【発明の詳細な説明】
レトロウィルスを阻害するためのペプチド発明の背景
疾病後天性免疫不全症候群、又はAIDSは、実質的に治療抵抗性のまま存続する
。前記疾病、すなわちHIVを引き起こすウィルスを阻害する化合物を開発するた
めの集中的な努力にもかかわらず、その感染はほとんど一様に進行し、そして個
人の免疫系は機能不全にされる。感染された患者は、二次疾病、たとえば、しば
しば生命の脅威である肺炎及びカポジ肉腫に対してひじょうに敏感になる。薬物
、たとえば3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオ
キシイノシン(ddI)及び2’,3’−ジデオキシシトシン(ddC)が感染された個人
への使用のために許可されて来たが、耐薬物性ウィルス様の根深い毒性及び出現
がそれらの使用に関連している。単独で又は他の抗ウィルス剤と組合して使用す
るための新規の抗−レトロウィルス剤を同定する決定的な必要性が存在する。
効果的な抗−レトロウィルス療法は、有意な毒性が全たくなく、そして治療に
使用される場合、耐薬物性ウィルス単離物の出現を容易にもたらさない抗ウィル
ス剤を同定することに依存する。HIV及び他のレトロウィルス感染の阻害におい
て実質的に有用な化合物は、多くのシステムにおいてスクリーンされる。最初に
、スクリーニングが敏感な細胞系のインビトロモデルにおいて実施される。次に
、動物モデルが、抗−レトロウィルス活性をインビボで有し、そして許容できる
レベルの宿主毒性を有するそれらの化合物を同定するために使用される。そのモ
デルは好ましくは、レトロウィルス血症に対する活性、及びレトロウィルス−誘
発された疾病、たとえばHI
Vの場合、免疫系及び中枢神経系疾病を破壊する能力を評価する。
レトロウィルス感染、たとえばHIV感染のモデルとして特に有用であることが
見出されている1つのモデルは、マウスのRauscher白血病ウィルス(RLV)感染で
ある。RLVは成熟マウスにおいて感染性且つ病原性であり、そしてそれはウィル
ス力価に比例する巨牌腫を引き起こす赤血球向性である。Chirigos,Cancer Res
.,24:1035-1041(1964)。接種の後まもなく、異常牌臓コロニーが形成され、そ
れらの数がウィルス力価に影響を及ぼす。個々のコロニーは、好結果をもたらす
ウィルス“ヒット”の結果であり、そしてコロニーは拡大し続け、そして新規標
的細胞はウィルス血症の間、連続して形質転換される。RLVはまた、B−細胞新
生物を誘発する。従って、RLV感染は、接種の後4〜5週間以内で感染された動
物を殺す大きな巨脾腫及び赤白血病をもたらす。Weiss,Teich,Varmus,など.
,RNA Tumor Viruses,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,pp78-
79,Cold Spring Harbor,NY(1984)。マウスにおけるRLV感染はまた、ヒトに
おけるHIV感染のある免疫学的観点を再生することも示された。たとえば、Gabri
lovichなど.,Immunology 82:82-87(1994)及びGabrilovichなど.,Eur .J.I mmunol
.23:2932-2938(1993)を参照のこと。
抗−HIV剤を同定し、そして評価するためへのRLVモデルの使用は、広まって来
た。たとえば、HIV感染のモデルとしてのRLVが、AZT(Ruprechtなど.,Nature 3
23:467-469(1986);Ruprecht,Intervirol .30(S1):2-11(1989))。AZTの
新規親油性誘導体(Schwendenerなど.,Anti viral Res.24:79-93(1994))、
テトラヒドロイミダゾール〔4,5,−jk〕〔1,4〕−ベンゾジアゼピン−2
(1H)−チオンの誘導体(Buckheitなど.,AIDS Res.Human Retrovir .9:109
7-1106(1993)、たとえばポリ〔I,C
〕−LC,MVE−2及びCL246,738について報告されるようなU.S.Food and Drug A
dministrationsにより実施された試験を包含する生物学的応答変性剤(Blackなど
.,Annl .N.Y.Acad.Sci.685:467-470(1993))、及び組合せの抗−HIV療法(
たとえば、Ruprecht、前記、Buckheitなど.,前記、及びBlackなど.,前記)を
評価するために報告されて来た。そして、RLVは感染された動物に白血病を誘発
するので、RLVモデルはまた、種々のタイプの癌、特に白血病を処理するための
モデルとして集中的に使用される。Sydow and Wunderlich,Cancer Lett .82:8
9-94(1994)。
新規治療様式が、レトロウィルス感染、特にHIVを阻害するために、及びHIV感
染に関連する疾病を処理するためにより効果的な処理法を提供することが緊急に
必要とされる。また、癌、たとえば白血病又は他の新生物の進行を阻害するため
の効果的な手段が必要とされる。それらの目的のために有用な組成物は、レトロ
ウィルス感染、又は特定の新生物の比較的非毒性で且つ効果的なインヒビターを
調製し、そして投与するために比較的容易であるべきである。ひじょうに驚くべ
きことには、本発明は、それらの及び他の関連する必要性を取り組む。発明の要約
本発明は、1つの態様において、サメ血清免疫グロブリンに由来するペプチド
を含んで成るペプチド組成物、たとえばその医薬組成物を提供する。配列Leu-Pr
o-Pro-Ser-Arg(配列番号1)のペプチドが代表である。ペプチド組成物は、敏感
な細胞におけるレトロウィルス複製を阻害するのに十分な量で、又は腫瘍性疾病
を処理するために適切な量で配合され得、そしてさらに、医薬的に許容できるキ
ャリヤー又は安定剤を含んで成る。それらのペプチドの組成物は
、相乗抗−レトロウィルス作用のために他の調製物と組合され得る。ペプチド組
成物はまた、凍結乾燥された調製物としても供給され得る。
他の態様においては、本発明は敏感な哺乳類細胞のレトロウィルス感染を阻害
するための方法を提供する。前記レトロウィルス感染を阻害し、又は防止するた
めに十分なペプチドの量が投与され、そしてそれにより、感染された又は感染に
対して敏感な細胞と接触せしめられる。阻害に対して敏感なレトロウィルスは、
ヒトレトロウィルス、たとえばHIV−1及びHIV−2を包含する。合成的に、又は
サメ免疫グロブリン画分の酵素消化により調製され得るペプチドは、種々の手段
で、たとえば静脈内、局部的、筋肉内又は経口投与される。
もう1つの観点において、本発明は腫瘍細胞を阻害するための方法を提供する
。本明細書に記載されるペプチド調製物は、腫瘍の増殖を阻害するのに十分な量
で腫瘍細胞に投与される。腫瘍細胞は培養物、たとえばインビトロにおいて、病
気の哺乳類に存在し、又はエクスビボ処理のために哺乳類から除去され得る。阻
害に対して敏感な腫瘍は種々の肉腫及び白血病を包含し、そしてさらに、レトロ
ウィルス遺伝子により誘発されるものを包含する。特定態様の記載
本発明は、感染された個人におけるレトロウィルス介在疾病を阻害し、又は逆
転するための方法において有用な組成物を提供する。ペプチドの調製物、たとえ
ばサメ免疫グロブリン分子の消化物から調製されるものが感染された哺乳類にお
けるレトロウィルス疾病の発現を阻害することが、本発明の一部として発見され
た。ペプチド調製物は、レトロウィルス力価及び関連する症状を阻害することが
でき、そして細胞機能を回復せしめ、又はそれらのさらなる悪化を妨げることが
できる。本発明の他の観点においては、ペプチド調製物は、病気の哺乳類におけ
る腫瘍性疾患、たとえば肉腫又はリンパ腫の進行を阻害するために使用される。
本発明の一部として、ペプチドが有意な抗−レトロウィルス活性を有するサメ
免疫グロブリン含有画分から調製され得ることが示された。そのペブチドは、Ra
uscherネズミ白血病ウィルスにより感染された動物に投与する場合、投与量依存
性態様で、動物における巨脾腫の進行を阻害し、又は妨げるが、ところが処理さ
れていない動物は重度の巨脾腫を進行せしめる。Rauscher白血病ウィルスは、HI
Vレトロウィルス感染のインビボモデルとして広く使用されるレトロウィルスで
ある。Rauscherモデルにおける薬物有効性の標準測定は、感染された動物におけ
る巨脾腫を阻害する能力であった。本明細書に記載される実験においては、ペプ
チド調製物は、Rauscher感染された対照動物に観察される巨脾腫を実質的に妨げ
る。それらの発見は、レトロウィルス疾病の症状、たとえばHIV感染に付随する
それらの症状が阻害され、又は完全に妨げられ、それにより、個人の応答が重度
に低められる他の抗原に対しての、感染された個人の免疫系のより適切な応答を
可能にし、従って、個人の生命を延長することを示唆する。
本明細書に記載されるペプチド調製物は、細胞レベルでのレトロウィルス感染
に関係する病理学的状態、たとえばHIV−誘発された神経損傷、レトロウィルス
−誘発された腫瘍性疾患、プログラムされた細胞の死、及び同様のものを処理す
るために使用され得る。ペプチド組成物により処理され得るレトロウィルスは、
たとえばHTLV−I,HTLV−II,HIV−1,HIV−2、及びRauscherネズミ白血病ウ
ィルスにより例示されるような種々の動物レトロウィルスを包含
する。ペプチド、又は前記ペプチドを含む免疫グロブリンによる処理又は阻害の
影響を受けやすい疾病状態は、たとえば疾病状態を受けると思われる哺乳類細胞
又は動物、たとえば肉腫細胞の場合、腫瘍形成性である工程に対して敏感である
ことが確かめられている肉腫細胞を用いて同定される。ペプチド調製物が疾病工
程を阻害することを測定するためは、細胞がペプチド調製物により処理され、そ
してその結果が処理されていない細胞サンプルに比較される。処理されており、
そして便利にモニターされた機能的特性、たとえば腫瘍性増殖能力の阻害又は逆
転を示す影響された細胞においては、その工程は本発明の処理に対して敏感であ
ることが決定される。本発明のペプチド及び方法はまた、自己免疫又は自己免疫
関連疾病、特にHIV感染又は同様の感染に関連するような、免疫欠損に関連する
疾病を処理することにも使用され得る。
1つの態様において、ペプチドは合成的に、又はたとえば同時継続出願第60/0
05,133号、08/434,438号及びPCT/US96/06245号(それらは引用により本明細書に
組込まれる)に記載のようにして、分別されたサメ血清免疫グロブリンから調製
される。サメ免疫グロブリンが得られると、それは、本発明の方法において有用
なペプチドを生成する切断生成物を生成するために、好ましくはパパイン又は同
様のものによる酵素消化にゆだねられ得る。
本発明の態様において、ペプチドは、配列Leu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)
又はその実質的な同等物の4〜15個のアミノ酸を含む。Rauscherアッセイにおけ
る活性、及びペプチドLeu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)に対して生成される抗
体に対する免疫反応性は、実質的に同等であるか、又は免疫学的に競争性である
ものを、それらの良く知られている方法を用いて容易に同定するために使用され
得る。結合競争は典型的には、特定の結合に依存するが、しか
し多くの場合、コンホメーションにおける立体的障害がまた、競争に寄与するこ
とができる。
本明細書に記載される好ましい態様においては、サメ免疫グロブリンペプチド
は、配列Leu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)に由来すし、又はその小さな分子擬
似物である。本発明の“ペプチド”とは、配列Leu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1
)からの少なくとも4個のアミノ酸残基の連続した鎖を意味し、そして通常、そ
の5個の残基を含み、時々、少なくとも8、又は9、時々10,11又は12個の残基
、及び通常約22以下、及び通常約12以下、及び好ましくは15個以下のアミノ酸残
基(前記配列又は他の種の関連する配列に由来する)のペプチドであり得る。用
語ペプチドは、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボキシ基との間のペプチ
ド結合によりお互い連結される一連のアミノ酸を示すために本明細書において使
用される。ペプチドは、下記に記載されるようにして、“合成的に”、又は組換
えDNA技法により調製され得る。ペプチドはしばしば、他の天然に存在する免疫
グロブリン及びそのフラグメントを実質的に有さないように調製されるであろう
。ペプチドは、中性(荷電されていない)形又は塩である形で存在し、そして修
飾、たとえばグリコシル化、側鎖酸化、又はリン酸化を有さないか、又は修飾が
本明細書に記載されるようなペプチドの活性を破壊しない条件を受けるそれらの
修飾を包含することができる。
所望には、ペプチドは、より大きなペプチドの実質的にすべての抗レトロウィ
ルス活性を維持しながら、できるだけ小さなものであろう。抗レトロウィルス活
性とは、十分に許容されたアッセイ、たとえばRauscherアッセイ又は同様のアッ
セイにおいて生じるように、インビトロ又はインビボでレトロウィルス活性を阻
害する本発明のペプチドの能力を意味する。
本発明のペプチドは、任意には、N−及びC−末端の1つ又は両方で、所望に
は、免疫グロブリン配列からのアミノ酸、すなわち結合、供給、ラベリング、他
のN−及びC−末端修飾、等を促進するために付加されるアミノ酸を、両端に有
し、そして/又はそれにより修飾され得る。付加アミノ酸は、お互いのペプチド
の結合、キャリヤー、支持体又はより大きなペプチドへのカップリング、ペプチ
ドの物理的又は化学的修飾を容易に提供するために、ペプチドの1又は複数の端
に付加され得る。1又は複数のアミノ酸、たとえばチロシン、システイン、リシ
ン、グルタミン酸又はアスパラギン酸、又は同様のものは、ペプチドのC−又は
N−末端で導入され得る。さらに、ペプチド配列は、アミノ末端アシル化、たと
えばアセチル化、又はチオグリコール酸アミド化、カルボキシ末端アミド化、等
、たとえばアンモニア、メチルアミン、等により修飾されることによって、天然
のサメ免疫グロブリン配列とは異なることができる。多くの場合、それらの修飾
は、支持体又は他の分子に結合のための部位を供給することができる。
抗レトロウィルス活性を有する本発明のぺプチド、又はその類自体又はその小
さな分子擬似体は、天然の免疫グロブリン配列に由来する修飾されていないペプ
チドの活性を高め、又は少なくとも有意に低めないで、他の所望する特性、たと
えば改良された抗レトロウィルス活性又は薬力学的活性を供給するために、必要
により修飾され得ることが理解されるであろう。たとえば、ぺプチドは種々の変
更、たとえば挿入、欠失及び置換(保存性又は非保存性のいづれか)を受けやす
く、ここでそのような変更はそれらの使用において一定の利点を提供することが
できる。保存性置換とは、アミノ酸残基を、生物学的に及び/又は化学的に類似
する他の残基により、たとえば1つの疎水性残基をもう1つの残基により、又は
1つの極性残
基をもう1つの残基により置換することを意味する。置換は、Gly,Ala;Val,Il
e,Leu;Asp,Glu;Asn,Gln;Ser,Thr;Lys,Arg;及びPhe,Tyrのような組合
せを包含する。通常、抗レトロウィルスペプチドに実質的に擬似するように向け
られた配列の部分は、天然の配列と約25%以上異ならないであろう。但し、追加
のアミノ酸が結合又はカップリングの容易さのためにペプチドの物理的又は化学
的性質を変性するためにいづれかの末端で付加され得る場合を除く。配列番号1
の類自体の調製のためには、タンパク質中への非天然アミノ酸の部位特異的導入
のための一般的方法が、Norenなど.,Science 244:182-188(1989)(引用により
本明細書に組込まれる)に記載されている。
配列番号1のペプチドの豊富な源を供給することによって、本発明は、配列番
号1の小さな分子類自体及びペプチド擬似体を企画するためにぺプチドの定量的
構造決定を可能にする。ペプチド配列自体は、二次構造の領域を同定するために
、たとえばHoppなど.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 78:3824(1981)による親水
性分析により分析され得る。さらに、NMR、赤外線、ラマン、及び紫外線分析が
、ペプチドを特徴づけ、そしてその構造体の擬似体を企画するために使用され得
る。特に、NMRは、それらの天然の環境により密接に近い、溶液における分子の
強力な構造分析を提供する。Marionなど.,Biochem .Biophys.Res.Comm.113
:967-974(1983)。他の方法、たとえばX線結晶学もまた使用され得る。Engstro
m,Biochem .Exp.Biol.11:7-13(1974)。
本発明のペプチドの類自体をスクリーニングするための種々のスクリーニング
技法が当業界において知られている。化学物質及び天然の生成物の種々のライブ
ラリーが利用できる。類自体の同定及びスクリーニングはさらに、類自体の合理
的な企画又は同定を付与す
るために、上記のようなペプチドの構造的特徴を決定することによって促進され
る。もう1つのアプローチは、たとえば擬似体のスクリーニングに関するscott
など.,Science 249:386-390(1990);Cwirlaなど.,Proc .Natl.Acad.Sci.U SA
87:6378-6382(1990);Devlinなど.,Science 249:404-406(1990)に記載さ
れるように、大きなライブラリーを生成するために組換えバクテリオファージを
使用する。もう1つのアプローチは、次の文献に記載されるような化学的方法を
主に使用する:Geysenなど.,J .Immunologic Meth.102.259-274(1987);Fodo
rなど.,Science 251:767-773(1991);Houghten(アメリカ特許第4,631,211号
);Rutter(アメリカ特許第5,010,175号);Lamなど、WO92/00252号;及びBlake(
アメリカ特許第5,565,325号)(それらは引用により本明細書中に組込まれる)。
レトロウィルスに対して活性的である本発明の異なったペプチドを同定したな
ら、多くの場合、組成物又は混合物において複数のペプチドを結合することが所
望される。組成物中のペプチドは、同一であっても又は異なっていても良く、そ
して一緒に、それらは親ペプチドに対して同一か又はそれよりも高い活性を供給
すべきである。たとえば本明細書に記載される方法を用いれば、増強された免疫
反応性を提供するためにカクテルに組合され得る複数のペプチドが、異なった又
は同じグロブリン領域からの異なった又はオーバーラップする活性部位を定義す
ることができる。
本発明のペプチドは、ポリペブチドを形成するために連鎖を通して組合され得
る。同じペプチドがそれ自体に連結され、それによりホモポリマーを形成する場
合、多くの反復単位が提供される。ペプチドが異なる場合、たとえば異なった領
域を表わすカクテル、すなわち反復単位を有するヘテロポリマーが提供される。
共存結合の他
に、分子間及び構造体間結を形成することができる非共有結合がまた、本発明に
より企画される。
ホモ−又はヘテロ−ポリマーのための、又はキャリヤーをカップリングするた
めの連鎖は、種々の手段で供給され得る。たとえば、システイン残基は、アミノ
末端及びカルボキシ末端の両端で付加され得、ここでペプチドがシステイン残基
の制御された酸化を通して共有結合される。1つの官能基端でジスルフィド結合
及び他の官能基端でペプチド結合を生成する多数のヘテロ二官能価剤、たとえば
N−スクシジミジル−3(2−ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)がま
た有用である。この試薬は、それ自体と1つのタンパク質におけるシステイン残
基との間にジスルフィド結合、及び他のタンパク質におけるリシン又は他の遊離
アミノ基上のアミノを通してアミド結合を創造する。種々のそのようなジスルフ
ィド/アミド形成剤が知られている。たとえば、Immun .Rev.62:185(1982)を
参照のこと。他の二官能価カップリング剤は、ジスルフィド結合よりもむしろチ
オエーテルを形成する。それらのチオエーテル形成剤の多くは市販されており、
そして6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ酢酸、2−ヨード酢酸、4−(N
−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸及び同様のものの反応
性エステルを包含する。カルボキシル基は、それらをスクシンイミド又は1−ヒ
ドロキシ−2−ニトロ−4−スルホン酸のナトリウム塩と共に組合すことによっ
て活性化され得る。特に好ましいカップリング剤は、スクシンイミジル4−(N
−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)である。
もちろん、連鎖は連鎖された基のいづれかの活性(たとえば抗レトロウィルス又
は抗腫瘍)を実質的に妨げるべきではないことが理解されるであろう。
上記で言及されたように、アミノ酸アームは、ペプチド又はオリ
ゴペプチドのC−及び/又はN−末端で供給され得る。存在する場合、アームは
通常、少なくとも1つのアミノ酸であり、そして50又はそれ以上のアミノ酸、よ
り頻繁には1〜10個のアミノ酸、及び好ましくは、合成の容易さのためには、5
個よりも少ないアミノ酸であり得る。アームは、種々の目的、たとえばキャリヤ
ー又は供給ビークルにペプチドを結合するためのスペーサー、等を付与すること
ができる。キャリヤー、固相への結合のための又は高いオーダーの構造体、たと
えばダイマー、トリマー又は他のマルチマーを形成するための有用な官能価を提
供するためには、アミノ酸、たとえばチロシン、システイン、アスパラギン酸、
又は同様のものが、アーム又はペプチドのC−及び/又はN−末端で供給される
ように導入され得る。活性部位表示を増強するためには、C−及び/又はN−末
端で1〜10個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個のアミノ酸、及び最とも好ま
しくは約1〜3個のアミノ酸の存在が特に興味あるものである。ペプチドと末端
官能基との間のスペーサー残基は、典型的にはGlyである。
本発明のペプチドは、広範囲の種類の手段により調製され得る。それらの比較
的短いサイズのために、ペプチドは、従来の技法に従って、溶液において又は固
体支持体上で合成され得る。種々の自動合成機が市販されており、そして既知の
プロトコールに従って使用され得る。たとえば、Stewart and Young,Solid Pha se Peptide Synthesis
,2d.ed.,Pierce Chemical Co.(1984);Tamなど.,J . Am.Chem.Soc.
105:6442(1983);Merrifield,Science 232:341-347(1986
);及びBarany and Marrifield,The Peptides ,Gross and Meienhofer,eds.
,Academic Press,New York,pp.1-284(1979)(それらは引用により本明細
書に組込まれる)を参照のこと。本明細書に記載される選択されたペプチド領域
に対応する
、通常約6個〜約35又は50個までのアミノ酸の短いペプチド配列又はオーバーラ
ップするペプチドのライブラリーが容易に合成され得、そして次に、レトロウィ
ルス又は腫瘍に対する活性を有するペプチドを同定するために企画されたスクリ
ーニングアッセイにおいてスクリーンされ得る。
他方では、組換えDNA技法が使用され得、ここで興味あるペプチドをコードす
るヌクレオチド配列が発現ベクター中に挿入され、適切な宿主が形質転換され、
又はその宿主中に挿入され、そして発現のための適切な条件下で培養される。そ
れらの方法は、一般的に、次の文献に記載されるように、当業界において知られ
ている:Sambrookなど.,Molecular Cloning ,A Laboratory Manual,Cold Spri
ng Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1989);Ausbelなど.,(ed
.)Currant Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Inc.,Ne
w York(1987)、及びアメリカ特許第4,237,224号、第4,273,875号、第4,431,7
39号、第4,363,877号及び第4,428,941号(それらの開示は引用により本明細書中
に組込まれる)。本発明の1又は複数のペプチド配列を含んで成る融合タンパク
質は、本発明のペプチド決定因子を表わすために使用され得る。
本発明において企画される長さのペプチドについてのコード配列は、化学的技
法、たとえばMatlencciなど.,J .Am.Chem.Soc.103:3185(1981)のホスホト
リエステル方法により合成され得るので、修飾は適切な塩基を生来のペプチド配
列をコードする塩基とを置換することによって単純に行なわれ得る。次に、適切
なリンカーを有するコード配列が供給され、そして当業界において通常入手でき
る発現ベクター中に連結され、そしてそのベクターが所望する融合タンパク質を
生成するために適切な宿主を形質転換するために使
用される。多くのそのようなベクター及び適切な宿主システムが現在利用できる
。融合タンパク質の発現のためには、操作可能的に結合された出発及び停止コド
ン、プロモーター及びターミネーター領域、及び通常、所望する細胞宿主におけ
る発現のための発現ベクターを供給するための複製システムを有するコード配列
が供給されるであろう。たとえば、細菌宿主と適合できるプロモーター配列が、
所望するコード配列の挿入のための便利な制限部位を含むプラスミドに供給され
る。その得られる発現ベクターを用いて、適切な細菌宿主が形質転換される。も
ちろん、適切なベクター及び制御配列を用いて、酵母又は哺乳類細胞宿主がまた
、使用され得る。
医薬的に許容できるペプチド組成物を調製するためには、ペプチドが典型的に
は、当業者に良く知られている態様で滅菌され、そしてたとえば濾過、照射、等
により、医薬的に許容できるペプチド調製物が調製される。
ペプチド組成物は、レトロウィルス関連疾病又は癌を有するか、又はかかりや
すい個人又は哺乳類に投与され得る。ペプチドは、HIVを有する細胞に官能性、
たとえば免疫増殖能力を回復せしめると思われる。従って、処理により妨害され
るウィルスの複製又は広がりのみならず、また患者は、応答性免疫系を再び得、
又は保持し、そして従って、他の抗原性挑戦に対して及び/又はHIV自体に対し
て応答することができる。HIVに続く感染は病的状態の主要原因であるので、本
発明により付与される処理は、この疾病の潜在的破壊的な効果を排除することに
対して主要段階を提供する。
組成物はまた、前−又は後−暴露予防、たとえば衛生介護作業員、又は日常付
随する血液輸血、又は感染された身体又は培養物液体に暴露される危険状態の個
人への汚ない注射針での損傷に続くHIV予防のためにも使用される。後−暴露予
防のためには、投与が、推
測される接種の後すぐに始められ、そしてその後、少なくとも約2〜4週間、続
き、続いて、ウィルス及び疾病の生長を阻害し、そして/又はそれらに対する免
疫性を維持するために必要である場合、追加の投与量又は長期維持投与量が伴う
。
医薬ペプチド組成物は、予防及び/又は治療処置のために非経口、局所、経口
、又は局部投与のために意図される。好ましくは、医薬組成物は、経口又は非経
口、すなわち静脈内、腹腔内、皮下又は筋肉内投与される。従って、本発明は、
医薬的に許容できるキャリヤー、好ましくは水性キャリヤーにおける、ペプチド
の単独での、又は実質的に精製されたサメ免疫グロブリン及び/又はサメ骨髄を
伴っての溶液を含んで成る、経口、局所、又は非経口投与のためにの組成物を用
いる方法を提供する。種々の水性キャリヤー、たとえば水、緩衝された水、O.4
%の塩溶液、O.3%のグリシン及び同様のものが使用され得、そして弱い化学的
変性又は同様のものにゆだねられる、増強された安定性のための他のタンパク質
、たとえばアルブミン、リポタンパク質、グロブリン、等を含むことができる。
本発明の組成物はまた、たとえば5〜25%の濃度で、局所又は経皮投与のために
クリーム又は軟膏中に配合され得る。組成物は、従来の良く知られている滅菌技
法により滅菌され得る。その得られる溶液は、使用のために包装され得、又は無
菌条件下で濾過され、そして凍結乾燥され、その凍結乾燥された調製物は投与の
前、殺菌した溶液と共に組合される。組成物は、生理学的条件下に近づけること
が必要とされる場合、医薬的に許容される補助物質、たとえばpH調節及び緩衝剤
、緊張調節剤、及び同様のもの、たとえば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、安定剤(たとえば、マルトース
(1〜20%))、等を含むことができる。
本発明のペプチドはまた、リポソームを通しても投与され得る。エマルジョン
、フォーム、ミセル、不溶性単層、リン脂質分散体、ラメラ層及び同様のものを
包含するリポソームは、特定の組織、たとえばリンパ組織、レトロウィルス感染
された又は腫瘍細胞にペプチドを標的化するために、及びペプチド組成物の半減
期を高めるために、ビークルとして作用することができる。それらの調製物にお
いては、供給されるべきペプチドは、リポソームの一部として、単独で、又はた
とえばリンパ細胞、腫瘍又はレトロウィルス感染された細胞間で有力な受容体に
結合する分子、たとえばモノクローナル抗体と共に、又は他の治療又は免疫原性
組成物と共に導入される。たとえばアメリカ特許第4,837,028号及び第5,019,369
号(引用により本明細書中に組込まれる)に記載されるように、種々の方法がリ
ポソームを調製するために利用できる。
それらの医薬製剤におけるペプチド、免疫グロブリン調製物及び/又は骨髄の
濃度は、広く変化し、すなわち約10重量%以下、通常少なくとも約25重量%〜75
又は90重量%ほどであり、そして選択される投与の特定の態様及び処理される疾
病に従って、流体体積、粘度、等により主に選択され得る。経口、局所、及び非
経口投与できる組成物を調製するための実際の方法は、当業者に知られており又
は明らかであり、そしてたとえばRemington's Pharmaceutical Science,19th
ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA(1995)(引用により本明細書に組
込まれる)に詳細に記載される。
患者におけるレトロウィルス−介在の疾病又は癌を阻害するための本発明の組
成物の有効量の決定は、当業界において良く知られている標準の実験方法を通し
て行なわれる。たとえば、免疫機能の障害の逆転、たとえば抗原(たとえばイン
フルエンザ)、そして抗原又はマイトジェン、たとえばPWM又はPHAを再現するた
めのリンパ
増殖性応答の回復、及び従って、対象組成物の効能が、種々の良く知られているインビトロ
T−細胞増殖応答方法によりモニターされ得る。
本発明の組成物は、上記のようなレトロウィルス感染又は新生物をすでに有す
る患者に、続く免疫欠損疾患及びその合併症、又は下記に十分に記載されるよう
な敏感な腫瘍の進行を妨げ、又は少なくとも部分的に抑制するのに十分な量で投
与される。これを達成するための適切な量は、“治療的に有効な用量”として定
義される。この用途のための有効な量は、相当に変化し、そして感染又は疾病の
重症度、及び処理される患者の体重及び一般的な状態に依存するが、しかし一般
的には、kg体重当たり約0.1μg〜約100mgのペプチドの範囲であり、そして投与
当たり約10μg/kg〜約50mg/kgの用量がより通常には使用される。投与は、疾
病に対する応答、及び治療に対する患者の耐性に依存して、必要に応じ、毎日、
週ごと、又はそれ以下の頻度で行なわれる。長期間にわたっての維持投与が必要
とされ得、そして用量は必要に応じ調節され得る。投与の期間は一般的に、効果
的な免疫応答が種々の抗原、最とも所望には、HIVにより感染された個人の場合
、HIVウィルスに対して開始され得るよう、宿主の免疫系を回復するために、又
は癌細胞の増殖を排除し、又は実質的に阻害するために十分であろう。個人の回
復された免疫系が疾病を排除することができない場合、長期にわたっての維持投
与が必要である。また、本発明の材料は生命−脅威又は実質的に生命脅威の情況
に使用され得ることが、注意されるべきである。そのような場合、実質的に過剰
のそれらの組成物を投与することが、可能であり、そして処置する医者により所
望され得る。他のレトロウィルス疾病又は腫瘍の処理のための家畜使用において
は、より高いレベルで、必要により投与され得る。
予防用途においては、本発明の組成物は、患者自身の免疫学的能力を増強する
ためにレトロウィルス−介在の疾病に敏感な又はその危険性での患者に投与され
る。そのような量は、“予防系有効用量”であると定義される。この用途におい
ては、正確な量は、再び患者の健康及び体重の状態に依存するが、しかし一般的
には、0.1μg/kg体重〜約75mg/kg体重、より通常には約1μg/kg体重〜約5
0mg/kg体重の範囲である。
組成物の1回又は複数回の投与が行なわれ、そしてその用量レベル及びパター
ンは処置する医者により選択される。いづれにせよ、ペプチドの医薬製剤は、単
独で又はサメ免疫グロブリン及び/又は骨髄と一緒に、宿主におけるレトロウィ
ルス−介在の疾病又は腫瘍を効果的に阻害するのに十分な量のインヒビターを供
給すべきである。
本発明の方法はまた、エクスビボ治療のためにも使用され得る。エクスビボ又
は生体外治療とは、治療操作が身体外の宿主細胞及び液体に対して行なわれるこ
とを意味する。たとえば、リンパ球又は他の標的細胞が患者から除かれ、そして
患者により達成され又は耐えられ得るレベル以上の濃度のインヒビターを細胞に
供給する、高い用量のペプチド組成物により処理される。処理に続いて、細胞は
、疾病を処理するために宿主に戻される。
本発明の方法への使用のためには、本発明の組成物の調製物は、種々の治療用
途、たとえばレトロウィルス、たとえばHILV−I,HTLV−II,HIV−1又はHIV−
2に対する増強された治療活性、又は癌のための1又は複数の他の医薬組成物と
共に組合され得る。たとえば、HIV感染の処理においては、本発明の医薬組成物
は、単独で、又はプロテアーゼインヒビター、AZT,ddI,ddC、又はそれらの組
合せ、たとえばAZT,ddI及びペプチド又はサメ免疫グロブリン濃
縮物と共に補助治療として投与され得る。ペプチドはまた、増強された効能を達
成するためにIgG−様画分と共に組合され得る。ペプチドはまた、サメ骨髄調製
物と共に組合され得る。補助治療として投与される場合、調製物は他の処理療法
と共に投与され、又は異なった間隔で別々に投与され得る。
本発明の組成物はまた、インビトロでも使用される。組成物は、培養された細
胞、たとえばレトロウィルス感染に対して敏感である一定のハイブリドーマ又は
他のリンパ球系のレトロウィルス誘発された死を阻害するために使用され得る。
本発明の調製物はまた、有効レベルの抗−レトロウィルス化合物又は他の処理を
評価するためのスクリーニングアッセイにも使用され得る。さらに、患者の細胞
のレトロウィルス−介在機能不全又は死が本発明の組成物による阻害又は逆転に
対して敏感であるかどうかを決定することによって、適切な治療がより容易に始
められ得、又は他方では、他の処理様式、たとえば他の抗−HIV様式の効果が決
定され得る。従って、たとえば抗−HIV治療の効能を評価するための診断方法が
また、本発明により提供される。HIV感受性のレベルに関するインビトロでの変
化、又は免疫機能、たとえば抗原、アロ抗原、又はマイトジェン、たとえばPWM
又はPHAに対する応答の修復の検出は、本発明に従っての処理のために意図され
たペプチド組成物のインビボ活性の徴候を提供する。
細胞集団における免疫機能のレベルの変化をモニターするためには、免疫機能
の対照値が一般的な集団、又は治療の開始の前の患者からの細胞から決定され得
る。免疫機能は患者間で相当に変化するので、個々の患者の前処理免疫機能の決
定が好ましい。細胞、たとえばHIV−感染された個人の場合、リンパ球のレベル
が、治療の間モニターされる。このレベルが、治療されていない細胞における免
疫機能のレベルに比較され、そして治療の有効性が後−治療の間、測定された免
疫機能の高められたレベルにより評価される。
本発明のペプチド組成物は、抗−腫瘍剤としても使用され得る。ペプチドによ
る阻害のために標的化される腫瘍疾患の中には、肉腫、白血病及び癌、たとえば
レトロウィルス遺伝子により誘発され得るそれらの癌が存在する。腫瘍細胞の増
殖を阻害するために十分な本発明のペプチドの有効量の決定は、たとえば種々の
方法、たとえばインビボイメージング又はエクスビボ診断技法により転移性部位
をモニターすることによって実施され得る。他の癌マーカー、たとえば前立腺癌
についてのPSAアッセイがまた、本発明のペプチド組成物による治療をモニター
するために使用され得る。治療組成物は、腫瘍、たとえば肉腫、白血病又は癌を
すでに有する患者に、疾病を治癒するか又は少なくとも部分的に阻止するのに十
分な量で投与される。これを達成するための適切な量は、“治療的に有効な用量
”として定義される。この用途のための有効な量は、腫瘍の重症度、及び特に、
転移部位が包含される場合、その位置、及び処理される患者の体重及び一般的な
状態に依存するが、しかし一般的には、約1μg/kg〜約100mg/kg宿主体重/
日の範囲であり、そして約10μg/kg/日〜約75mg/kg/日の用量がより通常に
は使用される。長期間にわたっての維持用量は、必要に応じ調節され得る。ペプ
チド組成物は進行した疾病状態に使用され得るので、実質的に過剰量のそれらの
組成物が投与され得る。
本発明の組成物の一回又は複数回の投与が行なわれ得、そして用量レベル及び
パターンは処置する医者により選択される。いづれにせよ、医薬製剤は、腫瘍疾
患を効果的に阻害するのに十分な量のペプチド組成物を供給すべきである。本発
明の医薬組成物は、単独で、又は補助治療として、たとえばタキソール、シス−
プラチン、タ
モキシフェン、エトポシドホスフェート、ドキソルビシン、ダウノマイシン、内
分泌治療、等と共に投与され得る。補助治療として投与される場合、本発明の組
成物は他の治療様式と組合して、又は異なった間隔で別々に投与され得る。本発
明のペプチド製剤はまた、腫瘍疾患のエクスビボ治療にも使用され得る。たとえ
ば、骨髄、又は他の標的細胞又は組織が患者から除かれ、そして患者により達成
されるか又は耐えられ得るレベル以上の治療濃度を提供する。高い用量のペプチ
ド組成物により処理される。標的細胞集団又は組織における腫瘍細胞を排除する
ための処理に続いて、その細胞又は組織が患者に戻される。
次の例は、例示的であって、本発明を制限するものではない。
例I
この例は、サメ免疫グロブリンの調製を記載する。サメの血液(赤血球細胞を
含む全血)を、凍結したまま得た。細胞部分から血清を分離する試みは行なわれ
なかった。飽和硫酸アンモニウム溶液を、室温にされた全血を処理する直前に、
2NのNaOHによりpH7.8に調節した。前記全血を等量の塩溶液(0.9%NaCl)により
希釈し、その粘度を低めた。一定の撹拌を伴って、500mlの硫酸アンモニウム溶
液を、前記希釈された血液1lに滴下した。この点で、ほとんどすべてのヘモグ
ロビン及び細胞物質を、沈殿により除去した。その材料を遠心分離し、細胞残骸
及びヘモグロビンを除去した。その上清液に、さらに500mlの飽和硫酸アンモニ
ウムを添加し、そしてその懸濁液をさらに3時間、撹拌し、沈殿物におけるγ−
グロブリン以外の血清成分の機械的閉じ込めを回避した。
懸濁液を室温で30分間、1400×g(14cmの回転半径を伴っての約3000RPM)で遠
心分離した。第1の沈殿物は、γ−グロブリン及び他
のグロブリン、並びに微量のアルブミンを含んだ。遠心分離管に集められた沈殿
物を十分な塩溶液に溶解し、元のサンプルの体積にその溶液の体積を戻した。γ
−グロブリン画分を、第2及び第3沈殿により精製した。2lの再懸濁されたγ
−グロブリン、500mlの飽和硫酸ナトリウムを滴下し、そして2時間、撹拌した
。沈殿物を再び遠心分離により回収し、そしてその段階をくり返した。
第3の硫酸アンモニウム沈殿の後、沈殿物を、硼酸6.081g;ボラックス(ナト
リウムテトラボレート、Na2B4O7・10H2O)9.356g;塩化ナトリウム4.384g;及び
蒸留水(全体を1lにする量)から成る硼酸緩衝溶液(BBS)に溶解した。必要な
ら、pHを8.4〜8.5の間に、希HCl又はNaOH溶液により調節した。BBSは、緩衝液5
部及び塩溶液95部を混合することによって調製した。
硫酸アンモニウムを、懸濁液から、4℃で数日間、BBSに対して透析すること
によって除去した。透析物を早期及び液に変えた。透析物を硫酸塩イオンについ
て毎日調べた。pHが7.O以上にとどまることを見るために調べられた。
透析溶液が硫酸塩イオンを含まない場合、透析物を透析用バッグから除去した
。それを4℃で30分間、3000RPMで遠心分離した。沈殿物を集めた。1lの全血
液からの収量は、1.4gの精製された免疫グロブリンであった。
飽和硫酸アンモニウム溶液を調製するために、1000gの(NH4)2SO4を、撹拌しな
がら、約1lの水において50℃で、ほとんどの塩が溶解されるまで加熱した。次
に、それを室温で一晩、静置した。所望するpHを、2NのNaOHの添加により調節
した。0.5(50%)飽和での血清サンプルの沈殿のためには、1体積の飽和硫酸ア
ンモニウム溶液を、1体積の血清に添加した。
例II
この例は、サメ血液から単離された免疫グロブリンの分解生成物の調製を記載
する。
IgG又はIgG−様分子であると思われる、例Iに記載されるようにして調製され
た結晶性免疫グロブリンを用いて、パパイン消化を行なった。37℃での水浴に、
最終濃度0.002MのEDTA,0.001Mのシステイン及び1mgのパパイン/100mgタンパ
ク質を含む反応体積中、100mgの透析されたIgが存在する。試薬のための溶媒は
、0.1Mのアセテート(pH5.5)であった。代表的な例は、5mlのタンパク質溶液(
2%タンパク質);0.1Mの酢酸緩衝液(pH5.5)中、0.02MのEDTA溶液0.75ml;0.
1Mの酢酸緩衝液(pH5.5)中、0.01Mのシステイン溶液0.75ml;0.1Mの酢酸緩衝
液(pH5.5)1ml当たり酵素1mgを含む1.0mlのパパイン溶液から成った。
消化を約9時間、進行せしめ、この時点で、消化は完全であると思われた。Ig
のサンプルを対照として処理した(但し、パパインを含まない)。細菌増殖を、
消化混合物への数滴のトルエンの添加により阻害した。クロロメルクリベンゾエ
ートを添加し、0.001Mの最終濃度にすることによって、消化を停止した。次に
、消化混合物を、0.01Mの酢酸緩衝液(pH5.5)(2回取り替える)に対して透
析した。
消化された画分を単離するために、室温で、カルボキシメチルセルロースカラ
ム(約1.5×50cm)を、0.01Mの酢酸緩衝液(pH5.5)を用いて調製した。サンプ
ルをカラム上に配置し、それを2mlの量の出発緩衝液により洗浄した。その後、
0.01Mの酢酸緩衝液(pH5.5)150mlを添加した。5mlの画分を集めた。0.01Mの
緩衝液のすべてがカラムに入った後、次の緩衝液の個々150mlを添加した:0.05
M,0.1M,0.225M、及び0.45Mの酢酸緩衝液(pH5.5)。
消化混合物から溶出されるタンパク質のピークは次の通りであっ
た:画分#(100ml)0.05Mの酢酸緩衝液−FAB;画分#2(250ml)0.1Mの酢酸緩衝
液−FAB;画分#3(300ml)0.225Mの酢酸緩衝液−FAB&Ig,画分#4(400ml)0.45
Mの酢酸緩衝液−FC。画分を、約0.5%のタンパク質濃度が得られるまで、蒸発
により濃縮した。この点で、FC画分は濾過され得た。
沈殿する材料を、0.02Nの酢酸に溶解し、そして次に、エーテル(200ml)によ
り抽出した。エーテル抽出物を小体積(10ml)取り、そして次に、約5℃で維持し
、ここでペプチドの結晶化が生じた。下記に記載される続く試験において、配列
Leu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)を有するペプチドは、Rauscherウィルスに対
する阻害活性を示した。続いて、ペプチドにおけるアミノ酸を同定し、そして合
成した。
例III
この例は、例IIにおいて同定された配列Leu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)を
有するペプチドの合成を記載する。
Leu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)の合成のためには、次の方法を使用する。
1.5gのポリ1−ロイシン臭酸塩の溶液を、200mlのジメチルスルホキシド
に溶解し、0.5mlのトリエチルアミンを添加する。N−カルボキシ−L−プロリ
ン無水物(L−プロリン及びホスゲンから調製された14G)を、調製の直後に使
用した。なぜならば、この無水物は不安定であるからである。L−プロリンを10
0mlの硫酸ジメチルに溶解する。前記2種を一緒に添加し、そして室温で激しく
撹拌する。二酸化炭素発生がすぐに開始し、そして室温で24時間、撹拌しながら
、重合を進行せしめる。
2.24時間後、乳光色で且つひじょうに粘性である反応混合物を、蒸留水に対
して徹底的に透析し、ジメチルスルホキシドを除去す
る。
3.透析の間に形成されたゲル状沈殿物を凍結乾燥により濃縮し、そして次に
、25℃で無水蟻酸300mlに溶解した。
4.得られる蟻酸溶液を25℃で1時間、維持し、そして次に、蒸留水(数回取
り替える)に対して透析する。
5.透析バッグの内容物を、フラッシュ蒸発により濃縮し、凍結乾燥し、そし
て−20℃で貯蔵する。
6.次に、10gのロイシン−プロリンを、1lのフラスコにおいてpH7.0で、1
50mlのリン酸緩衝液(0.05モル)に溶解する。フラスコを氷により2℃に冷却し
、そして4.2gのN−カルボキシγ−ベンジルL−セリン無水物及び3.OgのN−カ
ルボキシ−L−アルギニン無水物の溶液を、120mlの無水ジオキサンに別々に溶
解する。次に、それらの2種の無水物を、水溶液に添加する前、混合する。その
混合物を70℃に加熱し、そして30分間、撹拌する。沈殿物は、活性生成物である
。
7.保護基を除去するために、上記反応混合物(4g)を、10mlの無水トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、そして次に、氷酢酸中、45%HBrの溶液30mlを添加する。
その混合物を4℃で72時間、維持する。最終ペプチド、ロイシン−プロリン−プ
ロリン−セリン−アルギニンを、500mlの無水エーテル中での沈殿により単離す
る。沈殿物を濾過し、そして追加の冷エーテルにより洗浄する。結晶生成物を、
真空下で水酸化ナトリウム上で乾燥せしめる。
もう1つの観点においては、ペプチドLeu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)を、
次のようにして調製する。
N−ベンジルオキシカルボニル−O−tert.ブチル−D−ロイシンアミド(Z
−D−Leu(Bu’−NH2)、濃硫酸(0.1ml)及びイソブチレン(35ml)を、ドライアイ
ス/アセトンにより冷却される耐圧性
容器に維持される、塩化メチレン(35ml)中、N−ベンジルオキシカルボニルD−
ロイシン(4.2g)の懸濁液に添加する。反応容器を密封し、そして温度を室温(2
0℃)に上げる。4日後、過剰のイソブチレンを蒸発し、そしてその有機溶液を
水性5%炭酸ナトリウム(3×30ml)、5%クエン酸(20%)及び次に、水(pH6
.0)により洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥せしめ、そして乾燥濃
縮し、上記化合物を透明な油状物(4.60g)として得る。
〔2−エトキシ一カルボニル−6−tert.ブトキシ一カルボニルーアミノ〕ヘ
キサノールイル−L−プロリンベンゼンエステル(Leu-Pro-Pro)の調製に関して
は、前記のロイシン誘導体(0.6g,0.98mモル)をCH2Cl2(3ml)に溶解し、そし
て混合物に添加する。反応混合物を0℃に冷却し、そしてCH2Cl2中、DCCI(デシ
クロヘキシルカルボジイミド)(0.495g,2.4mモル)の溶液をこの温度で添加
する。その反応混合物を0℃で30分間、及び次に室温でさらに20分間、撹拌する
。このようにして調製された、活性化されたエステルを、CH2Cl2(60ml)中、プ
ロリンベンジルエステル塩酸塩(0.532g,2.2mモル)の溶液を含む反応フラス
コ中に濾過し、これにNMM(N−メチルモルホリン)(0.242ml,2.2mモル)を添
加し、前に添加された塩酸塩を除去する。その混合物を室温で一晩、撹拌し、次
に溶媒を蒸発し、そして油状残留物を少量の酢酸エチルに取り、そして−25℃で
1時間、維持する。
沈殿物を濾過により除去し、そして濾液を追加量の酢酸エチルにより希釈する
。その酢酸エチル溶液を、5%水性NaHCO3(5×100ml)、5%水性クエン酸(3
×50ml)及び最終的に、脱イオン水(pH6.0〜6.5)により洗浄する。有機相を無水
硫酸マグネシウム上で乾燥せしめ、そして次に、真空下で乾燥濃縮する。この調
製された化合物は、OET-(R.S.)ロイシン(N-Boc)-L-Pro-OHである。これ
は黄色の油状物である。
第2プロリン基は、上記段階によりLeu-Pro-Pro-を製造する段階の上記順序の
反復により付加される。
Leu-Pro-Pro-Serの調製に関しては、保護されたOET-(R,S)Leu(N-Boc)-L Pro-
L Pro(MTR)-0Bu’を、CH2Cl2(3ml)及びDMF(ジメチルホルムアミド)(0.5ml)中、H
OBT(N−ヒドロキシベンゾトリアゾール)(0.261g,1.93mモル)において混合し
、そしてそれを50mlのCH2Cl2中、BOC-SER(B21)-O−レジン(10ml,2.1mモル)に
添加する。その混合物を0℃に冷却し、そしてDCCI(0.398g,1.93mモル)を添加
する。次に、その反応を0℃で30分間、及び次に室温でさらに30分間、撹拌する
。3種の活性化されたエステルを、前記化合物の溶液を含む反応フラスコ中に濾
過する。反応が完結する場合、少量の酢酸エチルを添加し、生成物を取り、そし
て−25℃で1時間、冷却する。沈殿物を濾過により除去し、濾液を100mlの追加
の酢酸エチルにより希釈し、そして5%NaHCO3水溶液(4×100ml)、飽和塩化ナト
リウム溶液、及び最終的に水(pH6.0〜6.5)により洗浄する。有機溶液をMgSO4上
で乾燥せしめ、そして真空下で溶媒を蒸発し、所望する化合物を、黄色の油状物
として得る。
Leu-Pro-Pro-Ser-Arg((HO-RgS)ロイシン(NBOC)L-Pro-L Pro-L Ser-L Arg(NG*M
TR)-OBu')(MTR=2,3,6−トリメチル−4−メトキシフェニル)スルホニル)
の調製に関しては、無水エタノール(2ml,2mモル)中、1MのKOHを、0℃
に冷却された無水アルコール(10ml)中、前記段階で得られた化合物(0.857g,1
0.4mモル)の撹拌された溶液に添加し、そしてその反応混合物を一晩、撹拌する
。次に、その混合物を水10mlにより希釈する。エタノールを蒸発し、そしてpHを
クエン酸の添加により3に調節する。次に、その酸性混合物を酢酸エチル(4×
60ml)により抽出し、次に有機
相を組合し、そして飽和塩化ナトリウム水溶液、及び次に、水により洗浄し、pH
を7.0にする。有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥せしめる。次に、溶媒を
蒸発し、ペプチドを得る。
前記段階で得られる化合物を、6%チオアニゾールを含むTFA(テトラヒドロフ
ラン)(20ml)に溶解する。その溶液を4時間、撹拌する。次に、TFA及びチオア
ニゾールを、混合物を通しての窒素の流れ下で蒸発せしめる。次に、残留物をシ
アン化メチルに取り、そして次に真空下で乾燥濃縮する。次に残留物を数滴のシ
アン化メチルに取る。次に、それをエーテル(2×30ml)により洗浄する。次に
、エーテルを蒸発し、そして水性相を凍結乾燥する。
このようにして、構造体ロイシン−プロリン−プロリン−セリン−アルゴニン
(配列番号1)を有する純粋な化合物を得る。
例IV
この例は、哺乳類におけるレトロウィルス感染の出現を阻害するためへの、上
記ペプチドLeu-Pro-Pro-Ser-Arg(配列番号1)及びサメ免疫グロブリンの使用を
記載する。
抗レトロウィルス剤としての前記ペプチド及びサメIgの効能を、ネズミ白血病
ウィルス(MuLV)(また、Rauscherウィルスとしても知られている)疾病モデル
を用いて決定した。Rauscherは、重度の巨脾腫を誘導し、そしてまた赤白血病も
引き起こす、マウスの脾臓において赤血球コロニーを典型的には引き起こす、マ
ウスにおける病原性ネズミレトロウィルスである。この研究においては、ペプチ
ド又はサメIg調製物により処理されたBALB/cマウス及び処理されていない対照
が、ウィルス調製物により感染された。この研究は、同時継続出願第60/005133
号、第08/434,438号及びPCT/US96/06245号(それらは引用により本明細書中に組
込まれる)に一般的に記載のようにして実施された。
ネズミ白血病ウイルス(MuLV)(Rauscher)を、Advanced Biotechnologies,
Inc.,Columbia,MD 21046(Lot No.1/29/74)から購入した。それを、90%の生
存率を伴って、1.16×107個の細胞/mlで、JLS−V9/MuLV細胞において低温保存
した。
ウィルスを、10%のウシ胎児血清、50μg/mlのゲンタマイシン及び10%DMSO
を含むRPMI1640に懸濁した。ウィルス粒子の計数は、1ml当たり5.57×1010個の
ウィルス粒子であった。逆転写酵素活性は、97.8%であった。ウィルスを−70〜
−80℃で貯蔵した。
ウィルス活性の%阻害率を、次の等式に従っての脾臓サイズに基づいて計算し
た:
生後3〜4週目のBALB/cマウスを、次の実験に使用した。ネズミ白血病ウィ
ルス(MuLV)Rauscherを受けたすべてのネズミは、2.0×106個のウィルス粒子でウ
ィルスを腹腔内に付与した。処理は、試験材料の腹腔内注射により行なわれた(
但し、経口処理されたマウスの場合は除く)。試験材料は、腫瘍ウィルス移行の
後、2,4、及び6日目で投与された。
表Iは、サメ血液Igの分別から得られた多くの画分から得られたデータ、及び
合成ペプチド(配列番号1)の活性を表わす。
ペプチド(配列番号1)は、経口投与されたペプチド1mcgで85.4%の巨脾腫の
阻害率を付与した。10及び20mcg用量(3回与えられた)で、阻害率は、97.3及
び97.7%であった。これは、このアッセイにおいて100%の阻害率を達成したこ
とに実質的に等しい。この阻害率は、元のペプチドが単離されるFC画分20mcgに
匹敵する。20mcgでのサメIgG−様分子は、この研究において53.6%の阻害率を付
与した。
他の有意な発見は、サメ血液が、同じ条件下で、1Omcg/kg体重で、脾臓重量
上昇の97.5%の阻害率を付与する特定のα−2マクログロブリンを含むことであ
る。α−2マクログロブリンの抽出は、サメ血液IgGのための抽出とは異なる。
次の研究は、ペプチド及び免疫グロブリンの経口投与対注射投与の効率を比較
した。この研究は上記のようにして実施され、そして試験材料は、2,4及び6
日目に投与された。結果は表IIに示される。 表IIは、経口路によりRauscher MuLVをマウスに投与する結果を表化する。こ
の試験においては、2,4及び6日目に経口投与される10mcg/kgのペプチドが
、43.6%の阻害率を与えた。20mcg/kg体重で、このウィルス腫瘍モデルの阻害
率は62.3%であった。40mcg/kg体重で、その阻害率は74.0%であった。
100mcg/kg体重での経口投与されたサメ免疫グロブリンは、73.1%の阻害率を
付与した。50mcg/kg体重で、その阻害率は57.2%であった。これは、0.5mlのサ
メ全血液を3度、投与されたマウスにおける60.6%に匹敵する。
10mcg/kg体重で注射により投与されたペプチド(配列番号1)は、97.1%の阻
害率を付与した。
もう1つの研究においては、異なった濃度のペプチド及び投与路の効率が比較
された。研究は上記のようにして実施され、そして試験ペプチドは、1,3,5
,7及び11日目に投与された。
結果は、表IIIに示される。
表IIIは、Rauscherネズミ白血病ウィルスにより感染されたマウスにおける脾
臓サイズの阻害性の結果を要約する。この研究においては、20mcg/kgのペプチ
ド(配列番号1)が、1,3,5,7及び11日目に腹腔内投与され、それはほとん
ど完全な阻害性を付与した。10mcg/kgで、5回のI.P.投与されるぺプチドは、5
8.8%の阻害率を付与した。1,3,5,7及び11日目に投与されるペプチドは
、処理されていない対照に対して43.9%の阻害率を付与した。
それらの研究は、ペプチド(配列番号1)及びサメ血液がRauscherマウス白血病
ウィルスモデルにおける脾臓の拡大(巨脾腫)に対して強力なインヒビターを有
することを示す。このモデルにおいては、ウィルスの阻害性は、ウィルス増殖の
ために必要な酵素、すな
わち逆転写酵素を阻害すること又は妨害することに関連している。
一般的に、種々のグループと異なった動物試験との間に一致が存在する。10mc
gで腹腔内投与されるか又は100mcg/kgで経口投与されるペプチド(配列番号1)
は、それらの条件下での脾臓増殖の阻害に対して有意な効果を有した。結果はま
た、サメIg調製物が、0.5mlの処理の場合、有意な抗−レトロウィルス活性を含
み、そして効果的に妨げ、又はそれよりも低い用量の場合、感染された動物にお
けるレトロウィルス疾病の通常の進行を阻害したことを確かにする。
本発明の特定の態様が例示目的のために本明細書において記載されて来たが、
種々の修飾が本発明の範囲内で行なわれ得ることは、前述から理解されるであろ
う。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 31/16 C07K 16/18
C07K 16/18 A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW