JP2001505063A - IκBキナーゼ類 - Google Patents

IκBキナーゼ類

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、T2Kタンパク質として知られるIκB調節タンパク質、及び関連した核酸に関する方法と組成物を提供する。本タンパク質は開示されたT2Kコード核酸からの形質転換宿主細胞から組換え的に産生されてもヒト細胞から精製してもよい。本発明は開示されたT2K遺伝子と特異的にハイブリダイズ可能な特異的ハイブリダイゼーションプローブ及びプライマー、特異的抗体のようなT2K特異的結合薬剤、及び主題組成物を製造し、診断法、治療法及び生物製剤工業において使用する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 IκBキナーゼ類 緒言発明の分野 この発明の分野はシグナル伝達を調節するキナーゼ類のファミリーである。背景 炎症性サイトカイン類IL−1及びTNFは、大抵は転写因子NF−κBによ り媒介される機能である、細胞における遺伝子発現の変更により、多様な生物学 的活動を行う。刺激されていない細胞において、NF−κBタンパク質は、阻害 性分子との複合体であるIκBタンパク質を形成し、細胞質において不活性にさ れる。サイトカイン類と他の刺激に反応して、IκBタンパク質は特定のセリン 残基でリン酸化される。特に、コンセンサス配列DSGL/IXSM/Lの一部 としての2つのセリン残基(例えばIκBαのセリン32と36、IκBβのセ リン19と23、及びメチオニンの使用に依存してIκBεのセリン157と1 61、あるいは18と22のそれぞれ)のリン酸化は、ユビキチン化とプロテオ ソーム媒介分解のタンパク質をマークし、NF−κBを放出しこれが核に入って 、炎症性及び免疫応答に関与するタンパク質をコード化する遺伝子を活性化する 。以下において、IκBセリン36という用語は前記のコンセンサス配列の第2 のセリン残基、例えばIκBαのセリン36、IκBβのセリン23、及びIκ Bεのセリン161又は22を上位概念的に指すために使用する。 NF−κB活性化に対するTNF及びIL−1シグナル伝達経路を描写するこ とにより、TRAF分子が異なったサイトカインに対する収束点であり、TRA F2がTNF−の、TRAF6がIL−1−誘導NF−κB活性化に関与してい ることが分かった。我々はTRAF2随伴キナーゼ活性を含むIκBキナーゼの ファミリー(T2Kと命名する)と、特定の調節残基上でIκBをリン酸化する KIAA0151遺伝子産物の翻訳物をここに開示する。我々は、そのようなキ ナーゼ活性をもたらす天然のタンパク質の精製、誘導されたT2Kペプチドの配 列決定、及び天然のT2KcDNAのクローニングをまた開示する。 関連文献 Nagaseら(1995)DNA Res.2(4),167-174はKIAA0151を含む多くの未同定 のヒト遺伝子由来の概念的コード配列を報告している。Songらの米国特許出願第 08/677862号はTRAF2関連キナーゼを開示している。 発明の概要 本発明は、T2Kタンパク質と呼ばれる天然の単離された調節タンパク質、関 連する核酸、及びT2K特異的活性を有するそのタンパク質ドメインに関する方 法及び組成物を提供する。該タンパク質は主題のT2Kコード核酸由来の形質転 換宿主細胞から組換え的に産生されても哺乳動物細胞から精製されてもよい。本 発明は、開示されたT2K遺伝子と特異的にハイブリダイズ可能な単離T2Kハ イブリダイゼーションプローブとプライマー、特異的抗体のようなT2K特異的 結合薬剤、及び主題組成物を製造し、診断法(例えば、T2K転写物に対する遺 伝子ハイブリダイゼーションスクリーン)、治療法(例えばT2K遺伝子発現を 変調する遺伝子療法)及び生物薬剤工業(例えば免疫原、他の転写調節因子を単 離するための試薬、薬理学的リード薬剤のために化学ライブラリをスクリーニン グするための試薬等々)に使用する方法を提供する。 発明の詳細な説明 ヒトT2Kタンパク質をコードしている天然cDNAのヌクレオチド配列は配 列番号1として示され;概念的全長翻訳物は配列番号2として示される。本発明 のT2Kタンパク質は配列番号1の不完全翻訳物と配列番号2の欠失変異体を含 み、この翻訳物と欠失変異体はT2K特異的アミノ酸配列とアッセイにより識別 可能なT2K特異的結合特異性又は機能を有する。このような活性なT2K欠失 変異体、T2Kペプチド又はタンパク質ドメインは、配列番号2の少なくとも約 6、好ましくは少なくとも約8、より好ましくは少なくとも約10の連続残基の 配列を含んでなり、該配列が配列番号1の塩基1756−2095の翻訳物とK IAA0151遺伝子産物の双方を区別する。例えば、以下に同定されるT2K タンパク質ドメインは、以下に記載されているように、とりわけ固相結合及びキ ナーゼアッセイにおいて同定され使用されるタンパク質結合ドメインを提供する ことが示される。 T2K特異的活性又は機能は、簡便なインビトロ、細胞ベース、又はインビボ アッセイ:例えば動物でのインビトロ結合アッセイ、細胞培養アッセイ(例えば 遺伝子療法、遺伝子組換え動物等々)等々により決定することができる。結合ア ッセイは、結合標的とのT2Kタンパク質の分子相互作用が評価されるあらゆる アッセイを包含する。結合標的は、IκB又はTRAF2のような天然の細胞内 結合標的(基質、アゴニスト及びアンタゴニストを含む)であったり、T2K活 性又はその局在化を直接変調するその他の制御因子;あるいは抗体のような特異 的免疫タンパク質、又は以下に記載するようなスクリーニングアッセイにおいて 同定されるもののようなT2K特異的薬剤のような非天然結合標的でもよい。T 2K結合特異性は、結合平衡定数(通常少なくとも約107-1、好ましくは少 なくとも約108-1、より好ましくは少なくとも約109-1)により、T2K 発現細胞における負の変異体として機能し、異種性宿主(例えばげっ歯類又はウ サギ)においてT2K特異的抗体を誘発する等々の主題タンパク質の能力;ある いは好適な実施態様ではキナーゼ活性により、検定することができる。 本発明に係るT2Kタンパク質は単離されるか純粋である:「単離」タンパク 質は、天然の状態では付随している物質の少なくとも幾らかを伴っておらず、こ の量は、与えられた試料中の全タンパク質の好ましくは少なくとも約0.5%, より好ましくは少なくとも約5%を構成し、純粋なタンパク質が与えられた試料 中の全タンパク質の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約99%を構成 する。T2Kタンパク質とタンパク質ドメインは合成されても、組換え技術によ り産生されても、あるいは哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞から精製されても よい。非常に広範な分子及び生化学的方法が主題組成物の生化学合成、分子発現 及び精製に利用できる。例えば、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(分子 クローニング、実験室マニュアル)(Sambrookら、コールド・スプリング・ハー バー・ラボラトリー)、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学 における 現在のプロトコール)(Ausubelら編、Greene Publ.Assoc.,Wiley-Interscience, NY)あるいは当該分野でその他知られているものを参照されたい。 本発明は、天然及び非天然T2K特異的結合薬剤、かかる薬剤を同定し調製す る方法、及び診断法、治療法及び製薬開発におけるその用途を提供する。例えば 、T2K特異的薬剤は様々な診断及び治療用途に有用である。新規なT2K特異 的結合薬剤には、T2K特異的レセプター、例えば特異的抗体のような体細胞性 組換えタンパクレセプター又はT細胞抗原レセプター(例えばHarlowとLane(1 988)Antibodies,A Laboratory Manual(抗体、実験室マニュアル)、コール ド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー)及び例えば一重、二重及び二重ハイ ブリッドスクリーンのようなアッセイで同定されるその他の天然の結合薬剤、以 下に記載するような化学ライブラリのスクリーンで同定される非天然細胞内結合 薬剤等々が包含される。診断用途では、結合薬剤は、結合薬剤に直接抱合され、 又は結合薬剤に特異的なプローブに抱合される、例えば蛍光、放射能、化学発光 、あるいは他の容易に検出可能な分子でしばしば標識される。特に興味深い薬剤 はT2K機能、例えばT2Kキナーゼ活性を変調する;例えば単離細胞、全組織 、あるいは個体をT2K結合薬剤で処理してNfκB活性化のようなT2Kキナ ーゼ依存性プロセスを活性化、阻害、又は変更するようにしてもよい。 開示したT2Kタンパク質のアミノ酸配列は、選択された発現系に対して最適 化されたT2Kタンパク質コード核酸を逆翻訳するために使用されるか(Holler ら(1993)Gene 136,323-328;Martinら(1995)Gene 154,150-166)、天然のT2K コード核酸配列の単離に使用される変性オリゴヌクレオチドプライマー及びプロ ーブを産生するために使用される(「GCG」ソフトウェア、ジェネティクス・ コンピュータ・グループ・インク、マディソンWI)。T2Kコード核酸配列は 、T2K発現ベクターに使用され、例えば発現及びスクリーニングのために組換 え宿主細胞に、例えばT2K変調細胞機能に関与する疾患に対する候補薬の効能 等の機能性研究等々のための遺伝子組換え動物に導入される。 本発明はまた、配列番号1に含まれるこれまでに新規なT2KcDNA特異的 配列を有し(その補体及び類似体及び例えばRNAにおける対応配列を有するそ の補体を含む)、それに対して特異的ハイブリダイゼーションを行う(すなわち 、 KIAA0151遺伝子の存在下で配列番号1及び配列番号1の塩基1756− 2095からなる核酸に特異的にハイブリダイズする)のに充分な核酸ハイブリ ダイゼーションプローブ及び複製/増幅プライマーを提供する。かかるプライマ ーもしくはプローブは、少なくとも12、好ましくは少なくとも24、より好ま しくは少なくとも36、最も好ましくは少なくとも96の塩基長である。特異的 ハイブリダイゼーションを実証するには一般に厳密な条件、例えば42℃の温度 で5xSSPE(0.18MのNaCl、0.01MのNaPO4、pH7.7 、0.001MのEDTA)中に30%のホルムアミドを含むバッファー中でハ イブリダイズし42℃において0.2xSSPEで洗浄を行ったとき結合したま ま残る条件、好ましくは例えば42℃の温度で5xSSPE中に50%のホルム アミドを含むバッファー中でハイブリダイズし42℃において0.2xSSPE バッファーで洗浄を行ったとき結合したまま残る条件を必要とする。T2KcD NA相同体はまた例えばBLASTX(Altschulら(1990)Basic Local Alignmen t Search Tool,J Mol Biol 215,403-410)のような整合化アルゴリズムを使用 して他のタンパク質から区別することもできる。 主題の核酸は、合成/非天然配列のものであり、及び/又は単離される、すな わちその天然の状態で付随している物質の少なくとも幾らかを伴っておらず、こ の量は、好ましくは与えられた画分中に存在する全核酸の少なくとも約0.5% ,より好ましくは少なくとも約5%を構成し、通常は、天然染色体上に結合して いるもの以外のヌクレオチド(群)に結合した天然配列又は非天然配列を含んで なることを意味する組換え体である。配列番号1のヌクレオチド配列又はそのフ ラグメントを含んでなる核酸は、そのような配列又はフラグメントを、天然染色 体上に結合しているもの以外の配列が直ぐ隣に位置している末端か、天然染色体 上に結合しているもの以外の配列が直ぐに隣に位置しているか末端にある10k b、好ましくは2kbよりも小さい負のフランキング領域が隣に位置している末 端に含んでいる。核酸は通常はRNAもしくはDNAであるが、他の塩基又はヌ クレオチド類似体を含んでなる核酸を使用して安定性を修正する等々もしばしば 好適である。 主題の核酸には、翻訳可能な転写物、ハイブリダイゼーションプローブ、PC Rプライマー、診断用核酸等々としての使用;T2K遺伝子及び遺伝子転写物の 存在を検出し、更なるT2K相同体及び構造類似体をコードする核酸を検出又は 増幅するための使用を含む広範な応用範囲が見出される。診断法では、T2Kハ イブリダイゼーションプローブが、臨床及び実験室試料中の野生型及び変異体T 2K対立遺伝子を同定する際に使用される。変異体対立遺伝子は、高処理臨床診 断に対する対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブを産生する ために使用される。治療法では、治療用T2K核酸が活性なT2Kの細胞発現も しくは細胞内濃度又は利用能を変調するために使用される。例えば、T2K核酸 は活性なT2Kタンパク質の細胞発現もしくは細胞内濃度又は利用能を変調する ために使用される。T2K阻害核酸は典型的には開示された天然T2Kコード配 列の補体を含んでなるアンチセンス、一本鎖配列である。与えられたT2Kタン パク質の発現のアンチセンス変調には遺伝子調節配列に作用可能に連結したアン チセンス核酸を使用してもよい。遺伝子の転写が内因性T2KコードmRNAに 結合可能なアンチセンス転写物を生じるように配向されたプロモータ配列を持つ T2K配列を含んでなるベクターを細胞に形質移入する。アンチセンス核酸の転 写は構成的又は誘発性であり、ベクターは安定した染色体外イメンテナンス又は 組込みをもたらし得る。別法としては、与えられたT2Kタンパク質をコードす るゲノムDNAもしくはmRNAに結合する一本鎖アンチセンス核酸を、標的タ ンパク質の発現が大幅に減少する濃度で、宿主中の又は宿主から一時的に単離さ れた標的細胞に投与してもよい。T2K発現の増強は、対応する遺伝子産物の機 能性発現を増大させるT2K核酸を標的細胞型中に導入することにより行われる 。このような核酸はT2K発現ベクター、内因性対立遺伝子の機能性発現を上方 制御するベクター、又は変異体対立遺伝子の標的修正のための置換ベクターであ ってもよい。生きた細胞中に核酸を導入する技術は当該分野において知られてお り、レトロウィルスベースの形質移入、ウィルスコートタンパク質−リポソーム 性形質移入等々が含まれる。 本発明はIκBセリン36特異的キナーゼタンパク質変調性細胞機能のレベル で活性な薬剤、化合物又は薬剤用のリード化合物を同定する効率的な方法を提供 する。一般に、これらのスクリーニング法は天然のIκBセリン36特異的キナ ーゼタンパク質結合標的とのIκBセリン36特異的キナーゼタンパク質の相互 作用を変調する化合物に対するアッセイを含む。標識インビトロタンパク−タン パク結合アッセイ、イムノアッセイ、細胞ベースアッセイ等々を含む結合薬剤に 対する広範なアッセイが提供される。該方法は、リード化合物に対しての化学ラ イブラリの自動でコスト性能の良い高処理スクリーニングに受け入れられる。こ のようなライブラリは数多くの化学クラスの候補薬剤を包含するが、典型的には 有機化合物;好ましくは小さい有機化合物であり、合成もしくは天然化合物のラ イブラリを含む広範なソースから得られる。同定された薬剤は動物及びヒト治験 用に製薬工業で使用される;例えば薬剤を誘導体化し、インビトロ及びインビボ アッセイで再スクリーニングして製薬開発のための活性を最適化し毒性を最小化 することができる。 インビトロ結合アッセイでは、他のペプチド又はポリペプチド、例えば検出も しくは係留用のタグ等との融合産物の一部であってもよいT2Kタンパク質のよ うなIκBセリン36特異的キナーゼタンパク質を含む成分の混合物を使用する 。アッセイ混合物は、キナーゼタンパク質の天然の細胞内結合標的を含む。天然 の結合標的を使用してもよいが、その部分がアッセイにおいて簡便に測定可能な 主題キナーゼタンパク質に対する結合親和性及び結合活性をもたらす限り、その 部分(例えばペプチド)を使用することがしばしば好ましい。特定の実施態様で は、結合標的はIκBセリン36を含んでなる基質である。このような基質は、 セリン36残基と、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは 少なくとも20の天然に生じる直ぐ隣りに位置する残基(すなわち、IκBα、 βもしくはε由来基質に対してそれぞれ残基26−46、22−42、又は12 −32もしくは151−171の残基)を各側に含むIκBα、βもしくはεペ プチドを含んでなる。 アッセイ混合物はまた候補薬理剤及び典型的には塩、バッファー、中性タンパ ク質、例えばアルブミン、洗浄剤、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、 抗菌剤等々のような様々なその他の試薬を含有する。混合物成分は、要求された 結合をもたらす任意の順序で添加することができ、最適な結合を容易にする任意 の温度でインキュベーションを実施することができる。ついで、混合物は、候補 の薬理剤が存在しなかったらキナーゼタンパク質が細胞結合標的、部分又は類似 体に基準結合親和性をもって特異的に結合するような条件下でインキュベートさ れる。インキュベート期間は同様に最適結合となるように選択されるが、迅速な 高処理スクリーニングを容易にするように最小化される。 インキュベート後、キナーゼタンパク質と一又は複数の結合標的の間の薬剤偏 向結合が任意の簡便な方法で検出される。分離工程が未結合成分から結合成分を 分離するために最初に使用される。分離は、沈降(例えばTCA沈降、免疫沈降 等々)、固定化(例えば固体基質上)等々により実施してもよく、続いて、例え ば膜ろ過、ゲルクロマトグラフィー(例えばゲルろ過、アフィニティー等々)に よる洗浄が続く。成分の一つは通常標識を含むか標識に結合される。標識は、放 射能、発光、光学もしくは電子密度等々のような直接的検出をもたらすものでも 、あるいはエピトープタグ、酵素等々のような間接的検出をもたらすものでもよ い。標識と他のアッセイ成分、例えば光学又は電子密度、放射線、非放射性エネ ルギー移動等々の性質に応じて、様々な方法を使用して標識を検出することがで き、あるいは抗体抱合体等々で間接的に検出される。薬剤の存在下での結合アフ ィニティーと比較して薬剤の非存在下における標的に対するキナーゼタンパク質 の結合アフィニティーの差は、薬剤が結合標的に対するキナーゼタンパク質の結 合を変調することを示している。同様に、以下に記載される細胞ベース転写アッ セイにおいても、薬剤の存在及び不存在下におけるキナーゼタンパク質転写誘導 の差は、薬剤がキナーゼ変調転写を変調することを示している。本明細書におい て使用される差は、統計的に有意であり、好ましくは少なくとも50%、より好 ましくは少なくとも90%の差を表す。 次の実験部分と実施例は例証のために提供するもので限定をなすものではない 。 実験 T2Kの同定: N末端フラッグ−エピトープタグを持つヒトTRAF2タンパク質の発現を指 示するDNAプラスミドを293細胞に安定に形質移入した。懸濁培養液中で成 長させた細胞を、2000RPMで5分間回転させるソーバル(Sorvall)GS−3 ロータにより500mlボトル中でペレット化し、50mMのHEPES、pH 7.9、25OmMのNaCl、5mMのジチオスレイトール(DTT)、1m MのEDTA、20mMのβグリセロリン酸、5mMのリン酸p−ニトロフェニ ル、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、1mMのベンズアミジン、0.4m Mのフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)、1mMのメタ亜硫酸水素 ナトリウム、0.1%のNP−40及び10%(v/v)のグリセロールを含む 5ペレット化細胞容量の「溶解バッファー」に溶解した。時折揺らして30分間 氷上でインキュベーションした後、細胞溶解物を4000RPMで10分間ソー バルH6000Aロータにより50mlのコニカルチューブ中で遠心分離した。 上清を収集し、ベックマン45TIロータにおいて40000RPMで2時間遠 心分離した。TRAF複合体をセファロースに架橋した抗フラッグモノクローナ ル抗体(VWR)(200mlの抽出物に対して1.5mlのセファロースビー ズ)を使用して免疫沈降させた。免疫沈降物を、細胞溶解バッファーで4回、1 モルのNaClを含む溶解バッファーで2回、そして溶解バッファーで2回洗浄 した。この段階で、免疫複合体が野生型IκBα及びβを効果的にリン酸化し得 るが、アラニンで置換した2つのセリンを持つ変異体はリン酸化しない。ついで 、TRAF2複合体を含むセファロースビーズを、20mMのトリス−HCl、 pH7.6、20mMのMgCl2、20mMのβグリセロリン酸、20mMの リン酸p−ニトロフェニル、1mMのEDTA、1mMのオルトバナジン酸ナト リウム、1mMのベンズアミジン、0.4mMのPMSF、1mMのメタ亜硫酸 水素ナトリウム、1mMのATP、及び20mMのクレアチンリン酸を含む4. 5mlsのキナーゼバッファー中において30℃で1時間インキュベーションし た。インビトロキナーゼ反応後に、有意な量のIκBキナーゼ活性が、1mlの ヘパリンアガロースカラムに負荷されNaCl勾配で溶出された可溶性画分中に 見出された。IκBキナーゼ活性は、セントリコン(Amicon)で50ulまで濃 縮した画分フロー中に回収された。スマート(Smart)システム(ファーマシア )により駆動されるスーパーデックス(superdex)200ゲルろ過カラム上で材 料を分画して溶出液を50ul画分に収集した。キナーゼ活性は670kDの分 子サイズマーカーと相関付けされた画分中に回収された。これらの画分をプール し、 NaCl線形勾配でモノQカラムで更に分離した。キナーゼ活性は0.3から0 .4MのNaCl溶出液中に見出された。SDSゲルで分離したカラム画分の銀 染色により、スーパーデックス200とモノQ分画の双方においてキナーゼ活性 に相関付けされた85から90kDのポリペプチドが明らかになった。SDSゲ ルろ過後、このポリペプチドをマイクロペプチド配列決定にかけた。得られた一 つのペプチド配列がメルク−ワシントン大学のESTデータベースの部分的cD NA配列に一致した。729アミノ酸に対するオープンリーディングフレームを 含むcDNAクローンをHeLa細胞から産生したラムダファージcDNAライ ブラリから単離した。配列解析により、予想されたタンパク質(T2K)のN末 端部分にプロテインキナーゼドメインが明らかになった。T2Kのキナーゼドメ インでタンパク質配列データベースをサーチして、T2K、特にプロテインキナ ーゼドメインに高度に相同な(75%同一性)タンパク質(KIAA0151) が同定された。KIAA0151は未知の機能を持つキナーゼであり、Nagase T らによりヒトKG−1細胞から単離された新規なcDNA配列として報告されて いる(DNA Res.2(4),167-174(1995))。 基質特異性の分析により、T2KとKIAA0151の双方がIκBセリン3 6を特異的にリン酸化しTRAF2と結合することが明らかになった。更に、欠 失変異体分析により、10−250残基がキナーゼドメインを定め、T2KとK IAA0151に対して、残基251−729と251−716がそれぞれIκ Bキナーゼ活性に対する負の変異体として活性な調節ドメインを定めることが明 らかになった。組換えT2Kキナーゼは大腸菌及びバキュロウィルス発現系にお いてGST融合タンパク質を過剰発現させることにより調製される。 実施例 1. T2K−IκBαリン酸化アッセイに対するプロトコール A. 試薬: −ニュートラライトアビジン:PBS中に20μg/ml。 −キナーゼ:PBSに20μg/mlで入れた10−8−10-5Mのキナ ーゼ(配列番号2)。 −基質:PBSに40μg/mlで入れた10-7−10-4Mのビオチン化 基質(ヒトIκBαの26−46残基からなる21残基ペプチド)。 −阻害バッファー:PBS中に5%のBSA、0.5%のトウィーン20 ;室温で1時間。 −アッセイバッファー:100mMのKCl、10mMのMgCl2、1 mMのMnCl2、20mMのHEPES、pH7.4、0.25mMのEDT A、1%のグリセロール、0.5%のNP−40、50mMのBME、1mg/ mlのBSA、プロテアーゼ阻害剤のカクテル。 −[32P]γ−ATPの10x保存液:100μCi[32P]γ−ATPを伴 う2x10-5Mの非放射性ATP。スクリーニングの間、4℃のマイクロ冷蔵庫 に配置。 −プロテアーゼ阻害剤カクテル(1000X):10mlのPBS中に1 0mgのトリプシン阻害剤(BMB#109894)、10mgのアプロチニン (BMB#236624)、25mgのベンズアミジン(シグマ#B−6506 )、25mgのロイペプチン(BMB#1017128)、10mgのAPMS F(BMB#917575)、及び2mMのNaVo3(シグマ#S−6508 )。 B. アッセイプレートの調製: −4℃で一晩かけてウェル当り120μlの保存N−アビジンでコーティ ング。 −200μlのPBSで2回洗浄。 −150μlの阻害バッファーで阻害。 −200μlのPBSで2回洗浄。 C. アッセイ: −40μlのアッセイバッファー/ウェルを添加。 −40μlのビオチン化基質(アッセイバッファー中に2−200pmo l/40ul)を添加。 −40μlのキナーゼ(アッセイバッファー中に0.1−10pmol/ 40ul)を添加。 −10μlの化合物又は抽出物を添加。 −10μlの[32P]γ−ATPの10x保存液を添加。 −25℃で15分間振とう。 −25℃で更に45分間インキュベ−ト。 −200μlのPBSで4回洗浄することにより反応を停止。 −150μlのシンチレ−ションカクテルを添加。 −トップカウントをカウント。 D. (各プレート上にある)全アッセイ用の対照: a.非特異的結合 b.80%阻害の非放射性ATP。 2. KIAA0151−IκBβリン酸化アッセイに対するプロトコール A. 試薬: −ニュートラライトアビジン:PBS中に20μg/ml。 −キナーゼ:PBSに20μg/mlで入れた10-8−10-5Mの切断K IAA0151キナーゼ(4−714残基)。 −基質:PBSに40μg/mlで入れた10-7−10-4Mのビオチン化 基質(ヒトIκBβの22−42残基からなる21残基ペプチド)。 −阻害バッファー:PBS中に5%のBSA、0.5%のトウィーン20 ;室温で1時間。 −アッセイバッファー:100mMのKCl、10mMのMgCl2、1 mMのMnCl2、20mMのHEPES、pH7.4、0.25mMのEDT A、1%のグリセロール、0.5%のNP−40、50mMのBME、1mg/ mlのBSA、プロテアーゼ阻害剤のカクテル。 −[ 32 P]γ−ATPの10x保存液:100μCi[32P]γ−ATPを伴 う2x10-5Mの非放射性ATP。スクリーニングの間、4℃のマイクロ冷蔵庫 に配置。 −プロテアーゼ阻害剤カクテル(1000X):10mlのPBS中に1 0mgのトリプシン阻害剤(BMB#109894)、10mgのアプロチニン (BMB#236624)、25mgのベンズアミジン(シグマ#B−6506 )、25mgのロイペプチン(BMB#1017128)、10mgのAPMS F(BMB#917575)、及び2mMのNaVo3(シグマ#S−6508 )。 B. アッセイプレートの調製: −4℃で一晩かけてウェル当り120μlの保存N−アビジンでコーティ ング。 −200μlのPBSで2回洗浄。 −150μlの阻害バッファーで阻害。 −200μlのPBSで2回洗浄。 C. アッセイ: −40μlのアッセイバッファー/ウェルを添加。 −40μlのビオチン化基質(アッセイバッファー中に2−200pmo l/40ul)を添加。 −40μlのキナーゼ(アッセイバッファー中に0.1−10pmol/ 40ul)を添加。 −10μlの化合物又は抽出物を添加。 −10μlの[32P]γ−ATPの10x保存液を添加。 −25℃で15分間振とう。 −25℃で更に45分間インキュベート。 −200μlのPBSで4回洗浄することにより反応を停止。 −150μlのシンチレーションカクテルを添加。 −トップカウントをカウント。 D. (各プレート上にある)全アッセイ用の対照: a.非特異的結合 b.80%阻害の非放射性ATP。 3. 高収量T2K−TRAF2ヘテロ二量体生成アッセイに対するプロトコー ル A. 試薬: −ニュートラライトアビジン:PBS中に20μg/ml。 −阻害バッファー:PBS中に5%のBSA、0.5%のトウィーン20 ;室温で1時間。 −アッセイバッファー:100mMのKCl、20mMのHEPES、p H7.6、1mMのMgCl2、1%のグリセロール、0.5%のNP−40、 50mMのβ−メルカプトエタノール、1mg/mlのBSA、プロテアーゼ阻 害剤のカクテル。 − 33 P T2Kタンパク質の10xストック:200,000−250, 000cpmの標識T2K(ベックマンカウンター)が補填された10-8−10-6 Mの「非放射性」T2K。スクリーニングの間、4℃のマイクロ冷蔵庫に配置 。 −プロテアーゼ阻害剤カクテル(1000X):10mlのPBS中に1 0mgのトリプシン阻害剤(BMB#109894)、10mgのアプロチニン (BMB#236624)、25mgのベンズアミジン(シグマ#B−6506 )、25mgのロイペプチン(BMB#1017128)、10mgのAPMS F(BMB#917575)、及び2mMのNaVo3(シグマ#S−6508 )。 −TRAF2:PBS中の10-7−10-5Mのビオチン化TRAF2B. アッセイプレートの調製: −4℃で一晩かけてウェル当り120μlの保存N−アビジンでコーティ ング。 −200μlのPBSで2回洗浄。 −150μlの阻害バッファーで阻害。 −200μlのPBSで2回洗浄。 C. アッセイ: −40μlのアッセイバッファー/ウェルを添加。 −10μlの化合物又は抽出物を添加。 −10μlの33P−T2K(20−25,000cpm/0.1−10p mol/ウェル=10-9−10-7M最終濃度)を添加。 −25℃で15分間振とう。 −25℃で更に45分間インキュベート。 −40μlのビオチン化TRAF2(アッセイバッファー中に0.1−1 0pmol/40ul)を添加。 −室温で1時間インキュベート −200μMのPBSで4回洗浄することにより反応を停止。 −150μMのシンチレーションカクテルを添加。 −トップカウントをカウント。 D. (各プレート上にある)全アッセイ用の対照: a.非特異的結合 b.80%阻害の可溶性(非ビオチン化TRAF2)。 本明細書において引用した刊行物と特許出願の全てを、あたかもそれぞれ個々 の刊行物又は特許出願が出典明示により特に個々に取り込まれることが示されて いるように、出典明示によりここに取り込む。前記の発明を理解を容易にするた めに例証と実施例によりある程度詳細に記載したが、この発明の教示に照らせば 、添付の請求の範囲の精神又は範囲から逸脱しないで、ある変更と修正を行って もよいことは当業者であれば容易に分かるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/12 C12Q 1/48 Z C12Q 1/48 1/68 A 1/68 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,IL ,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC, LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ, TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 配列番号2、あるいはT2K特異的活性を有するそのフラグメントを含ん でなる単離T2Kタンパク質。 2. 上記タンパク質がIκBをセリン36で特異的にリン酸化する請求項1に 記載の単離タンパク質。 3. 上記タンパク質が配列番号2の欠失変異体を含んでなり、該欠失変異体が 配列番号2の残基1−250又は251−729を含んでなる請求項1に記載の 単離タンパク質。 4. 請求項1に記載のタンパク質をコードしている組換え核酸。 5. 請求項4に記載の核酸を含んでなる細胞。 6. 単離T2Kタンパク質の調製方法において、請求項4に記載の核酸を宿主 細胞又は細胞抽出物中に導入し、上記核酸が転写物として発現し、該転写物が上 記タンパク質を含んでなる翻訳産物として発現される条件下で上記宿主細胞又は 抽出物をインキュベートし、上記翻訳産物を単離する工程を含んでなる方法。 7. 請求項6に記載の方法により調製された単離T2Kタンパク質。 8. 配列番号1、あるいは配列番号1の少なくとも24の連続塩基を有し、配 列番号1の配列を有する核酸と特異的にハイブリダイズするのに充分なそのフラ グメントを含んでなる単離T2K核酸。 9. T2Kタンパク質の結合標的への結合を変調する薬剤のスクリーニング方 法において、 請求項1に記載の単離タンパク質、上記タンパク質の結合標的、及び候補薬剤 を含む混合物を、該薬剤が存在しなかったら上記タンパク質が基準親和性をもっ て上記結合標的に特異的に結合する条件下で、インキュベートし、 上記結合標的に対する上記タンパク質の結合親和性を検出して薬剤偏向親和性 を決定する工程を含んでなり、 薬剤偏向親和性と基準親和性の間の差が、上記結合標的に対する上記タンパク 質の結合を上記薬剤が変調することを示す方法。 10. 上記結合標的がIκBセリン36を含む基質であり、上記結合親和性が 上記IκBセリン36のリン酸化として検出される請求項9に記載の方法。 11. IκBセリン36に対して特異的なIκBキナーゼによりIκBリン酸 化を変調する薬剤をスクリーニングする方法において、 単離IκBセリン36特異的キナーゼ、IκBセリン36を含んでなる基質、 及び候補薬剤を含む混合物を、該薬剤が存在しなかったら該キナーゼが基準親和 性をもって上記基質をIκBセリン36で特異的にリン酸化する条件下で、イン キュベートし、 上記キナーゼによる上記基質のリン酸化を検出して薬剤偏向活性を決定する工 程を含んでなり、 薬剤偏向活性と基準活性の間の差が、IκBセリン36リン酸化を上記薬剤が 変調することを示す方法。 12. 上記キナーゼがKIAA0151又は配列番号2、あるいはIκBをセ リン36で特異的にリン酸化する何れかのフラグメントを含んでなる請求項11 に記載の方法。
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