JP2001500730A - ヒスチジン―タグ付き志賀毒素およびトキソイド、該毒素およびトキソイドとの融合タンパク質ならびにそれらの精製及び調製方法 - Google Patents

ヒスチジン―タグ付き志賀毒素およびトキソイド、該毒素およびトキソイドとの融合タンパク質ならびにそれらの精製及び調製方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、生物学的および免疫学的に活性なヒスチジン-タグ付き志賀毒素(His-タグ付き)の単離および精製に関するものであるが、この毒素は、HCおよび命にかかわる恐れのある疾患HUSと関連した毒素であり、いずれの疾患も病原性細菌の系統によって伝染する。本発明は、his-タグ付けによりいかにして志賀毒素の精製の大幅な単純化および迅速化を行うかに関し、更に、こうした精製に対する改良された方法に関する。本発明の1態様は、免疫反応性はあるが毒性はない志賀トキソイドの調達および使用である。本発明のもう1つの態様は、His-タグ付き志賀毒素もしくはトキソイドの融合タンパク質の調製および使用である。本発明の更にもう1つの態様は、His-タグ付き志賀毒素、トキソイド、または志賀毒素/トキソイド融合タンパク質に対する抗体の調達および使用である。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒスチジン-タグ付き志賀毒素およびトキソイド、該毒素およびトキ ソイドとの融合タンパク質ならびにそれらの精製及び調製方法 政府の権利 本明細書中に記載の発明は、政府の目的のために製造、実施許諾、および使用 に供される場合、特許権者への使用料の支払いは不要とする。 発明の分野 本発明は、出血性大腸炎および命にかかわる続発症である溶血尿毒症症候群に 関連する多ユニット細菌タンパク質のファミリーに関する。「志賀毒素ファミリ ー」のメンバーとして定義付けされるこれらのタンパク質は、ヒスチジン残基を 用いてタグ付けされている。本発明は更に、非毒素原性かつ免疫反応性形態のヒ スチジン-タグ付き志賀毒素もしくはトキソイドに関する。更に、本発明は、ヒ スチジン-タグ付き志賀毒素もしくはトキソイドと他のタンパク質とを組合せる ことによって得られる融合タンパク質に関する。ヒスチジンでタグ付けすると志 賀毒素の精製がかなり容易になるが、本発明はまた、こうした毒素の精製方法に 関する。本発明は更に、志賀毒素を発現する細菌による感染もしくは伝染に対す る免疫反応を引き起こすための抗原としてのヒスチジン-タグ付き志賀トキソイ ドまたは志賀トキソイドの融合タンパク質の使用に関する。本発明はまた、志賀 毒素、トキソイド、または志賀毒素/トキソイド融合タンパク質に対するモノク ロナール抗体およびポリクロナール抗体、ならびに病原性大腸菌による疾患およ び感染症の治療、診断、および予防におけるこれらの使用に関する。最後に、本 発明は、志賀毒素、トキソイド及び融合タンパク質の調製に関する。 発明の背景 腸内出血性大腸菌(EHEC)は、血性下痢もしくは「出血性大腸炎」(HC)および溶 血尿毒症症候群(HUS)の食物による集団発生と関連がある。(Spika,J.ら,「デ イケアセンターにおける大腸菌:0157:H7に関連した溶血尿毒症症候群および下痢 」,J.Pediatr.,109:287-291(1986);Remis,R.,「大腸菌0157:H7に関連した 出血性大腸炎の散発的症例」,Ann.Intern.Med.,101:624-626(1984);Riley, L.ら,「稀少大腸菌血清型に関連した出血性大腸炎」,N.Engl.J.Med.,308: 681-685(1983))。EHEC感染症は、命にかかわることがあり、EHEC感染症から重度 の合併症を引き起こす可能性が最も高い若者や年配者に大きな脅威を与えている 。過去数年間にわたりHCおよびHUSの集団発生および散発的発生が数件起こった が、このうちで1993年の米国での集団発生が最も大きかった。この集団発生では 、500人を超えるHCおよびHUSの患者が発生したが、追跡調査の結果、Jack-in-th e Boxファーストフードレストランのハンバーガーが汚染されていることがわか った。(Centers for Disease Control and Prevention,Morbid.Mortal.Weekl Rep.,42:258(1993))。1996年7月、日本においてEHECの大きな集団発生が起こ り、10,000人を超える感染者が発生し、8人が死亡した。多くの日本の子供たち は入院が必要であった。残念ながら、現在のところHCおよびHUSに用いることが できる治療方法もしくはワクチンもない。 主にHCおよびHUSは、汚染食品、特に、ハンバーガーなどの熱処理が不十分な 牛肉製品、を摂取することによって感染する。(Doyleら,J.Appl.Environ.Mi crobiol.53:2394(1987);Samadpourら,J.Appl.Environ.Microbiol.60:1038 (1994))。EHECはウシにおいて伝播し、また熱処理を十分に行ったハンバーガー と熱処理が不十分のハンバーガーとは見分けることが難しいので、ファーストフ ードのレストランに立ち寄ったり家庭でのバーベキューは悲惨な事態を招く恐れ がある。HCおよびHUSは、EHECおよびシゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysente riae)が産生する毒素によって媒介されるようである(総論はO'Brien and Holmes ,Microbiol.Rev.,51:206-220(1987)を参照されたい)。これらの細菌は、近縁 サイト毒素のファミリーを産生するが、本出願の目的のために、これらをまとめ て「志賀毒素」と呼ぶものとする。志賀毒素(「ベロ毒素」と呼ぶこともできる) は、細胞毒活性、神経毒活性、および腸管毒活性を有する(Strockbine,N.ら, 「大腸菌0157:H7株933由来の2つの毒素変換ファージは類似の生物活性を有する 抗原的には異なる毒素をコードする」,Infect.Immun.,53:135-140(1986))。 志賀毒素は、それらの免疫学的交差反応性に基づいて2つのグループに分類さ れた(Strockbineら,同前)。これらのグループは志賀毒素1型(Stx1)および志賀 毒素2型(Stx2)と呼ばれる。(Strockbineら,supra;Calderwoodら,「SLT(VT) ファミリーに対して提案された新しい命名」,ASM News,62:118-119(1996))。S tx1グループには、EHEC由来の始原型Stx1毒素およびシゲラ・ディセンテリエ1 型由来の志賀毒素が含まれる。近年、他のタイプの毒素が発見され、Stx2グルー プのメンバーとみなされた。これらは、Stx2e、Stx2c、Stx2vha、およびStx2vhb である。(Lindgrenら,Infection and Immunology,61:3832(1993);Schmitt,C .ら,「腸内出血性大腸菌株に共通した志賀様毒素II関連遺伝子の2つのコピー はその0157:H株E325IIの抗原異質性の原因である」,Infect.Immun.,59:1065-1 073(1991);Marques,L.ら,「水腫疾患に罹ったブタから単離された大腸菌株は 志賀様毒素IIの変異体を産生する」,FEMS Lett.,44:33-38(1987))。 本出願の目的のために、「志賀毒素」という用語には、志賀毒素およびStx1も しくはStx2グループの任意の他の毒素が含まれるものとする。略号「Stx」はタ ンパク質を表し、略号「stx」は遺伝子を表すものとする。 これらの志賀毒素は、図1に示すように、類似した遺伝子構成およびタンパク 質構成を共有する。Aサブユニット遺伝子は、酵素活性サブユニットをコードす る。Aサブユニットポリペプチドは、ジスルフィド結合により連結された2つの機 能ドメインA1およびA2を有する。A1部分は、真核性リボソームの28S rRNAに 作用してタンパク質合成を抑制するN-グリコシダーゼである。(Saxena,S.ら, 「志賀毒素、志賀様毒素II変異体、およびリシンはいずれも、アフリカツメガエ ル卵母細胞中に微量注入した場合、28S RNAの単一部位RNA N-グリコシダ ーゼである」,J.Biol.Chem.,264:596-601(1989))。A2断片は、5つのBサブユニ ットポリペプチドの結合に必要である。Bサブユニットの五量体は、真核細胞上 へのレセプターの結合に関与する。AサブユニットとBサブユニット五量体をすべ て含有するポリペプチドは、志賀ホロ毒素と呼ばれる。こうした毒素成分に関す る知識があるにもかかわらず、HCまたはHUSに対する治療法やワクチンは知られ ていない。 HCおよびHUSの治療および予防のための治療薬に対する必要性が存在する。し かしながら、こうした治療薬の探索は、志賀毒素を精製するための迅速かつ単純 な方法がなかったために、その進歩が妨げられてきた。従って、そうした迅速か つ単純な方法に対する必要性が存在する。更に、生物学的および免疫学的活性を 保持しつつ志賀毒素の大量生産を可能にする方法に対する必要性が存在する。ま た、志賀トキソイドの大量生産ならびに志賀毒素およびトキソイドの融合タンパ ク質の大量生産を可能にする方法に対する必要性が存在する。こうした方法は、 志賀トキソイドおよび志賀トキソイドの融合体を用いて、志賀毒素に対する抗体 ならびにHCおよびHUSに対するワクチンが簡単に得られるようにするものでなけ ればならない。 発明の概要 本発明は、生物学的および免疫学的に活性なヒスチジン-タグ付き志賀毒素(Hi s-タグ付き)の単離および精製に関するものであるが、この毒素は、HCおよび命 にかかわる恐れのある疾患HUSと関連した毒素であり、いずれの疾患も病原性細 菌の系統によって伝染する。本発明は、his-タグ付けによりいかにして志賀毒素 の精製の大幅な単純化および迅速化を行うかに関し、更に、こうした精製に対す る改良された方法に関する。 本発明の1態様は、免疫反応性はあるが毒性はない志賀トキソイドの調達およ び使用である。例えば、本発明は、こうして得られた志賀トキソイドをHCおよび HUSに対するワクチン中で使用することに関する 本発明のもう1つの態様は、His-タグ付き志賀毒素もしくはトキソイドの融合 タンパク質の調製および使用である。これらの融合タンパク質には、各タンパク 質の有益な性質を兼備するという利点があり、その結果、例えば、タンパク質の 安定性の改良、またはhis-タグ付き志賀治療薬の標的化送達が行えるようになる 。 本発明の更にもう1つの態様は、His-タグ付き志賀毒素、トキソイド、または 志賀毒素/トキソイド融合タンパク質に対する抗体の調達および使用である。こ れらの抗体は、モノクロナール抗体またはポリクロナール抗体のいずれであって もよく、EHECまたはシゲラ・ディセンテリエ1型の感染によって引き起こされるH CおよびHUSの治療、診断、または予防に使用できる可能性がある。 本発明の他の態様は、以下に記載のより詳細な説明を添付の図面と関連させて 読み進めることによって明らかになるであろう。 図面の簡単な説明 図1は、志賀毒素遺伝子のタンパク質構造を示している。 図2は、Stx1の成熟AサブユニットおよびプロセッシングされていないBサブユ ニットに対する推定アミノ酸配列を示している。(Calderwoodら,Proc.Natl.A cad.Sci.USA,84:4364-4368(1987);DeGrandisら,J.Bacteriol.,169:4313-4 319(1987))。 図3は、Stx2の成熟AサブユニットおよびプロセッシングされていないBサブユ ニットに対する推定アミノ酸配列を示している。(Jacksonら,FEMS Lett.,44:109 -114(1987))。 図4は、stx1およびその配列の上流のDNAに対する推定DNA配列を示している。 (Calderwoodら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:4364-4368(1987);DeGrandis ら,J.Bacteriol.,169:4313-4319(1987))。 図5は、stx2およびその配列の上流のDNAに対する推定DNA配列を示している。 (Jacksonら,FEMS Lett.,44:109-114(1987))。 図6は、PCR増幅により産生されたstx1の約1200塩基対断片を示している。図6 a〜cはそれぞれ、プラスミドpQHI、pQHEI、およびp7HIの作製に使用した断片を 示している。小文字のヌクレオチドは、プライマー中の非毒素配列および/また は塩基変化を表している。 図7は、PCR増幅により産生されたstx2の約1200塩基対断片を示している。図7 aおよび7bはそれぞれ、プラスミドpQHIおよびpQHEIIの作製に使用した断片を示 している。小文字のヌクレオチドは、プライマー中の非毒素配列および/または 塩基変化を表している。 図8は、His-Stx1融合体をコードしT5プロモーターにより駆動されるプラスミ ドpQHIを示している。 図9は、His-Stx2融合体をコードしT5プロモーターにより駆動されるプラスミ ドpQHIIを示している。 図10は、His-エンテロキナーゼ部位-Stx1融合体をコードしT5プロモーター により駆動されるプラスミドpQHEIを示している。 図11は、His-エンテロキナーゼ部位-Stx2融合体をコードしT5プロモーター により駆動されるプラスミドpQHEIIを示している。 図12は、His-Stx2融合体をコードしT5プロモーターにより駆動されるプラス ミドpQHIIvhbを示している。 図13は、His-エンテロキナーゼ部位-Stx2融合体をコードしT5プロモーター により駆動されるプラスミドpQHEIIvhbを示している。 図14は、His-Stx1融合体をコードしPT7プロモーターにより駆動されるプラ スミドp7HIを示している。 図15は、His-Stx2融合体をコードしPT7プロモーターにより駆動されるプラ スミドp7HIIを示している。 図16は、本発明に係るHis-Stx融合タンパク質の発現を示している 発明の詳細な説明 本発明の目的は、生物学的および免疫学的性質を保持する大量の志賀毒素を精 製することである。この目的を達成するために、志賀毒素遺伝子をヒスチジン- タグ付き発現ベクター中にクローン化し、発現させ、そして精製した。本発明の 更なる目的は、志賀毒素に対する免疫応答を生じさせるために、非毒素原性では あるが免疫反応性の毒素である志賀トキソイドに特異的な抗原を得ることである 。本発明のもう1つの目的は、病原性細菌による疾患および感染症の治療、診断 、または予防を行うために、志賀毒素もしくはトキソイドに対する抗体を作製す ることである。上述したhis-タグ付き志賀毒素もしくはトキソイドは、こうした 目的に使用することができる。 当業者はまた、使用するhis-タグ付き志賀毒素のサイズを志賀毒素に対する特 定の目的に応じて変化させ得ることを認識するであろう。例えば、his-タグ付き 志賀毒素もしくはトキソイドを1つ以上のタンパク質と融合させることが目的の 場合、より大きい断片の使用が必ずしも除外されるものではないが、組み合わさ れた融合産物の安定性を向上させるために、より小さい断片を選択してもよい。 また、His-志賀毒素の所望のサイズは、便宜上、当業者に公知の材料および方法 に照らして利用可能な制限部位に応じた変更を行ってもよい。従って、「His-志 賀毒素」または「His-タグ付き志賀毒素」という用語は、ヒスチジンタグと融合 された任意の志賀毒素ファミリーメンバーのAおよびBサブユニットを含んでなる 約372〜377個のアミノ酸の断片を意味する。生物学的および/または免疫学的機 能を保持したより小さな断片も含まれる。生物学的機能は、例えば、実施例III. Aに記載されているように、ベロ細胞に対する細胞毒性によって測定される。ま た、免疫学的機能は、例えば、実施例III.Bに記載されているように、特異抗血 清による中和によって試験してもよい。本発明の好ましい実施態様は、1つのAサ ブユニットと5つのBサブユニットを含有したHis-タグ付き志賀ホロ毒素である。 もう1つの好ましい実施態様において、タグは6つのヒスチジン残基から成る。最 も好ましい実施態様は、His6-タグ付き志賀ホロ毒素である。 本発明の目的の1つは、His-志賀トキソイドを投与することにより、EHECまた はシゲラ・ディセンテリエ1型により引き起こされる障害または疾患、例えばHC およびHUS、を防止することである。この目的は、志賀毒素に対抗して誘発され 免疫反応を刺激することによって達成される。 従って、本出願では、「免疫」または「免疫化」という用語が使用される。こ うした免疫化によって達成される防止率は、志賀毒素とHis-志賀トキソイドとの 類似度ならびに治療対象の患者または種に特有な属性などの他の因子により変化 するであろう。更に、免疫化は、感染の回避に限定されるものではなく、次のよ うな指標:すなわち、死亡、HUS、または永久腎障害の出現率の低下;毒素レベ ルの低下;体液損失の低下;あるいはこれ以外で当業者により標準的に使用され ている病気の指標、によって評価されるこうした感染症の重篤度の低下も含む。 特に記載のないかぎり、本明細書中に記載の用途および方法は、一般的には、 ヒトおよび動物に適用可能である。「患者」という用語は、本明細書中で使用す る場合、ヒトおよび動物の両方を意味し、「動物」という用語は、家畜に限られ るものではなく、野生動物や実験動物を含むものであってもよい。 更に、本発明に係るHis-タグ付き志賀毒素には志賀毒素の生物学的および免疫 学的性質があるので、志賀毒素に適した任意の用途に使用することが可能である 。 例えば、最近、Stx1を用いてヒトB-細胞リンパ腫に罹ったマウス由来の骨髄細胞 を処理できることが判明した。志賀毒素はリンパ腫細胞のレセプターに結合する とともに、この毒素はガン細胞を死滅させた。(LaCasseら,Blood 88:1551(1996 ))。従って、当業者は、His-志賀毒素もしくは融合体を同じ目的のために同じよ うな方法で利用できると期待するであろう。 His-タグ付き志賀毒素の単離および精製 AおよびBサブユニットを含有する志賀毒素を精製するための標準的なプロトコ ルでは生化学的方法が利用される。この標準的なプロトコルは、O'Brienらによ って開発されたものである(O'Brienら,Infect.Immun.40:675(1983);O'Brien ら,Infect.Immun.,30:170(1980))。この方法は4つの精製工程:1)硫安沈殿; 2)DEAEセファロースカラムクロマトグラフィー;3)クロマトフォーカシング;及 び4)抗体アフィニティークロマトグラフィーを利用する。この方法の利点とし ては、公に入手可能な材料を利用すること、すべての志賀毒素を精製できること 、およびヒトに使用するための志賀毒素を精製できることが挙げられる。その欠 点は、この試験が少なくとも3週間を要することである。 細菌由来の志賀毒素を精製するためのもう1つの周知の方法は、Keuschらによ って開発されたものである(Donohue-Rolfeら,Infect.Immun.57:3888(1989);A chesonら,Microb.Pathog.14:57(1993))。この方法では志賀毒素レセプターア ナログが利用される。このレセプターアナログは、ヒツジ腸管中の単包条虫嚢胞 物質(HCM)由来のPl糖タンパク質(Plgp)である。この方法には3つの精製工程:1 )硫安沈殿;2)Blueセファロースクロマトグラフィー;3)Plgpカラムクロマトグ ラフィーが含まれる。PlgpはHCMから調製しなければならない。この方法は標準 的な方法よりも迅速であるが、依然として少なくとも2週間以上を要する。この 包虫嚢胞物質は、感染したヒツジから得なければならないが、公に入手すること ができない。この方法には、Plgpに結合する志賀毒素だけしか利用できないとい う更なる欠点があり、しかも汚染の可能性もあるため、ヒトに使用するための志 賀トキソイドを得るのに適していない。 組換え法を使用して、志賀毒素遺伝子または志賀毒素遺伝子の一部分のクロー ニング、および細菌中での発現、ならびに精製が行われた。Zollmanら,Prot.E xpression Pur.5:291(1994)では、組換えStx1 A1断片の精製が行われた。Aches onら,Infect.Immunol.63:301(1995)では、Stx2 Bサブユニットの発現および 精製が行われた。Downesら,Infect.Immun.56:1929(1988)では、細菌中でのst x2遺伝子発現およびStx2の精製が行われた。しかしながら、発現後に精製を行う これらの方法は、本質的には標準的な方法または包虫嚢胞法そのものであり、従 って、それと同じ欠点を有していた。 志賀毒素の精製法を探索する中で、本出願人らは、ヒスチジン-タグ付き志賀 毒素の形成に基づいた精製方法を開発した。ヒスチジンタグ付けを行う方法は、 当該技術分野で公知である。例えば、Fryxellら,Biochem.Biophys.Res.Comm .,210:253-259(1995)では、真核生物の毒素リシンのA鎖にケンプチドおよびヒ スチジンをタグ付けした後、Bサブユニットとの会合が行われた。リシン毒素と 志賀毒素は、起源(原核生物対真核生物)およびBサブユニットの構造(リシンBサ ブユニットは単一ポリペプチドであって五量体ではない)が異なる。更に、Fryxe llらはHis-タグを有するAサブユニットを発現させたにすぎない。このほか、Str aussら,FEMS Microbiol.Lett.,127:249-254(1995)では、コレラ毒素Bサブユ ニットのC-末端へのhis-タグ付けおよびhis-タグ付きBサブユニット-IgAプロテ アーゼ融合タンパク質の発現が行われた。しかしながら、この場合には、His-タ グを有する毒素全体の発現は含まれておらず、発現された融合タンパク質は多量 体化を起こさなかった。最後に、Terbush & Novick,J.Cell.Biol.,130:299- 312(1995)では、多ユニット酵母タンパク質のC-末端へのタグ付けが行われた。 これには原核生物の系よりもむしろ真核生物の系が含まれている。更に、機能的 に活性な志賀毒素を発現するには、その多量体コンホメーションを保持する必要 があるうえに、そのレセプター結合および酵素的活性をも保持する必要がある。 タンパク質のHis-タグ付けは公知であるが、志賀毒素のHis-タグ付けがうまく 行えるということは予測されなかった。当業者は、His-志賀毒素融合体は細胞毒 性を失うと考えていたであろう。なぜなら、当業者は、His-タグを毒素のアミノ 酸末端に付けるとその活性が破壊されると予測していたと思われるからである。 更に、多ユニット毒素は追加のアミノ酸と融合させると毒性を喪失する傾向が増 大すると予測していたであろう。なぜなら、酵素的活性および細胞レセプターへ のBサブユニットの結合のために、毒素はそのコンホメーションを保持しなけれ ばならず、しかもアミノ酸を追加すると適切なコンホメーションが破壊されると 予測していたと思われるからである。当業者は、分子のコンホメーションおよび 荷電が志賀毒素に決定的な影響を与えるものであることに気づいているであろう 。例えば、当業者は、Pereraら,Infect.Immunol.,59:829-835(1991)に報告さ れているようにStx2Aから数個のN-末端アミノ酸を除去すると酵素的活性が破壊 されることが分かるであろう。同様に、BサブユニットのC-末端の変化によって 毒性が影響を受けた。(Pereraら,supra)。更に、Pereraらは、分子の荷電が重 要な役割を果たすと提言した。志賀毒素のコンホメーションを保持することの重 要性については、極めて類似したStx1AおよびStx2Bサブユニットを組み合わせて も活性な毒素が得られないという知見によっても更に裏打ちされる。(Weinstein ら,Infect.Immun.57:3743-3750(1989))。こうした知識に基づいて、当業者は 、ヒスチジン残基を有する志賀ホロ毒素をタグ付けすると毒素産物のコンホメー ションおよび荷電が悪影響を受けると予測したであろう。 驚くべきことに、AおよびBサブユニットを含有する志賀毒素のhis-タグ付けを 行ったところ、標準的な方法で精製された志賀毒素と類似の特異的活性を有する 機能性志賀毒素が得られた。更に、His-志賀毒素は、志賀毒素に対する特異的な モノクロナール抗体によって中和される。実施例Iでは、His-志賀毒素融合タン パク質をいかにして作製するかについて説明する。 以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、これにより本発明が限定 されるものではない。これらの実施例をみれば、変更が可能であることが当業者 には分かるであろうが、こうした変更も依然として本発明の範囲内にある。本発 明の範囲は、請求の範囲によって規定される。 実施例I A. His-タグ付き志賀毒素をコードするプラスミドの構築 stxオペロンのPCR増幅、制限酵素によるPCR産物の消化、および適切なベクタ ー中へのフレーム内断片の連結を行うことにより、His-Stx融合クローンを作製 した。発現ベクターおよびプライマーを用いて、毒素のアミノ酸末端にヒスチジ ン残基を配置し、この構築物をIPTG-誘導性プロモーター(pQEベクター)(Qiagen, Inc.,9600 DeSoto Avenue,Chatsworth,CA91311,1-800-362-7737)またはT7プ ロモーター(pt7-7)(Taborら,Proc.Natl.Acad.Sci.82:1074(1985))のいずれ かの制御下に置いた。His-Stx融合クローンの作製方法については以下でより詳 細に説明する。 1.細菌株およびプラスミド。この研究で使用した細菌株およびプラスミドは 、表1に示されている。 表1. この研究で使用した細菌株およびプラスミド。 a=Lindgrenら,Infect.Immunol.61:3832(1993) b=Newlandら,「大腸菌株933のファージ由来の志賀様毒素構造遺伝子のクロー ニング」,Advances in Research on Cholera and Diarheas(S.Kuwahara & N. F.Pierce eds.1994) c=Lindgrenら,Infect.Immunol.62:623(1994) d=Taborら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:1074(1985) 2.培地および酵素。 細菌株はLブイヨン(1リットルあたり、10gのトリプト ン、5gの酵母エキス、5gのNaCl)中で増殖させた。カナマイシン、テトラサイク リン、およびアンピシリン(Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)) を、必要に応じてそれぞれ25、10、および100μg/mlの最終濃度で培地に添加し た。制限エンドヌクレアーゼ、子ウシ腸内ホスファターゼ、およびリガーゼは、 Broehringer Mannheim(インディアナ州インディアナポリス)またはU.S.Bioch emicals Corporation(オハイオ州クリーブランド)の製品であった。酵素は、 製造業者の指示に従って使用した。 3.プライマーおよびPCR。 志賀毒素遺伝子は、当分野の標準的な技法であ るポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりクローン化される。成熟Aサブユニット遺伝 子の最初のコドンから始まりBサブユニット遺伝子の終結コドンの下流で終わるs tx毒素オペロンを増幅するようにプライマーを設計し、標準的な技法を用いて作 製した。プライマーには、毒素オペロンの末端のユニーク制限部位を産生する認 識配列が含まれていた。好ましい実施態様において、5'プライマーにはまた、ヒ スチジン残基の除去を可能にするプロテアーゼエンテロキナーゼの認識配列をコ ードする配列が含まれていた。使用したプライマーは表2に示されている。 表2.使用したプライマー。 stx毒素をコードする配列は、PCRキット(GeneAmpキット、Perkin-Elmer Cetus (コネチカット州ノーウォーク))を用いて毒素クローンから増幅したが、この 際、製造業者の指示に従ってキットを使用した。得られたstx PCR産物は図6a、6 b、6c、7a、および7bに示されているように約1200bpであった。DNA産物には、成 熟AサブユニットおよびプロセッシングされていないBサブユニットに対するコー ティング配列が含まれている。 クローニングの手順は当分野で周知であり、Maniatis,Molecular Cloning:AL aboratory Manual(1982)にその説明がある。 4.DNA処理。 Holmes and Quigley,Anal.Biochem.,114:193-197(1981 )の方法によりプラスミドDNAを単離した。このほか、Qiagenカラム(Qiagen Inc .(カリフォルニア州チャッツワース))を用いてプラスミドDNAを精製した。制 限エンドヌクレアーゼを用いてPCR産物を消化し、pQE30/32ベクター(Qiagen,In c.)中またはベクターpT7-7中に連結した。PCR反応および連結については表3にま とめられている。 表3:PCR反応および連結。 aこれらのプラスミドの構築は現在進行中である。 具体的に説明すると、クローンpQHEIIは次のようにして構築した: プラスミドpJES120は、stx2オペロンを増幅するためのPCR反応におけるプライ マーIIECおよびIIH3を含有する鋳型であった。得られたPCR産物は、成熟Aサブユ ニット遺伝子の最初のコドンから始まり、Aサブユニット遺伝子、完全Bサブユニ ット遺伝子を介して伸長し、Bサブユニット遺伝子の終結コドンの丁度下流で終 わるものであった(図6b)。ベクタープラスミドpQE30の場合と同じように、制限 エンドヌクレアーゼBam HIおよびHind IIIを用いてPCR産物を消化させた。ベク ターpQE30を選択した理由は、PCR産物をBamHI部位でpQE30に連結させることによ り、6個のヒスチジン残基と、エンドキナーゼ開裂部位と、追加アミノ酸と、成 熟Aサブユニットの+1残基とのフレーム内タンパク質融合体が得られるからであ る。消化させたPCR産物を消化させたベクターpQE30に連結させた。連結反応生成 物を菌株XL1-Blue中に導入して形質転換し、アンピシリンの入った寒天上でプレ ーティングした。約1200bp BamHI/HindIII DNAインサートを含有するプラスミド の存在するコロニーをスクリーニングした。毒素発現のIPTG誘導(実施例II)およ びそれに続くベロ細胞に対する細胞毒性試験(実施例III)により、クローンの確 認を行った。次に、毒素の大量生産を行うために、陽性クローンをM15(pREP4)中 に導入して形質転換させた。 実施例II His-タグ付き志賀毒素の大量精製 志賀毒素には多サブユニット特性があるため、非変性条件下でHis-志賀毒素の 精製を行った。菌株を選択寒天プレート上に線条接種し、37℃で18〜24時間イン キュベートした。次に、一晩培養物20mlをコロニーから採取した。その後、この 飽和培養物を構成物質が入った1リットルのLブイヨン中に加えて1/50に希釈し、 O.D.600が0.7〜0.9に達するまで37℃で培養物を増殖させた。次に、IPTG(最終濃 度2mM)を添加してHis6タグ付き毒素の発現を誘導し、培養物を更に5時間増殖さ せた。細胞をペレットにし、ペレットを-70℃で一晩保存した。超音波処理用緩 衝液(50mMリン酸ナトリウム(pH8.0)、300mM塩化ナトリウム、20mMイミダゾール 、30μg/ml PMSF)中にペレットを再懸濁させ、細胞を超音波処理にかけて毒素 を放出させた。このほか、4℃において3時間かけて細胞をポリミキシン-B(最終 濃度2mg/ml)で処理した。抽出物を遠心分離にかけて浄化し、ミリポア0.45μm フィルターに通して濾過した。 ニッケル‐ニトリロ三酢酸配位子(Ni-NTA)ゲルを超音波処理用緩衝液で平衡化 し、このゲルに細胞抽出物を添加した。室温または4℃において1時間かけてタン パク質を結合させた。超音波処理用緩衝液でゲルを洗浄し、更に、洗浄用緩衝液 (50mMリン酸ナトリウム(pH8.0)、300mM塩化ナトリウム、20mMイミダゾール、30 μg/ml PMSF、10%グリセロール、1%ツイーン(tween)-20)で洗浄した。イミ ダゾールの濃度勾配(tween-20を含有しない洗浄用緩衝液中に0〜500mM含まれる) を利用してゲルからタンパク質を溶離させ、1mlごとに画分を収集した。 この画分のベロ細胞に対する細胞毒性を調べ(これについては実施例IIIで説明 する)、SDS-PAGEおよび銀染色処理にかけた。細胞毒性が高く比較的清浄な画分 をプールし、これを超音波処理用緩衝液に対する透析処理にかけた。次に、この プールをNi-NTAスピンカラム(Qiagen)上に入れ、His6-毒素を更に精製し、こう して得られた2つの画分をPBSに対する透析処理にかけた。精製された毒素の特異 的活性を決定するために、最後に細胞毒性アッセイおよびBCAタンパク質アッセ イを行った。 上述のプロトコルは、Qiagenから提示された非変性プロトコルをHis-タグ付き タンパク質の精製用に変更したものである。しかしながら、溶出された毒素には 多くの混入物が含まれていた。より純度の高いHis-志賀毒素を得るために、いく つかの変更を加えた。具体的には、洗浄用緩衝液にTween-20を添加し、洗浄用緩 衝液のpHを8に調節した。また、最終のNi-NTAスピンカラムを追加した。 Ni-NTAカラムによりHis-志賀毒素を精製するためのこのワンステップHis-アフ ィニティ法には、表4にまとめられているように、既存の方法よりも優れたいく つかの利点がある。 表4.毒素精製方法の比較 a 菌株を寒天プレート上に線条接種してからの期間。これには、少なくとも1. 5週間はかかる包虫嚢胞物質由来のPlgpの調製期間は含まれていない。b これには、包虫嚢胞物質由来のPlgpの精製およびカラムの準備に必要な多数 の工程は含まれていない。 Ni-NTAワンステップ法は、相対速度および簡単の点で優れている。この方法は 少なくとも1週間を要するが、他の方法では最低でも2週間以上かかる。更に、材 料はいずれも容易に入手可能であり、この方法はPlgpに結合する志賀毒素に限定 されることもなく、しかも産物はヒトに使用するのに適している。 この方法によって得られる志賀毒素には多くの用途がある。例えば、志賀毒素 検出キット中の陽性対照抗原としてHis-志賀毒素を使用してもよい。こうしたキ ットでは、精製されたHis-志賀毒素がサンプル中の毒素に対する陽性指標として 使用されるであろう。他の用途については以下の実施例中で説明する。 実施例III His-志賀毒素の生物学的および免疫学的活性の検証 A.ベロ細胞毒性アッセイ 実施例IおよびIIに記載の方法に従って得られたHis-志賀毒素の細胞毒性を、 ベロ細胞に対する細胞毒性を調べることによって検証した。His-志賀毒素を発現 した菌株に関する細胞毒性アッセイは、本質的には、Gentry and Dalrymple,J .Clin.Microbiol,12:361-366(1980)の記載に従って行った。簡単に述べると 、His-志賀毒素の発現を誘導した培養物を超音波細胞溶解により破壊し、遠心分 離により浄化した。逐次、抽出物を組織培養培地(10%ウシ胎児血清、0.8mMグル タミン、1mlあたり500UのペニシリンG、および1mlあたり500mgのストレプトマイ シンを含有するDulbecco改質Eagle培地)に加えて希釈した。約104個のベロ細胞 を含有する培地100μlが入ったマイクロタイタープレートのウェルに、細胞溶 解産物の10倍希釈液100マイクロリットルを添加した。5%CO2中において37℃で48 時間かけて組織培養細胞をインキュベートし、次に、固定してクリスタルバイオ レットで染色した。固定および染色された細胞の色の強度を、Titertekリーダー を用いて620nmで測定した。 B.抗血清中和アッセイ 実施例Iに記載の方法に従って得られたHis-志賀毒素の抗血清中和試験を行っ た。細胞毒活性の中和については、Schmittら,Infect.and Immun.,59:1065-1 073(1991)の中でかなり詳細な説明が行われた。簡単に述べると、Stx1またはStx 2に対して特異的なモノクロナールもしくはポリクロナール抗血清の一連の希釈 液を用いて細胞溶解産物を37℃で2時間インキュベートした。次に、100マイクロ リットルのサンプルを上述したようにベロ細胞に添加した。中和パーセントは、 次式を用いて決定した。 {[A620(毒素+抗体)-A620(毒素)]/A620(未処理細胞)}×100 実施例IV His-志賀毒素および他のタンパク質を含有する融合体の構築 当分野で周知の方法を用いて、His-志賀毒素と目的とするもう1つのタンパク 質とを融合させることができた。これらの方法には、クローニングや融合タンパ ク質の発現の場合のような化学的および遺伝的方法が含まれるが、他の方法につ いても当業者には自明である。(D.V.Goeddell,Meth.Enzymol.Vol.185(1990 );Itakura,Science 198:1056(1977))。例えば、志賀毒素および他の毒素(タン パク質X)に対する免疫処理を行うための混合ワクチンが望まれる場合、これらの 2つの毒素を融合させて単一のタンパク質にすることができる。これは次のよう にして行うことができる。最初に、フレーム内ヒスチジン残基に対するコドンを タンパク質Xのコーティング領域にクローン化する。次に、His-タンパク質Xを含 有する断片を志賀毒素オペロンのフレーム内にサブクローン化する。好ましい実 施態様において、この断片を志賀毒素オペロンのA2-B部分にフレーム内サブクロ ーン化する。理想通り機能すれば、得られたHis-タンパク質X-A2-B5融合体によ り、志賀毒素およびタンパク質Xに対する免疫処理がなされるであろう。 当業者は、病原体由来の様々なタンパク質およびハプテンをHis-志賀毒素にコ ンジュゲートしうることが分かるであろう。ハプテンおよび抗原は、細菌、リケ ッチア、真菌、ウイルス、寄生体、薬剤、または化学薬品から誘導可能であるが 、これらに限定されるものではない。こうしたものの中には、例えば、ペプチド のような小分子、オリゴ糖、および毒素が含まれる。また、特定の抗菌剤、腸中 に吸収されうる化学的治療薬を、送達する標的志賀毒素に結合してもよい。なぜ な ら、Bサブユニット五量体は腸中のレセプターに結合するからである。コンジュ ゲーション法は当分野で周知である。こうした方法については、例えば、Goedde l,「異種遺伝子発現のための系」,Meth.Ezymol.,185(1990)、Itakura,「ソ マトスタチンホルモンに対する化学合成遺伝子の大腸菌中での発現」,Science, 198:1056-1063(1977)、およびGoeddelら,「ヒトインスリンのための化学合成遺 伝子の発現」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,281:544-548(1979)に記載されて いる。 コンジュゲーションは、標準的な分子技術によりHis-志賀トキソイドを遺伝子 的に融合することによって、または多糖へのコンジュゲーションによって実施し てもよい。コンジュゲーションの方法には、M.Brunswickら,J.Immunol,140: 3364(1988)ならびに「タンパク質コンジュゲートおよび架橋の化学」,CRC pres s,Boston(1991)に概説されている方法も含まれる。志賀トキソイドを他のタン パク質または多糖に結合させると、他の病原体由来の疾患が防止されるであろう 。 実施例V His-志賀トキソイド 免疫反応性はあるが毒素原性はない形態の志賀毒素が、動物における免疫処理 を行うために必要である。このようなHis-志賀トキソイドは、化学的または遺伝 子的方法を用いて形成することができる。化学的方法には、Pereraら,J Clin.M icrobiol.26:2127(1988)に記載されているようにホルムアルデヒドまたはグル タルアデヒドを用いてHis-志賀毒素を処理する方法が含まれる。簡単に述べると 、100μgのタンパク質を含有する毒素のサンプルを、1%ホルムアルデヒドを含 有した0.1M Na2HPO4(pH8.0)を用いて37℃で3日間処理し、リン酸緩衝塩類溶液(P BS)に対する透析処理にかけて残留ホルムアルデヒドを除去する。グルタルアデ ヒドで処理することによりHis-志賀トキソイドを調製するために、50μgのタン パク質を含有する粗製毒素サンプルを、0.11%グルタルアデヒドを含む0.1M Na2H PO4(pH8.0)中において37℃で30分間インキュベートする。次に、実施例IIIに記 載したように、ベロ細胞に対するトキソイドの細胞毒性の損失に関する試験を行 う。 遺伝子的には、Gordonら,Infect.Immun.60:485(1992);Hovdeら,Proc.Nat l.Acad.Sci.85:2568(1988);Jacksonら,J.Bacteriol.172:3346-3350(1990) に記載されているように位置指定突然変異誘発によりトキソイドを産生してもよ い。遺伝子の位置指定突然変異誘発のためのいくつかの方法およびキットが存在 する。こうした方法の1つは、Bio-Rad Muta-Gene in vitro突然変異誘発キット を利用するものである。毒素遺伝子中の特定のコドンを変更するオリゴヌクレオ チドのデザインおよび合成を行うことができる。この突然変異誘発キットの製造 業者により提供された指示書に従えば、ウラシルの導入された一本鎖標的プラス ミドDNAの突然変異が誘導されるであろう。この場合、ヌクレオチドの変化はDNA 配列解析によって確認される。 His-志賀毒素の場合、酵素的活性に必須の2つ以上のアミノ酸を変更しなけれ ばならない。例えば、標的サブユニットは残基E167およびE170である。この突然 変異から得られる志賀トキソイドは、ブタのワクチン接種に使用されてきた。(G ordonら、上記)。 実施例VI His-志賀毒素およびトキソイドを用いた志賀毒素に対する受動免疫 A. His-志賀毒素に対する特異的抗血清 志賀毒素に対して特異的な抗血清は、EHECおよびシゲラ・ディセンテリエ1型 が原因の命にかかわる感染症を治療および予防するために必要である。具体的に は、子供が感染した場合、その子供とその子供の家族のメンバーまたはその子供 が所属する保育グループの子供たちにHis-志賀毒素血清を投与することにより、 防御免疫応答を得ることができる。防御免疫応答とは、患者が感染を回避できる ようにするための、感染症の危険度もしくは発病度を低下させるための、または 胃腸管での細菌の転移増殖能を減少させるための十分な抗体を産生する免疫応答 を指す。 抗志賀毒素血清をマウスに投与すると通常は致命的なEHECの感染に対する抵抗 力が得られることが動物実験によって示された。(Lindgrenら,Infect.Immun.6 2:623(1994);Wadolowskiら,Infect.Immun.58:3959)。従って、出願人らは、 抗志賀毒素血清をヒトおよび他の哺乳動物に投与すれば、志賀毒素感染症に 対する防御免疫応答が得られるだろうと考えている。 受動免疫処理のための抗血清を産生する方法は当分野で周知である。例えば、 実施例VIに記載の方法によって得られるHis-志賀トキソイドは、ウマなどの哺乳 動物に腹腔内投与することができる。Hibbsら,Clin.Infect Dis.,23:337-40( 1996)に報告されているように、現在、ヒトに投与するための抗ボツリヌス毒素 血清を作製するためにウマが使用されているが、こうしたウマを使用する方法は 、志賀毒素の抗血清を作製するうえで好ましいものであろうと思われる。His-志 賀トキソイドを用いて数回の追加抗原刺激を行った後、免疫されたウマ(または 他の哺乳動物)の血清による志賀毒素の細胞毒性の中和試験を行うことになろう 。有利なことに、この方法を用いて大量の血清を迅速に作製することができる。 しかしながら、最初に、ウマ血清に対する免疫反応に関して患者をスクリーニン グしなければならない。この目的のために、少量のウマ血清を皮下注射し、患者 の反応を測定することになろう。毒素に対するウマ抗血清をヒトに投与するこう した方法は、当業者には周知である。Hibbsら(上記)、;Dehesa and Possani, Toxicon,32:1015-1018(1994);Gilanら,Toxicon,27:1105-1112(1989)。 より好ましくは、ヒトボランティアに対してHis-志賀トキソイドを皮下投与ま たは経口投与することができる。次に、これらのボランティア由来の血漿を単離 し、そのヒト抗His-志賀毒素血清を患者に投与することができる。この方法から は血清病の危険は生じない。Hemophilus influenzae b、Streptococcus pneumon iae、およびNeisseria meningitidisに対するヒト高度免疫グロブリンは、以前 に、他者によって調製された(Siberら,Infect.and Immun.,45:248-254(1984) )。 B.志賀毒素に対するワクチン 本発明の実施態様は、志賀毒素感染症に対するワクチンである。例えば、これ らのワクチンとしては、His-志賀毒素に対して誘導される抗体、すなわち、実施 例VIIで得られる抗体が挙げられるが、これについては実施例VII中で更に説明す る。このほか、これらのワクチンは、実施例IVに記載されているように他のタン パク質、ハプテン、または抗原に融合またはコンジュゲートしたHis-志賀トキソ イドを含む混合ワクチンであってもよい。これらのワクチンは、当分野で周知の 方法により腹腔内投与または注入投与することができる。 His-志賀毒素もしくはトキソイドおよびそれらの融合体を投与する好ましい方 algary,Alberta,Canada,T2N3P5)にコンジュゲートする方法である。SynSorb は、志賀毒素レセプター(Gb3)が共有結合される砂様物質である(Armstrongら,J .Infect.Dis.,171:1042(1995))。この化合物は、志賀毒素に結合することが 分かっており、ヒトが摂取しても安全であると思われる(Armstrongら,上記)。S ynsorbは、Bサブユニット五量体-レセプター反応を介してBサブユニット五量体 に結合される。Synsorbとのコンジュゲーションによって更に安定性が増大する 。 本発明のもう1つの実施態様としては、核酸ワクチンの投与が挙げられる。His -志賀トキソイドをコードするDNAは、DNAのままの状態で患者に注入されるか、 またはレトロウイルス、アデノウイルス、もしくは当分野で周知の他の担体など の担体系により患者の体に送られる。投与すると、患者は、一時的に発現される 外来抗原に対する免疫応答を開始する。 現在、核酸ワクチンはいずれも、一般的には、臨床試験を間近に控えている。 ワクチンに対するこうしたアプローチの仕方には、所望の抗原をコードするDNA を非複製プラスミドベクター中に挿入することによって該遺伝子を宿主中に送り 込む工程が含まれる(Marwick,C.JAMA 273:1403(1995);総説、Vogel,F.R.and N.Sarver,Clin.Microbiol.,Rev.8:406(1995))。 このようなワクチンの防御能力を実証した最初の報告では、インフルエンザA 型ウイルス(A/PR/8/34)の核タンパク質(NP)をコードするプラスミドDNAを筋肉内 注入すると、BALB/cマウス中において異種菌株のインフルエンザウイルス(A/HK/ 68)に対して防御免疫応答が誘導されることが明らかにされた(Ulmer,J.B.らSc ience 259:1745(1993))。免疫された動物では、肺におけるウイルス力価が低下 し、体重の減少が抑えられ、更に、抗原投与された対照マウスと比較して生存数 が増大した。NP特異的細胞毒性Tリンパ球(CTL)およびNP抗体の両方が産生された 。NP抗体は防御性を付与するうえで効果はなかったが、CTLはウイルスに感染し た細胞を死滅させ、更に、適切な主要組織適合複合体クラスI制限ペプチドエピ ト ープが適用された細胞を死滅させた。 もう1つの研究では、インフルエンザウイルスA/PR/8/34の血球凝集素をコード するプラスミドDNAを筋肉内注入すると、異種致死インフルエンザウイルスの攻 撃からマウスを守る中和抗体が産生されることが明らかにされた(Montgomery,D .L.らDNA Cell Biol.12:777(1993))。 実施例VII His-志賀抗体 His-志賀抗体もまた、志賀毒素に関連した感染症の治療、診断、および予防に 利用することができるが、このHis-志賀抗体はモノクロナール抗体およびポリク ロナール抗体のいずれであってもよい。特異性が高いという理由で、モノクロナ ール抗体が好ましい。His-志賀毒素抗体をヒトまたは他の哺乳動物に投与して防 御免疫応答を誘導することにより治療または予防を行うことができる。抗体は、 生理学的に許容しうる担体に組み込んで経口投与または腹腔内投与してもよい。 この目的のためにはモノクロナール抗体が好ましく、ヒト化モノクロナール抗体 は特に好ましい。モノクロナール抗体を用いてヒトで陽性臨床応答が得られてい るので、いかにして志賀モノクロナール抗体をヒトに適用するか当業者には分か るであろう。Fagerbergら,「モノクロナール抗体で治療した患者の腫瘍退縮は 抗イディオタイプ反応性Tリンパ球の存在と相関がある」,Cancer Research,55 :1824-27(1995);「神経芽細胞腫の患者におけるヒト/マウスキメラ抗ガングリ オシドGD2抗体ch14.18の第1相試験」,Eur.J.Cancer,2:261-267(1995)を参照 されたい。 本発明のもう1つの実施態様には、抗体を使用した志賀毒素感染症の診断が含 まれる。抗体は、周知のイムノアッセイ法を用いて、糞便サンプルのような患者 由来のサンプルと接触させる。また、抗体は、ウシ糞便のようなウシ由来のサン プル中の志賀毒素の検出に使用してもよい。更に、抗His-志賀毒素抗体を検出用 として肉の試験に利用してもよい。His-志賀毒素抗体を含んでなる検出用キット をこの目的のために使用することもできる。 例えば、サンドイッチElisaを使用することができる。このキットの場合、ウ サギ抗His-志賀毒素抗体を用いて試験対象サンプルから毒素を取り出すことがで きる。その際、ヒツジ抗His-志賀毒素抗体を添加し、続いて、ホースラディッシ ュペルオキシダーゼにコンジュゲートさせたマウスα-ヒツジ抗体のような二次 抗体を添加してもよい。この抗体は標準的な方法で検出可能である。 His-志賀毒素ポリクロナール抗体およびモノクロナール抗体については以下で 説明する。 A.ポリクロナール抗体の作製 Harlow,E.and D.Lane(eds),Antibodies-a Laboratory Manual,Cold Spr ing Harbor,New York(1988)の技法に従ってもよい。本明細書中では一般的な手 順について概説する。免疫処理される各マウスから事前に血液を採取する:尾の 静脈からエッペンドルフ管中に血液を取り出す。37℃で30分間インキュベートし 、滅菌済みの楊枝で穏やかに攪拌し(血餅をほぐす)、4℃で一晩保存する。翌朝 、小型遠心分離機にかけて10,000rpmで10分間回転させ、血清を回収する(すなわ ち、上清;赤血球は沈殿する)。血清を-20℃で保存する。得られた血清は、マウ スに免疫処理を施した後、陰性の対照として使用される。 25μgのHis-志賀トキソイドをBALB/cマウスの腹腔内に注入する(製造業者(Cy tRyx Corp.,154 Technology Pkwy.,Norcross,GA.30092,800-345-2987)の使 用説明書に従ってTitremaxアジュバントを使用する)。2週間経過後、同様の注射 を行って抗原投与し、7日間経過後、尾の静脈からエッペンドルフ管中に血液を 採取する。37℃で30分間インキュベートし、滅菌済みの楊枝で穏やかに攪拌し( 血餅をほぐす)、4℃で一晩保存する。翌朝、小型遠心分離機にかけて10,000rpm で10分間回転させ、血清を収集する。血清を-20℃で保存する。 B. ELISAによる抗体の力価試験 Harlow,E.and D.Lane(eds),Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Sp ring Harbor,New York(1988)の技法に従ってもよい。一般的な手順について以 下で概説する。 (1)PBS中50ng/ウェルでHis-志賀トキソイドをプラスチック製マイクロタイタ ープレートに結合させる。RT(室温)で2時間または4℃で一晩インキュベートする 。 (2)プレートをPBSで2回洗浄する。 (3)RTにおいて100μlのブロッキング溶液[3%ウシ血清アルブミン(Sigma Chem ic al(ミズーリ州セントルイス))および0.02%アジ化ナトリウム(Sigma)を含有す るPBS−ストックを4℃で保存する]でウエルを1〜2時間ブロックする。 (4)プレートをPBSで2回洗浄する。 (5)一次抗体=ブロッキング溶液で希釈された50μlの試験用血清。例えば、最 初に1:50で希釈し、続いて1:2で11回希釈するか、または最初に1:50で希釈し、 続いて1:10で11回希釈する。2h/RTでインキュベートする。 (6)PBSで4回洗浄する。 (7)二次抗体=アフィニティ精製されたヒツジホースラディッシュコンジュゲー ト化抗マウスIg(Boehringer Mannheim Corp.,9115 Hague Rd.,P.O.Box 50414 ,Indianapolis,IN.46250,800-262-1640)。アジ化物を含有しないブロッキン グ溶液で1:500に希釈された二次抗体を添加する。1h/RTでインキュベートする。 (8)PBSで4回洗浄する。 (9)各ウェルに100μlのTMBペルオキシダーゼ基質を添加する(製造業者BioRad Labs,3300 Regatta Blvd.,Richmond,CA.94804の使用説明書に従って調製す る)。青色に発色させる(10分以下)。100μlのH2SO4を用いて反応を停止させる 。450nmでプレートの発色を調べる。 力価は、マウス予備免疫血清に対して得られる吸光度の値よりも0.2単位以上 大きい吸光度の値として定義付けられる。 動物から得られた抗志賀毒素抗体は、ヒトに対する該抗体の特異性を変化させ れば臨床的に使用可能である。こうした技法は当業者には周知である。G.Winte rら,「人造抗体」,Nature,349:293-299(1991);P.T.Jonesら,「マウス由来 の相補性決定領域によるヒト抗体中の相補性決定領域の置換」,Nature,321:52 2-525(1986);P.Carterら,「ヒト癌治療のための抗p185HER2抗体のヒト化」,P roc.Natl.Acad Sci.USA,89:4285-4289(1992)。こうした抗体を感染した患者 の親族に適用すれば、その親族が感染する危険性は低下する可能性がある。 C. His-志賀毒素に対するモノクロナール抗体の増量 志賀毒素に対してモノクロナール抗体は、EHECおよびシゲラ・ディセンテリエ 1型感染症から患者を受動的に保護するために使用される。モノクロナール抗体 はマウス細胞から産生され、これらの抗体の特異性はヒトに使用できるように変 更される。G.Winterら,「人造抗体」,Nature,349:293-299(1991);P.T.Jone sら,「マウス由来の相補性決定領域によるヒト抗体中の相補性決定領域の置換 」,Nature,321:522-525(1986);P.Carterら,「ヒト癌治療のための抗p185HER 2 抗体のヒト化」,Proc.Natl.Acad Sci.USA,89:4285-4289(1992)。モノクロ ナール抗体は、患者に投与するためのより「高純度」の抗体を提供する。 Harlow,E.and D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York(1988)に概説されている手順は次の通りである:4〜5週齢の雌 BALB/cJマウスを用意し、100μlのTiterMax中に懸濁させた25μgのHis-志賀ト キソイドを用いて腹腔内免疫処理を施す。その後、2週間おきに2回にわたり、10 0μlのTiterMax中に懸濁させた25μgのHis-志賀トキソイドを用いてマウスの 腹腔内に抗原投与を行った。各抗原投与を行ってから7日間経過したときに、尾 の静脈から血液(およそ300〜500μl)を採取する。ELISAにより血清のアッセイ を行い、抗志賀毒素抗体が存在するかを調べる(上述した通り)。 力価の高い抗His志賀毒素抗体を産生するマウスに、100μlのPBS中の25μg のHis-志賀トキソイドを用いて静脈内および腹腔内の両方に抗原投与を行い、3 日後に犠牲にして血清を回収する。脾臓細胞を単離し、骨髄腫細胞1個に対して 脾臓細胞10個の比でSp2/0-Agマウス骨髄腫細胞(ATCC ♯CRL1581)に融合する。融 合細胞を微量希釈プレートに分布させ、培養3〜4週間後、ELISAにより培養物上 清のアッセイを行って抗His-志賀毒素抗体の産生を調べる。抗His-志賀毒素抗体 の産生に関して陽性である培養物を膨張させ、限界希釈法により2回クローン化 を行う。 当業者は、上記の開示内容に基づいて本発明をいかに利用および実施するかを 理解するであろう。本発明の他の実施態様は、本明細書中に開示されている本発 明の詳細な説明および実施の内容を考慮することにより当業者には自明であろう 。詳細な説明および実施例は単なる例示にすぎないとみなすべきものであって、 本発明の真の範囲および精神は、次の請求の範囲によって規定される通りである 。
【手続補正書】 【提出日】平成12年6月13日(2000.6.13) 【補正内容】 (1) 請求の範囲を別紙1のとおり補正する。 (2) 明細書第5頁第6行の「Aサブユニット」の後に「(配列番号10)」を挿入する。 (3) 明細書第5頁第6〜7行の「Bサブユニット」の後に「(配列番号11)」を挿入す る。 (4) 明細書第5頁第10行の「Aサブユニット」の後に「(配列番号12)」を挿入する。 (5) 明細書第5頁第10〜11行目の「Bサブユニット」の後に「(配列番号13)」を挿入 する。 (6) 明細書第5頁第13行の「推定DNA配列」の後に「(配列番号14)」を挿入する。 (7) 明細書第5頁第16行の「推定DNA配列」の後に「(配列番号15)」を挿入する。 (8) 明細書第5頁第19行の「a〜c」を「a(配列番号16)、b(配列番号17)および c(配列番号18)」と補正する。 (9) 明細書第5頁第22〜23行の「図7aおよび図7b」を「図7a(配列番号19)およ び図7b(配列番号20)」と補正する。 (10)明細書第12頁の表2において、制限部位の列の右に「配列番号」の列を設け、 表2の9行の各々について同列に上から順に「配列番号1」、「配列番号2」、 「配列番号3」、「配列番号4」、「配列番号5」、「配列番号6」、「配列番号7」 、「配列番号8」及び「配列番号9」と記入する。 (11)明細書第12頁の表2において、第8行(SLTIH5)の「プライマー配列(5'−3')」 の塩基配列中、右から5番目の「E」を「A」と補正する(図6Cの塩基香号42 に基づく補正)。 (12)図6Aを別紙2のとおり補正する(PCT第26規則により提出した差換え 図面に生じた誤記を当初の正しい記載に戻すもので、具体的には塩基番号43 4-435、603、881-885、888、890-895、897-898及び900が訂正されている)。 (13)図6Cを別紙3のとおり補正する(PCT第26規則により提出した差換え 図面に生じた誤記を当初の正しい記載に戻すもので、具体的には塩基番号10 21が訂正されている)。 請求の範囲 1.ヒスチジンタグを有する志賀毒素を含むポリペプチド。 2.免疫反応性であるが非毒素原性の形態の請求項1記載のポリペプチドを含む ポリペプチド。 3.第2のポリペプチドまたはその一部分に融合された請求項1または2記載の ポリペプチドを含む融合タンパク質。 4.a)ヒスチジンタグを有する志賀毒素を細菌中で発現する工程、及びb)ニッ ケル−ニトリロ三酢酸リガンド(Ni-NTA)ゲルでヒスチジンタグ付き志賀毒 素含有細胞抽出物を溶離させる工程を含む、志賀毒素を大量に単離および精 製する方法。 5.請求項2記載のポリペプチドに対する抗血清を含む、受動免疫防御剤。 6.請求項2記載のポリペプチドに対する抗体を含む、志賀毒素ファミリーの毒 素によって媒介される感染症の治療剤。 7.請求項2記載のポリペプチドに対する抗体を含むワクチン。 8.請求項2記載のポリペプチドをコードするヌクレオチドを含むワクチン。 9.ポリペプチドがHis6タグを有する志賀毒素である、請求項5記載の防御剤。 10.ポリペプチドがHis6タグを有する志賀毒素である、請求項6記載の治療剤。 11.ポリペプチドがHis6タグを有する志賀毒素である、請求項7記載のワクチン 。 【図6】【図6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 1/22 C07K 1/22 14/245 14/245 14/25 14/25 16/12 16/12 C12N 1/21 C12N 1/21

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒスチジンタグを有する志賀毒素を含むポリペプチド。 2.免疫反応性であるが非毒素原性の形態の請求項1記載のポリペプチドを含 むポリペプチド。 3.第2のポリペプチドまたはその一部分に融合された請求項1または2記載 のポリペプチドを含む融合タンパク質。 4.a)ヒスチジンタグを有する志賀毒素を細菌中で発現する工程、及び b)ニッケル-ニトリロ三酢酸リガンド(Ni-NTA)ゲルでヒスチジンタグ付き志賀毒 素含有細胞抽出物を溶離させる工程、 を含む、志賀毒素を大量に単離および精製する方法。 5.請求項2記載のポリペプチドに対する抗血清を、それを必要とする忠者に 投与する工程を含む、受動免疫防御を提供する方法。 6.請求項2記載のポリペプチドに対する抗体を、それを必要とする患者に投 与する工程を含む、志賀毒素ファミリーの毒素によって媒介される感染症の治療 方法。 7.請求項2記載のポリペプチドに対する抗体を含むワクチン。 8.請求項2記載のポリペプチドをコードするヌクレオチドを含むワクチン。
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