JP2001501603A - ヌクレオソームに基づく抗腫瘍性組成物 - Google Patents

ヌクレオソームに基づく抗腫瘍性組成物

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Abstract

(57)【要約】 腫瘍性細胞増殖を阻害するのに十分な抗核自己抗体の産生を誘発するヌクレオソームを哺乳動物に投与することによって、哺乳動物における腫瘍性細胞増殖を阻害する方法について開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヌクレオソームに基づく抗腫瘍性組成物 発明の背景 本発明は、癌の治療および予防のためのヌクレオソームの使用に関する。 癌に対する治療法を探索する過程の中で、研究者らは、種々の型の疾患に冒さ れた個体において効果的な抗腫瘍免疫反応を惹起させようと試みてきた。この手 法が成功するためには、免疫系を効果的に刺激する腫痘抗原をまず同定する必要 がある。悪性黒色腫などの特定の腫瘍では特異的な抗原が同定されている(Darr owら、J.Immunol.142:3329〜3335,1989、Coxら、Science 264:716〜719,1 994)。さらに、T細胞が認識しうるヒト癌関連抗原も記載されている(Kantor ら、J.Natl.Cancer Inst.84:1084〜1091,1992、Ioannidesら、J.Immunol .151:3696〜3703,1993、Tsangら、J.Natl.Cancer Inst.87:982〜990,19 95)。しかし、特異的抗原の製剤による免疫化によって治療しうる腫瘍の数は極 めて限られている。現在までのところ、多くの異なる種類の悪性細胞に対して有 効なワクチンが首尾よく実現されるには至っていない。 発明の概要 本明細書に記載する発明は、抗核自己抗体(ANA)が、腫瘍細胞の表面に存在 するヌクレオソームと特異的に結合するという発見に基づいている。これらの抗 体がこのように命名されているのは、それらが細胞の核内に通常認められる抗原 を認識し(「抗核」)、例えば高齢者または自己免疫疾患を有するヒト(もしく は他の動物)において自己産生されうる(「自己抗体」)ためである。 健康な加齢Balb/cマウスから得た脾細胞の融合物から、標準的な技法によって 、2C5と命名したモノクローナルANAを作製した。この抗体は、ヒトリンパ系腫瘍 (例えばMOLT-4、HEL 92.1.7、ラジおよびU-937細胞)および非リンパ系腫瘍( 例えばSK-BR3細胞(乳房の腺癌に由来)およびPC3細胞(前立腺の腺癌に由来) )に由来するものを含む、広範なスペクトルの腫瘍細胞の表面と反応することが 示された。さらに、2C5はインビボでのリンパ腫の形成を抑制することが示され た。したがって、このような抗体をインビボで誘導することにより、腫瘍性細胞 増殖を予防または治療するための手段が提供される。 したがって、本発明は、腫瘍性細胞増殖を阻害するのに十分な抗核自己抗体の 産生を誘発するヌクレオソームを投与することによって、ヒトなどの哺乳動物に おける腫瘍性細胞増殖を治療する方法を特徴とする。ヌクレオソームは、真核細 胞から精製することも、またはヒストンおよび哺乳動物もしくは細菌のDNAを用 いて、本明細書に記載される通りに、インビトロで再構成することもできる。ヌ クレオソームは、アジュバントとともに、またはアジュバントを伴わずに、生理 的に許容しうる担体、希釈液または賦形剤中にて実質的に純粋な形で投与するこ とができる。または、例えば本明細書に記載する方法により、ヌクレオソームを リポソーム中に封入することもできる。さらに、投与の開始は、腫瘍の出現の前 でも後でもよい。 哺乳動物における抗核自己抗体の産生を誘発するためのヌクレオソームに基づ く組成物も、本発明の範囲に含まれる。本組成物は、ヌクレオソーム(これは真 核細胞から単離すること、またはインビトロで再構成することができる)および 薬学的に許容しうる担体、希釈液または賦形剤からなる。再構成されたヌクレオ ソームは、真核生物または細菌のDNAのいずれかを含むことができ、例えばワク チンとしての投与のためにリポソーム中に封入することができる。 本明細書に開示される組成物によって予防または治療される腫瘍細胞増殖は、 悪性の増殖でも良性の増殖でもよい。悪性細胞の増殖は、バーキットリンパ腫、 プレB細胞性リンパ腫(pre-B lymphoma)または組織球性リンパ腫などのリンパ 腫、例えば乳房、前立腺または腎臓などの腺癌、赤白血病、胸腺腫、骨原性肉腫 、肝癌、悪性黒色腫、脳腫瘍、神経膠腫、卵巣もしくは子宮の腫瘍、膵腫瘍、ま たは胃もしくは消化管の内部の腫瘍を引き起こす可能性がある。 癌を発症するリスクがあると考えられる個体は特に本発明による恩恵を受ける と思われるが、これは、腫瘍の何らかの所見がみられる前に予防的治療を始める ことができるためである。リスクがある個体には、1つまたは複数の癌に対する 遺伝的素因のあるもの、および核放射線または発癌物質に誤って曝露されたもの が含まれる。 「ヌクレオソーム」とは、ヒストンとDNAとの任意の複合体を意味し、天然に みられるヌクレオソーム、人工的に調製された「再構成された」ヌクレオソーム 、 およびこれらのヌクレオソームの抗原性部分が含まれる。ヌクレオソームは真核 細胞の核内に通常存在し、下記の通りにインビトロで再構成することができる。 天然にみられるヌクレオソームは、電子顕微鏡による観察では、切片化した組織 中に、線状DNA上のビーズ様の塊として認められる。 本明細書で用いる「再構成される」という用語は、例えば下記の段階的塩透析 法(salt step dialysis method)などによってヌクレオソームが人工的に調製 される工程を意味する。 宿主をヌクレオソームによって免疫化することによって免疫系の抗腫瘍能を増 強することは、それによって、腫瘍細胞の表面に結合したヌクレオソームのいく つかの決定基を認識すると考えられるポリクローナル抗体が生じると予想される 点で有益である。したがって、抗ヌクレオソーム自己抗体は、外来性モノクロー ナル抗体の投与よりも効果的に宿主免疫系のエフェクター的抗腫瘍機能を媒介す るはずである。 別に定義する場合を除き、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語 は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同 じ意味を持つ。本明細書に記載されるものと類似した、または等価な方法および 材料を本発明の実施および試験に用いることはできるが、適した方法および材料 は以下に説明する。対立が生じた場合には、定義を含め、本明細書が支配的であ ると考えられる。さらに、材料、方法および実施例は例示のみを目的としており 、制限を意図したものではない。 本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲から 明らかになると思われる。 図面の簡単な説明 図1は、固相酵素免疫測定法(ELISA)における、モノクローナルANA 2C5のヌ クレオソームを含むヌクレオヒストン標本との選択的反応性を示す折れ線グラフ である。検討したサンプルはグラフ上で以下の通りに表記されている:ヌクレオ ヒストンは■、1本鎖DNAは○、2本鎖DNAは△、個々のヒストンの混合物は□、リ ボ核蛋白質はX。 図2は、モノクローナルANA 2C5の再構成されたヌクレオソームに対する反応性 を示す折れ線グラフである。検討したサンプルはグラフ上で以下の通りに表記さ れている:段階的塩透析を用いてDNA-ヒストン混合物からインビトロで再構成さ れたヌクレオソームは■、同様の処理を行ったDNAは△、同様の処理を行ったヒ ストンは□、ヌクレオソームを含まないDNA-ヒストン混合物は○。 図3は、C57BL/6マウスにおける注入したヌクレオソームに対する体液性反応を 示す棒グラフである。注入から0、5および12日後に採取した血漿サンプルを用い てELISAを行った。ウェルを50μg/ウェルの2本鎖DNA(バーA)、10μg/ウェ ルの全ヒストン(バーB)、または10μg/ウェルのヌクレオヒストン(バーC) で感作させ、光学濃度を測定した(Y軸として示した)。 図4は、ヌクレオクロマチンによる免疫化後の、S49リンパ腫細胞に対するマウ ス脾細胞のMHCに拘束されない(MHC non-restricted)細胞傷害性を示す棒グラ フである。 詳細な説明 以下に提示するデータは、ヌクレオソームが殺腫瘍性ANAの標的であること、 ならびにヌクレオソームを用いる免疫化によって免疫系の抗腫瘍能を高める体液 性および細胞性抗腫瘍反応の両方を得ることができることを示す。したがって、 ヌクレオソームは抗癌ワクチンの基盤として役立ちうる。 本発明は、侵襲性の高い癌のインビボでの発達を劇的に抑制することが示され ている(Torchilinら、国際公開公報第96/00084号、これは参照として本明細書 に組み入れられる)抗核自己抗体(ANA)2C5が、検討したすべての腫瘍細胞の表 面に存在するが(Torchilinら、前記、Iakoubovら、Immunol.Lett.47:147〜1 49,1995)、正常な非悪性細胞の表面には存在しないヌクレオソームと特異的に 結合するとの発見に基づいている。この特異性は、ウエスタンブロット分析およ び固相酵素免疫測定法(ELISA)によって示される。可能性のある種々の抗原性 標的に対する2C5の反応性を表1に示し、一連の異なる核抗原に関して検討したEL ISAの結果を図1に示す。 健康な加齢Balb/cマウスから1G3および4D11と命名したさらに2つのANAも入手 したが、これらは同じく、ヒトおよび齧歯類の腫瘍細胞のいずれの表面とも結合 するが、正常細胞の表面とは結合しないことが示された。これらのデータは以下 の 表2に示す。 初期反応性アッセイを行うために、ヌクレオソームを含むヌクレオヒストン標 本、1本鎖DNA、2本鎖DNA、個々のヒストンの混合物、またはリボ核蛋白質(10μ g/ウェル、pH7.2のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中)を含む可能性のある標的 により、ELISAプレート(Corning,New York,NY)を2時間覆った。続いてプレ ートを洗い、0.1%Tween 20を含むPBS(PBST)による熱非働化子ウシ血清の10% 溶液とともに30分間インキュベートした。この手順により、非特異的結合は効果 的に防止される。2C5または対照としてのアイソタイプを合致させた骨髄腫抗体U PC10(同一溶液中、Cappel,Durham,NC)の希釈物を2つに分けて添加し、室温 で60分間インキュベートした。ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体を添加し た後に基質により、結合した抗体を呈示した。吸収されたヤギ抗体の可視化は、 0.05%塩酸オルトフェニレンジアミンおよび0.01%過酸化水素の溶液を基質とし て用いて行った。2.5M硫酸(50μl/ウェル)の添加によって反応を停止させ、 マイクロプレートELISA読み取り装置(Fisher Scientific,Pittsburgh,PA)を 用いて光学濃度を読み取った。実験の各セットにおいて、陽性(抗原含有性)お よび陰性の血清サンプルの間の区別を可能とするために、平均値に平均値の標準 誤差(SEM)の3倍の値を加えた限界値を設定した。血清力価としては、陽性サン プルの光学濃度が陰性サンプルの値の少なくとも3倍となった最大希釈度を用い た。 上記のELISAおよび標準的なウエスタンブロット分析によって収集した、2C5の 特異性に関するデータを表1に示す。表1では、ウエスタンブロットにおいて対応 するバンドとの反応性がみられない場合、および/またはELISAにおいて陰性対 照値から3標準偏差以内に反応性がない場合には(-)で示した。ELISAで得られた シグナルが陰性対照値よりも10標準偏差を超えて大きい場合には、サンプルを(+ ++)と評価した。 また、再構成されたヌクレオソームに対して検討した際には、モノクローナル ANA 2C5がヌクレオソームに拘束された(nucleosome-restricted)特異性を有す ることも示された。ヌクレオソームは、ローデス(Rhodes)ら(Methods Enzymo l.170:575〜585,1989)によって記載された通りに、インビトロで再構成した 。簡潔に示すと、個々のヒストンの混合物(50μl/mlの各ヒストン(H1、H2A 、H2B、H3およびH4))、Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)を、100μ g/mlの精製した市販のウシ胸腺、または細菌DNA(Sigma Chemical Co.,St.L ouis,MO)を加えた蒸留水に溶解した。溶液を2M NaClに対して4℃で3時間透析 し、続いて0.15M NaClまでの段階的透析を行った(4℃で24時間かけて0.5M NaCl ずつ減らした)。すべての溶液には1mM EDTAおよび0.1mMフェニルメチルスルホ ニルフルオリドを含めた。 次に、2C5が再構成されたヌクレオソームと結合する能力を検討した。種々の 濃度の2C5(約0.005〜5.0μg/ml)を、段階的塩透析を用いてDNA-ヒストン混 合物からインビトロで再構成したヌクレオソーム(上記の通り(■))、同様の 処理を行ったDNA(△)、同様の処理を行ったヒストン(□)、およびヌクレオ ソームを含まないDNA-ヒストン混合物(○)に添加した。2C5を例えば西洋ワサ ビペルオキシダーゼで標識すること、または標識した二次抗体を反応物に後に添 加することにより、呈色した反応混合物を得ることができる。光学濃度(A450で の)の読み取りによる分析の結果を図2の折れ線グラフに示した。再構成された ヌクレオソ ームおよび2C5を含むサンプルの光学濃度は2C5の濃度が増すにつれて定常的に高 まったことから、2C5抗体が再構成されたヌクレオソームと特異的に結合する能 力を持つことは明らかである。 ANAである2C5、1G3および4D11は、極めて多岐にわたるヒトおよび齧歯類の腫 瘍細胞と特異的に結合する能力を持つことが示されている。これらの3種のANAを 、ヒトおよび齧歯類の正常細胞、ならびにヒトおよび齧歯類の癌、悪性黒色腫、 肉腫、白血病およびリンパ腫と結合する能力に関して検討した。3種のANAそれぞ れはヒトおよび齧歯類の腫瘍細胞と結合したが、正常細胞とは結合しなかった。 これらのデータを表2に示すが、ここでは反応強度をモノクローナル抗体および 非特異的な対照抗体であるUPC10のフロサイトメトリーピーク値の間の差として 提示した。サンプルには、その強度がUPC10で得られた値の対数値の3倍よりも大 きい場合には(+++)、強度がUPC10で得られた値の対数値の1.5〜3倍の範囲にある 場合には(++)、強度がUPC10で得られた値の対数値の0.5〜1.5倍の範囲にある場 合には(+)、強度がUPC10で得られた値の対数値の0.2倍未満である場合には(-)と 評価した。いくつかのサンプルは確定がなされなかった(n/d)。 非自己免疫性成体マウスにおける免疫系の抗腫瘍能を高めうるか否かを明らか にするために、以下の通りに、ヌクレオソームを調製し、これらの動物の免疫化 に用いた。ヌクレオソームの調製 上記の段階的塩透析の標準的な手順を用いることにより(Rhodesら、Methods Enzymol.170:575〜585,1989も参照のこと)、一方は哺乳動物DNAおよび哺乳 動物ヒストンを含み、他方は細菌DNAおよび哺乳動物ヒストンを含む、2種類のヌ クレオソームをインビトロで再構成することができる。細菌DNAは低メチル化CpG ジヌクレオチドが存在するためにそれ自体でアジュバント機能を果たしうるが、 哺乳動物DNAにこの特徴がみられることは稀である(Kriegら、Nature 374:546 〜549,1995、総説についてはKrieg、J.Clin.Immunol.15:284〜292,1995を 参照のこと)。このため、細菌DNAを含む免疫原に対する哺乳動物の免疫反応は 、哺乳 動物DNAに対する反応よりも強いと考えられる。 後に免疫化を行うために、両方の標本を、フロイントアジュバントなどのアジ ュバントと混合すること、または下記の通りにホスファチジルコリン(PC)もし くはPC/コレステロールのリポソーム中に組み入れることが可能である。 ヌクレオソームは直接的に投与することもでき、人工的なリン脂質の微小小胞 (nanovesicle)であるリポソーム中にまず封入することもできる。リポソーム は、例えば純粋な卵レシチンから作ることもでき、例えばスゾカ(Szoka)らの 逆相蒸発法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:4191,1978)などにより、レシ チンとコレステロールとのモル比7:3の混合物から作ることもできる。アルゴン および真空の下で脂質を乾燥させた後、その結果得られた薄膜をエーテル中に溶 解する。例えば、適切な量のコレステロールを含む、または含まない、16mgのレ シチンを含む薄膜を、640μlのエーテル中に溶解し、pH7.5のリン酸緩衝生理食 塩水中に含まれる調製したヌクレオソーム(1μg/μl)100〜500μgを添加す る。続いて混合物を1分間ボルテックス処理にかけ、超音波破砕器(例えば、Lab -Line Ultratip Labsonic Systemなど)にて4℃で40W、3〜5分間の処理を行い、 ロータリー蒸発装置を用いてエーテルを除去する。 または、シニア(Senior)ら、Biochem.Biophys.Acta.1003:58〜62、1989 に従った小胞の脱水-再水和、またはトゥルベツコイ(Trubetskoy)ら、FEBS Le tt.299:79〜82、1990に記載された通りの長時間の同時超音波処理(co-sonica tion)によってヌクレオソームをリポソーム中に封入することもできる。前者の 手順では、発熱物質を含まない脱イオン水150μlを脂質薄膜(クロロホルム中 で1つまたは複数の脂質を溶液から溶媒を除去することによって調製する)に添 加し、pH7.5のリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁する。ヌクレオソームは、重量 比でヌクレオソーム:脂質を1:10として激しくボルテックス処理することによ って取り込まれる。最終混合物にアルゴン気流下にてそれぞれ0℃で1分間の超音 波処理を3回行い、続いて凍結乾燥を行う。この乾燥残渣に発熱物質を含まない 生理食塩水1mlを加えて再構成する。後者の手順では、等量の生理食塩水および ヌクレオソームの存在下において、アルゴン気流下にて0℃で35〜40分間の超音 波処理を行うことによって脂質薄膜を再懸濁する。 ヌクレオソームのリポソーム中への取込みの効率は、ヌクレオソームをフルオ レセインイソチオシアネート(FITC,Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)で 標識し、その後にフィコール密度勾配遠心分離法によって、リポソーム中に封入 されたヌクレオソームと封入されていないヌクレオソームとを分離することによ って測定することができる。これを実行するために、リポソーム-FITC標識ヌク レオソーム標本250μlを、PBSによる60%フィコール-400溶液と激しく混合して (v:vで1:1の比)、プラスチック製チューブに移し、各層が混ざらないよう に注意しながら、上の方から3mlの40%フィコール溶液(PBS中)および250μl のPBSを重層化する。続いて、例えばベックマン(Beckman)超遠心器においてチ ューブに17℃、35,000rpmで1時間の遠心処理を加える。ヌクレオソームが取り込 まれたリポソームは上層に分配されると思われ、これは10個の連続した375μl の画分からなるアリコートにTriton X-100などの界面活性剤を添加する前および 後に得られた蛍光強度の判読値から明らかになると思われる。 リポソーム中に封入された、または封入されていないヌクレオソームの蛍光は 、例えば日立(Hitachi)分光蛍光光度計を製造者の指示に従って用いて測定す ることができる。リポソームに関連した蛍光強度もヌクレオソームの取込み効率 を反映すると思われる。必要であれば、ヌクレオソームの取込みが最大になるよ うにリポソームの組成物を変更することもできる(例えば、Lesserman、「基礎 研究および産業におけるツールとしてのリポソーム」(Liposomes as Tools in Basic Reseach and Industry)中の、オリゴヌクレオチドの輸送体としてのリポ ソーム(Liposome as Transporters of Oligonucleotides)、pp.215〜223、J.R .PhilippotおよびF.Schuber編、CRC Press、1995などを参照のこと)。 ヌクレオソームをリポソーム中に封入し、次いで本明細書に記載される通りに 投与することには、リポソームが多能性であって効果的な免疫増強剤(immunoad juvant)であるという付加的な利点がある(Gregoriadis,Immunol.Today,p.8 9〜97,1990、van Rooijen、ワクチン抗原の担体および免疫増強剤としてのリポ ソーム(Liposomes as Carrier and Immunoadjuvant of Vaccine Antigens)、p p.255〜279、Alan R.Liss,Inc.、1990)。それらは、その化学的および物理的 な組成を変更することによって性質を変更することができるため、多能性である と考えられている。また、それらが効果的であることは実証されており、リポソ ーム中にあるインフルエンザ抗原の投与によって誘導された免疫反応は、他のア ジュバントとともに投与した場合の数倍も強かった(Mbawnikeら、Vaccine 8:3 47〜352、1990)。さらに、リポソームは生分解性で非免疫原性であり、従来の アジュバントよりも毒性および刺激性が少なく、体液性および細胞性の免疫反応 の両方を促す(Alving、J.Immunol.Meth.140:1〜13,1991、Friesら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 89:358〜362,1992)。免疫化 C57BL/6またはBalb/cマウスなどの齧歯類は、例えばアジュバントと混合され たもの、またはモーハン(Mohan)ら(J.Exp.Med.177:1367〜1381,1993) によって開示された手順に従ってリポソーム中に封入されたものなどの、さまざ まなヌクレオソーム製剤によって免疫化することができる。マウスには、2週間 おきに3回、ヌクレオソームまたは対照としてのPBSの腹腔内注射を行う。フロイ ントアジュバントを用いる場合には、1回目の注射は、ヌクレオソーム(50μl のPBS中に10μg/匹)またはPBS(50μl/匹)を完全フロイントアジュバント (Gibco Laboratories,Gaithersburg,MD)と1:1で混合したものからなり、以 降の2回の注射では不完全フロイントアジュバント中にあるものを投与する。リ ポソーム中に封入されたヌクレオソームを投与する場合には、3回の注射すべて が同一の抗原製剤からなることが可能であり、すなわち、ヌクレオソームの量お よび注射容積はフロイントアジュバントとともに投与されるものと同一である。 リポソーム中に封入されたヌクレオソームを投与する場合には、陰性対照はヌク レオソームを含まないリポソームであってよい。体液性免疫反応の分析 免疫反応の体液性成分は、例えば1回目の免疫化から7および12日後、ならびに 2回目および3回目の免疫化から5および9日後に検討することができる。免疫化し た個々のマウスの血液サンプルにおいてIgMおよびIgGアイソタイプのヌクレオソ ーム反応性および腫瘍細胞表面反応性の抗体の産生を検討し、免疫化を受けてい ないマウス、またはアジュバントのみもしくはリポソームのみによる免疫化を受 けたマウスにおけるこれらの抗体の産生も同じように検討する。ヌクレオソーム 反応性抗体のパターンの特徴分析は、さまざまな種類のヌクレオソーム反応性抗 体、特にDNA、ヒストンおよびヌクレオソームによって拘束される特異性を有す る抗体の定量化を可能とするような異なるELISAに基づく系を用いて、それぞれ のケースで行われる。 免疫化したマウスからの血液サンプルは、以下の通りに、ANAの有無に関して スクリーニングすることができる。免疫化した個々のマウスから採取した約5μ lの血漿(例えば、上記の通り、1回目の免疫化から7および12日後、ならびに2 回目および3回目の免疫化から5および9日後に採取したもの)を、10%子ウシ血 清(PBS中)によって逐次希釈する。続いて、希釈したサンプルを、市販のHep-2 細胞(Immunoconcepts,Sacramento,CA)の蛍光免疫染色によって明らかになる ような核反応性に関して検討する。免疫化を受けていないマウスからのサンプル は陰性対照として用いることができ、2C5抗体は陽性対照として用いることがで きる。Hep-2細胞をPBSで5回洗い、種々に希釈した血漿サンプルまたはmAb 2C5の いずれかを添加した10%子ウシ血清(PBS中、HyClone、Logan、Utah)中で15分 間インキュベートする。続いて、細胞をPBSで2回洗い、作用のある希釈度(work ing dilution)のヤギ抗マウスIgGのFITC標識F(ab)2断片に1%子ウシ血清を添加 したものとともにインキュベートし、再びPBSで洗う。免疫化した動物の体液性 免疫反応は、これらの動物から得た血漿サンプルで生じたHep-2染色の強度と、2 C5によって生じた染色との比較によって評価することができる。 生細胞の染色に用いた、同じ程度に希釈した血漿サンプル(種々のヌクレオソ ーム製剤による免疫化を受けたマウス、および免疫化を受けていないマウスから 得たもの)のアリコートは、固定したHep-2細胞の染色にも用いることができる 。この分析を始める前には、例えばトリパンブルー排除試験によって、細胞の生 存度を測定し、それが少なくとも95%である必要がある。細胞をハンクス緩衝塩 類溶液(HBSS)で2回洗い、免疫化したマウスから得た血漿、免疫化していない マウスからの血漿、またはモノクローナル抗体2C5(陽性対照として、10%子ウ シ血清を含む培地中で5μg/mlで用いる)とともに30分間インキュベートし、 HBSSで2回洗う。続いて細胞を、1%子ウシ血清を含む培地中に1:100に希釈した ヤギ抗マウスIgGのFITC標識F(ab)2断片とともに30分間染色する。染色後に細胞 をHBSSで2回 洗い、PBS中で4%パラホルムアルデヒド溶液で固定する。インキュベーションは すべて20℃で行う。FACScan(Becton Dickinson、Mountain View、CA)を用い、 細胞片および死細胞を排除するために前方および90°散乱を用いて、細胞を分析 してもよい。 ヌクレオソームの注射に対する初期免疫反応を、以下の通りにELISAによって 分析した。50μg/ウェルの2本鎖DNA(図3のバーA)、10μg/ウェルの全ヒス トン(図3のバーB)または10μg/ウェルのヌクレオヒストン(図3のバーC) でELISAプレートを感作し、0.1%Tween 20を含むPBS(PBST)で洗い、非特異的 結合を防ぐために、PBSTによる熱非働化子ウシ血清の10%溶液とともに30分間イ ンキュベートした。免疫化したマウスからの血漿サンプルをPBST中に1:100に希 釈し、3つに分けて添加した。室温で60分間インキュベートした後に、ペルオキ シダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(Cappel,Durham,NC、PBST中に1:1000)を添加 して1時間おき、続いて0.05Mクエン酸緩衝液(pH4.0)に溶解した2,2'-アシノ- ビス(3-エチルベンズ-チュアゾリン-6-スルホニック)酸(2,2-asino-bis(3-ethyl benz-thuazoline-6-sulfonic)acid))を添加することによって、結合した材料を 呈示した。呈色反応を得るには、基質として過酸化水素(0.01%)を用いた。各 サンプルの光学濃度を測定した。図3に示される通り、ヌクレオヒストンが最も 効果的に免疫反応を誘発し、初回免疫化から5日以内に血液中にヌクレオソーム 反応性抗体が出現した。本明細書に記載される通り、これらの抗体は、腫瘍細胞 の表面に発現されるが、正常細胞の表面には発現されないヌクレオソームと特異 的に結合する。細胞性免疫反応の分析 細胞性免疫反応の有効性についても検討した。免疫反応の細胞性成分は、MHC に拘束されたもの、またはMHCに拘束されないもののいずれも、免疫化を受けた マウスおよび対照マウスからの脾細胞をエフェクター細胞として用い、51-Cr標 識EL4 Tリンパ腫細胞およびS49 Tリンパ腫を同種同系または同種異系の標的とし て用いるインビトロアッセイにおいて細胞傷害性を検討することによって調べる ことができる。細胞免疫反応の試験に有用な腫瘍細胞には、ジメチルベンツアン トラセンを投与したC57BL/6マウスに由来するEL4リンパ腫細胞系が含まれる。少 数のこれらの細胞を接種すると進行性の腫瘍形成が起こり、後にはすべての動物 が死亡 する。このように腫瘍原性が著しく高いため、これらの腫瘍細胞は実験モデルと して注目されている。図4に示したアッセイに用いたS49細胞は、Balb/cマウスに ファージおよび油を注射することによって誘導したリンパ腫から樹立されたマウ スリンパ腫細胞系からのものである。これらの細胞は表面に免疫グロブリンを持 たない。 EL4 Tリンパ腫およびS49細胞は両方とも、アメリカンタイプカルチャーコレク ション(American Type Culture Collection)(A.T.C.C.,Rockville,MD)か ら、それぞれ寄託番号TIB-39およびTIB-28として入手可能である。 S49 Tリンパ腫細胞に対するマウス脾細胞のMHCに拘束されない細胞傷害性が、 以下の通りに、ヌクレオソームによる免疫化の後に示された。完全フロイントア ジュバント中にヌクレオクロマチン(100μg/匹)含むものを腹腔内に投与し て、C57BL/6マウスを免疫化した。第5日に脾細胞を単離し、50μg/mlのヌクレ オクロマチンによる追加免疫処理をインビトロ(5%CO2、37℃)で24時間行い、 洗浄の後に3つに分け、51-Crで標識したS49 Tリンパ腫細胞を含む丸底96ウェル プレートのウェルに添加した(E:T=20:1)。8時間インキュベートした後に、 放出された放射能をガンマ線計数管にて定量化し、以下の式に従って、細胞傷害 性の程度を溶解率(%)として求めた。 溶解率(%)=100×(観測したcpm−バックグラウンドのcpm) /(合計cpm−バックグラウンドのcpm) 免疫化したマウス(図4のカラム3参照)からの脾細胞の細胞傷害性は、フロイン トアジュバントのみを投与されたマウス(図4のカラム1および2参照)よりも有 意に高かった。この細胞傷害作用は、インキュベーション培地中にヌクレオソー ムが存在する場合には、実験の全体を通じて部分的に阻害された(図4のカラム2 および4)。細胞傷害性の原因となる細胞サブセットの同定 細胞性免疫反応の機序および種類を明らかにするためには、脾細胞の特定の集 団を決定する必要がある。このため、免疫化したマウスからの脾細胞の細胞傷害 性を、pan-T、pan-B、抗CD4、抗CD8または抗NKモノクローナル抗体を介した補体 依存性溶解を用いて、さまざまな細胞サブセットを除去した後に検討する必要が ある(Boyleら、J.Immunol.Meth.15:135〜146、1977)。腫瘍形成からの防御に対する、ヌクレオソームに基づく免疫化の効果の分析 ヌクレオソームに基づくワクチンの癌治療法における有効性は容易に評価する ことができる。この目的のためには、ヌクレオソームで免疫化したC57BL/6マウ スに対して、標準的な技法に従って同種同系腫瘍細胞を投与する。例えば、2×1 04個のEL4リンパ腫細胞を腹腔内に注入するか、または2×106個のB16.F10悪性黒 色腫細胞を静脈内に注入する。免疫化による腫瘍予防効果は、(a)体液性IgG抗ヌ クレオソーム反応のピーク、(b)免疫化によって誘導される、腫瘍標的に対する 細胞障害性のピーク、および/または(c)体液性および細胞性の両方の成分が同 じく十分に提示される場合、として検討することができる。これらのデータは、 ヌクレオソームによる免疫化のための最適な手順を選択するために用いることが できる。 B16.F10悪性黒色腫細胞は、肺に対する高い転移能を有するB16悪性黒色腫細胞 に由来するものであり、A.T.C.C.から入手可能である(寄託番号CRL-6322)。ヒト腫瘍の発生に対する2C5投与の効果の分析 ヒト腫瘍細胞に対するANA 2C5の投与の効果を明らかにするために、ヌードマ ウスの皮下にBT20ヒト乳癌細胞を移植し、腫瘍細胞を投与した日から始めて2日 おきに4回、2C5の静脈内注射(75μg/回)による投与を動物に行った。対照マ ウス群には、アイソタイプを合致させた対照抗体UPC10を同様のスケジュールで 注射した。40日後の時点で、投与マウスの75%には腫瘍がなかったが、対照マウ スはすべて腫瘍を生じた。腫瘍が発生した2C5投与マウスの25%における腫瘍の 平均サイズは、2C5の投与を受けなかったマウスに発生した腫瘍の大きさの10〜1 5%に過ぎなかった。ヌクレオソームによるワクチン接種は腫瘍形成を防ぐ マウス(C57BL/6)に対するヌクレオソームによるワクチン接種の効果を、以 下の免疫化手順および2つの同種同系腫瘍モデル、すなわちEL4 Tリンパ腫および ルイス癌を用いて検討した。マウスに、腹腔内注射または皮下注射により、モノ ヌクレオソームおよびオリゴヌクレオソーム(Sigma Chemical Co.)を含むヌク レオヒストン製剤による免疫化を施し、続いて以下の通りに腫瘍細胞を注射した 。 免疫化には2つのアジュバント手順を用いた。第1の手順では、ヌクレオソーム を不完全フロイントアジュバントに注入した。第2の手順では、ヌクレオソーム および細菌DNA由来のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドの混合物を用 いた(5μg/匹/回)。このオリゴヌクレオチドは強いアジュバント活性を持 つ。 マウスは2群に分けた:第0日および第9日にマウスに100μgのヌクレオソーム による免疫化を行った実験群、ならびにPBSからなる偽免疫化(sham immunizati on)を行った対照群である。腫瘍細胞のマウスへの投与は、以下の通りに、ヌク レオソームによる2回目の免疫化から9日後に行った。実験マウスの1群にはEL4 T リンパ腫細胞(50,000個/匹)を注射し、実験マウスのもう1つの群にはルイス 癌細胞(250,000個/匹)を注射した。単なる局所的な効果の発生および観察を 避けるため、ヌクレオソームおよび腫瘍細胞は異なる部位に注射した。すなわち 、ヌクレオソームの腹腔内注射による免疫化を受けたマウスにはルイス癌細胞の 皮下注射を行った。同様に、ヌクレオソームの皮下注射による免疫化を受けたマ ウスには、EL4 Tリンパ腫細胞の腹腔内注射を行った。 投与の経路または部位にかかわらず、腫瘍の発生は強く阻害された。第15日の 時点で、ヌクレオソームを投与したマウスにおいてルイス癌細胞の投与後に発生 した腫瘍の平均重量は、非投与マウス(すなわち、PBSによる偽免疫化を行った マウス)における腫瘍の重量の3分の1末満であった。非投与マウスにおける腫瘍 の重量は0.34±0.49g、ヌクレオソームおよび不完全フロイントアジュバントの 投与を受けたマウスにおける腫瘍の重量は0.08±0.07gであり、ヌクレオソーム およびオリゴヌクレオチドの投与を受けたマウスにおける腫瘍の重量は0.11±0. 08gであった。免疫化されたマウスでは、EL4 Tリンパ腫の発生も強く阻害された 。この場合には、非投与マウスにおける腫瘍の重量は3.3±0.49gであったが、ヌ クレオソームおよびオリゴヌクレオチドの投与を受けたマウスにおける腫瘍の重 量は1.3±0.21gに過ぎなかった。定着腫瘍の発達に対する、ヌクレオソームに基づく免疫化の効果の分析 ヌクレオソームによる免疫化は、宿主内に腫瘍がすでに存在する場合にも有効 なはずである。本発明のこの面を分析するために、肉眼的な腫瘍病変が発生した 時点で免疫化を行った(例えば、EL4 Tリンパ腫細胞の腹腔内注射から7日後また はB16悪性黒色腫細胞の静脈内注射から20日後のマウスに対して)。免疫化剤の 種類は、体液性免疫反応、および細胞傷害性の原因となることが示された細胞の サブセットに従って選択される。用途 当業者は、ヌクレオソームを含む任意の核材料が、ヌクレオソームと特異的に 結合する抗核自己抗体の産生を誘発すると思われることを理解すると考えられる 。この核材料には、例えば、ヌクレオソーム、および転写因子として機能するDN A結合蛋白質などのほかの蛋白質性核材料を含む複合核蛋白質であるヌクレオヒ ストンが含まれる。核抽出物、ヌクレオクロマチン、または天然にみられるヌク レオソームとは異なる構造を有するヌクレオソームであるサブヌクレオソームも 、ANAの産生を誘発することができ、このため本発明の範囲に含まれると考えら れる。 上記の腹腔内の投与経路に加えて、ヌクレオソームに基づくワクチンは、静脈 内、筋肉内、経粘膜的または皮下的に投与することができる。これらの投与様式 を組み合わせることもできる。例えば、1回目の投与が経粘膜的であって、その 後の投与が腹腔内であることが可能である。 ワクチンは、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水または0.1M NaHO3などの 重炭酸塩溶液を含む、任意の薬学的に許容しうる担体または希釈液中にある形で 投与することができる。担体または希釈液は、投与の様式および経路、ならびに 標準的な薬学的実践に基づいて選択される。そのほかの適した薬学的担体および 希釈液、ならびに薬学的製剤におけるそれらの使用に関しての薬学的必要事項は 、例えば、薬理学の分野における標準的な参考書であるレミントン薬学(Remint on's Pharmaceutical Sciences)に記載されている。 投与されるワクチンの量は、特定のワクチン抗原、アジュバントが同時投与さ れるか否か、投与の様式および頻度、ならびに望ましい効果に応じて決まる。こ れらの検討事項のそれぞれは当業者に理解されている。一般に、本発明のワクチ ン抗原(ヌクレオソーム)は、例えば1μgから100mgまでの範囲の量で投与さ れる。アジュバントをワクチンとともに投与する場合には、例えば1ngから1mgま での範囲の量の抗原を用いることができる。また、用量を例えば動物試験に基づ いて 経験的に算出すること、および患者の体重に関して表現して、0.2〜200μg/kg の範囲とすることも可能である。 当業者は、本明細書に記載されるワクチンを、他の治療方法とともに投与しう ることを認識すると思われる。例えば、化学療法薬の投与、放射線療法または悪 性腫瘍もしくは細胞の良性増殖の外科的除去の前、その最中またはその後にワク チンを投与することができる。 その他の態様 当業者には、上記のものに加えて、多くのアジュバントが知られており、本明 細書に記載された免疫化を行うために用いることができる。例えば、コレラ毒素 (CT)、大腸菌の易熱性エンテロトキシン(LT)またはアジュバント活性を有す るそれらの断片もしくは誘導体を経粘膜的投与に用いることができる。または、 RIBI(ImmunoChem,Hamilton,VT)または水酸化アルミニウムなどのアジュバン トを非経口的投与に用いることもできる。 ヌクレオソームをアジュバント(例えば、CT、LTまたはアジュバント活性を有 するそれらの断片もしくは誘導体)と融合させたものを含む融合蛋白質は、本発 明の範囲に含まれるとみなされ、標準的な方法を用いて調製することができる( 例えば、Ausubelら、「分子生物学における最新プロトコール第I巻(Current Pr otocols in Molecular Biology,Vol.I)」、Green Publishing Associates Inc .およびJohn Wiley & Sons Inc.,NY,1989を参照のこと)。さらに、本発明の ワクチンを、アジュバントと共有結合または架橋させることも可能である。アジ ュバントを抗原と共有結合させる、または化学的に架橋させる方法は、例えばク リズ(Cryz)ら(Vaccine 13:67〜71、1994)、リャン(Liang)ら(J.Immuno l.141:1495〜1501、1988)、チェルキンスキー(Czerkinsky)ら(Infection and Immunity 57:1072〜1077、1989)に記載されている。 上記の通り、本ヌクレオソームは、賦形剤を含む生理的に許容しうる製剤とし て投与することができる。製剤中に含みうる賦形剤の例には、クエン酸緩衝液、 リン酸緩衝液、酢酸緩衝液および重炭酸緩衝液などの緩衝液、アミノ酸、尿素、 アルコール、アスコルビン酸、血清アルブミンおよびゼラチンなどの蛋白質、ED TA、塩化ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マンニトール、ソルビトール、グ リセリン、プロピレングリコールならびにポリエチレングリコール(例えばPEG- 4000、PEG-6000)がある。 本発明をその詳細な説明とともに説明してきたが、以上の説明は本発明を例示 するためのものであり、その範囲を制限するものではないことが理解される必要 があり、それは添付した請求の範囲によって規定される。その他の面、利点およ び変更は以下の請求の範囲に含まれる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物に存在する腫瘍性細胞増殖を治療する方法であって、腫瘍性細胞増 殖を阻害するのに十分な抗核自己抗体の産生を哺乳動物において誘発するために 有効な量のヌクレオソームを哺乳動物に投与することを含む方法。 2.ヌクレオソームが哺乳動物DNAを含む、請求項1記載の方法。 3.ヌクレオソームが細菌DNAを含む、請求項1記載の方法。 4.ヌクレオソームがリポソーム中に封入されている、請求項1記載の方法。 5.哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。 6.腫瘍性細胞増殖が悪性である、請求項1記載の方法。 7.腫瘍性細胞増殖が良性である、請求項1記載の方法。 8.腫瘍性細胞増殖に関するリスクがある哺乳動物における腫瘍性細胞増殖を阻 害する方法であって、腫瘍性細胞増殖を阻害するのに十分な抗核自己抗体の産生 を哺乳動物において誘発するために有効な量のヌクレオソームを哺乳動物に投与 することを含む方法。 9.ヌクレオソームが哺乳動物DNAを含む、請求項8記載の方法。 10.ヌクレオソームが細菌DNAを含む、請求項8記載の方法。 11.ヌクレオソームがリポソーム中に封入されている、請求項8記載の方法。 12.哺乳動物がヒトである、請求項8記載の方法。 13.ヒトに腫瘍性細胞増殖に関するリスクがある、請求項8記載の方法。 14.腫瘍性細胞増殖が悪性である、請求項8記載の方法。 15.腫瘍性細胞増殖が良性である、請求項8記載の方法。 16.哺乳動物における抗核自己抗体の産生を誘発するための組成物であって、実 質的に純粋なヌクレオソームおよび薬学的に許容される担体、希釈液、または賦 形剤を含む組成物。 17.ヌクレオソームが真核細胞から単離される、請求項16記載の組成物。 18.ヌクレオソームがDNAおよびヒストンからインビトロで再構成される、請求 項16記載の組成物。 19.DNAが真核細胞由来のものである、請求項18記載の組成物。 20.DNAが細菌細胞由来のものである、請求項18記載の組成物。 21.リポソーム中に封入されたヌクレオソームをさらに含む、請求項16記載の組 成物。 22.アジュバントをさらに含む、請求項16記載の組成物。 23.抗癌剤としての請求項16記載の組成物。 24.癌の治療のための医薬品の製造を目的とした請求項16記載の組成物の使用。
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