spondoptera frugiperda Sf9細 胞に、カチオン性リポソーム媒介トランスフェクションの技術によって同時トラ ンスフェクトして、同種組換えの手段によって産生した。組換えAutographa cal ifornica核多核体ウイルス(AcMNPV)DNA Bac-N-Blueディリジェントタンパク質 (BB/PSD)を、Invitrogenによって記載される手順に従ってプラークから精製し た。最終組換えAcMNPV-BB/PSDは、多核体プロモーター制御下でPSD遺伝子を含み 、そして組換えウイルスの複製に必要な必須配列を含んだ。ディリジェントタン パク質を昆虫細胞培養物において首尾良く発現されたことを検証するために、Ac MNPV-PSD組換えウイルス高力価ストックで感染した対数期Sf9細胞を使用して、 異種タンパク質産生を得た。最大のディリジェントタンパク質収率は、感染後48 〜70時間までに生じた。SDS-PAGEおよび(+)-ピノレシノール形成活性によって決 定される場合、タンパク質が培地に分泌され、そして元来Forsythia intermedia から単離された固有のタンパク質に対応する分子量および活性を示すことを見い だした。実施例7 ディリジェントタンパク質クローンの Thuja plicata およびTsuga heterophyllaからの単離 Forsythiaディリジェントタンパク質cDNAのコード領域(psd-Fi1(配列番号12 ))を使用して、Thuja plicataおよびTsuga heterophyllaからのcDNAライブラ リーをスクリーニングした。条件および方法は、ハイブリダイゼーションを45〜 50℃にて行った以外は、実施例5に記載の通りであった。2つのディリジェント タンパク質cDNAを、Tsuga heterophyllaっから単離し(配列番号16、18)、そし て8つのディリジェントタンパク質cDNAを、Thuja plicataから単離した(配列 番号20、22、24、26、28、30、32、34)。 実施例8 ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの Forsythia intermedia からの精製 植物材料。Forsythia intermedia植物は、Bailey's Nursery(var.Lynwood G old,St.,Paul,MN)から入手して、ワシントン州立大学温室施設において維持 されるか、または地域集落からの贈与物のいずれかであった。 材料。使用した全ての溶媒および化学物質は、試薬またはHPLCグレードであっ た。未標識の(±)-ピノレシノールおよび(±)-ラリシレシノールを、記載のよう に合成した(Katayama,T.ら、Phytochemistry 32:581-591(1993))。[4R-3H]NADPH を、以前に報告されたように、Moranらの手順(Moran,R.G.ら、Anal.Biochem.13 8:196-204(1984))の改変(Chu,Aら、J.Biol.Chem.268:27026-27033(1993))に よって得、そして[4R-2H]NADPHを、AndersonおよびLinにしたがって調製した(A nderson,J.A.およびLin B.K.,Phytochemistry 32:811-812(1993))。酵母グル コース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(IX型、22.32.mmol h-1 mg-1)および 酵母ヘキソキナーゼ(F300型、15.12mmol-1 mg-1)をSigmaから購入し、そしてジ ヒドロ葉酸レダクターゼ(Lactobacillus casei、33.48mmol h-1 mg-1)をBiopu re Co.から得た。Affi-Gel Blue Gel(100〜200メッシュ)およびBio-Gel HT Hy droxyapatiteをBio-Radから購入し、一方、Phenyl Sepharose CL-4B、 MonoQ HR 5/5、MonoP HR 5/20、Superose 6、Superose 12、Superdex 75、PD-10 カラム、分子量標準、およびPolybuffer 74を、Pharmacia LKB Biotechnology, Inc.から得た。アデノシン2',5'-ニリン酸SepharoseおよびReactive Yellow 3 A garoseを、Sigma Chemical Co.から得た。 00およびVarian VXR500Sスペクトロメータで記録し、テトラメチルシラン(内部 標準)からの低磁場が報告される化学シフト(δppm)を有する溶媒としてCDCl3 を用いた。UV(OD260でのRNAおよびDNA決定を含む)および質量スペクトルを、 それぞれ、Lambda 6 UV/VISおよびVG 7070E(イオン化電圧70eV)分光光度計で 得た。高速液体クロマトグラフィーを、逆相(Waters,Nova-pak C18,150×3.9 mm内径)またはキラル(Daicel,Chiralce lODまたはChiralcel OC,240×4.6mm 内径)カラムのいずれかを用いて行い、280nmで検出した(Chu,A.ら、J.Biol.Ch em.268:27026-27033(1993))。放射活性サンプルを、Ecolume(ICN)において分 析し、そして液体シンチレーションカウンター(Packard,Tricarb 2000 CA)を 用いて測定した。アミノ酸配列を、オンラインHPLC検出を備えたApplied Biosys temsタンパク質配列決定機を用いて、製造業者の説明書に従って得た。 酵素アッセイ。ピノレシノールおよびラリシレシノールレダクターゼ活性を、 (+)-[3H]ラリシレシノールおよび(-)-[3H]セコイソラリシレシノールの形成をモ ニターすることによってアッセイした(Chu,A.ら、J.Biol.Chem.268:27026-270 33(1993))。 簡単には、ピノレシノールレダクターゼ活性についての各アッセイは、(±)- ピノレシノール(MeOH中5mM、20μl)、精製段階に対応する酵素調製物(100μ l)、および緩衝液(20mM Tris-HCl,pH8.0,110μl)からなる。酵素反応を、[ 4R-3H]NADPH(10mM,20μlの二重蒸留H2O中6.79kBq/mmol)の添加によって開始 した。振盪しながら30℃にて30分のインキュベーションの後、アッセイ混合物を 、放射性化学キャリアとして(±)-ラリシレシノール(20μg)および(±)-セコ イソラリシレシノール(20μg)を含むEtOAc(500μl)で抽出した。遠心分離後 (13,800×g、5分)、EtOAc可溶物を除去し、そして抽出手順を反復した。各ア ッセイについて、EtOAc可溶物を、液体シンチレーションカウントを用いるその 放射活性の決定のために、除去したアリコート(100μl)と合わせた。合わせた EtOAc可溶物の残留物を、減圧下でエバポレートして乾燥し、H2O中のMeOH/3% 酢酸(30:70、100μl)に再構成し、そして逆相およびキラルカラムHPLCに供した 。コントロールを、変性(10分間煮沸した)酵素または基質としての(±)-ピノ レシノールの非存在下のいずれかを用いて行った。 ラリシレシノールレダクターゼ活性を、(-)-[3H]セコイソラリシレシノールの 形成をモニターすることによってアッセイした。これらのアッセイを、(±)-ラ リシレシノール(MeOH中5mM、20μl)を基質として使用し、放射化学キャリア として(±)-セコイソラリシレシノール(20μg)を添加した以外は、上記と同様 に行った。 酵素精製の一般的な手順。タンパク質精製手順を、他に示さない限りは、4℃ にて、280nmでモニターしながら、クロマトグラフィー溶出で行った。タンパク 質濃度を、Bradfordの方法(Bradford,M.M.,Anal.Biochem.72:248-254(1976) によって、γグロブリンを標準として用いて決定した。ポリアクリルアミドゲル 電気泳動は、勾配(4〜15%、Bio-Rad)ゲルを、変性および還元条件下で使用 し、これらは、Laemmliの緩衝液系(Laemmli,U.K.,Nature 227:680-685(1970) )において行った。タンパク質を、銀染色によって可視化した(Morrissey,J.H. ,Anal.Biochem.117:307-310(1981))。 粗抽出物の調製。F.intermediaの茎(20kg)を採集し、3〜6cm切片に切断し 、そして必要なときまで-20℃で保存した。茎のバッチ(2kg)を、液体窒素中で 冷凍し、そしてWaring Blendorで粉砕した。得られた粉末を、5mMジチオスレイ トールを含むリン酸カリウム緩衝液(0.1mM、pH7.0、4L)で均質化した。ホモ ジネートを、4層のチーズクロスを通して、10%(w/v)ポリビニルポリピロリ ドンを含むビーカーに濾過した。濾過物を遠心分離した(12,000×g、15分)。 得られた上清を、(NH4)2SO4で分画し、40〜60%飽和のタンパク質沈澱を、遠心 分離(10,000×g、1時間)によって回収した。次に、ペレットを、5mMジチオ スレイトールを含む最小量のTris-HCl緩衝液(20mM、pH8.0)(緩衝液A)に再 構成し、そして緩衝液Aで平衡化したプレパックPD-10カラム(Sephadex G-25媒 体)を用いて脱塩した。 アフィニティー(Affi Blue Gel)クロマトグラフィー。粗酵素調製物(緩衝 液A中191mg、5nmol h-1 mg-1)を、緩衝液Aで平衡化したAffi Blue Gelカラム (2.6×70cm)に適用した。カラムを200mlの緩衝液Aで洗浄した後、ピノレシノ ール/ラリシレシノールレダクターゼを、緩衝液A中直線NaCl勾配(300ml中1.5 〜5M)で、流速1ml分-1にて溶出した。活性画分を、必要なときまで保存した (-80℃)。 疎水性相互作用クロマトグラフィー(Phenyl Sepharose)。解凍後、Affi Blu eクロマトグラフィー工程から得られた10の調製物(150mg、51nmol h-1 mg-1) を合わせ、そして5M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したPhenyl Sepharoseカラム (1×10cm)に適用した。カラムを、2総容積の同じ緩衝液で洗浄した。ピノレ シノール/ラリシレシノールレダクターゼを、緩衝液A中のNaClの減少濃度の直 線勾配(40ml中5〜0M)を用いて、流速1ml分-1こて溶出した。ピノレシノール /ラリシレシノール還元を触媒する画分を合わせて、そしてプールした。 ヒドロキシアパタイトIクロマトグラフィー。Phenyl Sepharose精製工程から の活性タンパク質(31mg、91nmol h-1 mg-1)を、5mMジチオスレイトールを含 む10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)(緩衝液B)で平衡化した、ヒドロキシ アパタイトカラム(1.6×70cm)に適用した。ピノレシノール/ラリシレシノー ルレダクターゼを、リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)の直線勾配(200ml中0.01〜 0.4M)で、流速1ml分-1にて溶出した。活性画分を合わせた。次いで、緩衝液を 、PD-10プレパックカラムを用いて、緩衝液Aと交換した。 アフィニティー(2'5'-ADP Sepharose)クロマトグラフィー。次に、ヒドロキ シアパタイト精製工程から得られる酵素溶液(6.5mg、463nmol h-1 mg-1)を、2 .5mM EDTAを含む緩衝液A(緩衝液’)で事前に平衡化した、2'5'-ADP Sepharos e(1×10cm)カラムにロードし、次いで、25mlの緩衝液A'で洗浄した。ピノレ シノール/ラリシレシノールレダクターゼを、緩衝液A'中のNADP+の段階勾配( 10ml中0.3mM)で、流速0.5ml分-1にて溶出した。(NAD+(3mMまで)は、ピノレ シノール/ラリシレシノールレダクターゼ活性を溶出しなかった。)NADP+の吸 光度の影響で、280nmで溶離液を直接モニターするのは不可能であった。各画分 についてのタンパク質濃度を、Bradford(Bradford,M.M.,Anal.Biochem.7 2:248-254(1976))に従って分光光学的に決定した。 ヒドロキシアパタイトIIクロマトグラフィー。ピノレシノール/ラリシレシノ ールレダクターゼ活性を示す2'5'-ADP Sepharoseカラムからの画分(0.85mg、10 51nmol h-1 mg-1)を合わせ、そして緩衝液Bで平衡化した第2ヒドロキシアパ タイトカラム(1×3cm)に直接適用し、リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)の直 線勾配(45ml中0.01〜0.4M)で、流速1ml分-1にて酵素を溶出した。 アフィニティー(Affi Yellow)クロマトグラフィー-次に、第2ヒドロキシア パタイトカラム精製工程からの活性画分(160μg、7960nmol h-1 mg-1)を、緩 衝液Aで平衡化した、Reactive Yellow 3 Agarose colum(1×3cm)に適用し た。ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを、直線NaCl勾配(100ml 中0〜2.5)で、流速1ml分-1にて溶出した。 高速タンパク質液体クロマトグラフイー(Fast Protein Liquid Chromatograp hy)(Superose 12クロマトグラフィー)-最高の活性を有するAffi Yellow精製 工程からの合わせた画分(50μg、10,940nmol h-1 mg-1)をプールし、そしてCe ntricon 10微小濃縮器(Amicon,Inc.)を用いて、1mlに濃縮した。次いで、酵 素溶液を、200μlずつ、高速タンパク質液体クロマトグラフィーカラム(Supero se 12,HR10/30)に適用した。ゲル濾過を、20mM Tris-HCl(pH8.0)、150mM NaC l、および5mMジチオスレイトールを含む緩衝液において、流速0.4ml分-1にて行 った。ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを、12.8mlの移動相で溶 出した。UVプロフィール(280nmでの吸光度)と一致する活性な画分をプールし (20μg、15,300nmol h-1 mg-1)、そして脱塩した(PD-10プレパックカラム) 。 前述の精製プロトコルは、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダク ターゼの3060倍の精製をもたらした。フェニルプロパノイド代謝に関与する多く の酵素についてのように、タンパク質は非常に少ない含有量である。すなわち、 20kgのF.intermediaの茎は、精製(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレ ダクターゼを約20μgしかもたらさなかった。実施例9 Forsythia Intermedia からの精製ピノレシノール/ラリシレシノールレダクター ゼの特徴付け 等電点およびpI決定。精製プロトコルの全段階において、(+)-ピノレシノール /(+)-ラリシレシノールレダクターセ活性は同時溶出した。この観察を考えると 、タンパク質の1つを超える形態が存在したかどうか(すなわち、タンパク質の 1つの形態がピノレシノールの還元を触媒し、そしてそのタンパク質の別の形態 がラリシレシノールの還元を触媒したかどうか)を明白に確認することが必須で あった。この目的のため、ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの等 電点を、MonoP HR 5/20 FPLCカラムで等電点電気泳動することによって確立した 。 Superose 12ゲル濾過カラム(実施例1)からの活性な画分をプールし、そし て同じ緩衝液で平衡化したプレパックPD-10カラムを用いて、25mM Bis-Tris(pH 7.1)で緩衝液交換した。このように得られた調製物を、等電点電気泳動カラム にロードし、そして7.1〜3.9のpH勾配を、溶出液としてPolybuffer 74を用いて 、流速0.5ml分-1にて形成した。各画分のアリコート(200μl)を、ピノレシノ ール/ラリシレシノールレダクターゼ活性についてアッセイした。画分の残留物 を使用して、pH勾配を決定した。 分子量決定。ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのMonoP HR 5/2 0 FPLCカラム調製物の、SDS-勾配ゲル電気泳動(4〜15%ポリアクリルアミド) への適用によって、類似の見かけの分子量の2つのタンパク質バンドの存在が明 らかになった。この分離を、MonoQ HR 5/5 FPLCマトリックスにおける陰イオン 交換クロマトグラフィーを介して達成した。Superose 12精製工程(実施例1) からプールした画分を、緩衝液Aで平衡化したMonoQ HR 5/5カラム(Pharmacia )に適用した。カラムを、10mlの緩衝液Aで洗浄し、そしてピノレシノール/ラ リシレシノールレダクターゼ活性を、緩衝液A中の直線NaCl勾配(50ml中0〜50 0mM)で、流速0.5ml分-1にて溶出した。回収した画分のアリコート(30μl)を 、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、勾配(4〜15%アクリルアミ ド)ゲルを用いて分析した。タンパク質を銀染色によって可視化した。活性画分 34〜37(27,760nmol h-1 mg-1)および38〜41(30,790nmol h-1 mg-1)を別々 にプールし、そしてこれをすぐ用いて特徴付けた。 変性条件下でこのように分離した2つのタンパク質バンドは、それぞれ、約36 および約35kDaの見かけ上の分子量を有した。2つのレダクターゼ形態の各々は 、pI約5.7を有した。 各レダクターゼイソ型の天然の分子量を、Superose 12、Superose 6、およびS uperdex 75ゲル濾過FPLCカラムにおけるそれらの溶出挙動の、較正分子量標準の 溶出挙動との比較を介して推定した。ゲル濾過を、実施例8に示すように行った 。各レダクターゼについて、59,000の見かけ上の天然の分子量を、その溶出容量 に基づいて、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による約36,000および約35,0 00と比較して算出した。ゲル濾過およびSDS-PAGEからの分子量の間の矛盾は未知 のままであるが、天然のタンパク質はダイマーとして存在するようであるが、非 対称形のモノマーとしてもまた存在し得、それによりその有効ストークス半径を 変更すること(Cantor,C.R.,およびShimmel,P.R.,Biophysiocal Chemistry,第I I部,W.H.Freeman and Company,San Francisco,CA(1980);Stellwagen,E.,Met hods in Emzymology 182:317-328(1990))が、ヒトチオレドキシンレダクターゼ (Oblong,J.E.ら、Biochemistry 32:7271-7277(1993))および酵母メタロエンド ペプチドプチターゼ(Hrycyna,C.A.,およびClarke,S.,Biochemistry 32:11293-1 1301(1993))について報告されたように、試験的に提案され得る。 pH至適および温度至適。ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのpH 至適を決定するために、ゲルSuperose 12濾過工程(実施例8)からの酵素調製 物を、緩衝液を、6.3〜9.4のpH範囲の50mM Bis-Trisプロパン緩衝液で置換した ことを除いて、標準的なアッセイ条件(実施例8)を利用してアッセイした。pH 至適は、pH7.4であることが見い出された。 ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの温度至適を、4℃〜80℃の 範囲において、標準的なアッセイ条件(実施例8)下で、ゲル濾過工程(実施例 8)からの酵素調製物を利用して実験した。至適pHで、レダクターゼ活性につい ての温度至適を、約30℃であることを確立した。 反応速度論パラメーター。速度研究を行い、2つのレダクターゼイソ型が別々 の還元を触媒するかどうか(すなわち、それぞれ、(+)-ピノレシノールから(+)- ラリシレシノール、および(+)-ラリシレシノールから(−)-セコイソラリシレシ ノールの変換)、または基質として(+)-ピノレシノールまたは(+)-ラリシレシノ ールのいずれかへの優先性を提示するかどうかを確認した。最初の速度研究を、 酵素の2つのイソ型を別々に利用し、そして基質として(+)-ピノレシノールおよ び(+)-ラリシレシノールの両方を別々に使用して行った。最初の速度研究を、3 連の実験において、5mMジチオスレイトールを含む50mM Bis-Trisプロパン緩衝 液(pH7.4)、純粋な酵素(MonoQ陰イオン交換クロマトグラフィー後)、定常NA DPH濃度(80μM)での10の異なる基質濃度(8.8〜160μM)を用いて行った。イ ンキュベーションを、30℃にて10分間(直線速度論範囲内)行った。反応速度論 パラメーターを、Lineweaver-Burkプロットから決定した。 重要なことに、反応速度論パラメーターは、酵素の35kDaおよび36kDa形態の両 方について本質的に同じであった(すなわち、ピノレシノールについてのKm:酵 素の35kDa形態について27±1.5μm、および酵素の36kDa形態について23±1.3μm ;ラリシレシノールについてのKm:酵素の35kDa形態について121±5.0μm、およ び酵素の36kDa形態について123±6.0μm)。類似の様式において、見かけ上の最 大速度(タンパク質のμmol h-1 mg-1として表される)もまた、本質的に同一で あった(すなわち、ピノレシノールについてのVmax:酵素の35kDa形態について1 6.2±0.4、および酵素の36kDa形態について17.3±0.5;ラリシレシノールについ て:酵素の35kDa形態について25.2±0.7、および酵素の36kDa形態について29.9 ±0.7)。従って、全ての入手可能な証拠は、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシ レシノールレダクターゼが、2つのイソ型として存在し、その各々が両基質の還 元を触媒し得ることを示唆する。この還元がどのように行われるか(すなわち、 両還元が、並行になされるか、キノンまたはフラノ環形態のいずれかにおいてな されるかどうか)、より豊富なタンパク質供給源を用いるさらなる研究が待たれ る。 (+)-[7'R-2H]ラリシレシノールの酵素形成。2つの(+)-ピノレシノール/(+)- ラリシレシノールレダクターゼイソ型が、本質的に同一の触媒特徴を示したので 、Sepharose 12酵素調製物(実施例8)(両イソ型を含む)を使用して、水素化 物移入の立体特異性を実験した。適したストラテジーは、(+)-ピノレシノールの 還 元のための補因子としてNADP2Hを用いる選択的重水素標識を利用し、酵素産物( (+)-ラリシレシノール)を、1H NMRおよび質量分析によって分析した。従って、 (±)-ピノレシノールの溶液(MeOH中5.2mM、4ml)を、Tris-HCl緩衝液(20mM、 pH8.0、5mMジチオスレイトールを含む、22ml)に添加し、そしてAndersonおよ びLinの方法(Anderson,J.A.,およびLin B.K.,Phytochemistry 32:811-812(199 3))を介して立体特異性重水素標識化[4R-2H]NADPH(H2O中20mM、4ml)を調製 し、その全体を酵素調製物(20ml)に添加した。振盪しながら30℃にて1時間の インキュベーションの後、アッセイ混合物を、EtOAc(2×50ml)で抽出した。E tOAc可溶性画分を合わせ、飽和NaCl(50ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そ して減圧下でエバポレートして乾燥させた。得られる抽出物を、最小量のEtOAc に再構築し、シリカゲルカラム(0.5×7cm)に適用し、そしてEt0Ac/ヘキサン (1:2)で溶出した。酵素産物を含む画分を合わせ、そしてエバポレートして乾 燥させた。 酵素産物を、重水素によるその置換に起因するδ2.51ppmでの7'-プロRプロト ンの消滅によって、そしてC-7での1つの重水素原子の存在に対応する(m/z)36 1(M++1)でのその分子イオンによって証明されるように、(+)-[7'R-2H]ラリシ レシノールであることを確証した。 従って、(+)-ピノレシノールから(+)-ラリシレシノールへの水素化物移入は、 (+)-ラリシレシノールの7'-プロRの水素位置のみを重水素化される様式において 生じた。類似の結果が、(+)-ラリシレシノールの(−)-セコイソラリシレシノー ルへの変換についても観察され、それにより、全体の水素化物移入は、完全に立 体特異性であることが確証された。実施例10 Forsythia intermedia から精製した ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのアミノ酸配列分析 ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのアミノ酸配列決定。(+)-ピ ノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼN-末端アミノ酸配列を、オン ラインHPLC検出器を備えたApplied Biosystemsタンパク質シークエンサーを用い て、精製タンパク質の各々および両方の混合物から得た。N-末端配列は、両アイ ソフォームについて同一であった(配列番号36)。 トリプシン消化のために、Sepharose 12カラムから精製した酵素(実施例8) の150pmolを、0.1M Tris-HCl(50μl,pH8.5)に懸濁し、尿素を添加して、77.5 μlにおける最終濃度を8Mにした。混合物を50℃にて15分間インキュベートし、 次いで100mMヨードアセトアミド(2.5μl)を添加し、その全体を室温にて15分 間維持した。次いで、トリプシン(20μl中1μg)を添加し、混合物を37℃にて 24時間消化し、その後、TFA(4μl)を添加して、酵素反応を停止した。 得られた混合物を、逆相HPLC分析(C-8カラム、Applied Biosystems)に供し 、これを、2時間にわたって、0から100%のアセトニトリル(0.1%TFA中)の 直線勾配で、流速0.2ml/分にて溶出し、280nmで検出した。個々のオリゴペプチ ドピークを含む画分を手動で回収し、そしてアミノ酸配列決定を直接受けさせた 。4つのトリプシン処理フラグメントを、十分な量に分離して、アミノ酸配列決 定を可能にした(配列番号37〜40)。 臭化シアン消化を、Sepharose 12カラムから精製したレダクターゼ(実施例8 )の150pmolの、70%蟻酸中0.5M臭化シアンとの、37℃にて40時間のインキュベ ーションによって行い、続いて臭化シアンおよび蟻酸を、減圧下での遠心分離( SpeedVac)によって除去した。得られたオリゴペプチドフラグメントを、HPLCに よって分離し、そして3つを、十分な量に分離して、配列決定を可能にした(配 列番号41〜43)。実施例11 Forsythia intermedia からの ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのクローニング 植物材料。Forsythia intermedia植物は、Bailey's Nursery(var.Lynwood G old,St.,Paul,MN)から入手して、ワシントン州立大学温室施設において維持 したか、または地域団体からの贈られたかのいずれかであった。 材料。使用した全ての溶媒および化学物質は、試薬級またはHPLC級であった。 OD260でのUV RNAおよびDNA決定を、λ6 UV/VIS分光光度計で得た。Temptronic I Iサーモサイクラー(Thermolyne)を、全てのPCR増幅に使用した。Taq熱安定性D NAポリメラーゼを、Promegaから得、一方、制限酵素を、Gibco BRL(HaeIII)、 Boehringer Mannheim(Sau3a)、およびPromega(Taql)から得た。pT7BlueTベ クターおよびコンピテントなNovaBlue細胞を、Novagenから購入し、そして放射 性標識ヌクレオチド([α-32P]dCTPおよび[γ-32P]ATP)を、DuPont NENから購 入した。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および配列決定のためのオリゴヌクレオチドプ キット(BIO 101 Inc.)を、PCRフラグメントの精製に使用し、ゲル精製DNA濃度 を、1.5%アガロースゲルにおける低DNA質量ラダー(Gibco BRL)と比較するこ とによって決定した。 Forsythia RNA単離。迅速に生長する緑色茎組織から機能的F.intermedia RNA を単離する最初の試みは、不成功であった。これは、その植物フェノール性成分 による容易な酸化を介して遭遇する困難に起因する。しかし、この問題は、RNA 単離手順(特に木本植物組織について設計され、これは、酸化を防ぐために、抽 出緩衝液において低pHおよび還元条件を使用する)の利用によって、首尾良く克 服された(Dong,Z.D.,およびDunstan,D.I.,Plant Cell Reports 15:516-521(19 96))。 Forsythia intermedia茎cDNAライブラリー合成。全RNA(約300μg/g新鮮重量 )を、温室で生長させたForsythia intermedia植物(var.Lynwood Gold)の若 い緑色の茎から得た(Dong,Z.D.,およびDunstan,D.I.,Plant Cell Reports 1 5:516-521(1996))。Forsythia intermedia茎cDNAライブラリーを、5μgの精製 tratagene)とともに構築し、1.2×106PFUの力価を有する一次ライブラリーを得 た。増幅したライブラリー(1.2×1010PFU/ml;全158ml)の一部(30ml)を使用 して、PCRのための純粋なcDNAライブラリーDNAを得た(Sambrook,J.ら、Molec ular Cloning:A LaboratoryManual,第3巻、第3版、Cold Spring Harbor Labo ratory,Cold Spring Harbor,NY(1994);Ausubel,F.M.ら、Current Protocols i n Molecular Biology,第2巻、Greene Publishing Associates and Wiley-Inter science,John Wiley&Sons,NY(1991))。 ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターセDNAプローブ合成-N-末端およ び内部ペプチドアミノ酸配列を使用して、縮重オリゴヌクレオチドプライマーを 構築した。詳細には、プライマーPLRN5(配列番号44)は、N-末端ペプチド(配 列番号36)のアミノ酸7〜13の配列に基づいた。プライマーPLR14R(配列番号45 )は、(配列番号37)に示される内部ペプチド配列のアミノ酸2〜8の配列に基 づいた。プライマーPLRI5R(配列番号46)は、(配列番号37)に示される内部ペ プチド配列のアミノ酸9〜15の配列に基づいた。配列番号37に示される内部ペプ チド配列のアミノ酸9〜15の配列(プライマーPLRI5R(配列番号46)の配列がこ れに基づく)はまた、配列番号41に示される臭化シアン作製内部フラグメントの アミノ酸4〜10の配列に対応した。 精製F.intermedia cDNAライブラリーDNA(5ng)を、100μl PCR反応物(10mM Tris-HCl(pH9.0)、50mM KCl、0.1%Triton X-100,2.5mM MgCl2、各0.2mMのd NTP、および2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ)におけるテンプレートとして 、プライマーPLRN5(配列番号44)(100pmol)と、ならびにプライマーPLRI5R( 配列番号46)(20pmol)またはプライマーPLR14R(配列番号45)(20pmol)のい ずれかとともに使用した。PCR増幅を、サーモサイクラーにおいて、以下のよう に行った:94℃にて1分、50℃にて2分、および72℃にて3分の35サイクル;72 ℃にて5分、そして最終サイクル後、4℃にて無期限に維持した。シングルプラ イマー、テンプレートのみ、およびプライマーのみの反応を、コントロールとし て 行った。PCR産物を、1.5%アガロースゲルで分離した。プライマーPLRN5(配列 番号44)およびプライマーPLR14R(配列番号45)の組合せは、380bpの単一のバ ンドを生じた。これは配列番号47の塩基22〜393に対応する。プライマーPLRN5( 配列番号44)およびプライマーPLRI5R(配列番号46)の組合せは、400bpの単一 のバンドを生じた。これは配列番号47の塩基22〜423に対応する。 2つの増幅したバンドのヌクレオチド配列を決定するために、5つの100μl P CR反応を、以下のテンプレートとプライマーの各々の組合せで、上記のように行 った:380bp増幅産物+プライマーPLRN5(配列番号44)およびプライマーPLR14R (配列番号45);400bp増幅産物+プライマーPLRN5(配列番号44)およびプライ マーPLRI5R(配列番号46)。プライマーおよびテンプレートの各組合せからの5 つの反応物を濃縮し(Microcon 30,Amicon Inc.)、そしてTE緩衝液(10mM Tri s-HCl、pH8.0,1mM EDTA;2×200μl)で洗浄し、PCR産物を、TE緩衝液(2× 50μl)に続いて回収した。これらを、分取用1.5%アガロースゲルで分離した。 次いで、各ゲル精製PCR産物(約0.2pmol)を、pT7BlueTベクターに連結し、そ してNovagenの説明書に従ってコンピテントなNovaBlue細胞に形質転換した。イ ンサートサイズを、急速煮沸溶解およびPCR技術を用いて決定した(R20マー(配 列番号74)およびU19マー(配列番号75)プライマーを、製造業者(Novagen)の 説明書にしたがって利用する)。 制限分析を行い、プライマーおよびテンプレートの各組合せに対して全てのイ ンサートが同じであるかどうか決定した。制限分析を以下のように行った:各イ ンサートを、R20(配列番号74)およびU19(配列番号75)プライマーを利用して 、PCRによって増幅した。100μl PCR反応物の各20μlに、4ユニットのHaeIII、 1.5ユニットのSau3a、または5ユニットのTaqI制限酵素を添加した。制限消化を 、HaeIIIおよびSau3Aについては37℃にて、およびTaqI反応については65℃にて6 0分間進行させた。制限産物を、1.5%アガロースゲルで分離し、試験した全ての インサートについて1つの制限グループを生じた。 得られる組換えプラスミドのうちの5つを、DNA配列決定のために選択した。 3つの組換えプラスミド(pT7PLR1〜pT7PLR3と呼ばれる)からのインサートを、 基質としての400bp PCR産物とともに、プライマーPLRN5(配列番号44)およびプ ライマーPLRI5R(配列番号46)の組合わせによって作製した。残りの2つの組換 えプラスミド(pT7PLR4およびpT7PLR5と呼ばれる)からのインサートを、基質と しての380bp PCR産物とともに、プライマーPLRN5(配列番号44)およびプライマ ーPLR14R(配列番号45)の組合わせから作製した。5つ全ての配列決定したPCR 産物は、同じオープンリーディングフレームを含んだ。 (+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼプローブを、以下の ように構築した:5つの100μl PCR反応を、10ngのpT7PLR3 DNAとともに、プラ イマーPLRN5(配列番号44)およびプライマーPLRI5R(配列番号46)とともに、 上記のように行った。ゲル精製pT7PLR3 cDNAインサート(50ng)を、Pharmacia用して、放射性標識プローブを産生した(0.1ml中)。これを、BioSpin 6カラム (Bio-Rad)を通して精製し、そしてキャリアDNA(Sigmaから得た0.5mg/ml剪断 サケ精子DNAの0.9ml)に添加した。 ライブラリースクリーニング。600,000PFUのF.intermedia増幅cDNAライブラリ ーを、Stratageneの説明書にしたがって、一次スクリーニングのためにプレート した。プラークを、Magna Nylon膜サークル(Micron Separations Inc.)にブロ cDNAライブラリーファージDNAを膜に固定し、そして100℃にて2分間のオートク レーブによって、迅速な消耗で1工程において変性した。膜を、6×標準クエン 酸生理食塩水(SSC)および0.1%SDSにおいて37℃にて30分間洗浄し、そして結 晶化皿(190×75mm)において、予熱した6×SSC、0.5%SDS、および5×Denhar dt試薬(ハイブリダイゼーション溶液、300ml)において57〜58℃にて5時間穏 やかに振盪しながらプレハイブリダイズした。 [32P]放射性標識プローブを変性し(煮沸、10分)、素早く冷却し(氷、15分 )、そして結晶化皿(150×75mm)中の予熱した新鮮なハイブリダイゼーション 溶液(60ml、58℃)に添加した。次に、プレハイブリダイズした膜を、この皿に 添加し、次いでこれを、プラスチックラップで覆った。ハイブリダイゼーション を、穏やかに振盪しながら57〜58℃にて18時間行った。膜を4×SSCおよび0.5% SDSにおいて室温にて5分間洗浄し、2×SSCおよび0.5%SDS(室温)に移し、 そして穏やかに振盪しながら57〜58℃にて20分間インキュベートし、乾燥を防ぐ ためにプラスチックラップで覆い、そして最後に、増感スクリーンとともに、-8 0℃にて24時間Kodak X-OMAT ARフィルムに曝露した。 このスクリーニング手順は、350を超えるポジティブなプラークを生じ、20( 異なるシグナル強度)を、さらなる2回のスクリーニングに供した。最終精製の 後、20のcDNAのうち6つを、インビボ切り出しによってpBluescriptにサブクロ ーン化した。これらの6つのcDNAを、plr-Fi1〜plr-Fi6と呼んだ(配列番号47、 49、51、53、55、57)。 plr-Fi1〜plr-Fi6ファージミドのインビボ切り出しおよび配列決定。6つの精 製cDNAクローンを、Stratageneのインビボ切り出しプロトコルにしたがって、フ ァージからレスキューした。(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダク ターゼをコードする6つの異なるcDNA(plr-Fi1〜plr-Fi6)の両鎖を、重複配列 決定プライマーを用いて、完全に配列決定した。 配列決定のためのDNAの精製は、QIAwell Plusプラスミド精製システム(QIAGE N)を使用して、続いてPEG沈殿(Sambrook.J,MolecularClonlng;ALaboratory Manual,第3巻、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor ,NY(1994)を行い、DNA配列は、Applied Biosystems Model 373A自動シークエ ンサーを用いて決定した。DNAおよびアミノ酸の配列分析を、UnixベースのGCG W isconsin Package(Program Manual for the Wisconsin Package,Version 8,19 94年9月,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wiscons in ,USA 53711;Rice,P.,Program Manual for the EGCG Package,Peter Rice,T he Sanger Centre,Hinxton Hall,Cambridge,CB10 1Rq,England(1996))およ びExPASy Wolrd Wide Web分子生物学サーバー(Geneva University Hospital an d University of Geneva,Geneva,Switzerland)を用いて行った。 全ての6つのcDNAは、同じコード領域であるが、異なる5'非翻訳領域を有した 。一方、6つのcDNAの各々の3'非翻訳領域の分析は、全てが、最長cDNAの3'領域 の短縮化バージョンであることを確証した。温室で生育させた植物の茎頂からの 全RNAでの事前のRNAゲルブロット分析は、約1.2kbの長さの単一の転写物を確認 した。 RNAゲルブロット分析。RNAゲルブロット分析のために、F.intermedia茎頂から の全RNA(1レーンあたり30μg)を、サイズによって、変性アガロースゲル電気 nt NEN)に移し、膜(StratageneからのStratalinker)に架橋し、プレハイブリ ダイズし、cDNAクローニングの間にcDNAライブラリーをスクリーニングするのに 使用した同じプローブとハイブリダイズし、そして水性ハイブリダイゼーション 条件についての製造業者の説明書に従って洗浄した。次いで、膜を、増感スクリ ーンとともに、-80℃にて48時間Kodak X-OMATフィルムに曝露した。 実施例12 (+)- ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼcDNA plr-Fi1の E.coli おける発現 Escherichia coliにおける発現。推定(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノ ールレダクターゼcDNAにコードされる機能的(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレ シノールレダクターゼを確認するために、おそらく(+)-ピノレシノール/(+)-ラ リシレシノールレダクターゼをコードするcDNAを、E.coliにおいて異種発現した 。異種発現はまた、将来、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクタ ーゼの正確な生化学機構の系統的な研究を可能にするための十分なタンパク質を 得るために、必要であった。 6つの推定(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼクローン の実験は、1つ(plr-Fi1(配列番号47))が、pBluescriptにおけるβガラクト シダーゼのα相補性粒子とインフレームにあることを明らかにした。これは、思 いがけないことであった。なぜなら、容易な手段を潜在的に提供して、完全に機 能的な融合タンパク質を発現し、従ってクローン化配列が正しいことの証拠を提 供するからである。 plr-Fi1(配列番号47)からの精製プラスミドDNAを、Novagenの説明書にした がって、NovaBlue細胞に形質転換した。形質転換細胞(5ml培養物)を、37℃に て振盪しながら(225rpm)、中期対数期(OD600=0.5)まで、12.5μg ml-1テト ラサイクリンおよび50μg ml-1アンピシリンを補充したLB培地(Sambrook,J.、M ol ecular Cloning:A Laboratory Manual,第3巻、第3版、Cold Spring Harbor L aboratory,Cold Spring Harbor,NY(1994))中で増殖させた。次いで、IPTG (イソプロピルβ-D-チオグルコピラノシド)を最終濃度100mMまで添加して、そ して細胞を2時間増殖させた。細胞を遠心分離によって回収し、そして500μl( 5ml培養管あたり)緩衝液(20mM Tris-HCl,pH8.0,5mMジチオスレイトール) に再懸濁した。次に、リゾチーム(5μlの0.1mg ml-1,Research Organlcs,Inc .)を添加し、そして続いて10分間インキュベーションし、細胞を超音波処理に よって溶解した(3×15秒)。14,000×gで4℃にて10分間の遠心分離の後、上 清を取り出し、そして(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼ 活性について、実施例8に記載のようにアッセイした(1アッセイあたり210μl 上清)。 触媒活性を、無細胞抽出物を、30℃にて2時間、(±)-ピノレシノール(0.4mM )および[4R-3H]NADPH(0.8mM)とともに、標準的な条件下でインキュベートす ることによって確証した。インキュベーションに続いて、未標識(±)-ラリシレ シノールおよび(±)-セコイソラリシレシノールを、放射化学キャリアとして添 加し、各リグナンを逆相HPLCによって単離した。コントロールは、ピノレシノー ル/ラリシレシノールレダクターゼcDNAのアッセイを含んだ。これは、フレーム 外のcDNAインサート(全てのアッセイ成分を含む)ならびにplr-Fi1(配列番号 47)およびフレーム外のピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼcDNA を、[4R-3H]NADPH以外の基質を伴わずに含む。産物の分離およびキラル同定を、 以前に記載される(Chu,A.,ら、J.Biol.Chem.268:27026-27033(1993))ように 、HPLCによって行った。 続くキラルHPLC分析は、(+)-ラリシノレシノールおよび(-)-セコイソラリシレ シノールの両方(しかし、対応する対掌体ではない)が、放射性標識されている ことを明らかにした(総活性:54nmol h-1 mg-1)。対照的に、(±)-ピノレシノ ールの非存在下、またはcDNAインサートがβガラクトシダーゼ遺伝子とインフレ ームに存在しないプラスミドを含むコントロール細胞を使用した場合ではいずれ も触媒活性は検出されなかった。従って、異種発現された(+)-ピノレシノール/ (+)-ラリシレシノールレダクターゼおよび植物タンパク質は、正確に同じ鏡像特 異的(enantiospeclfic)様式で機能する。 実施例13 (+)- ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼをコードする クローンplr-Fi1(配列番号47)のcDNAインサートの配列および相同性分析 配列分析。クローン化(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクター ゼplr-Fi1(配列番号47)の全長配列は、消化フラグメントのエドマン分解によ って決定したペプチド配列のすべてを含んだ。 単一のORFにより、34.9kDaの計算分子量を有する312アミノ酸のポリペプチド (配列番号48)が推測され、これは、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノー ルレダクターゼの2つのアイソフォームについてSDS-PAGEによって以前に推定し た値(約35kDaまたは約36kDa)にほぼ一致する。等しい数の酸性および塩基性残 基もまた存在し、等電点クロマトグラフィーによって実験的に得られた等電点( pI約5.7)とは対照的に、7.09の理論的等電点(pI)を有する。 アミノ酸組成は、7つのメチオニン残基を明らかにする。興味深いことに、植 物から精製した酵素のN-末端は、最初のメチオニンを欠如する。これは、公知の 最も一般的な翻訳後タンパク質修飾である。結果として、cDNAにおける最初のメ チオニンは、翻訳開始の部位であると考えられ得る。配列分析はまた、残基215 での可能なNグリコシル化部位(分泌標的化シグナルは存在しないが)、ならび に残基50および228(プロテインキナーゼC型)、残基228、250、302、および30 3(カゼインキナーゼII型)、ならびに残基301(チロシンキナーゼ型)での7つ の可能なタンパク質リン酸化部位を明らかにする。 ピノレシノール/ラリシレシノールポリペプチド鎖の領域(配列番号48)もま user Verlag,Basel(1980);Branden,C.,およびTooze,J.Introduction to Pr otein Structure,141-159頁、Garland Publishing,Inc.,New York and London (1991);Wierenga,R.K.ら、J.Mol.Biol.187:101-108(1986))。異なるレダ クターゼの配列において、限られた数の不変アミノ酸が存在し、これらは、NADP H結合部位の指標として観察される。これらは、配列G-X-G-X-X-G(配列番号76) (ここでXは任意の残基)を有する3つの保存されたグリシン残基、および6つ の保存された疎水性残基を含む。グリシンリッチ領域は、その正確なコンフォメ ーションにNADPHを配置することにおける中心的役割を果たすと考えられる。こ れに関して、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼのN末端 領域と、Drosophila melanogasterアルコールデヒドロゲナーゼ(Branden,C.,お よびTooze,J.Introduction to Protein Structure,141-159頁、Garland Publis hing,Inc.,New York and London(1991))、Pinus taeda桂皮アルコールデヒ ドロゲナーゼ(MacKay J.J.ら、Mol.Gen.Genet.247:537-545(1995))、ドッ グフィッシュ(dogfish)筋乳酸デヒドロゲナーゼ(Branden,C.,およびTooze,J. 、Introduction to Protein Structure,141-159頁、Garland Publishing,Inc., New York and London(1991))、およびヒト赤血球グルタチオンレダクターゼ (Branden,C.,およびTooze,J.、Introduction to Protein Structure,141-159頁 、Garland Publishing,Inc.,New York and London(1991))の保存されたNAD PH結合領域のN末端領域との比較は、いくつかの興味深い相似物を明らかにした 。不変グリシン残基は、ドメインの形成における正確なパッケージングに必要な 6つの疎水性残基のうちの4つであるように、全ての場合にアラインメントされ る。従って、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼアイソフ ォームのNADPH結合部位は、N-末端に近接して局在する。 相同性分析:イソフラボンレダクターゼに対する比較。BLAST検索(Altschul, S.F.,ら、J.Mol.Biol.215:403-410(1990))を、National Center for Biotec hnology Informationでの非重複性ペプチドデータベースに対して、(+)-ピノレ シノール/(+)-ラリシレシノールレダクターセの翻訳されたアミノ酸配列(配列 番号48)で行った。有意な相同性は、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノー ルレダクターゼについて、マメ科植物Cicer arietinum(Tiemann,K.,ら、Eur.J. Biochem.200:751-757(1991))(63.5%類似性、44.4%同一性)、Medicago s ativa(Paiva,N.L.ら、Plant Mol.Biol.17:653-667(1991))(62.6%類似性 、42.0%同一性)、およびPisum sativum(Paiva,N.L.,ら、Arch.Biochem.Biophy s.312:501-510(1994))(61.6%類似性、41.3%同一性)からの種々のイソフ ラ ボンレダクターゼと示された。この観察は、かなり興味深いものである。なぜな ら、イソフラボノイドは、フェニルプロパノイド-アセテート経路代謝の関連分 岐を介して形成されるからである。詳細には、イソフラボンレダクターゼは、イ ソフラボノイド形成の間、α,β-不飽和ケトンの還元を触媒する。例えば、Medi cago sativa L.イソフラボンレダクターゼは、フィトアレキシン((-)-メディカ ルピン(medicarpin))の生合成において、2'-ヒドロキシ-ホルモノネチン(2' -hydroxy-formononen)の(3R)-ベスチトン((3R)-vestitone)への立体特異的変 換を触媒する(Paiva,N.L.ら、Plant Mol.Biol.17:653-667(1991))。この配 列類似性は、リグナンおよびイソフラボノイドの両方が、同程度の植物防御機能 および薬理学的役割(例えば、「植物性発情ホルモン様物質」)とともに、一般的 なフェニルプロパノイド代謝の派生物であることが、有意に与えられ得る。結果 として、両レダクターゼは、非常に類似の反応を触媒するので、イソフラボンレ ダクターゼは、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼから進 化したかもしれないと推測する気にさせる。これは、リグナンが、シダ植物、マ ツモ、裸子植物、および被子植物に存在するので、ありそうなことと考えられる ;それゆえ、それらの経路は、明らかにイソフラボノイドの前に進化した(Gang ら、Phytochemicals for Pest Control,Hedinら編、ACS Symposium Series,Was hington D.C.,658:58-59(1997))。 同程度の相同性もまた、Arabidopsis thaliana(Babiychuk,E.ら、EMBL/GenBa nk/DDBJデータベース(1995)への直接提出(1995年5月25日))(65.9%類似性 、50.8%同一性)、Nicotiana tabacum(Hibi,N.ら、Plant Cell 6:723-735(199 4))(64.6%類似性、47.2%同一性)、Solanum tuberosum(van Eldik,G.J.ら 、(1995)EMBL/GenBank/DDBJデータベースへの直接提出(1995年10月06日)) (65.5%類似性、47.7%同一性)、Zea mays(Petrucco,S.ら、Plant Cell 8:69 -80(1996)(61.6%類似性、44.9%同一性)、および特にLupinus albus(Attuci ,S.ら、私信およびEMBL/GenBank/DDBJデータベース(1996)への直接提出(06/6/9 6))(85.9%類似性、66.2%同一性)からの推定イソフラボンレダクターゼ「 ホモログ」で観察された。 対照的に、他のNADPH依存性レダクターゼとの相同性は、有意に低かった:例 えば、Petunia hybrida(Beld,M.ら、Plant Mol.Blol.13:491-502(1989))(4 3.2%類似性、21.5%同一性)およびHordeum vulgare(Kristiansen,K.N.およびRo hde,W.,Mol.Gen.Genet.230:49-59(1991)(46.2%類似性、21.l%同一性)から のジヒドロフラボノールレダクターゼ、Medicago sativa(Ballance,G.M.およびD ixon,R.A.,Plant Physlol.107:1027-1028(1995)(39.5%類似性、15.8%同一性 )からのカルコンレダクターゼ、Sesbania rostrata(Goormachtig,S.ら、(1995 )EMBL/GenBank/DDBJデータベースへの直接提出(1995年3月13日))(47.6%類 似性、24.1%同一性)からのカルコンレダクターゼ「ホモログ」、Nocardia sP .(Horinouchi,S.ら、Appl.Environ.Microbiol.57:1386-1393(1991))(46.6% 類似性、21.0%同一性)からのコレステロールデヒドロゲナーゼ、ならびにRatt us norvegicus(Zhao,H.-F.ら、Journal Endocrlnology 127:3237-3239(1990)(4 3.5%類似性、20.6%同一性)からの3-β-ヒドロキシ-5-エンステロイドデヒド ロゲナーゼ。 従って、配列分析は、(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクター ゼ、イソフラボンレダクターゼ、および推定イソフラボンレダクターゼ「ホモロ グ」(これは、イソフラボンレダクターゼ活性を有さない)の間の有意な相同性 を確証する。 実施例14 Thuja plicata(-)- ピノレシノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼの cDNA クローニング 植物材料。西洋赤スギ植物(Thuja plicata)を、ワシントン州立大学温室施 設において維持した。 材料。使用したすべての溶媒および化学物質は、試薬またはHPLCグレードであ った。Taq熱安定性DNAポリメラーゼおよび制限酵素(SacIおよびXbaI)を、Prom egaから入手した。pT7BlueTベクターおよびコンピテントなNovaBlue細胞をNova genから購入し、そして放射性標識化ヌクレオチド([α-32P]dCTP)をDuPont NE Nから購入した。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および配列決定のためのオリゴヌクレオチドプ ット(BIO 101 Inc.)を、PCRフラグメントの精製のために使用し、ゲル精製し たDNAの濃度は、1.3%アガロースゲルにおける低DNA質量ラダー(Gibco BRL)と 比較することによって決定した。 機器。UV(OD260でのRNAおよびDNA決定を含む)スペクトルを、λ6UV/VIS分 光光度計にて記録した。Temptronic IIサーモサイクラー(Thermolyne)を、す べてのPCR増幅のために使用した。配列決定のためのプラスミドDNAの精製は、QI Awell Plusプラスミド精製システム(Qiagen)を使用し、続いてPEG沈澱(Sambr ook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3巻、第3版、Cold Sp ri SV Minipreps DNA Purification System(Promega)を行い、DNA配列は、Applie d Biosystems Model 373A自動シークエンサーを用いて決定した。 Thuja plicata cDNAライブラリー合成-全RNA(6.7μg/g新鮮重量)を、Lewinsoh nらの方法に従って、温室生長西洋赤スギ植物(Thuja plicata)の若緑葉(葉柄 (stem)を含む)から得た(Lewinsohn,E.ら、Plant Mol.Biol.Rep.12:20-25(199 4))。T.plicata cDNAライブラリーを、3μgの精製ポリ(A)+mRNA(Oligote 築し、一次ライブラリーとして1.2×105pfuの力価を得た。増幅したライブラリ ー(7.1×108pfu/ml、全量28ml)を、スクリーニングのために使用した(Sambro ok,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3巻、第3版、Cold Spr ing Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1994))。 T.plicata(-)-ピノレシノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼcDNA合成 。T.plicata(-)-ピノレシノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼcDNAを、 逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)ストラテジーによってmRNAから得た(S ambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3巻、第3版、Col d Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1994))。第1鎖cDNA を、T.plicata cDNAライブラリーの合成のために以前に使用した精製mRNA(上記) から ンカープライマー(1.4μg)と混合し、10分間70℃に加熱し、そして氷上で素早 く冷却した。次いで、変性mRNAテンプレートおよびリンカープライマーの混合物 を、First Strand Buffer(Life Technologies)、10mM DTT、0.5mM各dNTP、お よび200ユニットのSuper ScriptTMII(Life Technologies)と混合し、20μlの 最終容量にした。反応を、42℃にて50分間行い、次いで加熱(70℃、15分)によ って停止した。E.coli RNaseH(1.5ユニット、1μl)を溶液に添加し、37℃に て20分間インキュベートした。 次に、第1鎖反応(2μl)を、100μl PCR反応(10mM Tris-HCl(pH9.0)、5 0mM KCl、0.1%TritonX-100、1.5mM MgCl2、0.2mM各dNTP、および5ユニットのT aq DNAポリメラーゼ)におけるテンプレートとして、プライマーCR6−NT(5'GCA CATAAGAGTATGGATAAG3')(配列番号60)(10pmol)およびプライマーXhoI-Poly(d T)(5'GTCTCGAGTTTTTTTTTTTTTTTTTT3')(配列番号59)(10pmol)とともに使用した 。PCR増幅を、52℃でのアニーリング温度を除いて、(Dinkova-Kostova,A.T.ら 、J.Biol.Chem.271:29473-29482(1996))に記載のようにサーモサイクラーで行 った。PCR産物を、1.3%アガロースゲルに溶解し、ここで、予測長(約1,200bp )を有する少なくとも2つのバンドが観察された。バンドをゲルから抽出した。 次いで、ゲル精製したPCR産物(56ng)を、pT7BlueTベクター(50ng)に連結し 、そしてNovagenの説明書に従ってコンピテントなNovaBlue細胞に形質転換した 。 挿入したcDNAのサイズおよび方向を、急速煮沸溶解およびPCR技術を用いて、 製造業者(Novagen)の説明書に従って、以下のプライマーの組み合わせで決定 した:R20マー(配列番号74)とU19マー(配列番号75);R20マー(配列番号74) とCR6−NT(配列番号60);U19マー(配列番号75)とCR6−NT(配列番号60)。挿入し たDNAのCR6−NTプライマー末端を、TベクターのU19マープライマー部位 s DNA Purification Systemで精製した。5つの挿入cDNAを、重複配列決定プラ イマーを用いて完全に配列決定し、そしてポリアデニル化部位が異なることを除 いて同一であることを示した。それゆえ、最長のcDNA(plr-Tp1と命名した)( 配列番号61)を、pBluescript発現系を用いて、酵素活性の検出のために使用し た。 配列分析-DNAおよびアミノ酸配列分析を、UnixベースのGCG Wisconsin Packag e(Program Manual for the Wisconsin Package,Version 8、1994年9月、Genet ics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711(199 6);Rice,P.Program Manual for the EGCG Package,Peter Rice,The Sanger Centre,Hinxton Hall,Cambridge,CB10 1Rq,England)およびthe ExPASyWor ld Wide Web molecular biology server(Geneva University Hospital and Uni versity of Geneva,Geneva,Switzerland)を用いて行った。 実施例15 Thuja plicata(+)- ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼの cDNA クローニングおよび発現 T.plicata(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼのcDNAク ローニング。plr-Tp1をクローン化し、そして配列決定した後、全長クローンを 使用して、plr-Tp1全cDNAインサートをプローブとして使用したことを除いて、 実施例11に記載のように、T.plicata cDNAライブラリーをスクリーニングした。 いくつかのポジティブクローンを配列決定し、1つは新規の唯一のcDNAであるこ とが明らかになり、これをplr-Tp2と命名した。このcDNAは、plr-Tp1に対する高 度な配列類似性(アミノ酸レベルで約81%類似性)を有するが、以下に記載のよ うに、本来のForsythia intermediaレダクターゼに同一の基質特異性特性を有す るレダクターゼをコードする。 酵素アッセイ。ピノレシノールおよびラリシレシノールレダクターゼ活性を、 実施例8に記載のように、以下の改変とともに、[3H]ラリシレシノールおよび[3 H]セコイソラリシレシノールの形成をモニターすることによってアッセイした。 簡単には、ピノレシノールレダクターゼ活性についての各アッセイは、(±)-ピ ノレシノール(MeOH中5mM、20μl)および酵素調製物(すなわち、E.coliから の全タンパク質抽出物、210μl)からなった。酵素反応を、[4R-3H]NADPH(10mM ,蒸留H2O中6.79kBq/mmoL20μl)の添加によって開始した。振盪しながら30℃に て3時間のインキュベーションの後、アッセイ混合物を、放射性化学キャリアと して(±)-ラリシレシノール(20μg)および(±)-セコイソラリシレシノール (20μg)を含むEtOAc(500μl)で抽出した。遠心分離後(13,800×g、5分) 、EtOAc可溶物を取り出し、そして抽出手順を反復した。各アッセイについて、E tOAc可溶物を、液体シンチレーションカウントを用いるその放射活性の決定のた めに、取り出したアリコート(100μl)と合わせた。合わせたEtOAc可溶物の残 りを吸引して真空中で乾燥し、MeOH/H2O(30:70、100μl)に再構成し、そして逆 相およびキラルカラムHPLCに供した。 ラリシレシノールレダクターゼ活性を、(+)-[3H]セコイソラリシレシノールの 形成をモニターすることによってアッセイした。これらのアッセイを、上記のよ うに正確に、但し(±)-ラリシレシノール(MeOH中5mM、20μl)を基質として使 用したことを除いて、放射性化学キャリアとして(±)-セコイソラリシレシノー ル(20μg)を添加して行った。 E.coliにおけるplr-Tp1の発現−plr-Tp1のオープンリーディングフレーム(OR F)がpBluescript SK(-)におけるβガラクトシダーゼ遺伝子α相補性粒子とイン フレームであるために、plr-Tp1を、SacIおよびXbaIでpT7BlueTベクターから切 り出し、ゲル精製し、次いでこれらの同じ酵素で消化した発現ベクターに連結し た。このプラスミドpPCR-Tp1を、Novagenの説明書にしたがって、NovaBlue細胞 に形質転換した。形質転換細胞(5ml培養物)を、37℃にて、50μg ml-1カルベ ニシリンを補充したLB培地(Sambrook,J.ら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual,第3巻、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor ,NY(1994))中で、振盪しながら(225rpm)、中期対数期(A600=0.5〜0.7 )まで増殖させた。次に、細胞を、遠心分離(1000×g、10分)によって回収し 、そして10mM IPTG(イソプロピルβ-D-チオグルコピラノシド)および50μg ml-1 カルベニシリンを補充した新鮮なLB培地に、吸光度0.6(600nmにおける)まで 再懸濁した。細胞(一晩増殖させた)を遠心分離によって回収し、そして500〜7 00μl(5ml培養管あたり)の緩衝液(50mM Tris-HCl,pH7.5、2mM EDTA、5mM DTT )に再懸濁した。次に、細胞を超音波処理によって溶解し(5×45秒)、そして 遠心分離(17500×g、4℃、10分)の後、上清を取り出し、そして(-)-ピノレシ ノール/(-)-ラリシレシノールレダクターゼ活性について、上記のようにアッセ イした。コントロールは、インサートDNAを含まないか(ネガティブコントロ ールとして)または立体特異的コントロールとしてpPLR-Fi1(インフレームで真 正のF.intermedia(+)-ピノレシノール/(+)-ラリシレシノールレダクターゼのcD NA)を含むpBluescript(SK(-))、ならびに(4R)-3HNADPHを除く基質を含まない pPLR-Tp1のアッセイを含んだ。 結果は、(-)-ラリシレシノールおよび(+)-セコイソラリシレシノールの両方が 放射性標識され、そして放射性活性の取り込みが(-)-セコイソラリシレシノール では見いだされないことを示した。しかし、(-)-ラリシレシノールについて観察 されたよりもずっと遅い速度ではあるが、(+)-ラリシレシノールへの放射性標識 の蓄積もまた観察された。これらの結果は、plr-Tp1は、基質として(-)-ピノレ シノールおよび(+)-ピノレシノールの両方を使用し得、前者は(-)-ラリシレシノ ールを介して(+)-セコイソラリシレシノールに完全に変換され、そして後者は、 ずっとより遅くに(+)-ラリシレシノールに変換されるが、さらに(-)-セコイソラ リシレシノールへは変換されない。 E.coliにおけるplr-Tp2の発現。plr-Tp2 cDNAは、pBluescript SK(-)における β-ガラクトシダーゼ遺伝子α相補性粒子とインフレームであることが見いださ れた。上記のように、活性および基質特異性について上昇した場合、plr-Tp2は 、少量の(-)-ラリシレシノールもまた検出されたことを除いて、本来のForsythi aintermediaレダクターゼ(Dinkova-Kostova,A.T.,ら、J.Biol.Chem.271:29473 -29482(1996))と同じ基質特異性および産物形成を有することが見いだされた。 これは興味深い、なぜなら、plr-Tp2は、Forsythiaレダクターゼに対するよりも 、plr-Tp1に対して、より高度な配列類似性を有するからである。 全ての上記の観察を、重水素標識化基質(±)-[9,9'-2H2,OC2H3]ピノレシノー ルを用いて、対応するリグナンの単離とともに確認した;次いで、各々を、キラ ルカラムクロマトグラフィーおよび有PLC質量分析に供して、これらの知見を確 認した。 実施例16 Thuja plicata およびTsuga heterophyllaからの さらなるピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼのクローニング 2つのさらなるピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを、Thuja pl icata若い茎のcDNAライブラリーから、実施例15に記載のように、plr-Tp2のクロ ーニングのために、クローン化した。2つのさらなるピノレシノール/ラリシレ シノールレダクターゼを、plr-Tp3(配列番号65)およびplr-Tp4(配列番号67) と命名した。 2つのさらなるピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを、Tsuga he terophylla若い茎のcDNAライブラリーから、実施例15に記載のように、plr-Tp2 のクローニングのために、クローン化した。Tsuga heterophyllaからの2つのさ らなるピノレシノール/ラリシレシノールレダクターセを、plr-Tp3(配列番号6 9)およびplr-Tp4(配列番号71)と命名した。 本発明の好ましい実施態様が、例示および記載されているが、種々の変更が、 本発明の精神および範囲から逸脱せずに本明細書中においてなされ得ることは明 らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/02 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 デイビン,ローレンス ビー. アメリカ合衆国 ワシントン 99163,プ ルマン,エヌ.イー.アパー ドライブ 1710 (72)発明者 ディンコバ―コストバ,アルベナ ティ ー. アメリカ合衆国 メリーランド 21210, ボルチモア,ダブリュー.ユニバーシティ パークウェイ 116,ブロードビュー アパートメンツ ナンバー1025 (72)発明者 藤田 政之 アメリカ合衆国 ワシントン 99163,プ ルマン,エヌ.ダブリュー.アンソニー ナンバー3 215 (72)発明者 ガン,デイビッド アール. アメリカ合衆国 ワシントン 99163,プ ルマン,ビー―4,エス.イー.クレムガ ード アベニュー 921 (72)発明者 サルカネン,シモ アメリカ合衆国 ミネソタ 55406,ミネ アポリス,39ティーエイチ アベニュー エス.4051 【要約の続き】 ノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの組換え 発現のための系および方法が提供される。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ディリジェントタンパク質およびピノレシノール/ラリシレシノールレダク ターゼからなる群より選択されるリグナン生合成経路から単離されたタンパク質 であって、ここで、該単離されたタンパク質がピノレシノール/ラリシレシノー ルレダクターゼである場合、該単離されたタンパク質が少なくとも51nmolh-1mg- 1 の酵素活性を有する、単離されたタンパク質。 2.ディリジェントタンパク質の生物学的活性を有する、請求項1に記載の単離 されたタンパク質。 3.Forsythiaからのディリジエントタンパク質の生物学的活性を有する、請求 項2に記載の単離されたタンパク質。 4.Forsythia intermediaからのディリジエントタンパク質の生物学的活性を有 する、請求項3に記載の単離されたタンパク質。 5.Tsugaからのディリジェントタンパク質の生物学的活性を有する、請求項2 に記載の単離されたタンパク質。 6.Tsuga heterophyllaからのディリジェントタンパク質の生物学的活性を有す る、請求項5に記載の単離されたタンパク質。 7.Thujaからのディリジェントタンパク質の生物学的活性を有する、請求項2 に記載の単離されたタンパク質。 8.Thuja plicataからのディリジェントタンパク質の生物学的活性を有する、 請求項7に記載の単離されたタンパク質。 9.配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、および35からなる 群より選択されるディリジェントタンパク質の生物学的活性を有する、請求1に 記載の単離されたタンパク質。 10.ピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの生物学的活性を有する 、請求項1に記載の単離されたタンパク質。 11.Forsythiaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの生物 学的活性を有する、請求項10に記載の単離されたタンパク質。 12.Forsythia intermediaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクタ ーゼの生物学的活性を有する、請求項11に記載の単離されたタンパク質。 13.Tsugaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの生物学的 活性を有する、請求項10に記載の単離されたタンパク質。 14.Tsuga heterophyllaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクター ゼの生物学的活性を有する、請求項13に記載の単離されたタンパク質。 15.Thujaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの生物学的 活性を有する、請求項10に記載の単離されたタンパク質。 16.Thuja plicataからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの 生物学的活性を有する、請求項15に記載の単離されたタンパク質。 17.配列番号48、50、52、54、56、58、62、64、66、68、70、および72からな る群より選択されるピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの生物学的 活性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質。 18.ディリジェントタンパク質をコードする、単離されたヌクレオチド配列。 19.Forsythia種からのディリジェントタンパク質をコードする、単離された ヌクレオチド配列。 20.Forsythia intermediaからのディリジェントタンパク質をコードする、請 求項19に記載のヌクレオチド配列。 21.配列番号13または配列番号15の生物学的活性を有するタンパク質をコード する、単離されたヌクレオチド配列。 22.配列番号13または配列番号15のアミノ酸配列をコードする、請求項19に 記載の単離されたヌクレオチド配列。 23.配列番号12または配列番号14の配列を有する、請求項19に記載の単 離されたヌクレオチド配列。 24.Tsuga種からのディリジェントタンパク質をコードする、単離されたヌク レオチド配列。 25.Tsuga heterophyllaからのディリジェントタンパク質をコードする、請求 項24に記載のヌクレオチド配列。 26.配列番号17または配列番号19の生物学的活性を有するタンパク質をコード する、単離されたヌクレオチド配列。 27.配列番号17または配列番号19のアミノ酸配列コードする、請求項24に記 載の単離されたヌクレオチド配列。 28.配列番号16または18の配列を有する、請求項24に記載の単離されたヌク レオチド配列。 29.Thuja種からのディリジェントタンパク質をコードする、単離されたヌク レオチド配列。 30.Thuja plicataからのディリジェントタンパク質をコードする、請求項2 9に記載のヌクレオチド配列。 31.配列番号21、23、25、27、29、31、33、または35のいずれか1項に記載の 生物学的活性を有するタンパク質をコードする、単離されたヌクレオチド配列。 32.配列番号21、23、25、27、29、31、33、または35のいずれか1項に記載の アミノ酸配列をコードする、請求項29に記載の単離されたヌクレオチド配列。 33.配列番号20、22、24、26、28、30、32、または34のいずれか1項に記載の 配列を有する、請求項29に記載の単離されたヌクレオチド配列。 34.Forsythia種からのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコ ードする、単離されたヌクレオチド配列。 35.Forsythia intermediaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクタ ーゼをコードする、請求項34に記載のヌクレオチド配列。 36.配列番号48、50、52、54、56、または58のいずれか1項に記載の生物学的 活性を有するタンパク質をコードする、単離されたヌクレオチド配列。 37.配列番号48、50、52、54、56、または58のいずれか1項に記載のアミノ酸 配列コードする、請求項34に記載の単離されたヌクレオチド配列。 38.配列番号47、49、51、53、55、または57のいずれか1項に記載の配列を有 する、請求項34に記載の単離されたヌクレオチド配列。 39.Thuja種からのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコード する、単離されたヌクレオチド配列。 40.Thuja plicataからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼを コードする、請求項39に記載のヌクレオチド配列。 41.配列番号62、64、66、または68のいずれか1項に記載の生物学的活性を有 するタンパク質をコードする、単離されたヌクレオチド配列。 42.配列番号62、64、66、または68のいずれか1項に記載のアミノ酸配列をコ ードする、請求項39に記載の単離されたヌクレオチド配列。 43.配列番号61、63、65、または67のいずれか1項に記載の配列を有する、請 求項39に記載の単離されたヌクレオチド配列。 44.Tsuga種からのピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼをコード する、単離されたヌクレオチド配列。 45.Tsuga heterophyllaからのピノレシノール/ラリシレシノールレダクター ゼをコードする、請求項44に記載のヌクレオチド配列。 46.配列番号70または配列番号72の生物学的活性を有するタンパク質をコード する、単離されたヌクレオチド配列。 47.配列番号70または配列番号72のアミノ酸配列をコードする、請求項44に 記載の単離されたヌクレオチド配列。 48.配列番号69または配列番号71の配列を有する、請求項44に記載の単 離されたヌクレオチド配列。 49.配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、および35からな る群より選択されるディリジェントタンパク質の生物学的活性を有するタンパク 質をコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能発現ベクター。 50.配列番号48、50、52、54、56、58、62、64、66、68、70、および72からな る群より選択されるピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼの生物学的 活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能発現ベ クター。 51.請求項49に記載のベクターを含む、宿主細胞。 52.請求項50に記載のベクターを含む、宿主細胞。 53.適切な宿主細胞においてピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ の発現を増強する方法であって、該宿主細胞に、配列番号48、50、52、54、56、 58、62、64、66、68、70、および72からなる群より選択されるタンパク質の生物 学的活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター を導入する工程を包含する、方法。 54.適切な宿主細胞においてピノレシノール/ラリシレシノールレダクターゼ の発現を改変する方法であって、該宿主細胞に、配列番号47、49、51、53、55、 57、61、63、65、67、69、および71からなる群より選択される核酸分子の全てま たは一部に相補的であるRNAを発現するヌクレオチド配列を含む発現ベクターを 導入する工程を包含する、方法。 55.適切な宿主細胞においてディリジェントタンパク質の発現を増強する方法 であって、該宿主細胞に、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、 33、および35からなる群より選択されるタンパク質の生物学的活性を有するタン パク質をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを導入する工程を包含 する、方法。 56.適切な宿主細胞においてディリジェントタンパク質の発現を改変する方法 であって、該宿主細胞に、配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、 32、および34からなる群より選択される核酸分子の全てまたは一部に相補的であ るRNAを発現するヌクレオチド配列を含む発現ベクターを導入する工程を包含す る、方法。 57.光学的に純粋なリグナンを産生する方法であって、光学的に純粋なリグナ ンを産生するために、二分子フェノキシカップリング反応を指向し得るディリジ ェントタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを宿主細胞 に導入する工程、および該光学的に純粋なリグナンを該宿主細胞から精製する工 程を包含する、方法。 58.前記ヌクレオチド配列が、配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、28 、30、32、および34からなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
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