【発明の詳細な説明】
白血病関連遺伝子 技術分野
本発明は、白血病において発現している核酸分子及びコードされているポリペ
プチドに関する。この核酸分子とコードされるポリペプチドは、とりわけ診断及
び治療用途に有用である。
発明の背景
ガン細胞をその対応する正常細胞から区別するフェノタイプ変化は、通常、細
胞のゲノムへの1又は2以上の変化の結果による。腫瘍細胞中では発現している
が、対応する正常細胞では発現していない遺伝子は、“腫瘍特異的”遺伝子と呼
ぶことができる。これらの腫瘍特異的遺伝子は、腫瘍フェノタイプのためのマー
カーである。腫瘍特異的遺伝子の発現は、腫瘍形成の過程における本質的な現象
でもある。
典型的には、ホストは、正常の非腫瘍形成細胞において発現されていない腫瘍
特異的遺伝子を、異物として認識する。従って、腫瘍特異的遺伝子の発現は、ホ
ストによる腫瘍細胞に対する免疫応答を引き起こす。また、腫瘍特異的遺伝子は
、免疫応答を引き起こすことなく、いくつかの組織内で正常細胞で発現され得る
。そのような組織内では、遺伝子の発現及び/又は細胞表面上のタンパク産物の
通常に免疫学的に認識可能なフラグメントの存在は、免疫系がこれらの免疫学的
な特権組織内の細胞を“見ない”ので、免疫応答を引き起こすことができない。
免疫学的な特権組織の例は、脳及び睾丸を含む。
遺伝子の腫瘍特異的発現の発見は、腫瘍細胞のような細胞の識別の手段を提供
する。診断用化合物は、腫瘍特異的遺伝子を基本とすることができ、そして腫瘍
細胞の存在と場所を同定するために使用することができる。さらに、腫瘍特異的
遺伝子が腫瘍フェノタイプ(例えば無制御な増殖又は転移)に寄与する場合には、
腫瘍特異的遺伝子は、そのような遺伝子発現を減少させるか、又は実質的に除去
し、その結果、特定の腫瘍特異的遺伝子の発現に依存するフェノタイプの態様を
減少させるか、又は実質的に除去するアンチセンスのような治療薬を提供するた
めに使用することができる。
以前から知られているように、腫瘍特異的遺伝子のポリペプチド産物は、ホス
トの免疫監視のターゲットとなることができ、腫瘍特異的遺伝子産物に特異的な
細胞傷害性Tリンパ球の1又は2以上のクローンの選択及び増殖を引き起こす。
この現象の例には、以下に詳述するように、MAGEファミリーの遺伝子群、チロシ
ナーゼ遺伝子、Melan-A遺伝子、BAGE遺伝子、GAGE遺伝子、RAGEファミリーの遺
伝子群、PRAME遺伝子及び脳グリコーゲンホスホリラーゼ遺伝子によりコードさ
れるタンパク及びそれらのフラグメントが含まれる。従って、遺伝子の腫瘍特異
的発現は、そのような遺伝子が、異物として免疫系により認識されるであろうタ
ンパクをコードすることができることを示唆しており、そしてこのため腫瘍拒絶
のためのターゲットを提供する。そのような遺伝子は、そのような遺伝子及びタ
ンパクを発現している腫瘍に対する免疫系の応答の増強のための治療薬を製造す
るために使用することができる“腫瘍拒絶抗原前駆体”、又はTRAPをコードする
。異物又は外来物質を認識し、そして応答するほ乳動物の免疫系のプロセスは、
複雑なプロセスである。免疫系の重要なファセットは、T細胞応答である。この
応答は、T細胞が、ペプチドとヒト白血球付随抗原("HLA")又は主要組織適合性遺
伝子複合体("MHCs")と呼ばれる細胞表面分子との複合体を認識し、それと相互作
用することを必要とする。該ペプチドは、HLA/MHC分子を提示する細胞により切
断される、より大きな分子に由来する。この点については、Male等によるAdvanc ed Immunology(J.P.Lipincott Company,1987)、特に6章から10章を参照され
たい。T細胞とHLA/ペプチドの複合体の相互作用は厳密であり、HLA分子とペプ
チドの特定の組み合わせに対して特異的なT細胞を必要とする。特異的T細胞が
存在しない場合には、そのパートナー複合体が存在したとしてもT細胞応答は起
こらない。同様に、特異的複合体が存在しないが、T細胞が存在する場合にも応
答は起こらない。そのメカニズムは、自己免疫疾患、細胞の異常に対する応答に
おける、及び外部物質に対する免疫システムの応答にも関与する。タンパクが、
HLA結合ペプチドに切断されるメカニズムに焦点を当てた多くの研究がなされて
きた。
この点に関しては、Barinaga,Science 257:880,1992;Fremont et al.,Scienc
e 257:919,1992;Matsumura et al.,Science 257:927,1992;Latron et a
l.,Science 257:964,1992を参照されたい。
細胞の異常を認識するT細胞によるメカニズムは、癌にも関連する。例えば199
2年5月22日に出願され、1992年11月26日に公開され、引用により本開示に取り
込まれるPCT出願PCT/US/92/04354には、ペプチドに切断され、順次、細胞表面に
提示され、特異的CTLにより腫瘍細胞の溶解を導くことができる遺伝子のファミ
リーが開示されている。該遺伝子は、“腫瘍排除抗原前駆体”又は“TRAP”分子
をコードするといわれ、そしてこれらから誘導されるペプチドは、“腫瘍排除抗
原”又は“TRAs”と呼ばれる。このファミリーの遺伝子群のさらなる情報に関し
ては、Traversari等によるJ.Exp.Med.176;1453-1457 1992;van der Bruggen
等によるScience 254:1643,1991;De Plaen等によるImmunogenetics 40:360-369
,1994を参照されたい。又1991年12月12日に出願された米国特許出願第807,043号
、米国特許第5,342,774号も参照されたい。
引用により本開示に取り込まれる、米国特許出願第938,334号、米国特許5,405
,940号には、HLA-A1分子により提示されるノナペプチドが教示されている。特定
のHLA分子に対する特定のペプチドの特異性が知られている場合、あるHLA分子に
結合し、他のHLA分子に結合しない特定のペプチドを知ることができる。これは
、異なる個体が、異なるHLA表現型を有することから重要である。結果として、
ある特異的HLA分子のパートナーになるような特定のペプチドの同定は診断及び
治療的用途を有するものの、その特定のHLA表現型を有する個体にのみ意味があ
ることになる。細胞の異常は、1つの特定のHLA表現型に拘束されないので、こ
の分野ではさらなる研究が必要であり、またターゲットセラピーは、組織におけ
る異常細胞の表現型についての知識を必要としている。
1993年1月22日に出願され、引用により取り込まれる米国特許出願第008,446
号では、MAGE-1発現産物が第二のTRAに切断されるという事実が開示されている
。この第二のTRAは、HLA-C*1601としても知られるHLA-Cw16分子により提示され
る。この開示は、得られたTRAPは複数のTRAを生じることを示している。
1992年12月22日に出願され、ここに引用により取り込まれる米国特許出願第
994,928号では、チロシナーゼが、腫瘍排除抗原前駆体として、記載されている
。この文献は、いくつかの正常細胞(例えばメラノサイト)により産生される分子
が、HLA-A2分子により提示される腫瘍排除抗原を生成するように、腫瘍細胞中で
切断されることを開示している。
そのすべてが引用によりここに取り込まれる、米国特許出願第08/032,978号、
米国特許5,620,886号では、チロシナーゼから誘導されない、第二のTRAがHLA-A2
分子により提示されていることを教示している。該TRAは、TRAPから誘導される
が、公知のMAGE遺伝子によりコードされていない。この開示は、特定のHLA分子
は異なる源から誘導されるTRAを提示することができることを示している。
“BAGE腫瘍排除抗原前駆体をコードする単離された核酸分子”という名称の米
国特許出願第079,110号、現在の米国特許5,571,711号及び1994年2月15日に出願
され、“MHC分子HLA-C-クローン10と複合体を形成する単離されたペプチド及び
それらの使用”という名称で、引用によりその全ての開示がここに取り込まれる
出願番号第196,630号には、“BAGE”前駆体と呼ばれる関連のない腫瘍排除抗原
が記載されている。TRAがTRAPから誘導されることも記載されている。それらはM
HC分子HLA-C-クローン10と複合体を形成する。
1993年7月22日に出願され、“GAGE腫瘍排除抗原前駆体をコードする単離され
た核酸分子”という名称の米国特許出願第096,039号及び“GAGE腫瘍排除抗原前
駆体の発現を同定することにより疾病を診断するための方法”という名称で、引
用によりその全開示がここに取り込まれる、出願番号第250,162号、米国特許第5
,610,013号では、“GAGE”前駆体と呼ばれる他の関連しない腫瘍排除抗原前駆体
が記載されている。GAGE前駆体は、BAGE又はMAGEファミリーと関連しない。
1995年3月21日に出願され、“RAGE腫瘍排除抗原前駆体”という名称で、その
全てが引用によりここに取り込まれる米国特許出願08/408,015号では、前記遺伝
子のいずれからも誘導されない他のTRAPを教示している。該TRAPは、RAGEと呼ば
れる。1995年9月20日に出願され、“HLA-B7分子と複合体を形成する単離された
RAGE-1由来のペプチド及びその使用”という名称であり、引用によりここに取り
込まれる米国特許出願第08/530,015号では、RAGEファミリーの遺伝子から誘
導されたTRAは、HLA-B7により提示されることを教示する。この開示は、異なる
源からさらなるTRAPs及びTRAsを誘導することができることを示している。引用
によりその全てがここに取り込まれる米国特許出願第08/253,503号、現在の米国
特許第5893334号“HLA-B44によって提示される抗原に切断される腫瘍排除抗原前
駆体をコードする、単離された核酸分子”には、前記遺伝子のいずれにも由来し
ない他のTRAPが教示されている。TRAPをコードするこの遺伝子は、MUM-1と呼ば
れる。この出願には腫瘍排除抗原、LB-33Bが記載されている。
1995年1月17日に出願され、“HLA分子により提示される抗原に切断される腫
瘍排除抗原前駆体をコードする単離された核酸分子及びそれらの使用”という名
称であって、その全てが引用によりここに取り込まれる、米国特許出願第08/373
,636号には、、LB33から誘導され、そしてHLA-B13、HLA-Cw6、HLA-A28及びHLA-A
24により提示される他のTRAPが教示されている。
1996年4月11に公開され、“腫瘍排除抗原前駆体DAGE及びそれらの使用”とい
う名称であり、その全てが引用によりここに取り込まれるPCT出願公開WO96/1057
7には、いかなる前記の遺伝子にも由来しない他のTRAPが、教示されている。該T
RAPは、DAGEと呼ばれていたが、現在ではPRAMEと呼ばれている。腫瘍排除抗原は
、HLA-A24により提示されることが明細書中に記載されている。
1995年6月7日に出願され、“単離された核酸分子、MHC分子HLA-A2と複合体
を形成するペプチド及びそれらの使用”という名称であり、その全てが引用によ
りここに取り込まれる、米国特許出願第08/487,135号では、いかなる前記の遺伝
子からも由来しないこと他のTRAPを教示している。該TRAPは、NAGと呼ばれる。
種々のTRAがNAGから誘導され、HLA-A2により提示されることを本明細書中で教示
している。
“MAGE-Xpファミリーのメンバーである単離された核酸分子及びそれらの使用
”という名称であり、その全てが引用によりここに取り込まれる米国特許出願第
08/403,388号、現在の米国特許第5,587,289号では、いかなる前記の遺伝子にも
由来しない3つのTRAPが、教示されている。これらのTRAPは、MAGE-Xp2、MAGE-X
p3及びMAGE-Xp4と呼ばれる。
上記の文献、特許、特許明細書により示される仕事は、大部分が、MAGEファミ
リーの遺伝子、BAGE遺伝子、GAGE遺伝子及びRAGEファミリーの遺伝子に関する。
1996年6月25に出願され、“脳グリコーゲンホスホリラーゼ癌抗原”という名
称であり、その全てが引用によりここに取り込まれる米国特許出願第08/672,351
号には、いかなる前記の遺伝子にも由来しない他のTRAPが教示されている。この
TRAは、脳内及びレチナール色素上皮で正常に発現している遺伝子であった。脳
グリコーゲンホスホリラーゼ遺伝子が、メラノーマ細胞中で発現され、そして腫
瘍排除抗原及びそれらの前駆体をコードしていることが見出された。ここにさら
なる遺伝子が、白血病細胞中に、腫瘍に関連するパターンで同様に発現している
ことが見出された。
腫瘍排除抗原前駆体をコードすると信じられているこれら3つの遺伝子は、一
般に白血病関連遺伝子と呼ばれる。これらの遺伝子は、MAGEファミリーの遺伝子
、BAGE遺伝子、GAGE遺伝子、RAGEファミリーの遺伝子、LB33/MUM-1遺伝子、NAG
遺伝子、MAGE-Xpファミリーの遺伝子又はグリコーゲンホスホリラーゼ遺伝子に
対してホモロジーを示さない。遺伝子のうち2つは、白血病関連の細胞で発現す
ることが今まで知られていなかった、公知の遺伝子である。遺伝子の1つは、未
知の遺伝子である。従って本発明は、特定の白血病細胞で特異的に発現している
遺伝子、そのような遺伝子によりコードされている腫瘍排除抗原前駆体に関し、
並びに関連する分子及びこれらの種々の実体の応用にも関する。
本発明は、以下の開示でさらに詳述される。
発明の要約
本発明は、白血病関連ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
本発明はまた、これらの分子を含む発現ベクター及びこれらの分子でトランスフ
ェクトしたホストセル、並びに白血病関連核酸分子によりコードされる単離され
たポリペプチド及び単離されたポリペプチドのフラグメントにも関する。前記の
分離された核酸分子及びポリペプチドは、白血病関連遺伝子の発現により特徴付
けられる状態の診断又は治療に使用することができる。
本発明の1つの側面によると、白血病関連核酸及び白血病関連ポリペプチドの
発現により特徴付けられる疾病を診断する方法が提供される。該方法は、対象か
ら単離された生物学的サンプルを、白血病関連核酸分子又はそれらの発現産物に
特異的な試薬と接触させることを含む。いくつかの態様では、白血病関連核酸分
子は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、及び配列番号:7からなる群か
ら選択される1つのヌクレオチド配列を有する分子に対して、ストリンジェント
な条件下でハイブリダイズする。これらのいくつかの態様では、白血病関連核酸
は、任意に白血病関連ポリペプチドをコードする。他の態様では、該試薬は、抗
体、細胞傷害性Tリンパ球、ポリペプチド、及びそれらに類するもののように、
白血病関連遺伝子に対して選択的に結合する結合試薬である。該方法は、疾病の
同定として、試薬と核酸分子又はそれらの発現産物との相互作用又は結合を同定
することをさらに含む。好適な態様では、該試薬は、配列番号:1、配列番号:3
、配列番号:5、配列番号:7、それらのフラグメント、及びそれらの相補鎖から
なる群から選択される1つのヌクレオチド配列を有する分子を含む核酸である。
いくつかの態様では、該試薬と該核酸分子との相互作用は、該核酸分子の少なく
とも一部を増幅することにより同定される。他の好ましい態様では、白血病関連
ポリペプチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8及びそ
れらのフラグメントからなる群から選択される1つのアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドを含む。特に好適な態様では、白血病関連ポリペプチドに結合する試薬
は、抗体である。前記態様では、生物学的サンプルは、好ましくは非胎児脳組織
、非肥満細胞組織、又は非胎児睾丸組織から分離される。前記態様のいくつかで
は、白血病関連核酸及びポリペプチドは、前記配列の断片である。
白血病関連ポリペプチドから誘導されるペプチドがHLA分子により提示され、
そしてCTLにより認識されることができるという認識は、いくつかの疾病の診断
を可能にする。従って本発明の他の側面によると、白血病関連ポリペプチドに由
来する腫瘍排除抗原の発現により特徴付けられる疾病を診断するための方法を提
供する。該方法は、対象から分離された生物学的サンプルを、白血病関連遺伝子
に由来する腫瘍排除抗原に特異的な試薬と結合させることを含む。そして該方法
は、疾病の同定として、試薬と白血病関連ポリペプチドに由来する腫瘍排除抗原
との相互作用を同定することを提供する。いくつかの態様では、白血病関連ポリ
ペプチドに由来する腫瘍排除抗原は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6
又は配列番号:8のフラグメントのアミノ酸配列を含む。好適な態様では、腫瘍
排除抗原は、前記配列の7から100の間の連続アミノ酸を含む。好ましくは、生
物学的サンプルは、非胎児脳、非肥満細胞又は非胎児睾丸組織から分離される。
ある態様では、試薬は抗体である。
上記の方法は、白血病関連TRAの存在に基づく、疾病の診断を提供する。本発
明の他の側面は、HLA分子と複合体を形成する白血病関連ポリペプチドに由来す
る腫瘍排除抗原の発現により特徴付けられる疾病を診断する方法を提供する。該
方法は、疾病の同定として、対象から単離された生物学的サンプルを、複合体を
結合する試薬と接触させ、そして複合体と試薬の間の結合を同定することを含む
。一態様では、白血病関連ポリペプチドに由来する腫瘍排除抗原は、配列番号:
2、配列番号:4、配列番号:6又は配列番号:8のフラグメントのアミノ酸を含む
ペプチドである。好適な態様では、腫瘍排除抗原は、前記配列の7から100の間
の連続アミノ酸を含む。好ましくは、生物学的サンプルは、非胎児脳、非肥満細
胞、又は非睾丸組織から分離される。ある態様では、試薬は抗体である。
疾病の診断に加えて、いくつかの疾病の治療も望ましい。本発明の他の側面に
よると、白血病関連核酸又はポリペプチドの発現により特徴付けられる疾病を有
する対象を治療するための方法を提供する。該方法は、疾病を緩和するために、
白血病関連核酸又はポリペプチドの発現を減少させる試薬を、対象に投与するこ
とを含む。試薬は適用量で投与される。いくつかの態様では、白血病関連核酸又
はポリペプチドは、腫瘍排除抗原であり、そして該方法は、疾病を緩和するのに
十分な、HLAと配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5及び配列番号:7からな
る群から選択される1つの核酸分子によりコードされる白血病関連ポリペプチド
に由来する腫瘍排除抗原の複合体の存在を、対象の中で選択的に増殖させる試薬
の量を対象に投与することを含む。好ましくは白血病関連ポリペプチドから誘導
される腫瘍排除抗原は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6又は配列番号
:8のポリペプチドに由来するペプチドである。他の方法は、疾病を緩和するた
めに十分な量の自己細胞傷害性T細胞を、そのような治療が必要な対象に投与す
ることを含み、ここで自己細胞傷害性T細胞は、HLA分子と白血病関連ポリペプチ
ドに由来する腫瘍排除抗原の複合体に特異的である。好ましくは、複合体はHLA
と上記のようないくつかの白血病関連ペプチドから形成される。他の態様では、
白血病関連核酸又はポリペプチドは核酸であり、そして試薬はアンチセンス核酸
である。アンチセンス核酸は、好ましくは配列番号:1、配列番号:3、配列番号
:5、配列番号:7及びそれらのフラグメントからなる群から選択される白血病関
連遺伝子に対してハイブリダイズする。
本発明の他の側面によると、組成物が提供される。組成物は、配列番号:1、
配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7及びそれらのフラグメントからなる群
から選択される1つの白血病関連核酸に結合するアンチセンス核酸を含む。アン
チセンス核酸は、白血病関連遺伝子の発現を減少させる。組成物は、医薬的に受
容可能な担体をも含む。
他の側面における本発明は、白血病関連ポリペプチド前駆体の発現の存在を同
定するためのキットを含む。そのようなキットは、分離したコンテナに単離され
た上記の核酸の1又は2以上を使用し、そして単一パッケージに詰められる。そ
のようなキットの1つにおいて、単離された核酸分子のペアが提供され、ペアの
それぞれは、配列番号:1の12-32ヌクレオチド連続セグメント及びそれらの相補
鎖、配列番号:3の12-32ヌクレオチド連続セグメント及びそれらの相補鎖、配列
番号:5の12-32ヌクレオチド連続セグメント及びそれらの相補鎖、配列番号:の
12-32ヌクレオチド連続セグメント及びそれらの相補鎖であり、該連続セグメン
トはオーバーラップしていない。好ましくは、単離された核酸分子のペアは、配
列番号:1の核酸配列、配列番号:3の核酸配列、配列番号:5の核酸配列、配列
番号:7の核酸配列、遺伝コードの縮重による上記のコドン配列とは異なる核酸
分子及びそれらの相補鎖からなる群から選択される分子に対して、ストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズする単離された核酸分子の少なくとも一部を選択
的に増幅するために、構成され、そして配列される。いくつかの態様では、単離
された核酸のペアはPCRプライマーである。好ましくはプライマーの一方は、配
列番号:1の連続セグメントであり、そしてプライマーの他方は、配列番号:1の
他の連続セグメントの相補鎖である。他の好適態様では、プライマーの一方は、
配列番号:3の連続セグメントであり、そしてプライマーの他方は、配列番号:3
の他の連続セグメントの相補鎖である。さらに他の態様では、プライマーの一方
は、配列番号:5の連続セグメントであり、そしてプライマーの他方は、配列番
号:5の他の連続セグメントの相補鎖である。さらに他の好適な態様では、プラ
イマーの一方は、配列番号:7の連続セグメントであり、そしてプライマーの他
方は、配列番号:7の他の連続セグメントの相補鎖である。他の側面における本
発明は、前記パラグラフの試薬及び/又は細胞を含む医薬製剤を提供する。一態
様では、製剤は、医薬的に許容される希釈剤、担体又は補助剤を伴うプレプロTR
H、トリプターゼ-L、Oct-1又はそれらのフラグメントを、医薬的に適用量で含む
。他の態様では、製剤は、HLA分子とプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-1か
ら誘導される腫瘍排除抗原の複合体に特異的な自己細胞傷害性T細胞を、医薬的
に適用量で含む。
本発明の他の側面によると、薬剤の製造における単離されたプレプロTRH、ト
リプターゼ-L、Oct-1又はそれらのフラグメントの使用を提供する。
本発明の他の側面によると、癌の治療のための薬剤の製造において、アンチセ
ンスを含む、単離されたプレプロTRH、トリプターゼ-L、Oct-1又はそれらのフラ
グメントの使用が提供される。
本発明のさらに他の側面によると、単離された核酸分子が提供される。該分子
は、配列番号:3又は配列番号:5からなる群から選択される1つのヌクレオチド
配列を有する核酸に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
単離された核酸分子は、白血病関連ポリペプチド前駆体であり、そしてトリプタ
ーゼ-L白血病関連ポリペプチドをコードする。本発明は、遺伝コードの縮重に対
するコドン配列について、前記の単離された核酸とは異なる核酸分子を包含する
。本発明は、前記核酸の相補鎖をも包含する。好適な態様では、単離された核酸
は、配列番号:3又は配列番号:5の核酸を含む。特に好適な態様では、単離され
た核酸分子は、前記核酸のコード領域を含む。
本発明の他の側面によると、単離された核酸分子は、配列番号:3の487-1499
ヌクレオチドのユニークフラグメント又は長さが12から1012の間の配列番号:5の
ヌクレオチド、長さが12から109の間のヌクレオチドの配列番号:5の1665-1774
ヌクレオチドのユニークフラグメント及びそれらの相補鎖からなる群から選択さ
れる1つの分子を含むものを提供する。好適な態様では、ユニークフラグ
メントは、前記の少なくとも14、15、16、17、18、20又は22連続ヌクレオチドで
ある。他の態様では、単離された核酸分子は、前記の12から32の間のヌクレオチ
ドからなる。
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、発現ベクター、及び上記の核酸
分子を含むそのような発現ベクターでトランスフォーム又はトランスフェクトさ
れたホストセルを含む。発現ベクターは、HLA分子をコードする核酸分子を任意
に含む。当然、HLAをコードする核酸分子を、分離発現ベクター中に含んでいる
こともできる。前記発現ベクターでトランスフォーム又はトランスフェクトされ
たホストセルも提供する。
本発明の他の側面によると、単離されたトリプターゼ-Lポリペプチドは、配列
番号:3の核酸配列、配列番号:5の核酸配列、遺伝コードの縮重により前記の核
酸分子から誘導される核酸分子、及び前記核酸分子のいずれかの相補鎖を有する
分子に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコー
ドされるものを提供する。
本発明のさらに他の側面によると、単離されたポリペプチドは、配列番号:4
のユニークフラグメント又は長さが9から189の間の配列番号:6のアミノ酸を含
むものを提供する。好ましくは単離されたポリペプチドのユニークフラグメント
は、ポリペプチド結合試薬に対して結合する。他の好適態様では、単離されたポ
リペプチドのユニークフラグメントは、抗体又は細胞傷害性Tリンパ球に対して
結合する。
本発明はまた、トリプターゼ-Lタンパク又はそれらのフラグメントに選択的に
結合する単離されたポリペプチドを提供する。単離された結合ポリペプチドは、
抗体及び抗体のフラグメント(例えばFab、F(ab)2、Fd及び本発明のトリプターゼ
-Lタンパクに選択的に結合するCDR3領域を含む抗体フラグメント)を含む。単離
された結合ポリペプチドは、モノクローナル抗体を含む。
上記のような白血病関連ポリペプチド、特に白血病関連ポリペプチドに由来す
る腫瘍排除抗原をコードするいずれかの核酸に関連して、本発明は、遺伝コード
の縮重によってのみコドン配列において単離された核酸と異なる縮重核酸又は前
記核酸のいずれかの相補鎖をも包含する。
本発明は、上記分子の全ての機能的誘導体及び均等体をも包含する。
本発明のこれらの課題及び他の課題は、発明の詳細な説明において、さらに詳
細に記載されるであろう。
図面の簡単な説明
図1は、プレプロTRHの配列を示す簡略図である。
図2は、トリプターゼ-Lクローンの配列を示す簡略図である。
図3は、トリプターゼ-LクローンとトリプターゼI遺伝子の関連を示す簡略図
である。
図4は、Oct-T1/SIAX DP2-64 cDNAクローンを示す簡略図である。
図5は、Oct-T1/SIAX DP2-64のCHM 329-2/15クローンを示す簡略図である。
図6は、Oct-T1/SIAX DP2-64のCHM 329-2/15クローンの配列を示す簡略図であ
る。
配列の簡単な説明
配列番号:1は、プレプロTRH遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号:2は、プレプロTRHによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列
である。
配列番号:3は、トリプターゼ-L遺伝子クローンNVB352/1のヌクレオチド配列
である。
配列番号:4は、トリプターゼ-L遺伝子クローンNV352/1によりコードされるポ
リペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:5は、トリプターゼ-L遺伝子クローンNVB352/3のヌクレオチド配列
である。
配列番号:6は、トリプターゼ-L遺伝子クローンNV352/3によりコードされるポ
リペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:7は、SIAX DP2-64(Oct-T1)遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号:8は、SIAX DP2-64(Oct-T1)遺伝子によりコードされるポリペプチド
のアミノ酸配列である。
配列番号:9は、プレプロTRHの特異的PCR増幅のためのセンスプライマーで
ある。
配列番号:10は、プレプロTRHの特異的PCR増幅のためのアンチセンスプライマ
ーである。
配列番号:11は、トリプターゼ-Lの特異的PCR増幅のためのセンスプライマー
である。
配列番号:12は、トリプターゼ-Lの特異的PCR増幅のためのアンチセンスプラ
イマーである。
配列番号:13は、SIAX DP2-64(Oct-T1)の特異的PCR増幅のためのセンスプライ
マーである。
配列番号:14は、SIAX DP2-64(Oct-T1)の特異的PCR増幅のためのアンチセンス
プライマーである。
配列番号:15は、β-アクチンの特異的PCR増幅のためのセンスプライマーであ
る。
配列番号:16は、β-アクチンの特異的PCR増幅のためのアンチセンスプライマ
ーである。
発明の詳細な説明
以下の例は、ポリペプチドをコードし、そして悪性白血病で特異的に発現して
いる、すなわち白血病関連遺伝子である核酸分子の単離を示す。これらの単離さ
れた核酸分子は、プレプロTRH、トリプターゼ-L及びOct-T1をコードする核酸分
子を含む。特にトリプターゼ-L核酸は、上記の配列をコードしている以前に開示
されたトリプターゼ-Lとは異なる。従って、本発明の1つの側面は、配列番号:
3又は配列番号:5に記載のヌクレオチド配列の全て又はユニーク部分を含む単離
された核酸である。この配列、及び他の白血病関連遺伝子は、MAGE、BAGE、GAGE
、RAGE、LB33/MUM-1、PRAME、NAG、MAGE-Xp又は脳グリコーゲンホスホリラーゼ
配列のような、それらと引用文献中に記載された遺伝子配列を比較すればわかる
ように、以前より認識されていた腫瘍排除抗原前駆体をコードしない。
従って、本発明は、プレプロTRH、トリプターゼ-L及びOct-T1核酸、コードさ
れるポリペプチド、機能的修飾体及び前記のものの誘導体、前記のものの有用な
フラグメント、並びにそれらの関連する治療及び診断を含む。
本発明の1つの側面によると、白血病関連核酸及びポリペプチドの発現により
特徴付けられる疾病を診断するための方法が提供される。該方法は、生物学的サ
ンプル中の白血病関連核酸又はポリペプチドの存在を同定するために、対象から
分離された生物学的サンプルを白血病関連核酸又はポリペプチドに特異的な試薬
と接触させることを含む。ここで使用される、“接触させる”とは、生物学的サ
ンプル中に存在する白血病関連核酸又はポリペプチドと試薬との間の特異的な相
互作用を起こさせるために、試薬に対して十分近くに生物学的サンプルを配置し
、例えば濃度、温度、時間、イオン強度を適切な条件下に置くことを意味する。
一般に、試薬を生物学的サンプルと接触させるための条件は、分子とその同族(
例えばタンパクとその同族リガンド、抗体とその同族タンパク抗原、核酸とその
同族相補的配列)の間の特異的な相互作用を促進するために、当業者により周知
の条件である。分子とその同族物の特異的な相互作用を促進するための例示的な
条件は、Low等により公開された、米国特許第5,108,921号に記載されている。
該生物学的サンプルは、インビボ又はインビトロのいずれの状態におかれてい
てもよい。例えば生物学的サンプルは、インビボの造血組織であることができ、
そして白血病関連核酸又はペプチドに特異的な試薬は、造血組織中のそのような
分子の存在を同定ために使用することができる(例えば白血病関連遺伝子産物が
発現している造血組織の部位を画像化するため)。一方、生物学的サンプルをイ
ンビトロ(例えば血液サンプル、骨髄生検、組織抽出物)の状態であってもよい。
特に好適な態様では、生物学的サンプルは、細胞含有サンプルであることができ
、より好ましくは造血細胞を含有しているサンプルである。
また本発明の一部は、プレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1ポリペプチド
をコードする核酸配列及び配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5又は配列番
号:7に記載のヌクレオチド配列それぞれからなる核酸分子に対して、ストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列でもある。そのような核酸は、
白血病関連ポリペプチド前駆体と呼ばれ、そしてDNA、RNA、デオキシリボヌクレ
オチドとリボヌクレオチドの混合された構成であることができる。該白血病関連
ポリペプチド前駆体は、合成非天然ヌクレオチドをも含む。
従って本発明は、正常組織で以前に同定されているいくつかの他の白血病関連
核酸を包含する。白血病関連核酸又はポリペプチドは、白血病及びリンパ腫のよ
うな悪性白血病細胞で特異的に発現されている。正常及び白血病細胞で核酸及び
/又はポリペプチドの発現を同定するための種々の方法は、当業者に周知であり
、そしてさらに以下に記載される。ここで使用される、白血病関連ポリペプチド
は、タンパク、タンパクフラグメント及びペプチドを包含する。特に白血病関連
ポリペプチドは、TRAPs及びTRAsを含む。
ここでいう“ストリンジェントな条件(stringent condition)”という語は、
当該技術で周知のパラメーターを意味する。より具体的にはここで使用されるス
トリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーションバッファー(3.5×SSC、0.0
2%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%牛血清アルブミン、25mMN
aH2PO4(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションを意味
する。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7であり;SDS
は、ドデシル硫酸ナトリウムであり;そしてEDTAは、エチレンジアミン4酢酸で
ある。ハイブリダイゼーション後、DNAを転写するメンブランを室温で2×SSCで
洗浄し、そして65℃で0.1×SSC/0.1×SDSで洗浄する。SSCは、0.15M塩化ナトリ
ウム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムで
あり;そしてEDTAは、エチレンジアミン4酢酸である。
同程度のストリンジェントな条件となる、使用できる他の条件、試薬等がある
(例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook等、eds.,Secon
d Edition,Cold Spring Houbor Laboratory Press Cold Spring Harbor,New Y
ork,1989又はCurrent Protcols in Molecular Biology,F.M.Ausubel等、eds
.,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkを参照されたい)。当業者は、そのよう
な条件に習熟しているであろう、したがってそれらはここでは示さない。しかし
ながら、当業者は、本発明のトリプターゼ-L核酸分子のホモログ及び対立遺伝子
の明確な同定がなされる限り、条件を操作することができることが理解されよう
。当業者は、そのような分子の発現に対し、細胞、好ましくは癌細胞、及びライ
ブラリーをスクリーニングする方法に習熟しており、そのような分子は、次に、
定法により単離され、関連する核酸分子の単離と核酸分子のシーケンスが続いて
行われる。
一般的にホモログ及び対立遺伝子は、典型的には白血病関連核酸のコーディン
グ領域に対して、少なくとも40%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも50
%のアミノ酸同一性を有し、いくつかの例では、少なくとも50%のヌクレオチド
同一性及び/又は少なくとも65%のアミノ酸同一性を有し、さらに他の例では少
なくとも60%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも75%のアミノ酸同一性
を有するであろう。前記核酸のワトソン-クリック相補鎖も本発明に包含される
。
ここに開示された核酸は、標準的なハイブリダイゼーション法によるプレプロ
TRH、トリプターゼ-L及びOct-T1遺伝子の発現を同定するために有用である。該
核酸は、インビトロ又はインビボで白血病関連ポリペプチドを発現させるために
使用することもできる。該核酸はまた、例えば抗体の製造のために有用なポリペ
プチドのフラグメントを製造するために使用することもできる。他の多くの用途
は、当業者にとって自明であろう。トリプターゼ-Lファミリーメンバーのような
関連遺伝子のスクリーニングでは、サザンブロットは、放射活性プローブと共に
、前記条件を使用して行うことができる。核酸が最終的に転写されているメンブ
ランを洗浄した後、メンブランを、放射活性シグナルを同定するためにX線フィ
ルムに対しておくことができる。
本発明は、天然材料中に存在するものに対して変更されたコドンを含む縮重核
酸をも含む。例えばセリン残基は、TCA、AGT、TCC、TCG、TCT及びAGCコドンによ
りコードされる。6コドンのそれぞれは、セリン残基をコードすることについて
均等である。従ってセリン残基を組み込むために、いかなるセリンをコードする
ヌクレオチドトリプレットを、インビトロ又はインビボでタンパク合成機器に採
用させてもよいことは、一当業者にとっては自明であろう。同様に、他のアミノ
酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットは、CCA、CCC、CCG及びCCT(
プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGA及びAGG(アルギニンコドン);ACA、
ACC、ACG及びACT(スレオニンコドン);AAC及びAAT(アスパラギンコドン);及びA
TA、ATC及びATT(イソロイシンコドン)を含むが、これに限定されない。他のアミ
ノ酸残基は、多数のヌクレオチド配列により同様にコードされることができる。
従って、本発明は、遺伝コードの縮重により、コドン配列中に生物学的に
単離された核酸と異なる縮重核酸を包含する。
本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7又はそれら
の相補鎖の単離されたユニークフラグメントを提供する。ユニークフラグメント
は、より大きな核酸のための‘サイン’であるものである。例えば、その正確な
配列が、ここで定義のようなトリプターゼ-L以外の分子中に見出されないことを
保証するために十分な長さである。ユニークフラグメントは、ファミリーメンバ
ーを識別するためのサザンブロットアッセイのプローブとして使用することがで
き、またはPCRを使用するような増幅アッセイで使用することができる。当業者
にとって周知のように、200ヌクレオチド又はそれ以上のような大きなプローブ
はサザンブロットのようないくつかの使用のために好適であり、一方より小さな
フラグメントはPCRのような用途のために好適であろう。ユニークフラグメント
は、抗体を生成するため又は免疫アッセイ成分を生成するための融合タンパクを
製造するために使用することができる。ユニークフラグメントは、さらに本発明
の白血病関連核酸及びコードされるタンパクの発現を阻害するために、アンチセ
ンス分子として使用することができ、特に以下により詳細に記載されるような治
療目的に使用することができる。
当業者により認識されるであろうように、ユニークフラグメントのサイズは、
遺伝コードの保存性に依存する。従って、配列番号:1、配列番号:3、配列番号
:5、配列番号:7及びそれらの相補鎖のいくつかの領域は、ユニークであるため
にはより長いセグメントである必要があるであろう。一方、他の領域は典型的に
は、12から32の間のヌクレオチド(例えば12、13、14、15、16、17、18、19、20
、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31及び32ヌクレオチド長)の短い
領域のみが必要であろう。当業者は、非-ファミリーメンバーから興味ある配列
を選択的に区別するために、典型的にはユニークフラグメントの能力に基づいて
、そのような配列を選択するための方法に精通している。フラグメントの配列を
既知のデータベースのものと比較することが、必要なことのすべてであるが、イ
ンビトロ確認ハイブリダイゼーション及び配列分析を行うこともできる。
特異的な増幅のために構成され、配列されたPCRプライマーのいかなるペアに
ついても、例えばトリプターゼ-L核酸、トリプターゼ-L特異的プライマーを使用
することができる。そのようなプライマーは、トリプターゼ-Lに選択的にハイブ
リダイズし、他のトリプターゼ核酸にハイブリダイズしない、トリプターゼ-Lの
連続ストレッチである。そのような特異的プライマーは、トリプターゼ-Lのヌク
レオチドの連続ストレッチのみに対して完全にハイブリダイズするが、トリプタ
ーゼ-L特異的プライマーが結合するヌクレオチドを有さないトリプターゼ遺伝子
に対しても一部がハイブリダイズする。十分なPCRプライミング及びトリプター
ゼ-L識別のために、トリプターゼ-L特異的プライマーは、トリプターゼ-L以外の
トリプターゼ遺伝子に対してその3’末端で全くハイブリダイズしないように構
成し、配列すべきである。好ましくは非-識別の領域が、全長の少なくとも1か
ら4ヌクレオチドであり、そしてトリプターゼ-Lプライマーの3’末端を形成す
る。そしてハイブリダイゼーションのキネティックは、5’末端でのハイブリダ
イゼーションを強く推奨する。この例では、3’開始PCR伸長は、5’及び3’末端
両方が核酸にハイブリダイズする場合にのみ起こるであろう。トリプターゼ-Lの
選択的増幅のためのプライマーは、好ましくはトリプターゼ-L以外のトリプター
ゼとより少ししかホモロジーを有さない配列番号:3の一部から選択される。そ
のような場合には、トリプターゼ-Lの選択的増幅は、1つのトリプターゼ-L特異
的プライマーと1つの一般的にトリプターゼ類にハイブリダイズするプライマー
で達成することができる。しかしながら、好ましくは両方のプライマーが、本明
細書中に記載されているトリプターゼ-L特異的プライマーである。プライマーの
例としては、配列番号:3から誘導された、それぞれ、配列番号:11及び配列番
号:12を含む。他の例示的プライマーは、プライマーの5’末端からの1、2、3、
4、5又は6以上のヌクレオチドの付加又は欠失により上記のものと異なることが
できる。
同様に、当業者は、プレプロTRH又はOct-T1 mRNA配列の選択的増幅のために配
列番号:1又は配列番号:7のそれぞれのヌクレオチド配列からプライマーを選択
することができる。例えばプレプロTRHに特異的なプライマーの例には、配列番
号:1から誘導される配列番号:9及び配列番号:10が含まれる。Oct-T1に特異的
なプライマーの例には、配列番号:7から誘導される配列番号:13及び配列番号
:14が含まれる。トリプターゼ-Lの増幅については、プライマーは、それぞ
れのクローン(すなわち、配列番号:3か、又は配列番号:5の一部を増幅したも
の)に特異的なもの、又は両方のクローン(すなわち、配列番号:3及び配列番号
:5)を増幅するものをデザインすることができる。以下の例に示すように、プレ
プロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1に特異的なプライマーペアは、細胞及び組
織中の遺伝子の発現を区別するために使用することができる。他の例示的なプラ
イマーは、上記プライマーの5’末端から1、2、3、4、5又は6以上のヌクレオチ
ドの付加又は欠失により上記のものと異なることができる。当業者は、特定の白
血病関連遺伝子の選択的な増幅のための好適なプライマーを、慣用の実験のみで
決定することができる。リガーゼ連鎖反応("LCR")及び他の方法のような、実質
的にホモロジーの配列を区別できるさらなる方法は、当業者にとって自明であろ
う。核酸についてのここでの使用として、“単離された”という用語は、(I)例
えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるインビトロ増幅;(ii)クローニングによる
組み換え産物;(iii)切断及びゲル分離によるような精製;又は(iv)例えば化学
合成による合成を意味する。単離された核酸は、当該技術に周知の組み換えDNA
技術により、かなり操作することができるものである。従って、5’及び3’制限
部位が公知であるベクター中に含まれるヌクレオチド配列又は開示されているポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列のためのヌクレオチド配列は、単離さ
れたと考えられるが、天然ホスト中に天然状態で存在する核酸配列はそうではな
い。単離された核酸は、実質的に精製することができるが、その必要はない。例
えばクローニング又は発現ベクター中の単離されている核酸は、純粋ではない、
つまり、存在している細胞中の物質を非常にわずかなパーセンテージで含んでい
るかもしれない。しかしながら、用語がここで使用されるように、当業者に周知
の標準的なテクニックによりかなり操作されているので、そのような核酸は単離
されている。
本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8のユニー
クフラグメントを含む単離されたポリペプチドを提供する。そのようなポリペプ
チドは、例えばプレプロTRH、トリプターゼ-L及びOct-T1タンパクに関して、単
独又は抗体を製造するための融合タンパクとして、免疫アッセイの成分として、
又はHLA分子及び/又はCTLクローンの結合特異性を同定するために有用である。
例えばトリプターゼ-Lタンパクのユニークフラグメントは、一般に核酸に関し
てされた上記の議論のようなユニークフラグメントの形態及び特徴を有する。当
業者に認識されるであろうように、ユニークフラグメントのサイズは、フラグメ
ントが保存タンパク領域の一部を構成しているかどうかのような要因に依存する
であろう。従って、配列番号:4(又は配列番号:6)のいくつかの領域は、ユニー
クであるためにより長いセグメントを必要とするであろうし、一方、その他は典
型的には5から12の間のアミノ酸(例えば5、6、7、8、9、10、11及び12アミノ酸
長)のほんの短いセグメントを必要とするであろう。
ポリペプチドのユニークフラグメントは、好ましくはポリペプチドの明確な機
能的な能力を保持しているフラグメントである。ポリペプチドのユニークフラグ
メントに保持されることが可能な機能的な能力は、抗体との相互作用、他のポリ
ペプチド及びそれらのフラグメントとの相互作用、核酸の選択的な結合、及び酵
素活性である。腫瘍排除抗原は、HLA結合及び細胞傷害性Tリンパ球との相互作用
の機能的な能力を保持している腫瘍特異的ポリペプチドのユニークフラグメント
の例である。HLAクラスI分子により提示される腫瘍排除抗原は、典型的には長
さが9アミノ酸であるが、8、9のペプチド及び10及び11以上のアミノ酸も、細
胞傷害性Tリンパ球応答を引き起こすために効果的な程度にHLA及び細胞傷害性
Tリンパ球と相互作用する能力を保持する(例えばVan den Eynde & Brichard,Cu
rr.Opin.Immunol.7:674-681,1995;Coulie et al.,Stem Cells 13:393-403,1
995を参照されたい)。
非ファミリーメンバーと興味ある配列を選択的に区別するために、典型的には
ユニークフラグメントの能力に基づいて、ユニークアミノ酸配列を選択するため
の方法について、当業者はかなり精通している。フラグメントの配列と公知のデ
ータベースのものとの比較は、典型的には完全に必要である。
当業者は、保存的アミノ酸置換を、ポリペプチドの機能的に活性なホモログ、
すなわちプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1ポリペプチドの機能的な能力
を保持しているホモログを、得るために、トリプターゼ-Lポリペプチド中に行う
ことができることも、認識するであろう。ここで用いられている、“保存的アミ
ノ酸置換”とは、アミノ酸置換がおきているタンパクの相対的電荷又はサイズ特
性を変化させないアミノ酸置換を示す。アミノ酸の保存的置換は、以下の群内:(
a)M、
I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;及び(g)E、D
のアミノ酸間になされる置換を含む。
プレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1ポリペプチドの機能的な均等
誘導体、すなわち天然ポリペプチドの機能を保持しているポリペプチドの誘導体
は、例えばMolecular Cloning.A Laboratory Manual,J.Sambrook等、eds.,S
econd Edition,Cold Spring Houbor Laboratory Press Cold Spring Harbor,N
ew York,1989又はCurrent Protcols in Molecular Biology,F.M.Ausubel等
、eds.,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkのような方法を編集した文献中に
見出せるような当業者にとって周知のポリペプチド配列を改変するための方法に
より、調製することができる。例えばトリプターゼ-Lペプチドの機能的な均等誘
導体の例は、配列番号:4又は及び配列番号:6の保存的アミノ酸置換を含む。ト
リプターゼ-Lポリペプチドの機能的な均等誘導体を製造するためのトリプターゼ
-Lポリペプチドのアミノ酸配列中の保存的アミノ酸置換は、トリプターゼ-Lをコ
ードする核酸(配列番号:3、配列番号:5)の改変により、典型的になされる。そ
のような置換は、当業者に周知の種々の方法により行うことができる。例えばア
ミノ酸置換はPCRダイレクトミューテーション、Kunkelの方法(Kunkel,Proc.Na
t.Acad.Sci.U.S.A.82:488-492,1985)、又はトリプターゼ-Lポリペプチドをコ
ードする遺伝子の化学合成により行うことができる。アミノ酸置換が、9アミノ
酸ペプチドのようなトリプターゼ-Lポリペプチドの小ユニークフラグメントにな
される場合には、置換はペプチドを直接的に合成することにより行うことができ
る。トリプターゼ-Lポリペプチドの機能的に均等なフラグメントの活性は、細菌
又は哺乳動物発現ベクター中に改変トリプターゼ-Lポリペプチドをコードしてい
る遺伝子をクローニングすること、適当なホストセル中にベクターを導入するこ
と、改変トリプターゼ-Lポリペプチドを発現させること、及び本明細書中に開示
のようにトリプターゼ-Lポリペプチドの機能的な能力を試験することにより、試
験することができる。プレプロTRH及びOct-T1ポリペプチドの機能的に均等な誘
導体は、同様にして製造することができる。
上記のように、本発明は、白血病関連遺伝子の転写及び/又は翻訳を減少させ
るために、プレプロTRHタンパク、トリプターゼ-Lタンパク又はOct-T1タンパ
クをコードするものを含む、白血病関連遺伝子核酸分子に選択的に結合するアン
チセンスオリゴヌクレオチドを含む。これは、白血病関連遺伝子産物発現の減少
が好ましいようないかなる医学的状況においても望ましく、これはプレプロTRH
、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1の発現のような白血病関連遺伝子に特徴的な
悪性白血病細胞フェノタイプを減少させることを含む。この場合、アンチセンス
分子は、とりわけ白血病や、リンパ腫のような固形形態で見出されるような悪性
白血病細胞フェノタイプを、遅延又は阻害するために使用することができる。
ここで用いられている、“アンチセンスオリゴヌクレオチド”又は“アンチセ
ンス”という用語は、特定の遺伝子を含むDNA又は該遺伝子のmRNA転写体に対し
て生理学的条件下でハイブリダイズするオリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキ
シリボヌクレオチド、修飾オリゴリボヌクレオチド、又は修飾オリゴデオキシリ
ボヌクレオチドを意味し、それにより遺伝子の転写及び/又はそのmRNAの翻訳を
阻害する。アンチセンス分子は、標的遺伝子とハイブリダイズして標的遺伝子の
転写又は翻訳を妨害するようにデザインされる。当業者は、アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドの正確な長さ及びその標的との相補性の程度が、選択した標的に依
存する、すなわち、標的の配列や標的に含まれる特異的な塩基等に依存すること
を認識しているであろう。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、生理学的条件下
で標的に選択的に結合するように、すなわち生理学的条件下で標的細胞中のいか
なる他の配列に対してよりも標的配列に対してより実質的にハイブリダイズする
ように、構成され、そして配列されることが好ましい。配列番号:1、配列番号
:3、配列番号:5及び/又は配列番号:7、又は対立的又は相同的ゲノム及び/
又はDNA配列に基づいて、本発明と一致する使用のためのいかなる多くの適切な
アンチセンスも容易に選択及び合成することができる。十分な選択及び阻害の能
力のためには、そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的に対して相
補的な少なくとも7個(Wagner等.,Nature Biotechnology 14:640-844,1996)、
より好ましくは少なくとも15連続塩基を含む。最も好ましくは、アンチセンスオ
リゴヌクレオチドは、20-30塩基の相補的配列を含む。オリゴヌクレオチドとし
て、遺伝子又はmRNA転写体のいかなる領域に対するアンチセンスも選択すること
ができるが、好適な態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳開始部
位、転
写開始部位又はプロモーター部位のようなN末端又は5’上流部位に相当する。加
えて、3’未翻訳領域も標的になりうる。mRNAスプライシング部位に対する標的
化も、当該技術において使用されるが、選択的mRNAスプライシングがおきる場合
には、好ましくないかもしれない。加えて、アンチセンスは、好ましくはmRNA 2
次構造が予想されていない部位(例えばSainio等.,Cell Mol.Neurobiol.14(5):4
39-457,1994を参照されたい)及びタンパクが結合することが予想されていない
部位に標的化される。結局、配列番号:1、3、5及び7は、cDNA配列を開示する
が、当業者は、配列番号:1、3、5及び7に相当するゲノムDNAを容易に誘導す
ることができる。従って、本発明はまた、配列番号:1、3、5及び7に相当する
ゲノムDNAに相補的なオリゴヌクレオチドをも提供する。同様に、対立的又は相
同的DNA及びゲノムDNAに対するアンチセンスを、不当な実験を行うことなく、得
ることができる。
一群の態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、“天然”デオ
キシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はこれらのいかなる組み合わせか
らも構成されることができる。つまり、ある天然ヌクレオチドの5’末端と他の
天然ヌクレオチドの3’末端が、ホスホジエステルヌクレオチド内結合を介して
、自然状態でのように、共有結合することができる。
これらのオリゴヌクレオチドは、手動又は自動シンセサイザーにより行われる
当業者に周知の方法により調製することができる。これらは、ベクターにより組
み換え的に製造することもできる。
好適な態様では、しかしながら、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは
、“修飾された”オリゴヌクレオチドを含むことができる。つまり、オリゴヌク
レオチドは、ターゲットへのハイブリダイズを妨げることなく、安定性を増強す
るか、又は標的性又はそれらの治療的有効性を増強する方法の多くで修飾される
ことができる。
ここで使用される“修飾されたオリゴヌクレオチド”という用語は、(1)その
ヌクレオチドの少なくとも2つが、合成ヌクレオシド間結合(すなわち、一方の
ヌクレオチドの5’末端と他方のヌクレオチドの3’末端の間のホスホジエステル
結合以外の結合)を介して、共有結合している、(2)通常、核酸に関連しない化学
基が
オリゴヌクレオチドに共有結合している、オリゴヌクレオチドを示す。好適な合
成オリゴヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、
ホスホロジチオエート、ホスフェートエステル、アルキルホスホノチオエート、
ホスホラミデート、カルバメート、カルボネート、ホスフェートトリエステル、
アセトアミデート、ペプチド、及びカルボキシメチルエステルである。
“修飾されたオリゴヌクレオチド”という用語は、共有的に修飾される塩基及
び/又は糖を有するオリゴヌクレオチドをも示す。例えば修飾されたオリゴヌク
レオチドは、3’位置でヒドロキシル基以外の低分子量有機基及び5’位置でホス
フェート基以外に共有的に結合するバックボーン糖を有するオリゴヌクレオチド
を含む。従って、修飾されたオリゴヌクレオチドは、2’-O-アルキル化リボース
基を含むことができる。加えて、修飾されたオリゴヌクレオチドは、リボースの
代わりにアラビノースのような糖を含むことができる。修飾されたオリゴヌクレ
オチドは、C-5プロピン修飾塩基のような塩基アナログを含むこともできる(Wagn
er等、Nature Biotechnology 14:840-844,1996)。従って、本発明は、医薬的に
許容される担体と一緒になって、白血病関連タンパクをコードする核酸に相補的
であり、そして生理学的条件下でハイブリダイズする、修飾されたアンチセンス
分子を含む医薬製剤を想定する。
本発明には、発現ベクター中のみならず、原核細胞(例えばE.Coli)又は真核
細胞(例えばCHO細胞、COS細胞、酵母発現系及び昆虫細胞中の組み換えバキュロ
ウイルス発現)のようなトランスフェクトされたホストセル及びセルライン中の
プレプロTEH、トリプターゼ-L及びOct-T1配列の使用も含まれることが実施例か
らも認識されるであろう。特に有用なものは、マウス、ハムスター、ブタ、ヤギ
、霊長類等のようなほ乳類細胞である。これらは、肥満細胞、フィブロブラスト
、卵母細胞及びリンパ球を含む、様々な種類の組織タイプであることができ、そ
してこれらはプライマリーセル又はセルラインであることができる。
特別な例は、樹状細胞、U293細胞、末梢血白血球、骨髄幹細胞及び胚幹細胞を
含む。発現ベクターは、適切な配列、すなわちこれらの上記核酸は、プロモータ
ーに作動的に結合されている必要がある。ヒトHLAクラスI分子がプレプロTRH、
トリプターゼ-L及びOct-T1遺伝子から誘導された腫瘍排除抗原を提示する場合
には、発現ベクターは、これらの遺伝子及びポリペプチドに由来するいずれかの
腫瘍排除抗原も提示するHLA分子をコードする核酸配列を含むこともできる。代
わりに、そのようなHLA分子をコードする核酸配列が、分離発現ベクター中に含
まれていてもよい。ベクターが両方のコード配列を含む状況では、単一のベクタ
ーを通常いずれか一方を発現しない細胞をトランスフェクトするために使用する
ことができる。ここで腫瘍排除抗原前駆体及びそれを提示するHLA分子のコード
配列を、分離発現ベクター上に含むことができ、発現ベクターはコトランスフェ
クトされることができる。腫瘍排除抗原前駆体コード配列は、単独で使用するこ
とができ、ここで例えばホストセルは、プレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又
はOct-T1 TRAPsから誘導されるTRAを提示するHLA分子をすでに発現している。当
然、使用することができる特定のホストセルに限定はない。所望ならば、2つの
コード配列を含むベクターを、いかなる抗原提示細胞中でも使用することができ
るように、腫瘍排除抗原前駆体のための遺伝子を、プレプロTRH、トリプターゼ-
L及び/又はOct-t1 TRAを提示するHLA分子を発現しないホストセル中で使用する
こともできる。さらに、無細胞転写系を細胞の代わりに使用することができる。
ここで使用されるように、“ベクター”は、異なる遺伝環境間の転移のため又
はホストセル中での発現のため、所望の配列を制限及びライゲーションにより挿
入することができる、多くの核酸のいずれかであり得る。ベクターは、典型的に
はDNAから構成されるが、RNAベクターも入手できる。ベクターは、特に限定され
ないが、プラスミド及びファージミドを含む。クローニングベクターは、ホスト
セル中で複製されるものであり、最終形態に切断されることができる1又は2以
上のエンドヌクレアーゼ制限部位により特徴付けられる。そして所望のDNA配列
は、新しい組み換えベクターがホストセル中での複製能を保持するように結合さ
せることができる。プラスミドの場合には、所望の配列の複製は、プラスミドが
ホストバクテリア内でののコピー数を増加するとき、又はホストが細胞分裂によ
り再生される前にホストあたりちょうど1回起こすことができる。ファージの場
合には、複製は、溶菌相の間は活発に、溶原相の間は不活発に起こすことができ
る。発現ベクターは、所望のDNA配列が、調節配列に作動的に連結されるように
制限
及びライゲーションにより挿入されることができるものであり、そしてRNA転写
体として発現させることができるものである。ベクターは、ベクターでトランス
フォームされているか、又はトランスフェクトされている細胞の識別に使用する
のに適当なマーカー配列を1又は2以上さらに含むことができる。マーカーは、
例えば抗生物質又は他の化合物に対する耐性か感受性を増加又は減少させるタン
パクをコードする遺伝子、活性が当業者に公知の標準的なアッセイにより同定で
きる酵素(例えばβ-ガラクトシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)をコードす
る遺伝子、及びトランスフォーム又はトランスフェクトされた細胞、ホスト、コ
ロニー又はプラークに可視的な影響を与える遺伝子を含む。好適なベクターは、
自立的な複製が可能なものであり、そして構造遺伝子産物の発現が、作動的に連
結されているDNAセグメント中に向けられている。
ここで使用されるように、コード配列及び調節配列は、それらが調節配列の影
響又は制御下でコード配列の発現又は転写を起こさせる様な態様で共有結合され
ている場合には、“作動的に”結合されているといわれる。コード配列が機能的
タンパクに翻訳されることが所望ならば、5’調節配列中のプロモーターの導入
がコード配列の転写を結果として引き起こした場合、そして2つのDNA配列間結
合の性質が、(1)フレームシフト変異の導入を引き起こさず、(2)コード配列の転
写を指揮するプロモーター領域の能力を妨害せず、又は(3)タンパクに翻訳され
る相当するRNA転写体の能力を妨害しない場合には、2つのDNA配列は、作動的に
結合されたといわれる。従って、プロモーター領域は、結果として転写体が所望
のタンパク又はポリペプチドに翻訳される結果として、プロモーター領域がDNA
配列の転写に影響を与えることができる場合に、コード配列に作動的に連結され
ている。
遺伝子発現に必要な調節配列の正確な性質は、種又は細胞タイプ間で多様であ
ることができるが、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列、及びそれに類する
もののように、必要なものとして、転写及び翻訳の開始に関与する5’非転写配
列及び5’非翻訳配列のそれぞれを一般に含むべきである。特に5’非転写調節配
列は、作動的に結合された遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプ
ロモーター領域を含むであろう。調節配列は、記載されたようなエンハンサー配
列又は
上流アクチベーター配列を含むこともできる。本発明のベクターは、5’リーダ
ー又はシグナル配列5’又は3’を任意に含むことができる。適切なベクターの選
択及びデザインは、当業者の能力及び裁量の範囲内である。
発現のために必要な要素を全て含む発現ベクターは、市販されており、当業者
に公知である。Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.
,eds.,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring
Harbor,New york,1989を参照されたい。細胞は、プレプロTRH、トリプターゼ-L
又はOct-T1腫瘍特異的ポリペプチド又はフラグメント又はそれらの誘導体をコー
ドする異種DNA(RNA)の細胞中への導入により遺伝的に操作される。異種DNA(RNA)
は、ホストセル中で異種DNAの発現をさせるために転写要素の作動的な制御下に
置かれる。
ほ乳類細胞中でのmRNA発現のための好適な系は、G418耐性(安定なトランスフ
ェクトされたセルラインの選択を容易にする)を与える遺伝子のような選択マー
カー及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー-プロモーターを含むpRc/
CMVのようなもの(Invitrogen,Carlsbad,CAより入手可能)である。さらに、霊
長類又はイヌセルラインでの発現に好適なものは、エプステインバールウイルス
(EBV)複製開始点を含み、多コピークロモソーム外因子のようなプラスミドの維
持を容易にするpCEP4ベクター(Invitrogen)である。他の発現ベクターは、イン
ビトロで効果的に転写を刺激する、ポリペプチド伸長因子1αのプロモーターを
含むpEF-BOSプラスミドである。このプラスミドは、Mishizuma及びNagata(Nuc.A
cids Res.18:5322,1990)により記載され、そのトランスフェクション実験での
使用が、例えばDemoulin(Mol.Cell.Biol.16:4710-4716,1996)により開示さ
れている。さらに他の好適な発現ベクターは、E1及びE2タンパクに欠陥があり(J
.Clin.Invest.90:626-630,1992)、Stratford-Perricaudetにより記述されて
いるアデノウイルスである。Adeno.P1A組み換え体としてのこのアデノウイルス
の使用は、Warnier et al.,in intradermal injection in mice for immunizat
ion against P1A(Int.J Cancer,67:303-310,1996)により開示されている。
本発明はまた、当業者に所望の発現ベクター又はベクターを製造させる、いわ
ゆる発現キットも包含する。そのような発現キットは、前記のコード配列のそれ
ぞれの少なくとも分離部分を含む。所望により、他の成分を加えることができ、
必要なできるだけ長い前記配列が含まれる。
本発明は、プレプロTRH、トリプターゼ-L及びOct-T1、及びいくつかの態様で
は、好ましくはプレプロTRH、トリプターゼ-L及びOct-T1のユニークフラグメン
トを含む白血病関連ポリペプチドに結合する試薬をも含む。そのような結合パー
トナーは、プレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1ポリペプチドの存在又は不
在を同定するためのスクリーニングアッセイ及びプレプロTRH、トリプターゼ-L
又はOct-T1ポリペプチドを単離するための精製プロトコルにおいて使用すること
ができる。同様に、そのような結合パートナーは、標的薬品、毒素又他の分子を
選択的にプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1白血病関連ポリペプチドを発
現する白血病細胞に送り込むために使用することができる。この場合、プレプロ
TRH、トリプターゼ-L又はOct-T1白血病関連ポリペプチドを発現する固形又は非
固形腫瘍中に存在する細胞は、細胞傷害性化合物で治療することができる。
従って、本発明は、プレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1白血病関連ポリ
ペプチド、及び好ましくはそれらのユニークフラグメントに対して選択的に結合
するための能力を有する抗体又は抗体のフラグメントを含む。抗体は、ポリクロ
ーナル又はモノクローナル抗体を含み、従来の方法論で製造される。
従って、本発明の抗体は、タンパク、タンパクのフラグメント、タンパク又は
そのフラグメントを投与すること及び動物にポリクローナル抗体を導入するよう
なことを含む多種の方法により製造される。モノクローナル抗体の製造は、当業
者に周知の技術による。ここで詳細に示すように、そのような抗体は、例えばタ
ンパクを発現している組織を識別するため又はタンパクを精製するために使用す
ることができる。抗体は、画像化のための特異的ラベル試薬又は、特に限定され
ないが、メトトレキセート、放射ヨウ素化化合物、リシンのような毒素、他の静
細胞又は細胞溶解薬等を含む抗ガン剤と結合することもできる。本発明により製
造される抗体は、好ましくはここに示したTRA/HLA複合体について特異的でもあ
る。
当業者によく知られているように、抗体分子の小片であるパラトープは、その
エピトープへの抗体の結合に関与している(一般に、Clark,W.R.(1986)TheExpe rimental Foundations of Modern Immunology
Wiley & Sons,Inc.,New York;
Roitt,I.(1991)Essential Immunology,7th Ed.,Blackwell Scientific
Publications,Oxford)。例えばpFc'及びFc領域は、補体カスケードのエフェク
ターであるが、抗原結合には関与しない。pFc'領域が酵素的に分割されている抗
体又はF(ab')2フラグメントと呼ばれる、pFc'領域なしで製造される抗体は、完
全な抗体の抗原結合部位を両方維持している。同様にFc領域が酵素的に分割され
ている抗体又はFabフラグメントと呼ばれるFc領域なしで製造される抗体は、完
全な抗体分子の抗原結合部位の1つを保持している。さらに続いて、Fabフラグ
メントは、共有結合している抗体L鎖及びFdと表される抗体H鎖の一部からなる。
Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定部位であり(単一Fdフラグメントは
、改変されている抗体特異性のない10までの異なるL鎖に関与することができる)
、Fdフラグメントは、単独で、エピトープ結合能を保持している。
抗体の抗原結合部位内には、当業者に周知なように、抗原のエピトープに直接
的に相互作用する補体決定領域(complementarity determining regions)(CDRs)
、及びパラトープの3次元構造を維持しているフレームワーク領域(FRs)(一般に
、Clark,1986;Roitt,1991を参照されたい)が存在する。IgG免疫グロブリンのH
鎖Fdフラグメント及びL鎖の両方には、3つの補体決定領域(CDR1からCDR3)によ
り、それぞれ分離される4つのフレームワーク領域(FR1らFR4)がある。CDRs、及
び特にCDR3領域、及びさらに特にH鎖CDR3は、抗体特異性に大きく寄与する。
ほ乳類の抗体の非CDR領域は、オリジナルの抗体のエピトープ特異性を保持し
たままで、同種又は異種の抗体の同様の領域と置き換えることができることは、
当業者に周知である。このことは、機能的な抗体を製造するために、非ヒトCDRs
がヒトFR及び/又はFc/pFc'領域に共有的に連結されている“ヒト化”抗体の生
成及び使用において、最も明確に示されている。従って、PCT国際公開番号WO92/
04381は、マウスFR領域の少なくとも一部がヒト由来のFR領域により置き換えら
れているヒト化マウスRSV抗体の製造及び使用を教示する。抗原結合能を有する
完全な抗体のフラグメントを含むそのような抗体は、“キメラ”抗体と通常呼ば
れる。
従って、当業者に明らかなように、本発明は、F(ab')2、Fab、Fv及びFdフラグ
メント;Fc及び/又はFR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖CDR3
が相同ヒト又は非ヒト配列により置き換えられているキメラ抗体;FR及び/又はC
DR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖CDR3領域が、相同ヒト又は非ヒト配列により置
き換えられているキメラF(ab')2フラグメント抗体;FR及び/又はCDR1及び/又
はCDR2及び/又はL鎖CDR3領域が、相同ヒト又は非ヒト配列により置き換えられ
ているキメラFabフラグメント抗体;及びFR及び/又はCDR1及び/又はCDR2領域
が、相同ヒト又は非ヒト配列により置き換えられているキメラFdフラグメント抗
体をも提供する。本発明は、いわゆる単鎖抗体をも含む。従って、本発明は、プ
レプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1を含む白血病関連ポリペプチドに対して
特異的に結合する多くの種及びサイズのポリペプチドを含む。これらのポリペプ
チドは、抗体技術以外の起源からも誘導される。例えば、そのようなポリペプチ
ド結合試薬は、溶液、固形又はファージディスプレイライブラリ中にすでに調製
されている、縮重ペプチドライブラリにより提供される。結合ライブラリ(combi
natorial libraries)は、1又は2以上のアミノ酸を含むペプチドより合成する
ことができる。ライブラリは、さらにペプチド及び非ペプチド合成部分より合成
することができる。
ファージディスプレイは、本発明による有用な結合ペプチドを識別する点で特
に効果的である。要するに、当業者は、ファージライブラリを調製し(例えばm13
、fd、又はラムダファージを使用して)、慣用の方法を使用して4から80アミノ
酸残基のインサートをディスプレイする。このインサートは、完全な縮重又はバ
イアス(biased)配列を示すかもしれない。そして当業者は、プレプロTRH、トリ
プターゼ-L又はOct-T1白血病関連ポリペプチドに結合するファージ生成インサー
トを選択することができる。このプロセスは、プレプロTRH、トリプターゼ-L又
はOct-T1ポリペプチドに結合するファージの再選択を数サイクルを通じて繰り返
すことができる。繰り返した回数は、特定の配列を生じるファージの濃縮を導く
。DNA配列分析は、発現されるポリペプチドの配列を同定するために行われる。
プレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1に結合する配列の最小直線部分を同定
することができる。当業者は、最小直線部分の一部又は全て及び1又は2以上の
付加的な縮重残基をその上流又は下流に含むインサートを含有するバイアスライ
ブラリを使用して、この方法を繰り返すことができる。従って、本発明の白血病
関連ポリペプチドは、ファージディスプレイライブラリを含むペプチドライブラ
リをスクリーニングするため、本発明の白血病関連ポリペプチドのパートナーが
結合するペプチドを識別及び選択するために使用することができる。そのような
分子は、上記のように、スクリーニングアッセイのため、診断アッセイのため、
精製プロトコルのため又は細胞の表面でプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T
1ポリペプチドを提示する白血病細胞のような白血病関連遺伝子を発現する細胞
に対するターゲッティング薬、毒素及び/又はラベル試薬(例えばラジオアイソ
トープ、蛍光分子等)のために使用することができる。そのような結合試薬分子
は、複合体を使用して結合試薬を選択することにより、プレプロTRH、トリプタ
ーゼ-L又はOct-T1ポリペプチド及びHLA分子の複合体に結合するように製造する
ことができる。そのような複合体又はプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1
ポリペプチドを発現する白血病細胞を無力化するか破壊する薬剤分子は、当業者
にとって周知であり、そして市販されている。例えば免疫毒素の技術は、抗体又
はそのフラグメントにより細胞に運ばれる時に効果的である毒素の例を提供する
。毒素の例は、リシン、アブリン、サポリン、Pseudomonasエンドトキシン、ジ
フテリア毒素、A鎖毒素、ブロック化リシン(blocked ricin)等のような植物又は
細菌から誘導されるリボソーム傷害毒素を含む。
当業者は、例えば特異的に個々のHLAクラスI分子を阻害する抗体を用いた実験
により、プレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1腫瘍排除抗原前駆体か
ら誘導される腫瘍排除抗原に結合するHLA分子を同定することができる。例えばH
LA-A2に選択的に結合する抗体は、HLA-A2により特異的に提示されるTRAsの十分
な提示を阻害するであろう。従って、プレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はO
ct-T1のような白血病関連遺伝子から誘導されるTRAsが、HLA-A2により提示され
る場合には、インビトロアッセイでの抗HLA-A2の封入がこれらのTRAsの提示を阻
害するであろう。HLA分子の性質を同定するためのアッセイは、米国特許出願第0
8/530,569号に見出すことができる。要するに、HLA分子タイプの同定において、
阻害実験は、細胞傷害性(CTL)クローン263/17による腫瘍壊死因子(TNF)の生成を
、HLA分子に対する又はCD4/CD8アクセサリー分子に対するモノクローナル抗体の
存在下でテストするように、行われる。4つのモノクローナル抗
体が、CTL263/17によるTNFの生成を阻害することが見出された:すなわち、全て
のHLAクラスI分子に対するモノクローナル抗体W6/32(Parham et al.,J.Immunol
.123:342,1979)、HLA-B及びC分子を認識する抗体B1.23.2(Rebai et al.,tiss
ue Antigens 22:107,1983)、HLA-B7を特異的に認識する抗体ME-1(Ellis et al.
,Hum.Immunol.5:49,1982)及びCD8に対する抗体B9.4.1である。HLAクラスIID
R分子(L243:Lampson et al.,J.Immunol.125:293、1980)、HLA-A3(GAPA3:Berge
r et al.,Hybridoma 1:87,1982)又はCD4(13B.8.82)に対する抗体での阻害は、
見出されていない。この結果は、CTL263/17がCD8タイプのものであり、そしてHL
A-B7によって提示される抗原を認識することを示す。HLA分子の性質を同定する
ために、幅広く入手可能な抗HLA抗体を使用して、同様の実験を行うことができ
る。
ここに記載されるように本発明は、多くの使用を含み、そのいくつかはここに
記載される。第一に、本発明は、当業者にTRAPの発現により特徴付けられる疾病
を診断することを可能にする。これらの方法は、HLA-A2、HLA-A26、HLA-B7等に
より提示されるTRAのようなTRAP遺伝子、及び/又はこれらから誘導されるTRAs
の発現を同定することを含む。前者の状況では、そのような同定は、ポリメラー
ゼ連鎖反応、又は標識ハイブリダイゼーションプローブでのアッセイを含む、い
かなる標準的な核酸同定アッセイを介しても行うことができる。後者の状況では
、抗体のような、TRA及びHLAの複合体に関する結合パートナーでのアッセイが、
特に好適である。同定のための代わりの方法は、上記のタイプのTNFリリースア
ッセイである。
TRAP遺伝子の単離は、TRAP分子自身、特に配列番号:2、配列番号:4、配列番
号:6又は配列番号:8により示されるアミノ酸配列を含むTRAP分子を単離するこ
とを可能にする。白血病関連遺伝子によってコードされ、そして他のCTLクロー
ンにより認識され、及び/又は他のHLA分子により提示される他のTRAPs又はTRAs
を、この詳細な方法により単離することができる。(特に限定されないが、HLA-A
、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F及びHLA-G遺伝子によりコードされるものを含む
、当業者に公知の多くのHLA分子がある。)単離されたTRA分子を得るために、当
業者に周知の種々の方法論を利用することができる。タンパクは、タンパ
クを自然に生成する細胞から精製することができる。代わりに、タンパクの生成
を引き起こすために、発現ベクターを細胞内に導入することができる。他の方法
では、コードされるタンパクの生成を引き起こすために、mRNA転写体をマイクロ
インジェクションするか、又は他の方法で細胞中に導入することができる。網状
赤血球溶解系のような無細胞抽出物中でのmRNAの翻訳も、タンパクを生成するた
めに使用することができる。本発明のTRAsを含むペプチドをインビトロ合成する
こともできる。単離されたTRAPs及び/又はそれらから誘導されたTRAsを得るた
めに、当業者は、タンパクを単離するための公知の方法に従うこともできる。こ
れらは、特に限定されないが、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ-排除ク
ロマトグラフィー、イオン-交換クロマトグラフィー及び免疫-アフィニティーク
ロマトグラフィーを含む。
これらの単離された分子は、切断されTRAとして、又はTRAとHLA-A2、HLA-A26
又はHLA-B7等のようなHLAの複合体として提示された場合、TRAP分子の発現によ
り特徴付けられる疾病を治療するために有用なワクチンを製造するためにアジュ
バントのような材料と結合させることができる。加えて、ワクチンは、非増殖化
ガン細胞、非増殖化トランスフェクタント等のようなその表面にTRA/HLA複合体
を提示している細胞から調製することができる。細胞がワクチンとして使用され
る全ての場合において、これらは、CTL応答を引き起こすために必要な1又は両
方の成分のためのコード配列でトランスフェクトされた細胞、又はトランスフェ
クションを必要としないで両方の分子をすでに発現している細胞であることがで
きる。ワクチンには、白血病関連TRA又はそれらの前駆体をコードするむき出し
のDNA又はRNAも含まれ、このようなワクチンはインビトロで製造することができ
、注射、粒子衝撃、鼻腔吸入及び他の方法により投与される。“むき出しの核酸
”タイプのワクチンは、むき出しの核酸によりコードされるペプチドに特異的な
CTLの生成を含む、免疫学的応答の誘起を示す(Science 259:1745-1748,1993)。
“疾病”がここで使用される場合には、腫瘍排除抗原前駆体が発現しているいか
なる病理学的症状をも意味する。そのような疾病の例は、特にガン、白血病及び
リンパ腫である。
加えて、ワクチンは、非増殖化ガン細胞、非増殖化トランスフェクタント等の
ような、その表面にTRA/HLA複合体を提示する細胞から製造することができる。
細胞がワクチンとして使用される全ての場合において、これらは、CTL応答を引
き起こすために必要な1又は両方の成分のためのコード配列でトランスフェクト
された細胞、又はトランスフェクションを必要としないで両方の分子をすでに発
現している細胞であることができる。本開示に基づく治療的アプローチは、HLA-
B7細胞のようなTRA提示細胞の溶解を導く、対象の免疫システムによる応答を前
提とする。そのようなアプローチは、本論のフェノタイプの異常細胞を有する対
象に対する、複合体に特異的な自己CTLsの投与である。インビトロでそのような
CTLsを開発することは、当業者の技術の範囲内である。一般に、対象から採取さ
れた血球のような細胞のサンプルは、複合体を提示している細胞と接触させ、そ
してCTLs増殖を引き起こすことができる。標的細胞は、上記タイプのCOS細胞の
ようなトランスフェクタントであることができる。トランスフェクタントは、所
望のCTLと結合し、その増殖を刺激する場合に、それらの表面に所望の複合体を
提示する。ここで使用されるCOS細胞は、他の好適なホストセルと同様に、広く
入手可能である。CTLの特異的な生成は、当業者に周知である。そして、クロー
ン的に増殖させた自己CTLは、対象に投与される。プレプロTRH、トリプターゼ-L
及び/又はOct-T1に特異的な他のCTLは、同様の方法により単離し、そして投与
することができる。
治療的な方法論を詳細にするため、養子免疫伝達(Greenberg,J Immunol.136(
5):1917,1986;Riddel et al.,Science 257:238,1992;Lynch et al,Eur.J.I
mmunol.21:1403-1410,1991;Kast et al.,Cell 59:603-614,1989)と呼ばれる
治療方法を詳しく述べると、所望の複合体を提示する細胞をCTLと結合させ、そ
れに特異的なCTLの増殖を導く。そして増殖CTLsを特定の複合体を提示している
いくつかの異常細胞により特徴付けられる細胞性異常を有する対象に投与する。
そして異常細胞は溶解し、これにより所望の治療目標を達成する。
前記の治療は、対象の異常細胞の少なくともいくつかが関連HLA/TRA複合体を
提示することを仮定する。これは、当業者が特定のHLA分子を提示する細胞を識
別するための方法、並びにこの場合白血病関連遺伝子配列である、適切な配列の
DNAを発現する細胞を識別する方法に習熟しているので、非常に容易に識別でき
る。一度、関連複合体を提示している細胞を前記スクリーニング方法論により識
別すると、それらは対象からのCTLsを含むサンプルと結合することができる。複
合体提示細胞が、混合CTLサンプルにより溶解される場合には、TRAを誘導する白
血病関連遺伝子が存在し、そして対象は前記の治療的アプローチの適当な候補で
あると仮定することができる。
養子免疫伝達は、本発明に従う治療の唯一の形態のみではない。CTLsは、多く
のアプローチを使用して、インビボで刺激することができる。1つのアプローチ
は、複合体を発現している非増殖化細胞の使用である。このアプローチで使用さ
れる細胞は、放射線照射された腫瘍細胞又は複合体の提示に必要な1つ又は両方
の遺伝子をトランスフェクトされた細胞のように、複合体を通常に発現するもの
であることができる。Chen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:110-114(19
91)は、このアプローチを例示し、治療様式においてHPV E7ペプチドを発現する
トランスフェクトされた細胞の使用を示している。種々の細胞種が使用できる。
同様に、所望の1つ又は両方の遺伝子を含むベクターを使用できる。ウイルス又
は細菌ベクターが特に好適である。例えばプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct
-T1TRAをコードする核酸を、いくつかの組織又は細胞種中にプレプロTRH、トリ
プターゼ-L又はOct-T1 TRAを発現させるプロモーター又はエンハンサー配列に作
動的に結合することができる。この核酸を発現ベクター中に導入することができ
る。発現ベクターは、修飾されていないクロモソーム外核酸やプラスミドであっ
てもよく、またプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1 TRAsをコードする核酸
のような外来核酸の挿入を可能にするために、構築され、又は修飾されたウイル
スゲノムであってもよい。プレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1 TRAをコー
ドする核酸をレトロウイルスゲノム中に挿入することができ、これにより標的組
織又は細胞種のゲノム中に核酸の統合を促進する。これらの系では、所望の遺伝
子は、例えばワクシニアウイルス、レトロウイルス又はバクテリアBCG、及び事
実上の“感染”ホストセル材料のような微小器官により運搬される。結果として
得られる細胞は、所望の複合体を提示し、増殖した自己CTLにより認識される。
同様の効果は、インビボでHLA提示細胞中への導入を促進するためにTRAP又は
それらの刺激性フラグメントとアジュバントを組み合わせることにより達成する
ことができる。このTRAPは、HLA分子のペプチドパートナーを生成するために切
断されるが、TRAはさらなる切断を必要とすることなく提示される。一般に、対
象は、TRAPをコードするプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1、及び/又は
これらから誘導されるTRAsの適用量の皮内注射を受けることができる。開始用量
は、ブースター用量に従うことができ、当該技術の免疫プロトコル標準に従う。
免疫プロトコルの一部としては、免疫応答を増強する物質は、ガンワクチンの
核酸又はペプチド成分と共に投与することができる。そのような免疫応答を増強
する化合物は、アジュバントかサイトカインいずれかに区分することができる。
アジュバントは、抗原の貯蔵所(細胞外又はマクロファージ内)を提供することに
より免疫学的応答を増強し、マクロファージを活性化し、そしてリンパ球の特異
的なセットを刺激することができる。多くの種類のアジュバントは、当該技術に
おいて公知である;すなわち特定の例は、MPL(SmithKline Beecham)、Salmonell
aminnesota Re 595リポ多糖の精製及び酸加水分解後に得られるコンジナー(cong
ener)、QS21(SmithKline Beecham)、Quillja saponaria抽出物から精製された純
粋QA-21サポニン、及びスクアレン及び/又はトコフェロールのような生分解オ
イルから調製される種々の油中水型(water-in-oil)エマルジョンを含む。サイト
カインは、リンパ球刺激性により、ワクチン化プロトコルにおいても有用である
。ワクチンの保護効果の増強を示すインターロイキン-12(IL-12)を含む(Science
268:1432-1434,1995)、そのような性質のために有用な多くのサイトカインは
当業者にとって周知であろう。
投与時には、本発明の治療用成分は、医薬的に許容される製剤で投与される。
そのような製剤は、通常、医薬的に許容される濃度の塩、緩衝試薬、保存剤、互
換性担体、アジュバント及びサイトカインのような補助的な免疫増強剤及び任意
に他の治療用薬剤を含んでいてもよい。
“医薬的に許容される”という用語は、活性成分の生物学的活性の効果を阻害
しない非-毒性材料を意味する。“生理学的に許容される”という用語は、細胞
、細胞培養、組織、又は器官のような生物学的な系と互換性のある非-毒性材料
をあらわす。担体の特徴は、投与の経路に依存するであろう。生理学的及び医薬
的に許容される担体は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、及び当
該技
術において周知の他の材料を含む。
本発明の治療法は、例えば注射又は点滴(gradual infusion over time)による
注射を含むいかなる慣用の経路によっても投与することができる。投与は、例え
ば経口、静脈内、腹膜内、筋内、窩内、皮下、又は皮間であることができる。抗
体が治療に使用される場合には、投与の好適な経路は、肺エアロゾルである。抗
体を含むエアロゾル送達システムの製造のための技術は、当業者に周知である。
一般に、そのようなシステムは、パラトープ結合能のような抗体の生物学性質を
、全く損なわないような成分を利用すべきである(例えばSciarra and Cutie,"Ae
rosols,"in Remington's pharmaceutical Sciences,18th edition,1990,pp16
94-1712を参照されたい)。当業者は、不適切な実験に頼ることなく抗体エアロゾ
ルを製造するために、種々のパラメーター及び条件を容易に決定することができ
る。本発明のアンチセンス製剤を使用する場合には、低速静脈内投与が好適であ
る。
非経口投与のための製剤は、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルジ
ョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、オリーブオイルのような植物油、エチルオレアートのような注射可能な有機
エステルである。水性担体は、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は塩水
及び緩衝媒体を含む懸濁液を含む。非経口ビークルは、塩化ナトリウム溶液、リ
ンゲルのブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル又は不揮発性
油を含む。静脈内ビークルは、液体(fluid)及び栄養補充剤、電解質補充剤(リン
ゲルのブドウ糖を基本としたもののような)、及びそれに類するものである。保
存料及び他の添加物は、例えば抗菌剤、抗オキシダント剤、キレート試薬、及び
不活性ガス及びそれに類するようなものが存在してもよい。
本発明は、遺伝子治療をも想定している。生体外遺伝子治療を実施するための
方法は、米国特許第5,399,346号、及びその特許の出願経過において提出された
書類に概略が示され、これらは全て公開され入手可能である。一般に、遺伝子の
欠陥コピーを含む対象の細胞内への遺伝子の機能的なコピーのインビトロ導入、
そして対象に遺伝子操作された細胞を戻すことを含む。遺伝子の機能的なコピー
は、遺伝子操作された細胞中に遺伝子を発現させる調節因子の作動的な制御下に
ある。多くのトランスフェクション及び形質導入技術、並びに適切な発現ベクタ
ーは、当業者に周知であり、そのいくつかは、PCT出願WO95/00654に記載されて
いる。インビボ遺伝子治療で使用されるアデノウイルスのようなベクターも本発
明により想定されている。
本発明の製剤は、適用量で投与される。適用量とは、単一又はさらなる用量と
一緒に所望の応答を刺激する医薬製剤の量である。ガン治療の場合には、所望の
応答は、ガンの進行を阻害する。これは一時的に疾病の進行を遅延させることの
みを含むことができるが、より好ましくは恒久的に疾病の進行を停止することを
含む。これは慣用の方法により観察することができるか、又はここで議論された
本発明の診断方法により観察することができる。
ここで本発明の治療用組成物を使用して免疫応答を刺激することが好ましい状
況においては、本発明は、これは、血清中の抗体力価の増加、細胞傷害性リンパ
球のクローン的増殖、又はその他の所望の免疫学的応答を導く体液性抗体応答の
刺激を含む。1ナノグラム/キログラムから100ミリグラム/キログラムの範囲の
免疫原の量が、投与の形態に依存して、効果的であると信じられている。好適な
範囲は、キログラムあたり500ナノグラムから500マイクログラムの間であると信
じられている。絶対量は、投与のために選択された材料、投与は単一用量か又は
多用量か、及び年齢、健康状態、身長、体重、及び疾病の段階を含む個人的な患
者のパラメーターを含む種々の要因に依存する。これらのパラメーターは当業者
に周知であり、そして慣用の実験のみで得ることができる。
例 例1:代表的差異分析-白血病白血球及び正常白血球間のサブトラクティブcDNA ハイブリダイゼーション
1. 方法試験群
:(細胞遺伝的解析により検出した)クロモソーム転位t(8;21)(q22;q22)を
有する、新たに急性骨髄性白血病(FAB-M2サブタイプ)と診断された女性患者
(SIAX、LB-1079)からのPBLを、このPBLをケモセラピーを開始する前に、leukaph
eresisにより集め(PBLの約70%が白血病ブラスト細胞であった)、Lymphoprep(Fi
coll)勾配で精製し、洗浄し、-80℃で培養培地及びDMSO中に凍結した。RNA調製
のために、6X108個の細胞を解凍し、洗浄し、遠心して(4.6X108個の細胞を含む)
乾燥細胞ペレットとした。ドライバー群
:健常人からのPBLをleukapheresisにより集め、これらをLymphopr
ep(Ficoll)勾配で精製し、洗浄し、-80℃で凍結し、遠心後に(5X108個の細胞を
含む)乾燥細胞ペレットとした。トータルRNA調製
:グアニジンイソチアネート/塩化セシウム法を使用した[L.G.D
avis,M.D.Dibner,J.F.Battey,Basic Methods in Molecular Biology Elsevier,
New York,1986,p.130-135]。試験群及びドライバー群からそれぞれ、390μg
及び50μgが得られた。mRNA 精製
:オリゴ-dTカラム(Pharmacia mRNA精製キット、Pharmacia,Uppsala,S
weden)を、製造者によるプロトコルに従って、使用した。cDNA 調製
:cDNAは、製造者によるプロトコル従い、作製された(Amersham,cDNA
合成モジュール)。試験群及びドライバー群それぞれから、6μg及び2μgが得
られた。差異分析
:Hubank及びSchatz(Nucleic acids Res.22:5640-5648,1994)cDNA差異
分析プロトコルは、試験群の表現(tester representation)(TR)、ドライバー群
の表現(driver representation)(DR)、差異産物1及び差異産物2の調製に対し
て適用した。試験群の表現の調製に関するいくつかの特徴について述べねばなら
ない;1)600ngのみ(1.2μgではない)をアダプターの開始ライゲーションで使用
した;2)PCR反応物は、40等量に分割した。差異産物1(DP1)の調製に関するいくつ
かの特徴を述べねばならない:0.2μgTR及び20μgDRのみ(0.4及び40μgではない
)を5μlハイブリダイゼーションバッファー中で使用した。差異産物2(DP2)の調
製に関するいくつかの特徴を述べねばならない:2.5ngTR及び20μgDRのみ(50ng
及び40μgではない)を5μlハイブリダイゼーションバッファー中で使用した。
結局、第三の差異産物は得られなかった。試験群の表現及び差異産物1及び2のクローニング:
DpnIIでの消化後に得られた試験群の表現及び差異産物1及び2を、ベクターp
TZ18RのBamHIクローニングサイト中にコモンライゲーションによりクローン化し
、BamHIで消化して(DpnII及びBamHI結合末端は、相互に互換性がある)、子牛腸
管ホスファターゼで脱リン酸化した。このライゲーション産物を、エレクトロポ
レーションによりコンピテントTop10F'細菌をトランスフォームするために使用
した。トランスフォームされた細菌は、アガープレート上アンピシリンで選択さ
れ、それらのプラスミドDNAはminiprep DNA extraction(Qiaprep,Qiagen)によ
り精製し、BamHI消化及びDNAシーケンスにより解析した。
2. 結果DP2 産物を有する16クローンのシーケンス
:いくつかのクローンは1以上のイン
サートを含んでいた。1シングルmRNAは、増幅されたDpnII制限フラグメント1
以上を提供することができることにも注意されたい。それぞれのインサートの3/
2は、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)mRNAから誘導されるので、さらなる細菌コロ
ニーがミエロペルオキシダーゼ特異的オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリ
ダイゼーション後に単離される。48のMPO-ネガティブコロニーが選択され、そし
てアンピシリンと共に生長させ、それらのプラスミドDNAをminiprep DNA抽出(Qi
aprep、Qiagen)により精製して、DNAシーケンスにより解析した。結論
:試験群の白血病細胞、及びドライバー群の正常PBLを使用して、RDA法によ
り増幅したcDNAフラグメントの大部分は、ミエロペルオキシダーゼmRNAから誘導
されていた。MPO遺伝子は、正常及び白血病骨髄性幼若細胞で高発現しているが
、白血球細胞では異なっている。これは誘導されたcDNAフラグメントがRDAによ
り増幅されたからである。これは、正常PBLがドライバー群として使用された場
合に、RDAにより増幅されたCD34の存在を説明している。高発現している普遍的
なRNAs(28S及び40SリボソームRNA)に由来するcDNAフラグメントの存在は、おそ
らくディファレンシャルハイブリダイゼーション2サイクル後の残留バックグラ
ウンドの結果、引き起こされたものである。いくつかのcDNAフラグメントは、公
知の遺伝子に由来していた。
最後の2つのカテゴリーのために、我々は、クローン化されたフラグメントか
ら得られた配列から誘導された特異的PCRプライマーペアをデザインした。いく
つかの白血病、正常PBL及び正常骨髄サンプルでRT-PCRを行った。白血病サンプ
ルでのみ発現していたこの遺伝子は、正常及び白血病組織のより大きな範囲でそ
れらの発現についてさらに試験された。3つの遺伝子のみが、白血病特異的発現
パターンを示した:
-プレプロTRH遺伝子
-5つの公知のトリプターゼ遺伝子と強い(完全ではないが)ホモロジーを有するmR
NAをコードする遺伝子である。この遺伝子をトリプターゼ-L(Lはleukemia)と呼
ぶことにする。
-さらにSIAX DP2-64と表される全く新規な遺伝子
これら3つの遺伝子のcDNAは、同一の白血病(SIAX、LB-1079)から得られたcDN
Aライブラリからクローン化され、シーケンスされた。我々は、正常組織、白血
病及び固形腫瘍サンプルにおいてRT-PCRにより、それらの発現を試験した。これ
らのデータを以下のページにさらに詳細に示す
例2:プレ-プロ-チロトロピン-放出ホルモン遺伝子(プレプロTRH)
1.cDNAクローニング:cDNAライブラリNVB32を以下のように作製した:トータル
RNAは、患者SIAX、LB-1079から得られた解凍した白血病PBLから抽出された(試験
群、RDAプロトコル、例1を参照されたい)。ポリ-A RNAは、製造者のプロトコル
に従って、オリゴ-dTカラム(Pharmacia mRNA精製キット)で精製された。cDNAは
、製造者のプロトコルに従い、ランダムプライマーを使用して、Superscriptキ
ット(Gibco-BRL)で作製された。cDNAフラグメントは、EcoRIアダプターに結合さ
れ、クロマトグラフィーカラムで分別され(4フラクション:A、B、C、及びDが得
られた)、EcoRI消化物中に結合され、そして脱リン酸化したpcDSRアルファベク
ターに結合された。このライゲーション産物は、エレクトロポレーションにより
Top10F'コンピテント細菌をトランスフォームするために使用された。トランス
フォームされた細菌コロニーは、アンピシリンとの選択的生育後に得られ、フラ
クションについてプールされ、そして-80℃で凍結された。フラクションBが、も
っとも大きなインサートを示した。
NVB329 cDNAライブラリのBフラクションは、12,000コロニーをSIAX cDNAから
増幅された32P-ラベルPCRプローブとハイブリダイズさせることによりプレプロT
RHクローンについてスクリーニングされた。ポジティブである16コロニーが見出
され、予想されていたmRNAサイズに相当する、〜1.6kbインサートを有するプラ
スミドを含む2つのものが見出された。両方の組み換えプラスミドのただ1つ(C
HM327-3A/8)が、正しい方向に配向されたインサートを有していた。
2.シーケンス:クローンCHM327-3A/8は、Delta-Taqシーケンスキット(Amersham)
を使用して、完全にシーケンスされた(配列番号:1:図1を参照されたい)。そ
の配列は、3'非翻訳領域での、白血病cDNA中のさらなるグアノシンの存在を除き
(このタンパクの配列はこの差異による影響を受けない)、プレプロTRHの公表さ
れている配列と完全に一致している。
3.遺伝子の発現:正常、白血病及び固形腫瘍組織中でのプレプロTRH遺伝子の発
現は、ここでのプロトコルで詳細に示したように、RT-PCRにより試験された。
a. 正常組織での発現:ポジティブシグナルは、胎児脳サンプルで見出された。
PCR増幅なしでは、以下のサンプル:成人脳、大腸、肝臓、卵巣、皮膚、胎盤、
肺、腎臓、睾丸、子宮内膜、膀胱、正常末梢血白血球、正常骨髄中で見出された
。これらの結果は、文献に見出される発現パターンと同一であり、プレプロTRH
遺伝子は、視床下部及び中枢神経系の他の部分での発現がみられる。
b. 固形腫瘍での発現:以下の腫瘍組織:悪性メラノーマ、乳ガン、咽頭ガン、
肺NSCLC、膀胱ガン、胃ガン、肺SCLC、精巣腫瘍、子宮ガン、直腸ガン、大腸ガ
ン、舌ガン、食道ガン、卵巣ガン、肉腫、皮膚ガンが試験され、そしてプレプロ
TRHの発現についてネガティブであることが見出された。免疫反応性TRHは、神経
稜から誘導されたヒト腫瘍で同定されていることに留意されたい(Wilber,J.F.,
Clin.Endocr.59:3,1984)。
c. 悪性血症での発現:要約
急性骨髄性白血病: 11ポジティブサンプル(49テスト)
慢性骨髄性白血病: ポジティブサンプルなし(5テスト)
急性リンパ性白血病: 4ポジティブサンプル(15テスト)
慢性リンパ性白血病: ポジティブサンプルなし(2テスト)
多発性ミエローマ: ポジティブサンプルなし(1テスト)
従って、プレプロTRH遺伝子の発現は、急性白血病サンプルの23%で見出された
。
この結果は、急性白血病で見られる最も頻発するクロモソーム異常についても
示すことができる:
t(9;22)(q34;q11): 1ポジティブサンプル(3テスト)
t(8;21)(q22;q22): 11ポジティブサンプル(12テスト)
t(3;21)(q26;q22): 1ポジティブサンプル(2テスト)
t(12;21)(p13;q22): 2ポジティブサンプル(2テスト)
Inv(16)(p13;q22): 2ポジティブサンプル(8テスト)
t(15;17)(q22;q21): ポジティブサンプルなし(4テスト)
11q23転位: ポジティブサンプルなし(3テスト)
トリソミー8: ポジティブサンプルなし(4テスト)
del 5/5q又はdel 7/7q: 3ポジティブサンプル(8テスト)
21q22に位置するAML1遺伝子の転位を有し、AML1転写因子をコードする、プレプ
ロTRH遺伝子と急性白血病の間には明白な関連がある。
4. 結論
プレプロTRH遺伝子は、ヒト急性白血病細胞で発現している。これは新しい概
念である。この遺伝子の発現は、白血病誘発に関連するAML1遺伝子を含むクロモ
ソーム転位に関する。
この遺伝子は、中枢神経系に位置する正常組織で発現する。しかしながら、プ
レプロTRHタンパクは、修飾されたトリペプチド神経ホルモンTRHを生成するため
に、神経視床下部細胞で特異的な酵素経路を通じて切断される。プレプロTRHは
、白血病細胞中で異なる切断をされる。それは細胞コンパートメント内に蓄積さ
れ、ここでペプチドは効率的に切断され、そしてHLAクラスI分子へ提示される。
この場合、白血病細胞は強い抗原性を有することになる、一方、神経ではそうで
はない。さらにCNSからの細胞は、細胞-仲介免疫系に対して保護されている。
プレプロTRH遺伝子は、白血病細胞で発現するが、正常骨髄ばかりか正常PBLで
も発現しない。従って、RT-PCRによるその特異的かつ鋭敏な同定又はその他の方
法は、白血病特異的腫瘍マーカーとして、最小の疾病の痕跡(minimal residual
diseaseの同定のため、又は化学療法施行後の治療に対する応答の定量的評価の
ために、潜在的に有用である。
例3:トリプターゼ-L
1. cDNAクローニング:cDNAライブラリNVB329を上記例2の詳細のように作製し
た。NVB329 cDNAライブラリのBフラクションは、40,000コロニーを増幅したフラ
グメントSIAX DP2-04の配列から誘導された33P-ラベルオリゴヌクレオチドプロ
ーブとハイブリダイズさせることにより、トリプターゼ-Lクローンについてスク
リーニングされた。3コロニーがポジティブであることが見出され、それぞれが
、正しい方向に配向された±2.2-2.5kbインサートを有するプラスミド(NVB352/1
、2、3)を含んでいた。
2. シーケンス:
3つのうち2つの独立インサートNVB352/1とNVB352/3は、Delta-Taqシーケンス
キット(Amarsham)を使用して、シーケンスされ、そしてクローンNVB352/2の部分
配列が決定された(配列番号:5;図2及び3を参照されたい)。この3つのcDNA
は、同一の一次RNA転写体から得られ、その配列は5つの公表されているトリプ
ターゼmRNAs(トリプターゼアルファ、ベータ、I、II、III)の配列と強いホモロ
ジーを有する。3つのcDNAクローンは、トリプターゼmRNA配列中に存在しない1
又は2以上のセグメントを含み、しかもイントロンの開始及び終末で見出される
ものと同様のコンセンサスヌクレオチドを含む。5つの公知のトリプターゼ遺伝
子のゲノムDNAは、同じ位置でイントロンを含む。従って我々は、3cDNAクローン
中のこれらの付加的配列は未切断のイントロンであると思料する。未切断のイン
トロン配列を除外する場合には、推定されるタンパク配列は、トリプターゼタン
パクとかなり同一であり、そしてセリンプロテアーゼ活性のためのコンセンサス
アミノ酸は保存されている。タンパク配列は、mRNA中で未切断イントロンにより
修飾されていることに留意されたい。
3. 遺伝子の発現:正常、白血病及び固形腫瘍組織中でのトリプターゼ-L遺伝子
の発現は、ここでのプロトコルで詳細に示したように、RT-PCRにより試験された
。
a. 正常組織での発現:ポジティブシグナルは、以下の正常組織サンプル:胎児
及び成人脳、大腸、肝臓、卵巣、皮膚、胎盤、肺、腎臓、睾丸、子宮内膜、膀胱
、
正常末梢血白血球、正常骨髄中で見出されなかった。トリプターゼは、肥満細胞
中で特異的に発現している遺伝子であることに留意されたい。我々は、RT-PCRに
よる、正常肥満細胞中のトリプターゼ-L発現をまだ行っていない。
b. 固形腫瘍での発現:以下の腫瘍組織:悪性メラノーマ、乳ガン、咽頭ガン、
肺NSCLC、膀胱ガン、胃ガン、肺SCLC、精巣腫瘍、子宮ガン、直腸ガン、大腸ガ
ン、舌ガン、食道ガン、卵巣ガン、肉腫、皮膚ガンが試験され、そしてトリプタ
ーゼ-Lの発現についてネガティブであることが見出された。
c. 悪性血症での発現:現在のところ13サンプルが試験された(詳細なデータは
別添する)。6つが、トリプターゼ-Lの発現についてポジティブであり、それら
の全てが、AMLsであった。サンプルサイズが小さかったため、我々は統計的結論
を出すことができなかったが、3つのポジティブサンプルが、t(8;21)転位を有
するAMLsである。
4. 結論
トリプターゼ-L遺伝子は、急性ヒト白血病細胞細胞で発現しているが、正常骨
髄ばかりか、正常PBLにおいても発現していない。その発現は、試験された正常
組織では見出されていないが、正常肥満細胞はこの遺伝子を発現することができ
る。この遺伝子の発現は、t(8;21)クロモソーム転位に関係しているといえる。
トリプターゼ-L遺伝子は、白血病細胞で発現するが、正常骨髄ばかりか正常PB
Lでも発現しない。従って、RT-PCRによるその特異的かつ鋭敏な同定又はその他
の方法は、白血病特異的腫瘍マーカーとして、もっとも小さい疾病の痕跡の同定
のため、又は化学療法施行後の治療に対する応答の定量的評価のために有用であ
る。
例4:SIAX DP2-64/Oct-T1
1.cDNAクローニング:cDNAライブラリNVB329を上記例2の詳細のように作製し
た。NVB329 cDNAライブラリのBフラクションは、40,000コロニーを、フラグメン
トSIAX cDNAから増幅された32P-ラベルPCRプローブとハイブリダイズさせること
により、SIAX DP2-64クローンについてスクリーニングされた。1コロニーがポ
ジティブであることが見出された(クローンCHM329/2-15)。同一ライブラリは、4
0,000コロニーを、フラグメントSIAX cDNAから増幅された32P-ラベルPCR
プローブとハイブリダイズさせることにより、SIAX DP2-64クローンについてス
クリーニングされた。11コロニーがポジティブであることが見出された(クロー
ンCHM363/3、5、8)。
2.シーケンス:クローンCHM329/2-15は、Delta-Taqシーケンスキット(Amersham
)を使用して、完全にシーケンスされた(配列番号:7;図4-6を参照されたい)。
その3'の半分は、公知の遺伝子とホモロジーを有さないが、一方でその5'は転写
因子のPOUファミリーのメンバーであるOct-T1遺伝子の3'末端と完全に一致して
いる。(Bhargava A.K.et al.,Differential expression of 4 members of the
POU family of proteins in activated and PMA-treated Jurkat T c
ells.Proc.Natl.Acad.Scj.90:10260-10264,Nov.1993)
クローンCHM363/3、CHM363/5及びCHM363/8は、それらの5'末端でシーケンスさ
れ、それぞれは完全にOct-T1 mRNA配列と相同的であった(図4参照)。クローンC
HM363/5は、ほとんど完全にシーケンスされ(図5参照)、そして3'未翻訳領域で
の小さな差異を伴うが、Oct-T1配列にほとんど完全に一致する。従って我々のSI
AX DP2-64は、すでに同定されているOct-T1 mRNAと同一であると結論できる。公
表された配列は3'末端を欠失していることが明らかである。我々は、ポリ-Aテー
ルと一緒になった失われていた600塩基対をクローン化し、そしてシーケンスし
た。
3. 遺伝子の発現:正常、白血病及び固形腫瘍組織中でのOct-T1遺伝子の発現は
、ここでのプロトコルで詳細に示したように、RT-PCRにより試験された。
a. 正常組織での発現:ポジティブシグナルは、以下のサンプル:成人脳、大腸
、肝臓、卵巣、皮膚、胎盤、肺、腎臓、子宮内膜、膀胱、正常末梢血白血球、正
常骨髄中では見出されなかった。ポジティブシグナルは、胎児睾丸サンプルを除
く、睾丸サンプル全てで同定された。
b. 固形腫瘍での発現:以下の腫瘍組織:悪性メラノーマ、乳ガン、咽頭ガン、
肺NSCLC、膀胱ガン、胃ガン、肺SCLC、精巣腫瘍、子宮ガン、直腸ガン、大腸ガ
ン、舌ガン、食道ガン、卵巣ガン、皮膚ガンが試験され、そしてOct-T1遺伝子の
発現についてネガティブであることが見出された。ポジティブシグナルは、未分
化の肺肉腫で得られたが、4つの他の肉腫ではネガティブであることが見出され
た。
c. 悪性血症での発現:
要約:
急性骨髄性白血病: 6ポジティブサンプル(49テスト)
慢性骨髄性白血病: ポジティブサンプルなし(5テスト)
急性リンパ性白血病: 11ポジティブサンプル(15テスト)
慢性リンパ性白血病: ポジティブサンプルなし(2テスト)
多発性ミエローマ: ポジティブサンプルなし(1テスト)
従って、Oct-T1遺伝子の発現は、急性骨髄性白血病サンプル11%及び急性リンパ
性白血病サンプル73%で見出された。
この結果は、急性白血病で見られる最も頻発するクロモソーム異常についても
示すことができる:
t(9;22)(q34;q11): 1ポジティブサンプル(3テスト)
t(8;21)(q22;q22): 10ポジティブサンプル(11テスト)
t(3;21)(q26;q22): ポジティブサンプルなし(2テスト)
t(12;21)(p13;q22): 2ポジティブサンプル(2テスト)
Inv(16)(p13;q22): ポジティブサンプルなし(8テスト)
t(15;17)(q22;q21): ポジティブサンプルなし(4テスト)
11q23転位: ポジティブサンプルなし(3テスト)
トリソミー8: ポジティブサンプルなし(4テスト)
del 5/5q又はdel 7/7q: 3ポジティブサンプル(8テスト)
21q22に位置するAML1遺伝子の転位を有し、AML1転写因子をコードする、Oct-T1
遺伝子発現と急性白血病の間には明白な関連がある。
4. 結論
Oct-T1遺伝子は、ヒト急性白血病細胞細胞で発現している。この遺伝子は、全
てにおいて特に頻発的に発現している。この遺伝子の発現は、白血病誘発に関係
するAML1遺伝子を含むクロモソーム転位に関係する。
従って、HLAクラスI分子により提示されるペプチドの形態でOct-T1タンパクか
ら誘導される抗原に対して、白血病患者を免疫すること、そして遺伝子を発現
する白血病細胞の表面で発現することを可能にする。これらの抗原が睾丸胚細胞
では提示されないのは、これらがHLAクラスI分子を発現しないからである。
Oct-T1遺伝子は、白血病細胞で発現するが、正常骨髄ばかりか、正常PBLでも
発現しない。従って、RT-PCRによるその特異的かつ鋭敏な同定又はその他の方法
は、白血病特異的腫瘍マーカーとして、もっとも小さい疾病の痕跡の同定のため
、又は化学療法施行後の治療に対する応答の定量的評価のために、潜在的に有用
である。例5:プレプロTRH、トリプターゼ-L及びOct-T1/SIAX DP2-64遺伝子の発現のた めのRT-PCRアッセイ
腫瘍サンプルからのトータルRNAの単離(-80℃での急速凍結)は、グアニジンイソ
チアネート/塩化セシウム法(Davis et al、上記)により行われた。cDNA合成は、
オリゴ(dT)15との延伸により達成される。そしてcDNAは、それぞれ試験された遺
伝子にかなり特異的なオリゴヌクレオチドプライマーのペアと共にPCRにより増
幅される。RNAが分解しないことを確実にするために、β-アクチンに特異的なプ
ライマーと共にPCRアッセイを行った。
1. cDNA合成
試験されるRNAの濃度は、トータルRNA/3.25μlを水で1μlに調節した。以下の試
薬を試験管中で混合した:
逆転写酵素バッファー5X
(Life Technologies Inc.,Gaiththersburg,MD) 4μl
dATP10mM 1μl
dCTP10mM 1μl
dGTP10mM 1μl
dTTP10mM 1μl
ジチオスレイトール100mM 2μl
オリゴ(dT)1520μM 2μl
Rnasin40単位/μl(Promega Corp.) 0.5μl
M-MLV逆転写酵素200単位/μl
(Life Technologies Inc.) 1μl
テンプレートRNA2μgを添加 6.5μl
全量: 20μl
反応成分は混合され、42℃で60分間インキュベートされた。
そして混合物を氷上で冷却した。最終量を100μlにするために水を80μl加えた
。
混合物を、PCRで使用するまで、-20℃で保存した。
2. PCR増幅
a. プライマー b. PCR反応
以下の試薬を氷中におかれた反応チューブで混合した:
H2O: 18.5μl
PCRバッファー10X(Dynazyme): 2.5μl
dNTP(それぞれ10mM): 0.25μl
センスプライマー(20μM): 0.5μl
アンチセンスプライマー(20mM): 0.5μl
Dynazyme: 0.25μl
cDNAを加え(50ngのトータルRNAに相当する2.5μl)、反応混合物を混合した。
ミネラルオイル(Sigma M-3516)1滴をPCR溶液の表面に重層した。
反応チューブを、増幅のためサーマルサイクラーに移した。
ポジティブコントロール:SIAX/LB-1079 cDNA;ネガティブコントロール:水サーマルサイクル
:PCR反応は以下のサイクルで行われた:
第一変性: 94°5分間
変性: 94°1分間
アニーリング:プレプロTRH プレプロTRHの増幅について72°1分間
28サイクル
:トリプターゼ-L トリプターゼ-Lの増幅について59°2分
間35サイクル
:Oct-T1 Oct-Tlの増幅について63°2分間27サイ
クル
:β-アクチン β-アクチンの増幅について68°2分間2
3サイクル
延伸: 72°3分間
最終延伸: 72°15分間
反応産物は、アガロースゲル電気泳動で使用されるまで4℃で保存された。
3. ゲル電気泳動
等量(10μl)のPCR反応産物をエチジウムブロマイドで染色された1%アガロース
ゲルで電気泳動した。
表1:
悪性血症での遺伝子発現 注記
結果は、ポジティブコントロール(SIAX)と比較して、アガロースゲルの相対的輝
度として示し、任意に+++を割り当てた。(+、++、+++はポジティブとみなし、-
、+/-はネガティブとみなす)
例6:腫瘍排除抗原をコードする白血病関連遺伝子の部分の同定
第一の方法では、白血病関連遺伝子の1又は2以上の発現を示す自己腫瘍細胞
により提示される抗原に対する入手可能なCTLクローンは、プレプロTRH、トリプ
ターゼ-L及び/又はOct-T1遺伝子及びBrichard et al(Eur.J.Immunol.26:224-
230,1996)により記載されたような自己HLA対立遺伝子でトランスフェクトされ
たCOS細胞に対する特異性についてスクリーニングされた。プレプロTRH、トリプ
ターゼ-L及び/又はOct-T1のCTL認識は、細胞傷害性Tリンパ球からのTNFの放出
を測定すること、又は51Crリリースアッセイ(Herin et al.,Int.J.Cancer 39
:390-396,1987)により同定することができる。CTLクローンがトランスフェクト
されたCOS細胞を特異的に認識する場合には、CTLにより認識されるペプチドをコ
ードする遺伝子の領域を同定するために、コード配列のより短いフラグメントが
作製され、そして試験される。プレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1
のフラグメントは、エキソヌクレアーゼIII消化又はPCRのような他の標準的な分
子生物学的方法により作製される。合成ペプチドは、抗原の正確な配列を確認す
るために、作製され、そして試験される。
また、CTLクローンは、患者の末梢血リンパ球(PBLs)をプレプロTRH、トリプタ
ーゼ-L及び/又はOct-T1ポリペプチドをコードするDNAクローン(例えば、配列番
号1、3、5及び/又は7)でトランスフェクトされた自己正常細胞又は想定される
タンパクに相当する合成ペプチドを有する放射線照射されたPBLsで刺激し、そし
てプレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1クローン内で抗原性ペプチド
を局在させるための適当なHLAクラスI分子に対して一致させることにより生成さ
れる(例えば、van der Bruggen et al.,Eur.J.Immunol.24:3038-3043,1994;M
AGE3 peptides presented by HLA.A2を参照されたい)。プレプロTRH、トリプタ
ーゼ-L及び/又はOct-T1が単離された白血病細胞の患者のHLAタイプは、A2、A26
、B7、B56、Cw1、DR1、DR8、DQ4、DQ5である。
プレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1 cDNAの任意により短いフラグ
メントは、PCRにより作製することができる。より短いフラグメントは、上記の
ようなTNFリリース又は51Crリリースを引き起こすために使用することができる
。
例7:腫瘍排除抗原をコードする白血病関連遺伝子の識別
TNF放出を引き起こすプレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOct-T1の最も短
いフラグメントの部分に相当する合成ペプチドが作製された。漸次、より短いペ
プチドが、得られたHLA分子に最適なプレプロTRH、トリプターゼ-L及び/又はOc
t-T1腫瘍排除抗原ペプチドを決定するために合成された。
合成ペプチドは、公知の方法によりHLA発現細胞の溶解に関して試験された。
例えば、所望のペプチドを提示するHLAがHLA-A2であると決定される場合には、T
2細胞を使用することができる。T2細胞は、抗原プロセシングの欠損の結果とし
て外来ペプチドを提示するための増加された容量を有するHLA-A2+細胞である。T
2細胞をプレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1のCTL応答部分に相当する合成
ペプチドと混合した。CTL細胞を添加し、ペプチドがHLA-A2を生じているT2細胞
の溶解を効率的に刺激することを決定するために、溶解を4時間後に測定する。
他のHLAを発現している細胞は当該技術で周知であるか、又は特異的なHLAクロー
ンでトランスフェクションにより作製することができる。
合成ペプチドの最適サイズを決定するために、減少したサイズのペプチドを、
ペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端から1アミノ酸を逐次除去することに
より、上記で決定されたペプチドの配列に基づいて、合成する。これらのペプチ
ドは、用量応答アッセイにより、CTL細胞による適当なHLA発現細胞の細胞溶解を
誘導するための能力について試験される。凍結乾燥ペプチドをDMSO中に20mg/ml
で溶解し、10mM酢酸中2mg/mlに希釈して、-80℃で保存した。標的細胞、例えばH
LA-A2+T2細胞を上記のように51Crで37℃で1時間ラベルし、次いで未結合ラベル
を除去するために、連続的に洗浄する。ペプチドとHLAの相互作用の必
24:759-764,1994)のような抗HLA-A2抗体で前処理することもでき、そして37℃
で30分間、様々な濃度のペプチドの存在下、96ウェルマイクロプレートでインキ
ュベートされる。HLAにより提示されるペプチドを認識するCTLsは、30:1のエ
フェクター:標的比率で、等量の培地に添加される。クロミウム-51リリースは
4時間後に測定される。例8:CTLsによる白血病関連遺伝子に関する遺伝子の相同ペプチドの認識の同定
上記で認識されるように、Oct-T1及びトリプターゼ-Lは、他のOctファミリー
転写因子及び他のトリプターゼに対して高いアミノ酸ホモロジーを有する。Oct-
T1及び/又はトリプターゼ-Lから誘導される腫瘍排除抗原がこれらの遺伝子に特
異的であることを示すために、Oct-T1及びトリプターゼ-Lそれぞれのタンパクで
の位置に相当する他のOct及びトリプターゼタンパクのペプチドを合成し、上記
のような用量応答-クロミウムリリースアッセイで使用することができる。この
実験は、TRAsから誘導されるOct-T1及び/又はトリプターゼ-Lの特異的な同定を
可能にし、Oct-T1及び/又はトリプターゼ-Lを発現するが、相同的な遺伝子を発
現しない、細胞の溶解を選択的に引き起こすTRAsを選択することができる。例9:正常細胞は白血病関連遺伝子を発現する細胞を溶解するCTLsにより溶解さ れない
この例は、上記で決定されたペプチドを誘導する白血病関連遺伝子とのインキュ
ベーションを行った場合と行わなかった場合における、種々のセルラインでのCT
L溶解実験を記載する。EBV(SIAX-EBV)でトランスフォームされた患者SIAXからの
SIAX白血病細胞、正常B細胞及び同一患者(SIAX-PBL)からの正常末梢血リンパ球
を、用量応答アッセイでCTL細胞による溶解について試験した。これらの細胞を
、上記で詳細に示した用量応答アッセイにおいて最適になるように決定されたエ
フェクター/標的比率でCTLsとインキュベートし、そして上記のような溶解に関
してアッセイした。CTLsによるSIAX白血病細胞のみの溶解は、SIAX-EBV及びSIAX
-PBL細胞がCTLsにより認識されないことを示すので、そのような細胞はプレプロ
TRH、トリプターゼ-L又はOct-T1タンパクから誘導された腫瘍排除抗原は通常発
現していない。
プレプロTRH、トリプターゼ-L又はOct-T1から誘導されたペプチドを適用した
場合に、これらの細胞がCTLにより溶解されるかどうかを次に決定する。上記の
実験を基本として選択されたペプチドが、CTLにより、適当なHLAを発現するSIAX
白血病細胞、SIAX-EBV細胞、及び非自己細胞の細胞溶解を誘発する能力を有する
か否かについて、前記の例のような用量応答アッセイにおいて試験した。好適な
ペプチドを適用したSIAX-EBVとSIAX-PBLは、CTLsにより溶解されないが、好適な
ペプチドを適用したSIAX白血病細胞と非自己細胞は、CTLsにより溶解される。
本発明の他の側面は、当業者にとって自明であり、ここで繰り返す必要はない
であろう。
使用された用語と表現は、記述のための用語として使用されたものであって、
これに限定されるものではない。そのような用語と表現の使用により、記載され
た特徴の均等物及びその一部を除外する意図はなく、本発明の範囲内で様々な改
良が可能であることを認識すべきである。
配列表の後に請求の範囲が続く。
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【補正内容】
I.請求の範囲 別紙のとおり
II.明細書
1)明細書14頁18行の「同定ために」の記載を「同定するために」と訂
正します。
2)同、29頁13行及び16行(計2ケ所)の「補体」の記載を「相補性
」と訂正します。
別紙
請求の範囲
1.白血病関連核酸分子の発現により特徴づけられる疾病の診断方法であって、
対象から分離した生物学的サンプルを白血病関連核酸分子に特異的な試薬と接
触させる工程、及び
疾病の同定として、試薬と白血病関連核酸分子との間の相互作用を測定する工
程を含む、前記診断方法。
2.白血病関連核酸分子が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5および
配列番号:7からなる群より選択される1のヌクレオチド配列を有する分子に対
して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項1に記載の診断
方法。
3.試薬が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5および配列番号:7、
ならびにそれらのフラグメントならびにそれらの相補鎖からなる群より選択され
る1のヌクレオチド配列を有する分子を含む核酸分子である、請求項2に記載の
診断方法。
4.生物学的サンプルが非胎児脳組織、非肥満細胞組織又は非胎児睾丸組織から
分離されたものである、請求項2に記載の診断方法。
5.相互作用が、核酸分子の少なくとも一部を増幅することにより測定される、
請求項1に記載の診断方法。
6.白血病関連ポリペプチドの発現により特徴づけられる疾病の診断方法であっ
て、
対象から分離した生物学的サンプルを白血病関連ポリペプチドに結合する試薬
と接触させる工程、および
疾病の同定として、試薬と白血病関連ポリペプチドとの間の結合を測定する工
程を含むことを特徴とする、前記診断方法。
7.白血病関連ポリペプチドが、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6お
よび配列番号:8ならびにそれらのフラグメントからなる群より選択される1の
アミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項6に記載の診断方法。
8.白血病関連ポリペプチドが配列番号:2のアミノ酸配列を有し、かつ
生物学的サンプルが非胎児脳組織から分離されたものであるか、又は白血病関
連ポリペプチドが配列番号:4または配列番号:6のアミノ酸配列を有し、かつ
生物学的サンプルが非肥満細胞組織から分離されたものであるか、又は
白血病関連ポリペプチドが配列番号:6のアミノ酸配列を有し、かつ
生物学的サンプルが非胎児睾丸組織から分離されたものである、請求項7に記
載の診断方法。
9.試薬が抗体である、請求項6に記載の診断方法。
10.白血病関連核酸の発現を減少させる試薬を含むことを特徴とする、白血病
関連核酸の発現により特徴づけられる疾病の治療薬。
11.白血病関連核酸の発現を減少させる試薬がアンチセンス核酸であり、アン
チセンス核酸が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5および配列番号:
7からなる群より選択される1の白血病関連核酸とハイブリダイズする、請求項
10に記載の治療薬。
12.白血病関連核酸分子の発現を減少させる試薬の、白血病関連核酸分子の発
現により特徴づけられる疾病の治療薬としての使用。
13.白血病関連核酸の発現を減少させる試薬がアンチセンス核酸であり、アン
チセンス核酸が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5および配列番号:
7からなる群より選択される1の白血病関連核酸とハイブリダイズする、請求項
12に記載の治療薬の使用。
14.配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5および配列番号:7からなる
群より選択される1の白血病関連核酸と結合し、かつ白血病関連核酸の発現を減
少させるアンチセンス核酸、および
薬学的に許容される担体を含む、組成物。
15.白血病関連ポリペプチド前駆体の発現の存在を検出するためのキットにお
いて、一組の単離された核酸分子であって、
該一組の単離された核酸分子のそれぞれは本質的に、(a)配列番号:1の1
2−32のヌクレオチド連続セグメント、(b)配列番号:3の12−32のヌ
クレオチド連続セグメント、(c)配列番号:5の12−32のヌクレオチド連
続セグメント、(d)配列番号:7の12−32のヌクレオチド連続セグメント
、(e)“(a)”の相補鎖、(f)“(b)”の相補鎖、(g)“(c)”の
相補鎖および(h)“(d)”の相補鎖からなる群より選択される1の分子から
なり、これらの連続セグメントは重複しない、前記核酸分子、
を含む、前記キット。
16.一組の単離された核酸分子が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:
5および配列番号:7からなる群より選択される1の単離された核酸分子の少な
くとも一部を選択的に増幅するように構築され、配列されている、請求項15に
記載のキット。
17.(a)ストリンジェントな条件下で配列番号:3および配列番号:5から
なる群より選択される1のヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズ
し、かつトリプターゼ−L(tryptase-L)白血病関連ポリペプチドをコードする
核酸分子、
(b)遺伝コードの縮重によりコドン配列において(a)の核酸分子と異なる核
酸分子、及び
(c)(a)及び(b)の相補鎖、
からなる群より選択される1の単離された核酸分子。
18.配列番号:3または配列番号:5の核酸配列を含有する、請求項17に記
載の単離された核酸分子。
19.(a)ヌクレオチド長が12から1012の間であり、配列番号:3の4
87から1499のヌクレオチドのユニークフラグメント、
(b)ヌクレオチド長が12から1012の間であり、配列番号:5の487か
ら1499のヌクレオチドのユニークフラグメント、
(c)ヌクレオチド長が12から109の間であり、配列番号:5の1665か
ら1774のヌクレオチドのユニークフラグメント、および
(d)(a)、(b)および(c)の相補鎖であって、12個から32個の間の
連続ヌクレオチドである上記相補鎖、
からなる群より選択される1の単離された核酸分子。
20.プロモーターに作動的に結合された、請求項17〜19のいずれか1項に
記載の単離された核酸分子を含有する、発現ベクター。
21.請求項20に記載の発現ベクターでトランスフォームまたはトランスフェ
クトされている、ホストセル。
22.請求項17または18に記載の単離された核酸分子によりコードされてい
る、単離されたポリペプチド。
23.長さが9アミノ酸から189アミノ酸の間であり、配列番号:4または配
列番号:6のユニークフラグメントを含み、ユニークフラグメントがポリペプチ
ド結合試薬に結合してもよい、単離されたポリペプチド。
24.ユニークフラグメントが抗体または細胞傷害性Tリンパ球に結合する、請
求項23に記載の単離されたポリペプチド。
25.請求項17又は18に記載の単離された核酸分子によりコードされるタン
パクに選択的に結合する、単離されたポリペプチド。
26.抗体のFabフラグメント若しくはF(ab)2フラグメントであるか、
又は抗体のフラグメントであって、該タンパクに選択的なCDR3領域を含む該
フラグメントである、請求項25に記載の単離されたポリペプチド。
27.モノクローナル抗体である、請求項25に記載の単離されたポリペプチド
。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 16/00 C07K 16/00
C12N 5/10 C12P 21/08
C12P 21/08 C12Q 1/68 A
C12Q 1/68 G01N 33/53 M
G01N 33/53 33/566
33/566 C12N 5/00 B
(72)発明者 デスメ,シャルル
ベルギー王国 B―1200 ブリュッセル、
アブニュー イッポクラット 7459
(72)発明者 ルカ,ソフィー
ベルギー王国 B―1200 ブリュッセル、
アブニュー イッポクラット 7459
(72)発明者 ブーン−ファルール,ティエリー
ベルギー王国 B―1200 ブリュッセル、
アブニュー イッポクラット 7459