JP2001501465A - 先天性心臓疾患タンパク質をコードする核酸およびそれに関連する産物確認(Acknowledgment) - Google Patents

先天性心臓疾患タンパク質をコードする核酸およびそれに関連する産物確認(Acknowledgment)

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Abstract

(57)【要約】 本発明によれば、新規の先天性心臓疾患(CHD)タンパク質が提供される。かかるタンパク質をコードする核酸配列およびそれを用いるアッセイも開示される。本発明のCHDタンパク質は、種々の面で、例えば、それに対する抗CHD抗体の産生、治療用組成物、かかるタンパク質および/または抗体を用いる方法において使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 先天性心臓疾患タンパク質をコードする核酸およびそれに関連する産物 確認(Acknowledgment) 本発明は、国立衛生研究所から授与された助成金No.HL50025およびHD17449に 基づく政府の援助によってなされたものである。政府は、本発明に一定の権利を 有する。 発明の分野 本発明は、核酸および該核酸にコードされる受容体タンパク質に関する。本発 明の核酸は、新規の先天性心臓疾患関連タンパク質をコードする。さらに、本発 明はそのような核酸およびタンパク質を製造し、使用するための方法に関する。 発明の背景 通常、第21番染色体三染色体性によって引き起こされるダウン症候群(DS) は、合衆国単独で200,000人以上が罹患している精神遅滞ならびに先天性心臓疾 患(CHD)および腸疾患の主な原因である。DS−CHDに特徴的な心臓の異 常としては、房室管欠損および心室中隔欠損が挙げられる。DSのその他の特徴 としては、一連の特徴的な顔貌、胸腺異常、白血病の高い危険度およびアルツハ イマー様痴呆の早期発病が挙げられる。DSならびに部分的な第21番染色体重複 および一染色体性を有する希少患者の分子分析によって、一定の染色体領域と特 定のDS表現型が関連していることが導き出された(Korenbergら,Proc.Natl .Acad.Sci.USA M91:4997-5001(1994);Delebarら,Eur.J.Human.Genet.1: 114-124(1993);Antonarakisら,Progress in Clinical and Biological Reserch 311:29-43(1989))。したがって、第21番染色体はヒト染色体異数性の研究につ いてのモデルであり、その物理的地図の構築は特に関心の的である。 ヒト第21番染色体は、その長さの大部分に及ぶ、十分に特性付けされたオーバ ーラップYACの連続するセットを有するほぼ完全な物理的地図を有する(Chum akovら,Nature 359:380-387(1992);Shimizuら,Cytogenet.Cell Genet.70:14 7-182(1995);Korenbergら,Genome Research 5:427-443(1995))。遺伝子単離作 業のための配列準備コンティグ(sequence ready contigs)およびクローンに対す る要求によってコスミド内(Patilら,Hum.Molec.Genet.3:1811-1817(199 5))およびより最近ではPAC内(Osoegawaら,Genomics 32:375-387(1996)) において多数の高度に解明されたコンティグの構築が促された。かなりのマッピ ング作業は、CBRからD21S55までの領域に存在する。というのは、精神 遅滞などのDSのいくつかの表現型的特徴を有する部分的三染色体性個体におい てはこの領域が重複しているからである。しかしながら、速位の隣接する4−5 Mb D21S55〜MX1領域も、ダウン症候群先天性心臓疾患(DS−CH D)およびDSのその他の特徴と関連しているので関心の的である(Korenberg ら,Am.J.Hum.Genet.50:294-302(1992);Korenbergら(1994))。非キメラY ACはこの区間にまたがるが、全D21S55〜MX1領域について利用可能な より高度に解明された物理的地図は未だ存在しない。したがって、全D21S5 5〜MX1領域についてより高度に解明された物理的地図が望まれている。さら に、当技術分野では先天性心臓疾患(CHD)と関連する単離された核酸および 該核酸によってコードされる単離されたタンパク質が必要とされている。 発明の簡単な説明 本発明によれば、哺乳動物CHD(先天性心臓疾患)タンパク質をコードする 単離された核酸が提供される。さらに、本発明の核酸を含むベクター、該ベクタ ーにハイブリダイズするプローブ、該ベクターで形質転換された宿主細胞、該ベ クターに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび関連組成物が提供される 。本明細書に記載された核酸分子は、当業者に公知の種々の発現系に組み込むこ とができる。さらに、本発明の核酸分子は、所与の試料中のCHD遺伝子または mRNA転写物の存在および/または量をアッセイするためのプローブとして有 用である。また、本明細書に記載された核酸分子および該分子のオリゴヌクレオ チド断片もCHDタンパク質をコードする遺伝子を増幅するためのPCR反応に おけるプライマーおよび/または鋳型として有用である。 また、本発明によれば、単離された哺乳動物CHDタンパク質も提供される。 さらに、これらのタンパク質またはその断片は、抗CHD抗体を産生させるため の免疫原としてバイオアッセイにおいて、またはそのようなタンパク質および/ または抗体を含む治療用組成物において有用である。さらに、本発明のタンパク 質を発現するトランスジェニック非ヒト哺乳動物も提供される。 本発明のCHDタンパク質と免疫反応性のある抗体も提供される。これらの抗 体は、所与の試料、例えば組織試料に存在するCHDタンパク質のレベルを決定 するための診断アッセイ、ウェスタンブロットなどにおいて有用である。また、 抗体を用いることによって粗細胞抽出物などからCHDタンパク質を精製するこ ともできる。さらに、これらの抗体は、in vivoでのCHDの生物学的作用の抑 制または補助に対して治療上有用であると考えられる。 種々の組織試料中のCHDタンパク質のレベルを測定するための方法および診 断システムも提供される。これらの診断方法を治療上投与されたCHDタンパク 質またはその断片のレベルの監視に使用することによって、その治療上有効な量 の維持を容易にすることができる。また、これらの診断方法を使用することによ って、異常レベルのCHDタンパク質から生じる生理学的障害を診断することも できる。 図面の簡単な説明 図1は、第21番染色体上のD21S3とD21S220との間の190kbの領域に対応するC HD遺伝子の位置決定(localization)について物理的地図を示すものである。Y AC 767B3および14A12を参考のために示す。 発明の詳細な説明 本発明によれば、新規の哺乳動物CHD(先天性心臓疾患)タンパク質をコー ドする単離された核酸、およびその断片が提供される。かかる核酸は、ヒト第21 番染色体、特にq22.2〜22.3遺伝子座(これはダウン症候群先天性心臓疾患(D S−CHD)を引き起こす染色体重複部位である)から取得することができる。 本明細書で用いられる場合、CHDタンパク質は、配列番号2に示した配列を含 む哺乳動物CHDタンパク質(好ましくはヒト)も特異的に認識する抗体によっ て特異的に認識されるポリペプチドをコードするものである。 本明細書に記載された核酸分子は、かかる核酸が当業者に公知の種々のタンパ ク質発現系に組み込まれた場合、本発明のタンパク質を産生するのに有用である 。さらに、かかる核酸分子またはその断片は、容易に検出できる置換基で標識す ることができ、所与の試料中のCHD遺伝子またはmRNA転写物の存在および /または量をアッセイするためのハイブリダイゼーションプローブとして使用す る ことができる。また、本明細書に記載された核酸分子およびその断片は、本明細 書に記載された本発明のタンパク質をコードする遺伝子を増幅するためのPCR 反応におけるプライマーおよび/または鋳型としても有用である。 「核酸」(ポリヌクレオチドともいう)という用語は、リボ核酸(RNA)ま たはデオキシリボ核酸(DNA)、プローブ、オリゴヌクレオチド、およびプラ イマーを包含するものである。DNAは、相補的DNA(cDNA)またはゲノ ムDNA、例えばCHDタンパク質をコードする遺伝子、のいずれかであり得る 。CHDポリペプチドをコードする核酸を単離する一つの手段は、当技術分野で 周知の方法を用いて、天然または人為的に設計したDNAプローブにより哺乳動 物ゲノムライブラリーを調べることである。CHD遺伝子から誘導されたDNA プローブはこの目的に特に有用である。CHDポリペプチドをコードするDNA およびcDNA分子を用いることによって哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラ ット、ウサギ、ブタなど)またはその他の動物起源から相補的ゲノムDNA、c DNAまたはRNAを取得することができ、あるいは以下により詳細に記載した 方法によってcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることによ って関連cDNAまたはゲノムクローンを単離することができる。核酸としては 、例えば、CHDポリペプチドをコードするRNA、cDNA、または単離され たゲノムDNAが挙げられる。かかる核酸としては、限定するものではないが、 配列番号1、配列番号7、配列番号8、または配列番号1の少なくともヌクレオ チド39〜902に示したものと実質的に同一のヌクレオチド配列を有する核酸が挙 げられ得る。 本明細書および請求の範囲における、DNA、RNA、ポリペプチドまたはタ ンパク質の修飾語としての「単離された」および/または「精製された」という 用語の使用は、そのように指定されたDNA、RNA、ポリペプチドまたはタン パク質が人間の手によってそのような状態で産生されており、したがって、それ らの天然のin vivo細胞環境から分離されているということを意味するものであ る。この人間の介入の結果、本明細書に記載された点で、天然に産生されるよう なDNA、RNA、ポリペプチド、またはタンパク質ではない本発明の組換えD NA、RNA、ポリペプチドおよびタンパク質は有用である。 本明細書で用いられる場合、「哺乳動物」は、本発明のCHDタンパク質が誘 導される様々な種、例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサギ、サル、ヒヒ、ニワ トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコなどを意味するものである。本発明にお いて好ましいCHDタンパク質は、ヒトCHDである。 本発明の一つの実施態様においては、本明細書に開示された本発明のCHDタ ンパク質をコードするcDNAは、配列番号1、配列番号7または配列番号8に 示したものと実質的に同一のヌクレオチド配列を含む。本発明のタンパク質をコ ードする好ましいcDNA分子は、配列番号1のヌクレオチド39〜902と同一の ヌクレオチド配列を含む。 本明細書で用いられる場合、「実質的に同一のヌクレオチド配列」という用語 は、中度にストリンジェントな(moderately stringent)ハイブリダイゼーション 条件下で参照ヌクレオチドとハイブリダイズするような参照ポリヌクレオチドに 対して十分な同一性を有するDNAを意味するものである。一つの実施態様にお いては、参照ヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するDN Aは、配列番号2に示したアミノ酸配列、もしくは配列番号2を含むより大きな アミノ酸配列、または配列番号7もしくは配列番号8のCHDコード部分と実質 的に同一のアミノ酸配列をコードする。別の実施態様においては、参照ヌクレオ チド配列と「実質的に同一のヌクレオチド配列」を有するDNAは、その参照ヌ クレオチド配列と少なくとも60%の同一性を有する。参照ヌクレオチド配列と少 なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくと も95%の同一性を有するDNAが好ましい。 また、本発明は、配列番号1、配列番号7および配列番号8に示された核酸と は異なるが、同一の表現型を有する核酸も包含する。また、表現型が類似した核 酸は、「機能的に等価な核酸」ともいう。本明細書で用いられる場合、「機能的 に等価な核酸」という語句は、実質的に同一の様式で機能することによって本明 細書に開示された核酸と同一のタンパク質産物を産生するであろう、軽微な、重 要でない配列変化によって特徴付けられる核酸を包含する。特に、機能的に等価 な核酸は、本明細書で開示されたものと同一であるか、または保存的アミノ酸変 化を有するポリペプチドをコードし、または配列番号2、または配列番号7もし くは配列番号8のCHDコード部分を含むより大きなポリペプチドをコードする 。例えば、保存的変化としては、非極性残基の別の非極性残基による置換、また は荷電した残基の同様に荷電した残基による置換が挙げられる。これらの変化は 、タンパク質の三次構造を実質的に変更しないものと当業者が認識するものを含 む。 さらに、遺伝コードの縮重のために特定のハイブリダイゼーション条件下で本 発明の核酸と必ずしもハイブリダイズしないCHDポリペプチドをコードする核 酸が提供される。本発明のポリペプチドをコードする好ましい核酸は、配列番号 2に示されたアミノ酸配列、または配列番号7もしくは配列番号8のCHDコー ド部分と実質的に同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドから構成される 。 したがって、本発明のCHDタンパク質をコードする具体的な核酸は: (a)配列番号2に示されたアミノ酸配列、または配列番号7もしくは配列 番号8のCHDコード部分をコードするDNA、 (b)中度にストリンジェントな条件下で(a)のDNAとハイブリダイズ するDNAであって、生物学的に活性なCHDをコードするもの、または (c)上記の(a)または(b)のいずれかについて縮重したDNAであっ て、生物学的に活性なCHDをコードするもの から選択され得る。 ハイブリダイゼーションは、染色体DNA中に天然に生ずる結合と同様の、水 素結合による核酸の相補鎖同士の結合(すなわち、センス:アンチセンス鎖また はプローブ:標的DNA)を意味するものである。当業者は、所与のプローブを 標的DNAとハイブリダイズさせるのに用いられるストリンジェントレベルを容 易に変更することができる。 「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」という語句は、本明細書で用 いられる場合、ポリ核酸ハイブリッドが安定である条件を意味するものである。 当業者には公知のように、ハイブリッドの安定性は該ハイブリッドの融点(Tm )に反映される。一般的に、ハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃度と温 度との関数である。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、低度にストリ ンジェントな条件下で行われ、次いで様々な、より高度にストリンジェントな条 件下で洗浄する。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーとの関係はその ような洗浄条件に関係する。 本明細書で用いられる場合、「中度にストリンジェントなハイブリダイゼーシ ョン」という語句は、標的DNAに、その標的DNAに対して約60%の同一性、 好ましくは約75%の同一性、より好ましくは約85%の同一性を有する相補的核酸 を結合させる条件を意味するものであり、標的DNAに対して約90%以上の同一 性を有するものが特に好ましい。好ましくは、中度にストリンジェントな条件は 、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中、42 ℃でのハイブリダイゼーション、その後の0.2×SSPE、0.2%SDS中、65℃ での洗浄と等価な条件である。 「高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」という語句は、0.018 M NaCl中、65℃で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみをハイブリダイ ズさせる条件を意味するものである(すなわち、本明細書では、ハイブリッドが 0.018M NaCl中、65℃で安定でない場合、ハイブリッドは高度にストリンジェン トな条件下で安定ではない)。高度にストリンジェントな条件は、例えば、50% ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中、42℃での ハイブリダイゼーション、その後の0.1×SSPE、および0.1%SDS中、65℃ での洗浄によって得られ得る。 「低度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」という語句は、10%ホ ルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2%SDS中、42℃でのハ イブリダイゼーション、その後の1×SSPE、0.2%SDS中、50℃での洗浄 と等価な条件を意味するものである。デンハルト溶液およびSSPE(例えば、 Sambrookら,Molecular Cloning ,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor L aboratory Press,1989を参照されたい)は、その他の適当なハイブリダイゼー ションの緩衝液であるので、当業者には周知である。 本明細書で用いられる場合、「縮重」という用語は、参照核酸、例えば、配列 番号1、配列番号7または配列番号8と少なくとも1つのヌクレオチドが異なる が、該参照核酸と同じアミノ酸をコードするコドンを意味するものである。例え ば、トリプレット「UCU」、「UCC」、「UCA」および「UCG」で示さ れるコドンは、これらの4つのコドンはすべてアミノ酸のセリンをコードするの で、互いに縮重である。 本発明のポリペプチドをコードする好ましい核酸は、中度にストリンジェント な条件、好ましくは高度にストリンジェントな条件下で、配列番号1、配列番号 7または配列番号8に示された核酸配列の実質的に全ての配列または実質的な部 分(すなわち、典型的には少なくとも15〜30ヌクレオチド)にハイブリダイズす る。 本発明の核酸は、当技術分野で周知の種々の方法、例えば、本明細書に記載さ れた方法によって、配列番号1、配列番号7または配列番号8の種々の領域由来 のオリゴヌクレオチドプライマーなどを用いるPCR増幅を使用する等して、産 生することができる。 本発明のさらなる実施態様によれば、任意に標識したCHD−コードcDNA またはその断片を用いることによって、新規哺乳動物CHDタンパク質をコード するさらなる核酸についてライブラリー(例えば、cDNA、ゲノムなど)を調 査することができる。実施例3に記載したように、哺乳動物cDNAライブラリ ー、好ましくはヒト第21番三染色体性胎児脳cDNAライブラリーの構築は当技 術分野においては周知である。そのようなcDNAライブラリーのスクリーニン グは、最初、低度にストリンジェントな条件下(約42℃未満の温度、約50%未満 のホルムアミド濃度、および中〜低塩濃度からなる)で行われる。 現在のところ、好ましいプローブに基づくスクリーニング条件は、約37℃の温 度、約20%のホルムアミド濃度、および約5×標準生理的食塩水クエン酸塩(st andard saline citrate、SSC;3Mの塩化ナトリウム、0.3Mのクエン酸ナト リウムを含む20×SSC、pH7.0)の塩濃度からなる。このような条件によって 、完全な相同性を要求することなくプローブ配列と実質的な程度の類似性を有す る配列の同定が可能になるであろう。「実質的類似性」という語句は、少なくと も50%相同性を共有する配列を意味するものである。好ましくは、プローブと少 なくとも70%相同性を有する配列を同定することが可能である一方、該プローブ との相同性の程度がより低い配列と区別して扱うことが可能なハイブリダイゼー ション条件が選択される。その結果、配列番号1のヌクレオチド39〜902と実質 的に同一のヌクレオチド配列を有する核酸が得られる。 本明細書で用いられる場合、核酸「プローブ」は、配列番号1、配列番号7ま たは配列番号8のいずれかに示した14個以上の連続塩基と同一である(あるいは 相補的である)少なくとも14、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なく とも50個の連続塩基を含むヌクレオチドの配列を有する1本鎖DNAもしくはR NA、またはその類似体である。プローブを構築するのに好ましい領域は、配列 番号1、配列番号7または配列番号8の5'および/または3'コード領域を含む。 さらに、本発明のCHDタンパク質の全cDNAコード領域、または配列番号1 、配列番号7または配列番号8に対応する全配列をプローブとして使用し得る。 プローブは、以下に記載されていうように、当技術分野で公知の方法によって標 識され得るものであり、種々の診断キットにおいて用いられ得る。 本明細書で用いられる場合、その種々の文法的語形における「標識」および「 表示手段」という用語は、検出可能なシグナルの産生に直接的または間接的に関 与する単独の原子および分子を意味するものである。標識または表示手段は、本 発明の核酸プローブ、発現されたタンパク質、ポリペプチド断片、または抗体分 子に連結することができる。これらの原子または分子は、単独で、またはさらな る試薬と組み合わせて用いることができる。そのような標識は、それ自体、臨床 診断化学において周知である。 標識手段は、変性することなく抗体または抗原に化学的に結合して有用な免疫 蛍光トレーサーである蛍光色素(染料)を形成する蛍光標識剤であり得る。免疫 蛍光分析法の説明は、DeLuca,"Immunofluoresce nceAnalysis",in Antibody A s a Tool,編集Marchalonisら,John Wiley & Sons,Ltd.,pp.189-231(1982)に 記載されており、これは参照により本明細書に含まれるものである。 一つの実施態様においては、表示基は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP )、グルコースオキシダーゼなどの酵素である。別の実施態様においては、放射 性エレメントが標識剤に用いられる。基質への標識の連結、すなわち核酸、プロ ーブ、抗体、ポリペプチド、およびタンパク質の標識法は、当技術分野において 周知である。例えば、本発明の抗体は、培養培地中で得られる放射性標識アミノ 酸の代謝組込みによって標識することができる。例えば、Galfreら,Meth.Enzy mol.,73:3-46(1981)を参照されたい。活性化官能基によるタンパク質結合ま たはカップリングの通常の方法が特に適用可能である。例えば、Aurameasら,Sc and.J.Immunol.,Vol.8,Suppl.7:7-23(1978),Rodwellら,Biotech.,3:88 9-894(1984)および米国特許第4,493,795号を参照されたい。 本発明の別の実施態様によれば、本発明の核酸によってコードされる単離され た哺乳動物CHDタンパク質(好ましくはヒト)、ポリペプチドおよびその断片 が提供される。「CHD」という用語は、実質的に純粋な天然CHDタンパク質 、または一次転写物の選択的スプライシングによって生じたmRNAによってコ ードされるそれらの天然の対立遺伝子変異体など、さらに免疫原生のような少な くとも1種の固有の生物学的活性を維持するそれらの断片などの組換え的に産生 されたタンパク質を意味するものである。好ましくは、本明細書において、CH Dタンパク質は、配列番号2に示された配列、または配列番号7もしくは配列番 号8のCHDコード部分を含むCHDタンパク質(好ましくはヒト)も特異的に 認識する抗体によって特異的に認識されるそれらのポリペプチドである。本発明 の単離されたCHDタンパク質は、通常、天然のin vivo環境に伴う細胞成分お よび/または汚染物質を含まない。 本発明のタンパク質は、さらに、主として成人心臓において発現し、骨格筋に おいて低レベルの偏在発現(ubiquitous expression)であることによって特徴付 けられる(実施例4に記載)。骨格筋細胞と比べて示差的に高レベルのCHD発 現が成人心臓細胞において観察される。心臓組織における主な転写物は2.4kbの 大きさであり、一方、筋肉における主な転写物は1.2kbである(ノーザンブロッ トアッセイにより観察した)。また、心臓組織は約1.2kbのマイナー転写物も有 しており、骨格筋は2.6kbのマイナー転写物を有している。したがって、CHD ファミリーのタンパク質をコードするスプライス変異体cDNA転写物は、明ら かに本発明により予想されるものである。本明細書で用いられる場合、「示差的 に発現した」という語句は、本発明のタンパク質をコードする天然RNAが骨格 筋組織に比べて成人心臓において実質的に高レベルで検出され得ることを意味す るものである。 CHDは、欠損しているかまたは重複として存在する場合、ダウン症候群先天 性心臓疾患の原因となる遺伝子と予想される。CHDの追加的な役割を、さらに 、 BLAST X/NおよびTIGRデータベース分析を用いてデータベース相同性検索によっ て評価した。これらの検索の結果から、CHDは、骨髄分化一次応答遺伝子に対 して中度の相同性を示し、胚分化における役割の可能性を示唆する転写因子に対 する低レベルの相同性を示すということがわかる。さらに、CHDはラットポリ マー免疫グロブリン受容体、ミオシンH鎖平滑筋イソ型、およびアミノレブリン 酸シンターゼといくらかの相同性を共有する。 本明細書に記載されているように、第21番染色体上の公知のDS−CHD領域 に対するCHDの位置、心臓および骨格筋における発現パターン、発達の53日目 および55日目における転写物の存在、および配列相同性は、心臓の発達において 先天性心臓疾患の原因としてCHDタンパク質に影響を与えるものである。 現在のところ本発明の好ましいCHDタンパク質は、配列番号2に示されたタ ンパク質配列、または配列番号7もしくは配列番号8のCHDコード部分と実質 的に同一であるアミノ酸配列ならびにそれらの生物学的に活性な修飾体を含む。 当業者は、上記の配列の多数の残基をその他の化学的、立体的および/または電 子的に類似した残基で得られる受容体種の生物学的活性を実質的に変更すること なく置換することができるということを認識するであろう。さらに、配列番号2 、または配列番号7もしくは配列番号8のCHDコード部分と実質的に同一の配 列を含むより大きなポリペプチド配列(例えば、スプライス変異体および融合タ ンパク質)もそれに含まれる。 本明細書で用いられる場合、「実質的に同一のアミノ酸配列」という用語は、 参照アミノ酸配列に対して少なくとも約70%の同一性を有し、参照アミノ酸配列 によって定義されるタンパク質に特徴的な同等の機能および生物学的活性を維持 するアミノ酸配列を意味するものである。好ましくは、「実質的に同一のアミノ 酸配列」を有するタンパク質は、参照アミノ酸配列に対して少なくとも約80%、 より好ましくは90%のアミノ酸同一性を有し、約95%以上のアミノ酸配列同一性 を有することが特に好ましい。しかしながら、スプライス変異体として生じる記 載されたレベルよりも低い配列同一性を含むか、保存的アミノ酸置換もしくは縮 重コドンの置換によって修飾されたポリペプチド(または上記では核酸)も本発 明の範囲に含まれるものである。 「生物学的に活性な」または「機能的な」という用語が、本明細書で本発明の CHDタンパク質またはそのポリペプチド断片の修飾語として用いられる場合、 CHDと同様の機能的特性を示すポリペプチドを意味するものである。例えば、 CHDの一つの生物学的活性は、CHDに特異的に結合するポリクローナルおよ びモノクローナル抗体の産生のための免疫原として作用する能力である。したが って、本発明のCHDをコードする核酸は、配列番号2に示された配列、または 配列番号7もしくは配列番号8のCHDコード部分を含むCHDタンパク質(好 ましくはヒト)も特異的に認識する抗体によって特異的に認識されるポリペプチ ドをコードする。そのような活性は、当業者に公知のあらゆる方法によってアッ セイされ得る。例えば、CHD cDNAによってコードされる試験ポリペプチ ドを用いることによって、抗体を産生させることができ、次いで、それらの抗体 が、配列番号2に示された配列、または配列番号7もしくは配列番号8のCHD コード部分を含むタンパク質と結合する能力についてアッセイする。抗体が、試 験ポリペプチドおよび配列番号2に示された配列、または配列番号7もしくは配 列番号8のCHDコード部分を含むタンパク質と実質的に同一の親和性で結合す る場合、そのポリペプチドは必須の生物学的活性を保有するものである。 本発明のCHDタンパク質は、当技術分野で周知の種々の方法、例えば、実施 例3に記載された方法、本明細書に記載された組換え発現系、沈降、ゲル濾過、 イオン交換、逆相およびアフィニティクロマトグラフィーなどによって単離する ことができる。その他の周知の方法は、Deutscherら,Guide to Protein Purifi cation:Methods in Enzymology Vol.182,(Academic Press,(1990))に記載さ れており、これは参照により本明細書に含まれるものである。また、本発明の単 離されたポリペプチドは、例えば、Sambrookら(上記のとおり、1989)に記載さ れたような周知の組換え法を用いることにより取得することができる。 本発明のポリペプチドを調製するための手段としては、例えば、当技術分野で 周知の方法を用いて細菌細胞、酵母細胞、両生類細胞(すなわち、卵母細胞)、 または哺乳動物細胞のような適当な宿主細胞中でCHDをコードする核酸を発現 させて、再度周知の方法を用いて発現されたポリペプチドを回収することが挙げ られる。本発明のポリペプチドは、下記のような発現ベクターで形質転換された 細胞から直接単離することができる。本発明のポリペプチド、生物学的に活性な 断片、およびその機能的等価物も化学合成によって製造することができる。例え ば、合成ポリペプチドは、Applied Biosystems社のモデル430Aまたは431A自動ペ プチド合成装置(Foster City、カリフォルニア州)を用いて、製造業者から提 供された化学現象を使用することにより製造することができる。 本発明はまた、許容しうる担体と、単離精製CHDポリペプチド、その活性断片 、または精製成熟タンパク質およびその活性断片のいずれかを単独で、あるいは 互いに組み合わせて含有する組成物を提供する。これらのポリペプチドまたはタ ンパク質は、組換えによっても誘導可能であるし、化学的に合成することも可能 であるし、あるいは天然の供給源から精製することもできる。本明細書で用いら れる場合、「許容しうる担体」とは、リン酸緩衝食塩水、水および油/水、また は水/油エマルジョンなどのエマルジョン、ならびに種々のタイプの湿潤剤など の標準的な医薬担体のいずれをも包含する。 また、CHDポリペプチドをコードするmRNAのいずれかの部分と特異的に結 合して、mRNAの翻訳を妨げることができる配列を有するアンチセンスオリゴ ヌクレオチドも提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CHDポリペプ チドをコードするcDNAの配列のいずれかの部分と特異的に結合できる配列を 有していてもよい。本明細書で用いる場合、「特異的に結合する」とは、核酸配 列が相補的核酸配列を認識して、その相補的塩基対間の水素結合の形成を介して 、それとともに二重らせんセグメントを形成する能力を包含する。アンチセンス オリゴヌクレオチドの例としては、ヌクレオチドの化学的類似体を含んでなるア ンチセンスオリゴヌクレオチドがある。 本明細書ではまた、細胞膜を通過し、次いで、CHDポリペプチドをコードする mRNAと特異的に結合して、翻訳を妨げることにより、CHDポリペプチドの発 現を低下させるのに有効な量の前記アンチセンスオリゴヌクレオチドと、細胞膜 を通過することができる、許容しうる疎水性担体とを含んでなる組成物も提供さ れる。適切な疎水性担体は、例えば、米国特許第5,334,761号;第4,889,953号; 第4,897,355号などに記載されている。細胞膜を通過できる許容しうる疎水性担 体は、また、選択された細胞種に特異的な受容体と結合し、それにより選択され た細胞種の細胞により取り込まれる構造を含んでいてもよい。この構造は、細胞 種特異的受容体に結合することが知られているタンパク質の一部であってもよい 。 アンチセンスオリゴヌクレオチド組成物は、本発明のポリペプチドをコードす るmRNAの翻訳を阻害するのに有用である。合成オリゴヌクレオチド、または 他のアンチセンス化学構造は、CHDポリペプチドをコードするmRNAに結合し て、mRNAの翻訳を阻害するように設計され、組織サンプルにおいて、または 患者においてCHDに関与する遺伝子の発現を阻害する組成物として有用である。 本発明のもう1つの具体例によれば、第21染色体の遺伝子座q22.2-22.3におけ る突然変異、重複、欠失、再配列および異数性を検出するキットは、本発明のプ ローブまたはアンチセンスヌクレオチドの少なくとも1つを含んでなる。 本発明は、これらのポリペプチドをコードするmRNAの翻訳を阻害する合成 アンチセンスオリゴヌクレオチド組成物(以下、SAOC)を使用することにより、 CHDポリペプチドの発現レベルを調節する手段を提供する。mRNAを認識して 選択的に結合するよう設計された合成オリゴヌクレオチドまたは他のアンチセン ス化学構造は、配列番号1、配列番号7または配列番号8で示されているCHDコーデ ィング鎖またはヌクレオチド配列の一部に相補するように構築される。SAOCは、 注射による患者への投与のために血流中で安定なように、あるいは実験室での細 胞培養条件下で安定なように設計される。SAOCは、例えば小さな疎水性SAOC化学 構造を設計することによって、細胞膜を通過できるようにするSAOCの物理的、化 学的特性に基づき、あるいはSAOCを認識して細胞内に輸送する細胞の特異的輸送 系に基づき、細胞の原形質に入るために、細胞膜を通過できるように設計される 。さらに、SAOCは、選択細胞集団内だけにSAOCを結合させ、取り込ませる特異的 な細胞取り込みのメカニズムによって認識されるようにSAOCを標的化することに より、特定の選択細胞集団のみに投与するように設計することも可能である。 例えば、前記のように、特定の細胞種にのみ見られる受容体と結合するよう、 SAOCを設計してもよい。また、SAOCは、配列番号1、配列番号7または配列番号8 に示されている配列内に含まれる配列に相当し得る、標的mRNA配列を認識し て選択的に結合するよう設計される。SAOCは、標的mRNA配列と結合して、例 えば、リボヌクレアーゼI分解によるmRNAの分解を誘導するか、あるいは、 翻訳調節因子、またはリボソームの結合を妨げたり、リボザイム配列、あるいは 標的mRNAを分解するか、または化学的に修飾する反応性化学基などの他の化 学構造を包含させたりすることによって標的mRNA配列の翻訳を阻害するかの いずれかの方法により、標的mRNA配列を不活性化するよう設計される。SAOC は、mRNA標的に向けられる場合、かかる特性を持ち得ることが示されている (Cohenら、TIPS,10:435(1989)およびWeintraub,Sci.American,January(199 0),40頁を参照;双方とも出典明示して本明細書の一部とみなす)。 本発明のさらにもう1つの具体例によれば、適切な宿主細胞中で前記核酸配列 を発現させることによる、本発明のCHDタンパク質の組換え体の生産方法が提供 される。本明細書に記載のCHDタンパク質を生産するのに適した組換えDNA発 現系は、当該技術分野で十分に公知である。例えば、前記ヌクレオチド配列を、 さらなる操作のためにベクターに組み込むことができる。本明細書で用いる場合 、ベクター(またはプラスミド)とは、それらの発現または複製のいずれかのた め、異種DNAを細胞に導入するために用いる別個のエレメントをいう。 適切な発現ベクターは当該技術分野で十分に公知であり、DNAの発現を調節 することができるプロモーター領域などの調節配列に作動可能なように連結され たかかるDNAを発現できるベクターを含む。このように、発現ベクターとは、 適当な宿主細胞に導入した際に挿入したDNAが発現するようになる、プラスミ ド、ァアージ、組換えウイルスまたは他のベクターなどの組換えDNAまたはR NA構築体をいう。適当な発現ベクターは当業者には十分に公知であり、真核細 胞および/または原核細胞内で複製可能なもの、およびエピソームであるもの、 または宿主細胞ゲノムに組み込まれるものを含む。 本明細書で用いる場合、プロモーター領域とは、それが作動可能なように連結 されているDNAの転写を制御するDNAセグメントをいう。このプロモーター 領域には、RNAポリメラーゼの認識、結合、および転写の開始に十分な特異的 配列が含まれる。さらに、プロモーター領域には、RNAポリメラーゼのこの認 識、結合および転写開始活性を調節する配列が含まれる。これらの配列はシス作 用性であってもよいし、またトランス作用性因子に応答するものであってもよい 。プロモーターは調節の性質により、構成的であっても調節的であってもい。本 発 明の実施で使用されるプロモーターの例としては、SV40初期プロモーター、サイ トメガロウイルス(CMV)プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)ステロイド誘 導性プロモーター、モロニーネズミ白血病ウイルス(MMLV)プロモーターなどが挙 げられる。 本発明で用いる場合、「作動可能なように連結される」とは、プロモーター、 エンハンサー、転写および翻訳停止部位、および他のシグナル配列など、調節お よびエフェクターヌクレオチド配列とDNAとの機能的な関係をいう。例えば、 プロモーターへのDNAの作動的連結とは、DNAとプロモーターの間の物理的 かつ機能的関係であって、かかるDNAの転写が、そのDNAを特異的に認識し 、結合し、転写するRNAポリメラーゼにより、プロモーターから開始されるも のをいう。 本明細書で用いる場合、発現とは、ポリ核酸がmRNAへと転写され、次いで ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質へと翻訳されるプロセスをいう。ポリ 核酸ゲノムがDNAに由来する場合、適当な真核宿主細胞または生物を選択すれ ば、発現はmRNAのスプライシングを含む。 原核細胞形質転換ベクターは当該技術分野で十分に公知であり、pBlueskript およびファージλZAPベクター(Stratagene,La Jolla,CA)などを含む。他の適 切なベクターおよびプロモーターは、1989年1月17日公表の米国特許第4,798,885 号に詳細に記載され、この開示は出典明示してそのまま本発明の一部とみなす。 大腸菌細胞の形質転換のための他の適切なベクターとしては、pET発現ベクタ ー(Novagen、米国特許第4,952,496号参照のこと)、例えば、T7プロモーター、 T7ターミネーター、誘導性大腸菌lacオペレーターおよびlacレプレッサー遺伝子 を含むpET11a;およびT7プロモーター、T7ターミネーターおよび大腸菌ompT分泌 シグナルを含むpET12a-cが挙げられる。もう1つの適切なベクターとしては、lp pプロモーター、lacUV5プロモーターオペレーター、ompA分泌シグナルおよびlac レプレッサー遺伝子を含むpIN-IIIompA2(Duffaudら,Meth .In Enzymology,153 :492-507,1987を参照のこと)がある。 典型的な真核細胞形質転換ベクターには、クローン化ウシパピローマウイルス ゲノム、マウスレトロウイルスのクローン化ゲノム、pSV-2 gpt系[Mulliganおよ びBerg,Nature第277巻:108-114(1979)に記載]およびOkayama-Bergクローニング 系[Mol.Cell Biol.第2巻:161−170(1982)]などの真核細胞カセット、ならび にGenetics Instituteにより記載された発現クローニングベクター[Science第22 8 巻:810-815(1985)]が含まれ、形質転換された真核細胞系において目的のタンパ ク質が少なくともある程度発現するという実質的な保証のあるものが入手可能で ある。 本発明のCHDをコードする、哺乳類細胞のトランスフェクションのためのDN Aと連結できる調節要素を含む特に好ましい基本ベクターは、、pcDNAl(Invi trogen,San Diego,CA)のようなサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを基 本とするベクター、pMAMNeo(Clontech,Palo Alto,CA)およびpMSG(Pharmacia, Piscataway,NJ)のようなMMTVプロモーターを基本とするベクター、ならびにpSV β(Clontech,Palo Alto,CA)のようなSV40プロモーターを基本とするベクター である。 本発明のもう1つの具体例によれば、本発明の核酸分子(すなわち、DNAま たはmRNA)を含む「組換え細胞」が提供される。適切な宿主細胞、好ましく は細菌細胞、さらに好ましくは大腸菌細胞の形質転換法、ならびに異種タンパク 質をコードする遺伝子を含む当該細胞の培養に適切な方法は、当該技術分野にお いて一般に知られている。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laborat ory Manual(第2版),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Har bor,New York,USA(1989)を参照のこと。 典型的な形質転換法には、例えば、プラスミド、ウイルスまたはバクテリオフ ァージベクターを使用する形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレー ション、リポフェクションなどが含まれる。異種DNAは場合により、その染色 体外での維持を可能とした配列を含んでもよいし、または(宿主中での安定な維 持を確実にするための別の手段として)当該異種DNAを宿主のゲノム中に組み 込ませるようにすることもできる。 本発明の実施での使用を意図した宿主生物には、異種タンパク質の組換え生産 を行ってきた生物が含まれる。かかる宿主生物の例としては、細菌(例えば大腸 菌)、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)) 、 カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Han senula Polymorpha)およびP.パストリス(P.pastoris):例えば、米国特許第4,8 82,279号、同第4,837,148号、同第4,929,555号および同第4,855,231号参照)、 哺乳類細胞(例えば、HEK293、CHOおよびLtk-細胞)、昆虫細胞などが含まれる 。現在のところ、好ましい宿主生物は細菌である。最も好ましい細菌は大腸菌で ある。 1つの具体例では、当該技術分野で十分に公知の適切なウイルスベクターを用 いてin vivoまたはin vitroのいずれかで、本発明のCHDタンパク質をコードする 核酸を哺乳類細胞中に入れることができる。特にin vivo「遺伝子治療」法のた めに設計された適切なレトロウイルスベクターは、例えば国際公開WO 9205266号 およびWO 9214829号に記載されており、それらはin vivoにおいて核酸をヒト細 胞中に効率よく導入する方法を記載している。さらに、本発明CHDのin vivoでの 発現を制限または減じることを望む場合、本発明の核酸のアンチセンス鎖の導入 が考えられる。 本発明のさらなるもう1つの具体例によれば、本発明のCHDポリペプチドと特 異的な反応性を有する抗CHD抗体が提供される。抗体の活性断片は、「抗体」の 定義の範囲内に含められる。抗原として本発明ポリペプチド、タンパク質または それらの一部を用い、当該技術分野で公知の方法によって、本発明抗体を製造す ることができる。例えば、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、例えば 、出典明示して本明細書の一部とみなすHarlowおよびLane,Antibodies:A Labor atory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory(1988))に記載されているような 、当該技術分野で十分公知の方法によって製造することができる。本発明のポリ ペプチドは、かかる抗体を生成させる際の免疫原として用いることができる。別 法として、合成ペプチドを(市販の合成装置を用いて)製造し、免疫原として用 いることができる。当該技術分野で十分公知の方法によってアミノ酸配列を解析 して、それらが、対応するポリペプチドの疎水性または親水性ドメインをコード するかどうかを決定することができる。キメラ抗体、ヒト化抗体、CDRグラフト 化抗体、または二機能性抗体などの改変抗体もまた、当該技術分野で十分公知の 方法によって製造できる。かかる抗体はまた、例えばSambrookら,上記、 ならびにHarlowおよびLane,上記に記載されたハイブリドーマ、化学合成または 組換え方法によっても製造できる。抗ペプチドおよび抗融合タンパク質抗体の双 方を用いることができる。(例えば、Bahouthら,Trends Pharmacol.Sci.12:33 8(1991);Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley an d Sons,NY(1989))を参照のこと。これらは出典明示して本明細書の一部とみな す)。 このように製造した抗体は、とりわけ、哺乳類、好ましくはヒトの、組織また は血管内流体などの身体サンプル中に存在するCHDタンパク質のレベルを検出す る診断方法および系に用いることができる。かかる抗体はまた、本発明CHDタン パク質のイムノアフィニティーまたはアフィニティークロマトグラフィー精製に 用いることができる。さらに、本明細書では、細胞の表面上のCHDポリペプチド の存在を検出するための方法であって、細胞を、抗体がポリペプチドに結合でき る条件下で、CHDポリペプチドと特異的に結合する抗体と接触させ、該細胞に結 合した抗体の存在を検出し、次いでそれにより、該細胞の表面上の本発明ポリペ プチドの存在を検出することを含む方法が考えられる。かかるポリペプチドの検 出に関して、抗体をin vitroでの診断またはin vivoでの画像化法に用いること ができる。 サンプル中の標的CHDポリペプチドのin vitroでの検出に有用な免疫学的方法 には、検出可能な抗体を使用するイムノアッセイが含まれる。かかるイムノアッ セイには、例えば、当該技術分野で十分公知のELISA、Pandexマイクロフルオリ メトリックアッセイ、凝集アッセイ、フローサイトメトリー、血清診断アッセイ および免疫組織化学染色方法が含まれる。抗体は、当該技術分野で十分公知の種 々の方法によって検出可能なものにすることができる。例えば、検出可能なマー カーを、直接的にまたは間接的に該抗体に結合することができる。有用なマーカ ーには、例えば、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光体、色素原および化学発光標 識が含まれる。 生きている動物、ヒト、またはそれらから単離した生物学的組織もしくは流体 中のCHDポリペプチドの活性を調節するために本発明において用いる本発明の抗C HD抗体が意図される。従って、本発明では、担体、および自然に生じるリガン ドまたは他のCHD結合タンパク質が本発明のCHDポリペプチドに結合するのを阻止 するために有効な量の、CHDポリペプチドに対する特異性を有する抗体を含んで なる組成物が意図される。例えば、細胞の表面上に存在するCHDポリペプチド分 子のエピトープに対するモノクローナル抗体であって、配列番号2で示されるア ミノ酸配列を含むCHDポリペプチド、または配列番号7もしくは配列番号8のCHDコ ーディング部分の細胞表面エピトープのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸 配列を有するモノクローナル抗体が、この目的のためには有用であり得る。 本発明はさらに、CHDポリペプチドをコードする外来の核酸を発現することが できる非ヒトトランスジェニック哺乳動物を提供する。本明細書で用いる場合、 「外来の核酸」とは、宿主には本来存在しない、または自然環境以外で(例えば 、遺伝的に操作されたDNA構築体の一部として)宿主に存在する核酸配列をい う。 また、正常な活性がなくなるように変異させた、すなわち天然のCHDを発現し ない、CHDポリペプチドをコードする核酸を発現することができる非ヒトトラン スジェニック哺乳動物が提供される。本発明はまた、CHDポリペプチドをコード するmRNAとハイブリダイズし、それにより、その翻訳を減少させる、CHDポ リペプチドをコードするmRNAと相補的なアンチセンスmRNAに転写される ように組み込まれた、CHDポリペプチドをコードする核酸と相補的なアンチセン ス核酸を含んでなるゲノムを有する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を提供す る。該核酸はさらに誘導可能なプロモーターおよび/または組織特異的調節因子 を含んでもよく、この結果、発現が誘導されるか、または特異的な細胞種に限定 され得る。核酸の例としては、配列番号1、配列番号7または配列番号8で示される コーディング配列と実質的に同一のコーディング配列を含んでなるDNAまたは cDNAがある。非ヒトトランスジェニック哺乳動物の例としては、トランスジ ェニックマウスがある。組織特異性を決定する因子の例としては、メタロチオネ インプロモーターおよびL7プロモーターがある。 CHDポリペプチドの生理学的および挙動的役割を解明する動物モデル系もまた 提供され、それらは、種々の技術を用いてCHDポリペプチドの発現が改変されて いるトランスジェニック動物を作出することにより作られる。かかる技術の例と しては、トランスジェニック動物を作出するための、マイクロインジェクション 、 レトロウイルス感染または当業者に十分公知の他の手段によるCHDポリペプチド をコードする正常または変異型核酸の、適切な受精胚への挿入が挙げられる(例 えば、Hoganら,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual(Cold S pring Harbor Laboratory,(1986)参照)。 また本発明では、CHDポリペプチドの発現または構造の調節を改変するための 、トランスジェニック動物における天然の遺伝子座と変異または正常型のCHD遺 伝子の相同組換えの利用が意図される(Capecchiら,Science 244:1288(1989); Zimmerら,Nature 338:150(1989):これらは出典明示して本明細書の一部とみ なす)。相同組換え技術は当該技術分野において十分公知である。相同組換えに より、天然(内因性)遺伝子と組換えまたは変異遺伝子が置換され、天然(内因性) タンパク質は発現できないが、例えば変異したタンパク質を発現することができ 、結果としてCHDポリペプチドの発現が改変された動物が作出される。 相同組換えと対照的に、マイクロインジェクション法では、宿主の遺伝子を除 去することなく遺伝子を宿主ゲノムに付加する。マイクロインジェクション法に より、内因性および外来性CHDタンパク質の双方を発現することのできるトラン スジェニック動物を作出することが可能である。導入遺伝子(transgene)の発 現調節のための手段を提供ため、誘導プロモーターを核酸のコーディング領域に 連結することが可能である。導入遺伝子の組織特異的発現を可能にする組織特異 的調節因子をコーディング領域に連結することができる。トランスジェニック動 物モデル系は、タンパク質応答を活性化または阻害する特異的リガンド、すなわ ちアゴニストおよびアンタゴニストの同定のための、化合物のin vivoスクリー ニングに役立つ。 本発明の核酸、オリゴヌクレオチド(アンチセンスを含む)、これを含むベクタ ー、形質転換宿主細胞、ポリペプチドおよびそれらの組み合わせ、ならびに本発 明の抗体は、化合物が、本発明のポリペプチドに対する潜在的なアゴニストまた はアンタゴニストとして機能するかどうかを決定するためのin vitroにおける化 合物のスクリーニングに使用することができる。これらのin vitroスクリーニン グアッセイは、本発明のポリペプチドの機能および活性に関する情報を提供し、 これは1種以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質との特異的な相互作 用が可能な化合物の同定および設計につながる。 本発明のさらなるもう1つの具体例によれば、CHDポリペプチドに結合する化 合物の同定方法が提供される。本発明のタンパク質は、競合結合アッセイに使用 してよい。かかるアッセイは、もしあるとすれば、どの化合物がCHDタンパク質 に結合することが可能かを決定するための、多数の化合物の迅速なスクリーニン グを提供することができる。続いて、結合が認められたそれらの化合物を用いて より詳細なアッセイを行い、さらにかかる化合物が本発明のタンパク質のモジュ レーター、アゴニストまたはアンタゴニストとして働くかどうか決定することが できる。 本発明のもう1つの具体例では、本発明のポリペプチドの活性を調節する化合 物の同定のためのバイオアッセイが提供される。この方法によれば、本発明のポ リペプチドを「未知の」または試験物質と(アンタゴニスト活性が試験されてい る場合には、レポーター遺伝子構築体の存在下で)接触させ、「未知の」または 試験物質との接触に引き続いてポリペプチドの活性をモニターし、レポーター遺 伝子構築体を発現させるそれらの物質をCHDポリペプチドの機能的リガンドとし て同定する。 本発明のもう1つの具体例では、組換えにより本発明のポリペプチドを発現す る形質転換宿主細胞を試験化合物と接触させることができ、次いで試験化合物の 存在下または不存在下での、CHD介在応答(例えば、レポーター遺伝子発現を介し て)の比較、または試験細胞または対照細胞(すなわち、CHDポリペプチドを発現 しない細胞)の、化合物の存在に対する応答の比較により、それらの調節作用を 評価することができる。 本明細書で用いる場合、本発明のポリペプチドの「活性を調節する」化合物ま たはシグナルとは、CHDポリペプチドの活性を変える化合物またはシグナルであ って、その結果、化合物またはシグナル存在下と不存在下では本発明のポリペプ チドの活性が異なるものをいう。特に、かかる化合物またはシグナルはアゴニス トおよびアンタゴニストを含む。アゴニストは、CHDタンパク質の発現を活性化 する化合物またはシグナルを包含する。また、アンタゴニストはCHDタンパク質 の発現を妨害する化合物またはシグナルを包含する。典型的には、アンタゴニス トの効果は、アゴニストにより誘導されたタンパク質の活性化のブロッキングと して観察される。アンタゴニストは競合的および非競合的アンタゴニストを含む 。競合的アンタゴニスト(または競合的ブロッカー)はアゴニスト結合に特異的な 部位またはその近傍と相互作用する。非競合的アンタゴニストまたはブロッカー はアゴニスト相互作用部位以外の部位と相互作用することによりポリペプチドの 機能を不活性化する。 当業者に理解されているように、CHD活性を調節する化合物の同定のためのア ッセイ方法は、一般に対照との比較が必要である。「対照」の1つのタイプとし ては、化合物に曝露される試験細胞または試験培養物と実質的に同じ処理をされ る細胞または培養物であり、「対照」細胞または培養物は化合物に曝されないと いう違いを有する。例えば、電位固定(clamp)電気生理学的手段を用いる方法 においては、ただ細胞を懸濁する外部溶液を変えるだけで、化合物の存在下また は不存在下で同じ細胞を用いて試験することができる。もう1つのタイプの「対 照」細胞または培養物は、「対照」細胞または培養物は天然タンパク質を発現し ないこと以外は、トランスフェクトされた細胞と同じ細胞または培養物であって よい。従って、化合物に対するトランスフェクトされた細胞の応答は、「対照」 細胞または培養物の、同反応条件下での同じ化合物に対する応答(またはその欠 如)と比較される。 本発明のさらにもう1つの具体例では、CHDポリペプチドの活性化を、有効量 の、前記バイオアッセイにより同定された少なくとも1つの化合物とポリペプチ ドを接触させることにより調節することができる。 本発明のもう1つの具体例では、ダウン症候群CHDの診断方法が提供され、該 方法は:患者における、配列番号1,配列番号7または配列番号8を含むゲノムま たは転写mRNA配列の検出を含む。 本発明のもう1つの具体例では、好ましくはキットの形態で、適切な封入体( packaging material)中に少なくとも1種の本発明の核酸を含んでなる、診断系 が提供される。診断用核酸は、本明細書に記載のCHDをコードする核酸に由来す る。1つの具体例では、例えば、診断用核酸は配列番号1に由来する。本発明の 診断系は、ゲノムDNA中またはCHDをコードする転写された核酸(mRNAま たはcDNAなど)中のいずれかにCHDをコードする核酸が存在しているか否かを 分析するのに有用である。 適切な診断系は少なくとも1種の、好ましくは2種以上の本発明の核酸の、少な くとも一回のアッセイに十分な量を別々に封入した化学試薬として含む。典型的 には、封入試薬の使用上の指示書もまた含まれる。当業者は、本発明の核酸プロ ーブおよび/またはプライマーを、本明細書に記載の本発明の方法を実施するた めに適当な緩衝液および溶液と組み合わせてキット形態に取り入れることが容易 にできる。 本明細書で用いる場合、「封入体」とは、本発明の核酸プローブまたはプライ マーなどのキットの内容物を入れるために用いられる1以上の物理的構造体を表 す。封入体は十分公知の方法で構築され、滅菌された、不純物を含まない環境に することが好ましい。封入体は、本発明の核酸を、配列番号1、配列番号7、また は配列番号8で示されるヌクレオチド配列をはじめとするCHDをコードする特定の 配列を検出し、これによりダウン症候群先天性心臓疾患(DS-CHD)の存在または傾 向を診断するために使用できることを表示するラベルを有する。さらに、封入体 は特定の配列の検出およびダウン症候群先天性心臓疾患(DS-CHD)の存在または傾 向の診断双方に用いられるキット中の材料の使用方法を示した指示書を含む。 診断系に関連して、本発明において用いられる封入体は、核酸に基づく診断系 において慣例的に利用されるものである。本明細書で用いる場合、「封入材(pa ckage)」とは、単離された本発明の核酸、オリゴヌクレオチド、またはプライ マーを固定された範囲内に保持することができるガラス、プラスチック、紙、ホ イルなどの固形マトリックスまたは材料を表す。したがって、封入材は、例えば 核酸、オリゴヌクレオチドまたはプライマーがミリグラム量で考慮される場合に 用いられるガラスバイアルであってもよく、またはマイクログラム量で考慮され る核酸プローブが操作的に被覆されたマイクロタイタープレートウエルであって もよい。 「使用のための説明書」とは、典型的に、試薬濃度または、混合する試薬およ び試料の相対量、試薬/試料混合物の維持時間、温度、緩衝液条件などの少なく とも1つのアッセイ方法パラメーターを記載する明確な表現を含む。 本明細書に記載されたすべての米国特許および出版物は、そのまま出典明示し て本明細書の一部とみなされる。本発明を、以下の限定されない実施例を参照し て、より詳細に記載する。 以下、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、それらに限定する ものではない。本明細書に記載されたすべての米国特許および刊行物は、そのま ま出典明示して本明細書の一部とみなされる。 特に断らない限り、本発明は、例えばManiatisら,Molecular Cloning :A Lab oratory Manual ,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor ,New York,USA(1982);Sambrookら,Molecular Cloning :A Laboratory Man ual(2 ed.) ,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,USA(1989);Davisら,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier Science Publishing,Inc.,New York,USA(1986);またはMethods in Enzvmolo gv:Guide to Molecular Cloning Techniques Vol.152,S.L.BergerおよびA. R.Kimmerl Eds.,Academic Press Inc.,San Diego,USA(1987)に記載された標 準的な方法を用いて行われた。材料および方法 特に断らない限り、本発明は、例えば、Maniatisら,Molecular Cloning:A La boratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor ,New York,USA(1982);Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual (第2版),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,USA(1989);Davisら,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier Sc ience Publishing,Inc.,New York,USA(1986);またはMethods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques第152巻,S.L.BergerおよびA.R.Ki mmerl編,Academic Press Inc.,San Diego,USA(1987)に記載の標準法を用いて 行われる。 ライブラリー。酵母人工染色体(YAC)クローンは、CEPH mega-YACライブラリー から得、標準条件の下で増殖させた(Cohenら,Nature 366:689-701(1993))。P1 人工染色体(PAC)ライブラリーの構築。RPCI-1と称する3XヒトPACライブラリー(I oannouら,Hum.Genet.219-220(1994b))を記載のように(Ioannouら,Nat.Gene t.6:84-89(1994a))構築した。ライブラリーは384ウェルディッシュに並べた。 次いで、ベクタープライマーを用いてクローンの配列を決定することにより形成 されたSTSを、PACライブラリーのグリッド化(gridded)コロニーフィルターに対 するハイブリダイゼーションプローブとして用いた。 YAC DNAの調製。YACクローンは選択培地で増殖させ、ペレットとし、3mlの 0.9Mソルビトール、0.1M EDTA pH7.5に再懸濁させ、次いで、100Uのリトカーゼ( Sigma)とともに37℃にて1時間インキュベートした。5,000rpmにて5分間の遠心 分離の後、ペレットを3mlの50mMトリスpH7.45,20mM EDTAに再懸濁させ、3/10ml の10% SDSを加え、混合物を65℃にて30分間インキュベートした。1mlの5M酢酸カ リウムを加え、チューブを1時間氷上に放置し、次いで、10,000rpmにて10分間遠 心分離した。上清を2倍容量のエタノール中に沈殿させ、6,000rpmにて15分間で ペレットとした。ペレットをTEに再懸濁させ、RNアーゼで処理し、次いで、フェ ノールークロロホルムで再抽出した。 パルスフィールドゲル電気泳動による分析。 全YAC DNAを含有する酵母細 胞のアガロースプラグを調製し(LarinおよびLehrach.Genet.Rcs.56:203-208 (1990))、CHEF DRII Mapper(Bio-Rad)を用いて、0.5X TBE中の1%SeaKemアガロー スゲルで、パルスフィールドゲル分離にかけた。PACおよびBACクローンは、No.t Iでの消化後にサイズ分画した。アルカリブロッティングを用いて、ゲルをMagna NTナイロン膜にブロットし、紫外線で架橋し、80℃で2時間焼き付けた。個々の クローンの大きさは、それらの相対的な位置を分子量標準と比較することにより 決定した。 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による分析。PACまたはBACクロー ンを、BioNick Labeling Kit(Gibco-BRL)を用いて、ビオチン-14-dATPの存在下 でのニックトランスレーションによりビオチン化した。FISHは、本質的には記載 の方法と同様にして行った(Korenbergら,Cytogenet Cell Genet.69:196-200(1 995))。簡単に述べると、プローブ中の反復性のヒト配列ならびに酵母配列から 生じる可能性があるバックグラウンドを抑えるために、400ngのプローブDNA と8ngのヒトCot1 DNA(Gibco-BRL)および2μgの超音波処理したサケ精子DN Aとを混合した。このプローブを75℃で変性させ、37℃にて1時間、予備アニー リングし、正常な雄リンパ球から調製した変性染色体スライドにアプライした(K orenbergら,1995,上記)。ハイブリダイゼーション後の洗浄は、40℃で2X SSC/ 50%ホルムアミド中にて行い、次いで、50℃で1X SSC中で行った。ハイブリダイ ズしたDNAは、アビジン結合蛍光イソチオシアネート(Vector Laboratories) を用いて検出した。ビオチン化した抗アビジンを用いることにより、増幅を1回 行った。染色体のサブバンドを正確に識別するために、リバースバンディング法 (reverse banding technique)を用いたが、これはクロモマイシンA3およびジス タマイシンAの二重染色によって達成された(Korenbergら,1995,上記)。Photom etrics Cooled-CCDカメラとBDS画像解析ソフトウェア(Oncor Imaging,Inc.)を 用いることにより、カラー画像を取り込んだ。 PACおよびBAC DNAの調製。選択したコロニーを、PACについては12.5μg/m lカナマイシン、BACについては12.5μg/mlクロラムフェニコールを含有するLB 培地で一晩増殖させた。DNAはアルカリ溶解法により調製した。BACおよびPAC DNAをNotIで消化し、次いで、パルスフィールド電気泳動にかけた。λコン カタマーと比較して大きさを決定した。 サザンブロット分析。DNAのゲル電気泳動は、1X TBE中の0.8%アガロースゲ ルで行った。核酸のNybond N+ナイロン膜(Amersham)への転移は、製造業者の説 明書に従い行った。プローブはRadPrim Labeling System(BRL)を用いて標識した 。50%ホルムアミド、5X SSPE、5X Denhardt's 0.1% SDS、100mg/mlの変性サケ精 子DNA中で、42℃にて16時間で、ハイブリダイゼーションを行った。このフィ ルターを1X SSC、0.1% SDS中、室温で20分間1回洗浄し、0.1X SSC,,0.1% SDS中 、65℃にて20分間ずつ2回洗浄した。このブロットをX線フィルム(Kodak,X-OMA T-AR)に露光した。 PACおよびBACエンドクローンの配列決定。PACクローンは、500mlのLB/カナマ イシン中へ接種して一晩増殖させ、BACクローンは、500mlのLB/クロラムフェニ コール中へ接種して一晩増殖させた。DNAは、QIAGENカラムを用いてフェノー ル/クロロホルム/イソアミルアルコールの1回抽出、次いで、クロロホルム/ イソアミルアルコールの1回抽出を用いる販売業者のプロトコールに従い、単離 した。標準T7およびSP6プライマーを用いるGibco-BRLサイクルシーケンシングキ ットを用い、クローンを配列決定した。 実施例1 BAC コンティグの構築 遺伝子単離およびD21S55からMX1領域における配列決定イニシアチブのための 安定したクローンを得るため、本発明者らは細菌人工染色体(BAC)およびP1人工 染色体(PAC)を用いてコンティグを構築した。全ヒトゲノムDNAのBACライブラ リーの構築は、Shizuyaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8794-8797(1992) に記載のようにして行った。BACライブラリーは、その領域にかかるいくつかのY ACを用いてスクリーニングし;PACライブラリーは、放射性標識STS PCR産物およ びギャップ・フィリング・イニシアチブにおける全BACを用いてスクリーニング した。 これらBACおよびPACクローンの位置は、蛍光in situハイブリダイゼーション( FISH)により確認した。35の既存のSTSとともに(BACおよびPAC末端の直接配列決 定から生じた)24の新しいSTSを用いるクローン間のサザン分析を用いると、BAC およびPAC間の重複が示された。BACおよびPACにおいてカバーされる間隔にわた るSTS密度は、60kbごとにSTS1個であり、クローンの75%が2個以上のSTSを有し ていた。およそ3.5Mbの4-5Mb D21S55からMX1までの間隔は、85個のBACおよび25 個のPACにおいてカバーされ、これはコンティグ内の4倍のカバー範囲に相当する 。非重複クローンのみを計数することにより求めた最小のコンティグサイズは: 1100kb、900kb、510kb、380kbおよび270kbである。BACクローンの挿入物のサイ ズは、DNAをNotIで消化した後、パルスフィールド電気泳動を行うことにより 測定した。 実施例2 直接的cDNA選択 直接的選択手法はいくつかの改良を伴うMorganらの、Nucleic Acid Res.20: 5173-5179(1992)に記載のものと同様であった。全RNAはTRI領域(商標)(Mo lecular Research Center Inc.)を用いて、14週齢21トノソミー胎児脳から単離 した。ポリ(A)+RNAはポリ(A)Quick(登録商標)mRNA単離キット(STRATAG ENE)を用いて単離した。二本鎖cDNAはSuperScript(商標)選択システム(GIBCOB RL)を用いて、1μgのオリゴ(dT)15または0.1μgのランダムヘキサマーを用い る5μgの21トノソミー胎児脳ポリ(A)+RNAから合成した。全合成反応物はGen e Clean(登録商標)IIキット(BIO101,Inc.)により精製し、次いでキナーゼを作 用させた。Sau3AIリンカーを、その後Sau3AIで消化されるcDNAに結合させた。こ の反応物をGene Cleanを用いて精製した。MboIリンカーはcDNAに結合させ、こ の反応物をGene Clean(Morganら、Nucleic Acid Res.20:5173-5179(1992))に より精製した。この合成産物を、プライマーとして一本のMboIリンカー(5'CCTG ATGCTCGAGTGAATTC3')(配列番号4)を用い、PCRにより増幅させた。PCRサイクル条 件は100μlの1xPCR緩衝液(Promega)、3mM MgCl2、5.0単位のTaqポリメラーゼ(P romega)、2μMプライマーおよび0.2mM dNTP中において、94℃/15秒、60℃/23 秒、72℃/2分の40サイクルであった。 領域ETS2およびMX1間の19のBAC DNA(総量2.5μg)および2のPAC DNA は、QIAGENプラスミドキットを用いて調製し、ニックトランスレーションキット およびビオチン-16-dUTP(Boehringer Manneheim)を用いて、ビオチン化した。3 μgの熱変性させたPCR増幅cDNAは、100μlハイブリダイゼーション緩衝液 (750mM NaCl、50mM NaPO4(pH7.2)、5mM EDTA、5x Denhardt's、0.05% SDSおよび 50%ホルムアミド)中、42℃にて2時間3μgの熱変性COT1 DNA(BRL)とアニー リングし た。プレハイブリダイゼーション後、1.2μgの熱変性ビオチン化BAC DNAを 添加し、16時間42℃にてインキュベートした。cDNA-BAC DNAハイブリッ ドをエタノールで沈殿させ、60μlの10mMトリス塩酸(pH8.0)、1mM EDTA中に溶 解した。40μlの5M NaClの添加後、DNAを磁気ビーズ(Dynabeads M-280、Dyn al)とともに1時間25℃にて緩やかに回転させながらインキュベートし、DNAを 磁気ビーズへ付着させた。次いでこのビーズを400μlの2x SSC中でピペッティ ングし、30秒間磁気ホルダー(MPC-E(商標)、Dynal)に保持し、上清を除去する ことにより2回洗浄した。さらに0.2x SSC中で10分間68℃にて4回洗浄し、洗浄 のたびにそのビーズを新しいチューブへ移した。cDNAは時々攪拌しながら10 分間80℃にて100μlの蒸留水に溶出させた。溶出したcDNAは前記のようにP CRにより増幅させた。磁気ビーズを用いる選択手順を2回繰り返した後、増幅さ せたcDNAをEcoRIで消化し、さらにpBluescriptIIへとサブクローニングし た。 ETS2およびMX1間の19のBACおよび2のPACを用いた直接cDNA選択法により、 合計145のユニークcDNA断片が生じた。FASTAを用いたGenbankおよびTIGR相 同性検索により、ETS2、HMG14、PEP19、Na K ATPアーゼ、Titan EST、MX1領域ES T、および未知の機能を持つ14のESTとの一致が明らかになった。妊娠14週におけ る21トノソミー胎児脳由来のcDNAライブラリーは、「A64」と称するこれら のユニークcDNA断片の1つを用いてスクリーニングした。 実施例3 cDNAライブラリースクリーニングを用いたヒトCHD cDNAの単離 21トノソミー胎児脳cDNAライブラリーは一方向性cDNAライブラリーをもたらす ZAP-cDNA(登録商標)合成キット(STRATAGENE)を用いて構築された。簡単に 述べると、二本鎖cDNAを5-メチルdCTPを有するハイブリッドオリゴ(dT)-Xho Iリンカープライマーを用いて、5μgの21トノソミー胎児脳ポリ(A)+RNAか ら合成した。EcoRIリンカーをcDNAと結合させ、続いてEcoRIおよびXholで消化 し、その後UNI-ZAP XRベクターにクローン化した。このライブラリーはGigapack (登録商標)IIGoldパッケージング抽出物を用いてパッケージングした。原ライ ブラリーの力価は1.1×106p.f.u./パッケージであった。このライブラリーを1 回増幅させた。ブルー・ホワイトカラーアッセイは99%のクローンが挿入断片を 有することを示した。この挿入断片の平均サイズは、14のクローンから算出して 1.9kbであった。 21トリソミー胎児脳cDNAライブラリーのスクリーニングは、上記のように調製 した「A64」と称する145のユニークcDNA断片(配列番号3)1つを用いて行っ た。ファージを175cm2のプレートにつき平均密度1×105になるようにプレートし た。20のプレート(2×106ファージ)のプラークリフトを二重ナイロン膜(Hybo nd-N+;Amersham)を用いて行った。ハイブリダイズした膜を最終ストリンジェ ンシ−0.2x SSC、0.1x SDSまで65℃にて洗浄した。フィルターを一晩、X線フィ ルムに感光させた。さらなる分析のためにM13が介在する切除により、ファージ をプラスミドベクターpBluescript II SK(-)にサブクローニングした。「CHD」 と称する新規タンパク質をコードするcDNAクローンを単離した。CHDをコー ドするcDNAは、288アミノ酸配列(配列番号2)をコードする864塩基対のオ ープンリーディングフレーム(配列番号1)を少なくとも有する。 実施例4 ヒトCHD発現のノーザンブロット分析 CHD cDNAを含む挿入断片はXhoIおよびEcoRIでの消化により、基本ベクターか ら切り出した。ランダムプライミング法を用いて標識した後、その断片はMultip le Tissue Northern Blot(Clontech)を用いたノーザンハイブリダイゼーション 用のプローブとして使用した。ノーザンブロットアッセイは成人心臓、脳、胎盤 、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および膵臓をはじめとする種々の組織において、プロ ーブとしてCHD cDNAを用いて実施した。その結果は、主に成人心臓および骨 格筋で発現し、より低レベルでは至る所で発現することを示す。脳、胎盤、肺、 肝臓、腎臓および膵臓では、ごくわずかなCHDの発現を示す。心臓組織における ノーザンブロットで見られた主要な転写産物は2.4kbの大きさであり、一方、筋 肉における主要な転写産物は1.2kbである。心臓は約1.2kbにマイナーな転写産物 を有し、骨格筋は2.6kbにマイナーな転写産物を有する。このように、タンパク 質のCHDファミリーをコードするスプライシング変異体cDNA転写産物が、本 発明により明確に考えられる。 実施例5 ヒトCHD発現のRT-PCRアッセイ 種々のヒト組織のcDNAライブラリーに対する逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-PCR)アッセイを、CHD-31(配列番号5)およびCHD-52(配列番号6)と番号を 付したプライマーを用いて行った。その結果は53日および55日齢のヒト胎児心 臓および6-9週齢の心臓におけるヒトCHD mRNAの発現を証明した。CHDの時間 的および組織特異的発現パターンは、DS-CHDとCHDとの会合をさらに支持するも のである。 実施例6 マウスCHD cDNAの単離 CHDのマウス相同体は、マウス脳cDNAライブラリーをスクリーニングする ためのプローブとして1053塩基対のヒトcDNAクローン(配列番号1)を用いて単 離した。二本鎖cDNAを、19週齢の雌C57 Black/6マウスから単離したマウス 脳ポリ(A)+RNA 5μgから合成した。cDNAは5-メチルdCTPを有するハイブ リッドオリゴ(dT)-XhoIリンカープライマーを用いてオリゴ(dT)開始させた。Eco RIリンカーをcDNAに連結し、このcDNAはEcoRIおよびXhoIで消化し、Uni ZAP XRベクター(STRATAGENE:Catalog #937314)にクローン化した。ライブラリ ーの平均挿入断片サイズは1.0kbであった。 ライブラリーのスクリーニングは、プローブとしてヒトCHD cDNA(配列番 号1)を用いて、実施例3に記載するようにフィルターハイブリダイゼーションに より行った。ライブラリ一中の2×106個のクローンをスクリーニングすることに より、40個の陽性クローンを同定した。CHD1-Mos-3と称する、このマウスクロー ンの1つの分析により、約1.0kbのcDNAが明らかになった。5'領域および3' 領域に対応するCHD-1-Mos-3クローンの部分的cDNA配列をそれぞれ配列番号7 および配列番号8に示す。マウスcDNAの416塩基対の5'末端(配列番号7)の ヒトCHDクローン(配列番号1)に対する同一性は81%であった。さらに、マウス CHD-1-Mos-3 cDNAの配列解析により、マウスcDNAの3'末端における320 塩基対の重複配列(配列番号8)においてヒトCHDクローン(配列番号1)との77. 5%の同一性が明らかになった。 実施例7 マウスCHD発現のin situ特性決定 さらにマウスCHDの発現を調べるために、交尾後7.5〜17.5日の正常マウス胚、 新生児マウス、2週齢マウスおよび成体マウスの脳の切片に対して、プローブと してマウスCHD-1-Mos-3 cDNAを用いて、組織in situハイブリダイゼーショ ン分析を行った。 BALB/cおよびC57BL/6xDBA/2胚、胎児および出生後の脳を、リン酸緩衝溶液(P BS)中の4%パラホルムアルデヒド中で一晩固定し、脱水してパラフィンを浸潤さ せた。5〜7ミクロンの連続切片をゼラチン被膜スライドに載せた。1スライドに つき2切片を載置し、キシレン中で脱パラフィンし、再水和し、後固定した。こ の切片をプロテナーゼKで消化し、後固定し、トリエタノールアミン/無水酢酸 で処理し、洗浄、脱水した。cRNAプローブは、マウスCHD-1-Mos-3 cDNA から作製した。プラスミドをKpnIで線状化し、T3ポリメラーゼを用いてセンス制 御cRNAを作製した。cRNA転写産物は、製造業者の条件(STRATAGENE)に従 って合成し、35S-UTP(>1000Ci/mmol;AMERSHAM)で標識した。100ヌクレオチドよ り大きいcRNA転写産物をアルカリ加水分解にかけて、効率的なハイブリダイ ゼーションのための平均サイズ70塩基を得た。切片は一晩、52℃で50%脱イオン 化ホルムアミド、0.3M塩化ナトリウム、20mMトリス塩酸、pH7.4、5mM EDTA、10m M NaPO4、10%デキストラン硫酸、1x Denhardt's溶液、50μg/mlの全酵母RNA および50-75,000cpm/mlの35S-標識cRNAプローブ中にて、ハイブリダイズし た。この組織を65℃で50%ホルムアミド、2x SSC、10mMジチオトレイトール中に てストリンジェント洗浄に付し、PBS中で洗浄した後、37℃で30分間、20μg/ml のRNアーゼAで処理した。2x SSC、および0.1x SSC中で37℃にて10分間洗浄した 後、このスライドを脱水し、Kodak NTB-2ヌクレアートラックエマルジョン(nucl ear track emulsion)に浸し、4℃で2〜3週間乾燥剤を含むlight-tight box中で 感光させた。Kodak D-19にて写真現像を行った。スライドはトルイジンブルーで 明るく対比染色され、Zeiss Axiphot顕微鏡の明・暗視野オプチックスの双方を 用いて分析した。センス制御cRNAプローブは細胞のmRNAと同一であり、 常にハイブリダイゼーションシグナルのバックグラウンドレベルを示す。胚構造 はよく知られた図解書を用いて確認した。 結果は、マウスCHD-1-Mos-3クローンが交尾後7.5〜9.5日からの全胚細胞にお いて高度に発現されることを示している。10.5日においてマウスCHD-1-Mos-3の 発現はいくつかの組織および器官において減少するが、他では依然として顕著で あった。例えば、肺、肝臓および顎弓では、より高いレベルの発現が見られる。 また発現は、より先端部の神経管および周辺の間葉に比べ、後部肢芽のような尾 部領域においてより高度に現れる。11.5日では、マウスCHD-1-Mos-3発現は心臓 、 神経上皮、頭蓋神経節、骨格筋および消化管では低い。11.5日での発現は肝臓で 最も高い。12.5日では、消化管でのシグナルは上皮ライニングに局在するように なる。顎弓に存在したシグナルは舌筋に主として局在するようになる。13.5日で は、マウスCHD-1-Mos-3レベルは肝臓において最も高くまた腎臓においても検出 される。14.5日および15.5日では、中枢神経系での発現が新皮質において最も高 い。胸腺におけるin situハイブリダイゼーションシグナルは肝臓のものと同等 またはより高い。17.5日マウスにおいてCHD-1-Mos-3発現レベルは褐色脂肪にお いて最も高い。 特定の好ましい具体例を参照して本発明を詳しく説明してきたが、特許請求さ れた本発明の精神および範囲にはさまざまな修飾および変更が含まれることが理 解されよう。配列の要約 配列番号1は、本発明のヒトCHDタンパク質をコードするcDNAの核酸配列( および推定アミノ酸配列)である。 配列番号2は、本発明のヒトCHDタンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号3は、CHDをコードするcDNAの単離に用いられるcDNAプローブ (「A64」と表記する)である。 配列番号4は、MboIリンカー配列である。 配列番号5は、実施例5に記載のRT-PCRアッセイで用いられる、CHD-31と称する プライマーである。 配列番号6は、実施例5に記載のRT-PCRアッセイで用いられる、CHD-52と称する プライマーである。 配列番号7は、マウスCHDタンパク質をコードするマウスcDNAクローンCHD- 1-Mos-3の5'領域の部分配列である。推定開始コドンは配列番号7のヌクレオチド 281にある。 配列番号8は、マウスCHDタンパク質をコードするマウスcDNAクローンCHD- 1-Mos-3の3'開始領域の部分配列である。推定停止コドンは配列番号8のヌクレオ チド316にある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/53 D G01N 33/53 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12N 5/00 A (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物の先天性心臓疾患(CHD)タンパク質をコードする単離された核 酸、またはその断片。 2.(a)配列番号2に示されたアミノ酸配列、または配列番号7もしくは配列 番号8のCHDコード部分をコードするDNA、 (b)中度ストリンジェント条件下で(a)のDNAとハイブリダイズす るDNAであって、生物学的に活性なCHDをコードするもの、または (c)上記の(a)または(b)に対する縮重DNAであって、生物学的 に活性なCHDをコードするもの から選択される、哺乳動物の先天性心臓疾患(CHD)タンパク質をコードす る単離された核酸、またはその断片。 3.前記核酸が、高度ストリンジェント条件下で、配列番号1、配列番号7また は配列番号8のヌクレオチドのCHDコード部分とハイブリダイズする、請求 項2に記載の核酸。 4.前記核酸のヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号7または配列番号8 に示されたものと実質的に同一のものを含む、請求項2に記載の核酸。 5.前記核酸のヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号7または配列番号8 に示されたものと同一である、請求項2に記載の核酸。 6.前記核酸がcDNAである、請求項2に記載の核酸。 7.請求項2に記載の核酸を含むベクター。 8.請求項2に記載の核酸を含む組換え細胞。 9.配列番号1、配列番号7または配列番号8に示されたヌクレオチド配列の核 酸の配列と特異的にハイブリダイズすることが可能な少なくとも15ヌクレオチ ドを含む、オリゴヌクレオチド。 10.前記オリゴヌクレオチドが検出可能なマーカーで標識されている、請求項 9に記載のオリゴヌクレオチド。 11.請求項2に記載の前記核酸によってコードされるmRNAと特異的に結合 することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチド。 12.請求項10に記載の少なくとも1種のオリゴヌクレオチドを含むCHDc DNA配列の存在を検出するためのキット。 13.単離された哺乳動物先天性心臓疾患(CHD)タンパク質。 14.さらに、骨格筋よりも心臓において有意に高い量で発現することによって 特徴付けられる、請求項13に記載のCHDタンパク質。 15.前記タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2に示されたタンパク質配列 、または配列番号7もしくは配列番号8のCHDコード部分と実質的に同一の ものを含む、請求項13に記載のCHDタンパク質。 16.配列番号2に示されたタンパク質配列、または配列番号7もしくは配列番 号8のCHDコード部分と同一のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のC HDタンパク質。 17.前記タンパク質が、配列番号1、配列番号7または配列番号8に示された ヌクレオチド配列と実質的に同一のものを含むヌクレオチド配列によってコー ドされる、請求項13に記載のCHDタンパク質。 18.前記タンパク質が、配列番号1、配列番号7または配列番号8に示された ヌクレオチド配列によってコードされる、請求項17に記載のCHDタンパク 質。 19.前記タンパク質が、配列番号1、配列番号7または配列番号8に示された ヌクレオチド39〜902と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド 配列によってコードされる、請求項13に記載のCHDタンパク質。 20.CHD関連タンパク質の発現方法であって、請求項8に記載の細胞を、前 記CHDタンパク質の発現に適した条件下で培養することを含む、前記方法。 21.請求項13に記載のCHDタンパク質との特異的な反応性を有する、単離 された抗CHD抗体。 22.前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項21に記載の抗体。 23.前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項21に記載の抗体。 24.ヒトCHDタンパク質の発現を抑制するのに有効な量の請求項11に記載 のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび細胞膜を通過することが可能な許容 できる疎水性担体を含む組成物。 25.CHDタンパク質をコードする外因性核酸を発現するトランスジェニック 非ヒト哺乳動物。 26.前記CHDタンパク質をコードする前記核酸が突然変異を起こしており、 そのため発現したCHDタンパク質が天然CHDではない、請求項25に記載 のトランスジェニック非ヒト哺乳動物。 27.トランスジェニック非ヒト哺乳動物がマウスである、請求項25に記載の トランスジェニック非ヒト哺乳動物。 28.哺乳動物CHDタンパク質をコードする核酸を同定する方法であって、核 酸を含む試料を請求項9に記載のオリゴヌクレオチドと高度ストリンジェント ハイブリダイゼーション条件下で接触させ、そしてそれにハイブリダイズする 化合物を同定することを含む、前記方法。 29.試料中のヒトCHDタンパク質の存在を検出する方法であって、試験試料 を請求項21に記載の抗体と接触させ、抗体−CHD複合体の存在を検出し、 それによって前記試験試料中のヒトCHDの存在を検出することを含む、前記 方法。 30.配列番号1、配列番号7または配列番号8に示された核酸配列から誘導さ れた核酸配列を含む、CHD核酸増幅用の1本鎖DNAプライマー。
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