【発明の詳細な説明】
インターロイキン−1レセプター関連プロテインキナーゼ及び検定
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、米国特許法第120条に基づく、1985年6月23日に出願された、08/49
4,006の継続出願である。
序論
発明の分野
本発明の分野は、ヒトインターロイキンレセプター関連キナーゼ及びその薬物
スクリーニングにおける利用に関する。
背景
サイトカイン、インターロイキン−1(LI-1)は、炎症反応における主要な媒介
物質である(参考文献1〜3を参照)。炎症におけるIL-1の重要性は、炎症状態
を和らげる非常に特異的なIL-1レセプター拮抗タンパク質の能力によって証明さ
れた(参考文献1,4参照)。血管内皮上の細胞接着分子の調節等のIL-1の炎症
誘発性効果は、転写調節のレベルで発揮される。細胞接着分子の転写活性化及び
炎症反応において必要であるとみられる他の遺伝子は、ほとんどNF-κB(5-8)に
よって媒介されるとみられる。IL-1に対する反応において、NF-κB阻害因子IκB
は分解し、NF-κBは、DNAに結合し転写を活性化する核内に局在するために不活
性細胞質状態から遊離する(9,10)。NF-κB活性化に至るIL-1シグナル伝達経路の
解明が、炎症を軽減するためにメカニズムへの有益な洞察力を与える。特に、こ
の経路の成分は自動化され、対費用効果が高く、且つ処理能力の高い薬物スクリ
ーニングを提供し、それ故に国内及び国際的な医薬品、及びバイオテクノロジー
薬物開発計画の広い範囲における直接的な応用を有する。
2種の細胞表面IL-1レセプター、I型(IL-1RI)及びII型(IL-1RII)が同定され、
分子クローニングされた(11,12)。両方のレセプターは、単一の膜貫通ドメイン
、
及びIgG様細胞外ドメインを有する。IL-1RIIは主としてB細胞に存在し、たった
29個のアミノ酸からなる細胞質内ドメインを含み、細胞内シグナル伝達において
直接的な役割を果たしていない(参考文献13を参照)。ヒトIL-1RIはほとんどの
タイプの細胞に見られ、成熟した形態において552アミノ酸を有する。212アミノ
酸の細胞質内ドメインはシグナル伝達活性(14-17)に必要であるか、プロテイン
キナーゼ又はシグナル伝達に必要な他の哺乳動物の因子と有意な相同性を有しな
い。IL-1RIの細胞質内ドメインは、背側−腹側パターニング(dorsal-ventral pa
tterning)に必要なドロソフィラ(Drosophila)膜通過タンパク質Tollと有意な配
列相同性を共有する(18)。この相同性は、ドロソフィラの背側−腹側パターニン
グ経路の他の成分、Dorsal及びCactusがNF-κB及びI κBと相同性があるので機
能的に重要である。また、IRI及びTollとの間に保存されているアミノ酸の突然
変異は、T細胞におけるシグナル伝達を不活性化する。
関連文献
Martinら(27)は、IL-1Iと共沈殿し細胞外60kD基質に特異的なマウスIL-1依存
性プロテインキナーゼ活性の存在を報告した。Heguyら(15)は、IL-1R及びシグナ
ル伝達に必要なドロソフィラTollタンパク質においてアミノ酸が保存されている
ことを開示した。
発明の要約
本発明は、インターロイキン−1レセプターI型に関連するプロテインキナー
ゼ(IRAK)のクラスに関連する方法及び組成物を提供する。天然の全長のヒトIRAK
はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において見かけ上約100kDの分子量で移動
する。該組成物は、IRAK及びハイブリダイゼーションプローブをコードする核酸
を有し、該プライマーはIRAK遺伝子とハイブリダイズすることができる。
本発明は、IRAK活性又はIRAK依存シグナル伝達と関連する病気の診断又は治療
に有用な薬物のためのリード化合物の化学ライブラリーのスクリーニング方法を
含む。一態様において、該方法は、(1)IRAK、インターロイキン−1レセプター
等の天然の細胞内IRAK基質又は結合標的、及び候補の薬物を含む混合物を形成し
、
(2)上記候補薬物が存在しなければ、上記IRAKが上記基質を選択的にリン酸化す
るか、上記結合標的と結合する条件下で上記混合物をインキュベートし、(3)上
記IRAKによる上記基質の特異的リン酸化、又は上記結合標的への上記IRAKの結合
の存在又は不存在を検出し、上記選択的絵都合の不存在が、候補薬物がIRAK機能
を破壊することができる薬物のリード化合物であることを示す。
発明の詳細な説明
ヒトIRAK-1をコードする天然のcDNAのヌクレオチド配列を配列番号1に示し、
その完全な概念上の翻訳を配列番号2に示す。本発明のIRAKは、天然のIRAK遺伝
子の誘導体及び遺伝子産物を含む。例えば、IRAK-2は、1514-1552を欠如するヌ
クレオチドを包含する領域をコードするIRAK-1cDNAの誘導体によってコードさ
れる。同様に、IRAK-3は、1514-1558を欠如するヌクレオチドを包含する領域を
コードするIRAK-1の誘導体である。
開示されたIRAKは、cDNAの不完全な翻訳及び欠失変異体及び欠失変異体を含み
、上記翻訳又は欠失変異体は、ここで開示するキナーゼ活性又はIRAK自己会合機
能等のIRAK特異的機能を有する。例えば、配列番号2の残基212(Phe)〜523(Ala)
により結合するドメインは、主題において、独立的に又は他のドメインに結合し
て用いられる活性キナーゼドメインを定義する。同様に、配列番号2のN末端12
0残基はIRAK自己会合ドメインを定義する。このドメインは、IRAK調節の重要な
方法を提供する高位のIRAK複合体を必要とする方法における利用を見いだす。そ
れ故、このドメインは、制御因子又はIRAK活性として、IRAK複合体形成試験にお
いて試薬として、独立に用いてもよい。
請求の範囲に記載されたIRAKタンパク質が分離され、部分的に精製され、又は
精製され、典型的に組換えにより製造される。例えば、分離されたタンパク質は
その天然の状態と関連する少なくともいつくかの材料を伴わず、与えられた試料
の全タンパク質の少なくとも約0.5重量%、好ましくは少なくとも約2重量%、更
に好ましくは少なくとも約5重量%を構成し;部分的に精製されたタンパク質は
、与えられた試料の全タンパク質の少なくとも約10重量%、好ましくは少なくと
も約30重量%、更に好ましくは少なくとも約60重量%を構成し;精製されたタ
ンパク質は、与えられた試料の全タンパク質の少なくとも約70重量%、好まし
くは少なくとも約90重量%、更に好ましくは少なくとも約95重量%を構成する
。多種多様の分子及び生化学的方法が、対象組成物を生成し発現するために利用
することができ、例えば、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(Sambrook
,et al.Cold Spring Harbor Laboratory),Current Protocols in Molecular
Biology(Eds.Aufubel,et al.,Greene Publ.Assoc.,Wiley-Interscience,
NY)又は当業界で公知の他の方法を利用することができる。
本発明は、基質、天然の細胞内結合標的を含むIRAK-特異的試薬、該試薬の同
定及び製造方法、並びに診断、治療及び薬物開発におけるそれらの使用を提供す
る。例えば、IRAK特異的試薬は、IRAK、様々な診断及び治療の応用、特に、例え
ばIL-1レセプター活性化を含む経路の不適当な利用と関連する病気又は病気の予
後において有用である。新規なIRAK特異的結合試薬は、IRAK特異的抗体、1-及び
2-ハイブリッドスクリーニング等の検定で同定される天然の細胞内結合試薬、化
学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定される非天然の細胞内結合試薬等
を含む。特定の興味のある試薬が、IRAKの機能、例えばIRAKアンタゴニストを調
整する。
一般に、結合試薬のIRAK特異性は、キナーゼ活性(試薬はIRAK基、作用薬、拮
抗薬等の活性を証明する)、又は結合平衡定数(通常、少なくとも約107/M、好
ましくは少なくとも約108/M、更に好ましくは少なくとも約109/M)によって示さ
れる。多種多様の細胞をベースとする、又は細胞フリーの試験が、IRAK特異的結
合を証明するために用いられる。好ましいものは、IRAK-タンパク質(例えば、IR
AK-IL-1 RI)結合の仲介又は阻害、リン酸化試験、イムノアッセイ等のin vitro
における迅速なものである。
また、本発明は、その核酸がIRAK発現ベクターの一部であり、発現及びスクリ
ーニングのために組換え細胞に、機能研究(例えば、IRAKの発現と関連する病気
のための候補薬物の効果)のために遺伝子導入マウスに組み込まれる、主題のタ
ンパク質をコードする核酸、核酸ハイブリダイゼーションプローブ、及び配列番
号1中に含まれるIRAK cDNA特異的配列を有する複製/増幅プライマーを提供す
る。IRAKをコードする核酸は、開示されたIRAK cDNAから得られたcDNAプローブ
又はPCRプライマーでcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、真核
細胞、好ましくはヒト細胞から分離される。更に、本発明は、ハイブリダイゼー
ションを実施するために開示されたIRAK cDNAのものと十分な配列類似点を共有
するIRAK遺伝子相同体を提供する。このようなIRAK cDNA相同体は、あまり厳格
でない条件で、例えば、37℃の温度で0.9M塩/0.09Mクエン酸ナトリウム(SSC)バ
ッファー中に0%ホルムアミドを含むハイブリダイゼーションバッファー、及び37
℃でSSCバッファーに42℃で洗浄のためにさらした場合に結合したままである;
又は42℃の温度における5xSSPE(0.18M NaCl,0.01M NaPO4,pH7.7,0.001M EDTA
)中に30%ホルムアルデヒドを含むバッファー、及び42℃で0.2xSSPEにさらした場
合に結合したままである条件で、配列番号1によって定義されるIRAKをコードす
る核酸とハイブリダイズする。好ましい核酸は、中程度の厳格な条件で、例えば
、42℃の温度で0.9M塩/0.09Mクエン酸ナトリウム(SSC)バッファー中に20%ホル
ムアミドを含むハイブリダイゼーションバッファー、及び42℃で2xSSCバッファ
ーで42℃で洗浄のためにさらした場合に結合したままである;又は42℃の温度で
5xSSPEバッファー中に50%ホルムアミドを含むハイブリダイゼーションバッファ
ー、及び42℃で0.2xSSPEバッファーで42℃で洗浄のためにさらした場合に結合し
たままである条件でハイブリダイズするだろう。更に好ましい核酸は、開示され
たIRAKキナーゼドメインと、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%の対
同一性を有するキナーゼドメインをコードする。
主題の核酸は組換え体であり、天然の染色体と結合している以外のヌクレオチ
ドと結合する配列を含み、しばしば、即ち与えられた分画内に存在する全核酸の
少なくとも約0.5重量%、好ましくは少なくとも約5重量%を構成して分離される
ことを意味する。組み換え体核酸は、ベクター、細胞又は生物内に含まれるかも
しれない。主題の核酸は、翻訳可能な転写物、ハイブリダイゼーションプローブ
、PCRプライマー、治療用核酸IRAK遺伝子及び遺伝子転写物の存在の検出、付加
的なIRAK相同体及び構造的類似物をコードする核酸の検出又は増幅、及び遺伝子
治療の応用における利用等の利用を含む多種多様の応用を見いだす。
本発明は、IRAKが調節できる細胞機能の高さで、特にIRAKが仲介するIL-1シグ
ナル伝達、特に炎症において活性な試薬のための薬物又はリード化合物を同定す
る有効な方法を提供する。一般に、上記スクリーニング方法は、キナーゼ活性又
はIL-1レセプターI結合等のIRAK活性に干渉する化合物の検定を含む。上記方法
は自動化されやすく、リード化合物のための化学ライブラリーの費用効果的な高
い処理能力のスクリーニングである。同定された試薬は動物及びヒトの試験につ
いての薬学産業において利用を見いだす。例えば、試薬は薬物開発のために活性
を最適化し毒性を最小にするためにin vitro及びin vivoで誘導化され再スクリ
ーニングされるかもしれない。標的にする治療上の徴候は、1又はそれ以上の基
質を含む天然のIRAK細胞内結合標的を含む複合体の形成の破壊によって、標的細
胞機能を調節、通常は阻害にさらす点においてのみ制限される。標的にする徴候
は、腫瘍症、炎症、過敏症等の感染、遺伝病細胞増殖及び機能障害を含むかもし
れない。
結合試薬のための多種多様の検定は、ラベル化in vitroキナーゼ試験、タンパ
ク質−タンパク質結合試験、イムノアッセイ、細胞をベースとする試験等を含ん
で提供される。該方法を用いるIRAK組成物は、分離された、部分精製又は精製さ
れた形態で加えられ、典型的に組換えにより生成される。IRAKは、他のペプチド
又はポリペプチド、例えば、試験条件下(例えば、検出又はアンカリングのタグ)
でタンパク質−タンパク質結合、安定性を提供し向上させるペプチドとの融合生
成物の一部であるかもしれない。検定混合物は、IL-1 RI C末端等の基質を含む
天然の細胞内IRAK結合標的を含み、自己リン酸化検定の場合には、IRAKは、それ
自身結合標的として機能し得る。IRAKが誘導する偽基質は、主題のキナーゼ検定
において用いられる効果的な基質を生成するために使用され、修飾される(例え
ば、AからS/Tへの置換)。セリン/スレオニンキナーゼ偽基質ペプチドの利
用及び該偽基質ペプチドからの基質ペプチドの生成は当業界において周知である
。天然の結合標的が用いられるかもしれない間、部分(例えば、ペプチド、核酸
フラグメント)は、検定において都合良く測定できる対象のIRAKに結合アフィニ
ティー及び親和力を提供する限りは、しばしばその部分が使用される。また、検
定混合物は候補薬物を含有する。候補薬物は、多くの化学薬品のクラスを含むが
、典型的には有機化合物である。好ましくは小さい有機化合物であり合成又は天
然の化合物のライブラリーを含む、多種多様の原料から得られる。また、多くの
他
の試薬が混合物中に含まれるかもしれない。それらは、最適な結合を促進し、及
び/又は非特異的又はバックグラウンドの相互作用を減少するために用いられる
、アルブミン、界面活性剤等の塩、バッファー、天然タンパク質等の試薬を含む
。検定効率を向上させる他の試薬、例えば、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ
阻害剤、抗菌剤も用いられる。
候補薬物が存在しなければ、IRAKが細胞結合標的、部分又は類似物と結合する
条件下で、得られた混合物をインキュベートする。混合物成分を、必要な結合を
提供するどのような順番でも加えることができる。インキュベーションは、最適
結合を促進するどのような温度でも実施することができ、典型的には4〜40℃
であり、更に通常には15℃〜40℃である。インキュベーション時間は、同様
に、最適な結合のために選択され、迅速な高処理能力スクリーニング促進するた
めに最小限にされ、通常は0.1〜10時間であり、好ましくは5時間未満であり、
更に好ましくは2時間未満である。
インキュベーション後、IRAK及び1又はそれ以上の結合標的の特異的結合の存
在又は不存在を、都合の良い方法で検出する。細胞フリー結合タイプ検定につい
ては、非結合成分から結合成分を分離するために、分離工程がしばしば用いられ
る。分離は、沈殿(例えば、TCA沈殿、免疫沈殿等)、固定化(例えば、固体基
質上における)等、それに続く洗浄、例えば、膜ろ過(例えば、Whatman's P-81
イオン交換紙、ポリフィルトロニックの疎水性GFC膜等)、ゲルクロマトグラフ
ィー(例えばゲルろ過、アフィニティー)によって実施される。キナーゼ検定に
ついては、結合はIRAKのキナーゼ活性の変化によって検出される。
検出は、何れかの都合の良い方法で実施される。細胞フリー結合検定について
は、成分の1つは通常含まれるか、標識と結合している。多種多様の標識、基本
的にタンパク質の結合の検出を与える標識が用いられる。標識は、放射能、発光
、光学又は電子密度等の直接的な検出、又はエピトープタグ、酵素等の間接的な
検出を提供するかもしれない。標識及び他の検定成分の性質に依存して、種々の
方法が標識を検出するために用いられる。例えば、標識は固体基質への結合を検
出してもよく、固体基質から分離される標識を含む結合複合体の一部の結合を検
出し、その後標識を検出してもよい。標識は、光学又は電子密度、放射性の放射
、
非放射性エネルギー移動等を通じて直接的に、又は抗体コンジュゲート等により
間接的に検出してもよい。例えば、放射能標識の場合、放射は、例えば、粒子カ
ウンターで直接的に、又はシンチレーションカクテル及びカウンターにより間接
的に検出してもよい。
以下の実験及び実施例は本発明の説明を提供するが、本発明を制限するもので
はない。
実験
公知の哺乳動物のシグナルトランスデューサーとの相同性の欠如に基づいて、
多分、IL-1RIの細胞内領域がIL-1シグナルを伝達するために他の因子と相互作用
する。我々は、NF-κBを活性化するためのIL-1RI変異体の能力を試験することに
より、このような因子と相互作用するレセプタードメインを詳述しようと努力し
た。NF-κB活性化を測定するために、我々は、IL-1RI変異体のための発現ベクタ
ーががE-セレクションプロモータールシフェラーゼレポータープラスミドとヒト
293細胞系に同時形質移入される検定を用いた。IL-1によるE-セレクション転写
の剌激は、主としてNF-κBの活性化を通じて起こることが知られている(24,25)
。一時的に形質移入された293細胞内のルシフェラーゼ活性は、IL-1刺激の存在
又は非存在下に検出された。形質移入されたレセプターの非存在下で、IL-1(1ng
/ml)が内因性IL-1RIを通じた低レベルの転写性活性を誘導した。しかし、野生型
IL-1RIで一時的に形質移入した細胞においては、IL-1依存性転写活性の大きな増
加は観察されなかった。この結果は、一時的に形質移入された細胞内の大部分の
レセプター活性が形質移入されたIL-1RIにより特徴づけられ、IL-1RI変異体の解
析のためのシステムの使用を確実なものとする。
5つの異なる、IL-1RIのC末端切断変異体を、IL-1に応じてE-セレクションレ
セプターを活性化する能力について試験した。C末端から20、25又は31アミノ酸
の除去は、NF-κBを活性化するIL-1RIの能力に、明らかに影響を及ぼさなかった
。C末端45又は75アミノ酸の欠失は、NF-κBを活性化するIL-1RIの能力を欠如し
ていた。従って、-31及び-45欠失によって定義される領域(残基508〜521)はIL-1
によってNF-κBを活性化するのに必要な配列を含む。更に、-45及び-7
5欠失変異体はドミナントネガティブな変異体として振る舞い、NF-κBを活性化
する内因性IL-1RIの能力を遮断する。
IL-1RIの508〜521アミノ酸残基はシグナルトランスダクションに必要であるよ
うに思われるので、この領域を、3つのアミノ酸をアラニンに変異させたレセプ
ターを構築することにより更に綿密に試験した。510-512A、513-515A、及び518-
520Aを含む、これらの変異体を、NF-κBを活性化する能力についてのNF-κBレセ
プター検定において解析した。この解析により、510-512A変異体は活性であるが
、513-515A及び518-520A変異体は不活性である。IL-1RIの510、511及び512アミ
ノ酸はTollにおいて保存されていないが、保存されたアミノ酸は、513-515及び5
18-520領域の両方に存在する。IL-1RI機能についての保存された残基の必要性は
、これらのアミノ酸がシグナル伝達分子に直接接触していることを示し、全ての
レセプター構造にとって重大である。
次に、我々はIL-1RI関連シグナル伝達分子を同定するために免疫沈降実験を行
った。一時的に形質移入された293細胞からの代謝的に35S-標識されたIL-1RIの
免疫沈降は、レセプターが高レベルで発現されIL-1RI細胞外ドメインに対するポ
リクローナル抗血清と特に免疫沈降することを示す。以前に公表された結果(20)
と一致し、IL-1RIで一時的に形質移入された293細胞のFACS解析は、細胞数の多
くの割合(〜40%)がレセプターを発現することを示した。細胞溶解前にIL-1を
細胞に添加することはIL-1RIを免疫沈降するための抗血清の能力における影響を
持たなかった。
プロテインキナーゼIL-1RIと関連するかどうかを決定するために、レセプター
を一時的に形質移入した293細胞から免疫沈降し、in vitroキナーゼ検定により
調べた。IL-1が誘導するプロテインキナーゼ活性は特にIL-1RIと関連ことが観察
された。我々は、この活性をIRAK(IL-1RI関連キナーゼ)と名付けた。この反応
におけるIRAKの主な標的は、約100kDaの内因性基質である。レセプター−キナー
ゼ相互作用の特異性は、免疫沈降物中の活性の欠如、及び免疫沈降に加えた時の
キナーゼ活性と競合IL-1RI-IgG融合タンパク質の能力によって支持される。キナ
ーゼ活性は迅速に起こり、細胞をIL-1にさらすと2分以内に最適に到達し、キナ
ーゼ活性がIL-1レセプターに近接して起こることを示唆する。
IRAKがNF-κB活性化に必要であれば、変異したレセプターの免疫沈降物におけ
るキナーゼの活性は、変異したレセプターによるE-セレクションレセプターのin
vivo活性化と関連がある。IL-1RIのC末端欠失変異体を293細胞内で一時的に発
現させ、レセプターを免疫沈降し、関連したIL-1キナーゼ活性について試験した
。形質移入したレセプターの不存在において、293細胞は低いが検出し得る程度
のIRAK活性を示す。NF-κBを活性化し得る3種のC末端欠失変異体(-20、-25、-
31)は、無傷のIL-1RIと関連するものと識別できない、関連キナーゼ活性を示す
。従って、活性IRAKとIL-1RIとの関連、及びNF-κBを活性化するIL-1の能力の間
に直接な関連がある。
NF-κB活性及びIRAKキナーゼ活性の間の関連を更に調べるため、IL-1RIの三重
のアラニンスキャン変異体293細胞への形質移入に続く同時免疫沈降検定を実施
した。IRAK活性は、510-512A変異体では観察されたが、513-515 Ala又は518-520
Ala変異体では観察されなかった。また、IRAKと相互作用するIL-1RIの能力とNF
-κBの活性化を誘導する能力との間には直接の関係がある。
pp100を精製するために、我々はIL-1RIを発現するプラスミドで293細胞を安定
的に形質移入した。FACSで示されるように、293/IL-1RI細胞は、FACS解析によっ
て示されるように親の292細胞に比べ、少なくとも2倍の大きさのレベルでIL-1R
Iを発現する。細胞を懸濁状態で増殖させ、収穫前にIL-1で簡単に処理し、試料
を抽出した。IL-1RIの細胞外ドメインに対するウサギ抗体を用いた大規模免疫沈
降により100リットルの細胞から調製した抽出物からpp100を精製した。pp100に
続いて、免疫沈殿物をγ32P-ATPの存在下、in vitroキナーゼ反応にさらした。I
I-1RI免疫複合体から溶出したpp100をQセファロースカラムクロマトグラフィー
により更に精製した。放射標識さらたpp100を含むタンパク質分画を二次元ゲル
電気泳動にかけ、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)膜にブロッティングした。pp10
0(約0.4μg)をオートラジオグラフィーにより同定し、リジン−C及びトリプシ
ンで消化した。得られたペプチドを、キャピラリー高速液体クロマトグラフィー
で分画した。10種のポリペプチドのアミノ酸配列を得、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)のためのプライマーとして変性したオリゴヌクレオチドを設計するために
用いた。356ヌクレオチドのDNAフラグメントを、293細胞からのmRNAを用
いて調製したcDNAから増幅した。このDNAフラグメントは、他の3種のペプチド
と同様にPCRプライマーを設計するために用いられるペプチドをコードする。
プローブとしてこのDNAフラグメントを用い、我々はヒト奇形癌cDNAライブラリ
ーから、関連するcDNAクローンを分離した。得られた最も長いクローンは3.5キ
ロベース対の長さであり(配列番号:1)、699アミノ酸のタンパク質をコード
する(配列番号:2)。インフレーム(in-frame)終止コドンは最初のメチオニン
の上流36ヌクレオチドに位置し、クローンが全長さのタンパク質をコードするこ
とを示す。
タンパク質の配列分析は、キナーゼの触媒ドメインに似ている領域を示した。
11のサブドメイン及び15の不変アミノ酸は、プロテインキナーゼが存在すること
を示す。キナーゼドメイン配列でのNCBI BLASTの検索は、pp100及びいくつかの
セリン/スレオニンキナーゼの間の類似性を示した。pp100と最も高い配列類似
性を共有する動物起源のキナーゼは、298アミノ酸キナーゼの33%が同一であるド
ロソフィラ・ペレ(drosophila Pelle)である。また、研究はpp100と未知の機能
の植物キナーゼ、及びトマト中で最近シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas s
yringae)pv.tomatoに抵抗性を付与する植物Tpo遺伝子との間の相同性を示した
。
方法I:IRAK活性の同定
プラスミドの構築及び抗血清の調製
ヒトIL-1RIcDNAをpRK5(20)にクローニングし、その発現がサイトメガロウイル
スの最初期のプロモーター−エンハンサーの制御下にあるプラスミドpRK-IL-1RI
を得た。C末端欠失変異体のための発現プラスミドを、ポリメラーゼ連鎖反応(P
CR)によりIL-1RIコード領域に終止コドンを導入することによりpRK-IK-1RIから
生成した。内部の三重転移対は、PCRの2ラウンドを含む工程により製造された
。PCRの最初のラウンドは、重複した領域の中心に関連する変異を有する重複す
るフラグメントを生成した。2つのフラグメントをPCRの第二ラウンドにより連
結した。全ての構築物の配列をDNA配列により確認した。IL-1RIの細胞外ドメイ
ンに対する抗血清を調製するために、開示されたように(22)ヒトIgGに融合した
成熟IL-1RI細胞外ドメインを含む融合タンパク質を293細胞内で一時的に発現
させた。キメラタンパク質を含む細胞培養培地を、形質移入3日及び7日後に収
穫した。IL-1RI-IgG融合タンパク質をプロテインA−アガロースクロマトグラフ
ィーにより生成し、BAbCo(Richmond,CA)によりウサギを免疫するために用いた。
細胞培養、形質移入、細胞抽出物の調製、及び代謝的標識
ヒト胎児腎臓293細胞を、10%ウシ胎児血清、100mg/mlペニシリンG及び100mg/
mlストレプトマイシン(Gibco)を補足したDMEM培地で増殖させた。レセプター機
能を分析するために、細胞を30〜50%集密に6ウエルシャーレにまいた。次の日
に、リン酸カルシウム沈殿法(23)により種々の発現ベクターで形質移入を実施し
た。36時間後、ヒト組換えIL-1β(Genentech)を最終濃度1ng/mlになるように培
地に加えた。6時間後に細胞を収穫し、プロメガ試薬を用いてルシフェラーゼ活
性について分析した。化学発光試薬(Tropix,Inc)を用いてβ−ガラクトシダーゼ
活性を定量し、ルシフェラーゼ活性を標準化するために用いた。免疫沈降及びin
vitroリン酸化反応検定のための抽出物は、以下のように調製した。293細胞を1
00mmプレート中に50%密度にまき、次の日にIL-1RI発現プラスミドで形質移入し
た。40〜48時間後、IL-1(20ng/ml)を培地に加えた。37℃で指示された時間イン
キュベートした後、培地を除去し、すぐに培地を氷上で冷却した。細胞を、冷却
した5mlの食塩加リン酸バッファー(PBS)で2回洗浄し、1mM EDTAを含む5mlのPBS
中でプレートをこすった。1200xgで3分間遠心することにより細胞をペレット化
し、1mlの溶解バッファー(50mM HEPES pH7.6,250mM NaCl,1mMジチオスレイト
ール(DTT),1mM EDTA,0.1%Tween-20,10%(v/v)グリセロール,10mM b-グリセロ
リン酸,5mM p-ニトロフェニルリン酸,1mMオルトバナジン酸ナトリウム,1mMベ
ンズアミジン,0.4mMフェニルメチルスルホニルフッ化物,1mMメタ亜硫酸ナトリ
ウム,10ug/mlロイペプチン及び10ug/mlアプロチニン)に懸濁した。氷上で20分間
インキュベートした後、細胞の破片をマイクロ遠心機で20分間遠心することによ
りペレット化し、上清を集め-70℃に保存した。代謝的標識のために、293細胞を
150mmのプレートにまき、集密近くまで増殖させた。細胞を25℃のPBSで2回洗浄
し、700uCiの35S細胞標識混合物(Amersham)を加える前に、システイン及びメチ
オニンを欠乏するDMEMに37℃で40分間インキュベートした。4時間後、培地を除
去し、細胞をPBSで2回洗浄し、上述したように抽
出物を調製した。
免疫沈降及びin vitroキナーゼ検定
免疫沈降のために、1mlの細胞抽出物を、20mlの溶解バッファー中のプロテイ
ンA−アガローススラリー(50%v/v)に、4℃で2時間インキュベートした。マイ
クロ遠心機で10秒間遠心することによりプロテインAビーズをペレット化し、1m
lのウサギ抗血清又は免疫前血清を前もって清澄にした上清と4℃で2〜3時間
インキュベートした。反応液を20ulのプロテインA−アガローススラリーと混合
し、更に1時間インキュベートした。プロテインAビーズをマイクロ遠心機で10
秒間遠心することにより集め、1mlの溶解バッファーで5回洗浄した。次いで、
ビーズを、20mM Tris-HCl pH7.6,20mM MgCl2,20mMβ−グリセロリン酸,20mM
p-ニトロフェニルリン酸,1mMオルトバナジン酸ナトリウム,1mMベンズアミジン
,0.4mM PMSF,1mMメタ亜硫酸水素ナトリウム,2uM非放射性ATP及び10uCi[32P]
γ-ATPを含む20ulのキナーゼバッファーに懸濁した。キナーゼ反応を30℃で30分
間行い、20mlのSDSサンプルバッファーにより終結させた。3〜5分間煮沸した
後、20mlの反応アリコートを8%SDS-PAGEで分離した。放射ラベルされたタンパク
質をオートラジオグラフィーで可視化した。
方法II.IRAKの精製及びクローニング
細胞培養:293細胞を、4.5g/mlグルコース及びL-グルタミン(Mediatech)を含み
、10%ウシ胎児血清、100ug/mlストレプトマイシン及び100ug/mlペニシリンを補
足したダルベッコ修飾イーグル培地(Dulbeco's MOdification of Eagle's Mediu
m)で培養した。293細胞にヒトIL-1RIを過剰産生させるために、293細胞を100mm
プレートに30%密度にまき、次の日にリン酸カルシウム沈殿により10mgのIL-1RI
発現プラスミド(上述した)及び1mgのpNeoで形質移入した。安定した形質移
入細胞を、500μg/mlのG418(Gibco)を含む培養培地で選択した。個々のコロニー
をクローニングし広げた。細胞表面上のIL-RIの発現を、IL-1RIの細胞外ドメイ
ンに対する抗体を用いたFACSでモニターした。IL-1RIの所望の発現及び増殖の挙
動を示す4つのクローンを、10%ウシ胎児血清、4.5g/mlグルコース、1mMピルビ
ン酸ナトリウム(Gibco)、100ug/mlストレプトマイシン及び100ug/mlペニシリン
を補足した、CO2非依存性最小必須培地内の浮遊培養細胞に移した。
抽出物の調製:浮遊培養からの細胞(100リットル)をSorvall GS-3ローターで25
00rpmで5分間でペレット化し、5リットルの予熱した血清を含まないMEM培地に
再懸濁した。細胞を、200ng/mlの組換えヒトIL-lβ(Genentech)と37℃で3分間イ
ンキュベートし、4℃で遠心することによりペレット化した。下記の工程の全て
は4℃で行った。細胞を、ペレット化された細胞容量の5倍量の、50mM Hepes p
H7.9,250mM NaCl,5mMジチオスレイトール(DTT),1mM EDTA,0.1%NP-40,10%(v
/v)グリセロール,20mM bグリセロリン酸,5mM p-ニトロフェニルリン酸,1mMオ
ルトバナジン酸ナトリウム,1mMベンズアミジン,0.4mM フェニルメチルスルホ
ニルフッ化物(phenylmethylsulfonyl fluoride,PMSF),1mMメタ亜硫酸ナトリウ
ム,10ug/mlロイペプチン及び10ug/mlアプロチニンを含むバッファーに懸濁した
。時々振盪しながら氷上で30分間インキュベートした後、細胞溶解物をSorval H
6000Aローターで4000rpmで10分間遠心した。上清を集め、Beckman 45 TIロータ
ーで40,000rpmで2時間遠心した。上清を分割し、-70℃に保存した。
pp100の精製:抽出物を解凍し、Beckman 45 TIで40,000rpmで2時間回転させ
た。上清を、40mgのIL-1Rの細胞外ドメインに対するウサギIgGと、4℃で2時間
インキュベートした。25mlのプロテインAセファロースCL4Bを抽出物と混合し、
インキュベーションを更に2時間続けた。プロテインAビーズをカラムに集め、
50mM Hepes pH7.9,250mM NaCl,5mMジチオスレイトール(DTT),1mM EDTA,0.1%
NP-40,20mM βグリセロリン酸,1mMオルトバナジン酸ナトリウム,1mMベンズア
ミジン,0.4mMフェニルメチルスルホニルフッ化物(PMSF),1mMメタ亜硫酸ナトリ
ウムを含む、洗浄バッファー#1で洗浄した。次いで、ビーズを、20mM Tris-HCl
pH7.6,20mM MgCl2,20mMβグリセロリン酸,20mM p-ニトロフェニルリン酸,1m
M EDTA,1mMオルトバナジン酸ナトリウム,1mMベンズアミジン,0.4mMPMSF,1mM
メタ亜硫酸ナトリウム,5mM 非放射性ATP及び100mCi[32P]γ-ATPを含むキナー
ゼバッファーに懸濁し、30℃で15分間インキュベートした。キナーゼ反応を、10
0mMの非標識ATPで更に15分間追跡した。プロテインAビーズを空のカラムに集め
、50mM Hepes,pH7.9,1M NaCl,5mM DTT,1mM EDTA及び0.1%NP40を含む150mlの
洗浄バッファー#2で洗浄し、次いで、50mM Hepes,pH
7.9,100mM NaCl,2M尿素,5mM DTT,1mM EDTA及び0.1%NP40を含む150mlの洗浄
バッファー#3で洗浄した。次いで、50mM Hepes,pH7.9,100mM NaCl,5mM DTT,
1mM EDTA,0.1%NP-40及び7M尿素を含む溶出バッファーを用い、4℃で振盪しな
がら一晩かけてタンパク質を溶出した。溶出した材料を、溶出バッファーで平衡
化した0.5ml のQセファロースカラムにのせた。カラムを、結合したタンパク質
を0.5M NaClを含むバッファーで溶出する前に溶出バッファーで広範囲に洗浄し
た。高濃度塩溶出物をCentricon 50(Microcon)内で50μLにまで濃縮し、1mlの
等電点電気泳動バッファー(O'Farrell(1975)J.Biol Chem)で希釈し、再び50
μLにまで濃縮した。次いで、試料を二次元ゲル電気泳動にかけた。
二次元ゲル電気泳動及びマイクロペプチドシークエンシング:
最初の次元の分離として、等電点電気泳動を用いた。分離及び泳動条件は前述
した。アンホリンpH5.0-7.0及びpH3.5-9.5を1:1で混合し、pH勾配を作成した。
第二次元の分離として、7%アクリルアミドSDSゲル電気泳動を用いた。電気泳動
後、タンパク質をポリ二フッ化ビニリデン膜(Milipore)に転写し、40%メタノー
ル及び10%酢酸中のクマシーブルーR-250で30秒間染色し、40%メタノール及び10%
酢酸で5分間脱色した。オートラジオグラフィーにより示されたpp100基質を含
む膜の領域を試験し、既に開示されたように(Houら,(1994)Science265,1701-1
706)ペプチダーゼ消化し、マイクロペプチドシークエンシングにかけた。
挿入された文献
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実施例
1.IRAK自己リン酸化検定のプロトコール
A.試薬:
−ニュートラライトアビジン:PBS中に20μg/ml
−IRAK:PBS中に20pg/mlの10-8−10-5Mビオチン化IRAK-1
−ブロッキングバッファー:PBS中の5%BSA,0.5%Tween20;室温で1時間
−検定バッファー:100mM KCl,20mM HEPES pH7.6,0.25mM EDTA,1%グリセ
ロール,0.5%NP-40,50mM BME,1mg/ml BSA,プロテアーゼ阻害剤のカクテ
ル
−[32P]γ-ATPI0倍ストック:2x10-5M非放射性ATP及び100μCi[32P]γ-A
TP、スクリーニングの間、4℃のマイクロ冷蔵庫に保管。
−プロテアーゼ阻害剤カクテル(1000倍):
10mlのPBS中の10mgトリプシン阻害剤(BMB # 109894),10mgアプロチニン(BMB
# 236624),25mgベンズアミジン(Sigma # B-6506),25mgロイペプチン(BMB # 10
17128),10mg APMSF(BMB # 917575)及び2mM NaVo3(Sigma # S-6508)。
B.検定プレートの調製:
−ウェルあたり120μLのストックNアビジンで、4℃で一晩コートする。
−200μLのPBSで2回洗浄する。
−150μLのブロッキングバッファーでブロッキングする。
−200μLのPBSで2回洗浄する。
C.検定:
−ウエル当たり40μLの検定バッファーを加える。
−40μLのビオチン化IRAK(検定バッファー中、0.1-10ピコモル/40μL)を
加える。
−10μLの化合物又は抽出物を加える。
−10μLの[32P]γ-ATP10倍ストックを加える。
−25℃で15分間振盪する。
−25℃で更に45分間インキュベートする。
−200μLのPBSで4回洗浄することにより反応を停止する。
−150μLのシンチレーションカクテルを加える。
−Topcount中でカウントする。
D.全ての検定のコントロール(各プレート上の位置):
a.非特異的結合
b.80%阻害の非放射性ATP
2.IRAK-IL1RI複合体形成検定のプロトコール
A.試薬:
−ニュートラライトアビジン:PBS中に20μg/ml
−ブロッキングバッファー:PBS中の5%BSA,0.5%Tween20;室温で1時間
−検定バッファー:100mM KCl,20mM HEPES pH7.6,0.25mM EDTA,1%グリセ
ロール,0.5%NP-40,50mMβ−メルカプトエタノール,1mg/ml BSA,プロテ
アーゼ阻害剤のカクテル
− 33P IRAK 10 倍ストック:200,000-250,000cpmのラベル化IRAK(Beckman
counter)を補足した10-8〜10-6Mの非放射性IRAK。スクリーニングの間、4
℃のマイクロ冷蔵庫に保管。
−プロテアーゼ阻害剤カクテル(1000倍):
10mlのPBS中の10mgトリプシン阻害剤(BMB # 109894),10mgアプロチニン(BMB
# 236624),25mgベンズアミジン(Sigma # B-6506),25mgロイペプチン(BMB # 10
17128),10mg APMSF(BMB # 917575)及び2mM NaVo3(Sigma # S-6508)。
−IL-1RI:PBS中の10-8〜10-5Mビオチン化IL-1RI細胞内ドメイン(327〜527
残基)
B.検定プレートの調製:
−ウェルあたり120μLのストックN−アビジンで、4℃で一晩コートする。
−200μLのPBSで2回洗浄する。
−150μLのブロッキングバッファーでブロッキングする。
−200μLのPBSで2回洗浄する。
C.検定:
−ウエル当たり40μLの検定バッファーを加える。
−10μLの化合物又は抽出物を加える。
−10μLの33P-IRAK(20,000-25,000 cpm/0.1-10ピコモル/ウェル=最終濃度
10-9〜10-7M)を加える。
−25℃で15分間振盪する。
−25℃で更に45分間インキュベートする。
−40μLのビオチン化IL-1RI細胞内ドメイン(検定バッファー中に0.1-10ピコ
モル/40μL)を加える。
−室温で1時間インキュベートする。
−200μLのPBSで4回洗浄することにより反応を停止する。
−150 μLのシンチレーションカクテルを加える。
−Topcount中でカウントする。
D.全ての検定のコントロール(各プレート上の位置):
a.非特異的結合
b.80%阻害の溶解物(非ビオチン化IL-1RI細胞内ドメイン)
本明細書において引用された全ての出版物及び特許出願は、個々の出版物又は
特許出願が明確に、及び個々に引用文献として組み込まれているように、引用文
献として本明細書に組み込まれる。前述の発明は、説明の目的及び理解を明瞭に
する目的の例として記載されているが、添付された請求の範囲の精神及び範囲を
離れないで、一定の変更及び改良がなされることは、本発明の教示に照らして当
業界の通常の熟練者に容易に明らかであろう。
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フロントページの続き
(72)発明者 ガーデル ディヴィッド ヴィー
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
94080 サウス サンフランシスコ トゥ
ー コーポレイト ドライヴ(番地なし)
テュラリク インコーポレイテッド内
(72)発明者 クロストン グレン イー
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
94080 サウス サンフランシスコ トゥ
ー コーポレイト ドライヴ(番地なし)
テュラリク インコーポレイテッド内